(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
前記黒鉛質材料が、天然黒鉛、合成黒鉛、膨張黒鉛、剥離黒鉛、グラフェン、数層グラフェン、黒鉛繊維、ナノ黒鉛、黒鉛化微細コークス、又はこれらの混合物である、請求項1又は2に記載の組成物。
少なくとも一部を別の無機鉱物フィラーに置き換えるための、及び/又は少なくとも約1質量%の黒鉛質材料を含まないポリマー組成物と比較して以下の特性の少なくとも1つを提供するための、少なくとも約1質量%の黒鉛質材料のポリマー組成物におけるフィラーとしての使用:
a.より高い耐衝撃性、
b.より高い引張強度、
c.より高い剛性、
d.より低いL*値(例えばスクラッチ後の)、
e.より高い熱伝導率、
f.加工中の減少したサイクル時間、
g.より高い導電率、
h.増加したUV耐性、
i.減少した質量、及び
j.減少した密度。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、少なくとも1つには、黒鉛質材料がポリマー組成物に対する補強、例えばポリマー組成物を補強するために現在使用されている無機微粒子材料(例えばタルク)に匹敵する補強を提供することができるという驚くべき発見に基づく。本発明は更に、少なくとも1つには、黒鉛質材料を含むポリマー組成物が黒色であり、スクラッチ及び/又は傷つけた後にその黒色を維持することができるという驚くべき発見に基づく。本発明は更に、少なくとも1つには、黒鉛質材料を含むポリマー組成物が、例えば組成物の補強/機械的特性を維持しつつ、熱伝導性であり、導電性であり、UVに対して安定であり、及び軽量であり得るという驚くべき発見に基づく。
【0016】
ポリマー組成物、複合体及び物品
よって、本発明は、ポリマー及び黒鉛質材料を含む組成物を提供する。
「黒鉛質材料」という用語は、層がファンデルワールス結合によって結ばれている層状構造(個々の層はグラフェンとして知られている)を有するカーボンの結晶形態を含む材料を意味する。黒鉛質材料は、例えば、天然黒鉛、合成黒鉛、膨張黒鉛、剥離黒鉛、グラフェン、数層グラフェン(2〜10層の原子層を含む)、黒鉛繊維、ナノ黒鉛、黒鉛化コークス(例えば黒鉛化微細コークス)、又はその混合物であってもよい。以下、本発明は、天然黒鉛又は合成黒鉛に関して言及し得る。しかしながら、本発明はそのような実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0017】
黒鉛質材料が天然起源の資源から得られる場合、いくらかの鉱物不純物が原料(ground material)に必然的に混入し得る。しかしながら、一般に、本発明で使用される黒鉛質材料は、5質量%未満、好ましくは1質量%未満の他の鉱物不純物を含み得る。
【0018】
黒鉛質材料は、例えば、約1μm〜約20μmの範囲のd
50を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約1.5μm〜約20μm又は約2μm〜約20μm又は約2.5μm〜約20μm又は約3μm〜約20μm又は約3.5μm〜約20μm又は約4μm〜約20mμm又は約4.5μm〜約19.5μm又は約5μm〜約19μm又は約5.5μm〜約18.5μm又は約6μm〜約18μm又は約6.5μm〜約17.5μm又は約7μm〜約17μm又は約7.5μm〜約16.5μm又は約8μm〜約16μm又は約8.5μm〜約15.5μm又は約9μm〜約15μm又は約9.5μm〜約14.5μm又は約10μm〜約14μmの範囲のd
50を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約1μm〜約8μm又は約1μm〜約7μm又は約1μm〜約6μm又は約1μm〜約5μmの範囲のd
50を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約12μm〜約20μm又は約14μm〜約20μm又は約15μm〜約19μmの範囲のd
50を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、天然黒鉛であり、かつ約5μm〜約18μmの範囲のd
50を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、合成黒鉛であり、かつ約15μm〜約20μmの範囲のd
50を有してもよい。
【0019】
黒鉛質材料は、例えば、約2μm〜約50μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約4μm〜約50μm又は約6μm〜約50μm又は約8μm〜約50μm又は約10μm〜約48μm又は約12μm〜約46μm又は約14μm〜約44μm又は約16μm〜約42μm又は約18μm〜約40μm又は約20μm〜約38μm又は約22μm〜約36μm又は約24μm〜約34μm又は約26μm〜約32μm又は約28μm〜約30μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約30μm〜約50μm又は約35μm〜約45μm又は約36μm〜約44μm又は約38μm〜約42μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、天然黒鉛であり、かつ約10μm〜約50μm又は約10μm〜約45μm又は約20μm〜約40μm又は約30μm〜約40μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、合成黒鉛であり、かつ約35μm〜約45μm又は約40μm〜約45μmの範囲のd
90を有してもよい。
【0020】
黒鉛質材料は、例えば、約5μm〜約18μmの範囲のd
50及び約10μm〜約40μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約4μm〜約8μmの範囲のd
50及び約10μm〜約14μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約15μm〜約20μmの範囲のd
50及び約36μm〜約42μmの範囲のd
90を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約16μm〜約20μmの範囲のd
50及び約40μm〜約44μmの範囲のd
90を有してもよい。
【0021】
黒鉛質材料は、例えば、約4〜約100m
2/gの範囲のBET比表面積を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約4〜約90m
2/g又は約4〜約80m
2/g又は約4〜約70m
2/g又は約4〜約60m
2/g又は約4〜約50m
2/g又は約4〜約40m
2/g又は約4〜約30m
2/g又は約4〜約20m
2/g又は約4〜約18m
2/g又は約4〜約16m
2/g又は約4〜約15m
2/g又は約4〜約14m
2/g又は約4〜約12m
2/g又は約4〜約11m
2/gの範囲のBET比表面積を有してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約4〜約11m
2/g又は約4.5〜約11m
2/g又は約4.8〜約10.8m
2/gの範囲のBET比表面積を有してもよい。
【0022】
特に明記しない限り、粒子サイズの測定は、Malvernのレーザー光散乱技術を用いて決定される。この技術において、粉末、懸濁液及びエマルジョンにおける粒子のサイズは、ミー理論の応用に基づくレーザービームの散乱を用いて測定されてもよい。そのような装置、例えばMalvernのMastersizer S(Malvern Instrumentsから提供される)は、本技術分野において「球相当径」(e.s.d)と呼ばれる、所定のe.s.d値未満のサイズを有する粒子の累積体積百分率の測定及びプロットを与える。d
50及びd
90は、それぞれd
50又はd
90の値未満の球相当径を有する粒子がそれぞれ50体積%及び90体積%で存在するような粒子のe.s.dをこのようにして測定した値である。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「比表面積(BET)」は、単位質量に対する鉱物の粒子の表面の面積を意味し、これは、前記表面を完全に覆う単分子層を形成するように前記粒子の表面上に吸着した窒素の量によってBET法に従って測定される(BET法、即ちAFNOR標準X11−621及び622又はISO9277に従う測定)。特定の実施形態では、比表面積は、ISO9277、又はそれと等価の任意の手法に従って測定される。
【0024】
組成物は、例えば、組成物の合計質量に対して、約1質量%以上の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、組成物の合計質量に対して、約2質量%以上又は約3質量%以上又は約4質量%以上又は約5質量%以上又は約6質量%以上又は約7質量%以上又は約8質量%以上又は約9質量%以上又は約10質量%以上の黒鉛質材料を含んでもよい。
【0025】
組成物は、例えば、組成物の合計質量に対して、最大約70質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、最大約60質量%又は最大約55質量%又は最大約50質量%又は最大約45%又は最大約40質量%又は最大約35質量%又は最大約30質量%又は最大約25質量%又は最大約20質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。
【0026】
組成物は、例えば、約1質量%〜約70質量%又は約5質量%〜約70質量%又は約10質量%〜約70質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、約1質量%〜約50質量%又は約5質量%〜約50質量%又は約10質量%〜約50質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、約1質量%〜約40質量%又は約5質量%〜約40質量%又は約10質量%〜約40質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、約1質量%〜約30質量%又は約5質量%〜約30質量%又は約10質量%〜約30質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。組成物は、例えば、約1質量%〜約20質量%又は約5質量%〜約20質量%又は約10質量%〜約20質量%の黒鉛質材料を含んでもよい。
【0027】
ポリマーは、任意の天然若しくは合成ポリマー又はその混合物であってもよい。ポリマーは、例えば、熱可塑性又は熱硬化性であってもよい。本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、ホモポリマー及び/又はコポリマーに加えて、架橋及び/又は絡み合いポリマーを含む。
【0028】
ポリマー成分に適用されてもよい「前駆体」という用語は、当業者に容易に理解されるであろう。適切な前駆体は、例えば、モノマー、架橋剤、架橋剤及び促進剤を含む架橋系、又はその任意の組み合わせの1つ以上を含んでもよい。ここで、本発明によれば、黒鉛質材料は、ポリマーの前駆体と混合され、次いで、ポリマー組成物が前駆体成分の硬化及び/又は重合によって形成されて、所望のポリマーを形成し得る。
【0029】
本発明の組成物に含まれるホモポリマー及び/又はコポリマー等のポリマーは、以下のモノマーの1種以上から調製されてもよい:アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アルキル基中に1〜18個の炭素原子を有するアルキルアクリレート、スチレン、置換スチレン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ブタジエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸又はフマル酸のエステル、テトラヒドロフタル酸又は無水物、イタコン酸又は無水物、及びイタコン酸のエステル(架橋ダイマー、トリマー、又はテトラマーの形態であってもなくともよい)、クロトン酸、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、シクロヘキサンジメタノール、1,6ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸又はコハク酸、アゼライン酸及びダイマー脂肪酸、トルエンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート。
【0030】
ポリマーは、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリビニル、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリオレフィン(ポリアルケン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシポリマー、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリシクロペンタジエン及びこれらのコポリマーの1種以上から選択されてもよい。適切なポリマーはまた、シリコーン等の液状ゴムを含む。
【0031】
本発明に従って用いられ得るポリマーは、有利には、熱可塑性ポリマーである。熱可塑性ポリマーは、熱の作用下で軟化し、冷却によってその元の特性に再び固まるようなものであり、即ち、加熱−冷却サイクルは完全に可逆である。通常の定義によれば、熱可塑性樹脂は、分子結合を有する直鎖及び分岐直線鎖の有機ポリマーである。本明細書に従って用いられ得るポリマーの例として、ポリエチレン(例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)及びその中間密度グレード、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LEPE))、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ビニル/ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
特定の実施形態では、ポリマーは、ポリアルキレンポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン)、又は、エチレン、プロピレン及びブチレンモノマーの2種以上のコポリマー(例えばエチレン−プロピレンコポリマー)である。特定の実施形態では、ポリマーは、プロピレン、ポリエチレン及びエチレン−プロピレンコポリマーの2種以上の混合物、例えば、プロピレン及びポリエチレンの混合物である。特定の実施形態では、ポリマーは、ポリプロピレン又はポリエチレン又はポリプロピレン及びポリエチレンの混合物を含み、実質的にそれからなり、又はそれからなる。
【0033】
組成物は、例えば、組成物の合計質量に対して、少なくとも約20質量%のポリマーを含んでもよい。組成物は、例えば、少なくとも約25質量%又は少なくとも約30質量%又は少なくとも約35質量%又は少なくとも約40質量%又は少なくとも約45質量%又は少なくとも約50質量%のポリマーを含んでもよい。組成物は、例えば、最大約99.5質量%のポリマーを含んでもよい。組成物は、例えば、最大約95質量%又は最大約90質量%又は最大約85質量%又は最大約80質量%又は最大約75質量%又は最大約70質量%のポリマーを含んでもよい。
【0034】
組成物は、例えば、黒鉛質材料以外の無機微粒子材料として、これらに限定されないが、タルク、カーボンブラック、アルカリ土類金属の炭酸塩又は硫酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏等)、含水カンダイト(kandite)クレイ(カオリン、ハロイサイト又はボールクレイ等)、無水(焼成)カンダイトクレイ(メタカオリン又は完全焼成カオリン等)、マイカ、パーライト、長石、霞石閃長岩、珪灰石、珪藻土、重晶石、ガラス、及び天然又は合成シリカ又はケイ酸塩を含む無機微粒子材料を含んでもよい。特定の実施形態では、組成物は、タルクを更に含む。特定の実施形態では、組成物は、カーボンブラックを更に含む。特定の実施形態では、組成物は、タルク及びカーボンブラックを更に含む。
【0035】
追加の無機微粒子材料は、組成物の調製の間、又は代替として、黒鉛質材料の調製の間に加えられてもよく、黒鉛質材料は、例えば、任意で表面処理剤と結合された、他の無機微粒子材料と混合及びブレンドされてもよい。そのような実施形態では、他の無機微粒子材料は、表面処理剤で表面処理されてもよい。他の無機微粒子材料の量は、例えば、約5質量%〜約70質量%、例えば約10質量%〜約60質量%又は約15質量%〜約50質量%又は約20質量%〜約40質量%の範囲であってもよい。他の無機微粒子材料の量は、例えば、約5質量%〜約40質量%又は約10質量%〜約35質量%又は約15質量%〜約30質量%又は約20質量%〜約25質量%の範囲であってもよい。
【0036】
特定の実施形態では、組成物は、約5質量%〜約70質量%のタルクを更に含む。組成物は、例えば、約10質量%〜約60質量%又は約20質量%〜約50質量%又は約30質量%〜約40質量%のタルクを更に含んでもよい。組成物は、例えば、約5質量%〜約40質量%のタルク、例えば、約5質量%〜約30質量%又は約5質量%〜約20質量%又は約10質量%〜約35質量%又は約10質量%〜約30質量%又は約15質量%〜約30質量%又は約20質量%〜約25質量%のタルクを更に含んでもよい。
【0037】
タルクは、例えば、表面処理されてもよい。本明細書で用いられる場合、「表面処理される」という用語は、タルクの微粒子が、タルクの表面に接着(例えば、物理的吸着又は結合)している化合物、あるいは前記表面と会合している化合物と接触していることを意味する。タルクの表面処理は、タルク微粒子の凝集を低減又は排除し、及び/又はタルク微粒子のポリマー組成物への組み込みを良好にするために行われてもよい。
【0038】
適切な表面処理剤として、極性基(例えば、アミン類、シラン類、シロキサン類、アルコール類又は酸類及びその金属塩類のファミリー)を担持する疎水性炭素鎖を有する化合物が挙げられる。例えば、表面処理剤は、ポリエーテル又はその誘導体(例えば、ポリエーテル修飾ポリシロキサン)である。
【0039】
ポリエーテルは、ポリオキシアルキレン(POA)(例えば、ポリアルキレングリコール(PAG)又はポリアルキレンオキシド(PAO))であってもよい。本明細書で用いられる場合、「ポリアルキレングリコール」という用語は、20,000g/mol未満の数平均分子量を有するPOAを意味し、「ポリアルキレンオキシド」という用語は、20,000g/molを超える数平均分子量を有するPOAを意味する。特定の実施形態では、表面処理剤は、約100〜約15,000g/mol、例えば、約200〜約10,000g/mol、又は約500〜約9000g/mol、又は約1000〜約9000g/mol、又は約2000〜900g/mol、又は約4000〜約9000g/mol、又は約6000〜約9000g/mol、又は約6000〜約8500g/molの数平均分子量を有するポリアルキレングリコールを含むか、上記ポリアルキレングリコールである。
【0040】
ポリエーテルは、パラホルムアルデヒド(ポリメチレンオキシド)、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、及びその組み合わせの1種以上から選択されるポリアルキレンオキシドであってもよい。
【0041】
表面処理剤は、ポリエチレングリコールを含んでもよく、又はポリエチレングリコールであってもよい。表面処理剤は、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール(PPG)を含んでもよく、又はそれらの混合物であってもよい。表面処理剤は、約200〜約10,000g/mol、例えば、約500〜約9000g/mol、又は約1000〜約9000g/mol、又は約2000〜約900g/mol、又は約4000〜約9000g/mol、又は約6000〜約9000g/mol、又は約6000〜約8500g/molの数平均分子量を有するポリエチレングリコールであってもよい。代表的なPEGとして、BASFからのグリコールのPuriol(商標)群、例えば、Puriol(商標)8005が挙げられる。
【0042】
表面処理剤は、脂肪酸、及び/又はその金属塩、例えばステアリン酸又はステアリン酸金属塩(ステアリン酸のマグネシウム、カルシウム又は亜鉛塩等)を含むか、それらであってもよい。
【0043】
適切なシラン系薬剤は、アミノシラン(例えば、トリメトキシシリルエチルアミン、トリエトキシシリルエチルアミン、トリプロポキシシリルエチルアミン、トリブトキシシリルエチルアミン、トリメトキシシリルプロピルアミン、トリエトキシシリルプロピルアミン、トリプロポキシシリルプロピルアミン、トリイソプロポキシシリルプロピルアミン、トリブトキシシリルプロピルアミン、トリメトキシシリルブチルアミン、トリエトキシシリルブチルアミン、トリプロポキシシリルブチルアミン、トリブトキシシリルブチルアミン、トリメトキシシリルペンチルアミン、トリエトキシシリルペンチルアミン、トリプロポキシシリルペンチルアミン、トリブトキシシリルペンチルアミン、トリメトキシシリルヘキシルアミン、トリエトキシシリルヘキシルアミン、トリプロポキシシリルヘキシルアミン、トリブトキシシリルヘキシルアミン、トリメトキシシリルヘプチルアミン、トリエトキシシリルヘプチルアミン、トリプロポキシシリルヘプチルアミン、トリブトキシシリルヘプチルアミン、トリメトキシシリルオクチルアミン、トリエトキシシリルオクチルアミン、トリプロポキシシリルオクチルアミン、トリブトキシシリルオクチルアミン等)である。ヒドロカルビル基及び極性基を有する適切な薬剤は、トリエタノールアミン(TEA)等のヒドロカルビルアミン、及び2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等のアミノアルコール薬剤である。AMP−95(登録商標)は、市販の5%の水を含む2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール製剤である。
【0044】
表面処理剤は、所望の結果を達成するために有効な量を加えてもよい。特定の実施形態では、表面処理剤の量は、タルクの質量に対して約0.1質量%〜5質量%、例えば、タルクの質量に対して約0.1質量%〜2質量%である。
【0045】
表面処理剤は、従来の方法を使用してタルクに添加及び混合することによって適用されてもよい。表面処理剤は、比較的粗いタルク出発原料からタルクを調製する間、かつタルクがポリマー組成物に添加される前に適用されてもよい。
【0046】
タルク対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約20:1〜約1:20の範囲であってもよい。例えば、タルク対黒鉛質材料の質量比は、約15:1〜約1:15、例えば約10:1〜約1:10、例えば約5:1〜約1:5の範囲であってもよい。タルク対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約20:1〜約1:10又は約20:1〜約1:5又は約20:1〜約1:2又は約20:1〜約1:1の範囲であってもよい。タルク対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約10:1〜1:10又は約10:1〜1:5又は約10:1〜約1:2又は約10:1〜約1:1の範囲であってもよい。タルク対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約5:1〜約1:10又は約5:1〜約1:5又は約5:1〜約1:2又は約5:1〜約1:1の範囲であってもよい。
【0047】
特定の実施形態では、組成物は、約1質量%〜約10質量%のカーボンブラックを更に含んでもよい。組成物は、例えば、約2質量%〜約9質量%又は約3質量%〜約8質量%又は約4質量%〜約7質量%又は約5質量%〜約6質量%のカーボンブラックを更に含んでもよい。
【0048】
カーボンブラック対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約5:1〜約1:50の範囲であってもよい。カーボンブラック対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約2:1〜約1:50又は約1:1〜約1:50の範囲であってもよい。カーボンブラック対黒鉛質材料の質量比は、例えば、約2:1〜約1:40又は約2:1〜約1:30又は約2:1〜約1:20又は約2:1〜約1:10又は約2:1〜約1:5の範囲であってもよい。カーボンブラック対黒鉛質材料は、例えば、約1:1〜約1:40又は約1:1〜約1:30又は約1:1〜約1:20又は約1:1〜約1:10又は約1:1〜約1:5の範囲であってもよい。
【0049】
特定の実施形態では、黒鉛質材料、タルク及びカーボンブラック以外の他の無機微粒子材料の量は、ポリマー組成物の合計質量に対して約10質量%未満、例えば、約5質量%未満、又は約1質量%未満、又は約0.5質量%未満、又は約0.4質量%未満、又は約0.3質量%未満、又は約0.2質量%未満、又は約0.1質量%未満である。
【0050】
特定の実施形態では、組成物(即ち、任意の黒鉛質材料、タルク及びカーボンブラックを含む)における無機微粒子材料の合計質量は、約80質量%以下である。組成物は、例えば、最大約75質量%又は最大約70質量%又は最大約65質量%又は最大約60質量%又は最大約55質量%又は最大約50質量%の合計無機微粒子材料を含んでもよい。
【0051】
特定の実施形態では、組成物は、(追加のポリマーと組み合わせて最終ポリマー組成物を形成するために適した)マスターバッチ組成物である。他の実施形態では、組成物は、更なるポリマーを追加せずにポリマー複合体又は物品を形成するために加工されてもよい最終ポリマー組成物である。
【0052】
マスターバッチ組成物における無機微粒子材料の合計量は、最終ポリマー組成物における量よりも多くてもよい。組成物がマスターバッチ組成物である場合、組成物における無機微粒子材料の合計量は、組成物の合計質量に対して約40質量%〜約80質量%、例えば約45質量%〜約75質量%又は約50質量%〜約75質量%又は約55質量%〜約75質量%又は約60質量%〜約70質量%の範囲であってもよい。ポリマー組成物がマスターバッチ組成物である場合、組成物における黒鉛質材料の合計量は、約5質量%〜約80質量%、例えば約10質量%〜約75質量%又は約20質量%〜約70質量%又は約25質量%〜約65質量%又は約30質量%〜約60質量%又は約40質量%〜約50質量%の範囲であってもよい。組成物が最終ポリマー組成物である場合、組成物における無機微粒子材料の合計量は、約1質量%〜約60質量%、例えば約1質量%〜約45質量%又は約1質量%〜約30質量%又は約1質量%〜約20質量%又は約5質量%〜約40質量%又は約10質量%〜約35質量%又は約15質量%〜約30質量%の範囲であってもよい。組成物が最終ポリマー組成物である場合、組成物における黒鉛質材料の合計量は、約1質量%〜約50質量%、例えば約1質量%〜約45質量%又は約5質量%〜約40質量%又は約10質量%〜約35質量%又は約15質量%〜約30質量%の範囲であってもよい。
【0053】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、例えば、ポリマー組成物の1種以上の機械的特性を変更する若しくは高めるため、又はポリマー組成物の1種以上の色味特性を変更するためのポリマー組成物における機能的フィラーとして用いられてもよい。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、熱伝導性及び/又は導電性を有する組成物、複合体又は物品を提供するために用いられてもよい。
【0054】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、例えば、ポリマー組成物に組み込むことがより困難である他のフィラー材料を補完する又は取って代わるための拡張(extended)フィラーとして用いられてもよい。
【0055】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、約65以下のL
*値を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約60以下又は約55以下又は約50以下又は約45以下又は約40以下のL
*値を有してもよい。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、0〜約65の範囲のL
*値を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約5〜約60又は約10〜約55又は約15〜約50又は約20〜約45又は約25〜約40の範囲のL
*値を有してもよい。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0056】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、スクラッチ後にこの範囲内のL
*値を維持する。これはErichsenのクロスハッチ法(固定荷重(例えば10N)でポリマー組成物、複合体又は物品の表面上に特定のスクラッチパターンを形成する)を用いて測定してもよい。次いで、(スクラッチ前のポリマー組成物、複合体又は物品のL
*値と比較して)スクラッチ後のL
*の差異を測定することによってスクラッチ性能を決定する。L
*の差異がより小さいこと(ΔL
*がより小さい)は、スクラッチがより目立たないことを意味する。これは、例えば、各切れ目間が2mmである20本の切れ目を作るための1mmの切削工具を用いて、16.67mm/sの切削速度かつ10Nの圧力荷重で測定してもよい。
【0057】
特定の実施形態では、(上記のように測定した)組成物、複合体又は物品のΔL
*は、約10以下である。組成物、複合体又は物品のΔL
*は、例えば、約8以下又は約6以下又は約5以下又は約4以下又は約3以下又は約2以下又は約1.5以下又は約1以下であってもよい。組成物、複合体又は物品のΔL
*は、例えば、少なくとも約0.5、例えば少なくとも約1であってもよい。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0058】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、約65以下のL
*値を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。本明細書に開示される黒鉛質材料は、例えば、約60以下又は約55以下又は約50以下又は約45以下又は約40以下のL
*値を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、約0〜約65の範囲のL
*値を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。本明細書に開示される黒鉛質材料は、例えば、約5〜約60又は約10〜約55又は約15〜約50又は約20〜約45又は約25〜約40の範囲のL
*値を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0059】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも少なくとも約10ポイント低いL
*値を有する(例えば、本発明の組成物が40のL
*値を有している場合、対応組成物は50のL
*値を有する)。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも少なくとも約15ポイント又は少なくとも約20ポイント又は少なくとも約25ポイント又は少なくとも約30ポイント低いL
*値を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも最大約70ポイント又は最大約60ポイント又は最大約50ポイント又は最大約40ポイント低いL
*値を有してもよい。
【0060】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも少なくとも約10ポイント低いL
*値を有する(例えば、本発明の組成物が40のL
*値を有している場合、対応組成物は50のL
*値を有する)。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも少なくとも約15ポイント又は少なくとも約20ポイント又は少なくとも約25ポイント又は少なくとも約30ポイント低いL
*値を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品のL
*値よりも最大約70ポイント又は最大約60ポイント又は最大約50ポイント又は最大約40ポイント低いL
*値を有してもよい。
【0061】
L
*はCIE L
*a
*b
*色空間を用いて測定される。ポリマー組成物のL
*白色度は、KONICA/MINOLTAからの分光光度計MINOLTA CM−3700D(光源 D65/10°)を用いて測定してもよい。
【0062】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、熱伝導性である。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.6W/mk以上又は約0.7W/mk以上の面内熱伝導率を有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.8W/mk以上又は約0.9W/mk以上又は約1W/mk以上又は約1.1W/mk以上又は約1.2W/mk以上の面内熱伝導率を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.7W/mk〜約10W/mk又は約0.7W/mk〜約8W/mk又は約0.7W/mk〜約6W/mk又は約0.7W/mk〜約5W/mk又は約0.8W/mk〜約4.5W/mk又は約0.9W/mk〜約4W/mk又は約1W/mk〜約3W/mkの範囲の面内熱伝導率を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.7W/mk〜約2W/mk又は約0.8W/mk〜約1.8W/mk又は約0.9W/mk〜約1.6W/mk又は約1W/mk〜約1.4W/mkの範囲の面内熱伝導率を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0063】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、25℃で約0.6W/mk以上又は約0.7W/mk以上又は約0.8W/mk以上又は約0.9W/mk以上又は約1W/mk以上又は約1.1W/mk以上又は約1.2W/mk以上の面内熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、25℃で約0.7W/mk〜約10W/mk又は約0.7W/mk〜約8W/mk又は約0.7W/mk〜約6W/mk又は約0.7W/mk〜約5W/mk又は約0.8W/mk〜約4.5W/mk又は約0.9W/mk〜約4W/mk又は約1W/mk〜約3W/mkの範囲の面内熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、25℃で約0.7W/mk〜約2W/mk又は約0.8W/mk〜約1.8W/mk又は約0.9W/mk〜約1.6W/mk又は約1W/mk〜約1.3W/mkの範囲の面内熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。
【0064】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも少なくとも約20%大きい、25℃における面内熱伝導率を有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも少なくとも約25%大きい又は少なくとも約30%大きい又は少なくとも約35%大きい又は少なくとも約40%大きい又は少なくとも約45%大きい又は少なくとも約50%大きい、25℃における面内熱伝導率を有してもよい。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも最大約100%大きい又は最大約95%大きい又は最大約90%大きい又は最大約85%大きい又は最大約80%大きい又は最大約75%大きい、25℃における面内熱伝導率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0065】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも少なくとも約20%大きい、25℃における面内熱伝導率を有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも少なくとも約25%大きい又は少なくとも約30%大きい又は少なくとも約35%大きい又は少なくとも約40%大きい又は少なくとも約45%大きい又は少なくとも約50%大きい、25℃における面内熱伝導率を有してもよい。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面内熱伝導率よりも最大約100%大きい又は最大約95%大きい又は最大約90%大きい又は最大約85%大きい又は最大約80%大きい又は最大約75%大きい、25℃における面内熱伝導率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0066】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.2W/mk以上又は約0.3W/mk以上の面直熱伝導率を有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.4W/mk以上又は約0.5W/mk以上又は約0.6W/mk以上又は約0.7W/mk以上又は約0.8W/mk以上又は約0.9W/mk以上又は約1W/mk以上又は約1.1W/mk以上又は約1.2W/mk以上の面直熱伝導率を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、25℃で約0.2W/mk〜約4W/mk又は約0.2W/mk〜約2W/mk又は約0.2W/mk〜約1.5W/mk又は約0.3W/mk〜約1.4W/mk又は約0.4W/mk〜約1.3W/mk又は約0.5W/mk〜約1.2W/mk又は約0.6W/mk〜約1.1W/mk又は約0.7W/mk〜約1W/mkの範囲の面直熱伝導率を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0067】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、25℃で約0.2W/mk以上又は約0.3W/mk以上又は約0.4W/mk以上又は約0.5W/mk以上又は約0.6W/mk以上又は約0.7W/mk以上又は約0.8W/mk以上又は約0.9W/mk以上又は約1W/mk以上又は約1.1W/mk以上又は約1.2W/mk以上の面直熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、25℃で約0.2W/mk〜約4W/mk又は約0.2W/mk〜約2W/mk又は約0.2W/mk〜約1.5W/mk又は約0.3W/mk〜約1.4W/mk又は約0.4W/mk〜約1.3W/mk又は約0.5W/mk〜約1.2W/mk又は約0.6W/mk〜約1.1W/mk又は約0.7W/mk〜約1W/mkの範囲の面直熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、25℃で約0.2W/mk〜約1.5W/mk又は約0.3W/mk〜約1.4W/mk又は約0.4W/mk〜約1.3W/mk又は約0.5W/mk〜約1.2W/mk又は約0.6W/mk〜約1.1W/mk又は約0.7W/mk〜約1W/mkの範囲の面直熱伝導率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。
【0068】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも少なくとも約20%大きい、25℃における面直熱伝導率を有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも少なくとも約25%大きい又は少なくとも約30%大きい又は少なくとも約35%大きい又は少なくとも約40%大きい又は少なくとも約45%大きい又は少なくとも約50%大きい、25℃における面直熱伝導率を有してもよい。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも最大約100%大きい又は最大約95%大きい又は最大約90%大きい又は最大約85%大きい又は最大約80%大きい又は最大約75%大きい、25℃における面直熱伝導率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0069】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも少なくとも約20%大きい、25℃における面直熱伝導率を有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも少なくとも約25%大きい又は少なくとも約30%大きい又は少なくとも約35%大きい又は少なくとも約40%大きい又は少なくとも約45%大きい又は少なくとも約50%大きい、25℃における面直熱伝導率を有してもよい。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の25℃における面直熱伝導率よりも最大約100%大きい又は最大約95%大きい又は最大約90%大きい又は最大約85%大きい又は最大約80%大きい又は最大約75%大きい、25℃における面直熱伝導率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0070】
熱伝導率は、ASTM E1461に従ってNetzschのレーザーフラッシュLFA447を用いて測定してもよく、面直及び面内熱伝導率は、C. Raman, High Performance Plastics 2011 Proceedings, (2011) Smithers Rapra Technologyに記載された手順に従い(その内容が参照により本明細書に組み込まれる)、圧縮成形された試料を用いて測定することができる。
【0071】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、導電性であってもよい。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、抵抗率が約10
9オーム/cm以下となるような導電性であってもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、抵抗率が約10
8オーム/cm以下又は約10
7オーム/cm以下又は約10
6オーム/cm以下又は約10
5オーム/cm又は約10
4オーム/cm以下となるような導電性であってもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、抵抗率が約1オーム/cm以上又は約10オーム/cm以上又は約100オーム/cm又は約1000オーム/cm以上となるような導電性であってもよい。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。特定の実施形態では、組成物は、20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0072】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、約10
9オーム/cm以下の電気抵抗率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。黒鉛質材料は、例えば、約10
8オーム/cm以下又は約10
7オーム/cm以下又は約10
6オーム/cm以下又は約10
5オーム/cm以下又は約10
4オーム/cm以下の電気抵抗率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約1オーム/cm以上又は約10オーム/cm以上又は約100オーム/cm以上又は約1000オーム/cm以上の電気抵抗率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0073】
特定の実施形態では、圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、黒鉛質材料を含まない圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも少なくとも約20%小さい、25℃における電気抵抗率を有する。圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、例えば、黒鉛質材料を含まない圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも少なくとも約25%小さい又は少なくとも約30%小さい又は少なくとも約35%小さい又は少なくとも約40%小さい又は少なくとも約45%小さい又は少なくとも約50%小さい、25℃における電気抵抗率を有してもよい。圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、例えば、黒鉛質材料を含まない圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも最大約100%小さい又は最大約95%小さい又は最大約90%小さい又は最大約85%小さい又は最大約80%小さい又は最大約75%小さい、25℃における電気抵抗率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0074】
特定の実施形態では、圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも少なくとも約20%小さい、25℃における電気抵抗率を有する。圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも少なくとも約25%小さい又は少なくとも約30%小さい又は少なくとも約35%小さい又は少なくとも約40%小さい又は少なくとも約45%小さい又は少なくとも約50%小さい、25℃における電気抵抗率を有してもよい。圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む圧縮成形時の対応組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の25℃における電気抵抗率よりも最大約100%小さい又は最大約95%小さい又は最大約90%小さい又は最大約85%小さい又は最大約80%小さい又は最大約75%小さい、25℃における電気抵抗率を有してもよい。特定の実施形態では、本発明の圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物は、圧縮成形時の組成物、複合体、物品又は樹脂複合物の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0075】
電気抵抗率は、ISO 3915又はASTM D257によって、圧縮成形された試料を用いて測定してもよい。
【0076】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、約1.5g/cm
3以下の密度を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約1.4g/cm
3以下又は約1.3g/cm
3以下又は約1.2g/cm
3以下又は約1.1g/cm
3以下の密度を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約0.9g/cm
3〜約1.5g/cm
3又は約1g/cm
3〜約1.4g/cm
3の範囲の密度を有してもよい。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0077】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、約1.5g/cm
3以下の密度を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約1.4g/cm
3以下又は約1.3g/cm
3以下又は約1.2g/cm
3以下又は約1.1g/cm
3以下の密度を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。黒鉛質材料は、例えば、約0.9g/cm
3〜約1.5g/cm
3又は約1g/cm
3〜約1.4g/cm
3の範囲の密度を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0078】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品よりも少なくとも約1%軽くてもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品よりも少なくとも約2%又は少なくとも約3%又は少なくとも約4%又は少なくとも約5%軽くてもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品よりも最大約10%又は最大約8%又は最大約6%軽くてもよい。
【0079】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、ポリマー組成物、複合体又は物品の衝撃強度を増加させる。
【0080】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、−20℃で少なくとも約20kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、−20℃で少なくとも約25kJ/m
2又は少なくとも30kJ/m
2又は少なくとも約35kJ/m
2又は少なくとも約40kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、−20℃で最大約80kJ/m
2又は最大約70kJ/m
2又は最大約60kJ/m
2又は最大約50kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有してもよい。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0081】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、−20℃で少なくとも約20kJ/m
2又は少なくとも約25kJ/m
2又は少なくとも約30kJ/m
2又は少なくとも約35kJ/m
2又は少なくとも約40kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、−20℃で最大約80kJ/m
2又は最大約70kJ/m
2又は最大約60kJ/m
2又は最大約50kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0082】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)よりも少なくとも約1%大きい、−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)よりも少なくとも約2%大きい又は少なくとも約3%大きい又は少なくとも約4%大きい又は少なくとも約5%大きい又は少なくとも約6%大きい又は少なくとも約7%大きい又は少なくとも約8%大きい又は少なくとも約9%大きい又は少なくとも約10%大きい又は少なくとも約12%大きい又は少なくとも約14%大きい又は少なくとも約15%大きい又は少なくとも約16%大きい又は少なくとも約18%大きい又は少なくとも約20%大きい、−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)よりも最大約100%大きい又は最大約80%大きい又は最大約60%大きい又は最大約50%大きい又は最大約40%大きい又は最大約30%大きい、−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)を有してもよい。組成物を比較する際、測定は同じ温度で行うべきであり、両方にノッチがあるべきであるか、又は両方にノッチがあるべきではない。
【0083】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)の約50%(即ち+又は−50%)以内の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)を有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)の約45%又は約40%又は約35%又は約30%又は約25%又は約20%又は約15%又は約10%又は約9%又は約8%又は約7%又は約6%又は約5%又は約4%又は約3%又は約2%又は約1%以内の−20℃又は23℃におけるシャルピー衝撃強度(ノッチなし又はノッチあり)を有する。組成物を比較する際、測定は同じ温度で行うべきであり、両方にノッチがあるべきであるか、又は両方にノッチがあるべきではない。
【0084】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、23℃で少なくとも約50kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、23℃で少なくとも約60kJ/m
2又は少なくとも約70kJ/m
2又は少なくとも約80kJ/m
2又は少なくとも約90kJ/m
2又は少なくとも約100kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、23℃で最大約150kJ/m
2又は最大約120kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有してもよい。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0085】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、23℃で少なくとも約50kJ/m
2又は少なくとも約60kJ/m
2又は少なくとも約70kJ/m
2又は少なくとも約80kJ/m
2又は少なくとも約90kJ/m
2又は少なくとも約100kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、23℃で最大約150kJ/m
2又は最大約120kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチなし)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0086】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、23℃で少なくとも約3kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチあり)を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、23℃で少なくとも約3.5kJ/m
2又は少なくとも約4kJ/m
2又は少なくとも約4.5kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチあり)を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、23℃で最大約8kJ/m
2又は最大約7kJ/m
2又は最大約6kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチあり)を有してもよい。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、23℃で少なくとも約3kJ/m
2又は約3.5kJ/m
2又は少なくとも約4kJ/m
2又は少なくとも約4.5kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチあり)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。特定の実施形態では、本明細書に開示される黒鉛質材料は、23℃で最大約8kJ/m
2又は最大約7kJ/m
2又は最大約6kJ/m
2のシャルピー衝撃強度(ノッチあり)を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供してもよい。
【0088】
シャルピー衝撃強度は、ISO 179に従って、ノッチあり又はノッチなしの80mm×10mm×4mmの棒で測定する。
【0089】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、ポリマー組成物、複合体又は物品の剛性を増加させる。
【0090】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、約1800MPa以上の曲げ弾性率を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約1900MPa以上又は約2000MPa以上又は約2100MPa以上又は約2200MPa以上又は約2300MPa以上又は約2400MPa以上の曲げ弾性率を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、最大約3000MPa、例えば最大約2900MPa又は最大約2800MPa又は最大約2700MPa又は最大約2600MPa又は最大約2500MPaの曲げ弾性率を有してもよい。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、ポリマー組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。
【0091】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、約1800MPa以上又は約1900MPa以上又は約2000MPa以上又は約2100MPa以上又は約2200MPa以上又は約2300MPa以上又は約2400MPa以上の曲げ弾性率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、最大約3000MPa、例えば最大約2900MPa又は最大約2800MPa又は最大約2700MPa又は最大約2600MPa又は最大約2500MPaの曲げ弾性率を有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。
【0092】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の曲げ弾性率よりも少なくとも約1%大きい曲げ弾性率を有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の曲げ弾性率よりも少なくとも約5%大きい又は少なくとも約10%大きい又は少なくとも約15%大きい又は少なくとも約20%大きい又は少なくとも約25%大きい又は少なくとも約30%大きい曲げ弾性率を有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料を含まない対応組成物、複合体又は物品の曲げ弾性率よりも最大約100%大きい又は最大約90%大きい又は最大約80%大きい又は最大約70%大きい又は最大約60%大きい又は最大約50%大きい曲げ弾性率を有してもよい。
【0093】
特定の実施形態では、ポリマーの組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の曲げ弾性率の約20%(+又は−20%)以内の曲げ弾性率を有する。ポリマーの組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物、複合体又は物品の曲げ弾性率の約15%又は約10%又は約9%又は約8%又は約7%又は約6%又は約5%又は約4%又は約3%又は約2%又は約1%以内の曲げ弾性率を有してもよい。
【0094】
曲げ弾性率は、ISO 178に従って、80mm×10mm×4mmの棒で測定する。
【0095】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、約45℃以上の加熱撓み温度(HDT)を有する。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、約46℃以上又は約47℃以上又は約48℃以上又は約49℃以上又は約50℃以上のHDTを有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、最大約65℃又は最大約60℃又は最大約59℃又は最大約58℃又は最大約57℃又は最大約56℃又は最大約55℃のHDTを有してもよい。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して約20質量%以上の黒鉛質材料を含む。
【0096】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、約45℃以上又は約46℃以上又は約47℃以上又は約48℃以上又は約49℃以上又は約50℃以上のHDTを有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、最大約65℃又は最大約60℃又は最大約59℃又は最大約58℃又は最大約57℃又は最大約56℃又は最大約55℃のHDTを有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。
【0097】
特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物のHDTの約10℃(+又は−10℃)以内のHDTを有する。組成物、複合体又は物品は、例えば、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物のHDTの約9℃又は約8℃又は約7℃又は約6℃又は約5℃又は約4℃又は約3℃以内のHDTを有してもよい。
【0098】
HDTは、ISO 75Aに従って、80mm×10mm×4mmの棒で測定してもよい。
【0099】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、ポリマー組成物、複合体又は物品の線熱膨張率(CLTE)を減少させる。
【0100】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、約160×10
-6℃以下のCLTEを有する。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約155×10
-6℃以下又は約150×10
-6℃以下又は約145×10
-6℃以下又は約140×10
-6℃以下のCLTEを有してもよい。ポリマー組成物、複合体又は物品は、例えば、約50×10
-6℃以上又は約60×10
-6℃以上又は約70×10
-6℃以上又は約80×10
-6℃以上又は約90×10
-6℃以上又は約100×10
-6℃以上のCLTEを有してもよい。特定の実施形態では、ポリマーはポリプロピレンである。特定の実施形態では、組成物、複合体又は物品は、組成物、複合体又は物品の合計質量に対して少なくとも約20質量%の黒鉛質材料を含む。
【0101】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、約160×10
-6℃以下又は約155×10
-6℃以下又は約150×10
-6℃以下又は約145×10
-6℃以下又は約140×10
-6℃以下であるCLTEを有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。特定の実施形態では、黒鉛質材料は、約50×10
-6℃以上又は約60×10
-6℃以上又は約70×10
-6℃以上又は約80×10
-6℃以上又は約90×10
-6℃以上又は約100×10
-6℃以上のCLTEを有する、ポリプロピレン及び20質量%の黒鉛質材料からなる組成物を提供する。
【0102】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物のCLTEよりも少なくとも約1%小さいCLTEを有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物のCLTEよりも少なくとも約2%又は少なくとも約3%又は少なくとも約4%又は少なくとも約5%又は少なくとも約10%又は少なくとも約15%又は少なくとも約20%又は少なくとも約25%又は少なくとも約30%小さいCLTEを有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料を含まない対応組成物のCLTEよりも最大約80%小さい又は最大約70%小さい又は最大約60%小さい又は最大約50%小さいCLTEを有する。
【0103】
特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物のCLTEの約40%(+又は−40%)以内のCLTEを有する。特定の実施形態では、ポリマー組成物、複合体又は物品は、黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含む対応組成物のCLTEの約35%以内又は約30%以内又は約25%以内又は約20%以内又は約15%以内又は約10%以内又は約5%以内のCLTEを有する。
【0104】
CLTEは、通気性の良い温度管理されたオーブン中で、50mm×50mm×2mmの寸法を得るためにダイカットされた2mm厚みの2枚の投入された板で同時に測定してもよい。CLTEは、80℃で4時間アニーリングした後にLVDTセンサーを用いて記録される。次いで、プラスチック試料上のキャプター(captors)を通して寸法の変化(evolution)を測定することによって、温度プログラムの第2段階(23℃で開始し、毎分1℃の速度で70℃まで増加する)の間に測定される。これはポリマー流れに対して平行及び垂直の両方で測定し、平均値を計算する。
【0105】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、ポリマー組成物、複合体又は物品のUV耐性を増加させる。理論に拘束されることを望むものではないが、これは黒鉛質材料がUV光を吸収及び/又はUV光を反射するので、ポリマーマトリックスの分解がより抑えられるためだと考えられる。UV露光がポリマー分解を誘発し得、及び例えば、使用する材料の色味、形状及び/又は機械的特性(例えば引張強度)に不利に影響し得るので、これは有利な点である。
【0106】
UVの影響は、黒鉛質材料の添加前後の組成物に対するUVの影響を比較することによって、任意の適切な方法に従って測定してもよい。特定の実施形態では、UV耐性の改善は、促進耐候性試験によって測定してもよい。これは、耐候プロセスを加速するための特別なチャンバ及び機器を用いた環境条件のシミュレーションを伴う。例えば、以下の試験標準の一つを使用してもよい:ASTM D4587、ASTM D4329、ISO 4892、SAE J2020、SAE J2527及びSAE J2412。
【0107】
本明細書で言及する「対応組成物」は、いかなる黒鉛質材料を含まず、及び任意で黒鉛質材料の代わりに同量のタルクを含むこと以外は、比較される組成物と同一の組成物である。
【0108】
ポリマー組成物、複合体及び物品の製造方法
本発明の組成物は、その成分を任意の適切な順序で一緒に均質に(intimately)組み合わせる(combining)(例えば混合する(mixing))ことによって調製することができる。例えば、組成物のポリマー及び任意の他の成分をまず組み合わせ、次いで黒鉛質材料又は無機微粒子材料を第1組成物と組み合わせても(例えばブレンド、例えばドライブレンドしても)よい。組成物は加工されて最終ポリマー複合体又は物品を形成してもよい。
【0109】
本発明の組成物の調製は、当業者に容易に理解されるであろう、当業界で公知である任意の適切な混合手法によって達成することができる。
【0110】
そのような手法として、個々の成分又はその前駆体のドライブレンド及びその後の従来方式の加工が挙げられる。所望であれば、複合混合物に添加する前にいくつかの成分を予備混合することができる。
【0111】
熱可塑性ポリマー組成物の場合、そのような加工は、組成物から物品を製造するための押し出し機の中で直接溶融混合する工程、又は別の混合装置の中で予備混合する工程のいずれかを含んでもよい。代替として、個々の成分のドライブレンド物を、予備溶融混合することなく直接射出成形することができる。
【0112】
組成物は、その成分を一緒によく混合することによって調製することができる。次いで、黒鉛質材料を、上述したように加工前に、ポリマー及び任意の所望の追加成分と共に適切にドライブレンドしてもよい。
【0113】
他のフィラー化合物は、混合段階で追加及びブレンドされてもよい。
【0114】
架橋又は硬化したポリマー組成物の調製のために、未硬化成分又はその前駆体と、所望であれば、黒鉛質材料及び任意の所望の非黒鉛質成分(複数可)とのブレンドを、ポリマーを架橋及び/又は硬化するために、使用するポリマーの性状及び量に応じて、熱、圧力及び/又は光の適切な条件下で有効量の任意の適切な架橋剤又は架橋系と接触させる。
【0115】
黒鉛質材料及び任意の所望の他の成分(複数可)が重合の時にその場に存在しているポリマー組成物の調製のために、モノマー(複数可)及び任意の所望の他のポリマー前駆体のブレンドと、黒鉛質材料及び任意の他の成分(複数)とを、黒鉛質材料及び任意の他の成分(複数可)と共にモノマー(複数可)をその場重合させるために、使用するモノマー(複数可)の性状及び量に応じて、熱、圧力及び/又は光の適切な条件下で接触させる。
【0116】
特定の実施形態では、黒鉛質材料を、ポリマー(例えば、ポリプロピレン)及び任意の硬化剤を含む混合物中に撹拌して分散させる。混合物は、離型剤を更に含んでもよい。
【0117】
得られる懸濁液は、脱気して混入空気を除去することができる。次いで、得られる懸濁液を適切な型の中に注ぎ、硬化することができる。適切な硬化温度は、20〜200℃、例えば20〜120℃、又は、例えば、60〜90℃の範囲である。
【0118】
出発ポリマー混合物は、プレポリマー(例えば、プロピレンモノマー)を更に含むことができる。プレポリマーは、出発ポリマーに相当してもよく、相当していなくてもよい。
【0119】
出発ポリマー又はポリマー/モノマー溶液の粘度、硬化剤、離型剤及び無機微粒子材料の量は、最終硬化製品の要求に応じて変更することができる。一般に、無機微粒子材料をより多く加えると、懸濁液の粘度がより高くなる。懸濁液の粘度を低減するために、分散剤を添加することができる。代替として、出発溶液中のポリマーの量を減らすことができる。
【0120】
適切な硬化剤は当業者に容易に理解されるものであり、有機ペルオキシド、ヒドロペルオキシド及びアゾ化合物が挙げられる。ペルオキシド及びヒドロペルオキシド硬化剤の例として、ジメチルジブチルペルオキシヘキサン、ベンジルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド及びt−ブチルペルオクトエートが挙げられる。
【0121】
複合された組成物は、スリップ剤(例えばエルカミド)、加工助剤(例えばPolybatch(登録商標)AMF−705)、離型剤及び酸化防止剤等の追加成分を更に含んでもよい。
【0122】
適切な離型剤は当業者に容易に理解されるものであり、脂肪酸、及び脂肪酸の亜鉛、カルシウム、マグネシウム及びリチウム塩並びに有機リン酸エステルが挙げられる。具体例は、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、オレイン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛である。通常、スリップ剤及び加工助剤、並びに離型剤は、マスターバッチの質量に対して約5質量%未満の量で加えられる。次いで、上述したものを含むポリマー物品を、当業者に容易に理解されるような当業界で公知の従来技術を用いて押出、圧縮成形又は射出成形してもよい。このように、以下に述べる通り、本発明は、本発明の組成物から形成される物品にも向けられている。
【0123】
特定の実施形態では、ポリマー組成物は、存在するならば、ポリマー組成物の複合の間に添加される着色剤を含む。着色剤は、マスターバッチの形態で加えられてもよい。適切な着色剤は種々様々である。
【0124】
特定の実施形態では、黒鉛質材料は、未調合のポリマーが供給され溶融される二軸押し出し機に加えられる。黒鉛質材料は、ホッパーを通して、例えば、重量式供給によって押し出し機に供給され、ポリマーと共に均一にブレンドされる。混合物が押し出し機から現れ、冷却されてもよい。次いで、例えば、混合物を有用な形状に更に圧縮成形又は射出成形することができる。
【0125】
上述した手法は、複合及び押出を含んでもよい。複合は、二軸混合機、例えば、ClextralのBC二軸押し出し機又はLeistrizのZSE 18二軸押し出し機又はBaker Perkinsの25mm二軸混合機を用いて行ってもよい。ポリマー、黒鉛質材料及び任意の追加成分を予備混合して、単一ホッパーから供給してもよい。得られる溶融物を、例えば水中で冷却し、次いでペレット化してもよい。試験片、例えばシャルピー棒又は引張ダンベルは、フィルム状に射出成形又はキャスト又はブローしてもよい。
【0126】
軸の温度は、約100℃と約300℃の間、例えば、約150℃と約280℃の間、例えば、約180℃と約250℃の間、又は約200と230℃の間であってもよい。
【0127】
送り速度は、約100と1200rpmの間、例えば、約100と1000rpmの間、例えば、約200と800rpmの間、例えば、約250と650rpmの間、例えば、約200と400rpmの間、又は約500と700rpmの間であってもよい。特定の実施形態では、送り速度は約300rpmである。他の実施形態では、送り速度は約600rpmである。
【0128】
適切な射出成形装置として、例えば、Billionの50T Proxima pressが挙げられる。ポリマー組成物は、成形前に乾燥してもよい。乾燥は、任意の適切な温度、例えば、約60℃で適切な期間、例えば、約1時間と20時間の間、例えば、約2と18時間の間、又は約1と3時間の間、又は約4と8時間の間、又は約12と18時間の間で行ってもよい。乾燥中の温度は、一定に保っても変化してもよい。特定の実施形態では、乾燥中の温度は、約70と120℃の間、例えば、約80と100℃の間、例えば、約90℃である。
【0129】
成形は、一般にポリマー組成物が流動性を有する温度で行われる。成形温度は、例えば、約100と300℃の間、例えば、約200と300℃の間、又は約240と約280℃の間であってもよい。成形の後で、成形片を冷却して固めることができる。
【0130】
他の適切な加工技術として、ガスアシスト射出成形、カレンダー成形、真空成形、熱成形、ブロー成形、絞り成形、スピニング成形、フィルム成形、積層又はその任意の組み合わせが挙げられる。当業者に明らかなように、任意の適切な装置を用いてもよい。
【0131】
ポリマー組成物は、本明細書に記載したように、任意の適切な方法で商品を形成するため、又は商品に組み込むために加工することができる。ポリマー組成物から形成され得る物品は、種々様々である。例として、自動車ボディ部品及びパネル、例えば、ボンネット(フード)、ウィング部品、ウィングミラーの外装、ドア(前方及び/又は後方)、テールゲート及びバンパー(前方及び/又は後方)が挙げられる。
【0132】
以下の番号の項もまた、本発明の特定の実施形態を定義してもよい。
1.ポリマー、及び
約1質量%以上の黒鉛質材料を含む組成物であって、
約65以下のL
*値を有する、前記組成物。
2.前記ポリマーが、ポリオレフィン、例えばポリプロピレンである、項1に記載の組成物。
3.前記黒鉛質材料が、天然黒鉛、合成黒鉛、膨張黒鉛、剥離黒鉛、グラフェン、数層グラフェン、黒鉛繊維、ナノ黒鉛、黒鉛化微細コークス、又はこれらの混合物である、項1又は2に記載の組成物。
4.前記組成物が、約1質量%〜約70質量%の黒鉛質材料、例えば約5質量%〜約30質量%の黒鉛質材料を含む、項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
5.前記組成物が、別の無機微粒子材料、例えばタルク及び/又はカーボンブラック、を更に含む、項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
6.前記組成物が、約5質量%〜約70質量%、例えば約5質量%〜約40質量%のタルクを更に含む、項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
7.タルク対黒鉛質材料の質量比が、約20:1〜約1:20の範囲である、項5又は6に記載の組成物。
8.前記組成物が、約1質量%〜約10質量%のカーボンブラックを更に含む、項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
9.カーボンブラック対黒鉛質材料の質量比が、約5:1〜約1:50の範囲である、項5又は8に記載の組成物。
10.前記組成物が、合計で最大約80質量%の無機微粒子材料を含む、項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
11.前記組成物が、少なくとも約20質量%のポリマー、例えば少なくとも約30質量%のポリマーを含む、項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
12.前記組成物が、約60以下又は約45以下のL
*値を有する、項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
13.前記黒鉛質材料が、天然黒鉛又は合成黒鉛である、項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
14.前記黒鉛質材料が、約1μm〜約20μmの範囲のd
50を有する、項1〜13のいずれか1項に記載の組成物。
15.前記黒鉛質材料が、約2μm〜約50μmの範囲のd
90を有する、項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
16.前記黒鉛質材料が、約1μm〜約5μm又は約15μm〜約19μmの範囲のd
50を有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
17.前記ポリマーがポリプロピレンであり、前記組成物が、−20℃で約20kJ/m
2以上のシャルピー衝撃強度を有する、項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
18.前記ポリマーがポリプロピレンであり、かつ前記組成物が、約45℃以上の加熱撓み温度を有する、項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
19.前記ポリマーがポリプロピレンであり、かつ前記組成物が、約150×10
-6℃以下の線熱膨張率(CLTE)を有する、項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
20.前記組成物が、25℃で約0.6W/mk以上の熱伝導率を有する、項1〜19のいずれか1項に記載の組成物。
21.前記組成物が、抵抗率が10
9オーム/cm未満となるような導電性である、項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
22.項1〜21のいずれか1項に記載の組成物から形成される、例えば押し出し又は成形される、ポリマー複合体又は物品。
23.前記ポリマー複合体又は物品が、自動車ボディ部品である、項22に記載のポリマー複合体又は物品。
24.項1〜21のいずれか1項に記載の組成物の製造方法であって、前記ポリマーを黒鉛質材料及び任意の成分と組み合わせる工程を含む、前記方法。
25.項1〜21のいずれか1項に記載の組成物を押し出す工程又は成形する工程を更に含む、項23に記載の方法。
26.項1〜21のいずれか1項に記載の組成物又は項22に記載のポリマー複合体又は物品の、自動車ボディ部品を製造するための使用。
27.少なくとも一部を他の無機鉱物フィラーに置き換えるための、及び/又は少なくとも約1質量%の黒鉛質材料を含まないポリマー組成物と比較して以下の特性の少なくとも1つを提供するための、少なくとも約1質量%の黒鉛質材料のポリマー組成物におけるフィラーとしての使用:
a.より高い耐衝撃性、
b.より高い引張強度、
c.より高い剛性、
d.より低いL
*値(例えばスクラッチ後の)、
e.より高い熱伝導率、
f.加工中の減少したサイクル時間、
g.より高い導電率、
h.増加したUV耐性、
i.減少した質量、及び
j.減少した密度。
【0133】
以下の非限定的な実施例のみを参照することによって本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0134】
実施例1
ポリプロピレンコポリマー(Exxon Mobilからのグレード7075L)及び20質量%の黒鉛質材料を含む組成物を、同じポリプロピレンコポリマー及び20質量%のタルクを含む組成物と比較した。
【0135】
以下の黒鉛質材料を用いた。
・黒鉛A(レーザー回折により測定された18μmのd
50及び42μmのd
90を有する合成黒鉛)
・黒鉛B(レーザー回折により測定された17μmのd
50及び39μmのd
90を有する天然黒鉛)
・黒鉛C(レーザー回折により測定された6μmのd
50及び12μmのd
90を有する天然黒鉛)
【0136】
以下のタルク材料を用いた。
・タルクA(レーザー回折により測定された6μmのd
50及び13.1μmのd
95を有するタルク)
・タルクB(レーザー回折により測定された11.4μmのd
50及び13.2μmのd
95を有するタルク)
【0137】
−20℃におけるノッチなしシャルピー衝撃強度、23℃におけるノッチありシャルピー衝撃強度、23℃におけるノッチありシャルピー衝撃強度、曲げ弾性率、HDT、CLTE及びL
*を、射出成形された試料を用いて上述した手法を使用して測定した。25℃における面内及び面直熱伝導率、密度並びに電気抵抗率を、圧縮成形された試料を用いて上述した方法を使用して測定した。
【0138】
HDT、CLTE、L
*、密度及び熱伝導率の測定結果を表1に示す。
【0139】
L
*、シャルピー衝撃強度及び曲げ弾性率の測定結果を表2に示す。
【0140】
表1
【0141】
表2
【0142】
驚くべきことに、黒鉛質材料は、同量のタルクを含む組成物と同様の衝撃強度、HDT、CLTE及び密度をポリマー組成物に与えることが分かった。更に驚くべきことに、黒鉛質材料は、黒色であり熱伝導率が増加したポリマー組成物を与えることが分かった。
【0143】
実施例2
ポリプロピレンコポリマー(Exxon Mobilからのグレード7075L)及び種々の量の黒鉛質材料(上記実施例1中の黒鉛B又は黒鉛C)、タルク及び/又はカーボンブラックを含む組成物の色味を、カーボンブラックを含まない組成物と比較した。
【0144】
組成物の種々の色味パラメータを上記手法によって測定した。
【0145】
結果を表3に示す。
表3