特表2020-509044(P2020-509044A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-509044ブロモドメイン阻害薬としてのピリジル誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-509044(P2020-509044A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】ブロモドメイン阻害薬としてのピリジル誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/81 20060101AFI20200303BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200303BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20200303BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20200303BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20200303BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200303BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20200303BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20200303BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20200303BHJP
   C07D 413/12 20060101ALI20200303BHJP
   C07D 417/12 20060101ALI20200303BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20200303BHJP
   C07D 401/06 20060101ALI20200303BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20200303BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20200303BHJP
   A61K 31/444 20060101ALI20200303BHJP
   A61K 31/501 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   C07D213/81CSP
   A61P43/00 121
   A61P43/00 111
   A61P37/06
   A61P29/00
   A61P31/12
   A61P35/00
   A61P29/00 101
   A61P19/02
   A61K45/00
   C07D401/12
   C07D413/12
   C07D417/12
   C07D401/14
   C07D401/06
   A61K31/44
   A61K31/4439
   A61K31/444
   A61K31/501
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2019-547449(P2019-547449)
(86)(22)【出願日】2018年2月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月15日
(86)【国際出願番号】EP2018054730
(87)【国際公開番号】WO2018158210
(87)【国際公開日】20180907
(31)【優先権主張番号】1703282.2
(32)【優先日】2017年3月1日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】513110104
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン、インテレクチュアル、プロパティー、(ナンバー2)、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GLAXOSMITHKLINE INTELLECTUAL PROPERTY (NO.2) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アトキンソン,スティーブン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】デモント,エマニュエル ヒューバート
(72)【発明者】
【氏名】ハリソン,リー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ルヴェルニエ,エティエンヌ
(72)【発明者】
【氏名】プレストン,アレクサンダー ジー
(72)【発明者】
【氏名】シール,ジョナサン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,イアン デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ロバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウールヴェン,ジェームズ マイケル
【テーマコード(参考)】
4C055
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C055AA01
4C055BA01
4C055BA02
4C055BA03
4C055BA06
4C055BA28
4C055BA58
4C055BB02
4C055BB10
4C055CA01
4C055CA02
4C055CA06
4C055CA28
4C055CB10
4C055DA01
4C055DA58
4C055DB02
4C055DB08
4C055DB10
4C055EA01
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC12
4C063CC22
4C063CC25
4C063CC28
4C063CC29
4C063CC41
4C063CC42
4C063CC47
4C063CC51
4C063CC52
4C063CC58
4C063CC62
4C063DD06
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA961
4C084ZB081
4C084ZB111
4C084ZB151
4C084ZB26
4C084ZB331
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC17
4C086BC36
4C086BC38
4C086BC41
4C086BC60
4C086BC67
4C086BC69
4C086BC71
4C086BC82
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086GA10
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB15
4C086ZB26
4C086ZB33
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、ブロモドメイン阻害薬であるピリジル誘導体、その化合物を含む医薬組成物、及び種々の疾患又は状態の治療におけるその化合物又は組成物の使用を対象とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
で表される化合物又はその塩
(式中、
R1は、-C1-3アルキル又はシクロプロピルであり;
R2は、H、-CH3、1、2、3、4若しくは5個のフルオロで場合により置換されているC2-6アルキル、-C2-6アルキルOR7、-C2-6アルキルNR7R8、-(CH2)mSO2C1-3アルキル、-(CH2)mC(O)NR7R8、-(CH2)mCN、-(CH2)mCO2R7、-(CH2)mNHCO2C(CH3)3であり、又は
R2は、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールは、ハロ、-C1-4アルキル、-C3-4シクロアルキル及び-C0-4アルキルOR5から独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されており;
R3は、H、-C1-4アルキル、シクロプロピル、フルオロ、クロロ、-CH2F、-C0-3アルキルOR5又は-C0-3アルキルCNであり;
R4は、フェニル又はヘテロアリール基であり、それぞれは同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されており;
R5は、H又は-C1-3アルキルであり;
各R6は、独立して、ハロ、-C1-4アルキル、-C0-3アルキルOR7、-C0-3アルキルNR9R10、-C0-3アルキル-CONR9R10、-CN、オキソ、-SO2-C1-3アルキル又は-SO2NR9R10であり;
R7及びR8は、-H、-C1-3アルキル及び-C2-4アルキルOC0-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;
R9及びR10は、-H及び-C1-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;又はR9及びR10は、それらが結合している窒素と一緒になって、3個までのフッ素原子で場合により置換されている-C1-3アルキル、-C2-4アルキルOH、-OH及びFから独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されている4〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよく;
mは、2、3又は4から選択される整数であり;
nは、0、1、2、3又は4から選択される整数である)。
【請求項2】
R1がメチルである、請求項1に記載の化合物又はその塩。
【請求項3】
R2が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2OR7、-CH2CH2CH2OR7、-CH2CH(CH3)OR7、-CH2CH2CH(CH3)OR7、CH2CH2CH(OR7)2、-CH2CH2CH(CH3)NR7R8、-CH2CH2CH2NR7R8、-(CH2)mSO2CH3、-(CH2)mC(O)NHCH3、-(CH2)mCN、-(CH2)mCO2R7、-(CH2)mCF3及び-(CH2)mNHCO2C(CH3)3である、請求項1又は請求項2に記載の化合物又はその塩。
【請求項4】
R2が、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールが、フラニル、チエニル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びピリミジニルから選択され、前記基が、ハロ、-C1-4アルキル、-C3-4シクロアルキル及び-C0-3アルキルOR5から独立して選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている、請求項1又は請求項2に記載の化合物又はその塩。
【請求項5】
C5-6ヘテロアリールが、-C1-4アルキル又は-C0-3アルキルOR5で場合により置換されているピラゾリルである、請求項4に記載の化合物又はその塩。
【請求項6】
R3が、-H、メチル、フルオロ、-OCH3又は-OHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項7】
R4が、同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されているフェニルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項8】
R4が、同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されているインドリルであるヘテロアリール基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項9】
R4が、1H-インドール-4-イルであるヘテロアリール基である、請求項8に記載の化合物又はその塩。
【請求項10】
nが0又は2である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項11】
mが2である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
【請求項12】
実施例1〜81から選択される化合物、又はその塩。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩と1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項15】
請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1種以上の他の治療上活性な薬剤と共に含む組み合わせ物。
【請求項16】
療法において使用するための、請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療において使用するための、請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
疾患又は状態が急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態である、請求項17に記載の使用のための化合物。
【請求項19】
疾患又は状態が、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う、請求項17に記載の使用のための化合物。
【請求項20】
疾患又は状態がウイルス感染症である、請求項17に記載の使用のための化合物。
【請求項21】
疾患又は状態が癌である、請求項17に記載の使用のための化合物。
【請求項22】
疾患又は状態がリウマチ性関節炎である、請求項17に記載の使用のための化合物。
【請求項23】
ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療のための医薬の製造における、請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項24】
治療有効量の請求項13に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象におけるブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療方法。
【請求項25】
疾患又は状態が、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項26】
疾患又は状態が、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う、請求項24に記載の治療方法。
【請求項27】
疾患又は状態がウイルス感染症である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項28】
疾患又は状態が癌である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項29】
疾患又は状態がリウマチ性関節炎である、請求項24に記載の治療方法。
【請求項30】
対象がヒトである、請求項24から29のいずれか一項に記載の治療方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロモドメイン阻害薬であるピリジル誘導体、その化合物を含む医薬組成物、並びに種々の疾患又は状態、例えば急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態、ウイルス感染症及び癌の治療におけるその化合物又は組成物の使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
真核生物のゲノムは、細胞の核内で高度に組織化されている。二本鎖DNAの長いストランドは、ヒストンタンパク質の八量体(最も一般的には、ヒストンH2A、H2B、H3及びH4の2組のコピーを含む)の周囲に巻きつけられ、ヌクレオソームを形成する。次いで、この基本単位は、ヌクレオソームの凝集及び折り畳みによりさらに圧縮され、高度に凝縮されたクロマチン構造を形成する。様々な異なる凝縮状態が可能であり、この構造の密集度は細胞周期中に変化し、細胞分裂の過程中に最も密集している。クロマチン構造は遺伝子転写の調節において重要な役割を果たし、高度に凝縮したクロマチンからは、遺伝子転写は効率的には起こり得ない。クロマチン構造は、ヒストンタンパク質、とりわけヒストンH3及びH4に対する、最も一般的にはコアヌクレオソーム構造を越えて伸びるヒストン尾部内での一連の翻訳後修飾により制御される。これらの修飾としては、アセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化、及びSUMO化が挙げられる。これらのエピジェネティックなマークは、特定の酵素により書き込まれ且つ消去され、該酵素は、ヒストン尾部内の特定の残基上にタグを配置し、これによりエピジェネティックコードを形成し、次にこのコードが細胞により解釈されてクロマチン構造の遺伝子特異的な調節及びそれによる転写を可能とする。
【0003】
ヒストンアセチル化は、その修飾が、静電作用を変化させることによりDNAとヒストン八量体との相互作用を緩めるため、最も一般的には遺伝子転写の活性化を伴う。この物理的変化に加え、特定のタンパク質は、ヒストン内のアセチル化されたリシン残基を認識してこれに結合し、エピジェネティックコードを読み取る。ブロモドメインは、ヒストンに関して、アセチル化リシン残基に専らではないが一般的に結合する、タンパク質内の小さく(約110アミノ酸)特徴的なドメインである。ブロモドメインを含有することが知られている約50のタンパク質のファミリーが存在し、これらは細胞内で様々な機能を担う。
【0004】
ブロモドメイン含有タンパク質のBETファミリーは、2つのアセチル化リシン残基に極めて近接して結合し、相互作用の特異性を高めることができる直列のブロモドメインを含む4つのタンパク質(BRD2、BRD3、BRD4及びBRDT)を含む。各BETタンパク質のN末端から番号付けして、直列のブロモドメインは、典型的には、結合ドメイン1(BD1)及び結合ドメイン2(BD2)と名付けられる(Chung et al., J Med. Chem.,. 2011, 54, 3827-3838)。
【0005】
Chanらは、BETブロモドメイン阻害がヒト単球においてサイトカイン-Jak-STATシグナル伝達に対する転写応答を遺伝子特異的に抑制し、このことは、BET阻害がサイトカイン活性の抑制を通して炎症を部分的に低下させることを示唆していると報告している(Chan et al., Eur. J. Immunol., 2015, 45: 287-297)。
【0006】
Kleinらは、ブロモドメインタンパク質阻害薬I-BET151が、リウマチ性関節炎滑膜線維芽細胞において炎症遺伝子の発現及びマトリックス分解酵素を抑制し、このことは、リウマチ性関節炎におけるエピジェネティックリーダータンパク質(epigenetic reader protein)の標的化における治療能力を示唆していると報告している(Klein et al., Ann. Rheum. Dis., 2014, 0:1-8)。
【0007】
Park-Minらは、アセチル化ヒストンに結合することによりクロマチン状態を「読み取る」ブロモ及びエキストラ末端(BET)タンパク質を標的とするI-BET151が、破骨細胞形成を強く抑制すると報告している(Park-Min et al. Nature Communications, 2014, 5, 5418)。
【0008】
PCT特許出願PCT/EP2016/070519、PCT/EP2016/072216及びPCT/EP2016/073532はそれぞれ、ブロモドメイン阻害薬としての一連のピリドン誘導体について記載している。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、式(I):
【0010】
【化1】
で表される化合物又はその塩
(式中、
R1は、-C1-3アルキル又はシクロプロピルであり;
R2は、H、-CH3、1、2、3、4若しくは5個のフルオロで場合により置換されているC2-6アルキル、-C2-6アルキルOR7、-C2-6アルキルNR7R8、-(CH2)mSO2C1-3アルキル、-(CH2)mC(O)NR7R8、-(CH2)mCN、-(CH2)mCO2R7、-(CH2)mNHCO2C(CH3)3であり、又は
R2は、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールは、ハロ、-C1-4アルキル、-C3-4シクロアルキル及び-C0-4アルキルOR5から独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されており;
R3は、H、-C1-4アルキル、シクロプロピル、フルオロ、クロロ、-CH2F、-C0-3アルキルOR5又は-C0-3アルキルCNであり;
R4は、フェニル又はヘテロアリール基であり、それぞれは同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されており;
R5は、H又は-C1-3アルキルであり;
各R6は、独立して、ハロ、-C1-4アルキル、-C0-3アルキルOR7、-C0-3アルキルNR9R10、-C0-3アルキル-CONR9R10、-CN、オキソ、-SO2-C1-3アルキル又は-SO2NR9R10であり;
R7及びR8は、-H、-C1-3アルキル及び-C2-4アルキルOC0-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;
R9及びR10は、-H及び-C1-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;又はR9及びR10は、それらが結合している窒素と一緒になって、3個までのフッ素原子で場合により置換されている-C1-3アルキル、-C2-4アルキルOH、-OH及びFから独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されている4〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよく;
mは、2、3又は4から選択される整数であり;
nは、0、1、2、3又は4から選択される整数である)
を対象とする。
【0011】
本発明の化合物は、ブロモドメイン阻害薬であって、特にBD2選択的であることが示されており、様々な疾患又は状態、例えば急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態、例えばリウマチ性関節炎及び癌の治療において有用であり得る。従って、本発明はさらに、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象とする。本発明は、なおさらに、式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を用いるブロモドメインに関連する疾患又は状態の治療方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0012】
式(I)の化合物及びその塩は、本明細書中「本発明の化合物」と呼ばれる。
【0013】
「BD2」は、BETファミリーのタンパク質BRD2、BRD3、BRD4又はBRDTのいずれかの結合ドメイン2を指す。
【0014】
「アルキル」は、特定数の炭素原子を有する飽和炭化水素鎖を指す。例えば、本明細書中で使用される用語「C1-3アルキル」又は「C1-4アルキル」は、それぞれ1〜3個の炭素原子又は1〜4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル基を指す。さらに、用語「C0-3アルキル」は、0(すなわち結合)〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル基を指す。代表的な分枝アルキル基は、1つ、2つ又は3つの分枝を有する。アルキル基は鎖の一部を形成していてもよく、例えば、-C0-3アルキルOR5は、基R5に結合している0(すなわち結合)〜3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝のアルキル鎖を指す。「アルキル」としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、ペンチル及びへキシルが挙げられる。
【0015】
「ハロ」は、ハロゲン基、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。
【0016】
「ヘテロアリール」は、基の少なくとも一部が芳香族である、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む、5、6、8、9、10又は11個の員原子を有する単環式基又は二環式基を指す。分子の残部への結合点は、任意の好適な炭素原子又は窒素原子によるものであり得る。「ヘテロアリール」基の例としては、限定するものではないが、フラニル、チエニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフリル、2,3-ジヒドロベンゾフリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ベンゾチエニル、ベンズアゼピニル、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[d]アゼピニル、インドリジニル、インドリル、インドリニル、イソインドリル、ジヒドロインドリル、ベンズイミダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、インダゾリル、イミダゾピリジニル、ピラゾロピリジニル、ピロロピリジニル、ベンゾトリアゾリル、トリアゾロピリジニル、プリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、1,5-ナフチリジニル、1,6-ナフチリジニル、1,7-ナフチリジニル、1,8-ナフチリジニル及びプテリジニルが挙げられる。
【0017】
「C5-6ヘテロアリール」は、窒素、硫黄及び酸素から独立して選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を含む、5又は6個の員原子を有する単環式芳香族基を指す。分子の残部への結合点は、任意の好適な炭素原子又は窒素原子によるものであり得る。「C5-6ヘテロアリール」基の例としては、限定するものではないが、フラニル、チエニル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、及びピリミジニルが挙げられる。
【0018】
「ヘテロ原子」は、窒素、硫黄、又は酸素原子を指す。
【0019】
「4〜7員のヘテロシクリル」は、窒素、酸素又は硫黄から選択される1個のヘテロ原子を含み、場合によりさらなるヘテロ原子を含有する、4、5、6又は7個の環員原子を含有する非芳香族複素環式環系を指す。「4〜7員のヘテロシクリル」基の例としては、限定するものではないが、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びモルホリニルが挙げられる。
【0020】
「員原子」は、鎖又は環を形成する原子(1個又は複数個)を指す。2個以上の員原子が鎖中及び環内に存在する場合、各員原子は鎖又は環中の隣接員原子と共有結合している。鎖又は環に結合している置換基を構成する原子は、鎖又は環中の員原子ではない。
【0021】
ある基に関して「置換された」とは、基内の員原子に結合している水素原子が置き換えられていることを示唆する。用語「置換された」は、かかる置換が置換された原子及び置換基の許容される原子価に従うものであり、且つその置換が安定な化合物(すなわち転位、環化、又は脱離などの変換を自然には受けない化合物)をもたらすという暗黙の条件を包含することが理解されるべきである。特定の実施形態において、単一原子は、置換がその原子の許容される原子価に従う限り、2つ以上の置換基で置換され得る。本明細書中、各置換基、又は場合により置換された基について好適な置換基が定義されている。
【0022】
「薬学的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなく人間及び動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比で釣り合っている化合物、材料、組成物、及び剤形を指す。
【0023】
「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬組成物に形又は稠度を与えることに関与する薬学的に許容される材料、組成物又はビヒクルを指す。各賦形剤は、患者に投与される場合に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の効力を実質的に低下させ得る相互作用が回避されるように、混合される際に医薬組成物の他の成分と適合するものでなければならない。さらに、当然のことながら各賦形剤は薬学的に許容されるもの、例えば十分に高純度のものでなければならない。
【0024】
「rac」は、式(I)の化合物のラセミ混合物を指す。
【0025】
本発明の化合物は、固体形態又は液体形態で存在し得る。固体状態において、本発明の化合物は、結晶形態若しくは非晶質形態、又はそれらの混合物として存在し得る。結晶形態の本発明の化合物について、当業者は、結晶化中に溶媒分子が結晶格子中に組み込まれた薬学的に許容される溶媒和物が形成され得ることを認識するであろう。溶媒和物は、エタノール、イソ-プロピルアルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン、及び酢酸エチルなどの非水性溶媒を含んでいてもよく、又は結晶格子中に組み込まれた溶媒として水を含んでいてもよい。水が結晶格子中に組み込まれた溶媒である溶媒和物は、典型的には、「水和物」と呼ばれる。水和物は、化学量論的水和物並びに可変量の水を含有する組成物を含む。本発明は、このような溶媒和物を全て包含する。
【0026】
その種々の溶媒和物を含め結晶形態で存在する本発明の特定の化合物は、結晶多形(すなわち様々な結晶構造で存在する能力)を示し得ることがさらに認識されるであろう。これらの様々な結晶形態は、典型的には「多形体」として知られている。本発明は、このような多形体を包含する。多形体は同一の化学組成を有するが、結晶固体状態の充填、幾何学的配置、及びその他の記述的特性が異なる。従って、多形体は、異なる物理的特性、例えば形、密度、硬度、変形能、安定性、及び溶解特性を有し得る。多形体は、典型的には、異なる融点、IRスペクトル、及びX線粉末回折パターンを示し、これらは同定のために使用することができる。例えばその化合物を作製する際に用いられる反応条件又は試薬を変更又は調整することにより、様々な多形体が生成され得ることが認識されるであろう。例えば、温度、圧力、又は溶媒の変更は多形体を生じさせ得る。さらに、1つの多形体が特定の条件下で別の多形体に自然に変換し得る。式(I)の化合物の多形形態は、多くの従来の分析技術、例えば、限定するものではないが、X線粉末回折(XRPD)パターン、赤外(IR)スペクトル、ラマンスペクトル、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)及び固体状態核磁気共鳴(SSNMR)を用いて特性決定及び区別することができる。
【0027】
式(I)による化合物は、1以上の不斉中心(キラル中心とも呼ばれる)を含有する可能性があり、従って、個々のエナンチオマー、ジアステレオ異性体、若しくは他の立体異性体の形態で、又はそれらの混合物として存在し得る。キラル炭素原子などのキラル中心は、アルキル基などの置換基中にも存在し得る。式(I)中、又は本明細書中に示される任意の化学構造中に存在するキラル中心の立体化学が特定されていない場合、その構造は任意の立体異性体及びそれらの全ての混合物を包含することが意図される。このため、1以上のキラル中心を含有する式(I)による化合物は、ラセミ混合物として、鏡像異性的に富化された混合物として、又は鏡像異性的に純粋な個々の立体異性体として使用し得る。従って、本発明は、他の異性体を実質的に含まないように単離された(すなわち純粋な)個々の異性体としてであるか、又は混合物(すなわちラセミ混合物)としてであるかに関わらず、式(I)の化合物の全ての異性体を包含する。他の異性体を実質的に含まないように単離される(すなわち純粋な)個々の異性体は、10%未満、特に約1%未満、例えば、約0.1%未満の他の異性体が存在するように単離することができる。
【0028】
単一の立体中心を有するラセミ化合物は、立体化学なし(単結合)であるか、又は注記(+/-)若しくはracを有するように示される。2以上の立体中心を有するラセミ化合物は、相対立体化学が既知である場合、その構造中に描かれるようにcis又はtransと示される。絶対立体化学は未知であるが相対立体化学が既知の分割された単一のエナンチオマーは(R*又はS*)を付けて呼ばれ、適切な相対立体化学が示される。
【0029】
ジアステレオ異性体が示され、相対立体化学のみが言及される場合、太字又は点線の中実結合記号
【0030】
【化2】
が使用される。絶対立体化学が既知であり、化合物が単一エナンチオマーである場合、太字又は点線の楔形記号
【0031】
【化3】
が適宜使用される。
【0032】
1以上の不斉中心を含有する式(I)による化合物の個々の立体異性体は、当業者に公知の方法により分割することができる。例えば、このような分割は、(1)ジアステレオ異性体の塩、錯体又はその他の誘導体の形成により、(2)立体異性体特異的試薬との選択的反応により、例えば酵素的酸化若しくは還元により、又は(3)キラル環境における(例えば、結合キラル配位子を有するシリカなどのキラル支持体上の、若しくはキラル溶媒の存在下での)ガス液体クロマトグラフィー又は液体クロマトグラフィーによって行うことができる。所望の立体異性体が上記分離手順の1つにより別の化学実体に変換される場合、所望の形態を遊離させるためにさらなるステップが必要になることが認識されるであろう。あるいは、特定の立体異性体を、光学的に活性な試薬、基質、触媒若しくは溶媒を用いる不斉合成によって、又は不斉転換により1つのエナンチオマーを他のものに変換することによって合成してもよい。
【0033】
式(I)の化合物について、互変異性体が観察され得ることが認識されるであろう。互変異性体の生物学的活性に関する解説はいずれも、両互変異性体を包含すると解されるべきである。
【0034】
本明細書において、式(I)の化合物及びその塩に対する言及は、遊離塩基として、又はその塩としての、例えばその薬学的に許容される塩としての式(I)の化合物を包含することを理解されたい。従って、一実施形態において、本発明は、遊離塩基としての式(I)の化合物を対象とする。別の実施形態において、本発明は、式(I)の化合物及びその塩を対象とする。さらなる実施形態において、本発明は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を対象とする。
【0035】
医療におけるそれらの潜在的用途のため、式(I)の化合物の塩は、望ましくは薬学的に許容される。好適な薬学的に許容される塩は、酸付加塩又は塩基付加塩を包含し得る。好適な薬学的に許容される塩に関する概説については、Berge et al., J.Pharm.Sci., 66:1-19(1977)を参照されたい。典型的には、薬学的に許容される塩は、所望の酸又は塩基を適宜用いて容易に調製することができる。結果として得られる塩は、溶液から沈殿させて濾過により回収することができるか、あるいは溶媒の蒸発によって回収することができる。
【0036】
薬学的に許容される酸付加塩は、式(I)の化合物を、好適な無機酸又は有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、コハク酸、マレイン酸、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、安息香酸、サリチル酸、アスパラギン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば2-ナフタレンスルホン酸)、又はヘキサン酸)と、場合により有機溶媒などの好適な溶媒中で反応させて塩を得ることによって形成することが可能であり、この塩は、通常、例えば結晶化及び濾過により、又は蒸発及びそれに続く粉砕によって単離される。式(I)の化合物の薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩(例えば2-ナフタレンスルホン酸塩)、又はヘキサン酸塩を包含し得るか又はそれらであり得る。
【0037】
他の薬学的に許容されない塩、例えば、ギ酸塩又はトリフルオロ酢酸塩は、例えば、式(I)の化合物の単離において使用することが可能であり、本発明の範囲内に包含される。
【0038】
本発明は、その範囲内に、式(I)の化合物の塩の全ての可能な化学量論的形態及び非化学量論的形態を包含する。
【0039】
上記から、本発明の範囲内には、式(I)の化合物及びその塩の溶媒和物、異性体及び多形形態が包含されることが認識されるであろう。
【0040】
発明の陳述
第1の態様において、式(I):
【0041】
【化4】
で表される化合物又はその塩
(式中、
R1は、-C1-3アルキル又はシクロプロピルであり;
R2は、-H、-CH3、5個までのフルオロで場合により置換されているC2-6アルキル、-C2-6アルキルOR7、-C2-6アルキルNR7R8、-(CH2)mSO2C1-3アルキル、-(CH2)mC(O)NR7R8、-(CH2)mCN、-(CH2)mCO2R7、-(CH2)mNHCO2C(CH3)3であり、又は
R2は、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールは、ハロ、-C1-4アルキル、-C3-4シクロアルキル及び-C0-4アルキルOR5から独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されており;
R3は、-H、-C1-4アルキル、シクロプロピル、フルオロ、クロロ、-CH2F、-C0-3アルキルOR5又は-C0-3アルキルCNであり;
R4は、フェニル又はヘテロアリール基であり、それぞれは同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されており;
R5は、-H又は-C1-3アルキルであり;
各R6は、独立して、ハロ、-C1-4アルキル、-C0-3アルキルOR7、-C0-3アルキルNR9R10、-C0-3アルキル-CONR9R10、-CN、オキソ、-SO2-C1-3アルキル又は-SO2NR9R10であり;
R7及びR8は、-H、-C1-3アルキル及び-C2-4アルキルOC0-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;
R9及びR10は、-H及び-C1-3アルキルからそれぞれ独立して選択され;又はR9及びR10は、それらが結合している窒素と一緒になって、3個までのフッ素原子で場合により置換されている-C1-3アルキル、-C2-4アルキルOH、-OH及びFから独立して選択される1若しくは2個の置換基で場合により置換されている4〜7員のヘテロシクリルを形成していてもよく;
mは、2、3又は4から選択される整数であり;
nは、0、1、2、3又は4から選択される整数である)
が提供される。
【0042】
一実施形態において、R1はメチルである。
【0043】
一実施形態において、R2はHである。
【0044】
一実施形態において、R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、-CH2CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-CH2CH2OR7、-CH2CH2CH2OR7、-CH2CH(CH3)OR7、-CH2CH2CH(CH3)OR7、CH2CH2CH(OR7)2、-CH2CH2CH(CH3)NR7R8、-CH2CH2CH2NR7R8、-(CH2)mSO2CH3、-(CH2)mC(O)NHCH3、-(CH2)mCN、-(CH2)mCO2R7、-(CH2)mCF3及び-(CH2)mNHCO2C(CH3)3から選択される。
【0045】
別の実施形態において、R2は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、-CH2CH2CH(CH3)2及び-CH2CH(CH3)2から選択される-C1-6アルキルである。別の実施形態において、R2は、-CH2CH2OR7、-CH2CH2CH2OR7、-CH2CH(CH3)OR7、-CH2CH2CH(CH3)OR7及び-CH2CH2CH(OR7)2から選択される-C1-6アルキルOR7である。別の実施形態において、R2は、-CH2CH2CH(CH3)NR7R8及び-CH2CH2CH2NR7R8から選択される-C1-6アルキルNR7R8である。別の実施形態において、R2は-(CH2)mSO2CH3である。別の実施形態において、R2は-(CH2)mC(O)NHCH3である。別の実施形態において、R2は-(CH2)mCNである。別の実施形態において、R2は-(CH2)mCO2R7である。別の実施形態において、R2は-(CH2)mCF3である。別の実施形態において、R2は-(CH2)mNHCO2C(CH3)3である。
【0046】
別の実施形態において、R2は、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールは、フラニル、チエニル、ピロリル、トリアゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル及びピリミジニルから選択され、前記基は、ハロ、C1-4アルキル(メチルなど)、C3-4シクロアルキル及び-C0-3アルキルOR5から独立して選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている。
【0047】
別の実施形態において、R2が、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールが、C1-4アルキル又は-C0-3アルキルOR5で場合により置換されているピラゾリルである、式(I)の化合物が提供される。特定の実施形態において、R2が、-(CH2)nC5-6ヘテロアリールであり、C5-6ヘテロアリールが、
【0048】
【化5】
(式中、*は、アルキル残基との結合点を表す)
からなる群から選択される、式(I)の化合物が提供される。
【0049】
一実施形態において、R3は、-H、メチル、フルオロ、-OCH3又は-OHである。
【0050】
一実施形態において、R4は、同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されているフェニルである。別の実施形態において、R4は非置換フェニルである。
【0051】
別の実施形態において、R4は、同一であっても異なっていてもよい1、2又は3個のR6基で場合により置換されているインドリル(例えば、1H-インドール-4-イル)であるヘテロアリール基である。別の実施形態において、R4は1H-インドール-4-イルであるヘテロアリール基である。
【0052】
一実施形態において、各R6は、独立して、ハロ、-C1-4アルキル又は-C0-3アルキルOR7である。
【0053】
一実施形態において、mは2又は3である。
【0054】
一実施形態において、nは0、1又は2である。一実施形態において、nは0又は2である。さらなる実施形態において、nは0である。なおさらなる実施形態において、nは2である。
【0055】
本発明は、本明細書中上記の置換基の全ての組合せを包含することを理解されたい。
【0056】
本発明の化合物は、実施例1〜81の化合物及びそれらの塩を包含する。
【0057】
一実施形態において、式(I)の化合物は:
6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド;
6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド;
(S)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド;及び
(S)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
又はそれらの塩から選択される。
【0058】
本発明の第2の態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0059】
本発明の第3の態様において、療法、特にブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0060】
本発明の第4の態様において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象(例えば、ヒト対象)において、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態を治療する方法が提供される。
【0061】
本発明の第5の態様において、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0062】
使用の陳述
式(I)の化合物及びその塩はブロモドメイン阻害薬であり、従って、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療において潜在的有用性を有すると考えられる。
【0063】
ブロモドメイン阻害薬は、全身性炎症又は組織炎症、感染に対する炎症応答又は低酸素症、細胞の活性化及び増殖、脂質代謝、線維症に関連する様々な疾患又は状態の治療において、並びにウイルス感染症の予防及び治療において有用であると考えられる。
【0064】
ブロモドメイン阻害薬は、広範な種類の急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態、例えば、リウマチ性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、骨関節炎、急性痛風、乾癬、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎)、喘息、慢性閉塞性気道疾患、肺炎、心筋炎、心膜炎、筋炎、湿疹、皮膚炎(アトピー性皮膚炎を含む)、脱毛症、白斑、水疱性皮膚疾患、腎炎、血管炎、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、アルツハイマー病、シェーグレン症候群、唾液腺炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症、アーヴァイン・ガス症候群(白内障後及び術後)、網膜色素変性症、毛様体扁平部炎、バードショット網膜脈絡膜症、網膜上膜、嚢胞性黄斑浮腫、傍中心窩毛細血管拡張症、牽引性黄斑症、硝子体黄斑牽引症候群、網膜剥離、神経網膜炎、特発性黄斑浮腫、網膜炎、ドライアイ(乾性角結膜炎)、春季角結膜炎、アトピー性角結膜炎、ぶどう膜炎(前部ぶどう膜炎、全ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、ぶどう膜炎関連黄斑浮腫など)、強膜炎、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、加齢性黄斑ジストロフィー、肝炎、膵炎、原発性胆汁性肝硬変、硬化性胆管炎、急性アルコール性肝炎、慢性アルコール性肝炎、アルコール性脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、チャイルド・ピュー(Childs-Pugh)肝硬変、自己免疫性肝炎、劇症肝炎、慢性ウイルス性肝炎、アルコール性肝疾患、全身性硬化症、間質性肺疾患を伴う全身性硬化症、サルコイドーシス、神経サルコイドーシス、アジソン病、下垂体炎、甲状腺炎、I型糖尿病、II型糖尿病、巨細胞性動脈炎、ループス腎炎を含む腎炎、糸球体腎炎などの臓器合併症を伴う血管炎、巨細胞性動脈炎を含む血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発性動脈炎、ベーチェット病、川崎病、高安動脈炎、壊疽性膿皮症、臓器合併症を伴う血管炎、移植臓器の急性拒絶、及び全身性硬化症の治療において有用であり得る。
【0065】
一実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症又はアルツハイマー病などの、APO-A1の調節を介して媒介される脂質代謝の障害である。
【0066】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、喘息又は慢性閉塞性気道疾患などの呼吸器障害である。
【0067】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、リウマチ性関節炎、骨関節炎、急性痛風、乾癬、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、又は炎症性腸疾患(クローン病又は潰瘍性大腸炎)などの、全身性炎症性障害である。
【0068】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、多発性硬化症である。
【0069】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、I型糖尿病である。
【0070】
別の実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態は、リウマチ性関節炎である。
【0071】
ブロモドメイン阻害薬は、鬱病の治療において有用であり得る。
【0072】
ブロモドメイン阻害薬は、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う疾患又は状態、例えば、敗血症、急性敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、内毒素血症、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多臓器不全症候群、中毒性ショック症候群、急性肺損傷、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)、急性腎不全、劇症肝炎、火傷、急性膵炎、術後症候群、サルコイドーシス、ヘルクスハイマー反応、脳炎、脊髄炎、髄膜炎、マラリア、並びにインフルエンザ、帯状ヘルペス、単純ヘルペス及びコロナウイルスなどのウイルス感染症を伴うSIRSの治療において有用であり得る。一実施形態において、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う疾患又は状態は、急性敗血症である。
【0073】
ブロモドメイン阻害薬は、心筋梗塞、脳血管虚血(脳卒中)、急性冠動脈症候群、腎再灌流傷害、臓器移植、冠動脈バイパス移植、心肺バイパス処置、肺塞栓症、腎塞栓症、肝塞栓症、胃腸管塞栓症又は末梢肢塞栓症などの虚血再灌流傷害を伴う状態の治療において有用であり得る。
【0074】
ブロモドメイン阻害薬は、心血管疾患、例えば、冠動脈疾患(例えば、狭心症及び心筋梗塞)、肺動脈高血圧症、脳血管虚血(脳卒中)、高血圧性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心房細動、先天性心疾患、心内膜炎、大動脈瘤又は末梢動脈疾患の治療において有用であり得る。
【0075】
ブロモドメイン阻害薬は、線維性状態、例えば、特発性肺線維症、肺線維症、嚢胞性線維症、進行性塊状線維症、腎線維症、肝線維症、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、術後狭窄、ケロイド性瘢痕形成、強皮症(限局性強皮症及び全身性硬化症を含む)、心線維症、心房線維症、心内膜心筋線維症、陳旧性心筋梗塞、関節線維化、デュピュイトラン拘縮、縦隔(mediastinal)、骨髄線維症、ペイロニー病、腎性全身性線維症、後腹膜線維症及び癒着性関節包炎の治療において有用であり得る。
【0076】
ブロモドメイン阻害薬は、ウイルス感染症、例えば、単純ヘルペス感染症及び再活性化、口唇ヘルペス、帯状ヘルペス感染症及び再活性化、水痘、帯状疱疹、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、頸部腫瘍、アデノウイルス感染症(急性呼吸器疾患を含む)、ポックスウイルス感染症(牛痘又は天然痘など)、又はアフリカブタ熱ウイルスの治療において有用であり得る。一実施形態において、ウイルス感染症は、皮膚又は頸部上皮のHPV感染症である。別の実施形態において、ウイルス感染症は、潜伏性HIV感染症である。
【0077】
ブロモドメイン阻害薬は、広範囲の骨障害、例えば、骨粗鬆症、骨減少症、骨関節炎及び強直性脊椎炎の治療において有用であり得る。
【0078】
ブロモドメイン阻害薬は、癌、例えば血液癌(白血病、リンパ腫及び多発性骨髄腫を含む)、上皮癌(肺、乳房又は結腸癌を含む)、正中癌、又は間葉腫瘍、肝腫瘍、腎腫瘍又は神経学的腫瘍などの治療において有用であり得る。
【0079】
ブロモドメイン阻害薬は、脳癌(神経膠腫)、神経膠芽腫、バナヤン・ゾナナ症候群、カウデン病、レルミット・デュクロス病、乳癌、炎症性乳癌、結腸直腸癌、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣細胞腫、髄芽腫、結腸癌、頭頸部癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、黒色腫、扁平上皮癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫癌、骨肉腫、骨の巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、毛様細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、プラズマ細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、外套細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、混合系統系白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸部癌、子宮内膜癌、腎癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽腔癌、頬側癌、口腔癌、GIST(消化管間質性腫瘍)、NUT-正中癌、及び精巣癌から選択される1種以上の癌の治療において有用であり得る。
【0080】
一実施形態において、癌は、白血病、例えば、急性単球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、及び混合系統系白血病(MLL)から選択される白血病である。別の実施形態において、癌はNUT-正中癌である。別の実施形態において、癌は多発性骨髄腫である。別の実施形態において、癌は小細胞肺癌(SCLC)などの肺癌である。別の実施形態において、癌は神経芽細胞腫である。別の実施形態において、癌はバーキットリンパ腫である。別の実施形態において、癌は子宮頸部癌である。別の実施形態において、癌は食道癌である。別の実施形態において、癌は卵巣癌である。別の実施形態において、癌は乳癌である。別の実施形態において、癌は結腸直腸癌である。別の実施形態において、癌は前立腺癌である。別の実施形態において、癌は去勢抵抗性前立腺癌である。
【0081】
ブロモドメイン阻害薬は、全身性炎症応答症候群を伴う疾患、例えば、敗血症、火傷、膵炎、大外傷、出血、及び虚血などの治療において有用であり得る。この実施形態において、ブロモドメイン阻害薬は、診断時点で、SIRS、ショック、多臓器不全症候群の発症(急性肺損傷、ARDS、急性の腎損傷、肝損傷、心損傷又は胃腸管損傷の発症を含む)及び死亡、の発生率を低下させるために投与され得る。別の実施形態において、ブロモドメイン阻害薬は、敗血症、出血、広範な組織損傷、SIRS、又はMODS(多臓器不全症候群)の高いリスクを伴う外科手術又はその他の処置に先立って投与される。特定の実施形態において、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態は、敗血症、敗血症症候群、敗血症性ショック、及び内毒素血症である。別の実施形態において、ブロモドメイン阻害薬は、急性又は慢性の膵炎の治療に適応である。別の実施形態において、ブロモドメインは、火傷の治療に適応である。
【0082】
従って、本発明は、療法において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療において使用することができる。
【0083】
従って、本発明は、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。一実施形態において、リウマチ性関節炎の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う疾患又は状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、虚血再灌流傷害を伴う状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、心血管疾患の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、線維性状態の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、ウイルス感染症の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、骨障害の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。別の実施形態において、癌の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。さらなる実施形態において、全身性炎症応答症候群を伴う疾患の治療において使用するための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0084】
また、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用も提供される。一実施形態において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。一実施形態において、リウマチ性関節炎の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う疾患又は状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、虚血再灌流傷害を伴う状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、心血管疾患の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、線維性状態の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、ウイルス感染症の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。別の実施形態において、癌の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。さらなる実施形態において、全身性炎症応答症候群を伴う疾患の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0085】
また、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患又は状態を治療する方法も提供される。一実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、急性又は慢性の自己免疫状態及び/又は炎症状態を治療する方法が提供される。一実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、リウマチ性関節炎を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、細菌、ウイルス、真菌、寄生生物による感染又はこれらの毒素に対する炎症応答を伴う疾患又は状態を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、虚血再灌流傷害を伴う状態を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、心血管疾患を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、線維性状態を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、ウイルス感染症を治療する方法が提供される。別の実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、癌を治療する方法が提供される。さらなる実施形態において、治療有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を投与することを含む、それを必要とする対象において、全身性炎症応答症候群を伴う疾患を治療する方法が提供される。
【0086】
好適には、それを必要とする対象は哺乳動物、特にヒトである。
【0087】
本発明は、ブロモドメインを含むタンパク質に式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を接触させることを含む、ブロモドメインを含むタンパク質を阻害する方法をさらに提供する。
【0088】
本明細書中で用いられる、特定の疾患又は状態の「治療」への言及は、このような疾患又は状態の防止又は予防を包含する。
【0089】
医薬組成物/投与経路/用量
組成物
療法において使用するため、式(I)の化合物並びにその薬学的に許容される塩を未加工の化学物質として投与することも可能であるが、活性成分を医薬組成物として提供するのが一般的である。式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、通常、必ずしもではないが、患者への投与の前に医薬組成物に製剤化される。従って、別の態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と、1種以上の薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。式(I)の化合物及び薬学的に許容される塩は、上記のとおりである。賦形剤(1つ又は複数)は、組成物の他の成分と適合性であり、且つその受容者に対して有害でないという意味において許容可能でなければならない。本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を1種以上の薬学的に許容される賦形剤と混合することを含む、医薬組成物の調製方法も提供される。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、周囲温度及び大気圧で混合することにより調製することができる。この医薬組成物は、本明細書に記載される状態のいずれかの治療において使用することができる。
【0090】
さらなる態様において、本発明は、ブロモドメイン阻害薬が適応である疾患若しくは状態の治療のための、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を対象とする。
【0091】
式(I)の化合物は医薬組成物における使用が意図されているため、式(I)の化合物はそれぞれ、好ましくは、実質的に純粋な形態で、例えば、少なくとも85%の純度、特に少なくとも98%の純度(重量基準で重量%)で提供されることが容易に理解されるであろう。
【0092】
医薬組成物は、単位用量当たり所定量の活性成分を含む単位用量形態で提供することができる。好ましい単位用量組成物は、活性成分の1日用量又はサブ用量、又はその適切な割合を含む組成物である。従って、このような単位用量は、1日に2回以上投与し得る。好ましい単位用量組成物は、本明細書中上記に挙げられる活性成分の1日用量又はサブ用量(1日に2回以上の投与について)、又はその適切な割合を含む組成物である。
【0093】
医薬組成物は、任意の適切な経路による、例えば、経口(頬側又は舌下を含む)、直腸、吸入、鼻腔内、局所(頬側、舌下又は経皮を含む)、眼(局所、眼内、結膜下、強膜上、テノン嚢下を含む)、膣、又は非経口(皮下、筋内、静脈内又は皮内を含む)経路による投与に適合させることができる。このような組成物は、製薬の技術分野において公知の任意の方法によって、例えば、活性成分を担体(1つ又は複数)又は賦形剤(1つ又は複数)と一緒にすることによって調製することができる。
【0094】
本発明の医薬組成物は、安全且つ有効量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を抽出して、例えば散剤又はシロップ剤と共に患者に与えることができるバルク形態で調製し、パッケージすることができる。あるいは、本発明の医薬組成物は、各々の物理的に分離した単位が式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する単位剤形で調製し、パッケージすることができる。単位剤形で調製される場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、例えば0.25mg〜1g、又は0.5mg〜500mg、又は1mg〜100mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有し得る。
【0095】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される賦形剤(1つ又は複数)は、典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適合した剤形に製剤化される。例えば、剤形としては、(1)経口投与に適合した剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、丸剤、トローチ剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁剤、液剤、乳剤、サシェ剤、及びカシェ剤);(2)非経口投与に適合した剤形(例えば、滅菌液剤、懸濁剤及び再構成用散剤);(3)経皮投与に適合した剤形(例えば経皮パッチ剤);(4)直腸投与に適合した剤形(例えば坐剤);(5)吸入に適合した剤形(例えば、エアロゾル剤、液剤、及び乾燥散剤);並びに(6)局所投与に適合した剤形(例えばクリーム剤、軟膏剤、ローション剤、液剤、ペースト剤、噴霧剤、発泡剤、及びゲル剤)が挙げられる。
【0096】
好適な薬学的に許容される賦形剤は、選択される特定の剤形に応じて異なるだろう。さらに、好適な薬学的に許容される賦形剤は、それらが組成物中で果たし得る特定の機能について選択され得る。例えば、特定の薬学的に許容される賦形剤は、均一な剤形の製造を容易にするそれらの能力について選択され得る。特定の薬学的に許容される賦形剤は、安定な剤形の製造を容易にするそれらの能力について選択され得る。特定の薬学的に許容される賦形剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が対象に投与された際に、1つの器官又は身体の部分から別の器官又は身体の部分への運搬又は輸送を容易にするそれらの能力について選択することができる。特定の薬学的に許容される賦形剤は、対象コンプライアンスを高めるそれらの能力について選択され得る。
【0097】
好適な薬学的に許容される賦形剤としては、以下の種類の賦形剤:担体、希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、味マスキング剤、着色剤、抗ケーキング剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、粘度増加剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、界面活性剤、及び緩衝剤が挙げられる。当業者であれば、特定の薬学的に許容される賦形剤が、2つ以上の機能を果たし得ることと、さらにどのくらいの量の賦形剤が製剤中に存在するか、また他のどのような賦形剤が製剤中に存在するかに応じて代替的な機能を果たし得ることを認識するであろう。
【0098】
当業者は、彼らが本発明における使用のために適切な量の好適な薬学的に許容される賦形剤を選択することを可能とする、当技術分野における知識及び技能を有する。さらに、薬学的に許容される賦形剤について記載しており、また好適な薬学的に許容される賦形剤の選択において有用な、当業者が入手可能な多数の資料が存在する。例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)及びThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0099】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術及び方法を用いて調製される。当技術分野において一般的に用いられている方法の幾つかは、Remington's Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0100】
一実施形態において、医薬組成物は、非経口投与、特に静脈内投与用に適合されている。
【0101】
一実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に適合されている。
【0102】
一実施形態において、医薬組成物は、局所投与用に適合されている。
【0103】
非経口投与用に適合された医薬組成物としては、水性及び非水性の滅菌注射溶液(これらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び組成物を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含み得る)、並びに水性及び非水性の滅菌懸濁液(これらは、懸濁化剤及び増粘剤を含み得る)が挙げられる。組成物は、単位用量容器又は複数回用量容器(例えば、密封アンプル及び密封バイアル)で提供することが可能であり、且つ使用直前に滅菌液体担体(例えば注射用水)を添加することのみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即席の注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
【0104】
経口投与用に適合された医薬組成物は、カプセル剤又は錠剤、散剤又は顆粒剤、水性又は非水性液体中の液剤又は懸濁剤、可食発泡剤(edible foams)又は起泡剤(whips)、あるいは水中油型液体乳剤又は油中水型液体乳剤などの個別の単位として提供することができる。
【0105】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態での経口投与について、活性薬物成分を、エタノール、グリセロール、水などの、経口用、非毒性の薬学的に許容される不活性担体と組み合わせることができる。錠剤又はカプセル剤中に組み込むのに適した粉末は、化合物を好適な微細サイズに低減し(例えば微粒子化により)、同様に調製された可食炭水化物(例えばデンプン又はマンニトール)などの医薬担体と混合することによって調製することができる。風味剤、保存剤、分散剤及び着色剤も存在し得る。
【0106】
カプセル剤は、上記のような粉末混合物を調製し、形成されたゼラチン鞘に充填することによって作製することができる。充填操作の前に、粉末混合物に、コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、又は固形ポリエチレングリコールなどの流動促進剤及び滑沢剤を添加することができる。カプセル剤が摂取された場合の医薬のアベイラビリティを改善するため、寒天、炭酸カルシウム、又は炭酸ナトリウムなどの崩壊剤又は可溶化剤を添加することもできる。
【0107】
さらに、望ましいか又は必要である場合、混合物中に好適な結合剤、流動促進剤、滑沢剤、甘味剤、風味剤、崩壊剤及び着色剤を組み込むこともできる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、天然糖(例えばグルコース又はベータ-ラクトース)、トウモロコシ甘味剤、天然ガム及び合成ガム(例えばアラビアガム、トラガカントガム又はアルギン酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどが挙げられる。これらの剤形中で使用される滑沢剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、造粒又はスラグ化し、滑沢剤及び崩壊剤を添加し、錠剤に圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、好適には粉砕された化合物を、上記の希釈剤又は基剤と、また場合によりカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン又はポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶解遅延剤、第四級塩などの再吸収促進剤、及び/又はベントナイト、カオリン又はリン酸二カルシウムなどの吸収剤と混合することによって調製される。粉末混合物は、シロップ、デンプン糊、アカディア粘液、又はセルロース系材料若しくはポリマー系材料の溶液などの結合剤により湿潤化し、スクリーンを通過させることによって造粒することができる。造粒の代わりに、粉末混合物を打錠機に通すことが可能であり、その結果不完全に形成されたスラグが生じ、スラグは崩壊して顆粒となる。この顆粒は、錠剤形成用金型への粘着を防ぐため、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、又はミネラルオイルの添加により滑沢化され得る。次いで、滑沢化された混合物は、錠剤に圧縮される。式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を、自由流動性の不活性担体と組み合わせて、造粒ステップ又はスラグ化ステップを経ることなく直接錠剤に圧縮することもできる。セラックの密封コートからなる透明又は不透明の保護コーティング、糖又はポリマー材料からなるコーティング、及びワックスからなる光沢コーティングを提供することができる。異なる単位用量を区別するために、これらのコーティングに色素を添加することができる。
【0108】
液剤、シロップ剤及びエリキシル剤などの経口用流体は、所与の量が所定量の化合物を含むような投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、化合物を好適に味付けされた水性溶液に溶解させることによって調製することが可能であり、他方、エリキシル剤は、非毒性アルコール系ビヒクルの使用を通して調製される。懸濁剤は、化合物を非毒性ビヒクル中に分散させることによって製剤化することができる。エトキシル化イソステアリルアルコール及びポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤及び乳化剤、保存剤、ペパーミント油などの風味添加剤、あるいは天然甘味剤若しくはサッカリン又はその他の人工甘味剤なども添加することができる。
【0109】
経口投与用の組成物は、治療上活性な薬剤の放出を持続させるかあるいは別の方法で制御するように改変された放出プロファイルを提供するように設計することができる。
【0110】
適切であれば、経口投与用の投与単位組成物は、マイクロカプセル化することができる。この組成物は、例えば、粒子状材料をポリマー、ワックスなどでコーティングすること又はそれらの中に包埋することにより、放出を延長するか又は持続させるように調製することができる。
【0111】
経口投与に適した及び/又は経口投与用に適合された組成物については、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、例えば微粒子化により得られた粒径を小さくした形態であってよい。サイズを小さくした(例えば、微粒子化された)化合物又は塩の好ましい粒径は、(例えば、レーザー回折を使用して測定された)約0.5〜約10μmのD50値によって規定される。
【0112】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、小単層ベシクル、大単層ベシクル及び多層ベシクルなどのリポソーム送達系の形態で投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成することができる。
【0113】
局所投与用に適合された医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、発泡剤、噴霧剤、エアロゾル剤、又は油剤として製剤化することができる。このような医薬組成物は従来の添加物を含んでいてよく、従来の添加物としては、限定するものではないが、保存剤、薬物浸透を補助するための溶媒、共溶媒、皮膚軟化剤、噴射剤、粘度調整剤(ゲル化剤)、界面活性剤、及び担体が挙げられる。一実施形態において、組成物の0.01〜10重量%、又は0.01〜1重量%の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む、局所投与用に適合された医薬組成物が提供される。
【0114】
眼又は他の外部組織(例えば口及び皮膚)の治療について、組成物は、好ましくは、局所用の軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、噴霧剤、又は発泡剤として適用される。軟膏剤に製剤化される場合、活性成分は、パラフィン系軟膏基剤又は水混和性軟膏基剤のいずれかと共に用いることができる。あるいは、活性成分を、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共にクリーム剤に製剤化してもよい。
【0115】
眼への局所投与用に適合された医薬組成物としては、活性成分を好適な担体、特に水性溶媒に溶解又は懸濁させた点眼剤が挙げられる。眼に投与される組成物は、眼科的に適合性のpH及びモル浸透圧濃度を有する。1種以上の眼科的に許容されるpH調整剤及び/又は緩衝剤、例えば、酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸、及び塩酸などの酸、水酸化ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、及び乳酸ナトリウムなどの塩基、並びにクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウム及び塩化アンモニウムなどの緩衝剤を、本発明の組成物中に含めることができる。このような酸、塩基、及び緩衝剤は、組成物のpHを眼科的に許容される範囲に維持するのに必要な量で含めることができる。1種以上の眼科的に許容される塩は、組成物のモル浸透圧濃度を眼科的に許容される範囲内とするのに十分な量で組成物中に含めることができる。このような塩としては、ナトリウム、カリウム又はアンモニウムのカチオン、及び塩酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、又は重亜硫酸塩のアニオンを有する塩が挙げられる。
【0116】
眼用送達デバイスは、複数の定義された放出速度及び持続性投与動態並びに浸透性を有する、1種以上の治療剤の制御放出用に設計することができる。制御放出は、生分解性/生体侵食性ポリマー(例えば、ポリ(エチレンビニル)アセテート(EVA)、超加水分解PVA)、ヒドロキシアルキルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリカプロラクトン、ポリ(グリコール)酸、ポリ(乳)酸、ポリ無水物の、薬物の拡散、侵食、溶解及び浸透を促進するであろうポリマー分子量、ポリマー結晶化度、コポリマー比、加工状態、表面仕上げ、幾何学的構造、賦形剤添加及びポリマーコーティングの様々な選択及び特性を組み込んだポリマーマトリックスの設計を通して得ることができる。
【0117】
眼送達用の医薬組成物はまた、in situでゲル化可能な水性組成物も包含する。このような組成物は、眼又は涙液と接触するとゲル化を促進するのに有効な濃度のゲル化剤を含む。好適なゲル化剤としては、限定するものではないが、熱硬化性ポリマーが挙げられる。本明細書中で使用される用語「in situでゲル化可能な」は、眼又は涙液と接触するとゲルを形成する低粘度の液体を包含するだけでなく、眼に投与されると粘度の実質的な増大又はゲル剛性を示す半流体及びチクソ性ゲルなどのより粘性の液体も包含する。例えば、Ludwig (2005) Adv.Drug Deliv.Rev.3;57:1595-639(眼への薬物送達において使用するためのポリマーの例の教示の目的で、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0118】
経鼻投与又は吸入投与用の剤形は、エアロゾル剤、液剤、懸濁剤、ゲル剤、又は乾燥散剤として好都合に製剤化することができる。
【0119】
吸入投与に適した及び/又は吸入投与用に適合された組成物については、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、例えば微粒子化により得られた粒径を小さくした形態であることが好ましい。サイズを小さくした(例えば微粒子化された)化合物又は塩の好ましい粒径は、(例えば、レーザー回折を使用して測定された)約0.5〜約10μmのD50値によって規定される。
【0120】
例えば吸入投与用のエアロゾル製剤は、薬学的に許容される水性溶媒又は非水性溶媒中の活性物質の溶液又は微細懸濁液を含み得る。エアロゾル製剤は、噴霧デバイス又は吸入器と共に使用するためのカートリッジ又はリフィルの形を採り得る密封容器中の滅菌形態の単回用量又は複数回用量で提供することができる。あるいは、密封容器は、単回用量経鼻吸入器などの単一分配デバイス、又は容器の内容物が使い尽くされたら廃棄されることが意図される定量バルブ(定量吸入器)が取り付けられたエアロゾルディスペンサーであってもよい。
【0121】
剤形がエアロゾルディスペンサーを含む場合、このディスペンサーは、好ましくは、圧縮空気などの加圧下で好適な噴射剤(二酸化炭素)、又はハイドロフルオロカーボン(HFC)などの有機噴射剤などを含有する。好適なHFC噴射剤としては、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン及び1,1,1,2-テトラフルオロエタンが挙げられる。エアロゾル剤形はまた、ポンプアトマイザーの形態も採り得る。加圧エアロゾルは、活性化合物の溶液又は懸濁液を含有することができる。この加圧エアロゾルは、懸濁製剤の分散特性及び均一性を改善するためのさらなる賦形剤、例えば共溶媒及び/又は界面活性剤の組み込みを必要とし得る。溶液製剤は、また、エタノールなどの共溶媒の添加も必要とし得る。
【0122】
吸入投与に適した及び/又は吸入投与用に適合された医薬組成物については、この医薬組成物は、吸入可能な乾燥粉末組成物であり得る。このような組成物は、ラクトース、グルコース、トレハロース、マンニトール又はデンプンなどの粉末基剤、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を(好ましくは粒径を小さくした形態、例えば微粒子化形態で)含むことが可能であり、場合によりL-ロイシン若しくは別のアミノ酸及び/又はステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなどのステアリン酸の金属塩などの性能調整剤を含み得る。好ましくは、吸入可能な乾燥粉末組成物は、ラクトース(例えばラクトース一水和物)と式(I)の化合物又はその塩との乾燥粉末ブレンドを含む。このような組成物は、例えばGB2242134Aに記載されている、GlaxoSmithKline社により販売されているDISKUS(登録商標)デバイスなどの好適なデバイスを用いて患者に投与することができる。
【0123】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、流体ディスペンサー(例えば分配ノズル又は分配オリフィスを有する流体ディスペンサーであって、使用者が流体ディスペンサーのポンプ機構に力を加えると上記のノズル又はオリフィスを通して計量用量の流体製剤が分配される)から送達するための流体製剤として製剤化することができる。このような流体ディスペンサーは、一般に、複数回計量用量の流体製剤のリザーバを備え、この用量は連続的なポンプの作動により分配可能である。分配ノズル又はオリフィスは、流体製剤の鼻腔内への噴霧分配のため、使用者の鼻孔内へ挿入するように構成することができる。上述のタイプの流体ディスペンサーは、国際特許出願公開第WO 2005/044354 A1号に記載及び例示されている。
【0124】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の治療有効量は、例えば、患者の年齢及び体重、治療を必要とする正確な状態及びその重症度、製剤の性質、並びに投与経路などの多数の因子によって決定され、最終的には担当医師又は獣医師の裁量により決定される。本医薬組成物において、経口投与又は非経口投与のための各投与単位は、遊離塩基として計算して、好ましくは0.01mg〜3000mg、より好ましくは0.5mg〜1000mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。経鼻又は吸入投与のための各投与単位は、遊離塩基として計算して、好ましくは0.001mg〜50mg、より好ましくは0.01mg〜5mgの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含有する。
【0125】
薬学的に許容される式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、遊離塩基として計算して、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の1日用量(成人患者について)(例えば1日当たり0.01mg〜3000mg、1日当たり0.5mg〜1000mg、又は1日当たり100mg〜2500mgの経口用量又は非経口用量、あるいは1日当たり0.001mg〜50mg、又は1日当たり0.01mg〜5mgの経鼻用量又は吸入用量)で投与することができる。この量は、1日1回用量で与えてもよく、より一般的には、総1日用量が同じであるように1日数回(2、3、4、5又は6回など)のサブ用量で与えてもよい。その塩の有効量は、式(I)の化合物自体の有効量の比として決定することができる。
【0126】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は単独で用いてもよく、その他の治療剤と組み合わせて用いてもよい。従って、本発明による組み合わせ療法は、少なくとも1種の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の投与、及び少なくとも1種の他の治療上活性な薬剤の使用を含む。式(I)の化合物(1つ又は複数)及びその薬学的に許容される塩、並びに他の治療上活性な薬剤(1つ又は複数)は、単一医薬組成物として一緒に投与しても、又は別々に投与してもよく、別々に投与される場合、この投与は同時に行ってもよいし、又は任意の順序で連続的に行ってもよい。式(I)の化合物(1つ又は複数)及びその薬学的に許容される塩、並びに他の治療上活性な薬剤(1つ又は複数)の量、さらに投与の相対的タイミングは、所望の組み合わせ治療効果を達成するように選択される。従って、さらなる態様において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、1種以上の他の治療上活性な薬剤と共に含む組み合わせ物が提供される。
【0127】
従って、一態様において、本発明による式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、例えば、抗生物質、抗ウイルス薬、グルココルチコステロイド、ムスカリン拮抗薬、ベータ-2作動薬、及びビタミンD3類似体から選択される1種以上の他の治療剤と組み合わせて使用することができるか、又はこれらを含み得る。さらなる実施形態において、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、癌の治療に適したさらなる治療剤と組み合わせて使用することができる。このようなさらなる治療剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V. T. Devita and S. Hellman(editors), 6th edition(2001), Lippincott Williams & Wilkins Publishers中に記載されている。当業者であれば、関与する薬物及び癌の特定の特徴に基づいて、薬剤のどの組み合わせが有用であり得るかを識別することができる。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて用いられるさらなる治療剤としては、限定するものではないが、抗微小管剤(ジテルペノイド及びビンカアルカロイドなど)、白金配位錯体、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、オキサザホスホリン、アルキルスルホネート、ニトロソウレア及びトリアゼン類など)、抗生物質剤(アントラサイクリン、アクチノマイシン及びブレオマイシン類など)、トポイソメラーゼII阻害薬(エピポドフィロトキシン類など)、代謝拮抗薬(プリン類似体及びピリミジン類似体、並びに抗葉酸化合物など)、トポイソメラーゼI阻害薬(カンプトテシン類、ホルモン及びホルモン類似体など)、シグナル伝達経路阻害薬(チロシン受容体阻害薬など)、非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害薬、免疫療法剤(ニボルマブ(nivolumab)及びペムブロリズマブ(pembrolizumab)を含むPD-1阻害剤、並びにイピリムマブ(ipilimumab)を含むCTLA-4阻害剤など)、アポトーシス促進剤、エピジェネティックモジュレーター又は転写モジュレーター(ヒストンデアセチラーゼ阻害薬など)及び細胞周期シグナル伝達阻害薬が挙げられる。
【0128】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩が、通常は吸入経路、静脈内経路、経口経路又は鼻腔内経路で投与される他の治療剤と組み合わせて投与される場合、結果として生じる医薬組成物は、同じ経路で投与し得ることが認識されるであろう。あるいは、組成物の個々の成分を異なる経路で投与してもよい。
【0129】
適切であれば、他の治療剤(1つ又は複数)を、塩の形態で、例えばアルカリ金属塩若しくはアミン塩として、又は酸付加塩若しくはプロドラッグとして、あるいはエステル(例えば低級アルキルエステル)として、あるいは溶媒和物(例えば水和物)として用いて、治療剤の活性及び/又は安定性、及び/又は溶解度などの物理的特性を最適化し得ることは当業者に明らかであろう。適切であれば、治療剤を光学的に純粋な形態で使用し得ることも明らかであろう。
【0130】
上記で言及した組み合わせ物は、好都合には、医薬組成物の形態で使用するために提供することが可能であり、従って、上記に定義される組み合わせ物を薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物は、本発明のさらなる態様に相当する。
【0131】
一般的な合成経路
本発明の化合物は、様々な方法によって作製することができる。任意の先に定義された変数は、別段に指示されない限り、引き続き先に定義された意味を有する。例示的な一般的合成法は以下のスキームに示され、本発明の他の化合物を調製するために容易に適合させることができる。本発明の具体的な化合物は、実施例の節において調製される。
【0132】
式(I)の化合物は、以下のスキームのいずれかに記載されるように調製することができる:
【0133】
スキーム1:
【0134】
【化6】
(式中、R1、R2、R3及びR4は上記のとおりであり、Halは塩素又は臭素であり、XはHであるか、又は一緒になって-C(Me)2C(Me)2-などの環式ボロン酸エステルを形成する)。
【0135】
上記のスキーム1に示されるステップに関して、以下の反応条件を利用し得る:
ステップ1は根岸クロスカップリングであり、式R4CH(R3)ZnHalのハロゲン化ベンジル亜鉛を用いて、PdCl2(PPh3)2などのパラジウム触媒の存在下に、場合により別のホスフィン配位子の存在下、THFなどの好適な溶媒中、70℃などの好適な温度で実施することができる。
ステップ2は酸-媒介性エステル切断であり、TFAなどの任意の好適な酸を用いて、場合によりDCMなどの好適な溶媒中、室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ3はアミドカップリング反応であり、アミン試薬R2-NH2を用いて、トリエチルアミン又はDIPEAなどの好適な第三級アミンの存在下に、HATUなどの好適なアミドカップリング反応物の存在下、DCM又はDMFなどの好適な溶媒中、室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ4はBOCなどの保護基を除去するための任意選択の脱保護ステップであり、TFA又はHClなどの酸を用いて、DCM又は1,4-ジオキサンなどの好適な溶媒の存在下に、室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ5は、好適なキラルHPLCカラム及び好適な溶媒系を用いた、任意選択のキラル分離である。
ステップ6はカルボニル化反応であり、EtOHなどのアルコール試薬を用いて、トリエチルアミンなどの第三級アミンの存在下に、[(R)-(+)-2,2′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフチル]パラジウム(II)クロリドなどのパラジウム触媒の存在下で、場合により別のホスフィン配位子の存在下に、一酸化炭素の存在下で、DMFなどの好適な溶媒中、70℃などの好適な温度で実施することができる。
ステップ7は還元であり、還元剤、又は水素化ホウ素ナトリウム及び塩化カルシウムなどの試薬の組み合わせを用いて、エタノール及び2-MeTHFなどの好適な溶媒又は溶媒混合物中、0℃〜室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ8は塩素化反応であり、塩化チオニルなどの塩素化試薬を用いて、DCMなどの好適な溶媒の存在下に、室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ9は鈴木カップリングなどのクロスカップリング反応であり、アリールボロン酸又はアリールボロン酸エステルR4-B(OX)2などのアリール金属種を用いて、PdCl2(PPh3)2などの好適なパラジウム触媒の存在下、場合により別のホスフィン配位子の存在下に、炭酸カリウムなどの好適な塩基の存在下、1,4-ジオキサン及び水などの好適な溶媒又は溶媒混合物の存在下で、120℃などの好適な温度にて実施することができる。
ステップ10は酸化であり、デス-マーチンペルヨージナンなどの好適な酸化剤を用いて、DCMなどの好適な溶媒中、室温などの好適な温度で実施することができる。
ステップ11は、THFなどの好適な溶媒中、0℃などの好適な温度で臭化フェニルマグネシウムなどの好適なグリニャール試薬を用いる、アルデヒドへのグリニャール付加である。
【0136】
ステップ12は、DCMなどの好適な溶媒中、0℃などの好適な温度で塩化チオニルなどの好適な塩素化試薬を用いる、塩化物などのハロゲン化物によるアルコールの置換反応である。
【0137】
ステップ13は、場合により、好適な溶媒の存在下に、室温などの好適な温度でメタノールなどの好適な求核試薬を用いる、メトキシ基などの求核剤による塩化物などの脱離基の置換反応である。
【0138】
上記化合物の1個以上の官能基を保護することが有利であり得ることが当業者に認識されるであろう。保護基の例及びそれらの除去のための手段はT. W. Greene ‘Protective Groups in Organic Synthesis’ (4th edition, J. Wiley and Sons, 2006)中に見出すことが可能であり、このような手段に関して、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0139】
好適なアミン保護基としては、アシル(例えば、アセチル、カルバメート(例えば、2',2',2'-トリクロロエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はt-ブトキシカルボニル)及びアリールアルキル(例えば、ベンジル)が挙げられ、これらは、酸媒介性切断により(例えば1,4-ジオキサン中塩酸又はジクロロメタン中トリフルオロ酢酸などの酸を用いて)、又は還元的に(例えば、ベンジル基又はベンジルオキシカルボニル基の水素化分解又は酢酸中亜鉛を用いた2',2',2'-トリクロロエトキシカルボニル基の還元的除去)、適宜除去することができる。他の好適なアミン保護基として、トリフルオロアセチル(-C(O)CF3)が挙げられるが、これは塩基触媒性加水分解により除去することができる。
【0140】
上記経路のいずれにおいても、様々な基及び部分が分子中に導入される合成ステップの正確な順序は変動し得ることが理解されるであろう。確実に、工程の一つの段階で導入される基又は部分が後続の変換及び反応により影響を受けないようにし、これに従って合成ステップの順序を選択することは、当業者の技能の範囲内であろう。
【0141】
上記の特定の中間体化合物は、本発明のなおさらなる態様を形成する。
【0142】
前述の反応又はプロセスのいずれについても、加熱及び冷却の従来の方法、例えば、それぞれ、温度調節された油浴若しくは温度調節された熱ブロック、並びに氷/塩浴若しくはドライアイス/アセトン浴を使用してもよい。単離の従来の方法、例えば、水性又は非水性溶媒から又はその中への抽出を使用してもよい。有機溶媒、溶液、又は抽出物を乾燥させる従来の方法、例えば、無水硫酸マグネシウム若しくは無水硫酸ナトリウムを用いた振盪、又は疎水性フリットを通した通過を使用してもよい。必要に応じて、従来の精製方法、例えば結晶化及びクロマトグラフィー、例えばシリカクロマトグラフィー又は逆相クロマトグラフィーを使用してもよい。結晶化は、酢酸エチル、メタノール、エタノール、若しくはブタノール、又はそれらの水性混合物などの従来の溶媒を用いて実施してもよい。具体的な反応時間及び温度は、典型的には、反応モニタリング技術、例えば薄層クロマトグラフィー及びLC-MSによって決定できることが理解されるであろう。
【実施例】
【0143】
全般的な実験の詳細
言及される全ての温度は℃におけるものである。
【0144】
本明細書中で用いられる、これらの方法、スキーム及び実施例において使用される記号及び慣習は、現代の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyにおいて使用される記号及び慣習と一致する。特記しない限り、全ての出発材料は商業的供給業者から入手し、さらに精製することなく使用した。具体的には、以下の略語が、実施例中で及び明細書を通じて使用され得る。
【0145】
【表1】
【0146】
以下の化合物の名称は、化合物命名プログラム「ACD Name Pro 6.02」を使用するか、又はChemDraw Ultra 12.0の命名機能を使用して得られた。
【0147】
LCMS法
ギ酸法
LC条件
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1(v/v)%ギ酸溶液
B=アセトニトリル中0.1(v/v)%ギ酸溶液
【0148】
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0149】
【表2】
【0150】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
MS条件
MS :Waters ZQ
イオン化方式 :交互走査陽及び陰エレクトロスプレー
走査範囲 :100〜1000AMU
走査時間 :0.27秒
走査間遅延 :0.10秒
【0151】
高pH法
LC条件
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=アンモニア溶液でpH10に調整された水中10mM炭酸水素アンモニウム
B=アセトニトリル
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0152】
【表3】
【0153】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
MS条件
MS :Waters ZQ
イオン化方式 :交互走査陽及び陰エレクトロスプレー
走査範囲 :100〜1000AMU
走査時間 :0.27秒
走査間遅延 :0.10秒
【0154】
TFA法
LC条件
UPLC分析は、Acquity UPLC CSH C18カラム(50mm×内径2.1mm、充填直径1.7μm)上で、40℃にて行った。
利用した溶媒は以下のとおりであった:
A=水中0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸溶液
B=アセトニトリル中0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸溶液
利用した勾配は以下のとおりであった:
【0155】
【表4】
【0156】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの合計シグナルであった。
MS条件
MS :Waters ZQ
イオン化方式 :交互走査陽及び陰エレクトロスプレー
走査範囲 :100〜1000AMU
走査時間 :0.27秒
走査間遅延 :0.10秒
【0157】
一般的なMDAP精製法
以下に、化合物精製において使用されているか、又は使用され得る質量分析計直結自動分取クロマトグラフィー(mass-directed autopreparative chromatography)(MDAP)法の例を挙げる。
【0158】
MDAP(高pH法)。HPLC分析は、アンモニア溶液でpH10に調整された水中10mM重炭酸アンモニウム(溶媒A)及びアセトニトリル(溶媒B)で、0〜100%溶媒Bの溶出勾配を用いて15分間又は25分間かけて溶出するXselect CSH C18カラム(150mm×内径30mm、充填直径5μm)上で、周囲温度にて行った。
【0159】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの平均シグナルであった。質量スペクトルは、交互走査陽及び陰エレクトロスプレーを使用して、Waters ZQ Mass Spectrometerに記録した。イオン化データは最も近い整数に丸めた。
【0160】
MDAP(ギ酸法)。HPLC分析は、水中0.1%ギ酸(溶媒A)及びアセトニトリル中0.1%ギ酸(溶媒B)で、0〜100%溶媒Bの溶出勾配を用いて15分間又は25分間かけて溶出するXselect CSH C18カラム(150mm×内径30mm、充填直径5μm)上で、周囲温度にて行った。
【0161】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの平均シグナルであった。質量スペクトルは、交互走査陽及び陰エレクトロスプレーを使用して、Waters ZQ Mass Spectrometerに記録した。イオン化データは最も近い整数に丸めた。
【0162】
MDAP(TFA法)。HPLC分析は、水中0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸溶液(溶媒A)及びアセトニトリル中0.1(v/v)%トリフルオロ酢酸溶液(溶媒B)で、0〜100%溶媒Bの溶出勾配を用いて15分間又は25分間かけて溶出するXselect CSH C18カラム(150mm×内径30mm、充填直径5μm)上で、周囲温度にて行った。
【0163】
UV検出は、210nm〜350nmの波長からの平均シグナルであった。質量スペクトルは、交互走査陽及び陰エレクトロスプレーを使用して、Waters ZQ Mass Spectrometerに記録した。イオン化データは最も近い整数に丸めた。
【0164】
NMR
スペクトルは、400MHz NMR装置又は600MHz NMR装置上のいずれかで、302K又はVTスペクトルについては392〜393Kのいずれかにて実行した。
【0165】
中間体1:tert-ブチル2-クロロ-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0166】
【化7】
【0167】
2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(40.7g、64.0mmol)を、室温の4-(tert-ブトキシカルボニル)-6-クロロピコリン酸(15g、58.2mmol、例えばAnichemから市販されているもの)及びEt3N(16.23mL、116mmol)のDCM(100mL)中溶液に添加し、次いで混合物を20分間撹拌した後、メタンアミン(THF中2M、38.8mL、78mmol)を添加した。混合物を2時間撹拌し、その後水(100mL)及び飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、次いで乾燥させて真空中で蒸発させ、薄黄色ガム状物を得た。これをDCMに溶解させ、340gシリカカラム上にロードし、その後0〜40%EtOAc/シクロヘキサンで溶出し、生成物含有画分を真空中で蒸発させ、tert-ブチル2-クロロ-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(6.9g、25.5mmol、収率43.8%)を薄黄色ガム状物として得、これを静置して結晶化させた。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.16分, [MH]+ = 271.2.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.55 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 7.95 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 7.79 (br. s, 1 H) 3.05 (d, J=4.9 Hz, 3 H) 1.61 (s, 9 H)
【0168】
中間体2:4-tert-ブチル2-エチル6-(メチルカルバモイル)ピリジン-2,4-ジカルボキシレート
【0169】
【化8】
【0170】
tert-ブチル2-クロロ-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(4.2g、15.51mmol)をDMF(50mL)及びエタノール(50mL)の混合物に溶解させ、次いでトリエチルアミン(4.71g、46.5mmol)及び[(R)-(+)-2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル]パラジウム(II)クロリド(0.621g、0.78mmol)を添加し、混合物を一酸化炭素でパージし、その後密封して、一酸化炭素で満たされたバルーンを取り付けた。混合物を週末かけて70℃で加熱し、次いで真空中で蒸発させ、残渣を水(100mL)とEtOAc(100mL)とに分配した。有機層を水(100mL)で洗浄し、乾燥させて真空中で蒸発させた。暗褐色残渣を、0〜50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出する100gシリカカラム上のクロマトグラフィーにより精製し、4-tert-ブチル2-エチル6-(メチルカルバモイル)ピリジン-2,4-ジカルボキシレート(4.2g、13.62mmol、収率88%)を薄黄色ガム状物として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.11分, [MH]+ = 309.2.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.80 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.67 (d, J=1.7 Hz, 1 H), 8.08 (br. d, J=3.4 Hz, 1 H), 4.50 (q, J=7.1 Hz, 2 H), 3.08 (d, J=5.1 Hz, 3 H), 1.63 (s, 9 H), 1.46 (t, J=7.1 Hz, 3 H)
【0171】
中間体3:tert-ブチル2-(ヒドロキシメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0172】
【化9】
【0173】
塩化カルシウム(4.54g、40.9mmol)を、0℃の4-tert-ブチル2-エチル6-(メチルカルバモイル)ピリジン-2,4-ジカルボキシレート(4.2g、13.62mmol)のエタノール(50mL)及び2-MeTHF(50.0mL)の混合物中溶液に添加し、次いでテトラヒドロホウ酸ナトリウム(0.773g、20.43mmol)を添加し、得られた赤色混合物を2時間撹拌し、混合物を室温に温めた。混合物を一晩静置して、その後氷浴中で冷却し、塩化アンモニウム溶液(100mL)を20分間かけてゆっくりと添加した。混合物をEtOAc(2×150mL)で抽出し、次いで有機物を乾燥させて真空中で蒸発させ、残渣を50gシリカカラム上のクロマトグラフィーにより精製し、tert-ブチル2-(ヒドロキシメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(2.2g、8.26mmol、収率61%)をベージュ色固体として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.84分, [MH]+ = 267.3.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.49 - 8.58 (m, 1 H), 7.90 - 8.02 (m, 2 H), 4.87 (s, 2 H), 3.05 (d, J=5.1 Hz, 3 H), 1.61 (s, 9 H).1個の交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0174】
中間体4:tert-ブチル2-(クロロメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0175】
【化10】
【0176】
tert-ブチル2-(ヒドロキシメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(1.5g、5.63mmol)をDCM(5mL)に溶解させ、二塩化硫黄(1.26mL、16.90mmol)を添加し、反応物を室温で4時間撹拌し、次いで混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液の添加によりクエンチし、混合物を20分間撹拌し、その後有機層を分離し、乾燥させて真空中で蒸発させ、tert-ブチル2-(クロロメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(1.35g、4.74mmol、収率84%)を無色固体として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.13分, [MH]+ = 285.2.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.59 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 8.11 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 7.95 (br. s., 1 H) 4.72 (s, 2 H) 3.07 (d, J=5.1 Hz, 3 H) 1.62 (s, 9 H)
【0177】
中間体5:tert-ブチル2-ホルミル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0178】
【化11】
【0179】
tert-ブチル2-(ヒドロキシメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(543mg、2.04mmol)をDCM(5mL)に溶解させた。デス-マーチンペルヨージナン(1009mg、2.38mmol)を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウムを反応混合物に添加し、次いでNaHCO3も添加した。得られた混合物を15分間撹拌した。水相をDCMで3回抽出し、合わせた有機層をMgSO4で乾燥させて蒸発させた。粗生成物を、SiO2上のクロマトグラフィー(Biotage SNAP10g、0〜50%酢酸エチル/シクロヘキサンで溶出)により精製した。所望の画分を濃縮し、tert-ブチル2-ホルミル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(501mg、1.71mmol、収率84%)を無色油状物として得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.97分, [MH]+ = 265.3.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 10.14 (s, 1 H), 8.88 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.55 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.00 (br. s., 1 H), 3.12 (d, J=4.9 Hz, 3 H), 1.62 - 1.66 (m, 9 H)
【0180】
中間体6:tert-ブチル2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0181】
【化12】
【0182】
tert-ブチル2-クロロ-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(5g、18.47mmol、例えばAnichemから市販されているもの)及びPdCl2(PPh3)2(1.296g、1.85mmol)をTHF(50mL)に溶解させ、ベンジル亜鉛(II)ブロミド(THF中0.5M、55.4mL、27.7mmol)を添加し、次いで混合物を70℃で2時間加熱した。溶媒を真空中で蒸発させ、残渣を0〜50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出する100gシリカカラム上のクロマトグラフィーにより精製し、tert-ブチル2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(5.7g、17.46mmol、収率95%)を暗褐色油状物として得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.30分, [MH]+ = 327.3.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.46 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.91 - 8.07 (m, 1 H), 7.78 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.28 - 7.34 (m, 2 H), 7.21 - 7.27 (m, 3 H), 4.21 (s, 2 H) 3.05 (d, J=5.1 Hz, 3 H), 1.58 (s, 9 H)
【0183】
中間体7:2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸
【0184】
【化13】
【0185】
tert-ブチル2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(2.5g、7.66mmol)をDCM(30mL)に溶解させ、次いでTFA(10mL、130mmol)を添加し、混合物を3時間室温で撹拌した。溶媒を真空中で蒸発させて薄黄色ガム状物を得た。粗物質をDCM(100mL)に溶解させ、水(100mL)で洗浄し、有機層を乾燥させて真空中で蒸発させ、2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(2.0g、7.40mmol、収率97%)を薄黄色固体として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.63分, [MH]+ = 271.3.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.76 (br. s., 1 H), 8.73 (d, J=4.9 Hz, 1 H), 8.24 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.83 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.34 - 7.39 (m, 2 H), 7.28 - 7.34 (m, 2 H) 7.19 - 7.25 (m, 1 H), 4.26 (s, 2 H), 2.87 (d, J=4.6 Hz, 3 H)
【0186】
中間体8:(+/-)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート
【0187】
【化14】
【0188】
tert-ブチル2-クロロ-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(0.5g、1.85mmol)をTHF(20mL)に溶解させ、パラジウムジクロリドビストリフェニルホスフィン(0.130g、0.19mmol)を添加した。溶液を窒素で5分間スパージし、次いで(1-フェニルエチル)亜鉛(II)ブロミド(THF中0.5M、7.39mL、3.69mmol、例えばSigma Aldrichから市販されているもの)を添加し、混合物を70℃で2時間加熱した。溶液をEtOAc(100mL)で希釈して水(100mL)で洗浄し、乾燥させて真空中で蒸発させた。残渣を0〜50%EtOAc/シクロヘキサンで溶出する25gシリカカラム上のクロマトグラフィーにより精製し、生成物含有画分を真空中で蒸発させて、tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート(0.41g、1.20mmol、収率65%)を暗黄色油状物として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.37分, [MH]+ = 341.3.
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d) δ ppm 8.45 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.02 (br. s., 1 H), 7.81 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.18 - 7.36 (obs. m, 5 H), 4.38 (q, J=7.3 Hz, 1 H), 3.07 (d, J=5.1 Hz, 3 H), 1.74 (d, J=7.3 Hz, 3 H), 1.59 (s, 9 H)
【0189】
中間体9:(+/-)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸
【0190】
【化15】
【0191】
tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート(0.41g、1.20mmol)をTFA(6mL)に溶解させ、室温で3時間撹拌し、次いで混合物を真空中で蒸発させて、残渣を水(20mL)とDCM(20mL)とに分配した。有機層を乾燥させて真空中で蒸発させ、2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(305mg、1.07mmol、収率89%)を灰色泡状物として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.69分, [MH]+ = 285.2.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.74 (br. s., 1 H), 8.75 (m, J=4.9 Hz, 1 H), 8.21 (d, J=1.5 Hz, 1 H,) 7.82 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.42 (br. d, J=7.1 Hz, 2 H), 7.30 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 7.16 - 7.23 (m, 1 H), 4.47 (q, J=7.1 Hz, 1 H), 2.89 (d, J=4.9 Hz, 3 H), 1.72 (d, J=7.3 Hz, 3 H)
【0192】
中間体10:(R)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート
【0193】
中間体11:(S)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート
【0194】
【化16】
【0195】
(+/-)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート(7.78g)をキラルHPLCにより精製した。ラセミ体をEtOH(150mL)に溶解させた。注入:1.1mLの溶液を、分取オートサンプラを介してカラム上に注入した(20%EtOH/ヘプタン+0.2%イソプロピルアミン、流速=42.5mL/分、検出波長=280nm、帯域幅140nm、基準400nm帯域幅100nm、カラム30mm×25cm Chiralcel OJ-H)。11.2〜13.7分からの画分をまとめてピーク1と標識した。15.7〜19分からの画分をまとめてピーク2と標識した。まとめた画分を真空中で濃縮し、その後秤量したフラスコに移した。
【0196】
ピーク1に対応する画分を回収し、中間体10(2.84g)が得られた。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.35分, [MH]+ = 341.3
【0197】
ピーク2に対応する画分を回収し、中間体11(2.80g)が得られた。
LCMS (2分 高pH): Rt = 1.35分, [MH]+ = 341.3
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.46 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 8.03 (br. s., 1 H), 7.82 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.20 - 7.36 (m, 5 H), 4.39 (q, J=7.2 Hz, 1 H), 3.08 (d, J=5.1 Hz, 3 H), 1.76 (d, J=7.1 Hz, 3 H), 1.60 (s, 9 H)
【0198】
中間体12:(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸
【0199】
【化17】
【0200】
(S)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート(2.19g、6.43mmol、中間体11)及びトリフルオロ酢酸(10.0mL、130mmol)のDCM(15mL)中混合物を、室温で19時間撹拌した。揮発性物質を混合物から真空中で蒸発させ、油性残渣をアセトニトリル(約10mL)に再溶解し、溶媒を真空中で蒸発させた。この橙色油状残渣にエーテル(約10mL)を添加し、白色固体を沈殿させた。この固体を濾過し、エーテル(2×5mL)で洗浄して真空中で乾燥させ、所望の生成物を白色固体;(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(1.18g、4.14mmol、収率64%)として得た。
【0201】
2回目のエーテル洗浄の母液に由来する溶媒を窒素流下で蒸発させ、所望の生成物の第2バッチを白色固体;(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(95.6mg、0.336mmol、収率5.23%)として得た。
【0202】
最初の粉砕物と第1エーテル洗浄物とを合わせた母液に由来する溶媒を窒素流下で蒸発させ、得られた橙色粘性油状物をエーテル(5mL)で粉砕した。母液をデカント除去し、固体をさらなるエーテル(3×5mL)で粉砕し、母液を毎回デカントした。この固体を真空中で乾燥させ、所望の生成物の第3バッチをクリーム色固体、収率;(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(310.8mg、1.09mmol、収率17%)として得た。
【0203】
上記のバッチの単離から得られた合わせた母液を窒素流下で蒸発させ、得られた橙色半結晶固体をエーテル(3mL)で洗浄した。母液をデカント除去し、固体をさらなるエーテル(3×3mL)で粉砕し、母液を毎回デカントした。この固体を真空中で乾燥させ、所望の生成物の第4バッチをクリーム色固体(100.4mg)として得た。
【0204】
4バッチにわたり合計した、単離された総生成物=1.68g、92%。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 1.00分, [MH]+ = 285.3
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 13.81 (br. s., 1 H), 8.80 (q, J=4.5 Hz, 1 H), 8.22 (s, 1 H), 7.83 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.43 (d, J=7.1 Hz, 2 H), 7.27 - 7.34 (m, 2 H), 7.16 - 7.24 (m, 1 H), 4.48 (q, J=7.3 Hz, 1 H), 2.90 (d, J=4.9 Hz, 3 H), 1.73 (d, J=7.3 Hz, 3 H)
【0205】
中間体13:(R)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸
【0206】
【化18】
【0207】
(R)-tert-ブチル2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチネート(497mg、1.46mmol、中間体10)をDCM(5mL)にとり、TFA(0.5mL、6.49mmol)を添加し、反応物を室温で一晩撹拌したままにした。TFA(0.5mL、6.49mmol)を再度添加し、反応物を50℃で3時間還流させた。さらにTFA(1mL)を反応物に添加し、次いで反応物をさらに2時間撹拌したままにした。反応物を真空中で濃縮した。サンプルをメタノール中に投入し、スルホン酸SPE(SCX、2g)により精製し、メタノールを通して溶出した。適切な画分を合わせ、真空中で蒸発させ、所要の生成物(350mg)を桃色固体として得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.68分, [MH]+ = 285.2.
【0208】
中間体14:tert-ブチル2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0209】
【化19】
【0210】
2mLマイクロウェーブバイアル中で、tert-ブチル2-(クロロメチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(100mg、0.35mmol)を、1,4-ジオキサン(1mL)及び水(0.5mL)中の(1H-インドール-4-イル)ボロン酸(113mg、0.70mmol)、炭酸カリウム(291mg、2.107mmol)及びPdCl2(dppf)(51.4mg、0.07mmol)と合わせた。これを120℃で40分間加熱した。この溶液を、EtOAc(10mL)で溶出するceliteに通して濾過し、次いで乾燥させて濃縮した。粗生成物を、SiO2上のクロマトグラフィー(Biotage SNAP10g、0〜60%酢酸エチル/シクロヘキサンで溶出)により精製した。所望の画分を濃縮し、tert-ブチル2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(75.4mg、0.17mmol、収率47%)を白色固体として得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 1.20分, [MH]+ = 366.2.
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 8.30 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.76 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.31 (d, J=8.3 Hz, 1 H), 7.21 (d, J=3.2 Hz, 1 H), 7.03 - 7.11 (m, 1 H), 6.91 (br. d, J=7.1 Hz, 1 H), 6.47 (dd, J=3.2, 0.7 Hz, 1 H), 4.52 (s, 2 H) 2.99 (s, 3 H), 1.54 (s, 9 H).交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0211】
中間体15:2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸
【0212】
【化20】
【0213】
tert-ブチル2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(75.4mg、0.17mmol)のDCM(3mL)中溶液に、TFA(0.60mL、7.79mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。さらなるTFA(0.3mL、0.17mmol)を添加し、得られた混合物を3時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(184mg、0.15mmol、収率90%、純度約25%)を得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.88分, [MH]+ = 310.1.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 11.59 - 12.89 (m, 1 H), 11.11 (br. s., 1 H), 8.76 (d, J=4.9 Hz, 1 H), 8.19 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 7.71 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.21 - 7.39 (m, 2 H), 7.05 (t, J=7.6 Hz, 1 H), 6.95 (d, J=6.8 Hz, 1 H), 6.46 - 6.56 (m, 1 H), 4.48 (s, 2 H), 2.88 (d, J=4.9 Hz, 3 H).
【0214】
中間体16:(+/-)-tert-ブチル2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0215】
【化21】
【0216】
0℃のtert-ブチル2-ホルミル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(118mg、0.45mmol)のTHF(1.5mL)中溶液に、フェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、2mL、2mmol)を滴下添加した。反応混合物を2時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液上に注ぎ、EtOAc(20mL×3)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiO2上のクロマトグラフィー(Biotage SNAP10g、0〜60%酢酸エチル/シクロヘキサンで溶出)により精製した。所望の画分を濃縮し、tert-ブチル2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(43mg、0.11mmol、収率24%)を得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 1.09分, [MH]+ = 343.3.
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 8.38 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 8.05 (d, J=1.2 Hz, 1 H) 7.42 - 7.47 (m, 2 H) 7.22 - 7.36 (m, 3 H) 5.95 (s, 1 H) 2.99 (s, 3 H) 1.60 (s, 9 H).交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0217】
中間体17:(+/-)-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸
【0218】
【化22】
【0219】
tert-ブチル2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(43mg、0.13mmol)のDCM(0.5mL)中溶液に、TFA(0.4mL、5.19mmol)を添加し、反応混合物を2時間撹拌し、その後一晩撹拌した。さらなるTFA(0.4mL、0.13mmol)を添加し、反応混合物を5時間撹拌し、次いで溶媒を除去して2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(47.9mg、0.12mmol、収率93%、純度70%)を得、これを次のステップで直接使用した。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.74分, [MH]+ = 287.1.
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 8.45 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 8.10 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.41 - 7.48 (m, 2 H), 7.21 - 7.38 (m, 3 H), 5.97 (s, 1 H), 2.99 (s, 3 H).交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0220】
中間体18:(+/-)-tert-ブチル2-(クロロ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0221】
【化23】
【0222】
0℃のtert-ブチル2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(46mg、0.13mmol)のDCM(4mL)中溶液に、塩化チオニル(30μL、0.41mmol)を滴下添加した。次いで、反応混合物を室温で12時間撹拌した。さらなる塩化チオニル(50μL、0.69mmol)を添加し、得られた混合物を5時間撹拌し、その後真空中で濃縮して、tert-ブチル2-(クロロ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(54mg)を得、これを精製することなく後続の反応で使用した。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 1.33分, [MH]+ = 361.1
【0223】
中間体19:(+/-)-tert-ブチル2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート
【0224】
【化24】
【0225】
tert-ブチル2-(クロロ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(54mg、0.15mmol)のメタノール(5mL)中溶液を、週末かけて撹拌した。次いで、反応混合物を、還流下で最初に1時間加熱し、その後4時間加熱し、最後に一晩加熱した。次いで、反応混合物を真空中で濃縮した。得られた粗生成物をフラッシュシリカクロマトグラフィー(SNAP10gカートリッジ、溶出液:0〜50%酢酸エチル/シクロヘキサン)により精製した。所望の画分を合わせて真空中で濃縮し、tert-ブチル2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(33mg、0.08mmol、収率56%)を無色油状物として得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 1.26分, [MH]+ = 357.2.
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 8.38 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.10 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.44 (d, J=7.3 Hz, 2 H), 7.30 - 7.38 (m, 2 H) 7.23 - 7.30 (m, 1 H), 5.54 (s, 1 H), 3.44 (s, 3 H), 2.98 (s, 3 H), 1.61 (s, 9 H).交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0226】
中間体20:(+/-)-2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸
【0227】
【化25】
【0228】
tert-ブチル2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチネート(33mg、0.09mmol)のDCM(1mL)中溶液に、2,2,2-トリフルオロ酢酸(0.5mL、6.49mmol)を添加し、反応混合物を一晩撹拌した。次いで、これを水で洗浄し、DCMで3回抽出し、その後これを乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(44.9mg、0.09mmol、収率97%、純度約60%)を得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.91分, [MH]+ = 301.1
1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ ppm 8.45 (d, J=1.2 Hz, 1 H), 8.17 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.98 (br. s, 1 H), 7.42 - 7.49 (m, 2 H), 7.31 - 7.38 (m, 2 H), 7.27 (m, J=7.3 Hz, 1 H), 5.55 (s, 1 H) 3.45 (s, 3 H), 2.99 (d, J=3.2 Hz, 3 H).1個の交換可能なプロトンは観察されなかった。
【0229】
[実施例]
[実施例1]
6-ベンジル-N2-メチル-N4-プロピルピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0230】
【化26】
【0231】
2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(50mg、0.19mmol)、HATU(105mg、0.28mmol)、DIPEA(0.1mL、0.57mmol)、プロパン-1-アミン(0.03mL、0.37mmol)及びDMF(1mL)を、室温でN2下に撹拌した。45分間撹拌後、溶液を濃縮し、橙色油状物(250mg)を得た。これを、SiO2上のクロマトグラフィー(Biotage SNAP25gカートリッジ、30〜100%酢酸エチル/シクロヘキサンで溶出)により精製した。適切な画分を濃縮し、6-ベンジル-N2-メチル-N4-プロピルピリジン-2,4-ジカルボキサミド(28mg、0.081mmol、収率44%)を無色油状物として得た。LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.98分, [MH]+ = 312.0.
【0232】
以下の実施例を、中間体7、2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸及び適切な市販されているアミンモノマーから、実施例1と同様の方法で調製し、列挙した実施例を提供した。
【0233】
実施例
【0234】
【表5】
【0235】
[実施例6]
(+/-)-N4-(2-ヒドロキシエチル)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0236】
【化27】
【0237】
2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(50mg、0.18mmol)をDMF(2mL)にとり、DIPEA(0.092mL、0.53mmol)を添加し、直後にHATU(100mg、0.26mmol)を添加し、反応物を室温で10分間撹拌したままにした。2-アミノエタノール(0.011mL、0.18mmol)を添加し、反応物をさらに1時間撹拌したままにした。混合物を真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)に溶解させた後、重炭酸ナトリウム溶液(10mL)で洗浄した。水層を酢酸エチル(10mL)で洗浄した。次いで、合わせた有機層を、ブライン(10mL)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、疎水性フリットに通して濾過した。次いで、反応物を真空中で濃縮した。粗生成物を1:1のMeOH:DMSO(0.8mL)に溶解し、MDAP(高pH法)により精製した。MDAPでは生成物の回収に失敗し、代わりに生成物は廃溶媒を用いて回収した。廃物質を真空中で蒸発させた。粗生成物をDMSO及び1:1のDMSO:MeOH(0.3mL)に溶解し、MDAP(高pH法)により精製した。溶媒を真空中で蒸発させ、表題化合物(5.9mg)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.87分, [MH]+ = 328.2.
【0238】
[実施例11]
6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0239】
【化28】
【0240】
1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(33.0mg、0.25mmol)、HATU(92.mg、0.24mmol)及びDIPEA(0.100mL、0.57mmol)のDMF(1mL)中混合物に、2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(50.9mg、0.19mmol)を添加した。この混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を窒素流下で蒸発させ、得られた粘性の暗褐色固体をDMSO(2mL)に再溶解し、MDAP(2×1mL注入、高pH法)により直接精製した。所要の画分(両稼働について画分1)を窒素流下で蒸発させ、メタノール(約2mL)及びジクロロメタン(約2mL)に再溶解し、合わせた。この溶液を窒素流下で蒸発させ、残渣を真空中で乾燥させて、薄桃色のガラス状固体として所望の生成物の6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(51.9mg、0.15mmol、収率79%)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.91分, [MH]+ = 350.3.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.89 (s, 1 H) 8.78 (br. q, J=4.6, 4.6, 4.6 Hz, 1 H), 8.39 (s, 1 H), 8.04 (s, 1 H), 7.90 (d, J=0.7 Hz, 1 H), 7.59 (s, 1 H) 7.38 (br. d, J=6.8 Hz, 2 H), 7.32 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 7.22 (br. t, J=7.3, 7.3 Hz, 1 H), 4.25 (s, 2 H) 3.82 (s, 3 H), 2.88 (d, J=4.9 Hz, 3 H)
【0241】
[実施例12]
6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0242】
【化29】
【0243】
2-ベンジル-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(251.8mg、0.93mmol)及びHATU(565.5mg、1.49mmol)の混合物に、1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(166.0mg、1.39mmol)及びDMF(4mL)を添加した。DIPEA(0.570mL、3.26mmol)を添加し、混合物を室温で3.5時間撹拌した。この混合物を窒素流下で濃縮し、次いでアセトニトリルで総体積5mLに希釈し、MDAP(5×1mL注入、高pH法)により直接精製し、所要の画分(各稼働からの画分1)を窒素流下で蒸発させた。残渣をメタノール(約5mL)にそれぞれ再溶解し、風袋したバイアルにて合わせ、溶媒を窒素流下で蒸発させて、薄黄色固体の6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(198.9mg、0.59mmol、収率64%)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.85分, [MH]+ = 336.1.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.71 (br. s., 1 H), 10.88 (s, 1 H), 8.78 (q, J=4.5 Hz, 1 H), 8.40 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.02 (br. s., 1 H), 7.90 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 7.70 (br. s., 1 H), 7.36 - 7.41 (m, 2 H), 7.29 - 7.36 (m, 2 H), 7.19 - 7.26 (m, 1 H), 4.25 (s, 2 H), 2.88 (d, J=4.9 Hz, 3 H)
【0244】
[実施例80]
6-ベンジル-N4-(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N2-メチルピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0245】
【化30】
【0246】
水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液、14.9mg、0.37mmol)及び6-ベンジル-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(58.9mg、0.18mmol)を含有する密封したマイクロウェーブバイアルに、DMF(1mL)を添加した。混合物を窒素雰囲気下で室温にて30分間撹拌した後、2,2-ジメチルオキシラン(0.019mL、0.21mmol)を添加し、混合物を室温で35分間撹拌した。マイクロウェーブキャップを新しいものと交換し、混合物をマイクロウェーブ反応器中で60℃にて30分間加熱した。マイクロウェーブキャップを新しいものと交換し、混合物をマイクロウェーブ反応器中で80℃にて30分間加熱した。メタノール(0.5mL)を添加して反応をクエンチし、得られた橙色溶液をMDAP(2×1mL注入、ギ酸法)により直接精製した。所要の画分(各稼働からの画分1)を窒素流下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(約10mL)に溶解し、合わせて、風袋したバイアルに移した後、溶媒を窒素流下で蒸発させて真空中で乾燥させ、無色ガラス状物として所望の生成物の6-ベンジル-N4-(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-ピラゾール-4-イル)-N2-メチルピリジン-2,4-ジカルボキサミド(14.0mg、0.03mmol、収率20%)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.89分, [MH]+ = 408.6.
【0247】
[実施例16]
(S)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0248】
【化31】
【0249】
(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(80.5mg、0.28mmol)及びHATU(172.0mg、0.45mmol)の混合物に、1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(51.6mg、0.43mmol)及びDMF(1.8mL)を添加した。DIPEA(0.173mL、0.99mmol)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。この混合物を窒素流下で濃縮し、アセトニトリルで総体積2mLに希釈し、MDAP(2×1mL注入、ギ酸法)により直接精製し、所要の画分(両稼働からの画分1)を合わせて、真空中で蒸発させた。残渣をメタノール(約6mL)に再溶解し、風袋したバイアルに移し、溶媒を窒素流下で蒸発させ、残渣を真空中で乾燥させ、黄色固体として所望の生成物の(S)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(87.5mg、0.25mmol、収率88%)を得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.91分, [MH]+ = 350.3.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 10.87 (s, 1 H) 8.80 (d, J=4.2 Hz, 1 H), 8.38 (s, 1 H) 7.80 - 7.96 (m, 3 H), 7.43 (d, J=7.6 Hz, 2 H), 7.31 (t, J=7.2 Hz, 2 H), 7.13 - 7.25 (m, 1 H), 4.45 (q, J=6.6 Hz, 2 H), 2.91 (d, J=3.9 Hz, 3 H), 1.74 (d, J=6.8 Hz, 3 H)
【0250】
以下の実施例を、中間体12、(S)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸及び適切な市販されているアミンモノマーから、実施例16と同様の方法で調製し、列挙した実施例を提供した。
【0251】
実施例
【0252】
【表6】
【0253】
[実施例21]
(R)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0254】
【化32】
【0255】
(R)-2-(メチルカルバモイル)-6-(1-フェニルエチル)イソニコチン酸(53.7mg、0.19mmol)、HATU(86.7mg、0.23mmol)及び1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(28.9mg、0.24mmol)のDMF(1mL)中混合物に、DIPEA(0.132mL、0.76mmol)を添加した。得られた暗灰色溶液を室温で2.75時間撹拌した。反応混合物をDMSO(2mL)で希釈し、MDAP(3mL注入、高pH法)により直接精製した。所要の画分(画分1及び2)を合わせて真空中で蒸発させ、薄黄色固体として所望の生成物の(R)-N2-メチル-6-(1-フェニルエチル)-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(39.9mg、0.11mmol、収率61%)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.92分, [MH]+ = 350.3.
【0256】
[実施例36]
6-((1H-インドール-4-イル)メチル)-N2-メチル-N4-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0257】
【化33】
【0258】
2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(30.1mg、0.10mmol)及びHATU(58.5mg、0.15mmol)の混合物に、2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エタンアミン(21.9mg、0.18mmol)のDMF(0.8mL)中溶液、続いてDIPEA(0.050mL、0.29mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した後、15時間静置したままにした。次いで、混合物を窒素流下で濃縮し、アセトニトリルで総体積1mLに希釈し、MDAP(1×1mL注入、ギ酸法)により直接精製し、所要の画分(画分1)を窒素流下で蒸発させた。残渣をジクロロメタン(約6mL)及びメタノール(約3mL)に再溶解し、風袋したバイアルに移し、溶媒を窒素流下で蒸発させ、残渣を真空中で乾燥させ、淡褐色固体として所望の生成物の6-((1H-インドール-4-イル)メチル)-N2-メチル-N4-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(25.8mg、0.06mmol、収率64%)を得た。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.82分, [MH]+ = 417.4.
【0259】
以下の実施例を、中間体15、2-((1H-インドール-4-イル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸及び適切な市販されているアミンモノマーから、実施例36と同様の方法で調製し、列挙した実施例を提供した。
【0260】
実施例
【0261】
【表7】
【0262】
[実施例45]
(+/-)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0263】
【化34】
【0264】
(±)-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(48.1mg、0.17mmol)、HATU(94.4mg、0.25mmol)及び1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(35.5mg、0.27mmol)のDMF(1.0mL)中溶液に、DIPEA(0.117mL、0.67mmol)を添加した。得られた暗橙色溶液を室温で2時間撹拌し、その後DMSO(2mL)で希釈し、MDAP(3mL注入、高pH法)により直接精製した。所要の画分(画分1及び2)を窒素流下で蒸発させ、メタノール(それぞれ約2mL)及びジクロロメタン(それぞれ約1mL)に再溶解し、合わせた。この溶液を窒素流下で蒸発させ、残渣を真空中で乾燥させて、薄緑色固体として所望の生成物の(±)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(52.4mg、0.14mmol、収率85%)を得た。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.77分, [MH]+ = 366.3.
【0265】
以下の実施例を、中間体17、(±)-2-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸及び適切な市販されているアミンモノマーから、実施例45と同様の方法で調製し、列挙した実施例を提供した。
【0266】
実施例
【0267】
【表8】
【0268】
[実施例49]
(S*)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0269】
[実施例77]
(R*)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0270】
【化35】
【0271】
(+/-)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(2-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)エチル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(調製については実施例46を参照のこと)(52mg)を、キラルHPLCにより精製した。ラセミ体をEtOH(2mL)に溶解させた。注入:1mLの溶液を、カラム上に注入した(30%EtOH/ヘプタン、流速=30mL/分、検出波長=215nm、4. Ref 550、100、カラム30mm×25cm Chiralpak IA(5μm)、ロットno. IA11321-01)。注入総数=7。24〜29分からの画分をまとめてピーク1と標識した。29〜37分からの画分をまとめて混合と標識し、37〜50分からの画分をまとめてピーク2と標識した。まとめた混合画分を真空中で濃縮し、上記の方法を用いて再処理した。まとめた純粋画分を真空中で濃縮し、その後秤量したフラスコに移した。
【0272】
ピーク1に対応する画分を回収し、実施例77(25mg)が得られた。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.76分, [MH]+ = 394.4.
【0273】
ピーク2に対応する画分を回収し、実施例49(21mg)が得られた。
LCMS (2分 高pH): Rt = 0.76分, [MH]+ = 394.4.
【0274】
[実施例52]
(S*)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0275】
[実施例53]
(R*)-6-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0276】
【化36】
【0277】
実施例45(45mg)をキラルHPLCにより精製した。ラセミ体を加熱しながらEtOH(3mL)に溶解させた。注入:1.5mLの溶液を、カラム上に注入した(20%EtOH/ヘプタン、流速=20mL/分、検出波長=215nm、4. Ref 550、100、カラム21.1mm×25cm (R-R) Whelk O-1(5μm)、ロットno. #49788)。注入総数=3。23.5〜26分からの画分をまとめてピーク1と標識した。26〜28分からの画分をまとめて混合と標識し、28〜32分からの画分をまとめてピーク2と標識した。まとめた混合画分を真空中で濃縮し、上記の方法を用いて再処理した。まとめた純粋画分を真空中で濃縮し、その後秤量したフラスコに移した。
【0278】
ピーク1に対応する画分を回収し、実施例52(20mg)が得られた。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.75分, [MH]+ = 366.3.
【0279】
ピーク2に対応する画分を回収し、実施例53(20mg)が得られた。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.73分, [MH]+ = 366.3.
【0280】
[実施例54]
(+/-)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0281】
【化37】
【0282】
2-(メトキシ(フェニル)メチル)-6-(メチルカルバモイル)イソニコチン酸(150mg、0.50mmol)を乾燥フラスコに添加した。DMF(2mL)を添加し、続いてHATU(228mg、0.60mmol)及び1H-ピラゾール-4-アミン塩酸塩(59.7mg、0.50mmol)を添加した。反応物を2分間撹拌し、次いでDIPEA(0.262mL、1.498mmol)を添加した。反応物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を直接3×LCMSバイアルに添加し、DMSO/MeOHで希釈し、3×MDAP(高pH法)により精製した。適切な画分を真空中で濃縮して、黄色固体として所望の生成物の(+/-)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(100mg、0.27mmol、収率55%)が得られた。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.82分, [MH]+ = 366.3.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.69 (br. s., 1 H) 10.92 (s, 1 H), 8.67 (q, J=4.8 Hz, 1 H), 8.45 (d, J=1.7 Hz, 1 H), 8.17 (d, J=1.5 Hz, 1 H), 8.04 (br. s., 1 H), 7.72 (br. s., 1 H), 7.51 (d, J=7.1 Hz, 2 H), 7.36 (t, J=7.5 Hz, 2 H), 7.24 - 7.31 (m, 1 H), 5.52 (s, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 2.88 (d, J=4.9 Hz, 3 H)
【0283】
[実施例55]
(S*)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0284】
[実施例56]
(R*)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド
【0285】
【化38】
【0286】
(+/-)-6-(メトキシ(フェニル)メチル)-N2-メチル-N4-(1H-ピラゾール-4-イル)ピリジン-2,4-ジカルボキサミド(調製については実施例54を参照のこと)(90mg)を、キラルHPLCにより精製した。ラセミ体をEtOH(2mL)に溶解させた。注入:1.5mLの溶液を、カラム上に注入した(20%EtOH(+0.2%イソプロピルアミン)/ヘプタン(+0.2%イソプロピルアミン)、流速=30mL/分、検出波長=215nm、4. Ref 550、100、カラム30mm×25cm Chiralcel OD-H(5μm)、ロットno. ODH11158-01)。注入総数=1。9〜11分からの画分をまとめてピーク1と標識した。12.5〜17分からの画分をまとめてピーク2と標識した。まとめた純粋画分を真空中で濃縮し、その後秤量したフラスコに移した。
【0287】
ピーク1に対応する画分を回収し、実施例55(35.4mg)が得られた。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.83分, [MH]+ = 366.2.
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.69 (br. s., 1 H), 10.93 (s, 1 H) 8.67 (q, J=4.3 Hz, 1 H) 8.45 (d, J=1.7 Hz, 1 H), 8.17 (d, J=1.7 Hz, 1 H), 8.04 (br. s., 1 H), 7.72 (br. s., 1 H), 7.51 (d, J=7.1 Hz, 2 H), 7.33 - 7.39 (m, 2 H), 7.24 - 7.30 (m, 1 H), 5.52 (s, 1 H), 3.39 (s, 3 H), 2.88 (d, J=4.9 Hz, 3 H)
【0288】
ピーク2に対応する画分を回収し、実施例56(39.2mg)が得られた。
LCMS (2分 ギ酸): Rt = 0.83分, [MH]+ = 366.3.
【0289】
[実施例57〜76及び81]
実施例57〜76及び81を、上記の他の実施例と類似の方法で調製した。
【0290】
【表9】
【0291】
生物学的データ
式(I)の化合物は、以下のアッセイの1つ以上において試験することができる。
【0292】
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)アッセイ
時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR-FRET)競合アッセイを利用して、ブロモドメイン結合を評価した。このアプローチを可能にするために、公知の高親和性pan-BET相互作用小分子を、遠赤蛍光染料であるAlexa Fluor(登録商標)647で標識した(参照化合物X)。参照化合物Xは、ブロモドメイン結合のレポーターとして作用し、TR-FRET対のアクセプターフルオロフォア成分である。抗-6*His抗体にコンジュゲートされたユーロピウムキレートを、TR-FRET対のドナーフルオロフォアとして利用した。抗-6*His抗体は、この研究において用いられたBETタンデムブロモドメインタンパク質構築物のそれぞれのアミノ末端に付加された6ヒスチジン精製エピトープに選択的に結合する。TR-FRETシグナルは、ドナーフルオロフォアとアクセプターフルオロフォアが20〜80Åに接近した場合(このアッセイでは、参照化合物Xがブロモドメインタンパク質に結合することにより可能となる)に発生する。
【0293】
参照化合物X:4-((Z)-3-(6-((5-(2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド)ペンチル)アミノ)-6-オキソヘキシル)-2-((2E,4E)-5-(3,3-ジメチル-5-スルホ-1-(4-スルホブチル)-3H-インドール-1-イウム-2-イル)ペンタ-2,4-ジエン-1-イリデン)-3-メチル-5-スルホインドリン-1-イル)ブタン-1-スルホネート)
【0294】
【化39】
【0295】
DMF(40μL)中のN-(5-アミノペンチル)-2-((4S)-6-(4-クロロフェニル)-8-メトキシ-1-メチル-4H-ベンゾ[f][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-4-イル)アセトアミド(調製については、参照化合物J、WO2011/054848A1を参照、1.7mg、3.53μmol)の溶液に、やはりDMF(100μL)中のAlexaFluor647-ONSu(2.16mg、1.966μmol)の溶液を添加した。この混合物をDIPEA(1μl、5.73μmol)で塩基性とし、ボルテックスミキサー上で一晩撹拌した。
【0296】
反応混合物を蒸発乾固させた。固体を、MeCN/水/AcOH(5/4/1、<1mL)に溶解させ、濾過し、Phenomenex Jupiter C18分取カラムに適用し、以下の勾配(A=水中0.1%トリフルオロ酢酸、B=0.1%TFA/90%MeCN/10%水)、流速=10mL/分、AU=20/10(214nm)で溶出した:
5〜35%、t=0分:B=5%;t=10分:B=5%;t=100分:B=35%;t=115分:B=100%(分離勾配:0.33%/分)。
【0297】
主成分を26〜28%Bの範囲にわたり溶出したが、2つのピークからなるように見えた。「両」成分を含有するはずの中間画分(F1.26)を分析HPLC(Spherisorb ODS2、60分にわたり1〜35%)で分析した。28%Bで単一成分が溶出した。
【0298】
画分F1.25/26及び27を合わせ、蒸発乾固させた。DMFと共に移し、蒸発乾固させ、乾燥エーテルで粉砕し、青色固体を<0.2mbarで一晩乾燥させ、1.54mgを得た。
【0299】
分析HPLC(Sphersisorb ODS2、60分にわたり1〜35%B):MSM10520-1:[M+H](実測値):661.8(M-29に対応)。この値は、M-29である計算質量1320.984についての[(M+2H)/2]に等しい。これは、Alexa Fluor 647色素を用いた場合の標準的な出現率であり、質量分析計条件下での2つのメチレン基の理論的損失を表す。
【0300】
アッセイ原理:
TR-FRETシグナルを発生させるため、ドナーフルオロフォアをλ337nmのレーザーで励起すると、これがその後λ618nmの発光を生じさせる。アクセプターフルオロフォアが近接していると、エネルギー移動が起こり得、これがλ665nmでのAlexa Fluor(登録商標)647の発光を生じさせる。競合化合物の存在下では、参照化合物Xはブロモドメインに対する結合から変位され得る。変位が起こる場合、アクセプターフルオロフォアはもはやドナーフルオロフォアに近接しておらず、これが蛍光エネルギー移動を妨げ、続いてλ665nmのAlexa Fluor(登録商標)647発光の損失が生じる。
【0301】
BETファミリー(BRD2、BRD3、BRD4及びBRDT)に対する結合についての式(I)の化合物と参照化合物Xの競合を、ブロモドメイン1(BD1)とブロモドメイン2(BD2)の両方にまたがるタンパク質トランケートを用いて評価した。BD1又はBD2のいずれかに対する異なる結合をモニターするため、アセチルリジン結合ポケット内に、キーとなるチロシンのアラニンへの単一残基突然変異を作製した。このアプローチを有効にするために、BETファミリーメンバーのそれぞれについて二重残基突然変異タンデムドメインタンパク質を作製した。蛍光偏光アプローチを利用して、参照化合物Xに対する単一突然変異体及び二重突然変異体のそれぞれの結合親和性を決定した。参照化合物Xに対する二重突然変異体タンデムタンパク質の親和性は、非変異野生型タンデムBETタンパク質と比較して大きく低下した(Kdが1000分の1未満に低下)。参照化合物Xに対する単一突然変異ブロモドメインタンデムタンパク質の親和性は、対応する非変異BETタンパク質と同等の効力であった。これらのデータは、チロシンのアラニンへの単一突然変異が、変異ブロモドメインと参照化合物Xとの間の相互作用のKdを1000分の1未満に低下させることを示した。TR-FRET競合アッセイにおいて、参照化合物Xは、非変異ブロモドメインに対するKdと同等の濃度で使用され、これにより変異ブロモドメインにおける結合が検出されないことが確保される。
【0302】
タンパク質産生:
N-末端に6-Hisタグを有する組換えヒトブロモドメイン[(BRD2(1-473)(Y113A)及び(Y386A)、BRD3(1-435)(Y73A)及び(Y348A)、BRD4(1-477)(Y97A)及び(Y390A)、並びにBRDT(1-397)(Y66A)及び(Y309A)]を、(BRD2/3/4についてはpET15bベクター中、BRDTについてはpET28aベクター中で)大腸菌(E.coli)細胞中で発現させた。His-タグされたブロモドメインペレットを、50mM HEPES(pH7.5)、300mM NaCl、10mMイミダゾール、及び1μL/mLプロテアーゼ阻害剤のカクテルに再懸濁させ、超音波処理を用いて大腸菌(E.coli)細胞から抽出し、ニッケルセファロース高速カラムを用いて精製し、タンパク質を洗浄し、次いで、20カラム体積にわたる、0〜500mMイミダゾールと、50mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、500mMイミダゾールからなるバッファーの線形勾配で溶出した。最終精製は、Superdex 200分取等級サイズ排除カラムにより完了した。精製タンパク質は、-80℃にて、20mM HEPES(pH7.5)及び100mM NaCl中で保存した。タンパク質同定は、ペプチド質量フィンガープリンティング及び質量分析により確認された予想分子量によって確認された。
【0303】
ブロモドメインBRD2、3、4及びT、BD1+BD2突然変異体TR-FRET競合アッセイのためのプロトコール:
全アッセイ成分を、50mMのHEPES(pH7.4)、50mMのNaCl、5%のグリセロール、1mMのDTT及び1mMのCHAPSからなるアッセイバッファーに溶解させた。参照化合物Xを、20nMの単一突然変異体タンデムブロモドメインタンパク質を含有するアッセイバッファーに、このブロモドメインに対する2*Kdと同等の濃度まで希釈した。Greiner 384ウェル黒色低体積マイクロタイタープレート中で、ブロモドメイン及び参照化合物Xを含有する溶液を、試験化合物又はDMSOビヒクル(このアッセイでは最大0.5%のDMSOが用いられる)の用量応答希釈まで添加し、その後30分間室温でインキュベートした。等体積の3nMの抗-6*Hisユーロピウムキレートを全ウェルに添加し、その後さらに30分間室温でインキュベートした。TR-FRETは、Perkin Elmer Multimodeプレートリーダーを用いて、ドナーフルオロフォアをλ337nmで励起し、その後、50μ秒間の遅延後、それぞれλ615nm及びλ665nmのドナーフルオロフォア及びアクセプターフルオロフォアの発光を測定することにより検出した。これらのアッセイを制御するため、それぞれ16反復の非阻害(DMSOビヒクル)TR-FRETアッセイ及び阻害(WO2011/054846A1の実施例11の10*IC50濃度)TR-FRETアッセイを、マイクロタイタープレート毎に含めた。
【0304】
次いで、以下の形の4パラメータ曲線適合を適用した。
y=a+((b-a)/(1+(10^x/10^c)^d)
(式中、「a」は最小値であり、「b」はHill勾配であり、「c」はpIC50であり、「d」は最大値である)。
【0305】
全化合物(実施例)を、本質的には上記のとおりのBRD4 BD1 TR-FRETアッセイ及びBRD4 BD2 TR-FRETアッセイにおいてそれぞれ試験した。当業者であれば、機能活性についてのin vitro結合アッセイ及び細胞ベースのアッセイは実験的変動を受けることを認識するであろう。従って、以下に示されるpIC50値は例示にすぎないことを理解されたい。pIC50値は、log10単位として表される。
【0306】
全実施例は、実施例72を除いて、少なくとも1つの上記アッセイにおいてpIC50≧5.0を有することが見出された。
【0307】
実施例59、61、66及び74〜76は、BRD4 BD2アッセイにおいて、pIC50≧5.0及び<6.0を有することが見出された。
【0308】
他の全ての試験化合物は、BRD4 BD2アッセイにおいてpIC50≧6.0及び<8.1を有することが見出された。特に、実施例11は、BRD4 BD2アッセイにおいて7.8のpIC50(n=2)を有することが見出され;実施例12は、BRD4 BD2アッセイにおいて7.7のpIC50(n=8)を有することが見出され;実施例16は、BRD4 BD2アッセイにおいて8.0のpIC50(n=5)を有することが見出され;実施例55は、BRD4 BD2アッセイにおいて7.7のpIC50(n=3)を有することが見出された。
【0309】
BRD4 BD1と比較したBRD4 BD2に対する選択性の計算
BRD4 BD1と比較したBRD4 BD2に対する選択性を、以下のとおりに計算した:
選択性=BRD4 BD2 pIC50-BRD4 BD1 pIC50
【0310】
全実施例は、実施例62及び72を除いて、上記のTR-FRETアッセイの少なくとも1つにおいて、BRD4 BD1と比較して1 log単位以上のBRD4 BD2に対する選択性を有することが見出され、従って、BRD4 BD1と比較して、BRD4 BD2に対して少なくとも10倍選択的である。
【0311】
実施例1〜56及び78〜80は、上記のTR-FRETアッセイの少なくとも1つにおいて、BRD4 BD1と比較して2 log単位以上のBRD4 BD2に対する選択性を有することが見出され、従って、BRD4 BD1と比較して、BRD4 BD2に対して少なくとも100倍選択的である。
【0312】
実施例11、12及び55は、上記のTR-FRETアッセイの少なくとも1つにおいて、BRD4 BD1と比較して2.7 log単位のBRD4 BD2に対する選択性を有することが見出された。
【0313】
実施例16は、上記のTR-FRETアッセイの少なくとも1つにおいて、BRD4 BD1と比較して3.0 log単位のBRD4 BD2に対する選択性を有することが見出され、従って、BRD4 BD1と比較して、BRD4 BD2に対して1000倍選択的である。
【国際調査報告】