特表2020-508240(P2020-508240A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-508240物質を取り出すための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-508240(P2020-508240A)
(43)【公表日】2020年3月19日
(54)【発明の名称】物質を取り出すための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B28B 1/30 20060101AFI20200225BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20200225BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20200225BHJP
   B29C 64/35 20170101ALI20200225BHJP
【FI】
   B28B1/30
   B33Y30/00
   B33Y10/00
   B29C64/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-545327(P2019-545327)
(86)(22)【出願日】2018年2月13日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月18日
(86)【国際出願番号】ES2018070102
(87)【国際公開番号】WO2018154158
(87)【国際公開日】20180830
(31)【優先権主張番号】17382090.3
(32)【優先日】2017年2月23日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515275421
【氏名又は名称】ロラメンディ,エセ.クープ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス オリーヴ,ルイス アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】オリア アバラテギ,アレサンダー
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WA54
4F213WA67
4F213WB01
4F213WW21
4G052DA05
4G052DB12
4G052DC01
4G052DC06
(57)【要約】
作業箱(100)の中で粒状物質を使った付加製造法を用いて得られた物質を取り出す方法およびそのシステムに関する。目的物質(1)は製造された後固化していない粒状物質から取り出す方法において、前記目的物質(1)と前記固化していない粒状物質(2)を作業箱(100)の中のプラットフォーム(101)にのせることから開始する。プラットフォーム(101)は前期固化していない粒状物質を取り除くための穴(101a)を備え、前記穴(101a)は前期排出のために制御された様式で開放し、粒状物質(2)から物質(1)を分離し、物質(1)を取り出す。この取り出しを行うために、作業箱(100)を制御して異なった方向に傾斜させる、その際プラットフォーム(101)の穴(101a)を開放し、粒状物質(2)を移動させ、前記穴(101a)から排出を容易にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業箱(100)内で粒状物質から付加製造法により得られた目的物質を取り出すための排出方法であって、
前記方法により目的物質(1)は、その製造後に、固化していない粒状物質(2)から取り出され、
前記方法は、目的物質(1)と固化していない粒状物質(2)とが作業箱(100)のプラットフォーム(101)の上に置かれることから始まり、
前記プラットフォーム(101)は多数の穴(101a)を有し、この穴(101a)は固化していない粒状物質(2)を通過させて作業箱(100)から排出するためのものであり、
穴(101a)が上記取り出しのために開放するよう制御されることで、目的物質(1)は固化していない粒状物質(2)から分離されて目的物質(1)が取り出され、
前記取り出しを実行するために、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開放した状態で、作業箱(100)内に存在する固化していない粒状物質(2)を動き回らせて穴(101a)を通ってより容易に排出するために、作業箱(100)の異なる複数方向への傾きが発生し、
また前記取り出しを実行するために、上記方法において、作業箱(100)は取り出しステーション(200)に移動し、排出ステーション(200)は支持体(201)を有し、支持体(201)は複数の支持領域の上に保持されており、支持領域は高さ方向に可動であり、
作業箱(100)は取り出しステーション(200)の支持体(201)に連結し、これらが連結した状態で作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開放し、
支持領域の垂直方向の動きが制御されることによって支持体(201)が傾き、支持領域の上で支持体(201)が保持されることによって作業箱(100)の傾きが生じる、取り出し方法。
【請求項2】
取り出しステーション(200)の支持体(201)は正方形または長方形の底面を有し、支持体(201)は4つの支持領域の上に保持されており、支持領域のそれぞれは支持体(201)の角の1つの近く又は下に配置されている、請求項1に記載の取り出し方法。
【請求項3】
支持体(201)は排出ステーション(200)の構造体(202)の上に配置され、
取り出しステーション(200)はさらに複数の膨張可能要素(203)を備えており、
これら膨張可能要素(203)は構造体(202)と支持体(201)の間に配置され、
膨張可能要素(203)のそれぞれは、支持体(201)が保持されている支持領域の少なくとも1つを包含しており、
膨張可能要素(203)のそれぞれが制御された方法により膨張または収縮することによって、対応する支持体(201)の傾きと支持体(201)に連結する作業箱(100)の傾きとが発生する、請求項1または2に記載の取り出し方法。
【請求項4】
膨張可能要素(203)は独立して制御され、膨張可能要素(203)のそれぞれは好ましくは単一の対応する支持領域を備える、請求項3に記載の取り出し方法。
【請求項5】
さらに、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開放すると作業箱(100)の振動が生じる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の取り出し方法。
【請求項6】
粒状物質を使った付加製造法により生成した物質を取り出すための取り出しシステムであって、
目的物質(1)が製造される作業箱(100)を有し、
目的物質(1)が製造された後には、目的物質(1)と固化していない粒状物質(2)とをプラットフォーム(101)の上に配置し、
プラットフォーム(101)は複数の穴(101a)を備え、固化していない粒状物質(2)が穴(101a)を通して作業箱から排出され、
システム(300)は、穴(101a)の開放を制御して前記排出を行うための動作手段(103)と、さらに、作業箱(100)が異なる複数方向に傾くように制御するための追加動作手段(104)を有し、
さらにシステム(300)の特徴として、固定した構造体(202)と、構造体(202)の上に配置され自由に運動する支持体(201)と、を備える取り出しステーション(200)を有し、
支持体(201)と作業箱(100)とは、互いに結合するように構成されることによって互いに一体的に運動し、
支持体(201)は空洞(201b)を備え、プラットフォーム(101)の穴(101a)を通して固化していない粒状物質(2)が排出されるように、空洞(201b)の上に作業箱(100)のプラットフォーム(101)の少なくとも一部分が配置され、その結果、支持体(201)が取り出しステーション(200)に対して傾いて配置される、取り出しシステム。
【請求項7】
追加の動作手段(104)が取り出しステーション(200)に設置され、
複数の膨張可能要素(203)が、支持体(201)と支持体(200)が保持された構造体(202)との間に配置され、
膨張可能要素(203)のそれぞれの膨張及び収縮が制御されることによって、対応する傾斜が引き起こされる、請求項6に記載の取り出しシステム。
【請求項8】
膨張可能要素(203)は支持体(201)の外端の下に配置され、前記支持体(201)の空洞(201b)の下に、少なくとも部分的に開放された空間が形成される、請求項7に記載の取り出しシステム。
【請求項9】
取り出しステーション(200)の中に、支持体(201)と連動する振動手段を備え、
これによって、支持体(201)と、支持体(201)に連結する作業箱(100)とに、振動を発生させる、請求項6〜8のいずれかに記載の取り出しシステム。
【請求項10】
支持体(201)が、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)の開放を制御した開放するための動作手段(103)を備え、
作業箱(100)が支持体(201)と結合しているとき、動作手段(103)がプラットフォーム(101)と結合すように、作業箱(100)とプラットフォーム(101)とが配置される、請求項6〜9のいずれか1項に記載の取り出しシステム。
【請求項11】
プラットフォーム(101)は、互いに重なり合う少なくとも2枚のプレート(102)を備え、
動作手段(103)がプレート(102)の1つと結合し、
各プレートは互いに重なり合い、一つのプレート(102)に動作手段(103)が結合し、
1つのプレート(102)が他のプレート(102)に対して長手方向に動き、
プレート(102)のそれぞれが複数の穴(102a)を有する、請求項10に記載の取り出しシステム。
【請求項12】
プラットフォーム(101)が、サンドイッチ状に重なり合った3枚のプレート(102)を備え、
中間のプレート(102)が動作手段(103)に結合し、他の2枚のプレート(102)と同じ位相の穴(102a)を備える、請求項11に記載の取り出しシステム。
【請求項13】
取り出しステーション(200)が、作業箱(100)上に、作業箱(100)の内容物を加熱するための加熱プレート(109)を備える、請求項6〜12のいずれか1項に記載の取り出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を取り出すための方法およびシステムに関する。より具体的には、付加製造法により生成した物質を取り出すための方法およびシステムに関する。前記付加製造法では、生成した物質は固化していない粒状物質の中に含有されている。
【背景技術】
【0002】
砂中子は一般に、通常の砂を使った装置を使って製造される。この際、各製造サイクルで製造される形状(または製造される中子)は型で決まる。次に、中子を作るために使用される材料を型に注ぎ、その材料を固化または硬化し、その結果固体になる。その結果が砂中子である。使用される材料は、粒状物質(砂の1種)であり、少なくとも1つの添加剤またはバインダー(たとえば、樹脂の一種)と混合される。
【0003】
近年、別の砂中子の製造方法として、付加製造法または3D製造法が導入されている。付加製造では、目的物質(中子)は粒状材料と砂を固化する添加剤とから製造される。砂と添加剤は作業箱の中で層状に配置され、添加物層は目的の粒状物質の上にのみ配置される(生成される物質の形状によって異なる)。プロセスの最後に、添加物によって固化して生成した目的物質、および添加物が含浸されていない粒状物質(固化していない粒状物質)は共に作業箱の中に残る。したがって、前記固化していない粒状物質を目的物質から分離する必要がある。すなわち、目的物質を取り出す必要がある。
【0004】
このように生成された目的物質は固体状態であるが、一般に壊れやすく、ロボットを使ってそれらを固化していない粒状物質から分離しようとすると、壊れる危険性が高いので、しばしば取り扱いが不可能である。したがって、それらを取り出すには、他のそれほど攻撃的でない方法を採用する必要がある。1つの既知の方法は、作業箱に穴を設けたプラットフォームを利用することである。この穴は制御された様式で開放され、それらを開放することで、前記作業箱に残った固化していない粒状物質をその穴から重力によって排出する。
【0005】
このタイプのシステムの問題は、すべての固化していない粒状物質が穴に沿って残留しているわけではないことである。そのため、前記穴を通して前記材料、または少なくとも必要な部分を排出することができない場合が多い。この問題を解決するために、特許文献US2015/0258744A1には、追加の穴をプラットフォームに組み込み、穴を通して下から流体を導入し、作業箱内に存在する固化していない粒状物質の流動床を生成するシステムについて記載されている。この例では、少なくとも追加の噴射ノズルとフィルターを使用する必要がある。さらに、この解決法では、流体がすべての固化していない粒状物質に、特に目的物質上および/または作業室の上部にある材料に、到達することは保証されない。
【0006】
特許文献WO2007/139938A2は3Dプリンタで粉体を処理する方法および装置を開示している。その装置は粉末を複数の供給源から粉末分配装置に輸送する手段を含み、さらに、振動を発生させて粉末の除去を促す振動メカニズムを含む。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、特許請求の範囲に定義された通りの、粒状物質を使った付加製造法により生成した目的物質を取り出すための方法およびシステムを提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様は、作業箱内で粒状物質を用いた付加製造法により製造された物質を取りだすための方法に関する。製造サイクルが終了し目的物質が生産された後に、目的物質を取り出して、作業箱内で前記目的物質と共存している固化していない粒状物質から分離する必要がある。この方法は、作業箱のプラットフォームの上に、前記目的物質と前記固化していない粒状物質とを配置することから始まる。
【0009】
前記プラットフォームは、作業箱の下部を構成し、重力によって作業箱から固化していない粒状物質を排出するための穴を備えている。目的物質が製造されているとき、その穴は閉じられている。本発明の取り出し方法では、制御された方法でその穴を開放することによって、固化していない粒状材料を排出する。これにより、固化していない粒状物質が目的物質から分離され、生成した目的物質のみが作業箱に残り、目的物質が取り出される。
【0010】
本発明の取り出しを実行するために、さらに、作業箱のプラットフォームの穴を開放した状態で、作業箱が異なる複数方向に傾斜するように制御する。それにより、作業箱内に存在する固化していない粒状物質が動き回り、より簡単に前記穴を通って作業箱から排出される。たとえば、作業箱内での目的物質の激しい移動を防止し目的物質が壊れる危険を防ぐことができるように、望ましい順序と方向、角度で傾斜するように制御される。
【0011】
さらに、異なる複数方向へ傾斜させることにより、作業箱の異なる領域に存在する固化していない粒状物質を、プラットフォームの穴の上に配置して、より簡単に排出する。したがって、目的物質の取り出しは、少なくともより容易に単純な方法で破壊のリスクなく達成される。
【0012】
この取り出し方法は以下のように実行される。作業箱は、取り出しステーションに移動される。この取り出しステーションは、高さ方向に可動の複数の支持体に支持された、支持体を備えている。作業箱は取り出しステーションの支持体に連結する。連結後、作業箱のプラットフォームの穴が開放する。その後、支持体が傾斜する。その傾斜は支持体領域の制御された垂直移動によって引き起こされる。支持体領域の上には、作業箱の傾斜を生じさせるため、支持体が保持される。
【0013】
本発明の第2の態様は、粒状物質を用いた付加製造法により生成した物質の取り出しシステムに関する。本システムは、目的物質が製造される作業箱を含み、前記作業箱は、固化していない粒状材料と製造された目的物質とが配置されたプラットフォームを備え、前記プラットフォームは、固化されていない粒状物質が重力により通過排出される穴を備える。さらに本システムは、前記排出のために制御された方法で前記穴を開放するのに適した作動手段を備える。
【0014】
さらに本システムは、異なる複数方向に作業箱が傾斜するように制御するための、追加の動作手段を備える。
【0015】
さらに本システムは、固定した構造体の取り出しステーションと前記固定した構造体上で自由に動く支持体とを有する。支持体と作業箱はお互いに連結するように構成されるため、お互いに一体的に動作する。支持体は空洞を備えており、作業箱のプラットフォームが前記空洞に部分的につながる。こうして、固化していない粒状物質がプラットフォームを通って降下して前記空洞から排出される。支持体は構造体に対して傾斜するように配置されている。
【0016】
これにより、前記の方法について言及した同じ利点が、本システムにおいて達成される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の利点および特徴は、図面および本発明の詳細な開示により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の取り出しシステムの実施形態における作業箱の概念図を示す。作業箱は本システムにおける取り出しステーションに配置されている。
図2図2は、図1の装置の作業箱を概略的に示す。ここで作業箱は傾斜している。
図3a図3aは、図1のシステムの作業箱のプラットフォームを示す。ここではプラットフォームの穴は閉じられている。
図3b図3bは、図1のシステムの作業箱のプラットフォームを示す。ここではプラットフォームの穴は開いている。
図4図4は、図1のシステムに配置した加熱プレートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の方法は、粒状物質を使った付加製造法において生成した物質(1)の取り出しに適している。粒状物質としては例えば砂が用いられる場合には、作業箱(100)中で得られた砂中子を取り出すことに特に適している。この種の砂中子製造では、砂層と樹脂層が交互に作業箱(100)内で積層されている。その中に使われる樹脂は、製造される目的物体(1)の形状により選択されるが、一方、通常は、砂はその形状に制限なく使用される。その結果、図1および図2に例として示すように、生成された目的物質(1)(砂と樹脂の混合物)は、樹脂と混合していない固化していない粒状物質(2)(砂)と共に作業箱(100)の中に残る。本発明の方法によって、目的物質(1)は固化していない粒状物質(2)から分離され、前記目的物質(1)が取り出される。
【0020】
作業箱(100)において製造が終了すると、目的物質(1)と固化していない粒状物質(2)とが前記作業箱(100)のプラットフォーム(101)上に配置される。プラットフォーム(101)は、多数の穴(101a)を備える。この穴を通し固化していない粒状物質(2)は作業箱(100)から重力により排出される。この排出は、図1に(2a)として例示されている。前記の穴(101a)は必要な前記排出をおこなうために制御された様式で開放される。それにより、目的物質(1)は固化されていない粒状物質(2)から分離される。図1に示すように、プラットフォーム(101)は水平であることが好ましい。
【0021】
本方法では、取り出しを行うために、作業箱(100)は異なる複数方向に傾くように制御される。この際、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)は開いた状態にある。このため、作業箱(100)内に存在する固化していない粒状物質(2)が動き回って、プラットフォーム(101)の穴(101a)を通った排出が容易になる。図2は、例として、作業箱(100)が特定の方向へ傾斜した状態を示す。本発明の方法は、作業箱(100)を異なる複数方向へ傾斜させることを含む。
【0022】
異なる複数方向への傾斜は、一つの方向から他の方向へ交互に繰り返される。このため固化していない粒状物質(2)が常に全方向に動き回ることができる。傾斜反復は、さらに必要と判断された場合、追加で実行される。生成される目的物質(1)に応じて、おもにその形状および/または大きさにより、求められる傾斜は様々である。傾斜の回数、方向や、その強さ、時間は変わり、各々の場合で傾斜の条件は調整される。したがって、様々な場合において、利用者は条件をカスタマイズし、異なった場合ごとに異なった条件を選択し、異なった場合ごとに最適な条件を選択することができる。
【0023】
目的物質(1)が生成された後に取り出しを行うためには、プラットフォーム(101)の穴(101a)を開く前に、作業箱(100)を取り出しステーション(200)に移動する。取り出しステーション(200)は支持体(201)を有し、支持体(201)は高さ方向に可動であって、前記取り出しステーション(200)に設けられた複数の可動領域の上に保持されている。さらに、作業箱(100)は排出ステーション(200)の支持体(201)に結合し、結合した後に作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開放され、固化していない粒状物質(2)の排出ができるようになる。そして、前記支持体(201)が傾斜することにより作業箱(100)が傾斜する。所定の傾斜(好ましくは異なる複数の支持領域を交互に動かすことによる傾斜)は、支持体(201)が置かれている支持領域の垂直運動が制御されることによって引き起こされる。支持領域の各動作が支持体(201)の傾きに変換され、したがって作業箱(100)が傾斜する。
【0024】
好ましい実施形態では、取り出しステーション(200)の支持体(201)は正方形または長方形の底面を有し、前記支持体(201)は4つの支持領域の上に保持されており、各支持領域は支持体(201)の角の1つの近く又は下にある。これにより、支持領域の動きに応じて、支持体(201)が複数の方向に容易に傾くことができる。作業箱(100)は支持体(201)に結合しているため、作業箱(100)が支持体(201)と共に傾斜する。
【0025】
好ましい実施形態では、支持体(201)は、取り出しステーション(200)の構造体(202)の上に配置される。取り出しステーション(200)は、構造体(202)と支持体(201)との間に配置された複数の膨張可能要素(203)を有する。したがって、支持体(201)は膨張可能要素(203)の上に保持されている。各膨張可能要素(203)は、少なくとも一つの支持領域に配置されており、膨張可能要素(203)の上に支持体(201)が保持される。好ましくは、膨張可能要素(203)のそれぞれが単独の支持領域を含み、対応する膨張可能要素(203)は、制御された方法で膨張および/または収縮して支持領域を動かし、支持体(201)に対応する傾斜を引き起こす。その結果、前記支持体(201)に結合された作業箱(100)にも傾斜が引き起こされる。異なった複数の膨張可能要素(203)は個別に制御されるが、同時に膨張および/または収縮することができる。2つ以上の膨張可能要素(203)を同時に膨張または収縮させることができるが、この膨張または収縮は、好ましくは、異なる複数の傾斜を得るために異なる度合いで行われる。それらは独立して制御されるので、常に所望の角度で所望の傾斜を生じさせることができる。
【0026】
好ましい実施形態では、さらに作業箱(100)に振動が引き起こされる。その際、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開いている状態であり、必要に応じて作業箱(100)には、傾斜および振動が同時に実行される。これにより、固化していない粒状物質(2)をより移動しやすくし、必要に応じてその排出をさらに容易にする。さらに、振動の程度は必要に応じて調整される。膨張可能要素(203)はゴムまたは同等の材料からできている。そのような材料は、振動を吸収および/または減衰させ、振動が構造体(202)に到達するのを防ぐ。
【0027】
好ましい実施形態では、プラットフォーム(101)は複数の平行プレート(102)によって形成される。複数の平行プレート(102)は好ましくは3枚からなり、サンドイッチのように重なり合って配置されている。プレート(102)のそれぞれは複数の貫通穴(102a)を備える。プラットフォーム(101)に穴(101a)を開くために、前記プレート(102)の少なくとも1つのプレートが横方向(T方向)に移動して複数のプレート(102)の複数の穴(102a)が整列する。それにより、図3aおよび3bに例示するように、固化していない粒状物質(2)をプラットフォーム(101)から通過させる。したがって、複数のプレート(102)の穴(102a)が整列すると穴(101a)が開通して固化していない粒状物質(2)がこれらの穴を通過して作業箱(100)から排出される。
【0028】
本発明の第2の態様は、例えば砂のような粒子状物質を使った付加製造法により得られた目的物質(1)を取り出すための取り出しシステム(300)に関する。このシステムでは、例えば、本発明の第1の態様の1つに記載の排出方法が実施され、発明の第1の態様に記載される同様な利点を得ることができる。
【0029】
システム(300)は、目的物質(1)が生成される作業箱(100)を備え、作業箱(100)は、生成した目的物質(1)と固化していない粒状物質(2)を配置したプラットフォーム(101)を備える。上述したように、固化していない粒状物質(2)は余分な粒状物質であり、目的物質(1)の一部ではないが、その製造中に使用されたものである。
【0030】
プラットフォーム(101)は複数の穴(101a)を有しており、作業箱(100)から固化していない粒状物質を重力により前記穴から排出させる。システム(300)は、前記穴(101a)の開放を制御するための動作手段(103)を備え、前記排出をコントロールする。前記動作手段(103)は手動でもよいが、制御手段によって作動するアクチュエータであることが好ましい。アクチュエータは例えばシリンダーである。
【0031】
システム(300)は、さらに追加の動作手段(104)を備え、それにより作業箱(100)の異なる複数方向への傾斜を制御する。発明の第1の態様に記載したように、前記傾斜の制御するための制御手段をさらに備える。
【0032】
システム(300)はさらに取り出しステーション(200)を備える。取り出しステーション(200)には、目的物質(1)を取り出す作業箱(100)が配置される。取り出しステーション(200)は、固定した構造体(202)および支持体(201)とを備える。支持体(201)は自由に動くように構造体(202)の上に配置され、作業箱(100)が排出ステーション(200)に配置されたときには、支持体(201)と作業箱(100)とが図示されていない結合手段によって互いに結合して前記支持体(201)と前記作業箱(100)とが互いに一体的に動作する。支持体(201)は追加の動作手段(104)により動作し、構造体(202)に対して傾斜するように配置される。それによって、作業箱(100)が構造体(202)に対して傾斜する。
【0033】
前記の結合手段は、例えば、さねはぎ法であり得る。それらは手動または自動であり得る(後者の場合、それらは例えば、結合手段の実際の配置または制御された動作により自動的に結合される)。
【0034】
前記の支持体(201)は空洞(201b)を備え、空洞(201b)の上には作業箱(100)のプラットフォーム(101)の少なくとも一部分が配置されている。前記プラットフォーム(101)の穴(101a)の通路が開放されている時、固化されていない粒状物質(2)が支持体(201)を通り抜けて穴(201b)から落ちる。例えば、固化されていない粒状物質(2)は支持体(201)の下に配置した容器(209)に堆積し、その後、取り出しステーション(200)から廃棄される。
【0035】
好ましい実施形態では、取り出しステーション(200)に、追加の動作手段(104)として空気圧手段を配置する。追加の動作手段(104)は複数の膨張可能手段(203)を備え、追加の動作手段(104)は支持体(201)と構造体(202)の間に配置される。それらは独立に制御されて膨張し収縮して対応する傾斜を引き起こす。
【0036】
前記膨張可能要素(203)は、好ましくは、支持体(201)の外端の下に配置され、前記支持体(201)の空洞(201b)の下の空間を少なくとも部分的に自由にして、固化していない粒状物質(2)がそこを通って落下できるようにする。システム(300)は、図に示されていない、制御可能な方法で膨張可能要素(203)を膨張および収縮させるための動作手段を含む。例えば、動作手段は、各膨張可能要素(203)のための三方弁および圧力調整器を備える。前記弁および前記調整器は、好ましくは制御手段によって制御される。対応する膨張可能要素(203)の膨張に使用される空気の圧力は、圧力調整器で制御され、対応する膨張可能要素(203)の膨張または収縮は三方弁で制御される。動作手段は、例えば、加圧空気の取込口に接続され、前記加圧された空気は膨張可能要素(203)を膨張させるために使用される。
【0037】
前記システム(300)は、作業箱(100)の振動を引き起こすために、図示されていない振動手段をさらに備えることができる。この振動は、作業箱(100)内に存在する固化していない粒状物質(2)を動かすことを意図しており、プラットフォーム(101)の穴(101a)からの排出を容易にする。したがって、好ましい実施形態では、システム(300)は振動手段を備える。その手段は取り出しステーション(200)に配置され、支持体(201)に取り付けられ、必要に応じて前記支持体(201)に振動を引き起こす。作業箱(100)が支持体(201)に結合されている場合、支持体(201)の振動は作業箱(100)に振動を引き起こす。したがって、制御手段は、作業箱(100)が前記支持体(201)に連結されたとき、好ましくは作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)が開放したとき、支持体(201)に振動を引き起こすように構成される。より好ましい実施形態では膨張可能要素(203)はゴム製であるため、前記膨張可能要素(203)は、振動を吸収および/または減衰し、少なくとも大部分の振動が構造体(202)に到達するのを防ぐ。膨張可能要素(203)は、同等の物質の別のタイプのもので作られることができる。この場合、前記物質は同等の様式または類似の様式で振動に対して反応する(振動を吸収および/または減衰する)。
【0038】
好ましい実施形態では、支持体(201)は、作業箱(100)のプラットフォーム(101)の穴(101a)の制御された開放を引き起こす動作手段(103)を備え、作業箱(100)が支持体(201)に連結されている時、作前動作手段(103)と前記プラットフォーム(101)とが連結するように、作業箱(100)およびプラットフォーム(101)が配置される。プラットフォーム(101)は少なくとも2つの重なったプレート(102)を備え、動作手段(103)は一つの前記プレート(102)に連結され、他方のプレート(102)に対して長手方向に前記プレートを動かし、この動作によって穴(101a)を開けたり閉じたりする。
【0039】
好ましい実施形態において、プラットフォーム(101)は、図3a及び図3bに示されるように、3つのプレート(102)を備える。それらは、サンドイッチのように重なり合って配置され、真ん中のプレート(102)が、動作手段(103)に連結される。例として図3bに示すように、すべてのプレート(102)は貫通孔(102a)を備え、これらの貫通孔(102a)が連通するときに穴(101a)は開くことになる。
【0040】
取り出しステーション(200)は、図4に例として示すように、作業箱(100)の上に加熱プレート(109)を備えることができる。加熱プレート(109)は作業箱(100)の中の内容物を加熱するために使用される。加熱プレート(109)を備えた結果として、物体(1)は、例えば、硬化し、その後の工程で、誤って破損するリスクなしに(またはより低いリスクで)より安全に取り扱うことができるようになる。加熱プレート(109)は、取り出し作業の任意の段階で利用できる。作業箱(100)内に固化していない粒状物質(2)が存在している場合に前もって、また、振動の前および/または最中に、その加熱工程が適用される場合には、物質(1)はその後のより大きいまたは突然の振動に耐えることができるようになる。対照的に、取り出し作業の後だけ、もしくは取り出し作業の中の後の方でこの加熱作業を行うように設計または構成されている場合には、作業箱(100)の中の固化していない粒状物質(2)の存在量は前の場合よりも少なくなる(または無視できるほどの量。加熱プレート(109)をいつ作動させたかによる。)。したがって、加熱される物質の量(物質(1)と固化していない粒状物質(2)を合わせた量)が少ないため、物質(1)を固化するためのエネルギーが少なくて済む。その結果、加熱プレート(109)の大きさは小さくなる。
図1
図2
図3a
図3b
図4
【国際調査報告】