(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-507574(P2020-507574A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(54)【発明の名称】精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形
(51)【国際特許分類】
A61K 9/52 20060101AFI20200214BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20200214BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20200214BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20200214BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20200214BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20200214BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20200214BHJP
A61K 31/445 20060101ALI20200214BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20200214BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20200214BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20200214BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20200214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20200214BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20200214BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20200214BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20200214BHJP
【FI】
A61K9/52
A61K9/50
A61K9/06
A61K47/10
A61K47/34
A61K47/46
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/24
A61K47/18
A61K47/14
A61K47/20
A61K45/00
A61K31/496
A61K31/445
A61P25/18
A61P25/24
A61P25/16
A61P25/22
A61P35/00
A61P9/12
A61P25/08
A61P9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-543230(P2019-543230)
(86)(22)【出願日】2018年2月8日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月9日
(86)【国際出願番号】KR2018001719
(87)【国際公開番号】WO2018147660
(87)【国際公開日】20180816
(31)【優先権主張番号】10-2017-0018235
(32)【優先日】2017年2月9日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.PLURONIC
3.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515131404
【氏名又は名称】アジュ ユニバーシティー インダストリー−アカデミック コーオペレイション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】AJOU UNIVERSITY INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】キム ムンソク
(72)【発明者】
【氏名】ホ ジヨン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA61
4C076AA67
4C076AA94
4C076BB11
4C076CC01
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC27
4C076DD49
4C076DD50
4C076DD51
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4C076EE32P
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4C086AA01
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4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形に関し、より具体的に、本発明は、生分解性高分子と薬物を含有するマイクロカプセルおよび架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形およびこれを製造する方法に関する。本発明による精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形は、薬物注入初期の過度な放出なしに一定の速度で徐々に放出されて、血中薬物の濃度を長時間一定に維持することができるので、従来の抗精神病剤または抗うつ剤薬物の投与時に問題点であった薬物の過度な初期放出を防止し、一定の時間間隔で複数回投与する必要なく、単回投与で所望の放出挙動を持続的に容易に得ることができるという長所がある。また、本発明の悪物伝達剤形の製造方法は、従来の方法に比べて簡単な工程であって、徐放型薬物伝達剤形の製造時間と費用を節減することができるという長所がある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性高分子に抗精神病剤または抗うつ剤が含有されたマイクロカプセル;および第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項2】
前記生分解性高分子は、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)とポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol,PEG)、カプロラクトン(Caprolactone,CL)、グリコリド(Glycolide,GA)およびラクチド(Lactide,LA)から選ばれることを特徴とする請求項1に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項3】
前記生分解性高分子は、10,000〜200,000g/molの分子量を有することを特徴とする請求項1に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項4】
前記マイクロカプセルは、防腐剤、保存剤および賦形剤の中から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項5】
前記ハイドロゲルは、小腸粘膜下組織、ヒアルロン酸(hyalurinic acid)、カルボキシメチルセルロース(CMC,carboxymethylcellulose)、アルギネート(alginate)、キトサン(chitosan)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(poly(N−isopropylacrylamide))、β−グリセロホスフェート(β−glycerophosphate)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethyleneoxide)、Pluronic)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)とポリエチレンイミン(PEI)の混合物よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項6】
前記第1化学官能基を含む物質は、amino−PEG4−alkyne,alkyne−PEG5−acid,alkyne−PEG−amine,oxiranylamine,2−oxiranyl−ethylamine,acrylamide,acrylic acid,acryloyl chloride,methyltetrazine−amine,methyltetrazine−PEG4−amine,methyltetrazine−propylamine,tetrazine−PEG5−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS amine,methyltetrazine−silfo−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−acid,methyltetrazine−PEG12−NHS ester,methyltetrazine−NHS ester,methyltetrazine−acidおよびtetrazine−acidよりなる群から選ばれる一つ以上であり、
前記第2化学官能基を含む物質は、azide−PEG4−amine、3−amino−1−propanethiol,11−mercaptoundecanoic acid,Amino−methanethiol,thiol PEG amine,ethylene diamine,PEG diamine,(S)−3−amino−2−(hydroxymethyl)propionic acid,amino−acetic acid,trans−cyclooctene−amine,trans−cyclooctene−NHS ester,trans−cyclooctene−NHS amine,trans cyclooctene−PEG−NHS esterおよびtrans cyclooctene−PEG4−acid)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項7】
前記薬物伝達剤形は、注射剤であることを特徴とする請求項1に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項8】
前記精神疾患は、精神分裂症、双極性障害、非双極性躁病、トゥーレット症候群、循環性障害、急速周期、超日周期、人格障害、注意力障害、妄想障害、精神病的障害、パーキンソン病と関連した精神病的障害、不安障害、恐慌障害、外傷後ストレス障害、衝動調節障害、恐怖障害、解離状態およびうつ病よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項9】
生分解性高分子にアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセル;およびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患治療用組成物。
【請求項10】
生分解性高分子に中枢神経系疾患治療用薬物が含有されたマイクロカプセル;および
第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含む中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項11】
前記生分解性高分子は、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)とポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol,PEG)、カプロラクトン(Caprolactone,CL)、グリコリド(Glycolide,GA)およびラクチド(Lactide,LA)から選ばれることを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項12】
前記生分解性高分子は、10,000〜200,000g/molの分子量を有することを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項13】
前記マイクロカプセルは、防腐剤、保存剤および賦形剤の中から選ばれる1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項14】
前記ハイドロゲルは、小腸粘膜下組織、ヒアルロン酸(hyalurinic acid)、カルボキシメチルセルロース(CMC,carboxymethylcellulose)、アルギネート(alginate)、キトサン(chitosan)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(poly(N−isopropylacrylamide))、β−グリセロホスフェート(β−glycerophosphate)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethyleneoxide)、Pluronic)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)とポリエチレンイミン(PEI)の混合物よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項15】
前記第1化学官能基を含む物質は、amino−PEG4−alkyne,alkyne−PEG5−acid,alkyne−PEG−amine,oxiranylamine,2−oxiranyl−ethylamine,acrylamide,acrylic acid,acryloyl chloride,methyltetrazine−amine,methyltetrazine−PEG4−amine,methyltetrazine−propylamine,tetrazine−PEG5−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS amine,methyltetrazine−silfo−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−acid,methyltetrazine−PEG12−NHS ester,methyltetrazine−NHS ester,methyltetrazine−acidおよびtetrazine−acidよりなる群から選ばれる一つ以上であり、
前記第2化学官能基を含む物質は、azide−PEG4−amine,3−amino−1−propanethiol,11−mercaptoundecanoic acid,Amino−methanethiol,thiol PEG amine,ethylene diamine,PEG diamine,(S)−3−amino−2−(hydroxymethyl)propionic acid,amino−acetic acid,trans−cyclooctene−amine,trans−cyclooctene−NHS ester,trans−cyclooctene−NHS amine,trans cyclooctene−PEG−NHS esterおよびtrans cyclooctene−PEG4−acid)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項16】
前記薬物伝達剤形は、注射剤であることを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項17】
前記中枢神経系疾患は、脳腫瘍、脳梗塞、高血圧性脳出血、脳挫傷、脳動静脈奇形、脳膿瘍、脳炎、水痘症、てんかん、脳震盪、脳性マヒ、痴呆、脊髄腫瘍、髄動静脈奇形および脊髄梗塞よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項10に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形。
【請求項18】
生分解性高分子にドネペジルが含有されたマイクロカプセル;およびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む中枢神経系疾患治療用組成物。
【請求項19】
(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と抗精神病剤または抗うつ剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階;
(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階;
(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階;
(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階;および
(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含む精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項20】
前記生分解性高分子は、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)とポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol,PEG)、カプロラクトン(Caprolactone,CL)、グリコリド(Glycolide,GA)およびラクチド(Lactide,LA)から選ばれることを特徴とする請求項19に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項21】
前記ハイドロゲルは、小腸粘膜下組織、ヒアルロン酸(hyalurinic acid)、カルボキシメチルセルロース(CMC,carboxymethylcellulose)、アルギネート(alginate)、キトサン(chitosan)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(poly(N−isopropylacrylamide))、β−グリセロホスフェート(β−glycerophosphate)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethyleneoxide)、Pluronic)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)とポリエチレンイミン(PEI)の混合物よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項19に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項22】
前記第1化学官能基を含む物質は、amino−PEG4−alkyne,alkyne−PEG5−acid,alkyne−PEG−amine,oxiranylamine,2−oxiranyl−ethylamine,acrylamide,acrylic acid,acryloyl chloride,methyltetrazine−amine,methyltetrazine−PEG4−amine,methyltetrazine−propylamine,tetrazine−PEG5−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS amine,methyltetrazine−silfo−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−acid,methyltetrazine−PEG12−NHS ester,methyltetrazine−NHS ester,methyltetrazine−acidおよびtetrazine−acidよりなる群から選ばれる一つ以上であり、
前記第2化学官能基を含む物質は、azide−PEG4−amine,3−amino−1−propanethiol,11−mercaptoundecanoic acid,Amino−methanethiol,thiol PEG amine,ethylene diamine,PEG diamine,(S)−3−amino−2−(hydroxymethyl)propionic acid,amino−acetic acid,trans−cyclooctene−amine,trans−cyclooctene−NHS ester,trans−cyclooctene−NHS amine,trans cyclooctene−PEG−NHS esterおよびtrans cyclooctene−PEG4−acid)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項19に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項23】
前記溶媒は、メチレンクロリド(MC,Methylene chloride)であることを特徴とする請求項19に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項24】
前記(b)段階で薬物分散体溶液は、20〜30℃であることを特徴とする請求項19に記載の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項25】
(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と中枢神経系疾患治療剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階;
(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階;
(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階;
(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階;および
(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含む中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達製剤の製造方法。
【請求項26】
前記生分解性高分子は、ポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)とポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol,PEG)、カプロラクトン(Caprolactone,CL)、グリコリド(Glycolide,GA)およびラクチド(Lactide,LA)から選ばれることを特徴とする請求項25に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項27】
前記ハイドロゲルは、小腸粘膜下組織、ヒアルロン酸(hyalurinic acid)、カルボキシメチルセルロース(CMC,carboxymethylcellulose)、アルギネート(alginate)、キトサン(chitosan)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(poly(N−isopropylacrylamide))、β−グリセロホスフェート(β−glycerophosphate)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethyleneoxide)、Pluronic)およびカルボキシメチルセルロース(CMC)とポリエチレンイミン(PEI)の混合物よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項25に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項28】
前記第1化学官能基を含む物質は、amino−PEG4−alkyne,alkyne−PEG5−acid,alkyne−PEG−amine,oxiranylamine,2−oxiranyl−ethylamine,acrylamide,acrylic acid,acryloyl chloride,methyltetrazine−amine,methyltetrazine−PEG4−amine,methyltetrazine−propylamine,tetrazine−PEG5−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS amine,methyltetrazine−silfo−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−acid,methyltetrazine−PEG12−NHS ester,methyltetrazine−NHS ester,methyltetrazine−acidおよびtetrazine−acidよりなる群から選ばれる一つ以上であり、
前記第2化学官能基を含む物質は、azide−PEG4−amine,3−amino−1−propanethiol,11−mercaptoundecanoic acid,Amino−methanethiol,thiol PEG amine,ethylene diamine,PEG diamine,(S)−3−amino−2−(hydroxymethyl)propionic acid,amino−acetic acid,trans−cyclooctene−amine,trans−cyclooctene−NHS ester,trans−cyclooctene−NHS amine,trans cyclooctene−PEG−NHS esterおよびtrans cyclooctene−PEG4−acid)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする請求項25に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項29】
前記溶媒は、メチレンクロリド(MC,Methylene chloride)であることを特徴とする請求項25に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【請求項30】
前記段階(b)で薬物分散体溶液は、20〜30℃であることを特徴とする請求項25に記載の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形に関し、より具体的に、本発明は、生分解性高分子と薬物を含有するマイクロカプセルおよびハイドロゲルを含む精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形およびこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精神疾患または精神病は、広い意味として精神機能に異常を示して社会生活に適応せずに日常生活に支障を招く病的状態をいうが、狭い意味としては、先天性精神異常、すなわち精神遅滞や人格の変質を起こした精神病質や心因反応(ノイローゼ)等を除いた残りの病的精神状態を意味する。これは、精神分裂症、精神分裂型障害、分裂情動性障害、双極性障害、非双極性躁病、トゥーレット(Tourette)症候群、循環性障害、急速周期、超日周期、人格障害、過多行動を有するかまたは有しない注意力障害、妄想障害、短期精神病的障害、共有精神病的障害、一般的薬物条件による精神病的障害、パーキンソン病と関連した精神病的障害、物質−誘導性精神病的障害または別に特定されていない精神病的障害、汎不安障害のような不安障害、恐慌障害、外傷後ストレス障害、衝動調節障害、恐怖障害および解離状態を含む。
【0003】
うつ病または憂鬱障害は、精神疾患の一種であって、意欲低下と憂鬱感を主な症状として多様な認知および精神身体的症状を起こして、日常機能の低下をもたらす疾患をいう。うつ病は、色々な原因により発病し、その症状が多様であるので、抗うつ剤に使用される薬剤は、うつ病、躁鬱症、恐慌障害、強迫性障害、摂取障害、その他特定不眠症、慢性疼痛などの症状を緩和または治療する目的で投与される。
【0004】
神経系は、便宜上、脳と脊髄を含む中枢神経系(CNS,Central nervous system)と、神経節から構成される末梢神経とに分類され、このうち、中枢神経系は、神経情報を集めて統合、調整する中央処理装置に該当する。中枢神経系疾患は、このような脳または脊髄に発生する病気を総称するものであって、代表的に、脳腫瘍(神経膠腫)、脳梗塞、高血圧性脳出血、脳挫傷、脳動静脈奇形、脳膿瘍、脳炎、水痘症、てんかん、脳震盪、脳性マヒ、痴呆、脊髄腫瘍、髄動静脈奇形、脊髄梗塞などがある。
【0005】
薬物伝達システム(drug delivery system;DDS)とは、既存医薬品の副作用を最小化し、効能および効果を最大化させて、必要な量の薬物を効率的に伝達できるように設計した剤形をいう。特に、精神疾患または中枢神経系疾患の治療のための薬物の治療効能は、一般的に治療に効果的な水準の薬物濃度を持続的に維持できるように、一定の間隔をもって適切な量を投与したか否かに大きく左右される。一回に相対的に高い濃度の薬物が投与された場合、投与量依存的な副作用が頻繁に発生し、薬物の投与と投与との間に薬物の濃度が一定水準以下に低下すると、投与効能が低下すると共に、患者が薬物に適応する期間が長くなり得るという問題点がある。
【0006】
徐放型薬物放出システムで薬物治療を進めると、投与頻度を低減し、薬物に対する患者の順応を向上させ、副作用を防止すると共に、遅延された期間の間に薬物の治療的血中あるいは組織水準を維持することができるという長所があるが、現在まで抗精神病剤、抗うつ剤または中枢神経系疾患治療薬物の徐放型剤形は開発されたことがないので、効果的な薬物伝達システムに対する要求が切実である。
【0007】
マイクロカプセルは、マイクロメーター単位のサイズを有するカプセルを言い、カプセル壁と、当該カプセルに内在したコア物質とから構成される。一般的に、マイクロカプセルは、薄い合成または天然高分子膜からなるマイクロカプセル壁の化学的構造、厚さおよびマイクロカプセルの粒子サイズによってコア物質の放出速度が調節され得る。この際、使用されるコア物質としては、溶媒、香料、医薬品などを含んでその種類が多様であり、コア物質の用途に応じて医薬分野、食品分野、化粧品分野などの応用および研究が活発に行われている。しかし、マイクロカプセルが医薬品に適用される場合、大部分が一定の薬物放出速度を有しにくいか、比較的短時間内に薬物が放出される。したがって、最近には、薬物の放出速度を調節して治療効果を最大化させようとする研究が活発に進行しており、生体適合性、生分解性などの特徴を有する高分子を利用した薬物伝達用マイクロカプセルの製造に対する関心が増加している。
【0008】
高分子を利用した薬物伝達用マイクロカプセルの代表的な製造方法としては、相分離法、溶媒抽出法、溶媒蒸発法、噴霧乾燥法があり、製造方法によって粒子のサイズ、薬物の放出特性、薬物の封入率などマイクロカプセルの特性に影響を及ぼすので、適切な製造法が選択されなければならない。
【0009】
マイクロカプセル剤形は、一定の薬物放出速度を有しにくいか、薬物が初期に放出されるので、このような問題を解決するための方法として、薬物が封入されたマイクロカプセルを製造した後、これを中心核として他の生分解性高分子で流動層粒子コーティング法を利用してコーティングする方法がある。この方法は、薬物が封入された中心核が他の生分解性高分子でコーティングされるので、封入された薬物が初期に放出される比率が低くなる。しかし、この方法に使用される装備である流動層粒子コーティング機は、現在商業的または技術的に高価な薬物に適用するには限界があり、実際製品化のための生産工程でも、2段階でマイクロカプセルを製造しなければならないという工程上の困難がある。
【0010】
したがって、薬物の初期放出を抑制し、持続的な薬物放出および薬物の放出速度を所望に応じて調節することができ、製造工程が単純であり、経済的な新しい剤形の開発が要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、生分解性高分子と抗精神病剤、抗うつ剤または中枢神経系疾患治療剤を含有するマイクロカプセルをハイドロゲルと混合して使用する徐放型薬物伝達剤形およびその製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、前記薬物伝達剤形を含む精神疾患治療用組成物および中枢神経系疾患治療用組成物を提供することにある。
【0013】
また、本発明は、前記薬物伝達剤形を通じてマイクロカプセルで初期に過量放出された薬物をハイドロゲルにより段階的に制御することによって、初期の薬物の過量放出を抑制し、一定の速度で薬物の放出を調節して、血中薬物の濃度を長時間一定に維持させて、治療効果を最大化することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述したような問題点を解決するためのものであって、生分解性高分子に抗精神病剤または抗うつ剤が含有されたマイクロカプセルおよび第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形を提供する。
【0015】
また、本発明は、生分解性高分子にアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルおよびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患治療用組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、生分解性高分子に中枢神経系疾患治療用薬物が含有されたマイクロカプセルおよび第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含む中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形を提供する。
【0017】
また、本発明は、生分解性高分子にドネペジルが含有されたマイクロカプセルおよびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む中枢神経系疾患治療用組成物を提供する。
【0018】
また、本発明は(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と抗精神病剤または抗うつ剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階、(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階、(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階、(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階および(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含む精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と中枢神経系疾患治療剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階、(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階、(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階、(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階および(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含む中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達製剤の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物伝達剤形は、薬物注入初期の過度な放出なしに一定の速度で徐々に放出されて、血中薬物の濃度を長時間一定に維持することができるので、従来の抗精神病剤、抗うつ剤または中枢神経系疾患治療剤の投与時に問題点であった薬物の過度な初期放出を防止し、一定の時間間隔で複数回投与する必要なく、単回投与で所望の放出挙動を持続的に容易に得ることができるという長所がある。また、本発明の悪物伝達剤形の製造方法は、従来方法に比べて簡単な工程であって、徐放型薬物伝達剤形の製造時間と費用を節減することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例による薬物伝達剤形を注入する方法および薬物放出に対する模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例によって溶媒を異ならしめて製造された無水アリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの
1H−NMR分析結果である。
【
図3】
図3は、溶媒を異ならしめて製造された無水アリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの粒子サイズ、光学顕微鏡イメージである。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例によって溶液の温度を異ならしめて製造された無水アリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの
1H−NMR分析結果である。
【
図5】
図5は、溶液の温度を異ならしめて製造された無水アリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの粒子サイズ、光学顕微鏡イメージである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例によって溶液の溶媒を異ならしめて製造されたアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの
1H−NMR分析結果である。
【
図7】
図7は、溶媒を異ならしめて製造されたアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの粒子サイズ、光学顕微鏡イメージである。
【
図8】
図8は、本発明の一実施例によって溶液の温度を異ならしめて製造されたアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの
1H−NMR分析結果である。
【
図9】
図9は、溶液の温度を異ならしめて製造されたアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルの粒子サイズ、光学顕微鏡イメージである。
【
図10】
図10は、本発明の一実施例によって溶液の溶媒を異ならしめて製造されたドネペジルが含有されたマイクロカプセルの
1H−NMR分析結果である。
【
図11】
図11は、溶液の溶媒を異ならしめて製造されたドネペジルが含有されたマイクロカプセルの光学顕微鏡イメージである。
【
図12】
図12は、本発明の一実施例によって製造されたハイドロゲルのイメージである。
【
図13】
図13は、ハイドロゲル内のマイクロカプセルのSEMイメージである。
【
図14】
図14は、無水アリピプラゾールの薬物放出結果である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施例によって製造されたマイクロカプセルが含有されたハイドロゲルの注射剤型のイメージである。
【
図17】
図17は、本発明の一実施例のハイドロゲル注射剤型をマウスの皮下に注入したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
このような本発明をより詳細に説明すると、次の通りである。
【0023】
本発明は、精神疾患または中枢神経系疾患治療用薬物の初期放出制御および段階的放出のための薬物伝達システムに関し、過度な初期放出または時間経過による放出量の急激な減少または増加などを克服するために、一次的に薬物が封入されたマイクロカプセルを製造した後、これをハイドロゲルと混合してハイドロゲルにより二次的に薬物放出量および速度が調節される薬物伝達剤形に関する。
【0024】
したがって、本発明の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形は、生分解性高分子に抗精神病剤または抗うつ剤が含有されたマイクロカプセルおよび第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達剤形は、生分解性高分子に中枢神経系疾患治療用薬物が含有されたマイクロカプセルおよび第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルを含むことを特徴とする。
【0026】
本発明の精神疾患治療用徐放型薬物伝達剤形の製造方法は(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と抗精神病剤または抗うつ剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階、(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階、(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階、(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階および(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含むことを特徴とする。
【0027】
また、本発明の中枢神経系疾患治療用徐放型薬物伝達製剤の製造方法は、(a)分子量10,000〜200,000g/molの生分解性高分子と中枢神経系疾患治療剤を溶媒に溶かして、薬物分散体溶液を製造する段階、(b)前記薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機またはシリンジに注入させる段階、(c)前記単軸超音波噴射機またはシリンジから薬物分散体溶液を噴射させて、マイクロカプセルを製造する段階、(d)ハイドロゲル溶液に第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質を添加して、架橋反応をさせる段階および(e)前記薬物が含有されたマイクロカプセルを架橋結合されたハイドロゲル溶液に分散させる段階を含むことを特徴とする。
【0028】
本発明において使用される生分解性高分子は、マイクロカプセルを囲んでいる外壁物質(shell)として使用され、前記生分解性高分子の種類および組成によって薬物放出速度が一次的に制御される。前記生分解性高分子の内部にコア物質(core)として抗精神病剤、抗うつ剤または中枢神経系疾患治療用薬物が封入されて、マイクロカプセルを構成する。本発明では、生体に適合し、生分解特性を有する前記生分解性高分子をマイクロカプセルの壁として使用し、前記高分子の種類および組合せによって薬物放出量および速度を一次的に制御することができる。
【0029】
本発明において使用される前記生分解性高分子は、ポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol,PEG)、カプロラクトン(Caprolactone,CL)、グリコリド(Glycolide,GA)、ラクチド(Lactide,LA)、ポリカプロラクトン(Polycaprolactone)、ポリアルキルカーボネート(Polyalkylcarbonate)、ポリアミノ酸(Polyamino acid)、ポリヒドロキシ酪酸(Polyhydroxybutyric acid)、ポリオルソエステル(Polyorthoester)、ポリアンヒドリド(Polyanhydride)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethylene oxide)、Pluronic)、ポリラクチド(Polylactide,PLA)、ポリグリコリド(Polyglycolide,PGA)またはこれらの共重合体であるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)とその成形重合体である(ポリラクチド−co−グリコリド)−グルコース(Polylactide−co−glycolide−glucose,PLGA−glucose)、メトキシポリエチレングリコール−(ポリカプロラクトン−co−ポリラクチド)(MPEG−(PCL−co−PLLA)などのポリエステルなどのような合成高分子をはじめとしてカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)、アルギン、アルギン酸(alginic acid)、アルギネート(alginate)、ヒアルロン酸(hyaluronic acid)、ポリペプチド、タンパク質、ゼラチン、カゼイン、キチン誘導体、キトサン(chitosan)、小腸粘膜下組織などのような天然高分子を含む。
【0030】
前記生分解性高分子は、好ましくはポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)を使用することができる。
【0031】
前記生分解性高分子の種類および組合せによって薬物放出量および速度を制御することができる。例えばポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)は、ポリラクチド(PLA)とポリグリコリド(PGA)の成分比率によって人体内で分解される速度が左右され、これにより、薬物放出速度の調節が可能である。したがって、このような生分解性高分子を薬物放出を調節するためのマトリックスとして利用すると、薬物放出速度を制御することができる。
【0032】
また、前記生分解性高分子の分子量によって薬物放出速度が異なるので、10,000〜200,000g/molの分子量、好ましくは30,000〜90,000g/moleの分子量を有する生分解性高分子を使用することが良い。低分子量の高分子を利用するほど薬物放出が過度に速く、分子量が大きいほど放出が過度に遅い。したがって、マイクロカプセルを製造し、そのマイクロカプセルを利用した放出制御において適切な分子量の高分子を選択して製造することが重要である。
【0033】
前記生分解性高分子のうちポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)は、米国食品医薬庁(FDA)から人体に使用可能な無毒性生分解性高分子として承認されて、人体内の組織再生のための素材、薬物伝達用担体または手術用縫合糸として長期間広範囲に使用されてきており、その生体適合性がすでに証明されたことがある。
【0034】
本発明の薬物伝達剤形に使用する薬物は、抗精神病剤、抗うつ剤または中枢神経系疾患治療剤として使用される薬物であれば、種類に制限されない。
【0035】
前記生分解性高分子に前記薬物を混入させて、薬物封入マイクロカプセルを製造することができる。前記マイクロカプセルは、防腐剤、保存剤および賦形剤など1種以上の添加剤をさらに含むことができる。前記混入過程は、単軸超音波噴霧法[B.S.Kim,J.M.Oh,K.S.Kim et al,Biomaterials、30,902 (2009);B.S.Kim,J.M.Oh,H.Hyun et al,MOLECULAR PHARMACEUTICS,6,353(2009)]またはシリンジを利用したマイクロカプセルの製造方法を通じて行われ得る。前記単軸超音波噴霧法を通じて中心核の部分と、中心核の部分がコーティングされる外側の部分の組成が相異に構成される二重構造のマイクロカプセルを製造することができ、この場合、マイクロカプセル内の薬物含量は、60〜70%程度と優れた薬物封入率を示し、初期放出量も抑制されるという長所がある。
【0036】
しかしながら、前記方法だけを通じては依然として初期に一部の薬物が過多放出される問題点があるので、これを解決すると同時に、持続的に放出量を調節するために、本発明では、前記製造されたマイクロカプセルをさらにハイドロゲルと混合して、薬物伝達製剤を製造することを特徴とする。
【0037】
体内注入型ハイドロゲルは、外科的な手術なしに使用が可能な知能型ハイドロゲルであって、一般的に注入型ハイドロゲルの場合、体外では流体のような特性を有していて、注射器を使用して移植が可能であり、体内注入後には、ゲル化が起こる。本発明の体内注入型ハイドロゲルは、ヒアルロン酸(hyalurinic acid)、ポリアクリルアミド(polyacrylamide)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(poly(N−isopropylacrylamide))、β−グリセロホスフェート(β−glycerophosphate)、プルロニック(Poly(ethylene oxide)poly(propylene oxide)poly(ethylene oxide)、Pluronic)、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコール−ポリカプロラクトン(MPEG−PCL)、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose,CMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)とポリエチレンイミン(PEI)の混合物、アルギン、アルギン酸(alginic acid)、アルギネート(alginate)、ポリペプチド、タンパク質、ゼラチン、カゼイン、キチン誘導体、キトサン(chitosan)および小腸粘膜下組織などのような合成および天然高分子を使用して製造することができる。前記高分子をリン酸緩衝溶液などに入れてハイドロゲルで製造することができるが、これに限定されるものではなく、高分子の種類によって多様な製造方法を利用することができる。
【0038】
本発明のハイドロゲルは、第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたことを特徴とする。前記第1化学官能基と第2化学官能基は、ハイドロゲル内で化学反応を起こして架橋結合され、これは、ハイドロゲルが効果的な薬物伝達支持体として形成され得るようにする。架橋結合されたハイドロゲルの内部に薬物を含有するマイクロカプセルは、均一に分散され、固定され得、これにより、本発明の薬物伝達剤形を生体内注入したとき、剤形から長時間薬物が放出される効果を最大化できるようにする。
【0039】
本発明の前記第1化学官能基を含む物質は、amino−PEG4−alkyne,alkyne−PEG5−acid,alkyne−PEG−amine,oxiranylamine,2−oxiranyl−ethylamine,acrylamide,acrylic acid,acryloyl chloride,methyltetrazine−amine,methyltetrazine−PEG4−amine,methyltetrazine−propylamine,tetrazine−PEG5−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−NHS amine,methyltetrazine−silfo−NHS ester,methyltetrazine−PEG4−acid,methyltetrazine−PEG12−NHS ester,methyltetrazine−NHS ester,methyltetrazine−acidおよびtetrazine−acidよりなる群から選ばれる一つ以上であり、前記第2化学官能基を含む物質は、azide−PEG4−amine、3−amino−1−propanethiol,11−mercaptoundecanoic acid,Amino−methanethiol,thiol PEG amine,ethylene diamine,PEG diamine,(S)−3−amino−2−(hydroxymethyl)propionic acid,amino−acetic acid,trans−cyclooctene−amine,trans−cyclooctene−NHS ester,trans−cyclooctene−NHS amine,trans cyclooctene−PEG−NHS esterおよびtrans cyclooctene−PEG4−acid)よりなる群から選ばれる一つ以上であることを特徴とする。
【0040】
本発明において前記ハイドロゲルと第1および第2化学官能基を含む物質は、1:400〜1:600のモル比で混合されることが好ましいが、これに制限されるものではない。前記範囲が1:400未満であれば、薬物伝達剤形の機械的強度が低くなる問題点を有し、1:600を超過する場合には、過度な架橋度によって薬物を含有するマイクロカプセルの移動および薬物放出が制限され得るという問題点がある。
【0041】
また、前記第1化学官能基を含む物質と第2化学官能基を含む物質が架橋結合されたハイドロゲルの生体高分子濃度は、1〜30wt%であることが好ましい。高分子濃度が1重量%未満である場合、薬物伝達剤形の皮下注入時にゲル形態を維持しにくく、30重量%を超過する場合、過度に粘度が高まって、薬物伝達剤形として好ましくない物性を示すことができる。
【0042】
本発明の他の一実施例によれば、前記薬物伝達剤形は、酢酸、蒸留水、または緩衝溶液の溶媒をさらに含むことができるが、これらに制限されるものではない。具体的に、前記緩衝溶液は、2−(n−morpholino)ethanesulfonic acid、4−(4,6−Dimethoxy−1,3,5−tiazin−2−yl)−4−methylmorpholinium chlorideおよびPhosphate buffer salineの中から選ばれた一つ以上であることが好ましい。
【0043】
本発明による薬物伝達剤形は、注射剤の形態で使用され得るが、これに制限されるものではない。
【0044】
本発明の一実施例は、抗精神病剤としてアリピプラゾールを含有する薬物伝達剤形を含むことができ、生分解性高分子にアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルおよびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む精神疾患治療用組成物を提供する。
【0045】
本発明のさらに他の一実施例は、中枢神経系疾患治療剤としてドネペジルを含有する薬物伝達剤形を含むことができ、生分解性高分子にドネペジルが含有されたマイクロカプセルおよびmethyltetrazine−PEG4−NHS esterとtrans−cyclooctene−NHS esterまたはmethyltetrazine−PEG4−NHS amineとtrans−cyclooctene−NHS amineが架橋結合されたハイドロゲルを含む中枢神経系疾患治療用組成物を提供する。
【0046】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかしながら、下記の実施例は、本発明をより容易に理解するために提供されるものに過ぎず、下記実施例によって本発明の内容が限定されるわけではない。
【0047】
[実施例1:無水アリピプラゾール(anhydrous aripiprazole)を封入したマイクロカプセルの製造(溶媒条件)]
<1−1.メチレンクロリド(MC)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA,poly(lactic−co−glycolic acid))をメチレンクロリド(MC,Methylene chloride)に3重量%になるように溶かし、無水アリピプラゾールを2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA,polyvinyl alcohol)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して、前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0048】
<1−2.クロロホルム(Chloroform)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例1−1の溶媒としてメチレンクロリド(MC)の代わりに、クロロホルム(Chloroform)を使用したことを除いて、実施例1−1と同じ方法で無水アリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0049】
<1−3.エチルアセテート( EA )を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例1−1の溶媒としてメチレンクロリド(MC)の代わりに、エチルアセテート(EA,Ethyl acetate)を使用したことを除いて、実施例1−1と同じ方法で無水アリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0050】
<1−4.マイクロカプセルの特性分析>
前記実施例1−1〜1−3で薬物分散体溶液の溶媒を異ならしめて製造されたマイクロカプセルを
1H−NMRを利用して測定した結果、それぞれポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)に無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた(
図2)。
【0051】
また、製造されたマイクロカプセル10mgをそれぞれ蒸留水に浮遊させた後、Zeta potential & Particle size analyzerを利用してマイクロカプセルの粒子サイズを測定し、光学顕微鏡イメージを確認した。誤差範囲を考慮して3回反復測定した粒子サイズ値を下記表1に示し、マイクロカプセルの光学顕微鏡イメージを
図3に示した。
【0053】
前記溶媒を異ならしめた製造方法によるマイクロカプセルの製造効率を調べてみるために、無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルの収率とカプセル化効率を測定した。
【0054】
具体的に、前記実施例1−1〜1−3で製造されたマイクロカプセルの収率は、マイクロカプセル全体の重さを測定して入れた量と比較し、マイクロカプセルのカプセル化効率は、[カプセル化効率=(得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量/理論上のアリピプラゾールカプセルの薬物含有量)×100]を利用して計算した。
【0055】
前記「得られたアリピプラゾールのカプセルの薬物含有量」は、基準物質が添加されたマイクロカプセルをDMSOに溶かした後、
1H−NMRを利用して測定した結果からPLGA面積値ピーク(δ=4.8〜4ppm、5〜5.4ppm)と無水アリピプラゾール面積値ピーク(δ=7.1ppm)を比較して測定した。さらに他の方法として、マイクロカプセル10mgを取って移動相に溶かして濾過した後、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)(Agilent−1200,USA)を利用して測定した。HPLCの測定条件は、カラムC
18(5μm、4.6×250mm I.D.)(Thermo Scientific)を使用し、254nmの波長で検出し、移動相としては、無水硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル:メタノール:酢酸=56:33:11:1(v/v)、流速は、1ml/min、注入体積は、100μl、カラム温度は、25℃で測定した。
【0056】
マイクロカプセルの収率とカプセル化効率およびカプセル10mg内の薬物の量は、下記表2に示した。
【0058】
前記実施例1−1〜1−3で製造されたマイクロカプセルの特性を分析した結果、メチレンクロリドを溶媒として使用したマイクロカプセルの収率、カプセル化効率およびカプセル内薬物含有量が最も高く、比較的均一なサイズのマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた。
【0059】
[実施例2:無水アリピプラゾール(anhydrous aripiprazole)を封入したマイクロカプセルの製造(温度条件)]
<2−1.常温でマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)をメチレンクロリド(MC)に3重量%になるように溶かして、無水アリピプラゾールを2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して、前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0060】
<2−2.30℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例2−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を30℃としたことを除いて、実施例2−1と同じ方法で無水アリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0061】
<2−3.35℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例2−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を35℃としたことを除いて、実施例2−1と同じ方法で無水アリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0062】
<2−4.40℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例2−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を40℃としたことを除いて、実施例2−1と同じ方法で無水アリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0063】
<2−5.マイクロカプセルの特性分析>
前記実施例2−1〜2−4において薬物分散体溶液の温度を異ならしめて製造されたマイクロカプセルを
1H−NMRを利用して測定した結果、それぞれポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)に無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた(
図4)。
【0064】
また、製造されたマイクロカプセル10mgをそれぞれ蒸留水に浮遊させた後、Zeta potential & Particle size analyzerを利用してマイクロカプセルの粒子サイズを測定し、光学顕微鏡イメージを確認した。誤差範囲を考慮して3回反復測定した粒子サイズ値を下記表3に示し、光学顕微鏡イメージを
図5に示した。
【0066】
薬物分散体溶液の温度を異ならしめた製造方法によるマイクロカプセルの製造効率を調べてみるために、無水アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルの収率とカプセル化効率を測定した。
【0067】
具体的に、前記実施例2−1〜2−4で製造されたマイクロカプセルの収率は、マイクロカプセル全体の重さを測定して入れた量と比較し、マイクロカプセルのカプセル化効率は、[カプセル化効率=(得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量/理論上のアリピプラゾールカプセルの薬物含有量)×100]を利用して計算した。
【0068】
前記「得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量」は、基準物質が添加されたマイクロカプセルをDMSOに溶かした後、
1H−NMRを利用して測定した結果からPLGA面積値ピーク(δ=4.8〜4ppm、5〜5.4ppm)と無水アリピプラゾール面積値ピーク(δ=7.1ppm)を比較して測定した。さらに他の方法として、マイクロカプセル10mgを取って移動相に溶かして濾過した後、HPLC(Agilent−1200,USA)を利用して測定した。HPLCの測定条件は、カラムC
18(5μm、4.6×250mm I.D.)(Thermo Scientific)を使用し、254nmの波長で検出し、移動相としては、無水硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル:メタノール:酢酸=56:33:11:1(v/v)、流速は1ml/min、注入体積は100μl、カラム温度は25℃で測定した。
【0069】
マイクロカプセルの収率とカプセル化効率およびカプセル10mg内の薬物の量は、下記表4に示した。
【0071】
前記実施例2−1〜2−4で製造されたマイクロカプセルの特性を分析した結果、25℃で製造したマイクロカプセルの収率、カプセル化効率およびカプセル内薬物含有量が最も高く、比較的均一なサイズのマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた。
【0072】
[実施例3:アリピプラゾール(monohydrate aripiprazole)を封入したマイクロカプセルの製造(溶媒条件)]
<3−1.メチレンクロリド(MC)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)をメチレンクロリド(MC)に3重量%になるように溶かし、アリピプラゾールを2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して、前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0073】
<3−2.テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例3−1の溶媒としてメチレンクロリド(MC)の代わりに、テトラヒドロフラン(THF)を使用したことを除いて、実施例3−1と同じ方法でアリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0074】
<3−3.エチルアセテート( EA )を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例3−1の溶媒としてメチレンクロリド(MC)の代わりに、エチルアセテート(EA)を使用したことを除いて、実施例3−1と同じ方法でアリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0075】
<3−4.マイクロカプセルの特性分析>
前記実施例3−1〜3−3で薬物分散体溶液の溶媒を異ならしめて製造されたマイクロカプセルを
1H−NMRを利用して測定した結果、それぞれポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)にアリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた(
図6)。
【0076】
また、製造されたマイクロカプセル10mgをそれぞれ蒸留水に浮遊させた後、Zeta potential & Particle size analyzerを利用してマイクロカプセルの粒子サイズを測定し、光学顕微鏡イメージを確認した。誤差範囲を考慮して3回反復測定した粒子サイズ値を下記表5に示し、光学顕微鏡イメージを
図7に示した。
【0078】
溶媒を異ならしめた製造方法によるマイクロカプセルの製造効率を調べてみるために、アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルの収率とカプセル化効率を測定した。
【0079】
具体的に、前記実施例3−1〜3−3で製造されたマイクロカプセルの収率は、マイクロカプセル全体の重さを測定して入れた量と比較し、マイクロカプセルのカプセル化効率は、[カプセル化効率=(得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量/理論上のアリピプラゾールカプセルの薬物含有量)×100]を利用して計算した。
【0080】
前記「得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量」は、基準物質が添加されたマイクロカプセルをDMSOに溶かした後、
1H−NMRを利用して測定した結果からPLGA面積値ピーク(δ=4.8〜4ppm、5〜5.4ppm)と無水アリピプラゾール面積値ピーク(δ=7.1ppm)を比較して測定した。さらに他の方法として、マイクロカプセル10mgを取って移動相に溶かして濾過した後、HPLC(Agilent−1200,USA)を利用して測定した。HPLCの測定条件は、カラムC
18(5μm、4.6×250mm I.D.)(Thermo Scientific)を使用し、254nmの波長で検出し、移動相としては、無水硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル:メタノール:酢酸=56:33:11:1(v/v)、流速は1ml/min、注入体積は100μl、カラム温度は25℃で測定した。
【0081】
マイクロカプセルの収率とカプセル化効率およびカプセル10mg内の薬物の量は、下記表6に示した。
【0083】
前記実施例3−1〜3−3で製造されたマイクロカプセルの特性を分析した結果、メチレンクロリドを溶媒として使用したマイクロカプセルの収率、カプセル化効率およびカプセル内薬物含有量が最も高く、比較的均一なサイズのマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた。
【0084】
[実施例4:アリピプラゾール(monohydrate aripiprazole)を封入したマイクロカプセルの製造(温度条件)]
<4−1.常温でマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)をメチレンクロリド(MC)に3重量%になるように溶かし、アリピプラゾールを2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0085】
<4−2.30℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例4−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を30℃としたことを除いて、実施例4−1と同じ方法でアリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0086】
<4−3.35℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例4−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を35℃としたことを除いて、実施例4−1と同じ方法でアリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0087】
<4−4.40℃でマイクロカプセルの製造>
前記実施例4−1において薬物分散体溶液を単軸超音波噴射機に注入する温度を40℃としたことを除いて、実施例4−1と同じ方法でアリピプラゾールを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0088】
<4−5.マイクロカプセルの特性分析>
前記実施例4−1〜4−4において薬物分散体溶液の温度を異ならしめて製造されたマイクロカプセルを
1H−NMRを利用して測定した結果、それぞれポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)にアリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた(
図8)。
【0089】
また、製造されたマイクロカプセル10mgをそれぞれ蒸留水に浮遊させた後、Zeta potential & Particle size analyzerを利用してマイクロカプセルの粒子サイズを測定し、光学顕微鏡イメージを確認した。誤差範囲を考慮して3回反復測定した粒子サイズ値を下記表7に示し、光学顕微鏡イメージを
図9に示した。
【0091】
薬物分散体溶液の温度を異ならしめた製造方法によるマイクロカプセルの製造効率を調べてみるために、アリピプラゾールが封入されたマイクロカプセルの収率とカプセル化効率を測定した。
【0092】
具体的に、前記実施例4−1〜4−4で製造されたマイクロカプセルの収率は、マイクロカプセル全体の重さを測定して入れた量と比較し、マイクロカプセルのカプセル化効率は、[カプセル化効率=(得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量/理論上のアリピプラゾールカプセルの薬物含有量)×100]を利用して計算した。
【0093】
前記「得られたアリピプラゾールカプセルの薬物含有量」は、基準物質が添加されたマイクロカプセルをDMSOに溶かした後、
1H−NMRを利用して測定した結果からPLGA面積値ピーク(δ=4.8〜4ppm、5〜5.4ppm)と無水アリピプラゾール面積値ピーク(δ=7.1ppm)を比較して測定した。さらに他の方法として、マイクロカプセル10mgを取って移動相に溶かして濾過した後、HPLC(Agilent−1200,USA)を利用して測定した。HPLCの測定条件はカラムC
18(5μm、4.6×250mm I.D.)(Thermo Scientific)を使用し、254nmの波長で検出し、移動相としては、無水硫酸ナトリウム水溶液:アセトニトリル:メタノール:酢酸=56:33:11:1(v/v)、流速は1ml/min、注入体積は100μl、カラム温度は25℃で測定した。
【0094】
マイクロカプセルの収率とカプセル化効率およびカプセル10mg内の薬物の量は、下記表8に示した。
【0096】
前記実施例4−1〜4−4で製造されたマイクロカプセルの特性を分析した結果、25℃で製造したマイクロカプセルの収率が最も高く、40℃で製造したマイクロカプセルのカプセル化効率が最も高く、カプセル内薬物含有量は、温度条件によって有意味な差異はなかった。
【0097】
[実施例5.ドネペジル(donepezil base)を封入したマイクロカプセルの製造]
<5−1.メチレンクロリド(MC)とエチルアセテート(EA)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)をエチルアセテート(EA)に3重量%になるように溶かし、ドネペジルをメチレンクロリド(MC)に2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、ドネペジルが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0098】
<5−2.メチレンクロリド(MC)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例5−1のPLGAを溶かす溶媒としてエチルアセテート(EA)の代わりに、メチレンクロリド(MC)を使用したことを除いて、実施例5−1と同じ方法でドネペジルを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0099】
<5−3.クロロホルム(chloroform)とエチルアセテート(EA)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
分子量が33,000g/molであるポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)をエチルアセテート(EA)に3重量%になるように溶かし、ドネペジルをクロロホルムに2重量%で溶かして、均一な薬物分散体溶液を製造した。この溶液を注射器に入れた後、常温で4ml/minの流速で単軸超音波噴射機に流した。0.5重量%水溶液であるポリビニルアルコール(PVA)水溶液250mlを準備し、前記薬物分散体溶液を60Hzの振動周波で噴射して前記ポリビニルアルコール水溶液に分散させて、マイクロカプセルを形成させた。これを2時間の間常温で700rpmで撹拌して安定化させた後、生成されたマイクロカプセルに蒸留水を加えて4〜5回洗浄し、凍結乾燥して、ドネペジルが封入されたマイクロカプセルを得た。
【0100】
<5−4.クロロホルム(chloroform)を溶媒とするマイクロカプセルの製造>
前記実施例5−3のPLGAを溶かす溶媒としてエチルアセテート(EA)の代わりに、クロロホルムを使用したことを除いて、実施例5−3と同じ方法でドネペジルを封入したマイクロカプセルを製造した。
【0101】
前記実施例5−1〜5−4で使用した溶媒を下記表9に示した。
【0103】
<5−5.マイクロカプセルの特性分析>
前記実施例5−1〜5−4で薬物分散体溶液の溶媒を異ならしめて製造されたマイクロカプセルを
1H−NMRを利用して測定した結果、それぞれポリラクチド−co−グリコリド(PLGA)にドネペジルが封入されたマイクロカプセルが製造されたことを確認することができた(
図10)。
【0104】
また、製造されたマイクロカプセルの光学顕微鏡イメージを確認した。光学顕微鏡イメージを
図11に示した。
【0105】
薬物分散体溶液の溶媒を異ならしめた製造方法によるマイクロカプセルの製造効率を調べてみるために、ドネペジルが封入されたマイクロカプセルの収率と薬物含有量を測定した。
【0106】
具体的に、前記実施例5−1〜5−4で製造されたマイクロカプセルの収率は、マイクロカプセル全体の重さを測定して入れた量と比較し、マイクロカプセルのカプセル化効率は、[カプセル化効率=(得られたドネペジルカプセルの薬物含有量/理論上のドネペジルカプセルの薬物含有量)×100]を利用して計算した。
【0107】
前記「得られたドネペジルカプセルの薬物含有量」は、基準物質が添加されたマイクロカプセルをアセトンに溶かした後、
1H−NMRを利用して測定した結果からPLGA面積値ピーク(δ=5〜5.4ppm、4.8〜4ppm)とドネペジル面積値ピーク(δ=7.1ppm)を比較して測定した。さらに他の方法としては、前記実施例1−4で示したHPLCにより測定した。
【0108】
マイクロカプセルの収率とカプセル化効率およびカプセル10mg内の薬物の量は、下記表10に示した。
【0110】
前記実施例5−1〜5−4で製造されたマイクロカプセルの特性を分析した結果、PLGA製造時エチルアセテート(EA)を使用して薬物をメチレンクロリド(MC)に溶かして製造したマイクロカプセルのカプセル化効率および薬物含有量が最も高かった。
【0111】
[実施例6.架橋小腸粘膜下組織ハイドロゲルの製造]
全体溶液の総重量に対して小腸粘膜下組織パウダー1重量%、ペプシン0.1重量%および酢酸3重量%を投入して48時間の間撹拌して反応させた後、全体溶液のpHが7.4になるように、1Nの水酸化ナトリウム溶液を投入して小腸粘膜下組織溶液を製造し、その後、3〜4日間凍結乾燥させて、粉末形態に製造した。
【0112】
前記製造された小腸粘膜下組織の凍結乾燥粉末を20重量%の濃度でリン酸緩衝溶液(PBS,pH 7.4)に溶解させた後、methyltetrazine−PEG4−NHS−ester(TET)とtrans−cyclooctene−PEG4−NHS−ester(CO)をそれぞれモル比が1:500になるように投入し、24時間の間撹拌して反応させた。次に、これを48時間の間透析して凍結乾燥した後、リン酸緩衝溶液(PBS,pH 7.4)に溶解させて架橋させた小腸粘膜下組織ハイドロゲルを製造した。
【0113】
[実施例7.架橋ヒアルロン酸ゲルの製造]
ヒアルロン酸1重量%を3次蒸留水に投入し、常温で12時間撹拌してヒアルロン酸溶液を製造した。前記ヒアルロン酸溶液に100mMの2−(N−morpholino)ethanesulfonic aicd 97.6mgおよび2.5Mの4−(4,6−dimethoxy−1,3,5−triazine−2yl)−4−methylmorpholinium chloride 3.5gを投入した後、methyltetrazine−PEG4−NHS−amine(TET)とtrans−cyclooctene−PEG4−NHS−amine(CO)をそれぞれモル比が1:500になるように投入し、72時間の間撹拌して反応させた。次に、これを72時間の間透析して凍結乾燥した後、リン酸緩衝溶液(PBS.pH7.4)に溶解させて架橋させたヒアルロン酸ハイドロゲルを製造した。
【0114】
前記実施例6および実施例7で製造した架橋ハイドロゲルの様子を
図12に示した。
【0115】
[実施例8.In vitro無水アリピプラゾール放出量の測定]
前記実施例1および2で製造されたマイクロカプセルを25mgずつ定量して、前記実施例6および7で製造した架橋ハイドロゲル1mlにそれぞれ分散させた後、5mlバイアル(vial)に入れて、無水アリピプラゾール薬物伝達剤形を製造した。前記薬物伝達剤形のSEMイメージを通じてハイドロゲルに分散したマイクロカプセルを確認することができた(
図13)。
【0116】
前記小腸粘膜下組織ハイドロゲルを利用した無水アリピプラゾール薬物伝達剤形のバイアルにPBSを4ml添加した後、37℃、100rpmの条件で定められた時間ごとに0.5mlのPBSを取って、新しいPBSを同一量添加しつつ、時間別にサンプリングした。対照群として実施例1−1のマイクロカプセル(APZ−cap alone)を使用し、それぞれのマイクロカプセルから無水アリピプラゾールの放出量はHPLCを利用して測定し、測定条件は、前記実施例1〜5のカプセル化効率の測定条件と同一に進めた。In vitro無水アリピプラゾール放出量の測定結果は、
図14に示した。
【0117】
その結果、マイクロカプセル単独剤形は、薬物が短時間に過量放出される傾向を示したが、小腸粘膜下組織ハイドロゲルに分散させたマイクロカプセルの場合、薬物がゆっくり長時間放出されることを確認することができた。
【0118】
[実施例9.In vitroアリピプラゾール放出量の測定]
前記実施例3および4で製造されたマイクロカプセルを25mgずつ定量して、前記実施例6および7で製造した架橋ハイドロゲル1mlにそれぞれ分散させた後、5mlバイアル(vial)に入れて、アリピプラゾール薬物伝達剤形を製造した。
【0119】
前記小腸粘膜下組織ハイドロゲルを利用したアリピプラゾール薬物伝達剤形のバイアルにPBSを4ml添加した後、37℃、100rpmの条件で定められた時間ごとに0.5mlのPBSを取って、新しいPBSを同一量添加しつつ、時間別にサンプリングした。対照群として実施例3−1のマイクロカプセル(APZ(M)−cap alone)を使用し、それぞれのマイクロカプセルからアリピプラゾールの放出量はHPLCを利用して測定し、測定条件は、前記実施例1〜5のカプセル化効率の測定条件と同一に進めた。In vitroアリピプラゾール放出量の測定結果は
図15に示した。
【0120】
その結果、小腸粘膜下組織ハイドロゲルに分散させたマイクロカプセルの場合、マイクロカプセル単独剤形に比べて薬物がゆっくり長時間放出されることを確認することができた。
【0121】
[実施例10.顆粒単独群注射剤型の製造]
前記実施例1〜4で製造したアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルと5重量%D−マンニトール(D−mannitol)、2重量%カルボキシメチルセルロース(CMC)、0.1%ツイン80(Tween 80)を蒸留水に均一分散させて、1mlシリンジに入れて、注射剤型に製造した(
図16)。製造直ちにモデルマウスの皮下に注入してゲルを形成させた。
【0122】
[実施例11.ハイドロゲルにマイクロカプセルが分散した注射剤型製造]
前記実施例6および7で製造したハイドロゲル1mlに前記実施例1〜4で製造したアリピプラゾールが含有されたマイクロカプセルを均一分散させた後、1mlシリンジに入れて、注射剤型に製造した(
図16)。製造直ちにモデルマウスの皮下に注入して、ゲルを形成させた(
図17)。
【0123】
前記実施例10および実施例11で製造した注射剤型をモデルマウスの皮下に注入したとき、皮下に薬物含有マイクロカプセルが分散したゲルが形成されることを確認することができ、注入されたゲルから4週以上薬物が徐々に放出されて、長時間持続的な治療効果を示すという点を確認した。
【国際調査報告】