(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-505599(P2020-505599A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(54)【発明の名称】密結合型分析器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/17 20060101AFI20200124BHJP
【FI】
G01N21/17 625
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-539237(P2019-539237)
(86)(22)【出願日】2018年1月18日
(85)【翻訳文提出日】2019年9月12日
(86)【国際出願番号】GB2018050148
(87)【国際公開番号】WO2018134601
(87)【国際公開日】20180726
(31)【優先権主張番号】1700905.1
(32)【優先日】2017年1月19日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】513187195
【氏名又は名称】カスケイド テクノロジーズ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ブラック ポール
(72)【発明者】
【氏名】リンジー ルース
(72)【発明者】
【氏名】ハウイーソン イアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルドロン スティーブン
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC07
2G059CC09
2G059CC12
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE11
2G059GG01
2G059GG03
2G059HH01
2G059HH02
(57)【要約】
ある体積のサンプルガスを受け入れ、収容するように構成されたサンプルチャンバと、少なくとも1つのレーザハウジング内にある1つ以上のレーザであって、各レーザが、サンプルガス中の1つ以上の異なる物質を励起するためのそれぞれのレーザビームを生成するように構成され、1つ以上のレーザが、サンプルチャンバの外にある、1つ以上のレーザと、サンプルチャンバから出力された光を検出するための検出器装置と、1つ以上のレーザからのレーザビームを少なくとも部分的に透過させる少なくとも1つの窓を有する、サンプルチャンバに対する第1の光学インターフェースであって、使用の際に、レーザビームがレーザハウジングと少なくとも1つの窓との間の通過によって実質的に変化することのないように、少なくとも1つのレーザハウジングが、第1の光学インターフェースの少なくとも1つの窓に対して密結合構成で配置される、第1の光学インターフェースと、を備える、レーザ検出システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある体積のサンプルガスを受け入れて収容するように構成されたサンプルチャンバと、
少なくとも1つのレーザハウジング内にある1つ以上のレーザであって、各レーザが、前記サンプルガス中の1つ以上の異なる物質を励起するためのそれぞれのレーザビームを生成するように構成され、前記1つ以上のレーザが、前記サンプルチャンバの外にあるものと、
前記サンプルチャンバから出力された光を検出するための検出器装置と、
前記1つ以上のレーザからの前記レーザビームを少なくとも部分的に透過させる少なくとも1つの窓を有する、前記サンプルチャンバに対する第1の光学インターフェースであって、使用の際に、前記レーザビームが前記レーザハウジングと前記少なくとも1つの窓との間の通過によって実質的に変化することのないように、前記少なくとも1つのレーザハウジングが、前記第1の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓に対して密結合構成で配置されるものと、を備える、
レーザ検出システム。
【請求項2】
前記サンプルチャンバから出力された光を少なくとも部分的に透過させる、前記サンプルチャンバに対する少なくとも1つの窓を有する第2の光学インターフェースであって、使用の際に、前記レーザビームが前記第2の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓から前記検出器装置への通過によって実質的に変化することのないように、前記検出器装置が、前記第2のインターフェースに対して密結合構成となるように構成されるものをさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記密結合構成が、
前記レーザハウジングの少なくとも1つの出力開口と前記第1の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓との間に10mm未満、場合により5mm未満、場合により1mm未満の間隔があることと、
前記第2の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓と前記検出器装置との間に10mm未満、場合により5mm未満、場合により1mm未満の間隔があることと、
のうちの少なくとも1つとなるように構成されたものである、
請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのレーザハウジングの前記少なくとも1つの開口が、動作の際に前記レーザビームが通過する、少なくとも1つの窓を備え、前記少なくとも1つのレーザハウジングの前記少なくとも1つの窓が、前記第1の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓と直接接触することと、
前記第2の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓が、前記検出器装置と直接接触することと、
のうちの少なくとも1つである、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのレーザハウジングを前記密結合構成に保持するように構成された少なくとも1つの結合手段をさらに備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の光学インターフェースの前記少なくとも1つの窓が、1つ以上の平坦または楔形の光学窓を備え、各窓が、前記レーザのうちの対応する少なくとも1つに関連付けられる、
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の光学インターフェースの前記窓または前記窓のうちの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのコリメートレンズを備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ以上の窓を通過するレーザビームを前記サンプルチャンバ内の光学セルに指向させるように構成された、前記サンプルチャンバ内にある少なくとも1つの指向デバイスであって、前記少なくとも1つの指向デバイスが、前記レーザビームを共通の光路に沿って前記光学セルに指向させるように構成されるものをさらに備える、
請求項6または7に記載のシステム。
【請求項9】
前記サンプルチャンバ内にある前記少なくとも1つの指向デバイスが、各レーザビームについて、前記光学部品のうちの対応する少なくとも1つが、前記レーザビームを前記共通の光路に沿って指向させるように構成された複数の光学部品を備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の光学部品が、実質的に直線状に構成されることと、
前記光学部品のうちの少なくとも1つが、平坦または非楔形の光学部品を含むことと、
のうちの少なくとも1つである、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記窓および/または複数の光学部品のそれぞれが、0.1mm〜1mmの範囲の厚さを有する、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記レーザビームが時間においてインターリーブされたパルスレーザビームであるように、前記1つ以上のレーザの動作を制御するように構成されたコントローラ
をさらに備える、
請求項1から11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記サンプルガスが、エチレン、H2、N2、または天然ガスのうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の物質が、CO2、CO、H2O、CH4、およびNH3のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の物質が、H2O、MeOH、NH3、C2H2、O2、HF、HCl、H2S、CO、およびCO2のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記レーザのそれぞれが、それぞれの異なる波長または波長範囲のレーザビームを生成するように構成される、および/または各検出器装置が、それぞれの異なる波長または波長範囲の放射を検出するように構成される、
請求項1から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、4.21〜4.24μm、4.56〜4.59μmまたは4.72〜4.76μm、6.09〜6.14μm、7.43〜7.47μm、および10.00〜10.11μmから選択される、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、6.11〜6.12μm、7.42〜7.44μm、6.14〜6.16μm、7.41〜7.43μm、4.23〜4.24μm、ならびに4.73および4.74μmから選択される、
請求項16または17に記載のシステム。
【請求項19】
前記波長または波長範囲の少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、2.47〜2.48μm、1.74〜1.75μm、2.63〜2.64μm、5.518〜5.530μm、および4.854〜4.878μmから選択される、
請求項16から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、759〜761nmから選択される、
請求項16から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが、連続排出監視システムまたはH2純度測定システムまたはN2純度測定または天然ガス純度測定システムまたはエチレン純度測定システムである、
請求項1から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項に記載のレーザ検出システムで使用するためのレーザであって、
前記レーザが、前記レーザを前記密結合構成で前記サンプルチャンバに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、
レーザ。
【請求項23】
請求項1から21のいずれか一項に記載のレーザ検出システムで使用するための検出器装置であって、
前記検出器装置が、前記検出器装置を前記密結合構成で前記サンプルチャンバに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、
検出器装置。
【請求項24】
請求項1から21のいずれか一項に記載のレーザ検出システムで使用するためのサンプルチャンバであって、
前記サンプルチャンバが、前記サンプルチャンバを密結合構成で、前記少なくとも1つのレーザおよび前記検出器装置のうちの少なくとも1つに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、
サンプルチャンバ。
【請求項25】
サンプルガス中の少なくとも1つの物質の存在、非存在、または量を検出する方法であって、
前記少なくとも1つの物質を含み得るサンプルガスにレーザ照射を適用するステップと、前記サンプルガスからの放射を検出するステップと、前記検出された放射に基づいて前記少なくとも1つの物質の存在、非存在、または量を判定するステップと、を含む、
方法。
【請求項26】
前記サンプルガスが、エチレン、H2、N2、または天然ガスのうちの少なくとも1つを含む、
請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記少なくとも1つの物質が、CO2、CO、H2O、CH4、およびNH3のうちの少なくとも1つを含む、
請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記少なくとも1つの物質が、H2O、MeOH、NH3、C2H2、O2、HF、HCl、H2S、CO、およびCO2のうちの少なくとも1つを含む、
請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記レーザ照射が、以下の範囲、すなわち、4.21〜4.24μm、4.56〜4.59μmまたは4.72〜4.76μm、6.09〜6.14μm、7.43〜7.47μm、および10.00〜10.11μmから選択された波長または波長範囲を有する、
請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記レーザ照射が、以下の範囲、すなわち、6.11〜6.12μm、7.42〜7.44μm、6.14〜6.16μm、7.41〜7.43μm、4.23〜4.24μm、ならびに4.73および4.74μmから選択された波長または波長範囲を有する、
請求項25から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記レーザ照射が、以下の範囲、すなわち、2.47〜2.48μm、1.74〜1.75μm、2.63〜2.64μm、5.518〜5.530μm、および4.854〜4.878μmから選択された波長または波長範囲を有する、
請求項25から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記レーザ照射が、以下の範囲、すなわち、759〜761nmから選択された波長または波長範囲を有する、
請求項25から31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定されたガスの存在または量を検出するためのレーザ検出システムに関し、例えば、レーザ吸収分光法に基づくガス分析のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス製造業者にとって、ガスの純度測定とは不可欠である。純度を測定することにより、指定された品質でガスを販売できる。生産されたガスのうち製造業者が設定する品質要件を満たさないガスは、無駄になることが多く、例えばフレアリングされることが多い。従って、無駄を避けるために、純度測定が信頼できるものであることが重要である。
【0003】
様々な産業現場、例えば発電所、プロセス産業工場、および商業出荷施設での産業汚染の排出を監視するために、連続排出監視装置がますます求められている。このような求めは、効率の改善、健康および安全の考慮、ならびに法的要件から生じている。法的要件は、多くの場合、多岐にわたる複数の排出化合物、例えば二酸化硫黄、窒素酸化物、一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、水、および酸素の測定を対象としている。
【0004】
既知のガス分析システムが感知できるのは、単一種の化合物またはわずかな種類の化合物である。既知のシステムを使用して複数種の化合物をカバーするには、いくつかの異なる連続排出監視装置を設置することが必要になる場合があり、これは、非効率的であり、複雑であり、かなりの空間を占めることになり得る。
【0005】
既知のガス分析システムはまた、分析対象のガスサンプルを収容するためであり、かつガスサンプルと相互作用するためのレーザビームが通過する、1つ以上の光学セル、例えば1つ以上のヘリオットセルを備える。光学セルおよび他の光学部品の構成はガス分析システムの形状およびサイズに影響するため、システムをコンパクトにして、例えばシステムをコンパクトで輸送可能なハウジング内に収めることができるようにするには、光学セルおよび他の光学部品を適切に構成することが重要である。
【0006】
既知のガス分析システムには、雰囲気中の空気がもたらす潜在的な交差干渉の影響のリスクがある場合がある。これが問題となるのは、測定される典型的な不純物中に、空気中に存在する化合物が含まれる場合であり、特にこれらの不純物の量を大気中に見出されるレベル以下で測定しようとする場合である。大気中に見出され得る不純物としては、限定するものではないが、メタン、水、および二酸化炭素が挙げられる。ガス検出器の周囲の空間の雰囲気を変えるには、乾燥窒素を使用したパージシステムを使用することができる。あるいは、この問題に対処するために、二酸化炭素および/または酸素のスクラバーなどの化学洗浄も使用できる。どちらも設計が難しく、乾燥窒素や計装用空気などのユーティリティの存在に依拠することになり得る。
【0007】
他の手法も存在する。他の手法としては、交差干渉の影響を考慮した分析ソフトウェアの使用が挙げられる。ただし、バックグラウンドは可変であるため、この手法は制限される。さらに、レーザからの光は、著しい干渉を受けると、光学セルに到達する前に劣化し、得られる測定値が、弱く、信頼性の低いものになり得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、ある体積のサンプルガスを受け入れ、収容するように構成されたサンプルチャンバと、少なくとも1つのレーザハウジング内にある1つ以上のレーザであって、各レーザが、サンプルガス中の1つ以上の異なる物質を励起するためのそれぞれのレーザビームを生成するように構成され、1つ以上のレーザが、サンプルチャンバの外にある、1つ以上のレーザと、サンプルチャンバから出力された光を検出するための検出器装置と、1つ以上のレーザからのレーザビームを少なくとも部分的に透過させる少なくとも1つの窓を有する、サンプルチャンバに対する第1の光学インターフェースであって、使用の際に、レーザビームがレーザハウジングと少なくとも1つの窓との間の通過によって実質的に変化することのないように、少なくとも1つのレーザハウジングが、第1の光学インターフェースの少なくとも1つの窓に対して密結合構成で配置される、第1の光学インターフェースと、を備える、レーザ検出システムが提供される。
【0009】
サンプルチャンバは、光学セルを備え得る。光学セルは、サンプルガスの受け入れおよび収容を行うように構成され得る。物質(複数可)は、任意の適切な化合物(複数可)、例えば任意の適切な気体化合物を含み得る。
【0010】
密結合構成は、動作の際に、レーザハウジングと少なくとも1つの窓との間に存在するガスによってレーザビームが実質的に吸収されないような構成であり得る。例えば、レーザビームの強度は、レーザハウジングと少なくとも1つの窓との間の通過により、1%未満、場合により0.1%未満低減され得る。レーザハウジングと少なくとも1つの窓との間の間隔は、ハウジング内の各レーザビームの経路長の1%未満、場合により0.1%未満であり得る。
【0011】
システムは、サンプルチャンバから出力された光を少なくとも部分的に透過させる、サンプルチャンバに対する少なくとも1つの窓を有する第2の光学インターフェースであって、使用の際に、レーザビームがサンプルチャンバの出力から第2の光学インターフェースの少なくとも1つの窓への通過によって実質的に変化することのないように、検出器装置が、第2のインターフェースに対して密結合構成となるように構成され得る、第2の光学インターフェースをさらに備え得る。
【0012】
サンプルチャンバは、密閉され得る、ならびに/またはシステムは、サンプルチャンバの圧力および/もしくは気体含有量を制御するための手段を備え得る。
【0013】
各レーザハウジングは、密閉され得る、および/または真空下にあり得る、もしくは選択されたガスを含み得る、および/または選択された圧力であり得る。
【0014】
検出器装置は、ハウジングを備えることができ、検出器装置が、密閉され得る、および/または真空下にあり得る、もしくは選択されたガスを含み得る、および/または選択された圧力であり得る、のうちの少なくとも1つであり得る。
【0015】
密結合構成(複数可)が、レーザハウジングの少なくとも1つの出力開口と第1の光学インターフェースの少なくとも1つの窓との間に10mm未満、場合により5mm未満、場合により1mm未満の間隔があることと、第2の光学インターフェースの少なくとも1つの窓と検出器装置との間に10mm未満、場合により5mm未満、場合により1mm未満の間隔があることと、のうちの少なくとも1つであるような構成であり得る。
【0016】
少なくとも1つのレーザハウジングの少なくとも1つの開口が、動作の際にレーザビームが通過する、少なくとも1つの窓を備え、少なくとも1つのレーザハウジングの少なくとも1つの窓が、第1の光学インターフェースの少なくとも1つの窓と直接接触し得る。第2の光学インターフェースの少なくとも1つの窓は、検出器装置と直接接触し得る。
【0017】
少なくとも1つのレーザハウジングは、それぞれのレーザビームがレーザを出る出口開口を備えてもよく、密結合構成では、レーザ出口開口のそれぞれが、第1の光学インターフェースの窓または窓のうちのそれぞれ1つに対して、直接接触し得る、または1mm未満だけ離隔され得る。
【0018】
検出器装置は、サンプルチャンバから出力された光が通過するための入口開口を有するハウジングを備えてもよく、密結合構成では、検出器入口開口は、第2の光学インターフェースの窓または窓のうちのそれぞれ1つに対して、直接接触し得る、または1mm未満だけ離隔され得る。
【0019】
システムは、少なくとも1つのレーザハウジングを密結合構成に保持するように構成された少なくとも1つの結合手段をさらに備え得る。
【0020】
第1の光学インターフェースの少なくとも1つの窓が、1つ以上の平坦または楔形の光学窓を備えることができ、各窓が、レーザのうちの対応する少なくとも1つに関連付けられ得る。
【0021】
システムは、第1の光学インターフェースの窓または窓のうちの少なくとも1つに関連付けられた少なくとも1つのコリメートレンズを備え得る。
【0022】
システムは、1つ以上の窓を通過するレーザビームをサンプルチャンバの光学セルに指向させるように構成された、サンプルチャンバ内にある少なくとも1つの指向デバイスであって、少なくとも1つの指向デバイスが、レーザビームを共通の光路に沿って光学セルに指向させるように構成され得る、少なくとも1つの指向デバイスをさらに備え得る。
【0023】
サンプルチャンバ内にある少なくとも1つの指向デバイスが、各レーザビームについて、光学部品のうちの対応する少なくとも1つが、上記レーザビームを共通の光路に沿って指向させるように構成された複数の光学部品を備え得る。
【0024】
複数の光学部品は、実質的に直線状に構成され得る。光学部品のうちの少なくとも1つは、平坦または非楔形の光学部品を含み得る。
【0025】
レーザおよび関連する窓のそれぞれは、動作の際に、レーザのそれぞれが、上記直線に実質的に直交する方向に、光学部品のうちの対応する少なくとも1つの光学部品にレーザビームを送信するように構成され得る。
【0026】
複数の光学部品は、少なくとも1つの部分反射ミラーおよび/または少なくとも1つのダイクロイックミラーを備え得る。
【0027】
光学部品は直列に構成され、動作の際に、各光学部品が、各自が関連するレーザからのレーザビームを上記共通の光路に合流するように指向させ、直列になっている前の光学部品からのレーザビーム(複数可)を上記共通の光路に沿って指向させる、または通過を可能にするように構成され得る。
【0028】
光学部品のそれぞれは、少なくとも部分的に反射性であり、少なくとも部分的に透過性であり得る。
【0029】
少なくとも1つの指向デバイスは、上記複数の光学部品の最後の光学部品と光学セルとの間に、レーザビームを光学セルに指向させるように構成された、操向光学系を備え得る。
【0030】
検出器装置は、1つ以上の検出器であってもよく、各検出器は、それぞれの波長または波長範囲の放射を検出するように構成される。
【0031】
第2の光学インターフェースの少なくとも1つの窓が、1つ以上の平坦または非楔形の光学窓を備えることができ、各窓が、検出器のうちの対応する1つに関連付けられる。
【0032】
システムは、サンプルチャンバ内において光学セルと第2の光学インターフェースとの間に、光学セルからの光を第2の光学インターフェースに指向させるように構成された、さらなる操向光学系を備え得る。
【0033】
窓および/または複数の光学部品のそれぞれが、0.1mm〜1mmの範囲の厚さを有し得る。
【0034】
システムは、レーザビームが時間においてインターリーブされたパルスレーザビームであるように、1つ以上のレーザの動作を制御するように構成されたコントローラをさらに備え得る。
【0035】
コントローラは、検出装置とレーザとの動作を同期させ、それにより一連の検出信号を取得するように構成され、各検出信号は、レーザのうちの対応する1つに関連付けられ得る。
【0036】
コントローラは、各レーザビームが1kHz〜200kHzの範囲、場合により10kHz〜100kHzの範囲のレートでパルス化されるようにレーザの動作を制御するように構成され得る、および/またはコントローラは、各レーザビームが100ns〜20,000nsの範囲のパルス長でパルス化されるようにレーザを制御するように構成され得る。
【0037】
サンプルガスが、エチレン、H
2、N
2、または天然ガスのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0038】
複数の物質が、CO
2、CO、H
2O、CH
4、およびNH
3のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0039】
複数の物質が、H
2O、MeOH、NH
3、C
2H
2、O
2、HF、HCl、H
2S、CO、およびCO
2のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0040】
複数のレーザのそれぞれは、赤外線レーザ照射を生成するように構成され得る。
【0041】
レーザのそれぞれが、それぞれの異なる波長もしくは波長範囲のレーザビームを生成するように構成され得る、および/または各検出器装置が、それぞれの異なる波長もしくは波長範囲の放射を検出するように構成される。
【0042】
波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、4.21〜4.24μm、4.56〜4.59μmまたは4.72〜4.76μm、6.09〜6.14μm、7.43〜7.47μm、および10.00〜10.11μmから選択され得る。サンプルガスは、H
2またはN
2を含み得る。
【0043】
波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、6.11〜6.12μm、7.42〜7.44μm、6.14〜6.16μm、7.41〜7.43μm、4.23〜4.24μm、および4.73〜4.74μmから選択され得る。サンプルガスは、エチレンを含み得る。
【0044】
波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、2.47〜2.48μm、1.74〜1.75μm、および2.63〜2.64μmから選択され得る。サンプルガスは、天然ガスまたは煙道からのガスを含み得る。
【0045】
波長または波長範囲のうちの少なくとも1つが、以下の範囲、すなわち、759〜761nmから選択され得る。サンプルガスは、H
2もしくはN
2、エチレン、天然ガス、または煙道からのガスのうちの1つを含み得る。少なくとも1つの物質は、O
2を含み得る。
【0046】
検出器装置は、1つ以上のレーザおよび少なくとも1つの指向デバイスに対して光学セルの反対側に構成され得る。
【0047】
システムは、サンプルガスをサンプルチャンバに供給するように構成されたガス供給装置をさらに備え得る。
【0048】
光学セルは、ヘリオットセルを含み得る。
【0049】
光学セルは、非点収差ヘリオットセルを含み得る。
【0050】
システムは、連続排出監視システム(CEM)またはH
2純度測定システムまたはN
2純度測定または天然ガス純度測定システムまたはエチレン純度測定システムを含み得る。CEMは、煙道からのガス、例えば発電所、プロセス産業工場、または出荷施設の煙道からのガスを測定するように構成され得る。
【0051】
さらなる態様において、レーザ検出システムで使用するためのレーザであって、レーザが、レーザを密結合構成でサンプルチャンバに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、レーザが提供される。
【0052】
さらなる態様において、レーザ検出システムで使用するための検出器装置であって、検出器装置が、検出器装置を密結合構成でサンプルチャンバに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、検出器装置が提供される。
【0053】
さらなる態様では、レーザ検出システムで使用するためのサンプルチャンバであって、サンプルチャンバが、サンプルチャンバを密結合構成で、少なくとも1つのレーザおよび検出器装置のうちの少なくとも1つに結合するための少なくとも1つの結合手段を備える、サンプルチャンバが提供される。
【0054】
独立して提供され得るさらなる態様では、サンプルガス中の少なくとも1種の物質の、場合により複数種の物質の存在、非存在、または量を検出する方法であって、物質(複数種可)を含み得るサンプルガスにレーザ照射を適用するステップと、サンプルガスからの放射を検出するステップと、検出された放射に基づいて複数種の物質の存在、非存在、または量を判定するステップと、を含む、方法が提供される。
【0055】
本方法は、他の任意の態様による、および/または特許請求の範囲または本明細書で記載されるシステムまたは装置を使用して実行され得る。本方法は、特許請求の範囲または本明細書で記載される波長または波長範囲の放射を使用することを含み得る。
【0056】
1つの態様における特徴は、任意の他の態様における特徴として、任意の適切な組み合わせで提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0057】
ここで、本発明の様々な態様を、単なる例として、添付の図面を参照して説明する。
【0058】
【
図2】レーザ分光システムのサンプルチャンバの概略図である。
【
図3】レーザ分光システムのレーザ装置の概略図である。
【
図4】レーザ分光システムの検出器装置の概略図である。
【
図8】閉じた構成にあるレーザ分光システムのハウジングの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、光学セル10内に収集されたガスを分析するためのレーザ分光システムの概略図である。システムは、レーザ装置12と、コントローラ14と、サンプル装置16と、検出器装置17と、を備える。コントローラ14は、電子的、電気的、または他の方法でレーザ装置12およびサンプル装置16に接続される。レーザ装置12は、サンプル装置16に光学的に結合され、サンプル装置16は、検出器装置17に光学的に結合される。レーザ装置12は、1つ以上のレーザ18を備える。1つ以上のレーザ18のそれぞれが、それぞれのハウジングおよびレーザビーム(複数可)が動作の際に通過する窓を含み得る開口を有するレーザモジュールに含まれ得る。
【0060】
サンプル装置16は、光学セル10を備える。サンプル装置16はまた、第1の光学インターフェース20と、第2の光学インターフェース22と、サンプルチャンバ24と、を備える。サンプル装置16はまた、
図3に関連して後により詳細に説明するように、1つ以上のレーザ18からのレーザビームを共通の光路に沿って光学セル10内に指向させるように構成された複数の光学部品26の形態で、少なくとも1つの指向デバイスを備える。
【0061】
光学セル10は、サンプルチャンバ24内に収容される。少なくとも1つの指向デバイスおよび操向部品28もサンプルチャンバ24内に収容される。サンプルチャンバ24は、第1の光学インターフェース20によってレーザ装置12に光学的に結合される。サンプルチャンバ24は、第2の光学インターフェース22によって検出器装置17に光学的に結合される。
【0062】
検出器装置17は、複数の検出器を備える。検出器は、光学セル10からの光を検出するように構成される。光は、赤外線または可視光線、または任意の他の適切な波長の光、または電磁スペクトルの任意の適切な部分からの光であり得る。コントローラ14は、制御モジュール30と、信号プロセッサ32と、を備える。制御モジュール30は、レーザ18の動作を制御するように構成され、信号プロセッサ32は、検出器装置17から取得された信号を処理するように構成される。コントローラ14は、例えば、適切にプログラムされたPCまたは他のコンピュータの形態であってもよいし、専用回路または他のハードウェア、例えば、1つ以上のASICもしくはFPGAまたはハードウェアとソフトウェアとの任意の適切な混合体を含んでもよい。制御モジュール30および処理モジュールは、
図1に示すのと同じコントローラ部品内に提供されるのではなく、いくつかの実施形態では別個の異なる部品、例えば別個の処理リソースとして提供され得る。
【0063】
光学セル10は、光学的入口開口および光学的出口開口を有する。光学セル10は、例えば、ヘリオットセルまたは任意の他の適切なタイプの光学セルとすることができる。光学セル10は、サンプルチャンバ24内に設置される。
図1のサンプルチャンバ24は、ガスのサンプルを導入および収集できる第1の密閉容積を画定する。光学セル10は、サンプルチャンバ24の第1の密閉容積よりも小さく、かつ第1の密閉容積の内側にある第2の開放容積を画定する。従って、第1の密閉容積に導入および収集されたガスのサンプルは、光学セル10によって画定される第2の開放容積に導入および収集される。
【0064】
ガスは、関心対象の1つ以上の異なる化合物または他の物質を含むことができる。光学セル10内に収集されたガス中にこれらの化合物が存在することの指標は、レーザ18からの光を光学セル10に通過させることにより測定され得る。光が関心対象の化合物の吸収スペクトルまたは吸収線に対応する波長範囲にある場合、セルを通過する際の光の吸収は、サンプル中に関心対象の化合物が存在していることに起因し得る。吸収のレベルは、測定されると、サンプル中の関心対象の化合物の物理的特性、例えば濃度を測定するために使用できる。異なる化合物は異なる波長に吸収スペクトルを持つため、異なる波長の光が光学セル10に供給される。
【0065】
1つ以上のレーザ18は、第1の光学インターフェース20に密結合構成で直接結合される。同様に、検出器装置17の検出器は、第2の光学インターフェース22に密結合構成で直接結合される。いくつかの実施形態では、密結合構成は、光学部品が1mm未満の距離だけ離隔されるような構成であり得る。いくつかの実施形態では、密結合構成では、光学部品は接触(contact)、接触(touch)、および/または突き合わせ結合とすることができる。
【0066】
レーザと検出器とをサンプルチャンバの光学インターフェースに直接結合することにより、レーザビームが通過するレーザと検出器と間の光路が、サンプルチャンバ内に実質的に含まれるという利点がもたらされる。光学セル10の外側のレーザ光の経路長は、2mm未満、好ましくは1mm未満である。これを、セルの外側の経路長が50〜70cmになり得る典型的な従来技術の構成と比較されたい。これは、レーザビームが、サンプルチャンバの外側の雰囲気中の空気およびその中に含まれる化合物に曝されないという効果を有する。換言すれば、レーザビームは、サンプルチャンバに収容されているサンプルガスにのみ曝され得る。
【0067】
図2は、サンプル装置16のより詳細な概略図である。
図2は、ハウジングを有するレーザ装置12を代表するレーザ34と、ハウジングを有する検出器装置17を代表する検出器36と、を示している。レーザ34のハウジングは、レーザからのレーザビームが動作の際に通過する窓を有する開口を含む。
図2はまた、サンプルチャンバ24も示している。
図1に関連して説明したように、サンプルチャンバ24は、第1の光学インターフェース20を介してレーザ装置16に結合され、第2の光学インターフェース22を介して検出器装置17に結合される。第1の光学インターフェース20は、
図2において、第1の窓38およびレンズ42によって表されている。第2の光学インターフェース22は、第2の窓40によって表されている。第1の窓38および第2の窓40は、平坦または非楔形の窓である。レンズ42は、コリメートレンズであり、サンプルチャンバ24内において第1の窓38に配置されている。
【0068】
図2では、第1の窓38と第2の窓40とは両方ともサンプルチャンバ24の同じ面に配置されている。しかしながら、
図2は概略図にすぎず、第1の窓および第2の窓の位置が異なり得ることに留意されたい。特に、複数のレーザもしくは複数の検出器がサンプルチャンバに結合される場合、または異なる光学セルのタイプが使用される場合、サンプル装置16のレイアウトは異なり得る。
【0069】
図2はまた、第1の反射要素43と第2の反射要素44とを備える、サンプルチャンバ24内の光学セル10を示している。特に、光学セル10は、第1の反射要素43と第2の反射要素44とを備えるヘリオットセルとすることができる。第1の反射要素43は、第1の窓38の最も近くに配置されている。第1および第2の反射要素は、入口開口46および出口開口48を有する。
図2では、入口開口と出口開口との両方が第1の反射要素43に配置されている。あるいは、入口開口46が第1の反射要素43に配置され、出口開口48が第2の反射要素44に配置されてもよい。有利なことに、これは、よりコンパクトなシステム設計につながる。
【0070】
図2はまた、窓38およびレンズ42を介してサンプルチャンバ24に導入された光を、光学セル10の入口開口46に指向させるための、サンプルチャンバ24内の第1の組の光学操向部品を示している。第1の組の光学操向部品50は、第1および第2の操向ミラーを備える。第1および第2の操向ミラーは、一緒に作動して、レーザビームの入射角について、その方向を変え、位置決めし、調整するように構成される。
図2はまた、光を出口開口48から第2の窓40に指向させるための第2の組の光学操向部品52も示している。第2の組の光学操向部品52は、第3および第4の操向ミラーを備える。第3および第4の操向ミラーは、一緒に作動して、レーザビームの入射角について、その方向を変え、位置決めし、調整するように構成される。
【0071】
図3は、
図1に示すレーザ分光システムのレーザ装置12の一部のより詳細な概略図である。
図3は、レーザ分光システムに複数のレーザを組み込む方法を示している。
図3は、
図1のレーザ18、サンプルチャンバ24、第1の光学インターフェース20、および光学部品26をより詳細に示している。
【0072】
光学部品26は、1組の部分反射ミラー54およびダイクロイックミラー56を含む。本実施形態はO
2の測定に関連して使用され得るため、ダイクロイックミラーが含まれている。他の実施形態では、以下でさらに論じるように、ダイクロイックミラーは使用されない。部分反射ミラー54は、第1のミラー60と、第2のミラー62と、第3のミラー64と、第4のミラー66と、第5のミラー67と、を含む。レーザ18は、第1のレーザ68と、第2のレーザ70と、第3のレーザ72と、第4のレーザ74と、第5のレーザ76と、第6のレーザ78と、を含む。第1の光学インターフェース20は、第1の窓80と、第2の窓82と、第3の窓84と、第4の窓86と、第5の窓88と、第6の窓90と、を含む。第1の光学インターフェース20はまた、第1の窓80に関連する第1のレンズ92と、第2の窓82に関連する第2のレンズ94と、第3の窓84に関連する第3のレンズ96と、第4の窓86に関連する第4のレンズ98と、第5の窓88に関連する第5のレンズ100と、第6の窓90に関連する第6のレンズ102と、を含む。レーザ68、70、72、74、76、および78のそれぞれは、対応する窓80、82、84、86、88、および90を有する。レーザ18のそれぞれは、対応する窓に直接結合される。レーザのそれぞれからの光は、対応する窓およびレンズを介してサンプルチャンバ24内に入力される。
【0073】
部分反射ミラー54およびダイクロイックミラー56は、レーザ18からのレーザビームを共通の光路に沿ってポイント104に指向させるように構成される。ポイント104から共通の光路に沿って光学セル10に結合レーザビーム106を操向するための追加の操向光学部品がシステムに含まれているが、
図3には示されていない。追加の操向光学部品は
図2に概略的に示されている。レーザ68、70、72、74、76、および78のそれぞれは、対応するミラー60、62、64、66、67、および56を有する。部分反射ミラー54およびダイクロイックミラー56は直線状に配置される。各ミラーは、この直線に対して45度の角度で傾斜している。直線は、第1のミラー58からダイクロイックミラー56へ、さらにポイント104への伝播の方向を規定する。結合レーザビーム106は、伝播方向に沿って伝播する。
【0074】
任意の適切な部分反射ミラーを使用できる。
図3の実施形態では、部分反射ミラーのそれぞれが、前面の広帯域反射を制御するために光学コーティングが施された、コーティングされた赤外線BaF
2またはCaF
2窓を備える。代替的な実施形態では、他の任意の適切な物質を使用することができる。
図3の実施形態では、80:20(透過率80%、反射率20%)と、50:50(透過率50%、反射率50%)と、の2種のコーティングが使用されている。これにより、様々なレーザ出力を調整して、各レーザの出力を(実用的な制限内の)一貫した値に調和させることができる。代替的な実施形態では、より多くの、またはより少ないコーティングを使用することができる。
図3の部分反射ミラーのコーティングは、広帯域に設計されており、波長の変化、特に関心対象の波長周辺の変化に対する応答の変動が低減または最小限に抑えられる。
【0075】
任意の適切なダイクロイックミラーを使用できる。
図3の実施形態では、ダイクロイックミラーは、指定された波長よりも低い光を反射させ、上記指定された波長よりも高い光を透過させるための光学コーティングが施された、コーティングされた赤外線BaF
2窓を備える。代替的な実施形態では、他の任意の適切な物質を使用することができる。
図3の実施形態では、コーティングは、波長が1μm未満の光を反射し、波長が1μmを超える光を透過するようなコーティングである。
【0076】
任意の適切な窓を使用できる。
図3の実施形態では、窓のそれぞれが、コーティングされた赤外線BaF
2またはCaF
2窓を備える。
【0077】
他の実施形態では、他の適切なタイプのミラーまたは光学デバイスが、部分反射ミラーおよびダイクロイックミラーの代わりに使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ダイクロイックミラー以外のミラーまたは部分反射ミラーを、ダイクロイックミラー56の位置、例えばポイント104の前の最後のミラーの位置で使用することができる。このようなミラーを最後の位置で使用して、セルにより多くの出力を導入することができる。これは、レーザが最後の位置を通過する必要がないように、最後の位置の後ろに追加のレーザがないことから、すなわち最後の位置の後ろに追加のレーザがなければ、可能になり得る。代替的な実施形態では、部分反射ミラーおよびダイクロイックミラーの任意の適切な数および組み合わせを使用することができる。
【0078】
部分反射ミラー54のそれぞれが、自身への入射光を部分的に反射し、部分的に透過するように構成される。ミラーの反射および透過特性は、レーザ18からのレーザビームを共通の光路に沿って指向させるように選択される。
図3の実施形態では、部分反射ミラー54のそれぞれが、レーザ18のうちの対応する1つからの入射光の20%を反射し、入射光の80%を透過する。代替的な実施形態では、部分反射ミラー54は、異なる反射および透過特性を有し得る。ダイクロイックミラー56は、反射波長範囲によって規定され、反射波長範囲内の波長を有する光を反射し、反射波長範囲外の波長を有する光を透過するように構成される。ダイクロイックミラー56の反射波長範囲は、第6のレーザ78からの光が反射され、第1〜第5のレーザからの光が透過されるように、第6のレーザ78の波長範囲に対応するように選択される。ミラーは、平坦または非楔形の光学部品である。有利なことに、これにより、システムは直交方式で動作できる。例えば、システムは、第1のミラー60からダイクロイックミラー56への伝播方向がレーザ18から出力されるレーザビームに実質的に直交するような幾何学的構成を有する。
【0079】
実施形態において平坦または非楔形の光学部品を使用する別の利点は、例えば光学部品によって引き起こされる歪みの影響または他のアーティファクトが実質的に波長と無関係であり得るように、共通の光路にレーザビームを指向させることが実質的に波長と無関係であり得ることである。しかしながら、部分反射ミラーを使用すると、結果として得られる光信号が干渉縞の影響を受ける可能性がある。これらの影響は、システムの自由スペクトル領域を制御するように、光学部品の寸法、特に厚さを選択することにより低減できる。自由スペクトル領域は、連続する2つの最大値または最小値間の波長差の尺度である。自由スペクトル領域は、FSR=1/(2×n×L)で表すことができ、ここで、Lはガラスの厚さであり、nは屈折率である。通常、光学部品の適切な厚さは1mm未満である。この選択は、例えばBaF
2などの物質の特定の選択では、悪くても4cm
−1以上の自由スペクトル領域を与える。自由スペクトル領域を制御することにより、干渉縞の影響が発生する周波数をずらして、光学セル10内の化合物の測定値と同じ周波数にないように、および/または干渉しないようにすることができる。
【0080】
この大きさの自由スペクトル領域は、レーザスキャン全体でカバーされるスペクトル窓と幅が似たスペクトル窓をもたらす。予期される影響は、レーザパルスのバックグラウンドの湾曲である。このバックグラウンドは、信号処理の一部としてスペクトルフィッティングアルゴリズムを使用して容易に除去できる。サンプル装置16の操向光学部品28および非平坦または楔形の光学部品の使用により光学セル10に光を操向するために使用される光学系では、さらなる干渉縞の影響が回避される。
【0081】
図3の各レーザは、1組の5つの部分反射ミラー54およびダイクロイックミラー56に属する、対応するミラーを有する。動作の際、第1のレーザ68からのレーザビームは、第1の窓80および第1のレンズ92を通過してサンプルチャンバ24内に入る。レーザビームは、第1のミラー60まで進み続け、次いで、第1のミラー60からポイント104まで進み続ける。第1のミラー60は、第1のレーザ68からのレーザビームが第1のミラー58によって直角に反射されるように傾けられる。同様に、第2〜第5のレーザのそれぞれが、第2〜第5の窓、レンズ、およびミラーによって規定される、対応する光路を有する。同様に、第6のレーザ78からダイクロイックミラー56、そしてポイント104までの第6の光路が規定される。すべてのミラーは、光路のそれぞれがその対応するミラーとの交点で直角に曲がるように、第1のミラー60と同じ傾斜角で構成される。
【0082】
ミラーは、レーザ68、70、72、74、76、および78からのレーザビームが、それらの対応する窓80、82、84、86、88、および90を通過し、それらの対応するレンズ92、94、96、98、100、および102によって集束され、それらの対応する光学部品60、62、64、66、67、および58によって反射された後、ポイント104を介するセル10への共通の光路に沿って通過するように構成される。共通の光路は、例えば、第1のミラー60に一端を有し、光学セル10への入口開口に他端を有することができ、かつポイント104を通って延びることができ、各それぞれのレーザの光路は、共通の光路に沿って通過するように指向されると、共通の光路に合流する。従って、各レーザの光路は、実質的に重なり得る。
【0083】
レーザモジュールは、他のレーザモジュールと交換できる。従って、
図3および上記の対応する説明は、レーザモジュールの構成の1つの選択の説明のための例である。いくつかの実施形態では、レーザ分光システムは、最大6つのレーザモジュールを動作させることができる。
図3の構成は、O
2を検出するのに適したサブレンジを有する第6のレーザ78を含む。第6のレーザ78に対応するダイクロイックミラー56もシステムに含まれる。後述するように、システムがO
2を含まない1組の成分を検出するように構成されている場合、第6のレーザ78は適切な波長範囲のレーザに置き換えられ、ダイクロイックミラー56は第6の部分反射ミラーに置き換えられる。
【0084】
図4は、
図1に示すレーザ分光システムの検出部分のより詳細な概略図である。
図4は、レーザ分光システムに複数の検出器を組み込む方法を示している。
図4は、
図1の光学セル10、光学操向部品28、サンプルチャンバ24、第2の光学インターフェース22、および外側ハウジングを備える検出器装置17をより詳細に示している。
【0085】
図4は、第1の出力窓108と第2の出力窓110とを備える第2のインターフェース22を示している。検出器装置17は、第1の検出器112と第2の検出器114とを有する。サンプルチャンバ24内の操向光学部品28は、光学セル10からの光を、検出器装置112の第1の検出器112または検出器装置17の第2の検出器114に操向するように構成される。第1の検出器112は、第1の出力窓108に直接結合される。第2の検出器114は、第2の出力窓110に直接結合される。第1の検出器112は、レーザ装置12のレーザの第1のサブセット内の1つ以上のレーザからの光を感知できる。第2の検出器114は、レーザ装置12のレーザの第2のサブセット内の1つ以上のレーザからの光を感知できる。ダイクロイックミラーを用いる
図3に関連して説明した構成では、第1の検出器は第1〜第5からのレーザの光を感知し、第2の検出器は第6のレーザからの光を感知する。
【0086】
表1に、分光システムにおけるレーザモジュールの可能な構成と、システムに実装できる対応する検出器の詳細を示す。レーザの波長範囲を注意深く選択すると、レーザ波長ごとに複数の測定が可能になる。表1の最初の列は、検出される化合物を示している。2列目および3列目は、化合物の検出に適した1つ以上の波長範囲を示している。表3の3列目は、検出器タイプを示している。最後の列には、波長範囲の選択の典型的だが非限定的な用途が示されている。
【0088】
表1からわかるように、3つの検出器A、B、Cが記載されている。検出器A、B、およびCのそれぞれが、異なる波長または波長範囲の光を感知できる。
図5を参照して説明されるように、システムの物理的ハウジングと検出器との互換性により、検出器の特定の組み合わせをシステムに含めることができる。オプションは、(i)検出器Aのみ、(ii)検出器Bのみ、(iii)検出器Cのみ、(iv)検出器Aおよび検出器B、ならびに(v)検出器Aおよび検出器Cを含む。他で説明されるように、O
2を検出するために検出器Cが含まれる場合(オプション(iii)および(v))、ダイクロイックミラー56を含める必要がある。オプション(i)、(ii)、および(iv)の場合、ダイクロイックミラーは含まれず、すべてのミラーは部分反射ミラーである。代替的な実施形態では、表に記載された波長または波長範囲のうちの1つ以上を使用して、表に記載された関心対象の物質のいずれかを検出するために、検出器の任意の適切な組み合わせが提供され得る。
【0089】
ここで、
図1、
図3、および
図4を参照して、システムの動作を説明する。動作の際、レーザ18は、制御モジュール30、または他の実施形態における他の制御部品によって制御されて、パルスを連続的に生成する。シーケンスは以下のとおりであり得る。第1のレーザ68は、第1のパルスを生成し、第1のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進む。その後、第2のレーザ70は、第2のパルスを生成し、第2のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進む。これに続いて、第3のレーザ72によって生成された第3のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進み、第4のレーザ74によって生成された第4のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進み、第5のレーザ76によって生成された第5のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進み、第6のレーザ78によって生成された第6のパルスが、光学部品によってポイント104に指向され、光学セル10に向かって進む。第6のパルスに続いて、このシーケンスが繰り返される。レーザのそれぞれからのパルスビームは、時間的にインターリーブされる、および/または重なり合わず、共通の経路に沿って光学セル10に伝播する。
【0090】
上記のシーケンスに続いて、第1のパルスは、第1の窓80および第1のレンズ92に入射して通過し、次いで、第1のミラー60に入射して反射し、次いで、第2、第3、第4、第5のミラーおよびダイクロイックミラーをポイント104まで透過し、光学セル10、そして検出器装置17まで進み続ける。その後、第2のパルスは、第2の窓82および第2のレンズ94に入射して通過し、次いで、第2のミラー62に入射して反射し、次いで、第3、第4、および第5のミラーおよびダイクロイックミラーをポイント104まで透過し、光学セル10、そして検出器装置17に向かう。その後、第3のパルスは、第3の窓84および第3のレンズ96に入射して通過し、次いで、第3のミラー64に入射して反射し、次いで、第4および第5のミラーおよびダイクロイックミラーをポイント104まで透過し、光学セル10、そして検出器装置17に向かう。その後、第4のパルスは、第4の窓86および第4のレンズ98に入射して通過し、次いで、第4のミラーに入射して反射し、次いで、第5のミラーおよびダイクロイックミラー56をポイント104まで透過し、光学セル10、そして検出器装置17に向かう。その後、第5のパルスは、第5の窓88および第5のレンズ100に入射して通過し、次いで、第5のミラー67に入射して反射し、次いで、ダイクロイックミラー56をポイント104まで透過し、光学セル10、そして検出器装置17に向かう。シーケンスの最後のパルスは第6のパルスであり、このパルスは、第6の窓102および第6のレンズ102に入射して通過し、次いで、ダイクロイックミラー56に入射してポイント104まで反射し、光学セル10、そして検出器装置17に向かう。その後、パルスシーケンスが繰り返される。
【0091】
パルスは、光学セル10を通って第2の光学インターフェース22に向かって伝播する。パルスは、第2の光学インターフェース22を通過して検出器装置17に到達する。サンプル装置16の操向光学部品28は、光学セル10からの(第1〜第5のレーザから発する)光を第1の出力窓108を介して第1の検出器112に操向する。第1の検出器は、第1〜第5のレーザからの光を感知できる。従って、本実施形態では、検出器のうちの1つは、複数のレーザからの光を感知できる。サンプルチャンバ24の操向光学部品28は、セルからの(第6のレーザから発する)光を第2の出力窓110を介して第2の検出器114に操向する。第2の検出器は、第6のレーザ78からの光を感知できる。操向光学部品28は、第6のレーザ78の光を第2の検出器114に指向させ、第1〜第5のレーザの光を第1の検出器112に指向させる、第2のダイクロイックミラーを備える。第2のダイクロイックミラーの光学特性は、ダイクロイックミラー56の特性と一致し得る。操向光学部品28は、2つの異なる光の分岐を2つの検出器上に集束させるために、2つの別個の軸外放物面ミラーを備える。制御モジュール14は、検出信号のそれぞれが、レーザのうちのそれぞれ1つから受信した光に対応するように、レーザと第1および第2の検出器との動作を同期させる。
【0092】
図1のレーザ18は、サブレンジの波長にわたって光を生成するように動作可能な半導体ダイオードレーザである。レーザは、量子カスケードレーザ、例えばチャープパルス量子カスケードレーザであってもよいが、任意の他の適切なタイプのレーザが代替的な実施形態で使用されてもよい。例えば、バンド間カスケードレーザおよびチューナブルダイオードレーザを使用できる。レーザは、例えば、直径が2〜3mm、または任意の他の適切なサイズのビームを生成する。
【0093】
波長のサブレンジは、赤外線スペクトル内にあり得る。波長範囲は、1つ以上の化合物の測定に対応するように選択される。このことと併せて、装置は、複数の波長範囲の光を提供し、例えば可視光、近赤外光、および/または中赤外光を組み合わせて、各化合物に最適な波長を利用することができる。レーザ分光システムは、雰囲気中の空気に見られる不純物を測定するように構成される。通常の空気中に見出され得る不純物には、メタン、水、および二酸化炭素が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
表2は、レーザ18の波長範囲、対応する波数範囲、およびこの波長範囲の光によって検出される対応する化合物の第1の実施例を示している。
図1のレーザの構成は、エチレン純度の測定に適している。第1の例では、必要な検出器のタイプは1つだけであり(表1の検出器タイプAに対応)、ダイクロイックミラーは不要である。
【0096】
表3は、レーザ18の波長範囲、対応する波数範囲、およびこの波長範囲の光によって検出される対応する化合物の代替的な実施例を示している。表2に示すレーザの波長は、H
2/N
2純度の測定に適している。
【0097】
表2を実施するには、
図3に示す実施形態の変更が必要である。特に、第6のレーザ78および対応するダイクロイックミラー56、または第6の窓90および第6のレンズ102は存在しない。
【0099】
制御モジュール30は、1つ以上の電子制御信号をレーザ18に送信するように構成される。電子制御信号に応じて、レーザ18は結合レーザビーム106を生成する。制御信号は、レーザ18を連続的にパルス化するように作用する。換言すれば、制御信号は、サンプル時間間隔にわたって1つのレーザからの光のみが光学部品26に提供されるように、レーザ18のそれぞれを順次駆動するように作用する。よって、レーザビーム経路に沿った任意の時点および位置での結合レーザビームが参照されるが、その位置および時点での結合レーザビームは、レーザのうちの1つのみからの光で構成され得る。結合レーザビームは、異なるレーザからのインターリーブされた重なり合わないパルスで構成される。光学部品26は、各レーザからの光を、光学セル10への共通の経路をたどるようにレーザの光路に沿って指向させるように構成される。このようにして、制御モジュール30は、レーザ装置12を制御して、結合レーザビーム106を生成し、結合レーザビーム106を光学セル10に供給する。結合レーザビーム106は、時間的にインターリーブされた、および/または重なり合わないレーザのそれぞれからのパルスビームを含む。
【0100】
レーザ間のスイッチング周波数は、検出器装置17での信頼できる測定を確保するように選択される。特に、光パルスがその光学セルの光路を通過するのにかかる時間は、パルスの物理的特性および光学セル10の寸法に依存する。後続のパルスのパルス長および周波数は、パルスが物理的に重なり合わないように制御および選択される。パルスが重なり合うことにより、干渉および信頼性の低い測定値につながる。2つ以上のパルスが物理的に重なり合わない限り、マルチパスセルに同時に2つ以上のパルスを存在させることができる。レーザ18からのパルスに適したパルス幅は、100ナノ秒〜20,000ナノ秒であり得る。いくつかの実施形態では、連続パルスの周波数は最大100kHzであり得る。
【0101】
信号プロセッサ32は、検出器からの検出信号を処理して、調査対象の異なる化合物の濃度および/または相対量を測定するか、任意の他の所望の特性を測定する。信号プロセッサ32は、任意の適切な既知の処理技法を使用して、濃度、相対量、または他の特性を測定する。
【0102】
場合により、アライメント機構が提供され得る。例示的なアライメント機構は、カメラとミラー調整機構とを備える。カメラは、結合レーザビーム106の所望の伝播方向と交差するように、ポイント104またはその付近に配置される。所望の伝播方向は、通常の動作の際に、結合レーザビーム106が共通の光路を介して光学セル10に入るような方向である。アライメント工程の際に、サンプルビームは、レーザ18により生成され、サンプルビームは、光学部品26によりカメラに指向される。カメラは、入射するサンプルビームの位置を、所望の伝播方向に対して検出する。ミラー調整機構は、部分反射ミラー54およびダイクロイックミラー56の位置、特に伝播方向に対する傾きを調整して、レーザ18の光路を所望の伝播方向に実質的にアライメントし、互いの光路を実質的にアライメントする。例えば、光路は、1.1°の公差内で実質的にアライメントされる。アライメント工程は、レーザ18のそれぞれについて繰り返される。
【0103】
図5は、レーザ分光システムのための内部ケーシングの斜視図である。ケーシングは、上部光学プレート116と下部ベースセクション118とを有する。上部光学プレート116は、レーザ装置を受け入れるサイズおよび寸法になっており、ここでは、レーザモジュール120を含み6つのレーザモジュール121を含むレーザ装置が示されている。上部光学プレート116はまた、第1の検出器122、第2の検出器124、圧力計126、および温度計128を有する。また、上部光学プレート116上には、較正機構130が配置されている。較正機構130は、レーザ較正用のエタロンを含むことができる。加えて、オプションでレーザビームを減衰させるために、着脱可能なミラー131が追加され得る。下部ベースセクション118は、サンプルチャンバ24を収容する。光学セル10は、光学プレート116の下面に取り付けられる。下部ベースセクション118は、ガス注入口132およびガス排出口134を介してガス供給装置と結合されるように構成される。ガス注入口132およびガス排出口134を除いて、下部ベースセクション118は密閉されている。
【0104】
図6は、レーザとサンプルチャンバとの間の例示的な光学インターフェースの断面斜視図である。
図6は、レーザ分光システムのインターフェースプレート117に取り付けられたレーザモジュール120を示している。
図6はまた、上部光学プレート116と、サンプルチャンバが配置される下部ベースセクション118と、を示している。レーザモジュール120と下部ベースセクション118のサンプルチャンバとの間の光学インターフェース136が示されている。
【0105】
図7は、光学インターフェース136の拡大図を示す
図6の拡大図である。レーザモジュール120のレーザパッケージ138が示されている。レーザパッケージ138は下面140を有する。下面140は平坦である。下面140の中心点には、レーザ光がレーザモジュール120から出るための開口142がある。開口142は、レーザパッケージを密閉する役割を果たす窓を収容する。
【0106】
インターフェースプレート117は、レーザモジュール120を分光システムに収容するように構成される。
図6および
図7の実施形態では、インターフェースプレート117は、対応するレーザモジュール120用の結合部材144を有する。結合部材144は、インターフェースプレート117の上面から延びる中空の円筒状突出部である。結合部材144の上端には、縁のある円形の台座146がある。
図6および
図7は、縁のある円形の台座146に固定された円形の窓148を示している。円形の窓148および縁のある円形の台座146は、窓148が縁のある円形の台座146に配置された状態で、結合部材144の上面がレーザモジュール120に対して平坦かつ水平面を呈するような寸法である。
【0107】
レーザモジュール120は、インターフェースプレート117の結合部材144の形状を補完し、それに適合するような寸法の空洞150を有する。空洞は、レーザパッケージ138の下面140の真下に配置されている。レーザモジュール120をインターフェースプレート117に取り付けるために、レーザモジュール120の空洞150は、結合部材144上に配置され、それにより結合部材144に取り付けられる。空洞150のサイズは、取り付けられたときに、レーザパッケージ138の下面140が結合部材144の上面と同一平面になるようなサイズである。このようにして、レーザモジュール120は、結合部材144の窓148に接触および/または突き合わせ結合される。結合部材の中空内に少なくとも部分的に配置されているのは、コリメートレンズ152である。コリメートレンズ152は、インターフェースプレート117の下部内面に接続され、そこから垂れ下がるレンズホルダ154によって所定の位置に保持される。コリメートレンズ152は、それに入射するレーザビームをコリメートするように作用する。
【0108】
図8は、閉構成のレーザ分光システムのハウジングの斜視図である。ハウジングは、ハウジングの周囲に配置された、一群の取り外し留め具164によりベースセクション162に閉位置で固定されたリフトオフカバー160を有する。
【0109】
サンプル供給管の形態のガス供給装置は、例えばガス注入口を介してサンプルチャンバにガスを供給する。サンプル戻り管は、例えばガス排出口を介して、サンプルチャンバからのガスの排出口を提供する。通気口を介して光学セルに換気が提供される。リフトオフカバー160は、ローカルオペレータディスプレイ166およびユーザ入力パッド168を有する。
図8の実施形態では、ユーザディスプレイおよびユーザ入力パッドは、分析器との相互作用および測定値およびステータスの視覚的伝達のためのものである。本実施形態では、ユーザ入力ディスプレイによっていくつかのメンテナンス機能が提供されるが、その目的は主に測定値およびステータスの伝達である。
【0110】
ハウジングは、点火イベントを封じ込めることができるように製造されている。ハウジングは、火炎防止器を含む。ハウジングは、突然の高圧イベント、例えば爆発に確実に耐えることができるように試験される。このハウジングにより、追加のパージ装置が不要になり得る。
【0111】
ハウジングには、3つの出力コンジット(図示せず)も接続されている。コンジットは、電力および制御信号をシステムに送信し、データをシステムから送信できるようにする電気的なブレークスルーを提供する。送信されるデータは、例えば、デジタル信号、デジタル健康信号、ガスの測定値を示すアナログ信号、例えば4〜20mAの信号、Modbusなどのより洗練されたプロトコル、または任意の他の適切な形式の形態であり得る。上記の構成は、コンパクトなシステムを提供する。いくつかの実施形態では、ハウジングは、600mm×490mm×274mmの寸法を有し得る。
【0112】
サンプル供給管およびサンプル戻り管は、サンプルチャンバおよび光学セルを通る連絡経路に流体を供給する。サンプルガスは、遠隔地から収集することができ、サンプリングするために、サンプル供給管を介してサンプルチャンバに送達することができる。次いで、サンプルガスは、サンプル戻り管を介してサンプルチャンバから排出され得る。サンプル供給管とサンプル戻り管とを組み合わせることで、その場排出検知とは対照的に、装置を遠隔操作できる。代替的な実施形態では、他の任意の適切なガス供給構成を使用することができる。
【0113】
光学セル10内のガスの圧力を制御するために、サンプル取り扱いシステム(SHS)ユニット(図示せず)を設けることができる。任意の適切なSHSユニットまたは他の圧力制御デバイス使用することができ、これは、ポンプを含んでも含まなくてもよく、またはポンプで駆動されても駆動されなくともよく、バルブ構成などの他の圧力制御部品を含んでも含まなくてもよい。
図8の実施形態では、SHSユニットは、ポンプではなく吸引装置を含むが、他の実施形態ではポンプまたは他の圧力制御デバイスまたは部品を使用することができる。
【0114】
任意の適切な光学セルを光学セル10として使用できる。例えば、光学セルとしてヘリオットセルが使用される。任意の適切なヘリオットセル、または任意の適切なマルチパス分光吸収セル、または、例えば、ガスを収容しているチャンバの表面間におけるレーザビームの反射により、レーザビーム(複数可)とサンプルガスと間の相互作用を提供するように構成された任意の他のセルを使用することができる。例えば、光学セルは、非点収差ヘリオットセルであり得る。
【0115】
様々の実施形態において、サンプルチャンバは、密閉され得る、ならびに/またはシステムは、サンプルチャンバの圧力および/または気体含有量を制御するための手段を備え得る。同様に、各レーザはハウジングを備えることができ、各レーザハウジングが、密閉され得る、および/または真空下にある、または選択されたガスを含む、および/または選択された圧力である、のうちの少なくとも1つであり得る。様々な実施形態において、検出器装置は、ハウジングを備え、検出器装置が、密閉される、および/もしくは真空下にある、または選択されたガスを含む、および/または選択された圧力であり得る、のうちの少なくとも1つである。
【0116】
当業者であれば、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施形態の変形が可能であることを理解するはずである。例えば、コントローラの制御モジュールを使用して、レーザの出力を連続的にパルス化して、結合ビームを生成できることが説明されているが、他のコントローラ構成も使用できる。1つの代替策は、1つのレーザのみが所与の時間間隔にわたって光学部品に光を供給するように、レーザ光を物理的に制御する機械的光学スイッチング構成である。別の例として、ある波長範囲にわたって動作する半導体ダイオードレーザを説明した。しかしながら、レーザは、適切な波長の光を提供できる任意の適切な放射源であってもよい。加えて、レーザは、単一波長のレーザであってもよい。修正の別の例は、軸外放物面ミラーを任意の適切な集束構成に置き換えることである。加えて、第1の光学インターフェースは、接触および/または突き合わせ結合の意味での直接結合であり得るが、第2の光学インターフェースは、間隔が1mm未満であるという意味での直接結合であり得る。加えて、サンプルチャンバは、マルチパス構成を規定するために2つのミラーを備える光学セルを含まないようなサンプルチャンバであってもよい。例えば、光学セルは、1つのミラーを備えてもよいし、ミラーを備えなくてもよく、サンプルチャンバは、シングルパス構成を提供してもよい、および/またはサンプルセルを含まなくてもよい。従って、特定の実施形態の上記の説明は、例としてのみなされたものであり、限定の目的のためになされたものではない。記載された動作に大きな変更を加えることなく、わずかな修正を加えることができることは、当業者には明らかなはずである。
【国際調査報告】