【実施例】
【0069】
核酸ハイブリダイゼーションアッセイの例および結果
実施例1:96ウェルプレートを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上のTE緩衝液中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図3を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金Mプレート表面上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●各ウェルに50μLのmiR21標的(TE緩衝液で希釈)を添加し、50μLの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●室温で2時間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0070】
アッセイの結果(
図4を参照):
●正規化された信号強度とTE緩衝液中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●2時間のハイブリダイゼーションプロトコルを使用して、Mプレート上でのTE緩衝液中の510fM miR21標的のLoDを達成した。
●6桁のダイナミックレンジを達成した。
【0071】
実施例2:96ウェルプレートを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上の10%血漿中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図5を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金Mプレート表面上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●各ウェルに50μLのmiR21標的(10%血漿中に混ぜる)を添加し、50μLの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●室温で2時間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0072】
アッセイの結果(
図6を参照):
●正規化された信号強度と10%血漿中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●2時間のハイブリダイゼーションプロトコルを使用して、Mプレート上での10%血漿中の820fM miR21標的のLoDを達成した。
●6桁のダイナミックレンジを達成した。
●10%血漿でのアッセイ感度はTE緩衝液と同様であり、これは血漿マトリックスでの干渉が有意でないことを示している。
【0073】
実施例3:96ウェルプレートを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図7を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金Mプレート表面上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●各ウェルに50μLのmiR21標的(ニートの全血中に混ぜる)を添加し、50μLの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●室温で2時間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0074】
アッセイの結果(
図8を参照):
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●2時間のハイブリダイゼーションプロトコルを使用して、Mプレート上のニートの全血中の9.7pM miR21標的のLoDを達成した。
●6桁のダイナミックレンジを達成した。
●ニートの全血でのアッセイ感度はTE緩衝液および10%血漿に匹敵し、これは全血のマトリックス中での堅固なアッセイ性能を示している。
【0075】
実施例4:時間経過研究−−−30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、IR800標識検出プローブによって検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図9を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面上に0.5μlの1μM miR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で様々な時間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0076】
アッセイの結果(
図10を参照):
●miR21ハイブリダイゼーションアッセイにおいてIR800標識検出プローブを使用し、30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧したとき、信号強度は1分間のハイブリダイゼーション時間と比較して2分間のハイブリダイゼーション時間でより高くなる。
●2分後、信号強度は飽和する。
●したがって、IR800標識検出プローブおよび30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用するさらなる核酸ハイブリダイゼーションアッセイには、2分間のハイブリダイゼーション時間を使用する。
【0077】
実施例5:時間経過研究−−−30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、ストレプトアビジン−40nmビーズにより検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図11を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μLのmiR21標的(TE緩衝液で希釈)を滴下し、0.5μLの1μMビオチン化検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●1μLのストレプトアビジン−40nmビーズ(4%BSAで1:10希釈)を滴下する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で様々な時間待つ。
●チップ表面をDNAウォッシャーで3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用して一括信号測定を行う。
【0078】
アッセイの結果(
図12参照):
●miR21ハイブリダイゼーションアッセイにおいてIR800標識検出プローブを使用し、30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧したとき、信号強度は1分間のハイブリダイゼーション時間と比較して2分間のハイブリダイゼーション時間でより高くなる。
●信号強度は5分でピークに達した。
●したがって、ストレプトアビジン−40nmビーズおよび30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用したさらなる核酸ハイブリダイゼーションアッセイには、5分間のハイブリダイゼーション時間を使用する。
【0079】
実施例6:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、IR800標識検出プローブにより検出される金薄膜上のTE緩衝液中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図13を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μLのmiR21標的(TE緩衝液で希釈)を滴下し、0.5μLの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0080】
アッセイの結果(
図14を参照):
●正規化された信号強度とTE緩衝液中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、TE緩衝液中の861pM miR21標的のLoDを達成した。
●3桁のダイナミックレンジを達成した。
【0081】
実施例7:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、ビオチン化検出プローブおよびストレプトアビジン−40nmビーズにより検出される金薄膜上のTE緩衝液中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図15を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μLのmiR21標的(TE緩衝液で希釈)を滴下し、0.5μLの1μMビオチン化検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●1μLのストレプトアビジン−40nmビーズ(4%BSAで1:10希釈)を滴下する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で5分待つ。
●チップ表面をDNAウォッシャーで3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0082】
アッセイの結果(
図16を参照):
●正規化された信号強度とTE緩衝液中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、TE緩衝液中の28nM miR21標的のLoDを達成した。
●1桁のダイナミックレンジを達成した。
【0083】
実施例8:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、IR800標識検出プローブにより検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図17を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0084】
アッセイの結果(
図18を参照):
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の8.41pM miR21標的のLoDを達成した。
●5桁のダイナミックレンジを達成した。
●QMAXカードを使用すると、金薄膜上でほぼ同じ感度(8.41pMと比較して9.7pM)を伴ってアッセイ時間が著しく(2時間〜2分間に)短縮される。
【0085】
実施例9:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、ビオチン化検出プローブおよびストレプトアビジン−40nmビーズにより検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図19を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μMビオチン化検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●1μLのストレプトアビジン−40nmビーズ(4%BSAで1:10希釈)を滴下する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で5分待つ。
●チップ表面をDNAウォッシャーで3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0086】
アッセイの結果(
図20参照):
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●2分間のハイブリダイゼーションプロトコルを使用して、ニートの全血中の8.8nM miR21標的のLoDを達成した。
●2桁のダイナミックレンジを達成した。
【0087】
実施例10:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、ビオチン化検出プローブおよびストレプトアビジン−40nmビーズにより検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図21を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μMビオチン化検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●1μLのストレプトアビジン−40nmビーズ(4%BSAで1:10希釈)を滴下する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で5分待つ。
●チップ表面をDNAウォッシャーで3回すすぐ。
●倒立顕微鏡を使用してピクセル化(PIXelated)測定を行う。
【0088】
アッセイの結果(
図22を参照)
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の87pM miR21標的のLoDを達成した
●2桁のダイナミックレンジを達成した。
【0089】
実施例11:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、ビオチン化検出プローブおよびストレプトアビジン−Cy5により検出される金薄膜上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図23を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを金薄膜上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μMビオチン化検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●チップ表面をDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●1μLの500ng/mlストレプトアビジン−Cy5を滴下する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間待つ。
●チップ表面をDNAウォッシャーで3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0090】
アッセイの結果(
図24を参照)
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の68pM miR21標的のLoDを達成した
●4桁のダイナミックレンジを達成した。
●ストレプトアビジン−Cy5を検出標識として使用したアッセイ感度(68pM)は、IR800を標識として使用した場合(8.41pM)ほど良好ではない。
【0091】
実施例12:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図25を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを室温で一晩Mプレート上にコーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0092】
アッセイの結果(
図26を参照)
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の10pM miR21標的のLoDを達成した。
●5桁のダイナミックレンジを達成した。
●再度、QMAXカードを使用すると、金薄膜上でほぼ同じ感度(8.41pMと比較して10pM)を伴ってアッセイ時間が著しく(2時間〜2分間に)短縮される。
●しかしながら、Mプレートを使用しても、恐らくMプレートの品質が低いことに起因して、アッセイの感度は改善しなかった。
【0093】
実施例13:30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図27を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブを室温で一晩Mプレート上にコーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●倒立顕微鏡を使用してピクセル化(PIXelated)測定を行う。
【0094】
アッセイの結果(
図28を参照)
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用し、ピクセル化測定法を使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の350fM miR21標的のLoDを達成した。
●ピクセル化法で測定した場合(350fM)、同じアッセイの一括測定法(10pM)よりも感度が約2桁高い。
【0095】
実施例14:IR800標識検出プローブにより検出される30μm Xウェル上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイ
アッセイの詳細(
図29を参照):
●1μMのチオール化捕捉プローブをXウェルに室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●チップ表面に0.5μlのmiR21標的(ニートの全血で希釈)を滴下し、0.5μlの1μM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●PETフィルムで押圧し、室温で2分間ハイブリダイゼーションを行う。
●XウェルをDNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0096】
アッセイの結果(
図30を参照)
●正規化された信号強度とニートの全血中のmiR21標的の濃度との相関が観察された。
●30μmスペーサーを備えたQMAXカードを使用して、2分間のハイブリダイゼーション下において、ニートの全血中の140fM miR21標的のLoDを達成した。
●PETフィルムで押圧すると、LoDがわずかに改善された(押圧ありではLoD=140pMに対して、押圧なしではLoD=336pM)。
【0097】
実施例15:96ウェルプレートを使用した、IR800標識検出プローブにより検出されるMプレート上のニートの全血中のmiR21ハイブリダイゼーションアッセイにおける、単一塩基対の差別化
アッセイの詳細(
図31および32を参照):
●500nMのチオール化捕捉プローブを金Mプレート表面上に室温で一晩コーティングした。
●PBSTで3回すすぎ、次いで50μM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
●各ウェルに50μLの10nM miR21標的(ニートの全血で希釈)を添加し、50μLの100nM IR800標識検出プローブ(H7140ハイブリダイゼーション緩衝液で希釈)と混合する。
●室温で2時間ハイブリダイゼーションを行う。
●MプレートをDNAウォッシャー(1×SSC+0.05% Tween20)で3回すすぐ。
●ラマン顕微鏡を使用した一括信号測定を行う。
【0098】
アッセイの結果(
図33および34を参照)
●完全に一致したmiR21標的は、検査した全てのミスマッチ標的の中で最高の信号強度をもたらした。
●ミスマッチ塩基対の信号強度への影響は場所に依存する。
●ハイブリダイゼーション領域の中心に位置するミスマッチ塩基対は、ハイブリダイゼーション領域の末端にあるミスマッチ塩基対よりも顕著な影響を与える。
●ハイブリダイゼーション領域の末端に単一のミスマッチ塩基対を導入しただけでも、信号強度が約3倍減少した。
【0099】
実験条件の概要
【0100】
全ての実験において、分析物はmiR21核酸である。
【0101】
本発明の例
A1.核酸ハイブリダイゼーションアッセイ用のデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびスペーサーを備え、
i.プレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、
ii.各プレートはそれぞれ、核酸分析物を含む試料と接触するための試料接触領域を有する内側面を含み、
iii.スペーサーは、所定の実質的に均一な高さを有し、
iv.第1のプレートは、第1のプレートの内側面上にコーティングされた核酸捕捉プローブを含み、
v.第2のプレートは、第2のプレートの内側面上にコーティングされた核酸検出プローブを含み、
構成の1つは、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されてなく、試料がプレートの一方または両方の上に置かれる、開放構成であり、
構成のうちの別の構成は、開放構成で試料を置いた後に構成される閉鎖構成であり、閉鎖構成では、少なくとも1つのスペーサーが2つのプレートの間にあり、置かれた試料の少なくとも一部が、プレートによって圧縮されて非常に均一な厚さの層となり、かつプレートに対して実質的に動かず、層の均一な厚さが、2つのプレートの内側面によって制限され、かつプレートおよびスペーサーによって調節され、
捕捉プローブは、分析物の一部に相補的に結合し、分析物を第1のプレートの内側面に固定するように構成され、
検出プローブは、均一な厚さの層へと拡散して、分析物の別の部分に相補的に結合し、検出可能な信号を生成するように構成されている、デバイス。
【0102】
B1.核酸分析方法であって、
(a)核酸分析物を含む液体試料を取得することと、
(b)A1〜A12の項目のいずれかのデバイスを取得することと、
(c)プレートが開放構成にあるときに、プレートの一方または両方の上に試料を置くことと、
(d)(c)の後、2つのプレートを合わせ、プレートを押圧して閉鎖構成にすることと、
(e)均一な厚さの層からの信号を検出および測定し、それによって核酸分析物の存在および/または量を決定することと、を含む、方法。
【0103】
A2.第1のプレートが、第1のプレートの内側面上にコーティングされたブロッカーをさらに含む、実施形態A1のデバイス。
【0104】
A3.第1のプレートおよび/または第2のプレートが、それぞれのプレートの内側面上にコーティングされた安定剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0105】
A4.安定剤が、糖、ポリマー、グリセロール、およびそれらの混合物から選択される、実施形態A3のデバイス。
【0106】
A5.安定剤が、スクロースまたはグルコースである、実施形態A3のデバイス。
【0107】
A6.捕捉プローブが、第1のプレートの内側面に共有結合している、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0108】
A7.捕捉プローブが、チオール結合を介して第1のプレートの内側面に結合している、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0109】
A8.付着試薬がプロテインAである、実施形態A7のデバイス。
【0110】
A9.試料が全血を含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0111】
A10.試料が血清を含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0112】
A11.スペーサーが、第2のプレートの内側面上に固定されている、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0113】
A12.検出プローブおよび/または捕捉プローブが10〜40bpの長さを有する、先行する実施形態のいずれかのデバイス。
【0114】
B2.第1のプレートが、第1のプレートの内側面上にコーティングされたブロッカーをさらに含む、実施形態B1の方法。
【0115】
B3.第1のプレートおよび/または第2のプレートが、それぞれのプレートの内側面上にコーティングされた安定剤をさらに含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0116】
B4.安定剤が、糖、ポリマー、グリセロール、およびそれらの混合物から選択される、実施形態B3の方法。
【0117】
B5.安定剤がスクロースまたはグルコースである、実施形態B3の方法。
【0118】
B6.捕捉プローブが、第1のプレートの内側面に共有結合している、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0119】
B7.捕捉プローブが、内側面と捕捉プローブに結合した付着試薬上の無極性残基との間の疎水性相互作用を介した受動的吸収(passive absorption)によって第1のプレートの内側面に付着されている、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0120】
B8.付着試薬はプロテインAである、実施形態B7の方法。
【0121】
B8.試料が全血を含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0122】
B9.試料が血漿を含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0123】
B10.スペーサーが、第2のプレートの内側面上に固定されている、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0124】
B11.ステップ(e)の前かつステップ(d)の後に、均一な厚さの層を所定の期間にわたってインキュベートすることをさらに含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0125】
B12.所定の期間が、検出プローブが均一な厚さの層を横切って試料中に拡散するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い、実施形態B11の方法。
【0126】
B13.試料が第1のプレート上に置かれる、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0127】
B14.ステップ(d)の前かつステップ(c)の後に、第1のプレート上の試料を所定の期間にわたってインキュベートすることをさらに含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0128】
B15.所定の期間が、捕捉プローブと分析物との間の結合が平衡に達するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い、実施形態B14の方法。
【0129】
B16.ステップ(d)の前かつステップ(c)の後に、第1のプレートの内側面を洗浄することをさらに含む、上記実施形態の方法。
【0130】
B17.ステップ(e)の前かつステップ(d)の後に、プレートを開放構成に切り替え、第1のプレートの内側面を洗浄することをさらに含む、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0131】
B18.第1のプレートの内側面をスポンジに吸収された洗浄液で洗浄する、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0132】
B19.スポンジを押しつぶして第1のプレートの内側面上に洗浄液を放出し、スポンジを解放して洗浄液を再吸収させることにより洗浄を行う、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0133】
B20.洗浄により、検出可能な信号の検出限界(LOD)が改善される、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0134】
関連文書
本発明は、様々な実施形態を含み、これらは、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、複数の様式で組み合わせることができる。実施形態は、別個独立としてではなく、単一の発明出願とみなされるべきであり、各出願は、参照として他の出願を有し、また、あらゆる目的のためにその全体が参照される。これらの実施形態は、本出願の開示だけでなく、本明細書において参照され、組み込まれ、または優先権が主張される文書も含む。
【0135】
(1)定義
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法を説明するために使用される用語は、本出願、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に定義されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)になるように互いに対して移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、プレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFカードのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0137】
(2)Qカード、スペーサー、および均一な試料の厚さ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカード、スペーサー、および均一な試料の厚さの実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を均一性の高い層にするのに役立つスペーサーを備える。スペーサーの構造、材料、機能、バリエーション、および寸法、ならびにスペーサーおよび試料層の均一性は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0138】
(3)ヒンジ、オープニング用ノッチ、凹型エッジ、およびスライダー
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダー(slider)を備える。ヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダーの構造、材料、機能、バリエーション、寸法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
(4)Qカード、スライダー、およびスマートフォン検出システム
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、カードがスマートフォン検出システムによって読み取られることを可能にするスライダーとともに使用される。Qカード、スライダー、およびスマートフォン検出システムの構造、材料、機能、バリエーション、寸法、および接続は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0140】
(5)検出方法
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々なタイプの検出方法を含むか、または使用することができる。検出方法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0141】
(6)標識
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々なタイプの標識を使用することができる。標識は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0142】
(7)分析物
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な種類の分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用することができる。分析物は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0143】
(8)用途(分野および試料)
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な用途(分野および試料)に使用することができる。用途は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0144】
(9)クラウド
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、データ転送、ストレージ、および/または分析のためのクラウド技術を使用することができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/426065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
柱状スペーサーの平らな上部
本発明の特定の実施形態では、スペーサーは、1つのプレート上に固定された平らな上部および足部を有する柱であり、平らな上部は、微小な表面変動を伴う平滑性(smoothness)を有し、変動は5未満、10nm未満、20nm未満、30nm未満、50nm未満、100nm未満、200nm未満、300nm未満、400nm未満、500nm未満、600nm未満、700nm未満、800nm未満、1000nm未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲である。好ましい平らな柱上部の滑らかさは、50nm以下の表面変動である。
【0146】
さらに、表面の変動はスペーサーの高さに対して相対的であり、スペーサーの高さに対する柱の平らな上面の変動の比は、0.5%未満、1%未満、3%未満、5%未満、7%未満、10%未満、15%未満、20%未満、30%未満、40%未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲である。好ましい平らな柱上部の平滑性は、2%未満、5%未満、または10%未満であるスペーサー高さに対する柱の平らな上部の表面変動の比を有する。
【0147】
柱状スペーサーの側壁角
本発明の特定の実施形態では、スペーサーは側壁角を有する柱である。いくつかの実施形態では、側壁角は、5度未満(表面の垂直線から測定される)、10度未満、20度未満、30度未満、40度未満、50度未満、70度未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲内である。好ましい実施形態では、側壁角は、5度未満、10度未満、または20度未満である。
【0148】
厳密でない力の押圧による均一な流体(fluidic)薄層の形成
本発明の特定の実施形態では、厳密でない力による押圧を使用することにより、均一な流体試料薄層が形成される。詳細を加えることなく、次いで、厳密でない押圧力の定義を加える、「厳密でない押圧力」という用語。本明細書で使用される場合、力との関連における「厳密でない」という用語(例えば「厳密でない押圧力」)は、(a)力が加えられた時点において正確には分かっていないか、または正確に予測できない大きさを有し、(b)0.01kg/cm
2(センチメートル平方)〜100kg/cm
2の範囲の圧力を有し、(c)力が加えられるごとに大きさが変動し、および(d)(a)および(c)の力の非厳密さ(すなわち変動)が、実際に加えられる力の合計の少なくとも20%である、力を指す。
【0149】
厳密でない力は、例えば、親指と人差し指との間で物体をつまんだり、または親指と人差し指との間で物体をつまんで擦ったりすることにより、ヒトの手で加えることができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、手で押圧することによる厳密でない力は、0.01kg/cm2、0.1kg/cm2、0.5kg/cm2、1kg/cm2、2kg/cm2、kg/cm2、5kg/cm2、10kg/cm2、20kg/cm2、30kg/cm2、40kg/cm2、50kg/cm2、60kg/cm2、100kg/cm2、150kg/cm2、200kg/cm2、またはいずれかの2つの値の間の範囲の圧力、および0.1kg/cm2〜0.5kg/cm2、0.5kg/cm2〜1kg/cm2、1kg/cm2〜5kg/cm2、5kg/cm2〜10kg/cm2の好ましい範囲(圧力)を有する。
【0151】
スペーサー充填率
「スペーサー充填率」または「充填率」という用語は、総プレート面積に対するスペーサー接触面積の比を指し、ここで、スペーサー接触面積は、閉鎖構成においてスペーサーの上面がプレートの内側面と接触する接触面積を指し、総プレート面積は、スペーサーの平らな上部が接触するプレートの内側面の総面積を指す。2つのプレートがあり、各スペーサーは1つのプレートにそれぞれ接触する2つの接触面を有するので、充填率は最小の充填率である。
【0152】
例えば、スペーサーが、正方形(10μm×10μm)の平らな上部、ほぼ均一な断面、2μmの高さを有する柱であり、スペーサーが、100μmの周期で周期的になっている場合、スペーサーの充填率は1%である。上記の例において、柱状スペーサーの足部が15μm×15μmの正方形である場合、充填率は定義により1%のままである。
【0153】
スペーサーが柱形状およびほぼ均一な断面を有する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0154】
スペーサー間距離(SD)が約120um(マイクロメートル)以下である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0155】
スペーサー間距離(SD)が約100um(マイクロメートル)以下である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0156】
スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD4/(hE))が5×106um3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0157】
スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD4/(hE))が5×105um3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0158】
スペーサーが、柱形状、実質的に平らな上面、所定の実質的に均一な高さ、および分析物のサイズより少なくとも約2倍大きい所定の一定のスペーサー間距離を有し、スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を掛けたものが2MPa以上であり、充填率が総プレート面積に対するスペーサー接触面積の比であり、各スペーサーにおいて、スペーサーの高さに対するスペーサーの横寸法の比が少なくとも1である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0159】
スペーサーが、柱形状、実質的に平らな上面、所定の実質的に均一な高さ、および分析物のサイズより少なくとも約2倍大きい所定の一定のスペーサー間距離を有し、スペーサーのヤング率にスペーサーの充填率を掛けたものが2MPa以上であり、充填率がスペーサーの接触面積と総プレート面積との比であり、各スペーサーにおいて、スペーサーの高さに対するスペーサーの横寸法の比が少なくとも1であり、スペーサー間距離(ISD)の4乗を可撓性プレートの厚さ(h)およびヤング率(E)で除算したもの(ISD4/(hE))が5×106um3/GPa以下である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0160】
スペーサーの平均幅に対するスペーサーのスペーサー間距離の比が2以上であり、スペーサーの充填率にスペーサーのヤング率を乗じたものが2MPa以上である、上記デバイス実施形態のいずれかのデバイス。
【0161】
分析物が、タンパク質、ペプチド、核酸、合成化合物、または無機化合物である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0162】
試料が、羊水、房水、硝子体液、血液(例えば、全血、分画血液、血漿、血清)、母乳、脳脊髄液(CSF)、耳垢(cerumen)(耳垢(earwax))、乳糜、糜粥、内リンパ液、外リンパ液、糞便、呼気、胃酸、胃液、リンパ液、粘液(鼻水および痰を含む)、心膜液、腹膜液、胸膜液、膿、粘膜分泌物、唾液、呼気凝縮液、皮脂、精液、喀痰、汗、滑液、涙、嘔吐物、および尿から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0163】
スペーサーが柱形状を有し、柱の高さに対する幅の比が1以上である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0164】
プレートの一方または両方の上に置かれる試料が未知の体積を有する、先行する実施形態のいずれかの方法。
【0165】
スペーサーが柱形状を有し、柱が実質的に均一な断面を有する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0166】
試料が、特定の疾患の段階と相関する化合物または生体分子の検出、精製、および定量化のためである、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0167】
試料が、感染症および寄生虫病、傷害、心血管疾患、癌、精神障害、神経精神障害、肺疾患、腎疾患、ならびに他の臓器疾患に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0168】
試料が、微生物の検出、精製、および定量化に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0169】
試料が、環境、例えば水、土壌に由来するウイルス、真菌、および細菌、または生体試料に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0170】
試料が、食品の安全性または国の安全に危険を及ぼす化合物または生体試料、例えば有毒廃棄物、炭疽菌の検出、定量化に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0171】
試料が、医療用または生理学的モニタリングの重要なパラメーターの定量化に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0172】
試料が、グルコース、血液、酸素レベル、総血球数に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0173】
試料が、生体試料由来の特定のDNAまたはRNAの検出および定量化に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0174】
試料が、ゲノム分析のための染色体およびミトコンドリアのDNA遺伝子配列の配列決定および比較に関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0175】
試料が、例えば医薬品の合成中または精製中に反応生成物を検出することに関連する、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0176】
試料が、細胞、組織、体液、および排泄物である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0177】
試料が、ヒト、獣医学、農業、食品、環境、および薬物検査の分野の試料である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0178】
試料が、毛髪、指の爪、耳垢、呼気、結合組織、筋肉組織、神経組織、上皮組織、軟骨、癌試料、または骨から選択される生体試料である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0179】
スペーサー間距離が5um〜120umの範囲である、先行する実施形態のいずれかの方法またはデバイス。
【0180】
スペーサー間距離が120um〜20umの範囲である、先行する実施形態のいずれかのデバイスまたは方法。
【0181】
可撓性プレートが20um〜250umの範囲の厚さおよび0.1〜5GPaの範囲のヤング率を有する、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0182】
可撓性プレートについて、可撓性プレートの厚さに可撓性プレートのヤング率を掛けたものが60〜750GPa−umの範囲である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0183】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも1mm2の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0184】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも3mm2の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0185】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも5mm2の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0186】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも10mm2の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0187】
均一な厚さの試料の層が、少なくとも20mm2の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0188】
均一な厚さの試料の層が、20mm2〜100mm2の範囲の横方向面積にわたって均一である、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0189】
均一な厚さの試料の層が、最大±5%の厚さまたはそれより良好な均一な厚さを有する、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0190】
均一な厚さの試料の層が、最大±10%の厚さまたはそれより良好な均一な厚さを有する、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0191】
均一な厚さの試料の層が、最大±20%の厚さまたはそれより良好な均一な厚さを有する、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0192】
均一な厚さの試料の層が、最大±30%の厚さまたはそれより良好な均一な厚さを有する、上記デバイス実施形態のデバイス。
【0193】
追加の留意事項
本開示による本発明対象のさらなる例は、以下の列挙された段落に記載されている。
【0194】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、「単一」という語が使用される場合などの文脈がそうではないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」についての言及は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」についての言及は、単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」についての言及は、単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「剤」についての言及には、単一の剤および複数の剤が含まれる。
【0195】
本明細書で使用される場合、「適合させる」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の対象物が所与の機能を果たすように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、特定の要素、構成要素、または他の対象物が特定の機能を単に果たす「ことができる」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を果たすように構成されるとして記載されている対象物は、さらにまたはあるいは、その機能を果たすように作動するものとして説明され得る。
【0196】
本明細書で使用される場合、「例えば」という句、「例として」という句、および/または「例」もしくは「例示的な」という用語は、本開示による1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法に関して使用される場合、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の例示的で非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載される構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定されること、必須とされること、または排他的/網羅的であることを意図しておらず、構造的および/もしくは機能的に類似するならびに/または同等である構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法もまた、本開示の範囲内である。
【0197】
本明細書で使用される場合、2つ以上の実体(entity)の列挙に関して「のうちの少なくとも1つ」および「1つ以上」という句は、実体の列挙中における実体のうちの任意の1つ以上を意味し、実体のリストに具体的に列挙されているあらゆる実体のうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(もしくは、同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの組み合わせであってもよい。
【0198】
本明細書で使用される場合、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、および(3)第1の実体および第2の実体のうちの1つを意味する。「および/または」を用いて列挙された複数の実体は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された実体のうちの「1つ以上」と解釈すべきである。「および/または」の句によって具体的に特定された実体以外に、具体的に特定されたそれらの実体に関連するかどうかに関わらず、他の実体が任意選択で存在してもよい。
【0199】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、端点が含まれる実施形態、両方の端点が除外される実施形態、および一方の端点が含まれ、かつ他方が除外される実施形態を含む。別段の指示がない限り、両方の端点が含まれると見なすべきである。さらに、別段の指示がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り。
【0200】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、(1)本開示の組み込まれない部分または他の組み込まれた参考文献のいずれかに矛盾する様式で用語を定義する場合において、および/または(2)その他の点でそれらと矛盾する場合において、本開示の組み込まれていない部分が支配するものとし、その中の用語または組み込まれた開示は、用語が定義されている、および/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ支配するものとする。
【0201】
例示的な実施形態の詳細な説明
以下の詳細な説明は、限定ではなく例示として本発明のいくつかの実施形態を示す。本明細書で使用される節の見出しおよび任意のサブタイトルは、構成目的のためだけのものであり、記載される対象物を限定するものとして決して解釈するべきではない。節の見出しおよび/またはサブタイトル下の内容は、節の見出しおよび/またはサブタイトルに限定されず、本発明の説明全体に適用される。
【0202】
任意の公開物の引用は出願日前のその開示に対してのものであり、本特許請求の範囲が先行発明のためにそのような公開物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供される公開日は実際の公開日とは異なり得、これを個別に確認する必要があり得る。
【0203】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)になるように互いに対して移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、かつ、プレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、および2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に記載されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0204】
配列決定のための核酸を捕捉するためのQMAXデバイス
図1は、配列決定のための核酸を捕捉するために使用することができるQMAX(Q:定量化、M:増大、A:試薬の添加、X:加速;圧縮調節オープンフロー(CROF)としても既知である)デバイスの例示的な実施形態の概略図である。
図1において、QMAXデバイスは開放構成である。(a)QMAXは、第1のプレート、第2のプレート、および第2のプレート上のウェルを備える。(b)第1のプレート上のウェルアレイの上面図。(c)第2のプレート上の柱状アレイの上面図。
【0205】
配列決定のための核酸を捕捉するためのQMAXデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、およびウェルを備え、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、そのそれぞれの表面上に、標的分析物を含有する流体試料と接触するための試料接触領域を有し、
(b)第2のプレートが、試料接触領域において複数のウェルを有し、各ウェルは、(i)50μm以下のウェル深さ、(ii)試料の体積よりも実質的に小さいウェル体積、(iii)結合部位であって、捕捉プローブがその部位に固定されており、かつ捕捉プローブが標的プローブを捕捉する、結合部位を有し、
構成の1つは、第1のプレートの内側面と第2のプレートのウェルの縁(rim)との間の平均間隔が少なくとも300μmであり、試料がプレートの一方または両方の上に置かれる、開放構成であり、
構成のうちの別の構成は、開放構成において試料が置かれた後の構成である閉鎖構成であり、閉鎖構成では、試料の少なくとも一部がウェル内側にあり、第1のプレートの内側面と第2のプレートのウェルの縁との間の平均間隔が開放構成での平均間隔の1/10(10分の1)未満である、QMAXデバイス。
【0206】
図36は、QMAXの第1プレート上のウェルの例示的な実施形態の概略図である。(a)(i)正方格子での丸形、(ii)正方格子での長方形、(iii)六角形格子での三角形、(iv)非周期性での丸形の、第1のプレート上のウェルの上面図。(b)(i)金属コーティングを有さない、(ii)ウェルの底部に金属コーティングを有する、(iii)ウェルの側壁に金属コーティングを有する、(iv)ウェルの底部および側壁の両方に金属コーティングを有する、第1のプレート上のウェル配列の上面図。
【0207】
いくつかの実施形態では、第1のプレート上のウェルは、1nm、10nm、100nm、500nm、1um、5um、50um、500um、1mmの周期(ウェル中心間の平均距離)またはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1um、1um〜10um、または10um〜50umの好ましい範囲(周期)を有する。
【0208】
いくつかの実施形態では、第1プレート上のウェルは、1nm、10nm、100nm、500nm、1um、5um、50um、500um、1mmまたはいずれかの2つの値の間の範囲のウェルサイズ(平均の長さもしくは直径)、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1um、1um〜10um、または10um〜50umの好ましい範囲(サイズ)を有する。
【0209】
いくつかの実施形態では、第1のプレート上のウェルは、1nm、10nm、100nm、500nm、1um、5um、50um、500um、1mmまたはいずれかの2つの値の間の範囲の深さ、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1um、1um〜10um、または10um〜50umの好ましい範囲(深さ)を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、ウェルの深さは0であり、これは第1のプレート上にウェルがないことを意味する。
【0211】
いくつかの実施形態では、ウェルは、代替的には「柱」であり、柱の高さは1nm、10nm、100nm、500nm、1um、5um、50um、500um、1mmまたはいずれかの2つの値の間の範囲、および10nm〜100nm、100nm〜500nm、500nm〜1um、1um〜10um、または10um〜50umの好ましい範囲(柱の高さ)である。
【0212】
いくつかの実施形態では、ウェルは、(i)金属コーティングを有さない、(ii)ウェルの底部(柱の上部)に金属コーティングを有する、(iii)ウェルの側壁(柱の側方)に金属コーティングを有する、(iv)ウェルの底部および側壁の両方に金属コーティングを有する。
【0213】
いくつかの実施形態では、コーティング金属は、金、アルミニウム、銀、銅、スズ、および/またはそれらの組み合わせである。
【0214】
いくつかの実施形態では、ウェル面積比(表面の総面積に対するウェル面積の比)は、40%〜50%、50%〜60%、60%〜70%、70%〜80%、80%〜90%、90%〜99%、またはいずれかの2つの値の間の範囲である。
【0215】
いくつかの実施形態では、第1プレート上のウェル数は、試料中の核酸プローブ数より大きい。
例えば、第1のプレート上の総ウェル数は、核酸プローブ濃度が1μLの体積で1fMである場合、600の1〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜100倍、100〜1000倍、1000〜10000倍である。
例えば、第1のプレート上の総ウェル数は、核酸プローブ濃度が1uLの体積で1pMである場合、600,000の1〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜100倍、100〜1000倍、1000〜10000倍である。
例えば、第1のプレート上の総ウェル数は、核酸プローブ濃度が1uLの体積で1nMである場合、600,000,000の1〜2倍、2〜5倍、5〜10倍、10〜100倍、100〜1000倍、1000〜10000倍である。
いくつかの実施形態では、ウェル数は、核酸捕捉ステップの後に、ウェルの大部分がただ1つの標的核酸プローブを捕捉することを達成するような様式である。
【0216】
表1は、1fM〜100pMの濃度の1uL試料中のDNAプローブ数の一例を示している。
【0217】
表2は、1um〜1mmのウェルピッチを有する2cm×2cm面積中のウェル数の一例を示す。
【0218】
例えば、ウェルピッチが100umの場合、4cm
2のサイズの第1のプレート上のウェル数は40000である。このようなウェルプレートを使用して、600個のDNAプローブを有する1μL試料中の1fM DNA試料を測定する場合、統計的に各ウェルの分子はただ1つになるであろう。
【0219】
いくつかの実施形態では、第2のプレートはXプレートである。
【0220】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、平らなまたは加工された固体表面を有する任意の材料であり得る。第1のプレートの例には、プラスチック、シリコン、PMMA、金、ガラスが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、第2のプレートは、平らなまたは加工された固体表面を有する任意の材料であり得る。第1のプレートの例には、プラスチック、シリコン、PMMA、金、ガラスが含まれるが、これらに限定されない。
【0221】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、炭素、ゲルマニウム、セレン、シリコン、ガリウムヒ素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、リン化インジウム(InP)、セレン化亜鉛(ZnSe)、および炭化ケイ素(SiC)を含む半導体;金、アルミニウム、銀、銅、スズおよび/またはそれらの組み合わせを含む金属で作られる。
【0222】
いくつかの実施形態では、第2のプレートに面する第1のプレートの表面は、第1のプレートの内側面として定義され、第1のプレートに面する第2のプレートの表面はまた、第2のプレートの内側面として定義される。いくつかの実施形態では、それぞれのプレートの内側面は、核酸を含む試料と接触するための試料接触領域を含む。試料接触領域は、それぞれの内側面の一部または全体を占めることができる。
図35に示すように、第2のプレートは、第2のプレートの内側面上に固定されたスペーサーを備えることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、スペーサーは、第1のプレートの内側面上に固定され、他の実施形態では、第2のプレートおよび第1のプレートの両方の内側面上に固定されることに留意すべきである。
【0223】
図35は、開放構成のプレートの断面図を示し、該構成では、第1のプレートと第2のプレートが部分的または完全に分離され、試料をプレートの一方または両方の上に置くことができる。
【0224】
第1のプレートおよび第2のプレートは、異なる構成になるように互いに対して移動可能である。構成の1つは、2つのプレートが部分的または完全に分離され、プレート間の間隔がスペーサーによって調節されていない、開放構成である。
図35は、試料を第1のプレート、第2のプレート、または両方のプレートに添加することができる、開放構成のプレートを示している。いくつかの実施形態では、それぞれのプレートの内側面は、内側面全体の一部を占める試料接触領域を含む。特定の実施形態では、スペーサーは、試料接触領域内に位置付けられる。いくつかの実施形態では、スペーサーは、プレートのいずれかに固定されてはなく、試料中に混合されている。
【0225】
配列決定のための核酸を捕捉するためのQMAXデバイスを使用する方法
図37は、QMAXデバイスを使用した、核酸配列決定における核酸プローブ捕捉ステップを実施するための例示的プロセスの基本的ステップを示すフローチャートである。
【0226】
配列決定のための核酸プローブを捕捉する方法であって、
(a)捕捉プローブをコーティングすることにより、第1のプレートを調製することと、
(b)請求項1に記載のデバイスを取得することと、
(c)標的核酸を含有する試料を取得することと、
(d)プレートが開放構成で構成されているときに、プレートの一方または両方の上に試料を置くことであって、第1のプレートの内側面と第2のプレートのウェルの縁との間の平均間隔は少なくとも300umである、置くことと、
(e)(d)の後、請求項1に記載のデバイスの2つのプレートを閉鎖構成へと移動させることであって、試料の少なくとも一部がウェル内部にあり、第1のプレートの内側面と第2のプレートのウェルの縁との間の平均間隔が開放構成における平均間隔の1/10(10分の1)未満である、移動させることと、
(f)第2のプレートを剥がし、第1のプレートを洗浄することと、
(g)その後、核酸配列決定ステップを行うこと、を含む、方法。
【0227】
本明細書で使用される場合、「核酸」および「ヌクレオチド」という用語は、当該技術分野におけるそれらの使用と合致し、天然に存在する種またはその機能的類似体を含むことを意図している。核酸の特に有用な機能的類似体は、配列特異的な様式で核酸にハイブリダイズすることができ、または特定のヌクレオチド配列の複製のための鋳型として使用することができる。天然に存在する核酸は、一般に、ホスホジエステル結合を含有する骨格を有する。類似体の構造は、当該技術分野で既知である様々なもののいずれかを含む、代替の骨格結合を有することができる。天然に存在する核酸は、一般に、デオキシリボース糖(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)に見出される)またはリボース糖(例えば、リボ核酸(RNA)に見出される)を有する。核酸は、当該技術分野で既知であるこれらの糖部分の様々な類似体のいずれかを有するヌクレオチドを含有することができる。核酸は、天然または非天然ヌクレオチドを含むことができる。これに関して、天然のデオキシリボ核酸は、アデニン、チミン、シトシン、またはグアニンからなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができ、リボ核酸は、ウラシル、アデニン、シトシン、またはグアニンからなる群から選択される1つ以上の塩基を有することができる。核酸またはヌクレオチドに含まれ得る有用な非天然の塩基は、当該技術分野で既知である。「プローブ」または「標的」という用語は、核酸に関して使用される場合、本明細書に記載の方法または組成物との関連における核酸の意味論的識別子として意図され、別段で明示的に指示されているものを超えて核酸の構造または機能を必ずしも制限するものではない。「プローブ」および「標的」という用語は、タンパク質、小分子、細胞などの他の分析物にも同様に適用することができる。
【0228】
本明細書で使用される場合、「捕捉プローブ」という用語は、相補的配列を有する核酸にハイブリダイズする核酸を指す。
【0229】
本明細書で使用される「相補的」という用語は、目的の標的核酸への水素結合によって塩基対合するヌクレオチド配列を指す。標準的なワトソン−クリック塩基対合では、DNA中でアデニン(A)はチミン(T)と塩基対を形成し、同様にグアニン(G)はシトシン(C)と塩基対を形成する。RNAでは、チミンはウラシル(U)に置き換えられる。したがって、AはTに相補的であり、GはCに相補的である。典型的には、「相補的」とは、配列中の全てのヌクレオチドが、対応する位置における標的核酸中の全てのヌクレオチドと相補的であるように、目的の標的に完全に相補的なヌクレオチド配列を指す。ヌクレオチド配列が非標的配列に完全に相補的(100%相補的)ではないが、非標的配列に対するヌクレオチド配列の特定のストレッチの相補性に起因して非標的配列になおも塩基対合することができる場合、相補性パーセントを計算して、非特異的(オフ標的(off−target))結合の可能性を評価することができる。一般に、50%以下の相補性は、非特異的結合を生じさせる。さらに、70%以下の相補性は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で非特異的結合を生じさせない場合がある。
【0230】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、第1のプレートの表面に付着される。特定の実施形態では、捕捉プローブは、第1のプレートの内側面上に固定することができる。
【0231】
本明細書で使用される場合、「コーティングする」という用語は、動詞として使用される場合には、表面上に層を提供するまたは被覆することを意味することを意図している。表面の少なくとも一部に層または被覆を提供することができる。いくつかの場合では、表面全体に層または被覆を提供することができる。代替の場合では、表面の一部のみに層または被覆を提供することができるであろう。「コーティングする」という用語は、表面と材料との関係を説明するために使用される場合には、材料が表面上に層または被覆として存在することを意味することを意図している。材料は表面をシールすることができ、例えば、液体または気体が表面と接触するのを防ぐ。しかし、材料はシールを形成する必要はない。例えば、材料は、液体、気体、または液体もしくは気体で運ばれる1つ以上の成分に対して多孔性であり得る。表面をコーティングすることができる例示的な材料には、ゲル、ポリマー、有機ポリマー、液体、金属、第2の表面、プラスチック、シリカ、または気体が含まれるが、これらに限定されない。
【0232】
本明細書で使用される場合、「付着される」という用語は、互いに接合、固定、接着、接続、または結合されている2つの物の状態を指す。例えば、核酸などの分析物を、共有結合または非共有結合によって、ゲルまたは固体支持体などの材料に付着させることができる。共有結合は、原子間での電子対の共有によって特徴付けられる。非共有結合は、電子対の共有を伴わない化学結合であり、例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用、および疎水性相互作用を含むことができる。
【0233】
いくつかの実施形態では、第1のプレートに付着されたプライマー核酸は、鋳型核酸の捕捉および/または増幅に使用することができる。プライマーは、ライブラリー中の異なる標的核酸に結合されたユニバーサルアダプター配列にハイブリダイズするユニバーサルプライマーであり得る(つまり、各標的核酸はライブラリー中の他の標的核酸と異なる標的領域を含み、ライブラリー中のいくつかの標的核酸は同じユニバーサルアダプター配列を有する)。いくつかの実施形態では、標的核酸をゲル材料に付着させることができ、プライマー(溶液中であるかまたはゲルにも付着させるかに関わらない)を使用して、付着した標的核酸を増幅することができる(すなわち、標的核酸は増幅の鋳型として作用することができる)。
【0234】
より詳細には、ステップ(a)において、いくつかの実施形態では、第1のプレートは、第1のプレートの内側面上に完全にまたは部分的にコーティングされた捕捉プローブを含む。
【0235】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、第1のプレート上のウェル内部に完全にまたは部分的にコーティングされた捕捉プローブを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、第1のプレートは、第1のプレート上のウェル内部の金属上に完全にまたは部分的にコーティングされた捕捉プローブを含む。
【0237】
いくつかの実施形態において、捕捉プローブは、印刷、噴霧、浸漬、または捕捉プローブの均一層を適用する他の方法により、表面に適用することができる。特定の実施形態では、捕捉プローブは、第1プレート上で乾燥される。
【0238】
より詳細には、本明細書で使用されるステップ(c)において、「ライブラリー」という用語は、異なる化学組成を有する分析物の集合を指す。典型的には、ライブラリー中の分析物は、属またはクラスの共通の特徴または特性を有する異なる種であるが、それ以外の点では何らかの形で異なる。例えば、ライブラリーは、ヌクレオチド配列は異なるが、糖リン酸骨格を有することに関して類似している核酸種を含むことができる。
【0239】
本明細書で使用する「異なる」という用語は、核酸に関して使用する場合、核酸が互いに同じではないヌクレオチド配列を有することを意味する。2つ以上の核酸は、それらの全長にわたって異なるヌクレオチド配列を有することができる。あるいは、2つ以上の核酸は、それらの長さの実質的な部分にわたって異なるヌクレオチド配列を有することができる。例えば、2つ以上の核酸は、2つ以上の分子のための異なる標的ヌクレオチド配列部分を有することができると同時に、2つ以上の分子で同じユニバーサル配列部分も有することができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、ステップ(f)の前かつステップ(e)の後に、均一な厚さの層を所定の期間インキュベートすることをさらに含む。
【0241】
特定の実施形態では、所定の期間は、標的核酸が均一な厚さの層を横切って試料中に拡散するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い。
【0242】
特定の実施形態では、所定の期間は、標的核酸が均一な厚さの層を横切って試料中に拡散し、捕捉プローブにより捕捉されるのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い。
【0243】
特定の実施形態では、所定の期間は、標的核酸が均一な厚さの層を横切って試料中に拡散し、捕捉プローブにより捕捉され、増幅されて、各々のウェル中の個々の核酸のクローン集団を生成するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い。
【0244】
本明細書で使用される「クローン集団」という用語は、特定のヌクレオチド配列に関して均一な核酸の集団を指す。均一な配列は、典型的には少なくとも10ヌクレオチド長であるが、さらに長くすることができ、例えば、少なくとも50、100、250、500、1000、または2500ヌクレオチド長を含む。クローン集団は、単一の標的核酸または鋳型核酸に由来し得る。クローン集団は、標的ヌクレオチド配列の少なくとも2、5、10、100、1000またはそれ以上のコピーを含むことができる。コピーは、例えばコンカテマーとして、単一の核酸分子中に存在することができ、またはコピーは、別個の核酸分子中に存在することができる(すなわち、クローン集団は、少なくとも2、5、10、100、1000またはそれ以上の、同じ標的ヌクレオチド配列を有する核酸分子を含むことができる)。典型的には、クローン集団中の全ての核酸は同じヌクレオチド配列を有するであろう。クローン集団では、クローン性(clonality)から逸脱することなく、ごくわずかな数の汚染(contaminant)核酸または変異(例えば、増幅アーチファクトに起因する)が発生し得ることが理解されるであろう。したがって、集団は少なくとも80%、90%、95%、または99%のクローンであり得る。いくつかの場合では、100%純粋なクローン集団が存在し得る。
【0245】
本明細書に記載の方法は、様々な増幅技術のいずれかを使用することができる。使用することができる例示的な技術には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ローリングサークル増幅(RCA)、多置換増幅(MDA)、またはランダムプライム増幅(RPA)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、増幅に使用される1つ以上のプライマーをゲル材料に付着させることができる。PCRの実施形態では、増幅に使用されるプライマーの一方または両方をゲル材料に付着させることができる。二本鎖アンプリコンが、コピーされた鋳型配列に隣接する(flank)2つの付着されたプライマー間に橋のような構造を形成するため、2種の付着されたプライマーを利用する形式はしばしばブリッジ増幅と称される。ブリッジ増幅に使用することができる例示的な試薬および条件は、例えば、米国特許第5,641,658号、米国特許公開第2002/0055100号、米国特許第7,115,400号、米国特許公開第2004/0096853号、米国特許公開第2004/0002090号、米国特許公開第2007/0128624号、および米国特許公開第2008/0009420号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。PCR増幅はまた、ゲル材料に付着された増幅プライマーの1つおよび溶液中の第2のプライマーを使用して行うこともできる。1つの固相付着プライマーおよび液相プライマーの組み合わせを使用する例示的な形式は、例えば、Dressman et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 100:8817−8822(2003)、WO05/010145、または米国特許公開第2005/0130173号もしくは同2005/0064460号に記載されるようなエマルジョンPCRであり、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。エマルジョンPCRは形式の例示であり、本明細書に記載の方法の目的のためには、エマルジョンの使用は任意選択であり、実際、いくつかの実施形態ではエマルジョンは使用されないことが理解されよう。さらに、プライマーは、ePCRの参考文献に記載されているように固体支持体に直接付着させる必要はなく、代わりに、本明細書に記載のゲル材料に付着させることができる。一部の固相PCRまたはブリッジ増幅形式では、標的核酸をゲル材料に付着させ、増幅鋳型として使用することができる。
【0246】
RCA技術は、本開示の方法で使用するために改変することができる。RCA反応で使用することができる例示的な成分およびRCAがアンプリコンを生成する原理は、例えば、Lizardi et al.,Nat.Genet.19:225−232(1998)および米国特許出願公開第2007/0099208A1号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。RCAに使用されるプライマーは、溶液中にあるか、ゲル材料に付着され得る。
【0247】
本開示の方法における使用のために、MDA技術を改変することができる。MDAのいくつかの基本的原理および有用な条件は、例えば、Dean et al.,Proc Natl.Acad.Sci.USA 99:5261−66(2002)、Lage et al.,Genome Research 13:294−307(2003)、Walker et al.,Molecular Methods for Virus Detection,Academic Press, Inc.,1995、Walker et al.,Nucl.Acids Res.20:1691−96(1992)、米国特許第5,455,166号、同5,130,238号、および同6,214,587号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。MDAに使用されるプライマーは、溶液中にあるか、ゲル材料に付着され得る。
【0248】
特定の実施形態では、上記で例示した増幅技術の組み合わせを使用することができる。例えば、RCAおよびMDAを組み合わせて使用することができ、ここでは、RCAを溶液中のコンカテマーアンプリコンを生成するために使用する(例えば、液相プライマーを使用する)。アンプリコンは、ゲル材料に付着されたプライマーを使用したMDAの鋳型として使用することができる。この例では、RCAおよびMDAを組み合わせたステップ後に生成されたアンプリコンがゲル材料に付着されるであろう。アンプリコンは、一般に、標的ヌクレオチド配列のコンカテマーリピートを含有する。
【0249】
上記に例示したものなどの増幅技術を使用して、標的核酸の複数コピーを有するゲル含有特徴を生み出すことができる。ウェルなどの個々の特徴物は、RCAによって生成されるものなどの単一分子のコンカテマーの形で、またはブリッジPCRによって生成されるものなどの同じ配列を有する多数の核酸分子の形で、ヌクレオチド配列のクローン集団を有することができる。一般に、増幅された標的の数コピーを有する核酸がゲル材料に付着されるであろう。
【0250】
特定の実施形態では、所定の期間は、10秒未満、20秒未満、30秒未満、45秒未満、1分未満、1.5分未満、2分未満、3分未満、4分未満、5分未満、6分未満、7分未満、8分未満、9分未満、10分未満、15分未満、20分未満、30分未満、60分未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲内である。
【0251】
いくつかの実施形態では、本発明の方法のために、試料は第1のプレート上に置かれる。特定の実施形態では、ステップ(e)の前、ステップ(d)の後に、試料は、第1のプレート上で所定の期間インキュベートされる。特定の実施形態では、所定の期間は、捕捉抗体と分析物との間の結合が平衡に達するのに必要な時間と等しいかまたはそれより長い。特定の実施形態では、所定の期間は、10秒未満、20秒未満、30秒未満、45秒未満、1分未満、1.5分未満、2分未満、3分未満、4分未満、5分未満、6分未満、7分未満、8分未満、9分未満、10分未満、15分未満、20分未満、30分未満、60分未満、またはいずれかの2つの値の間の範囲内である。
【0252】
いくつかの実施形態では、本発明の方法のために、ステップ(e)の後、第1のプレートの内側面を洗浄して結合していない分子を除去することができる。このアプローチでは、プレートを閉鎖構成に切り替える前に洗浄が行われる。いくつかの実施形態では、本発明の方法のために、ステップ(e)の前かつステップ(d)の後、ステップ(f)の前かつステップ(e)の後、プレートを開放構成に切り替えることができ(例えば、第2のプレートを取り除くことによる)、第1のプレートの内側面を洗浄することができる。このアプローチでは、プレートを閉鎖構成に切り替える前に洗浄が行われる。特定の実施形態では、そのようなステップは、非特異的結合を低減し、信号ノイズを低減する。特定の実施形態では、洗浄ステップの各々は、1回のみまたは複数の洗浄を含む。いくつかの実施形態では、両方の洗浄ステップが行われる。いくつかの実施形態では、洗浄ステップのうちの1回のみが行われる。
【0253】
いくつかの実施形態では、スポンジに吸収された洗浄溶液で内側面を洗浄することができる。いくつかの実施形態では、洗浄は、スポンジを押しつぶして第1のプレートの内側面上に洗浄液を放出し、スポンジを解放して洗浄液を再吸収させることにより行われる。いくつかの実施形態では、洗浄により、検出可能な信号の検出限界(LOD)が改善される。
【0254】
ステップ(f)に続いて、第1のプレート上で捕捉された核酸は、Sequencing−by−Synthesis(SBS)技術などの配列決定手順を含む、多くの生物学的用途で使用することができる。簡単に述べると、SBSは、標的核酸を1つ以上の標識されたヌクレオチド、DNAポリメラーゼなどと接触させることにより開始することができる。標的核酸を鋳型として使用してプライマーを伸長するそれらの特徴により、検出が可能な標識されたヌクレオチドが組み込まれる。任意選択で、標識されたヌクレオチドは、ヌクレオチドをプライマーに加えるとさらなるプライマー伸長を終結させる可逆的終結特性をさらに含むことができる。例えば、可逆的ターミネーター部分を有するヌクレオチド類似体をプライマーに加えて、脱ブロッキング剤が送達されて上記部分が除去されるまでその後の伸長が起こらないようにすることができる。したがって、可逆的終結を使用する実施形態では、(検出する前または後に)脱ブロッキング試薬をフローセルに送達することができる。様々な送達ステップの間に洗浄を行うことができる。次いで、サイクルをn回繰り返して、プライマーをnヌクレオチド伸長し、それにより長さnの配列を検出する。本開示の方法によって生成されるアレイでの使用に容易に適合させることができる例示的なSBS手順、流体システム、および検出プラットフォームは、例えば、Bentley et al.,Nature 456:53−59(2008)、WO04/018497、WO91/06678、WO07/123744、米国特許第7,057,026号、同7,329,492号、同7,211,414号、同7,315,019号、または同7,405,281号、および米国特許出願公開第2008/0108082A1号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0255】
パイロシーケンシングなどのサイクリック反応を使用する他の配列決定手順を使用することができる。パイロシーケンシングは、特定のヌクレオチドが新生核酸鎖に組み込まれるときの無機ピロリン酸塩(PPi)の放出を検出する(Ronaghi, et al.,Analytical Biochemistry 242(1),84−9(1996)、Ronaghi,GenomeRes.11(1),3−11(2001)、Ronaghi et al.Science 281(5375),363(1998)、米国特許第6,210,891号、同6,258,568号、および同6,274,320号、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)。パイロシーケンシングでは、ATPスルフリラーゼによってアデノシン三リン酸(ATP)に変換することにより、放出されたPPiを検出でき、結果として生じたATPをルシフェラーゼが生成した光子により検出することができる。したがって、配列決定反応は、ルミネセンス検出システムによりモニタリングすることができる。蛍光ベースの検出システムに使用される励起放射線源は、パイロシーケンシング手順には必要ない。本開示のアレイへのパイロシーケンシングの適用に使用することができる有用な流体システム、検出器、および手順は、例えば、WIPO特許出願第PCT/US11/57111号、米国特許出願公開第2005/0191698A1号、米国特許第7,595,883号、および米国特許第第7,244,559号に記載され、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0256】
例えば、Shendure et al.Science 309:1728−1732(2005)、米国特許第5,599,675号、および米国特許第5,750,341号(これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものを含む、Sequencing−by−ligation反応も有用である。いくつかの実施形態は、例えば、Bains et al.,Journal of Theoretical Biology 135(3),303−7(1988)、Drmanac et al.,Nature Biotechnology 16,54−58(1998)、Fodor et al.,Science 251(4995),767−773(1995)、およびWO1989/10977に記載されるような、Sequencing−by−ligation手順を含むことができ、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。Sequencing−by−ligation手順およびsequencing−by−hybridization手順の両方において、ゲルを含有するウェル(または他の凹形の特徴物)に存在する核酸は、オリゴヌクレオチドの送達および検出の繰り返しサイクルに供される。本明細書または本明細書で引用される参考文献に記載されるSBS法のための流体システムは、sequencing−by−ligation手順またはsequencing−by−hybridization手順での試薬の送達のために容易に適合させることができる。典型的には、オリゴヌクレオチドは、蛍光標識され、本明細書または本明細書で引用される参考文献におけるSBS手順に関して記載されているものと同様の蛍光検出器を使用して検出することができる。
【0257】
いくつかの実施形態は、DNAポリメラーゼ活性のリアルタイムモニタリングを含む方法を利用することができる。例えば、ヌクレオチドの組み込みは、フルオロフォアを保有するポリメラーゼとγ−リン酸標識ヌクレオチドとの間の蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)相互作用により、またはゼロモード導波路(zeromode waveguides)を用いて検出することができる。FRETに基づく配列決定の手法および試薬は、例えば、Levene et al.Science 299,682−686(2003)、Lundquist et al.Opt.Lett.33,1026−1028(2008)、Korlach et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,1176−1181(2008)に記載され、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0258】
いくつかのSBSの実施形態は、ヌクレオチドが伸長生成物に取り込まれるときに放出されるプロトンの検出を含む。例えば、放出されたプロトンの検出に基づく配列決定は、電気的検出器およびIon Torrent(コネチカット州ギルフォード、Life Technologiesの子会社)から市販されている関連技術、または米国特許公開第2009/0026082A1号、同2009/0127589A1号、同2010/0137143A1号、もしくは同2010/0282617A1号に記載される配列決定方法およびシステムを使用することができ、これらの各々は参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態では、放出されたプロトンを検出するために使用される電気的検出器は、ウェルを含むように改変することができ、ウェルは、本明細書に記載のゲル材料を含有することができる。
【0259】
QMAXのいくつかの実施形態では、プレートの一方または両方の試料接触領域は、COF後にどれだけのフローが発生したかをモニタリングするように構成された圧縮オープンフローモニタリング表面構造(MSS)を含む。例えば、いくつかの実施形態では、MSSは、試料中の成分(例えば、血液中の血球)に摩擦を引き起こす浅い正方形のアレイを含む。試料のいくつかの成分の分布を確認することにより、COF下での試料およびその成分のフローに関連する情報を取得することができる。
【0260】
MSSの深さは、スペーサーの高さの1/1000、1/100、1/100、1/5、1/2またはいずれかの2つの値の範囲であり、突起またはウェル形態のいずれかであり得る。
【0261】
本発明の例
図38は、核酸配列決定のための第1のプレートの調製ステップの例を示している。
【0262】
この例における第1のプレートは、厚さ1mmのアクリル基板上に製造された3um×3umのサイズ、5umの周期、1umの深さを有する正方形のウェルである。各ウェルの底には、100nmの金および1nmのチタンが置かれている。このデバイスでは、1mm
2面積の第1のプレートは各々、40,000個のウェルを有する。ナノインプリントリソグラフィ、反応性イオンエッチング(RIE)、電子ビーム蒸着などを含む大面積ナノ加工法によるこのナノ構造の製造。
【0263】
室温で一晩、ウェル底部の金上にコーティングされた1uMのチオール化捕捉プローブを選択した。
次いで、第1のプレートをPBSTで3回すすぎ、次いで50uM MCHで30分間ブロッキングし、次いでPBSTで3回すすいだ。
図39は、標的核酸を捕捉するための閉鎖構成のQMAXデバイスの例示的実施形態の概略図である。
【0264】
1μLの標的プローブ(濃度はTE緩衝液で希釈された1pMよりもはるかに低く、これは、試料中の核酸プローブの総数が第1のプレート上のウェル数よりもはるかに少ないことを確認するためである)を、開放構成において第1のプレートに添加する。
いくつかの実施形態では、標的プローブは、結合プローブの以下の測定および評価を容易にするために標識に結合される。標識は、該標識が上記捕捉剤への結合前または結合後のいずれかで、直接的または間接的に、発光標識または光学的に検出可能な標識である。標識は、ラマン散乱、色度、ルミネセンス、蛍光、エレクトロルミネセンス、ケミルミネセンス、および/または電気化学ルミネセンスの信号を伴った標識である。本明細書で使用される場合、「発光標識」という用語は、外部励起下のときに発光することができる標識を指す。これはルミネセンスであり得る。蛍光標識(色素分子または量子ドットを含む)、およびルミネセンス標識(例えば、エレクトロルミネセンスまたはケミルミネセンス標識)は、発光標識の類型である。外部励起は、蛍光では光(光子)、エレクトロルミネセンスでは電流、ケミルミネセンスでは化学反応である。外部励起は、上記の組み合わせにすることができる。「標識分析物」という語句は、標識の存在を評価することによって分析物を検出することができるように、発光標識で検出可能に標識された分析物を指す。標識分析物は直接的に標識されてもよく(すなわち、分析物自体は、例えば強い結合、例えば共有結合または非共有結合を介して、標識に直接結合されてもよい)、または標識分析物は間接的に標識されてもよい(すなわち、分析物は、直接的に標識された二次捕捉剤によって結合される)。
【0265】
液体の上部において第2のプレートを手で押圧し、QMAXを閉鎖構成にする。ここで使用される第2のプレートは、175umのPMMA基板上に30×40umの柱サイズ、80umの間隔距離、30umの柱高さを有するXプレートである。
【0266】
QMAXデバイスを1分間インキュベートし、第2のプレートを剥がす。
DNAウォッシャー(5×SSC+0.05% Tween20)を含有するスポンジで第1のプレートを3回すすぐ。
第1のプレートは、以下の核酸配列決定ステップの準備がされている。
【0267】
結果の例
図40は、(a)1pM濃度の1μLの標的核酸試料を使用したQMAX、(b)10fM濃度の100uLの核酸試料を使用した通常の96マイクロウェルプレート、(c)1pM濃度の100uLの標的核酸試料を使用した通常の96マイクロウェルプレートでの標的DNAを捕捉するための代表的な時間経過研究を示している。x軸は、インキュベーション時間である。y軸は、捕捉された核酸に結合したIR−800色素からの蛍光信号である。実験プロセスは
図37のフローチャートに従う。
【0268】
明らかに、QMAXデバイスでは、インキュベーション飽和時間が最速(約1分)であり、必要な試料量が最小(1uL)である。低濃度(10fM)の100uLの試料を使用した通常の96マイクロウェルの第1のプレートをインキュベートした際には、捕捉プロセスは120分以内に飽和せず、第1のプレートははるかに低い信号を有する。高濃度(1pM)の100uLの同じ試料を使用した通常の96マイクロウェルの第1のプレートをインキュベートした際には、捕捉プロセスはQMAXデバイスほど速く飽和せず、QMAXデバイスよりも100倍の試料量を必要とする。
【0269】
実施例によって示されるように、いくつかの実施形態では、本発明は、高速で、簡素で、持ち運び可能で、わずか1uL以下の試料しか必要としない、配列決定のための核酸を捕捉するためのプラットフォームを提供する。本発明では、試料量および捕捉時間を正確に制御することができるように指定されたパラメーターを使用して、浅い密閉空間で核酸の捕捉を行うことができる。いくつかの実施形態では、分子のブラウン運動は浅い空間では制限され、したがって分子結合の平衡に速く達することができる。このプラットフォームは、従来のマイクロタイタープレートで行われる任意の核酸配列決定に適合させることができ、したがって幅広い用途を有する。
【0270】
追加の例
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、100nm、1um、5um、10um、20um、50um、500um、1mmまたはいずれかの2つの値の間の範囲、および500nm〜1um、1um〜10μmまたは10um〜30um、30um〜50umの好ましい範囲の高さを有することができる。
【0271】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、1um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では0.1秒未満、核酸(20bp)では0.1秒未満である。
【0272】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、2um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では0.3秒未満、核酸(20bp)では0.1秒未満である。
【0273】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、5um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では2秒未満、核酸(20bp)では1秒未満である。
【0274】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、10um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では10秒未満、核酸(20bp)では5秒未満である。
【0275】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、30um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では60秒未満、核酸(20bp)では30秒未満である。
【0276】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、50um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質で2分未満、核酸(20bp)で1分未満である。
【0277】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、100um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質で10分未満、核酸(20bp)で5分未満である。
【0278】
本明細書に記載のデバイスまたは方法では、試料を飽和結合時間にわたってインキュベートすることができる。いくつかの実施形態では、飽和結合時間は、標的実体が閉鎖構成における均一厚層の厚さを横切って拡散するのにかかる時間と等しいかまたはそれより長い。いくつかの実施形態では、飽和結合時間は、標的実体が閉鎖構成における均一厚層の厚さを横切って拡散し、結合部位に結合するのにかかる時間と等しいかまたはそれより長い。いくつかの実施形態では、飽和結合時間は、標的実体が結合部位の最小横寸法を横切って横方向に拡散するのにかかる時間よりも著しく短い。いくつかの実施形態では、飽和結合時間は、インキュベーション終了時には、結合部位に結合している標的実体の大部分が関連する体積の試料に由来するものである。いくつかの実施形態では、インキュベーションは、標的実体が結合部位に結合することを可能にし、関連する体積は、閉鎖構成における結合部位の上方にある試料の一部である。
【0279】
特定の実施形態では、インキュベーション時間は1秒〜10秒の範囲である。特定の実施形態では、インキュベーション時間は10秒〜30秒の範囲である。特定の実施形態では、インキュベーション時間は30秒〜60秒の範囲である。特定の実施形態では、インキュベーション時間は1分〜5分の範囲である。特定の実施形態では、インキュベーション時間は5分〜10分の範囲である。特定の実施形態では、インキュベーション時間は10分〜30分の範囲である。
【0280】
本実施形態
均一な核酸検出アッセイを実施するための方法であって、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートを備えるQMAXデバイスを取得するステップであって、
第1のプレートおよび第2のプレートがそれぞれ、1つ以上の標的核酸を含有する試料と接触するための試料接触領域を含み、
第1のプレートが、その試料接触領域上に、
(i)表面増幅表面と、
(ii)該増幅表面上に固定されており、標的核酸の一部に特異的に結合する標的特異的核酸プローブと
を含む結合部位を含み、
第2のプレートが、標的核酸の別の部分に特異的に結合する標的特異的核酸検出剤を含む試薬貯蔵部位を含む試料接触領域を含む、ステップと、
(b)プレートが開放構成にあるときに、プレートの一方または両方の上に試料を置くステップと、
(c)プレートを閉じて閉鎖構成にするステップと、
(d)(c)の後、プレートを閉鎖構成のままにしながら、かつ任意の洗浄ステップなしで、読み取りデバイスで試料接触領域を読み取ることにより標的核酸を検出して、信号の画像を生成するステップと
を含み、
(i)閉鎖構成での試料の厚さ、(ii)閉鎖構成における試料に溶解した標識の濃度、および(iii)近接依存性増幅表面の増幅率は、標的核酸を介して核酸プローブに間接的に結合している標識が、表面増幅表面に結合していない任意の生体物質または標識を洗い流すことなく可視化されるように構成され、
構成の1つは、2つのプレートの内側面の間の平均間隔が少なくとも200umである開放構成であり、
構成のうちの別の構成は、試料の少なくとも一部が2つのプレートの間にあり、かつプレートの内側面の間の平均間隔が200um未満である、閉鎖構成である、方法。
【0281】
均一な試料を分析するためのデバイスであって、
第1のプレート、第2のプレート、および結合部位を備え、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートが、異なる構成になるように互いに対して移動可能であり、そのそれぞれの表面上に、標的分析物を含有する試料と接触するための試料接触領域を有し、
(b)第1のプレート上の試料接触領域が、
(i)近接依存性信号増幅層と、
(ii)標的核酸の一部に結合する、近接依存性信号増幅層に付着した標的特異的核酸プローブと
を含む結合部位を有し、
(c)第2のプレート上の試料接触領域が、標的核酸の別の部分に結合する標的特異的核酸検出剤を含む試薬貯蔵部位を含み、
構成の1つは開放構成であり、
構成のうちの別の構成は、試料の少なくとも一部が2つのプレートの間にある閉鎖構成であり、
閉鎖構成での試料の厚さ、閉鎖構成における試料に溶解した標識の濃度、および近接依存性信号増幅層の増幅率は、標的特異的核酸プローブに間接的に結合している標識のいずれもが、結合していない標識を洗い流すことなく可視化されるように構成されている、デバイス。
【0282】
サーマルサイクラーおよび実施形態2のデバイスを備える、装置。
【0283】
サーマルサイクラー、実施形態2のデバイス、およびリアルタイムPCR用の読み取り器を備える、装置。
【0284】
迅速な核酸検出アッセイのための方法であって、
(a)第1のプレートおよび第2のプレートを備えるQMAXデバイスを取得するステップであって、
第1のプレートおよび第2のプレートがそれぞれ、1つ以上の標的核酸を含有する試料と接触するための試料接触領域を含み、
第1のプレートが、その試料接触領域上に結合部位を含み、結合部位が、該部位上に固定されておりかつ標的核酸の一部に特異的に結合する標的特異的核酸プローブを含み、
第2のプレートが、標的核酸の別の部分に特異的に結合する標的特異的核酸検出剤を含む試薬貯蔵部位を含む試料接触領域を含む、ステップと、
(b)プレートが開放構成にあるときに、プレートの一方または両方の上に試料を置くステップと、
(c)一定期間のインキュベーションのためにプレートを閉じて閉鎖構成にするステップと、
(d)プレートを開き、洗浄溶液を有する洗浄スポンジで一定期間にわたってプレートを再度押圧し、次いで洗浄スポンジを解放するステップと、
(e)(d)の後、読み取りデバイスで試料接触領域を読み取って、信号の画像を生成するステップと
を含み、
(i)閉鎖構成での試料の厚さ、(ii)閉鎖構成における試料に溶解した標識の濃度、および(iii)近接依存性増幅表面の増幅率は、標的核酸を介して核酸プローブに間接的に結合している標識が、近接依存性増幅表面に結合していない任意の生体物質または標識を洗い流すことなく可視化されるように構成され、
構成の1つは、2つのプレートの内側面の間の平均間隔が少なくとも200umである開放構成であり、
構成のうちの別の構成は、試料の少なくとも一部が2つのプレートの間にあり、かつプレートの内側面の間の平均間隔が200um未満である、閉鎖構成である、方法。
【0285】
閉鎖構成における第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔は、標的分析物の捕捉剤への飽和結合時間が300秒以下になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0286】
閉鎖構成における第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔は、標的分析物の捕捉剤への飽和結合時間が300秒以下になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0287】
閉鎖構成における第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔は、標的分析物の捕捉剤への飽和結合時間が60秒以下になるように構成されている、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0288】
標的核酸が、ゲノムDNA、cfDNA、cDNA、ctDNA、mRNA、およびmiRNAを含む、DNAまたはRNAである、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0289】
ステップ(b)から結果を得るまでの時間が10分未満である、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0290】
閉鎖構成での試料の厚さ、閉鎖構成における試料に溶解した標識の濃度、および表面増幅層の増幅率は、プローブに直接的または間接的に結合している標識のいずれもが、結合していない標識を洗い流すことなく、閉鎖構成において可視化されるように構成されている、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0291】
近接依存性増幅表面に結合した標識が、60秒未満で可視化される、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0292】
近接依存性増幅表面に結合した標識が、60秒未満で可視化される、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0293】
貯蔵部位が、閉鎖構成において第1のプレート上の結合部位のほぼ上方にある、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0294】
標的特異的核酸プローブおよび標的特異的核酸検出剤が、標識を含むサンドイッチを形成する、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0295】
信号が、増幅表面に結合していない任意の生体物質または標識を除去するための洗浄ステップを使用せずに読み取られる、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0296】
増幅表面に結合した標識が、個々の結合事象を計数することにより読み取られる、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0297】
増幅表面に結合した標識が、一括読み取り法によって読み取られる、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0298】
アッセイが、0.1nM以下の検出感度を有する、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0299】
アッセイが、スポンジを使用して、増幅表面に結合していない生体物質または標識を除去することを含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0300】
信号増幅層がD2PAを含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0301】
信号増幅層が金属材料層を含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0302】
信号増幅層が、金、銀、銅、アルミニウム、それらの合金、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される材料で作られた連続金属フィルムを含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0303】
異なる金属層が、光信号を増強するために、局所的に増強するかもしくは反射体として機能するかまたはその両方である、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0304】
信号増幅層が、金属材料層、および金属材料層の上部の誘電材料を含み、捕捉剤が誘電材料上にある、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0305】
金属材料層が、均一な金属層、ナノ構造金属層、または組み合わせである、上記実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0306】
プラズモン増強により信号を増幅する、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0307】
アッセイが、ラマン散乱により標識を検出することを含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0308】
第1のプレートの試料接触領域が、近接依存性増幅表面を含むが標的特異的核酸プローブを含まない部位をさらに含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0309】
アッセイが、近接依存性増幅表面を含むが標的特異的核酸プローブを含まない部位を読み取ることによりバックグラウンド信号を計算することを含む、先行する実施形態のいずれかのデバイス、装置、または方法。
【0310】
デバイスが、プレートの1つの上に固定されたスペーサーをさらに備え、スペーサーが、閉鎖構成における第1のプレートと第2のプレートとの間の間隔を調節する、先行する実施形態のいずれかのデバイスまたは方法。
【0311】
表面増幅層の増幅率が、捕捉剤に直接的または間接的に結合した単一の標識からの光信号を可視化するように調整される、先行する実施形態のいずれかのデバイスまたは方法。
【0312】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、100nm、1um、5um、10um、20um、50um、500um、1mmまたはいずれかの2つの値の間の範囲、および500nm〜1um、1um〜10umまたは10um〜30um、30um〜50umの好ましい範囲の高さを有することができる。
【0313】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは1um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では0.1秒未満、核酸(20bp)では0.1秒未満である。
【0314】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、2um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では0.3秒未満、核酸(20bp)では0.1秒未満である。
【0315】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、5um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では2秒未満、核酸(20bp)では1秒未満である。
【0316】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、10um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では10秒未満、核酸(20bp)では5秒未満である。
【0317】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、30um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質では60秒未満、核酸(20bp)では30秒未満である。
【0318】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、50um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質で2分未満、核酸(20bp)で1分未満である。
【0319】
本明細書に記載のデバイスまたは方法において、スペーサーは、100um以下の高さを有することができ、それにより、飽和インキュベーション時間(または飽和結合時間)は、タンパク質で10分未満、核酸(20bp)で5分未満である。
【0320】
関連文書
本発明は、様々な実施形態を含み、これらは、様々な構成要素が互いに矛盾しない限り、複数の様式で組み合わせることができる。実施形態は、別個独立としてではなく、単一の発明出願とみなされるべきであり、各出願は、参照として他の出願を有し、また、あらゆる目的のためにその全体が参照される。これらの実施形態は、本出願の開示だけでなく、本明細書において参照され、組み込まれ、または優先権が主張される文書も含む。
【0321】
(10)定義
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法を説明するために使用される用語は、本出願、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に定義されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0322】
「CROFカード(またはカード)」、「COFカード」、「QMAXカード」、「Qカード」、「CROFデバイス」、「COFデバイス」、「QMAXデバイス」、「CROFプレート」、「COFプレート」、および「QMAXプレート」は、いくつかの実施形態では、COFカードはスペーサーを備えていないことを除いて、互換性があり、これらの用語は、異なる構成(開放構成および閉鎖構成を含む)になるように互いに対して移動可能である第1のプレートおよび第2のプレートを備え、プレート間の間隔を調節するスペーサーを備える(COFカードのいくつかの実施形態を除く)、デバイスを指す。「Xプレート」という用語は、CROFカードの2つのプレートのうちの1つを指し、スペーサーはこのプレートに固定されている。COFカード、CROFカード、およびXプレートのより詳細は、2017年2月7日に出願された仮出願シリアル番号第62/456065号に提供され、これはあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0323】
(11)Qカード、スペーサー、および均一な試料の厚さ
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカード、スペーサー、および均一な試料の厚さの実施形態を含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、試料の少なくとも一部を均一性の高い層にするのに役立つスペーサーを備える。スペーサーの構造、材料、機能、バリエーション、および寸法、ならびにスペーサーおよび試料層の均一性は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0324】
(12)ヒンジ、オープニング用ノッチ、凹型エッジ、およびスライダー
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、Qカードの操作および試料の測定を容易にするのに役立つヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダーを備える。ヒンジ、ノッチ、凹部、およびスライダーの構造、材料、機能、バリエーション、寸法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0325】
(13)Qカード、スライダー、およびスマートフォン検出システム
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、試料の検出、分析、および定量化のためにQカードを含むか、または使用することができる。いくつかの実施形態では、Qカードは、カードがスマートフォン検出システムによって読み取られることを可能にするスライダー(slider)とともに使用される。Qカード、スライダー、およびスマートフォン検出システムの構造、材料、機能、バリエーション、寸法、および接続は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0326】
(14)検出方法
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々なタイプの検出方法を含むか、または使用することができる。検出方法は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0327】
(15)標識、捕捉エージェント、および検出エージェント
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、分析物検出に使用される様々なタイプの標識、捕捉剤、および検出剤を使用することができる。標識は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0328】
(16)分析物
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な種類の分析物(バイオマーカーを含む)の操作および検出に適用することができる。分析物は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0329】
(17)用途(分野および試料)
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、様々な用途(分野および試料)に使用することができる。用途は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0330】
(18)クラウド
本明細書に開示されるデバイス、システム、および方法は、データ転送、ストレージ、および/または分析のためにクラウド技術を使用することができる。関連するクラウド技術は、本明細書に開示されているか、または2016年8月10日および2016年9月14日にそれぞれ出願されたPCT出願(米国を指定)第PCT/US2016/045437号および第PCT/US0216/051775号、2017年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/456065号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456287号、2017年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/456504号に列挙、記載、および要約されており、それらの全ての出願は、あらゆる目的のためにそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0331】
本方法およびデバイスの使用を制限することを意図することなく、いくつかの実施形態では、該方法は、臨床試料由来の微生物病原体を同定するために用いてもよい。これらの実施形態では、標的配列は、どの病原体が感染症の原因であるかが分からない複数の異なる病原体(例えば、少なくとも10種または少なくとも100種の異なる病原体)に由来してもよく、本方法、組成物、およびキットを使用して同定され得る微生物には、複数種のグラム(+)細菌、複数種のグラム(−)細菌、腸内細菌科の複数種の細菌、エンテロコッカス属の複数種の細菌、スタフィロコッカス属の複数の細菌種、およびカンピロバクター属の複数の細菌種、大腸菌(E.coli)、様々な株の大腸菌、例えば、K12−MG1655、CFT073、O157:H7 EDL933、O157:H7 VT2−Sakaiなど、肺炎連鎖球菌、緑膿菌、黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌、C.アルビカンス、C.トロピカリス、C.デュブリニエンシス、C.ビスワナチイ、C.パラプローシスを含む複数のカンジダ属種、肺炎桿菌、複数のマイコバクテリウム属種、例えば、結核菌、M.ボビス、M.ボビス BCG、M.スクロフラセウム、M.カンサシ、M.ケロネー、M.ゴルドナエ、M.ウルセランス、M.ゲナベンス、M.ゼノイ、M.シミエ、M.フォーチュイタム、M.マルモエンス、M.セラツム、M.ヘモフィルム、およびM.アフリカヌム、リステリア属種、クラミジア属種、マイコプラズマ属種、サルモネラ属種、ブルセラ属種、エルシニア属種などが含まれるが、これらに限定されない。したがって、対象の方法は、微生物の属、種、亜種、株、またはバリアントのレベルまで微生物の同定を可能にする。
【0332】
追加の留意事項
本開示による本発明対象のさらなる例は、以下の列挙された段落に記載されている。
【0333】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、「単一」という語が使用される場合などの文脈がそうではないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。例えば、「分析物」についての言及は、単一の分析物および複数の分析物を含み、「捕捉剤」についての言及は、単一の捕捉剤および複数の捕捉剤を含み、「検出剤」についての言及は、単一の検出剤および複数の検出剤を含み、「剤」についての言及には、単一の剤および複数の剤が含まれる。
【0334】
本明細書で使用される場合、「適合させる」および「構成される」という用語は、要素、構成要素、または他の対象物が所与の機能を果たすように設計および/または意図されることを意味する。したがって、「適合される」および「構成される」という用語の使用は、特定の要素、構成要素、または他の対象物が特定の機能を単に果たす「ことができる」ことを意味すると解釈されるべきではない。同様に、特定の機能を果たすように構成されるとして記載されている対象物は、さらにまたはあるいは、その機能を果たすように作動するものとして説明され得る。
【0335】
本明細書で使用される場合、「例えば」という句、「例として」という句、および/または「例」もしくは「例示的な」という用語は、本開示による1つ以上の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法に関して使用される場合、記載された構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法が、本開示による構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法の例示的で非排他的な例であることを伝えることを意図している。したがって、記載される構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法は、限定されること、必須とされること、または排他的/網羅的であることを意図してなく、構造的および/もしくは機能的に類似するならびに/または同等である構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法を含む他の構成要素、特徴、詳細、構造、実施形態、および/または方法もまた、本開示の範囲内である。
【0336】
本明細書で使用される場合、2つ以上の実体(entity)の列挙に関して「のうちの少なくとも1つ」および「1つ以上」という句は、実体の列挙中における実体のうちの任意の1つ以上を意味し、実体の列挙内に具体的に列挙されている各々および全ての実体のうちの少なくとも1つに限定されない。例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(もしくは、同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、Aのみ、Bのみ、またはAおよびBの組み合わせであってもよい。
【0337】
本明細書で使用される場合、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「および/または」という用語は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、および(3)第1の実体および第2の実体のうちの1つを意味する。「および/または」を用いて列挙された複数の実体は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された実体のうちの「1つ以上」と解釈すべきである。「および/または」の句によって具体的に特定された実体以外に、具体的に特定されたそれらの実体に関連するかどうかに関わらず、他の実体が任意選択で存在してもよい。
【0338】
数値範囲が本明細書で言及される場合、本発明は、端点が含まれる実施形態、両方の端点が除外される実施形態、および一方の端点が含まれ、かつ他方が除外される実施形態を含む。別段の指示がない限り、両方の端点が含まれると見なすべきである。さらに、別段の指示がない限り、または文脈および当業者の理解から明らかでない限り。
【0339】
任意の特許、特許出願、または他の参考文献が参照により本明細書に組み込まれ、(1)本開示の組み込まれない部分または他の組み込まれた参考文献のいずれかに矛盾する様式で用語を定義する場合において、および/または(2)その他の点でそれらと矛盾する場合において、本開示の組み込まれていない部分が支配するものとし、その中の用語または組み込まれた開示は、用語が定義されている、および/または組み込まれた開示が元々存在していた参考文献に関してのみ支配するものとする。