(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-514213(P2020-514213A)
(43)【公表日】2020年5月21日
(54)【発明の名称】植物生長を向上させるための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
C05F 11/10 20060101AFI20200424BHJP
A01P 21/00 20060101ALI20200424BHJP
A01N 63/32 20200101ALI20200424BHJP
C05G 3/80 20200101ALI20200424BHJP
C05C 5/00 20060101ALI20200424BHJP
C05C 5/04 20060101ALI20200424BHJP
C05C 3/00 20060101ALI20200424BHJP
C05C 5/02 20060101ALI20200424BHJP
C05B 7/00 20060101ALI20200424BHJP
C05C 9/00 20060101ALI20200424BHJP
A01G 7/06 20060101ALI20200424BHJP
【FI】
C05F11/10
A01P21/00
A01N63/02 C
C05G3/04
C05C5/00
C05C5/04
C05C3/00
C05C5/02
C05B7/00
C05C9/00
A01G7/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-533053(P2019-533053)
(86)(22)【出願日】2017年12月18日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月17日
(86)【国際出願番号】EP2017083314
(87)【国際公開番号】WO2018114805
(87)【国際公開日】20180628
(31)【優先権主張番号】16204921.7
(32)【優先日】2016年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】517180394
【氏名又は名称】ダンスター フェルマン アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】コール,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】サンチェ,ジャン−マルク
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラノア,ベルタン
【テーマコード(参考)】
4H011
4H061
【Fターム(参考)】
4H011AB03
4H011BB21
4H011DG06
4H061AA01
4H061AA02
4H061BB05
4H061BB06
4H061BB08
4H061BB10
4H061BB32
4H061DD11
4H061EE66
4H061HH11
4H061LL25
(57)【要約】
植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を供給することを含む、植物生長を向上させるための方法及び組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で、同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することを含む、植物生長を向上させるための方法。
【請求項2】
前記少なくとも1種類の窒素源が硝酸アンモニウムを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種類の窒素源が有機窒素源、無機窒素源、又はそれらの混合物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素含有化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が窒素46%尿素である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸含有化合物又はアンモニウム含有化合物である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が液体尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸カルシウム又は硫酸アンモニウムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記酵母がサッカロミセス属の種である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理、機械的処理、化学的処理又は酵素的処理によって作出される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理によって作出される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源が同時に供給される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が、1ヘクタール当たり乾物で少なくとも0.5kg〜50kg、1ヘクタール当たり乾物で1kg〜10kg又は1ヘクタール当たり乾物で1kg〜5kgの量で、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接供給される、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体のパーセンテージが、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の総重量に対して約0.5重量%〜50重量%;0.5重量%〜45重量%;0.5重量%〜40重量%;0.5重量%〜35重量%;0.5重量%〜30重量%;0.5重量%〜25重量%;0.5重量%〜20重量%;0.5重量%〜15重量%;0.5重量%〜10重量%;又は0.5重量%〜5重量%である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記植物生長が、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体単独又は前記少なくとも1種類の窒素源単独で処理した対照に比べての、植物の地上部及び/又は根の乾燥重量;及び/又は植物の地上部及び/又は根の平均長;及び/又は植物によって生産される地上部及び/又は根の平均数、及び/又は総植物バイオマスの増加である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記植物生長が、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体単独又は前記少なくとも1種類の窒素源単独で処理した対照に比べて少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%増加する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で含む、植物生長を向上させるための組成物。
【請求項21】
前記少なくとも1種類の窒素源が硝酸アンモニウムを含まない、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記少なくとも1種類の窒素源が有機窒素源、無機窒素源、又はそれらの混合物である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素含有化合物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1種類の有機窒素源が窒素46%尿素である、請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸含有化合物又はアンモニウム含有化合物である、請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が液体尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物である、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸カルシウム又は硫酸アンモニウムである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記酵母がサッカロミセス属の種である、請求項20〜28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理、機械的処理、化学的処理又は酵素的処理によって作出される、請求項20〜31のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項33】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理によって作出される、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体のパーセンテージが、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の総重量に対して約0.5重量%〜50重量%;0.5重量%〜45重量%;0.5重量%〜40重量%;0.5重量%〜35重量%;0.5重量%〜30重量%;0.5重量%〜25重量%;0.5重量%〜20重量%;0.5重量%〜15重量%;0.5重量%〜10重量%;又は0.5重量%〜5重量%である、請求項20〜33のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、生物的殺虫剤、化学的殺虫剤、防かび剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物抽出物、植物生長調整剤、肥料又はミネラル溶液をさらに含む、請求項20〜34のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不活性酵母及び/又は酵母誘導体と窒素源との組み合わせを含む組成物を使用することにより、植物生長反応を向上させ、植物の生育を増進させるための方法及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素肥料の発見以来、それらは作物収量を増加させるために有利に使用されている。例えば、硝酸イオンの濃度が高いため、硝酸アンモニウムは一般に農業、特に施肥の分野で重要な使用目的があるということはよく知られている。しかしながら、その農業的利益にもかかわらず、硝酸アンモニウムは、爆発の危険性をもち非常に揮発性があり、不安定な材料である。
【0003】
窒素肥料を過剰に使用して、環境にいくつかのマイナスの結果がもたらされている。実際、使用された窒素の一部だけが植物によって吸収され、廃棄された窒素は環境に対して相当の公知の衝撃を与えている。例えば、地下水に浸出した硝酸塩のレベルが増加し、そのために水路を汚染しうる。また、多量の窒素肥料の使用は、高レベルの亜酸化窒素の排出(強力な温室効果ガス)をもたらす脱窒のレベルを増加しうる。窒素肥料の使用の削減は、広範な窒素肥料の使用に起因する環境のダメージを減少させるであろう。
【0004】
化学肥料の植物の生長に対する有益な効果を維持しつつ、化学肥料の副作用を最小化するアプローチがいくつかある。例えば、根の近くの領域に住む多くの微生物は植物の生長及び作物生産性に有益な効果があることが示されている。実際、
植物を囲むミクロフローラは非常に密集しており、とりわけ細菌、真菌、酵母及び藻類を含んでいる。最近の土壌微生物学及び植物細胞分子生物学の急速な進展は、農業、園芸、林業及び環境管理において微生物剤の使用に対する関心を高めるに至った。特に、土壌に存在することが知られているいくつかの微生物は、その植物生長を促進する能力に関して相当な注意を引き付けている。そのうえ、仏国特許no.2,904,310において、不活性酵母、酵母細胞壁、酵母抽出物又は酵母誘導体は、マメ科以外の作物のバイオマス生産量を著しく向上させることが示されている。この不活性酵母は、土壌中のミクロフローラ集団に刺激を与え、微粒化、アンモニア生成、及び有機窒素の硝化の段階を、土壌による窒素供給を向上させる無機質窒素に向上又は加速させるように思われる。また、不活性酵母は、植物生長に対してホルモン経路又は酵素経路によって作用しうる。土壌肥料又は作物保護としての酵母の使用はまだ広く普及はしていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、窒素の導入を減らしつつ、植物生長反応及び生育を向上させるための新たな方法及び組成物に対する要求が依然として存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源の組み合わせを供給することを含む、植物生長又は植物生育を向上又は増進させるための方法に関する。
【0007】
本発明は、第1の態様においては、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で、同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することを含む、植物生長を向上させるための方法である。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の窒素源が硝酸アンモニウムを含まない。さらに他の実施態様においては、本発明は、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で、同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することを含み、前記少なくとも1種類の窒素源は硝酸アンモニウムを含まない、植物生長を向上させるための方法である。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の窒素源が有機窒素源、無機窒素源、又はそれらの混合物である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素含有化合物である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が窒素46%尿素である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸含有化合物又はアンモニウム含有化合物である。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が、液体尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が、硝酸カルシウム又は硫酸アンモニウムである。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス属の種である。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディ(S. cerevisiae var.boulardii)である。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである。さらに他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理、機械的処理、化学的処理又は酵素的処理によって作出される。
さらに他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理によって作出される。さらに他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源が同時に供給される。1つの実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が、1ヘクタール当たり乾物で少なくとも0.5kg〜50kg、1ヘクタール当たり乾物で1kg〜10kg又は1ヘクタール当たり乾物で1kg〜5kgの量で、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接供給される。他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体のパーセンテージが、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の総重量に対して約0.5重量%〜50重量%;0.5重量%〜45重量%;0.5重量%〜40重量%;0.5重量%〜35重量%;0.5重量%〜30重量%;0.5重量%〜25重量%;0.5重量%〜20重量%;0.5重量%〜15重量%;0.5重量%〜10重量%;又は0.5重量%〜5重量%である。さらに他の実施態様においては、前記植物生長が、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体単独又は前記少なくとも1種類の窒素源単独で処理した対照に比べての、植物の地上部及び/又は根の乾燥重量;及び/又は植物の地上部及び/又は根の平均長;及び/又は植物によって生産される地上部及び/又は根の平均数及び/又は総植物バイオマスの増加である。1つの実施態様においては、前記植物生長が、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体単独又は前記少なくとも1種類の窒素源単独で処理した対照に比べて少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%増加する。
【0008】
本発明は、第2の態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で含む、植物生長を向上させるための組成物である。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の窒素源が硝酸アンモニウムを含まない。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の窒素源が有機窒素源、無機窒素源、又はそれらの混合物である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素含有化合物である。さらに他の実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を相乗的に有効な量で含み、前記少なくとも1種類の窒素源が硝酸アンモニウムを含まない、植物生長を向上させるための組成物である。
さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が尿素である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の有機窒素源が窒素46%尿素である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸含有化合物又はアンモニウム含有化合物である。1つの実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が液体尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物である。さらに他の実施態様においては、前記少なくとも1種類の無機窒素源が硝酸カルシウム又は硫酸アンモニウムである。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス属の種である。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス・セレビシエ又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディである。さらに他の実施態様においては、前記酵母がサッカロミセス・セレビシエである。さらに他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理、機械的処理、化学的処理又は酵素的処理によって作出される。さらに他の実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体が熱処理によって作出される。1つの実施態様においては、前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体のパーセンテージが、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の総重量に対して約0.5重量%〜50重量%;0.5重量%〜45重量%;0.5重量%〜40重量%;0.5重量%〜35重量%;0.5重量%〜30重量%;0.5重量%〜25重量%;0.5重量%〜20重量%;0.5重量%〜15重量%;0.5重量%〜10重量%;又は0.5重量%〜5重量%である。さらに他の実施態様においては、前記組成物は、生物的殺虫剤、化学的殺虫剤、防かび剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物抽出物、植物生長調整剤、肥料又はミネラル溶液をさらに含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
予期せず、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組み合わせは、相乗効果を有し、植物生長を増加又は増進し、及び/又はバイオマス作物の生産を向上させることを発見した。より詳しくは、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組み合わせは、該組み合わせが植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に供給又は使用されると、植物生長に対して非常に顕著な効果を作出する。
【0010】
この目的のために、本発明は、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を、同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することを含む、植物生長を向上させるための方法を提供する。不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組み合わせの、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子への供給は、植物生長、植物生育及び/又は植物の健康に役立つ。
【0011】
また本発明は、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を含む、植物生長又は植物生育向上させるための成分の組み合わせであって、該不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源は、同時に、逐次に、又は互いに個別に植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に供給することができる形で存在する組み合わせを提供する。ここで用いられている用語「組み合わせ」は、互いに近接している及び/又は一緒に使用される2つ又はそれより多くの物質を意味する。不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組成物は組み合わせであると考えられる。
【0012】
他の実施態様においては、本発明は、活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を含む、植物生長を向上させるための組成物である。
【0013】
ここで述べる活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源のバイオスティミュラントな組み合わせは、前述したように、植物生長を向上させるためだけでなく、より効率的な栄養利用を達成するために使用することができる。
【0014】
ここで使用される用語「植物生長を向上させる」は、植物生長又は植物生育を増加、増大又は刺激すること、植物収量を向上させること(例えば、バイオマスの増加、果実の総数の増加、又はそれらの組み合わせ)、根の総数を増加させること、根量を増加させること、根のボリュームを増加させること、葉面積を増加させること、植物スタンドを増加させること、草勢を増加させること、作物生産量を増加させること、根及び/又は新芽の乾燥重量を増加させること、総植物バイオマスを増加させること、又はそれらの組み合わせを意味することを意図している。植物生長に関して「向上させる」、「増加させる」又は「増大させる」は、通常、未処理の対照に比べて、1又はそれより多い性質又はパラメータを向上させることを意味する。
【0015】
ここで使用される用語「同時に供給する」は、同じ適用の仕方を通じて、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、同時に又は実質的に同時に供給することを意味する。
【0016】
ここで使用される用語「個別に供給する」は、異なる適用の仕方を通じて、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、同時に又は実質的に同時に供給することを意味する。
【0017】
ここで使用される用語「逐次に供給する」は、同じ又は異なる適用の仕方を通じて、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源を、植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、異なる時間に供給することを意味する。
【0018】
ここで使用される用語「不活性酵母及び/又は酵母誘導体」は、酵母抽出物、酵母の殻及び/又は酵母細胞壁を含む、不活性酵母と酵母誘導体の両方を指すと理解される。使用される酵母は、各種手段により、例えば、熱的、機械的、化学的又は酵素的処理により、不活性化され、死滅化され、又は溶解されている。不活性酵母への方法は、当業者によく知られている。
【0019】
本発明では、ここに記載された実施態様において役立つ酵母は、サッカロミセス属を含むがこれに限定するものではない。適切な酵母としては、カンジダ(Candida)属、トルラ(Torula)属、ハンセニアスポラ(Hanseniaspora)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、クリベロミセス(Kluyveromyces)属、メチニコピア(Metschnikowia)属、ピキア(Pichia)属、スタメレラ(Starmerella)属、及びトルラスポラ(Torulaspora)属又はそれらの混合でありうる。1つの実施態様においては、少なくとも1つのサッカロミセス属の種は、サッカロミセス・セレビシエ又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディである。他の実施態様においては、少なくとも1つのカンジダ属の種は、カンジダ・ユチリス(C. utilis)である。他の実施態様においては、「酵母」は2又はそれより多くの異なる酵母の属及び/又は種のブレンドである。他の実施態様においては、「酵母」は少なくとも1つのサッカロミセス・セレビシエの系統及び少なくとも1つの異なる酵母の属及び/又は種のブレンドである。さらに他の実施態様においては、「酵母」は2又はそれより多くの異なるサッカロミセス・セレビシエ又はサッカロミセス・セレビシエ変種ブラウディのブレンドである。
【0020】
不活性酵母及び/又は酵母誘導体とともに使用される窒素源又は窒素成分は、該窒素源は硝酸アンモニウムを含まないという条件下でいかなる形態も選択することができる。窒素源は有機窒素源、無機窒素源、又はそれらの混合物である。適切な有機窒素源は限定するものではないが尿素を含む。「無機窒素源」は、例えば、硝酸イオン及び/又はアンモニウムイオンを含む、鉱物系及び/又はイオン化合物である。それらは両方とも、植物が取り込みできる形で、又は土壌微生物により互換性がある形態の取り込み物に変換できる形で、窒素を供給する。1つの実施態様においては、窒素源は硝酸含有化合物、尿素含有化合物、アンモニウム含有化合物又はそれらの混合物である。他の実施態様においては、窒素源は、例えば、尿素(窒素46%尿素など)、液体尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、液体ポリリン酸アンモニウム、関連化合物又はそれらの任意の組み合わせからなる混合物とすることができる。
【0021】
1つの実施態様においては、本発明における不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組み合わせは、あらゆるタイプの植物に使用することができる。植物の例としては、限定するものではないが、穀物類(小麦、大麦、オート麦、ライ麦、ライ小麦など)、トウモロコシ、米、マメ科食物(アルファルファ、クローバー、イガマメなど)、飼料作物(ライグラス、ウシノケグサ、鴨茅、フェストロリウム、ベッチ、飼料かぶ、飼料ラディッシュなど)、油リッチ及びタンパク質リッチ植物(大豆、セイヨウアブラナ、エンドウ豆、そら豆、白花ルピナス豆、ヒマワリなど)、野菜作物、果樹、ブドウ栽培、及び鑑賞作物(花の生産、芝草、苗など)が含まれる。
【0022】
本発明における不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源は、植物、植物の部分(葉及び根など)又は種子に対して直接に適用又は供給することができ、あるいは、植物が生長する又は生長することになる、若しくは種子を植え付けた又は植え付けることになる土壌又は基材に直接に適用又は混合することができる。1つの実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源は、植物(葉の部分)、植物の根、土壌又は基材又は植物の種子に供給される。任意の適切な手段、例えば、植物(葉の部分)、植物の根、土壌又は基材又は苗への、拡散、噴霧、注入、あるいは植栽前の種子の浸漬、及び/又は植栽後の種子の潅注により適用されうる。複数の適用手段を組み合わせて使用することができる。いかなるステージにおける土壌、基材、種子、苗又は植物に対して必要な回数だけ処理することができ、適用の数は、例えば、施肥プログラム、植物種、処理を開始する発育の段階、健康状態、生長、環境及び/又は気候条件、及び植物生長の目的に基づき決定することができる。1つの実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源は、植物、植物の根、土壌又は基材又は植物の種子に同時に又は実質的に同時に同じ適用の仕方で供給される。
【0023】
限定するものではないが例えば、生物的又は化学的殺虫剤、防かび剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物抽出物、植物生長調整剤、肥料又はミネラル溶液のような追加的な成分を本発明における不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源に対して組み込むことができる。
【0024】
本発明における前記成分及び/又は組成物は、乾燥形態(例えば、顆粒、微粒、粉末、ペレット、スティック、フレーク、クリスタル及びクランブル)又は液体形態で処方し、使用することができる。また本発明における前記成分及び/又は組成物は、従来知られている任意の適当な方法により、農業的に許容される任意の担体と組み合わせて使用することができ又は、植物の種子表面にコーティングすることができる。
【0025】
各成分、すなわち植物、植物の根、土壌又は基材又は植物の種子に直接適用又は供給される不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の濃度は、限定されるものではないが、アイデンティティ(属、種)、用いられる酵母株の数、処理される植物種、処理される土壌の性質及び状態、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源が適用される形態、適用手段、及び植物生長の段階を含む各種の要因によって決定される。各成分、すなわち不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の濃度は、相乗的に有効な量である。ここで使用される「相乗的に有効な量」とは、不活性酵母及び/又は酵母誘導体又は少なくとも1種類の窒素源のみよりも、植物生長に対して統計的に有意に有効な、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の組み合わせの量を表す。所与のあらゆるケースに対して、適切な濃度は、常法の実験だけを行って決定することができる。窒素源との組み合わせの不活性酵母及び/又は酵母誘導体の量は、その意図した目的に対して有効な量であるが、処理される植物又は他の草木又は種子に損傷を与えない量にまで上げることができる。1つの実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体は、1ヘクタール(及び適用により)当たり乾物で少なくとも0.1kg〜50kg;0.1kg〜45kg;0.1kg〜40kg;0.1kg〜35kg;0.1kg〜30kg;0.1kg〜25kg;0.1kg〜20kg; 0.1kg〜15kg;0.1kg〜10kg;又は0.1kg〜5kgの量で植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接適用又は供給される。さらに他の実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体は、1ヘクタール(及び適用により)当たり乾物で少なくとも0.5kg〜25kg;0.5kg〜20kg;0.5kg〜15kg;0.5kg〜10kg;又は0.5kg〜5kgの量で植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接適用又は供給される。
さらに他の実施態様においては、不活性酵母及び/又は酵母誘導体は、1ヘクタール(及び適用により)当たり乾物で少なくとも1kg、2kg、3kg、4kg、5kg、6kg、7kg、8kg、9kg、10kg、11kg、12kg、13kg、14kg、15kg、16kg、17kg、18kg、19kg、20kg、21kg、22kg、23kg、24kg、25kgの量で植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接適用又は供給される。1つの実施態様においては、全組み合わせ及び/又は組成物(及び/又は窒素肥料及び/又は窒素源)における前記不活性酵母及び/又は酵母誘導体の濃度のパーセンテージは、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに少なくとも1種類の窒素源の総重量に対して0.5重量%〜50重量%;0.5重量%〜45重量%;0.5重量%〜40重量%;0.5重量%〜35重量%;0.5重量%〜30重量%;0.5重量%〜25重量%;0.5重量%〜20重量%;0.5重量%〜15重量%;0.5重量%〜10重量%;又は0.5重量%〜5重量%である。窒素源/窒素肥料は、適用方法、適用時間、施用量、及び製品の処方によって決められる作物特異的推奨にしたがって適用される。肥料の施用量を計算する方法は当業者によく知られている。
【0026】
不活性酵母及び/又は酵母誘導体又は少なくとも1種類の窒素源のみ(対照)で処理された植物に比べて、本発明の方法により処理された植物生長は、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%増加する。
【0027】
以下の実施例は、本発明についてさらに記載し、規定するのに役立つが、本発明をいかなる形でも限定するものではない。
【実施例】
【0028】
実施例1
窒素成分と組み合わせた不活性酵母及び/又は酵母誘導体の植物生長に対する効果
窒素源又は窒素成分と組み合わせた不活性酵母及び/又は酵母誘導体による植物生長の全体を促進する能力について評価した。研究は、熱処理で不活性化したサッカロミセス・セレビシエ(Bioreveil、登録商標、Lallemand)を用いて行った。殺虫剤Gaucho350及び防かび剤Redigo(登録商標、Bayer)をコーティングした ライ小麦(var.Bellac)の種子を研究で用いた。テストした窒素成分は以下の尿素及び硝酸カルシウムであった。不活性酵母及び/又は酵母誘導体は2つの異なる濃度、5及び50kg/haでテストした。
処理及び実験設計:
等量の土(20g)を含む個々のプラスチックポット又はセルに2つの種子を生長させた。処理T1からT4、T6、T7、T9、T10及びT13(表1参照)を列においてランダムに振り分け、各列はすべての処理を含んでいる。処理T1からT4、T6、T7、T9、T10及びT13は7回繰り返し、実験は2回経時的に繰り返した。
【0029】
[表1]
表1:処理
【0030】
不活性酵母及び/又は酵母誘導体の撒き量は表2に示す。
【0031】
[表2]
表2:不活性酵母及び/又は酵母誘導体(乾物の形態)の撒き量
【0032】
窒素源の濃度を表3に示す。
【0033】
[表3]
表3:窒素源及び濃度:
【0034】
処理T1からT4、T6、T7、T9、T10及びT13は、液体の形態で、種子の周りの土壌に直接実施した。前記処理は滅菌蒸留水と混合し全体を5mlサンプルとした。ネガティブコントロールのために、5mlの滅菌蒸留水を追加した。種子を制御された条件下で30日生長させた。生長条件は10/14時間(昼/夜)で18/15C、70%RHであった。生長測定は、植物の地上部の長さと乾燥重量を測定することにより行った。
結果:
各処理の植物の重量(地上部の乾燥重量)における生長を統計解析で比較した。結果を表4、5に報告する。
【0035】
[表4]
表4:硝酸カルシウムと組み合わせた不活性酵母及び/又は酵母誘導体の植物生長に対する効果
【0036】
隣に異なる文字をもつ数字は、互いに統計的に有意に異なっている(p<0.1、ダネットの検定)。
【0037】
[表5]
表5:尿素と組み合わせた不活性酵母及び/又は酵母誘導体の植物生長に対する効果
【0038】
隣に異なる文字をもつ数字は、互いに統計的に有意に異なっている(p<0.1、ダネットの検定)。
【0039】
上記結果は、不活性なサッカロミセス・セレビシエ及び/又は酵母誘導体5kg/haの用量と硝酸カルシウムの組み合わせ又は尿素の組み合わせが、窒素源単独又は不活性酵母及び/又は酵母誘導体単独よりも、統計的に有意な、未発育植物の地上部の生長増大が認められることを明らかに示した。また上記結果は、不活性なサッカロミセス・セレビシエ及び/又は酵母誘導体5kg/haの用量と窒素源(硝酸カルシウム又は尿素)を含む処理と、不活性なサッカロミセス・セレビシエ及び/又は酵母誘導体50kg/haの用量と窒素源を含む処理 との間には統計上の差はないことを示した。
【0040】
開示された本発明の特定の実施態様を以下に示す。
【0041】
E1.植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に、不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源を、同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することを含む、植物生長を向上させるための方法。
【0042】
E2.窒素源は、硝酸含有化合物、尿素含有化合物、アンモニウム含有化合物又はそれらの混合物であるE1の方法。
【0043】
E3.窒素源は、尿素、尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムカルシウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硫酸硝酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸モノアンモニウム、リン酸ジアンモニウム、ニトロリン酸塩、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物であるE2の方法。
【0044】
E4.酵母は、サッカロミセス属、カンジダ属、トルラ属、ハンセニアスポラ属、ハンゼヌラ属、クリベロミセス属、メチニコピア属、ピキア属、スタメレラ属、トルラスポラ属又はそれらの混合であるE1〜E3のいずれかの方法。
【0045】
E5.酵母は、サッカロミセス・セレビシエであるE4の方法。
【0046】
E6.不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源を同時に供給するE1〜E5のいずれかの方法。
【0047】
E7.不活性酵母及び/又は酵母誘導体は、1ヘクタール当たり乾物で少なくとも0.5kg〜50kg、1ヘクタール当たり乾物で1kg〜10kg、又は1ヘクタール当たり乾物で1kg〜5kgの量で植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接供給されるE1〜E6のいずれかの方法。
【0048】
E8.不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源を含む、植物生長を向上させるための成分の組み合わせであって、該不活性酵母及び/又は酵母誘導体又は植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に同時に、逐次に、又は互いに個別に供給することができる形態で存在する組み合わせ。
【0049】
E9.窒素源は、硝酸含有化合物、尿素含有化合物、アンモニウム含有化合物又はそれらの混合物であるE8の成分の組み合わせ。
【0050】
E10.窒素源は、尿素、尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムカルシウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硫酸硝酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸モノアンモニウム、リン酸ジアンモニウム、ニトロリン酸塩、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物であるE9の成分の組み合わせ。
【0051】
E11.酵母は、サッカロミセス属、カンジダ属、トルラ属、ハンセニアスポラ属、ハンゼヌラ属、クリベロミセス属、メチニコピア属、ピキア属、スタメレラ属、トルラスポラ属又はそれらの混合であるE8〜E10のいずれかの成分の組み合わせ。
【0052】
E12.酵母は、サッカロミセス・セレビシエであるE11の成分の組み合わせ。
【0053】
E13.不活性酵母及び/又は酵母誘導体は、1ヘクタール当たり乾物で少なくとも0.5kg〜50kg、1ヘクタール当たり乾物で1kg〜10kg、又は1ヘクタール当たり乾物で1kg〜5kgの量で植物、植物の根、土壌若しくは基材、又は植物の種子に直接供給されるE8〜E12のいずれかの成分の組み合わせ。
【0054】
E14.不活性酵母及び/又は酵母誘導体並びに窒素源を含む、植物生長を向上させるための組成物。
【0055】
E15.窒素源は、硝酸含有化合物、尿素含有化合物、アンモニウム含有化合物又はそれらの混合物であるE14の組成物。
【0056】
E16.窒素源は、尿素、尿素硝酸アンモニウム、無水アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸アンモニウムカルシウム、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウム、チオ硫酸アンモニウム、硫酸硝酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸モノアンモニウム、リン酸ジアンモニウム、ニトロリン酸塩、液体ポリリン酸アンモニウム、又はそれらの混合物であるE15の組成物。
【0057】
E17.酵母は、サッカロミセス属、カンジダ属、トルラ属、ハンセニアスポラ属、ハンゼヌラ属、クリベロミセス属、メチニコピア属、ピキア属、スタメレラ属、トルラスポラ属又はそれらの混合であるE14〜E16のいずれかの組成物。
【0058】
E18.酵母は、サッカロミセス・セレビシエであるE17の組成物。
【0059】
E19.窒素肥料中の不活性酵母及び/又は酵母誘導体の濃度のパーセンテージは、該肥料の総重量に対して0.5重量%〜30重量%であるE14〜E18のいずれかの組成物。
【0060】
E20.前記組成物はさらに生物的又は化学的殺虫剤、防かび剤、殺線虫剤、殺菌剤、除草剤、植物抽出物、植物生長調整剤、肥料又はミネラル溶液のいずれかを含むE14〜E19のいずれかの組成物。
【0061】
特定の実施態様と関連付けて本発明について述べたが、さらなる改変をすることができ、この適用は、あらゆる変更、使用をカバーし、あるいは、本発明の原理に一般に従い、本発明が関与する従来技術内であり、またここに記載した必須の特徴に適用し、公知又は慣習的プラクティスの範囲内にある本発明開示からの新しい試みを含む本発明の適合、したがって添付クレームの範囲内にあるものをカバーすることを意図している。
【国際調査報告】