(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515534(P2020-515534A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】体内部分および/またはインプラントを洗浄するための粉末、前記粉末の製造方法および適切な使用
(51)【国際特許分類】
A61K 33/10 20060101AFI20200501BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20200501BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20200501BHJP
A61L 2/04 20060101ALI20200501BHJP
A61L 2/08 20060101ALI20200501BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20200501BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20200501BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20200501BHJP
A61K 31/047 20060101ALI20200501BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20200501BHJP
A61K 31/7016 20060101ALI20200501BHJP
A61P 31/02 20060101ALI20200501BHJP
A61L 101/44 20060101ALN20200501BHJP
A61L 101/06 20060101ALN20200501BHJP
【FI】
A61K33/10
A61L2/20 104
A61L2/18
A61L2/04
A61L2/08 100
A61L2/08 102
A61L2/08 108
A61L2/10
A61K9/14
A61K47/04
A61K31/047
A61K31/198
A61K31/7016
A61P31/02
A61L101:44
A61L101:06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-551396(P2019-551396)
(86)(22)【出願日】2018年4月3日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2018058481
(87)【国際公開番号】WO2018134446
(87)【国際公開日】20180726
(31)【優先権主張番号】102017107124.5
(32)【優先日】2017年4月3日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】500000485
【氏名又は名称】フェルトン ホールディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Ferton Holding SA
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】ドネ、マルセル
【テーマコード(参考)】
4C058
4C076
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C058AA22
4C058BB02
4C058BB06
4C058BB07
4C058JJ07
4C058JJ08
4C058JJ15
4C058JJ26
4C058KK02
4C058KK03
4C058KK45
4C076AA29
4C076BB21
4C076CC31
4C076DD29
4C076FF41
4C076GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086HA02
4C086HA04
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA43
4C086NA20
4C086ZB32
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA05
4C206FA53
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206MA63
4C206NA20
4C206ZB32
(57)【要約】
本発明は、特に粉末ジェット装置を使用して、体内部分および/またはインプラントを洗浄するための粉末(1)であって、粉末(1)は、殺菌プロセス(12)の結果として無菌であることを特徴とする、粉末(1)を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に粉末ジェット装置を使用して、体内部分および/またはインプラントを洗浄するための粉末(1)であって、
前記粉末(1)は、殺菌プロセス(12)を経て無菌であることを特徴とする、
粉末(1)。
【請求項2】
前記粉末(1)は、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、エリスリトール、トレハロース、および/またはグリシンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の粉末(1)。
【請求項3】
前記粉末(1)は、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、特に実質的に12〜20μmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の粉末(1)。
【請求項4】
前記粉末(1)は、水溶性であり、20℃の温度での前記水溶性は、1g/l超、好ましくは50g/l超、好ましくは約100g/l、さらには100g/l超でありことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末(1)。
【請求項5】
特に0.1〜2.5%の体積比で、非晶質シリカ(二酸化ケイ素)は、前記粉末に添加されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末(1)。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の滅菌粉末(1)を製造する方法であって、
粉末(1)を提供(11)する工程と、
滅菌プロセス(12)において前記粉末(1)を滅菌する工程と、を含む、
方法。
【請求項7】
前記粉末(1)は、前記滅菌プロセス(12)においてエチレンオキシド、特にエチレンオキシドガスに曝されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記粉末は、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)および/またはクロルヘキシジン(CHX)溶液に曝されることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記滅菌プロセス(12)において前記粉末(1)は、特に110℃〜210℃の温度、好ましくは120℃〜160℃の温度、より好ましくは160℃に加熱されることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記粉末(1)は、前記滅菌プロセス(12)において放射線、特にβ、γ、X線および/またはUV放射線に曝されることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記粉末(1)は、前記滅菌プロセス(12)において滅菌蒸気に曝されることを特徴とする、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
体内部分またはインプラントを洗浄するための粉末ジェット装置における、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の無菌粉末(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内部分および/またはインプラントを洗浄するための粉末、前記粉末の製造方法および適切な使用に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、手術前の骨やインプラントなどの体内部分の洗浄は、細菌感染を予防的に防ぐための典型的な要件である。しかしながら、高い生体適合性の要件およびヒトまたは動物の組織または体内の部位とできるだけ早く成長するこれらの能力のため、特にインプラントの表面は損傷を受けやすい材料で作られているかまたはコーティングされているため、インプラントの洗浄は困難である。通常、これらの材料は多孔質で親水性である。
【0003】
歯科医学では、粉末および空気の混合物の使用が知られており、これは、粉末ジェット装置を使用することにより、洗浄目的で歯の表面に吹き付けられる。しかしながら、そのような粉末および空気の混合物を使用するには、体内に挿入する前に、体内の部位またはインプラントにその後の滅菌が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、義務的な後処理工程を必要とすることなく、体内部分および/またはインプラントを可能な限り穏やかに洗浄し得る方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の粉末および請求項5に記載の方法によって解決される。本発明のさらなる利点および特徴は、従属請求項ならびに説明および関連する図面から生じる。
【0006】
本発明によれば、特に粉末ジェット装置を使用することにより、体内部分および/またはインプラントを洗浄するための粉末が提供され、粉末は滅菌プロセスの結果として滅菌されている。すなわち、病原菌もしくは細菌がないまたは本質的に生殖微生物がない。従来技術とは対照的に、本発明による滅菌粉末は、有利には、滅菌手術環境でも、簡単かつ研磨して実行され得る、体内部分および/またはインプラント、特に、体内の部位および/またはインプラントの表面の洗浄により提供される。粉末は、有利には滅菌プロセスによって調製されるため、体内部位および/またはインプラントの追加の後処理工程、特に時間のかかる滅菌は、洗浄後に必要とされない。これは、有利には、粉末を使用することにより短期または部分的な洗浄も可能となる。
【0007】
インプラントという用語は、特に組織のないインプラント、例えば、骨または歯の置換用のインプラントを指し、体内部分という用語は、顎骨または股関節骨を指す。例えば、インプラントは、股関節骨インプラント、顎骨インプラントまたは同等物である。
【0008】
粉末という用語は、特に、粉末ジェット装置で使用するのに適した、すなわち、粉末空気混合物が粉末ジェット装置によって形成され得る任意の粉末または粉末混合物を指す。
【0009】
概して、粉末という用語には、粒子の蓄積が含まれる。これは、異なる材料または材料組成の粒子の混合物であり得る。さらに、粉末の粒子は、有利な研磨特性を有する、すなわち、粒子は、粉末空気混合物の噴流で体内部位またはインプラントの表面にあたると、この表面を研磨して洗浄するように設計または選択される。別の利点は、粉末を埋め込むことができることであり、具体的には選択され得る、すなわち、粉末を使用してそれを洗浄するときに、それぞれのインプラントの表面損傷の可能性が個々に減少するように粉末が選択され得る。好ましくは、滅菌粉末は、粉末中の生殖微生物の残留含量がせいぜい10
−6コロニー形成単位であるものとして、すなわち、同じ方法で処理された100万個の粉末粒子は、複数の生殖微生物を含んではならないと理解されるべきである。
【0010】
特に、「本質的に」という用語は、それぞれの正確な値から+/−15%、好ましくは+/−10%、特に好ましくは+/−5%だけ逸脱し、および/または適切に機能する変化の形態での逸脱に対応する。
【0011】
本発明の実施形態によれば、適用に応じて、重炭酸ナトリウムもしくは炭酸水素ナトリウム(NaHCO
2)、炭酸カルシウム(CaCO
2)、三水酸化アルミニウム(Al[OH]
3)、リン酸カルシウムナトリウム(CaNaO
6PSi)、糖アルコール、例えば、エリスリトール(C
4H
10O
4)、二糖類、特にトレハロース(C
12H
22O
11)、もしくはイソマルツロースおよび/またはグリシンもしくはグリココール、アミノ酢酸(C
2F
5NO
2)を含む粉末が提供される。適切には、それらは歯の表面処理で既に使用されている物質組成物である。
【0012】
驚くべきことに、これらの組成物は骨および/またはインプラントの洗浄に適していることが示された。特に好ましいのは、平均粒径が約10〜20μm、好ましくは約14μmのエリスリトールおよび/またはグリシンであり、これらは一貫性があるため比較的穏やかな治療が可能である。
【0013】
特に、粉末は重炭酸ナトリウムに基づく粉末である。重炭酸ナトリウムに基づく粉末は、好ましくは12〜20μmの平均粒径を有する。粉末、特に重炭酸ナトリウムを含む粉末は、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、特に好ましくは本質的に17μmの平均粒径を有することが好ましい。特に、重炭酸ナトリウムは比較的簡単に滅菌できることがわかり、さらに、重炭酸ナトリウムを実質的に17μmの粒子サイズに減らすと、前記重炭酸ナトリウムを含む粉末空気混合物からの損傷の可能性は概して、粗粒の重炭酸ナトリウム粉末と比較して減少する。この段落で与えられる数値の粒度の値について、粉末は好ましくは、粒径が平均粒径の周りに分布するように構成され、標準偏差σは20μm、好ましくは10μm、特に好ましくは5μmである。
【0014】
エリスリトール粉末および水の混合物は、歯肉縁、ポケットの入り口、およびポケットの内側にスムーズに適用され得る。エリスリトール粉末は、軽い歯垢や汚れの除去、歯磨き、および特に敏感なインプラント表面のバイオフィルム除去に適している。
【0015】
本発明の別の実施形態では、0.2〜3g/cm
3、好ましくは0.2〜2.4g/cm
3、特に好ましくは0.2〜1.6g/cm
3の密度を有する粉末が提供される。0.2〜1.6g/ccm
3の密度を有するそのような粉末は、容易に滅菌可能であり、同時に、粉末ジェット装置で洗浄する場合、体内部分および/またはインプラントに表面損傷を引き起こすことはほとんどない。
【0016】
粉末ジェット装置には水系研磨剤を使用することを推奨するが、一般に滅菌はより困難である。非水溶性物質は、特に口の中で患者に「典型的な砂のような」感覚を残し、除去するのは困難である。これは、口腔および診療所の両方に当てはまる。さらに、水などの流体を使用して溶解およびすすぎができない場合、肺内の非水溶性粉末粒子の損傷または保持されるリスクがある。したがって、水溶性の性質は、本発明による粉末にとって有利である。
【0017】
本発明では、1リットル当たり1gを超える粉末が添加され得る場合、物質は水溶性として分類される。したがって、本発明の別の実施形態では、水溶性である粉末が提供され、20℃の温度での水溶性は、1g/l超、好ましくは50g/l超、好ましくは約100g/l、または100g/l超であってもよい。好ましい粉末には、次の特性がある。
【0018】
【表1】
【0019】
本明細書において、エリスリトールは、非常に低い密度と比較して高い水溶性を有するため最良の値を示し、歯肉下領域での使用、特に歯肉が開いている場合の無菌粉末としての使用を示す。本発明はまた、滅菌粉末、特に本発明による滅菌粉末を製造する方法を提供し、粉末を提供する工程と、滅菌プロセスにおいて粉末を滅菌する工程と、を含む。
【0020】
本発明による方法は、有利には、体内部分およびインプラントを洗浄するのに適した滅菌粉末を提供することを可能にする。本発明による粉末について記載されたすべての特徴およびその利点は、本発明による方法に同様に割り当てられ得、逆もまた同様である。
【0021】
これに関連して、滅菌プロセスとは、特に、粉末ジェット装置用の粉末として直ちに適切な、すなわちさらなる処理工程無しで粉末が調製されるプロセスを意味する。この目的のために、有利には、粉末が滅菌プロセス後に十分に乾燥して細かくなり、それにより粉末ジェット装置での使用に適するように、滅菌プロセスを粉末に適合させる必要がある。好ましくは、粉末中の水分は、滅菌プロセスの結果として、最大5%、好ましくは最大2.5%、特に好ましくは1.5%増加した。例えば、水分は赤外線湿度計で測定され得る。
【0022】
したがって、滅菌プロセスは好ましくは、粉末または粉末のタイプに適応するか、または依存する。好ましくは、滅菌プロセスの直後に粉末ジェット装置用の粉末チャンバに充填する粉末が提供される。これにより、滅菌粉末の再汚染が回避される。滅菌プロセスの結果として凝集体が形成された場合、滅菌粉末は、渦、ふるい、振動、摩擦または粉砕プロセスにより、再び細粒に任意に分割され得る。
【0023】
本発明の別の態様によれば、粉末は、滅菌プロセス中に、特に110℃〜210℃、好ましくは180℃未満、好ましくは120℃〜160℃、特に160℃に加熱されなければならない。
【0024】
本質的に160℃の温度が使用される場合、粉末−空気混合物を形成する能力に関して粉末が損なわれることなく、比較的短い時間、例えば2時間で滅菌が有利に達成され得る。より低い温度の使用は、粉末ジェット装置用の粉末−空気混合物を形成する能力を損なうことなく、より多くの粉末または粉末タイプの滅菌を可能にするという点で有利である。
【0025】
便宜的に、100℃〜250℃、好ましくは120℃〜160℃の温度で0.5〜60時間、好ましくは1〜40時間、特に好ましくは本質的に2時間加熱される粉末が提供される。加熱を2時間行うと、十分な滅菌を比較的速く達成でき、約160℃の温度がこの目的に適する。これは、製造時間、したがって滅菌粉末のコストに特にプラスの効果をもたらす。
【0026】
より低い温度、例えば、120℃以上の加熱、例えば20〜40時間加熱すると、粉末が十分に滅菌されることが保証される。エリスリトール、トレハロースおよび/またはグリシンを含む粉末を160℃で2時間加熱することが特に好ましい。あるいは、エリスリトール、トレハロースおよび/またはグリシンを含む粉末を120℃で40時間加熱してもよい。
【0027】
溶解度または融点は次のとおりである。
【0028】
【表2】
【0029】
上記の加熱滅菌は重炭酸ナトリウムに特に適しているが、他の粉末、特にエリスリトールは、他の滅菌方法を使用してより適切に滅菌されることが示されている。これらの粉末および他のほとんどの粉末の融点は、処理温度からそれほど離れていないため、粉末粒子は望ましくなく融合または互いに付着し得る。また、容器には耐熱性が必要であるため、追加の制限をもたらす。
【0030】
本発明の別の実施形態では、滅菌プロセス中に、放射線、特にβ、γ、またはX線および/またはUV放射線に曝される粉末が提供される。また、例えば、粉末に電子ビームを照射することも可能である。X線放射の場合、粉末は、放射性コバルト−60(
60CO)またはセシウム137(
137Cs)の放射源の放射に曝されることが好ましい。例えば、粉末の滅菌には、βおよび/またはγ放射線が使用される。β放射線は、浸透深度が低いため表面の滅菌に適しているが、γ放射線は浸透深度が高い。
【0031】
しかしながら、例えば、放射性ベータ線またはガンマ線を使用した、粉末粒子のそのような滅菌照射は、望ましくない臭いおよび外観の変化をもたらす。
【0032】
粉末は、滅菌プロセス中に蒸気、特に水蒸気または過酸化水素蒸気に曝されることも考えられる。例えば、粉末は、オートクレーブ内で加熱され、オートクレーブの内部空間は、水蒸気または過酸化水素蒸気で満たされ、特に水蒸気または過酸化水素蒸気で完全に満たされる。粉末は、オートクレーブ内で30分〜60分間、60℃〜132℃の温度に加熱されるが好ましい。60分の持続時間および132℃の温度で、すべての微生物の大部分が破壊され、粉末は耐性レベルVIに達する。炭酸カルシウムは、滅菌蒸気を使用して滅菌され得ることが有利に証明されている。
【0033】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態によれば、湿らせると粉末粒子が互いに付着するので、粉末粒子の水溶性は滅菌中に特定の制限を必要とする。したがって、水溶性粒子を使用する場合、蒸気滅菌は困難である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態によれば、特に水溶性および/または感熱性粉末の場合、驚くべきことに、粉末が、エチレンオキシド(ETO)、特に滅菌プロセス中のエチレンオキシドガスに曝されていることがわかった。エチレンオキシドガスは、細菌、ウイルス、および真菌を有利に殺す。ETOによる滅菌は、特に5〜100℃、好ましくは2〜80℃、特に好ましくは37〜63℃で実施される低温プロセスである。したがって、それは感熱性物質の燻製消毒に使用され得る。
ETOはガス状で使用され、CO
2または蒸気などの他の物質と混合されることが好ましい。このプロセスは、低融点を持つものなど、高温に耐えられない粉末に有利に適する。したがって、ETOを使用すると、低融点の粉末の使用も可能になる。特に、ETOの使用は、本質的に蒸気無しまたは蒸気を削減した方法で実行する必要があることを意図し、すなわち、ETOガスへの蒸気の追加は省略されるか、一般的に使用される割合と比較してその割合を減らさなければならない。さらに、滅菌プロセス中に空気の湿度を監視することも考えられる。これにより、特に軽量で水溶性の高いエリスリトールの滅菌が可能になり、エリスリトールは歯肉下領域で最良の結果を達成する。
【0035】
ETOを使用する滅菌プロセスは、重炭酸ナトリウム、特に本質的に17μmの粒径を有する重炭酸ナトリウムの場合に特に有利であることが証明された。
【0036】
本発明の別の実施形態では、次亜塩素酸ナトリウム(NaCIO)および/またはクロルヘキシジン(CHX)溶液に曝される粉末が提供される。粉末は、次亜塩素酸ナトリウム(NaCIO)溶液および/またはクロルヘキシジン(CHX)溶液に連続的に曝されることが好ましく、特に次亜塩素酸ナトリウム溶液の後にクロルヘキシジン(CHX)溶液が経時的に使用される。これにより、粉末を滅菌される。好ましくは、0.01〜6wt%の次亜塩素酸ナトリウム溶液、特に0.1wt%の次亜塩素酸ナトリウム溶液、および/または0.01〜2wt%のクロルヘキシジン(CFIX)溶液、特に0.1wt%溶液が使用される。
【0037】
微生物は溶液に移され、使用済みの溶液と一緒に除去され得る、例えば、すすがれ得る。
【0038】
粉末ならびに次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)および/またはクロルヘキシジン(CHX)溶液が超音波処理などの機械的処理を受けることも考えられる。例えば、滅菌プロセスでは、文献US2015/0352023A1のプロセスが使用され、その内容は、微生物の破壊または除去に関して明示的に参照される。粉末は、使用前、例えば粉末チャンバに充填される前に十分に乾燥されることが好ましい。
【0039】
蒸気は滅菌の有効性を高めるためにETO滅菌にも使用されるため、これにも制限が予想される。これを克服するために、本発明は、水分低減サイクルを有利に使用する。エチレンオキシド滅菌(ETO)の場合、処理は、通常30℃〜60℃で、相対湿度30%超、ガス濃度200mg/l〜800mg/lで行われ、少なくとも3時間かかる。
【0040】
滅菌材料、すなわち粉末はその包装で滅菌されるため、活性物質はこの包装を通して作用されなければならない。したがって、包装は通常、100%の水分に曝され、水分は包装内で約10%〜50%、好ましくは約30%の値を取り、これはETOプロセスに適した値である。本発明の粉末については、85%の水分(包装の外側)の値が理想的であることが証明されており、限界は約90%である。ETO自体は、試験された粉末に悪影響を与えないようである。特に好ましい滅菌温度として、42〜52℃、特に46〜48℃が確立された。
【0041】
本発明の粉末は吸湿性である。したがって、好ましい実施形態によれば、特に0.1〜2.5%の体積比で、非晶質シリカ(二酸化ケイ素)が粉末に添加される。これにより、滅菌中の粉末による水分の吸収を減らすか、完全に防ぐことができる。非晶質シリカの添加は、粉末粒子の疎水性コーティングをもたらし、それにより、滅菌プロセス中の粉末粒子の水分吸収を打ち消す。吸湿性の低い粉末では、非晶質シリカの添加を減らすか、または完全に省略し得る。以下の粉末タイプは吸湿性として分類される。炭酸水素ナトリウム、グリシン、エリスリトール。トレハロースは感度がわずかに低い。
【0042】
殺菌を成功させるには、ブラスト剤としての水溶性粉末の機能性を維持するために、水分から粉末粒子を保護することが不可欠である。
【0043】
吸湿性ではないが無菌の粉末を得るための別のアプローチは、炭酸カルシウムをブラスト剤として使用することである。この粉末は水溶性ではないため、蒸気/熱滅菌により滅菌され得る。
【0044】
本発明によれば、本発明による無菌粉末の使用も提供される。滅菌粉末の製造のための本発明による粉末および方法について記載されたすべての特徴およびその利点はまた、本発明のプロセスと同じように移され得、その逆も同様である。例えば、粉末ジェット装置は、WO2016142272A1に開示されているものであり、その説明は、粉末ジェット装置に関して特に言及される。また、粉末は、交換可能な粉末チャンバを満たすために使用されることが好ましい。
【0045】
さらなる利点および特徴は、添付の図面を参照した、本発明の目的の好ましい実施形態の以下の説明から示される。個々の実施形態の個々の特徴は、本発明の範囲内で組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による滅菌粉末を製造するプロセスの概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明の例示的な実施形態による滅菌粉末1を製造するプロセスの概略フロー図である。特に、粉末ジェット装置用の粉末1である。通常、粉末および空気の混合物は、そのような粉末ジェット装置で製造され、粉末および空気の混合物は、粉末ジェット装置を使用した洗浄のために洗浄する体内部分またはインプラントに向けられ、洗浄目的で、体内部分またはインプラントに衝突するジェット中の粉末1は、それぞれ不純物または汚染物を研磨除去する。また、粉末−空気混合物が流体とともに粉末ジェット装置を出ることが考えられ、流体は粉末−空気混合物と混合され、および/またはそれを包む。
粉末1は、滅菌プロセス12で粉末ジェット装置の外側の粉末ジェット装置で使用する前に滅菌される、つまり、細菌および病原菌などの微生物からのがれられる。これにより、特に洗浄後にインプラントまたは体内部分を滅菌または再滅菌する必要なく、体内部分またはインプラントを洗浄するときに粉末1が有利に使用され得る。特に、粉末1は、インプラントの表面または体内部分を損傷しないように設計される。
【0048】
粉末1は、好ましくは0.2〜3g/cm
3、好ましくは0.2〜2.4g/cm
3、特に0.2〜251.6g/cm
3の密度を有する。例えば、それは、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、エリスリトール、トレハロースおよび/またはグリシンを含む粉末1であり、前記粉末は、特に、5〜100μm、好ましくは10〜50μm、特に好ましくは実質的に17μmの平均粒径を有する重炭酸ナトリウムを含む粉末である。特に、そのような粉末1は、生体適合性が高く、急速に成長する能力があるため、多孔質および/もしくは親水性で作られているまたはコーティングされていることにより表面損傷を受けやすいインプラントの洗浄にも適していることが示された。
【0049】
図1に示すプロセスでは、最初に、粉末1、特に平均粒子サイズが17μmの重炭酸ナトリウムが提供される。続いて、この粉末1は、滅菌プロセスが実行される密閉チャンバ5内に配置される。例えば、滅菌プロセスでは、粉末はチャンバ5内で加熱され、電磁放射および/または蒸気に曝される。粉末1、特に平均粒径が17μmの重炭酸ナトリウムがエチレンオキシドを含むガスに曝されると特に有利であることが示された。
密閉チャンバ5内でのエチレンオキシドを含むガスの滞留時間が経過し、密閉チャンバ5から引き出された後、滅菌粉末1の提供13が行われる。好ましくは、粉末1は、滅菌プロセス12の直後の粉末ジェット装置の粉末チャンバ、特に滅菌粉末チャンバに充填され、その製造直後の滅菌粉末1の汚染を回避する。例えば、密閉チャンバ5は、粉末1を直ちに粉末チャンバに導くことができる出口を含み、これは、例えば、粉末ジェット装置と適合性がある。
【0050】
1 粉末
5 チャンバ
11 粉末提供
12 滅菌プロセス
13 滅菌粉末提供
【国際調査報告】