特表2020-515726(P2020-515726A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-515726特に牽引または懸架手段のための長手方向要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515726(P2020-515726A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】特に牽引または懸架手段のための長手方向要素
(51)【国際特許分類】
   D07B 1/06 20060101AFI20200501BHJP
   D07B 1/04 20060101ALI20200501BHJP
   D07B 1/14 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   D07B1/06 Z
   D07B1/04
   D07B1/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-541090(P2019-541090)
(86)(22)【出願日】2018年1月26日
(85)【翻訳文提出日】2019年8月27日
(86)【国際出願番号】EP2018051940
(87)【国際公開番号】WO2018138250
(87)【国際公開日】20180802
(31)【優先権主張番号】102017101646.5
(32)【優先日】2017年1月27日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Twaron
2.Dyneema
(71)【出願人】
【識別番号】513233643
【氏名又は名称】ファツアー・アーゲー・ドラートザイルファブリック
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンデラー−ゲッゲルマン,コリンナ
【テーマコード(参考)】
3B153
【Fターム(参考)】
3B153AA08
3B153AA44
3B153BB01
3B153BB15
3B153CC13
3B153CC23
3B153CC43
3B153CC44
3B153CC52
3B153FF01
3B153FF09
3B153FF35
3B153FF38
3B153GG01
(57)【要約】
本発明は、高強度繊維(11)で作られたコア(12)と、このコア(12)を囲む少なくとも1つの好ましくは鋼の金属ケーシング(15)とを用いて製造される長手方向要素(13)に関する。このようにすると、その強度に対して非常に軽量であるこれらの高強度繊維が、多数の方法で、すなわち湿気、水分、UV光、および他の環境の影響から保護されるという重要な利点がある。さらに、金属ケーシングは、横荷重から繊維を保護する。このようにして、牽引または懸架手段のすべての高強度特性が持続期間にわたって維持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高強度繊維(11、28、29、36、37)を有するコア(12、26、27、33、34)と前記コアを囲むケーシングとを用いて製造される、特に牽引および/または懸架手段のための長手方向要素において、前記長手方向要素(13、23、24、31、32)が、少なくとも前記少なくとも1つのコア(12、26、27、33、34)から製造され、前記囲むケーシングが、好ましくは鋼で作られた金属ケーシング(15、25、35、38、39)として製造されることを特徴とする長手方向要素。
【請求項2】
例えばゲルおよび/もしくは接着剤、バンデージ、またはこれらの混合物などの好ましくは保護または荷重回避用の充填層(14)が、前記コア(12、26、27、33、34)と前記金属ケーシング(15、25、35、38、39)との間および/または前記長手方向要素(13、23、24、31、32)のそれぞれの前記コア内に挿入されることを特徴とする、請求項1に記載の長手方向要素。
【請求項3】
前記長手方向要素(16)が、複数の高強度繊維(11)を有するコア(12)と、前記コア(12)を囲む少なくとも1つの充填層(18)と、複合層(19)と、前記複合層(19)を囲む前記金属ケーシング(15)とから形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の長手方向要素。
【請求項4】
気体、UV放射、および/または水に関して不透過性である層が、前記繊維(11、28、29、36、37)に対して形成されるように、前記金属ケーシング(15、25、35、38、39)が、前記コア(12、26、27、23、33、34)の外周に取り付けられ、前記金属ケーシングに特定の曲げ強度またはたわみ強度が与えられることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項5】
前記コアの周囲に配置されるか、または前記コアに巻き付けられる少なくとも1つの金属テープが、前記金属ケーシング(15)のために用意され、前記テープが、縁部が互いに重なり合うか、または当接するときに溶接、接着、または同様の接続によって接続されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項6】
前記高強度繊維(11、28、29、36、37)がそれぞれ、一本のものとして前記長手方向要素(13、23、24、31、32)の全体にわたって延在し、そこでは真っ直ぐな、撚られたまたは他の種類の経路を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項7】
前記高強度繊維(11、28、29、36、37)が、アラミドなどのプラスチック、玄武岩、および/または炭素などで作られていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項8】
前記高強度繊維(11、28、29、36、37)が、好ましくは2500N/mm2超の引張強度の鋼繊維(スチールコード)から少なくとも部分的に製造されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項9】
前記高強度繊維(11、28、29、36、37)から形成された前記コア(12、26、27、23、33、34)が、好ましくは1.5〜8mmの外径を有すると測定されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項10】
前記金属ケーシング(15、25、35、38、39)の壁厚が、好ましくは0.1〜1.0mmであり、パイプとして設計され得ることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項11】
前記金属ケーシング(15、25、35、38)が、円筒形または他の形状の外面を有し、前記コアを1つ以上の層で覆うことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項12】
損傷および/または疲労によって生じる変化を認識するために、光学的または電気的測定要素が、前記コア内または前記金属ケーシングと前記コアとの間に存在することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項13】
前記長手方向要素の2つの端部のそれぞれにおいて、前記ワイヤ形状の長手方向要素(15、25、35、38、98)が、その中の前記高強度繊維が特に水分および水から保護されるようにするために閉鎖手段によって閉鎖されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか1項に記載の長手方向要素。
【請求項14】
前記長手方向要素(23、24、31、32)が、牽引および/または懸架手段、特に螺旋ロープ、撚りロープ、またはダブルヘッドコードに使用することができ、前記牽引または懸架手段が、好ましくは完全に前記長手方向要素から製造されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項15】
前記長手方向要素(56、64、74)が、牽引および/または懸架手段、特に通信ケーブル(50)、電気ケーブル(60、70)、または一体化された電線を有するケーブルに使用することができ、好ましくは多数の長手方向要素(56、64、74)が、前記牽引または懸架手段に一体化されるか、またはその外側の周囲にストランドとして配置されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項16】
前記長手方向要素(81、82、98)が、牽引および/または懸架手段、好ましくは保護、安全、水産養殖、または建築の分野のための特に網(80、90)に使用することができ、前記網(80、90)が、好ましくは完全に前記長手方向要素(81、82、98)から製造されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項17】
前記網(90)が、連結リング(97)から構成され、前記リング(97)がそれぞれ、高強度繊維(94)で作られたコアおよび金属ケーシング(99)を有する、複数回巻かれた少なくとも1つのワイヤ形状の長手方向要素(98)から製造されることを特徴とする、請求項16に記載の長手方向要素。
【請求項18】
前記金属ケーシング(99)がそれぞれ、溶接シーム(99’)が前記巻かれた長手方向要素(98)に沿って連続的に前記リング(97)の内側に位置するように配置されることを特徴とする、請求項17に記載の長手方向要素。
【請求項19】
前記網が、個々の長手方向要素(81、82)から編まれたか、または螺旋状に湾曲した長手方向要素(81、82)を折り重ねた網状製品(80)として製造されることを特徴とする、請求項16に記載の長手方向要素。
【請求項20】
前記長手方向要素(42、43)が、牽引または懸架手段、好ましくは保護、安全、外装、または建築の分野のための特にグリッド(40)に使用することができ、前記グリッドが、好ましくは完全に前記長手方向要素(42、43)から製造されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項21】
前記長手方向要素(13、23、24、31、32)のそれぞれが、円形状、Z字形状、I字形状、楔形状、または他の形の断面を備えることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【請求項22】
前記金属ケーシング(15、25、35、38、39)、好ましくはその内側、および/または前記コアが表面粗面化されることを特徴とする、請求項1から21のいずれか一項に記載の長手方向要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の、特に牽引または懸架手段のための長手方向要素に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献の欧州特許出願公開第2165017号明細書におけるような組み合わされた線形状の牽引および/または懸架手段は、ねじられたモノフィラメント束または複数の穿孔されたモノフィラメント束から作られた高強度プラスチック繊維のコア線であって、鋼ワイヤストランドの外層を伴うように作られたコア線を開示している。モノフィラメント束は、直径を小さくしながら伸長され、特に織られたケーシングによってこの状態に保持される。これにより、荷重下でのコア線の伸長が減少して、線の鋼断面とプラスチック断面と間の荷重分布が改善される。
【0003】
反対に、同じ意味で、コア線の伸長挙動と比較してストランド層の伸長挙動を近づけるために、線は、鋼ワイヤストランドが互いに間隔を空けて押し付けられる弾性プラスチックの中間層を有し、これにより、外層は荷重下で伸長して半径方向に収縮する。
【0004】
このような組み合わされた線を作るには比較的費用がかかるし、それは、湿気、水分などの運用中の一般的な環境の影響から十分に保護されていない。
【0005】
環状ネットまたはメッシュとして知られているネットは、耐引裂性および変形性が高いことで際立っているため、かなりの程度まで応力を加えることができる。引用文献の欧州特許第0979329号明細書によれば、このような保護ネットは、好ましくは落石保護のための、または地表層を固定するための、コイル形状の曲がった高強度鋼ワイヤから織られた、三次元構造を有する高強度ワイヤメッシュとして知られている。コイル形状の曲がったワイヤは、ワイヤメッシュのスロットの形状およびサイズを決定する2つの曲げ部間に螺旋の角度および長さを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2165017号明細書
【特許文献2】欧州特許第0979329号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、本発明は、重量を最適化するワイヤで作られた長手方向要素と同様の特性を示すように、特に、異なる用途のための牽引または懸架手段のための長手方向要素を形成する問題に基づいており、それにより、それは、厳しい環境条件下でも完全にうまく機能しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この問題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0009】
ワイヤの代わりに、複数の高強度繊維のコアを用いて作られる長手方向要素はそれぞれ、このコアを囲む少なくとも1つの好ましくは鋼の金属ケーシングで作られる。
【0010】
好適には、関係する長手方向要素の金属ケーシングは、これらの繊維に対して気密性、UVを通さない、光および/または水不透過性の層を形成するようにコアの外周に取り付けられる。
【0011】
これには、その強度に対して非常に軽いこれらの高強度繊維が、多くの点で、特に湿気、水分、UV光、および他の環境の影響から保護され、また金属ケーシングに結合されることによってほぼ同じ程度伸長するという大きな利点がある。金属ケーシングはまた、繊維を横荷重から保護し、これにより、牽引または懸架手段の高強度特性は全体として持続的に維持される。
【0012】
ワイヤ形状の長手方向要素のこの実施形態の重要な利点の1つは、複数の用途に適していることである。
【0013】
それらは、例えば、保護、安全、水産養殖、または建築の目的のためにネット、メッシュ、格子などの長手方向要素として使用されてもよい。
【0014】
これらの長手方向要素は、特にケーブルカーの線および輸送における、螺旋ワイヤまたは撚りワイヤ、プレストレス線などの牽引または懸架手段にちょうど適している。これらの長手方向要素は、連続的線構造および持続的線構造(running and standing line constructions)の両方で使用されてもよい。
【0015】
一方、これらの長手方向要素はまた、電気ケーブル、通信ケーブル、または通信線に使用されてもよく、これにより、それらは厳しい環境条件下でも永久的に完全に機能することを保証される。
【0016】
好適には曲げ効果を同時に有しながら低重量での高い引張力および/または高度な耐環境性を必要とするこのようなワイヤ形状の長手方向要素の他の用途も本発明の範囲内で可能である。これらの長手方向要素は、互いに平行に配置して、すなわち編まれずに使用されてもよい。
【0017】
本発明の範囲内の実施形態および他の利点は、以下の図面の助けを借りてより詳細に説明される。これらは以下のように示される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】断面を有する長手方向部分の斜視部分図である。
図2図1におけるような編まれた長手方向要素を有する螺旋線として作られた牽引および/または懸架手段の断面図である。
図3】本発明におけるような編線として作られた牽引および/または懸架手段の断面図である。
図4】本発明におけるようなシール線として作られた牽引および/または懸架手段の断面図である。
図5】本発明におけるようなワイヤ形状の長手方向要素を有する通信線の断面図である。
図6】本発明におけるようなワイヤ形状の長手方向要素を有する電気ケーブルの断面図である。
図7】一体化されたワイヤ形状の長手方向要素を有する電気ケーブルの別の変形例の断面図である。
図8】本発明におけるようなねじられた長手方向要素として織られたメッシュとして示されているネットの部分図である。
図9】連結環状長手方向要素で作られた、保護区域用の安全ネットの部分図である。
図10図9におけるような長手方向要素で作られたネットのリングの断面図である。
図11】本発明におけるような長手方向要素で作られたメッシュの部分図である。
図12】本発明におけるような長手方向要素の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、特に非常に大きな力であっても引張力および/または引張荷重を吸収することができる長手方向要素13を示す。これは、以下の実施形態が示すように広範囲の用途で使用され得る。
【0020】
本発明によれば、ワイヤとして作られたこの長手方向要素13は、複数の高強度繊維11のコア12と、好ましくは鋼および/またはステンレス鋼で作られた、このコア12を囲む金属ケーシング15とを備える。
【0021】
金属ケーシング15は、繊維11で形成されたコア12の周囲に、長手方向要素13の長手方向の範囲に沿って配置され、例えば、側縁の突き合わせ面で溶接シーム15’によって保持される。
【0022】
このように金属ケーシング15を溶接することにより、これらの繊維11に気密および水密コーティングが施され、これらはUV光および大気からシールされ、それらの耐用年数が延長される一方で、実質的にそれらを経年劣化させることなくほぼ同じ強度が維持される。これは、金属ケーシングがステンレス鋼で作られる場合、さらに向上し得る。
【0023】
金属ケーシング15には、長手方向要素の適切な可撓性ならびに/または十分な衝撃および/もしくは圧力抵抗を達成するために特定の曲げおよび/または座屈強度が与えられる。
【0024】
金属ケーシングには、その長手方向の範囲に沿って可変ケーシング断面が与えられてもよく、加えて、異なる種類の高強度繊維11が、関係する特定の用途の異なる要件を満たす最適な設計を得るために使用されてもよい。
【0025】
金属ケーシングは、第2のおよび/またはより多くのケーシング層からなっていてもよい。可変断面を実現するために、少なくとも第2のケーシング層が、特定の距離を含めて第1のケーシング層に適用されてもよい。
【0026】
本発明のさらなる特徴は、金属ケーシング15が円筒形の外面を有するように作られることである。もちろん、この外面は、必要に応じて異なる形状にされてもよい。
【0027】
好適には、例えばゲルもしくは接着剤、バンデージ(bandaging)、またはこれらの混合物などの充填層14が、関係するワイヤ状要素の金属ケーシング15とコア12との間に挿入されてもよい。用途に応じて、異なる硬度の充填層が、長手方向要素の異なる横荷重特性および引張特性を得るために使用されてもよい。これは、その横荷重強度を最適化するために用途に応じて異なる方法で、完成した長手方向要素で行われる取り付けの度合いを設計するために使用されてもよい。
【0028】
金属ケーシングおよび/またはコアには、ほぼ均一な引張/伸長挙動を与えるために摩擦および/または接着によって繊維11と金属ケーシング15の内部とのより良好な接続をもたらすように表面粗さが与えられてもよい。
【0029】
金属ケーシングは、好ましくは、繊維が挿入され得るチューブとして作ることができる。
【0030】
金属ケーシングは、溶接、接着、もしくは同様の接続によって、またはそのようなものなしでも、重なり合うおよび/または当接する側縁で接合することができる少なくとも1つの金属ストリップをコアの周囲に巻き付けることによって同様に十分に作ることができる。金属ケーシングに適した材料は、亜鉛めっき鋼などの耐食性材料だけでなく、非腐食特性を有するアルミニウムまたは銅である。
【0031】
高強度繊維は、2000N/mm2を超える引張強度を有する、例えばアラミド繊維(Twaron 2200)などのプラスチック繊維および/または炭素繊維などの炭素繊維または玄武岩繊維で作られてもよい。もちろん、HMPEおよび/または高弾性ポリエチレン繊維(Dyneema)などの、同様の特性を有する他の材料を使用することができる。いわゆる玄武岩繊維ならびに/またはプラスチックおよび玄武岩もしくは別の鉱物添加物の混合物の繊維を使用することができる。繊維は、互いに平行に配置されてもよいし、ねじられてもよい。
【0032】
高強度繊維の少なくとも一部は、好ましくは0.4mmなどの非常に小さな直径と好ましくは2500N/mm2を超える引張強度とを有する鋼繊維(スチールコード)で作ることもできるが、2000N/mm2を超える引張強度を有する、繊維以外の材料も可能である。
【0033】
高強度繊維、スチールコード、および/または他の材料で作られるコア12は、通常のワイヤの直径にほぼ等しい好ましくは1.5から8mmの外径を有するように寸法決めされる。金属ケーシングの壁厚は、好ましくは0.1から1.0mmであり、その場合、これのために、800N/mm2を超える鋼、好適には1000N/mm2を超える強度を有する高強度鋼が使用される。
【0034】
図2は、従来のように線にされた長手方向要素13から構成された螺旋線10を示す。このような螺旋線10は、とりわけ、例えばエネルギーおよび/またはデータを防止、緩和、および/または伝達するために使用される防止線、信号線、または張力緩和線として適している。しかしながら、それはまた、支持線として、またはその上を走るケーブルカーのキャビン用の線として使用されてもよい。
【0035】
それはまた、好適には、特に、長手方向要素13が撚り合わされることなく互いに隣接して配置されるか、またはわずかにしか巻かれない屋根構造などの静的構造のためのプレストレスストランドとして使用することができる。
【0036】
本発明によれば、ワイヤとして作られる長手方向要素13は、いずれの場合も、複数の高強度繊維11のコア12と、このコア12を囲む少なくとも1つの金属ケーシング、好ましくは鋼ケーシングとで作られる。
【0037】
図3は、プラスチックコア22に巻き付けられた複数のストランド21を備える牽引または懸架手段としての編線20を示す。
【0038】
本発明によれば、個々のストランド21は、複数の高強度繊維28、29のコア26、27と、このコア26、27を囲む好ましくは鋼の少なくとも1つの金属ケーシング25、35とでそれぞれが作られるワイヤ状の長手方向要素23、24を巻くことによって作られる。
【0039】
それ以外の場合、これらの長手方向要素23、24は、図1および/または図2のものと同じ方法で作られ、したがって、これ以上詳しくは扱わない。
【0040】
好適には、編部21のすべての長手方向要素23、24は、本発明におけるように作られるが、最も内側のものなど、個々の長手方向要素はまた鋼ワイヤで作られてもよい。
【0041】
図4は、内側の長手方向要素32が丸い断面を有する一方で外周または他の追加の層の長手方向要素31がZ字形状(断面)を有する既知の手段によって提供される牽引または懸架手段としてのシール螺旋線30を示す。
【0042】
本発明によれば、これらのZ字形状の長手方向要素31および内側の長手方向要素32も同様に、いずれの場合も、複数の繊維36、37のコア33、34と、このコア12を取り囲む少なくとも1つの金属、好ましくは鋼のケーシング38、39とで作られ、これらの繊維36、37は、1つの長手方向要素についてのみ示されているが、好適にはすべてがこのように作られる。
【0043】
本発明の特定の特徴として、これらのZ字形状の長手方向要素31はそれぞれ、繊維36を有するこのほぼZ字形状のコア33を収容する適切な形状の金属ケーシング39を有するように作られる。これらのZ字形状の代わりに、I字形状、楔形状、または他の形状の長手方向要素が使用されてもよい。
【0044】
金属ケーシングは、好適には、ステンレス鋼などの耐食性材料で作られるかまたはコーティングされる。ただし、これはまた、2つ以上の層で作られてもよい。
【0045】
鋼ケーシングの外周は、ワイヤおよび/またはストランドなどのための適切な開口を有するように作ることができる。
【0046】
また、金属ケーシング内に、その剛性を高める連続したブレースまたは相次いで配置される複数のブレースなどを配置することができる。個々の長手方向要素の表面は、互いに相互作用するように表面の設計および/または粗さに関して最適化することができる。
【0047】
高強度繊維のコアの表面は、ケーシングと接触する繊維への過大な荷重は生じないがコアがEの係数(modulus of E)および強度の点でケーシングと最適に接続されるように作られるべきである。
【0048】
図5は、編部により多層の導体51、52、53からそれ自体従来の方法で作られた通信線50の断面図を示す。個々の導体51、52、53は、いずれの場合も、絶縁ケーシングに囲まれた個々のワイヤまたはワイヤストランドで作られてもよい。少なくとも1つの導体54も、通信目的などのために提供される線50の内層と一体化される。
【0049】
本発明によれば、線50には、いずれの場合もこれらの高強度繊維とこれを囲む金属ケーシングとからなる多数のワイヤ形状の長手方向要素56が一体化され、これはより詳しくは示されない。ここでの2つの外層において、導体52、53および隣接する長手方向要素56が交互している。もちろん、導体および/または長手方向要素の配置は、線50をどの程度強くすべきかに応じて異なる方法で選択することもできる。
【0050】
図6は、本発明におけるような電気ケーブル60の断面図を示し、その内部は、ケーシング62および絶縁体を伴う銅導体63を有する従来の単一または複数の導体61を備える。この導体61は、高強度繊維66とこれらを囲む金属ケーシング65とを有する長手方向要素64の2つの層によって覆われている。
【0051】
図7は、ケーシング73と、多数の絶縁銅導体71などと、それと一体化された長手方向要素74とを備えるさらなる変形例の電気ケーブル70の断面を示す。高強度繊維75およびこれらを囲むケーシング76を有する長手方向要素74は、銅導体71と同じ外径を適切に有するため、これらは互いに編まれ得る。3つの長手方向要素74が、中央の銅導体71の周囲に織られて配置され、いずれの場合も、これらの銅導体71間に3つが配置される。この電気ケーブル70の場合も、これらの長手方向要素の数および配置に違いが与えられてもよい。
【0052】
もちろん、関係する要件または用途に応じて上で説明したものとは異なるように設計することができる、本発明におけるような長手方向部分を有する通信または電気ケーブルのさらに他の変形例を示すこともできる。理論的には、長手方向要素は、1つ以上のプラスチック層のケーシングを有するように作ることもできる。
【0053】
図8は、図示のように高強度繊維84および金属ケーシング85で作られた螺旋状に曲げられた長手方向要素81、82で作られた既知のネット80で本発明がどのように使用されるかを示す。端部側では、これらのツイストペア長手方向要素81、82は、ループ83によってまたは同様に連結されて互いに接続される。少なくとも2つのこのような長手方向要素は、ストランドとして提供することもできる。
【0054】
好ましくは、完成した長手方向要素の取り付けの度合いが高い横方向圧力強度を有するように、長手方向要素81、82を使用するときの硬さは、充填層を用いて選択され、これにより、これらの螺旋形状の長手方向要素81、82は荷重下でも曲げに対する耐性を維持する。
【0055】
このようなネットおよび/またはメッシュは一般に、アクセスが困難な山岳地帯に設置されるため、これらの軽量化は、これらの輸送および設置の際に大きな利点をもたらす。
【0056】
図9は、例えば山腹に設置され、落下する石、がれ、木などおよび/または雪崩を受け止めるために使用することができる受け止めネット90の図を示す。
【0057】
この受け止めネット90は、それ自体知られている方法で連結リング97で作られ、地面に固定される支持および/または保持線92ならびに支持体91によって保持される。保持線92には、好ましくは、衝撃時に追加のエネルギーを吸収する既知の抑制要素93が設けられる。
【0058】
受け止めネット90の連結リング97はそれぞれ、少なくとも1つの巻かれたワイヤ形状の長手方向要素98で作られ、好適には、それぞれのリングを把持するクランプ97’などによって結合される。
【0059】
本発明によれば、これらの巻かれた長手方向要素98はそれぞれ、図10が示すように高強度繊維94のコアとこれらを囲む金属ケーシング99とで作られる。
【0060】
この金属ケーシング99は、長手方向要素98に沿って連続的に溶接シーム99’によってシールされる。好ましくは、これらの溶接シーム99’は、長手方向要素98の巻かれた状態でリング97の内側に配置され、これにより、それらは取り付けられたときに圧縮される。長手方向要素98はまた、それらの端部で互いに溶接されてもよいし、ロックを備えてもよい。同様に、金属ケーシングを、いずれの場合も、チューブとしてリングに予め形成し、繊維をこのチューブに導入することもできる。
【0061】
本発明におけるようなこのような長手方向要素は、既知の手段によって作られる保持線92および抑制要素93に使用することもできる。
【0062】
図11は、互いに一定の距離を置いて軸方向および横方向に配置されたストランド41、46から構成されたメッシュ40の一部を示し、ストランド41、46は、いずれの場合も、巻かれた長手方向要素42、43で作られている。これは、一方のストランド46の場合、それに対して角度をなして配置されるストランド41が通る、メッシュの長さに対応して交差点47で2つの長手方向要素48、49間に、それらを互いに結合する開口46’を形成する。
【0063】
本発明によれば、ストランドを形成するように巻かれたこれらの長手方向要素42、43はそれぞれ、高強度繊維44のコアとこれらの周囲の金属ケーシング45とを備える。
【0064】
このようなリングネット、メッシュ、または本発明におけるようなこれらの長手方向要素を用いてそれぞれ作られた他の種類のネットおよび/もしくはメッシュは、保護、安全、水産養殖、または建築などのために斜面を安全にすることに特に適している。これらは、軽量化して輸送コストを削減し、これらの設置を容易にするか、またはネットおよびメッシュをより強くより使いやすくするために使用することができる。
【0065】
図12は、図1に示されたものと同様に設計され、以下の違いが加えられたさらなる実施形態の長手方向要素16を示す。
【0066】
本発明によれば、この長手方向要素16は、複数の高強度繊維11のコア12と、それらを囲む充填層18と、複合層19と、これを囲む金属ケーシング15とを備える。金属ケーシング15には、その長手方向の範囲に沿って、例えば溶接シーム15’が設けられる。
【0067】
繊維11を囲むこの充填層18は、好ましくは、発泡体または注型樹脂として使用され得るポリウレタンなどのプラスチックからなる。接着剤である複合層19は、コア12および充填層18と金属ケーシング15との間にほぼ同じ高さの接合部が作られることを保証し、これにより、長手方向要素16のコアおよび金属ケーシングにおける引張応力の荷重分散力分布および/または耐荷重能力をもたらす。
【0068】
したがって、関係する用途に応じて、この充填層18および/または複合層19に、それらが運用要件を満たすように、可撓性があり、圧力安定性があり、収縮が小さい材料を使用することができれば好適である。このような適切な材料は、プラスチック、好適にはポリウレタンまたはアラタン(arathane)であるが、他の物質も使用されてよい。これらの長手方向要素が、設置されたときに大きく変動する温度にさらされる場合、材料はまた耐熱性および耐寒性でなければならない。
【0069】
この充填層18および/または複合層19のさらなる要件は、保護物としてのこれらが、チューブとして作られた金属ケーシング15が溶接されるときに高強度繊維11が過熱によって弱化せず、さらにはその引張強度を失わないように断熱特性を有さなければならないことである。
【0070】
本発明の過程において、このような長手方向要素16は、繊維11が最初に互いに重ね合わされておよび/または束ねられて充填層18によって囲まれるように作られる。充填層18は、それに押し付けられるか、またはそれに樹脂として塗布されて付けられてもよい。金属ケーシング15は、長手方向プレートなどからある長さに切断され、複合層19および充填層18が、場合によりその内側に付けられてもよい。それは、次に、繊維11との間に遊びがないように繊維11の周囲に曲げられ、次に、その端部で溶接シーム15’を固定させることによって長手方向要素16として作られる。長手方向要素が永久的に耐候性を維持するように、金属ケーシングが気体および水不透過性であることが、作られた時点で検証されなければならない。
【0071】
もちろん、長手方向要素の特定の特性を達成することができるならば、この充填層および複合層の代わりに、どちらか一方のみを使用することができるし、いずれの場合もただ1つより多くの層を設けることができる。例えば、プラスチックの断熱材料の薄い別個の層を組み込むことができる。
【0072】
充填層および/または複合層を繊維間のコア内に拡張して、コアをより良好に一緒に保持することも可能である。
【0073】
本発明は、上で説明した実施形態で十分に示されているが、それは他の変形例によって示すこともできる。
【0074】
金属ケーシングは、重なった部分でおよび/またはケーシングの突出した端部の表面で接着することもできる。
【0075】
複合材の損傷または疲労による変化を検出するために、光学的または電気的な測定要素がまた、磁気誘導による損傷の検出を可能にするためにコアにまたは金属ケーシングとコアとの間に挿入されてもよい。一方、現代の測定方法(例えばMRT)を使用して損傷を検出するために、磁化可能なケーシング材料を使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】