特表2020-512328(P2020-512328A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-512328(P2020-512328A)
(43)【公表日】2020年4月23日
(54)【発明の名称】新規組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4985 20060101AFI20200331BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20200331BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20200331BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20200331BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20200331BHJP
【FI】
   A61K31/4985
   A61P25/18
   A61P25/28
   A61P43/00 111
   A61P43/00 114
   A61K47/38
   A61K47/10
   A61K47/32
   A61K47/36
   A61K9/20
   A61K9/12
   A61K9/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2019-552023(P2019-552023)
(86)(22)【出願日】2018年3月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月19日
(86)【国際出願番号】US2018024150
(87)【国際公開番号】WO2018175969
(87)【国際公開日】20180927
(31)【優先権主張番号】62/476,538
(32)【優先日】2017年3月24日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】507401225
【氏名又は名称】イントラ−セルラー・セラピーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】INTRA−CELLULAR THERAPIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】ペン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・デイビス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA24
4C076AA36
4C076AA71
4C076BB01
4C076BB02
4C076BB16
4C076BB22
4C076BB25
4C076BB30
4C076EE09A
4C076EE23A
4C076EE30A
4C076EE31A
4C076EE38A
4C076FF33
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA35
4C086MA56
4C086MA57
4C086NA10
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZC42
4C086ZC44
(57)【要約】
本発明は、遊離塩基、共結晶もしくは塩形態で1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オンまたは1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オンまたは−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オンを含む新規経粘膜および皮下医薬組成物を、それを製造および使用する方法と共に提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式Iの化合物)を含むまたは遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIの化合物)を含むまたは遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIIの化合物)を含む、経粘膜医薬製剤。
【請求項2】
製剤が遊離形態の式Iの化合物または式IIの化合物または式IIIの化合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
製剤が塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物または式IIの化合物または式IIIの化合物を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
塩形態が、例えば、結晶塩形態の、トシル酸塩である、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
製剤が0.01〜10mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含むまたは式IIの化合物(遊離塩基当量)または式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、請求項1〜4の何れかに記載の製剤。
【請求項6】
1以上の親水性水可溶性または水膨潤性ポリマーをさらに含む、請求項1〜5の何れかに記載の製剤。
【請求項7】
ポリマーが天然または修飾セルロースポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー、アクリル酸モノマーを含むポリマー、天然または修飾ゴム(例えばキサンタンガム)、天然または修飾デンプン(例えば、アルファ化デンプン)またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
可塑剤、界面活性剤、乾燥剤、香味剤、甘味剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤(例えば、ポリオール)、湿潤剤、抗酸化剤、緩衝剤(例えば、酸、塩基および/またはその塩)および濃化剤(例えば、ゲル化剤)からなる群から選択される1以上の添加物をさらに含む、請求項1〜7の何れかに記載の製剤。
【請求項9】
製剤が速溶性錠剤またはウェーハ剤、例えば、舌下錠剤またはウェーハ剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項10】
製剤が経口スプレー剤、例えば、舌下スプレー剤または頬側スプレー剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項11】
製剤が速溶性フィルム剤、例えば、舌下フィルム剤または頬側フィルム剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項12】
フィルム剤が均一または実質的に均一な厚さを有する、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
式Iの化合物またはIIまたはIIIが、フィルム剤全体に渡って均一にまたは実質的に均一に分散されている、請求項11または12に記載の製剤。
【請求項14】
製剤が鼻腔内スプレー剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項15】
製剤が経口ゲル剤、例えば、速溶性舌下または頬側ゲル剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項16】
製剤が膣内製剤、例えば、膣内速溶性錠剤、ウェーハ剤またはゲル剤または膣内スプレー剤または膣内速溶性フィルム剤である、請求項1〜8の何れかに記載の製剤。
【請求項17】
式Iの化合物または式IIの化合物または式IIIの化合物が微粒子(例えば、50μm未満、30μm未満、10μm未満または5μm未満または1μm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、請求項1〜16の何れかに記載の製剤。
【請求項18】
式Iの化合物または式IIの化合物または式IIIの化合物がナノ粒子(例えば、100nm未満または50nm未満または10nm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、請求項1〜17の何れかに記載の製剤。
【請求項19】
製剤が投与後30秒以内に粘膜により吸収される(例えば、溶解する)、請求項1〜18の何れかに記載の製剤。
【請求項20】
遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式Iの化合物)を含むまたは遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIの化合物)を含むまたは遊離塩基、共結晶もしくは塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIIの化合物)を含む、皮下医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月24日出願の米国仮出願62/476,538に基づく優先権を主張し、その内容は、引用により全体として本明細書に包含させる。
【0002】
分野
本発明は、置換ヘテロ環縮合ガンマ−カルボリン類を含む、ある新規経粘膜および皮下医薬製剤、このような製剤の製造および、例えば、5−HT2A受容体、セロトニン輸送体(SERT)および/またはドーパミンD/D受容体シグナル伝達経路が関与するまたは介在する、疾患または異常状態の処置における、その使用方法に関する。本発明は、不安、精神病、統合失調症、睡眠障害、性障害、片頭痛、頭部痛を伴う状態、社会恐怖症、消化管運動障害などの消化器障害および肥満;うつ病(大うつ病性障害(MDD)を含む)および精神病またはパーキンソン病と関連する気分障害;うつ病と関連する統合失調症などの精神病;双極性障害(例えば、双極性うつ病);および他の精神および神経症状を含むが、これらに限定されない、疾患および障害の処置および/または予防方法ならびに他の薬剤との組み合わせを含む。
【背景技術】
【0003】
背景
1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(場合により、4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8(7H)−イル)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ブタノンまたはITI−007と称されることもある)は、次の構造を有する。
【化1】
【0004】
式Iの化合物は、強力な5−HT2A受容体リガンド(Ki=0.5nM)であり、ドーパミン(DA)D2受容体(K=32nM)およびセロトニン輸送体(SERT)(K=26nM、ヒト組み換えSERTに対する3H−イミプラミン結合置換を使用して測定)に強親和性を有するが、抗精神病剤の認知および代謝副作用に関連する受容体への結合は無視できる(例えば、Hヒスタミン作動性、5−HT2Cおよびムスカリン受容体)。この化合物は、統合失調症、双極性障害およびアルツハイマー病を含む認知症の処置に対する臨床試験が現在進行中である。式Iの化合物およびそのアナログ、その塩およびこのような化合物を含む処置方法およびこのような化合物の製造方法は、例えば、米国特許6,548,493;7,238,690;6,552,017;6,713,471;7,183,282;RE39,680;RE39,679;米国特許公開2004/209864、2010/113781、2011/071080、2011/112105、2013/0202692、2015/0079172、2017/0183350;およびPCT公開WO2017/165843およびWO2017/117514に開示されている。これら米国特許、米国特許公開およびPCT公開の内容は、引用によりその全体を本明細書に包含させる。
【0005】
ITI−007の重水素化バリアントは、US2017/0183350およびWO2017/165843に一般に開示される。重水素化化合物は、代謝活性の標的である分子位置でITI−007の水素原子を重水素原子に置換することにより、インビボ代謝を減速または阻止するよう設計される。ITI−007の天然代謝物は薬理学的に活性であるが、幾分異なる受容体選択性プロファイルを有する。それ故、これら重水素化誘導体は、代謝率またはその経路の変更により修飾された薬物動態プロファイルならびに活性親種と活性代謝種のバランスシフトにより全体的に修飾された薬理学的プロファイルをもたらし得る。
【0006】
一つの重水素化化合物は、1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン、式IIの化合物である。
【化2】
【0007】
他の重水素化化合物は、1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン、式IIIの化合物である。
【化3】
【0008】
式I、IIおよび式IIIの化合物は、各々肝臓で相当な初回通過代謝を受ける。代謝が高い割合であるため、そうでないときより高い経口用量の薬物の投与が必要となり、肝臓の負荷増加、製造費用増加、製剤困難およびおそらく用量応答の高い患者間変動を生じる。それ故に、初回通過代謝を避け、それに応じて必要用量の低下をもたらす、新規投与経路が必要となる。
【0009】
舌下送達、頬側送達および鼻腔内送達および皮下送達などの多数の薬物経粘膜送達は、非経腸および経口投与などの伝統的投与形態の有効な代替であることが開示されている。非経腸(静脈内)投与は、初回通過代謝回避に極めて有効であるが、通常、臨床的環境で習熟した専門家による投与が必要であるため、その有用性は限定的である。対照的に、経粘膜送達系は、専門的介助なしに患者により適用でき、最小限の初回通過代謝で迅速な薬物吸収をもたらし得る。皮下送達は、同様に最小初回通過代謝での高度に有効な薬物吸収を提供し、一方また(IV投与と比較して)遅延または長期放出の可能性も提供し得る。
【0010】
経粘膜薬物送達製剤の使用は周知であり、1847年のニトログリセリンの舌下製剤にさかのぼる。これら製剤は、活性薬剤の、口腔粘膜、鼻粘膜および膣粘膜を含む粘膜を越える輸送を含む。これら粘膜表面は、皮膚(角化上皮)よりはるかに薬物を透過させ、消化器粘膜と類似の透過性を有するが、薬物のGI吸収が代謝のために直ちに肝臓を通過するという問題がない。口腔粘膜送達系は、頬側および舌下系を含む。
【0011】
既存の経粘膜送達系は、速崩壊性錠剤およびウェーハ剤、薄い、溶解可能フィルム剤、エアロゾルスプレー剤、溶解可能ゲル剤、ならびに水溶液を含む。溶解可能フィルム送達系の例は、米国特許4,136,145(Fuchs)、米国特許4,849,246(Schmidt)、米国特許5,629,003(Horstmann)、米国特許5,948,430(Zerbe)、米国特許9,108,340(Yang)、米国特許8,906,277(Yang)、米国特許8,900,498(Yang)、米国特許8,900,497(Yang)、米国特許8,652,378(Yang)、米国特許8,603,514(Yang)、米国特許9,427,412(Bryson)および米国特許8,414,922(Bryson)に開示されたものを含む。他の経粘膜系は、米国5,763,476(Delbressine)(舌下および頬側溶液および固体)、米国特許9,216,175(Amancha)(舌下スプレー剤)、米国特許8,835,459(Kottayil)(舌下スプレー剤)および米国6,552,024(Chen)(種々の粘膜送達系)に開示される。しかしながら、アポモルヒネなどの一部薬物は、ある経粘膜送達形態で耐容性であり、有効であることが判明しているが、他は異なる(舌下錠剤および鼻腔内スプレー剤では有効性または耐容性が欠失するが、舌下フィルム剤は異なることを記載する、米国特許9,427,412参照)。さらに、個々の製剤は、送達の信頼性を確実にするために、特定の活性医薬成分に対して微調整しなければならない。それ故に、経粘膜薬物送達の分野は長い歴史を有するが、特定の活性医薬成分に対して選択的経粘膜送達技術を適用するのに、相当な労力を要する。
【0012】
皮下注射も当分野で周知であり、インスリン、モルヒネ、メトトレキサートおよび多くの他の薬物およびワクチンの投与に広く使用されている。皮下注射は、小ゲージ針を備えた伝統的シリンジを使用してしばしば医師および他の医療専門家によりなされるが、予充填シリンジ、自己注射器および装着型注射器などの皮下注射の患者自己使用のための多くの特殊器具も存在する。このような器具は、インスリン注射用HumatroPen(Eli Lilly, Indianapolis, Indiana, U.S.)およびメトトレキサート注射用Otrexup自己注射器(Antares Pharma, Ewing, New Jersey, U.S.)を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
式Iの化合物および/または式IIの化合物の安全で、有効で、信頼できる送達のための改善された医薬送達系の必要性がある。本発明は、既存の非経腸および経口送達系の欠点がない、これらの化合物の送達のための新規経粘膜および皮下製剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
概要
本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オンならびにその重水素化バリアントを含む、新規経粘膜および皮下医薬製剤に関する。経粘膜製剤は、舌下、頬側、鼻腔内および膣内錠剤、ウェーハ剤、フィルム剤、スプレー剤およびゲル剤を含む、液体、固体および/またはエアロゾル形態の、経口、経鼻および膣製剤を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本発明のさらなる適応領域は、ここに提供する詳細な記載から明らかである。詳細な記載および具体例は、本発明の好ましい実施態様を示すが、説明のみを目的することを意図し、本発明の範囲を限定する意図はないことは理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な記載
好ましい実施態様の次の記載は、単なる特徴の例示であり、いかなる意味でも本発明、その適用または用途を制限する意図はない。
【0017】
本明細書をとおして、範囲は、該範囲内のそれぞれのおよび全ての値への言及の省略として使用する。範囲内のあらゆる値は、範囲の端として選択し得る。さらに、ここに引用する全ての文献は、全体として引用により本明細書に包含させる。本記載と引用文献で定義に矛盾があるならば、本記載が優先する。
【0018】
特に断らない限り、ここにおよび明細書の他の箇所に記載する全てのパーセンテージおよび量は、重量パーセンテージをいうことは理解されるべきである。示す量は、遊離塩基当量形態の材料の活性重量に基づく。
【0019】
第一の実施態様において、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式Iの化合物)を含む、経粘膜医薬製剤(製剤1)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
1.1. 製剤が遊離塩基形態の式Iの化合物を含む、製剤1。
1.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式Iの化合物を含む、製剤1。
1.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤1.2。
1.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
1.5. 製剤が0.01〜10mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
1.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
1.7. 1以上の親水性水可溶性または水膨潤性ポリマーをさらに含む、前記何れかの製剤。
1.8. ポリマーが天然または修飾セルロースポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー、アクリル酸モノマーを含むポリマー、天然または修飾ゴム(例えばキサンタンガム)、天然または修飾デンプン(例えば、アルファ化デンプン)またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される、製剤1.7。
1.9. 疎水性ポリマーまたは難水溶性ポリマー、例えば、シリコーンポリマーまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン)をさらに含む、前記何れかの製剤。
1.10. 可塑剤、界面活性剤、乾燥剤、香味剤、甘味剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤(例えば、ポリオール)、湿潤剤、抗酸化剤、緩衝剤(例えば、酸、塩基および/またはその塩)および濃化剤(例えば、ゲル化剤)からなる群から選択される1以上の添加物をさらに含む、前記何れかの製剤。
1.11. 1以上の添加物が次のアルコール(エタノール、グリセロール、プロピレングリコール)、ゴム(例えば、アカシア、グアー、寒天、キサンタン、トラガカント、カラヤ、ゲラン)、多糖および多糖誘導体(例えば、デンプン、デキストラン、ペクチン、アルギン酸、カラギーナン、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース))、非ゲル剤化およびゲル剤化タイプを含むゼラチン(例えば、哺乳動物ゼラチン、例えば、ウシゼラチン、ブタゼラチン)、トリゼラチン、魚ゼラチン(例えば、混合高分子量および低分子量ゼラチン)、合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドポリマーおよびコポリマー(例えば、ポロクサマー188などのポロクサマー)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、カーボポール)、ポリアミドポリマー)、糖および糖アルコール(例えば、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グルコース、リボース、スクロース、トレハロース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、ガラクチトール、イノシトール)、ポリペプチド/タンパク質、アミノ酸、無機または有機酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、リン酸、硫酸、塩酸、酒石酸、シュウ酸、シクラミン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸)およびそれらの塩(例えば、前記酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アンモニウム塩)、無機または有機塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、酸化物)、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、カチオン性界面活性剤(例えば、ベンズアルコニウムハライド、セチルピリジニウムハライド、セトリモニウムハライド、ベンゼトニウムハライド)、双性イオン性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタインなどのコカミドアルキルベタイン)、非イオン性界面活性剤(例えば、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールポリドデシルエーテル)、ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート)、ポリエトキシル化ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)および抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHT、BHA、TBHQ、没食子酸プロピル、ベータ−カロテン、トコフェロール、トコトリエノール)の何れかから選択される、製剤1.10。
1.12. 該添加物の任意の1以上が、製剤の重量の0.01〜20%、例えば、0.01〜15%または0.01〜10%または0.1〜20%または0.1〜15%または0.1〜10%または0.5〜10%または0.5〜5%または1〜5%または2.5〜5%または1〜3%または0.1〜1%の量で存在する、製剤1.11。
1.13. 添加された可塑剤、界面活性剤または湿潤剤(例えば、ポリオール)を含まない、前記何れかの製剤。
1.14. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
1.15. 製剤が速溶性錠剤またはウェーハ剤、例えば、舌下錠剤またはウェーハ剤である、前記何れかの製剤。
1.16. 製剤が経口スプレー剤、例えば、舌下スプレー剤または頬側スプレー剤である、製剤1または1.1〜1.14の何れか。
1.17. 製剤が速溶性フィルム剤、例えば、舌下フィルム剤または頬側フィルム剤である、製剤1または1.1〜1.14の何れか。
1.18. フィルム剤が単層または多層フィルム剤である、製剤1.17。
1.19. フィルム剤が均一または実質的に均一な厚さを有する、製剤1.17または1.18。
1.20. 式Iの化合物が、フィルム剤全体に渡って均一にまたは実質的に均一に分散されている、製剤1.17、1.18または1.19。
1.21. 製剤が鼻腔内スプレー剤である、製剤1または1.1〜1.14の何れか。
1.22. 製剤が経口ゲル剤、例えば、速溶性舌下または頬側ゲル剤である、製剤1または1.1〜1.14の何れか。
1.23. 製剤が膣内製剤、例えば、膣内速溶性錠剤、ウェーハ剤またはゲル剤または膣内スプレー剤または膣内速溶性フィルム剤である、製剤1または1.1〜1.14の何れか。
1.24. 式Iの化合物が微粒子(例えば、50μm未満、30μm未満、10μm未満または5μm未満または1μm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
1.25. 式Iの化合物がナノ粒子(例えば、100nm未満または50nm未満または10nm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
1.26. 製剤が投与後30秒以内に粘膜により吸収される(例えば、溶解する)、前記何れかの製剤。
1.27. 式Iの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
1.28. 製剤がさらに式IIの化合物または式IIIの化合物またはそれらの組み合わせを含む、前記何れかの製剤。
1.29. 製剤が1日1回または1日2回または1日3回または1日4回または2日に1回または3日に1回投与用に製剤されている、前記何れかの製剤。
1.30. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式Iの化合物を含む、前記何れかの製剤。
1.31. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式Iの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤1.30。
1.32. 式Iの化合物が、1以上の水素原子位置で重水素が富化されている、例えば、任意の1以上の水素原子位置で、化学構造の同様な位置での重水素の天然レベルの取り込みより実質的に大きい(例えば、0.1%を超えるまたは0.5%を超えるまたは1%を超えるまたは5%を超える)、前記何れかの製剤。
1.33. 式Iの化合物が、化学構造の任意の1以上の水素原子位置で重水素の50%を超える取り込み(すなわち、50原子%を超えるD)、例えば、60%を超えるまたは70%を超えるまたは80%を超えるまたは90%を超えるまたは95%を超えるまたは96%を超えるまたは97%を超えるまたは98%を超えるまたは99%を超える取り込みがある、製剤1.32。
1.34. 式Iの化合物の全水素原子位置が重水素で富化されていない(すなわち、全ての水素原子位置が天然存在度の重水素または0.1%未満の重水素を含む)、製剤1または1.1〜1.31の何れか。
【0020】
第二の実施態様において、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIの化合物)を含む、経粘膜医薬製剤(製剤2)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
2.1. 製剤が遊離塩基形態の式IIの化合物を含む、製剤2。
2.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式IIの化合物を含む、製剤2。
2.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤2.2。
2.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
2.5. 製剤が0.01〜10mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
2.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
2.7. 1以上の親水性水可溶性または水膨潤性ポリマーをさらに含む、前記何れかの製剤。
2.8. ポリマーが天然または修飾セルロースポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー、アクリル酸モノマーを含むポリマー、天然または修飾ゴム(例えばキサンタンガム)、天然または修飾デンプン(例えば、アルファ化デンプン)またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される、製剤2.7。
2.9. 疎水性ポリマーまたは難水溶性ポリマー、例えば、シリコーンポリマーまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン)をさらに含む、前記何れかの製剤。
2.10. 可塑剤、界面活性剤、乾燥剤、香味剤、甘味剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤(例えば、ポリオール)、湿潤剤、抗酸化剤、緩衝剤(例えば、酸、塩基および/またはその塩)および濃化剤(例えば、ゲル化剤)からなる群から選択される1以上の添加物をさらに含む、前記何れかの製剤。
2.11. 1以上の添加物が次のアルコール(エタノール、グリセロール、プロピレングリコール)、ゴム(例えば、アカシア、グアー、寒天、キサンタン、トラガカント、カラヤ、ゲラン)、多糖および多糖誘導体(例えば、デンプン、デキストラン、ペクチン、アルギン酸、カラギーナン、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース))、非ゲル剤化およびゲル剤化タイプを含むゼラチン(例えば、哺乳動物ゼラチン、例えば、ウシゼラチン、ブタゼラチン、トリゼラチン、魚ゼラチン(例えば、混合高分子量および低分子量ゼラチン)、合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドポリマーおよびコポリマー(例えば、ポロクサマー188などのポロクサマー)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、カーボポール)、ポリアミドポリマー)、糖および糖アルコール(例えば、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グルコース、リボース、スクロース、トレハロース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、ガラクチトール、イノシトール)、ポリペプチド/タンパク質、アミノ酸、無機または有機酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、リン酸、硫酸、塩酸、酒石酸、シュウ酸、シクラミン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸)およびそれらの塩(例えば、前記酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アンモニウム塩)、無機または有機塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、酸化物)、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、カチオン性界面活性剤(例えば、ベンズアルコニウムハライド、セチルピリジニウムハライド、セトリモニウムハライド、ベンゼトニウムハライド)、双性イオン性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタインなどのコカミドアルキルベタイン)、非イオン性界面活性剤(例えば、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールポリドデシルエーテル)、ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート)、ポリエトキシル化ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)および抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHT、BHA、TBHQ、没食子酸プロピル、ベータ−カロテン、トコフェロール、トコトリエノール)の何れかから選択される、製剤2.10。
2.12. 該添加物の任意の1以上が、製剤の重量の0.01〜20%、例えば、0.01〜15%または0.01〜10%または0.1〜20%または0.1〜15%または0.1〜10%または0.5〜10%または0.5〜5%または1〜5%または2.5〜5%または1〜3%または0.1〜1%の量で存在する、製剤2.11。
2.13. 添加された可塑剤、界面活性剤または湿潤剤(例えば、ポリオール)がない、前記何れかの製剤。
2.14. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
2.15. 製剤が速溶性錠剤またはウェーハ剤、例えば、舌下錠剤またはウェーハ剤である、前記何れかの製剤。
2.16. 製剤が経口スプレー剤、例えば、舌下スプレー剤または頬側スプレー剤である、製剤2または2.1〜2.14の何れか。
2.17. 製剤が速溶性フィルム剤、例えば、舌下フィルム剤または頬側フィルム剤である、製剤2または2.1〜2.14の何れか。
2.18. フィルム剤が単層または多層フィルム剤である、製剤2.17。
2.19. フィルム剤が均一または実質的に均一な厚さを有する、製剤2.17または2.18。
2.20. 式IIの化合物が、フィルム剤全体に渡って均一にまたは実質的に均一に分散されている、製剤2.17、2.18または2.19。
2.21. 製剤が鼻腔内スプレー剤である、製剤2または2.1〜2.14の何れか。
2.22. 製剤が経口ゲル剤、例えば、速溶性舌下または頬側ゲル剤である、製剤2または2.1〜2.14の何れか。
2.23. 製剤が膣内製剤、例えば、膣内速溶性錠剤、ウェーハ剤またはゲル剤または膣内スプレー剤または膣内速溶性フィルム剤である、製剤2または2.1〜2.14の何れか。
2.24. 式IIの化合物が微粒子(例えば、50μm未満、30μm未満、10μm未満または5μm未満または1μm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
2.25. 式IIの化合物がナノ粒子(例えば、100nm未満または50nm未満または10nm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
2.26. 製剤が投与後30秒以内に粘膜により吸収される(例えば、溶解する)、前記何れかの製剤。
2.27. 式IIの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
2.28. 製剤がさらに式Iの化合物または式IIIの化合物またはそれらの組み合わせを含む、前記何れかの製剤。
2.29. 製剤が1日1回または1日2回または1日3回または1日4回または2日に1回または3日に1回投与用に製剤されている、前記何れかの製剤。
2.30. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式IIの化合物を含む、前記何れかの製剤。
2.31. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式IIの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤2.30。
【0021】
第三の実施態様、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式Iの化合物)を含む、皮下医薬製剤(製剤3)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
3.1. 製剤が遊離塩基形態の式Iの化合物を含む、製剤3。
3.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式Iの化合物を含む、製剤3。
3.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤3.2。
3.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
3.5. 製剤が0.01〜10mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
3.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式Iの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
3.7. 水、水可溶性ポリマー(例えば、修飾セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール)、水混和性アルコール(例えば、エタノール、グリセリンおよびプロピレングリコール)、増量剤(例えば、糖、糖アルコールおよびアミノ酸)、無機塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム)、緩衝液(例えば、炭酸および重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、トリス塩)、防腐剤、抗酸化剤、キレート剤およびこれらの混合物の1以上をさらに含む、前記何れかの製剤。
3.8. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
3.9. 実質量(例えば、75%を超えるまたは85%を超えるまたは90%を超える)の式Iの化合物が即時に(例えば、1分以内または5分以内に)吸収される、前記何れかの製剤。
3.10. 有意量(例えば、25%を超えるまたは50%を超えるまたは75%を超える)の式Iの化合物が即時に吸収されない(例えば、5分を超えるまたは10分を超えるまたは30分を超えるまたは1時間を超えるまたは5時間を超える時間内に)、前記何れかの製剤。
3.11. 製剤が予充填シリンジ、予充填自己注射器または密封バイアルまたは類似容器での使用のために包装されている、前記何れかの製剤。
3.12. 製剤が、使用時の薬学的に許容される溶媒(例えば、注射用無菌水)での再構成のための乾燥固体、例えば、凍結乾燥固体として使用するよう包装されている、前記何れかの製剤。
3.13. 式Iの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
3.14. 製剤がさらに式IIの化合物または式IIIの化合物またはそれらの組み合わせを含む、前記何れかの製剤。
3.15. 製剤が1日1回または2日に1回または3日に1回または週1回または2週に1回または3週に1回または月1回または2か月に1回または3か月に1回または6か月に1回投与のために製剤されている、前記何れかの製剤。
3.16. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式Iの化合物を含む、前記何れかの製剤。
3.17. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式Iの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤3.16。
3.18. 式Iの化合物が、1以上の水素原子位置で重水素が富化されている、例えば、任意の1以上の水素原子位置で、化学構造の同様な位置での重水素の天然レベルの取り込みより実質的に大きい(例えば、0.1%を超えるまたは0.5%を超えるまたは1%を超えるまたは5%を超える)、前記何れかの製剤。
3.19. 式Iの化合物が、化学構造の任意の1以上の水素原子位置で重水素の50%を超える取り込み(すなわち、50原子%を超えるD)、例えば、60%を超えるまたは70%を超えるまたは80%を超えるまたは90%を超えるまたは95%を超えるまたは96%を超えるまたは97%を超えるまたは98%を超えるまたは99%を超える取り込みがある、製剤3.18。
3.20. 式Iの化合物の全水素原子位置が重水素で富化されていない(すなわち、全ての水素原子位置が天然存在度の重水素または0.1%未満の重水素を含む)、製剤3または3.1〜3.17の何れか。
【0022】
第四の実施態様において、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIの化合物)を含む、皮下医薬製剤(製剤4)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
4.1. 製剤が遊離塩基形態の式IIの化合物を含む、製剤4。
4.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式IIの化合物を含む、製剤4。
4.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤4.2。
4.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
4.5. 製剤が0.01〜10mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
4.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式IIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
4.7. 水、水可溶性ポリマー(例えば、修飾セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール)、水混和性アルコール(例えば、エタノール、グリセリンおよびプロピレングリコール)、増量剤(例えば、糖、糖アルコールおよびアミノ酸)、無機塩s(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム)、緩衝液(例えば、炭酸および重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、トリス塩)、防腐剤、抗酸化剤、キレート剤およびこれらの混合物の1以上をさらに含む、前記何れかの製剤。
4.8. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
4.9. 実質量(例えば、75%を超えるまたは85%を超えるまたは90%を超える)の式IIの化合物が即時に(例えば、1分以内または5分以内に)吸収される、前記何れかの製剤。
4.10. 有意量(例えば、25%を超えるまたは50%を超えるまたは75%を超える)の式IIの化合物が即時に吸収されない(例えば、5分を超えるまたは10分を超えるまたは30分を超えるまたは1時間を超えるまたは5時間を超える時間内に)、前記何れかの製剤。
4.11. 製剤が予充填シリンジ、予充填自己注射器または密封バイアルまたは類似容器での使用のために包装されている、前記何れかの製剤。
4.12. 製剤が、使用時の薬学的に許容される溶媒(例えば、注射用無菌水)での再構成のための乾燥固体、例えば、凍結乾燥固体として使用するよう包装されている、前記何れかの製剤。
4.13. 式IIの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
4.14. 製剤がさらに式Iの化合物または式IIIの化合物またはそれらの組み合わせを含む、前記何れかの製剤。
4.15. 製剤が1日1回または2日に1回または3日に1回または週1回または2週に1回または3週に1回または月1回または2か月に1回または3か月に1回または6か月に1回投与のために製剤されている、前記何れかの製剤。
4.16. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式IIの化合物を含む、前記何れかの製剤。
4.17. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式IIの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤4.16。
【0023】
第五の実施態様において、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIIの化合物)を含む、経粘膜医薬製剤(製剤5)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
5.1. 製剤が遊離塩基形態の式IIIの化合物を含む、製剤5。
5.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式IIIの化合物を含む、製剤5。
5.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤5.2。
5.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
5.5. 製剤が0.01〜10mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
5.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
5.7. 1以上の親水性水可溶性または水膨潤性ポリマーをさらに含む、前記何れかの製剤。
5.8. ポリマーが天然または修飾セルロースポリマー、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのポリマー、アクリル酸モノマーを含むポリマー、天然または修飾ゴム(例えばキサンタンガム)、天然または修飾デンプン(例えば、アルファ化デンプン)またはこれらの任意の混合物からなる群から選択される、製剤51.7。
5.9. 疎水性ポリマーまたは難水溶性ポリマー、例えば、シリコーンポリマーまたはポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン)をさらに含む、前記何れかの製剤。
5.10. 可塑剤、界面活性剤、乾燥剤、香味剤、甘味剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤(例えば、ポリオール)、湿潤剤、抗酸化剤、緩衝剤(例えば、酸、塩基および/またはその塩)および濃化剤(例えば、ゲル化剤)からなる群から選択される1以上の添加物をさらに含む、前記何れかの製剤。
5.11. 1以上の添加物が次のアルコール(エタノール、グリセロール、プロピレングリコール)、ゴム(例えば、アカシア、グアー、寒天、キサンタン、トラガカント、カラヤ、ゲラン)、多糖および多糖誘導体(例えば、デンプン、デキストラン、ペクチン、アルギン酸、カラギーナン、セルロース、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース))、非ゲル剤化およびゲル剤化タイプを含むゼラチン(例えば、哺乳動物ゼラチン、例えば、ウシゼラチン、ブタゼラチン)、トリゼラチン、魚ゼラチン(例えば、混合高分子量および低分子量ゼラチン)、合成ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドおよび/またはポリプロピレンオキシドポリマーおよびコポリマー(例えば、ポロクサマー188などのポロクサマー)、ポリアクリル酸ポリマー(例えば、カーボポール)、ポリアミドポリマー)、糖および糖アルコール(例えば、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、グルコース、リボース、スクロース、トレハロース、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、キシリトール、エリトリトール、ガラクチトール、イノシトール)、ポリペプチド/タンパク質、アミノ酸、無機または有機酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、グルコン酸、安息香酸、トルエンスルホン酸、リン酸、硫酸、塩酸、酒石酸、シュウ酸、シクラミン酸、アスコルビン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ギ酸)およびそれらの塩(例えば、前記酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アンモニウム塩)、無機または有機塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物、酸化物)、アニオン性界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム)、カチオン性界面活性剤(例えば、ベンズアルコニウムハライド、セチルピリジニウムハライド、セトリモニウムハライド、ベンゼトニウムハライド)、双性イオン性界面活性剤(例えば、コカミドプロピルベタインなどのコカミドアルキルベタイン)、非イオン性界面活性剤(例えば、脂肪アルコールエトキシレート(例えば、ポリエチレングリコールポリドデシルエーテル)、ソルビタンエステル(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート)、ポリエトキシル化ソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80)および抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム、BHT、BHA、TBHQ、没食子酸プロピル、ベータ−カロテン、トコフェロール、トコトリエノール)の何れかから選択される、製剤5.10。
5.12. 該添加物の任意の1以上が、製剤の重量の0.01〜20%、例えば、0.01〜15%または0.01〜10%または0.1〜20%または0.1〜15%または0.1〜10%または0.5〜10%または0.5〜5%または1〜5%または2.5〜5%または1〜3%または0.1〜1%の量で存在する、製剤5.11。
5.13. 添加された可塑剤、界面活性剤または湿潤剤(例えば、ポリオール)がない、前記何れかの製剤。
5.14. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
5.15. 製剤が速溶性錠剤またはウェーハ剤、例えば、舌下錠剤またはウェーハ剤である、前記何れかの製剤。
5.16. 製剤が経口スプレー剤、例えば、舌下スプレー剤または頬側スプレー剤である、製剤5または5.1〜5.14の何れか。
5.17. 製剤が速溶性フィルム剤、例えば、舌下フィルム剤または頬側フィルム剤である、製剤5または5.1〜5.14の何れか。
5.18. フィルム剤が単層または多層フィルム剤である、製剤5.17。
5.19. フィルム剤が均一または実質的に均一な厚さを有する、製剤5.17または5.18。
5.20. 式IIIの化合物が、フィルム剤全体に渡って均一にまたは実質的に均一に分散されている、製剤5.17、5.18または5.19。
5.21. 製剤が鼻腔内スプレー剤である、製剤5または5.1〜5.14の何れか。
5.22. 製剤が経口ゲル剤、例えば、速溶性舌下または頬側ゲル剤である、製剤5または5.1〜5.14の何れか。
5.23. 製剤が膣内製剤、例えば、膣内速溶性錠剤、ウェーハ剤またはゲル剤または膣内スプレー剤または膣内速溶性フィルム剤である、製剤5または5.1〜5.14の何れか。
5.24. 式IIIの化合物が微粒子(例えば、50μm未満、30μm未満、10μm未満または5μm未満または1μm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
5.25. 式IIIの化合物がナノ粒子(例えば、100nm未満または50nm未満または10nm未満の平均直径を有する粒子)として製剤に取り込まれている、前記製剤の何れか。
5.26. 製剤が投与後30秒以内に粘膜により吸収される(例えば、溶解する)、前記何れかの製剤。
5.27. 式IIIの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
5.28. 製剤が式IIの化合物または式Iの化合物またはそれらの組み合わせをさらに含む、前記何れかの製剤。
5.29. 製剤が1日1回または1日2回または1日3回または1日4回または2日に1回または3日に1回投与用に製剤されている、前記何れかの製剤。
5.30. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式IIIの化合物を含む、前記何れかの製剤。
5.31. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式IIIの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤5.30。
【0024】
第六の実施態様において、本発明は、遊離塩基、共結晶または塩形態の1−(4−フルオロ−フェニル)−4−((6bR,10aS)−1,1,2,2−d−3−メチル−2,3,6b,9,10,10a−ヘキサヒドロ−1H,7H−ピリド[3’,4’:4,5]ピロロ[1,2,3−de]キノキサリン−8−イル)−ブタン−1−オン(式IIIの化合物)を含む、皮下医薬製剤(製剤6)を提供する。本発明は、さらに次の製剤を提供する。
6.1. 製剤が遊離塩基形態の式IIIの化合物を含む、製剤6。
6.2. 製剤が、所望により非晶質固体または結晶塩形態の、塩形態、例えば、薬学的に許容される塩形態;または共結晶形態、例えば、ニコチンアミドまたはイソニコチンアミド共結晶形態の式IIIの化合物を含む、製剤6。
6.3. 塩形態がトシル酸塩、シュウ酸塩、サイクラミン酸塩、4−アミノサリチル酸塩または塩酸塩形態であり、所望により、該塩形態が結晶塩形態である、製剤6.2。
6.4. 製剤が0.01〜100mg、例えば、0.01〜75mg、0.01〜50mg、0.01〜30mg、0.01〜20mg、0.1〜20mg、5〜20mg、10〜20mg、10〜30mg、20〜30mg、20〜50mgまたは50〜100mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
6.5. 製剤が0.01〜10mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
6.6. 製剤が0.05〜8mg、例えば、0.1〜5mgまたは5〜10mgの式IIIの化合物(遊離塩基当量)を含む、前記何れかの製剤。
6.7. 水、水可溶性ポリマー(例えば、修飾セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール)、水混和性アルコール(例えば、エタノール、グリセリンおよびプロピレングリコール)、増量剤(例えば、糖、糖アルコールおよびアミノ酸)、無機塩s(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム)、緩衝液(例えば、炭酸および重炭酸塩、クエン酸塩、リン酸塩、トリス塩)、防腐剤、抗酸化剤、キレート剤およびこれらの混合物の1以上をさらに含む、前記何れかの製剤。
6.8. 製剤が0.01〜99%水、例えば、0.01〜10%水または0.01〜5%水または50〜99%水または75〜99%水または25〜75%水を含む、前記何れかの製剤。
6.9. 実質量(例えば、75%を超えるまたは85%を超えるまたは90%を超える)の式IIIの化合物が即時に(例えば、1以内または5以内に)吸収される、前記何れかの製剤。
6.10. 有意量(例えば、25%を超えるまたは50%を超えるまたは75%を超える)の式IIIの化合物が即時に吸収されない(例えば、5分を超えるまたは10分を超えるまたは30分を超えるまたは1時間を超えるまたは5時間を超える時間内に)、前記何れかの製剤。
6.11. 製剤が予充填シリンジ、予充填自己注射器または密封バイアルまたは類似容器での使用のために包装されている、前記何れかの製剤。
6.12. 製剤が、使用時の薬学的に許容される溶媒(例えば、注射用無菌水)での再構成のための乾燥固体、例えば、凍結乾燥固体として使用するよう包装されている、前記何れかの製剤。
6.13. 式IIIの化合物の投与量が経口投与の単位一日投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、前記何れかの製剤。
6.14. 製剤が式IIの化合物または式Iの化合物またはそれらの組み合わせをさらに含む、前記何れかの製剤。
6.15. 製剤が1日1回または2日に1回または3日に1回または週1回または2週に1回または3週に1回または月1回または2か月に1回または3か月に1回または6か月に1回投与のために製剤されている、前記何れかの製剤。
6.16. 製剤がトシル酸塩形態、例えば、一トシル酸塩形態または二トシル酸塩形態またはそれらの混合物の式IIIの化合物を含む、前記何れかの製剤。
6.17. 製剤がさらにトルエンスルホン酸を含み、例えば、製剤がトシル酸塩形態の式IIIの化合物とトルエンスルホン酸を1:3〜3:1または1:2〜2:1または1:1.5〜1.5:1または約1:1比で含む、製剤4.16。
【0025】
ここで使用する「重水素化」は、化学構造における水素(プロチウム、H)原子の重水素原子(H)での置換をいう。ある化学構造の水素原子は、その位置での重水素の存在が富化されているとき、重水素で置換されたと考えられる。重水素の天然存在度は約0.02%であり、従って、特定位置での重水素の取り込み頻度が0.02%を超えるならば、化合物は、該位置で、重水素で「富化される」。それ故に、ここに提供する重水素化化合物の何れの実施態様においても、任意の1以上の水素原子は、0.1%を超えるまたは0.5%を超えるまたは1%を超えるまたは5%を超える、例えば、50%を超えるまたは60%を超えるまたは70%を超えるまたは80%を超えるまたは90%を超えるまたは95%を超えるまたは96%を超えるまたは97%を超えるまたは98%を超えるまたは99%を超えるレベルで重水素により富化され得る。
【0026】
式Iの化合物を含む本発明の全ての態様および実施態様において、該式Iの化合物は、1以上の水素原子位置で所望により重水素化され得る。
【0027】
式IIの化合物を含む本発明の全ての態様および実施態様において、該式IIの化合物は、指定位置でのみ富化される(2,2−d)。
【0028】
式IIIの化合物を含む本発明の全ての態様および実施態様において、該式IIIの化合物は、指定位置でのみ富化される(1,1,2,2−d)。
【0029】
第二の態様において、本発明は、
(a)遊離または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIIの化合物を、所望により適当な溶媒または溶媒混合物中、適当な薬学的に許容される添加物と合わせ;および
(b)(1)乾燥フィルム剤を提供するために溶媒を除去するまたは(2)錠剤またはウェーハ剤への圧縮に適する乾燥粉末を提供するために溶媒を除去するまたは(3)エアロゾルスプレーデバイスによる投与に適する溶液を提供するために溶媒またはその一部を除去する何れか
の工程を含む、製剤1およびそれ以降または製剤2およびそれ以降または製剤5およびそれ以降の経粘膜製剤を製造する手順(手順1)を提供する。
【0030】
第三の態様において、本発明は、
(a) 遊離または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIIの化合物を、注射のための適当な溶媒または溶媒混合物中、適当な薬学的に許容される添加物と合わせ、次いで得られた溶液を使用のために(例えば、予充填シリンジまたは密封バイアルまたは類似容器または予充填自己注射器に)包装する;または
(b) 遊離または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIの化合物および/または遊離または薬学的に許容される塩形態の式IIIの化合物を、適当な溶媒または溶媒混合物中、所望により適当な薬学的に許容される添加物と合わせ、次いで包装用の乾燥固体(例えば、凍結乾燥固体)を得るために該溶媒を除去する
工程を含む、製剤3およびそれ以降または製剤4およびそれ以降または製剤6およびそれ以降の皮下製剤を製造する手順(手順2)を提供する。
【0031】
ここに開示する医薬製剤、例えば、製剤1およびそれ以降、製剤2およびそれ以降、製剤3およびそれ以降、製剤4およびそれ以降、製剤5およびそれ以降および製剤6およびそれ以降は、希釈剤、例えばデンプン、アルファ化デンプン、ラクトース、粉末セルロース、微結晶セルロース、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、糖など;結合剤、例えばアカシア、グアーガム、トラガカントガム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP K−30、K−90)、ポリ(ビニルピロリドン−コ−ビニルアセテート)(PVP−VA)などのようなポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMC−AS)など;崩壊剤、例えばデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファ化デンプン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウムなど;滑沢剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛など;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素など;溶解度または塗れ性向上剤、例えばアニオン性またはカチオン性または中性界面活性剤;マルトデキストリン、種々のグレードのシクロデキストリンおよび樹脂などの複合体形成剤;放出速度制御剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、種々のグレードのメチルメタクリレート、蝋など;およびフィルム形成剤、可塑剤、着色剤、風味剤、甘味剤、増粘剤、防腐剤、抗酸化剤、緩衝剤、増量剤などを含むが、これらに限定されない任意の適当な薬学的に許容される添加物を含み得る。
【0032】
ある実施態様において、製剤はさらに1以上の抗酸化剤、例えば、トコフェロール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル(OPG)またはおよびアスコルビン酸などを含み得る。抗酸化剤の包含は、活性成分の酸化的化学分解の阻止により、製剤の化学的安定性をさらに改善し得る。
【0033】
他の態様において、本発明は、5−HT2A受容体、セロトニン輸送体(SERT)および/またはドーパミンD/D受容体シグナル伝達経路が関与するまたは介在する、疾患または異常状態、例えば、肥満、摂食障害、過食症、うつ病(大うつ病性障害(MDD)を含む)、不安、精神病、統合失調症、強迫性障害、性障害、片頭痛、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、睡眠障害、頭部痛を伴う状態、社会恐怖症、認知症(アルツハイマー病およびパーキンソン認知症を含む)、消化管運動障害などの消化器障害および肥満または双極性障害(例えば、双極性うつ病)から選択される障害の処置に使用するための、製剤1およびそれ以降、製剤2およびそれ以降、製剤3およびそれ以降、製剤4およびそれ以降、製剤5およびそれ以降または製剤6およびそれ以降を提供する。
【0034】
他の実施態様において、本発明は、処置を必要とする患者における5−HT2A受容体、セロトニン輸送体(SERT)および/またはドーパミンD/D受容体シグナル伝達経路が関与するまたは介在する、疾患または異常状態を予防または処置する方法であって、患者に治療有効量の式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物を経粘膜または皮下経路で投与することを含む、方法を提供する。方法1のさらなる実施態様は、次のものを含む。
1.1 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が経粘膜経路(例えば、口腔内、鼻腔内、頬側吸収または舌下吸収)により投与される、方法1。
1.2 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が製剤1およびそれ以降または製剤2およびそれ以降または製剤4およびそれ以降のいずれかから選択される組成物の形で投与される、方法1.1。
1.3 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が、例えば、舌下フィルム剤、舌下スプレー剤、舌下錠剤またはウェーハ剤(例えば、速溶性錠剤またはウェーハ剤)または舌下溶液(例えば、水溶液)により、舌下に投与される、方法1.1または1.2。
1.4 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が、例えば、頬側フィルム剤、頬側スプレー剤、頬側舌下錠剤またはウェーハ剤(例えば、速溶性錠剤またはウェーハ剤)により頬側に投与される、方法1.1または1.2。
1.5 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が、例えば、口腔内スプレー剤(例えば、エアロゾルスプレー剤)により、口腔内に投与される、方法1.1または1.2。
1.6 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が、例えば、鼻腔内スプレー剤(例えば、エアロゾルスプレー剤)により鼻腔内に投与される、方法1.1または1.2。
1.7 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が皮下経路(例えば、皮下注射)により投与される、方法1。
1.8 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が製剤3およびそれ以降または製剤4およびそれ以降または製剤6およびそれ以降の何れかから選択される組成物の形態で投与される、方法1.7。
1.9 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が予充填シリンジ、自己注射器、装着型注射器で投与される、方法1.7または1.8。
1.10 式Iの化合物および/または式IIの化合物および/または式IIIの化合物が患者により投与される(例えば、自己投与される)、方法1.7、1.8または1.9。
1.11 疾患または状態が肥満、摂食障害、過食症、うつ病(大うつ病性障害(MDD)を含む)、不安、精神病、統合失調症、強迫性障害、性障害、片頭痛、注意欠陥障害、注意欠陥多動障害、睡眠障害、頭部痛を伴う状態、社会恐怖症、認知症(アルツハイマー病およびパーキンソン認知症を含む)、消化管運動障害などの消化器障害および肥満または双極性障害(例えば、双極性うつ病)から選択される、方法1または1.1およびそれ以降の何れか。
1.12 処置する疾患または状態が迅速な介入を必要とする、例えば、急性不安、急性興奮または急性精神病、方法1または1.1およびそれ以降の何れか。
1.13 経粘膜(例えば、舌下、頬側、鼻腔内または口腔内経路)または皮下経路により投与される投与量が、経口経路により同じ状態に対して投与される投与量の1〜20%、例えば、経口投与量の5〜15%である、方法1または1.1およびそれ以降の何れか。
【0035】
方法1または方法1.1およびそれ以降の何れかに使用するための、式Iの化合物または式IIの化合物および/または式IIIの化合物。
【0036】
方法1または方法1.1およびそれ以降の何れかで使用するための、製剤1およびそれ以降、製剤2およびそれ以降、製剤3およびそれ以降、製剤4およびそれ以降、製剤5およびそれ以降または製剤6およびそれ以降の何れかから選択される医薬組成物。
【0037】
方法1または方法1.1およびそれ以降の何れかによる処置方法に使用するための、経粘膜または皮下投与用医薬、例えば、製剤1およびそれ以降、製剤2およびそれ以降、製剤3およびそれ以降、製剤4およびそれ以降、製剤5およびそれ以降または製剤6およびそれ以降のいずれかに従う医薬の製造における、式Iの化合物または式IIの化合物または式IIIの化合物の使用。
【0038】
式Iの化合物および式IIの化合物の合成方法は当分野で知られ、WOPCT/US08/03340(WO2008/112280);米国出願10/786,935;米国特許6,548,493;7,238,690;6,552,017;6,713,471;7,183,282;米国RE39680および米国RE39679およびWO2015/154025に開示の方法を含み、これらの各々の内容を、引用により全体として本明細書に包含させる。本発明の化合物の塩も、米国特許6,548,493;7,238,690;6,552,017;6,713,471;7,183,282;米国RE39680;米国RE39679;およびWO2009/114181んんに記載のものに準じて製造でき、tこれらの各々の内容を、引用により全体として本明細書に包含させる。
【0039】
本発明の化合物のジアステレオマーの単離または精製は、当分野で知られる慣用法、例えば、カラム精製、分取薄層クロマトグラフィー、分取HPLC、結晶化、摩砕、模擬移動床などにより達成され得る。
【0040】
式I、IIおよびIIIの化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性または酸性部分を含む親化合物から、慣用の化学的方法により合成され得る。一般に、このような塩は、遊離塩基形態のこれらの化合物と、化学量論量の適切な酸を、水または有機溶媒またはこれら2種の混合物中で反応させることにより製造でき;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。これらの塩、例えば、非晶質または結晶形態のトルエンスルホン塩の製造のさらなる詳細は、PCT/US08/03340および/または米国仮出願61/036,069にみることができる。
【0041】
経粘膜投与形態は当業者に知られ、これらの投与形態が製造され得る一般法は記載されている。溶解可能フィルム送達系の例は、米国特許4,136,145(Fuchs)、米国特許4,849,246(Schmidt)、米国特許5,629,003(Horstmann)、米国特許5,948,430(Zerbe)、米国特許9,108,340(Yang)、米国特許8,906,277(Yang)、米国特許8,900,498(Yang)、米国特許8,900,497(Yang)、米国特許8,652,378(Yang)、米国特許8,603,514(Yang)、米国特許9,427,412(Bryson)および米国特許8,414,922(Bryson)に開示されたものを含む。他の経粘膜系の例は、米国5,763,476(Delbressine)(舌下および頬側溶液および固体)、米国特許9,216,175(Amancha)(舌下スプレー剤)、米国特許8,835,459(Kottayil)(舌下スプレー剤)および米国6,552,024(Chen)(種々の粘膜送達系)をに開示される。これらの引用文献各々の内容を、引用により全体として本明細書に包含させる。
【実施例】
【0042】
実施例1A:イヌにおける皮下(SC)投与と舌下(SL)投与の薬物動態比較
式Iの化合物および式IIの化合物(両者ともトシル酸塩形態)のインビボ吸収および分布を、イヌでの非クロスオーバー連続試験で、皮下投与および舌下投与で比較した。
【0043】
SC投与:2〜5歳の6匹の雄ビーグルイヌを、各3匹の2群に無作為化した。群1のイヌに、0.5%メチルセルロース/蒸留水媒体中1mg/kg(遊離塩基当量)の用量で式Iの化合物を投与する。群2のイヌに、0.5%メチルセルロース/蒸留水媒体中1mg/kg(遊離塩基当量)の用量で式IIの化合物を投与する。投与は、22または23ゲージ針による肩甲間部の皮下である。全血サンプルを、投与前および投与後5分、15分および30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間および24時間の時点でイヌの橈側皮静脈から採る。最小7日間のウォッシュアウト期間後、イヌは、試験の舌下部分に移る。
【0044】
SL投与:群1のイヌに、0.5%メチルセルロース/蒸留水媒体中1mg/kg(遊離塩基当量)の用量で式Iの化合物を投与する。群2のイヌに、0.5%メチルセルロース/蒸留水媒体中1mg/kg(遊離塩基当量)の用量で式IIの化合物を投与する。動物を、投与前にプロポフォール(6mg/kg)を使用して麻酔し麻酔を3〜4.5%イソフルランを使用して30分間維持する。投与は舌下であり、投与量を30分適用し、次いで不織布ガーゼを使用してふき取る。全血サンプルを、投与前および投与後5分、15分および30分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、36時間および48時間の時点でイヌの橈側皮静脈から採る。
【0045】
全血サンプルを血漿に処理し、液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(LC−MS/MS)を使用して、薬物濃度を分析する。血漿対時間データに基づく親および代謝物の曲線下面積(AUC)を、Prism 5.04 software(GraphPad Software, Inc.)を使用して計算する。
【0046】
結果を下記表1Aに要約する(AUCは0〜24時間について示す)。
【表1】
【0047】
結果は、SC投与およびSL投与両者が、高血漿濃度および高血漿AUCをもたらすことを示す。SL投与はまた、両化合物について、SC投与と比較して有意に高い薬物の最大血漿濃度(Cmax)をもたらす。式IIの化合物について、SL投与はまた有意に高い全体的なAUCをもたらすが、式Iの化合物のAUCは、SC投与およびSL投与で、同等なAUCを示す。最大血漿濃度までの時間も、両化合物で、SC投与およびSL投与で同じである。
【0048】
実施例1B:代謝物分析を伴うイヌにおける皮下投与と舌下投与の薬物動態比較
二番目の試験を、血漿サンプルを親(投与)化合物および主要既知代謝物について分析する以外、実質的に実施例1Aに記載のとおり実施する。式Iの化合物または式IIの化合物の投与後、主要循環種は、親およびN−デスメチル代謝物であることが判明する。結果を下記表1Bに要約する(AUCを0〜24時間について示す)。
【表2】
【0049】
これらの結果は、SC投与およびSL投与両者が、投与化合物の高血漿濃度および高血漿AUCをもたらすことをさらに示す。SL投与はまた、両化合物について、SC投与と比較して高い薬物の最大血漿濃度(Cmax)をもたらす。さらに、結果は、両SC投与およびSL投与が、極めて低い割合の代謝物形成をもたらすことを示し、これらの経路がこれらの化合物の代謝分解の主要部位(肝臓代謝)を有効に迂回することを示す。式Iの化合物は、SL投与後、代謝物より約22倍高いおよびSC投与については27倍高い親のAUCで、血漿を循環する。対照的に、経口投与したとき、式Iの化合物およびそのデスメチル代謝物は、血漿を約1:1以下のAUCで循環することが判明している。同様に、結果を式IIの化合物について示す(親/代謝物比はSLについて約12およびSCについて約16)。
【0050】
実施例2:イヌにおける経口投与の薬物動態
実施例1に示す皮下および舌下薬物動態と対照的に、この実施例は、経口投与が、高度な肝臓初回通過代謝により相当低い薬物の全身暴露をもたらすことを示す。これは、SCおよびSL試験で使用した用量より2.5〜15倍高用量を使用しても当てはまる。
【0051】
大規模長期毒性試験として、20匹の雄および雌ビーグル犬に、対照またはトシル酸塩形態の式Iの化合物を、2.5mg/kg、5mg/kg、10mg/kgまたは15mg/kgの用量で投与する。対照として、イヌに空のカプセルを投与する。式Iの化合物について、イヌに通常放出経口カプセルを投与する。血液サンプルを、0.25時間、0.5時間、1時間、4時間、8時間および24時間で得る。血液サンプルを血漿に処理し、式Iの化合物の濃度を高速液体クロマトグラフィー−マススペクトロメトリーにより分析する。Cmax、Tmaxおよび曲線下面積(AUC、0〜24時間)を、Phoenix WinNonlin softwareを使用して計算する。結果を下記表1に示す。
【表3】
【0052】
式Iの化合物は、用量依存的経口吸収を示し、最高経口用量で達成された血漿濃度でさえ、実施例1に示す舌下投与および皮下投与で達成された血漿濃度およびAUCよりはるかに低い。わずか1.0mg/kgの舌下投与および皮下投与は、2.5mg/kgの経口投与より18倍を超えて高い24時間AUCをもたらす。舌下投与および皮下投与は、1.0mg/kgで、15mg/kgの経口投与より約3倍高い24時間AUCを提供する。
【0053】
これらの結果は、まとめて、肝臓初回通過代謝に起因する暴露の大きな損失と、経粘膜投与系の使用により達成される暴露の予想外の高い改善を示す。
【0054】
実施例3:サルにおけるSC投与およびIV投与の薬物動態
0.5mg/kgでSL投与およびSC投与両方の後の式Iの化合物およびその主要代謝物両者の血漿濃度を決定するためにサルでも試験を行う。6匹のカニクイザルを、式Iの化合物のIV投与およびSC投与のために2群に分ける。動物に、絶食状態で投与する。血液サンプルを投与前および投与後5分、15分、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、36時間および48時間に採る。全血サンプルを血漿に処理し、液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリーで分析する。サンプルを式Iの化合物およびその5つの主要既知代謝物の濃度について試験する。PKパラメータを、PK Solutions 2.0 software(Summit Research Services, Colorado, US)を使用して計算する。
【0055】
結果は、バイオアベイラビリティ(IV対SC薬物動態比較に基づく)は、式Iの化合物またはSC投与について約74%であることを示す。試験された代謝物の大部分は、定量限界未満のレベルで存在することが判明する。デス−メチル代謝物およびアミド代謝物(N−メチル基に隣接するメチレンのカルボニルへの酸化)のみが、相当濃度で存在することが判明する。両代謝物の濃度は、IV投与後よりSC投与後に低いことが判明する。結果を下記表3に示す。
【表4】
【0056】
結果は、サルへのSC投与が、IV投与と比較して主要代謝物の有意に低い形成レベルをもたらすことを示す。
【国際調査報告】