(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
前記QMAXデバイスが、異なる位置に3つ以上の制御放出剤を含み、それらの各々がそれぞれの位置で前記検出剤に対する異なる放出時間を提供する、先行する請求項のいずれか一項に記載の請求項。
制御放出の異なる種類の数が、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、100以上、200以上、500以上、1000以上、またはこれらの値のいずれか2つの値の任意の範囲内である、先行する請求項のいずれか一項に記載の請求項。
異なる時間での制御された検出剤放出を用いて、生物学的/化学的アッセイのためにQMAXデバイスを利用する方法を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の請求項。
前記徐放剤が、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVA[ポリ(ビニルアルコール)]、PEO[ポリ(エチレンオキシド)]、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、MC(メチルセルロース)、可溶性デンプン、デキストラン、ゼラチン、キトサン、PEOx[ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)]、およびHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)からなる群から選択される材料で作られている、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記刺激依存性放出剤が、前記刺激がないときに前記検出剤を保持する架橋を前記検出剤と形成し、前記架橋が、前記刺激により変化し、前記検出剤の放出をもたらす、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記刺激依存性放出剤が、前記刺激がないときに前記検出剤を保持するポリマーを自律的に形成するように構成され、前記ポリマーが前記刺激により脱重合され、前記検出剤の放出をもたらす、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記刺激が、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、およびガンマ線、温度、pH、イオン、磁気刺激、機械的刺激(例えば、機械的圧縮、機械的衝撃、超音波)、ならびに電気刺激からなる群から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記刺激依存性放出剤が、(E)−(2−ヒドロキシフェニル)アクリレート、2−アロイルベンゾエート、キサンテン酸エステル、2−ニトロベンジル誘導体、1−アルコキシ−9,10−アントラキノン、2−オキソアセテート、アルキルフェニルケトン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、アミノ−クマリンファミリー、ペリレン、1−アセチルペリレン、2−ニトロフェニル)プロピルオシカルボニル、ルテニウム錯体、クロロフィリン、フタロシアニン、ジステアロイルインドカルボシアニン、アゾベンゼン、2−ジアゾ−1,2−ナトキノン、メロシアニン/スピロピラン、ドナー−アクセプターステンハウス付加物、クマリン修飾メソポーラス生物活性ガラス、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PNIPAm−co−PDMAEMA)、直鎖状PNI−Pam−co−DMAEMAポリマー、46kDa PNIPAmグラフトを有するPEI−PNIPAmポリマー、ポリ[2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE)、プルロニックとジ(エチレングリコール)ジビニルエーテルとから合成されたマルチブロックコポリマー、ポリエチレンイミン(BPEI)/pDNA複合体、PVPとアクリル酸との共重合、プルロニック−g−PAAコポリマー、糖類(レシチン)ベクターと結合されたリポソーム、PEG化リポソーム、N−イソプロピルアクリルアミドとアクロイルピロリジンとのコポリマー(立体的に安定化されたリポソーム)、ヒスチジン修飾ガラクトシル化コレステロール誘導体−カチオン性リポソーム、ホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むアニオン性リポソーム、ポリ(メトキシ−ポリエチレングリコールシアノアクリレート−co−n−ヘキサデシルシアノアクリレート)の両親媒性コポリマー(PEG−PH DCA)、ポリエチレンポリ(フタロイル−L−リジン)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ナノ粒子、ポリ(メチルメタクリレート)ナノ粒子、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ポリエステルナノ粒子、アルブミン、キトサン、デキストラン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミドcoブチルメタクリレート−co−アクリル酸)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド、多糖類、ゲルライト、アルギン酸塩/HPmC、アルギン酸ナトリウム/HPC、ゲルライトゲランガム、およびタマリンドからなる群から選択される材料で作られる、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記制御放出剤が、前記第1の時点で前記検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成された徐放剤であり、前記放出ステップ(d)が、外部の作用なく実施される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
前記制御放出剤が、刺激に特異的に応答するように構成された刺激感受性剤であり、前記刺激がないときには前記プレート上に前記検出剤を保持し、前記刺激を受けたときに前記検出剤を放出し、前記放出ステップ(d)が、前記薄層中の前記標的分析物が前記結合剤に実質的に結合した後、前記薄層への前記検出剤の放出を引き起こすように前記刺激依存性剤に前記刺激を送達することを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
前記制御放出剤のうちの少なくとも1つが、それぞれの前記第1の時点で前記検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成される徐放剤である、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
前記制御放出剤のうちの少なくとも1つが、刺激に特異的に応答するように構成された刺激感受性剤であり、前記刺激がないときには前記プレート上に前記検出剤を保持し、前記刺激を受けたときに前記検出剤を放出する、先行する請求項のいずれか一項に記載のデバイス。
【発明を実施するための形態】
【0007】
例示的実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として本発明のいくつかの実施形態を示す。本明細書で使用される節の見出しおよび任意のサブタイトルは、構成目的のためだけのものであり、記載される対象物を限定するものとして決して解釈するべきではない。節の見出しおよび/またはサブタイトル以下の内容は、節の見出しおよび/またはサブタイトルに限定されず、本発明の説明全体に適用される。
【0008】
任意の公開物の引用は出願日前のその開示に対してのものであり、本特許請求の範囲が先行発明のためにそのような公開物に先行する権利がないことを認めると解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は実際の公開日とは異なり得、これを個別に確認する必要があり得る。
【0009】
A.アッセイの改善(I)
「圧縮調節オープンフロー」(CROF)
アッセイにおいて、試料または試薬の操作はアッセイの改善をもたらすことができる。操作には、試料および/または試薬の幾何学的形状および位置、試料および試薬の混合または結合、ならびに試薬の試料のプレートへの接触領域の操作が含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
本発明の多くの実施形態は、「圧縮調節オープンフロー(CROF)」と呼ばれる方法およびCROFを実施するデバイスを使用して、幾何学的サイズ、位置、接触領域、ならびに試料および/または試薬の混合を操作する。
【0011】
「圧縮オープンフロー(COF)」という用語は、(i)試料の少なくとも一部の上に他のプレートを配置し、(ii)次いで2つのプレートを互いに向かって押圧することにより2つのプレート間で試料を圧縮することにより、プレート上に付着した流動性試料の形状を変える方法を指し、上記圧縮によって試料の少なくとも一部の厚さが減少し、試料がプレート間の開放スペースに流れ込む。
【0012】
「圧縮調節オープンフロー」または「CROF」(または「自己較正(self−calibrated)圧縮オープンフロー」もしくは「SCOF」もしくは「SCCOF」)という用語は、特定のタイプのCOFを指し、圧縮後の試料の一部または全体の最終的な厚さがスペーサーによって「調節」され、スペーサーは2つのプレート間に配置される。
【0013】
CROFにおける「試料の一部または全体の最終厚さはスペーサーによって調節される」という用語は、CROF中に、特定の試料の厚さに達すると、2つのプレートの相対的移動が停止し、したがって試料の厚さの変化が停止することを意味し、特定の厚さはスペーサーによって決定される。
【0014】
CROFの方法の一実施形態は、
図1に示すように、
(a)流動性を有する試料を取得することと、
(b)異なる構成へと互いに相対的に移動可能な第1のプレートおよび第2のプレートを取得することであって、各プレートが実質的に平面である試料接触面を有し、プレートの一方または両方がスペーサーを備え、スペーサーが所定の高さを有し、スペーサーがそれぞれの試料接触面上にある、取得することと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させることであって、開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させることと、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることによって試料を広げることであって、閉鎖構成では、プレートが互いに向かい合い、スペーサーおよび関連する体積の試料がプレートの間にあり、関連する体積の試料の厚さがプレートおよびスペーサーによって調節され、関連する体積が試料の全体積の少なくとも一部であり、試料が広がる際に試料が2つのプレート間で横方向に流れる、試料を広げることと、を含む。
【0015】
「プレート」という用語は、別段の指定がない限り、CROFプロセスで使用されるプレートを指し、これは、2つのプレート間に置かれた試料を圧縮して試料の厚さを減少させるために別のプレートと一緒に使用することができる表面を有する固体物である。
【0016】
「プレート」または「プレートの対」という用語は、CROFプロセスでの2つのプレートを指す。
【0017】
「第1のプレート」または「第2のプレート」という用語は、CROFプロセスで使用されるプレートを指す。
【0018】
「プレートが互いに向かい合っている」という用語は、プレートの対が少なくとも部分的に互いに向かい合っている場合を指す。
【0019】
「スペーサー」または「ストッパー」という用語は、別段の指示がない限り、2つのプレート間に配置された際に、2つのプレートを一緒に圧縮したときに達成することができる2つのプレート間の最小間隔についての制限を設定する機械的物体を指す。すなわち、圧縮において、スペーサーは、2つのプレートの相対的な動きを停止させて、プレートの間隔が予め設定された(すなわち所定の)値よりも小さくなるのを防ぐ。スペーサーには、「開放スペーサー(open−spacer)」および「閉鎖スペーサー(enclosed−spacer)」の2種類がある。
【0020】
「開放スペーサー」という用語は、液体がスペーサーの周囲全体に流れ、スペーサーがフロー通過する(flow pass)ことを可能とする形状を有するスペーサーを意味する。例えば、柱は開放スペーサーである。
【0021】
「閉鎖スペーサー」という用語は、液体がスペーサーの周囲全体を流れることができず、スペーサーをフロー通過することができない形状を有するスペーサーを意味する。例えば、リング形状スペーサーは、リング内側の液体のための閉鎖スペーサーであり、リングスペーサー内側の液体は、リング内側に残り、外側(外周)に移動することはできない。
【0022】
「スペーサーが所定の高さを有する」および「スペーサーが所定のスペーサー間距離を有する」という用語はそれぞれ、CROFプロセスの前にスペーサーの高さおよびスペーサー間距離の値が分かっていることを意味する。CROFプロセスの前にスペーサーの高さおよびスペーサー間距離の値が分かっていない場合、それは所定ではなない。例えば、ビーズがスペーサーとしてプレート上にスプレーされ、ビーズがプレートのランダムな位置に着地する場合、スペーサー間距離は所定ではない。スペーサー間距離が所定ではない別の例は、CROFプロセス中にスペーサーが移動することである。
【0023】
CROFプロセスにおいて「スペーサーがそれぞれのプレート上に固定されている」という用語は、スペーサーがプレートのある位置に取り付けられ、その位置への取り付けがCROF中に維持される(つまり、それぞれのプレートのスペーサーの位置は変化しない)ことを意味する。「スペーサーがそれぞれのプレートに対して固定されている」ことの例は、スペーサーがプレートの材料片で一体的に作られ、CROFプロセス中にプレート表面に対してスペーサーの位置が変化しないことである。「スペーサーがそれぞれのプレートに対して固定されていない」ことの例は、スペーサーが接着剤でプレートに接着されているが、CROFプロセス中のプレート使用の際に、接着剤がスペーサーをプレート表面上の元の位置に保持できず、スペーサーがプレート表面上の元の位置から移動して離れることである。
【0024】
「スペーサーがプレートに一体的に固定されている」という用語は、スペーサーおよびプレートが、使用中にスペーサーがプレート上の元の位置から移動しないまたは離れない一体成型の物体のように挙動することを意味する。
【0025】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成を意味する。
【0026】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語は、プレートが互いに向かい合い、スペーサーおよび関連する体積の試料がプレート間にあり、プレート間の関連する間隔、したがって関連する体積の試料の厚さがプレートおよびスペーサーによって調節され、関連する体積が試料の全体積の少なくとも一部である、構成を意味する。
【0027】
CROFプロセスにおける「試料の厚さはプレートおよびスペーサーによって調節される」という用語は、プレート、試料、スペーサー、およびプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉鎖構成における試料の少なくとも一部の厚さを、スペーサーおよびプレートの特性から予め決定することができることを意味する。
【0028】
CROFデバイスのプレートの「内表面(inner surface)」または「試料面」という用語は、試料に接触するプレートの表面を指すのに対し、プレートの(試料に接触しない)他の表面を「外表面」と呼ぶ。
【0029】
CROFデバイスの「Xプレート」という用語は、プレートの試料面上にあるスペースを備えるプレートを指し、スペーサーは所定のスペーサー間距離およびスペーサー高さを有し、スペーサーのうちの少なくとも1つは試料接触領域内にある。
【0030】
「CROFデバイス」という用語は、CROFプロセスを実施するデバイスを指す。「CROFされた(CROFed)」という用語は、CROFプロセスが使用されることを意味する。例えば、「試料がCROFされた」という用語は、試料がCROFデバイス内に入れられ、CROFプロセスが実施され、別段で明記しない限り、CROFの最終構成において試料が保持されたことを意味する。
【0031】
「CROFプレート」という用語は、CROFプロセスの実施に使用される2つのプレートを指す。
【0032】
平面状表面の「表面の平滑度」または「表面の平滑度の変動」という用語は、約数マイクロメートルまたは数マイクロメートル未満の短い距離にわたる完全に平坦な平面からの平面状表面の平均偏差を指す。表面の平滑度は、表面の平坦度の変動とは異なる。平面状表面は、良好な表面の平滑度を有するが、不十分な表面の平坦度を有し得る。
【0033】
平面状表面の「表面の平滑度」または「表面の平滑度の変動」という用語は、約10μmまたは10μm超の長い距離にわたる完全に平坦な平面からの平面状表面の平均偏差を指す。表面の平坦度の変動は、表面の平滑度とは異なる。平面状表面は、良好な表面の平滑度を有するが、不十分な表面の平坦度(つまり、表面の平坦度の大きな変動)を有し得る。
【0034】
プレートまたは試料の「相対表面の平坦度」という用語は、プレート表面の平坦度の変動と最終試料の厚さとの比である。
【0035】
CROFプロセスにおける「最終試料の厚さ」という用語は、別段で指定しない限り、CORFプロセスにおけるプレートの閉鎖構成での試料の厚さを指す。
【0036】
CROFにおける「圧縮方法」という用語は、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする方法を指す。
【0037】
プレートの「関心領域」または「関心のある領域」という用語は、プレートが実施する機能に関連するプレートの領域を指す。
【0038】
「最大」という用語は、「以下」を意味する。例えば、スペーサーの高さが最大1μmであるとは、スペーサーの高さが1μm以下であることを意味する。
【0039】
「試料面積」という用語は、プレート間のスペースに対してほぼ平行であり、かつ試料の厚さに対して垂直な方向の試料の面積を意味する。
【0040】
「試料の厚さ」という用語は、互いに向かい合うプレートの表面に対して垂直な方向(例えば、プレート間の間隔の方向)の試料の寸法を指す。
【0041】
「プレート間隔」という用語は、2つのプレートの内表面間の距離を指す。
【0042】
CROFにおける「最終試料の厚さの偏差」との用語とは、所定のスペーサー高さ(スペーサーの作製から決定される)と最終試料の厚さの平均との間の差を意味し、最終試料の厚さの平均は、所与の面積に対する平均(例えば、1.6cm×1.6cmの面積にわたる25個の異なるポイント(4mm離れている)の平均)である。
【0043】
CROFプロセスにおける「測定された最終試料の厚さの均一性」という用語は、所与の試料面積にわたる測定された最終試料の厚さの標準偏差(例えば、平均に対する標準偏差)を意味する。
【0044】
CROFプロセスにおける「試料の関連する体積」および「試料の関連する面積」という用語は、それぞれ、それぞれの方法またはデバイスによって実施される機能に関連する、CROFプロセス中にプレート上に付着した試料の一部または全体の体積および面積を指し、機能には、分析物もしくは存在物(entity)の結合時間の短縮、分析物の検出、体積の定量化、濃度の定量化、試薬の混合、または濃度(分析物、存在物、または試薬)の制御が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施形態では」、「本発明において、いくつかの実施形態では」、「実施形態」、「一実施形態」、「別の実施形態」、「特定の実施形態」、「多くの実施形態」または同様のものは、別段で特に明記しない限り、開示全体(すなわち、発明全体)に適用される実施形態を指す。
【0046】
CROFプロセスにおける物体の「高さ」または「厚さ」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に対して垂直な方向にある物体の寸法を指す。例えば、スペーサーの高さは、プレートの表面に垂直な方向のスペーサーの寸法であり、スペーサーの高さおよびスペーサーの厚さは同じことを意味する。
【0047】
CROFプロセスにおける物体の「領域」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に平行な物体の領域を指す。例えば、スペーサー領域は、プレートの表面に平行なスペーサーの領域である。
【0048】
CROFプロセスにおける「横方向」または「横方向に」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に平行な方向を指す。
【0049】
CROFプロセスにおけるスペーサーの「幅」という用語は、特に明記しない限り、スペーサーの横方向の寸法を指す。
【0050】
「試料内のスペーサー」という用語は、スペーサーが試料に囲まれていること(例えば、試料内の柱状スペーサー)を意味する。
【0051】
CROFプロセスにおけるプレートの「臨界曲げスパン(critical bending span)」という用語は、所与の可撓性プレート、試料、および圧縮力に対するプレートの曲げが許容可能な曲げと等しい、2つの支持体間のプレートのスパン(すなわち距離)を指す。例えば、所与の可撓性プレート、試料、および圧縮力に対して許容可能な曲げが50nmであり、臨界曲げスパンが40μmである場合、40μm離れている2つの隣接するスペーサー間のプレートの曲げは50nmになり、2つの隣接するスペーサーが40μm未満の場合、曲げは50nm未満である。
【0052】
試料の「流動性」という用語は、試料の厚さが減少すると、横方向の寸法が大きくなることを意味する。例えば、排泄物試料は流動性とみなされる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、CROFプロセス下の試料は、CROFプロセス下で試料の厚さを減少することができる限り、プロセスから利益を得るために流動性であってはならない。例えば、CROFプレートの表面に色素を加えることによって組織を染色するために、CROFプロセスでは、組織の厚さを減少させることができ、したがって色素による染色のための飽和インキュベーション時間を短縮することができる。
【0054】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと互いに相対的に移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された仮特許出願シリアル番号第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
A.QMAXデバイスを使用した定量アッセイ
本発明の一態様は、QMAXデバイスを使用する定量アッセイのためのデバイスおよび方法を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態では、プレートの一方または両方は、試料中の分析物を固定化することがきる捕捉剤を収容する結合部位を含み、プレートの一方または両方は、捕捉剤によって固定化され、かつ捕捉剤と試料中の分析物との間の結合を競合的に妨害する、異なる濃度の標的結合パートナーを結合部位の異なる位置にさらに含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、プレートの一方または両方は、試料中の分析物を固定化することができる捕捉剤を収容する結合部位を含み、プレートの一方または両方は、捕捉剤によって固定化され、かつ捕捉剤と試料中の分析物との間の結合を競合的に妨害する、異なる濃度の結合パートナー(標的結合パートナーではない)を結合部位の異なる位置にさらに含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、プレートの一方または両方は、異なる濃度の捕捉剤を収容する複数の結合部位を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は抗体であり、標的結合パートナーは捕捉抗体の標的抗原であり、これは、捕捉抗体と試料中の抗原分析物との間の結合を競合的に妨害する。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるデバイスおよび方法は、生/化学的試料中の標的分析物を定量的に検出および測定するのに特に有用である。
【0061】
AA1.定量アッセイのためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、標的分析物を含む疑いのある試料に接触するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの一方または両方が、それぞれのプレート上に固定されたスペーサーを備え、
v.スペーサーが、所定の実質的に均一な高さおよび所定の実質的に均一な高さを有し、
vi.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
vii.第1のプレートが、試料接触領域において複数の結合部位を含み、結合部位の各々が、標的分析物を結合および固定化することができる所定濃度の捕捉剤を含み、結合部位の少なくとも2つにおける捕捉剤の濃度が互いに異なり、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、試料がプレートの一方または両方の上に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成での試料付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって均一な厚さの層へと圧縮され、層の均一な厚さが、2つのプレートの内表面によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0062】
AB1.定量アッセイの方法であって、
(a)試料を取得するステップと、
(b)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップと、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、標的分析物を含む疑いのある試料に接触するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの一方または両方が、それぞれのプレート上に固定されたスペーサーを備え、
v.スペーサーが、所定の実質的に均一な高さおよび所定の実質的に均一な高さを有し、
vi.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
vii.第1のプレートが、試料接触領域において複数の結合部位を含み、結合部位の各々が、標的分析物を結合および固定化することができる所定濃度の捕捉剤を含み、結合部位の少なくとも2つにおける捕捉剤の濃度が互いに異なる、取得するステップと、
(c)プレートが開放構成であるときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、
開放構成において、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されない、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節され、該圧縮が、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能なに押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成が、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成である、適合可能に押圧することと、を含む、圧縮するステップと、
(e)(i)捕捉剤によって捕捉された分析物、(ii)結合部位によって捕捉された分析物に結合された標識、または(iii)(i)および(ii)の両方から生じる信号である、捕捉剤によって捕捉された分析物に関連する信号を測定するステップと、
(f)異なる濃度の捕捉剤を有する2つの結合部位からの信号を比較し、比較に基づいて試料中の標的分析物の濃度を決定するステップと、を含み、
適合可能に押圧することは、プレートの外表面の形状の変化に関係なく、ある領域に加えられる圧力を実質的に一定にする方法であり、
並行して押圧することは、意図する領域に同時に圧力を加えることであり、逐次的に押圧することは、意図する領域の一部に圧力を加え、他の領域に徐々に移動することである、方法。
【0063】
図30および
図31は、QMAXデバイスおよび方法を使用した定量アッセイを実験的に試験した本発明の例示的な実施形態である。
図30(a)は、結合プレートまたは捕捉プレートとしての第1のプレートの調製の略図を示す。500μmの厚さのガラス上に製造されたMプレートは、200nmの周期、55nmの柱の高さ、および80nmの柱直径を有し、50nmの厚さおよび100nmの直径を有する各柱の上部にある金ディスク、柱の足にあるバックプレーン、柱の壁にある無作為に配置された直径10nmを有する金ナノドット、およびこれらの金属成分間のナノ間隙を有する、周期的非金属柱の配列である。最初に、1インチ×1インチのサイズを有するMプレートをダイオキシン中の1mM DSU中で一晩インキュベートし、次いでダイオキシンで洗浄した。自己組織化層(self−assemble layer)(DSU)をコーティングした後、MプレートをPBS中の10μg/mLプロテインAを含む容器に2時間入れ、続いてPBSTで3回洗浄した。次いで、MプレートをPBS中の10μg/mL捕捉Ab(ヤギ抗ヒトIgG)で2時間コーティングし、続いてPBSTで3回洗浄した。Mプレートを、PBS中の2% BSAで2時間ブロッキングし、続いてPBSTで3回洗浄した。最後のステップでは、10μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、10ng/mL、1ng/mL、0の濃度を有するヒトIgG(標的抗原)の6つの0.4μL液滴を、チップ上の6つの異なるスポット上でQMAX(30μm間隔)とともに1分間インキュベートし、続いてPBSTで3回、水で3回洗浄し、空気中37℃で1時間乾燥させた。(b)は、貯蔵プレートとして第2のプレートを調製することの略図を示す。Xプレートは、30×40μmの柱サイズ、80μmの間隔間距離、30μmの柱の高さを有し、厚さ175μmのPMMAフィルムで作られた、微小柱の配列である。200μLの10μg/mL Cy−5を結合した検出Ab(マウス抗ヒトIgG)を均一に印刷し、Xプレート(25mm×25mm面積)上で37℃で2時間乾燥させた。
図31は、(a)2μg/mL、(b)500ng/mL、および(c)20ng/mLの濃度を有するヒトIgG試料を検査したときの5つのスポット(10μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、10ng/mL、1ng/mLヒトIgG抗原のプレコーティング濃度)の蛍光信号を示す。結果から、2μg/mLの試料濃度を検査したとき、スポット4(プレコート1μg/mL)において曲線が曲がり、500ng/mLの試料濃度を検査したきに、スポット3(プレコート100ng/mL)において曲線が曲がり、2μg/mLの試料濃度を検査したきに、スポット2(プレコート10ng/mL)において曲線が曲がった。曲がった位置から推定して、試料の濃度範囲を知ることができる。
【0064】
C.白血球を計数するためのQMAXデバイス
本発明の別の態様は、QMAXデバイスおよびシステムを使用して白血球(WBC)を計数するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0065】
図32および
図33は、QMAXデバイスおよびシステムを使用した白血球の計数についての実験パラメータおよび結果を示す本発明の例示的な実施形態である。
【0066】
白血球の血液計数では、
QMAXの間隙サイズは、2μm、5μm、10μm、30μmの範囲、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
好ましい視野は、0.1mm
2、10mm
2、50mm
2、100mm
2、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
0.1mm2〜10mm
2の視野での好ましいQMAXの間隙サイズは、10μm〜30μmの範囲である(計数精度は10%未満である)。
10mm
2〜50mm
2の視野での好ましいQMAXの間隙サイズは、5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲である(計数精度は10%未満である)。
50mm
2〜100mm
2の視野での好ましいQMAXの間隙サイズは、2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲である(計数精度は10%未満である)。
【0067】
赤血球の血液計数では、
好ましいQMAXの間隙サイズは、1.5μm、1.8μm、1.8μm、2.2μm、2.5μmの範囲、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
好ましい視野は、0.1mm
2、0.5mm
2、10mm
2、50mm
2、100mm
2、400mm
2、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
10%未満の赤血球計数精度を達成するために、好ましい視野は、50mm
2〜100mm
2、100mm
2〜400mm
2である。
5%未満の赤血球計数精度を達成するために、好ましい視野は、100mm
2〜400mm
2である。
【0068】
血小板血球の計数では、
好ましいQMAXの間隙サイズは、0.5μm、1.0μm、2.0μm、3.0μmの範囲、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
好ましい視野は、0.1mm
2、10mm
2、50mm
2、100mm
2、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
10%未満の血小板計数精度を達成するために、好ましい視野は、50mm
2〜100mm
2、100mm
2〜400mm
2である。
5%未満の血小板計数精度を達成するために、好ましい視野は、100mm
2〜400mm
2である。
【0069】
白血球の血液計数では、
好ましいQMAXの間隙サイズは、2μm、5μm、および10μmである。
好ましい視野は、10mm
2〜50mm
2の範囲である。
【0070】
赤血球の血液計数では、
好ましいQMAXの間隙サイズは2μmである。
好ましい視野は、0.5mm
2〜1mm
2、1mm
2〜10mm
2の範囲である。
【0071】
血小板の血液計数では、
好ましいQMAXの間隙サイズは、0.5μm、1μm、2μmである。
好ましい視野は、0.5mm
2〜1mm
2、1mm
2〜10mm
2の範囲である。
【0072】
D.制御放出を使用したQMAXデバイス
D.1 遅延放出を使用したQMAXデバイス
本発明の一態様は、結合剤および検出剤の両方が試料中の標的分析物をアッセイするために使用され、かつ結合剤によって標的分析物が実質的に結合された後に検出剤が試料中にゆっくりと放出される、2ステップの親和性結合アッセイに使用することができる徐放メカニズムを使用したQMAXデバイスを提供することである。
【0073】
図2は、第1のプレート10および第2のプレート20を備えたQMAXデバイスの例示的な実施形態を略図により示す。特に、パネル(A)は2つのプレートの斜視図を示す。第1のプレート10および第2のプレート20の各々は、内表面(それぞれ11および21)を備える。内表面11上に、第1のプレート10は、結合部位101(断面図には示されていない)を含み、その上に結合剤111がコーティングされ、固定化されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、結合剤111は、第1のプレートの内表面11上に固定化されていないが、試料と接触したときに放出可能であることに留意すべきである。さらに、第1のプレート10は、その内表面11に固定されたスペーサー40(斜視図には示されていない)を備える。スペーサー40のうちの少なくとも1つは、結合部位101内にある。しかしながら、他の実施形態では、第2のプレート20または第1のプレート10および第2のプレート20の両方が、それぞれの内表面に固定されたスペーサー40を有することに留意すべきである。いくつかの実施形態では、スペーサー(42および42)は、プレート10および20の一方または両方に永久的に固定される。本明細書において、「永久的に固定される」という用語は、スペーサーがプレートに取り付けられ、その取り付けが1つ以上のプレート使用中に維持されることを意味する。第2のプレート20は、その内表面21上に貯蔵部位201(断面図には示されていない)を含み、その上に検出剤211が徐放剤220と一緒にコーティングされている。徐放剤220は、検出剤211の上にコーティングされている。徐放剤220を検出剤211と混合することも可能である。
【0074】
第1のプレート10および第2のプレート20は、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成に互いに移動可能である。
図2のパネル(A)および(B)は、開放構成のいくつかの実施形態を示す。開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサー40によって調節されていない。パネル(B)に示すように、開放構成におけるプレート間の間隔により、液体試料90を第1のプレート10上に付着させることが可能となる。しかしながら、他の実施形態では、試料90が第2のプレート20上またはプレート10および20の両方の上に付着することに留意すべきである。
【0075】
図2のパネル(C1)〜(D2)は、QMAXデバイスを使用して非競合アッセイを実施する詳細な例示的プロセスを示している。より具体的には、パネル(C1)および(C2)は、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする初期のプロセスを示している。パネル(C1)に示されるように、試料90の付着後、2つのプレートをそれらの内表面で互いに向かい合わせにする。圧縮力Fが2つのプレートに加えられ、それらの間の間隔を狭くする。パネル(C2)は、2つのプレートが圧縮力Fによって閉鎖構成になることを示している。閉鎖構成では、第1のプレート10および第2のプレート20の間の間隔102はスペーサー40によって調節される。その結果、試料90の少なくとも一部は薄層904へと圧縮され、薄層904の厚さはスペーサー40によって調節される。薄層904は、結合部位101および貯蔵部位201の両方と接触している。
【0076】
図2のパネル(D1)および(D2)は、プレートが閉鎖構成にあるときのアッセイの詳細な2ステップのプロセスを示し、この閉鎖構成では、(1)パネル(D1)に示すように、薄層904に含まれる標的分析物92が、第1のプレート内表面11上に固定化された結合剤111に結合するか、または該結合剤111によって捕捉され、および(2)検出剤211が、第2のプレート20から放出され、試料に溶解および拡散し、その結果、結合部位によって捕捉された標的分析物92に結合し、パネル(D2)における結合剤−標的分析物−検出剤サンドイッチ様構造が形成されている。
【0077】
図2のパネル(C1)および(C2)に示すように、アッセイ中に、2ステップのプロセスを実現するために、検出剤211は、パネル(D1)に示すように、第2のプレートの内表面21上の徐放剤によって保持され、標的分析物92が結合剤111に実質的に結合するかまたは結合剤111によって捕捉されるまでそこから放出されないことに留意すべきである。したがって、言い換えれば、徐放剤220は、試料中の標的分析物が結合剤によって実質的に捕捉された後に検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている。パネル(D2)に示すように、徐放剤220は、試料中でのそれ自体の実質的な溶解を通じて(溶解された徐放剤220が示されている)プレートから検出剤211を放出し、このことは標的分析物92が結合剤111に結合するまで起こらない。本明細書で使用される「放出時間」という用語は、結合部位が試料に接触した後、検出剤が試料中に実質的に放出されて溶解するのにかかる時間を指す。本明細書で使用される「実質的」または「実質的に」という用語は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、100%、またはこれらの値のいずれか2つの値の間の任意の値の物体の体積パーセントまたはプロセスの完了パーセントを指す。
【0078】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスを、競合アッセイに使用することもでき、該アッセイでは、結合剤が、結合剤への検出剤の結合を競合的に阻害する標的分析物を結合および捕捉するように構成されている。これらの実施形態では、徐放剤はまた、検出剤の放出時間が、標的分析物が結合剤によって実質的に捕捉されるのにかかる時間と等しいかまたはそれより長くなるように構成されている。
【0079】
本発明の別の態様は、結合剤による標的分析物の捕捉がなく、検出剤のみが標的分析物をアッセイするために使用される、1ステップアッセイに使用することができるQMAXデバイスを提供することである。このタイプのアッセイでは、試料が薄層へと圧縮されるまで、検出剤が試料中に実質的に放出されないことが望ましい。この理由は、検出剤が、試料との接触時にまたは試料との接触後の非常に短時間で容易に放出されて試料に溶解した場合、溶解された検出剤が、プレートが開放構成から閉鎖構成になるプロセス中に、試料の流れる方向に強制的に流れやすくなるからである。多くの場合では、検出剤の強制的な流れは、短期間内でのプレートの横方向寸法にわたる拡散が制限されることに部分的に起因することから、試料中の検出剤の望ましくない、ほぼ不均等な分布をもたらすであろう。例えば、比色染色アッセイでは、色素の色彩豊かなリングが形成し、その中心は、指示色が殆どないし全く現れず、圧縮力が加えられるポイントであり、リング本体は非所に高い強度の指示色を表す。
【0080】
図3は、検出剤の均一な分布を実現するためのQMAXデバイスのいくつかの例示的な実施形態を示す。より具体的には、図に示すように、QMAXデバイスは、第1のプレート10および第2のプレート20を備える。プレートの各々は、それぞれ内表面11および21を備える。プレートの一方または両方は、それぞれの内表面に固定されたスペーサー40を備える(
図3の断面図では、ここでは第1のプレート10のみがスペーサー40を有するように示されている)。第2のプレート20は、その内表面21上に、貯蔵部位201(断面図には示されていない)を含み、その上に検出剤211が徐放剤220と一緒にコーティングされている。徐放剤220は、検出剤211の上にコーティングされている。
図2に示すのと同様に、
図3における2つのプレートはまた、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成に互いに相対的に移動可能である。
図3のパネル(A)および(B)パネル(A)および(B)は、開放構成のいくつかの実施形態を示す。開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサー40によって調節されていない。パネル(B)に示すように、開放構成におけるプレート間の間隔により、液体試料90を第1のプレート10上に付着させることが可能となる。しかしながら、他の実施形態では、試料90は、第2のプレート20上またはプレート10および20の両方の上に付着することに留意すべきである。
【0081】
図3のパネル(C1)〜(D)は、QMAXデバイスを使用して1ステップのアッセイを実施する詳細な例示的プロセスを示している。より具体的には、パネル(C1)および(C2)は、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする初期のプロセスを示している。パネル(C1)に示されるように、試料90の付着後、2つのプレートをそれらの内表面で互いに向かい合わせにする。圧縮力Fが2つのプレートに加えられ、それらの間の間隔を狭くする。パネル(C2)は、2つのプレートが圧縮力Fによって閉鎖構成になることを示している。閉鎖構成では、第1のプレート10および第2のプレート20の間の間隔102はスペーサー40によって調節される。その結果、試料90の少なくとも一部は薄層904へと圧縮され、薄層904の厚さはスペーサー40によって調節される。薄層904は、貯蔵部位201と接触している。
【0082】
図3のパネル(C2)に示されるように、徐放剤220は薄層904が形成されるまで検出剤を保持し、その後、検出剤211は薄層904に実質的に放出され、標的分析物92に特異的に結合する。言い換えれば、これらの実施形態では、徐放剤は、2つのプレートが閉鎖構成へと圧縮された後に検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている。したがって、プレートが試料の薄層が形成された閉鎖構成になった後にのみ、検出剤が実質的に放出される。
【0083】
上記で論じたように、いくつかの実施形態では、試薬の放出が遅延する期間は、標的分析物が結合剤によって実質的に捕捉されるのにかかる時間とほぼ等しいかまたはそれより長い。いくつかの他の実施形態では、試薬の放出が遅延する期間は、プレートが開放構成から閉鎖構成に移行するのにかかる時間とほぼ等しいかまたはそれより長い。いくつかの実施形態では、遅延時間は、1秒以上、2秒以上、3秒以上、5秒以上、8秒以上、10秒以上、15秒以上、20秒以上、30秒以上、45秒以上、60秒以上、2分以上、3分以上、5分以上、10分以上、20分以上、30分以上、45分以上、60分以上、2時間以上、5時間以上、もしくは10時間以上、またはいずれか2つの値の間の範囲である。
【0084】
D.2 刺激依存性放出を使用したQMAXデバイス
ここで、
図4を参照すると、QMAXデバイスのいくつかの他の例示的な実施形態が略図により示されている。示すように、QMAXデバイスは、第1のプレート10および第2のプレート20を備えている。第1のプレート10および第2のプレート20の各々は、内表面(それぞれ11および21)を備える。内表面11上に、第1のプレート10は、結合部位101(断面図には示されていない)を含み、その上に結合剤111がコーティングされ、固定化されている。しかしながら、いくつかの実施形態では、結合剤111は、第1のプレートの内表面11上に固定化されていないが、試料と接触したときに放出可能でもあることに留意すべきである。さらに、第1のプレート10は、その内表面11に固定されたスペーサー40(斜視図には示されていない)を備える。スペーサー40のうちの少なくとも1つは、結合部位101内にある。しかしながら、他の実施形態では、第2のプレート20または第1のプレート10および第2のプレート20の両方が、それぞれの内表面に固定されたスペーサー40を有することが可能であることに留意すべきである。第2のプレート20は、その内表面21上に、検出剤211および刺激感受性放出剤222を収容する貯蔵部位201(断面図には示されていない)を含む。刺激感受性放出剤222は検出剤211と混合され、2つは互いに架橋される(架橋は検出剤211と刺激感受性放出剤222との間の直線によって表されている)。刺激感受性放出剤222が検出剤211の上にコーティングされることも可能である。
【0085】
図2に示すのと同様に、
図4における第1のプレート10および第2のプレート20はまた、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能である。
図4のパネル(A)および(B)は、開放構成のいくつかの実施形態を示している。開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサー40によって調節されていない。パネル(B)に示すように、開放構成におけるプレート間の間隔により、液体試料90を第1のプレート10上に付着させることが可能となる。しかしながら、他の実施形態では、試料90は、第2のプレート20上またはプレート10および20の両方の上に付着することに留意すべきである。
【0086】
図4のパネル(C1)〜(D2)は、QMAXデバイスを利用して非競合アッセイを実施する詳細な例示的プロセスを示している。より具体的には、パネル(C1)および(C2)は、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする初期のプロセスを示している。パネル(C1)に示されるように、試料90の付着後、2つのプレートをそれらの内表面で互いに向かい合わせにする。圧縮力Fが2つのプレートに加えられ、それらの間の間隔を狭くする。パネル(C2)は、2つのプレートが圧縮力Fによって閉鎖構成になることを示している。閉鎖構成では、第1のプレート10および第2のプレート20の間隔はスペーサー40によって調節される。その結果、試料90の少なくとも一部は薄層904へと圧縮され、薄層904の厚さはスペーサー40によって調節される。薄層904は、結合部位101および貯蔵部位201の両方と接触している。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、検出剤の放出は刺激依存性であり、すなわち、刺激がないときには、刺激感受性放出剤は、検出剤を保持し、検出剤の試料への放出および溶解を防止または妨害するが、刺激を受けたときには、刺激感受性放出剤は、構造の変化を引き起こし、これにより検出剤のプレートからの放出および試料への溶解がもたらされる。したがって、検出剤の放出のタイミングは、刺激の送達によって正確に制御される。
図4のパネル(C1)〜(D2)は、刺激感受性放出剤の使用および刺激の送達を介したそのような正確なタイミング制御を示している。この例示的な実施形態では、刺激はレーザービームである。
【0088】
いくつかの実施形態では、刺激は、空間的に選択的な様式で与えられ、検出剤の空間的および時間的に制御された放出を実現する。例えば、刺激がレーザー光線または他の種類の電磁波である場合、これをプレート上の刺激感受性放出剤の選択領域に投射することができるが、プレートの他の領域の検出剤は放出されないままである。
【0089】
図2と同様に、
図4のパネル(C1)〜(D2)に示されているアッセイはまた、少なくとも2ステップを必要とする:(1)パネル(D1)に示すように、薄層904に含まれる標的分析物92は、第1のプレート内表面11上に固定化された結合剤111に結合し、該結合剤111によって捕捉され、および(2)検出剤211が、第2のプレート20から放出され、試料に溶解および拡散し、その結果、結合部位によって捕捉されている標的分析物92に結合し、これによりパネル(D2)における結合剤−標的分析物−検出剤サンドイッチ様構造が形成される。2ステップのプロセスを実現するために、最初に、刺激のないときには、検出剤211は、第2のプレート内表面21上の刺激感受性放出剤222によって保持され、そこから放出されない。次いで、パネル(D1)に示すように、標的分析物92が結合剤111に実質的に結合し、該結合剤111によって捕捉された後、刺激が送達されて、刺激感受性放出剤222の構造の変化を起こし、それにより検出剤211がプレートから放出される。パネル(D1)に示すように、レーザー光線(hvによって表されている)は、刺激の例として刺激感受性放出剤222に当てられる。したがって、検出剤211は、試料に溶解し、拡散し、結合剤111によって捕捉された標的分析物92に結合する。
【0090】
D.3 制御放出剤
本明細書で使用される「制御放出剤」という用語は、プレート上の試薬と混合されるか、または該試薬の上にコーティングすることができ、QMAXデバイスのプレートに収容される試薬の放出を制御するために使用される、材料または試薬の分類を指す。制御放出剤には、これまでに記載したような徐放剤および刺激感受性放出剤が含まれるが、これらに限定されない。徐放剤および刺激感受性放出剤は、検出剤の放出を調節するメカニズムが異なる。
【0091】
上記で論じたように、徐放剤は、検出剤の放出を自律的に遅延させる。本発明のいくつかの実施形態では、徐放剤は、上記のような試薬に可溶性であり、徐放剤が試料に部分的または完全に溶解するまで試薬の放出を遅延させる。徐放剤の溶解速度は、試料中への試薬の放出が望ましい期間にわたり遅延するように選択される。いくつかの実施形態では、徐放剤は、プレート上にコーティングされる試薬と混合される。本明細書で使用される「混合される」という用語は、ある種類の物品が別の種類の物品と関連付けられて、物理的混合および任意選択で化学的相互作用の形態で1つの集合体になることを指す。いくつかの実施形態では、徐放剤は、試薬と物理的に混合され、徐放剤は、試薬を保持するための物理的捕捉を形成するように構成される。例えば、徐放剤は、メッシュ様の構造を有する重合有機化合物であってもよく、試薬は「メッシュ」の穴に保持される。試薬は、徐放剤の部分的もしくは完全な溶解後に溶解するか、または徐放剤が透水性であるが水分子および試薬分子の浸透を制限する場合には比較的遅い速度で溶解する。いくつかの実施形態では、徐放剤は試薬と物理的に混合され、さらにこの2つは、共有結合、イオン結合、金属結合、水素結合、およびファンデルワールス結合を含むがこれらに限定されない、化学相互作用(結合)を形成する。徐放剤と試薬との間の化学的相互作用はまた、プレート上に試薬を保持し、徐放剤が部分的または完全に溶解するまで試薬の放出を遅延させるように構成される。
【0092】
いくつかの実施形態では、徐放剤は、試料に不溶性であり、試料への試薬の溶解を望ましい時間だけ遅延させるように構成される。いくつかの実施形態では、徐放剤は、プレート上の試薬の上にコーティングされる。この場合、徐放剤は、プレート上のコーティングされた試薬を覆い、少なくとも部分的に試薬が試料に接触するのを防ぐ物理的障壁を形成するように構成される。例えば、徐放剤は、試薬がコーティングされている結合部位(または貯蔵部位など)の側面積よりも大きい側面積を有する架橋ポリマーであり、そのような架橋ポリマーはプレート上および試薬の上にコーティングされ、結合部位(または貯蔵部位など)の大部分の側面積を覆っている。いくつかの実施形態では、徐放剤は、試薬と試料との間の接触を完全に妨害するように構成される。例えば、例示的な架橋ポリマーは、水がポリマーに浸透せず、ポリマーの下に覆われた試薬を溶解しないように、堅固な防水構造を形成する。この場合、徐放剤が試料に完全または部分的に溶解するまで試薬が放出され、試料に溶解するように、徐放剤は比較的遅い速度で試料に溶解することができる。他の実施形態では、徐放剤は、試薬と試料との間の接触を部分的に妨害し、その下に覆われている試薬の溶解速度を制限するように構成される。例えば、上記の例示的な架橋ポリマーは多孔質構造を有し、孔は透水性であるが、水分子および試薬分子の両方の浸透が特定のレベルで制限されるほどに十分に小さい。この場合、徐放剤は、比較的遅い溶解速度で試料に溶解するか、あるいはまったく溶解しない。そのような構成は、徐放剤がないときの試薬の放出と比較して、試料への試薬の放出の遅延に寄与するはずである。
【0093】
いくつかの実施形態では、徐放剤は、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVA[ポリ(ビニルアルコール)]、PEO[ポリ(エチレンオキシド)]、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、MC(メチルセルロース)、可溶性デンプン、デキストラン、ゼラチン、キトサン、PEOx[ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)]、およびHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)を含むがこれらに限定されないポリマーの群から作られる。
【0094】
上述のように、刺激感受性放出剤は、刺激に依存する様式で検出剤の放出を調節する。いくつかの実施形態では、刺激感受性放出剤は、刺激がないときには検出剤と架橋を形成するように構成される。刺激感受性放出剤と検出剤との間の架橋は、検出剤の貯蔵部位への結合の中間体として作用するか、またはその結合を強めるように構成される。例えば、検出剤はプレートに直接結合していないが、刺激感受性放出剤はプレートの内表面と検出剤との間に存在し、この両方の2つと相互作用を形成し、それによって検出剤を内表面と架橋する。あるいは、検出剤はプレート自体に結合し、刺激感受性放出剤と内表面および検出剤との間の相互作用は、検出剤のプレートへの結合をさらに強める。しかしながら、刺激を受けたときに、刺激感受性放出剤と検出剤との間の架橋、および任意選択で刺激感受性放出剤と内表面との間の相互作用が、検出剤の内表面への結合が検出剤を保持するのには十分に強くない程度まで変化する。それによって検出剤はプレートから放出され、試料が存在する場合は試料に溶解する。
【0095】
いくつかの実施形態では、刺激感受性放出剤は、ポリマーを自律的に形成し、刺激を受けたときに脱重合する。刺激感受性放出剤が、検出剤と液体試料との接触を遮断または制限するように、ポリマー状態の刺激感受性放出剤は、検出剤の上にコーティングされているか、または検出剤にそのポリマー構造の中に埋め込まれている(したがって「混合される」)。刺激を受けたときに、刺激感受性放出剤は脱重合して、検出剤は試料の接触から妨害されず、それにより放出されて試料に溶解する状態になる。
【0096】
いくつかの実施形態では、刺激感受性放出剤の構造変化を引き起こす刺激は、電磁波(電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、およびガンマ線など)、温度、pH、イオン、磁気刺激、機械的刺激(例えば、機械的圧縮、機械的衝撃、超音波)、および電気的刺激を含むがこれらに限定されない群から選択される。
【0097】
いくつかの実施形態では、刺激は電磁波、例えば光、マイクロ波であり、刺激感受性放出剤は、(E)−(2−ヒドロキシフェニル)アクリレート、2−アロイルベンゾエート、キサンテン酸エステル、2−ニトロベンジル誘導体、1−アルコキシ−9,10−アントラキノン、2−オキソアセテート、アルキルフェニルケトン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、アミノ−クマリンファミリー、ペリレン、1−アセチルペリレン、2−ニトロフェニル)プロリルオキシカルボニル、ルテニウム錯体、クロロフィリン、フタロシアニン、ジステアロイルインドカルボシアニン、アゾベンゼン、2−ジアゾ−1,2−ナトキノン、メロシアニン/スピロピラン、ドナー−アクセプターステンハウス(stenhouse)付加物、およびクマリン修飾メソポーラス生物活性ガラスを含むがこれらに限定されない群から選択される化合物から作られる。
【0098】
いくつかの実施形態では、刺激は温度刺激であり、刺激感受性放出剤は、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PNIPAm−co−PDMAEMA)、線状PNI−Pam−co−DMAEMAポリマー、46kDa PNIPAmグラフトを有するPEI−PNIPAmポリマー、ポリ[2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE)、プルロニックとジ(エチレングリコール)ジビニルエーテルとから合成されたマルチブロックコポリマー、ポリエチレンイミン(BPEI)/pDNA複合体、PVPおよびアクリル酸の共重合、およびプルロニック−g−PAAコポリマーを含むがこれらに限定されない群から選択される化合物から作られる。
【0099】
いくつかの実施形態では、刺激はpHであり、刺激感受性放出剤は、糖類(レシチン)ベクターが結合されたリポソーム、PEG化リポソーム、N−イソプロピルアクリルアミドおよびアクリロイルピロリジンのコポリマー(立体安定化リポソーム)、ヒスチジン修飾ガラクトシル化コレステロール誘導体−カチオン性リポソーム、ホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むアニオン性リポソーム、ポリ(メトキシ−ポリエチレングリコールシアノアクリレート−co−n−ヘキサデシルシアノアクリレート)の両親媒性コポリマー(PEG−PH DCA)、ポリエチレンポリ(フタロイル−L−リシン)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ナノ粒子、ポリ(メチルメタクリレート)ナノ粒子、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ポリエステルナノ粒子、アルブミン、キトサン、デキストラン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミドcoブチルメタクリレート−co−アクリル酸)、およびポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を含むがこれらに限定されない群から選択される化合物から作られる。
【0100】
いくつかの実施形態では、刺激はイオン(例えば、Ca
2+、Mg
2+、K
+、Na
+)であり、刺激感受性放出剤は、多糖類、ゲルライト、アルギン酸塩/HPmC、アルギン酸ナトリウム/HPC、ゲルライトゲランガム、およびタマリンドを含むがこれらに限定されない群から選択される化合物から作られる。
【0101】
いくつかの実施形態では、刺激は、1秒以上、2秒以上、5秒以上、10秒以上、20秒以上、1分以上、2分以上、5分以上、10分以上、20分以上、1時間以上、またはこれらの値のいずれか2つの任意の範囲内で送達される。
【0102】
D.4 QMAXデバイスを生物学的/化学的アッセイに利用する方法
本発明の別の態様は、QMAXデバイスを生物学的/化学的アッセイに利用する方法を提供することである。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、2ステップの親和性結合アッセイ用であり、該方法は、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第1のプレートが、その内表面上に、標的分析物に結合することができる結合剤を収容する結合部位を含み、
iv.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
v.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定される、提供するステップと、
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ結合部位および貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層中に検出剤を放出するステップであって、制御放出剤は、薄層中の標的分析物が結合剤に実質的に結合した後の第1の時点で検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、放出するステップと、
(e)ステップ(d)の後、検出剤が層の厚さにわたって拡散するのにかかる平均時間以上の期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含み、
検出剤および結合剤が、直接的または間接的のいずれかで結合し、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらすように構成され、
直接的な結合では、検出剤が、標的分析物と競合して、結合剤に直接的に結合し、
間接的な結合では、結合剤および検出剤が、異なる位置で標的分析物に結合する。
【0104】
いくつかの実施形態では、制御放出剤は徐放剤であり、方法の制御ステップ(d)はデバイスのユーザーのいかなる行為なしでも実施されるが、上記で論じたように、徐放剤は検出剤の放出を遅延させるようにそれ自体で機能する。
【0105】
いくつかの実施形態では、制御放出剤は刺激依存性剤であり、方法の制御ステップ(d)は、薄層中の標的分析物が結合剤に実質的に結合した後、刺激依存性剤に刺激を送達し、検出剤の薄層への放出を引き起こすことを含む。検出剤の刺激依存性放出は、上記で論じたメカニズムを介して行われる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態では、アッセイは、結合剤および検出剤が標的分析物に異なる位置で特異的に結合し、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらすように構成されている、非競合サンドイッチアッセイである。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、アッセイは、結合剤が標的分析物および検出剤の両方に特異的に結合し、検出剤と結合剤との間の結合が標的分析物と結合剤との間の結合と競合し、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらすように構成されている、競合結合アッセイである。
【0108】
いくつかの実施形態では、方法は、1ステップの生物学的/化学的アッセイ用であり、該方法は、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
v.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定される、提供するステップと
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層中に検出剤を放出するステップであって、制御放出剤は、2つのプレートが閉鎖構成へと圧縮された後の第1の時点で検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、放出するステップと、
(e)ステップ(d)の後、関連する時間以上の長い期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含み、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応して、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらし、
関連する時間は、検出剤が層の厚さにわたって拡散するのにかかる平均時間である。
【0109】
D.5 異なる放出時間
本発明の別の態様は、異なる位置における異なる放出時間での検出剤の実質的な放出を制御するように構成されたQMAXデバイスを提供することである。
【0110】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、異なる位置で、検出剤と混合されるか、または検出剤の上にコーティングされる2種以上の制御放出剤を含む。いくつかの実施形態では、第2のプレートは、第1の位置に第1の制御放出剤を含み、第2の位置に第2の制御放出剤を含む。第1の位置における検出剤は第2の位置における検出剤とは異なる種類であるか、もしくはそれらは同じ種類であるが量が異なるか、またはそれらは同じ種類および同じ量である。
【0111】
第1および第2の放出制御剤は、2つの位置における検出剤を異なる時間で実質的に放出するように構成される。例えば、第1および第2の制御放出剤は両方とも可溶性の徐放剤であるが、異なる溶解速度を有し、第1または第2の徐放剤がそれぞれの位置で部分的または完全に溶解するまで検出剤は実質的に放出されない。または別の場合では、第1および第2の制御放出剤は両方とも不溶性の徐放剤であり、多孔質ポリマー構造を介して試料との接触を制限することにより検出剤の放出時間を調節し、第1および第2の徐放剤は、それらの試料への透過性が異なり、かつ2つの位置における検出剤が異なる時間で実質的に放出されるように、異なる「孔」サイズを有する。または別の場合、第1および第2の制御放出剤は両方とも刺激感受性放出剤であるが、異なる刺激または同じ種類の刺激の異なる強度に反応し、それにより、異なる位置にある検出剤の異なる放出時間をもたらす。または別の場合では、第1および第2の放出制御剤は異なる種類であり、異なるメカニズムを通じて検出剤の放出時間を調節するが、それらによってもたらされる検出剤の放出時間が異なる。
【0112】
いくつかの実施形態では、検出剤を液体試料の一部に異なる時間で放出するためのデバイスであって、該デバイスは、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、第1の検出剤および第1の制御放出剤を収容する第1の貯蔵部位と、第2の検出剤および第2の制御放出剤を収容する第2の貯蔵部位と、を含み、第1および第2の制御放出剤が、それぞれ、第1および第2の検出剤と混合されているかまたは第1および第2の検出剤の上にコーティングされ、
iv.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、貯蔵部位と接触しており、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応し、
第1および第2の制御放出剤が、それぞれ、異なる第1の時点で第1および第2の検出剤の試料への実質的な放出をもたらすように構成されている。
【0113】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、異なる位置に3つ以上の制御放出剤を含み、それらの各々が、それぞれの位置における検出剤の異なる放出時間をもたらす。いくつかの実施形態では、制御放出の異なる種類の数は、3以上、4以上、5以上、10以上、20以上、50以上、100以上、200以上、500以上、1000以上である、またはこれらの値のいずれか2つの任意の範囲内である。
【0114】
本発明の別の態様は、異なる時間での検出剤の放出が制御された生物学的/化学的アッセイにQMAXデバイスを利用する方法を提供することである。
【0115】
いくつかの実施形態では、方法は、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第1のプレートが、その内表面上に、標的分析物に結合することができる結合剤を収容する結合部位を含み、
iv.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、それぞれ第1の位置および第2の位置で検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされた第1および第2の制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定されたスペーサーを有する、提供するステップと、
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ結合部位および貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層への検出剤の放出を制御するステップであって、制御放出剤が、薄層中の標的分析物が結合剤に実質的に結合した後に検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、制御するステップと、
(e)ステップ(d)の後、関連する時間以上の長い期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、方法は、1ステップの生物学的/化学的アッセイ用であり、該方法は、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、それぞれ第1の位置および第2の位置で検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている第1および第2の制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
iv.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定されたスペーサーを有する、提供するステップと、
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層中に検出剤を放出するステップであって、制御放出剤は、2つのプレートが閉鎖構成へと圧縮された後に検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、放出するステップと、
(e)ステップ(d)の後、関連する時間以上の長い期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含み、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応して、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらす。
【0117】
D.6 本発明の例
DA1.試薬を液体試料に徐放するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
iii.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
iv.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
v.第1のプレートが、その内表面上に、結合剤を収容する結合部位を含み、
vi.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている徐放剤と、を収容する貯蔵部位を含み、
vii.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、結合部位および貯蔵部位と接触しており、
検出剤および結合剤が、直接的または間接的のいずれかで結合するように構成され、
直接的な結合では、検出剤が、標的分析物と競合して、結合剤に直接的に結合し、
間接的な結合では、結合剤および検出剤が、異なる位置で標的分析物に結合し、
徐放剤は、標的分析物が結合剤に実質的に結合した後の第1の時点で検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成されている、デバイス。
【0118】
DA2.試薬を液体試料に徐放するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている徐放剤と、を収容する貯蔵部位を含み、
v.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定される、提供するステップと
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、貯蔵部位と接触しており、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応するように構成され、
徐放剤が、2つのプレートが閉鎖構成へと圧縮された後の第1の時点で検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成されている、デバイス。
【0119】
DB1.液体試料に試薬を時間的および空間的に制御して放出するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第1のプレートが、その内表面上に、結合剤を収容する結合部位を含み、
iv.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている徐放剤と、を収容する貯蔵部位を含み、
v.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、結合部位および貯蔵部位と接触しており、
検出剤および結合剤が、直接的または間接的のいずれかで結合するように構成され、
直接的な結合では、検出剤が、標的分析物と競合して、結合剤に直接的に結合し、
間接的な結合では、結合剤および検出剤が、異なる位置で標的分析物に結合し、
刺激依存性放出剤が、刺激に特異的に応答するように構成され、刺激がないときにはプレート上に検出剤を保持し、刺激を受けたときに検出剤を放出する、デバイス。
【0120】
DB2.液体試料の一部に試薬を時間的および空間的に制御して放出するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている刺激感受性放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
iv.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、貯蔵部位と接触しており、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応するように構成され、
刺激依存性放出剤が、刺激に特異的に応答するように構成され、刺激がないときにはプレート上に検出剤を保持し、刺激を受けたときに検出剤を放出する、デバイス。
【0121】
DC1.2ステップの親和性結合アッセイのための方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第1のプレートが、その内表面上に、標的分析物に結合することができる結合剤を収容する結合部位を含み、
iv.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
v.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定される、提供するステップと、
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ結合部位および貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層中に検出剤を放出するステップであって、制御放出剤は、薄層中の標的分析物が結合剤に実質的に結合した後の第1の時点で検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、放出するステップと、
(e)ステップ(d)の後、検出剤が層の厚さにわたって拡散するのにかかる平均時間以上の期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含み、
i.検出剤および結合剤が、直接的または間接的のいずれかで結合し、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらすように構成され、
ii.直接的な結合では、検出剤が、標的分析物と競合して、結合剤に直接的に結合し、
iii.間接的な結合では、結合剤および検出剤が、異なる位置で標的分析物に結合する、方法。
【0122】
DC2.1ステップのアッセイのための方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを提供するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面上に、検出剤と、検出剤と混合されているかまたは検出剤の上にコーティングされている制御放出剤とを収容する貯蔵部位を含み、
iv.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定される、提供するステップと
(b)2つのプレートが開放構成であるときに、2つのプレートのうちの少なくとも1つの内表面上に試料を付着させるステップであって、この開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔が間隔メカニズムによって調節されない、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを閉鎖構成にすることによって、付着した試料の少なくとも一部を、
プレートの内表面によって制限され、かつ貯蔵部位と接触している薄層
へと圧縮するステップであって、この閉鎖構成では、付着した試料の少なくとも一部の厚さが、プレートの開放構成での厚さと比較して減少している、圧縮するステップと、
(d)制御放出剤を介して薄層中に検出剤を放出するステップであって、制御放出剤は、2つのプレートが閉鎖構成へと圧縮された後の第1の時点で検出剤の実質的な放出をもたらすように構成されている、放出するステップと、
(e)ステップ(d)の後、関連する時間以上の長い期間にわたってアッセイ物をインキュベートし、薄層中の標的分析物を分析するステップと、を含み、
i.検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応して、標的分析物の存在または量を示す標的分析物関連信号をもたらし、
ii.関連する時間は、検出剤が層の厚さにわたって拡散するのにかかる平均時間である、方法。
【0123】
DD1.検出剤を異なる時間で液体試料の一部に放出するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの各々が、標的分析物を含有する試料と接触するための内表面を含み、
iii.第2のプレートが、その内表面に、第1の検出剤および第1の制御放出剤を収容する第1の貯蔵部位と、第2の検出剤および第2の制御放出剤を収容する第2の貯蔵部位と、を含み、第1および第2の制御放出剤が、それぞれ、第1および第2の検出剤と混合されているかまたは第1および第2の検出剤の上にコーティングされ、
iv.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、これにより試料がプレートの一方または両方に付着することが可能となり、
閉鎖構成が、開放構成における試料の付着後に構成され、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって制限され、かつスペーサーによって調節される薄層へと2つのプレートによって圧縮され、層の少なくとも一部が、貯蔵部位と接触しており、
検出剤が、標的分析物に結合するかまたは標的分析物と反応し、
第1および第2の制御放出剤が、それぞれ、異なる第1の時点で第1および第2の検出剤の試料への実質的な放出をもたらすように構成されている、デバイス。
【0124】
DA3.徐放剤が試料に可溶性であり、第1の時点以降に試料に実質的に溶解するように構成されている、実施形態DA1またはDA2に記載のデバイス。
【0125】
DA4.徐放剤が試料に不溶性であり、試料による検出剤の接触を制限する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0126】
DA5.徐放剤が、PVP(ポリビニルピロリドン)、PVA[ポリ(ビニルアルコール)]、PEO[ポリ(エチレンオキシド)]、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、MC(メチルセルロース)、可溶性デンプン、デキストラン、ゼラチン、キトサン、PEOx[ポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)]、およびHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)からなる群から選択される材料から作られる、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0127】
DA6.スペーサーが、250μm以下の最大高さを有する、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0128】
DA7.スペーサーが、250μm以下である所定の実質的に均一な高さを有する、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0129】
DA8.スペーサーが、所定の一定のスペーサー間距離を有する、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0130】
DA9.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に対して固定されている、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0131】
DA10.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0132】
DA11.薄層が、スペーサーのほぼ均一な高さである実質的に均一な厚さを有する、実施形態DA7〜DA10のいずれか1つに記載のデバイス。
【0133】
DB3.刺激依存性放出剤が、刺激がないときには検出剤を保持する検出剤と架橋を形成し、架橋が、刺激により変化して検出剤の放出をもたらす、実施形態DB1またはDB2に記載のデバイス。
【0134】
DB4.刺激依存性放出剤が、刺激がないときには検出剤を保持するポリマーを自律的に形成するように構成され、ポリマーが、刺激により脱重合されて検出剤の放出をもたらす、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0135】
DB5.刺激が、電波、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、およびガンマ線、温度、pH、イオン、磁気刺激、機械的刺激(例えば、機械的圧縮、機械的衝撃、超音波)、ならびに電気的刺激からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0136】
DB6.刺激依存性放出剤が、(E)−(2−ヒドロキシフェニル)アクリレート、2−アロイルベンゾエート、キサンテン酸エステル、2−ニトロベンジル誘導体、1−アルコキシ−9,10−アントラキノン、2−オキソアセテート、アルキルフェニルケトン、4−ベンゾイル−フェニルアラニン、アミノ−クマリンファミリー、ペリレン、1−アセチルペリレン、2−ニトロフェニル)プロピルオシカルボニル、ルテニウム錯体、クロロフィリン、フタロシアニン、ジステアロイルインドカルボシアニン、アゾベンゼン、2−ジアゾ−1,2−ナトキノン、メロシアニン/スピロピラン、ドナー−アクセプターステンハウス付加物、クマリン修飾メソポーラス生物活性ガラス、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(PNIPAm−co−PDMAEMA)、直鎖状PNI−Pam−co−DMAEMAポリマー、46kDa PNIPAmグラフトを有するPEI−PNIPAmポリマー、ポリ[2−(2−エトキシ)エトキシエチルビニルエーテル(EOEOVE)、プルロニックとジ(エチレングリコール)ジビニルエーテルとから合成されたマルチブロックコポリマー、ポリエチレンイミン(BPEI)/pDNA複合体、PVPとアクリル酸との共重合、プルロニック−g−PAAコポリマー、糖類(レシチン)ベクターと結合されたリポソーム、PEG化リポソーム、N−イソプロピルアクリルアミドとアクロイルピロリジンとのコポリマー(立体的に安定化されたリポソーム)、ヒスチジン修飾ガラクトシル化コレステロール誘導体−カチオン性リポソーム、ホスファチジルエタノールアミン(PE)を含むアニオン性リポソーム、ポリ(メトキシ−ポリエチレングリコールシアノアクリレート−co−n−ヘキサデシルシアノアクリレート)の両親媒性コポリマー(PEG−PH DCA)、ポリエチレンポリ(フタロイル−L−リジン)、ポリアミドアミンデンドリマー、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ナノ粒子、ポリ(メチルメタクリレート)ナノ粒子、ポリ(アルキルシアノアクリレート)ポリエステルナノ粒子、アルブミン、キトサン、デキストラン、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミドcoブチルメタクリレート−co−アクリル酸)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド、多糖類、ゲルライト、アルギン酸塩/HPmC、アルギン酸ナトリウム/HPC、ゲルライトゲランガム、およびタマリンドからなる群から選択される材料から作られる、先行する実施形態に記載のいずれか1つに記載のデバイス。
【0137】
DB7.スペーサーが、250μm以下の最大高さを有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0138】
DB8.スペーサーが、250μm以下である所定の実質的に均一な高さを有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0139】
DB9.スペーサーが、所定の一定のスペーサー間距離を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0140】
DB10.スペーサーが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に対して固定されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0141】
DB11.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、先行する実施形態のいずれか1つに記載のデバイス。
【0142】
DC3.制御放出剤が、第1の時点で検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成された徐放剤であり、放出ステップ(d)が、外部の作用なく実施される、実施形態DC1またはDC2に記載の方法。
【0143】
DC4.制御放出剤が、刺激に特異的に応答するように構成された刺激感受性剤であり、刺激がないときにはプレート上に検出剤を保持し、刺激を受けたときに検出剤を放出し、放出ステップ(d)は、薄層中の標的分析物が結合剤に実質的に結合した後、刺激依存性剤に刺激を送達して、薄層への検出剤の放出を引き起こすことを含む、実施形態DC1またはDC2のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
DD2.制御放出剤のうちの少なくとも1つが、それぞれの第1の時点で検出剤の実質的な放出を自律的にもたらすように構成された徐放剤である、実施形態DD1に記載のデバイス。
【0145】
DD3.制御放出剤のうちの少なくとも1つが、刺激に特異的に応答するように構成された刺激感受性剤であり、刺激がないときにはプレート上に検出剤を保持し、刺激を受けたときに検出剤を放出する、実施形態DD1またはDD2に記載のデバイス。
【0146】
E.不明確な力で押圧された均一な試料の厚さ.
本明細書およびあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる2017年2月8日に出願された仮特許出願第62/456504号に記載される不明確な力で押圧することにより均一な試料の厚さを形成するデバイスまたは方法のいくつかの実施形態では。
【0147】
いくつかの実施形態では、不明確な力は、約0.01kg、約0.05kg、約0.1kg、約0.25kg、約0.5kg、約1kg、約2.5kg、約5kg、約7.5kg、約10kg、約20kg、約25kg、約30kg、約40kg、約50kg、約60kg、約70kg、約80kg、約100kg、約200kg、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲、および0.5〜2kg、2〜5kg、5〜7.5kg、7.5〜10kg、10〜20kg、20〜40kg、40〜60kg、または60〜100kgの好ましい範囲内である。
【0148】
いくつかの実施形態では、不明確な力は、例えば、親指と人差し指との間で物体をつまむか、または親指と人差し指との間で物体をつまんで擦ることにより、ヒトの手により加えられる。
【0149】
いくつかの実施形態では、手で押圧する力は、約0.05kg、約0.1kg、約0.25kg、約0.5kg、約1kg、約2.5kg、約5kg、約7.5kg、約10kg、約20kg、約25kg、約30kg、約40kg、約50kg、約60kg、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内、および0.5〜1kg、1〜2kg、2〜4kg、4〜6kg、6〜10kg、10〜20kg、20〜40kg、または40〜60kgの好ましい範囲である。
【0150】
いくつかの実施形態では、手で押圧する力は、0.01kg/cm
2、0.1kg/cm
2、0.5kg/cm
2、1kg/cm
2、2kg/cm
2、2.5kg/cm
2、5kg/cm
2、10kg/cm
2、20kg/cm
2、30kg/cm
2、40kg/cm
2、50kg/cm
2、60kg/cm
2、100kg/cm
2、150kg/cm
2、200kg/cm
2、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲、および0.1kg/cm
2〜0.5kg/cm
2、0.5kg/cm
2〜1kg/cm
2、1kg/cm
2〜5kg/cm
2、または5kg/cm
2〜10kg/cm
2の好ましい範囲の圧力を有する。
【0151】
本明細書で使用される場合、力との関連における「不明確」という用語(例えば「不明確な押圧力」)は、
(a)力が加えられた時点で正確に知られていないか、または正確に予測できない大きさを有し、
(b)力の適用ごとに大きさが異なり、および
(c)(a)および(c)における力の不明確さ(すなわち変動)が実際に適用する力の合計の少なくとも20%である、力を指す。
【0152】
不明確な力は、例えば、親指と人差し指との間で物体をつまんだり、または親指と人差し指との間で物体をつまんで擦ったりすることにより、ヒトの手で加えることができる。
【0153】
EA.不明確な力、IGS
4/hEの特定
EA1.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする不明確な押圧力を加えるための力領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、および所定の固定されたスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、
開放構成において試料が付着した後に構成され、かつプレートが、力領域上に不明確な押圧力を加えることによって強制的に閉鎖構成となる、閉鎖構成
であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0154】
EA2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする不明確な押圧力を加えるための力領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、および所定の固定されたスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、方法。
【0155】
EB.手による押圧、スペーサーの硬さ−接触面積の積の特定
EB1.不明確な力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成における試料の付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、デバイス。
【0156】
EB2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されていない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、デバイス。
【0157】
EC.手による押圧、IDS/hEおよびスペーサーの硬さ−接触面積の積の特定
EC1.不明確な力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成における試料の付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力が、不明確な押圧力であり、ヒトの手によって提供される、デバイス。
【0158】
EC2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、方法。
【0159】
ED.手による押圧、柱状スペーサーおよびIDS/Wの比の特定
ED1.不明確な力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成における試料の付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力が、不明確な押圧力であり、ヒトの手によって提供される、デバイス。
【0160】
ED2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、流体試料と接触するおよび/または流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーは、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さ、所定の幅、および所定のスペーサー間距離を有し、
vii.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にある、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、方法。
【0161】
EE.体積の決定、IGS
4/hEの特定
EE1.ヒトの手によって提供される不明確な力で押圧することにより、関連する試料体積を決定するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、スペーサー、および面積決定デバイスを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、測定される関連する体積を有する流体試料と接触するおよび/または該流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、および所定の一定のスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
ix.面積決定デバイスが、関連する体積の外面積を決定するように構成され、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成における試料の付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
試料の関連する体積が、均一な厚さの層の部分的または全体的な体積であり、関連する体積の値が、均一な厚さおよび決定された側面積によって決定され、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力が、不明確な押圧力であり、ヒトの手によって提供される、デバイス。
【0162】
面積決定デバイスがカメラである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
+面積決定デバイスは、プレートの試料接触領域の面積を含み、面積は、試料接触領域の1/100未満、1/20未満、1/10未満、1/6未満、1/5未満、1/4未満、1/3未満、1/2未満、2/3未満、またはこれらの2つの値のいずれかの間の範囲内である。
+面積決定デバイスは、カメラおよびプレートの試料接触領域の面積を含み、この面積は試料と接触している。
【0163】
EE2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、測定される関連する体積を有する流体試料と接触するおよび/または該流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、および所定の一定のスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6μm
3/GPa以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
ix.面積決定デバイスが、関連する体積の外面積を決定するように構成されている、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、方法。
【0164】
EF.体積の決定、IGS
4/hEの特定
EF1.ヒトの手によって提供される不明確な力で押圧することにより、関連する試料体積を決定するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、スペーサー、および面積決定デバイスを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、測定される関連する体積を有する流体試料と接触するおよび/または該流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、および所定の一定のスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6um
3以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
ix.面積決定デバイスが、関連する体積の外面積を決定するように構成され、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成における試料の付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
試料の関連する体積が、均一な厚さの層の部分的または全体的な体積であり、関連する体積の値が、均一な厚さおよび決定された側面積によって決定され、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力が、不明確な押圧力であり、ヒトの手によって提供される、デバイス。
【0165】
EF2.不明確な押圧力で押圧することにより、均一な所定の厚さを有する流体試料薄層を形成する方法であって、
(a)第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを取得するステップであって、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、それぞれの内表面上に、測定される関連する体積を有する流体試料と接触するおよび/または該流体試料を圧縮するための試料接触領域を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを強制的に一緒にする力を加えるための領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの内表面に永続的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、200ミクロン以下の所定の実質的に均一な高さ、および所定の一定のスペーサー間距離を有し、
vii.可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したスペーサー間距離(IDS)の4乗(ISD
4/(hE))が、5×10
6um
3/GPa以下であり、
viii.スペーサーのうちの少なくとも1つが、試料接触領域内にあり、
ix.面積決定デバイスが、関連する体積の外面積を決定するように構成されている、取得するステップと、
(b)流体試料を取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、プレートおよびスペーサーによって調節される、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を、並行してまたは逐次的のいずれかで適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成であり、試料の厚さが減少することにより、貯蔵部位上の試薬を試料と混合する時間が短くなる、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、を含み、
2つのプレートを閉鎖構成へと押圧する力は、ヒトの手によって提供される不明確な押圧力である、方法。
【0166】
EG.追加
「不明確な力」という用語は、全く分かっていない大きさを有し、特定の大きさの値ではなく大きさの範囲のみ分かっている(大きさの範囲は、範囲の最小値から最大値まで少なくとも20%変動する)力であるか、または力が加えられた時点で予測不能である力を指す。不明確な力の例には、不明確な力の大きさが、力を加えるごとに変動し、力が加えられた領域にわたって不均一であり、力が加えられた時間にわたって変動し得ることが含まれる。不明確な力は、力を適用した時点で測定する必要はない。
【0167】
変形可能な試料が流体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0168】
変形可能な試料が液体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0169】
不明確な力が、実際に適用する力の合計の少なくとも30%の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0170】
不明確な力が、実際に加えられた力の合計の少なくとも20%、30%、40%、50%、60、70%、80%、90% 100%、150%、200%、300%、500%、またはいずれかの2つの値の範囲の変動を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0171】
1.スペーサーが平坦な上部を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0172】
2.デバイスが、押圧力が除かれた後に、力が加えられたときのものと厚さおよび均一性が実質的に同じである試料の厚さを有するようにさらに構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0173】
3.不明確な力がヒトの手によって提供される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0174】
4.スペーサー間距離が実質的に一定である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0175】
5.スペーサー間距離が、均一な試料厚さ領域の領域において実質的に周期的である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0176】
6.充填率とスペーサーのヤング率との積算が2MPa以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0177】
7.力が直接的または間接的に手により加えられる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0178】
8.加えられる力が5N〜20Nの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0179】
9.高度に均一な層が、平均厚さの15%、10%、または5%未満変動する厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0180】
10.不明確な力が、デバイスを親指と人差し指でつまむことにより加えられる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0181】
11.所定の試料の厚さがスペーサーの高さよりも大きい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0182】
12.押圧力が除かれた後、デバイスがそれ自体で閉鎖構成を保持する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0183】
13.均一な厚さの試料層の面積が、押圧力が加えられる面積よりも大きい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0184】
14.スペーサーが、押圧力を加えている際に著しく変形しない、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0185】
15.押圧力が予め決定されておらず、測定されていない、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0186】
F.同じプレート上の結合部位および貯蔵部位
本発明の別の態様は、捕捉剤および第2の剤の両方が同じプレー上にあることを意味する、結合部位および貯蔵部位が同じプレート上にあるQMAXデバイスを使用する生物学的/化学的アッセイのためのデバイスおよび方法を提供する。
【0187】
FA1.試料をアッセイするための方法であって、
(a)標的分析物を含有する試料と接触するための試料接触領域を内表面上に含む第1のプレートを取得するステップと、
(b)アッセイ領域を含む試料接触領域を含む第2のプレートを取得するステップであって、アッセイ領域が、
(i)試料中の標的分析物に結合する固定化された捕捉剤と、
(ii)試料に接触したときに試料に拡散することができる第2の剤であって、
第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能である、第2の剤と、を含む、取得するステップと、
(c)開放構成において、プレートの試料接触領域の一方または両方に試料を付着させることであって、開放構成において、プレートの試料接触領域が200μm超分離されている、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを閉鎖構成とすることであって、閉鎖構成において、(c)で付着させた試料の少なくとも一部が、2つのプレートの試料接触領域間で制限され、かつ0.01〜200μmの範囲の平均厚さを有する、閉鎖構成とするステップと、
(e)結合部位によって捕捉された分析物に関連する信号を検出するステップと、を含む、方法。
【0188】
FB1.競合アッセイを実施するためのデバイスであって、
標的分析物を含有する試料と接触するための試料接触領域を内表面に含む第1のプレートと、
アッセイ領域を含む試料接触領域を含む第2のプレートであって、アッセイ領域が、
(i)試料中の標的分析物に結合する固定化された捕捉剤と、
(ii)試料に接触したときに試料に拡散することができる第2の剤であって、
第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能である、第2の剤と、を含む、第2のプレートと、を備え、
構成のうちの1つは、
プレートが部分的または完全に分離され、かつプレートの試料接触領域間の平均間隔が300μm超である、開放構成
であり、
別の構成が、プレートの試料接触領域間の平均間隔が200μm以下である、閉鎖構成である、デバイス。
【0189】
捕捉剤および第2の剤が、2つのプレートの試料接触領域間の平均間隔の少なくとも2倍未満の距離によって分離されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0190】
捕捉剤および第2の剤が、2つのプレートの試料接触領域間の平均間隔の少なくとも2倍未満、3倍未満、5倍未満、10倍未満、20倍未満、30倍未満、50倍未満、100倍未満、200倍未満、300倍未満、500倍未満、1000倍未満、2000倍未満、5000倍未満、10000倍未満、5000倍未満、またはいずれか2つの値の範囲の距離によって分離されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0191】
捕捉剤によって捕捉された分析物に関連する信号が、(i)捕捉剤によって捕捉された分析物、(ii)結合部位によって捕捉された分析物に結合された標識、または(iii)(i)および(ii)の両方から生じる信号である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0192】
試料接触領域の一方または両方がスペーサーを備え、プレートが閉鎖構成にあるときに、スペーサーがプレートの試料接触領域間の間隔を調節する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0193】
プレートが閉鎖構成にあるときの試料接触領域間の間隔がスペーサーによって調節される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0194】
プレートが閉鎖構成にあるときに試料接触領域間の間隔を調節するスペーサーをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0195】
貯蔵部位が別の試薬をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0196】
結合部位が、固定化された捕捉剤に加えて、試料に接触したときに試料に拡散することができる別の試薬を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0197】
信号の検出が電気的、光学的、またはその両方である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。(検出については後で追加する。蛍光、SPRなど)。
【0198】
試料が血液試料(全血、血漿、または血清)である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0199】
蛍光ミクロスフェアの材料が、誘電体(例えば、SiO2、ポリスチレン)またはその誘電体材料の組み合わせである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0200】
上記蛍光標識の検出剤を第1のプレートに添加して競合剤に結合するステップを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0201】
検出剤が添加された後に洗浄するステップを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0202】
G.テクスチャ加工された(textured)光散乱表面を有するQMAXアッセイ
本発明の別の態様は、試料薄層のアッセイにおいて光信号を増強するためのデバイスを提供する。
【0203】
いくつかの実施形態では、デバイスは、
第1のプレート、第2のプレート、スペーサー、および光散乱層を備え、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、そのそれぞれの内表面上に、標的分析物を含有する流体試料と接触するための試料接触領域を有し、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.第1のプレートは光に対して透明であり、
iv.第2のプレートは、光を実質的に反射し、粗いトポロジーを有する光散乱層の内表面を含み、
構成のうちの1つは、
2つのプレートの内表面の間の平均間隔が少なくとも200μmであり、かつ試料がプレートの一方または両方に付着する、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が2つのプレート間にあり、プレートの内表面の間の平均間隔が200μm未満であり、
閉鎖構成では、光散乱層が、2つのプレートの内表面間のプローブ光の捕捉を増強する、デバイス。
【0204】
いくつかの実施形態では、デバイスにおいて、第2のプレートの光散乱表面は以下を含む:
i.テクスチャ加工表面は、凹凸のある波状のざらざらした表面であってもよいが、これに限定されず、
ii.テクスチャ加工表面は、周期的または非周期的であり、
iii.テクスチャ加工表面の平均粗さの範囲は、2μm〜5μmが好ましいが、これに限定されず、または
iv.スペーサーは、第1のプレートの内表面に固定され、所定の均一な高さを有する。
【0205】
B.アッセイの改善(II)
「圧縮調節オープンフロー」(CROF)
アッセイにおいて、試料または試薬の操作はアッセイの改善をもたらすことができる。操作には、試料および/または試薬の幾何学的形状および位置、試料および試薬の混合または結合、ならびに試薬の試料のプレートへの接触領域の操作が含まれるが、これらに限定されない。
【0206】
本発明の多くの実施形態は、「圧縮調節オープンフロー(CROF)」と呼ばれる方法およびCROFを実施するデバイスを使用して、幾何学的サイズ、位置、接触領域、ならびに試料および/または試薬の混合を操作する。
【0207】
「圧縮オープンフロー(COF)」という用語は、(i)試料の少なくとも一部の上に他のプレートを配置し、(ii)次いで2つのプレートを互いに向かって押圧することにより2つのプレート間で試料を圧縮することにより、プレート上に付着した流動性試料の形状を変える方法を指し、上記圧縮によって試料の少なくとも一部の厚さが減少し、試料がプレート間の開放スペースに流れ込む。
【0208】
「圧縮調節オープンフロー」または「CROF」(または「自己較正(self−calibrated)圧縮オープンフロー」もしくは「SCOF」もしくは「SCCOF」)という用語は、特定のタイプのCOFを指し、圧縮後の試料の一部または全体の最終的な厚さがスペーサーによって「調節」され、スペーサーは2つのプレート間に配置される。
【0209】
CROFにおける「試料の一部または全体の最終厚さはスペーサーによって調節される」という用語は、CROF中に、特定の試料の厚さに達すると、2つのプレートの相対的移動が停止し、したがって試料の厚さの変化が停止することを意味し、特定の厚さはスペーサーによって決定される。
【0210】
CROFの方法の一実施形態は、
(a)流動性を有する試料を取得するステップと、
(b)異なる構成へと互いに相対的に移動可能な第1のプレートおよび第2のプレートを取得するステップであって、各プレートが実質的に平面である試料接触面を有し、プレートの一方または両方がスペーサーを備え、スペーサーが所定の高さを有し、スペーサーがそれぞれの試料接触面上にある、取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させることであって、開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成にすることによって試料を広げることであって、閉鎖構成では、プレートが互いに向かい合い、スペーサーおよび関連する体積の試料がプレートの間にあり、関連する体積の試料の厚さがプレートおよびスペーサーによって調節され、関連する体積が試料の全体積の少なくとも一部であり、試料が広がる際に試料が2つのプレート間で横方向に流れる、試料を広げるステップと、を含む。
【0211】
「プレート」という用語は、別段の指定がない限り、CROFプロセスで使用されるプレートを指し、これは、2つのプレート間に置かれた試料を圧縮して試料の厚さを減少させるために別のプレートと一緒に使用することができる表面を有する固体物である。
【0212】
「プレート」または「プレートの対」という用語は、CROFプロセスでの2つのプレートを指す。
【0213】
「第1のプレート」または「第2のプレート」という用語は、CROFプロセスで使用されるプレートを指す。
【0214】
「プレートが互いに向かい合っている」という用語は、プレートの対が少なくとも部分的に互いに向かい合っている場合を指す。
【0215】
「スペーサー」または「ストッパー」という用語は、別段の指示がない限り、2つのプレート間に配置された際に、2つのプレートを一緒に圧縮したときに達成することができる2つのプレート間の最小間隔についての制限を設定する機械的物体を指す。すなわち、圧縮において、スペーサーは、2つのプレートの相対的な動きを停止させて、プレートの間隔が予め設定された(すなわち所定の)値よりも小さくなるのを防ぐ。スペーサーには、「開放スペーサー(open−spacer)」および「閉鎖スペーサー(enclosed−spacer)」の2種類がある。
【0216】
「開放スペーサー」という用語は、液体がスペーサーの周囲全体に流れ、スペーサーがフロー通過する(flow pass)ことを可能とする形状を有するスペーサーを意味する。例えば、柱は開放スペーサーである。
【0217】
「閉鎖スペーサー」という用語は、液体がスペーサーの周囲全体を流れることができず、スペーサーをフロー通過することができない形状を有するスペーサーを意味する。例えば、リング形状スペーサーは、リング内側の液体のための閉鎖スペーサーであり、リングスペーサー内側の液体は、リング内側に残り、外側(外周)に移動することはできない。
【0218】
「スペーサーが所定の高さを有する」および「スペーサーが所定のスペーサー間距離を有する」という用語はそれぞれ、CROFプロセスの前にスペーサーの高さおよびスペーサー間距離の値が分かっていることを意味する。CROFプロセスの前にスペーサーの高さおよびスペーサー間距離の値が分かっていない場合、それは所定ではなない。例えば、ビーズがスペーサーとしてプレート上にスプレーされ、ビーズがプレートのランダムな位置に着地する場合、スペーサー間距離は所定ではない。スペーサー間距離が所定ではない別の例は、CROFプロセス中にスペーサーが移動することである。
【0219】
CROFプロセスにおいて「スペーサーがそれぞれのプレート上に固定されている」という用語は、スペーサーがプレートのある位置に取り付けられ、その位置への取り付けがCROF中に維持される(つまり、それぞれのプレートのスペーサーの位置は変化しない)ことを意味する。「スペーサーがそれぞれのプレートに対して固定されている」ことの例は、スペーサーがプレートの材料片で一体的に作られ、CROFプロセス中にプレート表面に対してスペーサーの位置が変化しないことである。「スペーサーがそれぞれのプレートに対して固定されていない」ことの例は、スペーサーが接着剤でプレートに接着されているが、CROFプロセス中のプレート使用の際に、接着剤がスペーサーをプレート表面上の元の位置に保持できず、スペーサーがプレート表面上の元の位置から移動して離れることである。
【0220】
「スペーサーがプレートに一体的に固定されている」という用語は、スペーサーおよびプレートが、使用中にスペーサーがプレート上の元の位置から移動しないまたは離れない一体成型の物体のように挙動することを意味する。
【0221】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「開放構成」という用語は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成を意味する。
【0222】
CROFプロセスにおける2つのプレートの「閉鎖構成」という用語は、プレートが互いに向かい合い、スペーサーおよび関連する体積の試料がプレート間にあり、プレート間の関連する間隔、したがって関連する体積の試料の厚さがプレートおよびスペーサーによって調節され、関連する体積が試料の全体積の少なくとも一部である、構成を意味する。
【0223】
CROFプロセスにおける「試料の厚さはプレートおよびスペーサーによって調節される」という用語は、プレート、試料、スペーサー、およびプレート圧縮方法の所与の条件に対して、プレートの閉鎖構成における試料の少なくとも一部の厚さを、スペーサーおよびプレートの特性から予め決定することができることを意味する。
【0224】
CROFデバイスのプレートの「内表面(inner surface)」または「試料面」という用語は、試料に接触するプレートの表面を指すのに対し、プレートの(試料に接触しない)他の表面を「外表面」と呼ぶ。
【0225】
CROFデバイスの「Xプレート」という用語は、プレートの試料面上にあるスペースを備えるプレートを指し、スペーサーは所定のスペーサー間距離およびスペーサー高さを有し、スペーサーのうちの少なくとも1つは試料接触領域内にある。
【0226】
「CROFデバイス」という用語は、CROFプロセスを実施するデバイスを指す。「CROFされた(CROFed)」という用語は、CROFプロセスが使用されることを意味する。例えば、「試料がCROFされた」という用語は、試料がCROFデバイス内に入れられ、CROFプロセスが実施され、別段で明記しない限り、CROFの最終構成において試料が保持されたことを意味する。
【0227】
「CROFプレート」という用語は、CROFプロセスの実施に使用される2つのプレートを指す。
【0228】
平面状表面の「表面の平滑度」または「表面の平滑度の変動」という用語は、約数マイクロメートルまたは数マイクロメートル未満の短い距離にわたる完全に平坦な平面からの平面状表面の平均偏差を指す。表面の平滑度は、表面の平坦度の変動とは異なる。平面状表面は、良好な表面の平滑度を有するが、不十分な表面の平坦度を有し得る。
【0229】
平面状表面の「表面の平滑度」または「表面の平滑度の変動」という用語は、約10μmまたは10μm超の長い距離にわたる完全に平坦な平面からの平面状表面の平均偏差を指す。表面の平坦度の変動は、表面の平滑度とは異なる。平面状表面は、良好な表面の平滑度を有するが、不十分な表面の平坦度(つまり、表面の平坦度の大きな変動)を有し得る。
【0230】
プレートまたは試料の「相対表面の平坦度」という用語は、プレート表面の平坦度の変動と最終試料の厚さとの比である。
【0231】
CROFプロセスにおける「最終試料の厚さ」という用語は、別段で指定しない限り、CORFプロセスにおけるプレートの閉鎖構成での試料の厚さを指す。
【0232】
CROFにおける「圧縮方法」という用語は、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にする方法を指す。
【0233】
プレートの「関心領域」または「関心のある領域」という用語は、プレートが実施する機能に関連するプレートの領域を指す。
【0234】
「最大」という用語は、「以下」を意味する。例えば、スペーサーの高さが最大1μmであるとは、スペーサーの高さが1μm以下であることを意味する。
【0235】
「試料面積」という用語は、プレート間のスペースに対してほぼ平行であり、かつ試料の厚さに対して垂直な方向の試料の面積を意味する。
【0236】
「試料の厚さ」という用語は、互いに向かい合うプレートの表面に対して垂直な方向(例えば、プレート間の間隔の方向)の試料の寸法を指す。
【0237】
「プレート間隔」という用語は、2つのプレートの内表面間の距離を指す。
【0238】
CROFにおける「最終試料の厚さの偏差」との用語とは、所定のスペーサー高さ(スペーサーの作製から決定される)と最終試料の厚さの平均との間の差を意味し、最終試料の厚さの平均は、所与の面積に対する平均(例えば、1.6cm×1.6cmの面積にわたる25個の異なるポイント(4mm離れている)の平均)である。
【0239】
CROFプロセスにおける「測定された最終試料の厚さの均一性」という用語は、所与の試料面積にわたる測定された最終試料の厚さの標準偏差(例えば、平均に対する標準偏差)を意味する。
【0240】
CROFプロセスにおける「試料の関連する体積」および「試料の関連する面積」という用語は、それぞれ、それぞれの方法またはデバイスによって実施される機能に関連する、CROFプロセス中にプレート上に付着した試料の一部または全体の体積および面積を指し、機能には、分析物もしくは存在物(entity)の結合時間の短縮、分析物の検出、体積の定量化、濃度の定量化、試薬の混合、または濃度(分析物、存在物、または試薬)の制御が含まれるが、これらに限定されない。
【0241】
「いくつかの実施形態」、「いくつかの実施形態では」、「本発明において、いくつかの実施形態では」、「実施形態」、「一実施形態」、「別の実施形態」、「特定の実施形態」、「多くの実施形態」または同様のものは、別段で特に明記しない限り、開示全体(すなわち、発明全体)に適用される実施形態を指す。
【0242】
CROFプロセスにおける物体の「高さ」または「厚さ」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に対して垂直な方向にある物体の寸法を指す。例えば、スペーサーの高さは、プレートの表面に垂直な方向のスペーサーの寸法であり、スペーサーの高さおよびスペーサーの厚さは同じことを意味する。
【0243】
CROFプロセスにおける物体の「領域」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に平行な物体の領域を指す。例えば、スペーサー領域は、プレートの表面に平行なスペーサーの領域である。
【0244】
CROFプロセスにおける「横方向」または「横方向に」という用語は、特に明記しない限り、プレートの表面に平行な方向を指す。
【0245】
CROFプロセスにおけるスペーサーの「幅」という用語は、特に明記しない限り、スペーサーの横方向の寸法を指す。
【0246】
「試料内のスペーサー」という用語は、スペーサーが試料に囲まれていること(例えば、試料内の柱状スペーサー)を意味する。
【0247】
CROFプロセスにおけるプレートの「臨界曲げスパン(critical bending span)」という用語は、所与の可撓性プレート、試料、および圧縮力に対するプレートの曲げが許容可能な曲げと等しい、2つの支持体間のプレートのスパン(すなわち距離)を指す。例えば、所与の可撓性プレート、試料、および圧縮力に対して許容可能な曲げが50nmであり、臨界曲げスパンが40μmである場合、40μm離れている2つの隣接するスペーサー間のプレートの曲げは50nmになり、2つの隣接するスペーサーが40μm未満の場合、曲げは50nm未満である。
【0248】
試料の「流動性」という用語は、試料の厚さが減少すると、横方向の寸法が大きくなることを意味する。例えば、排泄物試料は流動性とみなされる。
【0249】
本発明のいくつかの実施形態では、CROFプロセス下の試料は、CROFプロセス下で試料の厚さを減少することができる限り、プロセスから利益を得るために流動性であってはならない。例えば、CROFプレートの表面に色素を加えることによって組織を染色するために、CROFプロセスでは、組織の厚さを減少させることができ、したがって色素による染色のための飽和インキュベーション時間を短縮することができる。
【0250】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと互いに相対的に移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された仮特許出願第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0251】
A.QMAXデバイスを使用した検査システム
本発明の一態様は、QMAXデバイスを使用して生/化学試料を分析するシステムおよび方法を提供する。
【0252】
AA1.試料を分析するための方法であって、
a)試料をQカード上に付着させ、Qカードを閉じるステップと、
b)閉じたQカードを、ハンドヘルドモバイル通信デバイスのカメラに接続しているアダプターに挿入するステップと、
c)ハンドヘルドモバイル通信デバイスのカメラを使用して、閉じたQカードの画像を撮影するステップと、
d)画像および/または画像の分析結果をハンドヘルドモバイル通信デバイスから遠隔地に送信するステップと、
e)モバイル通信デバイスから送信された画像および/または分析結果を遠隔地で分析するステップと、
f)異常が検出された場合、第三者および/またはハンドヘルドモバイル通信デバイスに通知するステップと、を含み、
Qカードが、互いに相対的に移動可能であり、かつ開放構成および閉鎖構成を有する2つのプレートを含み、
試料が、開放構成でのQカードのプレートの一方または両方に付着し、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が2つのプレート間にあり、
モバイル通信デバイスは、アダプター内でQカードの画像を作成し、かつ画像および/またはその分析結果を遠隔地に送信するように構成されている、方法。
【0253】
AA2.Qカード上に付着した試料が対象由来であり、対象がステップa)を実施する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0254】
AA3.試料の分析結果が正常範囲内にない場合、異常であると同定される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0255】
AA4.遠隔デバイスおよびハンドヘルドモバイル通信デバイスによって生成された分析結果が予め定義された値だけ異なる場合、異常であると同定される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0256】
AA5.試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、分画血液、血漿、血清など)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ液、外リンパ液、糞便、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物(rheum)、唾液、皮脂(皮表脂質)、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、尿、および呼気凝縮液からなる群から選択される体液を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0257】
AA6.試料が、川、湖、池、海、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、飲料水、土壌、堆肥、砂、岩、コンクリート、木材、レンガ、下水、空気、廃熱口、産業排気、または車両排気から得られる環境検体を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0258】
AA7.試料が、生の食品材料、調理食品もしくは加工食品、植物および動物性食品源、前加工(preprocessed)食品、または完全加工食品を含む食品検体を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0259】
AA8.ステップ(a)において、Qカードがヒトの手によって押圧される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0260】
AA9.ステップe)が、結果を閾値または正常範囲と比較して異常を含む試料を同定することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0261】
AA10.方法が、遠隔位置での分析によって有意に異なる結果が作成された場合、ハンドヘルドモバイル通信デバイスを更新することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0262】
AA11.Qカード上に付着した試料が対象由来であり、分析結果が対象に送信されない、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0263】
AA12.第三者が医療専門家である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0264】
AA13.医療専門家が医師または看護師である、実施形態AA12に記載の方法。
【0265】
AA14.第三者が保険会社である、実施形態AA1〜AA12のいずれかに記載の方法。
【0266】
AA15.モバイル通信デバイスからの結果および/または遠隔地からの結果が緊急救命室に送信される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0267】
AA16.結果に基づいて、ハンドヘルドモバイル通信デバイスまたは遠隔地が追跡情報を対象に送信する、実施形態AA1に記載の方法。
【0268】
AA17.追跡情報には、結果の説明、疾患もしくは状態に関する教育、可能な治療に関連する情報、好適な医師の場所に関する情報、食事および/もしくは運動の変更に関連する情報、または広告が含まれる、実施形態AA16に記載の方法。
【0269】
AA18.Qカードが、実質的に均一な高さおよび所定の一定のスペーサー間距離を有するスペーサーを備え、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、Qカードの2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの内表面によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0270】
AA19.プレートのうちの少なくとも1つが可撓性である、実施形態AA18に記載の方法。
【0271】
AA20.可撓性プレートの場合、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を積算したものが60〜750GPa μmの範囲である、実施形態AA19に記載の方法。
【0272】
AA21.可撓性プレートの場合、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)および撓性プレートのヤング率(E)で除算したISD4/(hE)が106μm3/GPa以下である、実施形態AA19に記載の方法。
【0273】
AA22.均一な厚さの層を調節するスペーサーが、少なくとも1%の充填率を有し、充填率が、均一な厚さの層と接触しているスペーサー面積と均一な厚さの層と接触している総プレート面積との比である、実施形態AA18に記載の方法。
【0274】
AA23.均一な厚さの層を調節するスペーサーの場合、スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を積算したものが10MPa以上であり、充填率が、均一な厚さの層と接触しているスペーサー面積と均一な厚さの層と接触している総プレート面積との比である、実施形態AA18に記載の方法。
【0275】
AA24.プレートの一方または両方が、プレート表面上またはプレート内のいずれかに、プレートの位置の情報を提供する位置マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0276】
AA25.プレートの一方または両方が、プレート表面上またはプレート内のいずれかに、試料および/またはプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するスケールマーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0277】
AA26.プレートの一方または両方が、プレート表面上またはプレート内のいずれかに、試料の画像化に役立つ画像化マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0278】
AA27.スペーサーが、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、またはそれらの任意の組み合わせとして機能する、実施形態AA18に記載の方法。
【0279】
AA28.均一な厚さの層の平均厚さが0.2μm〜3.8μmの範囲であり、試料が血液である、実施形態AA18に記載の方法。
【0280】
AA29.スペーサー間距離が7μm〜50μmの範囲である、実施形態AA18に記載の方法。
【0281】
AA30.スペーサー間距離が50μm〜120μmの範囲である、実施形態AA18に記載の方法。
【0282】
AA31.スペーサー間距離が120μm〜200μmの範囲である、実施形態AA18に記載の方法。
【0283】
AA32.スペーサー間距離が実質的に周期的である、実施形態AA18に記載の方法。
【0284】
AA33.スペーサーが、丸形、多角形、円形、正方形、長方形、卵形、楕円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、実施形態AA18に記載の方法。
【0285】
AA34.スペーサーが柱形状であり、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサーについて、スペーサーの横方向の寸法とその高さの比が少なくとも1である、実施形態AA18に記載の方法。
【0286】
AA35.各スペーサーが、少なくとも1のスペーサーの横方向の寸法とその高さの比を有する、実施形態AA18に記載の方法。
【0287】
AA36.スペーサーの横方向の最小寸法が、試料中の分析物の最小寸法未満であるかまたはそれと実質的に等しい、実施形態AA18に記載の方法。
【0288】
AA37.スペーサーの横方向の最小寸法が0.5μm〜100μmの範囲である、実施形態AA18に記載の方法。
【0289】
AA38.スペーサーが柱形状を有し、スペーサーの側壁角(sidewall corner)が少なくとも1μmの曲率半径の丸形状を有する、実施形態AA18に記載の方法。
【0290】
AA39.スペーサーが少なくとも1000/mm2の密度を有する、実施形態AA18に記載の方法。
【0291】
AA40.プレートのうちの少なくとも1つが透明である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0292】
AA41.プレートのうちの少なくとも1つが可撓性ポリマーから作られる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0293】
AA42.プレートを圧縮する圧力に関して、スペーサーが圧縮可能ではなく、および/または独立して、プレートの1つだけが可撓性である、実施形態AA18に記載の方法。
【0294】
AA43.可撓性プレートが10μm〜200μmの範囲の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0295】
AA44.均一な厚さの変動が30%未満である、実施形態AA18に記載の方法。
【0296】
AA45.均一な厚さの変動が10%未満である、実施形態AA18に記載の方法。
【0297】
AA46.均一な厚さの変動が5%未満である、実施形態AA18に記載の方法。
【0298】
AA47.プレートが、ヒンジによって接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0299】
AA48.均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mm2の横方向面積にわたって均一である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0300】
AB1.試料を分析するためのシステムであって、
a)互いに相対的に移動可能であり、かつ開放構成および閉鎖構成を有する2つのプレートを備える、分析用の試料を操作するためのQカードと、
b)カメラを備えるハンドヘルドモバイル通信デバイスと、
c)閉じたQカードを保持するように構成されたスロットを有するアダプターであって、ハンドヘルドモバイル通信デバイスに接続され、かつカメラが閉じたQカードの画像を撮影することを可能とする、アダプターと、
d)情報を保存し、かつモバイル通信デバイスと通信することができる遠隔デバイスと、を備え、
試料が、開放構成でのQカードのプレートの一方または両方に付着し、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が2つのプレート間にあり、
システムが、アダプター内でQカードの画像を作成し、かつ画像および/またはその分析結果を遠隔地に送信するように構成されている、システム。
【0301】
AB2.Qカードを折り畳むことにより閉鎖構成にすることができる、実施形態AB1のシステム。
【0302】
AB3.遠隔デバイスが、画像および/またはその分析結果を分析するように構成されている、実施形態AB1のシステム。
【0303】
AB4.遠隔デバイスが、他の遠隔デバイスと通信するように構成されている、実施形態AB1のシステム。
【0304】
AB5.Qカード上に配置された試料において異常が検出された場合、遠隔デバイスが第三者に通知するように構成されている、実施形態AB1のシステム。
【0305】
AC1.対象に医療推奨事項を提供する方法であって、
a)Qカードおよび関連するモバイル通信デバイスを使用して、対象由来の試料中の1つまたは複数の分析物を分析するステップと、
b)分析物の分析結果をモバイル通信デバイスから遠隔地に送信するステップと、
c)分析結果をデータセットに保存するステップと、
d)データセットに蓄積された分析結果に基づいて、遠隔地で一連の医療推奨事項を作成するステップと、
e)モバイル通信デバイスにメッセージを送信することにより、対象に医療推奨事項を提供するステップと、を含み、
医療推奨事項は、対象のための医薬、栄養/食事、運動、および/または治療に関連する提案を含む、方法。
【0306】
AC2.対象に医療推奨事項を提供する前に対象のニーズを確認することをさらに含む、節AC1に記載の方法。
【0307】
B.QMAXデバイスを使用したコレステロールの検査
本発明の別の態様は、QMAXデバイスを使用したコレステロール検査のデバイスおよび方法を提供する。
【0308】
BA1.液体試料を分析する方法であって、
(d)液体試料を取得するステップと、
(e)第1のプレート、第2のプレート、およびプレートの一方または両方に固定されたスペーサーを備えるデバイスを取得するステップであって、
i.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.各プレートが、それぞれ、試料接触領域を有する内表面を備え、
iii.スペーサーが所定の実質的に均一な高さを有し、スペーサーのうちの少なくとも1つが試料接触領域内にある、取得するステップと、
(f)プレートが開放構成にあるときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップであって、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されていない、付着させるステップと、
(g)(c)の後、2つのプレートを合わせ、プレートを閉鎖構成へと押圧する付着させるステップであって、
閉鎖構成において、試料の少なくとも一部が2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、この層は、2つのプレートの内表面によって制限され、かつスペーサーによって調節され、
一方または両方の試料接触面が、閉鎖構成において試料に溶解および拡散し、試料中のコレステロールと反応して発光信号を生成または変更するように構成された1つ以上の試薬を保存する、1つ以上の保存部位を含む、付着させるステップと、
(h)非常に均一な厚さの層から発光信号を読み取り、それにより試料中の総コレステロールの測定値を取得するステップと、を含む、方法。
【0309】
BA2.1つ以上の試薬が、コレステロールと反応して比色発光信号を生成または変更するように構成され、
読み取りステップ(e)が、非常に均一な厚さの層中の分析物からの比色発光信号を検出および定量化することを含む、節BA1に記載の方法。
【0310】
BA3.1つ以上の試薬が、コレステリルエステルヒドロラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを含む、節BA1に記載の方法。
【0311】
BA4.1つ以上の試薬が、ペルオキシダーゼおよびカラープローブをさらに含む、節BA3に記載の方法。
【0312】
BA5.カラープローブが、4−アミノフェナゾンおよびフェノールを含む、節BA4に記載の方法。
【0313】
BA6.1つ以上の貯蔵部位が、第1のプレート上に位置する第1の貯蔵部位と、第2のプレート上に位置する第2の貯蔵部位と、を含む、節BA1に記載の方法。
【0314】
BA7.
i.第1の貯蔵部位が、コレステリルエステルヒドロラーゼおよびコレステロールオキシダーゼを含み、
ii.第2の貯蔵部位が、4−アミノフェナゾン、フェノール、およびペルオキシダーゼを含む、節BA6に記載の方法。
【0315】
C.重金属検査
本発明の別の態様は、生/化学的試料中の重金属検査のデバイスおよび方法を提供する。より具体的には、本発明は、水性系中の重金属イオンを検出するためのプロセス、重金属イオン検査片を含むデバイス、およびセンサーを提供する。便利で効率的でかつ迅速な様式で重金属イオンを検出するために、本発明によるデバイスにより提供される携帯可能な検査方法。
【0316】
重金属(イオン)汚染とは、重金属またはその化合物によって引き起こされる環境汚染を指す。環境における重金属含有量の増加は、特に水性系中の重金属汚染の場合、主に採鉱、廃ガス排出、下水灌漑、重金属含有製品の使用などの人的要因によるものであり、これらは環境品質の低下をもたらす。現在、水性系中の少量の、さらには微量の重金属イオンを、簡単、低コスト、高感度、高信頼性、および安定した様式で検出するために使用することができる重金属イオン検査片が依然として必要である。一方、検査片がその場での検出に利用可能であり、高感度で重金属イオンを検出することができることが必要である。さらに、重金属イオンを定性的に検出することができるだけでなく、定量的または半定量的に検出することができることも望ましい。本発明は、これらの目標を達成するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0317】
C−1.重金属検査用のデバイスおよび方法
図5は、本発明が2つのパートを含むことを示す:1.体積制御された試料チャンバー中の試薬を乾燥させ、測定用のスマートフォンベースのリーダーに挿入することができる検査カードを含む、検査;2.スマートフォンで撮影した写真を変換し、分析物濃度を計算するための信号に変換する方法を含む、計算。
【0318】
図5によって示されるように、本発明は、検査プラットフォーム上の分析物の選択された定量的指標である収集ポイントを取得するためのデバイスおよび方法であって、
1.検査領域および較正領域を有するモジュール式比色反応検査プラットフォームを提供することと、
2.モジュール式比色検査プラットフォームの検査領域において検査するための分析物を提供することであって、検査領域は分析物に対する比色反応を可能にするように適合されている、提供することと、
3.分析物および較正領域を収容する検査領域のカラー画像を取得することと、
4.分析物および較正領域を収容する検査領域のカラー画像のそれぞれのピクセル配列を選択することと、
5.ピクセル配列の各々についてRGB明度の中央値を決定することと、
6.ピクセル配列の各々についてのRGB明度の中央値を特性値に変換することと、
7.特性値の選択された定量的指標に関連する較正指標を提供することと、
8.特性値を関連付けて、分析物の選択された定量的指標を決定することと、を含む。
【0319】
図6に示すように、コワース(coerce)白色基板である第1のプレートには、色指示薬およびpH調整剤が均一に印刷されている。色指示薬は、液体試料中の重金属に対する特定の反応を示す生/化学的試薬である。液体試料には、水、土壌試料、油、体液、および食物が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、試料には飲料水が含まれる。特定の実施形態では、試料には食物が含まれる。いくつかの実施形態では、第1のプレートは、コワース白色ポリスチレンプレートである。いくつかの実施形態では、色指示薬は、第1プレート上で乾燥される。いくつかの実施形態では、pH調整剤は、第1プレート上で乾燥される。いくつかの実施形態では、乾燥させた色指示薬の濃度は、1μM〜10mMである。いくつかの実施形態では、乾燥させたpH調整剤の濃度は、1μM〜10mMである。
【0320】
図6に示すように、第2のプレートに面する第1のプレートの表面は、第1のプレートの内表面として定義され、第1のプレートに面する第2のプレートの表面はまた、第2のプレートの内表面として定義される。いくつかの実施形態では、それぞれのプレートの内表面は、分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を含む。試料接触領域は、それぞれの内表面の一部または全体を占めることができる。
【0321】
図6に示すように、比色検査を使用して水中の重金属を検査するために、pH調整剤を試料に添加して、pHレベルを最適な状態に調整しなければならならない。この理由は、重金属イオンに対する色指示薬の化学反応速度が異なるpHレベルで大幅に変化し、pHが調整されていない場合には検査内で色が大きく変動するためである。重金属検査の場合、pH調整剤、またはそれらの複数の組み合わせの組み合わせは、試料pHレベルを調整するためにプレート上で乾燥され、それらには、ギ酸(メタン酸)、シュウ酸(エタン二酸)、乳酸(2−ヒドロキシプロパン酸)、リンゴ酸(2−ヒドロキシブタン二酸)、クエン酸(2−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸)、炭酸(ヒドロキシメタン酸、IUPAC名ではない)、アミノメチルホスホン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0322】
図6に示すように、第2のプレートは、第2のプレートの内表面上に固定されたスペーサーを備える。しかしながら、いくつかの実施形態では、スペーサーは、第1のプレートの内表面上に固定され、他の実施形態では、第2のプレートおよび第1のプレートの両方の内表面上に固定されることに留意すべきである。
【0323】
図6に示すように、スペーサーは1μm、2μm、5μm、10μm、20μm、50μm、100μm、200μm、500μm、1000μmの間、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。スペーサーの穴の直径は、約0.5mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。穴間の中心間の間隔は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、20mm、50mm、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。第2のプレートは、約1μm、約2μm、約5μm、約10μm、約20μm、約50μm、約100μm、約200μm、約500μm、約1000μm、またはいずれか2つの値の間の範囲内の厚さを有する透明な平坦なフィルムである。
【0324】
図6に示すように、第1のプレートおよび第2のプレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能である。構成のうちの1つは、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されていない、開放構成である。
図5は、血液などを含むが限定するものではない試料を第1のプレート、第2のプレート、または両方のプレートに添加することができる、開放構成のプレートを示す。いくつかの実施形態では、それぞれのプレートの内表面は、内表面の全体の一部を占める試料接触領域を含む。特定の実施形態では、スペーサーは、試料接触領域内に配置される。いくつかの実施形態では、スペーサーは、プレートのいずれかに固定されているのではなく、試料中に混合されている。
【0325】
図6に示すように、第2のプレートは表面が滑らかな透明な薄膜である。第2のプレートの吸収が色指示薬の吸収を妨げないことが必要である。第2のプレートを試料に押圧した後に試料チャンバーの歪みが発生しない限り、材料の可撓性に応じて、10μm〜300μmの厚さを第2のプレートとして使用することができる。
【0326】
図7に示すように、自家製の色指示薬およびpH調整剤で印刷された白色ポリスチレン(PS)基板。検知領域での色指示薬およびpH調整剤の量は、各ウェルに試料がいっぱいまで充填されたときに所望のpHレベルおよび色指示薬濃度を得ることができるように、ウェルの寸法に応じて慎重に制御される。重金属の種類またはそれらの組み合わせに応じて、異なる化学物質が色指示薬として使用される。色指示薬は、以下であり得る:(1)鉛の検出では、色指示薬は0.01%〜0.2%ロジゾン酸ナトリウム(試料に溶解した後は0.2%が好ましい)であり、または(2)銅、カドミウム、クロム、水銀の検出では、10μM〜1mMジチゾン(試料に溶解した後は30μMが好ましい)である。
【0327】
図7に示すように、色指示薬剤の印刷パラメータは、第1のプレート上で均一な乾燥が達成される限り、変動し得る。印刷条件、すなわち液滴の体積、速度は、第1のプレートの表面濡れ特性に依存し、これは当業者に周知であるので、説明を必要としない。本発明において、印刷条件は、液滴の直径500〜600μm、ピッチ約1mm、印刷速度約10mm/秒である。
【0328】
図7に示すように、ウェルの寸法は、スペーサー上の穴の配列の寸法によって決まる。スペーサーの厚さ、穴の直径、およびそれらの間隔によって試料の量が決定される。それらの構成は可撓性であるが、特定の構成、すなわち小さなアスペクト比の下で試料チャンバーの歪みを避けることが重要である。ここで、スペーサーの厚さは2μm〜1mm(好ましくは100μm)であり得、ウェルの直径は100μm〜10mm(好ましくは3mm)であり得、中心間距離は100μm〜10mm(好ましくは6mm)であり得る。
【0329】
図7に示すように、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ステップ(2)の後およびステップ(3)の前に、均一な厚さの層を所定の期間にわたってインキュベートすることをさらに含む。特定の実施形態では、所定の期間は、検出抗体が均一な厚さの層をわたって試料に拡散するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い。特定の実施形態では、所定の期間は、10秒未満、20秒未満、30秒未満、45秒未満、1分未満、1.5分未満、2分未満、3分未満、4分未満、5分未満、6分未満、7分未満、8分未満、9分未満、10分未満、15分未満、20分未満、30分未満、60分未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲内である。
【0330】
図8は、水中の鉛を検査するために使用される化学反応の図を示す。鉛イオンは、試料に溶解したロジゾン酸ナトリウム(暗黄色)と反応し、深紅色を有する不溶性のロジゾン酸塩が形成される。色の吸収を分析して、水中の鉛濃度を計算することができる。
【0331】
図9は、水中の重金属を検査するために使用される化学反応の図を示す。重金属は、Cd、Cu、Cr、Hgであり得る。重金属イオンは、試料に溶解したジチオゾンと反応し、異なる重金属に対して異なる色を生ずるジチゾン−金属錯体が形成される。色を用いて重金属の種類を識別し、色の吸収を分析して水中の重金属濃度を計算することができる。
【0332】
図10は、個々のR、G、Bチャンネルの水中鉛の比色検査標準曲線を単一の標準曲線に変換する略図を示す。各試料は異なる濃度の重金属を含有しているため、R、G、B信号は異なる。この変換には、異なる鉛濃度でのR、G、Bチャンネル信号の結合(combination)が使用される。いくつかの実施形態では、結合方法は線形結合である。いくつかの実施形態では、RGBチャンネル信号を結合するための係数は定数である。いくつかの実施形態では、RGBチャンネル信号を結合するための係数は行列である。いくつかの実施形態では、RGBチャンネル信号を結合するための係数は水中の鉛濃度の関数である。
【0333】
図11に示すように、個々のR、G、Bチャンネルの標準曲線を単一の標準曲線に変換するアルゴリズムは、最高のアッセイ感度を達成することができるように、R、G、B信号を結合する最良の係数を見つけるためのプロセスである。いくつかの実施形態では、異なる鉛濃度でのR、G、Bチャンネル信号の線形結合がこの変換に使用される。いくつかの実施形態では、線形係数は、一般化縮小勾配(Generalized Reduced Gradient)アルゴリズムを使用して訓練される。このようなアルゴリズムはオープンソースであり、当業者に既知であり、説明する必要はない。ここで、このアルゴリズムのプロセスを図で簡単に示す:
1.まず、
信号=C
1*R+C
2G+C
3*B+C
4となるように、次の4つの定数:C1、C2、C3、およびC4を定義する
2.線形係数を予め定義された量の小さな量だけ変更する
3.検出限界(LOD)を計算する
4.最小のLODを達成することができるまで線形係数を変更し続ける。
【0334】
本発明では、48の異なる検査を使用してデータを訓練した。より多くのトレーニングデータを使用すると、精度をさらに向上することができることが予想される。これは当業者の間で周知であり、さらなる説明を必要としない。
【0335】
C−2.例:水道水中の鉛濃度の検査
例として、水中の鉛を検査するためのチップを調製する。白色のコワースPS基板上に、自家製の色指示薬を印刷した。色指示薬は0.2%ロジゾン酸ナトリウム(これは飽和濃度である)であり、pH調整剤はクエン酸を添加することによりpH約3.0(このpHは独自の実験により最適化した)である。液滴直径500〜600μm、ピッチ約1mm、および印刷速度約10mm/秒のパラメータで試薬混合物を印刷した。
【0336】
この例では、各プレートが48個のウェルを有し、ウェルの直径が3mmである、プレートを作製した。
【0337】
中心間距離は6mmであり、ウェルの高さは約100μmである(Adhesive Researchの両面テープを使用して制御した)。次いで、0.7μLの試料を各ウェルに滴下する。次いで、厚さ175μmのPETフィルムを使用してウェルを覆い、1分間待つ。1分間のインキュベーション後、各ウェルをすぐに測定する。検査では、使用される光源はスマートフォンのカメラのフラッシュライトである。そして、スマートフォンのカメラを使用して画像を撮影する。
【0338】
アッセイの検証として、4つの主要な性能を計算する:1.各プレートの検出限界(LOD)、2.各プレートのアッセイ内CV%、3.各検査日のアッセイ間CV%、および4.日毎のCV%。この例では、合計8つのプレートを調製し、それぞれ、異なるバッチの試薬を使用して異なる時間に調製した。2つの異なる日に検査を実施し、それぞれの日に4つの異なるプレート上で検査を実施する。各プレート上で、417ppb、213ppb、106ppb、53.4ppb、26.7ppb、13.3ppb、6.7ppb、および0ppbの8つの異なる濃度でアッセイを実施する。各濃度に対して、6つの複製を実施する。
【0339】
図12は、個々のR、G、Bチャンネルの水中鉛検査標準曲線を示す。RGBチャンネル信号は、Pb
2+濃度曲線に伴って変化し、変換式:信号=−0.88*R+G−0.27*B+56.12を使用して単一の標準曲線に変換される。変換されたデータに、5PLロジスティックフィッティングを適合させる。エラーバーは、6つの複製ウェルの標準偏差である。変換後のLODは8.5ppbである。
【0340】
図13は、本発明のこの例における8つの異なる検査プレートすべての感度を示す。各検査プレートは異なる試薬を使用して別々に調製され、異なる時間に検査される。達成された平均LODは8ppbであり、これはEPA介入レベルである15ppbを下回っている。
【0341】
図14は、水質検査における鉛のアッセイ内CV%、アッセイ間CV%、および日毎のCV%の表である。各検査のLOD付近では、4%のアッセイ内CV%、4%のアッセイ間CV%、および1.1%の日毎のCV%。
【0342】
要約すると、この例は、水道水中の鉛濃度の検査を示し、(1)感度:平均LOD8ppbを示す。すべての検査プレートはEPA標準(15ppb)を満たすLODを示し、達成される最良のLODは3.9ppbである。(2)再現性:4%のLODでのアッセイ内CV%、4%のLODでのアッセイ間CV%、および1.1%のLODでの日毎のCV%。
【0343】
D QMAXデバイスを使用した食品の安全性およびアレルゲンの検査
本発明の別の態様は、食品試料における安全性およびアレルゲン検査のためのデバイスおよび方法を提供する。
【0344】
上記で概説したように、本発明のデバイス、システムおよび方法は、例えば食品マーカーの存在に関する、食品試料、例えば、生の食品、加工食品、調理食品、飲料水など由来の試料の分析での使用を見出すことができる。食品マーカーは、捕捉剤を伴って構成されたCROFデバイス中の食品マーカーに特異的に結合する捕捉剤によって捕捉することができる、以下の表B9に示すものなどの任意の適切なマーカーであってもよい。環境試料は、水道水、飲料水、調理食品、加工食品、または生の食品など、任意の好適な供給源から取得してもよい。いくつかの実施形態では、試料中の食品マーカーの有無または量のレベルは、食品が消費された場合の対象に対する安全性または有害性を示すことができる。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、試料が取得された食品中の生物の存在を示す病原体または微生物に由来する物質である。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、対象によって消費される場合に毒性または有害な物質である。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、対象によって消費された場合に意図せずまたは予期せずに生理機能を変化させ得る生物活性化合物である。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、食品が取得された方法(生育、調達、捕獲、収穫、加工、調理など)を示す。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、食品の栄養含有量を示す。いくつかの実施形態では、食品マーカーは、試料が取得された食品が対象によって消費された場合にアレルギー反応を誘発し得るアレルゲンである。
【0345】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイス、システム、および方法は、食品マーカーの測定レベルを含む情報に基づいて試料が取得された食品を消費する対象に対する安全性または有害性を示す報告を受け取るまたは提供することをさらに含む。消費用の食品の安全性を評価するために使用される情報には、食品マーカーの種類および測定量以外のデータが含まれてもよい。これらの他のデータには、消費者に関連する健康状態(アレルギー、妊娠、慢性または急性疾患、現在の処方薬など)が含まれてもよい。
【0346】
報告は、CROFデバイスを読み取るように構成されたデバイスによって作成されてもよく、または食品マーカーの測定量を含むデータを送信したときに遠隔地で作成されてもよい。いくつかの場合では、食品安全の専門家が、遠隔地にいるかまたは遠隔地に送信されたデータにアクセスし、データを分析または調査して報告を作成してもよい。食品安全の専門家は、米国食品医薬品局(FDA)もしくはCDCなどの政府機関、大学などの研究機関、または民間企業の科学者または管理者であってもよい。特定の実施形態では、食品安全の専門家は、デバイスによって送られたデータおよび/または遠隔地で分析されたデータに基づいて、ユーザーに指示または推奨事項を送信してもよい。
【0347】
食品マーカーのリストは表D1で利用可能である。本発明のいくつかの実施形態では、QMAXデバイスを使用して、表D1に列挙された食品マーカーを含むがこれに限定されない分析物の存在および/または量を検出する。
【0349】
C.特に血液検査のためのアッセイ(II)
特に、本発明は、QMAXカードを使用して生物学的および化学的アッセイを実施するデバイス、システム、および方法を提供する。本明細書に開示される例示的な実施形態は、以下の出願において開示、説明、および/または言及されるアッセイを含むがこれらに限定されない生物学的/化学的アッセイと組み合わせられる:
2016年8月10日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/045437号、
2016年9月14日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/051775号、
2016年9月14日に出願されたPCT出願第PCT/US2016/051794号、
2016年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/369,181号、
2016年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/412,006号、
2016年12月21日に出願された米国仮特許出願第62/437,339号、
2016年12月9日に出願された米国仮特許出願第62/431,639号、
2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456,065号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,488号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,287号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,528号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,537号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,612号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,631号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,596号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,590号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,638号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,598号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,552号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,603号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,585号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,628号、
2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456,504号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/456,988号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,084号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,031号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/456,904号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,075号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,009号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,133号、
2017年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/457,103号、
2017年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/459267号、
2017年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/459303号、
2017年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/459337号、
2017年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/459232号、および
2017年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/459160号、
(これらはすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0350】
本明細書に組み込まれるこれらの出願の実施形態は、個別の独立した出願ではなく、互いに組み合わせて、または単一の発明とみなすことができる。
【0351】
さらに、本明細書に開示される例示的な実施形態は、生物学的/化学的アッセイ、QMAXカードおよびシステム、ヒンジ、ノッチ、凹型エッジ、およびスライダーを備えるQMAX、均一な試料厚さを有するアッセイおよびデバイス、スマートフォン検出システム、クラウドコンピューティングの設計、様々な検出方法、標識、捕捉剤および検出剤、分析物、疾患、用途、ならびに試料を含むがこれらに限定されない実施形態に適用可能であり、様々な実施形態が上述の出願において開示、説明、および/または言及されており、それらはすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0352】
1.8〜3.8μmの間隙を使用するための例示的な実施形態
A1.流体試料薄層を操作および分析するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
ix.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
x.プレートの一方または両方が可撓性であり、
xi.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
xii.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを一緒に押圧する押圧力を加えるための力領域を含み、
xiii.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの試料接触領域に永久的に固定されているスペーサーを備え、
xiv.スペーサーが、
(a)1.8μm〜3.8μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
(b)実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
(c)1以上の幅と高さとの比と、
(d)10μm〜200μm(ミクロン)の範囲である、所定の固定されたランダムではないスペーサー間距離と、
(e)1%以上の充填率と、
(f)2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有し、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0353】
A2.流体試料薄層を操作および分析するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
iv.プレートの各々が、そのそれぞれの外表面上に、プレートを一緒に押圧する押圧力を加えるための力領域を含み、
v.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの試料接触領域に永久的に固定されているスペーサーを備え、
vi.スペーサーが、
(a)1.8μm〜3.8μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
(b)実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
(c)1以上の幅と高さとの比と、
(e)10μm〜200μmの範囲にある、所定の、固定された、ランダムではないスペーサー間距離と、
(e)1%以上の充填率と、
(f)2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有し、
vii.(a)ハウジングと、(b)アダプターをカメラを備える携帯電話に取り付けることを可能にするハウジング上の取り付け物(attachment)と、(c)ハウジング内のスロットであって、(1)閉鎖構成でのプレートをスロット中にスライドさせることを可能とし、(2)プレートがスロット内にある場合、試料領域の少なくとも一部がカメラの外表面から2cm未満離れている、スロットと、(d)試料接触領域の少なくとも一部がカメラによって画像化されるように構成されているハウジング内の光学システムと、を備える、アダプターと、を有し、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0354】
A3.流体試料を操作および分析するための方法であって、
(a)血液試料を取得するステップと、
(b)異なる構成へと互いに相対的に移動可能である第1および第2のプレートを取得するステップであって、各プレートが流体試料と接触するための試料接触領域を有し、試料接触領域が実質的に平面であり、プレートの一方または両方が可撓性であり、試料接触領域の一方または両方がそれぞれの試料接触面に対して固定されているスペーサーを備え、スペーサーが、
i.1.8μm〜3.8μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上の幅と高さとの比と、
iv.10μm〜200μmの範囲にある所定の一定のスペーサー間距離と、
v.1%以上の充填率と、
vi.2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有する、取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させるステップであって、開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを強制的に閉鎖構成にするステップであって、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、閉鎖構成にするステップと、
(e)プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層中の分析物を分析するステップと、を含み、
充填率が、(プレート上の)スペーサー接触面積と総プレート面積との比である、方法。
【0355】
A4.血液試料を操作および分析するための方法であって、
(a)血液試料を取得するステップと、
(b)異なる構成へと互いに相対的に移動可能である第1および第2のプレートを取得するステップであって、各プレートが流体試料と接触するための試料接触領域を有し、試料接触領域が実質的に平面であり、プレートの一方または両方が可撓性であり、試料接触領域の一方または両方がそれぞれの試料接触面に対して固定されているスペーサーを備え、スペーサーが、
i.1.8μm〜3.8μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
ii.実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
iii.1以上の幅と高さとの比と、
iv.10μm〜200μmの範囲にある、所定の一定のスペーサー間距離と、
v.1%以上の充填率と、
vi.2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有する、取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させるステップであって、開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを強制的に閉鎖構成にするステップであって、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、閉鎖構成にするステップと、
(e)プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層中の分析物を分析するステップと、を含み、
充填率が、(プレート上の)スペーサー接触面積と総プレート面積との比であり、
ステップ(e)における分析が、赤血球、白血球、および/または血小板の画像化および計数を行う、方法。
【0356】
方法が、ステップ(d)と(e)との間に、閉鎖構成でのプレートをアダプター内のスロットに挿入するステップをさらに含み、アダプターが、(a)ハウジングと、(b)アダプターをカメラを備える携帯電話に取り付けることを可能にするハウジング上の取り付け物(attachment)と、(c)ハウジング内のスロットであって、(1)閉鎖構成でのプレートをスロット中にスライドさせることを可能とし、(2)プレートがスロット内にある場合、試料領域の少なくとも一部がカメラの外表面から2cm未満離れている、スロットと、(d)試料接触領域の少なくとも一部がカメラによって画像化されるように構成されているハウジング内の光学システムと、を備える、実施形態A3およびA4に記載の方法。
【0357】
スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が5×10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0358】
スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が1×10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0359】
スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が5×10
5μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0360】
スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を積算したものが少なくとも2MPaであり、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が5×10
5μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0361】
スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を積算したものが少なくとも2MPaであり、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が1×10
4μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0362】
16.可撓性プレートおよびスペーサーが、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD
4/(hE))が5×10
6μm
3/GPa以下であるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0363】
17.試料が0.1〜4(mPa s)の範囲の粘度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0364】
18.スペーサー高さが2μm〜2.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0365】
19.スペーサー高さが1.8μm〜2.2μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0366】
20.スペーサー高さが2μm〜3μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0367】
21.スペーサーの高さが2μm、2.2μm、2.4μm、2.6μm、2.8μm、3μm、3.2μm、3.4μm、3.6μm、またはいずれか2つの値の範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0368】
22.均一な厚さの試料領域が5mm2(平方ミリメートル)〜10mm2の面積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0369】
23.均一な厚さの試料領域が10mm2(平方ミリメートル)〜20mm2の面積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0370】
24.均一な厚さの試料領域が、20mm2(平方ミリメートル)〜40mm2の領域を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0371】
25.均一な厚さの試料領域が、40mm2(平方ミリメートル)〜60mm2の面積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0372】
26.均一な厚さの試料領域が、60mm2(平方ミリメートル)〜80mm2の面積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0373】
27.均一な厚さの試料領域が、80mm2(平方ミリメートル)〜150mm2の面積を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0374】
28.スペーサー間距離が、分析物のサイズより少なくとも約2倍大きい、最大200μmである、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0375】
29.スペーサー間距離とスペーサー幅との比が1.5以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0376】
30.スペーサーの幅と高さとの比が1以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0377】
31.スペーサーの幅と高さとの比が1.5以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0378】
32.スペーサーの幅と高さとの比が2以上である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0379】
33.スペーサーの幅と高さとの比が、2超、3超、5超、10超、20超、30超、50超、またはいずれか2つの値の範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0380】
34.2つのプレートを押圧して閉鎖構成へとする力が不明確な押圧力である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0381】
35.充填率が1%〜5%の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0382】
36.充填率が5%〜10%の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0383】
37.充填率が10%〜20%の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0384】
38.充填率が20%〜30%の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0385】
39.充填率が5%、10%、20%、30%、40%、50%、またはいずれか2つの値の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0386】
40.充填率が50%、60%、70%、80%、またはいずれか2つの値の範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0387】
41.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが2MPa〜10MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0388】
42.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが10MPa〜20MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0389】
43.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが20MPa〜40MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0390】
44.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが40MPa〜80MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0391】
45.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが80MPa〜120MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0392】
46.充填率にスペーサーのヤング率を積算したものが120MPa〜150MPaの範囲になるようにスペーサーが構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0393】
47.デバイスが、プレートの一方または両方にコーティングされた乾燥試薬をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0394】
48.デバイスが、プレートの一方または両方に、所定の面積を有する乾燥結合部位をさらに含み、乾燥結合部位が試料中の分析物に結合し、該分析物を固定化する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0395】
49.デバイスが、プレートの一方または両方に、放出可能な乾燥試薬と、放出可能な乾燥試薬が試料に放出される時間を遅延させる放出時間制御材料と、をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0396】
50.放出時間制御材料が、乾燥試薬が試料中に放出される時間を少なくとも3秒間遅延させる、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0397】
51.試薬が、抗凝固剤および/または染色試薬を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0398】
52.試薬が、細胞溶解試薬を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0399】
53.デバイスが、プレートの一方または両方に、1つもしくは複数の乾燥結合部位および/または1つもしくは複数の試薬部位をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0400】
54.分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、または他の分子)、細胞、組織、ウイルス、および異なる形状のナノ粒子を含む、先行する実施形態に記載のデバイス。
【0401】
55.分析物が白血球、赤血球、および血小板を含む、先行する実施形態に記載のデバイス。
【0402】
56.分析物が染色されている、先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0403】
57.均一な厚さの層を調節するスペーサーが少なくとも1%の充填率を有し、充填率が、均一な厚さの層と接触しているスペーサー面積と均一な厚さの層と接触している総プレート面積との比である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0404】
58.均一な厚さの層を調節するスペーサーについて、スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を積算したものが10MPa以上であり、充填率が、均一な厚さの層と接触しているスペーサー面積と均一な厚さの層と接触している総プレート面積との比である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0405】
59.可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を積算したものが60〜750GPa μmの範囲である、先行する実施形態に記載のデバイス。
【0406】
60.可撓性プレートについて、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)および可撓性プレートのヤング率(E)で除算したISD
4/(hE)が10
6μm
3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0407】
61.一方または両方のプレートが、プレートの表面上または内部のいずれかに、プレートの位置の情報を提供する位置マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0408】
62.一方または両方のプレートが、プレートの表面上または内部のいずれかに、試料および/またはプレートの構造の横方向寸法の情報を提供するスケールマーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0409】
63.一方または両方のプレートが、プレートの表面上または内部のいずれかに、試料の画像化に役立つ画像化マーカーを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0410】
64.スペーサーが、位置マーカー、スケールマーカー、画像化マーカー、またはそれらの任意の組み合わせとして機能する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0411】
65.均一な厚さの層の平均厚さが2μm〜2.2μmの範囲であり、試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0412】
66.均一な厚さの層の平均厚さが2.2μm〜2.6μmの範囲であり、試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0413】
67.均一な厚さの層の平均厚さが1.8μm〜2μmの範囲であり、試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0414】
68.均一な厚さの層の平均厚さが2.6μm〜3.8μmの範囲であり、試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0415】
69.均一な厚さの層の平均厚さが1.8μm〜3.8μmの範囲であり、試料が別の液体により希釈していない全血である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0416】
70.均一な厚さの層の平均厚さが、試料中の分析物の最小寸法にほぼ等しい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0417】
71.スペーサー間距離が7μm〜50μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0418】
72.スペーサー間距離が50μm〜120μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0419】
73.スペーサー間距離が120μm〜200μm(ミクロン)の範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0420】
74.スペーサー間距離が実質的に周期的である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0421】
75.スペーサーが、丸形、多角形、円形、正方形、長方形、卵形、楕円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0422】
76.スペーサーは柱形状であり、実質的に平坦な上面を有し、各スペーサーについて、スペーサーの横方向の寸法とその高さの比は少なくとも1である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0423】
77.各スペーサーが、少なくとも1のスペーサーの横方向の寸法とその高さの比を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0424】
78.スペーサーの横方向の最小寸法が、試料中の分析物の最小寸法未満であるかまたはそれと実質的に等しい、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0425】
79.スペーサーの横方向の最小寸法が0.5μm〜100μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0426】
80.スペーサーの横方向の最小寸法が0.5μm〜10μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0427】
81.試料が血液である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0428】
82.試料が液体により希釈されていない全血である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0429】
83.試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、分画血液、血漿、血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、および尿から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0430】
84.試料が、生体試料、環境試料、化学試料、または臨床試料である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0431】
85.スペーサーが柱形状を有し、スペーサーの側壁角が少なくとも1μmの曲率半径の丸形状を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0432】
86.スペーサーが少なくとも100/mm
2の密度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0433】
87.スペーサーが少なくとも1000/mm
2の密度を有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0434】
88.プレートのうちの少なくとも1つが透明である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0435】
89.プレートのうちの少なくとも1つが可撓性ポリマーから作られている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0436】
90.プレートを圧縮する圧力に関して、スペーサーが圧縮可能ではなく、および/または独立して、プレートの1つだけが可撓性である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0437】
91.可撓性プレートが10μm〜200μmの範囲の厚さを有する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0438】
92.変動が30%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0439】
93.変動が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0440】
94.変動が5%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0441】
95.第1および第2のプレートが接続され、プレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0442】
96.第1および第2のプレートが、ヒンジによって接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0443】
97.第1および第2のプレートが、別個の材料であるヒンジによってプレートに接続され、ヒンジに沿ってプレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0444】
98.第1および第2のプレートが単一の材料片で作られ、プレートを折り畳むことによって開放構成から閉鎖構成に変更されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0445】
99.均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mm
2の横方向面積にわたって均一である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0446】
100.デバイスが、60秒以下で試料を分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0447】
101.閉鎖構成において、最終試料の厚さのデバイスが試料を60秒以下で分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0448】
102.閉鎖構成において、最終試料の厚さのデバイスが試料を10秒以下で分析するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0449】
103.乾燥結合部位が捕捉剤を収容する、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0450】
104.乾燥結合部位が抗体または核酸を含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0451】
105.放出可能な乾燥試薬が標識試薬である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0452】
106.放出可能な乾燥試薬が蛍光標識試薬である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0453】
107.放出可能な乾燥試薬が蛍光標識抗体である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0454】
108.放出可能な乾燥試薬が細胞染色剤である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0455】
109.放出可能な乾燥試薬が細胞溶解剤である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0456】
110.検出器が光信号を検出する光検出器である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0457】
111.検出器が電気信号を検出する電気検出器である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0458】
112.プレートを直接エンボス加工するか、またはプレートを射出成形することにより、間隔がプレートに固定される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0459】
113.プレートおよびスペーサーの材料が、ポリスチレン、PMMA、PC、COC、COP、または別のプラスチックから選択される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0460】
114.携帯電話を使用して試料を迅速に分析するためのシステムであって、
(a)先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスと、
(b)
i.試料を検出および/または画像化するための1つもしくは複数のカメラと、
ii.検出された信号および/または試料の画像を受信および/または処理し、かつ遠隔通信するための電子機器、信号プロセッサ、ハードウェア、およびソフトウェアと、を含む、モバイル通信デバイスと、
(c)モバイル通信デバイスまたは外部電源のいずれかからの光源と、を備え、
先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法における検出器が、モバイル通信デバイスによって提供され、閉鎖構成において試料中の分析物を検出する、システム。
【0461】
115.プレートの1つが、分析物に結合する結合部位を有し、均一な試料厚さの層の少なくとも一部が、結合部位上にあり、かつ結合部位の平均横方向長さ寸法よりも実質的に小さい、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0462】
116.
(d)試料を保持し、かつモバイル通信デバイスにマウントされる(mounted)ように構成されたハウジングをさらに備える、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0463】
117.ハウジングが、モバイル通信デバイスによる試料の画像化および/または信号処理を容易にするための光学系(optics)と、モバイル通信デバイス上に光学系を保持するように構成されたマウントと、を備える、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0464】
118.ハウジング内の光学系の構成要素がハウジングに相対的に移動可能である、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0465】
119.モバイル通信デバイスが、検査結果を医療専門家、医療施設、または保険会社に通信するように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0466】
120.モバイル通信デバイスが、検査および対象に関する情報を医療専門家、医療施設、または保険会社と通信するようにさらに構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0467】
121.モバイル通信デバイスが検査の情報をクラウドネットワークに通信するようにさらに構成され、クラウドネットワークが情報を処理して検査結果を精緻化する、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0468】
122.モバイル通信デバイスが検査および対象の情報をクラウドネットワークに通信するようにさらに構成され、クラウドネットワークが情報を処理して検査結果を精緻化し、精緻化された検査結果が対象に送り返される、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0469】
123.モバイル通信デバイスが、医療専門家から処方、診断、または推奨事項を受信するように構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0470】
124.モバイル通信デバイスが、
(a)試料の画像を捕捉し、
(b)画像内の検査位置および制御位置を分析し、
(c)検査位置の分析から得られた値を迅速な診断検査を特徴付ける閾値と比較するためのハードウェアおよびソフトウェアを備えて構成されている、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0471】
125.プレートのうちの少なくとも1つが、アッセイ試薬が貯蔵される貯蔵部位を含む、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0472】
126.カメラのうちの少なくとも1つが、デバイスからの信号を読み取る、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0473】
127.モバイル通信デバイスが、wifiまたはセルラーネットワークを介して遠隔地と通信する、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0474】
128.モバイル通信デバイスが携帯電話である、先行するシステム実施形態のいずれかに記載のシステム。
【0475】
129.携帯電話を使用して試料中の分析物を迅速に分析するための方法であって、
(a)先行するシステム実施形態のいずれかに記載のデバイス上に試料を付着させるステップと、
(b)デバイス上に付着した試料中の分析物をアッセイして、結果を作成するステップと、
(c)結果をモバイル通信デバイスから、モバイル通信デバイスから離れた位置に通信するステップと、を含む、方法。
【0476】
130.分析物が、分子(例えば、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、核酸、または他の分子)、細胞、組織、ウイルス、および異なる形状のナノ粒子を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0477】
131.分析物が、白血球、赤血球、および血小板を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0478】
132.アッセイが、白血球分画アッセイを実施することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0479】
133.方法が、
遠隔地で結果を分析して、分析結果を提供するステップと、
分析結果を遠隔地からモバイル通信デバイスに通信するステップと、を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0480】
134.分析が遠隔地で医療専門家によって行われる、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0481】
135.モバイル通信デバイスが、遠隔地の医療専門家から処方、診断、または推奨事項を受信する、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0482】
136.試料が体液を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0483】
137.体液が血液、唾液、または尿である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0484】
138.試料が液体によって希釈されていない全血である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0485】
139.アッセイするステップが、試料中の分析物を検出することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0486】
140.分析物が、バイオマーカーである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0487】
141.分析物が、タンパク質、核酸、細胞、または代謝産物である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0488】
142.方法が、赤血球数を計数することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0489】
143.方法が、白血球数を計数することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0490】
144.方法が、試料中の細胞を染色し、好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球の数を計数することを含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0491】
145.ステップ(b)で行われるアッセイが、結合アッセイまたは生化学的アッセイである、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0492】
146.試料を分析するための方法であって、
先行するデバイス実施形態のいずれかに記載のデバイスを取得するステップと、
デバイスの一方または両方のプレート上に試料を付着させるステップと、
プレートを閉鎖構成に配置し、プレートの少なくとも一部に外力を加えるステップと、
プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層を分析するステップと、を含む、方法。
【0493】
147.方法が、
(a)試料を取得するステップと、
(b)異なる構成へと互いに相対的に移動可能である第1および第2のプレートを取得するステップであって、各プレートが、実質的に平面である試料接触面を有し、一方または両方のプレートが可撓性であり、プレートの一方または両方が、それぞれの試料接触面に対して固定されているスペーサーを備え、スペーサーが、
vii.所定の実質的に均一な高さと、
viii.実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
ix.1以上の幅と高さとの比と、
x.10μm〜200μmの範囲にある所定の一定のスペーサー間距離と、
xi.1%以上の充填率と、を有する、取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させるステップであって、開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔がスペーサーによって調節されない構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを使用して、試料の少なくとも一部をプレートの試料接触面によって制限される実質的に均一な厚さの層へと圧縮するステップであって、層の均一な厚さが、スペーサーおよびプレートによって調節され、かつ10%未満の変動を有する1.8μm〜3μmの範囲の平均値を有する、該圧縮するステップが、
2つのプレートを合わせることと、
プレートのうちの少なくとも一方の領域を並行してまたは逐次的に適合可能に押圧して、プレートを一緒に閉鎖構成へと押圧することであって、適合可能に押圧することにより、プレートに実質的に均一な圧力が試料の少なくとも一部にわたって生じ、上記押圧により、試料の少なくとも一部がプレートの試料接触面の間で横方向に広がり、閉鎖構成は、均一な厚さの領域の層のプレート間間隔がスペーサーによって調節されている、構成である、押圧することと、を含む、圧縮するステップと、
(e)プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層を分析するステップと、を含み、
充填率が、スペーサーの接触面積と総プレート面積との比であり、
適合可能に押圧することは、プレートの外表面の形状の変化に関係なく、ある領域に加えられる圧力を実質的に一定にする方法であり、
並行して押圧することは、意図する領域に同時に圧力を加えることであり、逐次的に押圧することは、意図する領域の一部に圧力を加え、他の領域に徐々に移動することである、方法。
【0494】
単一のデバイスを使用して、血液試料中の赤血球、白血球、および血小板を計数するための方法であって、
(a)血液試料を取得するステップと、
(b)先行するデバイスのいずれかを取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させるステップであって、構成のうちの1つは、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されず、かつ試料がプレートの一方または両方の上に付着している、開放構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを強制的に閉鎖構成にするステップであって、構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、閉鎖構成にするステップと、
(e)プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層中の試料の画像を捕捉するステップと、
(f)画像を分析して、画像中の細胞を計数することにより、赤血球、白血球、および血小板の数および濃度を決定するステップと、を含む、方法。
【0495】
148.血液試料が希釈されていない、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0496】
149.方法が、
プレートが閉鎖構成になった後に外力を取り除くステップと、
プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層中の血球を画像化するステップと、
画像領域中の血球数を計数するステップと、を含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0497】
150.スペーサー間距離が、20μm〜200μmの範囲である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0498】
151.スペーサー間距離が、5μm〜20μmの範囲である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0499】
152.充填率とスペーサーのヤング率との積算が2MPa以上である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0500】
153.表面の変動が30nm未満である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0501】
154.血液試料が、抗凝固剤が添加されていない未希釈の全血である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0502】
155.付着ステップ(b)が、
i.ヒトの皮膚を刺すことにより、血液の液滴を皮膚上に放出させ、ii.血液移送ツールを使用せずに、血液の液滴をプレートの一方または両方に接触させることによって行われる、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0503】
156.分析ステップが赤血球数を計数することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0504】
157.分析ステップが白血球数を計数することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0505】
158.分析ステップが、試料中の細胞を染色し、好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球の数を計数することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0506】
159.画像化および計数が、
i.均一な厚さの層中の細胞を照射することと、
ii.CCDまたはCMOSセンサーを使用して、細胞の1つ以上の画像を撮影することと、
iii.コンピューターを使用して、画像中の細胞を同定することと、
iv.画像領域中の細胞数を計数することと、によって行われる、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0507】
160.外力がヒトの手によって提供される、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0508】
161.均一な厚さの層のナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、血中尿素、窒素、マグネシウム、クレアチニン、グルコース、カルシウム、HDLコレステロール、LDLコレステロールのレベル、および/またはトリグリセリドレベルを測定することをさらに含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0509】
162.一方または両方のプレート上にコーティングされた乾燥試薬をさらに含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0510】
163.均一な厚さの試料の層が、最大±5%の厚さ均一性を有する、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0511】
164.スペーサーが、丸形、多角形、円形、正方形、長方形、卵形、楕円形、またはそれらの任意の組み合わせから選択される断面形状を有する柱である、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0512】
165.スペーサー間の間隔が、ほぼ赤血球の平均厚さである、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0513】
166.分析ステップが、血液中の細胞を画像化することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0514】
167.細胞が、赤血球、白血球、または血小板を含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0515】
168.血液を分析することが、血液中の癌細胞、ウイルス、または細菌を画像化することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0516】
169.血液を分析することが、タンパク質または核酸を検出することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0517】
170.血液を分析することが、スペーサーを使用して試料の厚さを決定することと、画像化によって側面積を決定することと、2D画像を使用して赤血球の面積を計算することと、を含む、血球を測定することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0518】
171.血液を分析することが、血液中の赤血球濃度の測定を含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0519】
172.血液を分析することが、血液中の白血球濃度を測定することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0520】
173.血液を分析することが、血液中の血小板濃度を測定することを含む、先行する分析方法の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0521】
間隙8〜12μmを使用するための例示的な実施形態
いくつかの実施形態では、異なるスペーサー高さ、したがって異なる試料厚さにより、特定の細胞の計数精度が改善され得る。例えば、白血球の計数に関して、我々の実験(
図15および17)は、携帯電話で提供される所与のFoVを使用するための未希釈の血液では、5〜15μmのスペーサーの高さにより、2μm超〜3μmのより正確な結果が得られることを示している。明らかに、上記節の実施形態は、5〜15μm、好ましくは10μmの柱の高さに使用することができ、同時に同様の試料厚さの均一性を達成することができる。このような柱の高さは、未希釈の血液中の白血球を画像化および計数するのに有利である。
【0522】
先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスおよび方法は、(1)白血球を計数し、(b)白血球サブタイプ(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、および単球を含む)を計数し、および(3)白血球を識別するために使用され、デバイスが、プレートが閉鎖構成にあるときに試料接触領域間の間隔を調節するスペーサーをさらに含む。
【0523】
均一な厚さの層の平均厚さが5.0μm〜8.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0524】
均一な厚さの層の平均厚さが7.5μm〜10.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0525】
均一な厚さの層の平均厚さが9.5μm〜12.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0526】
均一な厚さの層の平均厚さが9.5μm〜12.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0527】
均一な厚さの層の平均厚さが11.5μm〜13.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0528】
均一な厚さの層の平均厚さが12.5μm〜14.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0529】
均一な厚さの層の平均厚さが13.5μm〜16μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0530】
スペーサー高さが5.0μm〜8.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0531】
スペーサー高さが7.5μm〜10.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0532】
スペーサー高さが9.0μm〜12.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0533】
スペーサー高さが9.0μm〜12.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0534】
スペーサー高さが11.5μm〜13.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0535】
スペーサー高さが12.5μm〜14.5μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0536】
スペーサー高さが13.5μm〜16μmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0537】
白血球を計数および識別するための好ましい視野が、0.1mm2、10mm
2、50mm
2、100mm
2、またはいずれか2つの値の間の範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0538】
デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが36mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が5%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0539】
デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが16mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0540】
デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが2mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が20%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0541】
視野が0.1mm
2〜10mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが10μm〜30μm、30μm〜50μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0542】
視野が0.1mm
2〜10mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が20%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0543】
視野が10mm
2〜50mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0544】
視野が10mm
2〜50mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が20%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0545】
視野が50mm
2〜100mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μm、30μm〜50μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0546】
スペーサーが2μm〜5μmの好ましい範囲の高さを有し、それにより、白血球のミスカウントが15%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0547】
スペーサーが2μm〜5μm、5μm〜10μmの好ましい範囲の高さを有し、それにより、白血球のミスカウントが30%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0548】
スペーサーが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μmの好ましい範囲の高さを有し、それにより、白血球の数え落しが60%未満である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0549】
試料から電話レンズまでの距離が、2mm〜5mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0550】
試料から電話レンズまでの距離が、4mm〜7mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0551】
試料から電話レンズまでの距離が、6mm〜9mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0552】
試料から電話レンズまでの距離が、8mm〜11mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0553】
試料から電話レンズまでの距離が、10mm〜13mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0554】
試料から電話レンズまでの距離が、12mm〜15mmの範囲である、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0555】
AC1 単一のデバイスを使用して、白血球およびサブタイプ(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、および単球を含む)を計数するための方法であって、
(a)血液試料を取得するステップと、
(b)スペーサーの高さが5μm〜15μm、好ましくは10μmである、先行するデバイスのいずれかを取得するステップと、
(c)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を付着させるステップであって、構成のうちの1つは、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されず、かつ試料がプレートの一方または両方の上に付着している、開放構成である、付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを強制的に閉鎖構成にするステップであって、構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、閉鎖構成にするステップと、
(e)プレートが閉鎖構成である間に均一な厚さの層中の試料の画像を捕捉するステップと、
(f)画像を分析して、画像中の細胞数の計数ならびに各白血球の蛍光色および形状の分析により、白血球、好中球、リンパ球、単球、好酸球、および好塩基球のそれぞれの数を決定するステップと、を含み、
充填率が、(プレート上の)スペーサー接触面積と総プレート面積との比である、方法。
【0556】
AC2.血液試料が未希釈である、実施形態AC1に記載の方法。
【0557】
AC3.白血球の染色および形状により、白血球およびそのサブタイプを区別する蛍光色および寸法が提供される、実施形態AC1に記載のデバイスもしくは方法。
【0558】
AC4.デバイスが、プレートの一方または両方に、抗凝固剤、細胞溶解剤、細胞染色剤、放出時間制御材料層、またはそれらの組み合わせを含む複数試薬層をさらに含む、実施形態AC1に記載のデバイスもしくは方法。
【0559】
図15は、白血球計数精度対視野対QMAXデバイス間隙の実験的観察を示す。(a)4mm
2、16mm
2、36mm
2、64mm
2、100mm
2の有効視野(FOV)でのWBC計数精度対QMAX間隙サイズのプロット。(b)2μm、3μm、5μm、6.2μm、10μm、および30μmのQMAX間隙サイズでのWBC計数精度対視野(FoV)のプロット。
【0560】
この一連の実験では、第1のプレートはアクリジンオレンジ色素が印刷された厚さ1mmのPMMAであり、第2のプレートは、Xプレートは、30×40μmの柱サイズ、80μmの間隔間距離を有し、175μmの厚さのPMMAで作られている。任意の抗凝固剤を含まない1μLの新鮮な血液を検査に使用した。
【0561】
計数精度は、特定のFoVでのカード上のすべての視野に対しての計数した数の標準偏差として定義される。この計数精度は、試料上のFoVの場所をランダムに選択して測定したときに、デバイス上のすべての視野の平均数がどのくらいかを表す場合を表す。一般に、白血球計数は、視野が広く、QMAX間隙が大きいほど正確である。
【0562】
図16は、(a)4.7mm×3.5mm(16mm
2)の視野での白血球のミスカウントのパーセント対2μm、5μm、10μm、および30μmのQMAX間隙サイズのプロットの実験的観察結果を示す。ここで、ミスカウントは、逆算された白血球濃度(計数領域および充填率および間隙サイズでの計数した数の除算から)と試料の実際の白血球濃度(較正された市販の血液用機械により測定)のパーセントの差として定義される。(b)500nm波長でのQMAX透過率(白血球の蛍光に近い)対QMAX間隙サイズのプロット。
【0563】
間隙サイズが大きい(血液膜(bloodfilm)が厚くなる)ほど、より多くの白血球がミスカウントされる。その理由の1つは、(b)透過率と間隙サイズに示すように、白血球からの蛍光が、より厚い血液膜を有する赤血球によって減弱および妨害されるためである。例えば、波長500nmによる全血での2μmQMAXデバイスの透過率は約75%であるが、波長500nmによる全血での30μmQMAXデバイスの透過率は25%に低下する。
【0564】
図17は、白血球細胞自体対QMAX間隙の重複率の理論計算を示す。計算から、間隙サイズがより大きい場合、特に30μm超である場合、より多くの白血球が重複する。
【0565】
デバイスが、プレートの一方または両方に、試料中の白血球、赤血球、血小板、または任意の細胞タイプを選択的に溶解する細胞溶解試薬をさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0566】
デバイスが、一方または両方のプレート上に、抗凝固剤、細胞溶解剤、細胞染色剤、放出時間制御材料層、およびそれらの組み合わせを含む複数試薬層をさらに含み、
プレート上にコーティングされた各層が、10nm、100nm、200nm、500nm、1μm、またはいずれか2つの値の間の範囲の厚さを有し、
抗凝固剤が、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA二ナトリウム、K2EDTA、K3EDTAなどを含み、
細胞染色剤が、ライト染色剤(エオシン、メチレンブルー)、ギムザ染色剤(エオシン、メチレンブルー、およびアズールB)、メイグリュンワルド染色剤、リーシュマン染色剤(「ポリクロム化(Polychromed)」メチレンブルー(すなわち、様々なアズールへと脱メチル化されている)およびエオシン)、エリスロシンB染色剤(エリスロシンB)、ならびにアクリジンオレンジ色素、3,3−ジヘキシルオキサカルボシアニン(DiOC6)、ヨウ化プロピジウム(PI)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、およびベーシックオレンジ21(BO21)色素、臭化エチジウム、ブリリアントスルファフラビン(BrilliantSulfaflavine)およびスチルベンジスルホン酸誘導体、エリスロシンBまたはトリパンブルー、ヘキスト33342、三塩酸塩、三水和物、およびDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール二塩酸塩)を含むがこれらに限定されない他の蛍光染料を含み、
細胞溶解剤が、塩化アンモニウム、重炭酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、酢酸、クエン酸、他の酸および塩基などを含み、
放出時間制御材料が、アルブミン、カルボマー、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、キトサン、デキストリン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0567】
赤血球、血小板、またはその両方が、白血球の検出前に試料に溶解される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0568】
白血球、血小板、または両方が、赤血球の検出前に試料に溶解される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0569】
赤血球、白血球、またはその両方が、血小板の検出前に試料に溶解される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0570】
白血球を測定するための例示的なデバイスおよび方法
AA1.血液試料中の白血球を分析するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が、血液試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
iv.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの試料接触領域に永久的に固定されているスペーサーを備え、
v.スペーサーが、
(a)2μm〜20μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
(b)実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
(c)1以上の幅と高さとの比と、
(g)10μm〜200μm(ミクロン)の範囲である、所定の固定されたランダムではないスペーサー間距離と、
(e)1%以上の充填率と、
(f)2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有し、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0571】
AA2.血液試料中の白血球を分析するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ix.プレートの一方または両方が可撓性であり、
x.プレートの各々が、流体試料と接触するための試料接触領域を有する内表面を含み、
xi.プレートの一方または両方が、それぞれのプレートの試料接触領域に永久的に固定されているスペーサーを備え、
xii.スペーサーが、
(a)2μm〜20μmの範囲で選択された値を有する所定の実質的に均一な高さと、
(b)実質的に均一な断面および平坦な上面を有する柱の形状と、
(c)1以上の幅と高さとの比と、
(e)10μm〜200μmの範囲にある、所定の、固定された、ランダムではないスペーサー間距離と、
(e)1%以上の充填率と、
(f)2MPa以上である、充填率とスペーサーのヤング率と積算したものと、を有し、
xiii.(a)ハウジングと、(b)アダプターをカメラを備える携帯電話に取り付けることを可能にするハウジング上の取り付け物(attachment)と、(c)ハウジング内のスロットであって、(1)閉鎖構成でのプレートをスロット中にスライドさせることを可能とし、(2)プレートがスロット内にある場合、試料領域の少なくとも一部がカメラの外表面から2cm未満離れている、スロットと、(d)試料接触領域の少なくとも一部がカメラによって画像化されるように構成されているハウジング内の光学システムと、を備える、アダプターと、を有し、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
構成の別のものは、開放構成において試料が付着した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって非常に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0572】
AA3.血液試料中の白血球を分析するための方法であって、
(a)血液試料を取得するステップと、
(b)AA1またはAA2に記載のデバイスを取得するステップと、
(c)プレートが開放構成であるときに、プレートの一方または両方に試料を付着させるステップと、
(d)(c)の後、2つのプレートを強制的に閉鎖構成にするステップと、
(e)プレートが閉鎖構成であるときに、均一な厚さの層中の試料の画像を捕捉するステップと、
(i)画像を分析して白血球数を決定するステップと、を含み、
充填率が、(プレート上の)スペーサー接触面積と総プレート面積との比である、方法。
【0573】
BB1.柱の高さが5〜15μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0574】
BB2.柱の高さが8〜12μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0575】
BB3.柱の高さが約10μmである、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0576】
BB4.デバイスが白血球を計数するように構成されている、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0577】
BB5.デバイスが、白血球のサブタイプ(好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、および単球を含む)を計数するように構成されている、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0578】
BB6.スペーサー高さが7.5μm〜10.5μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0579】
BB7.スペーサー高さが9.5μm〜12.5μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0580】
BB8.スペーサー高さが11.5μm〜13.5μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0581】
BB9.スペーサー高さが12.5μm〜14.5μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0582】
BB10.スペーサー高さが13.5μm〜16μmの範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0583】
BB11.白血球を計数および識別するための好ましい視野が、0.1mm
2、10mm
2、50mm
2、100mm
2またはいずれか2つ値の間の範囲である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0584】
BB12.デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが36mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が5%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0585】
BB13.デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが16mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が10%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0586】
BB14.デバイスの間隙サイズが10μmであり、FoVが2mm
2超である場合、それにより、白血球の計数および識別精度が20%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0587】
BB15.視野が0.1mm
2〜10mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが10μm〜30μm、30μm〜50μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0588】
BB16.視野が0.1mm
2〜10mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が20%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0589】
BB17.視野が10mm
2〜50mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0590】
BB18.視野が10mm
2〜50mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が20%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0591】
BB19.視野が50mm
2〜100mm
2であり、デバイスの好ましい間隙サイズが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μm、30μm〜50μmの範囲であり、それにより、計数および識別精度が10%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0592】
BB20.スペーサーが2μm〜5μmの範囲の高さを有し、それにより、白血球のミスカウントが15%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0593】
BB21.スペーサーが2μm〜5μm、5μm〜10μmの範囲の高さを有し、それにより、白血球のミスカウントが30%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0594】
BB22.スペーサーが2μm〜5μm、5μm〜10μm、10μm〜30μmの好ましい範囲の高さを有し、それにより、白血球のミスカウントが60%未満である、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0595】
BB23.試料から電話レンズまでの距離が2mm〜5mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0596】
BB24.試料から電話レンズまでの距離が4mm〜7mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0597】
BB25.試料から電話レンズまでの距離が6mm〜9mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0598】
BB26.試料から電話レンズまでの距離が8mm〜11mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0599】
BB27.試料から電話レンズまでの距離が10mm〜13mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0600】
BB28.試料から電話レンズまでの距離が12mm〜15mmの範囲にある、AA実施形態のいずれかに記載のデバイスまたは方法。
【0601】
他の実施形態および関連する開示
本発明は、様々な実施形態を含み、これらは、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、複数の様式で組み合わせることができる。実施形態は、単一の発明出願とみなされるべきである。各ファイリングは、個別の独立としてではなく、参照として他の出願を有し、その全体においておよびあらゆる目的のために参照される。これらの実施形態は、本出願の開示だけでなく、本明細書で参照され、組み込まれ、または優先権が主張される文書も含む。
【0602】
(1)定義
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法を説明するために使用される用語は、本出願、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に定義されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0603】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと互いに相対的に移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFカードのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された仮出願シリアル番号第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0604】
(2)Qカード、スペーサー、および均一な試料厚
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカード、スペーサー、および均一な試料厚の実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を均一性の高い層にするのに役立つスペーサーを備える。スペーサーの構造、材料、機能、バリエーション、および寸法、ならびにスペーサーおよび試料層の均一性は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0605】
(3)ヒンジ、オープニング用ノッチ、凹型エッジ、およびスライダー
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダーを備える。ヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダーの構造、材料、機能、バリエーション、寸法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0606】
QMAXのいくつかの実施形態では、プレートの一方または両方の試料接触領域は、COF後にどれだけのフローが発生したかをモニタリングするように構成された圧縮オープンフローモニタリング表面構造(MSS)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、MSSは、試料中の成分(例えば、血液中の血球)に摩擦を引き起こす浅い正方形のアレイを含む。試料のいくつかの成分の分布を確認することにより、COF下での試料およびその成分のフローに関連する情報を取得することができる。
【0607】
MSSの深さは、スペーサーの高さの1/1000、1/100、1/100、1/5、1/2またはいずれかの2つの値の範囲であり、突起またはウェル形態のいずれかであり得る。
【0608】
(4)Q−Card、スライダー、およびスマートフォン検出システム
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、カードがスマートフォン検出システムによって読み取られることを可能にするスライダー(slider)とともに使用される。Qカード、スライダー、およびスマートフォン検出システムの構造、材料、機能、バリエーション、寸法、および接続は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0609】
(5)検出方法
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々なタイプの検出方法を含むか、または使用することができる。検出方法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0610】
(6)標識、捕捉エージェント、および検出エージェント
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々なタイプの標識、捕捉作用因子、および検出作用因子を使用することができる。標識は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0611】
(7)分析物
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な種類の分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用することができる。分析物は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0612】
(8)用途(分野および試料)
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な用途(分野および試料)に使用することができる。用途は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0613】
(9)クラウド
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、データ転送、ストレージ、および/または分析のためにクラウド技術を使用することができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0614】
追加の留意事項
本開示による本発明対象のさらなる例は、以下の列挙された段落に記載されている。
【0615】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、「単一」という語が使用される場合などの文脈がそうではないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」についての言及は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉作用因子」についての言及は、単一の捕捉作用因子および複数の捕捉作用因子を含み、「検出作用因子」についての言及は、単一の検出作用因子および複数の検出作用因子を含み、「剤」についての言及には、単一の剤および複数の剤が含まれる。
【0616】
本明細書で使用される場合、「適合させる」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の対象物が所与の機能を果たすように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、特定の要素、構成要素、または他の対象物が特定の機能を単に果たす「ことができる」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を果たすように構成されるとして記載されている対象物は、さらにまたはあるいは、その機能を果たすように作動するものとして説明され得る。
【0617】
本明細書で使用される場合、「例えば」という句、「例として」という句、および/または「例」もしくは「例示的な」との用語は、本開示による1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法に関して使用される場合、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の例示的で非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載される構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定されること、必須とされること、または排他的/網羅的であることを意図してなく、構造的および/もしくは機能的に類似するならびに/または同等である構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法もまた、本開示の範囲内である。
【0618】
本明細書で使用される場合、2つ以上の実体(entity)の列挙に関して「のうちの少なくとも1つ」および「1つ以上」という句は、実体の列挙中における実体のうちの任意の1つ以上を意味し、実体の列挙内に具体的に列挙されている各々および全ての実体のうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(もしくは、同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの組み合わせであってもよい。
【0619】
本明細書で使用される場合、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」との用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、および(3)第1の実体および第2の実体のうちの1つを意味する。「および/または」を用いて列挙された複数の実体は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された実体のうちの「1つ以上」と解釈すべきである。「および/または」の句によって具体的に特定された実体以外に、具体的に特定されたそれらの実体に関連するかどうかに関わらず、他の実体が任意選択で存在してもよい。
【0620】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、端点が含まれる実施形態、両方の端点が除外される実施形態、および一方の端点が含まれ、かつ他方が除外される実施形態を含む。別段の指示がない限り、両方の端点が含まれると見なすべきである。さらに、別段の指示がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り。
【0621】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、(1)本開示の組み込まれない部分または他の組み込まれた参考文献のいずれかに矛盾する様式で用語を定義する場合において、および/または(2)その他の点でそれらと矛盾する場合において、本開示の組み込まれていない部分が支配するものとし、その中の用語または組み込まれた開示は、用語が定義されている、および/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ支配するものとする。
【0622】
D.検査キット、デバイス、および方法
図は厳密な比率で構成要素を示すことを意図していないことに留意すべきである。明確にするために、図に示される場合にいくつかの構成要素が拡大されている。構成要素の寸法は、参照により本明細書に提供され組み込まれる記載から描写されるべきである。
【0623】
図18は、本発明の検査キット100の実施形態を示す。
図18に示すように、検査キット100は、第1のプレート10および第2のプレート20を有する検査ユニット110、スワブ130、および検査媒体122を含む媒体容器120を含むことができる。
【0624】
本発明のキット100は、試料または検体を収集し、収集された試料または検体の検査を実施するために使用され得る。いくつかの実施形態では、キットは、対象における病原性疾患を検出するために使用され得る。ここで、「対象」という用語は、ヒトまたは動物を指してもよい。特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0625】
図18に示されるように、検査ユニットは、第1のプレート10、第2のプレート20を備えることができ、第1のプレート10および第2のプレート20は、2つのプレートが互いに旋回することができるようにヒンジ30によって接続されている。
図18に示されるように、キットは、対象から試料または検体を収集するために使用され得るスワブ130を備えてもよい。スワブ130は、様々な形状およびサイズを有する吸収性パッドまたは材料片であってもよい。いくつかの実施形態では、スワブは、濾紙、吸収性ポリマー(例えば、ポリプロピレンおよびポリメチルシロキサン多水和物)、スポンジ、セルロース繊維、乾燥剤、またはそれらの組み合わせが含まれるがこれらに限定されない吸収性材料で作られてもよい。特定の実施形態では、スワブは、短いロッドの端部に小さな綿の塊を含むスワブであってもよい。
【0626】
図18に示すように、本発明のキット100は、検査媒体60を含む容器62を含むことができる。容器120は、任意のタイプのボトル、缶、フラスコ、ポット、水差し、カップ、ポーチ、または液体を保留および分配するために使用することができる任意の器具であってもよい。いくつかの実施形態では、容器62はボトルまたはポーチであってもよい。特定の実施形態では、容器120は、キャップまたはシールを含み得る。特定の実施形態では、容器120は、検査媒体122を特定の位置に直接分配/付着するために使用され得る。
【0627】
いくつかの実施形態では、スワブ130は、平坦な紙のような本体を有するスワブストリップであってもよい。特定の実施形態では、スワブストリップは、長方形、正方形、円形、台形、菱形、五角形、六角形、または他の形状を有してもよい。スワブストリップの側面積は、100cm
2未満、50cm
2未満、20cm
2未満、10cm
2未満、5cm
2未満、2cm
2未満、1cm
2未満、0.5cm
2未満、0.2cm
2未満、0.cm
2未満、75mm
2未満、50mm
2未満、40mm
2未満、30mm
2未満、20mm
2未満、10mm
2未満、5mm
2未満、4mm
2未満、3mm
2未満、2mm
2未満、1mm
2未満、0.5mm
2未満、もしくは0.1mm
2未満、またはいずれか2つの値の間の範囲内であってもよい。
【0628】
本発明のキット100は、1つ以上の疾患を検出するために使用され得る。いくつかの実施形態では、疾患は、細菌、真菌、寄生虫、およびウイルスなどの病原体または感染性因子によって引き起こされる病原性疾患であり得る。いくつかの実施形態では、疾患は性感染症(STD)であってもよい。特定の実施形態では、STDは、クラミジア、淋病、性器ヘルペス、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、梅毒、細菌性膣炎、トリコモナス症、またはウイルス性肝炎であってもよい。
【0629】
いくつかの実施形態では、検出される疾患の病原体は、細菌、ウイルス、真菌、または寄生虫であってもよい。いくつかの実施形態では、病原体は、クラミジア・トラコマチス(chlamydia trachomatis)、淋菌(neisseria gonorrhoeae)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、梅毒トレポネーマ、膣トリコモナス、または肝炎ウイルスであってもよい。いくつかの実施形態では、病原体は細菌である。具体的には、特定の実施形態では、クラミジア・トラコマチス、淋菌、および梅毒トレポネーマ(treponema pallidum)であってもよい。いくつかの実施形態では、病原体は寄生虫である。特定の実施形態では、寄生虫は膣トリコモナスである。いくつかの実施形態では、病原体はウイルスである。特定の実施形態では、ウイルスは、HSV、HIV、HPV、または肝炎ウイルスである。
【0630】
図19〜21は、検査対象が特定の疾患を有するかどうかの決定を行うことができるように、本発明のキット100を使用して、試料を収集し、病原体を検出するプロセスを示している。様々な実施形態では、プロセスがより高感度で、便利で、アクセスしやすく、安価で、および/または正確になるように、プロセスの特定のステップを省略、増強、調整、および/または変更してもよい。
【0631】
図19は、スワブ130を使用して対象の身体部分99をスワブで拭く試料収集プロセスを示す。身体部分99は、ヒトまたは動物の身体の任意の部分であってもよい。いくつかの実施形態では、スワブ130は、外部から直接アクセス可能な身体または腔(例えば、口または膣)の外部領域(例えば、露出した皮膚)に適用されてもよい。いくつかの実施形態では、身体部分99は、生殖器(生殖器官)または人の生殖器領域に近接した領域であってもよい。例えば、特定の実施形態では、身体部分99は、陰茎、精巣、陰嚢、または男性の性器領域に近い皮膚もしくは腔(例えば、肛門)であってもよい。特定の実施形態では、身体部分99は、子宮頸部、陰核、陰唇、外陰部、膣、または女性の生殖器領域に近い皮膚もしくは腔(例えば、肛門)であってもよい。特定の実施形態では、身体部分99は、病変、発疹、小結節、感染部位、または身体分泌物が位置する可能性が高いか、または位置している身体の任意の部分であってもよい。例えば、女性の淋病患者または淋病を有している疑いのある女性では、スワブ130を使用して検査対象の膣をスワブで拭いて、検査ユニット110のプレートの一方または両方の上に付着させるための試料として膣液を収集してもよい。
【0632】
図19に示されるように、スワブ130を使用して、対象の身体部分99から試料90を収集してもよい。試料を収集する特定のプロセスは、身体部分99の種類、位置、および構造、スワブ130のサイズ、形状、および材料、ならびに/または試料の状態(例えば、液体または固体)に応じて異なってもよい。例えば、特定のSTDは、生殖器領域周辺の病変を引き起こす場合があり、そのような場合は、スワブストリップを使用して生殖器領域をスワブで拭き、病原体を含み得る排泄された体液を収集する。
【0633】
図20は、検査媒体122が適用され、試料が付着しているときの開放構成での検査ユニット110の斜視図を示し、パネル(A)は、検査媒体122を第1のプレート10に適用することを示し、パネル(B)は、スワブ130(それに付着した試料)が適用された検査媒体122と接触するように、収集された試料(印を付けていない)とともにスワブ130を第1のプレート10上に置くことを示している。
【0634】
図20のパネル(A)に示すように、第1のプレート10は内表面11および外表面(図示していない)を有し、第2のプレート20は内表面(図示していない)および外表面22を有する。
図20のパネル(A)および(B)を参照すると、開放構成では、第1のプレート10および第2のプレート20は部分的または完全に分離され、これにより試料および/または媒体をプレートの一方または両方の上に付着させることが可能となる。
【0635】
検査ユニット110はまた、検査ユニット110が、第1のプレート10および第2のプレート20の内表面が互いに面し、プレート間の間隔が狭い間隙であり、その高さがスペーサーの高さによって調節されている、閉鎖構成にあるときに、プレート間の間隔を制御することができるスペーサー(図示せず)を備えることができる。いくつかの実施形態では、本発明の検査ユニット110は、2015年8月10日に出願された米国仮特許出願第62/202,989号、2015年9月14日に出願された米国仮特許出願第62/218,455号、2016年2月9日に出願された米国仮特許出願第62/293,188号、2016年3月8日に出願された米国特許出願第62/305,123号、2016年7月31日に出願された米国仮特許出願第62/369,181号、2016年9月15日に出願された米国仮特許出願第62/394,753号、2016年8月10日に出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号、2016年9月14日に出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/051775号、2016年9月15日に出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/051794号、および2016年9月27日に出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/054025号に記載されるQMAXデバイス(「CROF」デバイスとも呼ばれる)を含んでもよいが、これらに限定されず、これらの完全な開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0636】
パネル(A)および
図20に示すように、かつ
図18も参照して、第1のプレート10および第2のプレート20はヒンジ30によって接続され、これにより第1のプレート10および第2のプレート20はヒンジ30が互いに対して旋回することが可能となる。検査ユニット110の特定の設計が異なってもよいことも留意すべきである。例えば、いくつかの実施形態では、検査ユニット110は、開放構成においていずれの構造体によっても接続されていない第1のプレート10および第2のプレート20を備えてもよく、ヒンジ30は任意選択でもよい。さらに、ヒンジ30の特定の設計は異なってもよい。
図18および20は、ヒンジ30が第1のプレート10および第2のプレート20の整列したエッジを覆っていることを示しているが、ヒンジ30の位置決めおよび接続は、第1のプレート10および第2のプレート20が開放構成と閉鎖構成との間で切り替えることができる限り変更してもよく、この構成では、2つのプレートの内表面が互いに向かい合い、試料を薄層へと圧縮することができる。例えば、特定の実施形態では、ヒンジ30は、第2のプレート20の外表面に接続される第1のリーフ(leaf)および第1のプレート10の内表面に接続される第2のリーフ含むが、プレート中には整列されたエッジがない。ヒンジ30により開放構成と閉鎖構成との間の効果的な切り替えができる限り、ヒンジ30と第1のプレート10および第2のプレート20との相対的な位置決めおよび接続(connectivity)は変わってもよい。
【0637】
図20のパネル(A)によって示されるように、容器120を使用して、検査媒体122を第1のプレート10の内表面11に適用してもよい。ここで「適用する」という用語は、付着、滴下、発射、放出、塗り付け、または拭くことを意味し得る。いくつかの実施形態では、検査媒体122は、容器120から方向付けして適用されてもよい。他の実施形態では、移送デバイス、例えばピペットを使用して、検査媒体122を容器120から特定の位置、例えば第1のプレート10の内表面に移送してもよい。いくつかの実施形態では、検査媒体122は、ヒトの手で容器120に力を加えることによって方向付けして適用されてもよい。例えば、特定の実施形態では、容器120は可撓性ボトルであってもよく、ユーザー(例えば、検査対象または検査を行う人)は容器120を絞って検査媒体122をプレートに適用してもよい。
【0638】
第1のプレート10および第2のプレート20の内表面はそれぞれ、内表面の一部または全体を占めることができる試料接触領域(
図20では印を付けていない)を含んでもよい。検査媒体は、試料接触領域に適用されてもよい。
図20のパネル(A)は、検査媒体122が第1のプレート10に適用されていることを示すが、検査媒体122は第2のプレート20または両方のプレートにも適用し得ることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、プレートの一方または両方は、プレートの一方または両方に固定されるスペーサー(図示していない)を備えてもよい。特定の実施形態では、スペーサーは試料接触領域にあり、スペーサーの少なくとも一部はプレートに適用された検査媒体122によって覆われる領域にある。
【0639】
図20のパネル(B)は、スワブ130が第1のプレート10上に配置されていることを示す。スワブ130は、薄い吸収層であるスワブストリップであってもよい。いくつかの実施形態では、試料は収集されており、スワブ130に付着されている。特定の実施形態では、試料は、スワブ130に吸収された体液であってもよい。特定の実施形態では、試料は固体状態であってもよく、スワブ130の表面に付着されてもよい。いくつかの実施形態では、スワブ130は、身体部分に直接接触したスワブ130の表面が第1のプレート10の内表面11に面するように、第1のプレート10上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、スワブ130は、身体部分に直接接触しなかったスワブ130の表面が第1プレート10の内表面11に面するように、第1プレート10上に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、スワブ130は、第2のプレート20上に配置されてもよい。例えば、特定の実施形態では、検査媒体122は第1のプレート10に適用され、スワブ130は開放構成において第2のプレート20上に配置される。検査媒体122およびスワブ130(したがってスワブ上の試料)は、第1のプレート10および第2のプレート20が閉鎖構成に切り替えられた後にのみ接触する。
【0640】
図20のパネル(B)は、スワブ130が第1のプレート10上の検査媒体122を覆うことを示すが、スワブ130は、検査媒体122が適用される前または後に第1のプレート10上に配置されてもよい。例えば、特定の実施形態では、スワブ130が最初に第1のプレート10の内表面11上に配置され、次いで検査媒体122がスワブ130の上に直接適用されてもよい。他の実施形態では、スワブ130が第1のプレート10の内表面11上に配置され、検査媒体122が第2のプレート20に適用され、プレートが閉鎖構成に切り替えられたときにスワブ130(したがって試料)が検査媒体122と接触する。
【0641】
いくつかの特定の実施形態では、検査媒体122は、第2のプレート20の内表面11に適用される。スワブ130は、身体部分99に直接接触したスワブ130の表面が検査媒体122に面するように、検査媒体122の上に配置される。他の特定の実施形態では、スワブ130は、身体部分99に直接接触したスワブ130の表面が内表面11に面するように、第1プレート10上に最初に配置される。次いで、検査媒体122が、身体部分99に接触しなかったスワブ130の表面に適用される。
【0642】
上記のように、スワブ130のサイズ、形状、および材料は異なっていてもよい。さらに、収集された試料をプレートの一方または両方の上に付着させるための特定のプロセスも異なってもよい。例えば、特定の実施形態では、スワブ130全体をプレート上に配置する必要がなくてもよいため、ユーザーはスワブ130の一部のみをプレート上に配置することができる。いくつかの実施形態では、スワブ130はプレート上に配置されない。その代わりに、ユーザーは、スワブ130を持ってプレートの一方または両方に触れて、試料90の一部または全部をプレートに移しおよび/または塗り付けてもよい。特定の実施形態では、使用者は、スワブ130を、検査媒体122であってもまたはなくてもよい液体に浸して、それより、試料90の一部または全部を液体に混合してもよい。次いで、混合物の一部をプレートの一方または両方に移す/塗り付けてもよい。
【0643】
図21は、スワブ130が配置され、検査媒体122が適用された後の、開放構成および閉鎖構成の検査ユニット110の断面図を示す。
図21に示すように、検査ユニット110は、第1のプレート10、第2のプレート20、および第1のプレート10と第2のプレート20とを接続するヒンジ30を備えていてもよい。第1のプレート10は、外表面12および内表面11を備えていてもよい。第2のプレート20は、外表面22および内表面21を備えていてもよい。第1のプレート10は、スペーサー40をさらに備えていてもよい。しかしながら、スペーサー40は、第1のプレート10、第2のプレート20、または両方のプレートの一部であってもよいことに留意すべきである。いくつかの実施形態では、スペーサー40は、プレートの一方または両方に固定される。
【0644】
図21のパネル(A)は、開放構成において、異なる構成へと互いに相対的に移動可能である第1のプレート10および第2のプレート20を示す。パネル(A)に示すように、開放構成では、第1のプレート10および第2のプレート20は部分的または完全に分離され、2つのプレート間の間隔はスペーサー40によって調節されない。パネル(A)は、検査媒体122が第1のプレート10の内表面11に適用され、スワブ130が検査媒体122の上に置かれた特定の実施形態を示している。この特定の実施形態では、試料90の少なくとも一部がスワブ130の下表面に存在するが、その理由は、それが、スワブで拭く間に身体部分99に直接接触した表面だからである。しかしながら、上記のように、検査媒体122を適用してスワブ130を配置する特定の順序は変わってもよいことに留意すべきである。さらに、特定の実施形態では、スワブ130は、試料90をプレート上に移しおよび/または塗り付けるように使用されてもよく、スワブ130はプレートの上に配置されない。
【0645】
図21のパネル(B)は、スワブ130が2つのプレート10および20によって押圧され、検査媒体122が試料90と混合されて、薄層へと圧縮される混合物が形成されている、閉鎖構成における検査ユニット110を示している。検査媒体122が試料90と接触するとすぐに、プレートを押圧することなく混合が開始したことに留意すべきである。しかしながら、いくつかの実施形態では、液体層の厚さが減少したために、プレートを閉鎖構成に切り替えることによって、混合プロセスが加速化し得る。混合は、拡散または他のメカニズム(例えば、検査媒体の成分と試料の成分との間の特異的結合)またはそれらの組み合わせに依存してもよい。
【0646】
いくつかの実施形態では、試料90と検査媒体122との混合を促進するために、第1のプレート10の内表面11は親水性であってもよい。特定の実施形態では、第1のプレート10の内表面11は親水性であってもよく、第2のプレート20の内表面21は疎水性であってもよい。検査媒体122が水系でない場合、いくつかの実施形態では、第1のプレート10の内表面11は疎水性であってもよい。
【0647】
検査媒体122は、試料90に存在するまたは存在しない場合もある病原体の分布、画像化、視覚化、識別、定量化、および/または分析を容易にするために使用し得る。いくつかの実施形態では、検査媒体122は、病原体を画像化、視覚化、識別、定量化および/または分析することができるように標的病原体を染色する染色試薬を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、検査媒体は、細菌種を染色および区別するために使用することができるグラム染色試薬を含んでもよい。細胞のサイズおよび/または形態に基づくさらなる識別の有無にかかわらず、染色後にさらなる画像化、視覚化、同定、定量、および/または分析を行ってもよい。
【0648】
分析物(細胞など)が染色された後、または任意の方式で検出可能な信号を生成した後、信号が検出される。例えば、比色分析法または蛍光標識のいずれかを用いて、分析物が染色試薬で染色されたときに、分析物の画像をカメラで撮影することができ、例えば、染色された分析物の数を計数しおよび/または信号の強度を測定することによって、画像を分析することができる。
【0649】
いくつかの実施形態では、検査媒体122は、病原体に対する特異的結合試薬を含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、特異的結合試薬は、病原体に特異的に結合する抗体(例えばモノクローナル抗体)であってもよい。いくつかの実施形態では、検査媒体122は、検出可能な標識などの信号伝達試薬をさらに含んでもよい。例えば、特定の実施形態では、抗体は、抗体と病原体との間に信号が生成され得るように、光学的に検出可能な標識と結合されてもよい。特定の実施形態では、分析物は、イムノアッセイで検出および/または測定することができる。いくつかの実施形態では、特異的結合試薬は、修飾または非修飾ヌクレオチド、例えばDNAであってもよい。特定の実施形態では、分析物は、核酸(例えばDNA)ハイブリダイゼーションアッセイで検出および/または測定することができる。
【0650】
いくつかの実施形態では、検査媒体122を使用して、試料90の分布、特に試料90中の病原体の分布を促進することができる。例えば、いくつかの実施形態では、検査媒体122は、試料90を希釈する、または試料90中の病原体をより自由に分布させることを可能とする、緩衝液であってもよい。特定の実施形態では、検査ユニット110は、プレートの内表面上、例えば第1のプレート10の内表面11上に結合/検出部位を備えてもよい。このような結合/検出部位は、部位が試料90と検査媒体122との混合物と接触したときに、試料90中の病原体が結合および/または検出されるように、結合/検出試薬、例えば、検出可能な標識と結合された抗体または抗体でコーティングされてもよい。いくつかの実施形態では、病原体を結合/検出部位に固定化してもよい。特定の実施形態では、結合/検出部位を洗浄して、非特異的結合を除去してもよい。
【0651】
いくつかの実施形態では、試料90中の病原体の検出は、検査媒体122およびプレートの一方または両方の内表面上の結合/検出部位の両方からの試薬を必要とし得る。例えば、特定の実施形態では、結合/検出部位は病原体に特異的に結合する一次抗体を含んでもよく、検査媒体122は一次抗体/病原体複合体の認識/結合時に信号を生成する信号伝達試薬を含んでもよい。
【0652】
いくつかの実施形態では、第1のプレート10および第2のプレート20をそれらの間にあるスワブ130とともに圧縮した後、スワブ130を除去せずに試料90と検査媒体122との混合物を直接分析してもよい。閉鎖構成において、試料90と検査媒体122との混合物を薄層へと圧縮してもよく、これにより混合および分析が容易になる。
【0653】
いくつかの実施形態では、第1のプレート10および第2のプレート20をそれらの間のスワブ130ともに圧縮した後、検査ユニット110を再び開放構成に戻してもよく、これによりスワブ130の除去が可能とする。特定の実施形態では、非特異的結合からの信号伝達を低減するための洗浄を行ってもまたは行わなくてもよい。スワブ130の除去および/または洗浄の後、検査ユニット110を閉鎖構成に変更し、試料90と検査媒体122との混合物を薄層へと圧縮してもよい。
【0654】
いくつかの実施形態では、スペーサー40は、混合物の層の厚さを調節することができる。いくつかの実施形態では、厚さは、5mm未満、2mm未満、1mm未満、900μm未満、800μm未満、700μm未満、600μm未満、500μm未満、400μm未満、300μm未満、200μm未満、175μm未満、150μm未満、125μm未満、100μm未満、90μm未満、80μm未満、75μm未満、70μm未満、60μm未満、50μm未満、40μm未満、30μm未満、25μm未満、20μm未満、15μm未満、10μm未満、9μm未満、8μm未満、7μm未満、6μm未満、5μm未満、4μm未満、3μm未満、2.5μm未満、2μm未満、1.8μm未満、1.5μm未満、1μm未満、0.8μm未満、0.5μm未満、0.2μm未満、0.1μm未満、もしくは0.05μm未満、またはいずれか2つの値の間の範囲内であってもよい。
【0655】
本発明の例
A1.対象における病原性疾患を検出するための検査キットであって、
i.プレートが異なる構成へと互いに対して移動するように構成されている、第1のプレートおよび第2のプレートと、
ii.対象の身体部分をスワブで拭くことによって試料を収集するように構成されているスワブと、
iii.検査媒体を含む容器と、を備え、
構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、これにより収集された試料を含むスワブを第1のプレート上に配置することが可能となる、開放構成
であり、スワブが、スワブの配置前または配置後に適用される検査媒体と接触しており、
構成の別のものは、スワブおよび検査媒体が接触した後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、2つのプレートがスワブおよび検査媒体に対して押圧されて、試料および検査媒体の混合物を形成し、混合物が薄層へと圧縮されており、
検査媒体が、試料中の病原体を検出するように構成されている、キット。
【0656】
A2.疾患が感染症である、実施形態A1に記載の検査キット。
【0657】
A3.疾患が性感染症(STD)である、実施形態A1またはA2に記載の検査キット。
【0658】
A4.疾患が、クラミジア、淋病、性器ヘルペス、HIV/AIDS、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、梅毒、細菌性膣炎、トリコモナス症、またはウイルス性肝炎からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0659】
A5.病原体が、chlamydia trachomatis、neisseria gonorrhoeae、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、梅毒トレポネーマ、膣トリコモナス、または肝炎ウイルスからなる群より選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0660】
A6.病原体が細菌である、実施形態A1に記載の検査キット。
【0661】
A7.細菌が、chlamydia trachomatis、neisseria gonorrhoeae、および梅毒トレポネーマからなる群から選択される、実施形態A6に記載の検査キット。
【0662】
A8.病原体がウイルスである、実施形態A1に記載の検査キット。
【0663】
A9.ウイルスが、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、および肝炎ウイルスからなる群から選択される、実施形態A8に記載の検査キット。
【0664】
A10.スワブがスワブストリップである、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0665】
A11.身体部分が対象の生殖器である、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0666】
A12.検査媒体が病原体に対する特異的結合試薬を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0667】
A13.特異的結合試薬が抗体である、実施形態A12に記載の検査キット。
【0668】
A14.検査媒体が信号伝達試薬をさらに含む、実施形態A12に記載の検査キット。
【0669】
A15.第1のプレートまたは第2のプレートの内表面が、信号伝達試薬でコーティングされている、実施形態A1に記載の検査キット。
【0670】
A16.信号伝達試薬が、結合試薬が病原体と結合したときに信号を生成するように構成されている、実施形態A14またはA15に記載の検査キット。
【0671】
A17.検査媒体が染色試薬を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0672】
A18.第1のプレートまたは第2のプレートの内表面が染色試薬でコーティングされている、実施形態A1に記載の検査キット。
【0673】
A19.染色試薬が、病原体を染色して、(1)検出可能な信号を生成するか、または(2)病原体を検出可能な信号を生成する別の試薬と結合させることを可能とするように構成されている、実施形態A17またはA18に記載のキット。
【0674】
A20.プレートの1つがプレートの1つに固定されたスペーサーを備え、閉鎖構成では、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されている、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0675】
A21.薄層の厚さがスペーサーによって調節され、かつ200μm未満である、実施形態A17に記載の検査キット。
【0676】
A22.キットが診断検査、健康モニタリング、および/または予防検査を行うに構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0677】
A23.試料および検査媒体の混合物からの検出された信号を受信および処理するように構成されたハードウェアをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0678】
A24.検査媒体が第1のプレートの内表面に適用され、内表面が親水性である、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0679】
A25.検査媒体が、分析物に結合するように構成された核酸を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の検査キット。
【0680】
B1.対象における病原性疾患を検出する方法であって、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートを提供するステップであって、プレートが異なる構成へと互いに対して移動するように構成されている、提供するステップと、
(b)対象の身体部分をスワブで拭くことによって試料を収集するステップと、
(c)2つのプレートが開放構成であるときに、収集した試料を含むスワブを第1のプレート上に配置するステップであって、2つのプレートが部分的にまたは完全に分離されている、配置するステップと、
(d)スワブの配置前または配置後に検査媒体を適用し、検査媒体をスワブと接触させ、試料および検査媒体の混合物を形成するステップと、
(e)ステップ(c)および(d)の後、試料および検査媒体の混合物に対してプレートを押圧することによってプレートを閉鎖構成に変更するステップであって、
i.混合物が薄層へと圧縮され、
ii.検査媒体が、試料中の病原体を検出し、かつ信号を検出したときに信号を生成するように構成されている、変更するステップと、
(f)信号を確認することによって対象が疾患を有しているかどうかを決定するステップと、を含む、方法。
【0681】
B2.検査媒体が、病原体に特異的に結合する結合試薬と、結合試薬および病原体が結合したときに信号を生成する信号伝達試薬と、を含む、実施形態B1に記載の方法。
【0682】
B3.ステップ(c)および(d)の後にスワブを除去することをさらに含む、実施形態B1に記載の方法。
【0683】
B4.収集された試料の大部分が検査媒体と混合するのに十分な時間にわたり検査媒体および試料が接触した後、スワブが除去される、実施形態B3に記載の方法。
【0684】
B5.スワブがステップ(e)の前に除去されない、実施形態B1に記載の方法。
【0685】
B6.ステップ(e)の後にスワブを除去し、スワブの除去後にプレートを閉鎖構成に変更することをさらに含む、実施形態B1に記載の方法。
【0686】
B7.閉鎖構成において試料中の分析物を画像化することをさらに含む方法、B実施形態のいずれかに記載の方法。
【0687】
E.表面パターンを使用したアッセイ
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)へと互いに相対的に移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFカードのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された仮出願シリアル番号第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0688】
A.表面誘導パターンを有するQMAXカードの例
アッセイを容易にするために、本発明は、QMAXカードのプレートの内表面上に表面誘導パターンを提供する。表面誘導パターンの機能は、試料を1か所に落とし、横方向流動誘導パターンを使用して、試料を試料付着区域から反応区域に横方向に流すことである。任意選択で、横方向フィルターを試料付着区域と反応区域との間に配置することができる。
【0689】
表面誘導パターンは、スペーサーまたはスペーサーとしての試料よりも低い高さを有することができる。いくつかの実施形態では、スペーサーは表面誘導パターンの一部である。
【0690】
図22は、デバイスの例示的な実施形態の略図を示す。(a)側面図および(b)上面図は、第1のプレート、第2のプレート、ならびに第1のプレート上の充填パッド、チャンネル、反応チャンバー、およびポンプを備えるデバイスを示す。
【0691】
図23は、第1のプレート、第2のプレート、ならびに第1のプレート上の充填パッド、チャンネル、反応チャンバー、およびポンプを備えるデバイスの例示的な実施形態の略図を示す。
【0692】
図24は、フィルターを備えたデバイスの別の例示的な実施形態の略図を示す。(a)側面図および(b)上面図は、第1のプレート、第2のプレート、ならびに第1のプレート上のローティングパッド、チャンネル、フィルター、反応チャンバー、および受動ポンプ(任意選択)を備えたデバイスを示す。
【0693】
アッセイを実施するための表面誘導パターンを備えたQMAXカードを使用する方法は、(a)試料付着区域に試料を付着させることと、(b)試料付着区域から反応区域に試料を流すことと、(c)第2のプレートを第1のプレートの上で閉じることと、を含む。
【0694】
その後、いくつかの実施形態では、QMAXカードは、さらなる測定のために光学アダプターに挿入される。第1のプレートを覆う第2のプレートは、試料がQMAXカードから流出するのを防ぐ。
【0695】
図25は、第1のプレート上のチャンネル、フィルターチャンバー、反応チャンバー、およびポンプの構造の例を示し、白い領域が構造であり、黒い領域が流体領域である。構造の上面図:(a)「支柱(Post)」または柱配列、(b)「ツリー(Tree)線a」、(c)「六角形」、(d)「対称線」、(e)「非対称線」、(f)「ボールド(Balled)線」、(g)「丸みのある絡み合った(interlocked)六角形」、(h)「ツリー線b」。
【0696】
A−1.チャンネル構造の特性
いくつかの実施形態では、第1のプレート上のチャンネル、フィルターチャンバー、反応チャンバー、およびポンプの構造は、(a)「支柱」または柱配列、(b)「ツリー線a」、(c)「六角形」、(d)「対称線」、(e)「非対称線」、(f)「ボールド線」、(g)「丸みある絡み合った六角形」、(h)「ツリー線b」を含む。
【0697】
いくつかの実施形態では、構造は、線、球、長方形、六角形、対称線、非対称線、および/もしくは他の多面体またはそれらの組み合わせの形状を有する。
【0698】
いくつかの実施形態では、構造は、正方形、六角形の格子、および/または他の格子により周期的である。
【0699】
いくつかの実施形態では、構造は非周期的である。
【0700】
いくつかの実施形態では、構造のサイズ(幅および長さ)は、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μm、500μm、1mmの範囲、またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0701】
いくつかの実施形態では、構造の周期は、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μm、500μm、1mmの範囲、またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0702】
いくつかの実施形態では、構造の深さは、は、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μm、500μm、1mmの範囲、またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0703】
いくつかの実施形態では、第1のプレート上のフィルターの構造は、堰フィルター(weir filter)、ポストフィルター(post filter)、および膜フィルターを含むが、これらに限定されない。
【0704】
いくつかの実施形態では、大きな細胞を捕捉するための、チャンネルにおいて大きな障壁を含む堰フィルターに関して、障壁のサイズが、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μm、500μm、1mmの範囲、またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0705】
いくつかの実施形態では、大きな細胞を捕捉するための、マイクロポストの配列を含むポストフィルターに関して、構造の寸法は、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μm、500μm、1mmの範囲、またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0706】
いくつかの実施形態では、大きな細胞を捕捉するための、床または天井に孔の配列を含む膜フィルターに関して、孔のサイズは、1nm、10nm、100nm、500nm、1μm、5μm、50μmの範囲、または任意の2つの値の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1μm、1μm〜10μm、または10μm〜50μmの好ましい範囲である。
【0707】
いくつかの実施形態では、構造は親水性であり、液体接触角は0
o、15
o、30
o.45
o.60
o、90
o、またはいずれか2つの値の間の範囲、および0〜15
o、15
o〜30
o、30
o〜45
oの好ましい範囲である。
【0708】
図26は、
図25に示される構造以外の第1のプレート上のフィルターのさらなる例を示し、これには、(a)大きな細胞を捕捉するための、チャンネルにおいて大きな障壁を含む堰フィルター、(b)大きな細胞を捕捉するための、マイクロポストの配列を含むポストフィルター、および(c)大きな細胞を捕捉するための、床または天井に孔の配列を含む膜フィルターが含まれる。
【0709】
B.横方向濾過のためのQMAXカードの例
B−1.濾過デバイス
本発明の別の態様は、試料濾過のためのデバイスを提供することである。
【0710】
いくつかの実施形態では、本明細書のセクションBで提供されるデバイスは、ここでだけで述べる特徴を含む。いくつかの実施形態では、セクションBで提供されるデバイスは、セクションAでも記載されている特定の特徴を含む。
【0711】
図27は、本発明による試料の濾過のためのデバイスの例示的な実施形態を略図により示す。より具体的には、パネル(A)に示すように、デバイスは、第1のプレート10、第2のプレート20、およびナノ構造フィルター300を備える。第1のプレート10および第2のプレート20の両方は、それぞれ内表面11および21を備える。第1のプレートは、その内表面11上に、未濾過領域13および濾過領域14を含む。未濾過領域13は、デバイスによって除去される標的濾過成分92を含む複合液体試料と接触するためのものであり、濾過領域14は、標的濾過成分92が除去される試料の濾過生成物と接触するためのものである。ナノ構造フィルターにより濾過された300は、第1のプレートの内表面11に固定される。しかしながら、いくつかの実施形態では、ナノ構造フィルター300は、第2のプレート内表面21または2つのプレートの内表面(11および21)に固定されることに留意すべきである。ここに示されるように、第2のプレート20は可撓性である。いくつかの実施形態では、第1のプレート10または2つのプレートの両方が可撓性である。
【0712】
図27に示されるように、第1のプレート10および第2のプレート20は、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと相対的に移動可能である。
図27のパネル(A)および(B)は、開放構成の異なる実施形態を示す。開放構成では、第1のプレート10および第2のプレート20は、パネル(B)に示されるように部分的に分離されるか、またはパネル(A)に示されるように完全に分離される。さらに、パネル(B)に示されるように、開放構成では、2つのプレート間の間隔により、複合液体試料90が未濾過領域13および/または第2のプレート内表面(図示していない)上に付着させることが可能となる。
【0713】
図27のパネル(C)は、例示的なデバイスの閉鎖構成、および開放構成から閉鎖構成へのデバイスの移行を推進するヒトの指を示す。特に、図に示されるように、ヒトの指600は、未濾過領域13上で、第1のプレート10および第2のプレート20を閉鎖構成へと圧縮する圧縮力を提供する。そして、プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセス中に、付着した試料90は2つのプレートによって圧縮され、結果として、試料90の一部はナノ構造フィルター300を通って非濾過領域から濾過領域に流れる。ナノ構造フィルター300は、濾過領域に到達する試料の一部から濾過される標的濾過成分92を分離し、これにより濾過物900を形成するように構成されている。いくつかの実施形態では、ナノ構造フィルター300が第1のプレート内表面11または第2のプレート内表面21に固定されているかどうかにかかわらず、ここで、第2のプレート上のナノ構造フィルターの位置は、ナノ構造フィルター300が閉鎖構成での未濾過領域13と濾過領域14との間に配置されている形式によって制限されることに留意すべきである。したがって、この構造的関係により、試料90の少なくとも一部が、閉鎖構成で強制的にナノ構造フィルター300を通って未濾過領域13および濾過領域14からの方向に流れるように構成されている。
【0714】
いくつかの実施形態では、セクションAで使用される「ナノ構造フィルター」という用語および用語「フィルター」という用語は交換可能である。いくつかの実施形態では、ナノ構造フィルターは、セクションAに記載されるフィルターの特徴を含む。
【0715】
開放構成.いくつかの実施形態では、開放構成では、2つのプレート(すなわち、第1のプレートおよび第2プレート)は互いに分離されている。特定の実施形態では、2つのプレートは、プレート(開放構成および閉鎖構成を含む)のすべての動作中に一緒に接続されている1つの縁部を有してもよく、2つのプレートは本のように開け閉めされる。いくつかの実施形態では、2つのプレートは、長方形(または正方形)の形状を有し、プレートのすべての動作中に(例えば、ヒンジまたは同様の連結物で)互いに接続されている長方形の2つの側面を有する。
【0716】
いくつかの実施形態では、開放構成は、他方のプレートのいかなる障害もなく、試料が対のプレートの一方または両方の上に付着するように、プレートが互いに遠く離れている構成である。いくつかの実施形態では、プレートの2つの側面が接続されているとき、開放構成は、他方のプレートのいかなる障害もなく、試料が対の一方のプレート上に付着するように、プレートが広角(例えば、60〜180度、90〜180度、120〜180度、または150〜180度の範囲)を形成する構成である。
【0717】
いくつかの実施形態では、開放構成は、他のプレートが存在しないかのように試料が一方のプレート上に直接付着するように、プレートが遠くにある構成を備える。
【0718】
いくつかの実施形態では、開放構成は、プレートの対が少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、もしくは少なくとも5cm、またはいずれか2つの値の範囲内の距離だけ離れている構成である。
【0719】
いくつかの実施形態では、2つのプレートは、ナノ構造フィルターにより接続され、開放構成は、2つのプレートが非濾過領域上において分離されている構成である。未濾過領域上の2つのプレートは、少なくとも10nm、少なくとも100nm、少なくとも1000nm、少なくとも0.01cm、少なくとも0.1cm、少なくとも0.5cm、少なくとも1cm、少なくとも2cm、もしくは少なくとも5cm、またはいずれか2つの値の範囲内である。
【0720】
いくつかの実施形態では、開放構成は、プレートの対が異なる方向に向けられている構成である。いくつかの実施形態では、開放構成は、試料の添加を可能にするように構成されたプレートの対の間のアクセス間隙を規定する構成を備える。
【0721】
閉鎖構成.いくつかの実施形態では、2つのプレートの閉鎖構成は、ナノ構造フィルターが非濾過領域と濾過領域との間に配置され、かつ非濾過領域上の2つのプレートの内表面の間の間隔(すなわち、距離)が、付着した試料の少なくとも一部が2つのプレートによって圧縮されて、ナノ構造フィルターを通って未濾過領域から濾過領域に流れるように減少した、構成である。いくつかの実施形態では、未濾過領域上の2つのプレート間の間隔は、付着した試料の制限されていない厚さよりも著しく小さい。いくつかの実施形態では、閉鎖構成は、試料がプレートに添加されたかどうかに関係しない。
【0722】
プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセス中、プレートは互いに向かい合っており(プレートの少なくとも一部は互いに向かい合っている)、力を使用して2つのプレートを合わせる。試料が付着している場合、2つのプレートを開放構成から閉鎖構成にするときに、2つのプレートの内表面がプレート上に付着した試料を圧縮して試料の厚さを減少させ(その間、試料はプレート間で横方向のオープンフローを有する)、試料の関連する体積の厚さは、2つのプレート間の間隔、使用される方法、および試料の機械的/流体特性によって決まる。閉鎖構成での厚さは、所与の試料ならびに特定のスペーサー、プレート、およびプレート押圧方法に対して予め決定することができる。
【0723】
いくつかの実施形態では、構成において、未濾過領域上の2つのプレート間の間隔は、10nm未満、100nm未満、1000nm未満、0.01cm未満、0.1cm未満、0.5cm未満、1cm未満、2cm未満、5cm未満、またはいずれか2つの値の範囲内である。
【0724】
いくつかの実施形態では、プレートを開放構成から閉鎖構成にするプロセス中に、付着試料の総体積における、ナノ構造フィルターを介して強制的に流される付着試料のすべての部分のパーセントは、少なくとも0.1%、少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またはこれらの値のいずれか2つの任意の範囲内である。
【0725】
いくつかの実施形態では、並行してまたは逐次的のいずれかで、QMAXデバイスを閉鎖構成へと適合可能に押圧することが可能であろう。適合可能な押圧とは、プレートの外表面の形状の変化に関係なく、領域に加えられる圧力を実質的に一定にする方法である。特に、並行した適合可能な押圧は、意図する領域に同時に圧力を加え、逐次的な適合可能な押圧は、意図する領域の一部に圧力を加え、徐々に他の領域に移動する。適合可能な押圧は、ヒトの手、エアブロー、液圧、またはその他の力によって加えてもよい。
【0726】
プレート. 本発明では、一般に、CROFのプレートは、(i)プレート間の間隔のすべての一部および/または試料の体積の一部もしくは全部の厚さを、スペーサーとともに調節するために使用することができ、または(ii)試料、アッセイ、またはプレートが達成しようとする目標に対して重大な悪影響がない、任意の材料で作られる。しかしながら、特定の実施形態では、特定の目的を達成するために、特定の材料(したがって、その特性)がプレートに使用される。
【0727】
いくつかの実施形態では、2つのプレートは、以下のパラメータの各々について同じまたは異なるパラメータを有する:プレート材料、プレートの厚さ、プレート形状、プレート面積、プレートの可撓性、プレートの表面特性、およびプレートの光透過性。
【0728】
プレート材料. いくつかの実施形態では、プレートは、単一の材料、複合材料、複数の材料、多層の材料、合金、またはそれらの組み合わせで作られる。プレート材料の各々は、無機材料、有機材料、または混合物であり、材料の例は、材料−1および材料−2の節に示されている。
材料−1. プレートの任意の1つの無機材料には、ガラス、石英、酸化物、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化ハフニウム(HfO)、酸化アルミニウム(AIO)、半導体:(シリコン、GaAs、GaNなど)、金属(例えば、金、銀、銅、アルミニウム、Ti、Niなど)、セラミック、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
材料−2. プレートの任意の1つの有機材料には、ポリマー(例えば、プラスチック)またはアモルファス有機材料が含まれるが、これらに限定されない。プレートのポリマー材料には、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0729】
いくつかの実施形態では、プレートは、それぞれ独立して、ガラス、プラスチック、セラミック、および金属のうちの少なくとも1つで作られる。いくつかの実施形態では、各プレートは、独立して、ガラス、プラスチック、セラミック、および金属のうちの少なくとも1つを含む。
【0730】
いくつかの実施形態では、一方のプレートは、側面積、厚さ、形状、材料、または表面処理において、他方のプレートとは異なる。いくつかの実施形態では、一方のプレートは、側面積、厚さ、形状、材料、または表面処理において、他方のプレートと同じである。
【0731】
プレートの材料は、剛性、可撓性、または2つの間の任意の可撓性である。剛性(つまり堅さ)または可撓性は、プレートを閉鎖構成にするときに使用される所与の押圧力に関連する。
【0732】
いくつかの実施形態では、剛性プレートまたは可撓性プレートの選択は、閉鎖構成での試料の厚さの均一性を制御する要件から決定される。
【0733】
いくつかの実施形態では、2つのプレートのうちの少なくとも1つは(光に対して)透明である。いくつかの実施形態では、一方のプレートまたは両方のプレートの少なくとも一部またはいくつかの部分は透明である。いくつかの実施形態では、プレートは不透明である。
【0734】
プレートの厚さ. いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均の厚さは、2nm以下、10nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、1000nm以下、2μm(ミクロン)以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm(ミリメートル)以下、2mm以下、3mm以下、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。
【0735】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均の厚さは、最大3mm(ミリメートル)、最大5mm、最大10mm、最大20mm、最大50mm、最大100mm、最大500mm、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。
【0736】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均の厚さは、1〜1000μm、10〜900μm、20〜800μm、25〜700μm、25〜800μm、25〜600μm、25〜500μm、25〜400μm、25〜300μm、25〜200μm、30〜200μm、35〜200μm、40〜200μm、45〜200μm、または50〜200μmの範囲である。いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均の厚さは、50〜75μm、75〜100μm、100〜125μm、125〜150μm、150〜175μm、または175〜200μmの範囲である。いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均の厚さは、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、または約200μmである。
【0737】
いくつかの実施形態では、プレートの厚さはプレート全体にわたって均一ではない。異なる位置で異なるプレートの厚さを使用して、プレートの曲げ、折り畳み、試料の厚さ調節などを制御してもよい。
【0738】
プレートの形状と面積. 一般に、プレートは、形状によって試料の開放流の圧縮および試料の厚さの調節が可能となる限り、任意の形状を有することができる。しかしながら、特定の実施形態では、特定の形状が有利となり得る。プレートの形状は、丸形、楕円形、長方形、三角形、多角形、リング形、またはこれらの形状の任意の重ね合わせにすることができる。
【0739】
いくつかの実施形態では、2つのプレートは、同じサイズおよび/または形状、または異なるサイズおよび/または形状を有することができる。プレートの面積は、特定の用途によって異なる。いくつかの実施形態では、プレートの面積は、1mm
2(平方ミリメートル)、最大10mm
2、最大100mm
2、最大1cm
2(平方センチメートル)、最大2cm
2、最大5cm
2、最大10cm
2、最大100cm
2、最大500cm
2、最大1000cm
2、最大5000cm
2、最大10,000cm
2、もしくは10,000cm
2超、または2つの値のいずれかの間の任意の範囲である。
【0740】
特定の実施形態では、プレートの少なくとも1つは、幅、厚さ、および長さを有するベルト(またはストリップ)の形態である。幅は、最大0.1cm(センチメートル)、最大0.5cm、最大1cm、最大5cm、最大10cm、最大50cm、最大100cm、最大500cm、最大1000cm、またはいずれか2つの値の間の範囲内である。長さは必要なだけ長くすることができる。ベルトはロール状に巻くことができる。
【0741】
プレート表面の平坦度. 多くの実施形態では、プレートの内表面は平坦なまたは著しく平坦な平面である。特定の実施形態では、プレートの2つの内表面は、閉鎖構成では互いに平行である。平坦な内表面は、閉鎖構成において所定のスペーサーの高さを使用するだけで、試料の厚さの定量化および/または制御を容易にする。プレートの平坦でない内表面については、閉鎖構成において試料の厚さを定量化および/または制御するには、スペーサーの高さだけでなく、内表面の正確なトポロジーを知る必要がある。表面トポロジーを知るには、複雑で、時間がかかり、かつ費用がかかり得る追加の測定および修正が必要である。
【0742】
プレート表面の平坦度は最終試料の厚さに関連し(この最終厚さは閉鎖構成での厚さである)、プレート表面の平坦度の変動と最終試料の厚さとの比である、「相対的表面平坦度」という用語でしばしば特徴付けられる。
【0743】
いくつかの実施形態では、相対的表面平坦度は、0.01%未満、0.1%未満、0.5%未満、1%未満、2%未満、5%未満、10%未満、20%未満、30%未満、50%未満、70%未満、80%未満、100%未満、またはこれらの値のいずれか2つの間の範囲内である。
【0744】
プレート表面の平行度. いくつかの実施形態では、プレートの2つの表面は、閉鎖構成において著しく平行である。ここで「著しく平行」とは、2つのプレートの延長により形成される角度が0.1度未満、0.2度未満、0.5度未満、1度未満、2度未満、3度未満、4度未満、5度未満、10度未満、または15度未満であることを意味する。特定の実施形態では、プレートの2つの表面は互いに平行ではない。
【0745】
プレートの可撓性. いくつかの実施形態では、プレートは、CROFプロセスの圧縮下で可撓性である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは、CROFプロセスの圧縮下で可撓性である。いくつかの実施形態では、CROFプロセスの圧縮下で、プレートは剛性であり、別のプレートは可撓性である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは剛性である。いくつかの実施形態では、両方のプレートは可撓性であるが、異なる可撓性を有する。
【0746】
B−2.横方向濾過方法
本発明の別の態様は、本発明のデバイスを使用して試料を濾過する方法を提供する。いくつかの実施形態では、方法は、
(a)第1、第2のプレート、およびナノ構造フィルターを提供するステップであって、
i.前記プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.プレートの一方または両方が可撓性であり、
iii.プレートの各々が内表面を有し、第1のプレートが、ある位置に未濾過領域を有し、かつ別の位置に濾過領域を有し、未濾過領域は、分離される成分を含む複合液体試料と接触するためのものであり、濾過領域は、試料の少なくとも一部の濾過物(filtering product)と接触するためのものであり、
iv.ナノ構造フィルターが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定されている、提供するステップと、
(b)複合液体試料を開放構成において未濾過領域または第2のプレートの内表面上に付着させるステップであって、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔によって試料を未濾過領域または第2のプレートの内表面上に付着させることが可能となる、付着させるステップと、
(c)2つのプレートを適合可能な力で閉鎖構成へと圧縮することにより、付着した試料の少なくとも一部から成分を分離するステップであって、
閉鎖構成では、ナノ構造フィルターが、未濾過領域と濾過領域との間に配置され、かつ両方のプレートの内表面に接触しており、付着した試料の上記部分が、2つのプレートによって圧縮されて、ナノ構造フィルターを通って未濾過領域から濾過領域に流れ、これにより濾過物が形成され、
ナノ構造フィルターが、試料の上記少なくとも一部から成分を分離するように構成されている、分離するステップと、を含む、方法。
【0747】
B−3.濾過デバイスの他の例
図28は、試料濾過のためのデバイスの別の例示的な実施形態を略図により示す。デバイスは、第1のプレート10、第2のプレート20、ナノ構造フィルター300、および第2のスペーサー42を備える。第1のプレート10および第2のプレート20の両方は、それぞれ内表面11および21を備える。第1のプレートは、その内表面11に、未濾過領域13および濾過領域14を含む。未濾過領域13は、デバイスによって除去される標的濾過成分92を含む複合液体試料と接触するためのものであり、濾過領域14は、標的濾過成分92が除去された試料の濾過生成物と接触するためのものである。ナノ構造フィルター300は、第1のプレートの内表面11に固定される。さらに、第2のスペーサー42は、第1のプレート内表面11の濾過領域に固定されている。
【0748】
図27と同様に、
図28の第1のプレート10および第2のプレート20はまた、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能である。パネル(A)は、開放構成の実施形態を示し、この構成では、2つのプレートが分離され、2つのプレート間の間隔により、標的濾過成分92を含む試料90を取り外して、未濾過領域13または第2のプレート内表面21(図示していない)上に付着させることが可能となる。ここで、いくつかの実施形態では、開放構成での2つのプレート間の分離は部分的であること、すなわち、2つのプレートは、未濾過領域以外の領域で互いに接触していることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、2つのプレートの両方が、開放構成において第2のスペーサーに接触しているが、未濾過領域では分離されている。
【0749】
図28のパネル(B)は、例示的なデバイスの閉鎖構成、および開放構成から閉鎖構成へのデバイスの移行を推進する2本のヒトの指を示す。特に、
図B1のパネル(C)と同様に、ヒトの指600は、未濾過領域上の2つのプレートを閉鎖構成へと圧縮する。その結果、付着した90は、2つのプレートによって圧縮され、試料90の一部は、ナノ構造フィルター300を通過して未濾過領域13から濾過領域14に強制的に流れる。ナノ構造フィルター300は、通過して流れた試料90の部分から標的濾過成分92を分離し、濾過物900を形成するように構成される。しかしながら、
図27との違いは、濾過領域上の濾過物も、閉鎖構成において2つのプレートによって圧縮されることである。異なるヒトの指602によって、濾過領域14上の2つのプレートが圧縮されることが示されている。閉鎖構成では、濾過領域14上の2つのプレート間の間隔は、第2のスペーサー42の高さによって調節され、したがって、濾過物900は、2つのプレートの内表面によって制限される第2の薄層へと圧縮される。いくつかの実施形態では、第2のスペーサー42は、第2の均一な高さを有する。いくつかの実施形態では、第2のスペーサー42は、第2の均一なスペーサー間距離を有する。いくつかの実施形態では、第2の薄層は、第2のスペーサーの第2の均一な高さによって調節される均一な厚さの第2の層である。
【0750】
図29は、本発明による試料濾過のためのデバイスの他の実施形態を略図により示す。同様の構成要素、すなわち、第1のプレート10、第2のプレート20、およびナノ構造フィルター300、ならびに
図B1に示され、上記で詳述したそれらの構造的特徴を有することに加えて、
図29のデバイスは、パネル(A)に示されるような複数の第1のスペーサー41、またはパネル(B)に示されるような複数の溶解柱(lysing pillar)44をさらに備える。
【0751】
図29のパネル(A)を参照して、第1のスペーサー41は、未濾過領域13に固定されている。しかしながら、他の実施形態では、第1のスペーサー41は、第2のプレートの内表面21または2つのプレートの内表面(11および21)のいずれかに固定されることに留意すべきである。開放構成では、2つのプレートは部分的または完全に分離され、未濾過領域13上の2つのプレート間の間隔は、第1スペーサー41の高さによって調節されておらず、これにより、標的濾過成分92を含む試料を未濾過領域13上に付着させることが可能となる。閉鎖構成(ここでは図示せず)では、第1スペーサー41の少なくとも一部が未濾過領域13上にあり、未濾過領域13上の2つのプレート間間隔は第1スペーサー41の高さによって調節され、付着試料92の少なくとも第1の部分は、2つのプレートによって未濾過領域上の第1の薄層へと圧縮され、試料92の少なくとも第2の部分は、2つのプレートによって圧縮されて、ナノ構造フィルター300を通って未濾過領域13から濾過領域14に流れ、これにより濾過物が形成される。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー41は、第1の均一な高さを有する。いくつかの実施形態では、第1のスペーサー41は、第1の均一なスペーサー間距離を有する。いくつかの実施形態では、第1の薄層は、第1のスペーサーの均一な高さによって調節される均一な厚さの第1の層である。
【0752】
図29のパネル(B)を参照すると、このデバイスは、標的液体溶解成分94の溶解と、複合液体試料に含まれる標的濾過成分92の濾過の両方が可能である。溶解柱44は、第1のプレート内表面11の未濾過領域13に固定されている。他の実施形態では、溶解柱44は、第2のプレート内表面21または両方のプレート(11および21)の内表面のいずれかに固定される。溶解柱44は、少なくとも1つの横方向寸法(挿入図に示される直径412)が試料中の標的溶解成分94の最大横方向寸法の半分未満である上面を有する。第1のプレート10および第2のプレート20はまた、開放構成および閉鎖構成の2つの構成に互いに相対的に移動可能である。
図B1のデバイスと比較して、
図29パネル(B)のデバイスの追加の特徴には、以下が含まれる:(1)開放構成では、未濾過領域上の2つのプレート間間隔は、溶解柱40の高さによって調節されておらず、これにより、標的溶解成分94および標的濾過成分92を含む液体複合試料90を未濾過領域上に付着させることが可能となり、(2)閉鎖構成では、溶解柱44の少なくとも一部が未濾過領域13上を覆い、付着した試料中の標的溶解成分94のかなりの部分を機械的に溶解し、付着した試料の少なくとも一部が2つのプレートによって圧縮されて、ナノ構造フィルターを通って未濾過領域から濾過領域に流れる。
【0753】
本発明の他の例
AA1 アッセイを実施するためのデバイスであって、
内表面上に、試料充填区域、オープンフローチャンネル、反応区域、および任意選択で受動ポンプ区域を備える第1のプレートと、
平坦な内表面を備える第2のプレートと、を備え、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.試料充填区域が、プレート表面の下にウェルを備え、かつ分析物を含む流体試料を充填するように構成され、
iii.オープンフローチャンネルが、試料充填区域および反応区域に流体接続され、かつ試料が試料充填区域から反応区域に流れることを誘導するように構成され、
iv.構成のうちの1つは、
2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、試料がプレートの一方または両方に付着している、開放構成
であり、
v.構成の別のものは、開放構成での試料付着後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、少なくとも1つのスペーサーが、2つのプレートの間にあり、付着した試料の少なくとも一部が、プレートによって実質的に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの内表面によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、デバイス。
【0754】
AB1.アッセイを実施する方法であって、
(a)液体試料を取得するステップと、
(b)
内表面上に、試料充填区域、オープンフローチャンネル、反応区域、および任意選択で受動ポンプ区域を備える第1のプレートと、
平坦な内表面を備える第2のプレートと、を備えるアッセイを実施するためのデバイスを取得するステップであって、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ii.試料充填区域が、プレート表面の下にウェルを備え、かつ分析物を含む流体試料を充填するように構成され、
iii.オープンフローチャンネルが、試料充填区域および反応区域に流体接続され、かつ試料を試料充填区域から反応区域に流すことを誘導するように構成されている、取得するステップと、
(c)2つのプレートが開放構成にあるときに、第1のプレートの試料充填区域に試料を配置するステップであって、開放構成は、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されておらず、かつ試料がプレートの一方または両方の上に付着している、構成のうちの1つである、配置するステップと、
(d)(c)の試料付着後に、閉鎖構成において2つのプレートを圧縮するステップであって、閉鎖構成は、開放構成における試料付着後に構成される別の構成であり、閉鎖構成では、少なくとも1つのスペーサーが、2つのプレートの間にあり、付着した試料の少なくとも一部が、プレートによって実質的に均一な厚さの層へと圧縮され、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの内表面によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節されている、圧縮するステップと、を含む、方法。
【0755】
BA1.複合液体試料から成分を分離するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびナノ構造フィルターを備え、
viii.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
ix.プレートの一方または両方が可撓性であり、
x.プレートの各々が内表面を有し、第1のプレートが、その内表面において、ある位置に未濾過領域を有し、かつ別の位置に濾過領域を有し、未濾過領域が、分離される成分を含む複合液体試料と接触するためのものであり、濾過領域は、試料の少なくとも一部の濾過物と接触するためのものであり、
xi.ナノ構造フィルターが、プレートの一方または両方のそれぞれの内表面に固定され、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔により、試料を未濾過領域または第2のプレートの内表面上に付着させることができ、
閉鎖構成は、開放構成での試料の付着後に構成され、ナノ構造フィルターが、未濾過領域と濾過領域との間に配置され、かつ両方のプレートの内表面に接触し、付着した試料の少なくとも一部が、2つのプレートにより圧縮されて、ナノ構造フィルターを通って未濾過領域から濾過領域に流れ、これにより濾過生成物が形成され、
ナノ構造フィルターが、試料の上記少なくとも一部から成分を分離するように構成されている、デバイス。
【0756】
BA2.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定され、かつ閉鎖構成での濾過領域上に配置され、かつ第2の均一な高さおよび第2の均一なスペーサー間距離を有する、複数の第2のスペーサーを備え、閉鎖構成では、濾過物が、2つのプレートによって制限され、かつ第2のスペーサーによって調節されている、実質的に均一な厚さの層へと2つのプレートによって圧縮される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0757】
BA3.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定され、かつ閉鎖構成での未濾過領域上に配置された、複数の第1のスペーサーを備える、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0758】
BA4.第1のスペーサーが、試料に含まれる溶解される生物学的構造の最大横方向寸法の半分未満である横方向寸法の少なくとも1つを有する上面を有し、第1のスペーサーが、プレートが開放構成から閉鎖構成に移行する間に生物学的構造を機械的に溶解するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0759】
BA5.第1のスペーサーが、第1の均一な高さおよび第1の均一なスペーサー間距離を有し、閉鎖構成では、未濾過領域上の試料が、2つのプレートによって制限され、かつ第1のスペーサーによって調節されている、実質的に均一な厚さの層へと圧縮される、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0760】
BA6.ナノ構造フィルターが、堰フィルター、ポストフィルター、膜フィルター、およびそれらの任意の組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれかに記載のデバイス。
【0761】
BB1.複合液体試料を分析するための方法であって、
(d)第1のプレート、第2のプレート、およびナノ構造フィルターを提供するステップであって、
v.プレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成へと互いに相対的に移動可能であり、
vi.プレートの一方または両方が可撓性であり、
vii.プレートの各々が内表面を有し、第1のプレートが、ある位置に未濾過領域を有し、かつ別の位置に濾過領域を有し、試料接触領域が、分離される成分を含む複合液体試料と接触するためのものであり、
viii.ナノ構造フィルターが、プレートの一方または両方のそれぞれのプレートに固定されている、提供するステップと、
(e)複合液体試料を、開放構成において未濾過領域または第2のプレートの内表面上に付着させるステップであって、
開放構成が、2つのプレートが部分的または完全に分離され、かつプレート間の間隔によって試料を未濾過領域または第2のプレートの内表面上に付着させることが可能となる、構成のうちの1つである、付着させるステップと、
(f)閉鎖構成において2つのプレートを適合可能な力で圧縮することにより、付着させた試料の少なくとも一部から成分を分離するステップであって、
閉鎖構成は、開放構成での試料付着後に構成される別の構成であり、閉鎖構成では、ナノ構造フィルターが、未濾過領域と濾過領域との間に配置され、かつ両方のプレートの内表面に接触しており、付着した試料の上記部分が、2つのプレートによって圧縮されて、ナノ構造フィルターを通って未濾過領域から濾過領域に流れ、これにより濾過物が形成され、
ナノ構造フィルターが、試料の上記少なくとも一部から成分を分離するように構成されている、分離するステップと、を含む、方法。
【0762】
BB2.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定され、かつ閉鎖構成において濾過領域上に配置され、かつ第2の均一な高さおよび第2の均一なスペーサー間距離を有する、複数の第2のスペーサーを備え、方法が、
(g)閉鎖構成において濾過物を分析するステップであって、
閉鎖構成において、濾過生成物が、2つのプレートによって実質的に均一な厚さの層へと圧縮され、均一な厚さが、2つのプレートの濾過領域によって制限され、かつ第2のスペーサーによって調節されている、分析するステップをさらに含む、節B1に記載の方法。
【0763】
BB3.
i.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定され、かつ閉鎖構成での未濾過領域上に配置された、複数の第1のスペーサーを備え、
ii.第1のスペーサーが、試料に含まれる溶解される生物学的構造の最大横方向寸法の半分未満である横方向寸法の少なくとも1つを有する上面を有し、
iii.第1のスペーサーが、プレートが開放構成から閉鎖構成に移行する間に生物学的構造を機械的に溶解するように構成されている、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0764】
BB4.プレートの一方または両方が、それぞれの内表面に固定され、かつ閉鎖構成での未濾過領域上に配置され、かつ第1の均一な厚さおよび第1の均一スペーサー間距離を有する、複数の第1のスペーサーを備え、方法が、
(e)閉鎖構成において未濾過領域の上の試料を分析するステップであって、
閉鎖構成において、未濾過領域の上の試料が、2つのプレートによって制限され、かつ第1のスペーサーによって調節されている、実質的に均一な厚さの層へと圧縮される、分析するステップをさらに含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0765】
BB5.適合可能な力がヒトの手によって提供される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0766】
BBB5.適合可能な力が、加圧液体、圧縮ガス、または絶縁保護(conformal)材料によって提供される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0767】
BB6.試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、分画血液、血漿、血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、尿、および任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法またはデバイス。
【0768】
BB7.試料が、川、湖、池、海、氷河、氷山、雨、雪、下水、貯水池、水道水、または飲料水からなる群から選択される供給源由来の環境液体試料、土壌、堆肥、砂、岩石、コンクリート、木材、レンガ、下水、およびそれらの任意の組み合わせ由来の固体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0769】
BB8.試料が、空気、水中廃熱口(underwater heat vent)、産業排気、車両排気、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される供給源由来の環境気体試料である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0770】
BB9.試料が、生の食材、調理食品、植物性および動物性食品源、前加工食品、および部分または完全加工食品、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される食品試料である、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0771】
BB10.試料がヒトの血液であり、付着ステップが、(a)ヒトの皮膚を刺して、血液の液滴を皮膚上に放出させることと、(b)血液移送ツールを使用せずに、血液の液滴を接触させることによって行われることと、を含む、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0772】
BB11.溶解される生物学的構造が、赤血球、白血球、血小板、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。
【0773】
BB12.分離される成分が、細胞、組織、タンパク質、ペプチド、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、先行する実施形態のいずれかに記載の方法。