(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-509613(P2020-509613A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(54)【発明の名称】有機光学活性層複合インク、有機太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 51/46 20060101AFI20200303BHJP
H01L 51/48 20060101ALI20200303BHJP
【FI】
H01L31/04 162
H01L31/04 180
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】52
(21)【出願番号】特願2019-569530(P2019-569530)
(86)(22)【出願日】2017年12月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年9月4日
(86)【国際出願番号】CN2017119957
(87)【国際公開番号】WO2018161707
(87)【国際公開日】20180913
(31)【優先権主張番号】201710126348.9
(32)【優先日】2017年3月6日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516082763
【氏名又は名称】中国科学院蘇州納米技術与納米▲ファン▼生研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】▲イェン▼ ▲リン▼鵬
(72)【発明者】
【氏名】伊 今▲ドゥオ▼
(72)【発明者】
【氏名】譚 銘希
(72)【発明者】
【氏名】馬 昌期
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA11
5F151CB11
5F151CB14
5F151CB24
5F151CB29
5F151FA04
5F151FA06
(57)【要約】
本発明は、有機光学活性層複合インク、有機太陽電池及びその製造方法を開示する。上記有機光学活性層複合インクは電子供与体材料、電子受容体材料、有機アミノ化合物及び有機溶媒等を含む。本発明は有機アミノ化合物と光学活性層材料の分子間の相互作用によって、効果的に活性層分子の光化学的反応を抑制し、著しく光学活性層材料の光安定性を向上でき、ひいては大幅に太陽電池の安定性を向上させることができる。本発明で製造される有機太陽電池は高安定性及び長使用寿命等の利点を有し、且つエネルギ変換効率等の動作特性も効果的に改善し、同時にその製造プロセスが簡単で便利であり、材料コストが低いため、経済性に優れている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与体材料と、電子受容体材料と有機溶媒を含む有機光学活性層複合インクであって、有機アミノ化合物を更に含み、且つ前記有機光学活性層複合インクに、電子供与体材料と電子受容体材料の合計質量に対して0.01wt%〜10wt%の質量の有機アミノ化合物を含み、前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が10:1〜1:10であり、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が1〜50mg/mLであることを特徴とする有機光学活性層複合インク。
【請求項2】
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が5:1〜1:5であることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項3】
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が2:1〜1:2であることを特徴とする請求項2に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項4】
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が5〜20mg/mLであることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項5】
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が10〜20mg/mLであることを特徴とする請求項4に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項6】
前記有機溶媒はo-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項7】
前記有機アミノ化合物は、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中のいずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化1】
(ただし、R
1、R
2、R
3、R
4は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基や置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示し、R
5、R
6、R
7、R
8は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体、もしくはR
5、R
6、R
7、R
8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造を示す。)
【請求項8】
前記有機アミノ化合物はエチレンジアミンの誘導体から選ばれたものであり、前記エチレンジアミンの誘導体は式(3)構造を有することを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化2】
(ただし、R
1、R
2は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示す。)
【請求項9】
前記有機アミノ化合物はアルキルエチレンジアミンであることを特徴とする請求項8に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項10】
前記有機アミノ化合物は式(4)-式(8)中いずれか1つに示される構造を有するピペラジン誘導体から選ばれたものであることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化3】
(ただし、R
9は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示す。)
【請求項11】
前記有機アミノ化合物はピペラジンであることを特徴とする請求項10に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項12】
前記電子供与体材料は共役高分子電子供与体材料及び/又は共役有機低分子電子供与体材料を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項13】
前記共役高分子電子供与体材料はポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項14】
前記共役有機低分子電子供与体材料はベンゾジチオフェンー及び/又はオリゴチオフェンを核とする低分子を含むことを特徴とする請求項12に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項15】
前記共役有機低分子電子供与体材料はDR3TSBDT、DRCN7T及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項12に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項16】
前記電子受容体材料はフラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料及びフラーレン以外の電子受容体材料中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項17】
前記フラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料は[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル、PC71BM、Bis-PC61BM及びIC61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項16に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項18】
前記フラーレン以外の電子受容体材料は有機共役性電子受容体材料を含むことを特徴とする請求項16に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項19】
前記有機共役性電子受容体材料はペリレンジイミド誘導体、ナフタレンジイミド誘導体、イミダセン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、サブフタロシアニン誘導体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項16に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項20】
請求項1から19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクの製造方法であって、有機アミノ化合物、電子受容体材料及び電子供与体材料を有機溶媒中に溶解させ、均一に混合させることによって、前記有機光学活性層複合インクを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項21】
請求項1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクで形成される有機光学活性層複合フィルム。
【請求項22】
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子供与体材料と、[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル、PC71BM、Bis-PC61BM及びIC61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子受容体材料と、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中のいずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物とで組み合わせて形成される複合体であることを特徴とする請求項21に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【請求項23】
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80nm〜2μmであることを特徴とする請求項21または22に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【請求項24】
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80〜200nmであることを特徴とする請求項23に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【請求項25】
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80〜100nmであることを特徴とする請求項24に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【請求項26】
請求項21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムの製造方法であって、請求項1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクの成膜処理を行うことによって有機光学活性層複合フィルムを形成するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項27】
前記成膜処理の方式は滴下成膜プロセス、スピンコート成膜プロセス、スプレコート成膜プロセス、インクジェットプリント成膜プロセス、スクリーン印刷成膜プロセス、ブレードコーティング成膜プロセス及びワイヤーバーコーティングプロセス中の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
前記成膜処理は前記有機光学活性層複合フィルムに対する熱処理及び/又は溶媒アニール処理を含むことを特徴とする請求項26に記載の製造方法。
【請求項29】
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとすることを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含み、前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとすることを特徴とする請求項28に記載の製造方法。
【請求項31】
請求項1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクまたは請求項21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムの有機太陽電池の製造での応用。
【請求項32】
配置方向に沿って順次に配置される上部電極、上部電極界面装飾層、有機光学活性層、下部電極界面装飾層、及び下部電極を含む有機太陽電池であって、前記有機光活性層は請求項21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムを含むことを特徴とする有機太陽電池。
【請求項33】
その上に前記下部電極が設置される下部電極ベースを更に含むことを特徴とする請求項32に記載の有機太陽電池。
【請求項34】
請求項32或いは33に記載の有機太陽電池の製造方法であって、
(1)下部電極ベースを用意し、下部電極ベース上に下部電極を設置するステップと、
(2)前記下部電極上に下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)請求項1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクによって前記下部電極界面装飾層上に有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成するステップと、
(5)前記上部電極界面装飾層上に上部電極を形成することによって前記有機太陽電池を得るステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項35】
ステップ(4)は、前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理及び/又は溶媒アニール処理を行い、そして前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成することを含むことを特徴とする請求項34に記載の製造方法。
【請求項36】
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項35に記載の製造方法。
【請求項37】
前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとすることを特徴とする請求項35或いは36に記載の製造方法。
【請求項38】
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとすることを特徴とする請求項35に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電機能材料及びデバイス技術の分野に属し、具体的に有機太陽電池の光学活性層複合インク材料、それを利用して形成される高安定性の有機太陽電池及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機太陽電池は安価、軽量、曲げ性能が良く、印刷面積が大きいなどの利点を有するので、広く注目されている。近年、科学家が鋭意検討を重ねた結果、有機太陽電池の光電変換効率が11%を超え、商用化の応用に近づきつつある。一方、従来の有機太陽電池デバイスの安定性能が応用要求を満たすとは遥かに言えない。
【0003】
鋭意検討した結果、有機太陽電池の動作過程中に、初期の100時間内に「burn-in loss」と言われる急速減衰現象がよく現れる。一般に該過程はデバイスの動作初期段階から100時間ぐらいに発するが、デバイスの性能が20〜50%減衰することを招き、デバイスの安定性及び使用寿命に悪影響を及ぼす。この過程が有機光学活性層の不活性化によるデバイス性能の減衰を招くからである。従って、有機太陽電池デバイスの安定性を向上させるために光学活性層の安定性能の向上が重要である。現在、活性層構造の安定性を向上させる方法として、主に供与体材料の設計合成及びフラーレン以外の材料の開発を挙げるが、活性層中の材料を変更せずに、デバイス効率及びデバイス安定性の向上を両立させる方法がまだ提案されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、従来技術の欠点を解決するための有機光学活性層複合インク及びその製造方法を提供することである。
【0005】
本発明のもう1つの主な目的は、該有機光学活性層複合インクを利用して製造される有機太陽電池及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の発明目的を達成するために、本発明は以下のような技術手段を含む。
【0007】
本発明の実施例は電子供与体材料と、電子受容体材料と有機溶媒及び有機アミノ化合物を含み、且つ上記有機光学活性層複合インク中に有機アミノ化合物の質量が電子供与体材料と電子受容体材料の合計質量の0.01wt%〜10wt%であり、上記有機光学活性層複合インク中に上記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が10:1〜1:10であり、上記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が1〜50mg/mLである有機光学活性層複合インクを提供している。
【0008】
さらに、上記有機アミノ化合物は式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中いずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物を含む。
【0009】
【化1】
(ただし、R
1、R
2、R
3、R
4は少なくとも水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基や置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示し、R
5、R
6、R
7、R
8は少なくとも水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体、もしくはR
5、R
6、R
7、R
8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造を示す)
【0010】
本発明の実施例は有機アミノ化合物、電子受容体材料及び電子供与体材料を有機溶媒中に溶解させ、均一に混合させることによって、前記有機光学活性層複合インクを得るステップを含む上記有機光学活性層複合インクの製造方法を更に提供している。
【0011】
本発明の実施例は上記有機光学活性層複合インクで形成される有機光学活性層複合フィルムを更に提供している。
【0012】
さらに、本発明は、上記有機光学活性層複合インクの成膜処理を行うことによって有機光学活性層複合フィルムを形成するステップを含む上記有機光学活性層複合フィルムの製造方法をさらに提供している。
【0013】
好ましくは、上記成膜処理の方式は滴下成膜プロセス、スピンコート成膜プロセス、スプレコート成膜プロセス、インクジェットプリント成膜プロセス、スクリーン印刷成膜プロセス、ブレードコーティング成膜プロセス及びワイヤーバーコーティングプロセス中の少なくとも1種を含む。
【0014】
本発明は、上記有機光学活性層複合インクまたは有機光学活性層複合フィルムの有機太陽電池の製造での応用を更に提供している。
【0015】
本発明は、配置方向に沿って順次に配置される上部電極、上部電極界面装飾層、有機光学活性層、下部電極界面装飾層、下部電極及び下部電極ベースを含み、上記有機光活性層は上記有機光学活性層複合フィルムを含む有機太陽電池を更に提供している。さらに、上記有機太陽電池はその上に上記下部電極が設置される下部電極ベースを更に含んでもよい。
【0016】
本発明は、その表面接合及び/又は裏面接合電池は上記有機太陽電池を含む積層有機太陽電池を更に提供している。
【0017】
さらに、本発明は、
(1)下部電極ベースを用意し、下部電極ベース上に下部電極を設置するステップと、
(2)前記下部電極上に下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)上記有機光学活性層複合インクによって前記下部電極界面装飾層上に有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成するステップと、
(5)前記上部電極界面装飾層上に上部電極を形成することによって前記有機太陽電池を得るステップと、を含む上記有機太陽電池の製造方法を更に提供している。
【発明の効果】
【0018】
従来技術に比べて、本発明は以下のような利点を有する。
【0019】
(1)本発明が提供する有機光学活性層複合インクによれば、従来の光学活性層インク中に有機アミノ化合物を添加し、有機アミノ化合物と光学活性層材料分子間の相互作用によって、活性層分子の光化学的反応を抑制するので、光学活性層材料の光安定性、ひいては太陽電池の安定性を向上させることができる。
【0020】
(2)本発明が提供する有機光学活性層複合インクによれば、有機アミノ化合物の添加によって、有機太陽電池の光電変換効率を向上できるだけでなく、その長期間の安定性を向上させることができる。
【0021】
(3)本発明が提供する有機活性層複合インクで製造される有機光学活性層複合フィルムは優れた安定性を有し、該構造に基づき製造される有機太陽電池は高い安定性及び長い使用寿命を有し、特に有機太陽電池デバイスのエネルギ変換効率等の他の動作特性を改善することができる。
【0022】
(4)本発明が提供する安定性が高い有機太陽電池の製造方法は汎用性が広く、簡単で便利であり、材料コストが低いため、経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一代表的な実施例の有機太陽電池の構造を示す模式図である。
【
図2】本発明の比較例1で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図3】本発明の実施例1で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図4】本発明の実施例2で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図5】本発明の実施例3で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図6】本発明の実施例4で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図7】本発明の実施例5で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図8】本発明の実施例6で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図9】本発明の実施例7で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図10】本発明の実施例8で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図11】本発明の実施例9で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図12】本発明の実施例10で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図13】本発明の実施例11で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図14】本発明の実施例12で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図15】本発明の実施例13で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図16】本発明の実施例14で製造される有機太陽電池のI-V曲線図である。
【
図17a】本発明の比較例1及び実施例1で製造される有機太陽電池の減衰試験における性能経時変化を示す曲線図である。
【
図17b】本発明の比較例1及び実施例1で製造される有機太陽電池の減衰試験における性能経時変化を示す曲線図である。
【
図17c】本発明の比較例1及び実施例1で製造される有機太陽電池の減衰試験における性能経時変化を示す曲線図である。
【
図17d】本発明の比較例1及び実施例1で製造される有機太陽電池の減衰試験における性能経時変化を示す曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
従来技術中の欠点を鑑み、本出願の発明者らは長期間の研究及び大量実践を重ねて、本発明の技術手段を見出し、以下該技術手段、その実施過程及び原理等を詳しく説明する。
【0025】
本発明の実施例の1つの側面では、電子供与体材料、電子受容体材料、有機溶媒及び有機アミノ化合物を含む有機光学活性層複合インクを提供している。
【0026】
さらに、上記有機光学活性層複合インク中に、有機アミノ化合物の質量が電子供与体材料及び電子受容体材料の合計質量の0.01wt%〜10wt%である。
【0027】
さらに、上記有機光学活性層複合インク中に、上記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比を10:1〜1:10とし、好ましくは5:1〜1:5とし、特に好ましくは2:1〜1:2とする。
【0028】
さらに、上記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が1〜50mg/mLであり、好ましくは5〜20mg/mLであり、特に好ましくは10〜20mg/mLである。
【0029】
上記有機溶媒は、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン等を含むが、これらに限定されない。
【0030】
さらに、上記有機アミノ化合物は式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中いずれか1つに示される構造を有する1種または複数種類の有機アミノ化合物を含む。
【0031】
【化2】
(ただし、R
1、R
2、R
3、R
4はそれぞれ水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体から選ばれる少なくとも1つを示す。)
(ただし、R
5、R
6、R
7、R
8はそれぞれ水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体またはR
5、R
6、R
7、R
8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造から選ばれる少なくとも1つを示す。)
【0032】
好ましくは、C1〜C20のアルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等であるが、これらに限定されない。
【0033】
以下、本発明が開示する解決手段中に応用される幾つかの修飾単位を示すが、本発明が提供する解決手段は以下の単位に限定されるものではない。
【0035】
ある実施例では、式(1)構造を有する有機アミノ化合物は式(3)の構造を有するエチレンジアミンの誘導体から選ばれるものである。
【0036】
【化4】
(ただし、R
1、R
2はそれぞれ水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体から選ばれる少なくとも1つを示す。)
【0037】
以下、本発明が開示する解決手段中に応用される幾つかの修飾単位を示すが、本発明が提供する解決手段は以下の単位に限定されるものではない。
【0039】
好ましくは、上記有機アミノ化合物はアルキルエチレンジアミンである。
【0040】
ある実施例では、式(2)構造を有する有機アミノ化合物は下式(4)-式(8)中いずれか1つに示される構造を有するピペラジン誘導体から選ばれるものである。
【0041】
【化6】
(ただし、R
9は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体から選ばれる少なくとも1つを示す。)
【0042】
以下、本発明が開示する解決手段中に応用される幾つかの修飾単位を示すが、本発明が提供する解決手段は以下の単位に限定されるものではない。
【0044】
好ましくは、上記有機アミノ化合物はピペラジンである。
【0045】
上記電子供与体材料とは有機太陽電池の光学活性層に、光励起の条件下で、分子から電子を供給し、電荷分離を実現する半導体材料を指す。ある実施例では、上記電子供与体材料は共役高分子電子供与体材料及び/又は共役有機低分子電子供与体材料等を含む。
【0046】
好ましくは、上記共役高分子電子供与体材料はポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)、PTB7(Nature Photonics, 2012, 6(9):591-595)、PTB7-Th(Energy Environ. Sci., 2015, 8, 2902)、PffBT4T-2OD(Nature communications, 2014, 5)及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0047】
好ましくは、上記共役有機低分子電子供与体材料はベンゾジチオフェンー(BDT)を核とする低分子、オリゴチオフェンを核とする低分子等を含む。
【0048】
例えば、好ましくは、上記共役有機低分子電子供与体材料はDR3TSBDT(Advanced Materials, 2016, 28(32):7008-7012.)、DRCN7T(Nature Photonics 9.1 (2015):35-41)及びその構造改変体等を含む。
【0049】
上記電子受容体材料とは有機太陽電池活性層に、光励起の条件下で、分子が電子を受け取り、電荷分離を実現する半導体材料を指す。ある実施例では、上記電子受容体材料はフラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料及びフラーレン以外の電子受容体材料中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0050】
好ましくは、上記フラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料は[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM)、PC
71BM(Advanced Energy Materials, 2013, 3(1):65-74)、Bis-PC
61BM(Journal of nanoscience and nanotechnology, 2014, 14(2):1064-1084.)及びIC
61BA(Advanced Functional Materials, 2013, 23(26):3286-3298.)中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0051】
好ましくは、上記フラーレン以外の電子受容体材料は有機共役性電子受容体材料を含む。
【0052】
より好ましくは、上記有機共役性電子受容体材料はペリレンジイミド(PDI)誘導体、ナフタレンジイミド(NDI)誘導体、イミダセン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール(BT)誘導体、サブフタロシアニン誘導体(SubPc)中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0053】
本発明の実施例のもう1つの側面では、有機アミノ化合物、電子受容体材料及び電子供与体材料を有機溶媒中に溶解させ、均一に混合させることによって、上記有機光学活性層複合インクを得るステップを含む上記有機光学活性層複合インクの製造方法を更に提供している。
【0054】
本発明の実施例のもう1つの側面では、上記有機光学活性層複合インクで形成される有機光学活性層複合フィルムを更に提供している。
【0055】
ある実施例では、上記有機光学活性層複合フィルムは、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子供与体材料と、[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル、PC
71BM、Bis-PC
61BM及びIC
61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子受容体材料と、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中いずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物組み合わせで形成される複合体である。
【0056】
好ましくは、上記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80nm〜2μmであり、好ましくは80〜200nmであり、特に好ましくは80〜100nmである。
【0057】
さらに、本発明の実施例では、上記有機光学活性層複合インクの成膜処理を行うことによって有機光学活性層複合フィルムを形成するステップを含む上記有機光学活性層複合フィルムの製造方法をさらに提供している。
【0058】
好ましくは、上記成膜処理の方式は滴下成膜プロセス、スピンコート成膜プロセス、スプレコート成膜プロセス、インクジェットプリント成膜プロセス、スクリーン印刷成膜プロセス、ブレードコーティング成膜プロセス及びワイヤーバーコーティングプロセス中の少なくとも1種を含む。
【0059】
ある具体的な実施態様では、上記製造方法は、少なくともコーティング、印刷方式中のいずれか1種によって上記有機光学活性層複合インクを基材上に吐出し上記有機光学活性層の複合フィルムを形成するステップを含む。
【0060】
好ましくは、上記コーティング方式はスピンコーティング、ブレードコーティング、スプレイコーティング中のいずれか1種を含む。
【0061】
好ましくは、上記成膜処理は上記有機光学活性層複合フィルムに対する熱処理及び/又は溶媒アニール処理を更に含む。
【0062】
好ましくは、上記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとする。
【0063】
好ましくは、上記溶媒アニール処理に使用される溶媒は、メチルベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMF)、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0064】
さらに、上記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとする。
【0065】
本発明の実施例のもう1つの側面では、上記有機光学活性層複合インクまたは有機光学活性層複合フィルムの有機太陽電池の製造での応用を更に提供している。
【0066】
図1に示すように、本発明の実施例では、配置方向に沿って順次に配置される上部電極1、上部電極界面装飾層2、有機光学活性層3、下部電極界面装飾層4、下部電極5及び下部電極ベース6を含み、上記有機光活性層3は上記有機光学活性層複合フィルムを含む有機太陽電池をさらに提供している。
【0067】
本発明では、その表面接合及び/又は裏面接合電池は上記の有機太陽電池を含む積層有機太陽電池を更に提供している。
【0068】
さらに、本発明の実施例では、
(1)下部電極ベースを用意し、下部電極ベース上に下部電極を設置するステップと、
(2)前記下部電極上に下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)上記有機光学活性層複合インクによって前記下部電極界面装飾層上に有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成するステップと、
(5)前記上部電極界面装飾層上に上部電極を形成することによって前記有機太陽電池を得るステップと、を含む上記有機太陽電池の製造方法を更に提供している。
【0069】
さらに、上記ステップ(1)では、下部電極ベースに下部電極を形成する前に、下部電極ベースを洗浄することができる。
【0070】
ある実施例では、ステップ(4)は、上記有機光学活性層複合フィルムの熱処理及び/又は溶媒アニール処理を行い、そして上記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成することを含む。
【0071】
好ましくは、上記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとする。
【0072】
好ましくは、上記溶媒アニール処理に使用される溶媒は、メチルベンゼン、ジメチルスルホキシド(DMF)、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0073】
さらに、上記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとする。
【0074】
さらに、ステップ(3)の前に、上記有機光学活性層複合インクを形成する任意ステップを更に含む。
【0075】
ある具体的な実施例では、上記製造方法は、具体的に、
(1)インジウム錫酸化物(ITO)ベースを洗浄するステップと、
(2)下部電極ベース上にスピンコート、ブレードコートまたはスプレコートによって下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)有機光学活性層複合インクを調製し、上記有機光学活性層複合インクをスピンコート、ブレードコートまたはスプレコートによって下部電極界面装飾層上に吐出し有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)上記有機光学活性層複合フィルムの熱処理または溶媒アニール処理を行い、そして上記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を蒸着するステップと、
(5)上記上部電極界面装飾層上に上部電極を蒸着することによって上記有機太陽電池を得るステップと、を含む。
【0076】
本発明の目的、技術手段及び利点をより明らかにするために、以下、具体的な実施例及び図面を参照して、本発明の技術手段を詳しく説明するが、特に明示しない限り、以下の実施例の方法はすべて本分野の公知方法である。
【0077】
比較例1:ポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT):[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
まず、順次に洗剤、純水、アセトン及びイソプロパノールを使用して透明基板及びインジウム錫酸化物(ITO)透明導電陰極で組成されるベースシートを30minごとに超音波洗浄する。洗浄したベースシートへ窒素ガスを吹き付き乾燥させて、ベースシートに対しUVOオゾン洗浄機で30min処理する。処理したベースシート上にZnO陰極バッファー層を形成し、スピンコート法によってZnOアセトン溶液をベースシート上にスピンコートし、スピンコーターの回転数を2000rpm/sとし、スピンコート時間を60sとし、そして120℃の条件下で10minアニールする。スピンコート法によって陰極バッファー層上に有機光学活性層を形成する。該有機光学活性層は、電子供与体材料P3HTと電子受容体材料PC
61BMの質量%が1:1でo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、スピンコート法によってグローブボックス内で有機光学活性層を形成し、回転数を600rpm/sとし、時間を60sとし、厚さが約150nmになる。スピンコート成膜した後キャップ付きの時計皿中で2hの溶媒アニールを行い、そしてベースシートを加熱板上に120℃で30minの熱アニールを行う。そして、ベースシートを真空コーティング装置へ搬送し、有機光学活性層上に順次に陽極バッファー層酸化モリブデン(MoO
3)(厚さ20nm、蒸着レート0.5〜1Å/s)及び金属陽極Al(厚さ100nm、蒸着レート8Å/s)を蒸着する。製造した太陽電池を標準条件下(AM1.5、100mW/cm
2)で計測し、Keithley 2400デジタルソースメータによって電流密度-電圧曲線のデータを収集する。
【0078】
該比較例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。
【0079】
図2に示すように、比較例1で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表1に示される。試験結果により、標準構造のP3HT:PC
61BM電池の光電変換効率が3.30%であることが分かる。
【0081】
実施例1:ポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT):[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM):ピペラジン(含有量が異なる)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びピペラジンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HTとPC
61BMの質量%が1:1で、ピペラジンの含有量がそれぞれP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%、3wt%、5wt%、7wt%、10wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:ピペラジン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にピペラジンの構造は式(9)に示される。
【0084】
図3に示すように、実施例1で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表2中に示される。試験結果から、ピペラジンのドーピング量が1〜5%である場合に、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が最大3.70%まで達したことが分かる。ドーピング量が1%〜10%の範囲にある場合でも、デバイス性能がノンドーピングピペラジンデバイスの性能に相当またはそれより高いので、ピペラジンのドーピング範囲が広いと言える。
【0085】
実施例2:ポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT):[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM):N,N'-ジメチルエチレンジアミン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びN,N'-ジメチルエチレンジアミンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1で、N,N'-ジメチルエチレンジアミンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:N,N'-ジメチルエチレンジアミン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にN,N'-ジメチルエチレンジアミン構造は式(10)に示される。
【0088】
図4に示すように、実施例2で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表3に示される。試験結果から、1wt%のN,N'-ジメチルエチレンジアミンをドーピングした場合に、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.49%に向上したことが分かる。
【0089】
実施例3:ポリ3-ヘキシルチオフェン(P3HT):[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM):デカヒドロイソキノリン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びデカヒドロイソキノリンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1で、デカヒドロイソキノリンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:デカヒドロイソキノリン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にデカヒドロイソキノリンの構造は式(11)に示される。
【0092】
図5に示すように、実施例3で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表4に示される。試験結果から、1wt%のデカヒドロイソキノリンをドーピングした場合に、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.51%まで向上したことが分かる。
【0093】
実施例4:PTB7-Th:[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル(PC
61BM):ピペラジン(異なる濃度)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料PTB7-Th、電子受容体材料PC
61BM及びピペラジン(異なる濃度)をクロロベンゼン(3%体積比のDIO添加)に溶解させ混合させて製造され、その内にPTB7-Th及びPC
61BMの質量%が1:1.2で、その内にPTB7-Thの濃度が7mg/mLとし、ピペラジンの含有量がPTB7-Th及びPC
61BMの合計質量の0.01-0.2wt%である。スピンコート法によってグローブボックス内で有機光学活性層を形成し、回転数を1000rpm/sとし、時間を60sとし、厚さが約100nmである。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/PTB7-Th:PC
61BM:ピペラジン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。ただし、PTB7-Thの化学構造は式(12)に示される。
【0096】
図6に示すように、実施例4で製造された0.15wt%のピペラジンをドーピングした有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示す。試験結果から、0.15wt%のピペラジンをドーピングした後、有機太陽電池の光電変換効率が7.51%まで達したことが分かる。
【0097】
実施例5:COOP-4HT-BDT(低分子):PC
71BM:ピペラジン(0.1wt%)を有機光学活性層とする正置き構造ポリマー太陽電池の製造
まず、順次に洗剤、純水、アセトン及びイソプロパノールを使用して透明基板及びインジウム錫酸化物(ITO)透明導電陽極で組成されるベースシートを30minごとに超音波洗浄する。洗浄したベースシートへ窒素ガスを吹き付き乾燥させて、ベースシートに対しUVOオゾン洗浄機で30min処理する。処理したベースシート上にPEDOT:PSS陽極バッファー層を形成し、スピンコート法によって陽極バッファー層上に有機光学活性層を形成する。該有機光学活性層は電子供与体材料COOP-4HT-BDT、電子受容体材料PC
71BM及びピペラジンをクロロホルムに溶解させ混合させて製造され、その内にCOOP-4HT-BDT及びPC
71BMの質量%が2:1で、その内にCOOP-4HT-BDTの濃度が5mg/mLであり、ピペラジンの含有量がCOOP-4HT-BDT及びPC
71BMの合計質量の0.1wt%である。スピンコート法によってグローブボックス内に有機光学活性層を形成し、回転数を2500rpm/sとし、時間を40sとし、厚さが約110nmである。そしてベースシートを真空コーティング装置に搬送し、有機光学活性層上に順次に陰極バッファー層フッ化リチウム(LiF)(厚さ1nm、蒸着レート0.2Å/s)及び金属陰極Al(厚さ100nm、蒸着レート8Å/s)を蒸着する。製造された有機太陽電池を標準条件下(AM1.5、100mW/cm
2)で計測し、Keithley 2400デジタルソースメータによって電流密度-電圧曲線のデータを収集する。
【0098】
該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/PEDOT:PSS/COOP-4HT-BDT:PC
71BM:ピペラジン/LiF/Al(100nm)という構造を有する。ただし、COOP-4HT-BDTの構造は式(13)に示される。
【0101】
図7に示すように、実施例5で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表6に示される。試験結果から、0.1wt%のピペラジンをドーピングした後、有機太陽電池の光電変換効率が5.14%まで達したことが分かる。
【0102】
実施例6 PTB7-Th:SBF-PDI
4:ピペラジン(0.1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料PTB7-Th、電子受容体材料SBF-PDI
4及びピペラジンをクロロホルム(1%体積比のクロロナフタレン添加)に溶解させ混合させて製造され、その内にPTB7-Th及びSBF-PDI
4の質量%が1:1で、その内にPTB7-Thの濃度が5mg/mLであり、ピペラジンの含有量がPTB7-Th及びSBF-PDI
4の合計質量の0.1wt%である。スピンコート法によってグローブボックス内に有機光学活性層を形成し、回転数を2000rpm/sとし、時間を60sとし、厚さが約100nmである。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/PTB7-Th:SBF-PDI
4:ピペラジン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にPTB7-Thの化学構造は式(12)に示され、SBF-PDI
4の構造は式(14)に示される。
【0105】
図8に示すように、実施例6で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表7に示される。試験結果から、0.1%のピペラジンをドーピングした後、有機太陽電池の光電変換効率が5.32%まで達したことが分かる。
【0106】
実施例7 P3HT:PC
61BM:ポリエーテルイミド(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びポリエーテルイミドをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、ポリエーテルイミドの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:ポリエーテルイミド/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にポリエーテルイミドの構造は式(15)に示される。
【0109】
図9に示すように、実施例7で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表8に示される。試験結果から、1wt%ポリエーテルイミドをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.60%まで向上したことが分かる。
【0110】
実施例8 P3HT:PC
61BM:2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及び2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内に2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンの構造は式(16)に示される。
【0113】
図10に示すように、実施例8で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図であり、他の具体的なデバイス性能パラメータは表9に示される。試験結果から、1wt%の2,5-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.67%まで向上したことが分かる。
【0114】
実施例9 P3HT:PC
61BM:N,N'-ジフェニルエチレンジアミン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びN,N'-ジフェニルエチレンジアミンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、N,N'-ジフェニルエチレンジアミンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:N,N'-ジフェニルエチレンジアミン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にN,N'-ジフェニルエチレンジアミンの構造は式(17)に示される。
【0117】
図11に示すように、実施例9で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図であり、他の具体的なデバイス性能パラメータは表10に示される。試験結果から、1wt%のN,N'-ジフェニルエチレンジアミンをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.64%まで向上したことが分かる。
【0118】
実施例10 P3HT:PC
61BM:2,5-ジメチルピペラジン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及び2,5-ジメチルピペラジンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、2,5-ジメチルピペラジンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:2,5-ジメチルピペラジン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内に2,5-ジメチルピペラジンの構造は式(18)に示される。
【0121】
図12に示すように、実施例10で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図であり、他の具体的なデバイス性能パラメータは表11に示される。試験結果から、1wt%の2,5-ジメチルピペラジンをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.59%まで向上したことが分かる。
【0122】
実施例11 P3HT:PC
61BM:2-(4-ピリジル)ピペラジン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及び2-(4-ピリジル)ピペラジンをトリメチルベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、2-(4-ピリジル)ピペラジンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:2-(4-ピリジル)ピペラジン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内に2-(4-ピリジル)ピペラジンの構造は式(19)に示される。
【0125】
図13に示すように、実施例11で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図であり、他の具体的なデバイス性能パラメータは表12に示される。試験結果から、1wt%の2-(4-ピリジル)ピペラジンをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.54%まで向上したことが分かる。
【0126】
実施例12 P3HT:PC
61BM:ペンタエチレンヘキサミン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及びペンタエチレンヘキサミンをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、ペンタエチレンヘキサミンの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:ペンタエチレンヘキサミン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にペンタエチレンヘキサミンの構造は式(20)に示される。
【0129】
図14に示すように、実施例12で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図であり、他の具体的なデバイス性能パラメータは表13に示される。試験結果から、1wt%のペンタエチレンヘキサミンをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.59%まで向上したことが分かる。
【0130】
実施例13 PffBT4T-2OD:PC
61BM:N,N-ジフェニルエチレンジアミン(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料PffBT4T-2OD、電子受容体材料PC
61BM及びN,N-ジフェニルエチレンジアミン(式20)をトリメチルベンゼン及び1-フェニルナフタレンに溶解させ混合させて製造され、その内にPffBT4T-2OD及びPC
61BMの質量%が1:1であり、N,N-ジフェニルエチレンジアミンの含有量がPffBT4T-2OD及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。1-フェニルナフタレン及びトリメチルベンゼンの体積比が0.025:1である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/PffBT4T-2OD:PC
61BM:N,N-ジフェニルエチレンジアミン/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内にPffBT4T-2ODの構造は式(21)に示され、N,N-ジフェニルエチレンジアミンの構造は式(17)に示される。
【0133】
図15に示すように、実施例13で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表14に示される。試験結果から、1wt%のN,N-ジフェニルエチレンジアミンをドーピングした後、デバイスの光電変換効率が8.92%まで達したことが分かる。
【0134】
実施例14 P3HT:PC
61BM:5,10-DIHYDRO-PHENAZINE(1wt%)を有機光学活性層とする反転構造ポリマー太陽電池の製造
比較例1と同じ製造方法によって、該有機光学活性層は電子供与体材料P3HT、電子受容体材料PC
61BM及び5,10-DIHYDRO-PHENAZINEをo-ジクロロベンゼンに溶解させ混合させて製造され、その内にP3HT及びPC
61BMの質量%が1:1であり、5,10-DIHYDRO-PHENAZINEの含有量がP3HT及びPC
61BMの合計質量の1wt%である。該実施例で製造された有機太陽電池は、透明基板/ITO/ZnO/P3HT:PC
61BM:5,10-DIHYDRO-PHENAZINE/MoO
3/Al(100nm)という構造を有する。その内に5,10-DIHYDRO-PHENAZINEの構造は式(22)に示される。
【0137】
図16に示すように、実施例14で製造された有機太陽電池の電流密度-電圧曲線図を示し、他の具体的なデバイス性能パラメータは表15に示される。試験結果から、1wt%の5,10-DIHYDRO-PHENAZINEをドーピングした後、有機太陽電池の電圧も電流も向上し、最終的にデバイスの光電変換効率が元の3.30%から3.58%まで向上したことが分かる。
【0138】
実施例15 比較例1中の反転P3HT:PC
61BMデバイス及び実施例1中の1%ピペラジンをドーピングしたP3HT:PC
61BMデバイスに対して同時に太陽電池寿命試験システムによって減衰試験を行ったところ、試験過程中に2種類のデバイスの光強度が一致であり、且つ100%の荷重を加える条件下で試験を行い、継続的にデバイスに光を照明するので、試験中デバイスの表面温度が40〜45℃になった。
【0139】
図17a-
図17dは比較例1中の反転P3HT:PC
61BMデバイス及び実施例1中の1%ピペラジンをドーピングしたP3HT:PC
61BMデバイスの減衰過程中における性能の経時変化を示す曲線図であり、
図17a-
図17dから分かるように、ピペラジンをドーピングしていないデバイスについては時間の経過に従い、各パラメータの減衰に起因して期間性能が早く減衰し、200hの場合に、デバイス性能が初期の55%まで減衰したが、ピペラジンをドーピングしたデバイスについては、時間経過に従い電圧及び電流が殆ど減衰せず、曲線因子が反って上昇し、最終にデバイス性能がやや上昇し、200hの場合に、デバイス性能が殆ど減衰しなかった。
【0140】
本発明の実施例1〜15の結果から分かるように、有機アミノ化合物(例えばエチレンジアミンの誘導体、ピペラジン等)のドーピングによって有機太陽電池の効率を向上できると共に、大幅にデバイスの長期間安定性を向上させることができる。
【0141】
以上のように、上記実施例が本発明の技術思想及び特徴を説明するためのものに過ぎず、当業者が本発明の内容を理解し実施するための目的とし、これらによって本発明の保護範囲を限定することはできない。本発明の精神に基づき実質的に加えた等価変形や改良も全て本発明の保護範囲に含まれる。
【0142】
(付記)
(付記1)
電子供与体材料と、電子受容体材料と有機溶媒を含む有機光学活性層複合インクであって、有機アミノ化合物を更に含み、且つ前記有機光学活性層複合インクに、電子供与体材料と電子受容体材料の合計質量に対して0.01wt%〜10wt%の質量の有機アミノ化合物を含み、前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が10:1〜1:10であり、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が1〜50mg/mLであることを特徴とする有機光学活性層複合インク。
【0143】
(付記2)
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が5:1〜1:5であることを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【0144】
(付記3)
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が2:1〜1:2であることを特徴とする付記2に記載の有機光学活性層複合インク。
【0145】
(付記4)
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が5〜20mg/mLであることを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【0146】
(付記5)
前記有機光学活性層複合インクに、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が10〜20mg/mLであることを特徴とする付記4に記載の有機光学活性層複合インク。
【0147】
(付記6)
前記有機溶媒はo-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【0148】
(付記7)
前記有機アミノ化合物は、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中のいずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物を含むことを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化22】
(ただし、R
1、R
2、R
3、R
4は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基や置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示し、R
5、R
6、R
7、R
8は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体、もしくはR
5、R
6、R
7、R
8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造を示す。)
【0149】
(付記8)
前記有機アミノ化合物はエチレンジアミンの誘導体から選ばれたものであり、前記エチレンジアミンの誘導体は式(3)構造を有することを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化23】
(ただし、R
1、R
2は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示す。)
【0150】
(付記9)
前記有機アミノ化合物はアルキルエチレンジアミンであることを特徴とする付記8に記載の有機光学活性層複合インク。
【0151】
(付記10)
前記有機アミノ化合物は式(4)-式(8)中いずれか1つに示される構造を有するピペラジン誘導体から選ばれたものであることを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化24】
(ただし、R
9は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、または置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示す。)
【0152】
(付記11)
前記有機アミノ化合物はピペラジンであることを特徴とする付記10に記載の有機光学活性層複合インク。
【0153】
(付記12)
前記電子供与体材料は共役高分子電子供与体材料及び/又は共役有機低分子電子供与体材料を含むことを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【0154】
(付記13)
前記共役高分子電子供与体材料はポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記12に記載の有機光学活性層複合インク。
【0155】
(付記14)
前記共役有機低分子電子供与体材料はベンゾジチオフェンー及び/又はオリゴチオフェンを核とする低分子を含むことを特徴とする付記12に記載の有機光学活性層複合インク。
【0156】
(付記15)
前記共役有機低分子電子供与体材料はDR3TSBDT、DRCN7T及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記12に記載の有機光学活性層複合インク。
【0157】
(付記16)
前記電子受容体材料はフラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料及びフラーレン以外の電子受容体材料中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記1に記載の有機光学活性層複合インク。
【0158】
(付記17)
前記フラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料は[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル、PC
71BM、Bis-PC
61BM及びIC
61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記16に記載の有機光学活性層複合インク。
【0159】
(付記18)
前記フラーレン以外の電子受容体材料は有機共役性電子受容体材料を含むことを特徴とする付記16に記載の有機光学活性層複合インク。
【0160】
(付記19)
前記有機共役性電子受容体材料はペリレンジイミド誘導体、ナフタレンジイミド誘導体、イミダセン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、サブフタロシアニン誘導体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記16に記載の有機光学活性層複合インク。
【0161】
(付記20)
付記1から19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクの製造方法であって、有機アミノ化合物、電子受容体材料及び電子供与体材料を有機溶媒中に溶解させ、均一に混合させることによって、前記有機光学活性層複合インクを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【0162】
(付記21)
付記1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクで形成される有機光学活性層複合フィルム。
【0163】
(付記22)
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子供与体材料と、[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル、PC
71BM、Bis-PC
61BM及びIC
61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子受容体材料と、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中のいずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物とで組み合わせて形成される複合体であることを特徴とする付記21に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【0164】
(付記23)
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80nm〜2μmであることを特徴とする付記21または22に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【0165】
(付記24)
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80〜200nmであることを特徴とする付記23に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【0166】
(付記25)
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80〜100nmであることを特徴とする付記24に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【0167】
(付記26)
付記21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムの製造方法であって、付記1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクの成膜処理を行うことによって有機光学活性層複合フィルムを形成するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【0168】
(付記27)
前記成膜処理の方式は滴下成膜プロセス、スピンコート成膜プロセス、スプレコート成膜プロセス、インクジェットプリント成膜プロセス、スクリーン印刷成膜プロセス、ブレードコーティング成膜プロセス及びワイヤーバーコーティングプロセス中の少なくとも1種を含むことを特徴とする付記26に記載の製造方法。
【0169】
(付記28)
前記成膜処理は前記有機光学活性層複合フィルムに対する熱処理及び/又は溶媒アニール処理を含むことを特徴とする付記26に記載の製造方法。
【0170】
(付記29)
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとすることを特徴とする付記28に記載の製造方法。
【0171】
(付記30)
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含み、前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとすることを特徴とする付記28に記載の製造方法。
【0172】
(付記31)
付記1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクまたは付記21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムの有機太陽電池の製造での応用。
【0173】
(付記32)
配置方向に沿って順次に配置される上部電極、上部電極界面装飾層、有機光学活性層、下部電極界面装飾層、及び下部電極を含む有機太陽電池であって、前記有機光活性層は付記21〜25中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合フィルムを含むことを特徴とする有機太陽電池。
【0174】
(付記33)
その上に前記下部電極が設置される下部電極ベースを更に含むことを特徴とする付記32に記載の有機太陽電池。
【0175】
(付記34)
付記32或いは33に記載の有機太陽電池の製造方法であって、
(1)下部電極ベースを用意し、下部電極ベース上に下部電極を設置するステップと、
(2)前記下部電極上に下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)付記1〜19中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクによって前記下部電極界面装飾層上に有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成するステップと、
(5)前記上部電極界面装飾層上に上部電極を形成することによって前記有機太陽電池を得るステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【0176】
(付記35)
ステップ(4)は、前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理及び/又は溶媒アニール処理を行い、そして前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成することを含むことを特徴とする付記34に記載の製造方法。
【0177】
(付記36)
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする付記35に記載の製造方法。
【0178】
(付記37)
前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとすることを特徴とする付記35或いは36に記載の製造方法。
【0179】
(付記38)
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとすることを特徴とする付記35に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0180】
1 上部電極
2 上部電極界面装飾層
3 有機光学活性層
4 下部電極界面装飾層
5 下部電極
6 下部電極ベース
【手続補正書】
【提出日】2019年9月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与体材料と電子受容体材料と有機溶媒を含む有機光学活性層複合インクであって、有機アミノ化合物を更に含み、且つ前記有機光学活性層複合インクにおいて、電子供与体材料と電子受容体材料の合計質量に対して0.01wt%〜10wt%の質量の有機アミノ化合物を含み、前記有機光学活性層複合インクにおいて、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が10:1〜1:10であり、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が1〜50mg/mLであることを特徴とする有機光学活性層複合インク。
【請求項2】
前記有機光学活性層複合インクにおいて、前記電子供与体材料と電子受容体材料の質量比が5:1〜1:5、好ましくは2:1〜1:2であることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項3】
前記有機光学活性層複合インクにおいて、前記電子供与体材料または電子受容体材料の濃度が5〜20mg/mL、好ましくは10〜20mg/mLであることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項4】
前記有機溶媒はo-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、クロロホルム、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、トリメチルベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項5】
前記有機アミノ化合物は、式(1)、式(2)、式(1-1)
、式(2-1)
及び式(3)からなる群より選ばれた少なくとも1つに示される構造を有する有機アミノ化合物を含
み、前記式(3)に示される構造を有する前記有機アミノ化合物はエチレンジアミンの誘導体又はアルキルエチレンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化1】
【化2】
(ただし、R
1、R
2、R
3、R
4は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基
、又は置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示し、R
5、R
6、R
7、R
8は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体、もしくはR
5、R
6、R
7、R
8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造を示す。)
【請求項6】
前記有機アミノ化合物は式(4)-式(8)中いずれか1つに示される構造を有するピペラジン誘導体から選ばれたものであること
、又は前記有機アミノ化合物はピペラジンであることを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【化3】
(ただし、R
9は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、
又は置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示す。)
【請求項7】
前記電子供与体材料は共役高分子電子供与体材料及び/又は共役有機低分子電子供与体材料を含み、
前記共役高分子電子供与体材料はポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組合わせを含み、
前記共役有機低分子電子供与体材料はベンゾジチオフェンー及び/又はオリゴチオフェンを核とする低分子を含み、
前記共役有機低分子電子供与体材料はDR3TSBDT、DRCN7T及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項8】
前記電子受容体材料はフラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料及びフラーレン以外の電子受容体材料中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含み、
前記フラーレン電子受容体材料、フラーレン誘導体系電子受容体材料は[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル、PC71BM、Bis-PC61BM及びIC61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含み、
前記フラーレン以外の電子受容体材料は有機共役性電子受容体材料を含み、
前記有機共役性電子受容体材料はペリレンジイミド誘導体、ナフタレンジイミド誘導体、イミダセン誘導体、フルオレン誘導体、ベンゾチアジアゾール誘導体、サブフタロシアニン誘導体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機光学活性層複合インク。
【請求項9】
請求項1に記載の有機光学活性層複合インクの製造方法であって、有機アミノ化合物、電子受容体材料及び電子供与体材料を有機溶媒中に溶解させ、均一に混合させることによって、前記有機光学活性層複合インクを得るステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の有機光学活性層複合インクで形成される有機光学活性層複合フィルム。
【請求項11】
ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、PTB7、PTB7-Th、PffBT4T-2OD及びその構造改変体中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子供与体材料と、[6,6]-フェニル-C
61-酪酸メチルエステル、PC
71BM、Bis-PC
61BM及びIC
61BA中のいずれか1種または2種以上の組み合わせとする電子受容体材料と、式(1)、式(2)、式(1-1)及び式(2-1)中
のいずれか1つに示される構造を有する有機アミノ化合物とで組み合わせて形成される複合体であることを特徴とする請求項
10に記載の有機光学活性層複合フィルム
。
【化4】
(ただし、R1、R2、R3、R4は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、又は置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体を示し、R5、R6、R7、R8は水素、置換若しくは無置換のC1〜C20のアルキル基、C1〜C20のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換修飾された芳香族或いはへテロ芳香族π共役単位誘導体、もしくはR5、R6、R7、R8中のいずれか2つの置換単位の結合によって形成される五員または六員環状構造を示す。)
【請求項12】
前記有機光学活性層複合フィルムの厚さは80nm〜2μmで、
好ましくは80〜200nmで、
好ましくは80〜100nmであることを特徴とする請求項10に記載の有機光学活性層複合フィルム。
【請求項13】
請求項10に記載の有機光学活性層複合フィルムの製造方法であって、請求項1に記載の有機光学活性層複合インクの成膜処理を行うことによって有機光学活性層複合フィルムを形成するステップを含むことを特徴とする製造方法。
【請求項14】
前記成膜処理の方式は滴下成膜プロセス、スピンコート成膜プロセス、スプレコート成膜プロセス、インクジェットプリント成膜プロセス、スクリーン印刷成膜プロセス、ブレードコーティング成膜プロセス及びワイヤーバーコーティングプロセス中の少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記成膜処理は前記有機光学活性層複合フィルムに対する熱処理及び/又は溶媒アニール処理を含み、
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとし、
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組合わせを含み、前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとすることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1に記載の有機光学活性層複合インクの有機太陽電池の製造での応用。
【請求項17】
配置方向に沿って順次に配置される上部電極、上部電極界面装飾層、有機光学活性層、下部電極界面装飾層、及び下部電極を含む有機太陽電池であって、前記有機光活化層は請求項10に記載の有機光学活性層複合フィルムを含むことを特徴とする有機太陽電池。
【請求項18】
その上に前記下部電極が設置される下部電極ベースを更に含むことを特徴とする請求項17に記載の有機太陽電池。
【請求項19】
請求項17に記載の有機太陽電池の製造方法であって、
(1)下部電極ベースを用意し、下部電極ベース上に下部電極を設置するステップと、
(2)前記下部電極上に下部電極界面装飾層を形成するステップと、
(3)請求項1〜8中のいずれか1つに記載の有機光学活性層複合インクによって前記下部電極界面装飾層上に有機光学活性層複合フィルムを形成するステップと、
(4)前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成するステップと、
(5)前記上部電極界面装飾層上に上部電極を形成することによって前記有機太陽電池を得るステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項20】
ステップ(4)は、前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理及び/又は溶媒アニール処理を行い、そして前記有機光学活性層複合フィルム上に上部電極界面装飾層を形成することを含み、
前記溶媒アニール処理に使用される溶媒はメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、クロロホルム、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン中のいずれか1種または2種以上の組合わせを含み、
前記溶媒アニール処理の時間を5s〜2hとし、
前記有機光学活性層複合フィルムの熱処理温度を60〜200℃とし、時間を10s〜2hとすることを特徴とする請求項19に記載の製造方法。
【国際調査報告】