(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-510153(P2020-510153A)
(43)【公表日】2020年4月2日
(54)【発明の名称】可変速循環ポンプの運転方法およびその方法を実施するための循環ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 15/02 20060101AFI20200306BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20200306BHJP
F04B 49/10 20060101ALI20200306BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20200306BHJP
【FI】
F04D15/02
F04D15/00 Z
F04B49/10 311
F04B51/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-548612(P2019-548612)
(86)(22)【出願日】2018年2月28日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2018054887
(87)【国際公開番号】WO2018162290
(87)【国際公開日】20180913
(31)【優先権主張番号】102017203959.0
(32)【優先日】2017年3月10日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】591040649
【氏名又は名称】カーエスベー ソシエタス ヨーロピア ウント コンパニー コマンディート ゲゼルシャフト アウフ アクチェン
【氏名又は名称原語表記】KSB SE & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】エクル,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ハウク,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ラウエ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュレラー,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】エーベルト,ゲルト
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA01
3H020BA18
3H020BA21
3H020CA08
3H020DA00
3H020EA01
3H020EA16
3H145BA38
3H145CA21
3H145CA22
3H145EA12
3H145EA26
3H145EA41
3H145EA49
3H145FA11
3H145FA23
3H145FA24
3H145FA27
(57)【要約】
本発明は、可変速循環ポンプ、特に加熱循環ポンプの運転方法に関し、ポンプコントローラは、ポンプの設置位置を評価するために、少なくとも1つの物理的なポンプ動作変数をセンサによって検出し、それを間接的または直接的に少なくとも1つの保存された基準値と比較する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速循環ポンプ、特に加熱循環ポンプの運転方法であって、
ポンプコントローラは、ポンプの設置位置を評価するために、ポンプの少なくとも1つの物理的動作量をセンサ手段によって捕捉し、それを直接的または間接的に少なくとも1つの保存された基準値と比較する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記物理的動作量は、搬送される媒体、および/または駆動されるポンプインペラ、および/またはポンプケーシングの確立された加速度であり、前記加速度は、理想的には、ポンプの動作中に循環ポンプに関連する少なくとも1つの統合された加速度センサによって捕捉される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポンプの物理的動作量は、連続的または周期的に、または定義可能な測定間隔内で捕捉される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの基準値に対する前記ポンプの測定された動作量の偏差がある場合、最適でない設置位置についてユーザの注意を引くために、視覚的または音響的な合図が前記ポンプコントローラによって行われる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポンプコントローラは、特に高速フーリエ変換により、前記ポンプの測定された物理的動作量から前記ポンプの物理的動作量の振動挙動を確認する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記振動挙動を特徴付ける少なくとも1つの量は、設置位置の評価のための特徴量の、前記ポンプコントローラに保存された対応する基準値と比較される、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記振動を特徴付ける量は、前記振動の振幅および/または周波数である、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記振動の振幅は基準振幅と比較され、捕捉された振幅が前記基準振幅よりも規定された量だけ大きい場合に合図が行われる、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準値は、前記ポンプの現在の動作ポイントに依存し、割り当てられた個々の基準値は、多数の動作ポイントに対して前記ポンプコントローラに準備状態に保持され、この関係では、現在の動作ポイントに応じて、前記ポンプコントローラは測定値との調整のための適切な基準値を使用する、
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
可変速ポンプ駆動部と、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法を実行するためのポンプコントローラとを備え、優先的に少なくとも1つの加速度センサを含む、循環ポンプ、特に加熱循環ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変速循環ポンプ、特に加熱循環ポンプの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱循環ポンプの音響特性は、購入に重要な役割を果たす。最も好ましくないケースでは、パイプラインシステムによって過剰なノイズの生成が生活空間に伝達される可能性があり、これがエンドユーザに不快感を与えるものとして認識される。さらに、循環ポンプの過剰なノイズ放出は、競争上の重大な不利益を意味する。
【0003】
ポンプの運転中に過度に高いノイズレベルが発生する原因は、ポンプ自体にある場合と、加熱回路内のポンプの選択された設置バリアントにある場合がある。一般的な循環ポンプでは、設置場所の状況と空間的関係に関して柔軟性を高めるために、いくつかの異なる設置バリアントが可能である。しかしながら、取り付け人にとっては、運転の音量に関してどの設置バリアントが最適かを事前に識別することはほとんど不可能である。最も好ましくない場合、ポンプの動作振動は、ポンプとパイプラインで構成されるシステムの固有振動数と一致し、ノイズの放出が明らかに増加する。この場合、設置バリアントを変更することで対処することができる。
【発明の概要】
【0004】
この文脈では、最適でない設置バリアントの自動検出が望ましい。したがって、本発明の目的は、好ましくない設置バリアントを検出する方法を提示することにある。
【0005】
この目的は、請求項1の構成による方法によって達成される。この方法の有利な構成は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明によれば、可変速循環ポンプ、特に加熱循環ポンプについて、好ましくない設置バリアントを検出するための適切なルーチンによってポンプコントローラを拡張することが提案され、それによって、ポンプの少なくとも1つの物理的動作量がセンサ手段によって捕捉され、少なくとも1つの保存された基準値と直接的または間接的に比較される。比較の結果は、設置バリアントの評価のために、特にポンプの運転中のノイズの放出に関して設置バリアントが不利であるかどうかに関して、使用することができる。循環ポンプは典型的には、遠心ポンプである。
【0007】
この場合、直接比較の可能性があり、直接比較では、ポンプの測定された物理的動作量が、対応する基準量と直接比較される。間接的な比較は、測定された量が最初にさらなる処理の対象となる実施形態を包含し、そこから導出された少なくとも1つの量が適切な基準量と比較される。
【0008】
ポンプの挙動、つまりノイズの放出を特徴付けることができる物理量は、ポンプの動作量として適している。導入では、ノイズの放出が予測できないほど増加する可能性のある悪影響、特に、ポンプとパイプラインで構成されるシステムの固有振動数とポンプの動作振動が一致するという悪影響がすでに指摘されている。したがって、ポンプの動作振動に関する主張を可能にする物理量が特に適している。具体例として、加速値、特に搬送される媒体の加速、および/または駆動ポンプインペラの加速、および/またはポンプケーシングの加速の決定が提案されている。可能な限り、インペラのすぐ近くで加速度値を捕捉する必要がある。加速値は、インペラのすぐ近くのポンプケーシングに優先的に取り付けられている循環ポンプに関連する統合された加速度センサによって測定することができる。
【0009】
使用されているポンプの物理的動作量の計量捕捉は、ポンプの動作中に継続的に行われる場合と、ランダムまたは定期的な間隔で繰り返し測定を行う定義可能な測定間隔に制限されて行われる場合がある。
【0010】
対応する割り当てられた基準値に対するポンプの測定された動作量の偏差がある場合、特に定義可能な量だけ偏差がある場合、ポンプコントローラは、エンドユーザまたは取り付け人の注意を設置バリアントの問題のある性質に向けるために、理想的には、より良い代替設置バリアントの提案と組み合わせて、視覚的および/または音響的な合図を行うことができる。
【0011】
ポンプの動作量の捕捉値が最初にさらなる処理の対象になることも考えられる。特に、物理的動作量の振動挙動は、ポンプの測定された物理的動作量に基づいて確認されると考えられる。この目的のために、最終的にその量の振動挙動を推測できるように、ポンプの動作量を特定の期間にわたって捕捉する必要がある。振動挙動は、例えば高速フーリエ変換(FFT)によって、測定された加速度値の時間的進行から取得される。
【0012】
これに関連して、確認された振動挙動を特徴付ける少なくとも1つの量が、設置バリアントの評価を行うために、ポンプコントローラに保存された特性量の適切な基準値と比較されることも同様に考えられる。量を特徴付けるために、確認された振動の振幅および/または周波数が適切に提案される。これに関連して、振動の振幅を基準振幅と比較する場合は特に好ましく、捕捉された振幅が基準振幅よりも規定された量だけ大きい場合、最適ではない設置バリアントに関するエンドユーザへの合図が行われる。
【0013】
本発明のさらに好ましい構成によれば、基準値は、ポンプの現在の動作ポイントに依存し得る。循環ポンプの現在の動作ポイントは、ポンプのプラント特性と制御特性の交点によって定義される。ポンプによるノイズの生成は選択した動作ポイントに大きく依存するため、この方法の有利な構成によれば、多数の動作ポイントに割り当てられた個々の基準値を定義し、ポンプコントローラにそれらを準備状態で保持することが提案される。ポンプコントローラは、現在調整されている動作ポイントの関数として適切な基準値を選択し、現在の測定値を間接的または直接的に選択された基準値と比較する。
【0014】
理想的にはポンプ開発中に、1つまたは複数の適切な基準値が事前に生成される。この目的のために、テスト環境内の異なる設置バリアントで基準ポンプが使用される。設置バリアントごとに、基準量が測定され、異なる動作ポイントについて保存される。続いて、テスト装置でのノイズの放出が最も少ないことを表す設置バリアントの基準値が最終基準値として選択される。
【0015】
本発明による方法に加えて、本目的は、可変速ポンプ駆動部と、本発明による方法を実施するのに適したポンプコントローラとを備えた循環ポンプ、特に加熱循環ポンプによっても達成される。したがって、本発明による方法を参照して上記で既に詳細に説明したものと同じ利点および特性が循環ポンプにもたらされる。このため、繰り返しの説明は省略される。循環ポンプは典型的には、遠心ポンプである。
【0016】
有利な実際の形態によれば、ポンプは、少なくとも1つの加速度センサを優先的に含むことができ、加速度値の間接的な捕捉を可能にする別のセンサも考えられる。
【0017】
本発明のさらなる利点および特性は、具体的な実施形態を参照して以下でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、加熱循環ポンプ10の好ましくない設置バリアントを検出する方法を説明する。この方法は、ポンプコントローラに実装され、ポンプ10にはポンプケーシングの加速度をポンプインペラのできるだけ近くで捕捉する加速度センサ11が設けられている前提である。ポンプの構造を
図1に概略的に示す。
【0020】
さらに、
図1は、循環ポンプ10の建物の壁1への取り付けを概略的に示す。設置場所は、本明細書ではスプリング/ダンパーシステム12として表される。設置のタイプは、剛性パラメータとダンパーパラメータに影響し、その結果、固有振動数と関連する振幅も変化する。
【0021】
プロセスの実際の実現は、2つの準備ステップに基づいている。最初の準備ステップでは、最適な設置バリアントが定義される。この目的のために、開発段階の間に異なる設置バリアントがテスト環境で動作し、各インスタンスにおいて振動動作と音響が複数の動作ポイントで捕捉される。
【0022】
2番目の準備ステップでは、測定データに基づいて、バリアントのうちの1つが最適であると評価される。このバリアントでは、いくつかの動作ポイントでの振動状態(例えば、振幅、周波数)を記述するために、加速度センサ11によって検出された特性値がマトリックスに保存される。振動状態、つまり振動挙動の振幅/周波数図は、高速フーリエ変換によって測定された加速度値の時間的進行から取得される。
【0023】
これらのデータは、最終的にポンプコントローラのローカルメモリに実装される。次に、本発明による方法の実行は、ポンプの動作中に行われる。加速度センサ11により、ポンプ10は時間の経過とともにポンプケーシングの加速度を捕捉する。高速フーリエ変換により、特徴的な振動値が決定され、以前に最適として検出された基準値と比較される。このプロセスにおける振動の振幅が以前に最適として検出された振幅よりも明らかに大きい場合、ポンプ10はこれを検出し、ユーザに通知する。ユーザは、この情報を利用して、必要に応じて、ポンプ10の設置バリアントを最適化することができる。
【0024】
異なる設置バリアントの振動挙動の例を
図2に示す。
図2は、2つの異なる設置バリアントの加速度センサ11の信号の進行からFFTによって確認された周波数/振幅図を示している。設置バリアント2は、設置バリアント1よりも特定の周波数で明確に低い振動振幅を示す。ここで、動作中の加速度センサによって捕捉された測定値の周波数応答に対する、
図1に示されたそれぞれの設置バリアント(
図1による)の剛性パラメータとダンパーパラメータの影響を識別することができる。
【国際調査報告】