特表2020-511774(P2020-511774A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-511774一体化された回折構造を含む印刷回路を伴う電子カード、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-511774(P2020-511774A)
(43)【公表日】2020年4月16日
(54)【発明の名称】一体化された回折構造を含む印刷回路を伴う電子カード、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20200319BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20200319BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20200319BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20200319BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 G
   H05K3/46 U
   G02B5/18
   H05K1/02 F
   H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-541226(P2019-541226)
(86)(22)【出願日】2018年1月30日
(85)【翻訳文提出日】2019年9月26日
(86)【国際出願番号】FR2018050202
(87)【国際公開番号】WO2018142055
(87)【国際公開日】20180809
(31)【優先権主張番号】1750852
(32)【優先日】2017年2月1日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518403447
【氏名又は名称】アンスティテュ ヴェデコム
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キエル, フリートバルト
【テーマコード(参考)】
2H249
5E316
5E338
5F142
【Fターム(参考)】
2H249AA03
2H249AA04
2H249AA13
2H249AA14
2H249AA25
2H249AA44
2H249AA46
2H249AA55
5E316AA33
5E316AA35
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC09
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD12
5E316EE08
5E316EE09
5E316EE12
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5E316FF01
5E316GG15
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5E316GG28
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5E316HH40
5E316JJ04
5E316JJ06
5E338AA03
5E338BB71
5E338BB75
5E338EE22
5E338EE60
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB11
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD17
5F142CD32
5F142CD44
5F142CE03
5F142CE13
5F142CF03
5F142CF23
5F142CF42
5F142DA74
5F142DB13
5F142FA03
5F142FA50
5F142GA40
(57)【要約】
印刷回路を伴う電子カードは、キャビティ(15)と、回折プレート(17)と、を有する、少なくとも1つの回折構造(DS)を含む。本発明によると、回折構造は、印刷回路を伴う電子カードの厚さにおいて組み込まれている。キャビティは、印刷回路を伴う電子カードの厚さにおける、材料の除去により形成されている。回折プレートは、印刷回路を伴う電子カード上に配置され且つキャビティを閉鎖するプレート上に形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティと、回折プレートと、を有する、少なくとも1つの回折構造を含む電子印刷回路基板であって、前記回折構造(DS)は、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)の厚さにおいて一体化されており、前記キャビティ(15、15a)は、材料の除去により、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)の厚さにおいて形成されており、前記回折プレート(17、17a、17b、17c)は、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)上に貼付されており且つ前記キャビティ(15、15a)を閉鎖するプレート上に形成されていることを特徴とする、電子印刷回路基板。
【請求項2】
前記回折プレート(17、17a、17b、17c)は、誘電体プレート、銅プレート、CCLタイププレート、及び/又はRCCタイププレートから形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子印刷回路基板。
【請求項3】
前記回折プレート(17、17a、17b、17c)は、誘電体プレートから形成されており、インデンテーション技術及び/又は選択的金属蒸着技術並びにフォトリソグラフィエッチング技術を用いて実装されている回折パターン(S17)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子印刷回路基板。
【請求項4】
前記回折プレート(17、17a、17b)は、フレネルレンズ、正弦波ゾーンプレート、位相シフトゾーンプレート、又はホログラムの形態に作られていることを特徴とする、請求項3に記載の電子印刷回路基板。
【請求項5】
前記回折プレート(17c)は、開口(170c、171c)を有する回折パターンを含み、前記回折パターンは、メカニカル又はレーザミリング/ドリリングを含む材料切削技術及び除去技術を用いて作られていることを特徴とする、請求項2に記載の電子印刷回路基板。
【請求項6】
前記回折プレート(17c)は、bステージ材料から形成されており、開口(170c、171c)を有する回折パターンを含み、前記回折パターンは、前記開口(170c、171c)を形成するインデンテーション技術を用いて作られていることを特徴とする、請求項2に記載の電子印刷回路基板。
【請求項7】
前記キャビティ(15、15a)は、空気、又は、音響波若しくは光波の速度を変更する材料で満たされていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項8】
前記キャビティ(15)は、壁上に被膜層(16)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項9】
いくつかの回折構造(DS)を含み、前記回折構造は結合されて、ネットワークを形成していることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項10】
多層タイプであることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項11】
前記回折構造(DS)の前記キャビティ(15、15′)の底部に埋め込まれたエミッタ電子コンポーネント(13)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項12】
前記電子エミッタコンポーネント(13)に接触し、前記電子エミッタコンポーネント(13)により生成された熱を抽出する機能を有する導体(C10)を含むことを特徴とする、請求項11に記載の電子印刷回路基板。
【請求項13】
前記回折構造(DS)の前記キャビティ(15、15′)の前記底部に埋め込まれたレシーバ電子コンポーネント(13)を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の電子印刷回路基板。
【請求項14】
電子印刷回路基板(1、1a、1b)を製造する方法であって、前記電子印刷回路基板は、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)の厚さにおいて形成されたキャビティ(15、15a)と、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)上に貼付され且つ前記キャビティ(15、15a)を閉鎖するプレート上に形成された回折プレート(17、17a、17b、17c)と、を含む少なくとも1つの回折構造を含み、フォトリソグラフィステップ及びエッチングステップを含む方法であって、前記キャビティ(15、15a)を形成するための、材料の除去のステップと、前記電子印刷回路基板(1、1a、1b)を形成するための、いくつかの印刷回路プレート(17、P1〜P4)の積層のステップと、をさらに含むことを特徴とする、電子印刷回路基板(1、1a、1b)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2017年2月1日に出願されたフランス特許出願第2017/050852号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記特許出願の内容(本文、図面、及び特許請求の範囲)を参照により本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般的に、電子印刷回路基板の分野に関する。より具体的には、本発明は、一体化された回折構造を含む電子印刷回路基板に関する。本発明はまた、そのような電子印刷回路基板の製造方法にも関する。
【0003】
マイクロ電子工学及び小型化のための技術において、この数十年にわたって達成された進捗は、マイクロ波の分野、光学分野、及び音響分野における波の照射並びに受波及びトランスデューサのための新たな世代のコンポーネントの出現をもたらした。これらのコンポーネントの小型化及びコスト削減は、それらの広範囲な採用をもたらす。
【0004】
これらの新たな世代のエミッタ/レシーバコンポーネントは、例えば、地上輸送、航空輸送、並びに海上輸送、計装、環境、家庭用ロボット、家電、健康、オートメーション、産業用プロセス制御、及び安全の分野など、多数の応用にみられる。
【0005】
さらに、消費者向けデバイスでのこれらのエミッタ/レシーバコンポーネントの一体化が大きく成長している。このトレンドの一例が、携帯電話における、オーディオトランスデューサに加えての、電荷結合素子(charge-coupled device若しくはCCD)イメージセンサ又は相補型金属酸化膜半導体(compelementary metal oxide semiconductor若しくはCMOS)イメージセンサ及び全地球測位システム(global positioning system若しくはGPS)レシーバの広範囲な組み込みである。このトレンドは、結合オブジェクトの開発と共に、今後数年の間に成長するであろう。
【0006】
回折構造及びネットワークは、例えば、波の通路の変更のために、又は、それらのフィルタリングのために、エミッタ/レシーバコンポーネントにおいて頻繁に必要となる。したがって、例えばイメージセンサにおいて、回折構造がしばしば、センサの光学デバイス内に提供される。
【0007】
発明者は、基板の表面上に搭載されたCCDチップと、CCDチップを覆い、基板上に取り付けられている応用された光学デバイスと、を含む電子印刷回路基板に埋め込まれたイメージセンサについての知識がある。
【0008】
この従来技術は、デバイス自体の製造コスト及びデバイスの基板上への設置コストの点において、応用された光学デバイスの高コストという面で不利である。さらに、CCDチップに対する、応用された光学デバイスの位置決めでは、高い精度が求められるが、これは、センサのさらなる小型化において顕著な障害をなす。
【0009】
フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を使用しての、音響トランスデューサにおけるフレネルレンズの製造は、米国特許第7719170B1号及び米国特許第5041849A号から知ることができる。
【0010】
波の照射並びに受波のため及びトランスデューサのためのコンポーネントの、拡大が期待される市場において、小型化に適しており、寸法及びコストを削減しつつ、電子印刷回路基板に一体化することができる回折構造及びネットワークの実装における技術の進歩が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
第1の態様によると、本発明は、キャビティと、回折プレートと、を有する少なくとも1つの回折構造を含む電子印刷回路基板に関する。本発明によると、回折構造は、電子印刷回路基板の厚さにおいて一体化されている。キャビティは、材料の除去により、電子印刷回路基板の厚さにおいて形成されている。回折プレートは、電子印刷回路基板に貼付され且つキャビティを閉鎖するプレート上に形成されている。
【0012】
このようにして、回折構造を備えるエミッタデバイス又はレシーバデバイスが、本発明により、非常に低いコストかつ最小限の寸法にて、電子印刷回路基板に実装され得る。また、回折構造の寸法定義は、印刷回路製造技術を用いて達成可能な高い精度により、容易に満たされる。
【0013】
「システムインパッケージ」(System in Package又はSIP)と呼ばれるタイプの電子基板の実装がしたがって、本発明により容易となる。
【0014】
具体的な特徴によると、回折プレートは、誘電体プレート、銅プレート、銅張積層板(copper−clad laminates又はCCL)タイププレート、及び/又は樹脂被覆銅(resin−coated copper又はRCC)タイププレートから形成されている。
【0015】
具体的な実施形態によると、回折プレートは、誘電体プレートから形成されており、インデンテーション技術及び/又は選択的金属蒸着技術並びにフォトリソグラフィエッチング技術を用いて実装される回折パターンを含む。したがって、回折プレートは、フレネルレンズ、正弦波ゾーンプレート、位相シフトゾーンプレート、又はホログラムの形態にて作られている。
【0016】
別の具体的な実施形態によると、回折プレートは、開口を有する回折パターンを含む。回折パターンは、メカニカル又はレーザミリング/ドリリングを含む材料切削技術及び除去技術を用いて作られている。
【0017】
別の具体的な実施形態によると、回折プレートは、bステージ材料から形成されており、開口を有する回折パターンを含む。回折パターンは、開口を形成するインデンテーション技術を用いて作られている。
【0018】
別の具体的な実施形態によると、キャビティには、空気、又は、音響波若しくは光波の速度を変更する材料が満たされている。
【0019】
別の具体的な実施形態によると、キャビティは、壁上の被膜層を含む。
【0020】
さらに別の具体的な実施形態によると、電子印刷回路基板は、いくつかの回折構造を含む。回折構造は結合されて、ネットワークを形成する。
【0021】
別の具体的な実施形態によると、電子印刷回路基板は、多層タイプである。
【0022】
エミッタデバイスへの本発明の具体的な応用では、電子印刷回路基板は、回折構造のキャビティの底部に埋め込まれた電子エミッタコンポーネントを含む。具体的な特徴によると、電子印刷回路基板はまた、電子エミッタコンポーネントに接触し、電子エミッタコンポーネントにより生成された熱を抽出する機能を有する導体をも含む。
【0023】
レシーバデバイスへの本発明の具体的な応用では、電子印刷回路基板は、回折構造のキャビティの底部に埋め込まれた電子レシーバコンポーネントを含む。
【0024】
本発明は、マイクロ波ドメイン、光学ドメイン、及び音響ドメインにおける、様々な種類のセンサ、検出器、エミッタ、及びレシーバの実装を可能にするということに留意されたい。したがって、CCDタイプイメージセンサ又はCMOSタイプイメージセンサ並びに超音波トランスデューサ、より一般的には、発光ダイオード(light emitting diode若しくはLED)又はレーザダイオード付きの照射デバイス並びに受波デバイス、及び、遠赤外線での、フォトダイオード又はフォトトランジスタなど、が着想でき、電子印刷回路基板における、その関連する回折構造との一体化の方法にて実施することができる。
【0025】
別の態様によると、本発明はまた、電子印刷回路基板の製造方法にも関連する。電子印刷回路基板は、電子印刷回路基板の厚さにおいて形成されたキャビティと、電子印刷回路基板上に貼付され且つキャビティを閉鎖するプレート上に形成された回折プレートと、を含む、少なくとも1つの回折構造を含む。方法は、フォトリソグラフィ及びエッチングの各ステップを含む。本発明によると、方法はまた、キャビティを形成するための、材料の除去のステップと、電子印刷回路基板を形成するための、いくつかの印刷回路プレートの積層のステップと、をも含む。
【0026】
本発明の他の利点及び特徴は、以下の、本発明のいくつかの具体的な実施形態の詳細説明を、添付図面を参照して読むことにより、さらに明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、回折構造の一体化に先行する状態の、電子印刷回路基板の部分断面図である。
図2図2は、本発明からの方法の実装により、回折構造のためのキャビティが形成された、図1からの電子印刷回路基板の部分断面図である。
図3図3は、回折構造が一体化されている、図1からの電子印刷回路基板の部分断面図である。
図4図4は、本発明からの方法の実装により、回折構造のためのキャビティを有する印刷回路基板を形成するために、いくつかの印刷回路プレートが積層される前の、いくつかの印刷回路プレートの部分断面図である。
図5図5は、回折構造を含む電子印刷回路基板の上面図である。
図6A図6Aは、回折構造内に含まれる回折プレート内の開口を有する実施形態の上面図である。
図6B図6Bは、回折構造内に含まれる回折プレート内の開口を有する実施形態の断面図である。
図7図7は、ネットワークを形成するよう配置された複数の回折構造を含む電子印刷回路基板の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
一般的に、よく知られている、多層電子印刷回路基板の製造材料及び技術が、本発明に係る1つ又はそれ以上の一体化された回折構造を有する電子印刷回路基板の実装に使用される。
【0029】
したがって、繊維ガラスが載置された又は非載置の銅張積層板(copper−clad laminates又はCCL)プレート、完全に又は部分的に重合された「プリプレグ」と呼ばれる(bステージプリプレグ)、エポキシタイプ樹脂が予め含浸された誘電体、樹脂被膜付きの、銅の薄いシート又はプレート、樹脂被覆銅(resin−coated copper又はRCC)タイプ、及び接着剤を使用することができる。
【0030】
積層、フォトリソグラフィ、ウェットエッチング、及び電着などの電子印刷回路基板の製造技術が使用できる。回折プレート内に中空インプリントを形成するための、又は、開口及び切り欠きを作るためのインデンテーション技術が使用できるように、メカニカル又はレーザミリング及びドリリングなどの材料切削技術及び除去技術もまた使用できる。
【0031】
本発明に係る方法を実装することにより、一体化された回折構造を有する電子印刷回路基板を製造するステップを、図1図2、及び図3を参照して以下に説明する。
【0032】
図1は、回折構造が一体化される、多層電子印刷回路基板1を示す。
【0033】
図1に示すように、電子印刷回路基板1は従来、複数の銅導電層10及び複数の誘電体層11から形成されている。導電層10内には、接続のための導電パターンが作られており、様々な層内に位置する導電パターンの相互接続のための貫通孔12もまた作られている。電子コンポーネント13などの、回路の能動的及び受動的電子コンポーネントが、その実装中に、基板1の内部層の間に埋め込まれている。
【0034】
図1に示すエリアZAは、回折構造が埋め込まれる、基板1のエリアである。電子コンポーネント13は、このエリア内に埋め込まれている。この実施例では、赤外線(infrared又はIR)にて照射するLEDである。ここでの目的は、LED13を回折構造と組み合わせることによる、IRエミッタの実装である。もちろん、基板1におけるIR受波デバイスの実装も、例えば、赤外線照射に感応するフォトトランジスタチップを用いて、同様に行われる。
【0035】
図1に示すように、IRダイオード13は、基板1の内部層10と内部層11との間に埋め込まれている。IRダイオード13は、図1には図示しない電極を含む。電極は、基板1の銅接続パターンにはんだ付けされている。
【0036】
図1に示すように、ここでは厚い銅層を含む導体C10は、IRダイオード13の冷却のために提供されてよい。この導体C10の機能は、IRダイオード13により生成された熱を、放熱器(図示せず)に抽出することである。ここには、ダイオード13の金属表面を導体C10に接続する貫通孔12が作られている。IRエミッタのパワーによっては、導体C10を必要としてもしなくともよい。導体C10が必要な場合、逃がす必要のある熱パワーにしたがって寸法が決められる。IRレシーバの場合、導体C10はほとんど必要とされない。
【0037】
本発明によると、図2に示すキャビティ15は、基板1の厚さにおいて形成されている。本実施形態では、14とラベルする図1に示すインデキシングパターンが、基板1の上面に作られており、キャビティ15をくり抜くために使用する材料除去ツールのインデキシングが可能となっている。
【0038】
図2に示すように、IRダイオード13の上の材料が除去され、キャビティ15のための所望する体積がくり抜かれる。この材料は通常、ミリングカッターを用いて、金属層の正確なカッティングを可能にするレーザ及び/又は化学フォトエッチング技術により除去される。
【0039】
キャビティ15の寸法及び形状は従来、IR照射の波長を考慮して決定される。キャビティの深さは、コンポーネント13の照射表面と、図3に示す回折プレート17と、の間の所望する焦点距離が得られるよう決定される。
【0040】
図2に示すように、キャビティ15の壁が続いて、反射被膜層16にて覆われてよい。もちろん、この反射被膜の特性はデバイスの種類に依存し、必要であるか、又は、波長及び好適な収率に依存しないか、が判明し得る。したがって、赤外線照射の場合、いくつかの応用例では、例えば、金属層の場合における電解析出により、金合金又は他の赤外線反射材料の薄い層が蒸着されてよい。
【0041】
この構造の実装は、キャビティ15の上部を閉鎖することを意図しての、回折プレート17の配置により完了する。ここでは、回折プレート17は、フレネル誘電体レンズの形態をとる。
【0042】
プレート17はここでは、例えばエポキシ樹脂の、誘電体カバープレートから得られる。ここでは、図2にみられる、フレネルレンズを形成する回折パターンS17が提供される。回折パターンS17はここでは、例えば、インデンテーション技術を用いて作られる中空インプリントの形状を有する。
【0043】
キャビティ15の壁の上には、ショルダ18が提供される。ショルダ18は、キャビティ15の開口内の、プレート17の正確な位置決めを提供する。正確な位置決めは、回折構造の寸法定義に適合するために必要である。プレート17は、キャビティ15の開口内に接着することにより取り付けられる。
【0044】
本応用例によると、キャビティ15には、空気、又は、音響波若しくは光波の速度を変更する材料が満たされるということに留意されたい。
【0045】
回折プレート17と、内在するキャビティ15と、を含む回折構造DSを、その完成状態にて図3に示す。図3に示すように、回折構造DSは、電子印刷回路基板1内に完全に一体化されている。
【0046】
図4に示すように、本発明に係る、回折構造15a及び回折構造17aが一体化されている電子印刷回路基板1aはまた、いくつかの印刷回路プレートを積層することにより形成されてもよい。図4からの実施形態では、4つの印刷回路プレート、具体的には、P1〜P4がある。
【0047】
プレートP1〜プレートP4はそれぞれ、電子印刷回路基板の製造技術を用いて形成されている。
【0048】
材料M1及び材料M2がここでは、キャビティ15aのための意図する体積に相当する総量をくり抜くよう、プレートP2及びプレートP3から除去されている。材料M1及び材料M2は、キャビティ15のために行われたことに類似して除去される。これは通常、ミリングカッター、レーザ、及び/又は化学フォトエッチング技術を用いることを意味する。
【0049】
プレートP1は、回折エリア17aを組み込む。エリア17aは、誘電体フレネルレンズを形成する回折パターンS17を含む。
【0050】
プレートP1〜プレートP4は続いて、その積層表面上に、例えば、それらの接着を確実にするための、エポキシタイプ重合性樹脂が被膜された後に、押圧され、真空下での積層オーブンを通過して、積層される。結果として、回折構造15a及び回折構造17aを有する電子多層印刷回路基板1aが得られる。
【0051】
図2に示す層16などの反射被膜層を蒸着しなければならない場合、及び/又は、キャビティ15aを、速度を変更する材料での充填の必要がある場合、プレートP1〜プレートP4の積層は、2つのステップにて行うことができる。
【0052】
プレートP2〜プレートP3の積層がまず、キャビティ15aを形成するために行われる。キャビティ15aが形成されると、被膜層を蒸着するステップ、及び/又は、キャビティ15aを埋めるステップを行うことができる。キャビティ15aを閉鎖するプレートP1の積層により、基板1aの実装が完了する。
【0053】
図5は、基板1及び基板1aからのそれらに類似する回折構造を含む電子印刷回路基板1bを、上面図にて示す。フレネル誘電体レンズ17bは、図示しない、内在するキャビティを覆う。エミッタデバイス又はレシーバデバイスのための電子回路の集積回路19及び様々な電子コンポーネント20並びに電子コンポーネント21はここでは、基板1bの表面上に搭載されている。
【0054】
もちろん、回折構造内に組み込むことができる回折プレートは、応用例及びデバイスの種類に依存して、様々な機能、形状、及び寸法を有することができる。したがって、回折プレートは、波を集中させる、波を集約する、又は波を分散させる機能を有してよい。
【0055】
本発明では、回折プレートは、等距離の、1つ又は2つの寸法での、表面回折パターンを有する、表面回折ネットワークの形状をとってよい。これらの回折プレートは、例えば、フレネルレンズなどの同心ネットワークの形状、又は、中心のある正方形ネットワークの形状を有してよい。
【0056】
例えば、予め含浸された、カバー誘電体層、又は、はんだマスク誘電体層内に中空インプリントを作成するためのインデンテーション技術を使用すること、及び、選択的金属蒸着技術並びにフォトリソグラフィエッチングを使用することは、フレネルレンズ、正弦波ゾーンプレート、位相シフトゾーンプレート、又はホログラムの形態での回折プレートの実装を可能にする。マイクロ電子工学及びコンポーネントの分野にて得られる、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術のナノメートル単位での制御が、微細で、高精度の回折パターンを形成するために良好に使用される。
【0057】
回折プレートは、例えば、CCLプレート、プリプレグ、薄い銅プレート、又はRCCプレートから形成されてよい。
【0058】
本発明のための回折プレートはまた、特に、光学への応用及び音響への応用のために、開口を有する回折パターンをも含んでよい。したがって、メカニカル又はレーザミリング及びドリリングのような材料切削技術及び除去技術をもまた、回折プレートのパターン内に開口を形成するために使用してよい。インデンテーション技術がまた、特に、プリプレグなどのbステージ材料を使用して、回折プレートを形成する場合に、パターン内に開口及び切り欠きを形成するために求められ得る。
【0059】
開口を有する回折プレート17cを、図6A及び図6Bに示す。
【0060】
プレート17cは、4つのクオータQ1〜クオータQ4に分割された、同心回折パターンを含む。クオータQ1〜クオータQ4はそれぞれ、中央開口170cの一部と、同心開口171cと、を含む。回折プレート17cの開口170c及び開口171cを、図6Bからの断面図に示す。90°に交差するアームB1〜アームB4は、材料の、4分の1の円状の、交互に並ぶ開口及びリングを形成する回折パターンを機械的に保持する。
【0061】
図7に示すように、複数の回折構造DSが、単一の電子印刷回路基板におけるネットワーク内に広がってよい。一般的に、本発明は、例えば、M×Nの行列にしたがう、非常に多くの回折構造が配置されたネットワークの構築を可能にする。図7からの例では、回折構造DSは、M=6行×N=6列の正方行列にしたがって配置されている。
【0062】
本発明は、実施例としてここに記載する具体的な実施形態に制限されない。当業者は、本発明の応用により、ここに記載する特許請求の範囲内にて、様々な変形例及び変異例を適用し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】