特表2020-512500(P2020-512500A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-512500(P2020-512500A)
(43)【公表日】2020年4月23日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02B 75/32 20060101AFI20200331BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20200331BHJP
   F16H 21/24 20060101ALI20200331BHJP
   F16H 21/30 20060101ALI20200331BHJP
   F01B 3/08 20060101ALI20200331BHJP
   F02B 75/18 20060101ALI20200331BHJP
   F02B 75/24 20060101ALI20200331BHJP
【FI】
   F02B75/32 E
   F16C19/26
   F16H21/24
   F16H21/30
   F01B3/08
   F02B75/18 H
   F02B75/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-547147(P2019-547147)
(86)(22)【出願日】2018年2月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月28日
(86)【国際出願番号】GB2018050433
(87)【国際公開番号】WO2018162876
(87)【国際公開日】20180913
(31)【優先権主張番号】1703606.2
(32)【優先日】2017年3月7日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】516060314
【氏名又は名称】ニューレノアー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ボーウェン
【テーマコード(参考)】
3J062
3J701
【Fターム(参考)】
3J062AA43
3J062AB29
3J062AC07
3J062BA25
3J062CB06
3J062CB14
3J062CB27
3J062CB32
3J062CB43
3J062CB44
3J701AA13
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA03
3J701BA53
3J701FA60
(57)【要約】
内燃機関は、ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置とを有する。トラックは、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有する。ピストンは、ピストンの運動を制御するため、トラックの内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによってトラックに連結される。摺動要素がピストンに接続され、摺動要素は、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を有する。フォロワは摺動要素上に装着される。また、ケーシングは、トラックを受け入れる切り欠きおよびシャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを含む。少なくとも1つのシリンダボアがエンドプレートに形成され、ピストンは、シリンダボア内で往復運動で動くように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置と、を備える内燃機関であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによって前記トラックに連結され、
摺動要素が前記ピストンに接続され、前記摺動要素が、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、前記ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を備え、
前記フォロワが前記摺動要素上に装着される内燃機関。
【請求項2】
前記摺動要素が、1つまたは複数の締結具によって前記ピストンに固く取り付けられるか、または前記摺動要素が、前記ピストンと一体的に形成される請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記摺動要素が、前記トラックとのランニングクリアランスを有するように配置される請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記フォロワが、1つまたは複数の平軸受またはころ軸受を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記摺動要素が、前記トラックをまたぐようにして前記ピストンの下方をそれぞれ延在する2つのリムを備え、
前記型出しされたスライダ表面が、各リム上に提供され、
前記型出しされたスライダ表面が、それぞれ、前記ケーシングにおけるそれぞれのプロファイルにかみ合う請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記フォロワが、前記トラックの前記外側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワが前記摺動要素の前記2つのリムの間に位置するようにして配置される請求項5に記載の内燃機関。
【請求項7】
前記フォロワが、前記摺動要素の前記2つのリムがそれぞれ前記トラックの前記内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有するようにして配置される請求項5または6に記載の内燃機関。
【請求項8】
前記トラックの両側に1つずつで前記シャフトに連結された一対のタイミングホイールを更に備え、
各タイミングホイールが、前記トラックの前記内側カム面に実質的に合致する内側カム面を有し、
前記摺動要素の各リムが、前記タイミングホイールそれぞれの前記内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有する請求項7に記載の内燃機関。
【請求項9】
前記型出しされたスライダ表面が、前記型出しされたスライダ表面が潤滑剤の層を介して前記ケーシングプロファイルに接触するようにして、潤滑されるように配置される請求項1から8のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項10】
前記プロファイル形成されたスライダ表面が、前記ケーシングプロファイルにある細長いスロットから油を受け入れるように適合された、油回収穴を備える請求項9に記載の内燃機関。
【請求項11】
前記ケーシングプロファイルの前記細長いスロットが、前記ピストンから最も遠い前記ケーシングプロファイルの端部までは延在しない請求項10に記載の内燃機関。
【請求項12】
前記トラックの前記内側および外側カム面が、前記フォロワが潤滑剤の層を介して前記カム面に接触するようにして、潤滑されるように配置される請求項1から11のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項13】
前記フォロワがそれぞれ、前記摺動要素に固着された平面軸受シャフト上に装着されたローラを含み、
前記平面軸受シャフトが、前記摺動要素から油を受け入れるように適合された油回収穴を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記トラックが、前記内側および外側カム面が前記トラックの回転軸に対する内側ラジアル面および外側ラジアル面として配置される、径方向トラックである請求項1から13のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項15】
前記トラックの1つまたは複数に連結された複数の前記ピストンを備える、複数のピストン装置を更に備える請求項1から14のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項16】
2つのピストンが前記トラックの1つに連結され、
前記ピストンが前記トラックの対向面に連結される請求項15に記載の内燃機関。
【請求項17】
各トラックに一対の前記タイミングホイールが付随する請求項8に従属する、請求項15または16に記載の内燃機関。
【請求項18】
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、前記プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置される請求項1から17のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項19】
前記プレートが、複数の締結具によってともに取り付けられる請求項1から18のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項20】
トラックに連結されたピストンを含むピストン装置を備える内燃機関であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともにカム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記カム面上を通るフォロワを有し、
前記機関が、ケーシングを更に備え、
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、前記プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置される内燃機関。
【請求項21】
前記プレートが、複数の締結具によってともに取り付けられる請求項20に記載の内燃機関。
【請求項22】
ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置と、を備える内燃機関を組み立てる方法であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによって前記トラックに連結され、
摺動要素が前記ピストンに接続され、前記摺動要素が、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、前記ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を備え、
前記フォロワが、前記摺動要素上に装着され、
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置され、
a)前記トラックを前記シャフトに連結し、前記ピストンを前記トラックに連結することによって、前記ピストン装置を前記シャフトに連結するステップと、
b)前記少なくとも2つのプレートを前記トラックのどちらかの側で合わせるステップと、
c)前記プレートに対して横断方向であるようにして、前記エンドプレートを合わせるステップと、
d)前記エンドプレートを前記プレートに連結するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、および内燃機関を組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどの内燃機関は、コンロッドによってクランクシャフトに連結された、シリンダ内で移動可能なピストンヘッドを備える。一部の代替の内燃機関では、ピストンヘッドはカム面を有するトラックに連結され、ピストンヘッドは、ピストンヘッドの移動を制御する、トラックに沿って通る1つまたは複数のカムフォロワを備える(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2015/107330号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる代替の内燃機関における改善に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様は、ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置とを備える内燃機関を提供し、トラックは、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、ピストンは、ピストンの運動を制御するため、トラックの内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによってトラックに連結され、摺動要素がピストンに接続され、摺動要素は、ピストンヘッドの下方に延在するとともに、ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を備え、フォロワは摺動要素上に装着される。
【0006】
トラックがケーシングに対して回転すると、ピストンヘッドは、内側および外側カム面の経路にしたがって往復運動で動く。本発明は、スライダおよびケーシングの対応するプロファイルが、往復運動するピストンの運動方向に直交する両方向において、ケーシングに対する摺動要素の運動を拘束することができるという点で有利である。
【0007】
本発明の第2の態様は、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置を備える内燃機関を提供し、トラックは、シャフトに連結されるとともにカム面を有し、ピストンは、ピストンの運動を制御するため、トラックのカム面上を通るフォロワを有し、機関はケーシングを更に備え、ケーシングは、トラックを受け入れる切り欠きおよびシャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備え、少なくとも1つのシリンダボアがエンドプレートに形成され、ピストンは、シリンダボア内で往復運動で動くように配置される。
【0008】
本発明の第3の態様は、ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置とを備える、内燃機関を組み立てる方法を提供し、トラックは、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、ピストンは、ピストンの運動を制御するため、トラックの内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによってトラックに連結され、摺動要素がピストンに接続され、摺動要素は、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う型出しされたスライダ表面を備え、フォロワは摺動要素上に装着され、ケーシングは、トラックを受け入れる切り欠きおよびシャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、少なくとも2つのエンドプレートとを備え、少なくとも1つのシリンダボアがエンドプレートに形成され、ピストンは、シリンダボア内で往復運動で動くように配置され、方法は、a)トラックをシャフトに連結し、ピストンをトラックに連結することによって、ピストン装置をシャフトに連結するステップと、b)少なくとも2つのプレートをトラックのどちらかの側で合わせるステップと、c)プレートに対して横断方向であるようにして、エンドプレートを合わせるステップと、d)エンドプレートをプレートに連結するステップとを含む。
【0009】
プレートをトラックのどちらかの側で組み立てることによって、機関を簡単に構築することができ、トラック、ピストン、および使用されるプレートの数を増減することによって、機関の能力をスケールアップまたはスケールダウンすることができる。プレートは実質的に、互いに同一であってもよく、ならびに/あるいは互いの鏡像であってもよい。したがって、機関の構造は、わずかな構成要素を用いて高度にスケーラブルである。エンドプレートは、シリンダボアを含み、有利には、所望の場合は冷却通路を通すことができる。エンドプレートはまた、シリンダ・ヘッドに対して固着してもよい。エンドプレートは、機関の能力およびピストンの数などにしたがって、サイズおよび構成が異なってもよい。
【0010】
摺動要素は、1つもしくは複数の締結具によってピストンに固く取り付けられてもよく、またはピストンと一体的に形成されてもよい。
【0011】
摺動要素は、トラックとのランニングクリアランスを有するように配置されてもよい。
【0012】
フォロワは、1つまたは複数の平軸受またはころ軸受を備えてもよい。
【0013】
摺動要素は、トラックをまたぐようにしてピストンの下方をそれぞれ延在する、2つのリムを備えてもよい。型出しされたスライダ表面が各リム上に設けられてもよく、型出しされたスライダ表面はそれぞれ、ケーシングにおけるそれぞれのプロファイルにかみ合う。
【0014】
フォロワは、トラックの外側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワが摺動要素の2つのリムの間に位置するようにして配置されてもよい。
【0015】
フォロワは、摺動要素の2つのリムがそれぞれ、トラックの内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有するようにして配置されてもよい。
【0016】
機関は、トラックの両側に1つずつでシャフトに連結された一対のタイミングホイールを更に備えてもよく、各タイミングホイールは、トラックの内側カム面に実質的に合致する内側カム面を有し、摺動要素の各リムは、タイミングホイールそれぞれの内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有する。
【0017】
型出しされたスライダ表面は、型出しされたスライダ表面が潤滑剤の層を介してケーシングプロファイルに接触するようにして、潤滑されるように配置されてもよい。
【0018】
型出しされたスライダ表面は、ケーシングプロファイルにある細長いスロットから油を受け入れるように適合された、油回収穴を備えてもよい。細長いスロットは、好ましくは、ピストンから最も遠いケーシングプロファイルの端部までは延在しない。このことが油を収容する助けとなり得る。
【0019】
トラックの内側および外側カム面は、フォロワが潤滑剤の層を介してカム面に接触するようにして、潤滑されるように配置されてもよい。
【0020】
フォロワはそれぞれ、摺動要素に固着された平面軸受シャフト上に装着されたローラを含んでもよい。平面軸受シャフトは、摺動要素から油を受け入れるように適合された油回収すき間を含んでもよい。
【0021】
トラックは、内側および外側カム面が、トラックの回転軸に対する内側ラジアル面および外側ラジアル面として配置される、径方向トラックであってもよい。
【0022】
機関は、トラックの1つまたは複数に連結された複数のピストンを備える、複数のピストン装置を更に備えてもよい。例えば、2つのピストンがトラックの1つに連結され、ピストンが、トラックの実質的に対向する側に連結されてもよい。複数のトラックがシャフトの軸線方向に沿って配置されてもよい。2つのかかるトラックが、機関を均衡させるため、シャフト上で互いに対して180度の位相(phase)ずれで配置されてもよい。
【0023】
各トラックには一対のタイミングホイールが付随してもよい。一対のタイミングホイールは、トラックの両側に1つずつ配置されてもよい。各タイミングホイールはカム面を備えてもよい。タイミングホイールのカム面は、それぞれのトラックの内側または外側カム面のうち1つの経路と対応してもよい。
【0024】
ケーシングは、トラックを受け入れる切り欠きおよびシャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備えてもよい。少なくとも1つのシリンダボアがエンドプレートに形成されてもよく、ピストンは、シリンダボア内において往復運動で動くように配置されてもよい。
【0025】
1つのプレートが、シャフトの軸線方向に沿って、各トラックとタイミングホイールとの間に設けられてもよい。サイドプレートは、シャフトの軸線方向でプレートの外面に取り付けられてもよい。ケーシングのプレートは、複数の締結具によってともに取り付けられてもよい。エンドプレートは、プレートをともに保持するのを支援してもよい。
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】機関を示す図である。
図2】様々な構成要素を省略した機関を示す図である。
図3a】特定の構成要素を省略した、機関のピストンの1つに対する動力伝達メカニズムを示す側面図である。
図3b】特定の構成要素を省略した、機関のピストンの1つに対する動力伝達メカニズムを示す斜視図である。
図4a】フォロワを有するピストンおよび摺動要素を示す斜視図である。
図4b】フォロワを有するピストンおよび摺動要素を示す正面図である。
図5】フォロワを省略したピストンおよび摺動要素を示す図である。
図6】フォロワ取付具が取り付けられたピストンおよび摺動要素を示す図である。
図7a】機関のフィンプレートを示す側面図である。
図7b】機関のフィンプレートを示す上面図である。
図7c】機関のフィンプレートを示す反対側の側面図である。
図7d】機関のフィンプレートを示す端面図である。
図7e】機関のフィンプレートを示す斜視図である。
図8a】2つのトラックとトラック1つ当たり2つのピストンとを有する動力伝達メカニズムを示す斜視図である。
図8b】2つのトラックとトラック1つ当たり2つのピストンとを有する動力伝達メカニズムを示す側面図である。
図9a】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9b】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9c】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9d】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9e】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9f】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9g】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図9h】組立て中の様々な段階における機関を示す図である。
図10】機関ケーシングのプレート間のアジャスタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、ブロックアセンブリ2と、2つのヘッドアセンブリ3a、3bと、排気系統(省略)とを備える、内燃機関1を示している。ヘッドアセンブリ3a、3bおよび排気系統については、ここでは詳細に考察しない。ブロックアセンブリ2は、サイドプレート4a、4b、フィンプレート4c,4d,4e,4f、エンドプレート5a,5b、頂部カバー6a、および底部カバー6bを含む、複数のケーシング部材、即ちプレートを備える。
【0029】
図2は、機関の更なる部品が見えるように、ヘッドアセンブリ3a,3b、頂部および底部カバー6a,6b、ならびにエンドプレート5bを除去した、機関1を示している。エンドプレート5bは2つのボアを有し、各ボアはそれぞれのシリンダライナ7a,7bを受け入れ、各シリンダライナはそれぞれのピストン8a,8bを受け入れ、ピストンのヘッドが図2に図示されている。同様に、図2には図示されないが、エンドプレート5aは、それぞれのピストンの2つの更なるシリンダライナに対する2つのボアを有する。機関1は、2つのトラック9a,9bに対して対向する関係で連結された計4つのピストンを有し、トラックの頂部が図2に図示されている。したがって、機関1は4つのピストンアセンブリを含み、第1のピストンアセンブリの構造および機能について詳細に記載するが、第2、第3、および第4のピストンアセンブリについては、第1のピストンアセンブリと構造的および機能的に類似していることが認識されるであろう。
【0030】
第1のピストンアセンブリが図3aおよび3bに示されている。第1のピストンアセンブリ10aは、ピストンヘッド8aがシリンダライナ7(図2に図示)内で移動可能である、ピストン80を備える。ピストンヘッド8aは、トラック13を介して、回転軸11aを有する出力シャフト11と出力フランジ12とに連結される。トラック13は、スプライン接続部(図示なし)を介して、出力シャフト11上に装着され、出力シャフト11に対して回転可能に固定される。トラック13は、ピストンヘッド8aおよびシリンダスリーブ7aに対して、回転軸11aを中心にして、出力シャフト11とともに回転する。
【0031】
各トラック13は、周囲を延在する径方向外側カム面14を有する。また、トラック13は、張出し部分の下面に位置する径方向内側カム面15を有し、内側カム面15は、外側カム面14から離れる方向に、即ち反対方向に面する。平面の縁部表面16は、トラック13の外側および内側カム面の間を延在する。
【0032】
ピストン80は、ピストンヘッド8aと、ピストンヘッドに接続されるとともにその下方を延在する、安定化摺動要素17とを含む。摺動要素17およびピストンヘッド8aは、図示される実施形態では一体的に形成されるが、あるいは、摺動要素17は、ピストンヘッド8aとは別個の部品として形成され、締結具、例えばボルトによって接続されてもよい。ピストン80は、ピストンの運動を制御する、トラックの内側および外側それぞれのカム面上を通る、摺動要素17上に装着されたフォロワを更に含む。図示される実施形態では、フォロワは、単一の外側の円筒状ローラ18と、ピストン80にそれぞれ回転可能に装着される4つの内側の円筒状ローラ19とを備える。
【0033】
外側の円筒状ローラ18は、トラック13の外側カム面14上を通り、ピストン80とトラック13との間で負荷を伝達する、円筒状の外側ラジアル面を有する。内側の円筒状ローラ19は二対の円筒状ローラを備える。ローラの各対には、トラック13の内側カム面15上を通るトラックフォロワと、後述するタイミングホイールの内側カム面上を通るタイミングホイールフォロワとがある。安定化摺動要素17は、左側リム、即ちアーム20と、右側リム、即ちアーム21とを形成する、分岐構造を有する。アーム20、21は、トラック13のどちらかの側をまたぐようにして、ピストンヘッド8aから離れる方向で下方に垂下する。外側の円筒状ローラ18は、ローラ18がアーム20,21の間で係留されるようにして、左側アーム20と右側アーム21との間を延在する、ジャーナル22上に回転可能に装着される。
【0034】
内側の円筒状ローラ19は、それぞれのアーム20,21に一対ずつ、対にして配置される。内側ローラ19の対のうちトラック追随ローラは、アーム20とトラックホイール中心23との間で係留されて保持される。内側フォロワ19の対のうちタイミングホイールフォロワは、アーム20とタイミングホイールとの間で係留されて保持される。内側の円筒状ローラ19は、安定化摺動要素17の左側アーム20に固着されたジャーナル24上に装着される。ジャーナル24上の同様のローラ19の対は、分岐した安定化摺動要素17の右側アーム21の下端部に装着される。トラック13の内側および外側カム面14,15のプロファイルは、トラック13がシャフト軸線11aを中心にして回転する際、外側の円筒状ローラ18および内側の円筒状ローラ(トラックフォロワ)19がトラックの外側および内側カム面14,15との継続的な回転接触を維持するようにして、型出しされる。トラック13の外側および内側カム面14,15は、回転軸11aの周りで非円形であるため、ピストンヘッド8aは、ピストンライナ7aの円筒状の内表面内において往復線形運動で動くようにされ、ピストンは、トラックのプロファイルにしたがって往復線形運動で動く。
【0035】
ピストン80は、図4aおよび図4bに更に詳細に示されている。分岐した安定化摺動要素17のアーム20,21は、実質的に平面であって平行であり、トラック13の平面的な側面16とのすきま嵌めをもたらすように寸法が決められる。ピストン80は、ピストンヘッド8aの下側にいくつかの軽量化切り欠き25を含む。安定化要素17は、圧力下で油を受け入れ、内部の油通路を介してこの油をピストン80の周りで、潤滑を要する場所に、例えば外側の円筒状ローラ18とジャーナル22との間の境界面、および内側の円筒状ローラ19とジャーナル24との間の境界面に分配するように配置された油回収部26を含む。
【0036】
図5は、フォロワおよびそれらそれぞれのジャーナルを取り除いたピストン80を示し、図6は、フォロワのジャーナルのみが元の位置にあるピストン80を示している。図5から分かるように、ジャーナル24を受け入れる円形穴27はそれぞれ、油回収部26と流体連通している油送達穴を有する。外側の円筒状ローラ18に対するジャーナル22は、ほぼ円筒状であり、一端が縮小されて、ジャーナル22の回転を防ぐようにほぼ四角形のプロファイルを形成している。ジャーナル22の端部はそれぞれ、ピストン80のアーム20,21における実質的に四角形の穴および実質的に円形の穴に位置する。
【0037】
分岐した安定化要素17のアーム20,21はそれぞれ、型出しされたスライダ表面20a,21aを備える。型出しされたスライダ表面20a,21aは、ブロックアセンブリ2の対応するプロファイルにかみ合う。特に図5および6で分かるように、型出しされたスライダ表面20aおよび型出しされたスライダ表面21aはそれぞれ、ほぼU字形のプロファイルを有する。スライダ表面20aのプロファイルは実質的に、スライダ表面21aのプロファイルの鏡像である。型出しされたスライダ表面20a,21aは、円筒状のシリンダライナ7aの長手方向軸線に沿ってのみ移動するように、ピストン80の運動を拘束する。この拘束によって、分岐した安定化摺動要素17のアーム20,21の向かい合う表面がトラック13の側面16に接触しないことが確保される。
【0038】
図7a〜図7eは、図2に示されるようなブロックアセンブリ2を構成するフィンプレート4cの1つを示している。フィンプレート4cおよびフィンプレート4eは同一であり、フィンプレート4dおよびフィンプレート4fはフィンプレート4cの鏡像である。フィンプレート4cは、図示される実施形態では、ブロックアセンブリ2の隣接するプレート4a,4d,6a,6b,5a,5bを固定する固着穴を有する、機械加工された金属プレートである。プレート4cは、回転可能なシャフト11を受け入れる貫通ボア31を有する。プレート4cは、ボア31の一方の側でトラックホイール13を受け入れ、ボア31の他方の側でタイミングホイール30を受け入れるように配置される。図示されるように、トラックホイール13は、図7aに示されるフィンプレートの第1の側にある陥凹部32内に収まるように配置され、タイミングホイール30は、図7cに示されるフィンプレートの反対側にある陥凹部33に収まるように配置される。
【0039】
フィンプレート4cは、プレート4cの対向する端面34,35から延在する、ほぼU字形のプロファイルを形成する一対の切り欠きを有する。これらの切り欠きは、ピストン80の分岐した安定化摺動要素17のほぼU字形のプロファイル20a,21aと対応するように形作られた、ケーシングプロファイル38a,38cである。ほぼU字形のプロファイル38a,38cのそれぞれの側には、ピストン80の油回収部26の1つとそれぞれ協働する油送達スロット39がある。ピストン80の摺動要素17が、ブロックアセンブリ2のフィンプレート4cにおけるそれぞれのプロファイル38a,38c内で摺動すると、油回収部26は、細長いスロット39の上を移動して、潤滑を要するピストン80の部品に対するブロックアセンブリ2からの連続的な油送達を維持する。油は、フィンプレート4cに形成された油送達導管を通して、細長いスロット39に送達される。ケーシングプロファイル38a,38cを形成するフィンプレート4cにおける切り欠きの長さは、ピストン80の往復線形運動の意図される経路よりも長いので、機関におけるビルドアップがピストン80の運動を妨げることはない。フィンプレート4cおよびそれに対する相手側部品4dをピストン80のどちらかの側で背中合わせに配置することによって、またスライダ表面20aおよびスライダ表面21aのプロファイルをケーシングプロファイルに合致させることによって、ピストン80の運動が、その安定化摺動要素17がシリンダライナ7aの長手方向軸線に沿ってのみ運動するように拘束される。
【0040】
図3aでは、単一のトラック13上に装着された単一のピストン80のみが示されているが、図示される機関1は、上述したように、2つのトラック13および4つのピストン80を有する。図8aおよび図8bは、シャフト11上で互いに対して180度の位相ずれで配置された、2つの同一に型出しされたトラック13上に配置された4つ全てのピストンヘッド8a,8b,8c,8dを示すようにして、機関1のピストン装置の斜視図および上面図を示している。各トラック13は一対のピストン8a,8cおよびピストン8b,8dを有する。ピストン8a,8cは、線形往復運動の平行であるがオフセットされた経路に沿って動くようにして、トラック13上に対向する関係で配置されている。ピストン8b,8dは同様に配置される。トラック13を互いに対して180度位相ずれさせてピストン装置を提供することによって、またトラック1つ当たり2つのピストンがオフセットされた平行な軸線上で対向する関係であることによって、カウンターウェイトを追加することなく、機関1の完璧な重量均衡が達成できる。
【0041】
図8bに最良に示されるように、各トラック13には、トラック13の対向面上に配置された一対のタイミングホイール30が付随する。各タイミングホイール30は、付随するトラック13と同一の内側カムプロファイルを有する。タイミングホイール30は、トラック13および付随する2つのタイミングホイールの角度位置が常に同期されるようにして、シャフト11とともに回転するように固着される。一方のトラック13が他方のトラック13に対して180度位相ずれしているので、二対のタイミングホイール30は同様に、シャフト回転軸11aを中心にして、タイミングホイール30の他方の対に対して180度位相ずれして配置される。
【0042】
機関の動作中、4つのピストンそれぞれの外側の円筒状ローラ18は、トラック13の外側カム面14に接してそれに沿って横転し、4つのピストンそれぞれの内側の円筒状ローラ19は、トラック13およびタイミングホイール30の内側カム面15に接してそれに沿って横転する。トラック13およびタイミングホイール30が機関1とともに回転するにつれて、ピストンヘッド8a〜8dは、トラック13およびタイミングホイール30の経路形状にしたがって、ピストンヘッドそれぞれのシリンダスリーブ7a〜7d内で移動する。
【0043】
動作サイクルのいくつかの部分の間、例えば、吸気行程、圧縮行程、および排気行程の間、ピストンはトラックによって駆動される。動作サイクルのいくつかの部分の間、例えば動力行程の間、仕事を出力シャフト11から抽出できるように、トラックはピストンによって駆動される。トラック13およびそれに付随するタイミングホイール30の経路形状には、任意の所望の形状が与えられ得るので、ピストンは、ほとんどの従来の内燃機関のように単弦運動を辿るように拘束されず、その代わりに、任意の所望の変位プロファイルを有することができる。変位プロファイルは、例えば、異なる高さにおける複数の異なる局所的な上死点位置、および/または異なる高さにおける複数の異なる下死点位置を含んでもよい。図3aから分かるように、トラック13は、ピストンが出力シャフトの一回転ごとに四行程を完了し、異なる高さで上死点位置および異なる下死点位置を経験するように形作られる。
【0044】
図示される実施形態では、機関は2つのトラックおよび4つのピストンを備えるが、代替実施形態では、機関は、任意の数のトラック(例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上)を備えてもよく、各トラックによって操作される任意の数のピストン装置(例えば、1つ、2つ、3つ、またはそれ以上)を有してもよい。トラックおよびピストンの数に応じて、機関の振動を打ち消すのに機関の何らかの重量均衡が必要なことがある。
【0045】
機関は、図9a〜図9hを参照して、以下のステップによって組み立てられる。以下に示す方法は、機関1の一部を形成する構成要素の全てを組み立てるのに要する全てのステップを含むものではなく、その代わりに、明瞭にするため、動力伝達メカニズムおよびケーシングを組み立てるための主要ステップに限定している。
【0046】
トラック13およびタイミングホイール30をフィンプレート4eの対向面に配置し、シャフト11に連結し、次にフォロワ18がトラック13の外側カム面に接触するまで、フォロワ19なしでピストン8bおよび8cを挿入する(図9a)。
【0047】
第2のタイミングホイール30を、第1のタイミングホイール30と位相が180度ずれるようにして、シャフト11の遠端の上に供給する(図9b)。
【0048】
フィンプレート4aをシャフト11の遠端の上に供給し、フィンプレート4eと接触させ、次に第2のトラック13をシャフト11の遠端の上に供給し、フォロワ19を取り外した状態でピストン8aおよび8dを挿入する(図9c)。
【0049】
4つ全てのピストンを2つのトラック13に連結するようにして、四対全ての内側の円筒状ローラ(フォロワ)19を4つのピストン80に取り付ける(図9d)。
【0050】
フィンプレート4fおよびフィンプレート4cを2つのトラック13の対向面に取り付ける(図9e)。
【0051】
2つの更なるタイミングホイール30(やはり互いに位相が180度ずれている)をブロックアセンブリの空いている側に取り付ける(図9g)。
【0052】
エンドプレート4aおよび4bを取り付けて、ブロックアセンブリの主要部を完成させ、シリンダライナおよびエンドプレート5a,5bを装填する(図9h)。
【0053】
機関ブロックのプレートが全て組み立てられると、例えばボルト締めによって、プレートが互いに固着され、その後、図1に示されるような機関を完成させるように、2つのヘッドアセンブリ3a,3bならびに頂部および底部カバー6a,6bが追加される。
【0054】
シャフト11に沿って装着されたトラック13、タイミングホイール30、およびスペーサは、トラック、タイミングホイール、およびスペーサのハブを通して、全てともにボルト締めされてもよい。トラックおよびタイミングホイールそれぞれの周りに、ニードルローラが設けられてもよく、ニードルローラはプレートから間隔を空けて装着される。
【0055】
図示される実施形態では、型出しされたスライダ表面および対応するケーシングプロファイルは、実質的にU字形であるが、これらの型出しされた表面は異なる形状をとってもよい。ケーシングプロファイルを形成する切り欠きは、代替実施形態では、型出しされたスライダ表面に接触する内側プロファイルを有する、別個のインサートを受け入れるように拡大されてもよい。
【0056】
図10は、ケーシングフィンプレート4eおよび4fの間にある任意のアジャスタ機構を示している。類似のアジャスタ機構がフィンプレート4cおよび4dの間に設けられてもよい。アジャスタ機構は、図示される例では、4つのアジャスタボルト90を含むが、異なる数のボルトまたは他の調節手段が使用されてもよい。アジャスタボルトヘッドは、ケーシングのサイドプレート4bにあるクリアランス穴(図示なし)を通して機関の外部からアクセスされ、同様に、フィンプレート4cおよび4dに対するアジャスタ機構のアジャスタボルトヘッドは、ケーシングのサイドプレート4aにある孔を通してアクセスされる。アジャスタ機構は、矢印C−Cの方向で、プレート4fを押してプレート4eから離すように作用し、その作用は、図示される例では、プレート4fのそれぞれのねじ付き穴内でねじ付きボルト90を回転させ、それによってボルトの軸端がプレート4eに接するようにすることによる。この調節は、ピストン80の安定化摺動要素17およびケーシングのU字形プロファイル38e,38fの外側面の間の隙間を設定するのに使用することができる。
【0057】
アジャスタボルト90のねじ付き穴、ならびにケーシングのプレート4a〜プレート4fをともに保持するボルトのための穴は、Oリングを有してもよい。
【0058】
1つまたは複数の好ましい実施形態を参照して本発明を上記に記載してきたが、添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更または修正が行われてもよいことが認識されるであろう。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図9g
図9h
図10
【手続補正書】
【提出日】2019年9月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置と、を備える内燃機関であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによって前記トラックに連結され、
摺動要素が前記ピストンに接続され、前記摺動要素が、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、前記ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を備え、
前記フォロワが前記摺動要素上に装着される内燃機関。
【請求項2】
前記摺動要素が、1つまたは複数の締結具によって前記ピストンに固く取り付けられるか、または前記摺動要素が、前記ピストンと一体的に形成される請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記摺動要素が、前記トラックとのランニングクリアランスを有するように配置される請求項1または2に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記フォロワが、1つまたは複数の平軸受またはころ軸受を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項5】
前記摺動要素が、前記トラックをまたぐようにして前記ピストンの下方をそれぞれ延在する2つのリムを備え、
前記型出しされたスライダ表面が、各リム上に提供され、
前記型出しされたスライダ表面が、それぞれ、前記ケーシングにおけるそれぞれのプロファイルにかみ合う請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項6】
前記フォロワが、前記トラックの前記外側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワが前記摺動要素の前記2つのリムの間に位置するようにして配置される請求項5に記載の内燃機関。
【請求項7】
前記フォロワが、前記摺動要素の前記2つのリムがそれぞれ前記トラックの前記内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有するようにして配置される請求項5または6に記載の内燃機関。
【請求項8】
前記トラックの両側に1つずつで前記シャフトに連結された一対のタイミングホイールを更に備え、
各タイミングホイールが、前記トラックの前記内側カム面に実質的に合致する内側カム面を有し、
前記摺動要素の各リムが、前記タイミングホイールそれぞれの前記内側カム面上を通る少なくとも1つのフォロワを有する請求項7に記載の内燃機関。
【請求項9】
前記型出しされたスライダ表面が、前記型出しされたスライダ表面が潤滑剤の層を介して前記ケーシングプロファイルに接触するようにして、潤滑されるように配置される請求項1から8のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項10】
前記プロファイル形成されたスライダ表面が、前記ケーシングプロファイルにある細長いスロットから油を受け入れるように適合された、油回収穴を備える請求項9に記載の内燃機関。
【請求項11】
前記ケーシングプロファイルの前記細長いスロットが、前記ピストンから最も遠い前記ケーシングプロファイルの端部までは延在しない請求項10に記載の内燃機関。
【請求項12】
前記トラックの前記内側および外側カム面が、前記フォロワが潤滑剤の層を介して前記カム面に接触するようにして、潤滑されるように配置される請求項1から11のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項13】
前記フォロワがそれぞれ、前記摺動要素に固着された平面軸受シャフト上に装着されたローラを含み、
前記平面軸受シャフトが、前記摺動要素から油を受け入れるように適合された油回収穴を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項14】
前記トラックが、前記内側および外側カム面が前記トラックの回転軸に対する内側ラジアル面および外側ラジアル面として配置される、径方向トラックである請求項1から13のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項15】
前記トラックの1つまたは複数に連結された複数の前記ピストンを備える、複数のピストン装置を更に備える請求項1から14のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項16】
2つのピストンが前記トラックの1つに連結され、
前記ピストンが前記トラックの対向面に連結される請求項15に記載の内燃機関。
【請求項17】
各トラックに一対の前記タイミングホイールが付随する請求項8に従属する、請求項15または16に記載の内燃機関。
【請求項18】
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、前記プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置される請求項1から17のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項19】
前記プレートが、複数の締結具によってともに取り付けられる請求項1から18のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項20】
前記ケーシングが複数のプレートを含み、前記プレートが、前記プロファイル形成されたスライダ表面に対応するように形作られたカットアウトを有する、請求項1から19のいずれか一項に記載の内燃機関。
【請求項21】
トラックに連結されたピストンを含むピストン装置を備える内燃機関であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともにカム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記カム面上を通るフォロワを有し、
前記機関が、ケーシングを更に備え、
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、前記プレートに対して横断方向で連結される少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置される内燃機関。
【請求項22】
前記プレートが、複数の締結具によってともに取り付けられる請求項21に記載の内燃機関。
【請求項23】
ケーシングと、トラックに連結されたピストンを含むピストン装置と、を備える内燃機関を組み立てる方法であって、
前記トラックが、シャフトに連結されるとともに、内側カム面および外側カム面を有し、
前記ピストンが、前記ピストンの運動を制御するため、前記トラックの前記内側および外側それぞれのカム面上を通るフォロワによって前記トラックに連結され、
摺動要素が前記ピストンに接続され、前記摺動要素が、ピストンヘッドの下方を延在するとともに、前記ケーシングの対応するプロファイルにかみ合う、型出しされたスライダ表面を備え、
前記フォロワが、前記摺動要素上に装着され、
前記ケーシングが、前記トラックを受け入れる切り欠きおよび前記シャフトを受け入れるボアを有する少なくとも2つのプレートと、少なくとも2つのエンドプレートとを備え、
少なくとも1つのシリンダボアが、前記エンドプレートに形成され、
前記ピストンが、前記シリンダボア内で往復運動で動くように配置され、
a)前記トラックを前記シャフトに連結し、前記ピストンを前記トラックに連結することによって、前記ピストン装置を前記シャフトに連結するステップと、
b)前記少なくとも2つのプレートを前記トラックのどちらかの側で合わせるステップと、
c)前記プレートに対して横断方向であるようにして、前記エンドプレートを合わせるステップと、
d)前記エンドプレートを前記プレートに連結するステップと、
を含む方法。
【国際調査報告】