(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515391(P2020-515391A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】NOx吸着体触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20200501BHJP
B01J 35/04 20060101ALI20200501BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20200501BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
B01J23/63 AZAB
B01J35/04 301L
B01D53/94 223
F01N3/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-553240(P2019-553240)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月12日
(86)【国際出願番号】GB2018050823
(87)【国際公開番号】WO2018178671
(87)【国際公開日】20181004
(31)【優先権主張番号】1705004.8
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】GB
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー, ガイ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス, ポール リチャード
(72)【発明者】
【氏名】プリッツヴァルト−シュテーグマン, ユリアン
(72)【発明者】
【氏名】リード, スチュアート デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シュトレーラウ, ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA02
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4G169EA27
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4G169EC29
4G169EE06
4G169EE09
(57)【要約】
内燃機関のための排出処理システムにおけるリーンNO
xトラップ触媒及びその使用が開示される。リーンNO
xトラップ触媒は、一又は複数の白金族金属から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及び第1の無機酸化物を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーンバーンディーゼルエンジンからの排出を処理するためのNOx吸着体触媒であって、
一又は複数の白金族金属、セリウム含有担体材料、及び第1の無機酸化物から本質的になる第1の層;
第2の層;並びに
軸長Lを有する基材;
を含み、
前記一又は複数の白金族金属が、ロジウムと白金の混合物又は合金から本質的になり;且つ
前記第1の層が前記第2の層上に配置されている、
NOx吸着体触媒。
【請求項2】
ロジウム対白金の比が、w/wベースで1:10から10:1である、請求項1に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項3】
ロジウム対白金の比が、w/wベースで約1:1である、請求項1又は2に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項4】
ロジウムと白金の混合物又は合金の総ローディングが、0.5から50g/ft3である、請求項1から3のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項5】
ロジウムと白金の混合物又は合金が、セリウム含有担体材料上に配置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項6】
前記セリア含有担体材料が、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群より選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項7】
前記セリウム含有担体材料が酸化セリウムである、請求項1から6のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項8】
第1の無機酸化物が、アルミナ、セリア、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、及びそれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群より選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項9】
第1の無機酸化物がアルミナである、請求項1から8のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項10】
第1の層が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はセリア以外の希土類金属を実質的に含まない、請求項1から9のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項11】
第1の層がパラジウムを実質的に含まない、請求項1から10のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項12】
一又は複数の追加層をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項13】
第1の層、第2の層及び/又は一又は複数の追加層が、押し出されてフロースルー又はフィルタ基材が形成される、請求項1から12のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒。
【請求項14】
リーンバーンディーゼルエンジン及び請求項1から13のいずれか一項に記載のNOx吸着体触媒を含む燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムであって、
リーンバーンディーゼルエンジンが、NOx吸着体触媒と流体連通している、
排出処理システム。
【請求項15】
排気ガスを請求項1から13のいずれか一項に記載のリーンNOxトラップ触媒又は請求項14に記載の排出処理システムと接触させることを含む、リーンバーンディーゼル内燃機関からの排気ガスを処理する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーンNO
xトラップ触媒、内燃機関からの排気ガスを処理する方法、リーンNO
xトラップ触媒を含む内燃機関のための排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、政府の法規制の対象である窒素酸化物(NO
x)、一酸化炭素、及び未燃焼炭化水素を含む多種多様な汚染物質を含有する排気ガスを発生させる。ますます、厳しい国家及び地方の法律で、上記ディーゼル又はガソリンエンジンから放出され得る汚染物質の量が低減してきている。排出制御システムは、大気に排出されるこれらの汚染物質の量を低減するために広範に利用されており、典型的には、排出制御システムがその動作温度(典型的には200℃以上)に到達すると、非常に高い効率を実現する。しかし、これらのシステムは、その動作温度を下回ると(「低温始動」期間)比較的非効率である。
【0003】
排気ガスを浄化するために利用される排気ガス処理成分の一つは、NO
X吸着体触媒(又は「NO
Xトラップ」)である。NO
X吸着体触媒は、NO
Xをリーン排気条件下で吸着し、吸着したNO
Xをリッチ条件下で放出し、且つ放出したNO
Xを還元してN
2を形成する装置である。NO
X吸着体触媒は、典型的にNO
Xの貯蔵のためのNO
X吸着剤と酸化/還元触媒を含む。
【0004】
NO
x吸着剤成分は、典型的にはアルカリ土類金属、アルカリ金属、希土類金属、又はこれらの組合せである。これらの金属は、典型的には、酸化物の形態で見出される。酸化/還元触媒は、典型的に、一又は複数の貴金属、好ましくは白金、パラジウム、及び/又はロジウムである。典型的に、白金は酸化機能を実施するために含められ、ロジウムは還元機能を実施するために含められる。酸化/還元触媒とNO
X吸着剤は、典型的に、排気システムで使用するための無機酸化物等の担体材料上に担持される。
【0005】
NO
X吸着体触媒は3つの機能を実施する。第一に、酸化窒素は、酸化触媒の存在下で、酸素と反応してNO
2を生成する。第二に、NO
2はNO
X吸着剤によって無機硝酸塩の形で吸着される(例えば、BaO又はBaCO
3がNO
X吸着剤上でBa(NO
3)
2に変換される)。最後に、エンジンがリッチ条件下で作動する場合、貯蔵された無機硝酸塩は分解してNO又はNO
2を生成し、これがその後、還元触媒の存在下で、一酸化炭素、水素、及び/又は炭化水素(又は、NHX若しくはNCO中間体を経由)との反応によって還元されてN
2を生成する。典型的に、窒素酸化物は、排気流中の熱、一酸化炭素、及び炭化水素の存在下で、窒素、二酸化炭素、及び水に変換される。
【0006】
PCT国際出願WO2004/076829号は、SCR触媒の上流に配置されたNO
x貯蔵触媒を含む排気ガス精製システムを開示している。NO
x貯蔵触媒は、少なくとも一種の白金族金属(Pt、Pd、Rh又はIr)でコーティング又は活性化されている少なくとも一種のアルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属を含む。特に好ましいNO
x貯蔵触媒は、白金でコーティングされた酸化セリウムと、それに加えて、酸化アルミニウムに基づく担体上の酸化触媒としての白金とを含むと、教示されている。EP第1027919号は、アルミナ、ゼオライト、ジルコニア、チタニア及び/又はランタナといった多孔性担体材料と、少なくとも0.1重量%の貴金属(Pt、Pd及び/又はRh)とを含むNO
x吸着剤材料を開示している。アルミナに担持された白金が例示されている。
【0007】
さらに、米国特許第5,656,244号及び同第5,800,793号は、NO
x貯蔵/放出触媒と三元触媒を組み合わせるシステムを記載している。NO
x吸着剤は、アルミナ、ムライト、コーディエライト又は炭化ケイ素に担持される他の金属に加えて、クロム、銅、ニッケル、マンガン、モリブデン又はコバルトの酸化物を含むと教示されている。
【0008】
PCT国際出願第2009/158453号は、アルカリ土類元素などのNO
x捕捉成分を含有する少なくとも一つの層と、セリアを含有し、アルカリ土類元素を実質的に含まない別の層とを含むリーンNO
xトラップ触媒を記載している。この構成は、低温、例えば250℃未満でLNTの性能を改善することが意図されている。
【0009】
米国特許公開2015/0336085号は、担体上の少なくとも二つの触媒的に活性なコーティングから構成される窒素酸化物貯蔵触媒を記載している。下部コーティングは、酸化セリウム及び白金及び/又はパラジウムを含有する。下部コーティングの上に配置されている上部コーティングは、アルカリ土類金属化合物、混合酸化物、並びに白金及びパラジウムを含む。窒素酸化物貯蔵触媒は、200から500℃の温度でのリーンバーンエンジン、例えばディーゼルエンジンからの排気ガス中のNO
xの変換に特に適していると言われている。
【0010】
従来のリーンNO
xトラップ触媒は、しばしば、活性化状態と不活性化状態の間で著しく異なる活性レベルを有する。これは、触媒の寿命にわたって、及び排気ガス組成物中の短期的な変化に応じて、触媒の一貫性のない性能をもたらし得る。これは、エンジンの較正に課題をもたらし、触媒の性能の変化の結果として、より悪い排出プロファイルを引き起こし得る。
【0011】
どのような自動車システム及びプロセスでも、排気ガス処理システムのなお更なる改善を達成することが望ましい。我々は、改善されたNO
x貯蔵及び変換特性、並びに改善されたCO変換を有する新規のNO
x吸着体触媒を発見した。驚くべきことに、これらの改善された触媒特性は、活性化及び不活性化の両方の状態で観察されることが発見された。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様では、リーンバーンディーゼルエンジンからの排出を処理するためのNO
x吸着体触媒であって、
一又は複数の白金族金属、セリウム含有担体材料、及び第1の無機酸化物から本質的になる第1の層;
第2の層;並びに
軸長Lを有する基材;
を含み、
前記一又は複数の白金族金属が、ロジウムと白金の混合物又は合金から本質的になり;且つ
前記第1の層が前記第2の層上に配置されている、
NO
x吸着体触媒が提供される。
【0013】
本発明の第2の態様では、リーンバーンディーゼルエンジン及び上記のNO
x吸着体触媒を含む燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムが提供され、リーンバーンディーゼルエンジンは、NO
x吸着体触媒と流体連通している。
【0014】
本発明の第3の態様では、排気ガスを上記のリーンNO
xトラップ触媒と接触させることを含む、リーンバーンディーゼル内燃機関からの排気ガスを処理する方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
定義
「ウォッシュコート」という用語は、当該技術分野ではよく知られており、通常は触媒の製造中に基材に塗布される接着性コーティングを指す。
【0016】
本明細書で用いられる頭字語「PGM」とは、「白金族金属」を指す。用語「白金族金属」とは、一般的に、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金からなる群より選択される金属、好ましくはルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム及び白金からなる群より選択される金属を指す。一般に、用語「PGM」とは、好ましくは、ロジウム、白金及びパラジウムからなる群より選択される金属を指す。
【0017】
本明細書で使用される用語「貴金属」とは、概して、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金及び金からなる群より選択される金属を指す。一般に、用語「貴金属」とは、好ましくは、ロジウム、白金、パラジウム及び金からなる群より選択される金属を指す。
【0018】
本明細書で使用される「混合酸化物」という用語は、概して、当該技術分野で従来から知られているように、単一相の酸化物の混合物を指す。本明細書で使用される「複合酸化物」という用語は、概して、当該技術分野で従来から知られているように、二相以上の相を有する酸化物の組成物のことを指す。
【0019】
材料に関して本明細書で使用される表現「〜を実質的に含まない」とは、材料が、例えば≦5重量%、好ましくは≦2重量%、さらに好ましくは≦1重量%といった少量で存在し得ることを意味する。表現「〜を実質的に含まない」は、表現「〜を含まない」を包含する。
【0020】
本明細書で使用される用語「ローディング」とは、金属重量ベースのg/ft
3の単位での測定値を指す。
【0021】
本明細書で使用される用語「T
50」とは、所与の排気ガス成分(例えばCO、HC又はNO
x)の50%の変換(例えば酸化又は還元)が達成される温度を指す。
【0022】
本発明のリーンバーンディーゼルエンジンからの排出を処理するためのNO
x吸着体触媒は第1の層を含み、第1の層は、一又は複数の白金族金属、セリウム含有担体材料、及び第1の無機酸化物から本質的になる。NO吸着体触媒は、第1の層と、軸長Lを有する基材とをさらに含む。一又は複数の白金族金属は、ロジウムと白金の混合物又は合金から本質的になる。第1の層は、前記第2の層上に配置される。
【0023】
好ましくは、ロジウム対白金の比は、w/wベースで1:10から10:1、より好ましくはw/wベースで約1:1である。ロジウムと白金の混合物又は合金の好ましい総ローディングは、0.5から50g/ft
3、より好ましくは約5から30g/ft
3、さらにより好ましくは約10g/ft
3である。
【0024】
NOx吸着体触媒は、好ましくは0.1から10重量パーセント、より好ましくは0.5から5重量パーセント、最も好ましくは1から3重量パーセントのロジウムと白金の混合物又は合金を含む。
【0025】
本発明の好ましいNOx吸着体触媒では、ロジウムと白金の混合物又は合金は、セリウム含有担体材料上に配置、つまり担持されている。追加的又は代替的に、ロジウムと白金の混合物又は合金は、第1の無機酸化物上に配置、つまり担持されている。
【0026】
セリア含有担体材料は、好ましくは、酸化セリウム、セリア−ジルコニア混合酸化物、及びアルミナ−セリア−ジルコニア混合酸化物からなる群より選択される。好ましくは、セリア含有担体材料は、バルクセリア、すなわち高表面積セリアを含む。セリア含有担体材料は、酸素貯蔵材料として機能し得る。代替的又は追加的に、セリア含有担体材料は、NO
x貯蔵材料として、且つ/又はロジウムと白金の混合物又は合金の担体材料として、機能し得る。
【0027】
無機酸化物は、好ましくは第2、3、4、5、13及び14族の元素の酸化物である。無機酸化物は、好ましくは、アルミナ、セリア、マグネシア、シリカ、チタニア、ジルコニア、ニオビア、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化タングステン、及びそれらの混合酸化物又は複合酸化物からなる群より選択される。特に好ましくは、無機酸化物は、アルミナ、セリア、又はマグネシア/アルミナ複合酸化物である。特に好ましい無機酸化物の一つは、アルミナである。
【0028】
好ましい無機酸化物は、好ましくは、10から1500m
2/gの範囲内の表面積、0.1から4mL/gの範囲内の細孔容積、及び約10から1000オングストロームの細孔径を有する。80m
2/gを超える表面積を有する高表面積無機酸化物、例えば高表面積セリア又はアルミナが、特に好ましい。他の好ましい第1の無機酸化物には、マグネシア/アルミナ複合酸化物が含まれ、任意選択的にはセリウム含有成分、例えばセリアがさらに含まれる。そのような場合、セリアは、マグネシア/アルミナ複合酸化物の表面上に、例えばコーティングとして、存在し得る。
【0029】
本発明による好ましいNO
x吸着体触媒では、第1の層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びセリア以外の希土類金属を実質的に含まない。特に好ましいNO
x吸着体触媒では、第1の層はバリウムを実質的に含まない。
【0030】
本発明の好ましいNO
x吸着体触媒では、第1の層は、ジスプロシウム(Dy)、エルビウム(Er)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、ホルミウム(Ho)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、プラセオジム(Pr)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、スカンジウム(Sc)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びイットリウム(Y)を実質的に含まない。つまり、本発明の好ましいNO
x吸着体触媒では、第1の層に存在する唯一の希土類金属は、i)セリウム含有担体材料、及び任意選択的にii)第1の無機酸化物中の希土類金属ドーパント、例えばランタンである。
【0031】
本発明のさらに好ましいNO
x吸着体触媒では、第1の層はジルコニウムを実質的に含まない。よって、そのようなNO
x吸着体触媒では、セリウム含有担体材料は、セリア/ジルコニア混合酸化物を含まない。
【0032】
好ましくは、第1の層はパラジウムを含まない。好ましくは、ロジウムと白金の混合物又は合金は、パラジウムを含まない。特に好ましくは、ロジウムと白金の混合物又は合金は、ロジウム及び白金から本質的になる、例えばそれらからなる。
【0033】
本発明のNO
x吸着体触媒は、当業者に知られているさらなる成分を含み得る。例えば、本発明の組成物は、少なくとも一つの結合剤及び/又は少なくとも一つの界面活性剤をさらに含み得る。結合剤が存在する場合、分散性のアルミナ結合剤が好ましい。
【0034】
基材は、好ましくは、フロースルーモノリス又はフィルタモノリスであるが、好ましくはフロースルーモノリス基材である。
【0035】
フロースルーモノリス基材は、第1の面及び第2の面の間の縦方向を規定する第1の面及び第2の面を有する。フロースルーモノリス基材は、第1の面と第2の面との間に延びる複数のチャネルを有する。複数のチャネルは縦方向に伸び、複数の内部表面(各チャネルを規定する壁の表面)を提供する。複数のチャネルにそれぞれは、第1の面で開いており、第2の面で閉じている。疑義を避けるために、フロースルーモノリス基材は、ウォールフローフィルタではない。
【0036】
典型的には、第1の面は基材の入口端にあり、第2の面は基材の出口端にある。
【0037】
チャネルは、一定の幅であってもよく、各複数のチャネルは、均一なチャネル幅を有してもよい。
【0038】
好ましくは、縦方向に直交する平面内で、モノリス基材は1平方インチ当たり100から500チャネル、好ましくは200から400チャネルを有する。例えば、第一の面上で、開口第一チャネル及び閉鎖第二チャネルの密度は、1平方インチ当たり200から400チャネルである。チャネルは、長方形、正方形、円形、楕円形、三角形、六角形、又はその他多角形の断面を有し得る。
【0039】
モノリス基材は、触媒材料を保持するための担体として作用する。モノリス基材を形成するのに適した材料は、セラミック様の材料、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア若しくはケイ酸ジルコニウム、又は多孔質の耐火性金属を含む。多孔質モノリス基材の製造におけるそのような材料及びそれらの使用は当該技術分野でよく知られている。
【0040】
本明細書に記載されるフロースルーモノリス基材は単一成分(すなわち単一ブリック)であることに留意されたい。しかし、排出処理システムを形成するとき、使用されるモノリスは、複数のチャネルを一緒に接着することによって、又は本明細書に記載されるような複数の小さなモノリスを一緒に接着することによって形成されうる。そのような技術は、当該技術分野においてよく知られており、排出処理システムの適切なケーシング及び構成も同様である。
【0041】
リーンNO
xトラップ触媒がセラミック基材を含む実施態様では、セラミック基材は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム類、ケイ酸マグネシウム類、アルミノケイ酸塩類及びメタロアルミノケイ酸塩類(コーディエライト及びスポジュメン等)、又はこれらのいずれか二つ以上の混合物若しくは混合酸化物等の任意の適切な耐火材料から作られてもよい。コーディエライト、マグネシウムアルミノシリケート、及び炭化ケイ素が特に好ましい。
【0042】
リーンNO
xトラップ触媒が金属基材を含む実施態様では、金属基材は、チタン及びステンレス鋼、並びに、鉄、ニッケル、クロム及び/又はアルミニウムをその他の微量金属に加えて含有するフェライト合金のような、任意の適切な金属、特に耐熱性の金属及び金属合金で作製され得る。
【0043】
本発明のNO
xトラップ触媒は、任意の適切な手段によって調製され得る。例えば、第1の層は、一又は複数の白金族金属、第1のセリア含有材料、及び第1の無機酸化物を任意の順序で混合することにより調製され得る。添加の方法及び順序は、特に重要であるとは考えられていない。例えば、第1の層の成分のそれぞれは、任意の他の成分に同時に添加されてもよいし、任意の順序で逐次的に添加されてもよい。第1の層の成分のそれぞれは、含浸、吸着、イオン交換、初期湿潤、沈殿等により、又は当該技術分野で一般的に知られている任意の他の手段により第1の層の任意の他に成分に添加されてもよい。
【0044】
第2の層は、第2の層の任意の成分を任意の順序で一緒に混合することにより調製され得る。添加の方法及び順序は、特に重要であるとは考えられていない。例えば、第2の層の成分のそれぞれは、任意の他の成分に同時に添加されてもよいし、任意の順序で逐次的に添加されてもよい。第2の層の成分のそれぞれは、含浸、吸着、イオン交換、初期湿潤、沈殿等により、又は当該技術分野で一般的に知られている任意の他の手段により第2の層の任意の他に成分に添加されてもよい。
【0045】
一又は複数の追加層は、存在する場合、それぞれの一又は複数の追加層の任意の成分を任意の順序で混合することにより調製され得る。添加の方法及び順序は、特に重要であるとは考えられていない。例えば、一又は複数の追加層の成分のそれぞれは、任意の他の成分に同時に添加されてもよいし、任意の順序で逐次的に添加されてもよい。一又は複数の追加層の成分のそれぞれは、含浸、吸着、イオン交換、初期湿潤、沈殿等により、又は当該技術分野で一般的に知られている任意の他の手段により一又は複数の追加層の任意の他に成分に添加されてもよい。
【0046】
好ましくは、上記のリーンNO
xトラップ触媒は、ウォッシュコート法を使用してリーンNO
xトラップ触媒を基材上に堆積させることによって調製される。ウォッシュコート法を使用するリーンNO
xトラップ触媒を調製するための代表的な方法は、以下に記載する。下記の方法は本発明の種々の実施態様に従って変更可能であることが理解されよう。
【0047】
ウォッシュコートは、適切な溶媒中、好ましくは水中でリーンNO
Xトラップ触媒の成分の細かく分割された粒子を最初にスラリー化することによって、好適に実施されて、スラリーを形成する。スラリーは、好ましくは、5から70重量パーセント、より好ましくは10から50重量パーセントの固体を含有する。好ましくは、スラリーを形成する前に、実質的に全ての固体粒子が平均直径で20ミクロン未満の粒径を有することを確実にするために、粒子は粉砕される(milled)か、又は別の粉砕(comminution)プロセスに供される。安定剤、結合剤、界面活性剤又は促進剤のような追加的な成分も、水溶性又は水分散性の化合物又は錯体の混合物として、スラリー内に取り込まれ得る。
【0048】
その後、基材は、リーンNO
Xトラップ触媒の所望のローディングが基材上に堆積されるように、スラリーで一回又は複数回、コーティングされ得る。
【0049】
本発明のいくつかの好ましいNO
x吸着体触媒では、第2の層は、金属又はセラミック基材上に直接担持/堆積されている。「直接」とは、第2の層と金属又はセラミック基材との間に、介在層又は下層が存在しないことを意味する。あるいは、上記の一又は複数の追加層のような一又は複数の中間層は、第2の層と金属又はセラミック基材との間に存在し得る。
【0050】
好ましくは、第2の層は、第1の層上に直接堆積される。「〜上に直接」とは、第2の層と第1の層との間に、介在層又は下層が存在しないことを意味する。
【0051】
好ましくは、第1の層、第2の層及び/又は一又は複数の追加層は、基材の軸長Lの少なくとも60%、より好ましくは基材の軸長Lの少なくとも70%、特に好ましくは基材の軸長Lの少なくとも80%に堆積される。
【0052】
本発明の特に好ましいリーンNO
xトラップ触媒では、第1の層及び第2の層は、基材の軸長Lの少なくとも80%、好ましくは少なくとも95%に堆積される。本発明のいくつかの好ましいリーンNO
xトラップ触媒では、一又は複数の追加層は、基材の軸長Lの100%未満に堆積され、例えば、一又は複数の追加層は、基材の軸長Lの80−95%、例えば基材の軸長Lの80%、85%、90%又は95%に堆積される。よって、本発明のいくつかの特に好ましいリーンNO
xトラップ触媒では、第1の層及び第2の層は、基材の軸長Lの少なくとも95%に堆積され、一又は複数の追加層は、基材の軸長Lの80−95%、例えば基材の軸長Lの80%、85%、90%又は95%に堆積される。
【0053】
一又は複数の追加層が、上記の第1の層及びび第2の層に加えて存在する実施態様では、一又は複数の追加層は、上記の第1の層、第2の層及び第3の層とは異なる組成を有する。
【0054】
一又は複数の追加の層は、一つのゾーン又は複数のゾーン、例えば二つ若しくは三つのゾーンを含み得る。一又は複数の追加の層が複数のゾーンを含む場合、ゾーンは好ましくは縦方向のゾーンである。複数のゾーン、又は各個別のゾーンは、勾配として存在してもよく、すなわちゾーンは、勾配を形成するためにその全長に沿って均一な厚さでなくてもよい。あるいは、ゾーンはその全長に沿って均一な厚さであってもよい。
【0055】
いくつかの好ましい実施態様では、一つの追加の層、すなわち第1の追加層が存在する。
【0056】
典型的には、第1の追加層は、白金族金属(PGM)を含む(以下「第2の白金族金属」と称する)。第1の追加層は第2の白金族金属(PGM)を唯一の白金族金属として含む(すなわち、明記されるもの以外には、他のPGM成分は触媒材料に存在しない)ことが、一般的には好ましい。
【0057】
第2のPGMは、白金、パラジウム、及び白金(Pt)とパラジウム(Pd)の組み合わせ又は混合物からなる群より選択され得る。好ましくは、白金族金属は、パラジウム(Pd)及び白金(Pt)とパラジウム(Pd)の組み合わせ又は混合物からなる群より選択される。より好ましくは、白金族金属は、白金(Pt)とパラジウム(Pd)の組み合わせ又は混合物からなる群より選択される。
【0058】
第1の追加層は一酸化炭素(CO)及び/又は炭化水素(HC)の酸化のためのものである(つまり、そのために配合される)。
【0059】
好ましくは、第1の追加層は、パラジウム(Pd)及び任意選択的に白金(Pt)を、1:0(例えばPdのみ)から1:4の重量比で含む(これは、4:1から0:1のPt:Pdの重量比と同等である)。より好ましくは、第2の層は、白金(Pt)及びパラジウム(Pd)を、<4:1、例えば≦3.5:1の重量比で含む。
【0060】
白金族金属が白金とパラジウムの組み合わせ又は混合物であるとき、第1の追加層は、5:1から3.5:1、好ましくは2.5:1から1:2.5、より好ましくは1:1から2:1の重量比で白金(Pt)とパラジウム(Pd)を含む。
【0061】
第1の追加層は、典型的には、担体材料(以下「第2の担体材料」と称する)をさらに含む。第2のPGMは、一般的に、第2の担体材料上に配置又は担持される。
【0062】
第2の担体材料は、好ましくは耐火性酸化物である。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、セリア、シリカアルミナ、セリア−アルミナ、セリア−ジルコニア、及びアルミナ−酸化マグネシウムからなる群から選択されることが好ましい。より好ましくは、耐火性酸化物は、アルミナ、セリア、シリカ−アルミナ、及びセリア−ジルコニアからなる群から選択される。さらにより好ましくは、耐火性酸化物は、アルミナ又はシリカ−アルミナであり、特にシリカ−アルミナである。
【0063】
特に好ましい第1の追加層は、シリカ−アルミナ担体、白金、パラジウム、バリウム、モレキュラーシーブ、及びアルミナ担体上の白金族金属(PGM)、例えば希土類安定化アルミナを含む。特に好ましくは、この好ましい第1の追加層は、シリカ−アルミナ担体、白金、パラジウム、バリウム、モレキュラーシーブを含む第1のゾーンと、アルミナ担体上の白金族金属(PGM)、例えば希土類安定化アルミナを含む第2のゾーンとを含む。この好ましい第1の追加層は、酸化触媒として、例えばディーゼル酸化触媒として、活性を有し得る。
【0064】
さらに好ましい第1の追加層は、アルミナ上白金族金属を含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなる。この好ましい第2の層は、酸化触媒として、例えばNO
2−メーカー触媒として、活性を有し得る。
【0065】
さらに好ましい第1の追加層は、白金族金属、ロジウム、及びセリウム含有成分を含む。
【0066】
他の好ましい実施態様では、リーンNO
xトラップ触媒に加えて、複数の上記の好ましい第1の追加層が存在する。そのような実施態様では、一又は複数の追加層は、ゾーン化構成を含む任意の構造で存在し得る。
【0067】
好ましくは、第1の追加層は、リーンNO
xトラップ触媒上に配置又は担持される。
【0068】
第1の追加層は、追加的に又は代替的に、基材(スルーフローモノリス基材の複数の内部表面)上に配置又は担持され得る。
【0069】
第1の追加層は、基材又はリーンNO
xトラップ触媒の全長に配置又は担持され得る。あるいは、第1の追加層は、基材又はリーンNO
xトラップ触媒の一部上、例えば5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%に配置又は担持され得る。
【0070】
あるいは、第1の層、第2の層及び/又は一又は複数の追加層は、押し出されてフロースルー又はフィルタ基材が形成され得る。そのような場合、リーンNO
xトラップ触媒は、上記の第1の層、第2の層及び/又は一又は複数の追加層を含む押出リーンNO
xトラップ触媒である。
【0071】
本発明のさらなる態様は、上記のリーンNO
xトラップ触媒を含む燃焼排気ガスの流れを処理するための排出処理システムである。好ましいシステムでは、内燃機関はディーゼルエンジン、好ましくは軽量ディーゼルエンジンである。リーンNO
xトラップ触媒は、近位連結位置又は床下位置に置かれ得る。
【0072】
排出処理システムは、典型的には、排出制御装置をさらに含む。
【0073】
排出制御装置は、好ましくはリーンNO
xトラップ触媒の下流にある。
【0074】
排出制御装置の例には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、リーンNO
Xトラップ(LNT)、リーンNO
X触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、コールドスタート触媒(dCSC
TM)及びこれら二つ以上の組み合わせが含まれる。このような排出制御装置は当該技術分野でよく知られている。
【0075】
前述の排出制御装置のいくつかは、フィルタリング基材を有する。フィルタリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、触媒化スートフィルタ(CSF)、及び選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒からなる群より選択され得る。
【0076】
排気処理システムは、リーンNO
xトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、及びこれら二つ以上の組み合わせからなる群より選択される排出制御装置を備えることが好ましい。さらに好ましくは、排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、及びこれらの二つ以上の組み合わせからなる群より選択される。さらにより好ましくは、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒である。
【0077】
本発明の排出処理システムがSCR触媒又はSCRF
TM触媒を備える場合、排出処理システムは、アンモニアなどの窒素系還元剤、又は尿素若しくはギ酸アンモニウム、好ましくは尿素などのアンモニア前駆体を、リーンNO
xトラップ触媒の下流且つSCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流で排気ガスに噴射するためのインジェクタをさらに備え得る。
【0078】
このようなインジェクタは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結され得る。排気ガス中への前駆体のバルブ制御された投与量は、適切にプログラミングされたエンジン管理手段及び排気ガスの組成をモニタリングするセンサによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調整されうる。
【0079】
アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成されてもよく、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0080】
インジェクタの代わりに、又はインジェクタに加えて、アンモニアはin situで(例えばSCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流に配置されたLNTのリッチ再生の間に)生成することができる。よって、排出処理システムは、排気ガスに炭化水素を混入するためのエンジンマネジメント手段をさらに備えていてもよい。
【0081】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びVIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも一つからなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブに担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらいずれか二つ以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは金属はFe又はCuである。
【0082】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒用の耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、及びそれら二つ以上を含有する混合酸化物からなる群より選択され得る。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含み得る。
【0083】
SCR触媒、SCRF
TM触媒、又はそれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも一つのモレキュラーシーブを含む場合が特に好ましい。少なくとも一つのモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブでありうる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、最大環サイズ8を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、最大環サイズ10を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、最大環サイズ12を有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0084】
本発明の排出処理システムにおいて、SCR触媒又はSCRF
TM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ERI(ZSM−34を含む)、モルデナイト、フェリエライト、BEA(ベータを含む)、Y、CHA、LEV(Nu−3を含む)、MCM−22、及びEU−1、好ましくはAEI又はCHAからなる群より選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、約10対約50、例えば約15対約40のシリカ対アルミナ比を有する。
【0085】
第1の排出処理システムの実施態様では、排出処理システムは、本発明のリーンNO
xトラップ触媒及び触媒化スートフィルタ(CSF)を備える。典型的には、リーンNO
xトラップ触媒の後に触媒化スートフィルタ(CSF)が続く(例えば、CSFの上流にある)。よって、例えば、リーンNO
xトラップ触媒の出口は触媒化スートフィルタの入口に接続される。
【0086】
第2の排出処理システムの実施態様は、本発明のリーンNO
xトラップ触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、及び選択的触媒還元(SCR)触媒を備える排出処理システムに関する。
【0087】
典型的には、リーンNO
xトラップ触媒の後に触媒化スートフィルタ(CSF)が続く(例えば、CSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、SCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、触媒化スートフィルタ(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置され得る。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、インジェクタ上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、SCR触媒の上流にある)。
【0088】
第3の排出処理システムの実施態様では、排出処理システムは、本発明のリーンNO
xトラップ触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかを備える。
【0089】
第3の排気システムの実施態様では、典型的には本発明のリーンNO
xトラップ触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、SCRの上流にある)。窒素還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置されてもよい。よって、触媒化モノリス基材の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、SCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が続く(例えば、CSF又はDPFの上流にある)。
【0090】
第4の排出処理システムの実施態様は、本発明のリーンNO
x触媒と、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒とを含む。本発明のリーンNO
xトラップ触媒の後に、典型的に選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒が続く(例えば、SCRF
TM触媒の上流にある)。
【0091】
窒素系還元剤のインジェクタは、リーンNO
xトラップ触媒と選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒との間に配置されてもよい。よって、リーンNO
xトラップ触媒の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒が続いてもよい(例えば、SCRF
TM触媒の上流にある)。
【0092】
排出処理システムが、上述の第2から第4の排気システムの実施態様にあるように、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒を備えるとき、ASCは、SCR触媒又はSCRF
TM触媒の下流に(すなわち別個のモノリス基材として)配置することができ、又は、さらに好ましくはSCR触媒を備えたモノリス基材の下流の区域又は終端はASCのための担体として使用することができる。
【0093】
本発明の別の態様は車両に関する。車両は、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンを備える。内燃機関、好ましくはディーゼルエンジンは、本発明の排出処理システムに結合している。
【0094】
ディーゼルエンジンは、≦50ppmの硫黄、より好ましくは、≦15ppmの硫黄、例えば≦10ppmの硫黄、さらにより好ましくは≦5ppmの硫黄を含む燃料、好ましくはディーゼル燃料で動作するよう構成又は適合されている。
【0095】
車両は、米国又は欧州の法律で規定されるような軽量ディーゼル車両(LDV)であり得る。軽量ディーゼル車は、典型的には<2840kgの重量を有し、より好ましくは<2610kgの重量を有する。米国では、軽量ディーゼル車(LDV)とは、≦8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車を指す。欧州では、軽量ディーゼル車(LDV)という用語は、(i)運転席の他に8席以下の座席を備え、5トン以下の最大質量を有する乗用車、及び(ii)12トン以下の最大質量を有する貨物輸送車を指す。
【0096】
あるいは、自動車は、米国の法律で規定されている、>8500ポンド(米国ポンド)の総重量を有するディーゼル車のような大型ディーゼル車(HDV)であってもよい。
【0097】
本発明のさらなる態様は、排気ガスを上記のリーンNO
xトラップ触媒と接触させることを含む、内燃機関からの排気ガスを処理する方法である。好ましい方法では、排気ガスはリッチガス混合物である。さらに好ましい方法では、排気ガスは、リッチガス混合物とリーンガス混合物との間で循環する。
【0098】
内燃機関からの排気ガスを処理するいくつかの好ましい方法では、排気ガスは約150から300℃の温度である。
【0099】
内燃機関からの排気ガスを処理するさらに好ましい方法では、排気ガスは、上記のリーンNO
xトラップ触媒に加えて、一又は複数のさらなる排出制御装置と接触している。排出制御装置は、好ましくはリーンNOxトラップ触媒の下流にある。
【0100】
さらなる排出制御装置の例には、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、リーンNO
Xトラップ(LNT)、リーンNO
X触媒(LNC)、選択的触媒還元(SCR)触媒、ディーゼル酸化触媒(DOC)、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、アンモニアスリップ触媒(ASC)、コールドスタート触媒(dCSC
TM)及びこれら二つ以上の組み合わせが含まれる。このような排出制御装置は当該技術分野でよく知られている。
【0101】
前述の排出制御装置のいくつかは、フィルタリング基材を有する。フィルタリング基材を有する排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、触媒化スートフィルタ(CSF)、及び選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒からなる群より選択され得る。
【0102】
該方法は、排気ガスを、リーンNO
xトラップ(LNT)、アンモニアスリップ触媒(ASC)、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、及びこれら二つ以上の組み合わせからなる群より選択される排出制御装置と接触させることを含むことが好ましい。さらに好ましくは、排出制御装置は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)、選択的触媒還元(SCR)触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒、及びこれらの二つ以上の組み合わせからなる群より選択される。さらにより好ましくは、排出制御装置は、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒である。
【0103】
本発明の方法が、排気ガスをSCR触媒又はSCRF
TM触媒と接触させることを含む場合、該方法は、アンモニアなどの窒素系還元剤、又は尿素若しくはギ酸アンモニウム、好ましくは尿素などのアンモニア前駆体を、リーンNO
xトラップ触媒の下流且つSCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流で排気ガスに噴射することをさらに含み得る。
【0104】
そのような噴射は、インジェクタにより行われ得る。インジェクタは、窒素系還元剤前駆体の供給源(例えばタンク)に流体連結することができる。前駆体の排気ガスへのバルブ制御された投入は、適切にプログラミングされたエンジンマネジメント手段及び排気ガスの組成を監視するセンサによって供給される閉ループ又は開ループフィードバックによって調節することができる。
【0105】
アンモニアはまた、カルバミン酸アンモニウム(固体)を加熱することによって生成されてもよく、生成されたアンモニアは排気ガス中に噴射することができる。
【0106】
インジェクタの代わりに、又はインジェクタに加えて、アンモニアは、in situで(例えば、SCR触媒又はSCRF
TM触媒の上流に配置されているLNTのリッチ再生の間に)生成され得る。よって、該方法は、排気ガスに炭化水素を混入することをさらに含み得る。
【0107】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒は、Cu、Hf、La、Au、In、V、ランタニド、及びVIII族遷移金属(例えばFe)のうち少なくとも一つからなる群より選択される金属を含んでいてもよく、この金属は耐火性酸化物又はモレキュラーシーブに担持される。金属は、好ましくはCe、Fe、Cu及びこれらいずれか二つ以上の組み合わせから選択され、さらに好ましくは金属はFe又はCuである。
【0108】
SCR触媒又はSCRF
TM触媒用の耐火性酸化物は、Al
2O
3、TiO
2、CeO
2、SiO
2、ZrO
2、及びそれら二つ以上を含有する混合酸化物からなる群より選択され得る。非ゼオライト触媒はまた、酸化タングステン(例えばV
2O
5/WO
3/TiO
2、WO
x/CeZrO
2、WO
x/ZrO
2又はFe/WO
x/ZrO
2)も含み得る。
【0109】
SCR触媒、SCRF
TM触媒、又はそれらのウォッシュコートが、アルミノシリケートゼオライト又はSAPOなどの少なくとも一つのモレキュラーシーブを含む場合が特に好ましい。少なくとも一つのモレキュラーシーブは、小細孔、中細孔又は大細孔モレキュラーシーブでありうる。本明細書において「小細孔モレキュラーシーブ」とは、CHAなど、最大環サイズ8を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「中細孔モレキュラーシーブ」とは、ZSM−5など、最大環サイズ10を有するモレキュラーシーブを意味し;本明細書において「大細孔モレキュラーシーブ」とは、ベータなど、最大環サイズ12を有するモレキュラーシーブを意味する。小細孔モレキュラーシーブはSCR触媒における使用にとって潜在的に有利である。
【0110】
本発明の排気ガスを処理する方法において、SCR触媒又はSCRF
TM触媒にとって好ましいモレキュラーシーブは、AEI、ZSM−5、ZSM−20、ERI(ZSM−34を含む)、モルデナイト、フェリエライト、BEA(ベータを含む)、Y、CHA、LEV(Nu−3を含む)、MCM−22、及びEU−1、好ましくはAEI又はCHAからなる群より選択される合成アルミノシリケートゼオライトモレキュラーシーブであり、約10対約50、例えば約15対約40のシリカ対アルミナ比を有する。
【0111】
第1の実施態様では、該方法は、排気ガスを本発明のリーンNO
xトラップ触媒及び触媒化スートフィルタ(CSF)と接触させることを含む。典型的には、リーンNO
xトラップ触媒の後に触媒化スートフィルタ(CSF)が続く(例えば、CSFの上流にある)。よって、例えば、リーンNO
xトラップ触媒の出口は触媒化スートフィルタの入口に接続される。
【0112】
排気ガスを処理する方法の第2の実施態様は、排気ガスを本発明のリーンNO
xトラップ触媒、触媒化スートフィルタ(CSF)、及び選択的触媒還元(SCR)触媒と接触させることを含む方法に関する。
【0113】
典型的には、リーンNO
xトラップ触媒の後に触媒化スートフィルタ(CSF)が続く(例えば、CSFの上流にある)。典型的には、触媒化スートフィルタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、SCR触媒の上流にある)。窒素系還元剤のインジェクタは、触媒化スートフィルタ(CSF)と選択的触媒還元(SCR)触媒の間に配置され得る。よって、触媒化スートフィルター(CSF)の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、インジェクタ上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、SCR触媒の上流にある)。
【0114】
排気ガスを処理する方法の第3の実施態様では、該方法は、排気ガスを本発明のリーンNO
xトラップ触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、及び触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)のいずれかと接触させることを含む。
【0115】
排気ガスを処理する方法の第3の実施態様では、典型的には本発明のリーンNO
xトラップ触媒の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続く(例えば、SCRの上流にある)。窒素還元剤のインジェクタは、酸化触媒と選択的触媒還元(SCR)触媒との間に配置されてもよい。よって、NOx吸収体触媒の後に窒素系還元剤の噴射装置が続いてもよく(例えば、NOx吸収体触媒が噴射装置の上流にある)、窒素系還元剤の噴射装置の後に選択的触媒還元(SCR)触媒が続いてもよい(例えば、噴射装置がSCR触媒の上流にある)。選択的触媒還元(SCR)触媒の後に、触媒化スートフィルタ(CSF)又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が続く(例えば、CSF又はDPFの上流にある)。
【0116】
排気ガスを処理する方法の第4の実施態様は、本発明のリーンNO
x触媒と、選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒とを含む。本発明のリーンNO
xトラップ触媒の後に、典型的に選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒が続く(例えば、SCRF
TM触媒の上流にある)。
【0117】
窒素系還元剤のインジェクタは、リーンNO
xトラップ触媒と選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒との間に配置されてもよい。よって、リーンNO
xトラップ触媒の後に窒素系還元剤のインジェクタが続いてもよく(例えば、インジェクタの上流にある)、窒素系還元剤のインジェクタの後に選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒が続いてもよい(例えば、SCRF
TM触媒の上流にある)。
【0118】
排出処理システムが、上述の第2から第4の方法の実施態様にあるように、選択的触媒還元(SCR)触媒又は選択的触媒還元フィルタ(SCRF
TM)触媒を備えるとき、ASCは、SCR触媒又はSCRF
TM触媒の下流に(すなわち別個のモノリス基材として)配置することができ、又は、さらに好ましくはSCR触媒を備えたモノリス基材の下流の区域又は終端はASCのための担体として使用することができる。
【実施例】
【0119】
次に、以下の非限定的な実施例によって本発明を例証する。
【0120】
材料
全ての材料は市販されており、別記しない限り、既知の供給業者から入手した。
【0121】
一般的な調製1−Al
2O
3.CeO
2.MgO−BaCO
3
Al
2O
3(56.14%).CeO
2(6.52%).MgO(14.04%)を酢酸バリウムで含浸させることにより、Al
2O
3.CeO
2.MgO−BaCO
3複合材料を形成し、結果として生じたスラリーを噴霧乾燥させた。この後に、650℃で1時間の焼成を続けた。目的のBaCO
3濃度は23.3wt%である。
【0122】
実施例の調製
[Al
2O
3.CeO
2.MgO.Ba].Pt.Pd.CeO
2−組成物Aの調製
2.07g/in
3[Al
2O
3.CeO
2.MgO.BaCO
3](上記の一般的な調製により調製)を蒸留水を用いてスラリーにし、その後、粉砕して平均粒径を減少させた(d
90=13−15μm)。30g/ft
3のマロン酸Pt及び6g/ft
3の硝酸Pdの溶液をスラリーに添加し、均一になるまで撹拌した。Pt/Pdを1時間にわたって担体上に吸着させた。このスラリーに、2.1g/in
3の予備焼成したCeO
2を、その後0.2g/in
3のアルミナ結合剤を添加し、均一になるまで撹拌して、ウォッシュコートを形成した。
【0123】
[Al
2O
3.LaO].Pt.Pd.CeO
2−組成物Bの調製
マロン酸Pt(65gft
−3)及び硝酸Pd(13gft
−3)を、水中[Al
2O
3(90.0%).LaO(4%)](1.2gin
−3)のスラリーに添加した。CeO
2(0.3gin
−3)を添加する前に、Pt及びPdを1時間にわたってアルミナ担体上に吸着させた。結果として生じたスラリーをウォッシュコートにし、天然の増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース)で粘性を高めた。
【0124】
[Al
2O
3.LaO].Pt.Pd−組成物Cの調製
マロン酸Pt(65gft
−3)及び硝酸Pd(13gft
−3)を、水中[Al
2O
3(90.0%).LaO(4%)](1.2gin
−3)のスラリーに添加した。Pt及びPdを1時間にわたってアルミナ担体に吸着させた。結果として生じたスラリーをウォッシュコートにし、天然の増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース)で粘性を高めた。
【0125】
[CeO
2].Rh.Pt.Al
2O
3−組成物Dの調製
硝酸Rh(5gft
−3)を水中CeO
2(0.4gin
−3)のスラリーに添加した。pH6.8になるまで水性NH
3を添加し、Rhの吸着を促進させた。これに続き、マロン酸Pt(5gft
−3)をスラリーに添加し、アルミナ(べーマイト、0.2gin
−3)及び結合剤(アルミナ、0.1gin
−3)を添加する前に、1時間にわたって担体に吸着させた。結果として生じたスラリーをウォッシュコートにした。
【0126】
[CeO
2].Rh.Pt.Al
2O
3の調製−組成物E
硝酸Rh(5gft
−3)を水中CeO
2(0.4gin
−3)のスラリーに添加した。pH6.8になるまで水性NH
3を添加し、Rhの吸着を促進させた。その後、アルミナ(べーマイト、0.2gin
−3)及び結合剤(アルミナ、0.1gin
−3)を添加した。結果として生じたスラリーをウォッシュコートにした。
【0127】
触媒1
ウォッシュコートA、C及びDのそれぞれを、標準的なコーティング法を使用してセラミック又は金属モノリス上に逐次的にコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0128】
触媒2
ウォッシュコートA、B及びDのそれぞれを、標準的なコーティング法を使用してセラミック又は金属モノリス上に逐次的にコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0129】
触媒3
組成物Dを含むウォッシュコートを、標準的なコーティング法を使用してセラミック又は金属モノリス上にコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0130】
触媒4
組成物Eを含むウォッシュコートを、標準的なコーティング法を使用してセラミック又は金属モノリス上にコーティングし、100℃で乾燥させ、500℃で45分間焼成した。
【0131】
実験結果
触媒1及び2は、10%のH
2O、20%のO
2、及び残部のN
2からなるガス流中、800℃で16時間にわたって熱水的にエイジングした。1.6リットルのベンチ搭載ディーゼルエンジンを使用して、定常状態排出サイクル(目的のNO
x曝露1gでの300sリーン及び10sリッチの3サイクル)にわたってそれらを性能試験した。排出は、プレ及びポスト触媒で測定した。
【0132】
実施例1
貯蔵されたNO
xに応じてNO
x貯蔵効率を測定することにより、触媒のNO
x貯蔵性能を評価した。前提条件を無効にした後の150℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表1に示す。
【0133】
表1の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒1及び2のそれぞれは、貯蔵されたNOx値(g)の範囲にわたって、高いNOx貯蔵効率を有することがわかる。
【0134】
実施例2
貯蔵されたNO
xに応じてNO
x貯蔵効率を測定することにより、触媒のNO
x貯蔵性能を評価した。上記の実施例1よりもさらに前提条件を無効にした後の150℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表2に示す。
【0135】
上記の実施例1と同様に、表2の結果から、両方の触媒は、より活性化する前提条件後にNO
x貯蔵効率を保持することがわかる。
【0136】
実施例3
貯蔵されたNO
xに応じてNO
x貯蔵効率を測定することにより、触媒のNO
x貯蔵性能を評価した。前提条件を無効にした後の200℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表1に示す。
【0137】
表1の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒1及び2のそれぞれは、実施例3で使用したものよりも、より活性化する前提条件後200℃でNOx貯蔵効率を保持することがわかる。
【0138】
実施例4
貯蔵されたNO
xに応じてNO
x貯蔵効率を測定することにより、触媒のNO
x貯蔵性能を評価した。前提条件を無効にした後の200℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表1に示す。
【0139】
表4の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒1及び2のそれぞれは、貯蔵されたNOx値(g)の範囲にわたって、200℃で高いNOx貯蔵効率を有することがわかる。
【0140】
実施例5
COの変換を経時的に測定することにより、触媒のCO酸化性能を評価した。定常状態試験条件を無効にした後の175℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表5に示す。
【0141】
表5の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒1及び2のそれぞれは、175℃で高いCO変換効率を有することがわかる。
【0142】
実施例6
COの変換を経時的に測定することにより、触媒のCO酸化性能を評価した。定常状態試験条件を無効にした後の200℃での代表的な1サイクルの結果を以下の表6に示す。
【0143】
表6の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒1及び2のそれぞれは、200℃で高いCO変換効率を有することがわかる。
【0144】
実施例7
触媒3及び触媒4のそれぞれのCO、HC及びNO
xライトオフ温度を、温度に対する変換効率を測定することによって評価した。前提条件を無効にした後の代表的な7サイクルの結果を以下の表1に示す。
【0145】
表7の結果から、RhとPtの混合物から本質的になる第1の層、セリウム含有担体材料、及びアルミナを含む触媒3は、唯一のPGMとしてRhを含む触媒4よりも、低いライトオフ温度(T
50として測定される)を有することがわかる。よって、表7から、Rh及びPt PGM混合物を含有する触媒は、これらの条件で優れたCO、HC及びNOx変換特性を有することがわかる。
【国際調査報告】