特表2020-507839(P2020-507839A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 琥鯨科技(上海)有限公司の特許一覧

特表2020-507839物体模様コードの符号化方法及びシステム
<>
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000010
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000011
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000012
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000013
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000014
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000015
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000016
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000017
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000018
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000019
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000020
  • 特表2020507839-物体模様コードの符号化方法及びシステム 図000021
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-507839(P2020-507839A)
(43)【公表日】2020年3月12日
(54)【発明の名称】物体模様コードの符号化方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/06 20060101AFI20200214BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20200214BHJP
【FI】
   G06K19/06 037
   G06T7/00 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-537061(P2019-537061)
(86)(22)【出願日】2017年12月14日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月23日
(86)【国際出願番号】CN2017116212
(87)【国際公開番号】WO2018126866
(87)【国際公開日】20180712
(31)【優先権主張番号】201710003305.1
(32)【優先日】2017年1月4日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519364602
【氏名又は名称】琥鯨科技(上海)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】陸 際文
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043EA06
5B043EA07
5B043EA08
(57)【要約】
本発明は、物体模様コードの符号化方法及びシステムを提供する。人体の指紋画像を参考にして、少なくとも1つの予め設定した指紋テンプレートで、少なくとも1本の指紋線に少なくとも1つの指紋特徴点を設定することで、数字及び/又は字母の符号化を実現する。これにより、特定の情報を含む指紋パターンを形成し、製品への符号化及び標識に用いることができる。前記指紋パターンがある品物の特定の符号化情報を含むと共に、前記品物の上に形成される場合、各人体指紋と同じように、唯一のものであり、このような特徴点を利用して品物の特定の身分情報を表現する指紋パターンは、物体模様コード(Fingerprint of Thing:FOT)とも呼ばれる。物体模様コードは人体の指紋パターンから派生した新しい2次元サイズを有する符号であり、1次元コードより多くの情報を含んでおり、1次元コードでは表現できなく、2次元コードなら複雑過ぎる問題を解決する。本発明の符号化方法及びシステムによると、各製品に独特の身分情報を含む物体模様コードを刻印することができ、人体の指紋のように終生不変で、いつでも調べることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指紋テンプレートライブラリから、複数のマーカ点を有する指紋パターンである指紋テンプレートを選択するテンプレート選択ステップと、
指紋テンプレートにおけるマーカ点に基づいて2次元座標系を構築し、前記2次元座標系の下で指紋テンプレートをエリア区分けし、少なくとも1つの符号化分割エリアを形成する符号化分割エリア形成ステップと、
前記2次元座標系の原点から始まり、前記少なくとも1つの符号化分割エリアにおいて、間隔を空けて一定数の半直線を形成し、半直線と前記指紋テンプレートにおける指紋線との交点部に、複数の符号化ブロックエリアを形成する符号化ブロックエリア形成ステップと、
符号化対象の情報に応じて、符号化する必要がある符号化ブロックエリアを選択し、選択した符号化ブロックエリアそれぞれに対して、指紋特徴点画素パターンを用いて取り替えることによって、符号化情報を含む指紋特徴点を有する指紋パターンを形成する符号形成ステップと、を含むことを特徴とする物体模様コードの符号化方法。
【請求項2】
指紋特徴点を所定の文字、例えば、字母及び/又は数字に対応させて、指紋特徴点符号化情報定義データベースを形成するための特徴点定義ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項3】
前記マーカ点は、前記指紋テンプレートにおいて固定位置に設定された1つの中心点と2つの三角点であるか、又は前記指紋テンプレートの周辺指紋線上の固定位置に設定された3つの特定の指紋特徴点であることを特徴とする請求項2に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項4】
前記中心点は、螺旋状の指紋線の始点、端点、又は孤立点等であることを特徴とする請求項3に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項5】
前記中心点は、2つの三角点と二等辺三角形又は正三角形等を構成することを特徴とする請求項4に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項6】
2次元座標系を構築するステップは、中心点を原点とし、2つの三角点の中心を取って結線し、この連結線の中点を取り、前記原点と前記中点を接続して、Y軸を構成し、前記2つの三角点の連結線を中心点側に平行移動して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成するステップを含むことを特徴とする請求項5に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項7】
三角点のないテンプレートについて、2次元座標系を構築するステップは、さらに、中心点を原点として、3つの周辺マーカ点が上、左、下の配列になるように、画像を回転し、前記原点と前記上のマーカ点を接続して、Y軸を構成し、前記原点と前記左のマーカ点を接続して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項8】
前記符号化分割エリアは、2次元座標系の下で、角度及び/又は座標原点との距離の差異に応じて、指紋パターンを区分けして形成された異なる領域であることを特徴とする請求項1に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項9】
前記符号化ブロックエリアは、前記交点部の回りに形成された取替可能な画素領域であることを特徴とする請求項1に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項10】
前記符号化ブロックエリアの形状は、矩形、正方形、又は規則的な扇形等であることを特徴とする請求項9に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項11】
前記符号化ブロックエリア内には、少なくとも1本の指紋線が含まれていることを特徴とする請求項10に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項12】
前記符号化ブロックエリア内には、2本又は3本の指紋線が含まれていることを特徴とする請求項11に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項13】
前記符号化ブロックエリアの大きさは、前記指紋特徴点画素パターンの大きさと同じであることを特徴とする請求項1に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項14】
前記指紋特徴点画素パターンは、中心点、三角点、分岐点、環点、橋点、交差点、途切れ点、又は孤立点等の指紋特徴点を含む画素パターンであることを特徴とする請求項13に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項15】
異なる種類の前記指紋特徴点は、特定の字母又は数字を表すことができることを特徴とする請求項14に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項16】
前記指紋パターンに形成された特徴点が表す字母又は数字及びその座標位置又は角度に基づいて、特定の情報を表す符号が形成されることを特徴とする請求項15に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項17】
異なる前記符号化分割エリアは、符号化情報文字列を記憶するための共通分割エリアと、符号化情報の暗号キーを記憶するための暗号化分割エリアとを形成することができることを特徴とする請求項16に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項18】
前記符号化暗号キーは、符号化情報文字列の格納及び/又は読み取りの前後順位を記述するための1組の文字であることを特徴とする請求項17に記載の物体模様コードの符号化方法。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の符号化方法を実行するための物体模様コードの符号化システム。
【請求項20】
請求項19に記載の符号化システムによって形成された符号化パターンからなる物体模様コードタグ。
【請求項21】
コンピュータシステムにロードされ、実行時に請求項1乃至請求項18のいずれか一項に記載の符号化方法によるステップを実行するコンピュータプログラムコードが含まれたコンピュータプログラム。
【請求項22】
請求項21に記載のコンピュータプログラムを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、符号化技術分野に関し、特に、指紋特徴点により符号化する物体模様コードの符号化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品経済の急激な発展に伴い、社会は大量の製品を生産しており、これらの製品は、分類、識別、遡及、真偽の認識が必要である。1949年に1次元バーコードが米国で世に現れ、1991年ではPDF417コードを代表とする2次元バーコードが米国Symbol社から提出された。現在では、1次元バーコード及び2次元バーコードは様々な分野で多く適用されている。1次元バーコードの情報量は限られており、2次元バーコードの情報量は大量である。これについての問題は、バーコード画像は、それがマーキングしている品物と大きく異なり、1つの棒状又は四角形のパターンブロックを呈するのが一般的である、ということである。1次元バーコード及び2次元バーコードは、それ自身の特徴に応じて、対応する業界で広く適用され、既に生活の一部、特にモバイルインターネット時代においては、さらに不可欠となっている。
【0003】
しかし、1次元バーコードは、表示可能な情報量が限られており、通常は、それ自体が唯一の標識となって、使用時に外部データベースのサポートに頼る必要がある。2次元バーコードは、1次元バーコードよりも高度なバーコードフォーマットであり、横方向と縦方向の両方で同時に情報を表示することができ、比較的小さな面積で大量の情報を表示可能である。また、2次元バーコードは干渉に強く、幅広く適用される。しかし、適用の過程で、2次元コードを利用した詐欺の例がしばしば見られる、という問題も発生しており、2次元バーコードに対する評判は愛憎半ばする。
【0004】
また、人体指紋は指の皮膚に特有の模様であり、皮膚における隆線から構成されることが周知されている。これらの隆線の始点、終点、分岐、結合等を特徴点と呼ぶ。隆線のこれらの特徴点は数え切れないほどの配列を有しているため、個々の指紋、ひいては1つの指紋の各隆線はいずれも特別なものである。指紋の生体特性は、全体的な特徴と局所的な特徴に分けることができる。
【0005】
(人体指紋の全体的な特徴)
指の末端の正面の皮膚で凹凸による隆線であって、これらのほぼ平行な曲線は、異なる指紋タイプを形成し、指紋の全体的な特徴と呼ばれる。人体指紋は、その形状によって弓状紋、蹄状紋、渦状紋の3種類に大別される。しかし、人体指紋のタイプの分類はこれらの態様に限定されない。
【0006】
(1)弓状紋(Arch)
弓状紋は、一方から隆線が流れ込み、中央が隆起し、次にもう一方から流れ出す指紋のタイプである。弓状紋は中心点がなく、中心模様は上下の包囲線と明確な境界がないため、真の三角形模様はない。前記中心点とは、指紋パターンにおける特徴点を指し、その幾何的特徴として隆線の中心であるC点周りの角度の変化値がちょうどπであり、2中心点であれば2πである。
【0007】
(2)蹄状紋(Loop)
蹄状紋は、1本又は複数本の隆線が、片方から流れ込み、中央で曲がって折り返されることで、同じ方に流れ出す指紋のタイプである。1本以上の完全な蹄状線から中心模様(中心点)を構成する。蹄状線の反対側には三角形模様の上下の隆線(三角点)で中心模様が囲まれている。
【0008】
(3)渦状紋(Whorl)
渦状紋は、指紋の中心模様が環状又は渦巻状等の曲線状を呈し、内から外へ拡張して、上下の包囲線と合流して2以上の三角点を形成する指紋のタイプである。
【0009】
(人体指紋の局所的な特徴)
マニューシャ(minutia)又は特徴点とも呼ばれる。実際に、指紋の隆線は連続的なものではなく、円滑でストレートなものでもなく、途切れたり、分岐したり回転したりすることがよくある。これらの途切れ点、分岐点及び回転点が特徴点である。2枚の指紋は常に同じ全体的な特徴を持つが、それらの局所的な特徴、即ち特徴点は、まったく同じであることがあり得ず、これらの特徴点により指紋の一意的な確認情報が提供される。
【0010】
これらの局所的な特徴点は、分類や、位置、方向、曲率等の特性により記述することができる。
【0011】
分類特性に関して、これらの局所的な特徴点の分類は、最も代表的なものが端点と分岐点である。
【0012】
図1に示すのは、従来技術における特徴点の分類に関する模式図である。これにおいて、
1、端点とは1本の隆線の始点又は終点を意味し、
2、分岐点とは1本の隆線が2本の隆線に分岐される分岐点を意味し、
3、環点とは1本の隆線が分岐された後に直ちに合流して形成される環状点を意味し、
4、橋点とは隣接する2つの隆線を接続する交点を意味し、
5、島とは2つの分岐の中央部分を占めている1本の島型の短隆線を意味し、
6、交差点とは2本の隆線が十字状に交差して接続する交点を意味し、
7、孤立点とは孤立した点状の隆線を意味し、
8、途切れ点とは指紋の線が破断して形成された1対の端点を意味する。
【0013】
図2に示すように、従来技術における指紋の中心点と三角点の模式図である。ここで、隆線上に中心点と三角点を定義して、「特異点」と総称することができる。
【0014】
中心点(Core point):指紋の隆線の漸近する中心に位置し、指紋を読み取る時の基準点とすることができる。
【0015】
三角点(Delta point):中心点から始まる最初の分岐点又は途切れ点、或いは2本の隆線が合流する場所、孤立点、折返し箇所に位置するか、又はこれらの特異点を指している。
【0016】
位置特性に関して、これらの局所的な特徴点の位置は、2次元座標系によって記述され、絶対的であってもよく、相対的であってもよく、図2に示すように、三角点又は中心点に対して相対的なものであってもよい。
【0017】
方向特性に関して、これらの局所的な特徴点の方向とは、局所的な特徴点が存在する局所的な隆線の方向を意味する。
【0018】
曲率特性に関して、隆線の方向変化の速度、即ち次の点と前の点との方向変化による夾角又は傾きが大きくなったり小さくなったりする速さである。
【0019】
人体指紋は、個人の唯一の生体特徴のサンプルとして、通常は人体の識別と区別に用いられる。従来技術では、指紋画像情報を符号化する方式は様々であるが、これらのパターンはいずれも画像情報の識別、及び既存の指紋画像情報と照合するために符号化される。
【0020】
例えば、特許文献CN104376307A(公開日:2015年2月25日)には、指紋画像情報の符号化方法が開示されている。この方法は、入力した指紋画像の前処理後の指紋骨組図、及び抽出された指紋のタイプ、指紋の中心点、三角点、分岐点及び端点を、符号化処理することによって、指紋画像に対応する一定の長さを有する安定した符号、即ち一定の長さを有するビット列を取得し、前記符号化処理として、主に次のようなステップを含む。即ち、(S1)レジストレーションステップ:5種類の指紋タイプに対し、次の規則に従って画像のレジストレーションを行う。具体的には、渦状の指紋に対して、2つの中心点を有し、上の中心点を画像中心原点Oとして、2つの中心点の連結線が画像の垂直線となるように回転する。また、左蹄状、右蹄状及びテント状の指紋に対して、いずれも1つの中心点と1つの三角点を有し、中心点を画像中心原点Oとして、中心点と三角点の連結線が画像の垂直線となると共に、中心点が三角点の上方に位置するように回転する。さらに、アーチ状の指紋に対して、アーチの垂直線が画像の垂直線になるように回転し、垂直線における水平隆線とその上の1本目の隆線との間の部分の中間点を画像の中心原点Oとして選択する。(S2)エリア区分けステップ:レジストレーションした後の指紋骨組図をエリア区分けする。画像中心Oを原点として、3画素のピッチで画像を、原点を中心に内から外への一連の正方形のサイドバンドに区分けし、原点に最も近い正方形のサイドバンドを画像の第1エリアとし、外に向かって順に、画像の第2エリア、画像の第3エリアとし、画像のエッジまで順次類推する。(S3)特徴点番号付けステップ:特徴点を自然数順に番号付け、次の原則に従うようにする。即ち、中心原点Oを1番とし、低エリアの特徴点の番号が高エリアの特徴点の番号よりも小さくし、同一正方形の分割エリアでは、水平軸の原点の右側である正のx軸を初期軸として、反時計方向で順に現れる特徴点を順に番号付け、最終にn個の特徴点を画像上の相対的位置に従って順にP1、P2、…、Pnと番号付ける。(S4)特徴点符号化ステップ:必要特徴の符号化の長さ要求に応じて、前から後へ一定数、例えばn個の特徴点を選択し、点Px(第1回の符号化に対して、Px=P3)に基づいて、次のような規則に従ってPxの後の各特徴点を符号化する。その規則として、各特徴点を8桁のコードに符号化し、左から右への前の2桁は、00が中心点、01が三角点、10が分岐点、11が端点、というように、特徴点のタイプ符号であり、後の6桁は、特徴点とP3との間の連結線が通る指紋の隆線数である。(S5)新たな符号化を行うか否かを判断するステップであり、必要があれば、ステップS6に進み、必要がない場合、ステップS7に進む。(S6)基準点Pxを1つ後に移動させた後(即ち、第1回はP3に基づき、第2回はP4に基づき、順次類推する)、ステップ(S4)に進む。なお、最大n−3回の符号化が可能であることが容易に分かる。(S7)符号化合成ステップ:毎回の各特徴点の符号を順に接続すると、指紋画像に対応する最終符号を形成することができる。
【0021】
特許文献CN104376307Aは、取得した指紋画像からその中の特徴点を抽出して指紋特徴を含む情報を形成する符号化方法に関する。人体指紋の生体特徴情報を符号化して、暗号化スキームで使用可能な暗号キーをさらに生成し、情報システムのセキュリティと使いやすさを向上させる。その本質は、人体の自然な指紋を読み取り対象とし、その後に再度符号化することである。この過程において、指紋特点における中心点(00)、三角点(01)、分岐点(10)、及び端点(11)の4つの特徴点だけを取り、上記4種類の特徴点のそれぞれについて、その特徴タイプの符号(2桁の数字)と、特徴点とP3との間の連結線が通る指紋の隆線数(6桁の数字)とからなり、10000021のような1組の数字列である。つまり、特定の指紋を長い特定の数字列に変換する。指紋画像では前記の含んでいる4つの特徴点だけでなく、より多くの特徴点が存在するため、数字列に従って指紋画像に復号することができない。
【0022】
従来技術には、情報量に対する要求が1次元バーコードより大きく2次元バーコードより小さく、パターンがより簡潔・明快で、また自然な信頼感を与えることができ、物とコードのワン・ツー・ワンを実現できる符号化方式が欠けている。人体指紋の利用過程において、即ち指紋画像の符号の収取と指紋特徴点に対する符号化は、単に2つの指紋パターンがマッチングするか否かを照合するためのものであり、人体指紋の特徴点を専門に利用して、能動的に特定の情報を含む指紋パターンを構築するための明確的な符号化規則はまだ存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、これらのニーズを満たすためになされたものであって、人間の指紋のこれらの特徴点を利用し、指紋特徴を利用して符号化し物体模様コードを形成する符号化方法を提供することによって、既存の2次元バーコードと区別する新しい2次元符号化形態、即ち製品の身分情報を示すことが可能な物体模様コード(Fingerprint of Thing:FOT)を形成し、製品に対する符号化と標識を実現する。前記物体模様コードの符号化方法によって形成される指紋パターンは、ある品物の唯一の特定の情報を含む。前記品物の上に形成される場合、各人体指紋と同じように、いずれも唯一のものである。このような品物の特定の身分情報を表現するための指紋パターンは、物体模様コードとも呼ばれる。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の問題を解決するために、本発明の一態様によれば、物体模様コードの符号化方法を提供する。前記物体模様コード(Fingerprint of Thing:FOT)とは、人体の指紋画像を参考にして、少なくとも1つの予め設定した指紋テンプレートで、少なくとも1本の指紋線に少なくとも1つの指紋特徴点を設定することで、数字及び/又は字母の符号化を実現する。これにより、特定の情報を含む指紋パターンを形成し、製品への符号化及び標識に用いることができ、前記指紋パターンがある品物の唯一の特定の情報を含むと共に、それが前記品物の上に形成される場合、各人体指紋と同じように、唯一のものであり、このような特徴点を利用して品物の特定の身分情報を表現する指紋パターンは、物体模様コード(Fingerprint of Thing:FOT)とも呼ばれる。
【0025】
前記方法は、指紋特徴点を所定の文字、例えば、字母及び/又は数字に対応させて、指紋特徴点符号化情報定義データベースを形成するための特徴点定義ステップと、
指紋テンプレートライブラリから、複数のマーカ点を有する指紋パターンである指紋テンプレートを選択するテンプレート選択ステップと、
指紋テンプレートにおけるマーカ点に基づいて2次元座標系を構築し、前記2次元座標系の下で指紋テンプレートをエリア区分けし、少なくとも1つの符号化分割エリアを形成する符号化分割エリア形成ステップと、
前記2次元座標系の原点から始まり、前記少なくとも1つの符号化分割エリアにおいて、間隔を空けて一定数の半直線を形成し、半直線と前記指紋テンプレートにおける指紋線との交点部に、複数の符号化ブロックエリアを形成する符号化ブロックエリア形成ステップと、
符号化対象の情報に応じて、符号化する必要がある符号化ブロックエリアを選択し、選択した符号化ブロックエリアそれぞれに対して、指紋特徴点画素パターンを用いて取り替えることによって、符号化情報を含む指紋特徴点を有する指紋パターンを形成する符号形成ステップと、を含む。
【0026】
前記指紋テンプレートライブラリには、少なくとも1つの指紋テンプレートが含まれている。
【0027】
前記マーカ点は、前記指紋テンプレートにおいて固定位置に設定された1つの中心点と2つの三角点であるか、又は前記指紋テンプレートの周辺指紋線上の固定位置に設定された3つの特定の指紋特徴点である。
【0028】
前記中心点は、螺旋状の指紋線の始点、端点、又は孤立点である。
【0029】
前記中心点は、2つの三角点と二等辺三角形又は正三角形等を構成する。
【0030】
2次元座標系を構築するステップは、中心点を原点とし、2つの三角点の中心を取って結線し、この連結線の中点を取り、前記原点と前記中点を接続して、Y軸を構成し、前記2つの三角点の連結線を中心点側に平行移動して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成するステップを含む。
【0031】
三角点のないテンプレートについて、2次元座標系を構築するステップは、さらに、中心点を原点として、3つの周辺マーカ点が上、左、下の配列になるように、画像を回転し、前記原点と前記上のマーカ点を接続して、Y軸を構成し、前記原点と前記左のマーカ点を接続して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成するステップを含む。
【0032】
前記符号化分割エリアは、2次元座標系の下で、角度及び/又は座標原点との距離の差異に応じて、指紋パターンを区分けして形成された異なる領域である。
【0033】
前記符号化ブロックエリアは、前記交点部の回りに形成された取替可能な画素領域である。
【0034】
前記符号化ブロックエリアの形状は、矩形、正方形、又は規則的な扇形である。
【0035】
前記符号化ブロックエリア内には、少なくとも1本の指紋線が含まれている。
【0036】
前記符号化ブロックエリア内には、2本又は3本の指紋線が含まれている。
【0037】
前記符号化ブロックエリアの大きさは、前記指紋特徴点画素パターンの大きさと同じである。
【0038】
前記指紋特徴点画素パターンは、中心点、三角点、分岐点、環点、橋点、交差点、途切れ点、又は孤立点等の指紋特徴点を含む画素パターンである。
【0039】
異なる種類の前記指紋特徴点は、特定の字母又は数字を表すことができる。
【0040】
前記指紋パターンに形成された特徴点が表す字母又は数字及びその座標位置又は角度に基づいて、特定の情報を表す符号が形成される。
【0041】
異なる前記符号化分割エリアは、符号化情報文字列を記憶するための共通分割エリアと、符号化情報の暗号キーを記憶するための暗号化分割エリアとを形成することができる。
【0042】
前記符号化暗号キーは、符号化情報文字列の格納及び/又は読み取りの前後順位を記述するための1組の文字である。
【0043】
本発明の他の態様によれば、上記の符号化方法を実行するための物体模様コードの符号化システムを提供する。
【0044】
本発明のさらに他の態様によれば、上記符号化システムによって形成された符号化パターンからなる物体模様コードタグを提供する。
【0045】
また、本発明の別の態様によれば、コンピュータシステムにロードされ、実行時に上記方法によるステップを実行するコンピュータプログラムコードが含まれたコンピュータプログラムを提供する。
【0046】
さらに、本発明の別の態様によれば、上記のコンピュータプログラムを含むコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0047】
上記の技術案に基づき、本発明の物体模様コードの符号化方法は次のような利点と効果を有する。
【0048】
(1)情報量が多い
各物体模様コードについて、指の指紋の大きさの面積を有し、72個の符号化ブロックエリア(又は符号化情報桁と称する)を有することができ、1次元バーコードの符号桁数よりもはるかに大きく、同時にフラットサイズが小さく、1次元コードのように長過ぎる長さを必要しないため、スキャンデバイスのサイズ要件も低くなる。仮に、1本の半直線上に、1個の暗号キーコード、1個のチェックコード、及び2個の有効符号を含む4個の符号化ブロックエリアを有すると、物体模様コード全体が20°間隔で18本の半直線を設定した場合には36桁の有効符号化ブロックエリアがあり、少なくとも36個の文字を表すことができる。
【0049】
(2)互換性が高い
物体模様コードの各符号化ブロックエリアについて、少なくとも7以上の符号化可能な選択があり、それは1次元バーコードと互換することができるだけでなく、メーカーにカテゴリー情報を提供すると、各製品にシリアル番号を作成し、各製品の符号が一意になるようにして、物とコードのワン・ツー・ワンを実現することもできる。
【0050】
(3)識別性が高い
指紋の隆線が簡潔であるため、特徴情報の識別性が高い。物体模様コードは、製品の表面に直接印刷するか又は彫ることができる。例えば、スプレー装置、転写装置又はレーザー印刷装置等によって物体模様コードを製品表面に直接印刷するか又は彫ると、製品の一部となり、複製や破壊がしにくい。
【0051】
(4)機密性が高い
異なる符号化分割エリアは暗号化分割エリアと共通分割エリアに形成することができる。暗号化分割エリアでは、符号の格納、読み取りの前後順位を、字母又は数字でもよい1組の文字に対応させ、符号化暗号キーと呼ばれる。このように、共通分割エリアから読み取った同一組の数字/字母の文字列であっても、符号化暗号キーが異なることによって、異なる意味を表す指紋パターンを形成し、暗号キーを把握していないと正しく物体模様コードを解析できない。
【0052】
(5)フォルト・トレランスが強い
本発明の符号化方法は、同一本の半直線上の幾つかの符号化ブロックエリアに1つのチェックコードを設定し、チェックコードにより同一本の半直線上に欠落しているある符号化ブロックエリアのデータ値を推定することができる。そうすると、局所的な符号化パターンが不明瞭であることによる識別不能性を効果的に解決することができる。
【0053】
本発明の上記の利点により、携帯電話又は走査端末で商品上の物体模様コードを走査し、識別ソフトウエアやクラウドプラットフォームによって、商品の名称、製造業者、製品シリアル番号、生産日、照会した回数、及び照会場所等の商品の重要な情報を迅速に照会することができる。ある製品の物体模様コードが単純にそっくり複製された場合、複製された全ての製品における物体模様コードは同一の物体模様コードであり、2以上の同一商品を照会するだけで、その同じ製品シリアル番号、又はこの商品の照会された回数及び照会場所に基づいて、当該製品が複製品であるか否かを知ることができる。符号化暗号キーが正しくないか、又は入力されていない場合、この製品の物体模様コードを照会すると、正しくない商品情報が表示されるか、又は識別できない。これにより、当該製品の真偽を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】従来技術における指紋の特徴点分類の模式図である。
図2】従来技術における指紋の中心点と三角点の模式図である。
図3】人体指紋における中心点と三角点を有する指紋画像である。
図4】本発明の指紋特徴点符号化情報定義表である。
図5】本発明の中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートの模式図である。
図6】本発明の補助位置決め同心円指紋テンプレートの模式図である。
図7】本発明の補助位置決め螺旋線指紋テンプレートの模式図である。
図8】本発明の符号化分割エリアの形成の模式図である。
図9】本発明の符号化ブロックエリアの形成の模式図である。
図10】本発明の具体的な符号化方法の模式図である。
図11】本発明の具体的な符号化方法の模式図である。
図12】本発明の物体模様コードの指紋テンプレートの識別フローの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
【0056】
本発明による物体模様コードの符号化方法は、指紋特徴点を所定の文字、例えば、字母及び/又は数字に対応させて、指紋特徴点符号化情報定義データベースを形成するための特徴点定義ステップと、
指紋テンプレートライブラリから、指紋特徴点はないがマーカ点の指紋パターを有する指紋テンプレートを選択するテンプレート選択ステップと、
指紋テンプレートにおけるマーカ点に基づいて2次元座標系を構築し、前記2次元座標系の下で指紋テンプレートをエリア区分けし、少なくとも1つの符号化分割エリアを形成する符号化分割エリア形成ステップと、
前記2次元座標系の原点から始まり、前記少なくとも1つの符号化分割エリアにおいて、間隔を空けて一定数の半直線を形成し、半直線と前記指紋テンプレートにおける指紋線との交点部に、複数の符号化ブロックエリアを形成する符号化ブロックエリア形成ステップと、
符号化対象の情報に応じて、符号化する必要がある符号化ブロックエリアを選択し、選択した符号化ブロックエリアそれぞれに対して、指紋特徴点画素パターンを用いて取り替えることによって、符号化情報を含む指紋特徴点を有する指紋パターンを形成する符号形成ステップと、を含む。
【0057】
図4に示すのは、本発明の指紋特徴点符号化情報定義表である。本発明は、少なくとも1本の隆線、通常は2本の隆線、3本でもよい隆線上に設定された異なる符号化情報を代表する、分岐点、環点、橋点、島、交差点、孤立点、途切れ点等を含む特徴点の異なる配列の組合せ等によって、文字、例えば、数字及び/又は字母からなる物体模様コードの符号を形成する。異なる特徴点は、必要に応じてある特定の文字(例えば数字又は字母)又はある文字列に付与又は対応させてもよく、文字は、必要に応じて選択及び定義することができ、対応関係も必要に応じて設定することができ、図4に示す状況に限られない。しかし、物体模様コードの符号が一般的に用いられる規則になると、統一の符号化基準が形成されるべきである。図4に示すような対応関係表は、通常データベースとして保存及び呼び出すことができる。これらの特徴点パターンデータは、迅速で効率的な取り替え操作を容易に行うために、図9に示す符号化ブロックエリアの大きさに対応する画素パターンのフォーマットでデータベースに保存される。
【0058】
指紋テンプレートライブラリの場合、それぞれ特定の指紋パターンからなる指紋テンプレートを記憶するためのものであり、これらの指紋テンプレートは、人体指紋に由来する通常タイプのパターンであってもよく、必要に応じて手動的に形成された指紋のような形のパターンであってもよい。その特点として、通常の指紋画像に加えて、加工により形成された指紋テンプレートは、位置決め用の特徴点以外に、指紋パターンの少なくとも一部の領域、つまり後で符号化に用いられる領域を有しており、そのうちの指紋の隆線は、いずれも円滑で、取り替え可能なものである。例えば、画素パターンの取り替えによって、指紋テンプレートに特徴点の特性を加えることができる。以下に、3種類の指紋テンプレートを例として、本発明の方法ステップをさらに詳しく説明する。
【0059】
図5図7に示すように、前記3種類の指紋テンプレートは、中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートと、補助位置決め同心円テンプレートと、補助位置決め螺旋線テンプレートとを含む。ここでは同心円と呼ぶが、より正確には同心楕円と呼ぶことができ、指紋の特点により近くなる。
【0060】
図5に示すように、前記中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートとは、当該指紋テンプレートの指紋パターンの隆線が指紋のような構造態様を呈し、且つ、1つの中心点と2つの三角点、即ち左側三角点と右側三角点とを含むことを意味する。前記中心点は指紋パターンの中心点であり、この3つの点で二等辺三角形、好ましくは正三角形を構成することができ、この3つの点によって指紋テンプレートを位置決め可能な2次元座標系を構築することができる。この3つの点で2次元座標系を構築することができるにもかかわらず、指紋テンプレートの周辺指紋に補助位置決めエリアを設定することができ、その中に、座標系の構築を補助するための補助位置決めマーカ点を設定することができ、これらのマーカ点は特定の指紋特徴点であってもよい。また、三角点の設定方式は人体指紋本物の態様を参照することができ、図3に示すような人体指紋には中心点と三角点の指紋画像がある。
【0061】
前記中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートは明らかな中心点と2つの三角点を有し、この3つの点の位置で2次元座標系を確立でき、補助位置決め線によって位置決めする必要がない。補助位置決め線は位置決めのチェックの役割を果たすことができ、このような二重の位置決め方法によって座標の確立及び位置決めがより正確になる。いわゆる補助位置決め線は、実際に1つの特定の指紋特徴点ブロックエリアであってもよい。このような指紋テンプレートの右上の分割エリア内には指紋特徴点がなく、符号化分割エリアを形成して符号化するためのものであり、他の領域は指紋の様子又は任意の人体指紋の画像であってもよい。
【0062】
図6に示すように、前記補助位置決め同心円テンプレートとは、当該指紋テンプレートの指紋パターンの隆線が指紋のような構造の同心楕円態様を呈することを意味する。補助位置決め同心円テンプレートは、中心点を有するが三角点を有さず、少なくとも2つの余計なマーカ点を有する。通常は2つであり、前記中心点は同心円の円心である。前記マーカ点は、指紋テンプレートの周辺指紋上に設定された補助位置決めエリアに設定した座標系の構築を補助するための補助位置決めマーカ点である。これらのマーカ点は、特定の指紋特徴点であってもよく、中心点とこの少なくとも2つのマーカ点は指紋テンプレートを位置決め可能な2次元座標系を構築することができる。例えば、指紋パターンの最も外側の上、下、及び左側(即ち、上点、下点、及び左側点)に、それぞれ1つの橋点や環点のような指紋特徴点を有して、座標マーカを構成する。
【0063】
図7に示すように、前記補助位置決め螺旋線テンプレートは前記補助位置決め同心円テンプレートに非常に近く、その指紋パターンが螺旋線からなる楕円態様であることを除けば、この場合、指紋の隆線は中心点から環状又は渦巻状等の曲線状に内から外へ螺旋線に広がり、その他の特性は一致しているので、ここではさらに説明しない。この2種類のテンプレートは必ず補助位置決めエリアに依存して初めて座標系を確立することができる。
【0064】
図5に示すように、中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートの場合、前記中心点が2つの三角点と二等辺三角形又は正三角形を構成し、2次元座標系を構築するステップは、中心点を原点とし、2つの三角点の中心を取って結線し、この連結線の中点を取り、前記原点と前記中点と接続して、Y軸を構成し、前記2つの三角点の連結線を中心点側に平行移動して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成するステップを含む。
【0065】
図6に示すように、補助位置決め同心円テンプレートの場合、前記中心点が別の3つのマーカ点と2次元座標系を構築するステップは、中心点が上点及び下点とX軸を構成し、中心点が左側点とY軸を構成し、X軸とY軸で2次元座標系を構成するステップを含む。図7に示すように、補助位置決め螺旋線テンプレートで2次元座標系を構築する場合、図6に示すような補助位置決め同心円テンプレートと同様に構築する。
【0066】
図8に示すように、本発明による符号化分割エリアの形成の模式図である。図5に示すような中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートに対して、上記のような2次元座標系の構築が完了した後、座標原点(中心点)の回りで、2つの三角点とY軸がそれぞれ120°と−120°となる。座標原点を出発点として、20°ごとに1本の半直線、合計18本の半直線を設定する。2本ずつ隣接する隆線を1組のコードとし、1本の半直線には4個の符号があり、72個の符号を形成することができる。
【0067】
さらに、符号化分割エリアは、位置座標で確認した上、角度及び/又は原点との距離の差異に応じて、固定又は可変の大きさで区切られ、符号化情報は符号化分割エリア内に現れる。よって、符号化情報の高速な識別と描画を保証し、大幅に範囲を縮小でき、識別や描画を高速化することができる。符号化方式は図8に示すような方式に限定されない。
【0068】
符号化分割エリアについて座標位置決めすることによって、符号化情報を暗号化することができる。具体的な方法は、異なる符号化分割エリアを暗号化分割エリアと共通分割エリアに設定することである。符号の格納、読み取りの前後順位を1組の数字に対応させて符号化暗号キーと呼び、暗号化分割エリアに格納してもよい。このように、同じ1組の符号化情報は符号化暗号キーの違いによって異なる指紋パターンを形成し、この暗号キーを把握しない限り、符号を正しく解析することができない。合法的にライセンスされているメーカーのみがこの符号化暗号キーを入手でき、指紋符号の模造を防止できる。
【0069】
例えば、1つの文字列について、例えばあるタバコのバーコードは6901028075770であり、690は中国を代表し、もし共通分割エリアから読み出した情報が9010280757706である場合、この数字列が先のものと全く同じであり、最初の桁の数字6が最後の桁に転移しただけであるにもかかわらず、当該数字列に対応するバーコードが代表する製品はもはやあるブランドのタバコではない。
【0070】
暗号化分割エリアに格納される暗号キーは、ただ1組の文字列、例えば数字列100のような数字列であってもよい。これは取り決めた順序で格納及び読み取りされ、代表する符号化規則は、情報桁の文字列の最後桁を第1桁に移転することである。仮に、指紋符号の暗号化分割エリアから読み出した暗号キーの数字列が100であり、共通分割エリアから読み出した数字列が9010280757706であると、この指紋符号が実際に代表するのは9010280757706ではなく、6901028075770である。
【0071】
同様に、暗号キー101に代表される符号化規則は最後の2桁の数字を前頭の2桁に平行移動させることである。仮に、共通分割エリアから読み出した数字列が依然として9010280757706であると、実際に代表する符号化情報の列は0690102807577である。
【0072】
符号化暗号キーは、指紋符号の使用者と指紋符号化装置の提供者が事前に取り決める。
【0073】
図9に示すように、本発明の符号化ブロックエリアの形成の模式図である。選択した符号化分割エリアにおいて、前記2次元座標系の原点から、一定の角度の間隔で一定数の半直線を形成し、半直線と前記指紋テンプレートにおける指紋線との交点部に、複数の符号化ブロックエリアを形成し、これらのブロックエリアは、前記交点部の回りに形成された取り替え可能な画素領域であってもよい。また、前記符号化ブロックエリアの大きさは前記指紋特徴点画素パターンの大きさと同じであってもよい。また、前記符号化ブロックエリアの形状は、矩形、正方形、又は規則的な扇形であってもよい。また、前記符号化ブロックエリア内には、少なくとも1本の指紋線が含まれてもよい。さらに、前記符号化ブロックエリア内には2本又は3本の指紋線が含まれてもよい。ある半直線上の4個の符号化ブロックエリアは、第1エリアから第4エリアの符号に対応する数字が1234であると、図9の右方に示すような指紋特徴パターンを、対応する符号化ブロックエリアの元の指紋パターンの代わり採用することで、1234で表すことができる新たな指紋パターンを形成する。
【0074】
図10及び図11に示すように、指紋符号である
を例に、指紋特徴点がどのようにして指紋符号を構成するか、及び符号に対する方向性の影響を説明する。この2つの指紋符号はいずれも1つの途切れ点と1つの分岐点から構成される。その相違点は、指紋符号(2)では、分岐点の1本の隆線が左上から右下へ変化して交差するのに対し、指紋符号(3)では、分岐点の1本の隆線が右上から左下へ変化して交差することである。各製品の物体模様コードはいずれも1つの中心点と2つの三角点を有し、中心点を中心として、2つの三角点はY軸とそれぞれ+120°及び−120°となることで、A(A1、A2)、B(B1、B2)、C(C1及びC2)の3つの(6個のサブ領域)均等に分布する領域を形成する。また、中心点を原点として、20度ごとに1本の半直線、合計18本の半直線を設定し、2本ずつの隆線を1組のコードとし、1本の半直線には4組の符号があり、合計72個の符号があることから、1つの製品に対する物体模様コードの符号化を実現する。符号化分割エリアの数、半直線の数、各半直線における符号数は、いずれも必要に応じて設定することができる。ここでは単に例示的に説明しただけであり、本発明を制限するためのものではない。実際に、半直線の数、角度等は、いずれも具体的なニーズに応じて設定することができる。
【0075】
1本の半直線における4組の符号は、上記した少なくとも1つの特徴点からなり、具体的に次のように構成される。
【0076】
図9に示すように、中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートでは、X軸と夾角+10°になる半直線において、原点からの距離が8で、大きさが6×5である符号化分割エリアは1番目の符号化分割エリアであり、第1エリアとし、原点からの距離が12で、大きさが6×5である符号化分割エリアは2番目の符号化分割エリアであり、第2エリアとし、原点からの距離が16で、大きさが6×5である符号化分割エリアは3番目の符号化分割エリアであり、第3エリアとし、原点からの距離が20で、大きさが6×5である符号化分割エリアは4番目の符号化分割エリアであり、第4エリアとする。
【0077】
異なる指紋テンプレートについて、物体模様コードを復号する際に、まず指紋テンプレートの識別ステップを行い、対応する座標系を確立するために、復号しようとする指紋パターンがどのテンプレートに属するかを確認しておくとよい。
【0078】
本発明の物体模様コードの符号化及び識別のフローは、次のステップを含む。
【0079】
(一)符号化ステップ
1組の58という数字列に対して物体模様コードを利用して符号化し、中心点と三角点の位置決め指紋テンプレートを採用し、テンプレートの選択後に2次元座標系を構築する。実際、本発明では必ずしも2次元座標系を構築する必要はなく、指紋テンプレートを位置決めすることができればよい。
【0080】
このような方法によると、
X軸と夾角+10°になる半直線において、原点からの距離が8で、大きさが6×5である符号化ブロックエリアは1番目の符号化ブロックエリアであり、A領域とする。この領域には数字5である符号が格納される。
【0081】
X軸と夾角+30°になる半直線において、原点からの距離が16で、大きさが6×5である符号化ブロックエリアは2番目の符号化ブロックエリアであり、B領域とする。この領域には数字8である符号が格納される。
【0082】
すると、第1ステップでは、中心点と2つの三角点が設定された三角位置決め指紋テンプレートを取り出し、画素パターンによって原点と2つの三角点を比較して確定し、X軸とY軸を確定して、2次元座標系を構築する。さらに、作成した上記案に基づいて、半直線を設定し、符号化ブロックエリアを形成する。
【0083】
第2ステップでは、図4に示す符号対応関係に従って、数字5の指紋特徴点パターンは
であり、上方の1本の指紋特徴点が連続線であり、下方の1本の指紋特徴点が途切れ点であることを特徴とする。数字8の指紋符号化パターンは
であり、2本の指紋線が交差し、指紋の特徴点が交差点であることを特徴とする。
【0084】
第3ステップでは、X軸との夾角+10と原点からの距離8に基づいて、A領域の座標位置を探し出して、指紋テンプレートにおけるA領域のパターンを
に取り替える。同様に、B領域の座標位置を探し出して、指紋テンプレートにおけるB領域のパターンを
に取り替える。
【0085】
このようにして、数字5及び8を含む指紋特徴パターンが生成される。このパターンは、58物体模様コードパターンと呼ぶことができる。
【0086】
(二)復号ステップ
まず、指紋テンプレートを確認する。
【0087】
図12に示すものは、本発明の物体模様コードの指紋テンプレートの識別フローの模式図である。コンピュータパターン識別装置により、生成された58指紋符号化パターンを識別し、特徴点に基づいて中心特徴点が存在するかどうかを確認し、中心特徴点が存在すると、2つの三角点が存在するかどうかを続けて確認し、2つの三角点が存在すると、第1種類の指紋テンプレート(即ち、中心点と三角点の位置決め指紋テンプレート)を採用する。勿論、その他の場合、例えば、他の指紋テンプレートであると、他の対応する指紋テンプレートとして識別される。図12中の補助位置決め線は実際に前述のマーカ点であり、補助位置決めのためのものであり、それは特定の指紋特徴点であってもよい。
【0088】
中心点の中心を原点とし、2つの三角点の中心を取って1本の直線に結び、この直線の中点を取り、前記原点と前記中点を結んで、Y軸を構成し、2つの三角点の連結線を中心点へ平行移動して、X軸を構成することによって、2次元座標系を形成する。
【0089】
次に、符号化分割エリアを識別する。
【0090】
確立した2次元座標系の下で、X軸との夾角+10°、原点からの距離8、大きさ6×5に基づいて、1番目の符号化ブロックエリアAを決定し、このブロックエリア内のパターン
を読み取り、特徴点の特性から、A領域内の符号特徴は上方の1本の指紋が連続線であり、下方の1本の指紋が途切れ点であるとパターン識別される。例えば画素画像の照合によって、図4の符号化模式図に従って、符号化されたこのブロックエリアの符号に対応する数字は5である。同様に、符号化された2番目の符号化ブロックエリアBのパターンは
であり、その対応する数字は8である。
【0091】
これによって、前記物体模様コードの符号化情報は58であると識別される。
【0092】
以上により、本発明は、予め設定した指紋特徴点を有しない指紋テンプレートのパターンに、例えば指紋特徴点のブロックエリアを画素取り替えすることによって、特定の指紋特徴点を設定し、特定の情報を含む指紋パターン、つまり物体模様コードを構築する、全く新しい2次元構造の物体模様コード及びその符号化方法を提供している。本発明では指紋特徴点を組み合わせて特定の情報を表すことについて制限しない。つまり、具体的な符号化方法は、その中核の1つとして指紋テンプレートに指紋特徴点を設定することである。
【0093】
以上では本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の構想をより明確且つ理解しやすくするためのものであり、本発明を制限するためのものではない。なお、本発明の構想及び原則の範囲内でなされる修正、取り替え、改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】