特表2020-511318(P2020-511318A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-511318運動を分析するための装置および駆動装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-511318(P2020-511318A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(54)【発明の名称】運動を分析するための装置および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 11/00 20060101AFI20200319BHJP
   F16H 21/54 20060101ALI20200319BHJP
【FI】
   B25J11/00 D
   F16H21/54
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-547365(P2019-547365)
(86)(22)【出願日】2018年2月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2018054245
(87)【国際公開番号】WO2018158120
(87)【国際公開日】20180907
(31)【優先権主張番号】102017104335.7
(32)【優先日】2017年3月2日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505257752
【氏名又は名称】フィジック インストゥルメント(ピーアイ)ゲーエムベーハー アンド ツェーオー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンキン、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ミュラーライエ、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3C707
3J062
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707BS24
3C707KS33
3J062AA21
3J062AA36
3J062AA39
3J062AA60
3J062AB28
3J062AC10
3J062BA40
3J062CB04
3J062CB18
3J062CB28
3J062CB30
3J062CB33
3J062CG67
3J062CG83
(57)【要約】
本発明は、プラットフォームに割り当てられた複数の物体で作られた設備の運動を分析するための装置に関し、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部が設けられ、振動分析および/または力分析のための手段を有している。本発明によれば、この装置は、以下の変数、すなわち周波数、振動のねじり成分の回転中心、ねじり振動の回転軸、デカルト振動の変位ベクトル、および振動の互いの振幅比のうちの少なくとも1つに関して、物体および/またはプラットフォームの固有振動モードを分析して明らかにするための振動分析モジュールと、物体および/またはプラットフォームに関して予め定められた軌道上で生じる加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにするための力分析モジュールとを、モジュール式の構成にて有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォームに割り当てられた複数の物体(403;405)を備える設備(400a)の運動を分析するための装置(407)であって、該物体のうちの少なくとも1つに特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部(403a)が設けられ、振動分析および/または力分析のための手段を有し、モジュール構造である前記装置は、以下の変数、すなわち周波数、振動のねじり成分の回転中心、ねじり振動の回転軸、デカルト振動の変位ベクトル、および振動の互いの振幅比のうちの少なくとも1つに関して、前記物体および/または前記プラットフォームの固有振動モードを分析して明らかにするための振動分析モジュール(407a)と、前記物体および/または前記プラットフォームに関して予め定められた軌道上で生じる加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにするための力分析モジュール(407b)と、を備えることを特徴とする装置(407)。
【請求項2】
前記振動分析モジュール(407a)は、慣性点質量に基づいて振動を分析するように構成され、前記力分析モジュール(407b)は、慣性点質量に基づいて力を分析するように構成されている、請求項1に記載の装置(407)。
【請求項3】
前記振動分析モジュール(407a)は、ヘキサポッドの固有振動を分析して明らかにするように構成され、前記力分析モジュール(407b)は、ヘキサポッドの脚の、脚負荷または力を分析して明らかにするための脚負荷モジュールとして構成されている、請求項1または2に記載の装置(407)。
【請求項4】
前記振動分析モジュール(407a)は、関節アームの固有振動を分析して明らかにするように構成され、前記力分析モジュール(407b)は、関節アームの関節の、関節負荷または力を明らかにするための関節負荷モジュールとして構成されている、請求項1に記載の装置(407)。
【請求項5】
プラットフォーム(401a)に割り当てられた複数の物体(430;405)を備える設備(400a)の駆動装置(400)であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部(403a)が設けられ、振動の分析および影響、力の分析および制御、ならびに/あるいは運動経路の分析および制御のための分析制御手段(407)を有しており、該分析制御手段は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置を備え、前記物体の一連の運動の開始前に力を分析し、一連の運動の最中に運動を分析するように構成されている、駆動装置(400)。
【請求項6】
前記分析制御手段(407)は、入力側で前記力分析モジュール(407b)に接続され、随意により前記振動分析モジュール(407a)に接続された負荷変化モデリングユニット(407c)を備え、該負荷変化モデリングユニット(407c)は、ユーザによる対応する入力の結果として、または前記設備(400a)における負荷変化の場合に自動的に、負荷ケース変化をモデル化するように構成されている、請求項5に記載の駆動装置(400)。
【請求項7】
前記分析制御手段(407)は、予め計算されたパラメータテーブルを参照テーブルのやり方で記憶する記憶ユニット(407d)と、前記記憶ユニットに接続され、前記予め計算されて記憶されたパラメータテーブルの結果として前記物体の一連の運動の最中に運動経路補正を実行する運動経路補正ユニット(407e)とを備える、請求項5または6に記載の駆動装置(400)。
【請求項8】
前記振動分析モジュール(407a)および前記力分析モジュール(407b)の出力に接続されたコントローラを含む少なくとも1つの関節アームを備えるパラレルまたはハイブリッドロボットの駆動装置として構成され、コントローラのパラメータ化が、前記振動分析モジュール(407a)および前記力分析モジュール(407b)の出力データの結果として実行される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の駆動装置(400)。
【請求項9】
ツールをワークピースに対して運動させるための請求項5〜8のいずれか一項に記載の駆動装置(400)を有する機械加工設備、特に工作機械。
【請求項10】
プラットフォーム(401a)に割り当てられた複数の物体(403;405)を備え、該物体のうちの少なくとも1つに駆動部(403a)が設けられている、特にヘキサポッド型または関節アーム型の設備の運動経路のシミュレーションのためのシミュレーション設備(407)であって、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置(407)と、前記物体または前記物体が割り当てられたプラットフォームについて、運動経路をシミュレートし、所望であれば許される運動空間をシミュレートするために、前記振動分析モジュール(407a)および前記力分析モジュール(407b)の出力値を処理するシミュレーション処理ユニットとを備える、シミュレーション設備(407)。
【請求項11】
プラットフォーム(401a)に割り当てられた複数の物体(403;405)を備える設備(400a)の運動を分析するための方法であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部(403a)が設けられ、
前記運動の分析は、振動分析モジュールにおいて、以下の変数、すなわち周波数、振動のねじり成分の回転中心、ねじり振動の回転軸、デカルト振動の変位ベクトル、および振動の互いの振幅比のうちの少なくとも1つに関して前記物体および/または前記プラットフォームの固有振動モードを分析して明らかにすることと、力分析モジュールにおいて、前記物体および/または前記プラットフォームに関して予め定められた軌道上で生じる加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにすることとを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記固有振動モードを分析して明らかにすること、ならびに/あるいは前記加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにすることは、慣性点質量に基づいて実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヘキサポッドの固有振動を分析して明らかにすることおよび前記力分析は、ヘキサポッドの脚の、脚負荷または力を分析して明らかにすることとして実行される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
プラットフォーム(401a)に割り当てられた複数の物体(403;405)を備える設備(400a)の駆動制御方法であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部(403a)が設けられ、前記駆動制御方法は、振動の分析および影響、力の分析および制御、ならびに/あるいは運動経路の分析および制御を備え、請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法を含み、前記物体の一連の運動の開始前に力を分析し、一連の運動の最中に運動を分析するように構成された、駆動制御方法。
【請求項15】
前記力分析モジュール(407b)の出力値を使用し、さらに随意により前記振動分析モジュール(407a)の出力値を使用して、オペレータによる対応する入力の場合に実行され、あるいは前記設備(400a)における負荷変化の場合に自動的に実行される負荷変化モデリングを含む、請求項14に記載の駆動制御方法。
【請求項16】
予め計算されたパラメータテーブルの記憶ユニット(407d)における参照テーブルのやり方での記憶と、前記予め計算されて記憶されたパラメータテーブルの結果としての前記物体の一連の運動の最中の運動経路補正の実行とを含む、請求項14または15に記載の駆動制御方法。
【請求項17】
前記振動分析モジュールおよび前記力分析モジュールの出力データの結果としてのコントローラのパラメータ化を含む少なくとも1つの関節アームを備えるパラレルまたはハイブリッドロボットの駆動制御方法として構成された、請求項14に記載の駆動制御方法。
【請求項18】
機械加工設備、特に工作機械の制御方法であって、ワークピースに対するツールの相対運動を制御するために請求項14〜17のいずれか一項に記載の駆動制御方法を含む、制御方法。
【請求項19】
プラットフォーム(401a)に割り当てられた複数の物体(403;405)を備える設備(400a)の運動経路のシミュレーションのためのシミュレーション方法であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部(403a)が設けられ、請求項11〜13のいずれか一項に記載のステップと、前記振動分析モジュール(407a)および前記力分析モジュール(407b)の出力値を処理し、前記物体または前記物体が割り当てられたプラットフォームの運動経路をシミュレートするシミュレーションステップとを備える、シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラットフォームに割り当てられた複数の物体を備える設備の運動を分析するための装置であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部が設けられ、振動分析および/または力分析のための手段を有している装置、ならびにそのような設備の駆動装置、そのような駆動装置を有する機械加工設備、およびこの種の設備の運動経路シミュレーションのためのシミュレーションに関する。さらに、本発明は、プラットフォームに割り当てられた複数の物体を備える設備の運動を分析するための方法であって、該物体のうちの少なくとも1つに、特にヘキサポッド型または関節アーム型の駆動部が設けられている方法、ならびにそのような方法を含む対応する設備の駆動制御方法、機械加工設備の制御方法、およびこの種の設備の運動経路をシミュレートするためのシミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータ、特に圧電式のリニアモータを駆動部として設けることができ、機械加工設備が、工作機械または産業用ロボットを含むことができる。
【0003】
ここで述べた種類の設備、ならびにそれに基づく処理機械およびシステムは、コンピュータ支援の製造プロセスにおいてますます使用されている。その実現には、複雑かつトラブルの発生しやすい製造環境においてさえも、高い位置決め精度を確保し、衝突を可能な限り排除することが必要である。対応する要件は、これらのシステムの複雑さおよびサイクル時間の短縮につれて、大幅に増加する。したがって、対応する運動分析装置および方法は、ここ数年における包括的な開発の主題である。例えば、そこで生み出された先行技術について、欧州特許第1 403 746号明細書、欧州特許出願公開第1 980 374号明細書、または欧州特許出願公開第2 954 986号明細書が参照される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1 403 746号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1 980 374号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2 954 986号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、特に動作の最中に変化するさまざまな使用の状況へのより良好な適応性を保証する運動を分析するためのさらに改善された一般的な装置、一般的な設備の運動を分析するための改善された方法、およびこれに基づく駆動装置、あるいはシミュレーション設備または駆動方法もしくはシミュレーション方法を提供することにある。
【0006】
この目的はその中心的な装置の態様において、請求項1の特徴を有する装置によって解決され、その中心的な方法の態様において、請求項11の特徴を有する方法によって解決される。本発明の好都合なさらなる発展が、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、モジュール式のやり方で、特に以下の変数、すなわち周波数、振動のねじり成分の回転中心、ねじり振動の回転軸、デカルト振動の変位ベクトル、および振動の互いの振幅比のうちの少なくとも1つに関して物体および/またはプラットフォームの固有振動モードを分析して明らかにするための振動分析モジュール、ならびに/あるいは物体および/またはプラットフォームに関して予め定められた軌道上で生じる加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにするための力分析モジュールを有する運動を分析するための装置を構成するというアイデアを含む。
【0008】
一実施形態において、振動分析モジュールおよび/または力分析モジュールは、慣性点質量に基づく振動または力分析用に構成される。
【0009】
さらなる実施形態において、振動分析モジュールは、ヘキサポッドの固有振動を分析して明らかにするように構成され、力分析モジュールは、ヘキサポッドの脚の、脚負荷または力を分析して明らかにするための脚負荷モジュールとして構成される。
【0010】
さらなる好都合な実施形態において、振動分析モジュールは、関節アームの固有振動を分析して明らかにするように構成され、力分析モジュールは、関節アームの関節の、関節負荷または力を明らかにするための関節負荷モジュールとして構成される。
【0011】
さらに、該当の種類の設備の駆動装置が提供され、その分析制御手段は、上述した本発明による種類の装置を備え、物体の一連の運動の開始前に力を分析し、かつ/または一連の運動の最中に運動を分析するように構成される。
【0012】
この駆動装置の一実施形態において、分析制御手段は、入力側で力分析モジュールに接続され、随意により振動分析モジュールに接続された負荷変化モデリングユニットを備え、負荷変化モデリングユニットは、ユーザによる対応する入力の結果として、または設備における負荷変化の場合に自動的に、負荷ケース変化をモデル化するように構成される。一実施形態においては、負荷変化を、実際に加えられた駆動力またはその時間依存性のレジストレーションの結果として、特定の既知の負荷変化の種類に割り当てることができる。
【0013】
負荷変化の検出へのさらなる手法は、一連の運動の最中に駆動要素によって印加または伝達された力に基づいて未知の負荷を識別すること、および例えば関連の慣性データセットを決定することによってモデル化を開始することにある。
【0014】
駆動装置のさらなる実施形態において、分析制御ユニットは、予め計算されたパラメータテーブルを、参照テーブルまたは可変の制御パラメータを決定するための仕様のやり方で記憶する記憶ユニットと、記憶ユニットに接続され、予め計算されて記憶されたパラメータテーブルの結果として物体の一連の運動の最中に運動経路補正を実行する運動経路補正ユニットとを備える。
【0015】
実際のとくに魅力的な実施形態において、駆動装置は、振動分析モジュールおよび力分析モジュールの出力に接続されたコントローラを含む少なくとも1つの関節アームを備えるパラレルまたはハイブリッドロボットの駆動装置として構成され、コントローラのパラメータ化が、これらのモジュールの出力データの結果として実行される。
【0016】
ツールをワークピースに対して運動させるために使用されるこのような駆動装置により、機械加工設備、特に工作機械または産業用ロボットを含む設備を、好都合なやり方で構築することができる。
【0017】
さらに、本発明の枠組みにおいて、すでに述べた種類の設備の運動経路のシミュレーションのためのシミュレーション設備であって、物体または物体が割り当てられたプラットフォームについて、運動経路をシミュレートし、所望であれば許される運動空間をシミュレートするために、振動分析モジュールおよび力分析モジュールの出力値を処理するシミュレーション設備が提供される。
【0018】
方法の態様において、本発明は、振動分析モジュールにおいて、以下の変数、すなわち周波数、振動のねじり成分の回転中心、ねじり振動の回転軸、デカルト振動の変位ベクトル、および振動の互いの振幅比のうちの少なくとも1つに関して物体および/またはプラットフォームの固有振動モードを分析して明らかにすることと、力分析モジュールにおいて、物体および/またはプラットフォームに関して予め定められた軌道上で生じる加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにすることとを含む運動分析の考え方を含む。
【0019】
本発明による方法の一実施形態において、固有振動モードを分析して明らかにすること、ならびに/あるいは加速力および/または重量および/またはトルクを分析して明らかにすることは、慣性点質量に基づいて実行される。
【0020】
さらなる実際に重要な実施形態において、ヘキサポッドの固有振動を分析して明らかにすること、および力分析は、ヘキサポッドの脚の、脚負荷または力を分析して明らかにすることとして実行される。
【0021】
さらに、上記指定の種類の設備の駆動制御方法であって、上述の方法を含んでおり、物体の一連の運動の開始前に力および/または振動を分析し、さらには/あるいは一連の運動の最中に運動を分析するように構成された駆動制御方法が提供される。
【0022】
好都合な実施形態において、駆動制御方法は、力分析モジュールの出力データを使用し、さらに随意により振動分析モジュールの出力データを使用して、オペレータによる対応する入力の結果として実行され、あるいは設備における負荷変化の場合に自動的に実行される負荷変化モデリングを含む。
【0023】
この提案の駆動制御方法のさらなる実施形態の枠組みにおいて、駆動制御方法は、予め計算されたパラメータテーブルの記憶ユニットにおける参照テーブルのやり方での記憶と、予め計算されて記憶されたパラメータテーブルの結果としての物体の一連の運動の最中の運動経路補正の実行とを含む。
【0024】
ここで指定された種類の駆動制御方法は、特に工作機械または産業用ロボットを含む機械加工設備において、ワークピースに対するツールの相対運動が制御される機械加工設備の制御方法の枠組みにおいて、実際的に重要である。
【0025】
最後に、本発明は、該当の種類の設備の運動経路のシミュレーションのためのシミュレーション方法であって、運動を分析するための上述の方法のステップと、振動分析モジュールおよび力分析モジュールの出力値を処理し、物体または物体が割り当てられたプラットフォームの運動経路をシミュレートするシミュレーションステップとを含むシミュレーション方法をさらに含む。
【0026】
本発明の利点および便宜は、添付の図面を参照した本発明の典型的な実施形態および態様の以下の説明から得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】運動を分析するための本発明による装置によって分析および制御される第1の典型的な設備の概略図を、斜視図のやり方で示している。
図2】運動を分析するための本発明による装置によって分析および制御される第2の典型的な設備の概略図を、斜視図のやり方で示している。
図3】運動を分析するための本発明による装置によって分析および制御される第3の典型的な設備の概略図を、斜視図のやり方で示している。
図4】典型的な実施形態による運動を分析するための本発明による装置を含む駆動装置の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1が、本発明の典型的な実施形態として、真空チャンバ103のキャリアとしてのヘキサポッド101と、X線散乱評価電子システム107と、真空チャンバをX線散乱評価電子システムへと接続する支持アーム105とを備える位置決め設備100を、X線ビーム源109とともに示している。おそらくは重い機械部品であるサンプル(図示せず)が、真空チャンバ内に配置され、材料分析の目的でX線ビーム源109からのX線照射に曝され、サンプルによって散乱させられたX線照射が、X線散乱評価電子システム107において評価される。
【0029】
したがって、ヘキサポッド101は、一連のいくつかの負荷を保持し、具体的には、外部負荷として真空チャンバ103、真空チャンバ内に配置されたサンプル、X線散乱評価電子システム107、および支持アーム105を保持し、内部負荷の形態でヘキサポッドの可動プラットフォーム101aおよび自身の脚(個別の参照番号は省略)を保持する。
【0030】
内部負荷、すなわちヘキサポッドのプラットフォーム101aおよび脚は、第一近似および計算の検討にとって無視することができる。
【0031】
真空チャンバは、その重力ゆえに、主として中心に作用し、主に直線加速度による慣性力をもたらす。レバーアームおよび電子機器の場合、重力に加えて、まず第一にトルクが関係し、これは、レバー作用をもたらす偏心位置によって引き起こされる。さらに、支持アームおよび評価電子機器の場合、ここでは、支持アームおよび評価電子機器がヘキサポッドの周囲で向きを変え、さらには/あるいは回転運動の変化に直面するときに現れる質量慣性モーメントが重要である。
【0032】
ヘキサポッドは、コントローラによって制御され、コントローラは、例えばキーパッドを介して手動で制御され、あるいはコントローラ上で実行されるプログラムを介して制御される。あるいは、コントローラは、プログラムによって制御されるやり方でホストコンピュータによって生成され、もしくはキーパッドを介してホストコンピュータ上で入力される運動コマンドを受信することができる。
【0033】
負荷を考慮できるようにするために、プラットフォームに取り付けられた負荷を、ファームウェアに知らせなければならない。これらのデータを、コントローラのデータ担体に保存し、各々の物体について個別に送信し、あるいは組み合わせられた累積負荷として計算して送信することができる。
【0034】
「慣性データセット(inertia dataset)」と呼称されて下記に示される表の中身が、ここで関連の特性に関して完全にそれぞれの負荷を指定する。重力、レバー作用によって引き起こされるトルク、すべての慣性力、および一定の回転運動または角加速度に起因して現れるすべてのジャイロ力が、完全に記述されている。慣性テンソルを使用する慣性データセットによってここに提示される物理的特性は、異なるやり方で物理的に表すことも可能である。
【0035】
1.真空チャンバの慣性データセット
【表1】
2.サンプルチャンバにおけるサンプルの慣性データセット
【表2】
3.支持アームの慣性データセット
【表3】
4.評価電子機器の慣性データセット
【表4】
【0036】
本発明によれば、
・新しい慣性データをファームウェアへと送信することができる。
・慣性データをファームウェアによって保存することができる。
・慣性データをファームウェアから検索することができる。
【0037】
保存された慣性データが、計算に追加され、あるいは計算から取り除かれる。
【0038】
図1に例として示されている種類の設備により、先行技術のさまざまな欠点を排除または回避することができ、具体的には、それによって、関連するソフトウェア(ファームウェア)が次のように構成される。
【0039】
ファームウェア側に、脚の過負荷が生じる可能性があり、あるいは傾斜が生じる可能性がある配置を排除するモジュールが統合される。
【0040】
ファームウェア側に、システムの固有振動を事前に識別し、望ましくない固有振動が発生する可能性がある配置を排除することができるモジュールが統合される。
【0041】
ファームウェア側に、自続振動が発生せず、過渡的なプロセスが減衰するように、制御パラメータを調整するモジュールが統合される。
【0042】
ファームウェア側に、その他のすべての負荷とともに発生する全体としての動的負荷が脚に過負荷を生じさせることがないようなやり方で移動速度(軌道)を制限するモジュールが統合される。
【0043】
図2は、さらなる典型的な実施形態として、設備200、具体的にはプラットフォーム201aを備えたヘキサポッド201を、概略図にて示しており、サンプル203がプラットフォーム201aに取り付けられ、ヘキサポッドのプラットフォーム201aによって動かされる。この設備は、高度に動的かつ正確な運動シミュレーションの対象であり、サンプル203は、予め定義された軌道(トラック曲線)に従う必要がある。
【0044】
定義された運動のシミュレーションは、揺れ運動に起因する恒久的な応力に技術的装置を曝すように機能することができ、あるいは画像安定化アルゴリズムの試験または検証、加速度センサの検証、などに役立つことができる。画像安定化アルゴリズムは、例えばカメラおよびカムコーダなどの民生品において役割を果たす。さらに、方向をターゲットに追従させる必要があるとともに、おそらくはそれによってレーザ源をきわめて動的に方向付けなければならない用途が存在する。
【0045】
前述の例のように、内部負荷、すなわちプラットフォームおよび脚の負荷は、分析から除外される。
【0046】
当然ながら、以下の力がサンプルから発生する。
1.その重量が、その重心から下方へと中央に作用する。
2.慣性力がデカルト加速度に対して生じる。
3.ヘキサポッドの脚を介して開始されなければならないジャイロ力が、回転運動および回転加速度に起因して生じる。
【0047】
ヘキサポッドは、コントローラによって制御され、所望の軌道がコントローラに保存され、あるいは経路がホストコンピュータを介して制御される。
【0048】
ターゲット追跡の枠組みにおける運動制御を必要とする用途の場合、これは、現在のところ、対応するセンサと組み合わせられた閉制御回路の枠組みにおいてもたらされる。
【0049】
負荷を考慮できるようにするために、プラットフォームに取り付けられた負荷を、ファームウェアに知らせなければならない。これらのデータを、コントローラのデータ担体に保存し、各々の物体について個別に送信し、あるいは組み合わせられた累積負荷として計算して送信することができる。
【0050】
ここでもやはり、「慣性データセット」と呼称されて下記に示される以下の表の中身が、ここで関連の特性に関して完全にそれぞれの負荷を指定する。重力、レバー作用によって引き起こされるトルク、すべての慣性力、および一定の回転運動または角加速度に起因して現れるすべてのジャイロ力が、完全に記述されている。慣性テンソルを使用する慣性データセットによって提示される物理的特性は、異なるやり方で物理的に表すことも可能である。
【0051】
サンプルの慣性データセットは、以下の表現を有する。
【表5】
【0052】
本発明によれば、
・新しい慣性データをファームウェアへと送信することができる。
・慣性データをファームウェアによって保存することができる。
・慣性データをファームウェアから検索することができる。
【0053】
保存された慣性データが、計算に追加され、あるいは計算から取り除かれる。
【0054】
図2に例として示されている種類の設備により、先行技術のさまざまな欠点を排除または回避することができ、具体的には、それによって、関連するソフトウェア(ファームウェア)が次のように構成される。
【0055】
ファームウェア側に、可能な限り最大のダイナミクスで姿勢の偏差が小さく保たれるように軌道のパラメータを調整するモジュールが統合される。
【0056】
ファームウェア側に、システムの固有振動を事前に識別し、必要に応じて振動の励起が回避されるように経路制御を変更することができるモジュールが統合される。
【0057】
ファームウェア側に、自続振動が発生せず、過渡的なプロセスが減衰し、経路の正確さが向上するように制御パラメータを調整するモジュールが統合される。特に、慣性データおよび軌道に基づいて決定される変動する脚の負荷を、脚の長さの調整における事前制御として使用することができる。
【0058】
ファームウェア側に、その他のすべての負荷とともに発生する全体としての動的負荷が脚に過負荷を生じさせることがないようなやり方で移動速度(軌道)を制限または調整するモジュールが統合される。
【0059】
図3は、別の典型的な設備300を示しており、その重要な要素は、やはり、可動プラットフォーム301aを備えたヘキサポッド301である。おそらくはワークピース(図示せず)の機械加工用であるツール305が固定されるツールホルダ303が、プラットフォーム301aに取り付けられる。ツールの交換の場合に、ヘキサポッドについて異なる荷重の構成が得られる。
【0060】
ここでヘキサポッドに作用する力は、ヘキサポッドの固有の弾性の結果として、経路のずれを引き起こし、ワークピースの精度に不利な影響を及ぼす。作用する力には、とりわけ重量力および質量慣性力が含まれる。次いで、これらの力は、プラットフォームによって保持されるべき負荷に依存する。
【0061】
それぞれのツールは、ヘキサポッド−ツールシステムの共振周波数に影響を及ぼす。システムの共振周波数ができる限り励起されず、したがってワークピース上のいわゆるびびりマークの形成が防止されるように、共振周波数の知識を使用して、参照テーブルを使用することによって、おそらくは運動の開始前でも、経路制御を変化させ、制御パラメータを調整することができる。
【0062】
フライスヘッドまたは切刃などの切削ツールが切削の様相でワークピースを通り過ぎる場合、ツールの経路は工作物と共有される。ツールが移動方向に対して垂直にワークピースの方向に振動し、すなわち振動を実行する場合、これらの振動は、びびり模様の形態でワークピースと共有される。
【0063】
負荷を考慮できるようにするために、プラットフォームに取り付けられた負荷を、ファームウェアに伝えなければならない。これらのデータを、コントローラのデータ担体に保存し、各々の物体について個別に送信し、あるいは計算によって単一の負荷として送信することができる。
【0064】
ここで「慣性データセット」は、やはり関連の特性に関して完全にそれぞれの負荷を説明する。重力、レバー作用によって引き起こされるトルク、すべての慣性力、および一定の回転運動または角加速度に起因して現れるすべてのジャイロ力が、完全に記述されている。慣性テンソルを使用する慣性データセットによってここに提示される物理的特性は、異なるやり方で同等に表すことも可能である。
【0065】
ツールホルダ303の慣性データセットを、以下のやり方で表すことができる。
【表6】
ツール305の慣性データセットを、以下のやり方で表すことができる。
【表7】
【0066】
本発明によれば、すべてのツールおよびすべてのツールホルダの慣性データセットをすぐに使えるように保持し、ツールが変更されるたびに有効または無効にすることができる。
【0067】
本発明によれば、
・新しい慣性データをファームウェアへと送信することができる。
・慣性データをファームウェアによって保存することができる。
・慣性データをファームウェアから検索することができる。
・保存された慣性データが、計算に追加され、あるいは計算から取り除かれる。
【0068】
図3に例として示されている種類の設備により、先行技術のさまざまな欠点を排除または回避することができ、とくに具体的には、それによって、関連するソフトウェア(ファームウェア)が次のように構成される。
【0069】
ファームウェア側に、可能な限り最大のダイナミクスで姿勢の偏差が小さく保たれるように軌道のパラメータを調整するモジュールが統合される。
【0070】
ファームウェア側に、システムの固有振動を事前に識別し、必要であれば振動の励起が回避されるように経路制御を変更することができるモジュールが統合される。
【0071】
ファームウェア側に、自続振動が発生せず、過渡的なプロセスが減衰し、経路の正確さが向上するように制御パラメータを調整するモジュールが統合される。特に、慣性データおよび軌道に基づいて決定される変動する脚の負荷を、脚の長さの調整における事前制御として使用することができる。
【0072】
ファームウェア側に、その他のすべての負荷とともに発生する全体としての動的負荷が脚に過負荷を生じさせることがないようなやり方で移動速度(軌道)を制限するモジュールが統合される。
【0073】
ファームウェア側に、慣性データセットから得られる重量力および慣性データに加えて、機械加工プロセスそのものから得られる力およびモーメント、おそらくは機械加工の最中にツールに起因してフライスヘッドに加わる抵抗も含むモジュールが統合される。
【0074】
図4は、プラットフォーム401aに割り当てられた2つの物体403、405を備えており、そのうちの物体403が駆動部403aを備えている設備400aの典型的な駆動装置400を、ブロック図のやり方で示している。駆動装置は、物体403、405の振動の分析および影響、力の分析および制御、ならびに/あるいは運動経路の分析および制御のための分析制御ユニット407をさらに備え、分析制御ユニット407は、慣性点質量に基づいて振動または力を分析するように構成された振動分析モジュール407aおよび力分析モジュール407bを備える。
【0075】
分析制御ユニット407は、入力側で振動分析モジュール407aおよび力分析モジュール407bに接続され、設備400aの負荷変化の場合に負荷変化を自動的にモデル化するように構成された負荷変化モデリングユニット407aをさらに備える。さらに、分析制御ユニット407は、予め計算されたパラメータテーブルを記憶する記憶ユニット407dと、記憶ユニットに接続され、予め計算されて記憶されたパラメータテーブルに基づいて物体の一連の運動の最中に運動経路補正を実行する運動経路補正ユニット407eとを有する。
【0076】
図4に概略的に示した設備の構成要素の機能は、上記の説明から当業者に対して得られ、したがって、さらに正確な説明は省くことができる。
【0077】
さらに、本発明を、本明細書に示した例および上記でさらに強調した本発明の態様の複数の修正形態にて、実行することが可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】