特表2020-508043(P2020-508043A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-508043(P2020-508043A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】急速な温度変化を伴うアッセイ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20200225BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20200225BHJP
   G01N 35/00 20060101ALI20200225BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20200225BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20200225BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20200225BHJP
【FI】
   C12M1/00 A
   G01N33/53 M
   G01N35/00 B
   G01N37/00 101
   C12Q1/686 Z
   C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】51
(21)【出願番号】特願2019-544049(P2019-544049)
(86)(22)【出願日】2018年2月15日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月10日
(86)【国際出願番号】US2018018405
(87)【国際公開番号】WO2018152351
(87)【国際公開日】20180823
(31)【優先権主張番号】62/460,088
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,496
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,083
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,972
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,076
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,602
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,047
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,920
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,075
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,598
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,069
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,062
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,577
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,303
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,232
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,337
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017504
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017712
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/018108
(32)【優先日】2018年2月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,267
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017492
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017307
(32)【優先日】2018年2月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/018007
(32)【優先日】2018年2月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017499
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017502
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/459,554
(32)【優先日】2017年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/460,091
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017716
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017713
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017489
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/017494
(32)【優先日】2018年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518048123
【氏名又は名称】エッセンリックス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100114889
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】チョウ スティーブン ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】ディン ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユファン
(72)【発明者】
【氏名】チー ジ
【テーマコード(参考)】
2G058
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
2G058BB02
2G058BB09
2G058BB19
2G058BB23
2G058BB27
4B029AA07
4B029AA23
4B029AA27
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA15
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS39
4B063QX01
(57)【要約】
本発明は、限定はされないがPCRなどの反応の促進のための、急速かつ試料において使いやすい熱サイクリングまたは温度変化のためのデバイス、システム、および方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄い流体試料層をアッセイするためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、クランプとを備え、
i.前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iii.前記プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定された前記スペーサを備え、
iv.前記スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、前記スペーサのうちの少なくとも1つが前記試料接触領域内にあり、
v.前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮して、前記2つのプレートを一緒に前記閉鎖構成で固定し、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、前記2つのプレートが部分的または完全に分離されており、前記プレート間の間隔は前記スペーサによって調整されず、前記試料が前記プレートのうちの一方または両方の上に付着され、
前記開放構成で前記試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部が、前記2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつ前記プレートに対して実質的に停滞し、前記層の前記均一な厚さが、前記2つのプレートの前記試料接触領域によって制限され、かつ前記プレートおよび前記スペーサによって調整される、デバイス。
【請求項2】
薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、クランプとを備え、
i.前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iii.前記プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定された前記スペーサを備え、
iv.前記スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、前記スペーサのうちの少なくとも1つが前記試料接触領域内にあり、
v.前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮して、前記2つのプレートを一緒に前記閉鎖構成で固定し、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、前記2つのプレートが部分的または完全に分離されており、前記プレート間の間隔は前記スペーサによって調整されず、前記試料が前記プレートのうちの一方または両方の上に付着され、
前記開放構成で前記試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部が、前記2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつ前記プレートに対して実質的に停滞し、前記層の前記均一な厚さが、前記2つのプレートの前記試料接触領域によって制限され、かつ前記プレートおよび前記スペーサによって調整され、
前記プレートおよび前記クランプが、前記試料の温度を10℃/秒以上の速度で変化させることを可能にするように構成されている、デバイス。
【請求項3】
薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサとを備え、
i.前記第1のプレートが、100μm(ミクロン)以下の厚さを有し、
ii.前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
iii.前記プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iv.前記プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定された前記スペーサを備え、
v.前記スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、
vi.前記スペーサのうちの少なくとも1つが前記試料接触領域内にあり、
開放構成では、前記2つのプレートが部分的または完全に分離されており、前記プレート間の間隔は前記スペーサによって調整されず、前記試料が前記プレートのうちの一方または両方の上に付着され、
前記開放構成で前記試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部が、前記2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつ前記プレートに対して実質的に停滞し、前記層の前記均一な厚さが、前記2つのプレートの前記試料接触領域によって制限され、かつ前記プレートおよび前記スペーサによって調整され、
前記プレートおよび前記クランプが、前記試料の少なくとも一部の温度を10℃/秒以上の速度で変化させることを可能にするように構成されている、デバイス。
【請求項4】
薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、クランプとを備え、
i.前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.前記プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、アッセイされる流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iii.前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮して、前記プレートを前記閉鎖構成で固定し、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、前記2つのプレートが部分的または完全に分離されており、前記プレート間の平均間隔が250μm以上であり、前記試料が前記プレートのうちの一方または両方の上に付着され、
前記開放構成で前記試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、前記試料の少なくとも一部が、前記2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつ前記プレートに対して実質的に停滞し、前記層の前記均一な厚さが、前記2つのプレートの前記試料接触領域によって制限され、かつ200μm以下の厚さである、デバイス。
【請求項5】
均一な厚さの前記試料の前記少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、前記試料の前記少なくとも一部および前記放射線吸収層の領域が、前記均一な厚さよりも実質的に大きい、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記試料の前記少なくとも一部および前記放射線吸収層の前記領域が、前記試料の前記均一な厚さよりも実質的に大きい、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記デバイスの前記プレートのうちの1つの厚さが100μm以下である、請求項1、2、および4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
均一な厚さの前記試料の前記少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、前記デバイスの前記プレートのうちの1つの厚さが100μm以下である、請求項1、2、および4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを前記閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを前記閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、かつ均一な厚さの前記試料の前記少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項11】
薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのシステムであって、
i.前記請求項のいずれか1項に記載のデバイスと、
ii.前記放射線吸収層が著しく吸収する電磁波を放射するように構成された、放射線源と、
iii.前記放射線源を制御し、前記試料の前記温度を変化させるように構成されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項12】
薄い流体試料層の温度を急速に変化させるための方法であって、
i.前記請求項のいずれか1項に記載のデバイスまたはシステムを提供するステップと、
ii.前記デバイスの前記プレートのうちの一方または両方の上に流体試料を付着させるステップと、
iii.iiの後、前記プレートを閉鎖構成になるように押圧するステップであって、前記プレートが前記試料の少なくとも一部を圧縮して200μm未満の厚さの薄層にする、ステップと、
iv.前記放射線源からの前記電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を変化させることによって、前記試料層の前記温度を変化させかつ維持するステップと
を含む、方法。
【請求項13】
前記クランプが、前記クランプと前記プレートとの間の熱伝導を低減するための断熱層を備えるように構成され、前記断熱層が、2W/m−Kの熱伝導率の材料を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項14】
前記クランプが、前記試料を加熱または冷却する必要がある熱質量を低減するための断熱層を備えるように構成され、前記断熱層が、2W/m−Kの熱伝導率の材料を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項15】
前記プレートの閉鎖構成において、前記クランプが、前記プレートのある位置から前記プレートの別の位置への前記試料の流動の少なくとも一部を防止するまたは低減する、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項16】
前記プレートの閉鎖構成において、前記クランプが、前記プレートの表面の一部と熱伝導接触するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項17】
前記プレートの閉鎖構成において、前記クランプが、前記プレートの周辺表面領域のみと熱伝導接触する、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項18】
前記プレートの閉鎖構成において、前記クランプが、前記プレートの表面領域のみと熱伝導接触し、前記表面領域が、核酸が増幅される前記試料の一部分の外側にある、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項19】
前記クランプが、外側の光が前記プレートに入ることまたはプレートの内側の光が外に出ることを可能にする透明な窓を備える、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項20】
前記クランプが、外側の光が前記プレートに入ることまたはプレートの内側の光が外に出ることを可能にする透明な窓を備え、透明度が、30%超、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項21】
前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、前記圧力が、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、400kg/cm2であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項22】
前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、前記圧力が0.1kg/cm2〜20kg/cm2である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項23】
前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、前記圧力が0.1kg/cm2〜20kg/cm2である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項24】
前記クランプが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、前記圧力が0.5kg/cm2〜40kg/cm2である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項25】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートを前記閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、かつ前記第1のプレートの少なくとも一部と前記第2のプレートの間に密封材料をさらに備え、前記プレート上に挿入された前記クランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項26】
前記試料の温度を変化させることが、温度を周期的に上下に変化させる熱サイクリングである、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項27】
前記試料の温度を変化させることが、ポリメラーゼ連鎖動作(PCR)を使用した核酸の増幅のための熱サイクリングである、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項28】
前記試料の前記温度の前記変化が、核酸の等温増幅のためである、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項29】
前記試料の前記少なくとも一部および前記放射線吸収層の領域が、前記均一な厚さよりも実質的に大きい、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項30】
前記放射線吸収層が、ディスク結合ドットオンピラーアンテナ(disk−coupled dots−on−pillar antenna)(D2PA)アレイ、シリコンサンドイッチ、グラフェン、超格子、または他のプラズモン材料、それらの他の組み合わせを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項31】
前記放射線吸収層が、カーボンもしくはブラックナノ構造またはそれらの組み合わせを含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項32】
前記放射線吸収層が、放射線エネルギーを吸収するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項33】
前記放射線吸収層が、放射線エネルギーを吸収した後、熱の形態でエネルギーを放射するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項34】
前記放射線吸収層が、前記試料層の下に、かつ前記試料層と直接接触して位置付けられている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項35】
前記放射線吸収層が、電波、マイクロ波、赤外線波、可視光、紫外線波、X線、ガンマ線、および熱放射からなる群から選択される電磁波を吸収するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項36】
前記プレートのうちの少なくとも1つは、前記放射線吸収層が吸収する放射線を遮断しない、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項37】
前記プレートのうちの一方または両方が、低い熱伝導率を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項38】
前記試料層の前記均一な厚さが、前記プレートのうちの一方または両方に固定された1つ以上のスペーサによって調整される、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項39】
前記試料が、予混合されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)媒体である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項40】
前記デバイスが、所定のプログラムに従って前記試料の温度を変化させるためのPCRアッセイを促進するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項41】
前記デバイスが、診断試験、健康管理、環境試験、および/または法医学的試験を行うように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項42】
前記デバイスが、DNA増幅、DNA定量化、選択的DNA単離、遺伝分析、組織適合検査、癌遺伝子同定、感染症試験、遺伝子指紋法、および/または父子鑑定を行うように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項43】
前記試料層が、試料蒸発を低減するために横方向に密封されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項44】
前記電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記試料接触領域またはその近傍の温度を測定し、前記測定された温度に基づいて前記コントローラに信号を送信するように構成された温度計をさらに備える、前記請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記温度計が、光ファイバ温度計、赤外線温度計、液晶温度計、高温計、水晶温度計、シリコンバンドギャップ温度センサ、温度ストリップ、サーミスタ、および熱電対からなる群から選択される、前記請求項のいずれか1項に記載のシステムまたは方法。
【請求項47】
前記コントローラが、前記放射線源からの前記電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を制御するように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のシステムまたは方法。
【請求項48】
前記電磁波が少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜を生じさせ、前記電磁波の除去が少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように、前記放射線源および前記放射線吸収層が構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のシステムまたは方法。
【請求項49】
前記放射線源および前記放射線吸収層が、少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜および少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項50】
前記放射線源および前記放射線吸収層が、PCR中に初期化ステップ、変性ステップ、および/または延伸/伸長ステップに到達するために少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜をもたらし、かつPCR中にアニーリングステップおよび/または最終冷却ステップに到達するために少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように構成されている、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項51】
PCRの試料が、鋳型DNA、プライマーDNA、カチオン、ポリメラーゼ、および緩衝剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項52】
前記プレートを閉鎖形態になるように押圧するステップが、前記プレートを厳密でない押圧力で押圧することを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記プレートを閉鎖形態になるように押圧するステップが、前記プレートを人間の手で直接押圧することを含む、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
非常に均一な厚さの前記層が、10%未満の厚さの変動を有する、前記請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記試料の温度を変化させることが熱サイクリングであり、前記熱サイクリングが、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、タッチダウンPCR、逆転写PCR、RACE PCR、およびデジタルPCRの群から選択されるポリメラーゼ連鎖動作(PCR)を使用した核酸の増幅のためである、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項56】
前記試料の前記温度の前記変化が、ループ介在等温増幅、鎖置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅、ローリングサークル増幅、およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅の群から選択される核酸の等温増幅のためである、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項57】
DNA鋳型、プライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、二価カチオン(例えば、Mg2+)、一価カチオン(例えば、K)、および緩衝液から選択される試薬をさらに含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項58】
前記スペーサが、実質的に平坦な頂部を有する、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【請求項59】
前記プレートのうちの1つが50μm以下である、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス、システム、または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本願は、2017年2月16日出願のUSPA(以下「USPA」)第62/460,088号(053PRV)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,083号(035PRV3)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,076号(040PRV2)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,075号(026PRV3)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,069号(052PRV2)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,062号(045PRV2)、2017年2月16日出願のUSPA第62/460,047号(029PRV2)、2017年2月16日出願のUSPA第62/459,972号(002PRV2)、2017年2月16日出願のUSPA第62/459,920号(050PRV)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,602号(052PRV)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,598号(035PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,577号(051PRV)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,554号(026PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,496号(014PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,337号(033PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,303号(027PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,267号(017PRV2)、2017年2月15日出願のUSPA第62/459,232号(048PRV)、2018年2月14日出願のPCT出願第PCT/US18/18108号(18F14)、2018年2月13日出願のPCT出願第PCT/US18/18007号(18F11B)、2018年2月9日出願のPCT出願第PCT/US18/17716号(18F08)、2018年2月9日出願のPCT出願第PCT/US18/17713号(18F07)、2018年2月9日出願のPCT出願第PCT/US18/17712号(18F16)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17504号(18F02)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17499号(18F17)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17489号(18F18)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17492号(18F10)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17494号(18F02)、2018年2月8日出願のPCT出願第PCT/US18/17502号(18F09)、および2018年2月7日出願のPCT出願第PCT/US18/17307号(18F15A)の利益を主張し、それらの各々は、あらゆる目的で参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ある特定の化学、生物学、および/または医学アッセイでは、繰り返される熱サイクルおよび迅速かつ正確な温度制御が実行される必要がある。1つの特定の例は、1つ以上の試料中の所定のヌクレオチド(例えば、DNA)を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。PCRでは、事前に設定された熱制御サイクルに従って、試料が特定の温度に繰り返し加熱および冷却される。ある特定のシナリオでは、試料の温度を迅速かつ均一に変化させることができることが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
以下の概要は、本発明の全ての特徴および態様を含むことを意図したものではない。本発明は、限定されないがPCRなどの反応の促進のための、急速な試料の熱サイクル変化のためのデバイス、システム、および方法を提供する。本発明の一態様は、液体試料を圧縮して均一な薄層にするために2つの移動可能な薄いプレートを使用することである。
【0004】
本発明の別の態様は、試料温度の傾斜速度を加速することであり、QMAXアッセイのプレートのうちの1つは、100μm(ミクロン)以下の厚さに低減される。
【0005】
本発明の別の態様は、急速な温度変化またはサイクリングの下でQMAXカード内の非常に薄いプレートに関連する問題の解決策を提供することである。その問題には、プレートの大きい変形、試料の厚さの変化、気泡の形成などが含まれ、それらの各々が、PRCまたは等温核酸増幅の失敗をもたらす可能性がある。したがって、本発明によると、解決策のうち1つが、温度変化中に2つのプレートを一緒に固定して保持するある特定の設計を有するクランプの使用を含むことが非常に重要である。確実に、本発明のクランプは、試料温度を変化させる必要がないQMAXカードに使用され得る。
【0006】
本発明は、ある領域(または関連する領域)、試料ホルダの低熱吸収および低熱容量、ならびに領域ヒータ要素にわたって、試料を均一な超薄の薄型部分にすることによって、試料の温度を急速に変化させるためのデバイスおよび方法を提供する。
【0007】
背景
ある特定の化学的、生物学的、および/または医学的アッセイでは、繰り返される熱サイクルおよび迅速かつ正確な温度制御が実行される必要がある。1つの特定の例は、1つ以上の試料中の所定のヌクレオチド(例えば、DNA)を増幅させるためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。PCRでは、事前に設定された熱制御サイクルに従って、試料が特定の温度に繰り返し加熱および冷却される。ある特定のシナリオでは、試料の温度を迅速かつ均一に変化させることができることが望ましい。
【0008】
本発明は、急速な熱サイクル変化のためのデバイスおよび方法を提供し、本明細書に開示されるデバイスおよび方法は、PCRなどであるがこれに限定されない反応の促進に適している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
当業者は、以下に記載される図面が例示のみを目的としていることを理解するであろう。図面は、決して本教示の範囲を限定することを意図していない。場合によっては、図面は、縮尺通りではない。実験データ点を示す図面中、データ点を接続する線は、データの表示のみを誘導するためのものであり、他の手段はない。
【0010】
図1】本発明のデバイスの一実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)は、開放構成にあるデバイスの実施形態を示し、パネル(B)は、試料ユニットが閉鎖構成にあるときのデバイスの実施形態を示し、2つのプレート間で薄層へと圧縮される試料の温度は、電磁波を試料上に発射するように位置付けられた放射線源によって急速に変化する。
図2】本発明のシステムの一実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)は、デバイス(システムの試料ユニット)が開放構成にあるときのシステムの斜視図を示し、パネル(B)は、試料ユニットが閉鎖構成にあるときのシステムの断面図を示す。
図3】本発明のシステムの一実施形態の断面図を示し、システムを実証し、温度変化および制御を促進する追加の要素を示す。
図4】本発明の別の実施形態の斜視図を示し、プレート上に複数の試料接触領域があり、複数の試料の処理および分析を可能にする。
図5】本発明の例示的な実施形態の断面図を示し、試料がどのように添加および圧縮されるかを実証する。
図6】本発明の例示的な実施形態の断面図を示し、PCRプロセスを実証する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、限定ではなく一例として本発明のいくつかの実施形態を示す。存在する場合、本明細書で使用されるセクションの見出しおよび副題は、体系化のみを目的とし、決して記載される主題を制限するものとして解釈されるべきではない。セクションの見出しおよび/または副題の下の内容は、セクションの見出しおよび/または副題に限定されず、本発明の説明全体に適用される。
【0012】
いかなる出版物の引用も、出願日前のその開示に関し、本特許請求の範囲が、先行発明によりそのような出版物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される出版日は、実際の出版日とは異なる可能性があり、個別に確認される必要があり得る。
【0013】
図面は、厳密な比率で要素を示すことを意図していないことに留意されるべきである。明確にするために、要素の一部は、図面に示されるときに拡大されている。要素の寸法は、参照により本明細書に提供され組み込まれる説明から詳細に描写されるべきである。
【0014】
QMAXデバイス
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態においてはCOFカードがスペーサを備えていないことを除いて互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)になるように互いに対して移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調整するスペーサ(COFのいくつかの実施形態を除く)を備えるデバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカード内の2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサは、このプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのさらなる説明は、2017年2月7日出願の仮出願第62/456065号に記載され、これは、あらゆる目的でその全体が本明細書に組み込まれる。
【0015】
図1は、本発明のデバイスの一実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)は、開放構成にあるデバイス(システムの「試料ユニット」とも呼ばれる)100を示す。パネル(A)に示されるように、試料ユニット100は、第1のプレート10と、第2のプレート20と、間隔機構(図示せず)とを備える。第1のプレート10および第2のプレート20はそれぞれ、外面(それぞれ11および21)と、内面(それぞれ12および22)とを含む。各内面は、デバイスによって処理および/または分析される流体試料と接触するための試料接触領域(図示せず)を有する。
【0016】
第1のプレート10および第2のプレート20は、異なる構成になるように互いに対して移動可能である。構成のうちの1つは、開放構成であり、この構成では、図1のパネル(A)に示されるように、第1のプレート10および第2のプレート20が部分的または全体的に分離されており、第1のプレート10と第2のプレート20との間の間隔(すなわち、第1のプレートの内面11と第2のプレートの内面21との間の距離)は、間隔機構によって調整されない。開放構成は、試料が試料接触領域内の第1のプレート、第2のプレート、または両方の上に付着することを可能にする。
【0017】
図1のパネル(A)に示されるように、第1のプレート10は、試料接触領域に放射線吸収層112をさらに備える。また、第2のプレート20が、代替的にまたは加えて、放射線吸収層112を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、放射線吸収層112は、その上に発せられる放射線(例えば、電磁波)を効率的に吸収するように構成されている。吸収率は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、100%以下、85%以下、75%以下、65%以下、もしくは55%以下、またはそれらの2つの値のうちのいずれかの間の範囲内である。放射線吸収層112は、吸収された放射線エネルギーの少なくとも実質的な部分を熱(熱エネルギー)に変換するようにさらに構成されている。例えば、放射線吸収層112は、電磁波からエネルギーを吸収した後、熱の形態で放射線を放出するように構成されている。本明細書で使用される場合、「実質的な部分」または「実質的に」という用語は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、99%以上、または99.9%以上である割合を指す。
【0018】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層112は、金属プラズモン表面、メタマテリアル、ブラックシリコン、グラファイト、カーボンナノチューブ、シリコンサンドイッチ、グラフェン、超格子、プラズモン材料、電磁波を効率的に吸収しかつ吸収されたエネルギーを熱エネルギーに変換することが可能である任意の材料/構造、およびそれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限定されない材料/構造を含む。ある特定の実施形態では、放射線吸収層112は、カーボンナノチューブを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層は、2010年5月21日出願の米国仮特許出願第61/347,178号、2012年4月10日出願の米国仮特許出願第61/622,226、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/801,424号、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/801,096号、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/801,933号、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/794,317号、2014年12月10日出願の米国仮特許出願第62/090,299号、2012年10月1日出願の米国仮特許出願第61/708,314号、2011年5月20日出願のPCT出願第PCT/US2011/037455号、2013年3月15日出願のPCT出願第PCT/US2013/032347号、2014年3月15日出願のPCT出願第PCT/US2014/029979号、2014年3月14日出願のPCT出願第PCT/US2014/028417号、2014年3月16日出願のPCT出願第PCT/US2014/030108号、2013年10月1日出願のPCT出願第PCT/US2013/062923号、2013年6月13日出願の米国特許出願第13/699,270号、2014年8月13日出願の米国特許出願第14/459,239号、2015年9月30日出願の米国特許出願第14/871,678号、2013年3月15日出願の米国特許出願第13/838,600号、2014年8月13日出願の米国特許出願第14/459,251号、2015年3月25日出願の米国特許出願第14/668,750号、2015年9月11日出願の米国特許出願第14/775,634号、2015年9月11日出願の米国特許出願第14/775,638号、2014年3月16日出願の米国特許出願第14/852,412号、2015年12月9日出願の米国特許出願第14/964,394号、2015年10月5日出願の米国特許出願第14/431,266号に記載されるD2PAアレイなどであるがこれに限定されない、ドット結合ドットオンピラーアンテナ(dot−coupled−dots−on−pillar antenna)(D2PA)アレイを含み、これらの完全な開示は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0020】
図1のパネル(B)は、閉鎖構成にあるときの試料ユニット100の斜視図および断面図を示す。断面図は、試料ユニット100または間隔機構の全体を示すことなく、デバイスの一部を示す。パネル(B)に示されるように、試料ユニット100は、第1のプレート10と、第2のプレート20と、間隔機構(図示せず)とを備える。
【0021】
図1のパネル(B)中、第1のプレート10および第2のプレート20は、閉鎖構成にある。閉鎖構成では、2つのプレートの内面11および21は、互いに向かい合い、2つのプレート間の間隔102は、間隔機構によって調整される。その結果、図に示されるように、2つのプレートは、プレートのうちの一方または両方に付着した流体試料90を圧縮して層にし、層の厚さは、間隔機構(図示せず)によって調整される。
【0022】
NN1 薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートとを備え、
i.プレートの各々は、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
ii.プレートは、試料の温度を急速に変化させるための構成を有し、この構成では、
a.試料接触領域は、互いに向かい合い、有意に平行であり、
b.接触領域間の平均間隔は、200ミクロン以下であり、
c.2つのプレートは、試料の少なくとも一部を、非常に均一な厚さの層になるように、かつプレートに対して実質的に停滞するように調整(または制限)し、
d.放射線吸収層は、均一な厚さの試料の少なくとも一部の近くにあり、
e.試料の少なくとも一部および放射線吸収層の領域は、均一な厚さよりも実質的に大きい、デバイス。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態では、2つのプレート間にスペーサがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、加熱中に液体の蒸気がカードから逃げることを防止または低減する「蒸発防止リング」が液体領域(例えば、試料領域)の外側にある。
【0025】
いくつかの実施形態では、加熱中にQMAXカードをその閉鎖構成に固定するために、QMAXカードの外側にクランプがある。
【0026】
いくつかの実施形態では、試料中の高速かつ均一な熱変化を達成するために、試料は圧縮されて薄層にされる。層の厚さは、500μm以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、2μm以下、1μm以下、500nm以上、1.5μm以上、2.5μm以上、7.5μm以上、15μm以上、30μm以上、75μm以上、150μm以上、または250μm以上である。試料層の厚さが薄いと、試薬の拡散がより速くなり、熱の変換がより速くなる。いくつかの実施形態では、2つのプレートは、厳密なレベルに設定されることもなく実質的に均一でもない厳密でない押圧力によって圧縮される。ある特定の実施形態では、2つのプレートは、人間の手で直接押圧される。
【0027】
いくつかの実施形態では、プレートとスペーサとを含むQMAXカードは、カード自体による熱吸収を低減するために、低熱伝導率を有する材料でできている。
【0028】
いくつかの実施形態では、加熱中にQMAXカードをその閉鎖構成に固定するために、QMAXカードの外側にクランプがある。
クランプはまた、カード自体による熱吸収を低減するために、低熱伝導率を有する材料でできている。
【0029】
「被覆する」という用語は、クランプと熱伝導接触しているプレート上の領域を意味する。例えば、クランプがQMAXカードの表面の一部を閉鎖構成において被覆することは、クランプがQMAXカードのプレート表面の一部と熱伝導接触していることを意味する。
【0030】
クランプによる「密封」という用語は、プレートの閉鎖構成において、クランプが、プレートのある位置からプレートの別の位置への試料の流動の少なくとも一部を防止または低減することを意味する。
【0031】
例えば、クランプは、試料の一部または試料全体を密封するように構成され得る。
【0032】
「クランプ」という用語は、圧縮力を導入して第3の要素またはより多くの要素を一緒に保持する2つの要素を備えるデバイスを指す。例えば、クランプは、2つのプレートを一緒に保持する。
これらの材料としては、ポリマー(例えば、プラスチック)または非晶質有機材料が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー材料としては、アクリレートポリマー、ビニルポリマー、オレフィンポリマー、セルロースポリマー、非セルロースポリマー、ポリエステルポリマー、ナイロン、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、環状オレフィンポリマー(COP)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリイミド(PI)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(フェニレンエーテル)(PPE)、ポリスチレン(PS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ(エチレンフタレート)(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ゴム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
これらの材料としては、酸化ケイ素、磁器、オルセレン(セラミック)、マイカ、ガラス、様々な金属の酸化物などの誘電材料を含む無機材料が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの材料としては、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硫化カドミウム、窒化ガリウム、金塩化物、ヒ化インジウム、水素化ホウ素リチウム、臭化銀、塩化ナトリウムなどの無機化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの材料には、水、エタン、メタン、油、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シリコーン油、ポリ塩化ビフェニル、液体空気、液体酸素、液体窒素などが挙げられるが、これらに限定されない液体が含まれる。
これらの材料には、空気、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、二酸化炭素などが挙げられるが、これらに限定されないガスが含まれる。
材料は、上記の材料の組み合わせである。
【0033】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、1〜1000μm、10〜900μm、20〜800μm、25〜700μm、25〜800μm、25〜600μm、25〜500μm、25〜400μm、25〜300μm、25〜200μm、30〜200μm、35〜200μm、40〜200μm、45〜200μm、または50〜200μmの範囲である。
【0034】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、50〜75μm、75〜100μm、100〜125μm、125〜150μm、150〜175μm、または175〜200μmの範囲である。
【0035】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つの平均厚さは、約50μm、約75μm、約100μm、約125μm、約150μm、約175μm、または約200μmである。
【0036】
スペーサの高さは、プレート間の所望の調整された間隔、ならびに/または調整された最終試料の厚さおよび残留試料の厚さによって選択される。スペーサの高さ(所定のスペーサの高さ)、プレート間の間隔、および/または試料の厚さは、3nm以下、10nm以下、50nm以下、100nm以下、200nm以下、500nm以下、800nm以下、1000nm以下、1μm以下、2μm以下、3μm以下、5μm以下、10μm以下、20μm以下、30μm以下、50μm以下、100μm以下、150μm以下、200μm以下、300μm以下、500μm以下、800μm以下、1mm以下、2mm以下、4mm以下、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0037】
スペーサの高さ、プレート間の間隔、および/または試料の厚さは、1つの好ましい実施形態では1nm〜100nm、別の好ましい実施形態では100nm〜500nm、別の好ましい実施形態では500nm〜1000nm、別の好ましい実施形態では1μm(すなわち、1000nm)〜2μm、別の好ましい実施形態では2μm〜3μm、別の好ましい実施形態では3μm〜5μm、別の好ましい実施形態では5μm〜10μm、および別の好ましい実施形態では10μm〜50μm、別の好ましい実施形態では50μm〜100μmである。
【0038】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、カード自体による熱吸収を低減するために完全に透明であるかまたは部分的に透明である。透明度は、30%超、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0039】
いくつかの実施形態では、QMAXデバイスは、カード自体による熱吸収を低減するために部分的に反射性である。表面の反射率は、30%超、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0040】
いくつかの実施形態では、QMAXおよびクランプは、カード自体による熱吸収を低減するためにコーティングされた断熱層である。断熱層は、上記の低熱伝導率材料を含む材料を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、クランプは、閉鎖構成においてQMAXカード全体を被覆および密封する。
【0042】
いくつかの実施形態では、クランプは、閉鎖構成におけるQMAXカードの表面の一部を被覆する。
【0043】
いくつかの実施形態では、クランプは、光がQMAXカードの内側に入ることおよびQMAXカードから外に出ることを可能にするための透明な窓を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、クランプは、光がQMAXカードの内側に入ることおよびQMAXカードから外に出ることを可能にするために、完全に透明である。
クランプの透明度は、30%超、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0045】
いくつかの実施形態では、閉鎖構成においてクランプとQMAXデバイスとの間に空気または液体が存在する。
液体としては、水、エタン、メタン、油、ベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、シリコーン油、ポリ塩化ビフェニル、液体空気、液体酸素、液体窒素などが挙げられるが、これらに限定されない。
ガスとしては、空気、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、二酸化炭素などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態では、クランプを閉鎖した後、クランプによって加えられたQMAXカード表面の圧力は、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲、および0.1kg/cm2〜0.5kg/cm2、0.5kg/cm2〜1kg/cm2、1kg/cm2〜5kg/cm2、5kg/cm2〜10kg/cm2(圧力)の好ましい範囲である。
【0047】
図1のデバイスの断面図に示されるように、放射線吸収層112は、試料接触領域にわたって広がる。しかしながら、放射線吸収層の横方向領域が、試料接触領域の一部のみを約1%以上、5%以上、10%以上、20%以上、50%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上、85%以下、75%以下、55%以下、40%以下、25%以下、8%以下、2.5%以下の割合で占めることが可能であることも留意されるべきである。いくつかの実施形態では、試料の温度変化を促進するために、いくつかの実施形態では、放射線吸収層の横方向領域は、試料90が試料接触領域上で試料90の横寸法にわたって実質的に均一に、放射線吸収層112からの熱放射を受容するように構成されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、放射線吸収領域は、全プレート領域の10%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。
【0049】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層112は、10nm以上、20nm以上、50nm以上、100nm以上、200nm以上、500nm以上、1μm以上、2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、50μm以上、100μm以上、75μm以下、40μm以下、15μm以下、7.5μm以下、4μm以下、1.5μm以下、750nm以下、400nm以下、150nm以下、75nm以下、40nm以下、15nm以下、またはそれらの2つの値のうちのいずれかの間の範囲の厚さを有する。ある特定の実施形態では、放射線吸収層112は、100nm以下の厚さを有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、試料層および放射線吸収層112の領域は、均一な厚さよりも実質的に大きい。ここで、「実質的に大きい」という用語は、試料層および/または放射線吸収層の一般的な直径または対角線距離が少なくとも10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1500倍、2000倍、2500倍、3000倍、3500倍、4000倍、4500倍、もしくは5000倍、またはそれらの2つの値のうちのいずれかの間の範囲であることを意味する。
【0051】
QMAXデバイスを含むシステム
図2は、本発明のシステムの一実施形態の斜視図および断面図を示す。パネル(A)および(B)に示されるように、システムは、試料ユニット100と熱制御ユニット200とを備え、試料ユニット100は、第1のプレート10と、第2のプレート20と、間隔機構(図示せず)とを備え、熱制御ユニット200は、放射線源202とコントローラ204とを備える。図2のパネル(A)および(B)は、システムの試料ユニット100が閉鎖構成にあるときのシステムの斜視図および断面図を示す。
【0052】
図1のパネル(B)に示されるように、熱制御ユニット200は、放射線源202とコントローラ204とを備える。いくつかの実施形態では、熱制御ユニット200は、試料の温度変化のために、電磁波の形態でエネルギーを提供する。
【0053】
図2のパネル(A)および(B)の両方を参照すると、放射線源202は、電磁波210を吸収しかつ電磁波210の実質的な部分を熱に変換するように構成されている試料ユニット100の放射線吸収層112に、電磁波210を発射し、放射線吸収層112の近傍にある試料90の一部分の温度を上昇させる熱放射をもたらすように構成されている。言い換えれば、放射線源202および放射線吸収層112の結合は、試料90の温度変化を促進するために必要とされる熱エネルギーを発生させるように構成されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、放射線源202からの放射は、電波、マイクロ波、赤外線波、可視光、紫外線波、X線、ガンマ線、もしくは熱放射、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、放射線吸収層112は、放射線吸収層112が最高の吸収効率を有する光波長の好ましい範囲を有する。いくつかの実施形態では、放射線源202は、放射線吸収層112の好ましい波長範囲内の、それと重複する、またはそれを取り囲む波長範囲で電磁波を発射するように構成されている。他の実施形態では、温度変化を促進するために、波長は、放射線吸収層の好ましい波長から離れて合理的に設計される。
【0055】
いくつかの実施形態では、放射線源202は、狭い波長範囲内のレーザー光を提供するレーザー源を含む。他の実施形態では、放射線源202は、その複数のLED(発光ダイオード)を含む。
【0056】
図2のパネル(A)および(B)を参照すると、コントローラ204は、試料の温度変化のために、放射線源202から発射される電磁波210を制御するように構成されている。コントローラ204が制御する電磁波210のパラメータとしては、存在、強度、波長、入射角、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、コントローラは、手動で操作され、例えば、それは、放射線源のオンおよびオフ、したがって放射線源から発射される電磁波の存在を制御する手動スイッチと同じくらい簡単である。他の実施形態では、コントローラは、1つまたは複数の所定のプログラムに従って電磁波を自動的に制御するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、所定のプログラムは、電磁波210のパラメータ(複数可)(例えば、存在、強度、および/または波長)が、それぞれの所定の期間にわたって所定のレベルに設定されるスケジュールを指す。他の実施形態では、所定のプログラムは、試料90の温度が、それぞれの所定の期間にわたって所定のレベルに設定され、ある所定のレベルから別の所定のレベルへの試料温度の変化のための期間もまたそれぞれ設定される、スケジュールを指す。いくつかの実施形態では、コントローラ204は、プログラム可能であるように構成されており、これは、コントローラ204が、システムのオペレータによって送達されるシステムのための所定のプログラムを受信および実行するように構成されたハードウェアおよびソフトウェアを含むことを意味する。
【0058】
本発明のサーマルサイクラーシステムおよび関連方法は、化学的、生物学的、または医学的アッセイまたは反応を促進するために使用される。いくつかの実施形態では、反応は、温度変化を必要とする。いくつかの実施形態では、反応は、非特異的反応を回避し、かつ/または待ち時間を短縮するために、急速な温度変化を必要とするか、または好む。ある特定の実施形態では、本発明のシステムおよび方法は、流体試料中のヌクレオチドの増幅のために周期的な温度変化を必要とする反応を促進するために使用され、そのような反応としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が挙げられるが、これに限定されない。以下の説明では、本発明のサーマルサイクラーシステムおよび方法の能力および利用を例示するために、PCRを一例として使用する。しかしながら、本明細書に記載されるデバイス、システム、および方法のいくつかの実施形態は、温度制御および変化を必要とする他のアッセイおよび/または反応にも適用されることに留意されるべきである。
【0059】
図2のパネル(B)を参照すると、いくつかの実施形態では、試料90は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)用の予混合された反応媒体である。例えば、ある特定の実施形態では、反応媒体は、DNA鋳型、2種類のプライマー、DNAポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ)、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、二価カチオン(例えば、Mg2+)、一価カチオン(例えば、K)、および緩衝液などであるが、これらに限定されない構成成分を含む。特定の構成成分、各構成成分の濃度、および全体の体積は、反応の合理的な設計によって異なる。
【0060】
いくつかの実施形態では、PCRアッセイは、以下のステップの間に試料温度の多くの変化/変更を必要とする:(i)試料を92〜98℃に加熱することを必要とする任意の初期化ステップ、(2)試料を92〜98℃に加熱することを必要とする変性ステップ、(3)試料温度を50〜65℃に低下させることを必要とするアニーリングステップ、(4)試料を75〜80℃に加熱することを必要とする延伸(または伸長)ステップ、(5)ステップ(2)〜(4)を約20〜40回繰り返すこと、ならびに(6)アッセイの完了、および試料の温度を周囲温度(例えば、室温)に低下させること、または約4℃に冷却すること。各ステップのための特定の温度および特定の期間は変化し、標的配列の長さ、プライマーの長さ、カチオン濃度、および/またはGC百分率が挙げられるが、これらに限定されない様々な要因に依存する。
【0061】
本発明のサーマルサイクラーシステムは、PCRアッセイのための急速な温度変化を提供する。例えば、図1のパネル(A)および(B)ならびに図2のパネル(B)を参照すると、いくつかの実施形態では、試料90(例えば、予混合された反応媒体)は、開放構成におけるプレート10および20のうちの一方または両方に添加され、プレートは、閉鎖構成に切り替えられて、試料90を圧縮して、間隔機構(図示せず)によって調整される厚さ102を有する薄層にし、放射線源202は、電磁波210を第1のプレート10に(例えば、具体的には放射線吸収層112に)発射し、放射線吸収層112は、電磁波210を吸収しかつ前述の電磁波210の少なくとも実質的な部分を熱に変換するように構成されており、これは、試料の温度を上げ、電磁波210の除去は、試料90の温度の低下をもたらす。
【0062】
いくつかの実施形態では、電磁波210を放射線吸収層112に発射するか、または電磁波の強度を増加させることによって、サーマルサイクラーシステムは、初期化ステップ、変性ステップ、および/または延伸/伸長ステップのうちのいずれかまたは全てに対して急速な加熱を提供し(温度を上げ)、いくつかの実施形態では、放射線源202から発射される電磁波の除去または電磁波の強度の減少により、アニーリングステップおよび/または最終冷却ステップへの冷却が急速に達成される。いくつかの実施形態では、電磁波210または電磁波210の強度の増加は、少なくとも50℃/秒、45℃/秒、40℃/秒、35℃C/秒、30℃/秒、25℃/秒、20℃/秒、18℃/秒、16℃/秒、14℃/秒、12℃/秒、10℃/秒、9℃/秒、8℃/秒、7℃/秒、6℃/秒、5℃/秒、4℃/秒、3/秒、もしくは2℃/秒、またはそれらの2つの値のうちのいずれかの間の範囲の昇温傾斜速度をもたらす。ある特定の実施形態では、PCRアッセイの平均昇温傾斜速度は、10℃/秒以上である。いくつかの実施形態では、電磁波210の除去または電磁波210の強度の低減は、少なくとも50℃/秒、45℃/秒、40℃/秒、35℃C/秒、30℃/秒、25℃/秒、20℃/秒、18℃/秒、16℃/秒、14℃/秒、12℃/秒、10℃/秒、9℃/秒、8℃/秒、7℃/秒、6℃/秒、5℃/秒、4℃/秒、3/秒、もしくは2℃/秒、またはそれらの2つの値のうちのいずれかの間の範囲の降温傾斜速度をもたらす。ある特定の実施形態では、PCRアッセイの平均降温傾斜速度は、5℃/秒以上である。ここで使用される場合、「傾斜速度」という用語は、2つの事前設定温度の間の温度変化の速度を指す。いくつかの実施形態では、各ステップへの平均上昇温度または下降温度は異なる。
【0063】
PCR中、目標温度に達した後の任意のステップ内で、試料は、ある特定の期間にわたって目標温度で維持される必要がある。本発明のサーマルサイクラーシステムは、(1)電磁波210の強度を調節し、温度が目標まで上昇した場合は強度を低下させるか、もしくは温度が目標まで低下した場合は強度を上昇させること、および/または(2)試料に供給される熱と試料から除去される熱のバランスを取ることによって目標温度を維持することによって、温度維持機能を提供する。
【0064】
図3は、本発明の一実施形態の断面図を示し、サーマルサイクラーシステムを実証し、温度変化および制御を促進する追加の要素を示す。図2に示されるように、サーマルサイクラーシステムは、試料ユニット100と熱制御ユニット200とを備える。試料ユニット100は、第1のプレート10と、第2のプレート20と、間隔機構40と、密封要素30とを備え、熱制御ユニット200は、放射線源202と、コントローラ204と、温度計206と、エキスパンダ208とを備える。
【0065】
図3は、閉鎖構成にある試料ユニット100を示し、この構成では、第1および第2のプレート10および20の内面11および21は、互いに向かい合い、2つのプレート間の間隔102は、間隔機構40によって調整される。試料90が開放構成におけるプレートのうちの一方または両方の上に付着している場合、閉鎖構成に切り替えると、第1のプレート10および第2のプレート20は、人間の手または他の機構によって押圧され、したがって、試料90は、2つのプレートによって圧縮されて薄層になる。いくつかの実施形態では、層の厚さは均一であり、2つのプレート間の間隔102と同じである。ある特定の実施形態では、間隔102(したがって試料層の厚さ)は、間隔機構40によって調整される。いくつかの実施形態では、間隔機構は、プレートのうちの1つに固定された密閉スペーサを含む。いくつかの実施形態では、間隔機構40は、プレートのうちの一方または両方に固定された複数の柱状スペーサを含む。ここで、「固定された」という用語は、スペーサ(複数可)がプレートに取り付けられ、その取り付けが少なくともプレートの使用中に維持されることを意味する。
【0066】
いくつかの実施形態では、試料ユニット10は、2015年8月10日出願の米国仮特許出願第62/202,989号、2015年9月14日出願の米国仮特許出願第62/218,455号、2016年2月9日出願の米国仮特許出願第62/293,188号、2016年3月8日出願の米国仮特許出願第62/305,123号、2016年7月31日出願の米国仮特許出願第62/369,181号、2016年9月15日出願の米国仮特許出願第62/394,753号、2016年8月10日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号、2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/051775号、2016年9月15日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/051794号、および2016年9月27日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/054025号に記載されたCROFデバイスなどであるがこれに限定されない、圧縮調整オープンフロー(CROF、QMAXとしても知られる)デバイスであり、これらの完全な開示は、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
いくつかの実施形態では、試料ユニット100は、閉鎖構成において、媒体接触領域の外側で第1のプレート10と第2のプレート20との間の間隔102を密封するように構成された密封要素30を備える。ある特定の実施形態では、密封要素30は、試料90の全体の横方向領域が十分に画定され、かつ測定可能であるように、ある特定の領域(例えば、試料受容領域)内に試料90を密閉する。ある特定の実施形態では、密封要素30は、試料90の均一性、特に試料層の厚さを改善する。
【0068】
いくつかの実施形態では、密封要素30は、閉鎖構成で第1のプレート10と第2のプレート20との間に塗布された接着剤を含む。接着剤は、デンプン、デキストリン、ゼラチン、アスファルト、瀝青、ポリイソプレン天然ゴム、樹脂、シェラック、セルロースおよびその誘導体、ビニル誘導体、アクリル誘導体、反応性アクリル塩基、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン、スチレン−ジエン−スチレン、ポリイソブチレン、アクリロニトリル−ブタジエン、ポリウレタン、ポリスルフィド、シリコーン、アルデヒド縮合樹脂、エポキシ樹脂、アミン塩基樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィンポリマー、可溶性ケイ酸塩、リン酸塩セメント、もしくは任意の他の接着剤材料、またはそれらの任意の組み合わせなどであるが、これらに限定されない材料から選択される。いくつかの実施形態では、接着剤は、乾燥接着剤、感圧接着剤、接触接着剤、高温接着剤、または一液型もしくは多液型反応性接着剤、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、糊は、天然接着剤もしくは合成接着剤であるか、または他の起源由来であるか、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、接着剤は、自然硬化、熱硬化、紫外線硬化、もしくは任意の他の処理、またはそれらの任意の組み合わせによって硬化される。
【0069】
いくつかの実施形態では、密封要素30は、密閉スペーサ(ウェル)を含む。例えば、密閉スペーサは、上面図から見て円形(または任意の他の密閉形状)を有し、試料90を包囲し、第1のプレート10および第2のプレート20と共に試料90を本質的に制限する。ある特定の実施形態では、密閉スペーサ(ウェル)は、間隔機構40としても機能する。そのような実施形態では、密閉スペーサは、試料90の横方向の境界を密封すると同時に、試料層の厚さを調整する。
【0070】
いくつかの実施形態では、コントローラ204は、所定のプログラムに従って、試料90を伴うアッセイおよび/または反応を促進するために、試料の温度を調節するように構成されている。いくつかの実施形態では、アッセイおよび/または反応は、PCRである。ある特定の実施形態では、コントローラ204は、放射線源206からの電磁波の存在、強度、および/または周波数を制御するように構成されている。
【0071】
図3に示されるように、いくつかの実施形態では、熱制御ユニット200は、温度計206を備える。いくつかの実施形態では、温度計206は、試料90の温度を制御/監視/調節するための監視および/またはフィードバック機構を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、温度計206は、試料接触領域またはその近傍の温度を測定するように構成されている。ある特定の実施形態では、温度計206は、試料90の温度を直接測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、温度計206は、光ファイバ温度計、赤外線温度計、液晶温度計、高温計、水晶温度計、シリコンバンドギャップ温度センサ、温度ストリップ、サーミスタ、および熱電対からなる群から選択される。ある特定の実施形態では、温度計206は、赤外線温度計である。
【0072】
いくつかの実施形態では、温度計206は、信号をコントローラ204に送信するように構成されている。そのような信号は、コントローラ204が対応する変化をもたらすように、試料90の温度に関する情報を含む。例えば、PCR中、変性ステップに関して、目標温度は95℃に設定され、測定後、温度計は、試料90の測定温度が実際には94.8℃であることを示す信号をコントローラ204に送信し、したがって、コントローラ204は、電磁波を発射する放射線源202の出力を変更するか、または既存の電磁波の特定のパラメータ(例えば、強度もしくは周波数)を調節し、これにより、試料90の温度は、95℃に上昇する。そのような測定−シグナル伝達−調節ループは、あらゆる反応/アッセイのあらゆるステップに適用される。
【0073】
図3に示されるように、熱制御ユニット200は、放射線源202からの電磁波を、より小さい直径からより大きい直径に拡大するように構成されたビームエキスパンダ208を備える。いくつかの実施形態では、放射線源202から発射される電磁波は、試料接触領域全体を被覆するのに十分である。しかしながら、いくつかの実施形態では、放射線源202から発射される電磁波の被覆領域を拡大して、拡大された電磁波210をもたらし、全ての試料接触領域(複数可)に熱源を提供する必要がある。ビームエキスパンダ208は、米国特許第4,545,677号、同第4,214,813号、同第4,127,828号、および同第4,016,504号、ならびに米国特許公開第2008/0297912号および同第2010/0214659号に記載されるビームエキスパンダが挙げられるが、これらに限定されない任意の既知の技術を用い、これらは、あらゆる目的で参照によりそれらの全体が組み込まれる。
【0074】
多重化
図4は、本発明の別の実施形態の斜視図を示し、プレート上に複数の試料接触領域があり、複数の試料の処理および分析を可能にする。図3のパネル(A)および(B)に示されるように、本発明のサーマルサイクラーシステムは、試料ユニット100と熱制御ユニット200とを備え、試料ユニット100は、第1のプレート10と、複数の第2のプレート20と、複数の間隔機構(図示せず)とを備え、熱制御ユニット200は、放射線源202とコントローラ204とを備える。
【0075】
図4のパネル(A)を参照すると、プレートのうちの一方または両方(例えば、第1のプレート10)は、複数の試料接触領域(印が付けられていない)を備える。いくつかの実施形態では、プレートのうちの一方または両方(例えば、第1のプレート10)は、複数の放射線吸収層112を備える。図4のパネル(A)は、開放構成にある試料ユニット100を示し、この構成では、第1のプレート10および第2のプレート20は、部分的または全体的に分離されており、プレートのうちの一方または両方の上に1つ以上の試料が付着することを可能にする。開放構成では、第1のプレート10と第2のプレート20との間の間隔は、間隔機構によって調整されない。
【0076】
図4のパネル(B)は、閉鎖構成にある試料ユニット100を示し、この構成では、2つのプレートの内面は、互いに向かい合い、2つのプレート間の間隔102は、間隔機構(図示せず)によって調整される。1つ以上の試料がプレート上に付着している場合、プレートは、各試料を圧縮して層にするように構成されており、層の厚さは、間隔機構によって調整される。
【0077】
図4のパネル(B)に示されるように、複数の第2のプレート20は、第1のプレート10の一部を被覆するために使用される。例えば、各第2のプレート20は、試料が付着する単一の試料接触領域を被覆する。各試料接触領域に対して間隔機構が存在し、間隔機構は異なる高さを有し、各試料接触領域のためのおよび各試料層の異なる厚さのための異なる間隔102をもたらす。例えば、間隔機構は、柱状スペーサであり、各試料接触領域は、均一な高さのスペーサのセットを有し、スペーサの異なるセットは、同じまたは異なる高さを有し、異なる試料に対して同じまたは異なる試料層の厚さをもたらす。
【0078】
図4のパネル(A)および(B)を参照すると、いくつかの実施形態では、コントローラ204は、電磁波210を第1のプレート10(したがって放射線吸収層112)に発射するように放射線源202を誘導し、電磁波210は、放射線吸収層112によって吸収され、熱に変換され、試料中の温度の変化をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の試料接触領域が存在する場合、複数の試料が処理および分析される。例えば、ある特定の実施形態では、試料の各々は、異なる構成成分を有する予混合されたPCR反応媒体である。同じヌクレオチドを増幅するための、および/または同じもしくは異なる条件で異なるヌクレオチドを増幅するための異なる条件を試験するために、1つの試料ユニット100が使用される。
【0079】
例示的な実施形態
図5は、QMAXカードデバイスを使用した核酸増幅のための例示的な手順の断面図を示す。ステップの例としては、(A)核酸を含有する試料を第1のプレート(基板)の内側に導入すること、(B)第2のプレート(QMAXカード)を第1のプレートの内面へ押圧して、デバイスの閉鎖構成を形成することであって、核酸増幅に必要な試薬が第2のプレートの内面上で乾燥されている、形成すること、(c)第1および第2のプレートによって密閉されたチャンバ内に核酸増幅産物を蓄積することが挙げられる。
【0080】
図5は、QMAXカードデバイスを使用した核酸増幅のための例示的な手順の断面図を示す。
【0081】
より具体的には、ステップ(A)において、「試料」は、全血、血漿、血清、尿、唾液、および汗などのヒト体液、ならびに細胞培養物(哺乳類、植物、細菌、真菌)が挙げられるが、これらに限定されない試料を含有するか、または含有しない任意の核酸であってもよい。試料は、新たに得られ得るか、あるいは任意の望ましいまたは便利な方法で、例えば、希釈、または緩衝剤または他の溶液もしくは溶媒の添加によって保管または処理され得る。試料中には、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、ウイルス粒子などの細胞構造が存在することができる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、任意のDNAもしくはRNA分子、またはDNA/RNAハイブリッド、またはDNAおよび/もしくはRNAの混合物を指す。したがって、「核酸」という用語は、ゲノムまたは染色体DNA、プラスミドDNA、増幅DNA、cDNA、全RNA、mRNA、および小分子RNAを含むことを意図しているが、これらに限定されない。「核酸」という用語は、天然DNAおよび/もしくはRNA分子、または合成DNAおよび/もしくはRNA分子を含むことも意図している。無細胞核酸が試料中に存在するいくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「無細胞」は、核酸がいかなる細胞構造中にも含有されていないことを示す。いくつかの他の実施形態では、核酸は、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、および/またはウイルス粒子が挙げられるが、これらに限定されない細胞構造内に含有される。無細胞核酸の形態の、もしくは細胞構造内のいずれか、またはそれらの組み合わせの核酸は、試料中に存在することができる。いくつかのさらなる実施形態では、核酸は、第1のプレートの内面に導入される前に精製される。なおさらなる実施形態では、核酸は、タンパク質および脂質などの他の分子に関連する複合体内に存在することができる。
【0083】
本発明の方法は、ある範囲の体積の試料に適している。異なる体積を有する試料が、異なる寸法を有するプレートに導入され得る。
【0084】
試料は、第1のプレートもしくは第2のプレートのいずれかの上、または必要に応じて両方の上にさえ導入され得る。本明細書の図5は、試料を第1のプレートの内面上に導入する一例を提供する。
【0085】
より具体的には、ステップ(b)において、第2のプレートは、試料と接触して第1のプレートの内面へ押圧されて、デバイスの閉鎖構成を形成する。本明細書で使用される場合、「第2のプレート」は、試料に接触する内面に周期的なスペーサを備えたQMAXカードを指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、「核酸増幅」には、試料中の標的分子を増幅すること(その多数のコピーを生成すること)によって核酸を検出するために使用される任意の技術が含まれ、本明細書では、「標的」は、対象の核酸の配列または部分配列を指す。好適な核酸増幅技術としては、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、タッチダウンPCR、逆転写PCR、RACE PCR、デジタルPCRなどの異なるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法、および等温増幅方法、例えば、ループ介在等温増幅(LAMP)、鎖置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅、ローリングサークル増幅、およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書で使用される場合、「必要な試薬」としては、プライマー、デオキシヌクレオチド(dNTP)、二価カチオン(例えば、Mg2+)、一価カチオン(例えば、K+)、緩衝液、酵素、およびレポーターが挙げられるが、これらに限定されない。核酸増幅に必要な試薬は、第1のプレートもしくは第2のプレートまたは両方の内面上で乾燥形態、あるいは例えば、パラフィンなどの温度が上昇すると融解する材料に閉じ込められたか、埋め込まれたか、またはそれによって包囲された液体形態のいずれかであってもよい。
【0088】
本明細書で使用される場合、「プライマー」は、いくつかの実施形態では、一対の順方向プライマーおよび逆方向プライマーを指し得る。いくつかの実施形態では、プライマーは、複数のプライマーまたはプライマーセットを指し得る。本明細書で使用される場合、核酸増幅に適した酵素としては、DNA依存性ポリメラーゼ、またはRNA依存性DNAポリメラーゼ、またはDNA依存性RNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書で使用される場合、「レポーター」という用語は、核酸分子に結合するか、もしくは核酸分子内にインターカレートすることができるか、または増幅プロセスの副産物によって活性化されて、核酸分子または増幅プロセスの可視化を可能にすることができる、任意のタグ、標識、または染料を指す。好適なレポーターとしては、蛍光標識もしくはタグもしくは染料、インターカレート剤、分子ビーコン標識、もしくは生物発光分子、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの他の実施形態では、本明細書で使用される場合、「必要な試薬」はまた、細胞溶解試薬も含むことができ、これは細胞構造の破壊を促進する。細胞溶解試薬としては、塩、洗剤、酵素、および他の添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における「塩」という用語には、リチウム塩(例えば、塩化リチウム)、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)、カリウム(例えば、塩化カリウム)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における「洗剤」という用語は、アニオン性およびカチオン性、非イオン性または双性イオン性を含む、イオン性であり得る。本明細書で使用される場合、「イオン性洗剤」という用語は、水に溶解したときに部分的または全体的にイオン形態である任意の洗剤を含む。好適なアニオン性洗剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)もしくは他のアルカリ金属アルキル硫酸塩もしくは同様の洗剤、サルコシル、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における「酵素」という用語には、リゾチーム、セルラーゼ、およびプロテイナーゼが含まれるが、これらに限定されない。加えて、EDTA、EGTA、および他のポリアミノカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されないキレート剤、ならびにジチオトレイトール(dTT)などのいくつかの還元剤も細胞溶解試薬に含まれ得る。本明細書における必要な試薬の組成は、異なる増幅反応の合理的な設計に従って異なる。
【0091】
より具体的には、ステップ(c)において、デバイスが閉鎖構成にあるとき、放射線源は、第1のプレートもしくは第2のプレートまたは両方の内面または外面上の放射線吸収層に電磁波を発射する。放射線吸収層は、電磁波を吸収し、かつ前述の電磁波からのエネルギーの少なくとも実質的な部分を熱の形態に変換し、それが閉鎖したチャンバ内の試料に伝達されるように構成されている。いくつかの実施形態では、放射線源は、周囲温度から98℃の範囲で前述の試料の温度を調節するようにプログラムされている。いくつかの実施形態では、例えば、従来のPCRについて、試料は、最初に98℃に加熱され、次いで15〜40回にわたって94℃、50〜65℃、および72℃の繰り返しサイクルを受ける。いくつかの実施形態では、例えば、等温増幅について、試料の温度は、一定温度に維持される。いくつかの実施形態では、例えば、LAMPを介して等温増幅を行う場合、試料は、約1〜70分間60〜65℃に加熱される。
【0092】
本明細書で使用される場合、「核酸増幅産物」は、核酸増幅技術によって生成される様々な核酸を指す。本明細書における核酸増幅産物のタイプとしては、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖DNA、直鎖状DNA、または環状DNAなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、核酸増幅産物は、同じ長さおよび構成を有する同一の核酸であってもよい。いくつかの他の実施形態では、核酸増幅産物は、異なる長さおよび構成を有する複数の核酸であってもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、核酸増幅後に蓄積された核酸は、レポーターを使用して定量化される。上記で定義および使用されるように、レポーターは、閉鎖したチャンバ内に蓄積された核酸アンプリコンの有無または量と相関する定量化可能な特徴を有する。
【0094】
図6は、QMAXカードデバイスを使用した核酸抽出および増幅を組み合わせた例示的なアッセイ手順の断面図を示す。ステップの例としては、(a)捕捉プローブを第1のプレート(基板)の内面上に固定化すること、(b)試料を第1のプレートの内面上に導入すること、(c)第2のプレート(QMAXカード1)を第1のプレートの内面へ押圧して、デバイスの閉鎖構成を形成することであって、核酸の放出および捕捉を促進するための必要な試薬1が第2のプレートの内面上で乾燥されている、形成すること、(d)前述の試料からの核酸を第1のプレートの内面上に捕捉すること、(e)第2のプレートを取り外し、スポンジを使用して第1のプレートの内面を洗浄すること、(f)第3のプレート(QMAXカード2)を第1のプレートの内面へ押圧することであって、核酸増幅のための必要な試薬2が第3のプレートの内面上で乾燥されている、押圧すること、(g)第1および第3のプレートによって密閉されたチャンバ内に核酸増幅産物を蓄積することが挙げられる。
【0095】
より具体的には、ステップ(a)において、捕捉プローブは、第1のプレートの内面上に固定化される。本明細書で使用される場合、「捕獲プローブ」は、1〜200bp、好ましくは5〜50bp、より好ましくは10〜20bpの長さを有するオリゴヌクレオチドを指す。捕獲プローブは、試料中の対象の核酸配列に相補的な配列を有する。いくつかの実施形態では、同一の捕捉プローブが第1のプレートの表面に固定化される。いくつかの他の実施形態では、異なる塩基対組成を有する異なる捕捉プローブが、第1のプレートの表面に固定化される。捕獲プローブは、DNAもしくはRNAまたは両方であってもよいが、一本鎖DNAであることが好ましい。本明細書で使用される場合、「固定化する」とは、プレート表面に捕捉プローブを固定するためのプロセスを指す。いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、共有結合を介して固定され、例えば、捕捉プローブの5’または3’末端のいずれかが、プレート表面上のコーティングを促進するように修飾される。一般的に使用される3’末端修飾としては、チオール、ジチオール、アミン、ビオチンなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの他の実施形態では、捕捉プローブは、基板表面に受動的に吸収され得る。
【0096】
捕捉プローブで固定化された後、プレート表面は、ブロッカー溶液で遮断される。好適なブロッカーとしては、6−メルカプト−ヘキサノール、ウシ血清アルブミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
図6のステップ(b)に示されるように、「試料」は、全血、血漿、血清、尿、唾液、および汗などのヒト体液、ならびに細胞培養物(哺乳類、植物、細菌、真菌)が挙げられるが、これらに限定されない試料を含有するか、または含有しない任意の核酸であってもよい。試料は、新たに得られ得るか、あるいは任意の望ましいまたは便利な方法で、例えば、希釈、または緩衝剤または他の溶液もしくは溶媒の添加によって保管または処理され得る。試料中には、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、ウイルス粒子などの細胞構造が存在することができる。
【0098】
本明細書で使用される場合、「核酸」という用語は、任意のDNAもしくはRNA分子、またはDNA/RNAハイブリッド、またはDNAおよび/もしくはRNAの混合物を指す。したがって、「核酸」という用語は、ゲノムまたは染色体DNA、プラスミドDNA、増幅DNA、cDNA、全RNA、mRNA、および小分子RNAを含むことを意図しているが、これらに限定されない。「核酸」という用語は、天然DNAおよび/もしくはRNA分子、または合成DNAおよび/もしくはRNA分子を含むことも意図している。無細胞核酸が試料中に存在するいくつかの実施形態では、本明細書で使用される場合、「無細胞」は、核酸がいかなる細胞構造中にも含有されていないことを示す。いくつかの他の実施形態では、核酸は、ヒト細胞、動物細胞、植物細胞、細菌細胞、真菌細胞、および/またはウイルス粒子が挙げられるが、これらに限定されない細胞構造内に含有される。無細胞核酸の形態の、もしくは細胞構造内のいずれか、またはそれらの組み合わせの核酸は、試料中に存在することができる。いくつかのさらなる実施形態では、核酸は、第1のプレートの内面に導入される前に精製される。なおさらなる実施形態では、核酸は、タンパク質および脂質などの他の分子に関連する複合体内に存在することができる。
【0099】
本発明の方法は、ある範囲の体積の試料に適している。異なる体積を有する試料が、異なる寸法を有するプレートに導入され得る。
【0100】
試料は、第1のプレートもしくは第2のプレートのいずれかの上、または必要に応じて両方の上にさえ導入され得る。本明細書の図6は、試料を第1のプレートの内面上に導入する一例を提供する。
【0101】
より具体的には、ステップ(c)において、第2のプレート(QMAXカード1)は、試料と接触して第1のプレート(基板)の内面へ押圧されて、デバイスの閉鎖構成を形成する。核酸増幅に必要な試薬1は、第1のプレートもしくは第2のプレートまたは両方の内面上で乾燥形態、あるいは例えば、パラフィンなどの温度が上昇すると融解する材料に閉じ込められたか、埋め込まれたか、またはそれによって包囲された液体形態のいずれかであってもよい。
【0102】
本明細書で使用される場合、「必要な試薬1」は、細胞溶解試薬、もしくはハイブリダイゼーション試薬、またはそれらの組み合わせを指す。
【0103】
本明細書で使用される場合、「細胞溶解試薬」は、塩、洗剤、酵素、および細胞構造の破壊を促進する他の添加剤を含むことを意図しているが、これらに限定されない。本明細書における「塩」という用語には、リチウム塩(例えば、塩化リチウム)、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)、カリウム(例えば、塩化カリウム)が含まれるが、これらに限定されない。本明細書における「洗剤」という用語は、アニオン性およびカチオン性、非イオン性または双性イオン性を含む、イオン性であり得る。本明細書で使用される場合、「イオン性洗剤」という用語は、水に溶解したときに部分的または全体的にイオン形態である任意の洗剤を含む。好適なアニオン性洗剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)もしくは他のアルカリ金属アルキル硫酸塩もしくは同様の洗剤、サルコシル、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書における「酵素」という用語には、リゾチーム、セルラーゼ、およびプロテイナーゼが含まれるが、これらに限定されない。加えて、EDTA、EGTA、および他のポリアミノカルボン酸が挙げられるが、これらに限定されないキレート剤、ならびにジチオトレイトール(dTT)などのいくつかの還元剤も細胞溶解試薬に含まれ得る。本明細書における必要な試薬の組成は、異なる増幅反応の合理的な設計に従って異なる。
【0104】
本明細書で使用される場合、「ハイブリダイゼーション試薬」は、固定化捕捉プローブと試料中の対象の核酸との間のハイブリダイゼーションを促進する試薬を指し、本明細書において、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、フィコール、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
より具体的には、ステップ(d)において、前述の試料と接触した後、乾燥した必要な試薬1は、試料に溶解する。破壊された細胞構造から放出された対象の核酸、もしくは無細胞核酸としての存在、またはそれらの組み合わせは、プレート表面の相補的な捕捉プローブにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションに使用される時間は、主にQMAXカード1の内面のスペーサの仕様によって異なる。いくつかの実施形態では、例えば、高さが30μmのスペーサを有するQMAXカード1が使用される場合、実験データは、2分後に、対象の核酸と固定化捕捉プローブとの間のハイブリダイゼーションが平衡に達したことを示した。本明細書の図6(d)で使用される場合、「ハイブリダイズされていない核酸」は、固定化された捕獲プローブによって捕獲されない核酸を指す。
【0106】
より具体的には、ステップ(e)において、第2のプレート(QMAXカード1)が第1のプレート(基板)から取り外され、第1のプレート(基板)の表面がスポンジを使用して洗浄される。本明細書で使用される場合、「スポンジ」は、異なる圧力下で孔径を変化させる可撓性の多孔質材料の種類を指す。洗浄緩衝剤を含むスポンジは、汚染物質を除去するために第1のプレート表面と接触している。いくつかの実施形態では、スポンジは第1のプレート表面と1回接触している。他のいくつかの実施形態では、スポンジは、第1のプレート表面と2回または3回以上接触している。本明細書で使用される場合、「汚染物質」は、核酸増幅反応に有害である細胞残屑、タンパク質、非特異的核酸などが挙げられるが、これらに限定されない化合物を指す。
【0107】
より具体的には、ステップ(f)において、第3のプレート(QMAXカード2)は、試料と接触して第1のプレートの内面へ押圧されて、デバイスの閉鎖構成を形成する。核酸増幅に必要な試薬2は、第1のプレートもしくは第3のプレートまたは両方の内面上で乾燥形態、あるいは例えば、パラフィンなどの温度が上昇すると融解する材料に閉じ込められたか、埋め込まれたか、またはそれによって包囲された液体形態のいずれかであってもよい。
【0108】
本明細書で使用される場合、「核酸増幅」には、試料中の標的分子を増幅すること(その多数のコピーを生成すること)によって核酸を検出するために使用される任意の技術が含まれ、本明細書では、「標的」は、対象の核酸の配列または部分配列を指す。好適な核酸増幅技術としては、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、タッチダウンPCR、逆転写PCR、RACE PCR、デジタルPCRなどの異なるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法、および等温増幅方法、例えば、ループ介在等温増幅、鎖置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅、ローリングサークル増幅、およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で使用される場合、「必要な試薬2」としては、プライマー、デオキシヌクレオチド(dNTP)、二価カチオン(例えば、Mg2+)、一価カチオン(例えば、K+)、緩衝液、酵素、およびレポーターが挙げられるが、これらに限定されない。核酸増幅に必要な試薬2は、第1のプレートもしくは第2のプレートまたは両方の内面上で乾燥形態、あるいは例えば、パラフィンなどの温度が上昇すると融解する材料に閉じ込められたか、埋め込まれたか、またはそれによって包囲された液体形態のいずれかであってもよい。
【0110】
本明細書で使用される場合、「プライマー」は、いくつかの実施形態では、一対の順方向プライマーおよび逆方向プライマーを指し得る。いくつかの実施形態では、プライマーは、複数のプライマーまたはプライマーセットを指し得る。本明細書で使用される場合、核酸増幅に適した酵素としては、DNA依存性ポリメラーゼ、またはRNA依存性DNAポリメラーゼ、またはDNA依存性RNAポリメラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書で使用される場合、「レポーター」という用語は、核酸分子に結合するか、もしくは核酸分子内にインターカレートすることができるか、または増幅プロセスの副産物によって活性化されて、核酸分子または増幅プロセスの可視化を可能にすることができる、任意のタグ、標識、または染料を指す。好適なレポーターとしては、蛍光標識もしくはタグもしくは染料、インターカレート剤、分子ビーコン標識、もしくは生物発光分子、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
より具体的には、ステップ(g)において、デバイスが閉鎖構成にあるとき、放射線源は、第1のプレートもしくは第3のプレートまたは両方の内面または外面上の放射線吸収層に電磁波を発射する。放射線吸収層は、電磁波を吸収し、かつ前述の電磁波からのエネルギーの少なくとも実質的な部分を熱の形態に変換し、それが閉鎖したチャンバ内の試料に伝達されるように構成されている。いくつかの実施形態では、放射線源は、周囲温度から98℃の範囲で前述の試料の温度を調節するようにプログラムされている。いくつかの実施形態では、例えば、従来のPCRについて、試料は、最初に98℃に加熱され、次いで15〜40回にわたって94℃、50〜65℃、および72℃の繰り返しサイクルを受ける。いくつかの実施形態では、例えば、等温増幅について、試料の温度は、一定温度に維持される。いくつかの実施形態では、例えば、LAMPを介して等温増幅を行う場合、試料は、約1〜70分間60〜65℃に加熱される。
【0113】
本明細書で使用される場合、「核酸増幅産物」は、核酸増幅技術によって生成される様々な核酸を指す。本明細書における核酸増幅産物のタイプとしては、一本鎖DNA、一本鎖RNA、二本鎖DNA、直鎖状DNA、または環状DNAなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、核酸増幅産物は、同じ長さおよび構成を有する同一の核酸であってもよい。いくつかの他の実施形態では、核酸増幅産物は、異なる長さおよび構成を有する複数の核酸であってもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、核酸増幅後に蓄積された核酸は、レポーターを使用して定量化される。上記で定義および使用されるように、レポーターは、閉鎖したチャンバ内に蓄積された核酸アンプリコンの有無または量と相関する定量化可能な特徴を有する。
【0115】
QMAXのいくつかの実施形態では、プレートのうちの一方または両方の試料接触領域は、COF後にどれだけの流動が生じたかを監視するように構成された圧縮オープンフロー監視表面構造(MSS)を含む。例えば、MSSは、いくつかの実施形態では、試料中の構成成分(例えば、血液中の血球)に摩擦を引き起こす浅い正方形のアレイを備える。試料の一部の構成成分の分布を確認することによって、試料およびその構成成分のCOFの下での流動に関する情報を取得することができる。
【0116】
MSSの深さは、スペーサの高さの1/1000、1/100、1/100、1/5、1/2、または任意の2つの値の範囲であってもよく、かつ突出部またはウェルのいずれかの形態であってもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層をアッセイするためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、クランプとを備え、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iii.プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定されたスペーサを備え、
iv.スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、スペーサのうちの少なくとも1つが試料接触領域内にあり、
v.クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮して、2つのプレートを一緒に閉鎖構成で固定し、プレート上に挿入されたクランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離されており、プレート間の間隔はスペーサによって調整されず、試料がプレートのうちの一方または両方の上に付着され、
開放構成で試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつプレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサによって調整される、デバイス。
【0118】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサと、クランプとを備え、
vi.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
vii.プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
viii.プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定されたスペーサを備え、
ix.スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、スペーサのうちの少なくとも1つが試料接触領域内にあり、
x.クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮して、2つのプレートを一緒に閉鎖構成で固定し、プレート上に挿入されたクランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離されており、プレート間の間隔はスペーサによって調整されず、試料がプレートのうちの一方または両方の上に付着され、
開放構成で試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつプレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサによって調整され、
プレートおよびクランプが、試料の温度を10℃/秒以上の速度で変化させることを可能にするように構成されている、デバイス。
【0119】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、第1のプレートと、第2のプレートと、スペーサとを備え、
iii.第1のプレートが、100μm(ミクロン)以下の厚さを有し、
iv.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
v.プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
vi.プレートのうちの一方または両方が、それぞれのプレートに固定されたスペーサを備え、
vii.スペーサが、200ミクロン以下である所定の実質的に均一な高さを有し、
viii.スペーサのうちの少なくとも1つが試料接触領域内にあり、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離されており、プレート間の間隔はスペーサによって調整されず、試料がプレートのうちの一方または両方の上に付着され、
開放構成で試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつプレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつプレートおよびスペーサによって調整され、
プレートおよびクランプが、試料の少なくとも一部の温度を10℃/秒以上の速度で変化させることを可能にするように構成されている、デバイス。
【0120】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのデバイスであって、
第1のプレートと、第2のプレートと、クランプとを備え、
i.第1のプレートおよび第2のプレートが、開放構成および閉鎖構成を含む異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.プレートの各々が、そのそれぞれの表面上に、アッセイされる流体試料と接触するための試料接触領域を備え、
iii.クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮して、プレートを閉鎖構成で固定し、プレート上に挿入されたクランプの圧力が、0.01kg/cm^2以上であり、
開放構成では、2つのプレートが部分的または完全に分離されており、プレート間の平均間隔が250μm以上であり、試料がプレートのうちの一方または両方の上に付着され、
開放構成で試料が付着された後に構成される閉鎖構成では、試料の少なくとも一部が、2つのプレートによって圧縮されて実質的に均一な厚さの層になり、かつプレートに対して実質的に停滞し、層の均一な厚さが、2つのプレートの試料接触領域によって制限され、かつ200μm以下の厚さである、デバイス。
【0121】
いくつかの実施形態では、均一な厚さの試料の少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、試料の少なくとも一部および放射線吸収層の領域が、均一な厚さよりも実質的に大きい、いずれかの先行する実施形態のデバイス。
【0122】
いくつかの実施形態では、試料の少なくとも一部および放射線吸収層の領域が、試料の均一な厚さよりも実質的に大きい、いずれかの先行する実施形態のデバイス。
【0123】
いくつかの実施形態では、デバイスのプレートのうちの1つの厚さが、100μm以下である。
【0124】
いくつかの実施形態では、均一な厚さの試料の少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、デバイスのプレートのうちの1つの厚さが100μm以下である。
【0125】
いくつかの実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートを閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、プレート上に挿入されたクランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である。
【0126】
いくつかの実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートを閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、かつ均一な厚さの試料の少なくとも一部の近くに放射線吸収層をさらに備え、プレート上に挿入されたクランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である。
【0127】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層の温度を急速に変化させるためのシステムであって、
i.いずれかの先行する実施形態のデバイスと、
ii.放射線吸収層が著しく吸収する電磁波を放射するように構成された、放射線源と、
iii.放射線源を制御し、試料の温度を変化させるように構成されたコントローラと
を備える、システム。
【0128】
いくつかの実施形態では、薄い流体試料層の温度を急速に変化させるための方法であって、
i.いずれかの先行する実施形態のデバイスまたはシステムを提供するステップと、
ii.デバイスのプレートのうちの一方または両方の上に流体試料を付着させるステップと、
iii.iiの後、プレートを閉鎖構成になるように押圧するステップであって、プレートが試料の少なくとも一部を圧縮して200μm未満の厚さの薄層にする、ステップと、
iv.放射線源からの電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を変化させることによって、試料層の温度を変化させかつ維持するステップと
を含む、方法。
【0129】
いくつかの実施形態では、クランプが、クランプとプレートとの間の熱伝導を低減するための断熱層を備えるように構成され、断熱層が、2W/m−Kの熱伝導率の材料を含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0130】
いくつかの実施形態では、クランプが、試料を加熱または冷却する必要がある熱質量を低減するための断熱層を備えるように構成され、断熱層が、2W/m−Kの熱伝導率の材料を含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0131】
いくつかの実施形態では、閉鎖構成において、クランプが、QMAXカード全体を密封するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0132】
いくつかの実施形態では、閉鎖構成において、クランプが、プレートの表面の一部と熱伝導接触するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0133】
いくつかの実施形態では、閉鎖構成において、クランプが、プレートの周辺表面領域のみと熱伝導接触する、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0134】
いくつかの実施形態では、閉鎖構成において、クランプが、プレートの表面領域のみと熱伝導接触し、表面領域は、核酸が増幅される試料の一部分の外側にある、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0135】
いくつかの実施形態では、クランプが、外側の光がプレートに入ることまたはプレートの内側の光が外に出ることを可能にする透明な窓を備える、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0136】
いくつかの実施形態では、クランプが、外側の光がプレートに入ることまたはプレートの内側の光が外に出ることを可能にする透明な窓を備え、透明度が、30%超、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0137】
いくつかの実施形態では、クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、圧力が、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、400kg/cm2であるか、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0138】
いくつかの実施形態では、クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、圧力が0.1kg/cm2〜20kg/cm2である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0139】
いくつかの実施形態では、クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、圧力が0.1kg/cm2〜20kg/cm2である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0140】
いくつかの実施形態では、クランプが、第1のプレートおよび第2のプレートを圧縮するために圧力を導入し、圧力が0.5kg/cm2〜40kg/cm2である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0141】
いくつかの実施形態では、第1のプレートおよび第2のプレートを閉鎖構成において一緒に圧縮するクランプをさらに備え、かつ第1のプレートの少なくとも一部と第2のプレートの間に密封材料をさらに備え、プレート上に挿入されたクランプの圧力が0.01kg/cm^2以上である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0142】
いくつかの実施形態では、スペーサが、実質的に平坦な頂部を有する、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0143】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの1つが50μm以下である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。いくつかの実施形態では、試料の温度を変化させることが、温度を周期的に上下に変化させる熱サイクリングである、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0144】
いくつかの実施形態では、試料の温度を変化させることが、ポリメラーゼ連鎖動作(PCR)を使用した核酸の増幅のための熱サイクリングである、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0145】
いくつかの実施形態では、試料の温度の変化が、核酸の等温増幅のためである、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0146】
いくつかの実施形態では、試料の少なくとも一部および放射線吸収層の領域が、均一な厚さよりも実質的に大きい、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0147】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、ディスク結合ドットオンピラーアンテナ(disk−coupled dots−on−pillar antenna)(D2PA)アレイ、シリコンサンドイッチ、グラフェン、超格子、または他のプラズモン材料、それらの他の組み合わせを含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0148】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、カーボンもしくはブラックナノ構造またはそれらの組み合わせを含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0149】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、放射線エネルギーを吸収するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0150】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、放射線エネルギーを吸収した後、熱の形態でエネルギーを放射するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0151】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、試料層の下に、かつ試料層と直接接触して位置付けられている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0152】
いくつかの実施形態では、放射線吸収層が、電波、マイクロ波、赤外線波、可視光、紫外線波、X線、ガンマ線、および熱放射からなる群から選択される電磁波を吸収するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0153】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの少なくとも1つは、放射線吸収層が吸収する放射線を遮断しない、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0154】
いくつかの実施形態では、プレートのうちの一方または両方が、低い熱伝導率を有する、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0155】
いくつかの実施形態では、試料層の前記均一な厚さが、プレートのうちの一方または両方に固定された1つ以上のスペーサによって調整される、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0156】
いくつかの実施形態では、試料が、予混合されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)媒体である、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0157】
いくつかの実施形態では、デバイスが、所定のプログラムに従って試料の温度を変化させるためのPCRアッセイを促進するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0158】
いくつかの実施形態では、デバイスが、診断試験、健康管理、環境試験、および/または法医学的試験を行うように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0159】
いくつかの実施形態では、デバイスが、DNA増幅、DNA定量化、選択的DNA単離、遺伝分析、組織適合検査、癌遺伝子同定、感染症試験、遺伝子指紋法、および/または父子鑑定を行うように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0160】
いくつかの実施形態では、試料層が、試料蒸発を低減するために横方向に密封されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス。
【0161】
いくつかの実施形態では、電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を制御するように構成されたコントローラをさらに備える、いずれかの先行する実施形態のシステム。
【0162】
いくつかの実施形態では、試料接触領域またはその近傍の温度を測定し、測定された温度に基づいてコントローラに信号を送信するように構成された温度計をさらに備える、いずれかの先行する実施形態のシステム。
【0163】
いくつかの実施形態では、温度計が、光ファイバ温度計、赤外線温度計、液晶温度計、高温計、水晶温度計、シリコンバンドギャップ温度センサ、温度ストリップ、サーミスタ、および熱電対からなる群から選択される、いずれかの先行する実施形態のシステムまたは方法。
【0164】
いくつかの実施形態では、コントローラが、放射線源からの電磁波の存在、強度、波長、周波数、および/または角度を制御するように構成されている、いずれかの先行する実施形態のシステムまたは方法。
【0165】
いくつかの実施形態では、電磁波が少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜を生じさせ、電磁波の除去が少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように、放射線源および放射線吸収層が構成されている、いずれかの先行する実施形態のシステムまたは方法。
【0166】
いくつかの実施形態では、放射線源および放射線吸収層が、少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜および少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0167】
いくつかの実施形態では、放射線源および放射線吸収層が、PCR中に初期化ステップ、変性ステップ、および/または延伸/伸長ステップに到達するために少なくとも10℃/秒の平均昇温速度傾斜をもたらし、かつPCR中にアニーリングステップおよび/または最終冷却ステップに到達するために少なくとも5℃/秒の平均降温速度傾斜をもたらすように構成されている、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0168】
いくつかの実施形態では、PCRの試料が、鋳型DNA、プライマーDNA、カチオン、ポリメラーゼ、および緩衝剤を含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0169】
いくつかの実施形態では、プレートを閉鎖形態になるように押圧するステップが、プレートを厳密でない押圧力で押圧することを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0170】
いくつかの実施形態では、プレートを閉鎖形態になるように押圧するステップが、プレートを人間の手で直接押圧することを含む、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0171】
いくつかの実施形態では、非常に均一な厚さの層が、10%未満の厚さの変動を有する、いずれかの先行する実施形態の方法。
【0172】
DNA鋳型、プライマー、DNAポリメラーゼ、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)、二価カチオン(例えば、Mg2+)、一価カチオン(例えば、K)、および緩衝液から選択される試薬をさらに含む、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0173】
いくつかの実施形態では、試料の温度を変化させることが、熱サイクリングであり、熱サイクリングが、ホットスタートPCR、ネステッドPCR、タッチダウンPCR、逆転写PCR、RACE PCR、およびデジタルPCRの群から選択されるポリメラーゼ連鎖動作(PCR)を使用した核酸の増幅のためである、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0174】
いくつかの実施形態では、試料の温度の変化が、ループ介在等温増幅、鎖置換増幅、ヘリカーゼ依存性増幅、ニッキング酵素増幅、ローリングサークル増幅、およびリコンビナーゼポリメラーゼ増幅の群から選択される核酸の等温増幅のためである、いずれかの先行する実施形態のデバイス、システム、または方法。
【0175】
柱状ペーサの平坦頂部
本発明のある特定の実施形態では、スペーサは、1つのプレート上に固定された平坦な頂部と足部とを有する柱であり、平坦な頂部は、小さい表面変動を伴う平滑度を有し、変動は、5、10nm、20nm、30nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、1000nm未満、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。好ましい平坦な柱状頂部の平滑度は、50nm以下の表面変動である。
【0176】
さらに、表面変動は、スペーサの高さと相対的であり、スペーサの高さに対する柱状の平坦頂面の変動の比率は、0.5%、1%、3%、5%、7%、10%、15%、20%、30%、40%未満、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。好ましい平坦な柱状頂部の平滑度は、2%、5%、または10%未満であるスペーサの高さに対する柱状の平坦頂面の変動の比率を有する。
【0177】
柱状スペーサの側壁角
本発明のある特定の実施形態では、スペーサは、側壁角を有する柱である。いくつかの実施形態では、側壁角は、5度(表面の法線から測定)、10度、20度、30度、40度、50度、70度未満、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲である。好ましい実施形態では、側壁角は、5度、10度、または20度未満である。
【0178】
厳密でない力押圧による均一な薄い流体層の形成
本発明のある特定の実施形態では、厳密でない力での押圧を使用することによって、均一な薄い流体試料層が形成される。詳細を追加することなく、次いで厳密でない押圧力の定義を追加することなく、「厳密でない押圧力」という用語。本明細書で使用される場合、力の文脈における「厳密でない」という用語(例えば、「厳密でない押圧力」)は、(a)力が加えられた時点で厳密に分かっていないか、または厳密に予測できない大きさを有し、(b)0.01kg/cm(センチメートル平方)〜100kg/cmの範囲の圧力を有し、(c)力を加える毎に大きさが変化し、(d)(a)および(c)の力の非厳密さ(すなわち、変動)が、実際に加えられる力全体の少なくとも20%である、力を指す。
【0179】
厳密でない力は、例えば、親指と人差し指との間で物体を一緒につまむことによって、または親指と人差し指との間で物体を一緒につまみ、擦り合わせることによって、人間の手で加えられ得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、手の押圧による厳密でない力は、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、またはそれらの値のうちのいずれか2つの間の範囲、および0.1kg/cm2〜0.5kg/cm2、0.5kg/cm2〜1kg/cm2、1kg/cm2〜5kg/cm2、5kg/cm2〜10kg/cm2(圧力)の好ましい範囲の圧力を有する。
【0181】
スペーサ充填率
「スペーサ充填率」または「充填率」という用語は、総プレート領域に対するスペーサ接触領域の比率を指し、スペーサ接触領域は、閉鎖構成で、スペーサの頂面がプレートの内面に接触する接触範囲を指し、総プレート領域は、スペーサの平坦頂部が接触するプレートの内面の全領域を指す。2つのプレートが存在し、各スペーサが、各々が1つのプレートに接触する2つの接触面を有するため、充填率は、最小の充填率である。
【0182】
例えば、スペーサが正方形(10μm×10μm)の平坦頂部、ほぼ均一な断面、および2μmの高さを有する柱であり、スペーサが100μmの周期で周期的である場合、スペーサの充填率は、1%である。上記の例で、柱状スペーサの足部が15μm×15μmの正方形である場合、充填率は、定義によって1%のままである。
【0183】
スペーサが、柱形状およびほぼ均一な断面を有する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0184】
スペーサ間距離(SD)が、約120μm(マイクロメートル)以下である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0185】
スペーサ間距離(SD)が、約100μm(マイクロメートル)以下である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0186】
可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD/hE))が、5×10μm/GPa以下である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0187】
可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD/hE))が、5×10μm/GPa以下である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0188】
スペーサが、柱形状、実質的に平坦な頂面、所定の実質的に均一な高さ、および分析物のサイズより少なくとも約2倍大きい所定の一定のスペーサ間距離を有し、スペーサのヤング率×スペーサの充填率が、2MPa以上であり、充填率が、全プレート領域に対するスペーサ接触領域の比率であり、各スペーサについて、スペーサの横寸法対その高さ比率が、少なくとも1である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0189】
スペーサが、柱形状、実質的に平坦な頂面、所定の実質的に均一な高さ、および分析物のサイズより少なくとも約2倍大きい所定の一定のスペーサ間距離を有し、スペーサのヤング率×スペーサの充填率が、2MPa以上であり、充填率が、全プレート領域に対するスペーサ接触領域の比率であり、各スペーサについて、スペーサの横寸法対その高さ比率が、少なくとも1であり、可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で割ったスペーサ間距離(ISD)の4乗(ISD/hE))が、5×10μm/GPa以下である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0190】
スペーサの平均幅に対するスペーサの間隔間距離の比率が、2以上であり、スペーサのヤング率を乗じたスペーサの充填率が、2MPa以上である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0191】
分析物が、タンパク質、ペプチド、核酸、ウイルス、細菌、細胞、ナノ粒子、分子、合成化合物、または無機化合物である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0192】
試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、分画血液、血漿、または血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜汁(chime)、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻漏および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜の分泌物、唾、呼気凝縮液、皮脂、精液、唾液、汗、関節液、涙、嘔吐物、および尿から選択される生体試料である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0193】
スペーサが、柱の形状を有し、柱の幅対高さの比率が、1以上である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0194】
プレートのうちの一方または両方の上に付着した試料が、未知の体積を有する、いずれかの先行する請求項に記載の方法。
【0195】
スペーサが、柱の形状を有し、柱が、ほぼ均一な断面を有する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0196】
試料が、ある特定の疾患の段階と相関する化合物または生体分子の検出、精製、および定量化のためである、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0197】
試料が、感染症および寄生虫症、怪我、心血管疾患、がん、精神障害、神経精神障害、肺疾患、腎疾患、および他の器質性疾患に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0198】
試料が、微生物の検出、精製、および定量化に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0199】
試料が、環境、例えば、水、土壌、または生体試料からのウイルス、真菌、および細菌に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0200】
試料が、食品安全または国家安全保障に危害を及ぼす化学物質または生体試料、例えば、毒性廃棄物、炭疽の検出、定量化に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0201】
試料が、医療用モニターまたは生理学的モニターのバイタルパラメータの定量化に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0202】
試料が、グルコース、血液、酸素レベル、全血球数に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0203】
試料が、バイオ試料からの特定のDNAまたはRNAの検出および定量化に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0204】
試料が、ゲノム分析のための染色体およびミトコンドリアにおけるDNAの遺伝子配列の配列決定および比較に関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0205】
試料が、例えば、医薬品の合成または精製中に反応生成物を検出することに関連する、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0206】
試料が、細胞、組織、体液、および糞便である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0207】
試料が、ヒト、獣医学、農業、食品、環境、および薬物試験の分野の試料である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0208】
試料が、髪、指の爪、耳垢、呼気、結合組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌性試料、または骨から選択される生体試料である、いずれかの先行する請求項に記載の方法またはデバイス。
【0209】
スペーサ間距離が、5μm〜120μmの範囲である、いずれかの先行する請求項に記載のデバイスまたは方法。
【0210】
スペーサ間距離が、120μm〜200μmの範囲である、いずれかの先行する請求項に記載のデバイスまたは方法。
【0211】
可撓性プレートが、20〜250μmの範囲の厚さおよび0.1〜5GPaの範囲のヤング率を有する、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0212】
可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さ×可撓性プレートのヤング率が、60〜750GPa−μmの範囲である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0213】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mmである横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0214】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも3mmである横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0215】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも5mmである横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0216】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも10mmである横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0217】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも20mmである横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0218】
均一な厚さの試料の層が、20mm〜100mmの範囲である横方向領域にわたって均一である、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0219】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−5%以上の厚さの均一性を有する、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0220】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−10%以上の厚さの均一性を有する、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0221】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−20%以上の厚さの均一性を有する、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0222】
均一な厚さの試料の層が、最大+/−30%以上の厚さの均一性を有する、いずれかの先行するデバイスの請求項に記載のデバイス。
【0223】
本発明は、試料中の1つ以上の分析物の有無の決定および/または定量化が望まれる様々な分野において、様々な異なる用途で利用される。例えば、本発明は、原子、分子、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、無機化合物、有機化合物、細菌、ウイルス、細胞、組織、ナノ粒子などの検出で利用される。試料は、ヒト、獣医学、農業、食品、環境、健康、ウェルネス、美容などが挙げられるが、これらに限定されない様々な分野の試料であってもよい。
【0224】
関連文書
本発明は、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、複数の方法で組み合わされ得る、様々な実施形態を含む。実施形態は、単一の発明ファイルと見なされるべきであり、各提出書類は、個別の独立したものとしてではなく、参照として他の提出書類を有し、また、その全体があらゆる目的で参照される。これらの実施形態は、本ファイルの開示だけではなく、本明細書で参照されるか、組み込まれるか、または優先権が主張される文書も含む。
【0225】
(1)定義
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法の説明で使用される用語は、本出願、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号で定義され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0226】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」という用語は、いくつかの実施形態においてはCOFカードがスペーサを備えていないことを除いて互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)になるように互いに対して移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつプレート間の間隔を調整するスペーサ(COFカードのいくつかの実施形態を除く)を備えるデバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカード内の2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサは、このプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのさらなる説明は、2017年2月7日出願の仮出願第62/456065号に示され、これは、あらゆる目的でその全体が本明細書に組み込まれる。
【0227】
(2)Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料検出、分析、および定量化のために、Qカード、スペーサ、および均一な試料厚さの実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を均一性の高い層にするのに役立つスペーサを備える。スペーサの構造、材料、機能、バリエーション、および寸法、ならびにスペーサおよび試料層の均一性は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0228】
(3)ヒンジ、開口ノッチ、凹型縁部、およびスライダ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダを備える。ヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダの構造、材料、機能、バリエーション、および寸法は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0229】
(4)Qカード、スライダ、およびスマートフォン検出システム
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料検出、分析、および定量化のために、Qカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、カードがスマートフォン検出システムによって読み取られることを可能にするスライダと共に使用される。Qカード、スライダ、およびスマートフォン検出システムの構造、材料、機能、バリエーション、寸法、および接続は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0230】
(5)検出方法
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々なタイプの検出方法を含むことができるか、またはそれらの方法で使用され得る。検出方法は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0231】
(6)標識
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々なタイプの標識を用いることができる。標識は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0232】
(7)分析物
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々なタイプの分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用され得る。分析物は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0233】
(8)用途(分野および試料)
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な用途(分やおよび試料)に使用され得る。用途は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0234】
(9)クラウド
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、データ転送、記憶、および/または分析のために、クラウド技術を用いることができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示されるか、またはそれぞれ2016年8月10日および2016年9月14日出願のPCT出願(米国指定)第PCT/US2016/045437号および同第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日出願の米国仮出願第62/456065号、2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456287号、ならびに2017年2月8日出願の米国仮出願第62/456504号に列挙、記載、および要約され、これらの出願は全て、あらゆる目的でそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0235】
追加の注意事項
本開示に従った本発明の主題のさらなる例は、以下に列挙される段落に記載される。
【0236】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないと明確に指示しない限り、例えば、「単一」という語が使用される場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」への言及は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」への言及は、単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」への言及は、単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「薬剤」への言及は、単一の薬剤および複数の薬剤を含む。
【0237】
本明細書で使用される「適合される」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の主題が所与の機能を実行するように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、またはその他の主題が所与の機能を実行することが単に「可能である」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を実行するように構成されているものとして列挙される主題は、追加的または代替的に、その機能を実行するように動作するものとして説明され得る。
【0238】
本明細書で使用される場合、「例えば」という語句、「一例として」という語句、ならびに/または本開示に従った1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/もしくは方法に関して使用される場合の「実施例」および「例示的な」という用語は、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示に従った構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の実例となる非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載された構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定的、必須、または排他的/網羅的であることを意図せず、構造的および/または機能的に同様および/または同等の構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法も、本開示の範囲内である。
【0239】
本明細書で使用される場合、2つ以上の実体のリストに関して「のうちの少なくとも1つ」および「のうちの1つ以上」という語句は、実体のリスト内の実体のうちの1つ以上を意味し、実体のリスト内に具体的に列挙される1つ1つの実体のうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、あるいは同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、A単独、B単独、またはAおよびBの組み合わせを指し得る。
【0240】
本明細書で使用される場合、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、ならびに(3)第1の実体および第2の実体のうちの1つを意味する。「および/または」と共に列挙される複数の実体は、同じように、すなわち、そのように等位結合された実体のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された実体に関連するかどうかに関係なく、「および/または」という句で具体的に特定された実体以外の他の実体が任意に存在し得る。
【0241】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、および一方のエンドポイントが含まれ、他方が除外される実施形態を含む。別途記載のない限り、両方のエンドポイントが含まれると想定されるべきである。さらに、別途記載のない限り、または文脈および当業者の理解から明白でない限り。
【0242】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、本開示の組み込まれていない部分、または他の組み込まれた参考文献のうちのいずれか、のいずれかと(1)矛盾する方法で用語を定義する場合、および/または(2)別様に矛盾している場合、本開示の組み込まれていない部分が優先するものとし、その中の用語または組み込まれた開示は、その用語が定義され、かつ/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ優先するものである。
【0243】
追加の注意事項
本開示に従った本発明の主題のさらなる例は、以下に列挙される段落に記載される。
【0244】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうではないと明確に指示しない限り、例えば、「単一」という語が使用される場合を除き、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」への言及は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」への言及は、単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」への言及は、単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「薬剤」への言及は、単一の薬剤および複数の薬剤を含む。
【0245】
本明細書で使用される「適合される」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の主題が所与の機能を実行するように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、またはその他の主題が所与の機能を実行することが単に「可能である」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を実行するように構成されているものとして列挙される主題は、追加的または代替的に、その機能を実行するように動作するものとして説明され得る。
【0246】
本明細書で使用される場合、「例えば」という語句、「一例として」という語句、ならびに/または本開示に従った1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/もしくは方法に関して使用される場合の「実施例」および「例示的な」という用語は、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示に従った構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の実例となる非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載された構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定的、必須、または排他的/網羅的であることを意図せず、構造的および/または機能的に同様および/または同等の構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、機能、詳細、構造、実施形態、および/または方法も、本開示の範囲内である。
【0247】
本明細書で使用される場合、2つ以上の実体のリストに関して「のうちの少なくとも1つ」および「のうちの1つ以上」という語句は、実体のリスト内の実体のうちの1つ以上を意味し、実体のリスト内に具体的に列挙される1つ1つの実体のうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、あるいは同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、A単独、B単独、またはAおよびBの組み合わせを指し得る。
【0248】
本明細書で使用される場合、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、ならびに(3)第1の実体および第2の実体のうちの1つを意味する。「および/または」と共に列挙される複数の実体は、同じように、すなわち、そのように等位結合された実体のうちの「1つ以上」と解釈されるべきである。具体的に特定された実体に関連するかどうかに関係なく、「および/または」という句で具体的に特定された実体以外の他の実体が任意に存在し得る。
【0249】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、および一方のエンドポイントが含まれ、他方が除外される実施形態を含む。別途記載のない限り、両方のエンドポイントが含まれると想定されるべきである。さらに、別途記載のない限り、または文脈および当業者の理解から明白でない限り。
【0250】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、本開示の組み込まれていない部分、または他の組み込まれた参考文献のうちのいずれか、のいずれかと(1)矛盾する方法で用語を定義する場合、および/または(2)別様に矛盾している場合、本開示の組み込まれていない部分が優先するものとし、その中の用語または組み込まれた開示は、その用語が定義され、かつ/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ優先するものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】