特表2020-510107(P2020-510107A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-510107ジフェニルアミンおよび複素環式ジフェニルアミン誘導体に基づく効率的なリン安定化剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-510107(P2020-510107A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】ジフェニルアミンおよび複素環式ジフェニルアミン誘導体に基づく効率的なリン安定化剤
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20200306BHJP
   C08K 5/5398 20060101ALI20200306BHJP
   C08K 5/5399 20060101ALI20200306BHJP
   C07F 9/6574 20060101ALI20200306BHJP
   C07F 9/6561 20060101ALI20200306BHJP
   C07F 9/44 20060101ALI20200306BHJP
【FI】
   C08L101/00
   C08K5/5398
   C08K5/5399
   C07F9/6574 A
   C07F9/6561 Z
   C07F9/6574 Z
   C07F9/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】70
(21)【出願番号】特願2019-546276(P2019-546276)
(86)(22)【出願日】2018年2月14日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月25日
(86)【国際出願番号】EP2018053670
(87)【国際公開番号】WO2018153747
(87)【国際公開日】20180830
(31)【優先権主張番号】102017203164.6
(32)【優先日】2017年2月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】515230084
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツゥア フェアデルング デア アンゲヴァンドテン フォァシュング エー.ファウ.
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チェセールスキー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ブリーゼニック マックス
(72)【発明者】
【氏名】フェンダー ルドルフ
【テーマコード(参考)】
4H050
4J002
【Fターム(参考)】
4H050AA01
4H050AB51
4J002AA00W
4J002AB01W
4J002AB01X
4J002AB02W
4J002AE03W
4J002AE03Z
4J002AE05W
4J002BB03W
4J002BB05W
4J002BB06W
4J002BB07W
4J002BB08W
4J002BB12W
4J002BB15W
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4J002BC06W
4J002BC08W
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4J002BC12W
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4J002BG10W
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4J002CF05W
4J002CF06W
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4J002DE109
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4J002DE129
4J002DE149
4J002DE239
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4J002DG029
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4J002DJ009
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4J002DJ059
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4J002DL009
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4J002ED019
4J002EE037
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4J002EH037
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4J002EJ059
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4J002EL067
4J002EN077
4J002EN079
4J002EN097
4J002EN099
4J002EN107
4J002EQ019
4J002EQ028
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4J002ER029
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4J002EU199
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4J002EU237
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4J002EV067
4J002EV069
4J002EV077
4J002EV169
4J002EV259
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4J002EV329
4J002EW049
4J002EW067
4J002EW079
4J002EW087
4J002EW117
4J002EW127
4J002EW139
4J002EW156
4J002EW166
4J002FA049
4J002FA089
4J002FD019
4J002FD036
4J002FD039
4J002FD040
4J002FD047
4J002FD099
4J002FD109
4J002FD10Y
4J002FD139
4J002FD13X
4J002FD16Z
(57)【要約】
本発明は、有機材料、特にプラスチック材料の安定化剤として、酸化分解、熱分解および/または化学分解に対して、特にジフェニルアミンおよび複素環式ジフェニルアミン誘導体に基づく、効率的なリン物質の使用に関する。本発明はさらに、上述のように対応して安定化された有機材料に関する。本発明はさらに、有機材料を安定化する方法および特定の安定化剤に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に、酸化分解、熱分解および/または化学分解に対する、有機物材料の安定化のための、下記一般式Iの化合物または下記一般式Iの複数の化合物の混合物の使用:
A-By
一般式I
一般式I中、フラグメントAは、以下の通りであり、
【化1】
それぞれ互いに独立して、
Xは、硫黄原子であり;
nは0または1であり;
xは0または1であり;
並びに、ZおよびZは、
水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、複素環残基、ただし、これらの残基に、1つまたは複数のさらなるフラグメントAおよび/またはBは結合することができる;
並びに、−O−Z基、ここで、Zはアルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基から選択される;
並びに、−S−Z基、ここで、Zはアルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基から選択される、
を含む群から選択され、
x=1の場合、残基ZおよびZはリン原子と共に環系を形成することができ、その環系に1つまたは複数のさらなるフラグメントAおよび/またはBを結合することができ;
フラグメントBは、以下の通りであり、
【化2】
それぞれ互いに独立して
〜R10は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択され、ここで、残基RおよびRはまた、フェニル基を連結する−Y−基を介して結合することができ、ここで、Yは、S、O、NH、PH、および共有結合を含む群から選択される;
フラグメントAおよびBは、リン原子および窒素原子の共有結合によって互いに結合しており;
並びに、
yは1または2であり、
x+y=2である。
【請求項2】
プラスチック、コーティング、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、トランスミッション油、金属加工液、化学薬品、またはモノマーを安定化するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
フラグメントAが、以下の残基から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の使用:
【化3】
それぞれ互いに独立して、
11は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択され;
12は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択され、ここで、上述した残基は、また、ヘテロ原子を含むこともでき、ならびに/あるいは、上述した残基または複数のさらなるフラグメントAおよび/もしくはBに結合することができ;ならびに
Xおよびnは、請求項1に記載のように定義される。
【請求項4】
フラグメントAが、以下の残基から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【化4】
【請求項5】
一般式Iの化合物が、以下のように定義されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【化5】
【請求項6】
フラグメントBが、以下の残基を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の使用。
【化6】
【請求項7】
フラグメントBが、以下の残基を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の使用。
【化7】
【請求項8】
一般式Iの化合物が、以下の化合物を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の使用:
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
それぞれ互いに独立して、
11は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択される。
【請求項9】
一般式Iの化合物、または、一般式Iの複数の化合物の混合物の場合には、一般式Iによる全ての化合物の全体を、有機材料中に、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の重量比で含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
プラスチックが以下を含む群から選択され、該プラスチックを安定化するための請求項1〜9のいずれかに記載の使用:
a)オレフィンまたはジオレフィンのポリマー、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、メタロセン−PE(m−PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン一酸化炭素コポリマー、および、ポリプロピレン−ポリエチレン(EP)、EPMまたはEPDMなどの静的構造またはブロック構造の形態のコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンアクリルエステル、例えば、エチレンブチルアクリレート、エチレンアクリル酸およびそれらの塩(アイオノマー)、ならびに、ターポリマー、例えば、エチレンアシル酸グリシジル(メタ)アクリレート、グラフトポリマー、例えば、ポリプロピレングラフトマレイン酸無水物、ポリプロピレングラフトアクリル酸、ポリエチレングラフトアクリル酸、ポリエチレンポリブチルアクリレートグラフトマレイン酸無水物、ならびに、それらのブレンド、
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ−アルファ−メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルトルオール、スチレンブタジエン(SB)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレン、スチレンイソプレン、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンブタジエンアクリロニトリル(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、スチレンアクリロニトリルアクリレート(ASA)、スチレンエチレン、スチレン無水マレイン酸ポリマー、以下のものを含む、ブタジエン上のスチレン、SBSまたはSEBS上の無水マレイン酸などの対応するグラフトコポリマー、およびメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、およびABS(MABS)のグラフトコポリマー、ならびに水和ポリスチレン誘導体、
c)ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレンおよびポリ塩化ビニリデン(PVDClなどのハロゲン含有ポリマー、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンのコポリマー、または、塩化ビニルおよび酢酸ビニルのコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびそれらのコポリマー、
d)不飽和エステルのポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリグリシジルアクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル−ポリアルキルアクリレート等のコポリマー、
e)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミンなどの不飽和アルコールおよび誘導体のポリマー、
f)ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセテート、または例えばブタナールとのコポリマー、
g)ポリフェニレンオキシド、およびポリスチレンまたはポリアミドとのブレンド、
h)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランなどの環状エーテルのポリマー、
i)ヒドロキシ末端ポリエーテルまたはポリエステルと、芳香族または脂肪族イソシアネートとのポリウレタン、特に、直鎖ポリウレタン(TPU)、ポリウレア、
j)ポリアミド、例えば、ポリアミド−6,6.6,6.10,4.6,4.10,6.12,10.10,10.12,12.12,ポリアミド11、ポリアミド12、および、(部分)芳香族ポリアミド、例えば、ポリフタルアミド、例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、脂肪族ジアミンとから調製されるもの、あるいは、アジピン酸またはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸と、1,4−または1,3−ジアミノベンゾールなどの芳香族ジアミンとから調製されるもの、PA−6およびPA6.6などの異なるポリアミドのブレンド、ならびに、PA/PPなどのポリアミドとポリオレフィンとのブレンド、
k)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
l)脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸とジオールのポリエステル、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエチレンスクシネート、ポリテトラメチレンスクシネート、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸のポリエステル、
m)ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、およびPC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PAなどのブレンド、
n)硝酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースなどのセルロース誘導体、
o)二官能性または多官能性エポキシ化合物を、例えば、アミン、無水物、ジシアンジアミド、メルカプタン、イソシアネートに基づく硬化剤または触媒作用性硬化剤と組み合わせて含むエポキシ樹脂、
p)フェノール樹脂、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、
q)ビニル化合物を伴う、不飽和ジカルボン酸とジオールとの不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
r)シリコン、
s)ならびに、上記のポリマーの2種以上の混合物(mixture)、組合せ、または、ブレンド。
【請求項11】
プラスチックが、UV吸収剤、光安定化剤、ヒドロキシルアミン系安定化剤、ベンゾフラノン系安定化剤、核形成剤、強化剤、可塑剤、離型剤、レオロジー改質剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、蛍光増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、酸掃去剤、マーキング剤、および防曇剤を含む群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
少なくとも1つのさらなる第1および/または第2の酸化防止剤が、特に、フェノール系酸化防止剤、ホスファイト、ホスフォナイト、アミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの混合物または組み合わせを含む群から選択される、少なくとも1つのさらなる第1および/または第2の酸化防止剤が、一般式Iの化合物に加えて、有機材料を安定化するために使用されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
少なくとも1つの一般式Iによる安定化剤または一般式Iによる複数の安定剤の混合物を含む有機材料、特にプラスチック組成物:
A-By
一般式I
ここで、A、B、およびyは、請求項1に記載のように定義される。
【請求項14】
有機材料を、特に、酸化分解、熱分解および/または化学分解に対して、安定化する方法であって、下記一般式Iの化合物または下記一般式Iの複数の化合物が、有機材料に加工される、方法:
A-By
一般式I
ここで、A、B、およびyは、請求項1に記載のように定義される。
【請求項15】
以下の一般式II、III、およびIVのいずれかによる化合物。
【化13】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化分解、熱分解および/または化学(actinic)分解に対する、有機材料、特にプラスチック材料の安定化剤として、特にジフェニルアミンおよび複素環式ジフェニルアミン誘導体に基づく効率的なリン(phosphorous)物質の使用に関する。さらに、本発明は、上述のように対応して安定化された有機材料に関する。さらに、本発明は、有機材料を安定化する方法および特定の安定化剤に関する。
【0002】
プラスチックおよびコーティング等のプラスチック系組成物は、加工中および使用中に自動酸化される。酸素の存在下でのUV照射またはメカノケミカルプロセスによるラジカル鎖切断から出発して、前記自動酸化は、分子量または新しい化学基の形成などにおけるポリマー鎖への変化をもたらす。
【0003】
ポリマー分子の切断または化学変化は、プラスチックの機械的特性を劣化させ、色の変化(黄変)または他の望ましくない効果をもたらす。熱劣化は、プラスチックの最高使用温度を制限し、老化プロセスは、温度が上昇するにつれて短絡されるプラスチック製品の使用可能な期間を制限する。したがって、酸化防止剤や光安定化剤などの特定の安定化剤を添加することは、劣化プロセスを遅らせるために必要であり、したがって、プラスチックの使用領域および加工能力に実質的な影響を及ぼす。
【0004】
現在、より強力な安定化剤又は安定化剤システムに大きな関心が寄せられているが、その理由は、とりわけ、プラスチックが高い熱的及び/又は機械的歪みに曝される適用分野(エレクトロモビリティー、軽量構造、高性能バッテリーなど)において、プラスチックがますます使用されるようになっているからである。新しい安定化剤を探すさらなる理由は、現在使用されている多くの物質が、例えば保護されるべきポリマーとの適合性、低マイグレーション、または望ましくない分解生成物の形成に関して、すべての要求を満たしていないという事実を含む。
【0005】
安定化剤には、様々な種類があり、その中でも、特に重要なものは次の通りである。
− 加工安定化剤は、高い加工温度で発生する劣化プロセスを遅くする。;
− 長期の熱安定化剤は、特に高温での老化を遅らせるために使用される;
− 高温安定化剤は、プラスチックが高温(180℃以上)にさらされたときに劣化を防止する;ならびに
− UV安定化剤は、UV光によって開始される劣化プロセスを遅延または防止する。
【0006】
様々な安定化剤が、多くの場合に(相乗的)組み合わせとして使用される。安定化剤の目的は、とりわけ、その中で生成されるフリーラジカルを遮断し、ポリマー鎖に損傷を与えるので、酸素の影響下で生じる過酸化物およびヒドロペルオキシドを不活性化することである。安定化剤又は酸化防止剤の有効性は、プラスチックの加工能力及びそれらから製造される製品の耐用年数の両方にとって非常に重要である。また、それらは、プラスチックの最高使用温度または高温での使用可能時間にも影響する。
【0007】
多くの化合物が、安定化剤/酸化防止剤として市販されている。酸化防止剤の最も重要なクラスは、立体障害のあるフェノール類、ホスファイトまたはホスフォナイト、アミン類、チオール化合物、ヒドロキシルアミン類、およびラクトン類である。特に、立体障害のあるアミン類、いわゆるHALS化合物は、同時に長期熱安定化剤として使用される光安定化剤として命名することができる。さらに、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルトリアジンなどが、UV吸収剤としてさらに頻繁に用いられている。
【0008】
ホスファイト安定化剤の特に重要な点は、過酸化物およびヒドロペルオキシドを不活性化するそれらの能力に起因する。しかしながら、以前に使用されていた物質は、とりわけ、その熱安定性、長期有効性、加水分解抵抗性、及び適合性に関して不利な点を有している。そのため、とりわけ、以下の利点を有するべき新規でより良い安定化剤の熱心な探索が行われている。
− 加水分解抵抗性の向上と熱特性の改善;
− 特に高温で使用可能;
− 特に高く長期的な効率性;ならびに
− 望ましくない副作用(変色等)がない。
【0009】
ジフェニルアミンの誘導体は、環境に優しく、毒性の低いエラストマー用安定化剤として用いられている。構造的に類似した複素環式化合物フェノチアジンも同様に、ラジカルを不活性化する優れた能力を有し、僅かな毒性しかない。アクリレート、メタクリレート、およびその他のモノマーの貯蔵安定化に使用され、ラジカルの遮断によってそれらの自然重合が防止される。すなわち、プラスチック安定化剤と同様に作用する。さらに、フェノチアジンは、潤滑油のための効果的な酸化防止剤である。1961年の特許(GB4331、「ポリエチレンのためのフェノチアジン安定化剤」)は、ポリエチレンの安定化剤としてのフェノチアジンの使用を含む。しかしながら、フェノチアジンは、熱可塑性プラスチックおよびエラストマーの安定化効果が実証されているにもかかわらず、典型的な加工条件下で揮発性が高いという欠点を有し、したがって、プラスチック安定化剤として商業的に重要ではない。
【0010】
これまでに、特許に記載または列挙されているリンフェノチアジン誘導体は、非常に少ない。窒素原子にリン置換基を有するフェノチアジン誘導体は、以下の特許に記載されている:WO2015158692A1(2016)、WO2015158689A1(2016)、CN101531578A(2009)。
【0011】
下記化合物は、プラスチックの防炎剤として、特開2006328100号公報(ソンウォン工業株式会社、2006年)に記載されている。
【0012】
【化1】
【0013】
しかし、これまでに、この化合物およびフェノチアジンの他のリン誘導体の抗酸化安定化に対する効果に関しては何も知られていない。
【0014】
構造的に関連するカルバゾールのリン誘導体が多数記載されており、このような物質の様々な用途選択肢が特許文献に記載されているが、プラスチックの安定化剤としては記載されていない。
【0015】
リン原子に少なくとも1つの炭素原子を有するリンジフェニルアミン誘導体に関しては、プラスチックの安定化剤としての使用又は試験は何も知られていない。
【0016】
本発明の目的は、プラスチックおよびプラスチックベースの用途のための新しい有効な安定化剤を開発することであった。
【0017】
この目的は、請求項1の特徴による安定化剤としての特定の材料の使用に関して;請求項13の特徴による特定的に安定化された有機材料に関して;請求項14の特徴による有機材料を安定化させる方法に関して;ならびに、請求項15の特徴による特定の安定化剤に関して、達成される。この点に関するそれぞれの従属請求項は、有利なさらなる発展を示す。
【0018】
したがって、本発明は、特に、酸化分解、熱分解および/または化学分解に対する、有機材料の安定化のための、下記一般式Iによる化合物または下記一般式Iによる複数の化合物の混合物の使用に関する。
A−B
一般式I
ここで、フラグメントAは、次のとおりである。
【0019】
【化2】
【0020】
それぞれ互いに独立して
Xは硫黄原子であり;
nは0または1であり;
xは0または1であり;
ならびに、ZおよびZは、
水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、複素環残基、ただし、1つまたは複数のさらなるフラグメントAおよび/またはBは、上述した残基に結合することができる;
ならびに、−O−Z基(grouping)、ここで、Zは、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基から選択される;
ならびに、−S−Z基、ここで、Zは、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基から選択される、
を含む群から選択され、
x=1の場合、残基ZおよびZは、リン原子と共に環系を形成することができ、その環系に、1つまたは複数のさらなるフラグメントAおよび/またはBを結合することができる;
【0021】
フラグメントBは、次のとおりである。
【0022】
【化3】
【0023】
〜R10は、それぞれ互いに独立して、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択され、ここで(y=1または2の場合)、好ましくはy=1の場合、残基RおよびRは、また、フェニル基を連結する−Y−基を介して結合することができ、Yは、S、O、NH、PH、および共有結合を含む群から選択される;
ここで、フラグメントAおよびBは、リン原子および窒素原子の共有結合によって互いに結合している;
ならびに、
yは1または2であり、
x+y=2である。
【0024】
一般式Iによる化合物は、ここでは、別個の分子として存在することができるが、同様に、主鎖内または二次鎖内のいずれかで、ポリマー骨格に結合して存在することもできる。
【0025】
およびZは、好ましくは、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、複素環残基、ただし、1つ以上のさらなるフラグメントAおよび/またはBは、上述した残基に結合することができる;
ならびに、−O−Z基、ここで、Z基は、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基から選択される;
を含む群から選択され、
ここで、x=1の場合、残基ZおよびZは、リン原子と共に、1つ以上のさらなるフラグメントAおよび/またはBが結合し得る環系を形成し得る。
【0026】
驚くべきことに、上記で定義した一般式Iによる化合物は、有機材料の安定化剤として特に良好な有効性を有し、その使用により、既に、比較的低濃度で高い安定化率が得られることが見出された。
【0027】
上記化合物は、特に、プラスチック、コーティング、潤滑油膜、作動油(hydraulic oils)、化学品、およびモノマーを安定化するのに適している。
【0028】
式Iによる上記化合物において、フラグメントAは、以下の残基から選択されることが、特に好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】
それぞれ互いに独立して
11は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択される;
12は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択され、ここで、上述した残基は、また、ヘテロ原子を含むこともでき、ならびに/あるいは、上述した残基または複数のさらなるフラグメントAおよび/もしくはBに結合することができる;ならびに
Xおよびnは、請求項1に記載のように定義される。
【0031】
フラグメントは、特に好ましくは、以下の残基から選択される。
【0032】
【化5】
【0033】
フラグメントBに関して、以下の残基を含む群から選択される場合、有利である。
【0034】
【化6】
【0035】
ここで、それぞれ互いに独立して、R〜RおよびR〜R10およびYは、請求項1に記載のように定義される。
【0036】
ここで、フラグメントBは、以下の残基を含む群から選択されるとき、特に好ましい。
【0037】
本発明の目的のための安定化剤として使用することができる特に好ましい化合物を以下に列挙する。
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】
【化9】
【0041】
【化10】
【0042】
【化11】
【0043】
それぞれ互いに独立して
11は、水素、アルキル残基、アリール残基、アルキルアリール残基、アリールアルキル残基、および複素環残基を含む群から選択される。
【0044】
効率が低いため、下記式の化合物
PhN−P(OPh)
は、特に好ましくは、本発明による使用から除外される。
【0045】
一般式Iによる化合物、または、一般式Iによる複数の化合物の混合物の場合には、一般式Iによる全ての化合物の全体を、有機材料中、すなわち、酸化分解、熱分解、および/または化学分解を受ける材料中に、好ましくは、0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の重量比で混合することにより、添加(組み込む)および/または加工する。これは、例えば、特にプラスチック化合物の場合には、材料の混練または押出しなどによる溶融による熱処理で起こり得る。油などの液体材料では、一般式Iによる化合物の作用は、材料を液体中に溶解または分散させることによって行われる。
【0046】
一般式Iによる化合物がプラスチック材料を安定化するために使用される場合、プラスチックが以下を含む群から選択されることが好ましい。
【0047】
a)オレフィンまたはジオレフィンのポリマー、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、メタロセン−PE(m−PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ−4−メチル−ペンテン−1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、例えば、また、天然ゴム(NR)、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン一酸化炭素コポリマー、および、例えば5−エチリデン−2−ノルボルヌをコモノマーとして有する、ポリプロピレンポリエチレン(EP)、EPMまたはEPDMのような静的(static)構造またはブロック構造の形態のコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンアクリルエステル、例えば、エチレンブチルアクリレート、エチレンアクリル酸およびそれらの塩(アイオノマー)、ならびに、ターポリマー、例えば、エチレンアシル酸グリシジル(メタ)アクリレート、グラフトポリマー、例えば、ポリプロピレングラフトマレイン酸無水物、ポリプロピレングラフトアクリル酸、ポリエチレングラフトアクリル酸、ポリエチレンポリブチルアクリレートグラフトマレイン酸無水物、ならびに、ブレンド、例えば、LDPE/LLDPE、あるいは、また、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、または1−オクタデン(octadene)などのコモノマーとしてのアルファオレフィンで調製された長鎖分岐ポリプロピレンコポリマー、
【0048】
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリ−アルファ−メチルスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリビニルビフェニル、ポリビニルトルオール、スチレンブタジエン(SB)、スチレンブタジエンスチレン(SBS)、スチレンエチレンブチレンスチレン(SEBS)、スチレンエチレンプロピレンスチレン、スチレンイソプレン、スチレンイソプレンスチレン(SIS)、スチレンブタジエンアクリロニトリル(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、スチレンアクリロニトリルアクリレート(ASA)、スチレンエチレン、スチレン無水マレイン酸ポリマー、以下のものを含む、ブタジエン上のスチレン、SBSまたはSEBS上の無水マレイン酸などの対応するグラフトコポリマー、およびメチルメタクリレート、スチレンブタジエン、およびABS(MABS)のグラフトコポリマー、ならびにポリビニルシクロヘキサンなどの水和ポリスチレン誘導体、
【0049】
c)ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリクロロプレンおよびポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのハロゲン含有ポリマー、塩化ビニルおよび塩化ビニリデンのコポリマー、または、塩化ビニルおよび酢酸ビニルから構成されるコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、エピクロロヒドリンホモポリマーおよびコポリマー、特にエチレンオキシドとのコポリマー(ECO)、
【0050】
d)不飽和エステルのポリマー、例えば、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリグリシジルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル−ポリアルキルアクリレート等のコポリマー、
【0051】
e)ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリルメラミンなどの不飽和アルコールおよび誘導体のポリマー、
【0052】
f)ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセテート、または例えばブタナールとのコポリマー、
【0053】
g)ポリフェニレンオキシド、およびポリスチレンまたはポリアミドとのブレンド、
【0054】
h)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフランなどの環状エーテルのポリマー、
【0055】
i)ヒドロキシ末端ポリエーテルまたはポリエステルと、2,4−もしくは2,5−トルイレンジイソシアネートまたはメチレンジフェニルジイソシアネートなどの芳香族または脂肪族イソシアネートとのポリウレタン、特に、また、直鎖ポリウレタン/TPU)、ポリウレア、
【0056】
j)ポリアミド、例えば、ポリアミド−6,6.6,6.10,4.6,4.10,6.12,10.10,10.12,12.12,ポリアミド11、ポリアミド12、および、(部分)芳香族ポリアミド、例えば、ポリフタルアミド、例えば、テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、ヘキサメチレンジアミンまたはm−キシリレンジアミンなどの脂肪族ジアミンとから調製されるもの、あるいは、アジピン酸またはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸と、1,4−または1,3−ジアミノベンゾールなどの芳香族ジアミンとから調製されるもの、PA−6およびPA6.6などの異なるポリアミドのブレンド、あるいは、PA/PPなどのポリアミドとポリオレフィンとのブレンド、
【0057】
k)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイミダゾール、ポリヒダントイン、
【0058】
l)脂肪族もしくは芳香族ジカルボン酸とジオールのポリエステル、あるいは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ−1,4−ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシ吉草酸(PHV)、ポリエチレンスクシネート、ポリテトラメチレンスクシネート、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸のポリエステル、
【0059】
m)ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、およびPC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PAなどのブレンド、
【0060】
n)硝酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースなどのセルロース誘導体、
【0061】
o)二官能性または多官能性エポキシ化合物を、例えば、アミン、無水物、ジシアンジアミド、メルカプタン、イソシアネートに基づく硬化剤または触媒作用性硬化剤と組み合わせて含むエポキシ樹脂、
【0062】
p)フェノール樹脂、例えば、フェノールホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、
【0063】
q)スチレンなどのビニル化合物を伴う、不飽和ジカルボン酸とジオールとの不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、
【0064】
r)シリコン、例えばビニル基末端に、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、またはジフェニルシロキサンに基づくもの、
【0065】
s)ならびに、上記のポリマーの2種以上の混合物(mixture)、組合せ、または、ブレンド。
【0066】
a)〜r)に列挙されたポリマーがコポリマーである場合、それらは統計的(「ランダム」)構造、ブロック構造、またはテーパー構造の形態で存在できる。さらに、前記ポリマーは、直鎖状、分岐状、星型、または超分岐状構造の形態で存在できる。
【0067】
a)〜4)に列挙されたポリマーが立体規則性ポリマーである場合、それらは、アイソタクチック、ステレオタクチックの形態で存在できるが、アタクチック形態でも存在できるか、またはステレオブロックコポリマーとして存在できる。
【0068】
さらに、a)〜r)に列挙されたポリマーは、アモルファスおよび(部分)結晶性形態の両方を含むことができる。
【0069】
任意に、a)で指定されたポリオレフィンは、また、架橋されたもの、例えば、X−PEと呼ばれる架橋ポリエチレンとして存在することもできる。
【0070】
ここで、上記ポリマーa)〜r)は、新製品として存在するだけでなく、例えば、生産廃棄物としての、またはリサイクル可能物の収集物(使用済み製品のリサイクル)からのリサイクル品(recyclate)の形態で存在できる。
【0071】
プラスチックリサイクル品の用語定義については、さらに好ましい実施形態では、それらはリサイクル可能プラスチック(recyclate plastic)または再生プラスチックである。プラスチックリサイクル品という用語の定義については、標準DIN EN 15347:2007を参照している。この定義は、本発明の目的のための基礎としても使用される。
【0072】
ここで、再生プラスチックは、再生ポリエステル、特に再生ポリエチレンテレフタレート(rPET)、再生ポリブチレンテレフタレート(rPBT)、再生ポリ乳酸(rPLA)、再生ポリグリコリドおよび/または再生ポリカプロラクトン;再生ポリオレフィン、特に再生ポリプロピレン(rPP)、再生ポリエチレンおよび/または再生ポリスチレン(rPS);再生ポリ塩化ビニル(rPVC)、再生ポリアミド、ならびにそれらの混合物および組合せを含む群から選択されることが特に好ましい。
【0073】
多くのプラスチックリサイクル品には、関連する国際基準が存在する。DIN EN 15353:2007は、PETプラスチックリサイクル品に関連している。PSリサイクル品は、DIN EN 15342:2008により詳しく記載されている。PEリサイクル品は、DIN EN 15344:2008で述べられている。PPリサイクル品は、DIN EN 15345:2008で特徴を述べられている。PVCリサイクル品は、DIN EN 15346:2015でより詳細に明らかにされている。対応する特定のプラスチックリサイクル品の適用上、本特許出願は、これらの国際規格の定義を組み込んでいる。
【0074】
さらに、本発明の化合物は、ゴムおよびエラストマーの安定化に使用することができる。天然ゴム(NR)または合成ゴム材料の場合もありうる。
【0075】
有機材料が油および脂肪である場合、それらは鉱油、植物性脂肪、または動物性脂肪、あるいは、例えば、合成エステルに基づく油、脂肪、またはワックスを基礎とすることができる。植物油および脂肪は、例えば、パーム油、オリーブ油、菜種油、亜麻仁油、大豆油、ヒマワリ油、ヒマシ油である。動物性脂肪は、例えば、魚油またはスエットである。
【0076】
さらに、本発明による化合物は、ポリウレタンの製造に用いられるような低分子またはオリゴマーのポリオールを安定化するために用いることができる。好適なヒドロキシ化合物は、例えば、ブタン−1,4−ジオール、オリゴマーエチレングリコール、またはテトラヒドロフランオリゴマーである。
【0077】
さらに、本発明による化合物は、潤滑油、作動油、エンジン油、タービン油、トランスミッション油、金属加工液(fluid)の安定化剤として、または潤滑グリースとして使用することができる。これらの鉱物または合成潤滑油は、主に炭化水素をベースとしている。
【0078】
この点において、プラスチック、例えばプラスチック成形材料は、UV吸収剤、光安定化剤、ヒドロキシルアミン系安定化剤、ベンゾフラノン系安定化剤、核形成剤、強化剤、可塑剤、離型剤、レオロジー改質剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、蛍光増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、酸掃去剤、マーキング剤、および防曇剤を含む群から選択される少なくとも1つのさらなる添加剤を含むことが可能であり、かつ有利である。
【0079】
可能なさらなる添加剤は、UV吸収剤、光安定化剤、安定化剤、ヒドロキシルアミン、ベンゾフラノン、核形成剤、強化剤、可塑剤、離型剤、レオロジー改質剤、鎖延長剤、加工助剤、顔料、染料、蛍光増白剤、抗菌剤、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、分散剤、相溶化剤、脱酸素剤、酸掃去剤、マーキング剤、または防曇剤の群から選択される。好ましい実施形態では、組成物は、特に、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、乳酸カルシウムなどの長鎖酸の塩、またはハイドロタルサイトの塩に基づく、酸掃去剤を含む。さらに好ましい実施形態では、組成物は、フェノール系酸化防止剤およびホスファイト/ホスフォナイト、ヒドロキシルアミン、アミン、ラクトン、チオ化合物の群からの安定化剤、ならびに/あるいは、ヒンダードアミン類(HALS)および/またはUV吸収剤の群からの光安定化剤を含む。
【0080】
好適な光安定化剤は、例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、安息香酸のエステル、アクリレート、オキサミド、および2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンに基づく化合物である。
【0081】
好適な2−(’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールは、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’ −tert−ブチル−2’ −ヒドロキシ−5’ −メチルフェニル−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−sec−ブチル−5’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−[2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]−2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール];ポリエチレングリコール300による2−[3’−tert−ブチル−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)−2’−ヒドロキシフェニル]−2H−ベンゾトリアゾールのエステル交換反応の生成物;[R−CH2CH2−COO−CH2CH2−]−2、ここで、R=3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシ−5’−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニル、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(α,α−ジメチルベンジル)−5’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5’−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾールである。
【0082】
好適な2−ヒドロキシベンゾフェノンは、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノンの4−ヒドロキシ−、4−メトキシ−、4−オクチルオキシ−、4−デシルオキシ−4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、4,2’,4’−トリヒドロキシ−および2’−ヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ誘導体である。
【0083】
好適なアクリレートは、例えば、エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、イソオクチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−α−カルボメトキシシンナメート、メチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、ブチル−α−シアノ−β−メチル−p−メトキシシンナメート、メチル−α−カルボメトキシ−p−メトキシシンナメートおよびN−(β−カルボメトキシ−β−シアノビニル)−2−メチルインドリンである。
【0084】
安息香酸の好適なエステルは、例えば、4−tert−ブチルフェニルサリチル酸、フェニルサリチル酸、オクチルフェニルサリチル酸、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4−tert−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートである。
【0085】
好適なオキサミドは、例えば、4,4’−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’−ジエトキシオキサニリド、2,2’−ジオクチルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキサニリド、2,2’−ジドデシルオキシ−5,5’−ジ−tert−ブトキシサニリド、2−エトキシ−2’−エチルオキサニリド、N,N’−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2’−エトキシサニリド、およびその2−エトキシ−2’−エチル−5,4’−ジ−tert−ブトキサニリドとの混合物、o−およびp−メトキシ−二置換オキサニリドの混合物、ならびにo−およびp−エトキシ−二置換オキサニリドの混合物である。
【0086】
好適な2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンは、例えば、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロピルオキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロポキシ)−フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン,2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン,2,4,6−トリス[2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン,2−{2−ヒドロキシ−4−[3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル−1,3,5−トリアジン)である。
【0087】
好適なフェノール系酸化防止剤には、例えば、以下のものが含まれる:
アルキル化モノフェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジシクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジオクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチル−フェノール、2,6−ジノニル−4−メチルフェノールなどの直鎖または分岐状ノニルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデック−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデック−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデック−1’−イル)フェノール、並びにこれらの混合物;
【0088】
2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノールなどのアルキルチオメチルフェノール;
【0089】
ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシルフェニル)アジペート;α−,β−,γ−,δ−トコフェロールなどのトコフェロール、ならびにそれらの混合物(ビタミンE);
【0090】
ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジスルフィド;アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−(α−メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−ノニル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(6−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(α−メチルベンジル)−4−ノニル−フェノール]、2,2’−メチレンビス[6−(α,α−ジメチルベンジル)−4−ノニルフェノール]、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール、1,1,3−トリス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ブタン、1,1−ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−n−ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール−ビス[3,3−ビス(3’−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2−(3’−tert−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス−(3,5−ジメチル−2−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−n−ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5−テトラ(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)ペンタン;
【0091】
O−,N−およびS−ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート;
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル−2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−ベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)マロネート、ビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート;
【0092】
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゾール、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゾール、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール;
【0093】
トリアジン化合物、例えば、2,4−ビス(オクチルメルカプト)−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;
【0094】
ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート、ジエチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホネート、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩;
アシルアミノフェノール、例えば、4−ヒドロキシラウラニリド、4−ヒドロキシステアラニリド、オクチル−N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバメート;
【0095】
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、例えば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである、一価または多価アルコールとのエステル;
【0096】
β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなどの一価または多価アルコールとのエステル;
【0097】
β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである、一価または多価アルコールとのエステル;
【0098】
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)酢酸と、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである、一価または多価アルコールとのエステル;
【0099】
β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’−ビス[2−(3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド;アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0100】
特に好ましいフェノール系酸化防止剤は以下の構造である:
【0101】
【化12】
【0102】
【化13】
【0103】
【化14】
【0104】
好適なホスファイト/ホスフォナイトは、例えば、以下の通りである:
トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス−(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリス(tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12H−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチル−ジベンズ[d,g]−1,3,2−ジオキサホスホシン、2,2’,2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)ホスファイト]、2−エチルヘキシル(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル))ホスファイト、5−ブチル5−エチル−2−(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノキシ)−1,3,2−ジオキサホスフィラン。
【0105】
さらに好適なホスファイトは、市販品のWeston705(製造業者:Addivant)およびDoverphosLGP11(製造業者:ドーバーケミカル)であり、これらは液体ホスファイトである。
【0106】
特に好ましいホスファイト/ホスフォナイトは、以下の通りである:
【0107】
【化15】
【0108】
【化16】
【0109】
【化17】
【0110】
好適なアミン酸化防止剤は、例えば、以下の通りである:
N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン,N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン,N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン,N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(2−ナフチル)−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレン−ジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、4−(p−トルオールスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N−アリルジフェニルアミン、4−イソプロポキシジフェニルアミン、N−フェニル−1−ナフチルアミン、N−(4−tert−オクチルフェニル)−1−ナフチルアミン、N−フェニル−2−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えば、p,p’−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン、4−n−ブチルアミノフェノール、4−ブチリルアミノフェノール、4−ノナノイルアミノフェノール、4−ドデカノイルアミノフェノール、4−オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4−メトキシフェニル)アミン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ジメチルアミノメチル−フェノール、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラ−メチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,2−ビス[(2−メチル−フェニル)アミノ]エタン、1,2−ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o−トリル)ビグアニド、ビス[4−(1’,3’−ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert−オクチル化N−フェニル−1−ナフチルアミン、モノアルキル化およびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化イソプロピル/イソヘキシル−ジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化tert−ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3−ジヒドロ−3,3−ジメチル−4H−1,4−ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化およびジアルキル化tert−ブチル/tert−オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化およびジアルキル化tert−オクチルフェノチアジンの混合物、N−アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’−テトラフェニル−1,4−ジアミノブト−2−エン、ならびにこれらの混合物または組合せ。
【0111】
さらに好ましいアミン系酸化防止剤は、ヒドロキシルアミンまたはN−オキシド(ニトロン)、例えば、N,N−ジアルキルヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N−ジステアリルヒドロキシルアミン、N−ベンジル−α−フェニルニトロン、N−オクタデシル−α−ヘキサデシルニトロン、ならびに、以下の式による、Genox EP(Addivant)である。
【0112】
【化18】
【0113】
さらに好適な安定化剤は、チオシナージスト(thiosynergist)である。好適なチオシナージストは、例えば、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート、または下記式による化合物である:
【0114】
【化19】
【0115】
特にポリアミドのための、さらに好適な安定化剤は、銅−(I)ヨウ化物、銅−(I)臭化物などの銅塩、またはトリフェニルホスフィン銅−(I)錯体などの銅錯体である。
【0116】
好適なヒンダードアミンは、例えば、1,1−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)スクシネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−n−ブチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルマロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジンおよびコハク酸からの縮合生成物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−tert−オクチルアミノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状または環状縮合生成物、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,1’−(1,2−エタンジイル)−ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、4−ベンゾイル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンおよび4−モルホリノ−2,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンの直鎖状または環状縮合生成物、7,7,9,9−テトラメチル−2−シクロウンデシル−1−オキサ−3,8−ジアザ−4−オキソスピロ−[4,5]デカンおよびエピクロロヒドリンの反応生成物である。
【0117】
さらに、好ましいヒンダードアミンは、以下の構造を有する:
【0118】
【化20】
【0119】
【化21】
【0120】
【化22】
【0121】
好ましいオリゴマーおよびポリマーのヒンダードアミンは、以下の構造を有す:。
【0122】
【化23】
【0123】
【化24】
【0124】
【化25】
【0125】
好適なラクトンは、例えば、以下の通りである:5,7,ジ−tert−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン−5,5−ジ−tert−ブチル−3−[−4−(2−ステアロイルオキシエトキシ)フェニル]−ベンゾフラン−2−オン、3−(4−アセトキシ−3,5−ジメチルフェニル)−5,7−ジ−ter−ブチル−ベンゾフラン−2−オン)、およびリン3−フェニルベンゾフラン−2−オン。
【0126】
好適な金属不活性化剤は、例えば、N,N’−ジフェニルオキサミド、N−サリチル−N’−サリチロイルヒドラジン、N,N’−ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3−サリチロイルアミノ−1,2,4−トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイル−ビス−フェニルヒドラジド、N,N’−ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)オキシリルジヒドラジド、N,N’−ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジドである。
【0127】
好適な分散剤は、例えば、以下の通りである:
ポリアクリレート、例えば、長鎖側基を有するコポリマー、ポリアクリレートブロックコポリマー、アルキルアミド:例えば、N,N’−1,2−エタンジイルビスオクタデカンアミド、ソルビタンエステル、例えば、モノステアリルソルビタンエステル、チタネートおよびジルコネート、官能基を有する反応性コポリマー、例えば、ポリプロピレン−コ−アクリル酸、ポリプロピレン−コ−マレイン酸無水物、ポリエチレン−コ−グリシジルメタクリレート、ポリスチレン−アルト−マレイン酸無水物−ポリシロキサン:例えば、ジメチルシランジオール−エチレンオキシドコポリマー、ポリフェニルシロキサンコポリマー、両親媒性コポリマー:例えば、ポリエチレンブロックポリエチレンオキシド、デンドリマー、例えば、ヒドロキシル基含有デンドリマー。
【0128】
好適な核形成剤には、例えば、安息香酸、コハク酸、アジピン酸などの単官能性および多官能性カルボン酸のタルク、アルカリまたはアルカリ土類塩、例えば、安息香酸ナトリウム、グリセロレート亜鉛、水酸化アルミニウム−ビス)4−tert−ブチル)ベンゾエート、ベンジリデンソルビトール、例えば、1,3:2,4−ビス(ベンジリデン)ソルビトール、または、1,3:2,4−ビス(4−メチルベンジリデン)ソルビトール、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート、ならびに、トリスアミドおよびジアミド、例えば、トリメシン酸トリシクロヘキシルアミド、トリメシン酸トリ(4−メチルシクロヘキシルアミド)、トリメシン酸トリ(tert−ブチルアミド)、N、N’、N’’−1,3,5−ベンゾールトリルトリス(2,2−ジメチル−プロパンアミド)または2,6−ナフタリンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミドが含まれる。
【0129】
好適な抗核剤は、アジン色素、例えば、ニグロシン、イオン液体および/またはリチウム塩である。
【0130】
好適な難燃剤は、例えば、以下の通りである:
a)無機難燃剤、例えば、AI(OH)、Mg(OH)、AIO(OH)、MgCO、フィロシリケート、例えば、モンモリロナイトまたはセピオライト、未改質または有機改質、複塩、例えば、Mg−Al−シリケート、POSS(多面体オリゴマーシルセスキオキサン)化合物、ハンタイト、ハイドロマグネサイトまたはハロイサイト、ならびにSb、Sb、MoO、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、
【0131】
b)窒素を含む難燃剤、例えば、メラミン、メレム、メラム、メロン、メラミン誘導体、メラミン縮合生成物またはメラミン塩、ベンゾグアナミン、ポリイソシアヌレート、アラントイン、ホスファセン、特にメラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミン金属ホスフェート、例えば、メラミンアルミニウムホスフェート、メラミン亜鉛ホスフェート、メラミンマグネシウムホスフェート、ならびに対応するピロホスフェートおよびポリホスフェート、ポリ−[2,4−(ピペラジン−1,4−イル)−6−(モルホリン−4−イル)−1,3,5−トリアジン]、アンモニウムポリホスフェート、メラミンボレート、メラミンヒドロブロミド、
【0132】
c)ラジカル形成剤、例えば、アルコキシアミン、ヒドロキシルアミンエステル、アゾ化合物、スルフェンアミド、スルフェンイミド、ジクミルまたはポリクミル、ヒドロキシイミドおよびそれらの誘導体、例えばヒドロキシイミドエステルまたはヒドロキシイミドエーテル、
【0133】
d)リンを含む難燃剤、例えば、赤リン、ホスフェート、例えば、レゾルシンジホスフェート、ビスフェノール−A−ジホスフェート、およびそれらのオリゴマー、トリフェニルホスフェート、エチレンジアミンジホスフェート、ホスフィナート、例えば、次亜リン酸の塩およびそれらの誘導体、例えば、アルキルホスフィナート塩、例えば、ジエチルホスフィナートアルミニウムまたはジエチルホスフィナート−亜鉛またはアルミニウムホスフィナート、アルミニウムホスファイト、アルミニウムホスフォネート、ホスフォネートエステル、メタンホスホン酸のオリゴマーおよびポリマー誘導体、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスフォリルフェナントレン−10−オキシド(DOPO)ならびにそれらの置換化合物、
【0134】
e)塩素および臭素をベースとするハロゲンを含む難燃剤、例えば、ポリ臭化ジフェニルオキシド、例えば、デカブロモジフェニルオキシド、トリス(3−ブロモ−2,2−ビス(ブロモメチル)プロピル−ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、テトラブロモフタル酸、1,2−ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ジフェニルエタン、トリス−(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、エチレン−ビス−(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモ−ビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリブタジエンまたはポリスチレン臭素化ポリブタジエンコポリマー、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキシ樹脂、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、任意でSbおよび/またはSbとの組み合わせ、
【0135】
f)任意に、シリカなどの担体材料上の、ホウ酸亜鉛またはホウ酸カルシウムなどのホウ酸塩、
【0136】
g)硫黄元素、ジスルフィド、およびポリスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、メルカプトベンズチアゾール、およびスルフェンアミド等の硫黄を含む化合物、
【0137】
h)ポリテトラフルオロエチレン等の防滴剤、
i)ポリフェニルシロキサンなどのケイ素を含む化合物、
j)カーボンナノチューブ(CNT)、剥離したグラファイトまたはグラフェンなどの炭素修飾、
k)ならびに、その組合せまたは混合物。
【0138】
好適な充填剤および補強材は、例えば、合成または天然材料、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラス球(中実(solid)または中空)、タルカム、マイクラ(micra)、カオリン、硫酸バリウム、金属酸化物および金属水酸化物、ブラックカーボン、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、木粉、あるいは天然物の繊維、例えば、セルロースまたは合成繊維である。さらに好適な充填剤には、ハイドロタルサイトまたはゼオライトまたはフィロシリケート、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ベイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、レディカイト、マガダイト、イライト、カオリナイト、ウォラストナイト、アタパルジャイト、ハロイサイトが含まれる。
【0139】
好適な顔料は、無機または有機の性質を有することができる。無機顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリン、ブラックカーボンである。;有機顔料は、例えば、アントラキノン、アンタントロン、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジケトプチロロピロール、ジオキサジン、イナントロン、イソインドリン、アゾ化合物、ペリレン、フタロシアニンまたはピラントロンである。さらに好適な顔料には、金属ベースの効果顔料または金属酸化物ベースのパール光沢顔料が含まれる。
【0140】
ポリエステルまたはポリアミドなどの重縮合ポリマーの直鎖状(linear)分子量構造に適した鎖延長剤は、例えば、ジエポキシド、ビス−オキサゾリン、ビス−オキサゾロン、ビス−オキサジン、ジイソシアネート、二無水物、ビス−アシルラクタム、ビス−マレイミド、ジシアネート、(ポリ)カルボジイミドである。さらに好適な鎖延長剤は、ポリスチレンポリアクリレートポリグリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレンマレイン酸無水物コポリマー、およびポリエチレンマレイン酸無水物コポリマーなどのポリマー化合物を含む。
【0141】
好適な蛍光増白剤は、例えば、ビス−ベンゾオキサゾール、フェニルクマリン、またはビス(スチリル)ビフェニル、および、特に下記式の蛍光増白剤である:
【0142】
【化26】
【0143】
好適な充填剤不活性化剤は、例えば、ポリシロキサン、ポリアクリレート、特に、ブロックコポリマー、例えば、ポリメタクリル酸ポリアルキエンオキシドまたはポリグリシジル(メタ)アクリレートおよびそれらのコポリマー、例えば、以下の構造のエポキシドとスチレンとのコポリマーである:
【0144】
【化27】
【0145】
【化28】
【0146】
好適な帯電防止剤は、例えば、エトキシル化アルキルアミン、脂肪酸エステル、アルキルスルホネート、およびポリエーテルアミドなどのポリマーである。
【0147】
好適な抗オゾン剤は、上記のアミン、例えば、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジシクロヘキシル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンを含む。
【0148】
好適な離型助剤(demolding aid)は、例えば、モンタンワックスである。
【0149】
プラスチック中への安定化剤および/または添加剤組成物および任意に追加の添加剤の作用は、典型的な加工方法によって行われ、ポリマーは溶融され、本発明による添加剤組成物および任意のさらなる添加剤と、好ましくはミキサー、混練機および押出機によって混合される。加工機としては、好ましくは、真空脱気装置を備えた、単軸押出機、二軸押出機、遊星歯車押出機、リング押出機、および共混練機などの押出機が好ましい。ここで、加工は、空気下、または、任意に、保護ガスとしての窒素下などの不活性ガス条件下で行うことができる。
【0150】
さらに、添加剤組成物は、マスターバッチまたは濃縮物の形態で調製および導入することができ、これは、例えば、ポリマー中に本発明による添加剤または添加剤組成物の20〜90%を含む。添加剤および/または添加剤組成物および離型剤を含む濃縮物がさらに好ましい。離型剤は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸亜鉛などの長鎖脂肪酸の塩、ポリエチレンワックス、あるいは、ポリプロピレンワックスが好ましい。次いで、これらの濃縮物は、圧縮され、ペレット化され、または押出された製品形状の形で存在することができる。
【0151】
少なくとも1つのさらなる第1および/または第2の酸化防止剤、特に、フェノール性酸化防止剤、ホスファイト、ホスフォナイト、アミン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの混合物または組み合わせを含む群から選択される少なくとも1つのさらなる第1および/または第2の酸化防止剤が、一般式Iによる化合物に加えて有機材料を安定化するために使用される場合、さらに有利である。
【0152】
有機材料が、本発明による安定化剤を含むプラスチック組成物又はポリマー組成物である場合には、それらは、射出成形部品、ホイル又はフィルム、フォーム、繊維、ケーブルおよびパイプ、セクション、中空体、バンド、ジオメンブレンのような膜などの、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー加工、プレス加工、スピン加工、回転成形または拡散およびコーティング加工により製造される、例えば、電気および電子産業、建設業、輸送産業、(自動車、航空、造船、鉄道)、医療用途、家庭用電化製品、車両部品、消費者用品、包装、家具、織物用の特殊成形品への更なる加工に特に適している。これらの成形品も本発明に含まれる。
【0153】
本発明による組成物は、好ましくは、0.01〜5.0重量%の一般式Iによる本発明の安定化剤;0〜5.0%のさらなる添加剤;および95〜99.99重量%のポリマーを含み、特に好ましくは、0.02〜3重量%の本発明による安定化剤;0〜3.0%のさらなる添加剤、および97〜99.98%のポリマーを含み;0.05〜2重量%の本発明による安定化剤、0.2重量%のさらなる添加剤、および98〜99.95重量%のポリマーを含むことが一層特に好ましい。
【0154】
さらに、本発明は、安定化の目的のために、少なくとも1つの上記一般式Iによる安定化剤または上記一般式Iによる複数の安定化剤の混合物を含む有機材料に関する。上に述べた一般式に関する全ての記述は、対応する安定化有機材料の目的に対して同じように適用される。有機材料は、特にプラスチック組成物であることが好ましく、特に上記のようなポリマーを有することが好ましい。
【0155】
さらに、本発明は、有機材料、特にプラスチック組成物、特に好ましくは酸化的、熱的および/または化学的分解に対して、有機材料を安定化する方法に関し、その方法では、一般式Iによる化合物または一般式Iによる複数の化合物が、有機材料に加工される。ここでの作業は、従来技術から知られている任意の所望の方法で行うことができる。
【0156】
さらに、本発明は、以下の式でより詳細に特徴付けられる、特に効率的な安定化剤に関する:
【0157】
【化29】
【0158】
以下、本発明を特定の詳細に限定することなく、以下の例を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0159】
新しい安定化剤の合成:
合成に使用した無水トルオール(99.8%)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、および元素硫黄(elementary sulfur)(p.a.≧99.5%)は、Sigma Aldrichから購入した;Alfa Asea製のフェノチアジン(98%+);Merck KGaA製のn−ヘキサン中の1.6モル(15%)n−ブチルリチウム溶液、アセトニトリルおよび無水ジエチルエーテル;ならびに、クロロジフェニルホスフィンは、BASFから提供された。化合物4,4’ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(BDBDA)は、TCI東京化成から購入した;ならびに、無水テトラヒドロフランは、Acros Organicsから購入した。2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサ−ホスホリナン(DDP−Cl)は、ホスフォトリクロライドおよび1,3−ジメチルプロパン−1,3−ジオールから文献から知られている方法で合成した。
【0160】
実施形態1
フェノチアジン−DOPの合成:
【0161】
【化30】
【0162】
マグネティックスターラー、窒素供給装置、および圧力均一化滴下漏斗を備えた、慎重に乾燥され、窒素で充填された500mlの三口フラスコに、無水トルオール(150ml)および2モルのリチウムジイソプロピルアミドTHF溶液47.3g(LDA;0.095モル)を、シリンジを用いて、セプタムを介して加えた。続いて、フェノチアジン(17.93g、0.090モル)を、窒素向流(counterflow)中に加えた。シリンジを用いて、セプタムを介して、無水トルオール(120mL)を加え、溶解したDOP−CI(21.23g、0.090モル)を、窒素向流中で、わずかに加熱した滴下漏斗に入れた(DOP−CIのボトルをあらかじめ約100℃に加熱して試薬を溶解しておいた)。DOP−CI溶液を、攪拌しながら室温で30分以内に滴下して加えた。次いで、反応混合物を、室温でさらに1時間撹拌した。固体(主に塩化リチウム)がフラスコの底またはフラスコの壁に堆積したら、上澄み液を不活性条件下でデカントした。80mlの無水トルオールをシリンジでセプタムを介して残渣に加えた。それを45℃で30分間攪拌し、固体の堆積後にデカントした。両方の溶液を合わせ、トルオールを減圧下(in vaccum)で除去した。得られた残渣を加熱しながら乾燥アセトニトリル80mlに溶解した。冷却すると、フェノチアジン−DOPが分離した。適切に密閉したフラスコを冷蔵庫に保管した後(約15時間)、上澄み液をデカンテーションによって分離した。付着溶媒は最終的に減圧下で除去した。このようにして、収率78%のフェノチアジン−DOPを白色固体として得た。
31P−NMR(300MHz, CDCl3, 8) δ=94.2ppm。1H−NMR(300MHz, CDCl3, 8) δ=7.86−6.77(m, 16.3H)ppm。
【0163】
実施形態2
フェノチアジン−DOPSの合成:
【0164】
【化31】
【0165】
マグネティックスターラーおよび窒素供給装置を備えた、慎重に乾燥され、窒素で充填された250mlの三口フラスコに、セプタムを介して、シリンジにより、60mlの無水トルオールを加え、窒素向流中で、フェノチアジン−DOP(4.97g、0.013モル)および元素硫黄(0.43g、0.013モル)を加えた。反応混合物を、まず、80℃で3時間攪拌した後、続いて、90℃で30分間撹拌した。真空蒸留により、トルオールを除去した後、結晶性固体を得た。NMR分光分析により、硫化反応が完全に起こり、フェノチアジン‐DOPSが形成していることが示された。
31P−NMR(300MHz, CDCl3, 14) δ=67.4ppm。1H−NMR(300MHz, CDCl3, 14) δ=8.11−6.95(m, 17.5H)ppm。
【0166】
実施形態3
フェノチアジン−PPh2の合成:
【0167】
【化32】
【0168】
マグネティックスターラー、滴下漏斗および窒素供給装置を備えた、慎重に乾燥され、窒素で充填された250mlの三口フラスコに、セプタムを介してシリンジで、無水トルオール(40ml)およびLDA(7ml、0.014モル)を加え、窒素向流中で、フェノチアジン(2.39g、0.012モル)を加えた。そして、約40℃に加熱して溶解させた後、続いて、氷浴中で冷却した。その後、無水トルオールおよびクロロジフェニルホスフィン(2.65g、0.012mol)を、滴下漏斗中の窒素向流中で、セプタムを介してシリンジで、10分以内に滴下して加えた。反応混合物を氷浴中で1時間撹拌した。反応溶液からのNMR分光分析により、所望の生成物が生成したことが示された。
31P−NMR(300MHz, CDCl3) δ=70.3ppm。1H−NMR(300MHz, CDCl3) δ=7.66−6.56ppm。
【0169】
実施形態4
フェノチアジン−PPh2Sの合成:
【0170】
【化33】
【0171】
マグネティックスターラー、還流コンデンサーおよび窒素供給装置を備えた、慎重に乾燥され、窒素で充填された250mlの三口フラスコに、セプタムを介してシリンジで、無水トルオール(60ml)を加え、窒素向流中で、実施形態3で得た反応液に、元素硫黄(0.42g、0.013モル)を加えた。反応混合物を80℃で3時間撹拌し、冷蔵庫(2℃)で一晩保管した。沈殿物を濾取し、濾液を真空蒸留によりトルオールを除去することにより濃縮し、再び冷却し、沈殿物を再度濾取した。次に、アセトニトリルの生成物を再結晶した。収率は2.74g(54%)であった。NMR分光分析により、硫化反応が完全に起こり、フェノチアジン‐PPh2Sが形成することが示された。
31P−NMR(300MHz, CDCl3) δ=62.6ppm。1H−NMR(300MHz, CDCl3) δ=8.17−6.89 ppm。
【0172】
実施形態5
フェノチアジン−DDPの合成:
【0173】
【化34】
【0174】
無水THF(40ml)およびフェノチアジン(2.99g、0.015モル)を、マグネティックスターラー、セプタム、およびアルゴン供給装置を備えた、慎重に乾燥され、アルゴンで充填された、100mlの三口フラスコ中に加えた。次いで、n−ブチルリチウムn−ヘキサン15%溶液の9.4ml(0.015モル)を、撹拌しながら、セプタムを介してシリンジで加えた。フラスコ内容物を20分間撹拌した後、2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン(DDP−Cl、2.52g、0.015モル)を、セプタムを介してシリンジで、10分以内に滴下した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応液のNMR分光分析により、フェノチアジン−DDPが生成したことが示された。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=127.0ppm。
【0175】
実施形態6
フェノチアジン−DDPSの合成:
【0176】
【化35】
【0177】
実施形態5で得たフェノチアジン−DDPのTHF溶液に、アルゴン向流中で、元素硫黄(0.48g、0.015モル)を加えた。その後、50℃で3時間攪拌した。続いて、減圧下で溶媒を除去し、残渣をアセトニトリルから再結晶した。分光学的に純粋なフェノチアジン−DDPSの収率は85%に達した。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=56.1ppm。1H−NMR(300MHz,CDCl3)δ=7.94−7.14(m,8.5 H,Ar),3.83−3.57(m,4H,CH2),1.23(s,3H,CH3),0.76(s,3H,CH3)ppm。13C−NMR (300MHz,CDCl3)δ=(140.0,130.1,127.7,127.5,125.9,123.7,77.0,32.1,22.1,21.1)ppm。
融点[℃]:205
【0178】
実施形態7
BDBDA−DOPの合成:
【0179】
【化36】
【0180】
使用した装置を慎重に乾燥した。合成は窒素雰囲気下で行った。
4.5g(0.011モル)の4,44’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(BDBDA)を、マグネティックスターラー、滴下漏斗およびアルゴン供給装置を備えた250mlの三口フラスコに加えた。次いで、油浴(85℃)で約0.02mbarで約30分間加熱を行った。室温に冷却し、フラスコに窒素を充填した後、50mlの乾燥トルオールをシリンジで加えた。続いて、n−ブチルリチウムn−ヘキサン15%溶液の6.9ml(0.011モル)を、10分かけてシリンジを用いて加えた。反応混合物を約40℃に加熱し、次いで氷浴を用いて冷却した。続いて、2.6g(0.011モル)DOP−CIの無水トルオール(30ml)溶液を、10分以内で滴下した。次いで、反応混合物を、室温でさらに1時間撹拌した。その後、塩化リチウムを不活性条件下でろ過した。このようにして得られたBDBDA−DOP溶液を、実施形態9で用いた。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=79.9 ppm。
【0181】
実施形態8
BDBDA−DOPSの合成:
【0182】
【化37】
【0183】
実施形態7で得たBDBDA−DOPのトルオール溶液に、元素硫黄(0.45g、0.014モル)を加え、その後、80℃で3時間攪拌した。続いて、減圧下で溶媒を除去した。次いで、得られた残渣をアセトニトリルから2回再結晶した。
分光学的に純粋なBDBDA‐DOPSの収率は73%に達した。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=66.0 ppm。
【0184】
実施形態9
BDBDA−DPhPの合成:
【0185】
【化38】
【0186】
使用した装置を慎重に乾燥した。合成は窒素雰囲気下で行った。
6.1g(0.015モル)の4.4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(BDBDA)を、マグネティックスターラー、滴下漏斗およびアルゴン供給装置を備えた250mlの三口フラスコに加えた。次いで、油浴(85℃)で約0.02mbarで、約30分間加熱を行った。室温に冷却し、フラスコを窒素で充填した後、50mlの乾燥トルオールをシリンジで加えた。続いて、n−ブチルリチウムn−ヘキサン15%溶液の9.4ml(0.015モル)を、10分かけてシリンジを用いて加えた。反応混合物を30分間攪拌した。続いて、3.3g(0.015モル)DPhP−Cの無水トルオール(30ml)溶液を10分以内で滴下した。次いで、反応混合物を室温で3時間撹拌した。その後、塩化リチウムを不活性条件下でろ過した。このようにして得られたBDBDA−DPhP溶液を、実施形態10で用いた。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=54.9 ppm。
【0187】
実施形態10
BDBDA−DPhPSの合成:
【0188】
【化39】
【0189】
実施形態9で得たBDBDA−DOPのトルオール溶液に、元素硫黄(0.58g、0.018モル)を加え、その後、60℃で3時間攪拌した。続いて、減圧下で溶媒を除去した。次いで、得られた残渣をアセトニトリルから2回再結晶した。分光学的に純粋なBDBDA−DPhPSの収率は(DPhP−Clに関連して)78%に達した。
31P−NMR(300MHz,CDCl3)δ=62.3 ppm。
【0190】
実施形態11
BDBDA−DDPの合成:
【0191】
【化40】
【0192】
206.8gの4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(BDBDA)を、マグネティックスターラー、滴下漏斗およびアルゴン供給装置を備えた、慎重に乾燥され、アルゴンで充填された2リットルの三口フラスコに加えた。次いで、油浴(85℃)で約0.02mbarで、約30分間加熱を行った。室温に冷却し、フラスコを窒素で充填した後、シリンジを用いて、500mlの乾燥THFを加えた。無色の溶液が生成した。n−ブチルリチウムn−ヘキサンの1.6モル溶液の約323mlを、撹拌しながら、約60分かけてそこに(シリンジを用いて)滴下した。ここで、フラスコを、水浴を用いて冷却した。黄色溶液が得られ、これを30分間攪拌した。
【0193】
次に、(フラスコは依然として水浴中の状態で)撹拌しながら、約90分間かけて、シリンジで、約84.3gのDDP−CIを滴下した。試薬添加の過程で、黄色の色はより薄くなり、約2/3のDDP−CIを加えた後、反応混合物は濁った。次いで、100mlの乾燥n−ヘキサンを撹拌しながら加えて、まだ溶解しているLiClを沈殿させた。それを数分間撹拌した。生成溶液を入れたフラスコを、窒素下、室温で一晩保管した。沈殿したLiClを不活性条件下でデカンテーションにより除去した。次いで、溶液中の揮発性元素の大部分をコールドトラップで蒸留し、圧力を約50mbarにゆっくり下げ、油浴の温度を60℃に上げた。粘性の油状残渣が得られ、これをさらに約70℃に加熱した。約800mlのアセトニトリルを、漏斗を介してそこに加えた。
【0194】
次いで、フラスコ内容物を、窒素雰囲気下で、沸点直下まで加熱した。スターラーを停止した後も混濁が残り、堆積していた。フラスコ内容物を冷却した後、窒素で充填した2Lのフラスコ中で、不活性条件下でデカンテーションを行った。残りの残渣を約100mlのアセトニトリルと混合した;それを加熱し、(2リットルのフラスコにデカント溶液を入れて)ペーパーフィルターを介して濾過した。合わせた生成物溶液からの結晶生成物を冷却中にフラスコ壁に沈殿させた。約2時間後、生成物の相当量がすでに結晶化したときに、フラスコを冷蔵庫に移し、そこで一晩保管した。次いで、上澄み液をデカンテーションにより分離した。このようにして得られた原産物(raw product)を、750mlのアセトニトリルから窒素雰囲気下で再結晶した。生成物を、(空気存在下)磁器製漏斗/ろ紙を用いて吸引除去した後、1リットルフラスコ中で、メンブレンポンプの減圧により、ヘアドライヤを用いて慎重に加熱し、頻繁に攪拌させて、乾燥させた。白色粉末(201g)を得た。さらに、10gの生成物を、再結晶の残留溶液から単離した。生成物のNMR分光分析は、≧99.5%の純度を示した。
【0195】
31P−NMR (300 MHz, CDCl3) δ=121.0ppm; 1H−NMR(300MHz, CDCl3) δ = 7.10−7.33 (m, 18 H, Ar), 3.53−3.56 (d, 4 H, CH2), 1.72 (s, 12 H, H3C−C−CH3), 1.04 (s, 3 H, CH3), 0.61 (s, 3 H, CH3)ppm。 13C−NMR (300MHz, CDCl3,クロムアセチルアセトネート) δ = 140.0 (s, 2C), 146.2 (s, 2C), 142.7 (d, 2C), 128.0 (s, 4C), 127.4 (s, 4C), 126.8 (s, 4C), 125.6 (s, 2C), 124.8 (d, 4C), 72.0 (s, 2C), 42.6 (s, 2C), 32.3 (d, 1C), 30.8 (s, 4C), 22.4 (d, 2C) ppm。
融点[℃]:98−99℃
【0196】
実施形態12
BDBDA−DDPSの合成:
【0197】
【化41】
【0198】
使用した装置を慎重に乾燥した。
BBDA(239.7g)を提示し、装置を3回排気し、再び窒素を充填して、付着した水分を除去した。続いて、440mlの乾燥THFをシリンジで加えた。無色の溶液が生成した。n−ヘキサン中の1.6モルブチルリチウム溶液の375mlを、約70分間かけて、撹拌しながら、前記無色溶液中に(シリンジを用いて)滴下した。ここで、フラスコを水浴を用いて冷却した。黄色溶液が得られ、これをさらに30分間撹拌した。次いで、(フラスコは依然として水浴中の状態で)97.8DDP−Clを、約80分間にわたって、撹拌しながらシリンジで滴下し、淡黄色の懸濁液を得た。この懸濁液の31P−NMRスペクトル(CDCl)を測定し、DDP−Clの完全な変換を示した。
反応混合物を、窒素下、室温で一晩保管した。
【0199】
沈殿したLiClを不活性条件下でデカンテーションにより分離した。ここで、溶液を2Lフラスコに移した。(依然として含まれている生成物の大部分を除去するために)THF20mlおよびシクロヘキサン50mlを塩残渣に加えた。次いで、撹拌を行い、懸濁液をペーパーフィルターを介して、(BDBDA−DDP溶液の入った2Lフラスコへ)濾過した。合わせた溶液は薄茶色であり、続いて硫化反応を行った。
【0200】
2リットルのフラスコに内部温度計を取り付けた。次に、フラスコを油浴に浸し、約15分間にわたって撹拌しながら、約20gの硫黄を四回に分けて加えた。約45℃までかなりの温度上昇が見られた。温度がその最高値を超えたときに、油浴の加熱を開始し、30分間にわたって57℃に加熱した。約50〜52℃(内部温度)でさらに30分間撹拌し、次いで、NMS試料を採取した。生成物溶液の31P−NMRスペクトルは、硫化が非常に高い選択性で起こったことを示した。
【0201】
このようにして得られた溶液を2リットルの1口フラスコに移した。少量の生成物が既に三口フラスコの底で結晶化していたため、40mlの温かいTHFを用いてすすぎを行った。一口フラスコの底に更なる生成物が沈殿した。生成物の十分に完全な結晶化を達成するために、溶媒の約半分のTHFとn−ヘキサンをロータリーエバポレーター(水浴40℃)で蒸留した。ここで、少しずつ圧力を下げた。生成物の大部分は蒸留中に結晶化した。密閉したフラスコを冷蔵庫(約5℃)に一晩保管した。
【0202】
結晶化した生成物を吸引除去した。31P−NMRスペクトルおよびプロトンスペクトルが既に良好な純度(リンスペクトルで約99モル%の純度;プロトンスペクトルも汚染物質をほとんど示さない)を示すベージュ色の結晶性固体を得た。約230gの本物質が得られた。残留溶液を水で洗浄して、残留LiClを除去した(水相は茶色で廃棄された)。次いで、ロータリーエバポレーターで、部分減圧下で大幅に濃縮し、さらなる生成物フラクションが得られた。アセトニトリルからの再結晶および慎重に加熱しながら減圧下で乾燥することによって、さらなる精製を行った。合計256gの純粋なBDBDA−DDPSを白色固体として得た(理論量の77%)。
【0203】
31P-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 64.1 ppm; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 7.15−7.35 (m, 18 H, Ar), 4.28−4.6 (q, 2H, CH2), 3.69-3.82 (q, 2H, CH2), 1.68 (s, 12 H, H3C−C−CH3), 0.87 (s, 3 H, CH3), 0.67 (s, 3 H, CH3)ppm。
融点[℃]:133−135
【0204】
実施形態13
PCl、BDBDAおよび1,3−ジメチルプロパン−1,3−ジオールからのBDBDA−DDPの合成:
【0205】
【化42】
【0206】
使用した装置を慎重に乾燥した。合成は窒素雰囲気下で行った。
【0207】
BDBDA(11.4g)を提示し、続いて、装置を三回排気し、再び窒素を充填して、BDBDA粉末に付着した水分を除去した。続いて、シリンジにより無水ジエチルエーテル100mlを加えた。このようにして得られた溶液を約10℃に冷却した。その後、トリエチルアミン2.8gおよび三塩化リン3.84gを撹拌しながら順次加え、無色固体(塩化トリエチルアンモニウム)を沈殿させた。さらに、室温で3時間撹拌した。次いで、塩化トリエチルアンモニウムを不活性条件下でろ過した。その後、溶液を部分減圧下で濃縮した。31P−NMRスペクトルは、BDBDA−PClのリンシグナル(300MHz,CDCl、δ=148.8ppm)のみを含むものであった。
【0208】
次いで、6gのトリエチルアミンおよび6gの1,3−ジメチルプロパン−1,3−ジオールを加えた。反応混合物を室温で二時間攪拌した後、ジエチルエーテル50mlを加えた。次いで、沈殿した塩化トリエチルアンモニウムを濾別し、溶媒を留去した。残った残渣をアセトンニトリルから再結晶した。
分光学的に純粋なBDBDA−DDPの収率は10.9g(BDBDAに関連する理論量の72%)であった。
【0209】
31P-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 121.0 ppm; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 7.10-7.33 (m, 18 H, Ar), 3.53−3.56 (d, 4 H, CH2), 1.72 (s, 12 H, H3C-C-CH3), 1.04 (s, 3 H, CH3), 0.61 (s, 3 H, CH3) ppm。
【0210】
実施形態14
PhP(BDBDA)2の合成
【0211】
【化43】
【0212】
使用した装置を慎重に乾燥した。合成は窒素雰囲気下で行った。
【0213】
BDBDA(116.4g)を提示し、装置を3回排気し、再び窒素を充填して付着水分を除去した。続いて、シリンジにより無水ジエチルエーテル750mlを加えた。無色の溶液が生成した。n−ヘキサン中の1.6モルブチルリチウム溶液の171.3mlを、氷水浴で撹拌冷却しながら、シリンジで一時間かけてそこに滴下した。BDBDAのリチウム塩の淡黄色溶液が生成した。撹拌を45分間継続し、次いで24.52gのPhP−Clを、撹拌しながら20分間にわたってシリンジで依然として冷却された溶液中に滴下した。まず、LiClの析出により白濁が生じた。試薬添加の最後に非常に大量の生成物が沈殿した。適度な撹拌速度でさらに1時間撹拌を続けた。この懸濁液の31P−NMRスペクトル(CDCl)を測定したところ、PhP−Clが完全に変換され、非常に選択的な生成物が生成したことを示した。
【0214】
次いで、揮発性成分の主要部分を、(フラスコを約20℃の水浴に浸して)弱い減圧下で蒸留し、液体窒素で冷却した試料とした。蒸留終了時に攪拌はできなくなった。最後に、より強い減圧条件を短時間適用した。得られた残渣に無水トルオール500mlを加えた(ピーク(peak))。次いで、慎重に撹拌しながら約65℃まで加熱し、生成物を溶解し、LiClのみが未溶解のまま残り、これを不活性条件下で濾過して除去した。次に、トルオールを、液体窒素で冷却した試料中で、部分減圧下で蒸留した(最初は約55℃の油浴に浸したフラスコ;蒸留終了時には、油浴温度を約75℃に上げた)。トルオールがほぼ完全に蒸留されると、残渣は固化した。このようにして得られた固体を、1リットルのアセトニトリルとともに、逆流および窒素雰囲気下で1時間攪拌した。生成物を(空気の存在下で)磁器製漏斗/ろ紙で吸引した。白色結晶性フィルターケーキが得られ、これを、適度に加熱しながら、減圧下で乾燥した。PhP(BDBDA)2の収率は、112g(理論上可能な量の約89%)であった。
【0215】
31P-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 86.0 ppm; 1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 7.10-7.33 (m, 25 H, Ar), 6.97-7.5 (d, 8H, Ar), 6.78-6.84 (d, 8H, Ar), 1.66 (s; 24 H, H3C-C-CH3) ppm。
融点[℃]:116−118
【0216】
ポリプロピレンにおける安定化剤の効果の調査:
プロピレンによる安定化剤効果の試験を、二軸マイクロ押出機で、230℃で行った。ポリプロピレンは、遠心分離機を用いて10,000r.p.mで以前に粉砕された、MOPLEN HP556E型およびMOPLEN HP500N型(ライオンデル バセル インダストリーズの製品)を使用した。これを、真空乾燥キャビネット(20mbar)中で100℃で約5時間乾燥した。各ポリマー添加剤混合物に対して、それぞれ3回の押出試験を行った。各試験で用いたポリマー−添加剤混合物の総量は4gであった。各ランにおける力を1秒間隔でソフトウェアにより記録した。
【0217】
使用した添加剤、それらの濃度、および異なる押出時間で作用する力を(それぞれの場合において、3回の試行の平均値として)表1および2に記録する。比較のために、確立した安定化システムADK−STAB A611/Caesit AVを用いて押し出しも行い、純粋なMOPLEN HP556EおよびMOPLEN HP5を試験した。
【0218】
【表1】
【0219】
【表2】
【0220】
複数の押し出し
押出成形には、LyondellBasell製Moplen HP556E LOI033L30型ポリプロピレンを使用した。この試験は、スクリュー直径11mmの二軸スクリュー押出機Thermo Scientific Process11で行った。
【0221】
合計350gの、0.3%のフェノチアジン_DOPS(PTZ_DOPS)の添加剤を含むポリプロピレン、ポリプロピレンおよび純粋なポリプロピレンを、それぞれ二軸押出機で三回押出した。試料は、押出し毎に、真空乾燥キャビネット内で60℃で約1時間乾燥させた。その後、50gを残し、残りの粒状物を再び押し出した。使用した温度プロファイルを表3に示す;各押出成形で得られたパラメータを表4〜表6に見ることができる。
【0222】
【表3】
【0223】
【表4】
【0224】
【表5】
【0225】
次いで、得られた全試料を真空乾燥キャビネット内で約60℃で一晩乾燥させた後、メルトフロー測定を行った。この目的のために、試料のそれぞれ3.5gを、230℃、2.16kgの重量で測定した(DIN EN ISO19069)。ここで、各試料の測定は、2〜3回行い、その後、結果を平均した。純粋なポリマーのMVRは、製造業者の仕様に従って、ここでは1.10cm/10分でなければならない。これらの測定結果を表5に示す。
【0226】
【表6】
【0227】
表5の結果の比較は、純粋なPPとは異なり、分子量の減少(=より高いMVR)が起こらないか、またはほんのわずかしか起こらないので、本発明による安定化剤の非常に良好な安定化効果を示す。
【0228】
本発明による物質の安定化効果:
本発明によるリンフェノチアジン誘導体を、加工安定化剤としての効果に関して試験した。新しい添加剤が押出プロセス(230℃)中のポリプロピレンの溶融粘度にどのように影響するかを調べた。押出機の力は、試験の時間に依存して測定した。測定した力は有効トルクに比例し、後者(有効トルク)は溶融粘度に直接依存する。したがって、測定された力の減少は、押出プロセス中のポリマー劣化を示す。確立した安定化システムADK−STAB A611(0.2%)/Caesit AV(0.1%)を比較のために試験した。純水なプロピレンを用いた比較試験も同様に行った。
【0229】
予想されるように、純粋なポリプロピレンを用いた押出プロセスの間、力の連続的な減少が測定された。10分後に測定した力は,30秒後に測定した値の約2/3に過ぎなかった。確立された安定化剤混合物を使用すると、当初は予想されたように力は一定のままであったが、押し出し時間3分後には既にかなり低下し、純粋なPPと同様に、滞留時間10分後には開始値の約2/3に低下した。これは、比較システムが比較的短い押し出し時間の後には既にその効果を失っていることを意味する。
【0230】
驚くべきことに、本発明による少量の安定化剤が添加されたポリプロピレンを用いた押し出し中には、力の変化が見られなかった。押出機内での長い滞留時間(例えば、10分!)後でさえも、比較システムがその効果を失って(測定力の大幅な低下)から長い間、力の低下は起こらなかった。
【0231】
したがって、本発明による安定化剤は、比較システムと比較して、はるかに高い例外的な有効性を示した。
【0232】
試験により、本発明による安定化剤を使用すると、分解プロセスなしで溶融物中のポリプロピレンの加工(押出成形、射出成形など)が可能であることが示された。
【0233】
ここで、第1または第2の酸化防止剤は、一般式Iで表される化合物と同様にして、有機材料に加工することができる。
【0234】
第1の酸化防止剤は鎖切断効果を有するラジカル機構を介して作用する。第2の酸化防止剤はイオン機構に基づく安定化効果を有し、ヒドロペルオキシド分解剤として作用する。両群の組み合わせを使用して、相乗効果を達成できる。
【国際調査報告】