(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-507488(P2020-507488A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(54)【発明の名称】研削工具を製造するための方法及び研削工具
(51)【国際特許分類】
B24D 3/28 20060101AFI20200214BHJP
B24D 3/00 20060101ALI20200214BHJP
B24D 18/00 20060101ALI20200214BHJP
B24D 7/00 20060101ALI20200214BHJP
【FI】
B24D3/28
B24D3/00 340
B24D18/00
B24D3/00 330G
B24D7/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-564577(P2019-564577)
(86)(22)【出願日】2017年2月14日
(85)【翻訳文提出日】2019年9月11日
(86)【国際出願番号】EP2017053281
(87)【国際公開番号】WO2018149483
(87)【国際公開日】20180823
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】510270063
【氏名又は名称】アウグスト リュッゲベルク ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100091867
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】モーン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュトゥッケンホルツ ベルント
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ アヒム
【テーマコード(参考)】
3C063
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA02
3C063BB07
3C063BB20
3C063BC03
3C063BG01
3C063BG03
3C063BH07
3C063CC16
(57)【要約】
研削工具を製造するための方法においては、結合剤を施すことによって三次元的に形成された接着表面(24)する工具ベースボディ(4)が準備される。工具ベースボディ(4)は、第1の電極(5)及び第2の電極(6)の間の静電場(E)内に接着表面(24)が配置されているように、位置決めされる。砥粒(8、9)が静電場(E)に基づき接着表面(24)に向かって移動しそしてそこで接着したままであるように、静電場(E)内に砥粒(8、9)が運び入れられる。この様態で製造される研削工具は、三次元的に形成された砥粒層(25)を有している。研削工具の製造は簡潔で、柔軟で、そして経済的である。研削工具は、任意に成形された砥粒層(25)を有しており、また、高い削り取り能力及び長い耐用年数で多岐に渡って使用することが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削工具を製造するための方法にして、
−工具ベースボディ(4)を準備する工程、
−前記工具ベースボディ(4)に結合剤(23)を塗布することによって三次元的に形成された接着表面(24)を生じる工程、
−第1の電極(5)及び第2の電極(6)の間の静電場(E)内に前記接着表面(24)が配置されているように前記工程ベースボディ(4)を位置決めする工程、及び、
−前記静電場(E)内に砥粒(8、9)を以下のように運び入れる工程、すなわち、前記砥粒(8、9)が前記静電場(E)に基づき前記接着表面(24)に向かって移動しそして前記接着表面(24)にて三次元的に形成された砥粒層(25)を形成するために接着したままであるように、前記静電場(E)内に前記砥粒(8、9)を運び入れる工程
を有する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記接着表面(24)が、三次元的に成形された前記砥粒層(25)を形成するために、湾曲されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
三次元的に形成された前記砥粒層(25)を形成するための前記工具ベースボディ(4)が、前記電極(5、6)の少なくとも一方に対して移動されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3の何れか一項に記載の方法において、
三次元的に形成された前記砥粒層(25)を形成するための前記工具ベースボディ(4)の長手中心軸(26)が前記第一の電極(5)に対して異なる複数の方向へ指向されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4の何れか一項に記載の方法において、
三次元的に形成された前記砥粒層(25)を形成するための前記工具ベースボディ(4)が長手中心軸(26)の周りで回転されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載の方法において、
前記接着表面(24)に接着している前記砥粒(8、9)が少なくとも部分的に前記接着表面(24)へ向かって調整されていることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の方法において、
前記砥粒(8、9)が搬送装置(10)を用いて前記静電場(E)内へ運ばれることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記搬送装置(24)が搬送バンド(11)を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法において、
前記第1の電極(5)が前記搬送装置(10)の搬送領域(15)の下方に配置されていることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の方法において、
前記砥粒(8、9)が少なくとも1つの投入装置(7)を用いて供給されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の方法において、
前記電極(5、6)の間の電圧(U)が調整可能であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から11の何れか一項に記載の方法において、
前記工具ベースボディ(4)が前記第2の電極(6)を形成することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から12の何れか一項に記載の方法において、
前記工具ベースボディ(4)に少なくとも1つの導電性の層(30)が形成されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から13の何れか一項に記載の方法において、
塗布された前記結合剤(23)が導電性であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から14の何れか一項に記載の方法において、
前記工具ベースボディ(4)が少なくとも部分的に導電性の材料から形成されていることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1から15の何れか一項に記載の方法において、
前記工具ベースボディ(4)及び前記第2の電極(6)が互いに別々に形成されていることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載の方法において、
前記第2の電極(6)が少なくとも部分的に前記工具ベースボディ(4)に対応的に形成されていることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から17の何れか一項に記載の方法において、
前記第2の電極(6)が少なくとも部分的に前記工具ベースボディ(4)に対して当接していることを特徴とする方法。
【請求項19】
工具ベースボディ(4)及び砥粒(8、9)を備える研削工具において、
前記砥粒(8、9)が、結合剤(23)を用いて前記工具ベースボディ(4)に結合されておりまた砥粒層(25)を形成していること、及び
前記砥粒層(25)が三次元的に形成されていること、
を特徴とする研削工具。
【請求項20】
請求項19に記載の研削工具において、
前記砥粒層(25)が湾曲していることを特徴とする研削工具。
【請求項21】
請求項19又は20に記載の研削工具において、
前記砥粒(8、9)が少なくとも部分的に前記工具ベースボディ(4)に向かって調整されていることを特徴とする研削工具。
【請求項22】
請求項19から21の何れか一項に記載の研削工具において、
前記砥粒(8、9)のそれぞれが最大寸法Dを有しており、そして、前記砥粒(8、9)の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D≦5000μm、特には10μm≦D≦2500μm、また特には100μm≦D≦1000μmが当てはまる、
を特徴とする研削工具。
【請求項23】
請求項19から22の何れか一項に記載の研削工具において、
前記砥粒(8)のそれぞれが最大寸法D1を有しており、そして、前記砥粒(8)の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D1≦5000μm、特には5μm≦D1≦500μm、また特には10μm≦D1≦250μmが当てはまること、
を特徴とする研削工具。
【請求項24】
請求項19から23の何れか一項に記載の研削工具において、
前記砥粒(9)のそれぞれが最大寸法D2を有しており、そして、前記砥粒(9)の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D2≦5000μm、特には150μm≦D2≦3000μm、また特には250μm≦D2≦1500μmが当てはまること、
ことを特徴とする研削工具。
【請求項25】
請求項19から24の何れか一項に記載の研削工具において、
前記砥粒層(25)にカバー結合固定部(27)が施されており、その際前記カバー結合固定部(27)に特にはカバー層(31)が施されていることを特徴とする研削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削工具を製造するための方法及び研削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表面加工を行うための手で取り扱う研削工具(グラインダー)は、結合された研削材(研磨材)を用いて又は上塗りされた研削材を用いて、製造される。特許文献1(これは特許文献2に対応するものである)からは例えば、合成樹脂と結合された研削体、すなわち結合された研磨材を有する荒研削ディスク(フラップディスク)が知られている。それに対し、特許文献3(これは特許文献4に対応するものである)からは、グラインダー薄片を備え付けられた支持プレートを含むフラップディスクが知られている。グラインダー薄片は、上塗りされた研削材(研削手段)から作製されており、また結合剤によって基礎部に結合された砥粒を含んでいる。上塗りされた研削材は、結合された研削材に対して、手で動かされる研削工具の使用に関して、例えばより高い削り取り能力並びにより長い耐用年数またそれに関連するより僅かな人件費、削り取り時の低減された労力、並びに、減少された騒音及び振動の負荷のような、種々の長所を有している。
【0003】
特許文献3から知られている荒研削ディスクにおいては、複数のグラインダー薄片のそれぞれが、支持プレートの外周縁の周りで曲げられており、その結果、グラインダー薄片のそれぞれが三次元的(立体的)に形成された砥粒層を形成する。これにより荒研削ディスクは多岐にわたる研磨使用において高い削り取り能力を有する。欠点となるのは、荒研削ディスクが製造に関してコスト高である点、及び、グラインダー薄片を曲げる際にそれぞれの砥粒層の損傷の危険性があるので、限られた範囲にしか三次元的に形成された砥粒層を作製することができない点である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 2009/138 114 A1
【特許文献2】US 2011/0065369 A1
【特許文献3】EP 2 130 646 A1
【特許文献4】US 2009/0305619 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、簡潔で、柔軟でそして経済的な様態で、任意に形成された砥粒層を備える研削工具の製造及び高い削り取り能力を可能にする方法を作り出す、という第1の課題に基づいている。
【0006】
本発明は更に、簡潔に製造可能であってまた柔軟に使用可能な研削工具であって任意に形成された砥粒層を備えるまた高い削り取り能力を有する研削工具を作り出す、という第2の課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴を有する方法によって解決される。工具ベースボディに結合剤を施す(コーティング)することによって、工具ベースボディの形状に応じて、或いは、工具ベースボディのベースボディ表面の形状に応じて、立体的に成形された接着表面が作成される。接着表面を有する工具ベースボディが静電場内に位置決めされ、当該静電場内へ砥粒が取り込まれることによって、工具ベースボディは直接的に砥粒で層状に覆われる。静電場内へ取り込まれる砥粒は、力線に沿って接着表面の方向へ移動し、接着表面或いは結合剤と接触すると工具ベースボディに接着したまま留まるので、その結果、砥粒は接着表面に対応して三次元的に形成された砥粒層を形成する。複数の電極が静電場を形成するために導電性の材料から形成されている。砥粒は直接工具ベースボディに施されるので、また従って、工具ベースボディは基礎部を形成するので、上塗りされた研削材を用いる場合と比較して、研削工具は、簡潔、柔軟そして経済的に、製造可能である。砥粒層は、所望の工具ベースボディを準備することによってそして結合剤に柔軟な様態で任意に三次元的に形成された砥粒層を施すことによって、作製可能である。砥粒は力線に沿って移動するので、この砥粒は、力線の伸び具合及び工具ベースボディの位置決めに応じて、所望の様態で工具ベースボディ上或いは接着面上に塗布され、その結果、研削工具の高い削り取り能力及び長い耐用年数が保証される。砥粒は静電場内で重力を用いて又は重力に逆らって接着表面へ向かって移動することが出来る。
【0008】
工具ベースボディは単層的又は多層的に構成されている。工具ベースボディは、バルカナイズドファイバー、ポリエステル、グラスファイバー、カーボンファイバー、木綿、プラスチック、及び、金属からなるグループのうち少なくとも1つの材料を含んでいる。工具ベースボディは上塗りされた研削材を有していてもよい。工具ベースボディは少なくとも一部の領域において弾力を有している及び/又は少なくとも一部の領域において弾力を有していない。テンションを掛けるため及び研削後部を回転駆動するために、工具ベースボディはハブ又はシャフトを有していてもよい。
【0009】
結合剤は、熱硬化性プラスチック、エラストマー、熱可塑性プラスチック、及び合成樹脂からなるグループの材料である。結合剤は、特にはフェノール樹脂やエポキシ樹脂といった熱硬化性プラスチックである。フェノール樹脂は例えばレゾールやノボラックである。結合剤は所望の様態で工具ベースボディ上に塗布され得る。
【0010】
砥粒は、幾何学的に特定された形状及び/又は幾何学的に未特定の形状を有している。砥粒は、セラミック、特にはジルコニウムコランダムといったコランダム、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素(CBN)、炭化ケイ素、及び、炭化タングステンからなるグループから選ばれる少なくとも1つの材料を含んでいる。
【0011】
砥粒を単層的に又は複層的に塗布することが可能であり、その結果、工具ベースボディには少なくとも1つの三次元的に成形された砥粒層が形成されている。複数の砥粒層を形成する場合は、その都度下側に存在する砥粒層には結合剤が塗布されその上に続く砥粒層は上述の様態で静電場を用いて施される。結合剤は従って、工具ベースボディとその上に塗布された砥粒層の間に基礎結合部を形成し、また2つの砥粒層の間に中間結合部を形成する。
【0012】
接着表面或いは砥粒層は、任意の様態で三次元的に成形されており、例えば、湾曲されている、及び/又は、例えば互いに傾斜して延びる平面のような互いに並べられた複数の平面で成形されている。湾曲した形成は、例えば隅肉溶接部の処理及び/又は縁部の処理を可能とする。互いに傾斜して延びる複数の平面によって、砥粒層は荒仕上げ(荒削り)又は平面加工を可能とする面取り部を形成する。
【0013】
請求項2に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。湾曲された接着表面或いは湾曲された砥粒層は、特には、隅肉溶接部の処理及び/又は縁部の処理のための研削工具を製造することを可能にする。接着表面或いは砥粒層は特には凸及び/又は凹に湾曲されている。湾曲方向は例えば、工具ベースボディの長手中心軸に関連して、及び/又は、研削工具の工具駆動部に向けられたテンション側(テンショニングサイド)に関連して、定義されている。接着表面或いは砥粒層は例えば円筒状に又は球面状に形成されている。
【0014】
請求項3に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。両方の電極のうち少なくとも一方に対して工具ベースボディが相対的に運動することによって、接着表面上への砥粒の確実で均等なコーティングが保証され、また従って、均等な砥粒層が保証される。その運動によって少なくとも、電極の一方に対する配向、間隔、及び/又は、長さが変化される。その運動は、特には少なくとも部分的に、砥粒が接着表面へ向かって移動しそしてそこに付着する間に、行われる。工具ベースボディは例えば取り付け装置を用いて動かされる。
【0015】
請求項4に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。工具ベースボディの長手中心軸を異なる方向へ指向させることによって、複雑に形成された砥粒層を作製することが可能である。
【0016】
請求項5に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。長手中心軸の周りでの工具ベースボディの回転によって、砥粒を高速且つ均等に施すことが可能である。この回転は特には砥粒を施す間に行われる。特には回転速度が調整可能であり、その結果、簡潔且つ柔軟な様態での砥粒のコーティングが可能である。回転速度は例えば、施される砥粒の大きさ及び/又は質量、及び/又は、砥粒層の所望される厚さ、に応じて調整される。
【0017】
請求項6に従う方法は、高い削り取り能力及び長い耐用年数を保証する。静電場の力線は、電極の表面に対して垂直に出入りしており、その結果、力線の延伸は電極の表面形状、長さ、及び/又は配向によって調整可能である。力線に対して接着表面を適切に位置決めすることによって、複数の砥粒が所望の配向状態で接着表面上に施される。配向状態に基づいて、研削工具は高い削り取り能力及び長い耐用年数を有する。
【0018】
請求項7に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。搬送装置を用いることで、砥粒は自動的に静電場内へと搬送され、そこから静電場に起因して接着表面へと移動される。搬送装置は例えば連続的に又は断続的(周期的)に駆動可能である。特には、搬送装置は工具ベースボディの動きに応じて駆動される。例えば搬送装置は工具ベースボディの動きに同期されている。特に、搬送装置の移送速度は調整可能である。
【0019】
請求項8に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。搬送バンドは簡潔な様態での継ぎ目のない(輪の閉じた)搬送装置の形成を可能にする。搬送バンドは例えば少なくとも2つの転換ホイールの周りを案内されており、それをもって例えば搬送装置の連続的な駆動を可能にする。搬送バンドは特には電気的に絶縁されて形成されている。
【0020】
請求項9に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。第1の電極が重力の方向で搬送領域の下部に配設されていることによって、砥粒は簡潔な様態で静電場内へ入れられる。搬送領域は例えば搬送バンドの表面によって形成される。第1の電極は位置固定的に又は変位可能に配設されている。第1の電極は特にはプレート形状に形成されている。特にはプレート形状の電極は基本的に搬送バンドに対して平行に延び拡がっている。
【0021】
請求項10に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。少なくとも1つの調量装置は、砥粒を直接静電場及び/又は搬送装置に供給する。少なくとも1つの調量装置は塗布されるべき砥粒を調量しまた分配する。特に、少なくとも1つの調量装置は搬送装置の上流に配設されており、また砥粒を搬送装置に供給する。少なくとも1つの調量装置を用いて、特には砥粒からなる砥体混合物(砥粒混合物)が供給される。砥体混合物内では、砥粒はその大きさ、形状及び/又は材料が変化してもよい。砥体混合物は例えば、調量装置内へ供給される前に混合され得るので、正に1つの調量装置を用いた砥粒の供給が可能である。更には複数の調量装置にして、それぞれが正確に一種類の砥粒を含んでいる調量装置が設けられていてもよく、その結果、砥体混合物は柔軟な様態で供給の際に複数の調量装置を用いて混合される。少なくとも1つの調量装置を用いて、砥粒の配向、適量の調量、及び/又は、分配が行われる。
【0022】
請求項11に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。電圧を調整することによって、静電場は供給されるべき砥粒に適合される。
【0023】
請求項12に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。工具ベースボディ自体が第2の電極を形成していることによって、第2の電極は工具ベースボディに最低に適合されている。力線は接着表面に対して垂直に、工具ベースボディへ入り、或いは工具ベースボディから出ているので、砥粒は簡潔な様態で指向して複雑な三次元的に成形された接着表面上へ施され得る。工具ベースボディは少なくとも一部分で、或いは層ごとに、導電性である。工具ベースボディが第2の電極を形成していることによって、工具ベースボディと共にアンダーカットを形成する砥粒層も作製可能である。言い換えれば、工具ベースボディ或いは第2の電極は、研削工具に留まり、取り除かれる必要はない。
【0024】
請求項13に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。工具ベースボディが少なくとも1つの導電性の層を形成することによって、この工具ベースボディ自体が第2の電極を形成する。導電性の層は、特にはベースボディ表面、例えば工具ベースボディの前面及び/又は背面に、及び/又は、内部に存在するように、配置されている。工具ベースボディは例えば完全に導電性の材料から形成されていてもよい。
【0025】
請求項14に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。遮断場(ブロックフィールド)の形成が避けられるので、導電性の結合剤は砥粒のコーティングを簡潔化し、また、工具ベースボディが第2の電極を形成する場合、この工具ベースボディと共に特に有利に共同で作用する。
【0026】
請求項15に従う方法は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。導電性の材料によって工具ベースボディ自体が第2の電極を形成する。
【0027】
請求項16に従う方法は、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。第2の電極が工具ベースボディとは別々に形成されていることによって、第2の電極を複数の研削工具を製造するために使用することが可能である。分離した第2の電極を用いて、任意の材料からなる工具ベースボディが、特には非導電性の材料からなる工具ベースボディも、砥粒を施すことが出来る。
【0028】
請求項17に従う方法は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。第2の電極が少なくとも領域の一部で工具ベースボディに対応的に成形されていることによって、第2の電極の表面及び接着表面は、実質的に互いに平行に延伸し、その結果、力線は実質的に接着表面に対して垂直に指向されている。従って砥粒は接着表面に接着する際、所望の様態で指向され、それにより、高い削り取り能力及び長い耐用年数可能とされ得る。第2の電極は例えば、工具ベースボディの完全に対応して形成されている、そして、全面に渡って工具ベースボディに配置されている。更に、第2の電極は例えば部分領域にて工具ベースボディに対応的に成形されており、砥粒を施す間、工具ベースボディに対して相対的に動かされ、その際、第2の電極は移動の間に特には接着表面を実質的に完全にカバーする。
【0029】
請求項18に従う方法は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、簡潔で、柔軟でそして経済的な製造を保証する。第2の電極が工具ベースボディに対して当接することによって、第2の電極の表面は実質的に接着表面に対して平行に及び/又は接着表面付近で延伸し、その結果、砥粒は所望の配向と共に接着表面に塗布される。これにより、高い削り取り能力及び長い耐用年数が可能とされる。
【0030】
第2の課題は、請求項19の特徴を有する研削工具によって解決される。本発明に従う研削工具の長所は、すでに説明した本発明に従う製造方法の長所に対応する。研削工具は特には特許請求の範囲の請求項1から18のうちの少なくとも一項の少なくとも1つの特徴によっても、発展され得る。砥粒層は、任意の様態で三次元的に形成されている。例えば、湾曲して、及び/又は、例えば互いに傾斜して延伸する平面といった複数の互いに調整された平面で、形成されている。湾曲した形状にすることは、例えば隅肉溶接の処理及び/又は縁部の処理を可能にする。互いに傾いて延伸する複数の平面によって、砥粒層は荒仕上げ(荒削り)又は平面加工を可能とする面取り部を形成する。
【0031】
請求項20に従う研削工具は柔軟に使用可能である。湾曲した砥粒層によって、特には凸に及び/又は凹に湾曲した砥粒層によって、隅肉溶接の処理及び/又は縁部の処理を柔軟な様態で行うことが出来る。
【0032】
請求項21に従う研削工具は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、柔軟な使用を保証する。砥粒が工具ベースボディに向かって、すなわち三次元的に形成された砥粒層内で、調整(指向)されていることによって、研削工具は異なる使用時において高い削り取り能力及び長い耐用年数を有する。
【0033】
請求項22に従う研削工具は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、柔軟な使用を保証する。砥粒の大きさ(サイズ)により、研削工具の研削性能は所望の様態で調整される。大きな或いは粗い粒子の砥粒、及び、小さな或いは細かい粒子の砥粒からなる砥体混合物によって、特には、削り空間(チップ空間)の狙った調整、又従って削り取り能力及び研削面或いは砥粒層へのプラスの影響を及ぼすことが可能である。細かい砥粒は最大寸法D
1を有しており、他方、粗い粒子は最大寸法D
2を有している。それらの間には、D
1≦D
1が成り立つ。
【0034】
請求項23に従う研削工具は、簡潔な製造及び柔軟な使用を保証する。砥粒は細かい粒子で形成されている。細かい粒子の砥粒は特には粗い粒子の砥粒との結合状態で充填材(充填粒体)として利用される。細かい粒子の砥粒は、粗い粒子の砥粒よりも先に、それと共に、及び/又は、その後に、施される。細かい粒子の砥粒は電気的に及び/又は機械的に施される。粗い粒子の砥粒はそれぞれ最大寸法D
2を有しており、特には、D
1≦D
1が成り立つ。
【0035】
請求項24に従う研削工具は、簡潔な製造及び柔軟な使用を保証する。粗い粒子の砥粒は特には細かい粒子の砥粒との結合状態で施される(コーティングされる)。この場合粗い粒子の砥粒は主粒体を形成し、細かい粒子の砥粒は充填粒体を形成する。充填粒体は例えば褐色アルミナ(通常コランダム)からなる。粗い粒子の砥粒は例えばセラミックからなる。細かい粒子の砥粒はそれぞれ最大寸法D
1を有しており、特には、D
1≦D
1が成り立つ。
【0036】
請求項25に従う研削工具は、高い削り取り能力及び長い耐用年数と共に、柔軟な使用を保証する。砥粒層を施した後、研削工具或いは結合剤(基礎結合部)は通常の様態で炉内にて硬化される。少なくとも1つのカバー結合固定部並びに場合によっては追加のカバー層を形成するため、結合剤は砥粒層上へ塗布される。カバー結合固定部或いはカバー層によって、削り取り能力及び耐用年数は改善される。結合剤は、例えば接着表面を形成するため結合剤に対応的に構成されており、また、通常の様態では、例えば氷晶石やテトラフルオロほう酸カリウムのような研磨能力のある充填材を含んでいてもよい。カバー層或いはカバー結合固定部は特には炉内で硬化される。
【0037】
本発明の更なる特徴、長所及び詳細は、複数の実施例についての以下の説明からもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】2つの電極の間の静電場を用いて砥粒で工具ベースボディを施すことによって研削工具を製造するための装置の概略図を示す。
【
図2】第1の実施例に従う、
図1の工具ベースボディ及び関連する電極の拡大断面図を示す。
【
図3】完成した研削工具のが医薬的な断面図を示す。
【
図4】第2の実施例に従う工具ベースボディ及び関連する電極の断面図を示す。
【
図5】第3の実施例に従う電極として形成された工具ベースボディの断面図を示す。
【
図6】第4の実施例に従う電極として形成された工具ベースボディの断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下においては、
図1及び
図3を用いて本発明の第1の実施例が説明される。研削工具2を製造するための装置1は工具ベースボディ4の取り扱い及び位置決めのための取り扱い装置3、静電場Eを発生させるための第1の電極5及び関連する第2の電極、搬送装置10に対して砥粒8、9を供給するための投入装置(測量装置)7を含んでいる。
【0040】
搬送装置10は2つの転換ローラ12、13を用いてテンションをかけられている継ぎ目のない(輪の閉じた)搬送バンド11を含んでいる。転換ローラ12は例えば電気駆動モータ14を用いて回転駆動される。搬送バンド11の、重力F
Gに関して転換ローラ12、13の上方に配されている部分は、水平なx方向及び水平なy方向に延びる搬送領域15を形成している。
【0041】
投入装置7は搬送装置16において電極5、6の上流に配設されている。第1の電極5はプレート形状で形成されており、また重力F
Gの方向で搬送バンド11の上部部材の下部或いは搬送領域15の下部に配設されている。反対に第2の電極6は重力F
Gに関して搬送バンド11或いは搬送領域15の上部に配設されている。第2の電極6は従って垂直(鉛直)なz方向において第1の電極5に対して間隔を有しており、その結果、搬送領域15は電極5、6の間で延びている。x方向、y方向、及び、z方向はデカルト座標系を形成している。
【0042】
装置1の機能については以下に記載される。
【0043】
第2の電極6は工具ベースボディ4とは別々に形成されており、工具ベースボディ4と対応的に成形されている。第2の電極6は取り扱い装置3に固定されている。工具ベースボディ4は、第2の電極6が基本的に全面に渡って工具ベースボディ4の背面17に当接するように、取り扱い装置3を用いて保持されている。取り扱い装置3は例えば機械的及び/又は空圧的に工具ベースボディ4を保持している。第1の電極5及び第2の電極6の間には、電圧Uが印加しており、当該電圧Uは電源18によって発生されまた調整可能である。
【0044】
工具ベースボディ4は三次元的(立体的)な形状を有している。内側領域19では工具ベースボディ4はディスク形状で形成されており、また、例えばハブ20を有している。代替的に、工具ベースボディ4はハブ20の代わりにシャフトを有してもよい。ハブ20又はシャフトのない構成もまた可能である。それに対し、工具ベースボディ4は領域19の周りを取り囲む領域21では湾曲されて形成されている。
【0045】
第2の電極6に離背する前面22には、まず結合剤23が塗布され、その結果工具ベースボディ4に配されている結合剤23は、三次元的に成形された接着表面24を形成する。結合剤23は例えば樹脂、特にはフェノール樹脂である。工具ベースボディ4は、例えばバルカンファイバー又はポリエステルといった通常の材料からなる。結合剤23は例えば手作業で、又は、取り扱い装置3を用いて施される。工具ベースボディ4は例えば取り扱い装置3を用いて前面22で結合剤23内へ浸漬される。
【0046】
工具ベースボディ4はそれに続き取り扱い装置3を用いてz方向で第1の電極5の上方に位置決めされ、その結果、接着表面24は部分的に電力5、6の間の静電場Eに配置される。力線は第1の電極5の表面から出て、第2の電極6の表面へ垂直に入るので、その結果、力線は基本的に接着表面24を通って垂直に延びている。これは、
図2においてf
1、f
2及びf
3に関して図示されている。
【0047】
搬送装置10を用いて、砥粒8、9は三次元的に成形された砥粒層25を形成するため静電場Eへと搬送される。このために投入装置7は、例えば粒子の細かい砥粒8及び粒子の粗い砥粒9からなる混合物を、準備する。細かい粒子の砥粒8のそれぞれは、最大寸法D
1を有しており、砥粒8の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D
1≦5000μm、特には5μm≦D
1≦500μm、また特には10μm≦D
1≦250μmが当てはまる。それに対し、砥粒9のそれぞれは最大寸法D
2を有しており、砥粒9の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D
2≦5000μm、特には150μm≦D
2≦3000μm、また特には250μm≦D
2≦1500μmが当てはまる。特にはD
1≦D
2が成り立つ。従って砥粒8、9は混合物内で最大寸法D
1或いはD
2を有しており、混合物内の最大寸法は共通してDと称されている。従って、混合物内で砥粒8、9は最大寸法Dを有しており、砥粒8、9の少なくとも80%に対して、特には少なくとも90%に対して、また特には少なくとも95%に対して、1μm≦D≦5000μm、特には10μm≦D≦2500μm、また特には100μm≦D≦1000μmが当てはまる。
【0048】
砥粒8、9は投入装置7を用いて適量投入され、搬送バンド11に供給され、その上で分配される。例えば電気駆動モータ14を用いて、搬送バンド11はその上に配された砥粒8、9と共に搬送方向16で移動され、その結果、砥粒8、9は静電場Eへと入れられる。例えば電気駆動モータ14を用いて、搬送方向16での移送速度を調整することが出来る。
【0049】
静電場Eによって砥粒8、9は重力F
Gに逆らって接着表面24へ向かって移動され、そして、力線に沿って、例えば力線f
1、f
2及びf
3に沿って指向される。砥粒8、9が接着表面24に当たると、それらはそこで接着したままとなる。接着している砥粒8、9によって、工具ベースボディ4には砥粒層25が形成される。砥粒8、9を均一に及び均等に施すために、工具ベースボディ4は取り扱い装置3を用いて長手中心軸の周りで回転される。粒子の粗い砥粒9の間で、粒子の細かい砥粒8が工具ベースボディ4に付着しているので、その結果、砥粒層25は均等に形成される。粒子の粗い砥粒9はこの場合、主砥粒を形成し、粒子の細かい砥粒8は充填砥粒を形成する。砥粒層25は、接着表面24に対応的に、三次元的に成形される或いは湾曲される。更に、工具ベースボディ4は必要な場合には、長手中心軸26が第1の電極5に対して異なる方向で指向されているように動かされる。
【0050】
砥粒層25が完成まで工具ベースボディ4上に施されているので、工具ベースボディ4は結合剤23及び砥粒層25と共に半製品を形成する。半製品は取り扱い装置3から取り外され、結合剤23が硬化される加熱装置内に配置される。それに続き砥粒層25へ通常の方法で少なくともカバー結合固定部27並びに場合によってはカバー層31が施される。カバー結合固定部27は例えば、研削に有効な(グラインドアクティブな)追加の充填材と共に結合剤23を有している。カバー層31はカバー結合固定部27上へ施される。カバー層31は追加の研削に有効な充填材と共に結合剤23を有している。その際、研削に有効な充填材の割合は、特にはカバー結合固定部27での割合よりも大きい。カバー結合固定部27及びカバー層31は例えば手動で塗布される。それに続き、カバー結合固定部27及びカバー層31は加熱装置内で硬化される。結合剤23は例えばフェノール樹脂及びチョークを含んでいる。カバー結合固定部27及びカバー層31は例えば、フェノール樹脂、チョーク、及び氷晶石を含んでいる。製造中の湿度は例えば0%から100%の値を取り、特には35%から80%の値を取る。
図3には、完成した研削工具が図示されている。
【0051】
以下においては、
図4を用いて本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例とは異なり、第2の電極6は工具ベースボディ4よりも小さく形成されており、また、工具ベースボディ4の部分領域のみに重なっている。この部分領域では、第2の電力6は工具ベースボディ4に対応的に成形されているので、その結果、第2の電極6は基本的に接着表面24に対して平行に延伸している。第2の電極6は工具ベースボディ4の背面側17には当接しておらず、それに対して僅かに間隔を置かれている。第2の電極6は取り扱い装置3に固定的に接続されているが、工具ベースボディ4は取り扱い装置3を用いて長手中心軸26の周りで回転される。従って、工具ベースボディ4は、長手中心軸26の周りでの回転によって、第2の電極6に対して相対的に運動する。砥粒8、9は、静電場Eの領域内では、接着表面24の方向へ移動し、また接着表面24に接触するとそこで接着したまま留まる。工具ベースボディ4は第2の電極6に対して相対的に移動するので、つまり長手中心軸26の周りで回転するので、接着表面24は全体で、砥粒8、9で層状に覆われる。本装置1の他の構造、並びの本装置1の機能、及び研削工具2の他の構造に関しては、前述の実施例が指摘される。
【0052】
以下においては
図5を用いて、第3の実施例について説明する。先の2つの実施例とは異なり、工具ベースボディ4はそれ自体で第2の電極6を形成している。そのために工具ベースボディ4は特には金属といった導電性の材料からなる。工具ベースボディ4は例えばアルミニウム製である。
図5に図示されている工具ベースボディ4は、平坦な内側領域(中心側領域)19及び凸に湾曲された領域21に加えて、凹に湾曲された領域28を有している。接着表面24は従って、複雑な様態で三次元的に成形されている。塗布された結合剤23は遮断場を避けるため、及び静電場Eを最適化するため電気伝導性を有している。導電性の結合剤23は、例えば導電ワニスである。力線f
1からf
3は再度接着表面24を通って垂直に延びており、その結果、砥粒8、9は複雑に形成された接着表面24にもかかわらず指向されてこの接着表面24上に塗布される。長手中心軸26は基本的にxy平面内で延びているので、長手中心軸26の周りでの工具ベースボディ4の回転によって、内部領域19並びに領域21及び領域28は、確実にそして均等に砥粒8、9によって層状に覆われる。装置1の更なる構造並びに機能に関してまた研削工具2の更なる構造に関しては、上述の実施例が指摘される。
【0053】
以下においては、
図6を用いて、本発明の第4の実施例について説明する。上述の複数の実施例との差異に関して、工具ベースボディ4は、導電性を有していない材料からなるベースボディ29、及び、ベースボディ29に固定的に接続された導電性の層(膜)30を含んでいる。導電性の層30に基づいて、工具ベースボディ4自体が第2の電極6を形成している。層30は例えば銅フィルムである。導電性の層30へ結合剤23がコーティングされ、その結果接着表面24が形成される。結合剤23は導電性を有していてもよい。工具ベースボディ4は、内部領域19、凸に湾曲された領域21、及び、凹に湾曲された領域28を有している。内部領域19及び凸に湾曲された領域21の間には、面取りした領域32或いは面取り部が配されている。面取りした領域32及び内側領域19は角度αで接続しており、その際α≠180°である。面取りした領域32は例えば、荒削り又は面加工のために利用される。工具ベースボディ4は長手中心軸26の周りで回転するので、接着表面24は複雑な3次元的な形状にもかかわらず確実にそして均一に砥粒8、9を用いて層状に覆われる。形成される砥粒層25は、凸及び凹な湾曲部に基づいて並びに面取り部或いは面取りされた領域に基づいて、複雑な様態で三次元的に形成されている。装置1の更なる構造並びに機能に関してまた研削工具2の更なる構造に関しては、上述の実施例が指摘される。
【0054】
本発明に従う方法は、僅かな数の製造工程を有しており、特には上塗りされた研削材の変形を回避している。本発明に従う方法は、複数の異なる使用目的のための複雑に三次元的に形成された砥粒層を備える研削工具2を製造することが可能である。研削工具の削り取り能力並びに耐用年数は本願発明の場合、上塗りされた研削材から製造される研削工具と比較出来るほどである。砥粒8、9を静電的に施すことによって特には、砥粒8、9がそのそれぞれの長手軸で工具ベースボディ4の接着面24或いは表面に対して垂直に指向されていることが可能となる。これは互い削り取り能力及び長い耐用年数を保証する。本発明に従う研削工具2は、更に結合された研削材と比較して、より僅かな騒音及び振動の負荷並びに使用時におけるより僅かな労力を伴う。
【符号の説明】
【0055】
4 工具ベースボディ
5 第1の電極
6 第2の電極
8 (粒子の細かい)砥粒
9 (粒子の粗い)砥粒
10 搬送装置
11 搬送バンド
23 結合剤
24 接着表面
25 砥粒層
26 長手中心軸
27 カバー結合固定部
30 導電層
31 カバー層
E 静電場
U 電圧
【国際調査報告】