(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-506356(P2020-506356A)
(43)【公表日】2020年2月27日
(54)【発明の名称】バーナーのための空気流路構造と燃料流路構造とを有するバーナーチップおよび当該バーナーチップを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
F23R 3/28 20060101AFI20200131BHJP
F02C 7/232 20060101ALI20200131BHJP
F02C 7/18 20060101ALI20200131BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20200131BHJP
F23D 11/12 20060101ALI20200131BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20200131BHJP
【FI】
F23R3/28 B
F02C7/232 B
F02C7/18 Z
F02C7/00 D
F23D11/12
B33Y80/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-538346(P2019-538346)
(86)(22)【出願日】2018年1月4日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月1日
(86)【国際出願番号】EP2018050206
(87)【国際公開番号】WO2018134058
(87)【国際公開日】20180726
(31)【優先権主張番号】102017200643.9
(32)【優先日】2017年1月17日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517298149
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】カール・ホックリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・キーナー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・クロイツァー
(72)【発明者】
【氏名】マティーアス・ザルヒャー
【テーマコード(参考)】
3K052
【Fターム(参考)】
3K052GA08
3K052GB03
3K052GC01
3K052GD06
(57)【要約】
本発明は、バーナー(11)に設置するためのバーナーチップ(19)に関するものであり、バーナーチップ(19)は、燃焼チャンバ(BR)に面する表面(OF)と、表面(OF)につながりかつ空気流路(20)を画定する空気流路構造(21)と、表面(OF)につながる燃料流路構造(21)と、を有しており、燃料流路構造(32)は、燃料流路(33)を画定し、燃料流路(33)は、バーナーチップ(19)の動作時に燃料流路(33)を通って流れる燃料によってバーナーチップ(19)の表面領域(OFB)を冷却するために、バーナーチップ(19)の表面領域(OFB)において、表面(OF)に平行な第1の方向(1R)に延在し、続いて少なくとも部分的に、表面領域(OFB)内で、第1の方向(1R)とは異なる第2の方向(2R)に戻るように延在する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナー(11)に設置するためのバーナーチップ(19)であって、
前記バーナーチップ(19)は、燃焼チャンバ(BR)に面する表面(OF)と、前記表面(OF)につながりかつ空気流路(20)を画定する空気流路構造(21)と、前記表面(OF)につながる燃料流路構造(32)と、を有しており、
前記燃料流路構造(32)は、燃料流路(33)を画定し、
前記燃料流路(33)は、前記バーナーチップ(19)の動作時に前記燃料流路(33)を通って流れる燃料によって前記バーナーチップ(19)の表面領域(OFB)を冷却するために、前記バーナーチップ(19)の前記表面領域(OFB)において、前記表面(OF)に平行な第1の方向(1R)に延び、続いて少なくとも部分的に、前記表面領域(OFB)内で、前記第1の方向(1R)とは異なる第2の方向(2R)に戻るように延在することを特徴とするバーナーチップ(19)。
【請求項2】
前記燃料流路(33)は、その経路から始まって、前記第1の方向(1R)に沿って、前記バーナーチップ(19)の内側に延在し、続いて、少なくとも1つのさらなる方向転換を介して、例えば70°以上110°以下の曲がりを介して、前記表面(OF)に開口することを特徴とする請求項1に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項3】
前記第1の方向(1R)は、前記第2の方向(2R)に対して160°以上200°以下の角度を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項4】
前記燃料流路(33)は、前記第1の方向(1R)に沿ったその経路の後方かつ前記表面(OF)への開口部の手前において、拡大された断面を有する領域(B)を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項5】
前記空気流路構造(21)が、前記バーナーチップ(19)における中央出口開口部(24)につながる中央空気流路(20)を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項6】
前記バーナーチップ(19)は、前記空気流路(20)および前記燃料流路(33)の両方が同軸状に延びる入口領域(EB)と、対称軸線(14)に沿って前記入口領域(EB)に対してずらされた出口領域(AB)と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項7】
前記燃料流路(33)は、前記空気流路(20)の半径方向外側で、前記入口領域(EB)内に延びていることを特徴とする請求項6に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項8】
前記燃料流路(33)は、前記空気流路(20)の範囲内で少なくとも部分的に半径方向において前記出口領域(AB)内に延びていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項9】
前記燃料流路(33)および前記空気流路(20)は、前記バーナーチップ(BS)の前記表面領域(OFB)を空気流によって付加的に冷却できるように、連動する様式で延びていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項10】
前記燃料流路構造(32)が、前記燃料流路(33)を複数のサブ流路(34)に細分するベーン(39)を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項11】
前記燃料流路構造(32)は、前記入口領域(EB)において環状チャンバを画定し、
前記燃料流路構造(32)は、
前記燃料流路(33)が、前記第2の方向(2R)におけるその経路の後方かつ前記燃料流路(33)が前記表面(OF)内に開口する手前で、環状チャンバを通って延びることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項12】
前記空気流路(20)は、前記燃料流路(33)を少なくとも部分的に通って延びており、
前記空気流路構造(21)は、前記表面(OF)に対して異なる出口角度で前記燃焼チャンバ(BR)へつながる複数の空気流路(20)を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項13】
前記空気流路構造(21)および前記燃料流路構造(32)は、丸形状、とりわけ円形状とは異なる断面形状を有する流路断面を画定することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項14】
前記表面(OF)は、複数の前記空気流路(20)を画定する開放型多孔質壁構造(40)によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項15】
前記バーナーチップ(19)は、付加的にかつ一体的に製造されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)を備えることを特徴とするガスタービン。
【請求項17】
前記バーナーチップ(19)が付加的にかつ一体的に製造されることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)を製造するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはガスタービンにおけるバーナーのための、空気流路構造と燃料流路構造とを有するバーナーチップに関するものである。さらに、バーナーチップを製造するための方法、好ましくは付加的な方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
バーナーチップは、好ましくはガスタービンの高温ガス経路内において、フロー機械で使用するために設けられる。その構成要素は、さらに好ましくは、ニッケル基合金および/または超合金、とりわけニッケル基超合金またはコバルト基超合金を備える。合金は、析出硬化された合金あるいは析出硬化可能な合金であってもよい。
【0003】
上述の種類のバーナーチップは、例えば特許文献1から公知となっている。特許文献1に記載されているバーナーチップは、ガスタービンで使用でき、例えばそのバーナーチップは、燃焼空気のための主要流路内に配置されているバーナーランスの下流端部を形成する。バーナーチップは二重壁設計を有しており、外壁は、発生した燃焼熱を内壁から離したままとするよう意図された熱シールドを作る。そのため、環状キャビティ、言い換えると環状空間が、外壁と内壁との間に配置され、このキャビティは、冷却目的のために開口部を介して当該キャビティを通って流れる空気を有することができる。記載された実施形態において、熱シールドは、下流の燃焼チャンバで起こる燃焼によって引き起こされる熱応力に耐えるように設計されなければならない。したがって、バーナーチップの外壁は、バーナーチップの耐用期間を制限する要因を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2196733号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明によって対処される課題は、構成要素の耐用期間の改善がもたらされる様式で、上述の種類のバーナーチップを開発することである。とりわけ本発明は、バーナーチップの改善された冷却を容易にし得る。さらに、本発明によって対処される課題は、こうした種類のバーナーチップを製造するための方法を具現化することである。
【0006】
製造は、例えば、ロストコア鋳造によって行われてもよい。なお、上述の課題に対する解決法によれば、製造のために積層造形(付加製造法)を使用することが特に有利である。この場合、バーナーチップは、好ましくは、一体部品で、かつ冷却効果に関して特に複雑かつ/または最適化された設計で制作されてもよく、積層造形は、とりわけ熱伝達のために有利に大きな表面を備える幾何学的に複雑な構造を実現可能にする。
【0007】
本出願の意味の範囲内の積層造形法は、構成要素を制作する材料が、その進展中に、構成要素に追加される方法を示すと理解されたい。これは、構成要素が、その最終的な形態でまたは少なくとも最終的な形態に近い形態で進展されることを意味する。構成材料または一次材料は、好ましくは、パウダー形態のものであり、ここで積層造形プロセスは、構成要素を製造するために使用される材料が、エネルギーを加えることによって物理的に固められることを意味する。
【0008】
構成要素を製造できるように、選択された積層造形プロセスのために、前記構成要素を記述するデータ(CADモデル)が準備される。生産プラントのための指示を生成するために、データは、製造プロセスに適合した構成要素データに変換され、それによって、生産プラントにおいて、構成要素の連続的な製造に適したプロセス段階を辿ることができる。データは、いずれの場合においても製造される構成要素の層(スライス)のための幾何学的データが提供される様式で、このために準備され、これはスライシングとも称される。
【0009】
積層造形法の例として、選択的レーザー焼結法(つまりSLS)、選択的レーザー溶融法(つまりSLM)、電子ビーム溶融法(つまりEBM)、レーザー金属蒸着法(つまりLMD)またはガスダイナミックコールドスプレー法(つまりGDCS)が挙げられる。これらの方法は、構造的な構成要素を製造可能なパウダーの形態の金属材料を加工するのに特に適している。
【0010】
SLM、SLS、およびEBMの場合、構成要素は、パウダーベッドで層ごとに製造される。そのため、これらの方法はパウダーベッドに基づく積層造形法とも称される。いずれの場合においても、パウダーの層がパウダーベッドに製作され、続いてその層は、構成要素が作られる領域において、エネルギー供給源(レーザーまたは電子ビーム)によって局所的に溶融または焼結される。このように構成要素は、連続した層によって製作され、完成後にパウダーベッドから取り出すことができる。
【0011】
LMDおよびGDCSの場合、パウダー粒子は、材料が堆積される表面に直接供給される。LMDの場合、パウダー粒子は、当該表面上の目標点においてレーザー光線によって溶融され、それによって製造されている構成要素のスライスが作られる。GDCSの場合、パウダー粒子は大きく加速され、それによってパウダー粒子は、主にパウダー粒子の運動エネルギーに起因して同時に変形しながら構成要素の表面に付着したままとなる。
【0012】
GDCSおよびSLSは、これらのプロセス中にパウダー粒子が完全には溶融しないという特徴を共通して有する。これはまた、とりわけ、粒子間の間隙が維持されている場合に多孔質構造の製造を容易にする。GDCSの場合、溶融は多くてもパウダー粒子の周辺領域で起こり、当該パウダー粒子は、それらの表面の激しい変形に起因して溶融可能となる。SLSの場合、焼結温度を選択する際に、焼結温度を確実にパウダー粒子の溶融温度より低くすることが重要となる。その一方で、SLM、EBMおよびLMDの場合には、エネルギーの付与は、意図的に、パウダー粒子が完全に溶融するほど十分に高いものとなる。
【0013】
上述の課題は、独立請求項の対象事項によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の対象事項である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様は、バーナーに設置するためのバーナーチップに関するものであり、バーナーチップは、燃焼チャンバに面する表面と、当該表面につながりかつ空気流路を画定する空気流路構造と、さらに、表面につながる燃料流路構造と、を有する。燃料流路構造は、燃料流路を画定し、当該燃料流路は、バーナーチップが動作状態にある場合に燃料流路を通って流れる燃料によってバーナーチップの表面領域を冷却するため、表面に平行な第1の方向においてバーナーチップの表面領域内を延び、続いて第1の方向とは異なる第2の方向において少なくとも部分的に戻るように延在するかまたは湾曲するつまり曲がる。
【0015】
燃料流路の「戻るように延在すること」つまり湾曲経路は、−バーナーチップの動作中、例えばガスタービンの使用中に−、冷却作用が、燃料を通じてバーナーチップの表面領域において特に有効な様式で有利に実現可能であることを意味する。これは、フロー機械の効率にとって価値のある圧縮機空気の消費が、バーナーチップの表面つまり表面領域を冷却する場合にもはや依存しないことを意味する。加えて、この圧縮機空気の給送システムを省くことができ、対応する構成要素を有利に単純化できる。
【0016】
一実施形態において、燃料流路は、表面に平行な複数の転回部をともなって、表面領域内を延びる。言い換えると、燃料流路は、好ましくは、表面に対して平行に複数回方向転換するか、またはその方向転換部にしたがって延在する。
【0017】
一実施形態において、燃料流路は、バーナーチップの動作中、バーナーチップの対称軸線または主流方向に少なくとも部分的に沿って延びる。
【0018】
一実施形態において、燃料流路は、その経路から始まって、第1の方向に沿ってバーナーチップの内側へ延在する。この実施形態によれば、表面から離れた表面の領域(表面領域)もまた、バーナーチップの動作中に有利に冷却されてもよい。これは、同様に有利に、構造的な構成要素全体の耐用期間に影響を与える。
【0019】
一実施形態において、第1の方向は、第2の方向に対して160°から200°の間、好ましくは180°の角度を包含する。この実施形態は、上述のように、燃料流路の特に効果的な再循環または方向転換を可能にする。
【0020】
用語「表面領域」は、好ましくは、上述の表面に近接したバーナーチップの構造領域を表す。
【0021】
一実施形態において、燃料流路は、その後ですなわちバーナーチップの内側への方向転換の後で、少なくとも1つのさらなる方向変更を介して、例えば70°から110°の間の曲がりを介して、表面へ開口する。この実施形態は、バーナーチップが使用されている場合に効率的な冷却を可能にすると同時に、バーナーチップの有利な設計を実現可能にし、なぜならそれによって、バーナーチップの使用時の燃料による効率的な冷却と同時に、これ対応して燃焼チャンバに給送される燃料の予熱が可能になるからである。
【0022】
一実施形態において、燃料流路は、第1の方向に沿ったその経路に続いて、有利には表面への開口部の手前で、拡大された断面を備える領域、とりわけ相互作用空間つまり収集空間を有する。この実施形態によれば、表面領域から、バーナーチップの動作時に収集空間に位置する燃料または当該収集空間を通って流れる燃料への熱伝達を特に有利に促進させることができる。とりわけ、拡大された断面は、拡大された容積を相互作用のためにまたは上述の熱伝達のために利用可能であることを意味しており、その結果として(バーナーチップの動作中に表面に作用する熱を吸収するための)熱容量を効果的に増大できる。
【0023】
一実施形態において、空気流路構造は、バーナーチップにおける中央出口開口部につながる中央空気流路を備える。とりわけ、空気流路構造は、上述の中央空気流路を表すかまたは画定してもよい。
【0024】
一実施形態において、バーナーチップは入口領域を有する。空気流路および燃料流路の両方が、好ましくは、入口領域において同軸状に延びている。言い換えると、空気流路構造および燃料流路構造は対応するように設計されている。
【0025】
一実施形態において、燃料流路は、空気流路の半径方向外側の入口領域内を延びる。言い換えると、燃料流路構造および空気流路構造は、適切に構成されてもよい。
【0026】
一実施形態において、バーナーチップは、好ましくは対称軸線に沿って(軸線方向に)オフセットされた状態で配置される出口領域を有する。当該出口領域から好ましくは空気流および燃料流の両方が出てくることができ、出口領域は、上述の表面または表面領域を有利に備える。
【0027】
一実施形態において、燃料流路は、空気流路の範囲内で少なくとも部分的に半径方向に出口領域内を延びる。
【0028】
一実施形態において、燃料流路および空気流路は、連動する様式または絡み合う様式で延びるかまたは互いに織り交ぜられており、それによって、バーナーチップの表面領域を空気流によって付加的に有利に冷却可能であり、−かつそれに限らず燃料流によっても冷却可能である。なお燃料流路および空気流路は、好ましくは、互いに流体連通することなく延びる。代替的に、空気流路および燃料流路は、少なくとも部分的に互いに流体的に接続されてもよい。
【0029】
一実施形態において、バーナーチップは、少なくとも大部分は、上述の対称軸線の周りで回転対称となるように設計されている。
【0030】
一実施形態において、空気流路および/または燃料流路は、バーナーチップの円周方向または接線方向に少なくとも部分的に沿って延びる。
【0031】
一実施形態において、好ましくは出口領域において、燃料流路構造は、燃料流路を、−少なくとも区間ごとに−、複数のサブ流路に細分するベーンを有する。この方法によって、バーナーチップが動作している間の冷却作用は、改善された熱伝達によって同様に有利に最適化できる。上述のベーンは、−燃料流路構造またはバーナーチップの他の部分同然に−、特定の状況下において専ら積層造形技術によって達成可能な任意の形態を呈してもよい。
【0032】
一実施形態において、入口領域における燃料流路構造は環状チャンバを形成する。
【0033】
一実施形態において、燃料流路構造は、燃料流路が、第2の方向における燃料流路の経路の後方かつ燃料流路が表面へ開口する手前で環状チャンバを通って延びる様式で、形成されている。
【0034】
一実施形態において、出口領域における燃料流路構造は、表面を介して燃焼チャンバにつながるかまたは上述の表面に開口する複数の燃料流路を有する。この実施形態を通じて、表面の改善されかつ/またはより均一な冷却を有利に達成できる。
【0035】
一実施形態において、空気流路は、少なくとも部分的に燃料流路を通って延びるか、またはその逆で、燃料流路は、少なくとも部分的に空気流路を通って延びる。この実施形態は、バーナーチップの特にコンパクトでありかつ効果的な設計を達成可能にする。
【0036】
一実施形態において、空気流路構造は、複数の空気流路を有しており、複数の空気流路は、例えば表面または表面法線に対して異なる出口角度で表面において開口する、つまり燃焼チャンバにつながっている。この実施形態を通じて、効率的な表面冷却または表面のフィルム冷却を特に有利に達成できる。
【0037】
一実施形態において、空気流路構造および/または燃料流路構造は、丸形状、特に円形とは異なる断面形状、例えば楕円形または星形の断面を有する流路断面を画定する。この実施形態を通じて、円形断面に比べて拡大された断面積によって、バーナーチップの動作中の表面から燃料または空気流への熱伝達を、有利にさらに改善できかつ/または改良できる。
【0038】
一実施形態において、表面は、開放型多孔質壁、つまりその穿孔によって複数の空気流路を画定するバーナーチップの壁構造によって形成される。したがって、この実施形態によれば、例えばバーナーチップの領域に効果的な冷却をもたらすために、冷却空気が表面領域を通って特に均一に流れることが可能となる。
【0039】
一実施形態において、バーナーチップは、付加的につまり積層造形プロセスによって製造される。
【0040】
一実施形態において、バーナーチップは、一体的につまり一体部品に製造される。
【0041】
本発明のさらなる態様は、上述のバーナーチップを備えるフロー機械、例えばガスタービンに関するものである。
【0042】
本発明のさらなる態様は、バーナーチップを製造するための方法に関するものであり、バーナーチップは、とりわけ付加的にかつ/または一体的に製造されるかまたは製造可能である。
【0043】
加えてこの場合のバーナーチップまたはフロー機械に関連する構成、特徴および/または利点は、方法に関連してもよく、またはその逆であってもよい。
【0044】
本発明のさらなる詳細は、図面を用いて以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明に基づく例示的な実施形態のバーナーチップが嵌合されているバーナーの概略断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に基づくバーナーチップの概略断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に基づくバーナーチップの一部の概略断面図である。
【
図4】本発明のさらなる実施形態に基づくバーナーチップの概略断面図である。
【
図5】本発明のさらなる実施形態に基づくバーナーチップの一部の概略断面図である。
【
図6】本発明に基づく方法の例示的な実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
例示的な実施形態および図面において、同一の要素または同じ効果を有する要素には、各々、同じの参照符号が付与されている。図示された要素およびそれらの比率は、原則として縮尺通りであると見なされるべきではなく;代わりに、個別の要素は、改善された図解のためかつ/またはより良い理解のために、不相応に太くあるいは大きく描かれていることがある。
【0047】
図1には、バーナー11が示されており、バーナー11は、空気のための主要流路13が形成されるジャケット12を有する。ジャケット12は、長手方向軸線および/または対称軸線14の周りに対称的に構成され、かつ主要流路13の中央にバーナーランス15を有する。バーナーランス15は、ウェブ16を用いて主要流路13内に固定されている。さらに、ガイドベーン17が、バーナーランス15とジャケット12との間に延在しており、それによって、空気を、図示される空気の矢印18から推測できるように対称軸線14の周りで旋回させる。
【0048】
バーナーランス15は、下流端部においてバーナーチップ19を有しており、当該バーナーチップには、中央空気流路20を介して空気が供給され、かつ空気流路20の周りに配置された環状流路22を介して燃料23が供給される。
【0049】
燃料23は、気体または液体の形態であってもよい。燃料は、とりわけ、天然ガス、水素または別の燃料を含有するガスまたは流体であってもよい。
【0050】
空気(空気流または空気流路20参照)および燃料23は、より詳細には図示されていないバーナーチップにおける開口部を介して放出され、それによって主要流路13からの空気流と混合される。このプロセスの間、空気21は慣習的にバーナーチップ19を冷却する(下記参照)。バーナー11は、パイロットバーナーの機能的な原理に従う。当該バーナーは、例えばガスタービンの燃焼チャンバBRに嵌合でき、この場合、燃焼チャンバBRは、バーナーチップ19の周囲領域30を作る。
【0051】
図2は、上述のように、バーナーチップ19の概略断面図を示す。とりわけ、対称軸線14に沿った断面が図示されている。対称軸線14は、同様にバーナーチップ19の回転対称性を表してもよい。
【0052】
バーナーチップ19は、入口領域EBを有する。さらに、バーナーチップ19は、出口領域ABを有する。出口領域ABは、対称軸線14に沿って入口領域EBに取り付けられるか、または入口領域EBに対して軸線方向にオフセットされた状態で配置されている。
【0053】
さらに
図2には、対称軸線14に沿って延びる中央空気流路20が図示される。空気流路20は、バーナーチップ19の出口開口部24につながる。動作中、この空気流路には、さらなるバーナーランスを収納できる(下記参照)。例えばガスタービンで使用される場合、バーナーチップ19の動作中に、空気流路20内のバーナーチップ19は、空気、とりわけ圧縮機空気を有しており、当該空気は、入口領域EBにおいて空気流路20に入りかつ出口領域ABにおいて再度空気流路から離れるように、空気流路20を貫流する。空気流路20は、空気流路構造21によって画定される。バーナーチップ19の動作中の空気流路20内の空気の流れは、
図2において点線の矢印によって示される。
【0054】
バーナーチップ19は、燃料流路構造32をさらに有する。燃料流路構造32は、燃料流路33を画定する。
【0055】
バーナーチップ19の動作中の燃料流路33内の燃料の流れは、
図2において実線の矢印によって示される。
【0056】
燃料流路33は、空気流路20の半径方向外側に配置されており、そのためバーナーチップ19の動作時に、燃料23を、図示された空気の流れの半径方向外側において(空気の流れ方向に沿って)案内することができる。
【0057】
燃料流路構造32は、バーナーチップ19の外壁28を備えてもよくあるいは画定してもよい。
【0058】
燃料流路構造32は、バーナーチップ19の内壁29を備えてもよくあるいは画定してもよい。
【0059】
バーナーチップ19または空気流路構造21は、好ましくは、空気流路20が入口領域EBから出口領域ABへ向けて先細となる様式で構成される。対応する円錐形つまり先細形状の経路に続いて、空気流路構造21は、再度、対称軸線14に平行な空気流路20を画定する。
【0060】
図面、とりわけ
図2および
図4では、参照を容易にするために、中央空気流路20内にさらなる構成要素は図示されない。バーナーチップ19の使用時、例えば(明確には特定されない)バーナーチップを示す対応するガスタービンの動作中、さらなる構成要素、例えばさらなる点火装置および/またはオイルランスがバーナーチップ19のこの中央領域に有利に配置される。上述の構成要素は、バーナー11の機能にとって極めて重要であり、かつ好ましくは、バーナーチップの動作中に上述の構成要素および/またはバーナーチップの効果的な冷却作用をもたらす空隙を形成する様式で、同時に中央空気流路をシールする。
【0061】
さらに
図2に見られるように、外壁も同様に、出口領域ABにおいて先細形状になっている、つまり中央に配置された対称軸線14へ向かって延在する。出口領域ABにおいて、燃料流路構造32は、燃料流路33が最初にバーナーチップ19の外面OFと平行に延在するつまり表面OFと平行に延びるような様式で、構成されている。とりわけ、バーナーチップ19の動作中、燃料の流れは、表面OFと平行な第1の方向1Rに沿って進む。
【0062】
この場合、表面OFを有する表面領域は、参照符号OFBを使用して識別される。とりわけ正確にはこの表面領域OFBは、好ましくはバーナーチップ19の出口領域ABにおいて、バーナーチップ19の動作中に燃料流路構造32を通って案内される燃料23によって効果的に冷却されるべきである。
【0063】
燃料(燃料流路33内に図示される矢印を参照)が表面OFと平行な第1の方向において特定の長さまで進むと、燃料流路は、燃料流路構造32の幾何学的形状によって第2の方向に方向転換され、それによって、燃料流路は、戻るように延在する、つまり少なくとも部分的に第1の方向とは反対方向に方向転換され、続いてバーナーチップ19の表面領域OFBを離れる。
【0064】
言い換えると、表面領域OFB内の燃料流路の方向転換を通じて、この表面領域は、バーナーチップ19の動作中に燃料によって効率的に冷却可能となり、なぜならそれは、燃料が、最初に構成要素の内側の表面近くに誘導され、続いて方向転換され、その後、−場合によってはそれ自体によって誘導されて−、設けられた複数の燃料出口(図では明示されない)において燃焼チャンバBRに送ることが可能となるからである(
図3参照)。それゆえ、燃料流路33の経路あるいは燃料流路構造32の幾何学的形状は、いわゆる「クラインボトル」の設計に対応してもよく、またはこれと共通点があってもよい。
【0065】
第1の方向は、少なくとも部分的にあるいは一部において対称軸線に(流れ方向に)沿うまたは対応する主要な流れ方向に沿う方向を示してもよい。第2の方向は、好ましくは第1の方向とは異なる方向、正確には反対の方向を意味する。燃料流路33は、好ましくは第1の方向と平行な経路の後で燃料流路が最初にバーナーチップまたは対応する表面領域OFBの内側に延在する様式で、第1の方向から第2の方向に方向転換される。この方法によって、表面領域の下の構造を効果的に冷却することができる。
【0066】
第2の方向も同様に、表面に平行であるが好ましくは主要な流れ方向とは反対の方向を表してもよい。第2の方向はさらに、代替的または付加的に、第1の方向に対して90°または別の角度だけ傾斜していてもよい。
【0067】
バーナーチップ19は、その対称軸線14に対して回転対称またはほぼ回転対称に構成されてもよい。第2の方向は、それに対応して、例えばバーナーチップ19の円周方向において延びてもよい。
【0068】
円周方向(図面に明示せず)において、バーナーチップ19は、出口領域ABにおいて対応するように複数の燃料流路33を示してもよく、当該燃料流路は、例えば円周方向において等間隔に配置される様式で、表面OFにわたって燃焼チャンバBRへつながる(
図3を参照)。それに応じて、表面OFにおける燃料流路33の開口部の出口によって作られる燃料出口のポジションは、バーナーチップの従来の設計に対応してもよい。
【0069】
例えば約160から220°の角度、好ましくは約180°の角度の上述の方向転換部つまり戻るように延在する部分を介して、表面領域OFBの冷却効果を、慣習的に冷却に使用される圧縮機空気と比較して幾分低温の燃料によって有利に改善できる。言い換えると、構成要素の外面を冷却するために、もはや圧縮機空気を取得する必要はなく、代わりに、(ガスタービンの圧縮機部分(明示せず)から従来使用されていた圧縮冷却空気の400℃ではなく約50℃の)はるかに低温の燃焼ガスを、表面領域OFBにおける冷却のために構成要素表面に沿ってすぐ下で案内できる。
【0070】
戻るように延在する部分の後で、燃料流路33は、好ましくは、さらに曲がり、例えば70から110°まで曲がり、それによって、燃料流路33は、表面OFで開口できるつまり燃焼チャンバBRの方向において表面OFから離れることができる。言い換えると、燃料は、改善された冷却作用のために燃料流路構造32の幾何学的形状によって表面領域OFBに保持されるかまたは収集され、続いて、所定の出口角度で、再び燃焼チャンバBR内に放出されて燃焼され得る。
【0071】
上述のバーナーチップ19は、積層造形プロセスによって、好ましくは選択的レーザー溶融法(SLM)または電子ビーム溶融法(EBM)によって製造される。とりわけ積層造形法は、統合された機能を備える構成要素の製造を可能にする。とりわけ、付加的な手段によって従来必要とされていた熱シールドをともなわずに、バーナーチップ19を上述のようにその複雑な流路構造とともに、一体部品に製造できる。
【0072】
バーナーチップ19は冷却目的のために単一の流体の誘導しか必要としないため、特定の状況下では有利なことにより少ない接続部しか必要とされず、その結果、構成要素の製造および機能を単純化できる。
【0073】
領域Bがさらに
図2に示されており、この領域では、燃料流路33はより大きい断面を有する。この実施形態は、効果的な冷却作用をもたらすために、より大量の燃料23を有利に領域Bに「収集する」ことを可能にする。
【0074】
図3は、バーナーチップ19の断面図、好ましくは表面領域OFBを通る断面(
図2参照)を詳細に示す。参照符号34によって特定される外側燃料開口部は、燃料流路33の形状を画定する(
図2参照)。
【0075】
図3に示される矢印もまた、燃料流路33または燃料23の経路を示す。とりわけ矢印で示される複数の燃料流路、特にバーナーチップ19の外周にわたって分配される複数の燃料流路が示されており、これら燃料流路は、設けられるのが好ましいが
図2および
図4では見えない。言い換えると、燃料流路33は、1つ以上のベーン39によって、好ましくは円周方向において、複数の個別の燃料サブ流路に分割される。この複数の燃料流路、または参照符号34を使用して特定されるサブ流路は、好ましくは、円周方向において(ベーン39によって)互いから離間されている。
【0076】
サブ流路34は、好ましくはバーナーチップ19の単一の燃料流路33へ向けて、−
図3に示されるように−、半径方向内側に延びるように組み合わせられる。このようにして、バーナーチップ19の動作中、バーナーチップの構造部から、燃料流路33を通って伝導される燃料の流れへの熱伝達、ひいてはバーナーチップの冷却をさらに有利に改善できる。
【0077】
上述のベーンの幾何学的形状は、とりわけ、従来の製造方法を使用して達成することができず、そのため好ましくは上述の開示にしたがって付加的にかつ好ましくは一体的に、例えば選択的レーザー溶融法によって製造される。
【0078】
一例として、矩形断面を有する燃料流路34または開口部が
図3に示される。なお代替的に、他の断面形状、例えば楕円形または星形の断面を、表面が広がるため改善された冷却効果を達成しそれに対応してバーナーチップ19の動作中の改善された熱交換を達成するために、使用することもできる。
【0079】
燃料流路構造32は、とりわけバーナーチップ19の対称軸線の周りでのバーナーチップ19の回転対称による実施形態にしたがって、(複雑に形成された)環状チャンバをさらに形成してもよい。燃料流路構造32は、さらに好ましくは、燃料流路33が、第2の方向2Rにおけるその経路の後でかつ表面OFへの開口部出口の手前で、環状チャンバを通って出口領域ABを延びる様式で、形成される(
図2において燃料23を示す矢印を参照)。
【0080】
とりわけ
図3における矢印の経路は、バーナーチップ19の動作中のバーナーチップ19の表面領域OFBを効果的な冷却を可能とするための燃料流路構造32の幾何学的形状に起因する燃料流路33内の燃料の方向転換を表す。
【0081】
図4は、本発明に基づくバーナーチップの代替的な実施形態の断面図(縦断面図)を示す。
図2とは異なり、燃料流路33は、空気流路20の範囲内で少なくとも部分的に半径方向に出口領域ABを延びる。さらに、燃料流路33および空気流路20は、バーナーチップ19の表面領域OFBを空気流によって付加的に冷却するために、連動する様式で少なくとも部分的に延びており、それによって、さらに改善された冷却効果が得られる。
【0082】
空気流路構造21は、入口領域EBにおいて、空気流路を環状に包囲する環状空間または複数の個別の空気流路に(中央)空気流路20を流体的に接続する側壁における開口部25を有する。
【0083】
上述の個別の空気流路20は、好ましくは、この実施形態の空気流路構造21によれば、燃料流路構造32の経路を少なくとも部分的に横断する。
【0084】
図4における描写に基づく上述の空気流路は、さらに、表面OFまたは対応する表面法線に対して異なる出口角度で、例えば60°から120°の間の出口角度で燃焼チャンバBR内につながる。燃料流路33の前述の出口角度は、例えばバーナーチップ19の対称軸線に沿って変化してもよい。出口角度がより小さくなる(例えば90°よりも小さくなる)につれて、バーナーチップ19の表面OFにおけるフィルム冷却は、より強くなるかまたはより弱くなることがある。
【0085】
さらに、空気流路構造21および燃料流路構造32は、丸、特に円形態とは異なる断面形状を有する流路断面を画定できる。とりわけ、上述の流路構造は星形および/または楕円形であってもよい。これら幾何学的形状はすべて、記載された積層造形法を用いて製造でき、したがって本発明の独創的な利点を利用可能にする。
【0086】
さらなる実施形態において、表面OFは、複数の空気流路20を画定する開放型多孔質壁構造(明示されない)によって形成されてもよい。この幾何学的形状は、同様に、積層造形技術によって有利に実現されてもよく、かつ動作中のバーナーチップの冷却の改善に寄与してもよい。
【0087】
図5は、−
図3における描写と同様に−、
図4に示されるバーナーチップの実施形態に基づくバーナーチップの断面図(対称軸線に垂直な断面図)を示す。
図3の描写とは異なり、
図5では、(燃料冷却に加えて)(
図4参照)空冷によってバーナーチップ19のための冷却効果をもたらす付加的な円形の空気開口部35が設けられていることが分かる。点線の矢印は、開口部35から出て、空気の流れを示すよう意図される一方で、実線の矢印は、−
図3の描写と同様に−、本発明に基づく燃料の流れの方向転換を示している。
【0088】
図6は、どのように
図2または
図4に基づく構成要素19をレーザービーム37を用いたレーザー溶融によって製作できるかを詳細に示す。空気流路構造21および/または燃料流路構造32の一部が製造されるパウダーベッド36の詳細が示される。燃料流路構造32は、例えば、
図2の描写に設計が類似しており、かつ好ましくは、とりわけ上述のベーン(
図6には図示せず)を有しており、同様に本発明の燃料流路の方向転換部を画定する。
【0089】
完成した構造の製造の後、パウダー36は、空気流路または燃料流路システムもしくは対応する流路構造を形成する対応するキャビティから除去されなければならない。これは、例えば吸引、振動または吹き飛ばしによって達成できる。
【0090】
本発明は、例示的な実施形態に基づく説明による例示的な実施形態に限定されず、各新規な特徴およびこれら特徴の組み合わせを包含する。この特徴またはこの組み合わせ自体が特許請求の範囲または例示的な実施形態に明確に示されていなくても、これは、とりわけ特許請求の範囲における特徴の組み合わせそれぞれを含む。
【符号の説明】
【0091】
11 バーナー
12 ジャケット
13 主要流路
14 対称軸線
15 バーナーランス
16 ウェブ
17 ガイドベーン
19 バーナーチップ
20 空気流路
21 空気流路構造
22 環状流路
23 燃料
24 出口開口部
25 開口部
28 外壁
29 内壁
32 燃料流路構造
33 燃料流路
34 サブ流路
35 開口部
36 パウダーベッド
37 レーザービーム
39 ベーン
40 開放型多孔質壁構造
R1 第1の方向
R2 第2の方向
【手続補正書】
【提出日】2019年10月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナー(11)に設置するためのバーナーチップ(19)であって、
前記バーナーチップ(19)は、燃焼チャンバ(BR)に面する表面(OF)と、前記表面(OF)につながりかつ空気流路(20)を画定する空気流路構造(21)と、前記表面(OF)につながる燃料流路構造(32)と、を有しており、
前記燃料流路構造(32)は、燃料流路(33)を画定し、
前記燃料流路(33)は、前記バーナーチップ(19)の動作時に前記燃料流路(33)を通って流れる燃料によって前記バーナーチップ(19)の表面領域(OFB)を冷却するために、前記バーナーチップ(19)の前記表面領域(OFB)において、前記表面(OF)に平行な第1の方向(1R)に延び、続いて少なくとも部分的に、前記表面領域(OFB)内で、前記第1の方向(1R)とは異なる第2の方向(2R)に戻るように延在することを特徴とするバーナーチップ(19)。
【請求項2】
前記燃料流路(33)は、前記燃料流路(33)の経路から始まって、前記第1の方向(1R)に沿って、前記バーナーチップ(19)の内側に延在し、続いて、少なくとも1つのさらなる方向転換を介して、前記表面(OF)に開口することを特徴とする請求項1に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項3】
前記第1の方向(1R)は、前記第2の方向(2R)に対して160°以上200°以下の角度を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項4】
前記燃料流路(33)は、前記燃料流路(33)のうち前記第1の方向(1R)に沿う経路の後方かつ前記表面(OF)への開口部の手前において、拡大された断面を有する領域(B)を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項5】
前記空気流路構造(21)が、前記バーナーチップ(19)における中央出口開口部(24)につながる中央空気流路(20)を備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項6】
前記バーナーチップ(19)は、前記空気流路(20)および前記燃料流路(33)の両方が同軸状に延びる入口領域(EB)と、対称軸線(14)に沿って前記入口領域(EB)に対してずらされた出口領域(AB)と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項7】
前記燃料流路(33)は、前記空気流路(20)の半径方向外側で、前記入口領域(EB)内に延びていることを特徴とする請求項6に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項8】
前記燃料流路(33)は、前記空気流路(20)の範囲内で少なくとも部分的に半径方向において前記出口領域(AB)内に延びていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項9】
前記燃料流路(33)および前記空気流路(20)は、前記バーナーチップ(19)の前記表面領域(OFB)を空気流によって付加的に冷却できるように、連動する様式で延びていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項10】
前記燃料流路構造(32)が、前記燃料流路(33)を複数のサブ流路(34)に細分するベーン(39)を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項11】
前記バーナーチップ(19)は、前記空気流路(20)および前記燃料流路(33)の両方が同軸状に延びる入口領域(EB)と、対称軸線(14)に沿って前記入口領域(EB)に対してずらされた出口領域(AB)と、を有しており、
前記燃料流路構造(32)は、前記入口領域(EB)において環状チャンバを画定し、
前記燃料流路構造(32)は、前記燃料流路(33)が、前記第2の方向(2R)における前記燃料流路(33)の経路の後方かつ前記燃料流路(33)が前記表面(OF)内に開口する手前で、環状チャンバを通って延びることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項12】
前記空気流路(20)は、前記燃料流路(33)を少なくとも部分的に通って延びており、
前記空気流路構造(21)は、前記表面(OF)に対してさまざまな出口角度で前記燃焼チャンバ(BR)へつながる複数の空気流路(20)を有することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項13】
前記空気流路構造(21)および前記燃料流路構造(32)は、丸形状とは異なる断面形状を有する流路断面を画定することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項14】
前記表面(OF)は、複数の前記空気流路(20)を画定する開放型多孔質壁構造(40)によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項15】
前記バーナーチップ(19)は、付加的にかつ一体的に製造されることを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)を備えることを特徴とするガスタービン。
【請求項17】
前記バーナーチップ(19)が付加的にかつ一体的に製造されることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載のバーナーチップ(19)を製造するための方法。
【請求項18】
前記燃料流路(33)は、前記燃料流路(33)の経路から始まって、前記第1の方向(1R)に沿って、前記バーナーチップ(19)の内側に延在し、続いて、70°以上110°以下の少なくとも1つのさらなる方向転換を介して、前記表面(OF)に開口することを特徴とする請求項2に記載のバーナーチップ(19)。
【国際調査報告】