【実施例】
【0124】
[実施例1]
実施例1は、プラスミノーゲンが全身性硬化症モデルマウスの心臓繊維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からモデルを構築して投薬し、0.1mg/0.1mL/匹/日でブレオマイシンを皮下注射して全身性硬化症を誘発させ
[26]、当日からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、21日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。22日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群(
図1A)の心臓コラーゲン沈着がプラスミノーゲン投与群(
図1B)より高いことは観察された。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発された心臓繊維化を効果的に減少させることができることを示している。
【0125】
[実施例2]
実施例2は、プラスミノーゲンが24〜25週齢の糖尿病マウスの心臓繊維化を改善することに関するものである。
24〜25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、31日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを31日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから重クロム酸カリウム溶液に終夜置いた。鉄ヘマトキシリンで3〜5分間染色して流水で流した。1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水で1秒間処理してから水で洗った。ポンソー酸性マゼンタ溶液にて8分間染色し、水中で素早く濯いだ。1%リンモリブデン酸水溶液で約2分間処理し、アニリンブルー溶液にて6分間複染色した。1%氷酢酸で約1分間濯いだ。無水エタノールで脱水させてキシレンで透徹にしてから封入し、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
糖尿病の最も一般的な合併症は結合組織の過度累積(病理的繊維化)であり、心筋間質の繊維化は糖尿病の心筋病変の特徴性病理的変化であるかもしれない
[28−29]。
マッソン(Masson)染色は組織の線維化を示すことができる。その結果、溶媒PBS投与対照群(
図2A)の心筋繊維間に青色の増殖したコラーゲン繊維(矢印に表記される)が見えられ、軽度の心筋繊維化が呈されている。プラスミノーゲン投与群(
図2B)の心筋繊維間に少量の水色の増殖したコラーゲン繊維が見えられ、対照群と比べ、心筋繊維化は明らかに軽減されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの心臓の繊維化を改善することができることを示している。
【0126】
[実施例3]
実施例3は、プラスミノーゲンが17〜18週齢の糖尿病マウスの心臓のコラーゲン沈着を減少させることに関するものである。
17〜18週齢のdb/dbオスマウス8匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群4匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、35日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを35日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図3B)マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図3A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることができることを示し、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、比較的に若い(17〜18週齢)糖尿病マウスの心臓組織の線維化を減少させることができることを示唆している。
【0127】
[実施例4]
実施例4は、プラスミノーゲンが26〜27週齢の糖尿病マウスの心臓のコラーゲン沈着を減少させることに関するものである。
26〜27週齢のdb/dbオスマウス9匹を取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に5匹とプラスミノーゲン投与群に4匹とした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、35日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを35日間投与した後にマウスを殺処分して心臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の心臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図4B)マウスのコラーゲン繊維の沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図4A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることができることを示し、プラスミノーゲンが心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、比較的に老齢(26〜27週齢)糖尿病マウスの心臓組織の線維化を減少させることができることを示唆している。
【0128】
[実施例5]
実施例5は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化マウスの心臓繊維化レベルを改善することに関するものである。
6週齢のApoEオスマウス13匹に高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化を誘発した
[31,32]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、測定結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に7匹とプラスミノーゲン投与群に6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間は30日間である。その期間中にずっと高脂肪高コレステロール食を給餌した。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図5B)マウスのコラーゲンの沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図5A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化モデルマウスの心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、アテローム性動脈硬化による心臓の線維化を阻止し、減少させることができることを示唆している。
【0129】
[実施例6]
実施例6は、プラスミノーゲンが高脂血モデルマウスの心臓繊維化を低下させることに関するものである。
6週齢のC57オスマウス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血を誘発した
[33,34]。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール濃度を測定し、測定結果によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に6匹とプラスミノーゲン投与群に5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間は30日間である。その期間中にずっと高脂肪高コレステロール食を給餌した。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24−48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図6B)マウスのコラーゲンの沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図6A)より明らかに少ないことは示されている。これは、プラスミノーゲンが高脂血モデルマウスの心臓組織のコラーゲン沈着を減少させることにより、高脂血による心臓の線維化を阻止し、低下させることができることを示唆している。
【0130】
[実施例7]
実施例7は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵島のコラーゲン沈着を減少させることに関するものである。
24〜25週齢のdb/dbオスマウス16匹を取り、ランダムに二つの群に分け、プラスミノーゲン投与群に10匹と溶媒PBS投与対照群に6匹とした。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、31日間連続して投与した。32日目にマウスを殺処分して膵臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において固定を行った。固定後の膵臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図7B)マウスの膵島コラーゲンの沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図7A)より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(
図7C)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの膵臓組織におけるコラーゲンの沈着を顕著に軽減し、膵臓の損傷と繊維化を阻止し、軽減することができることを示している。
【0131】
[実施例8]
実施例8は、プラスミノーゲンがApoEアテローム性動脈硬化マウスの大動脈洞の繊維化を改善することに関するものである。
6週齢のApoEオスマウス13匹に高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌してアテローム性動脈硬化モデルを誘発した
[31,32]。投薬の3日前にモデル化した各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、T−CHO含有量によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に7匹とプラスミノーゲン投与群に6匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間は30日間である。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行って、それぞれ15%、30%スクロース中において4℃で終夜沈めさせ、OCTで包埋処理を行い、凍結切片の厚みは8μmであり、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で40(8A、8B)、200倍(8C、8D)にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図8B、D)の大動脈洞の管壁内膜のコラーゲンの沈着(矢印に表記される)面積は溶媒PBS投与対照群(
図8A、C)より明らかに小さいことは示されている。これは、プラスミノーゲンがアテローム性動脈硬化モデルマウスの大動脈洞の繊維化レベルを減少させることができることを示している。
【0132】
[実施例9]
実施例9は、プラスミノーゲンが四塩化炭素により誘発された肝臓の繊維化を改善することに関するものである。
9週齢のC57メスマウスを15匹取り、ランダムに三つの群に分け、それぞれブランク対照群と溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群とで、各群5匹ずつである。溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群マウスに1mL/kg体重で経腹腔注射により四塩化炭素を投与し、週に三回で連続的に二週間投与し、肝臓繊維化モデルを構築し
[36,37]、ブランク対照群マウスに同じ体積のトウモロコシ油をモデルしたマウスと同じ注射方式により投与した。四塩化炭素をトウモロコシ油で希釈する必要があり、四塩化炭素とトウモロコシ油との希釈割合は1:3である。モデルを構築してから投薬し始め、投薬開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを同じ方法で投与し、ブランク対照群に対して注射処理をしなかった。連続的に14日間投与して15日目にマウスを殺処分し、肝臓を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の肝臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図9C)のコラーゲンの沈着は溶媒PBS投与対照群(
図9B)より明らかに少なく、しかも溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群のコラーゲン沈着のレベルはブランク対照群マウス(
図9A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが肝臓のコラーゲン沈着を減少させ、肝臓組織化モデルマウスの肝臓線維化を改善できることを示している。
【0133】
[実施例10]
実施例10は、プラスミノーゲンが16週齢の高脂血症モデルマウスの大動脈洞の繊維化を低下させることに関するものである。
6週齢のオスマウC57ス11匹に高脂肪高コレステロール食(南通トロフィー、TP2031)を16週間給餌して高脂血症モデルを誘発し
[30,31]、このモデルを16週高脂血症モデルとした。モデル構築後のマウスに高コレステロール食を給餌し続けた。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロール(T−CHO)含有量を測定し、T−CHO含有量によってマウスをランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に6匹とプラスミノーゲン投与群に5匹とした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間は30日間である。31日目にマウスを殺処分して心臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。大動脈洞の切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で40(10A、10B)、200倍(10C、10D)にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図10B、10D)の大動脈洞の管壁内膜のコラーゲン沈着(矢印に表記される)の面積は溶媒PBS投与対照群(
図10A、10C)より明らかに小さいことは示されている。これは、プラスミノーゲンが高脂血症モデルマウスの大動脈洞の繊維化レベルを低減できることを示している。
【0134】
[実施例11]
実施例11は、プラスミノーゲンが全身性硬化症モデルマウスの皮膚繊維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス15匹を取り、ランダムに三つの群に分け、それぞれブランク対照群と溶媒PBS(PBSはリン酸緩衝塩水(Phosphate Buffer Saline)であり、本文ではプラスミノーゲンの溶媒である。)投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。さらに13週齢のPLG活性が損傷したマウス5匹を取った。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、次の日からモデルを構築して投薬し、溶媒PBS投与対照群、プラスミノーゲン投与群、及びPLG活性損傷マウスに0.1mg/0.1mL/匹/日でブレオマイシンを皮下注射して全身性硬化症を誘発した
[26]。ブランク対照群に0.1mg/0.1mL/匹/日で生理食塩水を皮下注射すると同時に、プラスミノーゲンまたはPBSを投与し、その日を1日目として、21日間連続してモデル構築ための投与をした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを投与し、正常マウス群とPLG活性損傷マウスに対して投薬処置をしなかった。22日目にマウスを殺処分して背部皮膚組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の皮膚組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で100倍にて観察した。
シリウスレッド染色は、コラーゲンを長期的に染色することができ、病理学的切片の特殊染色法として、シリウスレッド染色はコラーゲン組織を特異的に表示することができる。
その結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群(
図11B)とPLG活性損傷群マウス(
図11D)の真皮上部のコラーゲン繊維束は明らかに増加し、コラーゲン繊維は粗くなり、排列が緻密になり、真皮層は厚くなり;プラスミノーゲン投与群(
図11C)の真皮層における繊維芽細胞は溶媒PBS投与対照群より明らかに少なく、しかも皮膚真皮層の厚さは正常レベルに近い(
図11A)ことは観察された。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発された皮膚繊維化を効果的に低下させることができることを示している。
【0135】
[実施例12]
実施例12は、プラスミノーゲンが全身性硬化症モデルマウスの肺の繊維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス17匹を取り、ランダムに二つの群に分け、溶媒PBS投与対照群に11匹とプラスミノーゲン投与群に6匹とした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からモデルを構築して投薬し、二つの群のマウスに0.1mg/0.1mL/匹/日でブレオマイシンを皮下注射して全身性硬化症を誘発させ
[26]、当日からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、21日間連続してモデル構築ための投与をした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。22日目にマウスを殺処分して肺組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の肺組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群(
図12A)のコラーゲン繊維化(矢印に表記される)の程度がプラスミノーゲン投与群(
図12B)より高く;プラスミノーゲン投与群マウスの肺部肺胞壁の形態は正常に近く、炎症細胞は明らかに減少し、繊維化程度は溶媒PBS投与対照群より明らかに低く、しかもその差が統計学的に有意である(
図12C)ことは観察された。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症マウスの肺組織の繊維化を効果的に減少させることができることを示している。
【0136】
[実施例13]
実施例13は、プラスミノーゲンが全身性硬化症モデルマウスの腎臓繊維化を減少させることに関するものである。
12週齢のC57オスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重をはかって群分けし、1日目からモデルを構築して投薬し、0.1mg/0.1mL/匹/日でブレオマイシンを皮下注射して全身性硬化症を誘発させ、当日からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、21日間連続してモデル構築ための投与をした。プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。22日目にマウスを殺処分して腎臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の腎臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、ブレオマイシンにより誘発された全身性硬化症モデルマウスにおいて、溶媒PBS投与対照群(
図13A)の腎臓コラーゲン繊維化(矢印に表記される)の程度がプラスミノーゲン投与群(
図13B)より高いことは示されている。これは、プラスミノーゲンがブレオマイシンにより誘発された腎臓繊維化を効果的に減少させることができることを示している。
【0137】
[実施例14]
実施例14は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの腎臓コラーゲンの沈着を低下させることに関するものである。
24〜25週齢のdb/dbオスマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、31日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを投与した。プラスミノーゲンを31日間投与した後にマウスを殺処分して腎臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の腎臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水洗った。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、0.01M PBSで2回洗い、毎回5分間であった。10%の健常ヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングし、時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄し、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。IVコラーゲンのウサギ抗マウスポリクローナル抗体(Abcam)に対して4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗った。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒間複染色して、流水で5分間流した。段階的に脱水させてキシレンで透徹にして中性ゴムに封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
糖尿病腎症は糖尿病慢性合併症であり、糸球体の硬変および腎間質の繊維化はその典型的な病理的変化である
[27]。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図14B)のIVコラーゲン陽性着色が溶媒PBS投与対照群(
図14A)より明らかに多いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが腎臓組織のコラーゲン沈着(矢印に表記される)を低下させることができるは示され、プラスミノーゲンが腎臓組織のコラーゲン沈着を低下させることにより糖尿病による腎臓組織の線維化を阻止できることを示唆している。
【0138】
[実施例15]
実施例15は、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの腎臓繊維化を改善することに関するものである。
26週齢のオスdb/dbマウス10匹を取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつとした。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、1日目からプラスミノーゲンまたはPBSを投与し、35日間連続して投与した。プラスミノーゲン投与群マウスに2mg/0.2mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与した。36日目にマウスを殺処分して腎臓組織を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の腎臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから重クロム酸カリウム溶液に終夜置いた。鉄ヘマトキシリンで3〜5分間染色して流水で流した。1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水で1秒間処理してから水で洗った。ポンソー酸性マゼンタ溶液にて8分間染色し、水中で素早く濯いだ。1%リンモリブデン酸水溶液で約2分間処理し、アニリンブルー溶液にて6分間複染色した。1%氷酢酸で約1分間濯いだ。無水エタノールで脱水させてキシレンで透徹にしてから封入し、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
マッソン(Masson)染色は組織の線維症を示すことができる。その結果、溶媒PBS投与対照群(
図15A)の糸球体メサンギウムが増殖し、メサンギウム基質が増加し、腎間質に軽度な繊維化(矢印に表記される)があり、増殖した繊維化は青色に呈する。プラスミノーゲン投与群(
図15B)の糸球体メサンギウム細胞及び基質は対照群より明らかに少なく、腎間質の繊維化は明らかに減少した。これは、プラスミノーゲンが糖尿病マウスの腎臓繊維化を改善できることを示している。
【0139】
[実施例16]
実施例16は、プラスミノーゲンがシスプラチンによる腎臓繊維化モデルマウスの腎臓繊維化を軽減することに関するものである。
8〜9週齢の健康なオスC57マウスを10匹取り、ランダムに二つの群に分け、それぞれ溶媒PBS投与対照群及びプラスミノーゲン投与群で、各群5匹ずつである。群分けが完了した後に、10mg/Kg体重で一回経腹腔でシスプラチンを注射して腎臓繊維化モデルを構築した
[30]。モデル構築が完了した後にプラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを投与した。実験開始当日を0日目として体重を測ってから群分けし、一日目からシスプラチンを腹腔注射してモデル構築を行い、モデル構築後3時間以内にプラスミノーゲンまたは溶媒PBSを投与し、投与期間は7日間である。8日目にマウスを殺処分し、腎臓を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の腎臓組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは4μmであり、切片を脱パラフィンさせさらに浸水してから一回水洗いした。クエン酸で30分間修復し、室温にて10分間冷却してから水でやさしく洗い流した。3%過酸化水素水で15分間インキュベーションし、PAPマーカーで組織を丸で囲んだ。10%のヒツジ血清液(Vector laboratories,Inc.,USA)で1時間ブロッキングし、時間になった後、ヒツジ血清液を廃棄した。ウサギ抗マウスIVコラーゲン抗体(Abcam)で4℃で終夜インキュベーションし、TBSで2回洗い、毎回5分間であった。ヤギ抗ウサギIgG(HRP)抗体(Abcam)二次抗体を室温で1時間インキュベーションし、TBSで2回洗った。DABキット(Vector laboratories,Inc.,USA)で呈色させ、3回水洗いした後にヘマトキシリンで30秒間複染色して、流水で5分間流してからTBSで1回洗った。段階的に脱水させて透徹にして封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
シスプラチンは臨床上で応用が広く、治療効果が信頼できる広スペクトル抗腫瘍薬であるが、巨大な腎毒性を持ち、主に尿細管および腎間質の損傷として表され、最終的に腎の繊維化に進展する
[30]。この実験の結果、溶媒PBS投与対照群(
図16A)の腎臓IV型コラーゲンの陽性発現(矢印に表記される)はプラスミノーゲン投与群(
図16B)より明らかに高い。これは、プラスミノーゲンがシスプラチンによる腎臓繊維化モデルマウスの腎臓繊維化を改善できることを示している。
【0140】
[実施例17]
実施例17は、プラスミノーゲンが慢性腎不全モデルの腎臓繊維化を修復することに関するものである。
8〜9週齢のPLG活性が正常であるオスマウス12匹、及びPLG活性が損傷したオスマウス6匹を取り、PLG活性が正常であるマウスをランダムに二つの群に分け、それぞれプラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で、各群6匹ずつとした。三つの群のマウスに毎日0.25%のプリン飼料(南通トロフィー)を給餌し、慢性腎不全モデルを構築した
[35]。モデル構築した当日を1日目として投薬を始めた。プラスミノーゲン投与群に1mg/0.1mL/匹/日でプラスミノーゲンを尾投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを同じ方法により投与し、モデル構築投薬を10日間連続し、PLG活性が損傷したマウスは処置しなかった。11日目にマウスを殺処分して腎臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の腎臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、切片を光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図17B)のコラーゲン沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図17A)とPLG活性損傷群(
図17C)より明らかに少なく、しかもプラスミノーゲン投与群とPLG活性損傷群の差が統計学的に有意である(P=0.018)(
図17D)ことは示されている。これは、プラスミノーゲンが慢性腎損傷動物の腎臓組織におけるコラーゲンの沈着を顕著に軽減し、慢性腎損傷による腎臓繊維化を阻止し、軽減することができることを示している。
【0141】
[実施例18]
実施例18は、プラスミノーゲンが3%コレステロール高脂血症モデルマウスの腎臓繊維化を低下させることに関するものである。
9週齢のC57オスマウス16匹に3%コレステロール高脂肪食(南通トロフィー)を4週間給餌して高脂血を誘発した
[30,31]。このモデルを3%コレステロール高脂血症モデルとし、モデル構築後のマウスに引き続き3%コレステロール高脂肪食を給餌した。また、同じ週齢のオスC57マウス5匹を取ってブランク対照群とし、実験期間中に普通の維持食を給餌した。投薬の3日前に各マウスから50μLの血液を採取し、総コレステロールを測定し、総コレステロール濃度と体重によってモデルマウスをランダムに二つの群に分け、それぞれプラスミノーゲン投与群と溶媒PBS投与対照群で各群8匹ずつとした。投薬し始めた日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群に同じ体積のPBSを尾静脈注射により投与し、投与期間は30日間である。31日目にマウスを殺処分して腎臓を取り、4%パラホルムアルデヒド固定液において24〜48時間固定を行った。固定後の組織をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッド飽和ピクリン酸で30分間染色した後、流水で2分間流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に中性ゴムに封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図18C)の腎臓コラーゲン沈着(矢印に表記される)は溶媒PBS投与対照群(
図18B)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(
図18D)。また、プラスミノーゲン投与群の繊維化は基本的に正常レベルに回復した(
図18A)。これは、プラスミノーゲンが3%コレステロール高脂血症モデルマウスの腎臓繊維化を効果的に減少させることができることを示している。
【0142】
[実施例19]
実施例19は、プラスミノーゲンが四塩化炭素により誘発された肝臓の繊維化過程における肝臓コラーゲンの沈着を減少させることに関するものである。
7〜8週齢のC57メスマウスを20匹取り、ランダムに三つの群に分け、ブランク対照群に5匹、溶媒PBS投与対照群に7匹、及びプラスミノーゲン投与群に8匹とした。溶媒PBS投与対照群とプラスミノーゲン投与群マウスに1mL/kg体重で経腹腔注射により四塩化炭素を投与し、週に三回で連続的に四週間投与し、肝臓繊維化モデルを構築し
[36,37]、ブランク対照群マウスに同じ体積のトウモロコシ油を経腹腔注射により投与した。四塩化炭素をトウモロコシ油で希釈する必要があり、四塩化炭素とトウモロコシ油との希釈割合は1:3である。モデルを構築した当日から投薬し始め、投薬開始当日を1日目とし、プラスミノーゲン投与群マウスに1mg/0.1mL/匹/日でヒト由来のプラスミノーゲンを尾静脈注射により投与し、溶媒PBS投与対照群にも同じ体積のPBSを同じ方法で投与し、ブランク対照群に対して注射処理をしなかった。連続的に28日間投与して29日目にマウスを殺処分し、肝臓を取って4%パラホルムアルデヒド固定液において24時間固定を行った。固定後の肝臓をアルコールで段階的に脱水させ及びキシレンで透徹化処理した後にパラフィンで包埋処理を行った。組織切片の厚みは3μmであり、切片を脱パラフィンさせて浸水してから1回水で洗い、0.1%シリウスレッドで60分間染色した後、流水で流し、ヘマトキシリンで1分間染色してから流水で流し、1%塩酸アルコールで分別させてアンモニア水でブルーイングさせ、流水で流した。乾燥した後に封入させ、光学顕微鏡下で200倍にて観察した。
その結果、プラスミノーゲン投与群(
図19C)のコラーゲンの沈着は溶媒PBS投与対照群(
図19B)より明らかに少なく、しかもその差が統計学的に有意である(
図19D)。溶媒PBS投与対照群と比べ、プラスミノーゲン投与群のコラーゲン沈着(矢印に表記される)のレベルはブランク対照群マウス(
図19A)により近いことは示されている。これは、プラスミノーゲンが肝臓組織化モデルマウスの肝臓コラーゲンの沈着を減少し、肝臓線維化を改善できることを示している。
【0143】
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