(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-502712(P2020-502712A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】ニューラルネットワークを用いた疾病診断システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20191220BHJP
G06N 3/04 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G06N3/04
G06T7/00 630
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-552437(P2019-552437)
(86)(22)【出願日】2017年12月6日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月12日
(86)【国際出願番号】KR2017014219
(87)【国際公開番号】WO2018106005
(87)【国際公開日】20180614
(31)【優先権主張番号】10-2016-0168176
(32)【優先日】2016年12月11日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】519208133
【氏名又は名称】ディープ バイオ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100120008
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 くみ子
(72)【発明者】
【氏名】キム ソン ワ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096EA39
5L096GA30
5L096GA55
5L096HA11
5L096JA11
5L096KA04
5L096MA07
(57)【要約】
ニューラルネットワークを用いた疾病診断システム及びその方法に関する。ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムは、生体画像に含まれる所定のタイルを入力層として入力され、複数の第1層及び出力層を含むマイクロニューラルネットワークと;タイルを含み、タイルに隣接する少なくとも一つのタイルを含むマクロタイルを入力層として入力され、複数の第2層及び出力層を含むマクロニューラルネットワークと;を含み、出力層は、タイルに対応する生体組織の疾病の状態を示す少なくとも一つの状態チャネルを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとニューラルネットワークを保存する記憶装置とを含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムにおいて、
前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力層として入力され、複数の第1層および出力層を含むマイクロニューラルネットワークと;
前記タイルを含み、前記タイルの隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイルを入力層として入力され、複数の第2層及び前記出力層を含むマクロニューラルネットワークと;を含み、
前記出力層は、
前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す状態チャネルを少なくとも一つ含むことを特徴とする、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システム。
【請求項2】
前記出力層は、
前記第1層に含まれており、前記出力層の直前層である第1直前層と、前記第2層に含まれており、前記出力層の直前層である第2直前層と、のそれぞれの出力データに基づいて決定されることを特徴とする、請求項1に記載のニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム。
【請求項3】
前記マクロニューラルネットワークは、
前記マイクロニューラルネットワークに比べて大きなストライド(stride)を有することを特徴とする、請求項1に記載のニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム。
【請求項4】
前記出力層は、
前記状態チャネルと;
前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと;を含むことを特徴とする、請求項1に記載のニューラルネットワークを用いた疾病診断システム。
【請求項5】
前記疾病は、
前立腺癌であることを特徴とする、請求項4に記載のニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム。
【請求項6】
前記状態チャネルは、
前記タイルに対応する生体組織が予め定められた範囲のグリーソンパターン値を有する確率を表すチャネルであることを特徴とする、請求項5に記載のニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム。
【請求項7】
前記関連因子チャネルは、
前記タイルに対応する生体組織の細胞核が特定の条件を満足する確率を表すチャネルと;
前記タイルに対応する生体組織が単一細胞層として分類される確率を表すチャネルと、
前記タイルに対応する生体組織が高密度グランド(gland)として分類される確率を表すチャネル;または
前記タイルに対応する生体組織が正常ストロマ(stroma)として分類される確率を表すチャネルのうちの少なくともいずれか一つのチャネルを含むことを特徴とする、請求項5に記載のニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム。
【請求項8】
プロセッサとニューラルネットワークを保存する記憶装置とを含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムにおいて、
前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力される入力層と;
複数の層と;
出力層と;を含み、
前記出力層は、
前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す少なくとも一つの状態チャネルと、前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと、を含むことを特徴とするニューラルネットワークを用いた疾病診断システム。
【請求項9】
プロセッサ及び記憶装置を含むシステムに具現化され、生体画像とニューラルネットワークを用いた疾病の診断システムが実行する方法において、
前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力層として入力され、複数の第1層及び出力層を含むマイクロニューラルネットワークと、前記タイルを含み、前記タイルの隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイルを入力層として入力され、複数の第2層及び前記出力層を含むマクロニューラルネットワークと、を保存するステップと;
前記タイル及び前記出力層と相応するように前記タイルにアノテーション(annotation)されたアノテーション情報を用いて、前記マイクロニューラルネットワーク及び前記マクロニューラルネットワークをそれぞれ学習させるステップと;を含み、
前記出力層は、
前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す状態チャネルを少なくとも一つ含むことを特徴とする、ニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項10】
前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断方法は、
学習された前記マイクロニューラルネットワーク及び前記マクロニューラルネットワークを含む前記ニューラルネットワークが、診断対象生体画像に含まれる対象タイルを入力されるステップと;
前記ニューラルネットワークを介して前記出力層に相応する出力データを出力するステップと;をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載のニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項11】
前記出力層は、
前記第1層に含まれており、前記出力層の直前層である第1直前層と、前記第2層に含まれており、前記出力層の直前層である第2直前層と、のそれぞれの出力データに基づいて決定されることを特徴とする、請求項9に記載のニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項12】
前記マクロニューラルネットワークは、
前記マイクロニューラルネットワークに比べて大きなストライド(stride)を有することを特徴とする、請求項9に記載のニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項13】
前記出力層は、
前記状態チャネルと;
前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと;を含むことを特徴とする、請求項9に記載のニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項14】
プロセッサとニューラルネットワークを保存する記憶装置とを含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムが実行する方法において、
前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力される入力層、複数の層、および出力層を含むニューラルネットワークを保存するステップと;
前記タイル及び前記出力層に相応する前記タイルのアノテーション情報を用いて前記ニューラルネットワークを学習させるステップと;を含み、
前記出力層は、
前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す少なくとも一つの状態チャネルと、前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと、を含むことを特徴とするニューラルネットワークを用いた疾病診断方法。
【請求項15】
データ処理装置に設けられ、請求項9乃至請求項14のいずれか一項に記載の方法を実行するための媒体に記録されたコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システム及びその方法に関し、さらに詳しくは、ニューラルネットワークによる学習を行い、学習されたニューラルネットワークを用いて生体組織の画像を入力する場合、所定の疾病(例えば、前立腺癌)を診断することができるシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病理学または病理科で行う重要な業務の一つは、患者の生体画像を読み取り、特定疾病の状態または兆候を判断する診断を行うことである。このような診断は、長期間にわたって熟練した医療従事者の経験と知識に頼るものである。
【0003】
最近では、機械学習の発達に伴い、画像を認識したり分類したりするなどの業務をコンピュータシステムによって自動化しようとする試みが活発に行われている。特に機械学習の一種であるニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク(Convolution neurla network、CNN)を用いたディープラーニング方式)を用いて、熟練した医療従事者が行う診断を自動化するための試みがなされている。
【0004】
特にニューラルネットワーク(例えば、CNN)を用いたディープラーニングによる診断によれば、従来の熟練した医療従事者の経験と知識を単に自動化するのではなく、自ら学習により特徴的な要素を見つけて希望の答えを導き出すという点において、むしろ熟練した医療従事者が知らない疾病因子の特徴を画像から見つける場合もある。
【0005】
一般的に、生体画像を用いる、ニューラルネットワークによる疾病の診断には、生体画像の部分、すなわちタイル(tile)を使用する。つまり、当該タイルに対して熟練した医療従事者は、特定疾病の状態(例えば、癌の発現の有無)をアノテーション(annotation)し、このようにアノテーションされた多数のタイルをトレーニングデータとして用いてニューラルネットワークを学習する。このとき、ニューラルネットワークとしては、畳み込みニューラルネットワークが利用されてもよい。
【0006】
しかし、このような方式の場合、学習されたニューラルネットワークによれば、当該タイルの画像特徴のみでタイルの疾病の状態を判断するが、実際に特定疾病について特定の生体組織の状態を判断するときには、特定の生体組織そのものだけでなく特定の生体組織の周辺の組織の現状(例えば、形状、特定のパターンの存在有無など)をも同時に考慮すべき場合がある。しかしながら、従来の方式は、このような場合に不適合であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許10−2016−0034814「ニューラルネットワークを伴ったクライアント装置及びそれを含むシステム」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする技術的な課題は、特定タイルの疾病の状態(例えば、疾病の発現有無、または疾病の状態を示す指標など)を判断するために、特定タイルだけでなく周辺のタイルをも学習に用いることにより、より精度を高めることができる、ニューラルネットワークを用いる診断システム及びその方法を提供することである。
【0009】
また、単にタイルの疾病の状態についての情報を出力することにとどまらず、そのような状態を判断した根拠となる因子についての情報をも出力することができる、ニューラルネットワークを用いた診断システム及びその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を達成するための、プロセッサとニューラルネットワークを保存する記憶装置(Storage Device)とを含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムは、前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力層として入力され、複数の第1層および出力層を含むマイクロニューラルネットワーク(micro−neural network)と;前記タイルを含み、前記タイルの隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイル(macro tile)を 入力層として入力され、複数の第2層及び前記出力層を含むマクロニューラルネットワーク(macro−neural network)と;を含み、前記出力層は、前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す状態チャネルを少なくとも一つ含む。
【0011】
前記出力層は、前記第1層に含まれており、前記出力層の直前層である第1直前層と、前記第2層に含まれており、前記出力層の直前層である第2直前層と、のそれぞれの出力データに基づいて決定されることを特徴としてもよい。
【0012】
前記マクロニューラルネットワークは、前記マイクロニューラルネットワークに比べて大きなストライド(stride)を有することを特徴としてもよい。
【0013】
前記出力層は、前記状態チャネルと;前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと;を含んでいてもよい
【0014】
前記疾病は、前立腺癌であることを特徴としてもよい。
【0015】
前記状態チャネルは、前記タイルに対応する生体組織が予め定められた範囲のグリーソンパターン値を有する確率を表すチャネルであってもよい。
【0016】
前記関連因子チャネルは、前記タイルに対応する生体組織の細胞核が特定の条件を満足する確率を表すチャネル;前記タイルに対応する生体組織が単一細胞層(single cell layer)として分類される確率を表すチャネル;前記タイルに対応する生体組織が高密度グランド(gland)として分類される確率を表すチャネル;または前記タイルに対応する生体組織が正常ストロマ(stroma)として分類される確率を表すチャネルのうちの少なくともいずれか一つのチャネルを含んでいてもよい。
【0017】
前記技術的課題を解決するための、プロセッサ及び記憶装置を含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムは、前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力される入力層、複数の層、及び出力層を含み、前記出力層は、前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す少なくとも一つの状態チャネルと、前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと、を含む。
【0018】
前記技術的課題を解決するための、プロセッサ及び記憶装置を含むシステムに具現化され、生体画像とニューラルネットワークを用いた疾病の診断システムが実行する方法は、前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力層とし、複数の第1層及び出力層を含むマイクロニューラルネットワークと、前記タイルを含み、前記タイルの隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイルを入力層とし、複数の第2層及び前記出力層を含むマクロニューラルネットワークと、を保存するステップと;前記タイル及び前記出力層と相応するように前記タイルにアノテーション(annotation)されたアノテーション情報を用いて、前記マイクロニューラルネットワーク及び前記マクロニューラルネットワークをそれぞれ学習させるステップと;を含み、前記出力層は、前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す状態チャネルを少なくとも一つ含む。
【0019】
前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断方法は、学習された前記マイクロニューラルネットワーク及び前記マクロニューラルネットワークを含む前記ニューラルネットワークが、診断対象生体画像に含まれる対象タイルを入力されるステップと;前記ニューラルネットワークを介して前記出力層に相応する出力データを出力するステップと;をさらに含んでいてもよい。
【0020】
前記出力層は、前記第1層に含まれており、前記出力層の直前層である第1直前層と、前記第2層に含まれており、前記出力層の直前層である第2直前層と、のそれぞれの出力データに基づいて決定されてもよい。
【0021】
前記技術的課題を解決するための、プロセッサとニューラルネットワークを保存する記憶装置とを含むシステムに具現化され、生体画像と前記ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムが実行する方法は、前記生体画像に含まれる所定のタイルを入力される入力層、複数の層、および出力層を含むニューラルネットワークを保存するステップと;前記タイル及び前記出力層に相応する前記タイルのアノテーション情報を用いて前記ニューラルネットワークを学習させるステップと;を含み、前記出力層は、前記タイルに対応する生体組織の前記疾病の状態を示す少なくとも一つの状態チャネルと、前記状態チャネルの値に関連付けられる関連因子の発現度合いを示す少なくとも一つの関連因子チャネルと、を含んでいてもよい。
【0022】
前記方法は、データ処理装置に設けられるコンピュータプログラムと、前記コンピュータプログラムを実行することができるデータ処理装置のハードウェアと、により具現化されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の技術的思想によれば、特定タイルに対する診断を行いながら、特定タイルを含み、周辺のタイルをさらに含むマクロタイルをも同時に考慮して、特定タイルの疾病の状態を判断することができるニューラルネットワークを提供することにより、より高い診断の精度を提供することができるという効果がある。
【0024】
また、ニューラルネットワークが、単に疾病の状態についての情報だけを出力するのではなく、そのような状態に関連する因子についての情報をもさらに出力することにより、診断システムにより判断された疾病の状態についての情報の信頼性を向上させることができ、状態についての情報とその根拠をも把握することができ、このため、誤った判断に対する検証が可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の詳細な説明において引用される図面をより十分に理解するために、各図面の簡単な説明が提供される。
【0026】
【
図1】本発明の技術的思想に係る、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムの概略的なシステム構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムの論理的な構成を説明するための図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムのハードウェア的な構成を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークの構成を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークの出力層を説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを学習するためのアノテーション情報の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークにおける関連因子を説明するための図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークにおける関連因子を説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークにおける関連因子を説明するための図である。
【
図10】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークにおける関連因子を説明するための図である。
【
図11】本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを用いた診断結果を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る、ニューラルネットワークを用いた疾病診断システムにより診断された生体画像を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変換、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術についての具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0028】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素は、用語によって限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0029】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なる意味でない限り、複数の表現を含む。
【0030】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするのであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0031】
また、本明細書においては、ある構成要素が他の構成要素にデータを「送る」場合には、「送る」とは、構成要素は他の構成要素に直接的にデータを送ってもよく、少なくとも一つの更に他の構成要素を介してデータを他の構成要素に送ってもよいことを意味する。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを直接的に「送る」場合には、「送る」とは、構成要素から他の構成要素を介することなく他の構成要素にデータが送られることを意味する。
【0032】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態を中心に本発明について詳細に説明する。各図面に示す同じ参照符号は、同じ部材を指し示す。
【0033】
図1は、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワークを用いた疾病診断システムの概略的なシステム構成を示す図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワークを用いた疾病診断システム(以下、診断システム、100)は、所定のサーバ10に設けられて本発明の技術的思想を具現化することができる。サーバ10は、本発明の技術的思想を具現化するための演算能力を有するデータ処理装置を意味し、一般的には、ネットワークを介してクライアントが接続可能なデータ処理装置だけでなく、パーソナルコンピュータ、携帯端末などのように特定のサービスを実行できるいかなる装置もサーバとして定義できることを、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推論可能であろう。
【0035】
サーバ10は、
図3に示すように、プロセッサ11及び記憶装置12を含んでいてもよい。プロセッサ11は、本発明の技術的思想を具現化するためのプログラム12−1を駆動させることができる演算装置を意味することができ、プロセッサ11は、プログラム12−1と、本発明の技術的思想によって定義されるニューラルネットワーク(Neural Network)12−2を用いて診断を行うことができる。
【0036】
記憶装置12は、プログラム12−1及びニューラルネットワーク12−2を保存することができるデータ記憶手段(data storage means)を意味することができ、具現化例によっては、複数の記憶手段で具現化されてもよい。また、記憶装置12は、サーバ10に含まれる主記憶装置だけでなく、プロセッサ11に含まれてもよい一時的な記憶装置またはメモリなどを含むことを意味することもできる。
【0037】
診断システム100は、
図1または
図3においてはある物理的装置で具現化されたものを示しているが、必要に応じて、複数の物理的装置が有機的に結合されて本発明の技術的思想に係る診断システム100を具現化することができることを、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推論可能であろう。
【0038】
本明細書において、診断システム100が診断を行うということは、生体組織が表現された生体画像の入力を受け、本明細書で定義された出力データを出力する一連のプロセスを意味することができる。出力データは、診断システム100に用いられるニューラルネットワークの出力層が出力する情報を意味することができ、出力データには、生体画像に含まれるタイルに対応する生体組織が特定疾病に対してどのような状態であるかを示す状態情報が含まれていてもよい。このような状態情報は、出力層に含まれた状態チャネルが出力する情報であってもよい。
【0039】
例えば、状態情報は、タイルに対応する組織に特定疾病(例えば、特定の種類の癌)が発現されたかどうかについての確率情報であってもよい。または、後述するように、単に特定疾病の発現の有無に加えて、特定疾病の進行度合いを示す情報(または進行度合いに該当する確率)であってもよい。例えば、後述するように、本発明の技術的思想が前立腺癌の診断に利用される場合、前立腺癌の進行度合いを示す指標であるグリーソンパターン(Gleason Pattern)またはグリーソンスコア(Gleason Score)が状態情報に含まれてもよい。例えば、グリーソンパターンは2〜5の値を有し、数字が大きいほど前立腺癌の発現度合いが酷いことを示す。したがって、状態情報は、診断の対象となるタイルに対応する生体組織がグリーソンパターンの特定値(例えば、3、4、または5)に該当する確率を意味することもできる。
【0040】
状態情報は、複数であってもよい。例えば、第1状態情報は、グリーソンパターンが3である確率、第2状態情報は、グリーソンパターンが4である確率、第3状態情報は、グリーソンパターンが5である確率を表すことができ、これらの第1状態情報、第2状態情報、第3状態情報に相応する状態チャネルのすべてが出力層に定義されてもよい。具現化例によっては、グリーソンパターンが所定の範囲(例えば、3〜5、4〜5)などを有する確率を表す状態情報が定義されてもよい。すなわち、一つの状態情報が疾病の進行状態を表現する複数の指標に対応することもできる。
【0041】
出力層に含まれる状態チャネルは、学習時に該当タイルをどのようにアノテーション(annotation)するかによって決定できることは勿論である
【0042】
一方、本発明の技術的思想によれば、出力層には、状態チャネルだけでなく関連因子チャネルも含まれていてもよい。このような技術的思想については後述する。
【0043】
診断システム100が所定のサーバ10に含まれて具現化される場合、診断システム100は、サーバ10に接続可能な少なくとも一つのクライアント(例えば、20、20−1)との通信を行ってもよい。このような場合、クライアント(例えば、20、20−1)は、生体画像を診断システム100に送ってもよく、診断システム100は、送られた生体画像に対して、本発明の技術的思想に係る診断を行ってもよい。そして、診断結果をクライアント(例えば、20、20−1)に送ってもよい。
【0044】
診断システム100は、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワークを用いて診断を行ってもよい。もちろん、このような診断を行うために、ニューラルネットワークを学習させるプロセスを最初に実行してもよい。
【0045】
したがって、診断システム100は、本発明の技術的思想により学習されたニューラルネットワークと、ニューラルネットワークを用いて診断を行うためのプログラムとを、外部から受信して診断を行うシステムであってもよく、ニューラルネットワークの学習をも行うシステムであってもよい。また、診断システム100は、汎用のデータ処理装置ではなく、本発明の技術的思想を具現化するために製造された専用装置で具現化されてもよく、このような場合には、生体画像をスキャンするための手段などがさらに備えられてもよい。
【0046】
本発明の技術的思想に係る診断システム100に用いられるニューラルネットワークは、マイクロニューラルネットワーク及びマクロニューラルネットワークを含んでいてもよい。
【0047】
マイクロニューラルネットワークは、特定の一つのタイルを用いて学習を行い、タイルそのものイメージ特徴を用いて、タイルに対する診断を行うための一連のプロセスを実行するネットワークを意味することができる。
【0048】
マクロニューラルネットワークは、タイルだけでなく、タイルを含み、タイルの隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイルを用いて学習を行い、マクロタイル全体のイメージ特徴を利用してタイルに対する診断を行うための一連のプロセスを実行するネットワークを意味することができる。
【0049】
したがって、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワークは、特定タイルの診断を行うために、特定タイルそのもののイメージだけを考慮するのではなく、特定タイルに隣接する少なくとも一つのタイルのイメージをも考慮して、特定タイルの診断を行う特徴を有してもよい。このような技術的思想により、実際特定タイルに対応する生体組織を診断するために、生体組織だけでなく生体組織の周辺組織の状態をも考慮しなければならない疾病の診断において、精度を非常に有意なレベルまで向上させることができるという効果がある。また、生体画像を多数のタイルに分割する場合、タイルの分割方式や生体組織における分割領域の位置に応じて、発生可能な診断結果に強力な影響を与えることができるという効果を有する。
【0050】
このような技術的思想を具現化するための診断システム100は、論理的に
図2のような構成を有することができる。
【0051】
図2は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを用いた疾病診断システムの論理的な構成を説明するための図である。
【0052】
図2を参照すると、診断システム100は、制御モジュール110と、ニューラルネットワークが保存されているニューラルネットワークモジュール120と、を含む。また、診断システム100は、前処理モジュール130を更に含んでいてもよい。
【0053】
診断システム100は、本発明の技術的思想を具現化するために必要なハードウェアリソース(resource)および/またはソフトウェアを備えた論理的な構成を意味してもよく、必ずしも単一の物理的な構成要素を意味したり、単一の装置を意味したりするわけではない。つまり、診断システム100は、本発明の技術的思想を具現化するために具備されるハードウェアおよび/またはソフトウェアの論理的な結合を意味してもよく、必要な場合には、互いに離隔した装置に設けられてそれぞれの機能を行うことにより、本発明の技術的思想を具現化するための論理的な構成の集合として具現化されてもよい。また、診断システム100は、本発明の技術的思想を具現化するためのそれぞれの機能又は役割ごとに個別に具現化される構成の集合を意味してもよい。例えば、制御モジュール110、ニューラルネットワークモジュール120および/または前処理モジュール130のそれぞれは、互いに異なる物理的装置に位置してもよく、同じ物理的装置に位置してもよい。また、具現化例によっては、制御モジュール110、ニューラルネットワークモジュール120および/または前処理モジュール130のそれぞれを構成するソフトウェアおよび/またはハードウェアの結合もまた互いに異なる物理的装置に位置し、互いに異なる物理的装置の構成が互いに有機的に結合してそれぞれのモジュールを具現化することもできる。
【0054】
また、本明細書において、モジュールとは、本発明の技術的思想を行うためのハードウェア及びハードウェアを駆動するためのソフトウェアの機能的、構造的な結合を意味してもよい。例えば、モジュールは、所定のコード及び所定のコードが行われるためのハードウェアリソース(resource)の論理的な単位を意味してもよく、必ずしも物理的に連結されたコードを意味したり、一種類の数のハードウェアを意味したりするわけではないということは、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推論可能である。
【0055】
制御モジュール110は、本発明の技術的思想を具現化するために、診断システム100に含まれる他の構成(例えば、ニューラルネットワークモジュール120および/または前処理モジュール130など)を制御してもよい。
【0056】
また、制御モジュール110は、ニューラルネットワークモジュール120に保存されたニューラルネットワークを用いて、本発明の技術的思想による診断を行ってもよい。診断を行うということは、前述したように、出力層に定義された少なくとも一つのチャネルのチャネル値を出力することを意味してもよい。それぞれのチャネルの値は、診断の対象となるタイルが対応するチャネルが定義する情報に該当する確率を示してもよい。
【0057】
ニューラルネットワークモジュール120は、ニューラルネットワークを保存してもよい。ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークを定義する一連の設計事項を表現する情報の集合を意味してもよい。本明細書において、ニューラルネットワークは、畳み込みニューラルネットワークであってもよい。
【0058】
畳み込みニューラルネットワークは、周知のように、入力層、複数の隠れ層及び出力層を含んでいてもよい。複数の隠れ層の各々は、畳み込み層(Convolution layer)及びプーリング層(Pooling layer)(またはサブサンプリング層)を含んでいてもよい。
【0059】
畳み込みニューラルネットワークでは、これらの各層が、関数、フィルタ、ストライド(stride)、重み係数(Weight factor)などによって定義されてもよい。また、出力層は、全結合(fully connected)のフィードフォワード層(FeedForward layer)と定義されてもよい。
【0060】
畳み込みニューラルネットワークを構成する個々の層別設計は、幅広く知られている。例えば、複数の層に含まれる層の数、複数の層を定義するための畳み込み関数、プーリング関数、活性化関数のそれぞれには、公知の関数が利用されてもよく、本発明の技術的思想を具現化するために別途定義の関数が利用されてもよい。
【0061】
畳み込み関数の一例としては、離散関数、畳み込み関数などがある。プーリング関数の一例としては、最大プーリング(max pooling)関数、平均プーリング(average pooling)関数などが利用されてもよい。活性化関数の一例としては、シグモイド(sigmoid)関数、タンジェントハイパボリック(tanh)関数、正規化線形ユニット(rectified linear unit、ReLU) などが挙げられる。
【0062】
このような畳み込みニューラルネットワークの設計事項が定義されると、設計事項が定義された畳み込みニューラルネットワークが記憶装置に保存されてもよい。そして、畳み込みニューラルネットワークが学習されると、各層に該当する重み係数が特定化されてもよい。
【0063】
すなわち、畳み込みニューラルネットワークの学習は、各層の重み係数が決定されるプロセスを意味してもよい。そして、畳み込みニューラルネットワークが学習されると、学習された畳み込みニューラルネットワークは、入力層に入力データを入力され、予め定義された出力層を介して出力データを出力してもよい。
【0064】
本発明の実施形態に係るニューラルネットワークは、前述したように周知の設計事項のいずれか一つまたは複数の設計事項を選択して定義されてもよく、独自の設計事項が、ニューラルネットワークのために定義されてもよい。
【0065】
制御モジュール110は、ニューラルネットワークモジュール120に保存されたニューラルネットワーク、すなわち、学習されたニューラルネットワークに入力データを入力してもよい。そして、ニューラルネットワークによって定義される演算を実行して出力データを出力してもよい。
【0066】
前処理モジュール130は、ニューラルネットワークを用いて診断を行う前に必要な生体画像の前処理を行ってもよい。例えば、生体画像の前処理は、生体画像を予め定義されたサイズでタイル化する過程を含んでいてもよく、必要に応じては、ニューラルネットワークに適した方法で適切な画像処理を行ってもよいことは、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推量可能であろう。
【0067】
一方、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワークは、前述したように、マイクロニューラルネットワーク及びマクロニューラルネットワークを含む技術的な特徴を有する。このような一例については、
図4に基づいて詳細に説明する。
【0068】
図4は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークの構成を説明するための図である。
【0069】
図4を参照すると、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワーク200は、マイクロニューラルネットワーク及びマクロニューラルネットワークを含む。
【0070】
マイクロニューラルネットワークは、複数の層210及び出力層230を含む。複数の層210には、入力層211及び複数の隠れ層の212が含まれる。
【0071】
マクロニューラルネットワークは、複数の層220及び出力層230を含む。複数の層220には、入力層221及び複数の隠れ層の222が含まれる。
【0072】
マイクロニューラルネットワークは、特定タイル30を入力され、特定タイルの診断結果、すなわち、出力層230に定義された出力データを出力するように定義される。
【0073】
また、マクロニューラルネットワークは、特定タイル30を含み、特定タイル30の隣接タイルを少なくとも一つ含むマクロタイル40を入力され、特定タイルの診断結果を出力するように定義される。
【0074】
すなわち、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワーク200は、特定タイル30の診断結果を出力するために、特定タイル30の画像特性だけでなく特定タイル30の隣接タイルの画像特性をも考慮して、診断結果を出力してもよい
【0075】
マクロタイル40は、
図4においては、タイルをめぐる3タイルが利用される一例を図示しているが、様々な実施形態が可能できることはもちろんである。
【0076】
出力層230は、マイクロニューラルネットワークに含まれた出力層230の直前層である第1直前層212−1と、マクロニューラルネットワークに含まれた出力層230の直前層である第2直前層222−1と、のそれぞれの出力データを入力され、出力層230に定義された出力データを出力してもよい。第1直前層212−1、第2直前層222−1及び出力層230は、全結合(fully connected)されてもよい。
【0077】
出力層230を定義するフィードフォワード(Feedforward)関数としては、入力層に入力された入力データがニューラルネットワーク200を介して結果として出力層230に出力データを出力する様々な関数のうちのいずれか一つが使用されてもよい。
【0078】
結論として、ニューラルネットワーク200は、特定タイル30の診断を行うために、特定タイル30の画像特性と、特定タイル30を含むマクロタイル40の画像特性とを同時に考慮して、多数のトレーニングデータのアノテーション値と相応する出力層230の出力データを出力するように学習される。
【0079】
すなわち、ニューラルネットワーク200を学習するためには、多数のトレーニングデータが使用され、多数のトレーニングデータは、特定タイル30及びマクロタイル40のペアを含んでいてもよい。そして、マクロタイル40の場合もまた、特定タイル30のアノテーション情報を用いて学習を行ってもよい。
【0080】
すると、ニューラルネットワーク200は、特定タイル30の画像特性とマクロタイル40の画像特性とを両方とも考慮して、特定タイル30のアノテーション情報に相応する出力データを出力できるように学習されてもよい。
【0081】
そして、学習されたニューラルネットワーク200は、診断の対象となる対象タイル及び対象タイルに相応するマクロタイルのそれぞれを、マイクロニューラルネットワーク及びマクロニューラルネットワークの入力層の入力データとして入力されると、対象タイルの診断結果、すなわち、出力層230の出力データを出力することができる。
【0082】
一方、マクロニューラルネットワークは、マイクロニューラルネットワークに比べて大きなストライドを有することを特徴としてもよい。これは、マクロニューラルネットワークでは、マクロタイル40に含まれる画像の特性をマイクロニューラルネットワークに比べてより断続的に抽出することを意味してもよい。これは、マクロニューラルネットワークもまた、特定タイル30を診断するためのものであり、マイクロニューラルネットワークと同様に、画像の特徴を非常に細かく抽出し、抽出された画像の特徴を抽象化する過程を経る必要はないことを意味してもよい。また、むしろ特定タイル30ではない隣接タイルの画像特徴が、特定タイル30の診断に多くの影響を与えることをある程度排除することができるという効果も有することができる。したがって、マクロニューラルネットワークのストライド値をマイクロニューラルネットワークよりも大きくすることにより、ネットワーク設計をより効率よく行うことができる。一例によれば、マイクロニューラルネットワークに使用されるストライド値は1であってもよく、マクロニューラルネットワークに使用されるストライド値は2または3などであってもよい。
【0083】
また、すべての隠れ層に共通的により大きなストライド値が適用される必要はない可能性があり、初期の数個の畳み込み層にのみ適用されるストライド値は、マイクロニューラルネットワークに比べてマクロニューラルネットワークほうが大きくてもよい。
【0084】
一方、出力層230は、診断の対象となる特定タイル30の診断結果としての出力データを出力することができる。診断結果は、特定タイル30の疾病の状態についての情報を少なくとも含んでいてもよい。疾病の状態についての情報は、単に特定疾病が特定タイル30に発現したかどうか(または確率値)についての情報を意味してもよい。
【0085】
しかし、疾病の種類に応じて、疾病の状態についての情報には、より具体的に疾病の進行度合いを示す情報が含まれてもよい。以下では、診断システム100により診断される疾病の種類が前立腺癌である場合を一例として説明するが、本発明の技術的思想が必ずしも前立腺癌に限定されて適用される必要はないことを、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推論可能であろう。
【0086】
図5は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークの出力層を説明するための図である。
【0087】
図5を参照すると、本発明の実施形態に係る出力層230は、少なくとも一つのチャネル(例えば、231乃至238)を含んでいてもよい。
【0088】
出力層230は、前述したように、疾病の状態についての情報を示す状態チャネル(例えば、236、237、238)が少なくとも一つ含まれてもよい。状態チャネル(例えば、236、237、238)は、それぞれ疾病の進行度合いを示す情報であってもよい。例えば、第1状態チャネル236は、前立腺癌の進行度合いを示す指標であるグリーソンパターン値のうちのいずれか一つである第1値(例えば、グリーソンパターン3)を有する確率を表す情報であってもよい。第2状態チャネル237及び第3状態チャネル238は、それぞれグリーソンパターン値のうちの他の値である第2値(例えば、グリーソンパターン4)及び第3値(例えば、グリーソンパターン5)を有する確率を表す情報であってもよい。このように、疾病の種類に応じて進行度合いを示す指標が定義されている場合には、進行度合いに応じた状態チャネルが定義されることにより、単純に疾病の発現有無だけでなく、当該疾病の進行度合いをも診断することができるという効果がある。
【0089】
一方、本発明の技術的思想によれば、出力層230には、状態チャネルの値、すなわち、診断の対象とされたタイルが、疾病の発現有無または疾病の進行度合いについての情報だけでなく、状態チャネルの値に関連付けられた関連因子の発現度合いを示す関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)が少なくとも一つさらに含まれてもよい。
【0090】
すなわち、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)は、疾病の発現有無または疾病の進行度合いを判断するのに根拠となった個々の因子の発現有無を示す情報であってもよい。例えば、前立腺癌の発現有無または進行度合いは、細胞核の状態が所定の条件を満たしているかどうか、グランド(gland)細胞壁が一層からなるかどうか、グランドが一定以上に密集しているかどうか、および/またはストロマの形状が正常かどうかなどの個別因子が一つまたは複数考慮された上で判断されてもよい。
【0091】
つまり、これらの個々の因子の組み合わせによって状態チャネルのチャネル値が判断されるが、本発明の技術的思想によれば、これらの個々の因子自体を別のチャネルとして定義し、個々の因子の発現有無もまた学習により診断を行う特徴を有してもよい。
【0092】
このように関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)を出力層230に定義する場合には、実際に状態チャネルのみが存在する場合、医療スタッフがどのような理由で当該状態チャネルの出力値が導き出されたかを知らない問題を解決することができる。すなわち、本発明の技術的思想によれば、状態チャネルの出力値、例えば、 診断システム100が、疾病が発現した、または疾病がある程度進行していると判断した場合、その判断の根拠である個々の因子の発現有無、すなわち、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)の出力値をさらに提供することができるという効果がある。これにより、診断システム100の診断結果に対するより高い信頼性を提供することができるという効果がある。また、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)の出力値と状態チャネルの出力値とが互いにマッチングするかどうかを簡単に確認することができるので、診断システム100の学習が正常に行われているかどうかを学習中にも判断することができるという効果があり、ニューラルネットワーク200の学習自体においても効果的であると言える。さらに関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)を別途に学習する場合には、ニューラルネットワーク200は、より正確な診断率を有することが確認された。これは、実際に出力層230に関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)が含まれることにより、ニューラルネットワーク200が個々の因子を状態チャネルの出力値の判断に際して考慮していることを意味してもよい。
【0093】
診断システム100が前立腺癌の診断のために学習された場合には、関連因子チャネルは、タイルに対応する生体組織の細胞核が特定の条件を満足する確率を表すチャネルを含んでいてもよい。例えば、特定の条件は、核が相対的に大きい場合、色が濃い場合、核小体がはっきり見える場合、核が円形に近い程度などの条件を含んでいてもよく、これらの条件が満足するほど前立腺癌の発現または進行度合いが酷い確率が高い可能性がある。
【0094】
また、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)は、タイルに対応する生体組織が単一細胞層、すなわち、グランド細胞壁が一層で明確に表示される場合に分類される確率を表すチャネルを含んでいてもよい。単一細胞層の特徴が発現される場合に、前立腺癌が発症したか、その進行度合いが酷い確率が高い可能性がある。
【0095】
また、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)は、タイルに対応する生体組織が高密度グランド(gland)として分類される確率を表すチャネルを含んでいてもよい。例えば、一定の範囲内にグランドが予め定められた数以上に密集しているかどうかに応じて、前立腺癌が発症する確率または進行度合いが酷い可能性がある。
【0096】
また、関連因子チャネル(例えば、232、233、234、235)は、タイルに対応する生体組織が正常ストロマ(stroma)として分類される確率を表すチャネルを含んでいてもよい。すなわち、通常のストロマの形状を有する場合には、前立腺癌の確率または進行度合いが低い可能性がある。
【0097】
出力層230に定義されたそれぞれのチャネル値を、学習されたニューラルネットワーク200が出力データとして出力するためには、トレーニングデータ、すなわち、タイル及びマクロタイルのそれぞれに出力層230に相応するチャネルのアノテーション値がアノテーションされるべきであることはもちろんであり、そのためにはチャネル値をアノテーションすることができる専門的な人材が必要となる可能性があるのはいうまでもない。
【0098】
本発明の実施形態においては、出力層230に含まれるチャネルのうち所定のチャネル(例えば、231)は、何らの有意味な情報も有しない可能性がある。つまり、当該チャネルは、学習及び診断に用いられないチャネルである可能性がある。これは、ネットワークの設計時に出力層230が2の倍数のチャネルを有することが有利である場合、使用しないチャネルを少なくとも一つ含むように出力層230が設計される可能性があるからである。
【0099】
結局、本発明の技術的思想に係る診断システム100に用いられるニューラルネットワーク200は、診断の対象となるあるタイルを診断するために、タイルだけでなく、タイルを含むマクロタイルのイメージをも考慮して、より高い精度で診断を行うことができるという特徴がある。
【0100】
また、ニューラルネットワーク200は、単に状態チャネルだけを出力データとして出力するのではなく関連因子チャネルを少なくとも一つ含むことにより、診断結果に対する信頼性を確保することができるだけでなく、ニューラルネットワーク200の学習にも効果的であり、関連因子チャネルが出力層に含まれることで、状態チャネルの診断結果自体に対する精度が上がるという効果がある。
【0101】
図6は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを学習するためのアノテーション情報の一例を示す図である。
【0102】
図6を参照すると、本発明の技術的思想に係るニューラルネットワーク200を学習するためには、
図6のようなマクロタイルのアノテーション情報が必要であると言える。
図6では、マクロタイルの中央に存在するタイルに対して、出力層230に定義されたチャネルのそれぞれの値がアノテーションされる。例えば、
図6の下端に記載されたように、8つのチャネル値がそれぞれアノテーションされており、第一のチャネルは未使用のチャネル、第二のチャネルは前述したような細胞核に対する関連因子チャネル、第三のチャネルは単一細胞層と関連した関連因子チャネル、第四のチャネルは高密度グランドの関連因子チャネル、第五のチャネルは正常ストロマであるかどうかに対する関連因子チャネル、第六のチャネルはグリーソンパターン3である状態チャネル、第七のチャネルはグリーソンパターン4である状態チャネル、第八のチャネルはグリーソンパターン5である状態チャネルが例示的に示されている。また、アノテータは、マクロタイルの中央に位置したタイルに対してグリーソンパターン4である状態を有するとアノテーションされたものであり得る。もちろん、
図6には示されていないが、グリーソンパターン4であると判断した根拠となった関連因子チャネルに対してアノテーションをさらに行ってもよい。
【0103】
このようにアノテーションされた情報とアノテーションされたタイル及びタイルを含むマクロタイルが、トレーニングデータとして利用されてニューラルネットワーク200が学習されてもよい。
【0104】
図7〜
図10は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークの関連因子を説明するための図である。
【0105】
図7〜
図10は、前述したように、関連因子チャネルに該当する値がアノテーションされた(または診断された)タイルの一例を示している。
図7は、タイルの中の細胞の核の条件が満足しているタイルが反転されて表示されており、
図8は、単一細胞層に該当するタイルが反転されて表示されている。また、
図9は、高密度腺に該当するタイルが反転されて表示されており、
図10は、通常のストロマに該当するタイルが反転されて表示されている。
【0106】
したがって、本発明の技術的思想に係る診断システム100によれば、多数のタイルが存在する生体画像から、特定疾病の発現または特定の進行状態に該当するタイルを抽出することができるだけでなく、これとは別に、特定の個別因子が発現したタイルを抽出することもできるという効果がある。
【0107】
図11は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを用いた診断結果を説明するための図である。
【0108】
図11を参照すると、本発明の実施形態に係るニューラルネットワーク200を用いた診断システム100は、
図11に示すタイルのうちの中央タイルについての、
図11の下端に記載されたような診断結果を出力することができる。
【0109】
例えば、診断システム100は、学習されたニューラルネットワーク200を用いて、
図11に示すタイルのうちの中央タイルについて、第1関連因子チャネルの値は0.90、第2関連因子チャネルの値は0.73、第3関連因子チャネルの値は0.95、第4関連因子チャネルの値は0、第1状態チャネルの値は0.64、第2状態チャネルの値は0.4、第3状態チャネルの値は0であると判断した。
【0110】
これは、中央タイルはグリーソンパターン3である確率が高く、細胞核が特定の条件を満足する確率が高く、単一細胞層に該当する確率及び高密度腺に該当する確率が高いと判断しているといえる。
【0111】
図12は、本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを用いた疾病診断システムにより診断された生体画像を説明するための図である。
【0112】
図12は、本発明の技術的思想に係る診断システム100により診断された生体画像から、前立腺癌が発症した部位を進行度合いに応じて異ならせて表示した結果の一例を示している。
図12では、緑色表示部分はグリーソンパターン3に該当する生体組織、紫表示部分はグリーソンパターン4に該当する生体組織、赤色表示部分はグリーソンパターン5に該当する生体組織を表示した一例を示している。
【0113】
したがって、本発明の技術的思想に係る診断システム100によれば、既存に熟練した病理学医療従事者が長時間にわたって診断したのに対して、自動的に且つ効果的に早い時間内に診断することができるという効果がある。また、状態チャネルを、疾病の進行度合いに応じて複数の出力層に含むように定義することにより、生体組織における疾病の進行度合いの差に基づいて、
図12に示すように異ならせて表示することもできるという効果がある。
【0114】
また、前述したように、単純に単一のタイルのみを学習し、これを利用して診断を行うニューラルネットワークを構成する場合に比べて、単一のタイル及び単一のタイルを含むマクロタイルをすべて考慮して単一のタイルを診断した結果、診断率の精度がさらに高くなることが確認できた。
【0115】
さらに、本明細書では、前立腺癌に対して本発明の技術的思想が適用された一例を主に説明したが、特定組織だけでなく当該組織が周辺組織の状態をも考慮して、特定組織の診断を行う必要がある他の疾病に対しても、本発明の技術的思想が適用される場合、正確な診断が可能であることを、本発明の技術分野における平均的な専門家にとっては容易に推論可能であろう。
【0116】
本発明の実施形態に係るニューラルネットワークを用いた疾病診断方法は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータが読み取り可能なコードとして具現化することが可能である。コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み取られるデータが保存されるあらゆる種類の記録装置を含む。コンピュータが読み取り可能な記録装置の例としては、ROM、RAM、CD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク、光データ保存装置などがある。また、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ネットワークに接続されたコンピュータシステムに分散され、分散方式でコンピュータが読み取り可能なコードが保存され、実行されることができる。そして、本発明を具現化するための機能的な(functional)プログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマーによって容易に推論可能である。
【0117】
本発明を、図示の一実施形態に基づいて説明したが、これは単なる例示的なものに過ぎず、本技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから様々な変形が行え、且つ、均等な他の実施形態が採用可能であるということが理解できるはずである。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は、添付の登録請求範囲の技術的な思想により定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、ニューラルネットワークを用いた疾病の診断システム及びその方法に利用可能である。
【国際調査報告】