【実施例】
【0071】
以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を実証するために記載する。以下に示す実施例に開示される技術は、本発明の実施において十分に機能することが本発明者によって発見された技術を代表するものであり、したがってその実施にとって好ましい形態を構成するとみなし得ることを当業者は理解されたい。しかしながら、当業者は、本開示に照らして、開示された具体的な実施形態に多数の変更を加えることができ、それでもなお本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく同様または類似の結果を得ることができるものと理解されたい。
【0072】
(実施例1)
(優性活性型YAPはクロマチンアクセシビリティ及び心筋細胞の再生を誘発する)
YapS127A突然変異がLats依存性Yap阻害をすべて説明できるわけではないことを特性から明らかにし、かつHippo活性をもたない心臓をモデリングするために、5つすべてのLats1/2リン酸化部位をAに突然変異させたYap5SAを条件付きで過剰発現するトランスジェニックマウス系統を作製した
8。
【0073】
CAG駆動型誘導性Yap5SA導入遺伝子には、LoxPに挟まれたSTOPとeGFPがあり、その後ろにFlagタグ付きYap5SA及びIRES LacZを含んでいた(
図1A)。この導入遺伝子は、組換え前の胚及び出生後の心臓にeGFP発現を誘導した(
図1B、
図1C)。本発明者らは、Yap5SAマウスをタモキシフェン誘導性心筋細胞特異的CreドライバーであるαMyHC−Cre−ERT2(
図1D)
15と交配させて、Yap5SA過剰発現(OE)マウスを作製した。タモキシフェンを4日間連続して注入(40μg/g)することにより、成体CMに組換えを誘導した。成体心臓抽出物に対するウェスタンブロットは、Yap5SA OE心臓においてYapレベルが5倍に増加することを示した(
図1D)。免疫蛍光試験により、Yap5SA OE CMのサイトゾルに対するYapの核濃縮は2.5倍であることが明らかになった。対照CMは、サイトゾルと核の両方にYapを発現した(
図1E)。
【0074】
Yap5SA OEマウスは、最後のタモキシフェン注射の72時間後に死亡した(
図2A)。組織学により、左心室壁の厚さが増加するとともに、左心室腔が筋肉でほぼ閉塞されていることが明らかになった(
図2B)。タモキシフェンの注入前と注入から1日後の心エコー検査では、in vivoでのYap5SA OE心臓の心室壁の肥厚、心腔サイズの縮小、及び駆出率の増加を示した(
図2C〜2J及び複数の動画)。この表現型は、タモキシフェン後の対照αMHC−merCremerマウスにおける心毒性心室拡張とは対照的である
16。
【0075】
不整脈を監視するために、遠隔測定装置を同腹子対照及びYap5SAOEマウスに埋め込んだ。Yap5SA OEマウスでは不整脈の検出はなく、むしろ試験したすべてのαMyHC−Cre−ERT2マウスに観察されたタモキシフェン誘発性不整脈(T波逆転)を防いだ(
図5A、5B;n=3)。さらに、コネキシン43免疫蛍光(
図5C)によって示されるように、Yap5SAを発現する(β−ガラクトシダーゼ陽性)心筋細胞はギャップジャンクションによって対照CMと結合しており、Yap5SAを発現するCMが野生型CMと電気的に結合することが示唆された。最後のタモキシフェン注射の24時間後に心筋細胞を単離し、個々の細胞レベルでCMの収縮性を調べた。タモキシフェン投与対照CMと比較して、Yap5SA OE CMは小さかったが、安静時サルコメア長及び電場刺激に対する収縮性は同様であった(
図3A、
図5D)。
【0076】
立体解析によってCM数を決定するために、拡張期に固定した心臓を、タモキシフェン注射の2日後に、心尖から大動脈へ7μm刻みで切片化し、本発明者らが自ら、左心室面積を異なる組織深度で測定した。左心室面積を心臓内の位置の関数としてプロットし、曲線下面積を積分することにより、基準となる左心室の容積を算出した。CMを明確に識別することは困難な可能性があるため、本発明者らは中心体周辺物質1(PCM−1)マーカーを使用して、左心室のCM核を識別した
1。Yap5SA OEの心臓は、対照の心臓と比較して、左心室壁面積が増加し、心筋の容積が増加し、心腔の容積が減少した(
図3B〜3D)。Yap5SA OE心臓は、体重に対する左心室の重量比も増加した(
図3E)。
【0077】
左心室CMの総数を評価するために、本発明者らは、PCM−1陽性CM核の密度を、対照(72,100+/−2300CM核/mm^3)及びYap5SA OE心臓(70,600+/−1300CM核/mm^3)において算出した
1、17。CM核の密度は、Alkassらの最近のマウス立体解析データと一致していた(
図1Bを参照
17)。CM数を得るために、本発明者らは、CM密度に総心臓容積を乗じ、CMの核形成について補正した(以下を参照)
1、17。Yap5SA OEの左心室は、対照と比較してCM数が大幅に増加した(対照:1,880,000+/−78,000対Yap5SA:2,680,000+/−54,000;分散分析とBonferoniの事後分析p<.0001;
図3F)。対照のCM数データも以前に公開されたマウスのデータと一致している
18。
【0078】
フローサイトメトリーにより、単離されたPCM−1陽性CM核のDNA含量を定量化すると、Yap5SA OE CMは4N核でわずかな増加を示したが、4Nを超える核に有糸分裂カタストロフのモデル
19で見られるようなDNA含量の増加はなかった(
図6)。G2/Mの2倍体細胞は、4N DNA含量が4倍体細胞と同じであるため、Yap5SAの4N核の増加が高倍数化ではなく正常な細胞周期進行によることをデータは示唆している
20。単離したCMでCM核の数を測定したところ、Yap5SA OE心臓において単核CMの増加はあったが、二核CMに変化はなかった(
図3G)。また、Yap5SA心臓では、核が4つのCMの比率が減少しており、非生産的な核分裂が少ないことを示唆した(
図3G)。
【0079】
本発明者らは、Yap5SA誘導後の2日間に、EdUを飲料水で適宜供給して、単離CMのEdUを染色し、非損傷成体CMにおけるS期進入を試験した(
図3H)。以前の観察と同様に、非損傷対照CMへのEdUの取り込みは検出されなかった(
図3H)
2。対照的に、Yap5SA OE CMのうち約16%はEdU陽性であった(
図3H)。さらに、Yap5SA CMは有糸分裂マーカーを発現し、Yap5SA CMの約11%がAurkb陽性、6%がPHH3陽性であった(
図3I〜3J)。CMの倍加時間(t
D)を算出するために、1回の低用量タモキシフェンで低頻度の組換えを誘導し、異なる時点でLacZ陽性CMを計数した。本発明者らは、対数式に変換した後、Yap5SA OE CMでは、t
Dが1.37日であることを見出した(
図3K)。重要な点として、Yap5SAはCMアポトーシスまたは間質性線維症を誘発しなかった(
図7、
図8)。合わせて、データによると、Yap5SAは新しいCMの発生とともに成体CMの増殖を誘発することを示している。
【0080】
成体CM再生に関連してYap5SA標的遺伝子に対する考察を得るために、タモキシフェン注射の48時間後にCM特異的核のRNA−seqを実施した
21、22。Yap5SA CMにおいて、合計1,352個の遺伝子が大幅に上方制御され、748個が下方制御された(調整p値<0.01)(
図4A、
図9)。無作為の遺伝子オントロジー分析により、遺伝子発現の変化が増殖性CM表現型と一致することが明らかになった(
図10A)。上方制御された転写産物には、セントロメア遺伝子Cenpe及びCenpf、ならびにサイクリンCcnd1及びCcna2が含まれていた。他の遺伝子には、細胞骨格のリモデリング及び細胞増殖を促進する、Rhoファミリーのグアニンヌクレオチド交換因子であるDock2が含まれていた
23。下方制御された遺伝子には、分化したCM表現型の特徴であるミオシン及びイオンチャネルをコードする遺伝子が含まれていた(
図10B)。興味深いことに、Hippo経路遺伝子は、Yap5SA CMで最も顕著に増加した転写産物の1つであった(
図11)。コアHippo経路遺伝子Lats2及びKibra(Wwc1)は、Yap阻害因子Crb2、Amot、及びVgll2〜4をコードする遺伝子と同様に上方制御された(
図10B、
図11)。
【0081】
Yap5SA OE CMのクロマチンランドスケープを調べるために、PCM−1単離CM核で、トランスポザーゼの接近可能なクロマチン(ATAC)−seqについてアッセイを実施した
24。合計して、Yap5SA CMにおいて16,189個のピークがアクセシビリティの増加を示したが、対照CMと比較してATACピークは13,353個減少した(
図4A、
図9)。de novoモチーフの発見により、Yap5SA OE CMにおいて、新たに明らかになったATACピークのうち上位3つの濃縮モチーフすべてが、周知のYapインタラクター
25である転写因子TEAD(
図4B)に属していることが明らかになった。他の濃縮モチーフは、以前のYap ChIP−seqデータと一致するAP−1要素と、病理学的心臓リモデリングを防止する役割を有するAtf3であった
26〜28。Nucleo−ATACアルゴリズムを適用して、TEAD DNA結合モチーフに対するクロマチンの開放状態を示し、TEADモチーフでのヌクレオソームの除去を見出した。これは転写因子占有率の増加と一致していた
29(
図4B)。
【0082】
遺伝子間ATACピークを、直近の転写開始部位(TSS)に対してプロットすると、対照とYap5SA OE CM両方においてプロモーター領域(TSSから1kb未満)及び遠位遺伝子座(10kb超)で構成される二峰性分布があった(
図12A)。Yap5SA OE CMにおいて、上方制御された、新たに接近可能なATACのピーク(調整p値<1e−5)は、推定エンハンサー内の主に遠位に位置していた
24。同様に、活発に転写される遺伝子にマップするATACピークも遠位領域に濃縮された(
図4C、
図12B)。以前の研究により、Yap−Tead結合部位は、活性クロマチンのマーカーであるH3K27Acに濃縮されることが明らかになった
5。ATAC−seqデータと、発達中及び成体の心臓からの既存のH3K27Ac ChIP−seqデータとの比較により、Yap5SA OE CMからのATAC−seqピーク(調整p値≦0.035)が胚H3K27Acクロマチンマークに濃縮されていることが明らかになった。対照的に、対照CMからのATAC−seqピーク(調整p値≦0.035)は、成体H3K27Acクロマチンマークに濃縮を示した
30(
図4D)。これらのデータは、Yap5SAが発生促進因子に対するクロマチンアクセシビリティを促進したことを示唆している。
【0083】
Yap5SA Flagエピトープに対する抗体を使用してChIP−seqを実施し、Yap5SA結合クロマチンを沈降させた。ATAC−seqデータと一貫して、Yap5SAのChIP−seqにより、Yap5SAが約6.3対1の比で遠位エンハンサー領域に優先的に結合したことが明らかになった(
図4C)
26、31。Yapはまた、接近可能なプロモーターと結合し、通常はサイレントな遺伝子の転写を正に制御した
31。
【0084】
Yap5SA CMにおいて転写的に上方制御された遺伝子をYap5SA ChIP−seqデータと比較すると、173個の遺伝子がYap5SAの直接標的遺伝子であった。Yap5SAの直接標的遺伝子座のうち、76個の遺伝子座はまた、ATAC−seqによって決定されたようにクロマチンアクセシビリティが増加したが、他のYap5SA標的遺伝子座はオープンクロマチンシグネチャーを既に有していた(
図4E、
図13A)。各遺伝子のTSSを中心とした周辺1kb域のRNA−seqとATAC−seq両方の平均断片深度をプロットして、これらの遺伝子座での高いプロモーターアクセシビリティ及び転写増加のパターンを明らかにした(
図13C)。
【0085】
Yap5SAによって直接制御される76個の遺伝子の中にはHippo経路の構成要素があり、これはYapが負のフィードバックループを直接活性化してCMの増殖を妨げることを示している(
図4G、
図11A〜11B)。Hippo経路遺伝子は、Lats2、Vgll2、Vgll3、及びWwc1を含んでいた
8、32(
図4F;
図13A)。ウェスタンブロットにより、内因性の低分子量Yapが、Hippo活性の上方制御を示す、セリン112のリン酸化を増加させたことが明らかになった(
図11)。Yap5SAが直接制御する他の遺伝子には、Pkciなどの有糸分裂及び細胞質分裂遺伝子を含んでいた
33。接近可能なYap5SA標的の主要カテゴリーは、エンドソーム選別構成要素をコードする遺伝子であった。このカテゴリーには、レトロマー構成要素をコードするSnx2、Snx7を含んでいた。エンドサイトーシスアダプタータンパク質をコードするDab2はWnt阻害因子として機能するが、Wntリガンドのエンドソーム輸送にはWlsが不可欠である
34、35(
図13A1〜13A3、
図13B)。
【0086】
Nectin1、Plekha7、Mtss1、及びCtnnd1などの、アドヘレンスジャンクションのアセンブリを促進する遺伝子もYap5SAの接近可能な標的であり、新しいCMが機能的に心臓に統合されるという知見をさらに裏づけた
36。アクチン細胞骨格を制御する複数の遺伝子も、Yap5SAの接近可能な標的に見いだされた。Ephexin及びPak3は、Rho活性の増強にとって重要なタンパク質をコードする。他の遺伝子は、コードアクチン核形成因子をコードするCobl、及び創傷治癒中のストレスファイバーの形成に重要であるCnn3などである(
図13A1〜13A3、
図13B)。
【0087】
図14Cに、細胞周期に直接関与する、Yap5SAによって差次的に制御される遺伝子をまとめるとともに、成体の心筋細胞での細胞周期の開始について記述された、または試みられた以前の文献をまとめる。キー(記号)は、RNA−seqによって決定される、Yap5SA心筋細胞で差次的に上方または下方に制御される遺伝子;Yap5SAクロマチン免疫沈降と、それに続くシーケンシングによって決定されるYap5SAの直接的な標的である遺伝子(すなわちChIP−seq(+));及びトランスポザーゼが接近可能なクロマチンについてのアッセイで決定される、対照の心筋細胞ではエピジェネティックに抑制されたが、Yap5SAの存在下では抑制されない遺伝子(すなわち、ATAC−seq(上方))を示す。
【0088】
この知見は、分化したCMの増殖能力が、遠位制御要素の除去によって効果的に妨害されることを明らかにしている。Yap5SAを過剰発現させることにより、Yapが有糸分裂を介した進行を促進する遺伝的プログラムを活性化できることを確認した。重要な点として、Yap5SA標的遺伝子には、細胞周期遺伝子が含まれるが、生産的な細胞分裂に重要であるエンドソーム選別タンパク質をコードする遺伝子も含まれる。
【0089】
本発明者らによって作成された動画は、タモキシフェン投与前のYap5SA OE心臓、ならびに同じ心臓であるがタモキシフェン投与の1日後及び4日後の短軸Bモード心エコー検査を示す。また、動画は、最後のタモキシフェン投与の2日後、及びその動物が死亡する24時間前の、Yap5SA OE心臓の短軸Bモード心エコー検査を示している。心室腔は縮小した。タモキシフェン前のYap5SA OE心臓、ならびに同じ心臓であるがタモキシフェン2日後、及びさらに5日後の長軸Bモード心エコー検査。心筋層の肥厚が明らかであった。
【0090】
(補足資料)
(材料及び方法)
(実験用動物)
マウス試験は、Baylor College of Medicineの施設内動物管理使用委員会に従って実施された。本発明者らは、例として、Kunliang Guan(Addgeneプラスミド番号27371)由来のpCMV−flag YAP2 5SAを利用して、CAG−loxP−eGFP−Stop−loxP−IRES−βGal発現構築物にクローニングした。この構築物は、5つの標準的なLats依存性リン酸化モチーフに、アラニンに変異された8つのセリン残基(S61A、S109A、S127A、S128A、S131A、S163A、S164A、S381A)をもつヒトYap変異体をコードする。導入遺伝子をコードする線状DNA(
図1A)をFVB/Nマウス由来受精卵母細胞へ前核注入した後、これを偽妊娠ICRマウスに移植することで、Yap5SA OE(Tg(Jojo−Flag::Yap5SA)5JFM)マウスを作製した。C57B1/6のバックグラウンドが保持された、ホモ接合αMyHC−Cre−ERT2マウスと単交配を実施した。対照動物はすべて同腹仔または同齢の同胞であった。尾部皮膚におけるeGFP発現、及びPCRジェノタイピングの両方により、視覚的に遺伝子型を決定した(F:AAGCCTTGACTTGAGGTTAG(配列番号5)、R:CGTCATCGTCTTTGTAGTCC;配列番号6)。成体実験はすべて、7〜10週齢の雌雄マウスで実施した。Creのタモキシフェン誘導は、Heallenらによる以前の刊行物と同様に、腹腔内注射(40mg/kg)、4日間毎日
4)で行った。
【0091】
(超音波心エコー検査)
Mモード及びBモード心エコー検査は、VisualSonics 770システムの30MHxスキャンヘッド(RMV7007B)を使用して、Baylor College of Medicine Mouse Phenotyping Coreの確立されたプロトコルに従って実施した。
【0092】
(1細胞の形態学的及び生理学的測定)
4回目のタモキシフェン注射の翌日、他の箇所に記載されているような、コラゲナーゼA(Roche)の逆行性灌流により心筋細胞を単離した
37。細胞の一部を固定し(10%ホルマリン、10分)、細胞サイズを定量化した。この定量化は、プレーティングした細胞の静止画像を撮影して(Nikon Eclipse 80i顕微鏡、Nikon DSFi1カメラに装備)、これをimageJ(NIH,Bethesda,MD,USA)でアウトライン処理し、CM 2Dプロファイル領域を定量化することにより行った。画像を定量化する者には、遺伝子型を知らせなかった。IonOptix Myocyte Calcium and Contractility Recording System(IonOptix,Westwood,MA)を使用して、生理学的ライブイメージングを実施した。1.8mM Ca
2+を含有するタイロード溶液(HEPES緩衝処理、pH7.4)中で心筋細胞を平板培養し、(組換え後)GFPが非存在または最小であるものを選別し、MyoPacer(IonOptix,Westwood,MA)を使用して20V/cmで電界刺激した。2分間、1Hzのペーシングプロトコルの最後20秒間、Ionoptix IonWizardソフトウェアを使用してサルコメア周期のフーリエ変換によりサルコメアの短縮を定量化した。
【0093】
(光学マッピング)
マウスをイソフルランで麻酔して手術レベルの麻酔下にし、ヘパリンを腹腔内に注射(100単位)した後、頸部を脱臼する。次に、心臓を摘出し、酸素添加した(95%O
2、5%CO
2)冷タイロード溶液で洗浄した。次に、大動脈に21ゲージのカニューレを挿入した。カニューレ挿入後、大動脈圧を80〜120mmHgに維持して、心臓にタイロード溶液を逆行性に灌流させた。電極(Harvard Apparatus,MA,USA)を右心房の表面に配置し、PowerLab 26T(AD Instruments,Sydney,Australia)によって生成されたペーシング刺激(10Hz、12Hz、及び14Hz)を与えた。収縮アーチファクトを除去するために、心臓にブレビスタチン(Sigma−Aldrich、B0560−5mg、DMSO中2.5mg/mlを50ul)を供給した。次に本発明者らは、電圧感受性色素であるジ−4−ANEPS(Invitrogen、D−1199、DMSO中2.5mg/mlを20ul)で心臓を灌流した。励起にはLEDライトを使用した(波長:530nm)。Vmを示す蛍光発光をロングパスフィルターで処理し(>590nm、590FG05−50、Andover Corporation Optical Filter)、MiCAMO CMOSカメラ(SciMedia,CA,USA)で測定した。実験中、LabChartを使用して体表面ECG(ADInstruments)をモニターした。伝導速度及び活性化マップをRhythmソフトウェアで算出した
38。
【0094】
(組織学、免疫蛍光、凍結切片、及びEdUイメージング)
新たに摘出した胚及び出生後心臓を、Zeiss AxioCam Hrcを搭載したZeiss SteREO Discovery.V12で内因性蛍光について解析し、画像化した。固定のため、心停止用の20mM KCl−PBSで心臓を逆行性に灌流した後、10%中性緩衝ホルマリンを灌流させ、その後パラフィンで包埋した。7ミクロンの横断切片に切断し、帯電したポリリジンスライド(Denville UltraClear Plus、白色つや消し加工)にマウントした。一部はマッソンのトリクローム染色で染色し、一部はピクロシリウスレッドで染色した。免疫組織化学は、最初に切片を脱パラフィンし、再水和した後、抗原賦活化して実施した。切片をブロッキング(PBS中10%ロバ血清、0.1%tween−20)し、さらに一晩(個別、順次)染色した後、イメージングした(一次:抗CX43、Sigmaウサギ1:200;抗β−gal、Abcamニワトリ1:200)(二次:標準的な蛍光色素コンジュゲートLife technologies Alexa抗体)。核はDAPIで染色した。DeadEnd Fluorometric TUNELシステム(Promega)を使用して、パラフィン包埋組織にTUNEL染色を実施した。画像を定量化する者には、遺伝子型を知らせなかった。イメージングはすべて、Baylor College of MedicineのOptical Imaging and Vital Micorscopy coreにて、Zeiss LSM 780共焦点顕微鏡で実施した。
【0095】
凍結切片を切断する際は、心臓を抽出して、30%スクロース、20mM KCl−PBSで灌流し、次いでTissue−Tek(登録商標)O.C.T.化合物に入れた後、ドライアイスで凍結した。次に16ミクロンの切片を切り出し、スライドガラスにマウントした。免疫蛍光染色の際は、切片を42℃に温めてから−20℃のアセトン中に20分間静置した後、ロバ血清でブロッキングすることにより抗原賦活化を実施し、次に、一次抗体(PHH3、ウサギCell Signalin1:400;AuroraB、ウサギAbcam1:200;cTnT、マウスThermo1:200)と4℃で一晩、続いて、二次(Life Technologies Alexa抗ウサギ;抗マウスVector Labsビオチン化1:200、続いてLife Technologies Streptavidin−Alexa)抗体と室温にて30分間、インキュベートした。核はDAPIで染色した。画像を定量化する者には、遺伝子型を知らせなかった。イメージングはすべて、Baylor College of MedicineのOptical Imaging and Vital Microscopy coreにて、Zeiss LSM 780共焦点顕微鏡で実施した。
【0096】
免疫細胞化学法標準プロトコルを用いて実施した。簡潔には、ランゲンドルフ摘出CMを10%ホルマリン中で室温にて10分間固定した。0.5%トリトン−100で20分間透過処理し、2%FBS及び2%BSAでブロッキングした後、抗体を一晩(個別、順次)インキュベートしてからイメージングした(抗Yap、ウサギNovus1:200、cTnT、マウスThermo1:200)(二次:標準的な蛍光色素コンジュゲートLife Technologies Alexa抗体)。EdU染色は、Life TechnologiesのClick−it Alexa Fluor 647イメージングキット(C10340)によるClick−itテクノロジーを用いて実施した。個々の心筋細胞に存在する実際のEdUは、共焦点zスタックによって決定した。DAPIで染色し、共焦点Zスタックにより細胞あたりの核の数を計数することにより、この単離した心筋細胞の核数を定量化した。画像を定量化する者には、遺伝子型を知らせなかった。イメージングはすべて、Zeiss LSM 780共焦点顕微鏡で実施した。
【0097】
(ウェスタンブロッティング)
HEPES、EDTA、トリトン緩衝液中の心臓をビーズでホモジナイズして、ウェスタンブロッティングを実施した。次に、溶解物に還元tris系SDS試料緩衝液(80μg/ウェル)を充填し、PVDA膜に転写し、Li−Cor Odysseyイメージングシステムを使用してイメージングした。一次抗体:Novusウサギ抗Yap(1:1000);Sigmaマウス抗M2flag(1:1000);Milliporeマウス抗GAPDH(1:5000);Cell Signaling Technologies抗P−Yap(S127−マウスホモログS112))、(1:1000)。Li−Cor蛍光二次抗体:ヤギ抗ウサギIgG、ヤギ抗マウスIgG(1:5000)。定量化はFiji(ImageJ)のゲル分析機能を使用して実施した。
【0098】
(in vivo電気生理学)
以前に記載されたように
39、Yap5SA OE誘導プロトコルにわたる5日間、連続して心電図を記録した。歩行可能なマウスの腹腔に遠隔測定送信機(Data Sciences International)を埋め込んだ。s.c.電極をリード線II配置に取り付け、バージョン4.1のDataquestソフトウェアを使用して記録した。T波測定は、曲線下面積を算出することにより実施した。
【0099】
(LVサイズ及び筋細胞の総数の定量化)
左心室の心筋細胞の総数を決定するにあたり、本発明者らは、最初に心臓を切除し、それをKCl、続いて10%ホルマリンでの逆行性灌流、さらに10%ホルマリンで滴下固定して、拡張期に固定した。心臓をパラフィンで包埋し、心尖から大動脈へ7ミクロン刻みで切片化した。次に本発明者らは、顕微鏡スライド上のLV心筋層の面積を組織深度の関数としてプロットし、さらに次いでその曲線下面積を積分することにより、各心臓の左心室の容積を算出した。その容積から、1.053g/mLの筋肉密度を用いて容積を質量に変換することにより、LV重量と体重との比を算出した
40。次に、さまざまな組織深度の7ミクロン切片を抗PCM1、DAPI、及びWGAで染色して、CM核、すべての核、及び細胞境界を標識した。共焦点顕微鏡を使用して各切片の厚さ全体にわたり画像化した後、本発明者らがイメージングフレーム内のPCM1(+)核の数を計数した。フレームの下端と左端の部分核は計数しなかったが、上端と右端の部分核は計数した。Zスタックは、異なる組織深度から得た切片にわたってランダムに取得した(40Zスタック/心臓)。PCM1とDAPIの両方が陽性であり、PCM1がDAPIを包囲している場合のみ、核を計数した(
図3F)。CMの総数を検出するため、容積あたりの計数された核の数から、核形成密度を算出し、さらにこれを心筋層の全体容積に外挿し、次に、他の箇所に記載するように、各遺伝子型の筋細胞の平均核形成で補正した(対照:2.04核/CM;Yap5SA:1.92核/CM、
図3G)
41。画像を定量化する者には、遺伝子型を知らせなかった。
【0100】
(フローサイトメトリーによるDNA含量分析)
心筋細胞をランゲンドルフ灌流により単離した後、10%ホルマリンで固定した。以前に記載されたように核を単離した
42。細胞を懸濁し、HB緩衝液(pH7.4 15mM Tris−HCl、0.34Mスクロース、15mM NaCl、60mM KCl、0.2mM EDTA、0.2mM EGTA、プロテイナーゼ阻害剤を含む)中で、30回ダウンス型でホモジナイズした。次に、PBTB緩衝液(0.1%Triton X−100、PBS中5%BSA)中で、18−G針により15回穿刺して核を放出させた。CM特異的核を標識するため、核をPCM1抗体(1:1000、Sigma;二次:Life Technologies Alexa抗ウサギ546)とインキュベートし、DNAをDAPIで標識した。次に、核をセルソーター(BD Biosciences FACSARIA II SORP)に通し、PCM1(+)心筋細胞核のDNA含量をDAPI蛍光強度として定量化し、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して細胞周期段階について分析した。
【0101】
(LacZレポーター倍加時間分析)
心臓を摘出し、20mM KCl中20%グリセロールで灌流し、O.C.T.化合物に包埋し、ドライアイスで凍結した。次に、それらを16μmの切片に切断し、PBS中0.02%グルタルアルデヒドで15分間固定した。x−galとの反応を37℃で48時間進行させた。
【0102】
細胞分裂により生じる細胞数は、N(t)=N
02
2t/tDで表すことができる。ここで、N(t)は所与の時点での細胞数であり、N
0は開始時の細胞数であり、tはN
0からN(t)に移行するまでに要した時間量であり、t
Dは倍加時間である。1回の低用量(10μg/g)タモキシフェンの注射を実施した後、Yap5SA OEマウスを時間依存的に屠殺した。次に、本発明者らは、心臓を切片化し、切片あたりのLacZ(+)細胞の数を定量化した。次に、その合計を切片の面積で除算した。次に、本発明者らは、これらの値のlog
2をプロットし、
【数1】
で表される線形関数にデータを当てはめた。N
0及びN(t)のデータを挿入して整列し直し、t
Dを求めることにより、倍加時間(t
D)を決定した。イメージングは、Nikon DSFi1カメラを装備したNikon Eclipse 80i顕微鏡で実施した。画像を定量化する者には、どの時点かを知らせなかった。
【0103】
(ATAC−seq及びRNA−seqのためのPCM1の核単離:)
核単離は、以下の変更を加え、Mo et al.に従って実施した
43。簡潔には、氷上で新鮮な心臓組織を採取し、直ちにBiogen Series PRO200(PRO Scientific)でホモジナイズした後、ダウンス型でホモジナイズした。オプティプレップ密度勾配培地(Sigma)を用いた密度勾配遠心分離により、核を単離した。30〜40%の界面から単離された核はすべて、Protein−G Dynabeads(Life technologies)で事前に清澄化した。次に、核を抗PCM1(Sigma、HPA023370)抗体及びProtein−G Dynabeadsと免疫沈降し、心筋細胞核を濃縮した
21。
【0104】
(ATAC−seq)
約50,000個のビーズに結合したPCM1+核をATAC−seqのインプットとして使用した。ATAC−seqライブラリーを(Buenrostro et al,2013)
24に従って作成した。Illumina Nextseq装置(DNA Link)でペアエンドの2x75bpシーケンシングを実施した。デフォルトのペアエンド設定でBowtie2を使用して、リードをマウスゲノム(mm10)にマッピングした
44。次に、核以外のすべてのリード、及び不適切にペアになったリードを破棄した。次に、重複したリードをpicard MarkDuplicatesで除去した。MACS2(callpeak−nomodel−broad)でピークコールを実行した。ブラックリスト領域をmm9からマウスゲノムmm10へ変換し、シーケンシング品質の低いピーク(q30超が必要)とともにこれを除去した。bedtools(multicovモジュール)を使用して、包括的なピークファイル(Yap5SA及び対照の複製物がマージされたもの)から条件ごとにリードを計数した
45。ATAC−seqデータセットの分位点標準化をCQN
46で実施し、オフセットをDESeq2に供給して、アクセシビリティ差を定量化した
47。ヌクレオソームのコールは、NucleoATAC
29で実施した。モチーフ濃縮分析は、Homer(findMotifsGenome.pl)を使用して実施した。
【0105】
(RNA−seq)
RNEasy Plus Microキット(Qiagen)を使用して、ビーズに結合したPCM1+核からRNAを回収した。カスタムのY字型アダプターを備えたStranded RNA−seq Kit with Ribo Erase(Kapa Biosystems)で核RNA−seqライブラリーを構築した。Illumina Nextseq装置(DNA Link)でRNA−seqライブラリーに対してペアエンドの2x75bpシーケンシングを実施した。STAR
48を使用して、最初にリードをマウスゲノム(mm10)にマッピングした。次に、DESeq2
47を用いて発現差解析を実施した。Metascapeを使用して遺伝子オントロジーを実施した。g:Profiler
49、50を使用してde novo経路分析を実施した。
【0106】
H3K27AcのChIP−seq
公開データ:GSM1264370、GSM1264372、GSM1264372、及びGSM1264372を、bowtie2のデフォルトパラメーターを用いてマウスゲノム(ビルドmm10)にマッピングした。マッピング後、心臓E11.5 H3K27Acの複製物GSM1264370及びGSM1264372をマージして分析した。遺伝子トラックはUCSCゲノムブラウザーを使用して表示した。
【0107】
YapのChIP−seq
心室を摘出して冷DPBSに入れ、血液を除去した後、0.1%TritonX−100を補充したPBS中で細砕した。次に、BioGen Pro200及び5mmジェネレーターで迅速にホモジナイズした。ローテーター上で1%ホルムアルデヒド中にて室温で10分間架橋させ、150mMグリシンにより室温で10分間クエンチした。細胞をペレット化し、0.1%Triton−PBSで2回すすいだ。次に、5mLの細胞溶解緩衝液(5nM Tris pH8.0、140mM NaCl、1mM EDTA、10%グリセロール、0.5%NP−40、0.25%TritonX−100、0.5%Igepal CA−630、50mM HEPES、cOmplete EDTA−Free Rocheプロテアーゼ阻害剤)中にて、氷上で20分間インキュベートすることにより溶解させた後、ダウンス型でホモジナイズした。溶解物をペレット化し、細胞溶解緩衝液に再懸濁し、超音波処理した。次に、本発明者らは細胞及び核を4℃で10分間、2kGでペレット化した後、600uL核溶解緩衝液(10mM Tris、1mM EDTA、0.5mM EGTA、0.3%SDS、完全EDTAフリーRocheプロテアーゼ阻害剤)に再懸濁し、超音波処理した。15ugにせん断したクロマチンを使用して、Flag抗体(Sigma、F1804)またはIgG(Milipore 12−371)及びプロテインG磁気ビーズ(Peirce)と、ローテーター上で、4℃で一晩ChIP処理した。ローテーター上で、4℃で5分間ビーズを洗浄し、洗浄して、脱架橋し、DNAを精製した。Kappa Library Preparation Kit(Ion Torrent、KK8301)を使用して、シーケンシングライブラリーを作成した。Ion Torrent Protonで配列決定したYAP5SA−FLAG ChIP−seqライブラリーを、Torrent SuiteアライナーTmap(0.2.3)(Life Technologies)を使用してmm10マウスゲノムアセンブリにマッピングした。3つの生物学的複製を実施し、一意にマッピングされたリードのみを保持した。複合YAP5SA ChIP−seqデータセットからピークをコールし、HOMER(findPeaks及びannotatePeaks.pl)を用いてアノテーションした。遺伝子トラックはUCSCゲノムブラウザーを使用して表示した。
【0108】
(実施例2)
YAPK265Rの安定性
本発明者らは、Yap K265R(Yapの265位アミノ酸のリジンがアルギニンへ変異したもの)ホモ接合突然変異を有する2つのP19細胞株(番号11及び番号13)を作製した。YapK265R突然変異体の半減期を確認するために、6ウェルプレート中のWT P19細胞及びP19細胞にYap K265R突然変異体(番号13)を播種した。翌日、細胞の集密度が約60%〜70%に達したら、20ug/mlシクロヘキシミド(CHX)で2時間、4時間、または6時間、細胞を処理した(DMSOで処理した細胞は0時間とする)。処理後、細胞を氷冷PBSで2回洗浄し、次いで0.5%NP40溶解緩衝液100ul(50mM Tris−HCL、150mM NaCl、0.5%NP40、ならびにプロテアーゼ阻害剤及びリン酸化阻害剤)で回収した。Yap、S127リン酸化を伴うYap(p−Yap)、及びβ−カテニンの発現を試験するために、細胞溶解物をウェスタンブロッティングで分析した。GAPDHの発現を内部対照として利用した(
図15A)。CHXはタンパク質合成を阻害することができる。これは、処理後に新生タンパク質が補充されず、Yap、p−Yap、及びβ−カテニンのタンパク質レベルが経時的に減少するためである。WT Yapと比較して、YapK265Rはより急速に減少した。これはK265R突然変異をもつYapの安定性が低いことを意味する(
図15A)。p−Yap及びβ−カテニンもまた、YapK265R突然変異体P19細胞では安定性が低い(
図15A)。CHX処理しない場合、Yap及びp−Yapの基底レベルはWT P19細胞と比較してYapK265R突然変異体P19細胞でわずかに低い(
図1B)。興味深いことに、β−カテニンの発現は、YapK265R突然変異をもつP19細胞で増加した(
図1A及び
図1B)。
【0109】
これらの試験を2回繰り返し、一貫した結果を得た(
図16及び
図17)。統計結果を
図17Bに示す。Yapのタンパク質の代謝回転率を試験するために、プロテアソーム阻害剤であるMg132、20um/mlで細胞を処理した。分解ができないため、タンパク質レベルは経時的に増加した。YapK265R突然変異体P19細胞でのYapタンパク質の蓄積の増加は、WT Yapと比較してYapK265Rの代謝回転率が高いことを示している。言い換えれば、YapK265RはWT Yapよりも安定性が低い(
図18A及び
図18B)。しかしながら、β−カテニンの代謝回転率はYapK265R突然変異体細胞では変化しなかった(
図18A及び
図18C)。
【0110】
Yapは、核内のDNA結合パートナーと協働して遺伝子発現を制御する転写補助因子である。YapK265R突然変異体の核局在化を試験するために、P19細胞を溶解し、核画分及びサイトゾル画分を回収してウェスタンブロット分析を行った。Yapタンパク質の量は、YapK265R突然変異体細胞の核画分では少ないが、サイトゾル画分では変化しないことから、YapK265Rの核局在化が少ないことが示唆される(
図19)。この実験を合計3つの複製物で2回実施した(
図19A及び
図19B)。統計結果を
図19C及び
図19Dに示す。
【0111】
抗体の例:Yap(1:1000、Novas Biologicals、NB11O−58358);β−カテニン(1:1000、Santa Cruz、sc−7963);p−Yap(S127)(1:1000、Cell Signaling、#4911);p−Yap(S381)(1:1000、Cell Signaling、#13619);GAPDH(1:3000、Abeam、ab9485);HDAC2(1:5000、Thermo Scientific、PA1−861)
【0112】
(参考文献)
本明細書で引用するすべての特許、特許出願、及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
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【0113】
本発明及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定されるような本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び改変が本明細書でなされ得るものと理解されるべきである。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及び工程に関する特定の実施形態に限定されることを意図しない。当業者であれば本発明の開示から容易に理解されるであろうが、本明細書に記載の対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、または実質的に同じ結果を達成する、現存するまたは今後開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、または工程を本発明に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、または工程をその範囲内に包含することを意図する。