(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515437(P2020-515437A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】透明木材及びその調製のための方法
(51)【国際特許分類】
B27K 3/38 20060101AFI20200501BHJP
B27K 5/04 20060101ALI20200501BHJP
C08F 120/18 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
B27K3/38
B27K5/04
C08F120/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2019-553428(P2019-553428)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月6日
(86)【国際出願番号】SE2018050344
(87)【国際公開番号】WO2018182497
(87)【国際公開日】20181004
(31)【優先権主張番号】1750376-4
(32)【優先日】2017年3月29日
(33)【優先権主張国】SE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】513148369
【氏名又は名称】セルテック アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユアンユアン・リ
(72)【発明者】
【氏名】ラミロ・ロハス
(72)【発明者】
【氏名】ラーシュ・バーリルンド
【テーマコード(参考)】
2B230
4J100
【Fターム(参考)】
2B230AA30
2B230BA03
2B230BA05
2B230CB02
2B230EA17
2B230EB02
2B230EB05
4J100AL03P
4J100CA01
4J100DA62
4J100DA63
4J100FA03
4J100FA18
4J100FA28
4J100GC26
4J100JA67
(57)【要約】
少なくとも1種のポリマーと、Klasonリグニンとして測定して15%超のリグニンを含む木材基板とを含み、少なくとも60%の光透過率を有する透明木材、及びその調製のための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材基板と少なくとも1種のポリマーとを含む透明木材であって、前記透明木材は、400〜1000nmの波長の電磁スペクトル内の波長で少なくとも60%の光透過率を有し、前記木材基板は、Klasonリグニンとして測定して15%超のリグニンを含む、透明木材。
【請求項2】
400〜1000nmの波長の電磁スペクトル内の波長で少なくとも60%のヘーズを更に有する、請求項1に記載の透明木材。
【請求項3】
前記光透過率が、少なくとも70%である、請求項1又は2に記載の透明木材。
【請求項4】
少なくとも0.3mmの厚さを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の透明木材。
【請求項5】
前記ポリマーが、1.3〜1.7の屈折率を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の透明木材。
【請求項6】
透明木材を調製するための方法であって、
a)少なくとも1片の木材基板を準備する工程;
b)前記木材基板に発色団を不活性化するための漂白液を添加し、それにより少なくとも15%のリグニンを含む漂白木材基板を得る工程;
c)(b)において得られる前記漂白木材基板に、プレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せを含む溶液を含浸させる工程、
d)含浸した前記プレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せを重合させて、木材基板と少なくとも1種のポリマーとを含む透明木材を得る工程
を含む、方法。
【請求項7】
工程(b)における使用のための過酸化物系が、過酸化水素を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、工程(b)において前記漂白液を添加する前に、例えばDTPAを添加することによって、工程(a)における前記1片の木材から金属イオンを除去する工程を更に含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)における前記木材の漂白が、前記木材基板が少なくとも70%の白色度を有するまで行われる、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)における前記漂白液が、安定剤及びキレート剤を更に含む、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、工程(b)において前記漂白木材を得た後、溶媒交換の工程を更に含む、請求項6から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
工程(d)において得られる前記ポリマーが、1.3〜1.7の屈折率を有する、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記木材基板が、Klasonリグニンとして測定して15%超のリグニンを含む、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法により得られる透明木材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のポリマーと、Klasonリグニンとして測定して15%超のリグニンを含む木材基板とを含み、少なくとも60%の光透過率を有する透明木材、及びそのような透明木材を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
木材は、再生可能資源からの断然最も重要な構造材料であり、大部分は建築において耐荷重用途に使用されている(J. Dinwoodie、ISBN 0-419-23580-92000)。その高い強度対質量比、独特の多孔質構造、広い存在度、再生可能性、環境的に優しい性質、及び比較的容易な加工性等の特性が、材料としての木材のいくつかの利点である(Liら、Journal of Applied Polymer Science、119 (2011) 3207〜3216頁)。木材細胞壁における配向セルロースミクロフィブリルは、機械的及び構造的機能の重要な因子であり、一方で、化学組成及び階層構造は、官能化及び改質の幅広い可能性を提供する(R.E. Mark、Cell wall mechanics of tracheids、JSTOR1967;Burgertら、International Materials Reviews、60 (2015) 431〜450頁)。木材の改質は、木材の多くのプラスの特質を保存しながら、亀裂及び水分により引き起こされる真菌の攻撃等のマイナスの効果のいくつかを排除し、より強く、より丈夫で長持ちする材料を形成すると同時に、特定のニーズに対してカスタマイズするための手段となる(C.A.S. Hill ISBN: 0-470-02172-1)。International Materials Reviews、60 (2015) 431〜450頁におけるBurgertらによる最近のレビューでは、機能性材料の基板としての木材の可能性が議論されている。細胞及び細胞壁のレベルで木材を特異的に機能化することができることによって、新たな特性を導入し、固有の階層構造に沿ってそれらを必然的に大規模工学材料用途のレベルまで拡張することができる(Keplingerら、Acta biomaterialia、11 (2015) 256〜263頁)。
【0003】
太陽光発電又は他の光透過用途、例えば窓、散光器及び表示スクリーンにおける木材の応用に対する1つの制限は、木材が不透明であるという点である。木材が自然には透明でない理由の1つは、細胞壁組織と、数十マイクロメートルほどの直径を有する繊維質の仮導管及び導管細胞の中心部の多孔質ルーメン空間との界面における光散乱に起因する。更に、リグニン、タンニン及び他の樹脂化合物が、発色団を通して光を吸収する(Perezら、International Microbiology、5 (2002) 53〜63頁;及びFink、Holzforschung-lnternational Journal of the Biology, Chemistry, Physics and Technology of Wood、46 (1992) 403〜408頁)。Mullerら、Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology、69 (2003) 97〜105頁は、リグニンが木材における光吸収の80〜95%を占めることを示した。
【0004】
透明木材は、機械的性能、高い強度対質量比及び強靭性を良好な光透過率と組み合わせることができる、新たな一連の可能な用途を切り開く可能性がある。透明木材は木材形態研究のために調製されており、透明木材は、機能的(光学的透明性)特性を構造特性(機械的特性)と組み合わせ、光を透過する建造物用途における可能性を有することが示されている。透明木材の調製のための以前の手法は、基板の脱リグニン(delignification)と、それに続く、木材基板と一致する屈折率を有するポリマーでの含浸とに基づくものであった。Fink (Holzforschung-lnternational Journal of the Biology, Chemistry, Physics and Technology of Wood、46 (1992))は、木材を5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液で1〜2日間処理し、リグニンを含む着色物質を除去した。Liら(Biomacromolecules、17 (2016) 1358〜1364頁)は、亜塩素酸ナトリウムによる脱リグニンを報告した。リグニン含量は、約25%から3%未満まで著しく減少した。Mingwei Zhuら(Advanced Materials、26 (2016) 5181〜5187頁)は、NaOH及びNa
2SO
3溶液中での加熱処理に続く過酸化水素(H
2O
2)処理によって、リグニンを除去した。しかしながら、脱リグニンプロセスは時間を要し、必ずしも環境に優しいわけではない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】J. Dinwoodie、ISBN 0-419-23580-92000
【非特許文献2】Liら、Journal of Applied Polymer Science、119 (2011) 3207〜3216頁
【非特許文献3】R.E. Mark、Cell wall mechanics of tracheids、JSTOR1967
【非特許文献4】Burgertら、International Materials Reviews、60 (2015) 431〜450頁
【非特許文献5】C.A.S. Hill ISBN: 0-470-02172-1
【非特許文献6】Keplingerら、Acta biomaterialia、11 (2015) 256〜263頁
【非特許文献7】Perezら、International Microbiology、5 (2002) 53〜63頁
【非特許文献8】Fink、Holzforschung-lnternational Journal of the Biology, Chemistry, Physics and Technology of Wood、46 (1992) 403〜408頁
【非特許文献9】Mullerら、Journal of Photochemistry and Photobiology B: Biology、69 (2003) 97〜105頁
【非特許文献10】Liら、Biomacromolecules、17 (2016) 1358〜1364頁
【非特許文献11】Mingwei Zhuら、Advanced Materials、26 (2016) 5181〜5187頁
【非特許文献12】H.Carter, A.、Journal of chemical education、1996、73、1068、The Chemistry of Paper Preservation: Part 2、The Yellowing of Paper and Conservation Bleaching
【非特許文献13】Braunsら、The Chemistry of Lignin: Covering the Literature for the Years 1949-1958、Academic Press、1960、197〜198頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、脱リグニンを必要とすることなく環境に優しく工業的に拡張可能な方法で調製される、高い透過率及び任意選択で高いヘーズを有する透明木材を提供することである。また、1片の木材が脱リグニンなしで漂白され、続いて漂白木材基板にポリマーが含浸されて透明木材が得られる、透明木材を調製するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、木材基板と少なくとも1種のポリマーとを含む透明木材であって、透明木材は、400〜1000nmの波長の電磁スペクトル内の波長で少なくとも60%の光透過率を有し、木材基板は、Klasonリグニンとして測定して15%超のリグニンを含む、透明木材に関する。本発明は、更に、そのような透明木材の調製のための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1a)は、脱リグニンと比較した、H
2O
2による処理の時間に対する漂白木材の白色度(brightness)に関するグラフであり、
図1b)〜
図1d)は、元の木材(b)、H
2O
2処理木材(c)、及び脱リグニン木材(d)の細胞壁構造のSEM画像である。
【
図2】木材の色に対する最も重要な寄与因子である代表的リグニン構造、及び2つのプロセス(NaClO
2及びH
2O
2プロセス)の主要な生成物を示す図である(H.Carter, A.、Journal of chemical education、1996、73、1068、The Chemistry of Paper Preservation: Part 2、The Yellowing of Paper and Conservation Bleaching)。
【
図3】
図3a)は、TW-H
2O
2透明木材基板の光透過率を示し、挿入図は透明木材の写真であり、
図3b)は、TW-H
2O
2の光学ヘーズを示し、挿入図はTW-H
2O
2の写真であり、試料とその下の紙との間には5mmのギャップがある。
【
図4】透明木材及びガラスの曲げ応力(stress)-歪み(strain)曲線を示す図である。
【
図5】木材ルーメン空間内のPMMAの分布を示す、TW-H
2O
2のSEM画像である。
【
図6】木材の接線方向、半径方向及び長手方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本出願において使用される全ての単語及び略語は、別段の指定がない限り、関連技術においてそれらに通常与えられる意味を有するものとして解釈されるものとする。しかしながら、明確性のために、いくつかの用語が以下で具体的に定義される。本発明の態様又は実施形態の1つに関連して説明される実施形態、特徴又は利点は、本発明の他の態様及び実施形態の全てに対して適宜変更して適用され得ることが留意されるべきである。
【0010】
第1の態様において、本発明は、木材基板と少なくとも1種のポリマーとを含む透明木材であって、透明木材は、400〜1000nmの波長の電磁スペクトル内の波長で少なくとも60%の光透過率を有し、木材基板は、Klasonリグニンとして測定して少なくとも15%のリグニンを含む、透明木材に関する。
【0011】
透明木材の厚さは、透明木材の調製に使用される木材基板の半径方向、接線方向又は長手方向で測定され得る(
図6を参照されたい)。長手方向は、木材繊維の方向と実質的に平行に測定され、一方接線方向及び半径方向は、繊維に対して実質的に垂直に測定される。本明細書において開示される透明木材の厚さという用語は、1片の透明木材の2つの表面間の距離を指し、その距離を通って光が透過する。一般に、入射光は、それが透過する1片の透明木材の表面に対して垂直である。しかしながら、表面に対して垂直以外の角度で表面に入射する光もまた透過し得る。
【0012】
本発明による透明木材は、少なくとも0.3mm、又は少なくとも0.5mm、又は少なくとも1mmの厚さを有してもよい。原則的に、透明木材の厚さの上限は、透明木材の調製に使用される木材基板の利用可能な厚さとなる。好適には、透明木材の厚さは、10mm以下、8mm以下、5mm以下、3mm以下であってもよい。光は、木材繊維と主に平行に透過する場合、木材中をより容易に伝播する。本発明は、木材繊維を横断する良好な透過率を有する透明木材を提供する。
【0013】
本明細書全体を通して、透明性という用語は、材料を通して光を透過させる物理的特性を指す。本明細書において、透明性を特徴付けるために、全透過率が使用される。透過率は、本明細書において使用される場合、積分球を含む構成で測定される。スペクトルがUVから近IR波長(170nm〜2100nm)に至る極めて高輝度の光源が使用される(Energetiq Technology Inc社製EQ-99)。光源からの入射ビームは、入力ポートを通して積分球内に誘導される。光は、光ファイバを通して球の別のポートから外に誘導され、白色(W)スペクトルの入射ビームとして分光器により記録される。次いで、光源を切ることにより暗(D)スペクトルが記録される。次いで、試料は球の入力ポートの真正面に置かれ、信号(S)スペクトルが測定される。正透過率及び拡散透過率の両方を含む、特定波長での試料を通る透過率が、その特定の波長における(S-D)/(W-D)として計算される。
【0014】
本発明による透明木材は、木材の少なくとも1つの方向に、400〜1000nmの範囲内の波長で、少なくとも60%、又は少なくとも70%の光透過率を有してもよい。本発明の透明木材は、木材の少なくとも1つの方向に、400〜409nm、410〜419nm、420〜429nm、430〜439nm、440〜449nm、450〜459nm、460〜469nm、470〜479nm、480〜489nm、490〜499nm、500〜509nm、510〜519nm、520〜529nm、530〜539nm、540〜549nm、550〜559nm、560〜569nm、570〜579nm、580〜589nm、590〜599nm、600〜609nm、610〜619nm、620〜629nm、630〜639nm、640〜649nm、650〜659nm、660〜669nm、670〜679nm、680〜689nm、690〜699nm、700〜709nm、710〜719nm、720〜729nm、730〜739nm、740〜749nm、750〜759nm、760〜769nm、770〜779nm、780〜789nm、790〜799nm、800〜809nm、810〜819nm、820〜829nm、830〜839nm、840〜849nm、850〜859nm、860〜869nm、870〜879nm、880〜889nm、890〜899nm、900〜909nm、910〜919nm、920〜929nm、930〜939nm、940〜949nm、950〜959nm、960〜969nm、970〜979nm、980〜989nm、990〜1000nmからなる間隔の群から選択される波長間隔の1つ若しくは複数において、少なくとも60%、又は少なくとも70%の光透過率を有してもよい。本発明の透明木材は、木材の少なくとも1つの方向に、500〜600nmの全範囲にわたり、又は500〜700nmの全範囲にわたり、又は400〜700nmの全範囲にわたり、又は400〜1000nmの全範囲にわたり、少なくとも60%、又は少なくとも70%の光透過率を有してもよい。更に、本発明の透明木材は、木材の少なくとも1つの方向に、少なくとも550〜700nmの範囲内の単一の波長で;又は550〜559nm、560〜569nm、570〜579nm、580〜589nm、590〜599nm、600〜609nm、610〜619nm、620〜629nm、630〜639nm、640〜649nm、650〜659nm、660〜669nm、670〜679nm、680〜689nm、690〜699nm、700〜709nm、710〜719nm、720〜729nm、730〜739nm、740〜749nm、750〜759nm、760〜769nm、770〜779nm、780〜789nm、790〜799nm、800〜809nm、810〜819nm、820〜829nm、830〜839nm、840〜849nm、850〜859nm、860〜869nm、870〜879nm、880〜889nm、890〜899nm、900〜909nm、910〜919nm、920〜929nm、930〜939nm、940〜949nm、950〜959nm、960〜969nm、970〜979nm、980〜989nm、990〜1000nmからなる間隔の群から選択される波長間隔の1つ若しくは複数で;又は550〜700nmの全範囲にわたり、少なくとも80%の光透過率を有してもよい。上述の透過率は、少なくとも0.3mm、少なくとも0.5mm、少なくとも1.0mm、少なくとも1.5mm、少なくとも2mm、少なくとも2.5mm、又は少なくとも3.0mmの厚さを有する木材片に対して得ることができる。一般に、本発明による透明木材は、半径方向、又は接線方向(
図6を参照されたい)で測定された厚さを有してもよい。
【0015】
透明木材は、更に、木材の少なくとも1つの方向に、400〜1000nmの範囲内の波長で;又は400〜409nm、410〜419nm、420〜429nm、430〜439nm、440〜449nm、450〜459nm、460〜469nm、470〜479nm、480〜489nm、490〜499nm、500〜509nm、510〜519nm、520〜529nm、530〜539nm、540〜549nm、550〜559nm、560〜569nm、570〜579nm、580〜589nm、590〜599nm、600〜609nm、610〜619nm、620〜629nm、630〜639nm、640〜649nm、650〜659nm、660〜669nm、670〜679nm、680〜689nm、及び690〜699nm、700〜709nm、710〜719nm、720〜729nm、730〜739nm、740〜749nm、750〜759nm、760〜769nm、770〜779nm、780〜789nm、790〜799nm、800〜809nm、810〜819nm、820〜829nm、830〜839nm、840〜849nm、850〜859nm、860〜869nm、870〜879nm、880〜889nm、890〜899nm、900〜909nm、910〜919nm、920〜929nm、930〜939nm、940〜949nm、950〜959nm、960〜969nm、970〜979nm、980〜989nm、990〜1000nmからなる間隔の群から選択される波長間隔の1つ若しくは複数において;又は500〜600nmの全範囲にわたり、若しくは400〜700nmの全範囲にわたり、若しくは400〜1000nmの全範囲にわたり、少なくとも60%、又は少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%の光学ヘーズを有してもよい。ヘーズは、「Standard Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」(ASTM D1003)に従って測定される。高いヘーズは、建造物に使用される材料において有利であり、そのような材料は、光の進入を提供すると同時にプライバシーを可能にする。また、ヘーズは、入射光を広い領域に広げ、これは均一な配光を提供する。
【0016】
木材中のリグニン含量は、Klasonリグニンとして測定され、TAPPI法TAPPI T 222 om-02に従って決定される。本発明の透明木材の場合のように、高含量のKlasonリグニンは、細胞壁に剛性を付与し、木材細胞間の結合剤として機能して、圧縮、衝撃及び曲げに対する著しい抵抗性を有する複合材料を形成し、それを耐荷重用途に有用とする。本発明による透明木材は、Klasonリグニンとして測定して、15%超、又は20%超のリグニンを含む木材基板を含む。
【0017】
本発明による透明木材は、少なくとも1種のポリマーを含む。透明木材中のポリマーの体積分率は、70〜95%であってもよい。透明バルサ材のポリマー体積分率は、典型的には91〜95%であり、透明カバ材のポリマー体積分率は、約70〜75%である。体積分率という用語は、繊維複合材料において一般的であるように、すなわち最終材料の全体積のうちの構成成分の体積のパーセントとして使用される。好適なポリマーは、1.3〜1.7、又は1.4〜1.6、又は1.45〜1.55の屈折率を有してもよい。好適なポリマーは、芳香族性を有してもよい。本発明による透明木材に好適なポリマーは、1.3〜1.7;1.4〜1.6;若しくは1.45〜1.55の屈折率を有する、熱可塑性ポリマー及び熱硬化性ポリマー、例えばポリ(ヘキサフルオロプロピレンオキシド)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ(テトラフルオロエチレン-co-ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(ペンタデカフルオロオクチルアクリレート)、ポリ(テトラフルオロ-3-(ヘプタフルオロプロポキシ)プロピルアクリレート)、ポリ(テトラフルオロ-3-(ペンタフルオロエトキシ)プロピルアクリレート)、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(ウンデカフルオロヘキシルアクリレート)、ポリ(ノナフルオロペンチルアクリレート)、ポリ(テトラフルオロ-3-(トリフルオロメトキシ)プロピルアクリレート)、ポリ(ペンタフルオロビニルプロピオネート)、ポリ(ヘプタフルオロブチルアクリレート)、ポリ(トリフルオロビニルアセテート)、ポリ(オクタフルオロペンチルアクリレート)、ポリ(メチル3,3,3-トリフルオロプロピルシロキサン)、ポリ(ペンタフルオロプロピルアクリレート)、ポリ(2-ヘプタフルオロブトキシ)エチルアクリレート)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)、ポリ(2,2,3,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート)、ポリ(メチルヒドロシロキサン)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)、ポリ(トリフルオロエチルアクリレート)、ポリ(2-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)エチルアクリレート、ポリ(トリフルオロイソプロピルメタクリレート)、ポリ(2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチルメタクリレート)、ポリ(2-トリフルオロエトキシエチルアクリレート)、ポリ(ビニリデンフルオリド)、ポリ(トリフルオロエチルメタクリレート)、ポリ(メチルオクタデシルシロキサン)、ポリ(メチルヘキシルシロキサン)、ポリ(メチルオクチルシロキサン)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリビニルイソブチルエーテル)、ポリ(メチルヘキサデシルシロキサン)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ビニルエチルエーテル)、ポリ(メチルテトラデシルシロキサン)、ポリ(エチレングリコールモノ-メチルエーテル)、ポリ(ビニルn-ブチルエーテル)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(3-ブトキシプロピレンオキシド)、ポリ(3-ヘキソキシプロピレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルn-ペンチルエーテル)、ポリ(ビニルn-ヘキシルエーテル)、ポリ(4-フルオロ-2-トリフルオロメチルスチレン)、ポリ(ビニルオクチルエーテル)、ポリ(ビニルn-オクチルアクリレート)、ポリ(ビニル2-エチルヘキシルエーテル)、ポリ(ビニルn-デシルエーテル)、ポリ(2-メトキシエチルアクリレート)、ポリ(アクリロキシプロピルメチルシロキサン)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリ(3-メトキシプロピレンオキシド)、ポリ(t-ブチルメタクリレート)、ポリ(ビニルn-ドデシルエーテル)、ポリ(3-エトキシプロピルアクリレート)、ポリ(ビニルプロピオネート)、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(ビニルメチルエーテル)(イソタクト酸)、ポリ(3-メトキシプロピルアクリレート)、ポリ(1-オクタデセン)、ポリ(2-エトキシエチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(1-デセン)(アタクト酸)、ポリ(プロピレン)、ポリ(ラウリルメタクリレート)、ポリ(ビニルsec-ブチルエーテル)(イソタクト酸)、ポリ(n-ブチルアクリレート)、ポリ(ドデシルメタクリレート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(テトラデシルメタクリレート)、ポリ(ヘキサデシルメタクリレート)、ポリ(ビニルホルメート)、エチレン/ビニルアセテートコポリマー-40%ビニルアセテート、ポリ(2-フルオロエチルメタクリレート)、ポリ(オクチルメチルシラン)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(ジシアノプロピルシロキサン)、ポリ(オキシメチレン)、ポリ(sec-ブチルメタクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン-co-アルファ-メチルスチレン)、ポリ(n-ヘキシルメタクリレート)、エチレン/ビニルアセテートコポリマー-33%ビニルアセテート、ポリ(n-ブチルメタクリレート)、ポリ(エチリデンジメタクリレート)、ポリ(2-エトキシエチルメタクリレート)、ポリ(n-プロピルメタクリレート)、ポリ(エチレンマレエート)、エチレン/ビニルアセテートコポリマー-28%ビニルアセテート、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルブチラール)-11%ヒドロキシル、ポリ(3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(2-ニトロ-2-メチルプロピルメタクリレート)、ポリ(ジメチルシロキサン-co-ジフェニルシロキサン)、ポリ(1,1-ジエチルプロピルメタクリレート)、ポリ(トリエチルカルビニルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-デシル-1,4-ブタジエン)、ポリプロピレン(イソタクト酸)、ポリ(ビニルブチラール)-19%ヒドロキシル、ポリ(メルカプトプロピルメチルシロキサン)、ポリ(エチルグリコレートメタクリレート)、ポリ(3-メチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルアルファ-エトキシアクリレート)、ポリ(4-メチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(デカメチレングリコールジメタクリレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン)、ポリ(1,2-ブタジエン)、ポリ(sec-ブチルアルファ-クロロアクリレート)、ポリ(2-ヘプチル-1,4-ブタジエン)、ポリ(ビニルメチルケトン)、ポリ(エチルアルファ-クロロアクリレート)、ポリ(ビニルホルマール)、ポリ(2-イソプロピル-1,4-ブタジエン)、ポリ(2-メチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(ボルニルメタクリレート)、ポリ(2-t-ブチル-1,4-ブタジエン)、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(シクロヘキサンジオール-1,4-ジメタクリレート)、未加硫ブチルゴム、グッタペルカb ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(イソブチレン)、低密度ポリエチレン、エチレン/メタクリル酸イオノマー、ポリエチレン、ポリエチレンロノマー、ポリアセタール、ポリ(1-メチルシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(1-ブテン)(イソタクト酸)、ポリ(ビニルメタクリレート)、ポリ(ビニルクロロアセテート)、ポリ(N-ブチルメタクリルアミド)、グッタペルカa、ポリ(2-クロロエチルメタクリレート)、ポリ(メチルアルファ-クロロアクリレート)、ポリ(2-ジエチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(2-クロロシクロヘキシルメタクリレート)、ポリ(アクリロニトリル)、cis-ポリ(イソプレン)、ポリ(アリルメタクリレート)、ポリ(メタクリロニトリル)、ポリ(メチルイソプロペニルケトン)、ポリ(ブタジエン-co-アクリロニトリル)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(1,4-ブタジエン)、ポリ(N-2-メトキシエチル)メタクリルアミド、ポリ(2,3-ジメチルブタジエン)[メチルゴム]、ポリ(2-クロロ-1-(クロロメチル)エチルメタクリレート)、ポリ(1,3-ジクロロプロピルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ナイロン6[ポリ(カプロラクタム)]、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)(30%スチレン)ブロックコポリマー、ポリ(シクロヘキシルアルファ-クロロアクリレート)、ポリ(メチルフェニルシロキサン)、ポリ(2-クロロエチルアルファ-クロロアクリレート)、ポリ(ブタジエン-co-スチレン)(75/25)、ポリ(2-アミノエチルメタクリレート)、ポリ(フルフリルメタクリレート)、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(ブチルメルカプチルメタクリレート)、ポリ(1-フェニル-n-アミルメタクリレート)、ポリ(N-メチルメタクリルアミド)、高密度ポリエチレン、ポリ(シクロヘキシルアルファ-ブロモアクリレート)、ポリ(sec-ブチルアルファ-ブロモアクリレート)、ポリ(2-ブロモエチルメタクリレート)、ポリ(ジヒドロアビエチン酸)、ポリ(アビエチン酸)、ポリ(エチルメルカプチルメタクリレート)、ポリ(N-アリルメタクリルアミド)、ポリ(1-フェニルエチルメタクリレート)、ポリ(2-ビニルテトラヒドロフラン)、ポリ(ビニルフラン)、ポリ(メチルm-クロロフェニルエチルシロキサン)、ポリ(p-メトキシベンジルメタクリレート)、ポリ(イソプロピルメタクリレート)、ポリ(p-イソプロピルスチレン)、塩素化ポリ(イソプレン)、ポリ(p,p'-キシリレニルジメタクリレート)、ポリ(シクロヘキシルメチルシラン)、ポリ(1-フェニルアリルメタクリレート)、ポリ(p-シクロヘキシルフェニルメタクリレート)、ポリ(クロロプレン)、ポリ(2-フェニルエチルメタクリレート)、ポリ(メチルm-クロロフェニルシロキサン)、ポリ[4,4-ヘプタンビス(4-フェニル)カルボネート)]、ポリ[1-(o-クロロフェニル)エチルメタクリレート)]、スチレン/マレイン酸無水物コポリマー、ポリ(1-フェニルシクロヘキシルメタクリレート)、ナイロン6,10[ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド)]、ナイロン6,6[ポリ(ヘキサメチレンアジプアミド)]、ナイロン6(3)T[ポリ(トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)]、ポリ(2,2,2'-トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリ(メチルアルファ-ブロモアクリレート)、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ[2-(フェニルスルホニル)エチルメタクリレート]、ポリ(m-クレシルメタクリレート)、スチレン/アクリロニトリルコポリマー、ポリ(o-メトキシフェノールメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(o-クレシルメタクリレート)、ポリ(ジアリルフタレート)、ポリ(2,3-ジブロモプロピルメタクリレート)、ポリ(2,6-ジメチル-p-フェニレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルベノゾエート)、ポリ[2,2-プロパンビス[4-(2-メチルフェニル)]カルボネート]、ポリ[1,1-ブタンビス(4-フェニル)カルボネート]、ポリ(1,2-ジフェニルエチルメタクリレート)、ポリ(o-クロロベンジルメタクリレート)、ポリ(m-ニトロベンジルメタクリレート)、ポリ(オキシカルボニルオキシ-1,4-フェニレンイソプロピリデン-1,4-フェニレン)、ポリ[N-(2-フェニルエチル)メタクリルアミド]、ポリ[1,1-シクロヘキサンビス[4-(2,6-ジクロロフェニル)]カルボネート]、ポリカルボネート樹脂、ビスフェノール-Aポリカルボネート、ポリ(4-メトキシ-2-メチルスチレン)、ポリ(o-メチルスチレン)、ポリスチレン、ポリ[2,2-プロパンビス[4-(2-クロロフェニル)]カルボネート]、ポリ[1,1-シクロヘキサンビス(4-フェニル)カルボネート]、ポリ(o-メトキシスチレン)、ポリ(ジフェニルメチルメタクリレート)、ポリ[1,1-エタンビス(4-フェニル)カルボネート]、ポリ(プロピレンスルフィド)、ポリ(p-ブロモフェニルメタクリレート)、ポリ(n-ベンジルメタクリルアミド)、ポリ(p-メトキシスチレン)、ポリ(4-メトキシスチレン)、ポリ[1,1-シクロペンタンビス(4-フェニル)カルボネート]、ポリ(ビニリデンクロリド)、ポリ(o-クロロジフェニルメチルメタクリレート)、ポリ[2,2-プロパンビス[4-(2,6-ジクロロフェニル)]カルボネート]、ポリ(ペンタクロロフェニルメタクリレート)、ポリ(2-クロロスチレン)、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリ(フェニルアルファ-ブロモアクリレート)、ポリ[2,2-プロパンビス[4-(2,6-ジブロモフェニル)カボネート]、ポリ(p-ジビニルベンゼン)、ポリ(n-ビニルフタルイミド)、ポリ(2,6-ジクロロスチレン)、ポリ(クロロ-p-キシレン)、ポリ(ベータ-ナフチルメタクリレート)、ポリ(アルファ-ナフチルカルビニルメタクリレート)、ポリ(フェニルメチルシラン)、ポリ(スルホン)[ポリ[4,4'-イソプロピリデンジフェノキシジ(4-フェニレン)スルホン]]、ポリスルホン樹脂、ポリ(2-ビニルチオフェン)、ポリ(2,6-ジフェニル-1,4-フェニレンオキシド)、ポリ(アルファ-ナフチルメタクリレート)、ポリ(p-フェニレンエーテル-スルホン)、ポリ[ジフェニ
ルメタンビス(4-フェニル)カルボネート]、ポリビニルフェニルスルフィド)、ポリ(スチレンスルフィド)、ブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、ポリ(p-キシリレン)、ポリ(2-ビニルナフタレン)、ポリ(n-ビニルカルバゾール)、ナフタレン-ホルムアルデヒドゴム、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、又はそれらのコポリマー若しくは混合物のいずれか1つを含む材料の群から選択され得るが、それらに限定されない。好ましいポリマーは、1.4〜1.6;又は1.45〜1.55の屈折率を有する、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、エポキシ、ポリ(グリシジルメタクリレート)(PGMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリスチレン(PS)、又はそれらのコポリマー若しくは混合物から選択される。好ましくは、ポリマーは、1.4〜1.6;又は1.45〜1.55の屈折率を有する、PMMA又はそのコポリマー若しくは混合物である。ポリマーは、最終的な透明木材の機械的強度に影響し、透明木材に強度を提供し得る。
【0018】
第2の態様において、本発明は、本発明による透明木材を調製するための方法であって、
a)少なくとも1片の木材基板を準備する工程と;
b)木材基板に発色団を不活性化するための漂白液(bleaching liquor)を添加し、それにより少なくとも15%のリグニンを含む漂白木材基板を得る工程と;
c)(b)において得られる漂白木材基板に、プレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せを含む溶液を含浸させる工程と、
d)含浸したプレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せを重合させて、木材基板と少なくとも1種のポリマーとを含む透明木材を得る工程と
を含む方法に関する。
【0019】
本発明の方法における使用のための好適な漂白液は、例えば少なくとも70%の白色度を有し、少なくとも15%のリグニンを含む漂白木材基板を提供し得るリグニン保持漂白液(lignin-retaining bleaching liquor)である。リグニン保持漂白液は、一般的に公知である。本発明による方法における使用のための漂白液の例は、過酸化物、過炭酸塩及び過ホウ酸塩を含む過酸化物系又はその塩から選択される薬剤を含む。工程(b)における使用に好適な過酸化物系は、過酸化水素、過炭酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酢酸、及び過酸化ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1つの系を含む。工程(b)における使用に好ましい過酸化物系は、少なくとも過酸化水素又はその塩を含む。より好ましくは、工程(b)において使用される漂白剤は、過酸化水素、例えば漂白液の全質量に基づいて計算して3〜40wt%の過酸化水素を含む。
【0020】
工程(a)において準備される木材基板は、バルサ、カバ、トネリコ及びオーク等の被子植物、並びに針葉樹(トウヒ及びマツを含む)、ソテツ及びイチョウ等の裸子植物から選択され得る。木材基板は、好ましくは、被子植物から、特にバルサ及びカバから選択され、より好ましくはバルサ(特にオクロマ・ピラミデール(Ochroma pyramidale))である。バルサは、軽量材料であり、約160kg/m
3の典型的な密度及び高い比強度を有するという利点を有する。工程(a)において準備される木材基板は、少なくとも0.3mm、又は少なくとも0.5mm、又は少なくとも1.0mm、又は少なくとも1.5mm、又は少なくとも3mmの厚さを有する、ベニヤ、挽かれた若しくは彫られた木片若しくは厚板、又は圧縮木材チップ、好ましくはベニヤの形態であってもよい。原則的に、木材基板の寸法に制限はないが、大きな基板の調製にはより長い時間が必要となる。好適には、木材基板の厚さは、10mm以下、又は5mm以下であってもよい。
【0021】
金属イオンは、漂白に使用される過酸化水素を分解し、木材を変色させ得る。したがって、本発明による方法は、木材基板から金属イオンを除去する工程を更に含んでもよい。金属イオンを除去する1つの手法は、工程(b)において基板を漂白液に加える前に、例えば50℃でDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)を木材基板に添加して1時間反応させることによるものである。また、漂白前に木材基板に水を含浸させてもよい。水の含浸は、木材への漂白剤の拡散を促進し、したがって漂白工程を加速させる。
【0022】
本発明の方法において、木材は、塩素不含試薬により漂白される。本明細書に記載の方法の工程(b)において使用される漂白液は、木材中の発色団、例えばリグニン中の発色団を酸化し、これにより木材が漂白される。活性漂白剤の漂白能力は、pHに依存し得る。好ましくは、木材は、アルカリ性条件下で過酸化水素により漂白される。工程(b)において使用される漂白液は、1種又は複数種の安定剤及びキレート剤を更に含んでもよい。より具体的には、漂白液は、脱イオン水(DI)、過酸化水素、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸マグネシウム及びDTPAを含んでもよい。工程(b)において使用される漂白液の特定の組成は、DI、過酸化水素(例えば4wt%)、ケイ酸ナトリウム(例えば3wt%)、水酸化ナトリウム(例えば3wt%)、硫酸マグネシウム(例えば0.1wt%)、及びDTPA(例えば0.1wt%)を含んでもよい。工程(b)における漂白液は、4〜30wt%の過酸化ナトリウム、又は4〜10wt%の過酸化ナトリウムを含んでもよい。漂白液中の個々の成分の所与の量は、前記液中の水の全質量を基準とする。更に、工程(b)において使用される漂白液は、室温を超える温度で、例えば70℃で使用されてもよい。本発明による方法において使用される漂白液は、発色団の不活性化をもたらし、これは、発色団が不活性化されているとしてもリグニンが保持され、主な木材構造が保存されている漂白木材を実現し、木材の強度をほぼ維持することができる。
【0023】
木材の漂白は、木材の色をその特徴的な褐色から明るい白色に変化させ得る。高い白色度は、高い透過率を有する無色の木材を提供する。本発明による方法において、工程(b)における木材の漂白は、木材が少なくとも70%の白色度、又は少なくとも80%の白色度を有するまで行われてもよい。完全に漂白された木材の場合、異なる漂白プロセスを組み合わせると、90%の白色度を得ることが可能となり得る。70%未満の白色度を有する木材から調製された透明木材は、黄色がかって見える場合がある。木材がほぼ白色まで漂白されると、木材にはあまり光吸収が見られない。透明で無色の木材は、漂白木材の成分のRIに一致するポリマーによる含浸後に得ることができる。白色度は、ISO白色度2470-1:2009に従い測定される。漂白時間は、漂白液並びに木材の形態及び種類に依存する。例えば、薄いバルサ片に対する漂白時間と比較して、より厚い片又はマツ等の他の木の種類に対しては漂白時間が長くなり得る。
【0024】
本発明による方法は、工程(b)において漂白木材が得られた後、溶媒交換の工程を更に含んでもよい。
【0025】
本出願全体を通して、「モノマー」という用語は、重合し得る化学化合物に対して使用される。「プレポリマー」という用語は、本明細書において、後の段階で完全に重合され得る部分重合化学中間体に対して使用される。工程(c)において漂白木材を含浸するプレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せは、木材基板の細孔を充填する。含浸は、圧力又は真空で補助されてもよく、好ましくは真空で補助されてもよい。工程(c)における使用に好適なプレポリマー若しくはモノマー又はそれらの組合せは、重合して漂白木材の主成分の屈折率(RI)に近い屈折率を有するポリマーを形成し得るもの、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、スチレン、イソプレン、メチルアクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ジメトキシジメチルシラン、アクリル酸、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ドデシルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、プロピレン、エチレン、イソブチレン、アリルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、エチレングリコール、ビニルn-デシルエーテル、2-メトキシエチルアクリレート、ビニルプロピオネート、ビニルメチルエーテル、エチルアクリレート及びそれらのプレポリマーである。好ましいモノマーはメチルメタクリレートであり、そのプレポリマーもまた好ましい。漂白木材の主成分の屈折率(RI)に近い屈折率を有するポリマーは、本発明による透明木材に好適であるとして本明細書において言及されたもののいずれか1つから選択され得る。別の好ましいモノマーは、スチレンである。スチレンは、木材に容易に含浸するという利点を有する。
【0026】
工程(d)における重合は、含浸された漂白木材を高温に、例えば室温より高い温度に供することにより、又は化学化合物の添加により、又はUVにより行うことができる。好ましくは、工程(d)における重合は、ポリマーが硬化するのに好適な期間、含浸された漂白木材を高温に、例えば少なくとも50℃に、又は少なくとも70℃に供することにより行われる。硬化に好適な方法は、含浸された木材基板のサイズに基づいて選択され得る。重合の前に、含浸された漂白木材を、2つの非粘着性プレートの間に、例えばTeflon、ガラス又はポリプロピレンのスライドの間に挟んでもよく、任意選択で、挟んだ物をアルミニウム箔内に包装して、処理の間、含浸プレポリマー又はモノマーを木材基板内に維持してもよい。重合によって、ポリマーは木材基板内に留まることができ、これには、透明木材を崩壊させることなく取り扱うことができるという効果がある。ポリマーは、透明木材の透明性を更に提供する。
【0027】
工程(d)において重合により得られる好適なポリマーは、材料全体を通る同じ又は同様の種類の光の伝播を得るために、漂白木材の主成分の屈折率(RI)に近い屈折率を有する。漂白木材の典型的な成分の屈折率は、リグニンの場合約1.61、ヘミセルロースの場合約1.53、セルロースの場合約1.54である。漂白リグニンのRIは、式(I)に従い、リグニンとほぼ同じとなるべきである(Braunsら、The Chemistry of Lignin: Covering the Literature for the Years 1949-1958、Academic Press、1960、197〜198頁)。
【0029】
式中、Kは定数(5.07)であり、mは分子量であり、dは密度であり、Aは分子内の原子又は原子団の全体積であり、nは屈折率である。
【0030】
工程(d)において重合から得られるポリマーの屈折率は、1.4〜1.6、又は1.45〜1.55であってもよい。木材基板と一致する屈折率を有するポリマーを使用することの利点は、ヘーズが低減され得ることである。工程(d)において得られるポリマーは、本発明による透明基板に好適であるとして本明細書において言及されたもののいずれか1つから選択され得る。
【0031】
透明木材の光透過率は、様々な手段により、例えば漂白木材の成分及び含浸ポリマーのRIを可能な限り一致させることにより更に改善され得る。含浸が徹底的であるほど、空洞容積の存在は低減され、透過率は良好である;硬化及び/若しくは乾燥中の収縮が最小限であるポリマー及び/若しくは硬化系が使用され、これは木材基板内の空洞容積の存在を防止する;又はこれらの手段の2つ以上が組み合わされて使用される。
【0032】
本明細書に記載の透明木材基板を調製するための詳細な方法は、少なくとも1つの木材基板を準備する工程と;任意選択でDTPA等の金属イオン封鎖剤を添加して、木材基板から金属イオンを除去する工程と;漂白液、例えば水、過酸化水素、ケイ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸マグネシウム及びDTPAを含む溶液を、70℃等の高温で添加して、木材基板がほぼ白色となるまで漂白する工程と;任意選択で溶媒交換を行う工程と;任意選択でモノマーを予備重合させ、プレポリマーを得る工程と;例えば真空又は凍結脱気融解を使用して、漂白木材にモノマー又はプレポリマーを含浸させる工程と; 例えば、高温で、化学化合物の添加により又はUVにより、プレポリマーを重合させてポリマーを硬化させる工程とを含んでもよい。
【0033】
また、本発明による方法によって調製された透明木材のヘーズは、様々な手段により、例えば漂白木材の成分及び含浸ポリマーのRIを可能な限り一致させることにより;木材基板内の空洞容積の存在を防止する、硬化及び/若しくは乾燥中の収縮が最小限であるポリマー/硬化系の使用により;又はこれらの手段の少なくとも2つの組合せにより更に改善され得る。
【0034】
図5におけるFE-SEM画像は、PMMAが含浸された木材の構造を示す。ルーメン空間は、PMMAで充填されている。本発明による透明木材の調製のための方法は、時間節約プロセスを提供し、脱リグニン工程の使用と比較して必要な物質輸送が少ない。本発明による本方法の利点は、木材基板中のリグニンが完全には除去されないことである。本発明による漂白工程(b)は、発色団構造を除去又は選択的に酸化し、一方、バルクリグニンのほとんどが保存される。典型的な反応を
図2に示す。
【0035】
本発明の方法のように材料中にリグニン構造を保持する利点は、元の/自然の木材基板から除去する必要のある材料がより少ないことである。更に、通常脱リグニンされると極めて脆くなるマツ及びトネリコ等のいくつかの異なる木材種が使用されてもよい。保存されたリグニンネットワークを有する木材基板は基板をより強くし、したがって、木材構造が損傷した脱リグニン木材基板と比較して、それを崩壊又は破壊させることなく取り扱うことをより容易にする。これは、湿潤した基板及び厚さが薄いものの場合、特に顕著である。保存されたリグニンネットワークはまた、基板を特定クラスのポリマーに、例えばポリスチレン等の芳香族構造を有するものにより適合させることができる。更に、脱リグニン基板は、光の散乱を防止するために、より高い分率のポリマーが多孔質構造内に含浸することを必要とする。
【0036】
更に、本明細書の工程(b)のように、木材基板を漂白するためのプロセスは、基板の脱リグニンのためのプロセスと比較して著しく速い。化学薬品の数及びその量の両方が大幅に低減され、より毒性が低く環境被害が少ない、環境に優しいプロセスが提供される。特に、アルカリ性条件下でのH
2O
2処理は、環境に優しく、工業的に拡張可能であり、木材パルプにおける高い白色度/白色度安定性効果をもたらすため、魅力的なリグニン保持方法である。
【0037】
本発明による透明木材は、光を透過する建造物における建築材料として使用され得る。光を透過する建造物は、建造物内の人工光を自然光と部分的に置き換えることができることにより、エネルギー消費の削減を可能にする。透明木材は、ガラスと比較して、その再生可能な資源;約1200kg/m
3の密度の軽量性;高い光透過率;ヘーズ及び非破砕性等の利点を有する。本発明による方法によって、脱リグニン中に通常形成される臭気物質、例えばクラフトパルプ法の間に生成されるメチルメルカプタン、硫化ジメチル及び硫化水素が排除される。更に、プロセスは塩素を含まず(TCF)、塩素化ダイオキシン等の有毒流出物が形成されない。
【0038】
本発明はまた、本発明による方法によって得られる透明木材に関する。
【実施例】
【0039】
本発明による透明木材及び比較例を、以下の例で例示する。
【0040】
(例1)
リグニン保持漂白
20mm×20mm及び厚さ1mm(半径方向の厚さ)の寸法、並びに160kg/m
3の密度を有するバルサ材の片(オクロマ・ピラミデール、Wentzels Co. Ltd社、スウェーデンから購入)を、105±3℃で24時間乾燥させた。以下の順序で化学薬品を混合することにより、漂白液を調製した:脱イオン水、ケイ酸ナトリウム(3.0wt%)(Fisher Scientific UK社)、水酸化ナトリウム溶液(3.0wt%)(Sigma-Aldrich社)、硫酸マグネシウム(0.1wt%)(Scharlau社)、DTPA(0.1wt%)(Acros Organics社)、次いでH
2O
2(4.0wt%)(Sigma-Aldrich社)。質量パーセンテージは全て漂白液中の水の質量に対するものである。10片のバルサを200mL(過剰量)の漂白液に70℃で木材が白色となるまで約2時間浸漬することにより、漂白木材基板が得られた。漂白木材基板を脱イオン水で十分に洗浄し、さらなる使用まで水中に維持した。
【0041】
(例2(比較))
亜塩素酸ナトリウム脱リグニン
20mm×20mm及び厚さ1.0mm(半径方向の厚さ)の寸法、並びに160kg/m
3の密度を有するバルサ材の基板(オクロマ・ピラミデール、Wentzels Co. Ltd社、スウェーデンから購入)を、105±3℃で24時間乾燥させた後、化学抽出を行った。80℃の酢酸緩衝液(pH4.6)(過剰量)中で、400〜500mLの1wt%亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2、Sigma-Aldrich社)を使用して、乾燥させた基板を脱リグニンした。木材が白色となったら(6時間を要した)、反応を停止させた。脱リグニン基板を脱イオン水で慎重に洗浄し、さらなる使用まで水中に維持した。
【0042】
(例3)
透明木材の調製
ポリマーの含浸前に、例1及び2で得られた木材基板を、エタノール及びアセトンでの溶媒交換によって逐次的に脱水した。各溶媒交換工程を3回繰り返した。メチルメタクリレート(MMA)モノマー(Sigma-Aldrich社)を、まず開始剤としての0.3wt%(MMAモノマーを基準とする)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)(Sigma-Aldrich社)で75℃で15分間予備重合させ、室温まで冷却した。その後、例1及び2からの脱リグニン又は漂白木材基板を、予備重合PMMA溶液中で数時間、完全に真空含浸させた。最後に、含浸された木材基板を2つのガラススライドの間に挟み、アルミニウム箔内に包装し、次いで炉内で70℃で4時間硬化させた。木材基板を有さないPMMAの参照試料を、同じMMAモノマーから調製した。
【0043】
(例4)
大型木材テンプレート
透明木材の大型木材テンプレートを作製することができる可能性の実証モデルとして、10cm×10cm×3mm(半径方向の厚さ)の寸法を有するバルサの大型基板を例1に従って調製したが、10cm×10cm×厚さ3mm(半径方向)の1片を約500mLの漂白液中に浸漬し、木材が白色となるまでの漂白は約5時間を要した。H
2O
2処理の前及び後の細胞壁のFE-SEM写真(
図1b〜
図1c)は、リグニンが豊富な中層内であっても実質的なマイクロスケールの損傷は示さなかった。細胞壁の剥離は極めて限られた範囲内で生じ、木材中で大部分が保存されたリグニンの分布を裏付けている。参照として、例2に従う脱リグニンプロセスで調製される対応する木材試料を調製した。木材が白色となるまでに約24時間を要した。脱リグニン後、大きな細胞壁剥離が生じた。
図1dを参照されたい。矢印は、リグニンが豊富な中層を指しており、(e)ではほぼ空洞である。細胞壁が剥離及び分離するため、その間の開放空間は、元々中層により占められていた空間よりもはるかに広い。これは、木材細胞間の中層内の高い分率のリグニンが除去されると生じる。
【0044】
(例5)
異なる源からの木材
異なる源からの木材の試料を、それぞれ例1に従うリグニン保持処理及び例2に従う脱リグニンにより調製した。漂白又は脱リグニン前の元の木材中のリグニン含量(Klasonリグニンとして測定)は、マツの場合37.3%、カバの場合24.2%、バルサの場合23.5%、トネリコの場合27.1%であった。機械的試験のために、試料を50×10×1.5mmの寸法に切断し、続いて表1に記載する化学的処理を行った。漂白又は脱リグニン木材基板におけるリグニン含量、及び引張強度試験により測定された湿潤強度を、Table 1(表1)に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
(例6)
様々な木材基板及びポリマー
ポリマーの含浸前に、例1で得られた木材基板を、エタノール及びアセトンでの溶媒交換によって逐次的に脱水した。各溶媒交換工程を3回繰り返した。以下の表から選択されるモノマーを、開始剤としての0.3〜0.5wt%(モノマーを基準とする)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)(Sigma-Aldrich社)で75℃で予備重合させ、室温まで冷却する。漂白木材基板を、予備重合溶液中で完全に真空含浸させた。最後に、含浸された木材基板を2つのガラススライドの間に挟み、アルミニウム箔内に包装し、次いで70℃で一晩硬化させた。Table 2(表2)は、表面に対して垂直の、すなわち木材の半径方向における、測定された光透過率及びヘーズと共に、様々な透明木材配合物を列挙している。
【0047】
【表2】
【0048】
(例7)
高圧
ポリマーの含浸前に、例1に従って得られた木材基板を、エタノール及びアセトンでの溶媒交換によって逐次的に脱水した。各溶媒交換工程を3回繰り返した。0.4wt%(モノマーを基準とする)の2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)(Sigma-Aldrich社)を含有するスチレンに漂白木材基板を加え、まず真空下で、次いで完全に含浸するまで5barの加圧下で反応槽内に入れた。まだ加圧下の槽を90℃の油浴内に一晩置き、硬化させた。木材片がポリマー塊の中にはまり込んだため、試料を光透過率に関して測定することができなかった。試料は、光透過率に関して測定された他の片と比較して視覚的に透明であった。
【0049】
(例8)
過ホウ酸ナトリウムによるリグニン保持漂白
20mm×20mm及び厚さ1.5mm(半径方向の厚さ)の寸法を有するバルサ材の片(オクロマ・ピラミデール、Conrad Elektronik Norden AB社、スウェーデンから購入)を洗浄し、完全に湿潤するまで脱イオン水中に浸漬した。漂白前の湿潤した木材片に、0.5wt%のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を伴う脱イオン水で、50℃で1時間前処理を施した。以下の順序で化学薬品を混合することにより、漂白液を調製した:脱イオン水、ケイ酸ナトリウム(3.0wt%)(Fisher Scientific UK社)、水酸化ナトリウム溶液(3.0wt%)(Sigma-Aldrich社)、硫酸マグネシウム(0.1wt%)(AppliChem Panreac社)、DTPA(0.1wt%)(Roth社)、次いで過ホウ酸ナトリウム(6.5wt%)(Alfa Aesar社)。質量パーセンテージは全て漂白液中の水の質量に対するものである。10片のバルサを200mL(過剰量)の漂白液に70℃で木材が白色となるまで約2時間浸漬することにより、漂白木材基板が得られた。漂白木材基板を脱イオン水で十分に洗浄し、さらなる使用まで水中に維持した。
【0050】
特性決定
SEM
1kVの加速電圧で動作する電界放射型走査電子顕微鏡(Hitachi S-4800、日本)により、木材試料の断面を観察した。脱イオン水で洗浄された木材試料に凍結乾燥を行った。試料の断面は、液体窒素で冷却した後の凍結乾燥試料を粉砕することにより調製した。
【0051】
引張強度
500Nロードセルを有するInstron 5944を使用して、10%/分の歪み速度及び25mmのスパンで引張強度試験を行った。
【0052】
3点曲げ
500Nロードセルを有するInstron 5944を使用して、3点曲げ試験を行った。50%の室内湿度で2〜3日間、試料を調整した。10%/分の歪み速度及び30mmのスパンで試験を行った。全ての試料を、試験用にストリップ(5mm×60mm)に切断した。
【0053】
リグニン含量
木材試料中のリグニン含量(Klasonリグニン)を、TAPPI法TAPPI T 222 om-02に従って決定した。
【0054】
白色度
ISO白色度2470-1、2009に従って、木材の白色度を試験した。
【0055】
透過率
積分球を含む構成で透過率を測定した。170〜2100nmの波長を有する光源を適用した(Energetiq Technology, Inc社製のEQ-99)。光源からの入射ビームは、入力ポートを通して積分球内に誘導した。光は、光ファイバを通して球の別のポートから外に誘導し、白色(W)スペクトルの入射ビームとして分光器(AvaSpec-ULS3648、Avantes社)により記録した。光源を切ることにより暗(D)スペクトルを記録した。透過率測定のために、試料は球の入射ビーム入力ポートの真正面に置き、次いでスペクトルを光ファイバを通して球の別のポートから外に誘導し、信号(S)として記録した。正透過率及び拡散透過率の両方を含む、特定波長での試料を通る透過率を、その特定の波長における(S-D)/(W-D)として計算した。ヘーズ測定値は、「Standard Method for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastics」(ASTM D1003)に従って記録した。
【0056】
結果
白色度及びリグニン含量
例2に記載するように脱リグニンを行った。脱リグニンの間、白色度は処理時間と共に徐々に増加した。
図1aに示されるように、6時間のプロセス後に白色度は約80%で安定した。リグニン含量は、約23.5wt%〜2.5wt%に減少した。例1に記載するように、H
2O
2処理の場合、白色度はわずか0.5時間後に77%まで急激に上昇した。1時間後、白色度は79%に達した。処理時間を更に増加させても、白色度は80%を超えて上昇しなかった。リグニン含量は、23.5%から21.3%までごくわずかに減少し、微細構造が良好に保存された。
【0057】
光透過率
例3に従って調製された透明木材(TW-H
2O
2)は、
図3aに示される高い光学的透明性を示した。550nmの波長でのTW-H
2O
2の光透過率及びヘーズは、それぞれ83%及び75%であった(
図3a〜
図3b)。TW-H
2O
2の光透過率値は、脱リグニン木材テンプレートに基づく透明木材の光透過率(TW-Delign、86%、例3に従って調製)と同程度であった。TW-H
2O
2は、TW-Delignと比較して約7%のヘーズの増加を示した。
【0058】
引張強度
異なる木材源からのリグニン保持処理で調製された透明木材は、脱リグニン木材から調製された透明木材と比較して改善された湿潤強度特性を示した(Table 1(表1))。
【0059】
3点曲げ
3点曲げ試験において、50mm×50mm及び厚さ1.5mmの寸法を有するバルサから例3に従って調製された透明木材(TW-H
2O
2)は、ガラス(116.3±12.5MPa)と同等の破断時応力(100.7±8.7MPa)、及びガラス(0.19%±0.02)よりも1桁高い破損に対する歪み(2.18%±0.14)を示した。これは、ガラス(10.2J/m
3)よりも1桁高い透明木材の破壊仕事(119.5J/m
3)をもたらした。応力-歪み曲線を
図4に示す。3点曲げ試験はまた、漂白透明木材(TW-H
2O
2)が、PMMA(2.5GPa)及び元の木材構造(3.4GPa)の両方より高い曲げ弾性率(6GPa)を有することを示した。したがって、PMMAが含浸された漂白TWは、PMMA及び元の木材の両方よりも強い。
【国際調査報告】