特表2020-509105(P2020-509105A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特表2020-509105抗菌性高分子コーティング組成物および抗菌性高分子フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-509105(P2020-509105A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】抗菌性高分子コーティング組成物および抗菌性高分子フィルム
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20200303BHJP
   C09D 5/14 20060101ALI20200303BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20200303BHJP
   C09D 163/00 20060101ALI20200303BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20200303BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20200303BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D5/14
   C09D7/63
   C09D163/00
   B32B27/00 101
   F24F6/00 D
   F24F3/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2019-542500(P2019-542500)
(86)(22)【出願日】2018年9月20日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月13日
(86)【国際出願番号】KR2018011166
(87)【国際公開番号】WO2019066392
(87)【国際公開日】20190404
(31)【優先権主張番号】10-2017-0125447
(32)【優先日】2017年9月27日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヒョク
(72)【発明者】
【氏名】キム、テケウン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジンキュ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミングー
【テーマコード(参考)】
3L053
3L055
4F100
4J038
【Fターム(参考)】
3L053BC06
3L053BD02
3L053BD05
3L055DA11
4F100AH02A
4F100AH03A
4F100AH07A
4F100AK00A
4F100AK00B
4F100AK25A
4F100AK52A
4F100AK52B
4F100AL05A
4F100AL05B
4F100BA02
4F100BA07
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4F100CA30A
4F100EH46A
4F100EJ08A
4F100GB41
4F100GB48
4F100JB13A
4F100JB13B
4F100JC00A
4F100JD03A
4F100YY00A
4J038CG121
4J038DB001
4J038GA03
4J038GA06
4J038GA07
4J038GA13
4J038NA05
4J038PB05
4J038PB09
4J038PC08
(57)【要約】
本発明は、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン;および光増感剤;を含む、抗菌性高分子コーティング組成物と、抗菌性高分子コーティング組成物の硬化物を含む抗菌性高分子フィルムと、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む基材層および前記基材層に分散された光増感剤;を含み、10〜80cc/mdayの酸素透過度を有する抗菌性高分子フィルムに関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン;熱開始剤;および光増感剤;を含む、抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項2】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも1つ以上には反応性官能基が置換され、前記反応性官能基が置換されない残りのシリコンは非置換されるかまたは非反応性官能基が置換される、請求項1に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項3】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの4〜60%が反応性官能基で置換される、請求項1または2に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項4】
前記反応性官能基は、(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数3〜20のシクロアルキル(cycloalkyl)エポキシド、炭素数1〜10のアルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシドおよびジアルキルシランエポキシドからなる群より選択された1種以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項5】
エポキシ基、オキセタニル基、環状エーテル基および環状チオエーテル基からなる群より選択された1種以上の熱硬化可能な官能基を含む熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項6】
前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン100重量部に対して前記熱硬化性樹脂10〜1,000重量部を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項7】
前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン100重量部に対して光増感剤0.001〜5重量部を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項8】
前記光増感剤は、ポルフィン系(porphine)系化合物、ポルフィリン系(porphyrins)化合物、クローリーン系(chlorins)化合物、バクテリオクローリーン系(bacteriochlorins)化合物、フタロシアニン系(phthalocyanine)化合物、ナフタロシアニン系(naphthalocyanines)化合物、および5−アミノレブリンエステル系(5−aminolevuline esters)からなる群より選択された1種以上を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項9】
前記光増感剤は、炭素数1〜10のアルコキシが導入されたフェニル基が1〜8個導入されたポルフィン化合物またはポルフィリン化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の抗菌性高分子コーティング組成物の硬化物を含む抗菌性高分子フィルム。
【請求項11】
反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む基材層、および前記基材層に分散された光増感剤;を含み、
10〜80cc/mdayの酸素透過度を有する、抗菌性高分子フィルム。
【請求項12】
前記抗菌性高分子フィルムは、10μm〜10,000μmの厚さを有する、請求項11に記載の抗菌性高分子フィルム。
【請求項13】
時間分解りん光レーザ分光装置を用いて900nm〜1400nmの波長領域で測定した一重項酸素の寿命が0.001秒以上である、請求項11または12に記載の抗菌性高分子フィルム。
【請求項14】
前記基材層は、熱硬化性樹脂をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の抗菌性高分子フィルム。
【請求項15】
請求項10に記載の抗菌性高分子フィルムまたは請求項11に記載の抗菌性高分子フィルムを含む、電子製品。
【請求項16】
前記電子製品は、加湿器、冷蔵庫、エアワッシャー、または水族館である、請求項15に記載の電子製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2017年9月27日付韓国特許出願第10−2017−0125447号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、抗菌性高分子コーティング組成物および抗菌性高分子フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
光増感剤(photosensitizer)は光を吸収して活性酸素種(ROS)を生成させ、外部から特定波長の光を照射して光増感剤から活性酸素種または自由ラジカルを発生させ各種病変部位や癌細胞の細胞死滅を誘導して破壊する光線力学的治療(photodynamic therapy、PDT)などが広く使用されている。
【0004】
このような光力学反応(photodynamic reaction)を用いて抗菌性を有する高分子材料を開発しようとする多様な試みがあって、例えば、韓国登録特許第10−1465964号などではシリコン樹脂などを溶融させた後に溶融した樹脂と光増感剤を混合する方法やシリコン樹脂および光増感剤を溶媒に溶かして形成されたコーティング液を用いる方法が開示された。
【0005】
しかし、シリコン樹脂などを溶融して光増感剤と混合する方法によれば、光増感剤とシリコン樹脂間の分散性が低いためシリコン樹脂中で光増感剤が均質に分布せず凝集することがある。また、シリコン樹脂と溶融する場合、溶融後にシリコンの厚さを調節することが不可能であるため、適用される分野や用途に合わせて製品生産が容易でないか大量生産に適しないという限界がある。
【0006】
そして、シリコン樹脂および光増感剤を溶媒に溶かして形成されたコーティング液を用いる場合、適用分野に大きい制限を受けないながら一定水準の抗菌性を達成できると知られているが、可視光領域の光を使用時、十分な抗菌性を発現できる程度に活性酸素を生産することが容易でなく、また生成された活性酸素が非常に短い時間のみ存在するようになるため過量の光エネルギーを相対的に長い期間の間に照射しなければならないという限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1465964号[登録日付:2014年11月21日]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、可視光領域の光を用いても高い抗菌性を長時間維持することができ大量生産工程に適した抗菌材料を提供することができる抗菌性高分子コーティング組成物を提供するためのものである。
【0009】
また、本発明は可視光領域の光を用いても高い抗菌性を長時間維持することができる抗菌性コーティングフィルムを提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書では、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン;熱開始剤;および光増感剤;を含む、抗菌性高分子コーティング組成物が提供される。
【0011】
また、本明細書では、前記抗菌性高分子コーティング組成物の硬化物を含む抗菌性高分子フィルムが提供される。
【0012】
また、本明細書では、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む基材層および前記基材層に分散された光増感剤;を含み、10〜80cc/mdayの酸素透過度を有する、抗菌性高分子フィルムが提供される。
【0013】
以下、発明の具体的な実施形態による抗菌性高分子コーティング組成物および抗菌性高分子フィルムについてより具体的に説明する。
【0014】
本明細書で、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタクリレートを全て含む意味である。
【0015】
発明の一実施形態によれば、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン;熱開始剤;および光増感剤;を含む、抗菌性高分子コーティング組成物を提供することができる。
【0016】
本発明者らは、光増感剤を用いて抗菌性などの機能性を有する材料に関する研究を行い、前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを光増感剤を混合して製造された高分子コーティング物が多様な分野に容易に適用可能であり、大量生産にも適するだけでなく、実際コーティングフィルムやコーティング成形品として製造時に可視光領域の光を適用しても高い抗菌性を実現することができ、特に生成された活性酸素が以前に知られた抗菌性材料などに比べて長く残留して高い抗菌効率を実現することができるという点を、実験を通じて確認して発明を完成した。
【0017】
より具体的に、前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを用いて製造される高分子フィルムや高分子成形品の内部に所定の高分子構造が形成でき、特に前記光増感剤が長時間滞留できる内部空間を提供することができる。また、前記高分子フィルムや高分子成形品は、特定の空気透過度、例えば10〜80cc/mday、または20〜70cc/mday、または25〜60cc/mdayの酸素透過度を有することができる。
【0018】
このような高分子フィルムまたは高分子成形品に対して可視光領域の光が照射されれば、前記高分子フィルムまたは高分子成形品に含まれている光増感剤から活性酸素種または自由ラジカルが発生され、前述のように前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンによって形成する空間で前記光増感剤に由来した活性酸素がより長時間維持され、また前記高分子フィルムまたは高分子成形品が前述の範囲の酸素透過度を有することによって、活性酸素がより効率的に生成できると共に、活性酸素が残留する時間が非常に高くなり得る。
【0019】
一方、前記抗菌性高分子コーティング組成物が前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含むことによって、前記抗菌性高分子コーティング組成物の硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の機械的物性、例えば表面硬度や耐スクラッチ性を高めることができる。
【0020】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンに置換される反応性官能基のより具体的な例としては、(メタ)アクリレート、炭素数1〜20のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数3〜20のシクロアルキル(cycloalkyl)エポキシド、炭素数1〜10のアルキルシクロアルカン(cycloalkane)エポキシド、またジアルキルシランエポキシドなどが挙げられる。このような反応性官能基は、直接結合、硫黄または酸素を通じてケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンに置換されてもよい。
【0021】
一方、前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも1つ以上には反応性官能基が置換され、前記反応性官能基が置換されない残りのシリコンは非置換されるか、または非反応性官能基が置換されてもよい。
【0022】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの少なくとも一つに反応性官能基が置換されることによって前記抗菌性高分子コーティング組成物の硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂の機械的物性を向上させることができ、同時に残りのシリコンに非反応性官能基が置換されることによって分子構造的に立体障害(Steric hinderance)が現れシロキサン結合(−Si−O−)が外部に露出される頻度や確率を大きく低めて他の材料との相溶性がより高くなり得、前記シロキサン結合が前記反応性官能基や他の有機材料の間で堅固に結合されることにより外部圧力によって脱落しなくなり、前記抗菌性高分子コーティング組成物の硬化時に形成される塗膜やバインダー樹脂内部に堅固な支持体の役割を果たすことができ、これにより、最終製造される製品の強度や耐スクラッチ性を大きく高めることができる。
【0023】
より具体的に、前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの4%〜60%、または5〜55%、または20〜40%が反応性官能基で置換され得る。
【0024】
前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの反応性官能基で置換される比率が過度に小さければ、可視光線照射時に活性酸素が一定水準発生することができるが、高分子フィルムの膜の強度が低くなって担持されている光増感剤が微量フィルム外部に漏れ出ることがあり、漏れ出た光増感剤に対する2次副反応(例えば、光増感剤による人体に及ぼす有害な影響および環境汚染など)が引き起こされることがあり、また高分子膜の硬度が低くて様々な応用製品に適用するのが難しいこともある。
【0025】
また、前記ケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンのシリコンのうちの反応性官能基で置換される比率が過度に大きければ、前記抗菌性高分子コーティング組成物から形成される高分子膜の硬度が過度に高まって酸素透過度が急激に低くなりながら一重項酸素の生成率が急減することがあり、これにより抗菌性も非常に低くなることがあり、また可視光線照射時に活性酸素が十分に発生せず、抗菌性が実現されなくて、様々な応用製品に適用するのが難しいこともある。
【0026】
このような反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン(Polyhedral Oligomeric Silsesquioxane、POSS)の例としては、TMPジオールイソブチル(DiolIsobutyl)POSS、シクロヘキサンジオールイソブチル(Cyclohexanediol Isobutyl)POSS、1,2−プロパンジオールイソブチル(PropanediolIsobutyl)POSS、オクタ(3−ヒドロキシ−3メチルブチルジメチルシロキシ)(Octa(3−hydroxy−3methylbutyldimethylsiloxy)POSSなどアルコールが1以上置換されたPOSS;アミノプロピルイソブチル(AminopropylIsobutyl)POSS、アミノプロピルイソオクチル(AminopropylIsooctyl)POSS、アミノエチルアミノプロピルイソブチル(Aminoethylaminopropyl Isobutyl)POSS、N−フェニルアミノプロピル(N−Phenylaminopropyl)POSS、N−メチルアミノプロピルイソブチル(N−Methylaminopropyl Isobutyl)POSS、オクタアンモニウム(OctaAmmonium)POSS、アミノフェニルシクロヘキシル(AminophenylCyclohexyl)POSS、アミノフェニルイソブチル(AminophenylIsobutyl)POSSなどアミンが1以上置換されたPOSS;マレアミック酸−シクロヘキシル(MaleamicAcid−Cyclohexyl)POSS、マレアミック酸−イソブチル(MaleamicAcid−Isobutyl)POSS、オクタマレアミック酸(Octa Maleamic Acid)POSSなどカルボン酸が1以上置換されたPOSS;エポキシシクロヘキシルイソブチル(EpoxyCyclohexylIsobutyl)POSS、エポキシシクロヘキシル(Epoxycyclohexyl)POSS、グリシジル(Glycidyl)POSS、グリシジルエチル(GlycidylEthyl)POSS、グリシジルイソブチル(GlycidylIsobutyl)POSS、グリシジルイソオクチル(GlycidylIsooctyl)POSS、オクタオキシラニルジメチルシリル(Octaoxiranyldimethylsilyl)POSSなどエポキシドが1以上置換されたPOSS;POSSマレイミドシクロヘキシル(Maleimide Cyclohexyl)、POSSマレイミドイソブチル(Maleimide Isobutyl)などイミドが1以上置換されたPOSS;アクリロイソブチル(AcryloIsobutyl)POSS、(メタ)アクリルイソブチル((Meth)acrylIsobutyl)POSS、(メタ)アクリレートシクロヘキシル((Meth)acrylate Cyclohexyl)POSS、(メタ)アクリレートイソブチル((Meth)acrylate Isobutyl)POSS、(メタ)アクリレートエチル((Meth)acrylate Ethyl)POSS、(メタ)アクリルエチル((Meth)acrylEthyl)POSS、(メタ)アクリレートイソオクチル((Meth)acrylate Isooctyl)POSS、(メタ)アクリルイソオクチル((Meth)acrylIsooctyl)POSS、(メタ)アクリルフェニル((Meth)acrylPhenyl)POSS、(メタ)アクリル((Meth)acryl)POSS、アクリロ(Acrylo)POSSなど(メタ)アクリレートが1以上置換されたPOSS;シアノプロピルイソブチル(CyanopropylIsobutyl)POSSなどのニトリル基が1以上置換されたPOSS;ノルボルネニルエチルエチル(NorbornenylethylEthyl)POSS、ノルボルネニルエチルイソブチル(NorbornenylethylIsobutyl)POSS、ノルボルネニルエチルジシラノイソブチル(Norbornenylethyl DiSilanoIsobutyl)POSS、トリすノルボルネニルイソブチル(Trisnorbornenyl Isobutyl)POSSなどノルボルネン基が1以上置換されたPOSS;アリルイソブチル(AllylIsobutyl)POSS、モノビニルイソブチル(MonoVinylIsobutyl)POSS、オクタシクロへキセニルジメチルシリル(OctaCyclohexenyldimethylsilyl)POSS、オクタビニルジメチルシリル(OctaVinyldimethylsilyl)POSS、オクタビニル(OctaVinyl)POSSなどビニル基が1以上置換されたPOSS;アリルイソブチル(AllylIsobutyl)POSS、モノビニルイソブチル(MonoVinylIsobutyl)POSS、オクタシクロへキセニルジメチルシリル(OctaCyclohexenyldimethylsilyl)POSS、オクタビニルジメチルシリル(OctaVinyldimethylsilyl)POSS、オクタビニル(OctaVinyl)POSSなどのオレフィンが1以上置換されたPOSS;炭素数5〜30のPEGが置換されたPOSS;またはメルカプトプロピルイソブチル(MercaptopropylIsobutyl)POSSまたはメルカプトプロピルイソオクチル(MercaptopropylIsooctyl)POSSなどのチオール基が1以上置換されたPOSS;などが挙げられる。
【0027】
一方、前記抗菌性高分子コーティング組成物は、エポキシ基、オキセタニル基、環状エーテル基および環状チオエーテル基からなる群より選択された1種以上の熱硬化可能な官能基を含む熱硬化性樹脂をさらに含むことができる。
【0028】
前記熱硬化性樹脂は、前記抗菌性コーティング組成物の具体的な用途や物性などを考慮して、500g/mol〜500,000g/mol、または1,000g/mol〜100,000g/molの重量平均分子量を有することができる。本明細書で、重量平均分子量はGPC法によって測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
【0029】
前記熱硬化性樹脂としては、通常知られた熱硬化性バインダーなどを使用することができる。例えば、前記熱硬化性樹脂としては、分子中に2つ以上の環状エーテル基および/または環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基という)を有する樹脂を使用することができ、また二官能性のエポキシ樹脂を使用することができる。その他ジイソシアネートやその二官能性ブロックイソシアネートも使用することができる。
【0030】
前記分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性バインダーは、分子中に3、4または5員環の環状エーテル基、または環状チオエーテル基のうちのいずれか1つまたは2種の基を2つ以上有する化合物であってもよい。また、前記熱硬化性バインダーは、分子中に少なくとも2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物、分子中に少なくとも2つ以上のオキセタニル基を有する多官能オキセタン化合物または分子中に2つ以上のチオエーテル基を有するエピスルフィド樹脂などであってもよい。
【0031】
前記多官能エポキシ化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、ジグリシジルフタレート樹脂、ヘテロシクリックエポキシ樹脂、テトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂などが挙げられる。また、難燃性付与のために、リンなどの原子がその構造中に導入されたものを使用してもよい。これらエポキシ樹脂は、熱硬化することによって、硬化被膜の密着性、ハンダ耐熱性、無電解メッキ耐性などの特性を向上させる。
【0032】
前記多官能オキセタン化合物としては、ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エーテル、1,4−ビス[(3−メチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルアクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチルメタクリレートやこれらのオリゴマーまたは共重合体などの多官能オキセタン類以外に、オキセタンアルコールとノボラック樹脂、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)、カルド型ビスフェノール類、カリックスアレーン類、カリックスレゾルシンアレーン類、またはシルセスキオキサンなどのヒドロキシ基を有する樹脂とのエーテル化物などが挙げられる。その他、オキセタン環を有する不飽和モノマーとアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体なども挙げられる。
【0033】
前記分子中に2つ以上の環状チオエーテル基を有する化合物としては、例えば、ジャパンエポキシレジン社製造のビスフェノールA型エピスルフィド樹脂YL7000などが挙げられる。また、ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ基の酸素原子を硫黄原子で代替したエピスルフィド樹脂なども使用することができる。
【0034】
前記抗菌性高分子コーティング組成物は、前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン100重量部に対して前記熱硬化性樹脂10〜1,000重量部を含んでもよい。
【0035】
前述のように、前記抗菌性高分子コーティング組成物が硬化以後に可視光線領域の光が照射される場合に前記光増感剤が反映して活性酸素などを発生させることができ、このために前記抗菌性高分子コーティング組成物は所定の含量で光増感剤を含むことができる。具体的に、前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン100重量部に対して光増感剤0.001〜5重量部を含むことができる。
【0036】
一方、前記光増感剤としては通常広く知られた化合物を使用することができ、例えばポルフィン系(porphine)化合物、ポルフィリン系(porphyrins)化合物、クローリーン系(chlorins)化合物、バクテリオクローリーン系(bacteriochlorins)化合物、フタロシアニン系(phthalocyanine)化合物、ナフタロシアニン系(naphthalocyanines)化合物、5−アミノレブリンエステル系(5−aminolevuline esters)またはこれらの2種以上の化合物を使用することができる。
【0037】
但し、前記抗菌性高分子コーティング組成物から製造される最終製品でより高い抗菌性および抗菌性維持性能を実現するために、ポルフィン系(porphine)化合物またはポルフィリン系(porphyrins)化合物を使用するのが好ましく、より好ましくは前記光増感剤として5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ポルフィンなどのように炭素数1〜10のアルコキシが導入されたフェニル基が1〜8個導入されたポルフィン化合物またはポルフィリン化合物を使用することができる。
【0038】
前記抗菌性高分子コーティング組成物は、所定の含量で開始剤を含むことができる。具体的に、前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン100重量部に対して前記光開始剤0.001〜10重量部を含むことができる。
【0039】
前記開始剤は、公知の多様な開始剤を使用することができ、例えば、熱硬化性開始剤を使用することができる。このような熱硬化性開始剤としては、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルヒドロペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、N−ブチル−4,4'−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレートなどの熱ラジカル開始剤およびこれらの多様な混合物などを使用することができ、トリプル酸塩、三フッ化ホウ素エーテル錯化合物、三フッ化ホウ素などのような陽イオン系またはプロトン酸触媒、アンモニウム塩、ホスホニウム塩およびスルホニウム塩などの各種オニウム塩およびメチルトリフェニルホスホニウム臭化物、エチルトリフェニルホスホニウム臭化物、フェニルトリフェニルホスホニウム臭化物、アセトフェニルベンジルメチルスルホニウムフッ化ホウ化物などの熱によって作用する陽イオン開始剤などを使用することもできる。
【0040】
前記抗菌性高分子コーティング組成物は、有機溶媒または界面活性剤をさらに含んでもよい。
【0041】
前記有機溶媒は、前記抗菌性高分子コーティング組成物に含まれる各成分を混合する時期に添加されるか各成分が有機溶媒に分散または混合された状態で添加されながら前記抗菌性高分子コーティング組成物に含まれ得る。例えば、前記抗菌性高分子コーティング組成物は、含まれる成分の全体固形分の濃度が1重量%〜80重量%、または2〜50重量%になるように有機溶媒を含むことができる。
【0042】
前記有機溶媒の非制限的な例を挙げれば、ケトン類、アルコール類、アセテート類およびエーテル類、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。このような有機溶媒の具体的な例としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンまたはイソブチルケトンなどのケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、またはt−ブタノールなどのアルコール類;エチルアセテート、i−プロピルアセテート、またはポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのアセテート類;テトラヒドロフランまたはプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
前記界面活性剤の種類も大きく制限されるのではなく、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などを使用することができる。
【0044】
一方、発明の他の実施形態によれば、前記抗菌性高分子コーティング組成物の硬化物を含む抗菌性高分子フィルムを提供することができる。
【0045】
前述のように、前記抗菌性高分子コーティング組成物を硬化して製造された抗菌性高分子フィルムは多様な分野に容易に適用可能であり、大量生産にも適するだけでなく、可視光領域の光を適用しても高い抗菌性を実現することができ、特に生成された活性酸素が以前に知られた抗菌性材料などに比べて長く残留して高い抗菌効率を実現することができる。
【0046】
前記抗菌性高分子フィルムは、前記抗菌性高分子コーティング組成物を所定の基材上に塗布し、塗布された結果物を熱硬化することによって得ることができる。前記基材の具体的な種類や厚さは大きく限定されるのではなく、通常の高分子フィルムの製造に使用されると知られた基材を大きな制限なく使用することができる。
【0047】
前記抗菌性高分子コーティング組成物を塗布することに通常使用される方法および装置を特別な制限なく使用することができ、例えば、マイヤーバー(Meyer bar)などのバーコーティング法、グラビアコーティング法、2ロールリバース(2 roll reverse)コーティング法、バキュームスロットダイ(vacuum slot die)コーティング法、2ロール(2 roll)コーティング法などを使用することができる。
【0048】
前記抗菌性高分子コーティング組成物のコーティング厚さは最終製造される前記抗菌性高分子フィルムの用途などによって決定でき、例えば、前記抗菌性高分子コーティング組成物は1μm〜1,000μmの厚さでコーティング(塗布)されてもよい。
【0049】
前記熱硬化段階では通常知られた熱源を使用して100℃以上の温度で硬化を行うことができる。
【0050】
また、前記抗菌性高分子コーティング組成物を熱硬化させる段階では、窒素大気条件を適用するために窒素パージングなどを行うことができる。
【0051】
一方、発明のまた他の実施形態によれば、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む基材層および前記基材層に分散された光増感剤;を含み、10〜80cc/mdayの酸素透過度を有する抗菌性高分子フィルムを提供することができる。
【0052】
前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む抗菌性高分子フィルムは、内部に所定の高分子構造が形成でき、特に前記光増感剤が長時間滞留できる内部空間を提供することができる。また、前記抗菌性高分子フィルムは、特定の空気透過度、例えば10〜80cc/mday、または20〜70cc/mday、または25〜60cc/mdayの酸素透過度を有することができる。
【0053】
このような抗菌性高分子フィルムに対して可視光領域の光が照射されれば、含まれている光増感剤から活性酸素種または自由ラジカルが発生され、前述のように前記反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンによって形成される空間で前記光増感剤に由来した活性酸素がより長時間維持され、また前記抗菌性高分子フィルムが前述の範囲の酸素透過度を有することによって、活性酸素がより効率的に生成されながらも活性酸素が残留する時間が非常に高くなり得る。
【0054】
より具体的に、前記抗菌性高分子フィルムに対して時間分解りん光分光レーザ装置(図2参照)を通じて測定した一重項酸素の寿命が0.1ms以上、0.8ms以上、または0.10ms〜1.20msであり得る。
【0055】
前記抗菌性高分子フィルムは、10μm〜10,000μmの厚さを有することができる。
【0056】
前記基材層は、熱硬化性樹脂をさらに含んでもよい。
【0057】
一方、発明のまた他の一つの実施形態によれば、前述の抗菌性高分子フィルムを含む電子製品を提供することができる。
【0058】
前記電子製品の例が大きく限定されるのではなく、例えば、加湿器、水槽、冷蔵庫、エアワッシャー、水族館、空気清浄器などの有害なバクテリア(カビなど)が容易に成長する製品には適用が可能である。
【0059】
前記抗菌性高分子フィルムで活性酸素またはラジカルを生成させるために、前記電子製品は光照射装置を備えることができる。また、前記電子製品は、生成された活性酸素またはラジカルを分配するための装置、例えば、空気循環装置などを追加的に備えてもよい。
【発明の効果】
【0060】
本発明によれば、可視光領域の光を用いても高い抗菌性を長時間維持することができ大量生産工程に適した抗菌材料を提供することができる光硬化型抗菌コーティング組成物と、可視光領域の光を用いても高い抗菌性を長時間維持することができる抗菌性コーティングフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】製造例1で製造されたケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンの形成MALDI−TOF質量分析データである。
図2】実験例2で一重項酸素(singlet oxygen)の生成量および寿命を測定した方法を概略的に示したものである。
図3】実験例3でJIS R 1702(KS L ISO27447)によって実施例および比較例の高分子フィルムの抗菌性を測定した方法を大略的に示したものである。
図4】実施例1および実施例2の一重項酸素(singlet oxygen)の生成量および寿命測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
発明の実施形態を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は発明の実施形態を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。
【実施例】
【0063】
(製造例:ジアルキルシランエポキシド官能基が導入されたケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンの製造)
常温でテトラメチルアンモニウムヒドロキシドペンタヒドレート(tetramethylammoniumhydroxidepentahydrate、TMAH)10gを少量のMeOHに溶かした後、前記溶液にTEOSを10gを添加した後、蒸留水5gを混合した。
【0064】
その後、前記溶液にメタノールを添加して約40時間程度反応させた。そして、形成されたOctaTMA−CS10gをアルコールに溶かした後、ビニルジメチルクロロシラン(vinyldimethylchlorosilane)を約10g入れた後、DMFを少量添加した後、1日間常温で攪拌(stirring)した。
【0065】
生成された反応物がオクタビニルジメチル(Octavinyldimethyl)−CS(OVDM−CS)構造であるかどうかを図1のようにMALDI−TOFと1H NMRを通じて分析した。
【0066】
そして、前記得られたOVDM−CS10gを少量のジクロロメタン(dichloromethane、DCM)に溶かした後、メタクロロ過安息香酸(meta−chloroperoxybenzoicacid、m−CPBA)を滴下(dropping)しながら混合し、沈殿物が生ずるまで攪拌した。
【0067】
その後、10%含水亜硫酸ナトリウム(aqueous sodium sulfite)100gを入れて洗浄し、m−CPBAを非活性化した。そして、DCM層を分離した後、少量の5%含水重炭酸ナトリウム(aqueous sodium bicarbonate)を添加して、副産物の安息香酸(benzoic acid)を除去した後、OODMS−CS−1[ジメチルシランエポキシド官能基が酸素を媒介として結合されたケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン]を得た。
【0068】
前記製造例は、下記一般式1のように要約される。
[一般式1]
【化1】
【0069】
製造例2
前記ビニルジメチルクロロシラン(vinyldimethylchlorosilane)の量を50gで異にした点を除いて、実施例1と同様な方法でOODMS−CS−2[ジメチルシランエポキシド官能基が酸素を媒介として結合されたケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン]を得た。
【0070】
製造例3
前記ビニルジメチルクロロシラン(vinyldimethylchlorosilane)の量を100gで異にした点を除いて、実施例1と同様な方法でOODMS−CS−3[ジメチルシランエポキシド官能基が酸素を媒介として結合されたケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサン]を得た。
【0071】
[実施例:抗菌性高分子コーティング組成物および抗菌性高分子フィルムの製造]
実施例1
前記製造例1で合成されたOODMS−CS−1の10g、熱開始剤(商品名:S1−B3A、Sanshin chemical社)0.02g、光増感剤の5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ポルフィン(CAS no.22112−78−3)0.05g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10gを混合して、固形分の濃度が50重量%である抗菌性高分子コーティング溶液を製造した。
【0072】
そして、前記コーティング液を#20barを用いてコーティングした後、120℃のオーブンで熱硬化を20分間行って、20μm厚さの抗菌性高分子フィルムを製造した。
【0073】
実施例2
前記製造例2で合成されたOODMS−CS−2 の10gを使用した点を除いて、実施例1と同様な方法で抗菌性高分子コーティング溶液(固形分の濃度を50%)および抗菌性高分子フィルム(20μm厚さ)を製造した。
【0074】
実施例3
前記製造例3で合成されたOODMS−CS−3の10gを使用した点を除いて、実施例1と同様な方法で抗菌性高分子コーティング溶液(固形分の濃度を50%)および抗菌性高分子フィルム(20μm厚さ)を製造した。
【0075】
[比較例]
比較例1
エポキシシリコンオイル(2官能エポキシ(epoxy)、商品名:X−22−163C、Shinetsu社)10g、熱開始剤(商品名:S1−B3A、Sanshin chemical社)0.02g、光増感剤の5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ポルフィン(CAS no.22112−78−3)0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10gを混合して、固形分の濃度が50重量%である高分子コーティング溶液を製造した。
【0076】
そして、前記コーティング液を#20barを用いてコーティングした後、120℃のオーブンで熱硬化を20分間行って20μm厚さの高分子フィルムを製造した。
【0077】
比較例2
エポキシ樹脂(3官能エポキシ(epoxy)、商品名:YH−300、國都社)10g、熱開始剤(商品名:S1−B3A、Sanshin chemical社)0.02重量部、光増感剤の5,10,15,20−テトラキス(4−メトキシフェニル)−ポルフィン(CAS no.22112−78−3)0.05g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)10重量部を混合して、固形分の濃度が50重量%である高分子コーティング溶液を製造した。
【0078】
そして、前記コーティング液を#20barを用いてコーティングした後、120℃のオーブンで熱硬化を20分間行って20μm厚さの高分子フィルムを製造した。
【0079】
[実験例]
実験例1:実施例および比較例の高分子フィルムの酸素透過度測定
実施例および比較例の高分子フィルムの酸素透過度をASTM D 3895の方法で、酸素透過分析装置(Oxygen Permeation Analyzer、Model8000、Illinois Instruments社製品)を使用して25℃60RH%雰囲気下で測定した。
【0080】
実験例2:実施例および比較例の高分子フィルムの透過度およびヘイズ測定
実施例および比較例で得られた高分子フィルムが可視光線領域(380〜780nm)で示す透光度およびヘイズを分光光度計COH−400装備を用いて測定した。
【0081】
実験例3:実施例および比較例の高分子フィルムの鉛筆硬度測定
実施例および比較例で得られた高分子フィルムの鉛筆硬度はJIS K5400基準によって鉛筆硬度測定装備を用いて測定した。0.5kgの荷重、45度の角度でコーティング層に測定しようとする鉛筆を3回往復した後、キズがない最大硬度を確認した。
【0082】
実験例5:実施例および比較例の高分子フィルムの一重項酸素(singlet oxygen)の生成量および寿命測定
【0083】
図2に模式的に示した時間分解りん光レーザ分光学装置を用いて実施例および比較例の高分子フィルムの一重項酸素(singlet oxygen)の生成量および寿命を測定した。
【0084】
具体的に、(一重項酸素、singlet oxygen)は1275nmで光放出(photoluminescence)が現れ、これにより、900nm〜1400nmの波長領域で近赤外光電子増倍管[near infrared photomultiplier tube、NIR−PMT]を用いて生成有/無および相対的な量を測定し、時間分解スペクトルを通じての動きを観察した。NIR−PMTの場合、900〜1400nm波長領域帯のフォトルミネセンス(photoluminescence)値を得ることができ、一重項酸素は1275nmで光放出が現れるため、選択的に1275nmの光放出を検出するために、PMT前方にM/C(monochromator)を装着して1275nmで検出される光放出(PL)値のみ得た。
【0085】
前記測定結果を下記図4に示した。図4のグラフ面積がの生成量であり、x軸が寿命(時間)であって、実施例1の場合、約150μs、実施例2の場合、約1000μsの寿命を有するという点が確認された。
【0086】
実験例6:実施例および比較例の高分子フィルムの抗菌性測定
JIS R 1702によって図3に模式的に示した方法を通じて実施例および比較例の高分子フィルムの抗菌性を測定した。
【表1】
【0087】
前記表1で確認されるように、反応性官能基が1以上置換されケージ(cage)構造を有する多面体オリゴマーシルセスキオキサンを含む抗菌性高分子コーティング組成物から製造された高分子フィルムは、一重項酸素の生成量が比較例1の高分子フィルムに比べて2倍以上高く示され、特に一重項酸素の寿命が約6.5倍または43倍程度延びた点が確認され、同時に実施例1および2の高分子フィルムは高い抗菌性と共に大きく向上した表面硬度を有するという点が確認された。特に、多面体オリゴマーシルセスキオキサン中のシリコンの置換比率が20〜40%の間で一重項酸素の寿命が1msまで増加して、抗菌性が99%以上に示され、また2nmサイズのケージによって鉛筆硬度(500g荷重)が5H水準であって、ハードコーティング材として使われることも可能な水準である。
【0088】
これに反し、比較例1および2で製造された高分子フィルムは、実施例1および2に比べて一重項酸素の生成量が大きく低いだけでなく、一重項酸素の寿命が非常に短いという点が確認される。これにより、比較例1および2の高分子フィルムの十分な抗菌性を確保できないという点が確認され、表面硬度も相対的に低い水準に留まっている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】