(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-502823(P2020-502823A)
(43)【公表日】2020年1月23日
(54)【発明の名称】パワーチップを集積するための方法およびパワーエレクトロニクスモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20191220BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20191220BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20191220BHJP
H05K 1/05 20060101ALI20191220BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/36 C
H05K1/05 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-551753(P2019-551753)
(86)(22)【出願日】2017年12月5日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月6日
(86)【国際出願番号】FR2017053401
(87)【国際公開番号】WO2018109317
(87)【国際公開日】20180621
(31)【優先権主張番号】1662333
(32)【優先日】2016年12月12日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518403447
【氏名又は名称】アンスティテュ ヴェデコム
(71)【出願人】
【識別番号】519210376
【氏名又は名称】エルヴィア ペーセーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キエル, フリートバルト
(72)【発明者】
【氏名】ベルノー, オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
5E315
5F136
【Fターム(参考)】
5E315AA03
5E315AA10
5E315AA11
5E315BB04
5E315CC15
5E315CC16
5E315DD19
5E315DD23
5E315DD25
5F136BB05
5F136FA03
(57)【要約】
方法は、1)第1および第2のブランク(EB1、EB2)を、ベースを形成する銅プレート(MB1、MB2)上に絶縁および導電性内部層(PP、CP、EI)を積層することにより製作するステップであって、少なくとも1つの電子チップ(MT、MD)が、ブランクの間にサンドイッチされ、前記ブランクは、それらのブランクの上部積層表面が、整合する断面形状を有するように製作される、製作するステップと、2)ブランクを、それらのブランクの整合する断面形状によって、積重し、嵌合させるステップと、3)ブランクをプレス嵌合させて、集積されたパワーエレクトロニクスデバイスに対する積層されたサブアセンブリを形成するステップとを備える。方法は、IMSタイプ技法を使用する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積された電子パワーデバイス(EM1、EM2)に対して意図される積層されたサブアセンブリ(BBHS、BBLS)を製作するために、電子パワーチップ(MT、MD)を集積するための方法であって、
− 第1および第2のブランク(EB1、EB2)を製作することであって、前記ブランク(EB1、EB2)の各々は、金属ベースを形成するプレート(MB1、MB2)上に絶縁および導電性内部層(PP、CP、EI)を積層することにより作製され、少なくとも1つの前記電子チップ(MT、MD)は、前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の一方または他方内に埋め込まれ、前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)は、前記ブランクの上部積層表面が、整合する断面形状を有するように作製される、製作することと、
− 前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)を、整合する断面形状を伴う、前記ブランクの上部表面によって、積重し、嵌合させることと、
− 前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)を、前記集積された電子パワーデバイス(EM1、EM2)に対して意図される前記積層されたサブアセンブリ(BBHS、BBLS)を製作するためにプレス嵌合させることであって、前記組み立ては、樹脂重合(PP)による機械的結合の、ならびに、前記少なくとも1つの電子チップ、前記金属ベース形成プレート(MB1、MB2)、および前記導電性内部層(CP、EI)の間の電気的結合の完成まで圧力を維持することを備える、プレス嵌合させることと
を備えることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の、前記絶縁および導電性内部層(PP、CP、EI)の前記積層は、銅金属ベース形成プレート(MB1、MB2)上で行われることを特徴とする、請求項1に記載の電子パワーチップを集積するための方法。
【請求項3】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記積層された絶縁および導電性内部層(PP、CP、EI)は、IMSタイプ技法を使用して形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記金属ベース形成プレート(MB1、MB2)は、機械的に、および/または、フォトリソグラフィにより断面形状設定されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、ステージBプリプレグ誘電性部分(PPb)が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、ステージBプリプレグシートから製作され、前記ブランク(EB1、EB2)のそれぞれの場所(MP)内に埋め込まれることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、導電性部分(CP)が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、銅のシートから作製され、前記ブランク(EB1、EB2)のそれぞれの場所(MP)内に埋め込まれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記導電性部分(CP)が、真空プレスすることにより、および/または、真空積層炉を通って通過することにより、前記ブランクのそれぞれの場所(MP)内に積層されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、誘電性および導電性部分(PP、CP)が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、銅コーティングされた積層板(CCL)から作製され、前記ブランク(EB1、EB2)のそれぞれの場所(MP)内に埋め込まれ、真空プレスすることにより、および/または、真空積層炉内を通過することにより積層されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記内部層の前記形成は、フォトリソグラフィによる接続パターン(CP、CP1、CP2)の精密な画定を組み込むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記内部層の前記形成は、金属層の電着を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記製作の間、前記内部層の前記形成は、前記少なくとも1つの電子チップ(MT、MD)に専用の場所を含む、決定された場所(L10、L11、L20、L3、L4)内の電気的相互接続材料(EI)の堆積を含み、前記堆積は、電気分解、および/もしくは、はんだペーストスクリーン印刷により、ならびに/または、はんだペースト分配器を使用して行われることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2のブランク(EB1、EB2)の前記プレス嵌合させることは、真空プレスすること、および/または、前記真空積層炉内の通過を含むことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
電子パワーモジュールの形式での集積された電子パワーデバイスであって、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法を実行することにより作製される第1および第2の積層されたサブアセンブリ(BBHS、BBLS)と、前記第1および第2のサブアセンブリ(BBHS、BBLS)の間に配置構成される中央冷却液循環空間(EM2、CC)とを備え、前記第1および第2の積層されたサブアセンブリ(BBHS、BBLS)は、重畳され、一体に結合され、それぞれ、ブリッジアームを形成する第1および第2の電子パワースイッチ(MTHS、MTLS;ITHS、ITLS)を備えることを特徴とする、集積された電子パワーデバイス。
【請求項14】
前記電子パワースイッチは、MOSFETまたはIGBTタイプトランジスタであることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2016年12月12日に出願された、仏国出願1662333の優先権を主張するものであり、その出願の内容(本文、図面、および、特許請求の範囲)は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般的には、パワーエレクトロニクスの分野に関係する。より詳しくは、本発明は、電子パワーチップを集積するための方法に関係する。本発明は、さらには、上述の方法を実施することにより得られる電子パワーモジュールに関係する。
【背景技術】
【0003】
より低いCO
2排出を生成する再生可能エネルギー源への所望されるエネルギー移行は、パワーエレクトロニクスを、現在の技術的課題の核心に置く。パワーエレクトロニクスは、輸送、工場、照明、暖房、その他などの、ほとんどすべての活動部門において存在する。
【0004】
例えば、輸送分野において、自動車産業は、車両電化を伴う現実の技術的変化につながっている、非常に拘束性のある排出基準にしたがっている。この大量生産産業において優勢である、主要な重量、容積、およびコスト制約に直面する車両電化は、パワーエレクトロニクスチップを集積するための方法においての技術的進歩を要する。
【0005】
当技術分野の現状において、いわゆるHDI(高密度相互接続)技術が、典型的には、集積のレベルを増大し、パワーモジュールのサイズを低減するために使用される。一般的にはプリント回路ボード(PCB)上で実施されるHDI技術は、特に、テープ、および、より薄いセラミック相互接続ケーブルを使用し、「マイクロビア」と呼ばれるマイクロホールを相互接続することにより、構成要素の空間的埋め込みの最適化を使用する。レーザ穿孔が、種々の溶接技法、例えば、蝋付け、遷移的液相(TLP)溶接、または金属ナノ粒子粉末焼結と同じように使用される。
【0006】
さらには、プリント回路ボードを積重して、3Dアーキテクチャを製作することが知られている。かくして、出願DE102014010373A1は、重畳され、各々が電子構成要素を含む、第1および第2のプリント回路ボードを有する電子モジュールを提案している。焼結方法が、ボードを一体に結合するために使用される。さらにまた、米国出願第2016/133558A1号は、2つのヒートシンクプレートの間に挟まれる中央プリント回路ボードを備えるパワーモジュールを説明している。電子構成要素は、中央ボード内に埋め込まれる。
【0007】
HDI技術は、大量生産にとって必要であるコスト低減、ならびに、集積およびコンパクト性の増大されるレベルに直面するときに、その技術の限界に遭遇する。さらに言えば、レーザ穿孔などの、使用される所定の技法は、製造プロセスの並列化を促進せず、コスト低減を妨げる。
【0008】
得られ得る集積のレベルは、テープおよびマイクロビアとの相互接続により占有される空間により制限される。テープまたはケーブルとのこれらの相互接続は、より高いカットオフまたはスイッチング周波数において、お互いと対抗する漂遊インダクタンスを持ち込む。漂遊インダクタンスを低減することは、生成される熱を低減し、回路を潜在的に破壊的な過電圧から保護するために必要である。それでも、スイッチング周波数を増大することは、特にパワーコンバータにおいてのコンパクト性に対して好ましい。
【0009】
電子パワーモジュールの集積およびコンパクト性の増大されるレベルは、構成要素に関する熱制約を強める。高性能の冷却が、能動構成要素の接合温度を臨界値より下に保ち、熱的平衡を達成し、パワーモジュールの信頼性を保証するために必要である。その最終目標に対して、パワーモジュールのアーキテクチャ、および、使用される技術は、放散されるエネルギーが、構成要素に可能な限り近くで取り出されることを可能としなければならない。
【発明の概要】
【0010】
今日では、電子パワーモジュールの集積の増大されるレベルを可能とする、および、大量生産に適している、新しい技術を供することが望ましいと思われる。
【0011】
第1の態様によれば、本発明は、集積された電子パワーデバイスに対して意図される積層されたサブアセンブリを製作するために、電子パワーチップを集積するための方法に関係する。本発明によれば、方法は、
− 第1および第2のブランクを製作することであって、ブランクの各々は、金属ベースを形成するプレート上に絶縁および導電性内部層を積層することにより作製され、少なくとも1つの電子チップは、第1および第2のブランクの一方または他方内に埋め込まれ、第1および第2のブランクは、それらのブランクの上部積層表面が、整合する断面形状(profile)を有するように作製される、製作することと、
− 第1および第2のブランクを、整合する断面形状を伴う、それらのブランクの上部表面によって、積重し、嵌合させることと、
− 第1および第2のブランクを、集積された電子パワーデバイスに対して意図される積層されたサブアセンブリを製作するためにプレス嵌合させることであって、組み立ては、樹脂重合による機械的結合の、ならびに、少なくとも1つの電子チップ、金属ベース形成プレート、および導電性内部層の間の電気的結合の完成まで圧力を維持することを備える、プレス嵌合させることと
を備える。
【0012】
本発明の方法の1つの個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの、絶縁および導電性内部層の積層は、銅金属ベース形成プレート上で行われる。
【0013】
別の個別の特徴によれば、積層された絶縁および導電性内部層は、IMSタイプ技法を使用して形成される。
【0014】
さらに別の個別の特徴によれば、金属ベース形成プレートは、機械的に、および/または、フォトリソグラフィにより断面形状設定される。
【0015】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、ステージBプリプレグ誘電性部分が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、ステージBプリプレグシートから製作され、ブランクのそれぞれの場所内に埋め込まれる。
【0016】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、導電性部分が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、銅のシートから作製され、ブランクのそれぞれの場所内に埋め込まれる。
【0017】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、導電性部分が、真空プレスすることにより、および/または、真空積層炉を通って通過することにより、それらのブランクのそれぞれの場所内に積層される。
【0018】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、誘電性および導電性部分が、穴あけポンチによって鍛造すること、ならびに/または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより、銅コーティングされた積層板から作製され、ブランクのそれぞれの場所内に埋め込まれ、真空プレスすることにより、および/または、真空積層炉内を通過することにより積層される。
【0019】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、内部層の形成は、フォトリソグラフィによる接続パターンの精密な画定を組み込む。
【0020】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、内部層の形成は、金属層の電着を含む。
【0021】
さらに別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクの製作の間、内部層の形成は、少なくとも1つの電子チップに専用の場所を含む、決定された場所内の電気的相互接続材料の堆積を含み、堆積は、電気分解、および/もしくは、はんだペーストスクリーン印刷により、ならびに/または、はんだペースト分配器を使用して行われる。
【0022】
別の個別の特徴によれば、第1および第2のブランクのプレス嵌合させることは、真空プレスすること、および/または、真空積層炉内の通過を含む。
【0023】
別の態様によれば、本発明は、さらには、電子パワーモジュールの形式での集積された電子パワーデバイスであって、上記で簡潔に説明されたような方法を実行することにより作製される第1および第2の積層されたサブアセンブリと、第1および第2のサブアセンブリの間に配置構成される中央冷却液循環空間とを備え、第1および第2の積層されたサブアセンブリは、重畳され、一体に結合され、それぞれ、ブリッジアームを形成する第1および第2の電子パワースイッチを備える、集積された電子パワーデバイスに関係する。
【0024】
1つの個別の特徴によれば、電子パワースイッチは、MOSFETまたはIGBTタイプトランジスタである。
【0025】
本発明の他の特徴および利点は、添付される図面を参照して、本発明のいくつかの個別の実施形態の、下記の詳細な説明を読むことで、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1a】MOSFETトランジスタおよびIGBTトランジスタによる、トランジスタブリッジアームの線図を示す図である。
【
図1b】MOSFETトランジスタおよびIGBTトランジスタによる、トランジスタブリッジアームの線図を示す図である。
【
図2】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図3】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図4】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図5】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図6】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図7】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図8】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図9】本発明による電子チップを集積するための方法のステップを示す、単純化された断面視図である。
【
図10】空冷式モジュールに対する、本発明によるパワーモジュールの第1の実施形態を示す、単純化された断面視図である。
【
図11】液冷式モジュールに対する、本発明によるパワーモジュールの第2の実施形態を示す、単純化された断面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明による方法の1つの個別の実施形態を、これより、トランジスタスイッチングブリッジ、またはハーフブリッジ、アームの形式でのパワーモジュールを製作することの文脈で、下記で説明する。
【0028】
パワーモジュールの2つの例が、
図1aおよび1bにおいて示される。これらのモジュールは、完全なスイッチングブリッジを形成するように関連付けられ得る、または、所望される電流を通過させるように並列に組み合わされ得る。
【0029】
図1aおよび1bにおいて示されるように、これらのパワーモジュールは、トランジスタスイッチングブリッジ、またはハーフブリッジ、アームにより形成される。ブリッジアームは、従来通り、ハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタと、関連付けられるダイオードとを備える。
図1aは、MOSFETトランジスタMT
HSおよびMT
LSと、トランジスタとそれぞれ関連付けられるダイオードMD
HSおよびMD
LSとから編成される、第1のブリッジアームBMの線図を示す。
図1bは、IGBTトランジスタIT
HSおよびIT
LSと、それらのトランジスタの関連付けられるダイオードID
HSおよびID
LSとから編成される、第2のブリッジアームBIの線図を示す。
【0030】
下記の説明において、製造されるパワーモジュールは、
図1aにおいて示されるような、すなわち、2つのMOSFETトランジスタMT
HSおよびMT
LSと、トランジスタとそれぞれ関連付けられるダイオードMD
HSおよびMD
LSとを備える、ブリッジアームBMであると考えられる。一部の構成において、トランジスタと関連付けられるダイオードは、すでに、トランジスタのチップ内に集積されていることになり、そのことによって、それらのダイオードの埋め込みは、必要でないことになる。製造されるパワーモジュール、およびブリッジアームは、両方が、下記で同じ参照BMを有するということが留意されることになる。さらには、この説明が、さらには、MOSFETトランジスタをIGBTトランジスタによって置換することにより、
図1bのブリッジアームBIに適用されるということが留意されることになる。
【0031】
一般的に、本発明は、よく知られ、マスターされている、および、本質的にはIMS(絶縁金属基板)技術から導出される、パワーエレクトロニクス製造技法を使用する。かくして、本発明の方法において、積層、フォトリソグラフィ、金属電着、ウェットエッチング、および他のものを備える、種々の製造技法の組み合わせを使用することが可能である。構成要素の溶接のために、遷移的液相(TLP)溶接、金属ナノ粒子粉末焼結、または拡散溶接を使用することが可能である。穴あけポンチによって鍛造することが、さらには、絶縁物および銅の、膜またはシートから、製造されているモジュールのブランク内に取り付けられることになる要素を切り取るために使用されることになる。位置決めし、適位置に保持するための道具が、さらには、ブランク上の取り付け動作の間に使用されることになる。
【0032】
さらには、
図2から9を参照して、詳細な説明を、これより、本発明による電子パワーチップを集積するための方法において遂行される、種々の製造ステップについて提供することになる。これらのステップは、本発明によるパワーモジュール、および、一般的なサンドイッチアーキテクチャにおいて存在する、積層された内部層を製作することを可能にする。
【0033】
図2は、パワーモジュールのサブアセンブリの、初期ステージにおいての、ブランクEB1を示す。
【0034】
図2の初期製造ステップにおいて、ステージBプリプレグ誘電性部分PPbが、金属ベース形成プレートMB1上に、それらの誘電性部分のそれぞれの場所MP内に堆積させられる。必要ならば、位置決め手段が、誘電性部分PPbの、それらの誘電性部分のそれぞれの場所MP内への置くことのために使用される。
【0035】
ステージBプリプレグ誘電性部分PPbは、ここでは典型的には、エポキシタイプ樹脂によってコーティングされ、部分的に重合させられた、織り合わされた繊維ガラス誘電体である。しかしながら、Teflon(登録商標)またはポリイミドなどの他の誘電体が、特殊用途のために使用され得る。誘電性部分PPbは、ステージBプリプレグのシートの、穴あけポンチによって鍛造することにより、または、ミリングカッタおよび/もしくはブレードによって切り取ることにより得られ得る。
【0036】
金属ベースMB1は、好ましくは、銅から作製される。
図2において示されるように、金属ベースMB1は、場所MPを形成するように、前もって断面形状設定される。金属ベースMB1の先行の断面形状は、典型的には、材料の機械的除去により、または、フォトリソグラフィにより得られる。
【0037】
図3において示されるステップにおいて、誘電性部分PPbは、導電性銅部分CPによって部分的に覆われる。位置決め手段が、必要ならば、導電性部分CPを誘電性部分PPb上に取り付けるために使用される。導電性部分CPにより覆われないパートNCが、場所MPの側壁に残される。
【0038】
導電性部分CPは、穴あけポンチによって鍛造することにより、または、ミリングカッタもしくはブレードによって切り取ることにより、銅シートから得られる。金属ベースMB1上の部分PPbおよびCPの層の積層は、真空プレスすること、または、真空積層炉内を通過することにより得られる。誘電性部分PPbは、
図3において、誘電性層PP内でのそれらの誘電性部分の重合させられた形式で示される。
【0039】
変形例において、
図3の積層されたブランクEB1を、銅張積層板CCLから得ることが可能であるということが留意されることになる。誘電性層および銅クラッドにより形成される積層板部分は、積層板パネルから切り取られ、必要ならば、樹脂によって前もってコーティングされ得る、場所MP内に取り付けられる。金属ベースMB1上の積層板部分の積層は、真空プレスすること、または、真空積層炉内を通過することにより得られる。
【0040】
図4および5のステップは、高い精密度を伴う銅接続パターンを画定することを意図されるフォトリソグラフィ動作を示す。導電性部分CP1の幅の調整が、例としてこれらの図において示される。
【0041】
図4において、フォトレジスト樹脂PSが、ブランクEB1の上部積層表面上にコーティングされる。ウェットエッチングによりエッチングされることになる表面パートが、次に、従来通り、スクリーン印刷マスク、および、紫外放射への露出を使用することにより、画定され、明確にされる。
【0042】
図5において、ブランクEB1は、銅のウェットエッチングに対して準備が整っている。金属部分CP1aが除去され、接続パターンが、かくして、精密度を伴って作製される。
【0043】
図6のステップは、ブランクEB1の上部銅接続表面SHを平坦化することを意図される金属電着である。
【0044】
図6において示されるように、マスキングフォトレジスト樹脂PS1が、キャビティに充塞するように堆積させられる。金属電着が、次に行われ、上部接続表面SHを平坦化する。電着させられる金属平坦化層は、用途に依存して、銅、スズ、または、別の適切な金属であり得る。マスキングフォトレジスト樹脂PS1は、次に、酸素プラズマ処理、ドライ剥離、または、溶剤による剥離などの知られている方法を使用して除去される。
【0045】
図7のステップにおいて、ステージBプリプレグ誘電性部分PPb1が、ブランクEB1の外面パート上に、必要ならばいくつかの層において、堆積させられる。このステップは、電気的相互接続材料の堆積、および、電子チップの埋め込みのために必要な、キャビティおよび電気的絶縁パートを構成することを可能にする。誘電性部分PPb1は、
図2の部分PPbと同様に得られ、埋め込まれる。
【0046】
図7において示されるように、この例示的な実施形態において、場所L1およびL2は、それぞれ、トランジスタMTのチップ、および、ダイオードMDのチップを受け入れるために、このステップにおいて形状設定される。
【0047】
場所L1は、電気的相互接続材料に対して意図されるキャビティL10およびL11を含む。キャビティL10は、導電性部分CP2と、トランジスタMTのゲート電極(
図1aにおいてのG
HSまたはG
LS)との間の電気的接触のために設けられる。キャビティL11は、ベースプレートMB1と、トランジスタMTのドレイン電極(
図1aにおいてのD
HSまたはD
LS)との間の電気的接触のために設けられる。
【0048】
場所L2は、電気的相互接続材料に対して意図されるキャビティL20を含む。キャビティL20は、ベースプレートMB1と、ダイオードMDのカソード電極(
図1a)との間の電気的接触のために設けられる。
【0049】
図8のステップにおいて、構成要素MTおよびMDのチップは、ブランクEB1の場所L1およびL2内に置かれる。
【0050】
図8において、ステージBプリプレグ誘電性部分PPb1は、完全に重合させられ、誘電性層PPを形成するように示される。しかし、この製造ステップは、部分PPb1がまだ十二分に重合させられない間に行われ得るということが留意されることになる。
【0051】
図8において示されるように、電気的相互接続材料EI1は、場所L1のキャビティL10、L11、および、場所L2のキャビティL20内に堆積させられる。電気的相互接続材料EI1の堆積は、電気分解、はんだペーストスクリーン印刷により、または、はんだペースト分配器を使用して使用され得る。
【0052】
図9は、
図2から8の製造ステップにより得られるブランクEB1、および、整合するブランクEB2の組み立てを示す。ブランクEB2は、ブランクEB1の製造ステップと同様の製造ステップによって作製される。ブランクEB1およびEB2は、好ましくは、異なる製造ライン上で並列に製造され、そのことが、製造時間の著しい減少を可能とするということが留意されることになる。
【0053】
図9において示されるように、ブランクEB2の上部積層表面断面形状は、ブランクEB1の上部積層表面断面形状と整合および調和する。
【0054】
ブランクEB2は、ブランクEB1の場所L1およびL2とそれぞれ整合する、場所L3およびL4を含む。場所L1およびL2の表面は、それぞれ、ブランクEB2の金属ベース形成プレートMB2への、トランジスタMTおよびダイオードMDチップの、ソース電極(
図1aにおいてのS
HSまたはS
LS)およびアノード電極(
図1a)の電気的接続のために、基板EB1の材料EI1と同一の電気的相互接続材料EI2によって覆われる。
【0055】
ブランクEB2は、ブランクEB1の誘電性部分PP(PPb1)と整合するように配置構成される、ステージBプリプレグ誘電性部分PPb2を備える。
【0056】
図9において示されるように、ブランクEB1およびEB2は、互いに対してプレスされ、構成要素MTおよびMDのチップを、それらのブランクの内部層内に取り込む。最終的な組み立て、および、積層されたサブアセンブリを得ることは、真空プレスすること、または、真空積層炉内を通過することにより行われる。誘電性部分の最終的な重合、および、電気的相互接続材料とのそれらの誘電性部分の結合は、この最終的な組み立ての間に遂行される。
【0057】
図2から9を参照して上記で説明されたような、本発明による方法は、積層されたサンドイッチアーキテクチャを伴う、パワーサブアセンブリの、または、完全な電子パワーデバイスの製作を可能とする。HDI技術などの、他の知られている技術と比較して、ここで提案される方法は、より短い製造時間、ならびに、IMSタイプの、証明された、および、コスト効果的な技法の使用により提供される、増大される性能、増大されるコンパクト性、およびコスト低減を同時的に可能とする。ビアまたはマイクロビアなしで作製される、サブアセンブリの内蔵コネクタ技術の最適化は、特に、漂遊インダクタンスの低減、および、より良好な集積を可能とする。近くにあり、電子構成要素の、いずれかの側で配置構成される、2つの銅プレート(MB1、MB2)を伴うサンドイッチアーキテクチャは、構成要素の、いずれかの側で存在する、高い熱伝導率を伴う多量の銅に起因して、放散される熱量の放出を大幅に促進する。
【0058】
図10および11を参照して、これより、
図1aおよび1bにおいて示されるようなブリッジアームの形式での、パワーモジュールの第1および第2の実施形態EM1およびEM2を説明する。
【0059】
これらのパワーモジュールEM1およびEM2は、
図2から9を参照して上記で説明されたサブアセンブリと同様に製造される、2つの積層されたサブアセンブリBB
HSおよびBB
LSを積重することにより形設される。
【0060】
一般的に、本発明による積層されたサブアセンブリは、多かれ少なかれ複雑な集積された電子パワーデバイスを編成するために組み立てられ得る、要素的な構成要素であるということが留意されることになる。2つの積重された要素的な構成要素の組み立ては、典型的には、プレス嵌合させること、および、炉内を通過することにより行われる。2つの構成要素の間の機械的および電気的接続は、溶接により、もたらされることになる。
【0061】
図10において示されるモジュールEM1は、空冷式実施形態である。いくつかのパワーモジュールEM1の組み立てにより形成されるコンバータは、必要ならば、ヒートシンク手段を装備させられ得る。ヒートシンク手段は、銅パートMB1、MB2と熱的に接触している、1つまたはいくつかの電気的に絶縁されるラジエータを備えることになる。本発明のアーキテクチャは、従来のラジエータによる、放散される熱の効果的な取り出しを可能とし、かくして、所定の数の用途において、相変化冷却デバイスなどの、よりコスト高の手段の使用を回避する。
【0062】
図10の構成要素BB
LSとBB
HSとの間の接合面IPにおいての機械的および電気的結合は、遷移的液相(TLP)溶接、焼結により結合することにより、または、上記で指示された他の溶接技法により得られ得る。
【0063】
図10において示されるように、モジュールEM1は、ここでは、モジュールの上部パート内に配置構成される、および、誘電性層DL
HSにより、構成要素BB
HSの銅パートMB1から電気的に絶縁される、制御回路CTRLを装備させられる。誘電性層DL
LSが、モジュールの下部パート内に配置構成され、構成要素BB
LSのこのパートの電気的絶縁をもたらす。回路CTRLは、上記で説明された技法を使用して作製される、いくつかの積層された層を含む。能動および受動構成要素が、必要ならば、従来通り、蝋付けまたは導電性接着剤により、回路CTRLの内部層の間に埋められ得るものであり、または、回路上の表面上に埋め込まれ得る。
【0064】
図11において示されるモジュールEM2は、ハイパワー用途に適している液冷式実施形態である。
【0065】
図10のモジュールと同様の、構成要素BB
LSおよびBB
HS、モジュールの上部パート上に配置構成される制御回路CTRL、ならびに、誘電性層DL
HSおよびDL
HSの他に、モジュールEM2は、さらには、冷却液循環空間CCを備える。加圧された誘電性冷却液が、例えば、熱媒液として使用され得る。空間CCは、モジュールEM2の中央パート内に、それぞれ、構成要素BB
LSおよびBB
HSの、銅プレートMB1およびMB2と直接的に接触している様態で設けられる。
【0066】
例えば、さらには、冷却液循環空間をモジュールの上部および下部パート内に備えるモジュールなどの、本発明によるパワーモジュールの他の実施形態が、当然ながら可能である。構成要素BB
LSおよびBB
HSは、次いで、より多くの熱量を取り出すように、各々の構成要素BB
HS、BB
LSの、いずれかの側で循環する冷却液により冷却される。
【0067】
本発明は、例としてここで説明された特定の実施形態に制限されない。本発明の用途に依存して、当業者は、添付される特許請求の範囲の範囲内に該当する様々な変更および変形例をもたらすことができる。
【国際調査報告】