特表2020-507527(P2020-507527A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-507527エアロゾル発生装置のためのカートリッジに液体を充填する方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-507527(P2020-507527A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置のためのカートリッジに液体を充填する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/04 20060101AFI20200214BHJP
【FI】
   B65B3/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-544023(P2019-544023)
(86)(22)【出願日】2018年2月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月15日
(86)【国際出願番号】IB2018050942
(87)【国際公開番号】WO2018150356
(87)【国際公開日】20180823
(31)【優先権主張番号】102017000016823
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】392003937
【氏名又は名称】ジー.デー ソチエタ ペル アツィオニ
【氏名又は名称原語表記】G.D SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】フランコ セルベンティ
(72)【発明者】
【氏名】カテッロ ソルレンティーノ
(72)【発明者】
【氏名】ジョバンニ マデラ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ フェデリーチ
【テーマコード(参考)】
3E118
【Fターム(参考)】
3E118AA01
3E118AB14
3E118BA05
3E118BB21
3E118CA01
3E118DA01
3E118DA02
3E118DA05
3E118EA05
(57)【要約】
エアロゾル発生装置のためのカートリッジ(1)に液体を充填する方法及び装置であって、側壁(10b)を有する容器(10)と、容器(10)内に配置された吸収性エレメント(11)とを有するカートリッジ(1)を提供し、容器(10)の側壁(10b)と吸収性エレメント(11)との間に少なくとも1つのカニューレ(2)の1つの定量供給端部(2a)を配置し、そして、所定の用量の液体をカニューレ(2)を通して容器(10)内へ注入する、方法及び装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置のためのカートリッジ(1)に液体を充填する方法であって、
容器(10)と該容器(10)内に配置された吸収性エレメント(11)とを有するカートリッジ(1)を用意するステップを備え、前記容器(10)は、底部(10a)と、該底部(10a)から立ち上がる側壁(10b)とを備える方法において、
前記容器(10)の前記側壁(10b)と前記吸収性エレメント(11)との間に少なくとも1つのカニューレ(2)の定量供給端部(2a)を配置するステップと、
所定の用量の液体を前記カニューレ(2)を通して前記容器(10)内へ注入するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記吸収性エレメント(11)は、前記容器(10)の前記側壁(10b)と接触した状態又は近接した状態に置かれ、前記容器(10)の前記側壁(10b)と前記吸収性エレメント(11)との間に前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を配置する前記ステップは、
前記容器(10)の前記側壁(10b)と接触した状態で前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を配置するステップと、
前記容器(10)の前記側壁(10b)に沿って前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)をスライドさせることにより、前記カニューレ(2)と前記カートリッジ(1)とを相互に動かすステップと、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記容器(10)の前記側壁(10b)と接触した状態で前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を配置する前に、前記容器(10)の前記側壁(10b)に面するように前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を配置する前記ステップを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記容器(10)の前記側壁(10b)に沿って前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)をスライドさせることにより、前記カニューレ(2)と前記カートリッジ(1)とを相互に動かす前記ステップは、前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を前記容器(10)の底部(10a)に向かってスライドさせることを有する、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記カニューレ(2)が長手方向の延び軸線(X)を有し、前記容器(10)はそれぞれの延び軸線(Y)に沿った長手方向の延びを有し、前記カニューレ(2)と前記カートリッジ(1)とを相互に動かす前記ステップは、前記カニューレ(2)の延び軸線(X)と前記容器(10)の前記延び軸線(Y)とを互いに平行に維持することにより行われる、請求項2〜4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記カニューレ(2)と前記カートリッジ(1)とを相互に動かす前記ステップは、前記カニューレ(2)を動かし、そして前記カートリッジ(1)を定置に維持することを有する、請求項2〜5までの何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記吸収性エレメント(11)が所定の高さ(h)を有しており、前記容器の前記底部(10a)と接触した状態で配置され、前記容器(10)の前記側壁(10b)と前記吸収性エレメント(11)との間に前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を配置する前記ステップは、前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)を前記容器の前記底部(10a)から前記吸収性エレメント(11)の高さ(h)の30%〜70%の距離を置いて配置する、請求項1〜6まで何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記容器(10)の前記側壁(10b)と前記吸収性エレメント(11)との間に、第1カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)及び第2カニューレ(6)の前記定量供給端部(6a)を配置するステップと、
所定の用量の液体を前記第1カニューレ(2)及び前記第2カニューレ(6)を通して前記容器(10)内へ注入するステップと、
を有する請求項1〜7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の用量の液体を前記容器(10)内へ注入する前記ステップが、前記第1カニューレ(2)及び前記第2カニューレ(6)を通して液体を同時に注入することを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
エアロゾル発生装置のためのカートリッジ(1)に液体を充填する装置(3)であって、
前記カートリッジ(1)が容器(10)及び前記容器(10)内に配置された吸収性エレメント(11)を備え、前記容器(10)が底部(10a)及び前記底部(10a)から立ち上がる側壁(10b)を有し、
少なくとも1つのカニューレ(2)を備える装置(3)において、
カートリッジ(1)を受容するように成形された少なくとも1つの座部(4)と、
作業位置(A)から、及び該作業位置(A)に向かって前記カートリッジ(1)と前記カニューレ(2)とを相互に動かすための運動手段であって、前記カニューレ(2)の定量供給端部(2a)が前記容器(10)の前記側壁(10b)と前記吸収性エレメント(11)との間に配置されている、運動手段と、
前記カートリッジ(1)及び前記カニューレ(2)が前記作業位置(A)にあるときに、所定の用量の液体を前記カニューレ(2)内へ注入するための注入手段(7)と、
を備えることを特徴とする装置(3)。
【請求項11】
前記装置(3)が液体のためのリザーバを含み、前記注入手段(7)が、前記リザーバから所定の用量の液体を吸引し、該用量を前記カニューレ(2)内へ注入するために前記リザーバと前記カニューレ(2)とを流体連通させる、請求項10に記載の装置(3)。
【請求項12】
前記カニューレ(2)の前記定量供給端部(2a)が楔形である、請求項9又は10に記載の装置(3)。
【請求項13】
鉛直方向軸線を中心として回転するホイール(5)であって、複数の前記座部(4)を備え、それぞれの座部がカートリッジ(1)を受容するように成形されている、ホイール(5)と、
前記ホイール(5)の前記鉛直方向軸線を中心として回転する複数のカニューレ(2)であって、前記カニューレ(2)の回転が前記ホイール(5)の回転と同調する、複数のカニューレ(2)と、を備え、
前記作業位置(A)から、該作業位置(A)に向かって前記カートリッジ(1)と前記カニューレ(2)とを相互運動させ得るように、各カニューレ(2)が前記ホイール(5)の座部(4)に面している、請求項10〜12の何れか一項に記載の装置(3)。
【請求項14】
制御ユニットと、
前記座部(4)内の前記カートリッジ(1)の存在を検出するためのセンサであって、検出されたデータを前記制御ユニットへ提供するように、前記制御ユニットに接続されている、センサと、を備え、
前記制御ユニットが、前記センサによって検出されたデータに基づいて前記注入手段(7)を制御するために、前記注入手段(7)に接続されている、請求項10〜13の何れか一項に記載の装置(3)。
【請求項15】
制御ユニットと、
前記カニューレ(2)及び前記カートリッジ(1)が前記作業位置(A)に向かって動かされるときに前記カニューレ(2)及び前記カートリッジ(1)の少なくとも1つの画像を取得し、そして前記液体の入れた後に前記カートリッジ(1)の熱画像を取得するための画像捕捉手段と、
前記カニューレ(2)を通る液体の量を測定するための流量センサと、を備え、
前記液体が前記カートリッジ(1)内へ注入された後、前記カートリッジが正しい用量の液体を含有しているか否かを評価するために、前記制御ユニットが前記画像捕捉手段及び前記流量センサに接続されている、請求項10〜13の何れか一項に記載の装置(3)。
【請求項16】
前記画像捕捉手段が、
前記カニューレ(2)及び前記カートリッジ(1)が前記作業位置(A)に向かって動かされたときに、前記カニューレ(2)及び前記カートリッジ(1)の正しい相互位置決めを評価するために、前記カニューレ(2)及び前記カートリッジ(1)の少なくとも1つの画像を捕捉するカメラと、
前記液体を入れた後、前記カートリッジ(1)の前記熱画像を捕捉するサーモグラフィックカメラと、
を備える請求項15に記載の装置(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2017年2月15日付けで出願されたイタリア国特許出願第102017000016823号の優先権を主張する。この文献の開示内容は参照することにより援用される。
【0002】
本発明は、エアロゾル発生装置のためのカートリッジに液体を充填する方法及び装置に関する。
【0003】
具体的には、本発明は、容器と容器内に配置された吸収性エレメントとを備えるカートリッジに液体を充填する方法及び装置に言及する。
【背景技術】
【0004】
バッテリーと、バッテリーによって供給されるアトマイザーと、液体を含有するカートリッジとを備えるエアロゾル発生装置が知られている。使用中、アトマイザーはカートリッジ内に含有された液体を加熱し、喫煙者は生成された蒸気を吸入する。
【0005】
エアロゾル発生装置と一緒に使用することで知られているタイプのカートリッジは、容器と、容器内に配置された、容器の側壁と接触している吸収性エレメントと、吸収性エレメントによって保持された液体(例えばタバコ又は果実の風味が付けられた液体)と、容器を閉じるキャップとを備える。
【0006】
前述のカートリッジを形成するためには、吸収性エレメントを容器内に入れ、次いで注入手段(例えば針又はカニューレを備える)によって、吸収性エレメントを穿孔することなしに容器内へ所定の用量の液体を注入する。
【0007】
しかしながら、前記カートリッジ充填作業はかなり低速である。それというのも吸収性エレメントの吸収速度が低減されるからである。さらに、液体が容器から漏れ出るのを防止するために、液体を注入する速度は必然的に吸収性エレメントの吸収速度よりも低くしなければならない。
【0008】
前述の問題点を取り除くために、特許文献1は、連続的な工程において所定の用量の液体を注入することを示唆している。例えば、図1A〜1Dを参照すると、所定の用量の液体は4つの別々の工程でカートリッジ100内へ注入される。すなわち、所定の用量の第1の4分の1の液体をカートリッジ100の吸収体101の第1角度位置101Aで注入し(図1A)、所定の用量の第2の4分の1の液体をカートリッジ100の吸収体101の第2角度位置101Bで注入し(図1B)、所定の用量の第3の4分の1の液体をカートリッジ100の吸収体101の第3角度位置101Cで注入し(図1C)、そして所定の用量の最後の4分の1の液体をカートリッジ100の吸収体101の第4角度位置101Dで注入する(図1D)。
【0009】
しかしながら、上述の充填方法は、液体を間欠的に注入すること、そしてそれぞれの個々のカートリッジを充填するために注入手段を数回動かすことを考慮に入れている。結果として、カートリッジの充填は、極めて長い時間を費やす作業となる。
【0010】
特許文献2は、最も近い技術状況を示しており、電子気化装置の自動生産のための方法及びシステムを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0223522(A1)号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015/0289565(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、前述の欠点を克服する、エアロゾル発生装置のためのカートリッジに液体を充填する方法及び装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらなる目的は、迅速なカートリッジ充填を可能にすることに加えて、吸収性エレメントが損傷されないことを保証する方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の目的は、添付の請求項に基づく方法及び装置によって達成される。
【0015】
添付の図面を参照しながら本発明を以下に説明する。図面は本発明のいくつかの非制限的な実施態様を示している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A-1D】従来技術の方法の連続工程中のカートリッジをそれぞれ示す平面図である。
図2A-2D】本発明の方法目的の1実施態様における連続工程中のカートリッジをそれぞれ示す断面図である。
図3】本発明の装置目的の一部を示す斜視図である。
図4図3の装置の平面図である。
図5図3の装置の側面図である。
図6A-6D】本発明の方法目的のさらなる実施態様における連続工程中のカートリッジをそれぞれ示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
添付の図2A図6Dを参照すると、エアロゾル発生装置のためのカートリッジが符号1で全体的に示されている。
【0018】
カートリッジ1は、容器10と、容器10内に配置された吸収性エレメント11とを備える。容器10は、例えばステンレス鋼、プラスチック、又はガラスから形成することができ、これに対して、液体を吸収し保持しなければならない吸収性エレメント11は例えば綿から形成することができる。
【0019】
図面に示されているカートリッジ1の実施態様によれば、容器10は底部10aと側壁10bとを備える。側壁10bは底部10aから立ち上がり、底部10aとは反対側に自由縁部10cを有している。自由縁部10cは容器10の開口10dを仕切っている。
【0020】
図2A又は6Aを具体的に参照すると、容器10は、容器10の延び(development)全体に沿って円形の一定の断面を備えた管形状を有しており、それぞれの延び軸線(development axis)Yに沿って長手方向の延びを有している。
【0021】
さらに図面に示されたカートリッジ1の実施態様を参照すると、吸収性エレメント11は、容器10の底部10a及び側壁10bに接触するように、容器10内に配置されている。
【0022】
具体的には、さらに吸収性エレメント11は、長手方向の延びを有する管形状を有し、容器10の断面に対して同じ形状を有する同じ断面を有することができる。吸収性エレメント11は、容器10の開口10dに面する上面11aを備える。
【0023】
容器10は高さh1を有し、吸収性エレメント11は、容器10の高さh1に対して好ましくは低い高さhを有している。従って、吸収性エレメント11の上面11aと容器10の自由縁部10cとの間の容器10の容積は空である。
【0024】
本発明の保護範囲を逸脱することなしにカートリッジ1の他の実施態様が可能になることは明らかである。例えば、容器10は容器10の延び全体に沿って正方形又は六角形及び/又は一定でない断面を有することもできる。さらに、吸収性エレメント11は、容器10の側壁10b(とは接触することなしに)の近くにあるように、容器10内に配置することもでき、或いは、容器10の底部10aと接触していなくてもよい。さらに、吸収性エレメント10は、容器10の高さh1と等しい高さhを有することもできる。
【0025】
図2A〜2Dを参照しながら、本発明の方法の第1実施態様を以下に説明する。
【0026】
この方法は、
前述の実施態様のうちの1つに基づくカートリッジ1を用意するステップと、
容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを配置するステップと、
所定の用量の液体をカニューレ2を通して容器10内へ注入するステップと、
を有する。
【0027】
カニューレ2の定量供給端部2aが容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間に配置されているという事実に基づき、提案された方法は、吸収性エレメント11を損傷することなしに、カートリッジ1を迅速に充填するのを可能にするので有利である。具体的には、提案された方法は、容器10から液体が溢れるリスクなしに、吸収性エレメント11の吸収速度よりも高い速度で液体を注入するのを可能にする。
【0028】
所定の用量の液体をカニューレ2を通して容器10内へ注入するステップは、容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを配置するステップに続いて実施される。
【0029】
容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを配置するステップ(図2D)は、
容器10の側壁10bと接触した状態でカニューレ2の定量供給端部2aを配置するステップと(図2C)、
容器10の側壁10bに沿ってカニューレ2の定量供給端部2aをスライドさせることにより、カニューレ2とカートリッジ1とを相互運動させるステップと、を有することが好ましい。
【0030】
こうして、吸収性エレメント11を容器10の側壁10bと接触させるか、又はその近くに置いても、吸収性エレメント11がカニューレ2によって損傷されないことが保証される。
【0031】
具体的には、容器10の側壁10bと接触した状態でカニューレ2の定量供給端部2aを配置する前に、容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを先ず配置すると、この方法は、カニューレ2の定量供給端部2aを、容器10の側壁10bに面するように配置するのを可能にする(図2B)。
【0032】
換言すれば、カニューレ2の定量供給端部2aは先ず、吸収性エレメント11の上面11aと容器10の自由縁部10cとの間に置かれ、そしてそれに続いてのみ、カニューレ2の定量供給端部2aは容器10の側壁10bと接触した状態で配置される。
【0033】
カニューレ2の定量供給端部2aによって吸収性エレメント11を誤って穿孔するリスクが低減されるので有利である。
【0034】
好ましくは、容器10の側壁10bに沿ってカニューレ2の定量供給端部2aをスライドさせることにより、カニューレ2とカートリッジ1とを相互運動させるステップは、カニューレ2の定量供給端部2aを容器10の底部10aに向かってスライドさせるのを可能にする。
【0035】
カニューレ2は管形状、好ましくは円筒形状(例えば針)を有し、長手方向の延び軸線Xを有している。
【0036】
好ましくは、カニューレ2とカートリッジ1とを相互運動させるステップが、カニューレ2の延び軸線Xと容器10の延び軸線Yとを互いに平行に維持することにより行われる。
【0037】
カニューレ2は吸収性エレメント11と容器10の側部10bとの間に、吸収性エレメント11を損傷することなしに挿入されると有利である。
【0038】
好ましくは、カニューレ2とカートリッジ1とを相互運動させる工程は、カートリッジ1を(カニューレ2に対して)静止状態で維持しながらカニューレ2を動かすのを可能にする。
【0039】
吸収性エレメント11が容器10の底部10aと接触した状態で配置されているカートリッジ1を考察すると、容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを配置する工程は、カニューレ2の定量供給端部2aを容器10の底部10aから、吸収性エレメント11の所定の高さhの30%〜70%の距離を置いて配置するのを可能にする。
【0040】
こうして、吸収性エレメント11による液体の吸収が最適化される。カートリッジ1の充填速度が高くなるので有利である。
【0041】
さらにより好ましくは、容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間にカニューレ2の定量供給端部2aを配置する工程は、吸収性エレメント11の所定の高さhの中間点にカニューレ2の定量供給端部2aを配置するのを可能にする。
【0042】
図2Aを参照すると、カニューレ2及びカートリッジ1は非作業位置にある。すなわち、カニューレ2は容器10の外部に配置されて、この場合延び軸線Xは容器10の延び軸線Yに対して平行であり、且つ定量供給端部2aが容器10の開口10dに面している。具体的には、カニューレ2は、容器10の底部10aに対してセンタリングされて配置されている。
【0043】
非作業位置から出発して、カニューレ2の定量供給端部2aが容器10の側壁10bに面するまで、カニューレ2は容器10の底部10aに向かって動かされる(図2B)。さらに図2Bを参照すると、カニューレ2の定量供給端部2aは、吸収性エレメント11の上面11aと容器10の自由縁部10cとの間に配置されている。
【0044】
続いて、定量供給端部10が吸収性エレメント11の上面11aの上方で容器10の側壁10bと接触させられるまで、カニューレ2が動かされる(図2C)。具体的には、カニューレ2の定量供給端部2aは、容器10の底部10aに対して斜めの軌道に沿って動かされる。すなわち、カニューレ2の定量供給端部2aは、側壁10bに向かって、且つ容器10の底部10aに向かって同時に並進運動させられる。
【0045】
最後に、図2Dを参照すると、カニューレ2は容器10の底部10aに向かって並進運動させられる。具体的には、カニューレ2は、延び軸線Xが容器10の延び軸線Yに対して平行な状態で維持され、そして定量供給端部2aが容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間に配置されるまで、容器10の側壁10bに沿ってスライドさせられる。
【0046】
図6A〜6Dを参照しながら、本発明の方法のさらなる実施態様を以下に説明する。前記実施態様では、液体は、第1カニューレ2及び第2カニューレ6によって容器10内へ注入される。
【0047】
具体的には、この方法は、
容器(10)の側壁(10b)と吸収性エレメント(11)との間に、第1カニューレ(2)の定量供給端部(2a)及び第2カニューレ(6)の定量供給端部(6a)を配置するステップと、
所定の用量の液体を第1カニューレ(2)及び第2カニューレ(6)を通して容器(10)内へ注入するステップと、を有する。
【0048】
この方法はカートリッジ(1)の充填時間が低減されるので有利である。
【0049】
さらに、所定の用量の液体を容器(10)内へ注入するステップは、第1カニューレ(2)及び第2カニューレ(6)を通して液体を同時に注入するのを可能にする。結果として、カートリッジ(1)の充填時間がさらに低減される。
【0050】
図6Aを参照すると、第1カニューレ2、第2カニューレ6、及びカートリッジ1は非作業位置にある。すなわち、第1カニューレ2及び第2カニューレ6は容器10の外部に配置されて、この場合、延び軸線Xは容器10の延び軸線Yに対して平行であり、且つそれぞれの定量供給端部2a,6aが容器10の開口10dに面している。
【0051】
非作業位置から出発して、それぞれの定量供給端部2a,6aが容器10の側壁10bに面するまで、第1カニューレ2及び第2カニューレ6は容器10の底部10aに向かって同時に動かされる(図6B参照)。さらに図6Bを参照すると、定量供給端部2a,6aは、吸収性エレメント11の上面11aと容器10の自由縁部10cとの間に配置されている。
【0052】
続いて、それぞれの定量供給端部2a,6aが吸収性エレメント11の上面11aの上方で容器10の側壁10bと接触させられるまで、第1カニューレ2及び第2カニューレ6が動かされる(図6C)。具体的には、定量供給端部2a,6aは、容器10の底部10aに対して斜めの軌道に沿って動かされる。すなわち、定量供給端部2a,6aは、側壁10bに向かって(互いに反対方向に)、且つ容器10の底部10aに向かって同時に動かされる。再び図6Cを参照すると、第1カニューレ2の定量供給端部2aは、第2カニューレ6の定量供給端部6aの接触点とは反対側の点で、側壁10bに接触する。
【0053】
最後に、図6Dを参照すると、第1カニューレ2及び第2カニューレ6は容器10の底部10aに向かって動かされる。具体的には、第1カニューレ2及び第2カニューレ6は、それぞれの延び軸線Xが容器10の延び軸線Yに対して平行な状態で維持され、そしてそれぞれの定量供給端部2a,6aが容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間に配置されるまで、容器10の側壁10bに沿ってスライドさせられる。
【0054】
言うまでもなく、方法の第1及び第2双方の好ましい実施態様によれば、作業位置Aに達するために、カートリッジ1が動かされ、そしてカニューレ2が静止状態で保たれてもよい。
【0055】
図3〜5を参照すると、本発明の、エアロゾル発生装置のためのカートリッジ1に液体を充填するための装置が符号3で全体的に示されている。
【0056】
装置3は、
カニューレ2と、
上記実施態様のうちの1つに基づくカートリッジ1を受容するように成形された少なくとも1つの座部4と、
カニューレ2の定量供給端部2aが容器10の側壁10bと吸収性エレメント11との間に配置されている作業位置Aから、そして前記作業位置Aに向かってカートリッジ1とカニューレ2とを相互運動させるための運動手段と、
カートリッジ1及びカニューレ2が作業位置Aにあるときに、所定の用量の液体をカニューレ2内へ注入するための注入手段7と、
を備える。
【0057】
提案された装置3は、カートリッジ1に液体を極めて短い時間で充填するのを可能にするので有利である。
【0058】
好ましくは、装置3は液体のためのリザーバ(図示せず)を備える。この事例において、注入手段7は、リザーバから所定の用量の液体を吸引し、そしてその用量をカニューレ2内へ注入するためにリザーバとカニューレ2とを流体連通させる。
【0059】
カニューレ2は管形状を有し、液体がそこから流出する定量供給端部2aと、そこから液体を入れる挿入端部2bとを備える。
【0060】
カニューレ(2)の定量供給端部2aは楔形であってよい。
【0061】
定量供給端部2aの前記形態は、吸収性エレメント11を損傷することなしに、吸収性エレメント11と容器10の側壁10bとの間にカニューレ2の定量供給端部2aを挿入するのを容易にする。実際に、吸収性エレメント11が容器10の側壁10bと接触させられる場合にも、定量供給端部2aのこのような形態は、吸収性エレメント11の変形を僅かにしかもたらさず、ひいては吸収性エレメント11はカニューレ2によって穿孔されることはない。
【0062】
さらに、装置3は、鉛直方向軸線を中心として回転するホイール5が、複数の座部4を含み、それぞれの座部がカートリッジ1を受容するように成形されている、ホイールと、ホイール5の鉛直方向軸線を中心として回転する複数のカニューレ2と、を備えることができる。カニューレ2の回転は、ホイール5の回転と同調する。作業位置Aから、そして作業位置Aに向かってカートリッジ1とカニューレ2とを相互運動させ得るように、各カニューレ2はホイール5の座部4に面して配置される。
【0063】
装置3の構造はいくつかのカートリッジ1の充填を同時に行うことを可能にするので有利である。
【0064】
この事例において、注入手段は、カートリッジ1及びカニューレ2が作業位置Aにあるときに、所定の用量の液体を各カニューレ2内へ注入する。
【0065】
装置3はさらに、制御ユニット(図示せず)を含んでもよい。
【0066】
上記事例では、装置3は、座部4内のカートリッジ1の存在を検出するためのセンサ(図示せず)を備えることもできる。このセンサは、検出されたデータを制御ユニットへ提供するように、制御ユニットに接続されている。制御ユニットは、センサによって検出されたデータに基づいて注入手段を制御するために、注入手段に接続されている。
【0067】
液体の注入は、カートリッジ1が座部4内で検出された場合にのみ行われると有利である。
【0068】
さらなる実施態様によれば、装置3は、
カニューレ2及びカートリッジ1が作業位置Aに向かって動かされるときにカニューレ2及びカートリッジ1の少なくとも1つの画像を取得し、そして液体を入れた後にカートリッジ1の熱画像を取得するための画像捕捉手段と、
カニューレ2を通る液体の量を測定するための流量センサと、
を備えることができる。
【0069】
液体がカートリッジ1内へ注入された後、カートリッジ1が正しい用量の液体を含有しているか否かを評価するために、制御ユニットは画像捕捉手段及び流量センサに接続されている。
【0070】
上記の評価によって、具体的には、充填の前及び後にカートリッジ1を計量することは厳密には必要でない。装置3には振動が存在するので、カートリッジ1の計量値はおおよそのものであり得ることが知られている。
【0071】
詳細に述べるならば、画像捕捉手段は、容器10内のカニューレ2の正しい位置決めを示す少なくとも1つの画像を取得するのを可能にする。
【0072】
さらに、画像捕捉手段は、液体を入れた後にカートリッジ1の少なくとも1つの熱画像を取得するのを可能にする。すなわち、前記熱画像は基準熱画像(液体を入れる前に捕捉されたサンプル画像又は熱画像)と比較される。
【0073】
好ましくは、画像捕捉手段は、カニューレ(2)及びカートリッジ(1)が作業位置(A)に向かって動かされたときに、カニューレ(2)及びカートリッジ(1)の正しい相互位置決めを評価するために、カニューレ(2)及びカートリッジ(1)の少なくとも1つの画像を捕捉するカメラと、液体を入れた後に、カートリッジ(1)の熱画像を捕捉するサーモグラフィックカメラと、を備える。
【0074】
装置3を動かすための手段は機械的カムを備えることができる。例えば、機械的カムは、カートリッジ1に対してカニューレ2を動かすために、カニューレ2に接続することができる。機械的カムの使用は高いハンドリング精度を可能にする。
【0075】
注入手段7は膜ポンプを備えることができる。
【0076】
具体的には、装置3が複数の座部4と複数のカニューレ2とを備える場合、注入手段7は、各カニューレ2に接続された膜ポンプを備えることができる。
図1A-1D】
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
【国際調査報告】