特表2020-515752(P2020-515752A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-515752NOxの固定汚染源の排気システムにおける劣化したSCR触媒床の使用寿命を延ばす方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515752(P2020-515752A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】NOxの固定汚染源の排気システムにおける劣化したSCR触媒床の使用寿命を延ばす方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20200501BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20200501BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20200501BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20200501BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200501BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200501BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   F01N3/28 301D
   F01N3/10 A
   F01N5/02 A
   B01D53/86 222
   B01D53/94 222
   B01D53/86 228
   B01D53/94 228
   B01J35/04 301Z
   F01N3/08 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-528667(P2019-528667)
(86)(22)【出願日】2017年11月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年7月8日
(86)【国際出願番号】GB2017053599
(87)【国際公開番号】WO2018100368
(87)【国際公開日】20180607
(31)【優先権主張番号】62/428,589
(32)【優先日】2016年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アンデルセン, ポール ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ドーラ, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】カラフ, シンディー
(72)【発明者】
【氏名】レップ, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】イエ, トーマス
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA06
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4G169ZA32A
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(57)【要約】
NOの固定汚染源の排気ガス後処理システムにおいて、システムから大気に放出された排気ガスがNOとアンモニア双方の排出について違反限界を満たし続けるように、窒素含有還元剤の存在下で窒素酸化物(NO)から二窒素(N)への転化を触媒する、劣化した選択的触媒還元(SCR)触媒床の使用寿命を延ばす方法において、劣化したSCR触媒床の下流で、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒(ASC)を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材を後付けする工程を含み、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含むハニカム基材モノリスのkNOが、約300〜約400℃の間で約80m/hr以上であり、ここで、空気中10%HO(水蒸気として)中450℃において48時間劣化させた触媒サンプルのkNOが、50ppmのCO、30ppmのNO、36ppmのNH、15%のO、8%の水、3%のCO、残部Nのガス組成を使用する実験室規模の反応器におけるSCR活性試験によって決定される、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOの固定汚染源の排気ガス後処理システムにおいて、システムから大気に放出された排気ガスがNOとアンモニア双方の排出について違反限界を満たし続けるように、窒素含有還元剤の存在下で窒素酸化物(NO)から二窒素(N)への転化を触媒する、劣化した選択的触媒還元(SCR)触媒床の使用寿命を延ばす方法において、劣化したSCR触媒床の下流で、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材を後付けする工程を含み、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含むハニカム基材モノリスのkNOが、約250〜約400℃の間で約80m/hr以上であり、ここで、空気中10%HO(水蒸気として)中450℃において48時間劣化させた触媒サンプルのkNOが、50ppmのCO、30ppmのNO、36ppmのNH、15%のO、8%の水、3%のCO、残部Nのガス組成を使用する実験室規模の反応器におけるSCR活性試験によって決定される、方法。
【請求項2】
触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材のkNOが約300m/hr以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材のkNOが、約300〜約400℃の間で約90<kNOx<約300m/hである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒が、約250℃より上で>約70%のNHを転化する、請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒が、約300℃より上で>約80%のNHを転化する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒が、約400℃未満で<約20%のsNOx=NOxout/(NHin−NHout)を有し、ここで、sNOxは、kNOxを決定するために請求項1に定義されたものと同じ条件を使用して決定される、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒が、約350℃未満で<約10%のsNOxを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒に排気ガスが接触する空間速度が50000〜500000h−1である、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒が、耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属と選択的触媒還元触媒とを含む、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属中の白金族金属が約1〜約40g/ftまで充填される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
SCR触媒が、アナターゼ型のチタニア上に担持され、かつタングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
SCR触媒が金属促進モレキュラーシーブである、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項14】
SCR触媒が、アナターゼ型のチタニア上に担持されかつタングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアと金属促進モレキュラーシーブとの混合物を含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項15】
モレキュラーシーブがアルミノシリケートゼオライトである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
モレキュラーシーブが、8個の四面体原子の最大環サイズを有する、請求項13、14又は15に記載の方法。
【請求項17】
モレキュラーシーブが、CHA、AEI又はAFXであるフレームワークタイプコードを有する、請求項13、14、15又は16に記載の方法。
【請求項18】
モレキュラーシーブがフレームワークタイプコードBEA、MOR、MFI又はFERを有する、請求項13、14又は15に記載の方法。
【請求項19】
金属促進モレキュラーシーブ中の金属が銅及び/又は鉄である、請求項13から18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
白金族金属用の耐火性酸化物担体が、シリカドープアルミナ、チタニア又は任意にドープされたジルコニアである、請求項10から19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
ハニカム基材モノリス又はプレート型基材が軸方向長さを有し、耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属を含む第一ウォッシュコート層と、SCR触媒を含む第二ウォッシュコート層とでコーティングされる、請求項10から20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
第一層がハニカム基材モノリスの第一端部からコーティングされた第一ゾーンに配置され、第二層がハニカム基材モノリス又はプレート型基材の第二端部からコーティングされた第二ゾーンに配置され、第二層が第一層より上流に配置されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
第一ゾーンがハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向長さより小さく、第二ゾーンの第二層が第一層を少なくとも部分的に覆う、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第二層が、ハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向全長にわたって延びている、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第一層がハニカム基材モノリスの軸方向全長に延び、第二層が第一層を覆い、かつハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向全長に延びる、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
NOx排出についての違反限界が2ppm以下である、請求項1から25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
アンモニア排出についての違反限界が10ppm以下である、請求項1から26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
排気ガスがSCR触媒床と接触する温度が、約200℃〜約450℃である、請求項1から27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
窒素含有還元剤がアンモニア(NH)である、請求項1から28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
劣化SCR触媒床と接触するNOx分子に対するアンモニア分子のアルファ比が約0.90〜約2.00である、請求項1から29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
NOの固定汚染源が、発電所、工業用ヒーター、コージェネレーションプラント、複合サイクル発電所、木材燃焼ボイラ、定置式ディーゼル機関、定置式天然ガス燃焼機関、船用推進機関、ディーゼル機関車、産業廃棄物焼却炉、都市ごみ焼却炉、化学プラント、ガラス製造プラント、鉄鋼製造プラント又はセメント製造プラントである、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
排気ガスが、コージェネレーションプラント、好ましくは定置型天然ガス燃焼機関の生成物である、請求項1から30の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
排気ガス後処理システムが熱回収蒸気発生器(HRSG)を備える、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
SCR触媒が、基材上にコーティングされたウォッシュコートであるか、又は押出ハニカム体の構成要素である、請求項1から33の何れか一項に記載の方法。
【請求項35】
SCR触媒が、
(i)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジア;
(ii)金属促進モレキュラーシーブ;又は
(iii)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアと金属促進モレキュラーシーブとの混合物
の一つである、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は、NOxの固定汚染源の排気システムにおける劣化した選択的触媒還元触媒床の使用寿命を延ばす方法に関する。
【0002】
天然ガス、軽質留分又は合成ガス(例えば石炭由来)を燃料とする現代の発電機では、ガスをガスタービン内で燃焼させて第一サイクルにおいて電気を発生させ、そのガスの燃焼から発生する熱を第二サイクルにおいて蒸気作動式熱機関で回収される複合サイクルガスタービンが運転される。これら二サイクルの組合せは、システムの正味の全体効率を向上させる。第二サイクルは、通常、熱回収蒸気発生器(HRSG)システムとして知られているものにおいて行われ、これは通常、第一サイクルにおけるガスの燃焼から生じる排気ガス中の窒素酸化物(NOx)、一酸化炭素(CO)及び未燃炭化水素(HC)を含む成分を処理するための触媒成分もまた含む。これらの触媒成分の触媒活性は、処理されている排気ガスの熱が触媒成分自体に伝達されることによって促進される。HRSGシステム内の触媒成分の位置は、温度最適化触媒活性について選択することができる。
【0003】
固定汚染源から、主に発電所、工業用ヒーター、コージェネレーションプラント、例えば木材燃焼ボイラ、定置式ディーゼル及びガス機関、船用推進機関、ディーゼル機関車、産業及び都市ごみ焼却炉、化学プラント及びガラス、鉄鋼及びセメント製造プラントからのNOxの排出は大きな環境問題である。NOxは、対流圏でのオゾン生成、酸性雨の生成、そして人間の呼吸器系の問題を引き起こす。NOxは、空気中に存在するNとOの組合せによって燃焼過程において熱的に生成される。約1500℃を超える温度で、この反応はZeldovichメカニズムと呼ばれるよく特徴付けられたメカニズムを通してかなりの速度で進行する。
【0004】
様々な規制当局によって特定されたNOx排出基準を満たすために、排気(煙道)ガスの後処理法が必要とされている。そのような後処理法のなかで、選択的触媒還元(SCR)法は、その効率、(N生成物への)選択性及び経済性により、固定汚染源からのNOx排出の制御に対して最も良好に開発され世界的に最も広く使用されている。SCR反応は一般にアンモニア(NH)によるNOxの還元からなり、水と窒素を形成する。
【0005】
SCRのNOx還元に関与する主な反応は、反応(1)、(2)及び(3)に示される:
4NO+4NH+O→ 4N+6HO (1)
6NO+8NH → 7N+12HO (2)
NO+NO+2NH → 2N+3HO (3)
【0006】
反応(1)〜(3)を促進する3種類の触媒、すなわち貴金属、金属酸化物及び金属促進ゼオライトが開発されている。貴金属SCR触媒は、約200℃を超える温度でSO酸化を不必要に促進しうるので、主に低温及び天然ガス用途に対して考えられる。
【0007】
300〜400℃用途に対して開発された様々な金属酸化物SCR触媒のなかで、アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアが、硫酸化に抵抗し、SO酸化反応に対して低い活性を有していることが見出された。
【0008】
固定汚染源のNOx排出物を処理するための市販のゼオライトSCR触媒としては、モルデナイトが挙げられる(R.H. Heck等, “Catalytic Air Pollution Control - Commercial Technology”, 3版 (2009) John Wiley & Sons, Inc. Hoboken, New Jerseyを参照)。特に第12章を参照のこと。
【0009】
Feで促進されたゼオライト触媒は、主に高温、すなわち600℃までの温度でガス燃焼コージェネレーションプラントで使用するためのSCR用に提案されており、金属酸化物触媒は熱的に不安定でありうる。
【0010】
市販のSCR触媒は、押出ハニカムモノリス、プレート、又は不活性ハニカムモノリス上のコーティングとして配置される。
【0011】
SCR法をNOx排出の固定汚染源に適用することに対する背景のより完全な説明については、P. Forzatti, App. Cat A: General 222 (2001) 221-236を参照のこと。
【0012】
反応(3)は、反応(1)又は特に反応(2)の何れと比較しても比較的速い反応であることが知られているので、好ましい。この目的のためにSCR触媒の上流に配置される適切な酸化触媒もまた排気ガス中のCO及びHC成分を処理するのに関連している。SCR触媒の上流への還元剤注入は一般に酸化触媒の下流で行われ、システム全体の転化性能が結果として低下する(NOxへの酸化による)アンモニアの非効率的な消費が回避される。アンモニア注入は、アンモニア注入グリッド(AIG)などの適切な装置を介して行うことができる。
【0013】
上記SCR触媒の何れもHRSGシステムにおいてNOxを処理するために使用することができるが、ガス燃焼排気ガス温度は、上記金属酸化物又は金属促進ゼオライトが適切であることを一般に必要とする。
【0014】
ガスタービン排出制御システムは、一般に、CO酸化触媒(CO−Ox)と、それに続くアンモニア注入グリッド(AIG)、そして最後にSCR触媒床(SCR)を含む。触媒系が劣化するにつれて、CO転化率は低下し、SCR性能は悪化する。システム全体のNOx排出量を所定の最小値以下に維持するために、プラントオペレータはアンモニア:NOx比を増加させて、反応(1)、(2)及び(3)を推進し続ける。しかしながら、これはアンモニア排出(「スリップ」)を増加させ、還元剤の消費を通して運転コストを増加させる。アンモニアスリップとは、NOxと還元剤との不完全な反応から生じる未反応のアンモニアの排出を指す。アンモニアスリップは硫酸アンモニウムの生成を引き起こす可能性があり、これが下流の部品を詰まらせ又は腐食させ、大気への粒子状物質(PM2.5)排出の望ましくない一因となりうる。米国では、許容アンモニアスリップレベルは典型的には2〜10ppmである。
【0015】
最終的には、SCR触媒活性は、アンモニア:NOx比が所定の最大値を超えることなくもはや増加させることができなくなる点まで劣化する。この時点で、典型的な慣例は、システムが排出基準に準拠し続けることができるように、使用済み触媒を除去して処分し、新しい触媒と交換することである。
【0016】
本発明者等は、非常に驚くべきことに、NOxを違反限界内まで処理するガスタービンの排気システムにおける寿命末期のSCR触媒床の能力を、寿命末期のSCR触媒自体を交換するよりもより経済的に寿命末期のSCR触媒床の下流にアンモニアスリップ処理用の触媒(ここではアンモニアスリップ触媒又は「ASC」と呼ぶ)を後付けすることにより、違反NHスリップ限界を超えることなく50%まで延長できることを見出した。この発見は、SCR触媒床体積と比較して比較的小さい触媒体積を使用して恩恵を得ることができ、その結果システムに追加される追加の背圧が無視でき、全体の発電効率に大きな影響を与えないというかなりの利点を有する。
【0017】
一態様によれば、本発明は、NOの固定汚染源の排気ガス後処理システムにおいて、システムから大気に放出された排気ガスがNOとアンモニア双方の排出について違反限界を満たし続けるように、窒素含有還元剤の存在下で窒素酸化物(NO)から二窒素(N)への転化を触媒する、劣化した選択的触媒還元(SCR)触媒床の使用寿命を延ばす方法において、劣化したSCR触媒床の下流で、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材を後付けする工程を含み、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含むハニカム基材モノリスのkNOが、約250℃〜約400℃の間で約80m/hr以上であり、ここで、空気中10%HO(水蒸気として)中450℃において48時間劣化させた触媒サンプルのkNOが、50ppmのCO、30ppmのNO、36ppmのNH、15%のO、8%の水、3%のCO、残部Nのガス組成を使用する実験室規模の反応器におけるSCR活性試験によって決定される、方法。
【0018】
本発明は多数の重要な利点を提供する。SCR触媒の使用寿命は最大2倍まで延長することができる。これにより、比較的大きなSCR触媒容量をかなりの期間、リサイクルし又は埋立地に送る必要がないという点で、資源の持続可能な利用が促進される。
【0019】
実際には、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒を含む比較的小容量の後付けハニカム基材モノリス又はプレート型基材が、SCR触媒の交換費用よりも低いコストで後付け触媒を製造することを可能にする要因のほんの一つである。後付け触媒のコストは、SCR触媒交換コストよりも20%以上安くなりうる。
【0020】
アンモニアスリップ触媒は、次の全体反応を促進するように選択的に設計されている:
4NH+3O → 2N+6HO (4)
【0021】
以下に更に詳細に記載されるように、米国特許出願公開第2007/0110643 A1号、第2016/0245139A1号及び第2016/0256823A1号は、ガスタービン機関の排気システムにおいてSCR触媒の下流での、又はSCR触媒と組合せての、アンモニアスリップ触媒(アンモニア酸化(「AMOX」)触媒としても知られる)の使用を提案している。
【0022】
しかしながら、上に記載されたように、SCR触媒床はごく僅かなアンモニアスリップでNOxを転化することができ、何れにしても比較的低いレベルのアンモニアを大気に放出することは許されるので、発電所オペレータは一般に新しく設置されたSCR触媒床の下流にはアンモニアスリップ触媒を含めない。従って、これらの刊行物によって提案されたシステムにアンモニアスリップ触媒を加えることは不必要であり、経済的なコスト及びシステムを設置するプラントオペレータへの負担を不都合に増大させる。
【0023】
米国特許出願公開第2007/0110643A1号は、発電所のガスタービン機関によって生成されるような排気ガス流中のNOx、HC及びCOの濃度を低減するための排気ガス処理装置を開示している。その処理装置は、アンモニア注入装置の下流に配置された上流側の還元のみの部分と下流側の還元酸化部分とを有する多機能触媒成分を含む。化学量論的濃度を超えるアンモニアの注入により、触媒成分の上流部分でNOxの選択的触媒還元(SCR)が促進され、生じるアンモニアスリップが触媒成分の下流部分で酸化される。アンモニアの酸化によって生成された如何なる追加のNOxも、大気に送られる前に下流部分で更に還元される。
【0024】
米国特許出願公開第2016/0245139A1号は、空気中で燃料を燃焼させて電力を生成するための熱源を備える発電装置用の排気システムを開示しており、排気システムは、流れる排気ガスを受け入れるように構成され、排気ガスを処理するための触媒システムを備え、触媒システムは第一酸化触媒と第二触媒とを含み、流れる排気ガスが第二触媒の前に第一酸化触媒と接触するように第一酸化触媒が熱源の下流に配置される。
【0025】
米国特許出願公開第2016/0256823A1号は、エンジン系の排気導管に流体的に連結された窒素酸化物還元触媒を含むシステムを開示している。窒素酸化物還元触媒は、エンジン排気中の窒素酸化物を還元するように構成されている。このシステムはまた窒素酸化物還元触媒の下流で排気導管に流体的に連結され、エンジン排気中のアンモニアを還元するように構成されたアンモニア酸化触媒を含む。更に、このシステムは、排気導管への還元剤の注入を制御し、窒素酸化物還元触媒の第一窒素酸化物転化率を決定し、窒素酸化物還元触媒のアンモニア貯蔵値を決定し、そしてアンモニア酸化触媒の上流のエンジン排気の第一温度を決定するように構成される還元剤注入制御システムを含む。還元剤注入制御システムはまた第一窒素酸化物転化率、アンモニア貯蔵値、及び第一温度に基づいて還元剤の注入を増減するように構成されている。
【0026】
米国特許第7727499号公報は、アンモニアによる窒素酸化物(NOx)の還元のために選択的触媒還元(SCR)に供せられた煙道ガス及び排気ガスから生じる過剰のアンモニア(NH)ガス(「アンモニアスリップ」)の酸化による除去方法を開示している。より具体的には、その方法は、窒素酸化物(NOx)の生成を最小限に抑えながら、アンモニアと一酸化炭素(CO)の両方の酸化を触媒するために、ゼオライト、一又は複数種の貴金属、及び卑金属化合物からなるアンモニア酸化触媒を使用する。
【0027】
速度定数kNOxは次の通りに定義される:
速度定数(kNO(m/hr))=−面積速度(A(m/hr)×ln(1−NO転化率/100))
ここで、面積速度A(m/hr)=Q(体積流量(m/hr))/Acat(触媒表面積(m))である。
【0028】
これらの式から、触媒のkNO定数は、ハニカム基材モノリス又はプレート型基材のピッチ(又はセル/平方インチ)、従ってハニカム基材モノリス又はプレート型基材の体積にも依存しないことが分かる。
【0029】
実際には、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒、すなわちアンモニアスリップ触媒(ASC)は、経済的に可能な限り低い圧力損失を有することが望ましい。これは、SCR触媒を単独で含むシステムと比較して、システムにASCを追加すると追加の圧力損失が生じ、それに対処するために追加のエネルギー入力が必要となるためである。この追加のエネルギー入力は、システム内の追加のエネルギー要求が全体として発電サイクルの効率を低下させる可能性があるため、ガスタービン発電にとって重要となりうる。
【0030】
圧力損失の重要な成分はASC床の深さである。ASC床の深さは、例えば、操作温度、ASCを構成する基材モノリスのkNOx及びピッチ(又はハニカムセル密度)によって影響を受ける可能性がある。そのため、例えば、固定されたASCピッチでは、kNOxを下げることによって、より幾何学的なASC表面積−従って基材モノリス体積とその結果増加した背圧−が補償のために必要とされる。
【0031】
同様に、ASC基材モノリスのピッチを下げることによって、固定されたkNOxを補償し維持するために増加した触媒体積が必要とされるであろう。
【0032】
従って、システム内のASCの位置及び使用中の触媒の温度に応じて、少なくとも基材モノリスのピッチ、基材モノリスの体積、及び基材モノリスの幾何学的表面積及びASCの組成の間で決められるべきバランスがあり、そのパラメータの選択は、コストと操業上の考慮に基づいて決定することができ、包括的にはkNOxによって包含される。
【0033】
触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材のkNOは、約300m/hr以下でありうる。
【0034】
好ましくは、触媒を含むハニカム基材モノリス又はプレート型基材のkNOxは、約300〜約400℃の間で約90<kNOx<約300m/hである。
【0035】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒は、好ましくは250℃以上で約70%のNHを、より好ましくは約300℃以上で>約80%のNHを転化する。
【0036】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための触媒は、好ましくは約400未満で<約20%のsNOx=(NHin−NHout)で割ったNOx out、より好ましくは約350℃未満で<約10%のsNOxを有し、ここで、sNOxは、上記のkNOxを決定するために定義されたものと同じ条件を使用して決定される。
【0037】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒に排気ガスが接触する空間速度は、50000〜500000h−1、例えば100000〜400000h−1又は150000h−1〜350000h−1でありうる。
【0038】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒は、耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属と選択的触媒還元触媒とを含むのが好ましい。
【0039】
耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属中の白金族金属は、約1〜約40g/ft、好ましくは約1〜約25g/ft又は約1〜約10g/ftまで充填される。白金族金属の充填量が少ないと、そのような充填量が反応(4)に対する選択性を促進するので好ましい。
【0040】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒中のSCR触媒は、(i)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジア;(ii)金属促進モレキュラーシーブ;又は(iii)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアと金属促進モレキュラーシーブとの混合物を含みうる。
【0041】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒中のSCR触媒が金属促進モレキュラーシーブを含む場合、好ましくはモレキュラーシーブはアルミノシリケートゼオライトである。
【0042】
好ましくは、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒中のSCR触媒が金属促進モレキュラーシーブを含む場合、モレキュラーシーブは8個の四面体原子の最大環サイズを有し、更に好ましくはフレームワークタイプコードCHA、AEI及びAFXからなる群から選択される。水熱劣化及び炭化水素「コーキング」に対して特に耐久性のあるアルミノシリケートゼオライトは、8個の四面体原子の最大環サイズを有し、当該技術分野において「小細孔」ゼオライトと呼ばれる。ゼオライトは、国際ゼオライト協会によってそのフレームワークの種類によって分類されている。しかしながら、長期間にわたる耐久性が主要な要件ではない所定の用途において、例えば比較的低温の用途では、「中細孔」ゼオライト、例えばフレームワークタイプコードMFI又はFERを有するものなど、又は「大細孔」ゼオライト、例えばBEA又はMORも同様に適用可能でありうる。
【0043】
ゼオライトのシリカ対アルミナ比(SAR)は、反応(1)、(2)及び(3)を促進するための任意の適切なSARでありうる。一般に、これは一方では比較的高いシリカ含有量が好ましい熱安定性と、比較的高いアルミナ含有量が好ましいイオン交換遷移金属の促進効果との間のバランスである。実際には、選択されるSARはゼオライトのフレームワークタイプコードに依存しうるが、典型的には約10〜約256の範囲内にあり、CHA、AEI及びAFXのような小細孔ゼオライトでは約15〜約40のSARが好ましい。
【0044】
好ましくは、金属促進モレキュラーシーブ中の金属は銅及び/又は鉄である。
【0045】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒におけるSCR触媒中の白金族金属用の耐火性酸化物担体は、シリカドープアルミナ、チタニア又は任意にドープされたジルコニアでありうる。
【0046】
酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを窒素と水に転化するための後付け触媒におけるSCR触媒中のハニカム基材モノリス又はプレート型基材は軸方向長さを有し、耐火性酸化物担体上に担持された白金族金属を含む第一ウォッシュコート層とSCR触媒を含む第二ウォッシュコート層とでコーティングされうる。
【0047】
第一ウォッシュコート層はハニカム基材モノリスの第一端部からコーティングされた第一ゾーンに配置され得、第二ウォッシュコート層はハニカム基材モノリス又はプレート型基材の第二端部からコーティングされた第二ゾーンに配置され得、第二層は第一層より上流に配置されている。
【0048】
あるいは、第一ゾーンはハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向長さより小さく、第二ゾーンの第二層は第一層を少なくとも部分的に覆う。この場合、好ましくは、第二層は、ハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向全長にわたって延びうる。
【0049】
あるいは、第一層がハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向全長に延び得、第二層が第一層を覆い得、かつハニカム基材モノリス又はプレート型基材の軸方向全長に延びうる。
【0050】
好ましくは、本発明に係る方法におけるNOx排出の違反限界は2ppm以下であり、及び/又はアンモニア排出の違反限界は10ppm以下、例えば5ppm未満又は2ppm未満である。
【0051】
排気ガスがSCR触媒床と接触する温度は、約200℃〜約450℃でありうる。
【0052】
窒素含有還元剤は、アンモニア(NH)自体、ヒドラジン、又は任意の適切なアンモニア前駆体、例えば尿素((NHCO)、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム又はギ酸アンモニウムである。アンモニアと排気ガスとの混合は、排気ガス/アンモニアがSCR触媒に入る前にできるだけ完全に行われることが重要である。これは、背圧の増加に有意に寄与しないという条件で必要に応じて例えばヘリングボーン及びスキューチャネル形状を有する様々なバッフル及びスタティックミキサーを使用して行うことができる。アンモニアと排気ガスとの良好な混合は、排気ガスを運ぶダクトを横切る還元剤注入の完全な二次元カバレージによって促進されうる。そのような配置は、アンモニア注入グリッド(AIG)として当該技術分野において知られている。
【0053】
反応(3)(更に反応(1)及び(2))を促進するために、反応に使用されるアンモニア分子対NOx分子のアルファ比は、好ましくは約0.90〜約2.00、好ましくは<約1.8、例えば約0.95〜約1.5又は1.00〜約1.20である。
【0054】
SCR触媒は、例えばコーディエライトから形成された不活性なセラミックハニカムモノリス、又は金属モノリスのような基材上にコーティングされるウォッシュコートの形態であり得、又は押出ハニカム体として調製され得、そこで、触媒はバインダー(又はマトリックス)成分のペーストと混合され、ついでそれを貫通して延びる流路を有する所望の形状に押出される。モノリス基材上へのコーティング又は押出型基材モノリスの製造のために本発明において使用されるゼオライトを含むウォッシュコート組成物は、アルミナ、シリカ、(非ゼオライト)シリカ−アルミナ、天然に生じるクレー、TiO、ZrO、及びSnOからなる群から選択されるバインダーを含みうる。
【0055】
特に、SCR触媒は、酸素をまた含む排気ガス中のアンモニアを上述の窒素と水に転化するための触媒に使用するために記載されたものの何れか、すなわち次のものの一つでありうる:
(i)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジア;
(ii)金属促進モレキュラーシーブ;又は
(iii)アナターゼ型のチタニア上に担持され、タングスタ又はモリブデナで促進されたバナジアと金属促進モレキュラーシーブとの混合物。
【0056】
本発明に係る方法は、あらゆるNOx排出の固定汚染源からの排気ガスを処理するために使用することができる。特に、排気ガスは、発電所、工業用ヒーター、コージェネレーション発電プラント、複合サイクル発電所、木材燃焼ボイラ、定置式ディーゼル機関、定置式天然ガス燃焼機関、船用推進機関、ディーゼル機関車、産業廃棄物焼却炉、都市ごみ焼却炉、化学プラント、ガラス製造プラント、鉄鋼製造プラント又はセメント製造プラントの生成物でありうる。
【0057】
好ましい用途では、排気ガスは、コージェネレーションプラント、好ましくは定置式天然ガス燃焼機関の生成物である。
【0058】
好ましくは、排気ガス後処理システムは、熱回収蒸気発生器(HRSG)を備える。
【0059】
ここで使用される「含む」という用語は、「から本質的になる」又は「からなる」という定義と置き換えることができる。「含む」という用語は、指定された要素が必須であることを意味することが意図されるが、他の要素が追加されてもよく、なおも特許請求の範囲内の構成物を形成する。「から本質的になる」という用語は、特許請求の範囲を、特定された材料又は工程、並びに請求項記載の発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。「からなる」という用語は、それに通常伴う不純物を除いて、記載されたもの以外の材料を含めることに対して請求項をクローズする。
【0060】
誤解を避けるために、ここで引用された全ての文献の全内容が、出典明示によりここに援用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
SCR触媒を含むガスタービン用の従来のHRSG排気システムが図1に示され、該システムが、図2において、例示された位置のSCR触媒の下流にアンモニアスリップ触媒を挿入することによって本発明に係る方法に適合されている。図1及び2は説明を要しない。
【0062】
本発明をより十分に理解することができるように、次の実施例が例示としてのみ提供される。
【実施例】
【0063】
[実施例1]
二重層アンモニアスリップ触媒(ASC)を、7ミル(1000分の1インチ)のセル壁厚を有するセラミックの230セル/平方インチ(cpsi)ハニカム基材モノリス上に調製した。第一(下部)層を、基材の軸方向全長に沿って連続アルミナウォッシュコート層を有する基材上に直接コーティングした。得られたコーティング部品を乾燥し、か焼した。次に、Ptを硝酸白金溶液から5g/ftのPtの充填量になるまでウォッシュコートアルミナ層中に含浸させた。ついで、得られた部品を乾燥させ、か焼した。最後に、バインダーと混合したCu含浸CHAゼオライトを含む第二ウォッシュコート層を、基材の軸方向全長に沿ってPtアルミナ層の100%をカバーする連続層に塗布し、ついで得られた部品を乾燥し、か焼した。二重層ASCでコーティングした完成ハニカム基材モノリスから直径2インチ、長さ3.3インチの円筒状コアを切り出した。
【0064】
[実施例2(SCR試験)]
実施例1の円筒状ASCコアを、空気中10%のHO(水蒸気として)中で450℃において48時間デグリーニングし、ついで実験室規模の反応器中でSCR活性について活性を試験した。活性試験のために触媒に供給されたガス組成は、50ppmのCO、30ppmのNO、36ppmのNH、15%のO、8%の水、3%のCO、残部Nであった。CO、NOx及びNH転化率は、反応器を200〜450℃の範囲の定常状態温度点に保持して、測定した。ASC体積に対するガス毎時空間速度(GHSV)は180000hr−1であった。
【0065】
様々な温度に対して、CO転化率、NOx転化率、及びNH転化率をそれぞれ表1に示す。kNOx=−(面積速度)×ln(1−NOx転化率/100)として定義されるkNOxもまた示される。
【0066】
[実施例3(NH酸化試験)]
実施例1の円筒状ASCコアを、空気中10%のHO中で450℃において48時間デグリーニングし、ついで実験室規模の反応器中でNH酸化活性について活性を試験した。触媒に供給されたガス組成は、50ppmのCO、30ppmのNH、10%のO、4%の水、3%のCO、残部Nであった。CO、NOx及びNH転化率は、反応器を200〜450℃の範囲の定常状態温度点に保持して、測定した。ASC体積に対するガス毎時空間速度(GHSV)は120000hr−1であった。
【0067】
結果は、表2にCO転化率及びNH転化率を示す。(NOxoutを(NHin−NHout)で割ったもの)として定義されるsNOxもまた示される。
【0068】
[実施例4(高アンモニア対NOx比(ANR)を伴うSCR試験)]
実施例1の円筒状ASCコアを、空気中10%のHO中で450℃において48時間デグリーニングし、ついで実験室規模の反応器中でSCR活性について活性を試験した。活性試験のために触媒に供給されたガス組成は、50ppmのCO、30ppmのNO、54ppmのNH、15%のO、8%の水、3%のCO、残部Nであった。CO、NOx及びNH転化率は、反応器を200〜450℃の範囲の定常状態温度点に保持して、測定した。ASC体積に対するガス毎時空間速度(GHSV)は180000hr−1であった。
【0069】
様々な温度に対して、CO転化率、NOx転化率、及びNH転化率を表1に示す。kNOx=−(面積速度)×ln(1−NOx転化率/100)として定義されるkNOxもまた示される。
図1
図2
【国際調査報告】