特表2020-515759(P2020-515759A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-515759ターボを有するSCR及びASC/DOC近位連結システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-515759(P2020-515759A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】ターボを有するSCR及びASC/DOC近位連結システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20200501BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20200501BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20200501BHJP
   F01N 3/021 20060101ALI20200501BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20200501BHJP
   B01J 29/072 20060101ALI20200501BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20200501BHJP
   B01J 35/04 20060101ALI20200501BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200501BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/10 A
   F01N3/24 T
   F01N3/24 C
   F01N3/24 E
   F01N3/021
   F02B37/00 302Z
   B01J29/072 AZAB
   B01J23/42 A
   B01J35/04 301L
   B01D53/94 222
   B01D53/94 228
   B01D53/94 241
   B01D53/94 245
   B01D53/94 280
   B01D53/94 400
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2019-553375(P2019-553375)
(86)(22)【出願日】2018年3月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月22日
(86)【国際出願番号】US2018025116
(87)【国際公開番号】WO2018183658
(87)【国際公開日】20181004
(31)【優先権主張番号】62/478,813
(32)【優先日】2017年3月30日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ハイ−イン
(72)【発明者】
【氏名】フェデイコ, ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】グリーナム, ニール
(72)【発明者】
【氏名】ラーション, ミーケル
(72)【発明者】
【氏名】ルー, ジン
(72)【発明者】
【氏名】マーシュ, ペール
(72)【発明者】
【氏名】ミカレフ, デーヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3G005
3G091
3G190
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G005DA02
3G005EA16
3G005FA35
3G005GB24
3G005GB26
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4G169EA18
4G169EC28
4G169EE06
4G169EE09
(57)【要約】
触媒物品は、入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、a)担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層と;b)ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層とを含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーンの触媒」)を含み;ASC最下層は第2のゾーンへ延び;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置している。ASC最下層は、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口端及び出口端を含む基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品であって、
第1のゾーンが、
a.担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層;及び
b.ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層
を含み、
第2のゾーンが、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーン触媒」)を含み;
ASC最下層が第2のゾーンへ延び;且つ
第1のゾーンが第2のゾーンの上流に位置する、
触媒物品。
【請求項2】
ASC最下層が(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項3】
第2のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項4】
第1のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項5】
ASC最下層が、出口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い、
請求項1に記載の触媒物品。
【請求項6】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延びず;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層が少なくとも部分的にASC最下層に重なる、
請求項1に記載の触媒物品。
【請求項7】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延び;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれる、
請求項1に記載の触媒物品。
【請求項8】
ASC最下層が基材の全長を覆い;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層がASC最下層の最上部に位置し;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層がASC最下層の最上部に位置する、
請求項1に記載の触媒物品。
【請求項9】
第2のゾーン触媒が基材内に位置している、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項10】
担体がケイ質材料を含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項11】
ケイ質材料が、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料を含む、請求項10に記載の触媒物品。
【請求項12】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%の量で担体上に存在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項13】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%の量で担体上に存在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項14】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項15】
白金族金属が、白金、パラジウム又は白金とパラジウムとの組み合わせを含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項16】
白金族金属が白金を含む、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項17】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約3:1から約300:1である、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項18】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約5:1から約100:1である、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項19】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約10:1から約50:1である、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項20】
第1のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項21】
第1のSCR触媒が銅を含む、請求項2に記載の触媒物品。
【請求項22】
第1のゾーン及び第2のゾーンが単一基材上に位置しており、第1のゾーンが基材の入口側に位置しており、第2のゾーンが基材の出口側に位置している、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項23】
基材が第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンが第1の基材上に位置しており、第2のゾーンが第2の基材上に位置しており、第1の基材が第2の基材の上流に位置している、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項24】
第2のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項1に記載の触媒物品。
【請求項25】
排気流からの排出を減少させる方法であって、排気流を、入口側及び出口側を含む基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品と接触させることを含み、
第1のゾーンが、
a.担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層;及び
b.ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層
を含み、
第2のゾーンが、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーン触媒」)を含み;
ASC最下層が第2のゾーンへ延び;且つ
第1のゾーンが第2のゾーンの上流に位置する、
方法。
【請求項26】
ASC最下層が(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第2のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
第1のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
ASC最下層が、出口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層がASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い、
請求項25に記載の方法。
【請求項30】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延びず;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層が少なくとも部分的にASC最下層に重なる、
請求項25に記載の方法。
【請求項31】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延び;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれる、
請求項25に記載の方法。
【請求項32】
ASC最下層が基材の全長を覆い;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層がASC最下層の最上部に位置し;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層がASC最下層の最上部に位置する、
請求項25に記載の方法。
【請求項33】
第2のゾーン触媒が基材内に位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項34】
担体がケイ質材料を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項35】
ケイ質材料が、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%の量で担体上に存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%の量で担体上に存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
白金族金属が、白金、パラジウム又は白金とパラジウムとの組み合わせを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
白金族金属が白金を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約3:1から約300:1である、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約5:1から約100:1である、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約10:1から約50:1である、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
第1のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項26に記載の方法。
【請求項45】
第1のSCR触媒が銅を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
第1のゾーン及び第2のゾーンが単一基材上に位置しており、第1のゾーンが基材の入口側に位置しており、第2のゾーンが基材の出口側に位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項47】
基材が第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンが第1の基材上に位置しており、第2のゾーンが第2の基材上に位置しており、第1の基材が第2の基材の上流に位置している、請求項25に記載の方法。
【請求項48】
第2のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項25に記載の方法。
【請求項49】
a.ターボチャージャ;
b.第3のSCR触媒;
c.入口端及び出口端を含む基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品
を含む排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムであって、
第1のゾーンが、
i.担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層;及び
ii.ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層
を含み、
第2のゾーンが、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーン触媒」)を含み;
ASC最下層が第2のゾーンへ延び;且つ
第1のゾーンが第2のゾーンの上流に位置する、
システム。
【請求項50】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの上流に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項51】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの下流に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項52】
ASC最下層が(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項53】
第2のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項54】
第1のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
第3のSCR触媒が、V、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
第3のSCR触媒及び触媒物品が、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒が、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項57】
第3のSCR触媒が、触媒物品基材の上流の基材上に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項58】
第3のSCR触媒が触媒物品と近位連結している、請求項49に記載のシステム。
【請求項59】
フィルタをさらに含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項60】
触媒物品の下流に位置する下流SCR触媒をさらに含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項61】
ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒をさらに含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項62】
第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項63】
下流SCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項60に記載のシステム。
【請求項64】
プレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項61に記載のシステム。
【請求項65】
ASC最下層が、出口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層がASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い、
請求項49に記載のシステム。
【請求項66】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延びず;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層が少なくとも部分的にASC最下層に重なる、
請求項49に記載のシステム。
【請求項67】
ASC最下層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層が、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延び;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれる、
請求項49に記載のシステム。
【請求項68】
ASC最下層が基材の全長を覆い;
SCR層が、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層がASC最下層の最上部に位置し;且つ
第2のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層がASC最下層の最上部に位置する、
請求項49に記載のシステム。
【請求項69】
第2のゾーン触媒が基材内に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項70】
担体がケイ質材料を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項71】
ケイ質材料が、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料を含む、請求項70に記載のシステム。
【請求項72】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%の量で担体上に存在する、請求項49に記載のシステム。
【請求項73】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%の量で担体上に存在する、請求項49に記載のシステム。
【請求項74】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する、請求項49に記載のシステム。
【請求項75】
白金族金属が、白金、パラジウム又は白金とパラジウムとの組み合わせを含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項76】
白金族金属が白金を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項77】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約3:1から約300:1である、請求項52に記載のシステム。
【請求項78】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約5:1から約100:1である、請求項52に記載のシステム。
【請求項79】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約10:1から約50:1である、請求項52に記載のシステム。
【請求項80】
第1のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項81】
第1のSCR触媒が銅を含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項82】
第1のゾーン及び第2のゾーンが単一基材上に位置しており、第1のゾーンが基材の入口側に位置しており、第2のゾーンが基材の出口側に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項83】
基材が第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンが第1の基材上に位置しており、第2のゾーンが第2の基材上に位置しており、第1の基材が第2の基材の上流に位置している、請求項49に記載のシステム。
【請求項84】
第2のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物を含む、請求項49に記載のシステム。
【請求項85】
a.ターボチャージャ;
b.第3のSCR触媒;
c.入口端及び出口端を含む基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品
を含む排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムであって、
第1のゾーンが、担体上の白金族金属と第1のSCR触媒とを含むアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み、
第2のゾーンが、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒を含み、且つ
第1のゾーンが第2のゾーンの上流に位置する、
システム。
【請求項86】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの上流に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項87】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの下流に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項88】
第3のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項89】
第3のSCR触媒及び触媒物品が、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒が、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項90】
第3のSCR触媒が、触媒物品基材の上流の基材上に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項91】
第3のSCR触媒が触媒物品と近位連結している、請求項85に記載のシステム。
【請求項92】
フィルタをさらに含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項93】
触媒物品の下流に位置する下流SCR触媒をさらに含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項94】
ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒をさらに含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項95】
第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項96】
下流SCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項93に記載のシステム。
【請求項97】
プレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項94に記載のシステム。
【請求項98】
第1のゾーンが、
a.(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む最下層;
b.最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含む最上層
を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項99】
担体がケイ質材料を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項100】
ケイ質材料が、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料を含む、請求項99に記載のシステム。
【請求項101】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%の量で担体上に存在する、請求項85に記載のシステム。
【請求項102】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%の量で担体上に存在する、請求項85に記載のシステム。
【請求項103】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する、請求項85に記載のシステム。
【請求項104】
白金族金属が、白金、パラジウム又は白金とパラジウムとの組み合わせを含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項105】
白金族金属が白金を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項106】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約3:1から約300:1である、請求項98に記載のシステム。
【請求項107】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約5:1から約100:1である、請求項98に記載のシステム。
【請求項108】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約10:1から約50:1である、請求項98に記載のシステム。
【請求項109】
第1のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項110】
第1のSCR触媒が銅を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項111】
第1のゾーン及び第2のゾーンが単一基材上に位置しており、第1のゾーンが基材の入口側に位置しており、第2のゾーンが基材の出口側に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項112】
基材が第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンが第1の基材上に位置しており、第2のゾーンが第2の基材上に位置しており、第1の基材が第2の基材の上流に位置している、請求項85に記載のシステム。
【請求項113】
第2のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物を含む、請求項85に記載のシステム。
【請求項114】
a.ターボチャージャ;
b.第3のSCR触媒;
c.入口端及び出口端を含む基材、第1のゾーン、第2のゾーン並びに第3のゾーンを含む触媒物品
を含む排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムであって、
第1のゾーンが、第2のSCR触媒を含み、
第2のゾーンが、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含むアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み、
第3のゾーンが、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第3のゾーン触媒」)を含み、且つ
第1のゾーンが第2のゾーンの上流に位置し、第2のゾーンは第3のゾーンの上流に位置している、
システム。
【請求項115】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの上流に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項116】
第3のSCR触媒が、ターボチャージャの下流に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項117】
第3のSCR触媒が、Fe、Mn、Cu、又はこれらの組み合わせを含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項118】
第3のSCR触媒及び触媒物品が、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒が、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項119】
第3のSCR触媒が、触媒物品基材の上流の基材上に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項120】
第3のSCR触媒が触媒物品と近位連結している、請求項114に記載のシステム。
【請求項121】
フィルタをさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項122】
触媒物品の下流に位置する下流SCR触媒をさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項123】
ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒をさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項124】
第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項125】
下流SCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項122に記載のシステム。
【請求項126】
プレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含む、請求項123に記載のシステム。
【請求項127】
ASCが第1の層に含まれており、
第3のゾーン触媒が、出口端から基材の全長未満まで延びる第2の層に含まれ、第2の層が第1の層の最上部に位置し、第1の層よりも長さが短く、且つ
第2のSCR触媒が、入口端から基材の全長未満まで延び、第1の層と少なくとも部分的に重なる層に含まれている、
請求項114に記載のシステム。
【請求項128】
第1の層が出口端から基材の全長未満にわたって延びている、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
第1の層が入口端から基材の全長未満にわたって延びている、請求項127に記載のシステム。
【請求項130】
担体がケイ質材料を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項131】
ケイ質材料が、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料を含む、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%の量で担体上に存在する、請求項114に記載のシステム。
【請求項133】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%の量で担体上に存在する、請求項114に記載のシステム。
【請求項134】
白金族金属が、白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する、請求項114に記載のシステム。
【請求項135】
白金族金属が、白金、パラジウム又は白金とパラジウムとの組み合わせを含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項136】
白金族金属が白金を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項137】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約3:1から約300:1である、請求項114に記載のシステム。
【請求項138】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約5:1から約100:1である、請求項114に記載のシステム。
【請求項139】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比が約10:1から約50:1である、請求項114に記載のシステム。
【請求項140】
第1のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項114に記載のシステム。
【請求項141】
第1のSCR触媒が銅を含む、請求項114に記載のシステム。
【請求項142】
第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンが単一基材上に位置しており、第1のゾーンが基材の入口側に位置しており、第2のゾーンが基材の出口側に位置している、請求項114に記載の方法。
【請求項143】
基材が第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーン及び第2のゾーンが第1の基材上に位置しており、第3のゾーンが第2の基材上に位置しており、第1の基材が第2の基材の上流に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項144】
基材が、第1の基材、第2の基材及び第3の基材を含み、第1のゾーンが第1の基材上に位置し、第2のゾーンが第2の基材上に位置し、第3のゾーンが第3の基材上に位置し、第1の基材が第2の基材の上流に位置し、第2の基材が第3の基材の上流に位置している、請求項114に記載のシステム。
【請求項145】
第2のSCR触媒が、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はこれらの混合物である、請求項114に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディーゼルエンジン、固定ガスタービン及びその他のシステムにおける炭化水素の燃焼は、NO(一酸化窒素)及びNO(二酸化窒素)を含む窒素酸化物(NOx)を除去するために処理しなければならない排気ガスを生成する(生成するNOxの大部分はNOである)。NOxは、人々の健康問題を多く引き起こすだけでなく、スモッグや酸性雨の形成を含む多くの有害な環境影響を引き起こすことが知られている。排気ガス中のNOのヒト及び環境への影響を軽減するためには、これらの望ましくない成分を、好ましくは他の有害又は毒性物質を生成しないプロセスによって、排除することが望ましい。
【0002】
リーンバーン及びディーゼルエンジンで発生する排気ガスは、一般に酸化性である。NOxを元素窒素(N)と水に変換する選択的触媒還元(SCR)として知られている方法において、触媒及び還元剤を用いてNOxを選択的に還元する必要がある。SCRプロセスでは、ガス状還元剤、典型的には無水アンモニア、アンモニア水又は尿素が、排気ガスが触媒と接触する前に排気ガス流に添加される。還元剤は触媒上に吸着され、NOは触媒された基材の中又は上を通過する際に還元される。NOxの変換を最大にするためには、化学量論量より多いアンモニアをガス流に添加することがしばしば必要である。しかし、過剰のアンモニアを大気中に放出することは、人々の健康及び環境に有害であろう。さらに、アンモニアは、特に水溶液形態で苛性である。排気管下流の排気管の領域におけるアンモニア及び水の凝縮は、排気システムを損傷し得る腐食性の混合物を生じる可能性がある。したがって、排気ガス中のアンモニアの放出は止めるべきである。従来型の排気システムの多くでは、アンモニア酸化触媒(アンモニアスリップ触媒又は「ASC」としても知られている)がSCR触媒の下流に設置されており、排気ガス中のアンモニアを窒素に変換することによってアンモニアを除去する。アンモニアスリップ触媒の使用は、典型的なディーゼル走行サイクルにわたって90%を超えるNO変換を可能にし得る。
【0003】
触媒と、SCRによるNOx除去と窒素への選択的アンモニア変換の両方を提供する触媒を含むシステムとを有することが望ましく、アンモニア変換は車両の駆動サイクル中に広い温度範囲にわたって起こり、最小の窒素酸化物及び亜酸化窒素副生成物が形成される。
【発明の概要】
【0004】
本発明のいくつかの実施態様によれば、触媒物品は、入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含み、第1のゾーンは、a)担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層と;b)ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層とを含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーンの触媒」)を含み;ASC最下層は第2のゾーンへ延び;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置している。ASC最下層は、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含み得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR及び/又は第2のSCR触媒は、Fe、Mn、Cu、又はそれらの組み合わせを含む。
【0005】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、出口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い。
【0006】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延びず;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、少なくとも部分的にASC最下層に重なる。
【0007】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延び;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれる。
【0008】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、基材の全長を覆い;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、ASC最下層の最上部に位置する。
【0009】
いくつかの実施態様では、第2のゾーン触媒は、基材内に位置する。担体は、例えば、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料などのケイ質材料を含み得る。
【0010】
いくつかの実施態様では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%;約0.5wt%から約10wt%;約1wt%から約6wt%、又は約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する。一実施態様では、白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金とパラジウムの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、白金族金属は白金を含む。ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比は、約3:1から約300:1;約5:1から約100:1;又は約10:1から約50:1である。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は銅を含む。いくつかの実施態様では、第2のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。
【0011】
本発明のいくつかの態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第2のゾーンは基材の出口側に位置する。いくつかの実施態様では、基材は、第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置する。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様によれば、排気流からの排出を減少させる方法は、排気流を、入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品と接触させることを含み、第1のゾーンは、a)担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層と;b)ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層とを含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーンの触媒」)を含み;ASC最下層は第2のゾーンへ延び;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、ASC最下層は、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む。第1のSCR触媒及び/又は第2のSCR触媒は、Fe、Mn、Cu、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様によれば、排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムは、(a)ターボチャージャ;(b)第3のSCR触媒;並びに(c)入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品を含み、第1のゾーンは、(i)担体上の白金族金属を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層と;(ii)ASC最下層より上に位置する、第2のSCR触媒を含むSCR層とを含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第2のゾーンの触媒」)を含み;ASC最下層は第2のゾーンへ延び;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの下流に位置している。いくつかの実施態様では、ASC最下層は、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む。第1のSCR触媒及び/又は第2のSCR触媒は、例えば、Fe、Mn、Cu、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0014】
いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒及び触媒物品は、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒は、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品基材の上流の基材上に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品と近位連結している。
【0015】
いくつかの実施態様では、該システムは、フィルタ、触媒物品から下流に位置する下流SCR触媒、ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒、第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタ、及び/又はプレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含み得る。
【0016】
いくつかの態様では、ASC最下層は、出口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い。
【0017】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延びず;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、少なくとも部分的にASC最下層に重なる。
【0018】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも出口端へ向かってさらに延び;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれる。
【0019】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、基材の全長を覆い;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置し;第2のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、ASC最下層の最上部に位置する。
【0020】
いくつかの実施態様では、第2のゾーン触媒は、基材内に位置する。いくつかの実施態様では、担体は、例えば、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料などのケイ質材料を含む。
【0021】
いくつかの実施態様では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%;約0.5wt%から約10wt%;約1wt%から約6wt%、又は約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する。一実施態様では、白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金とパラジウムの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、白金族金属は白金を含む。
【0022】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比は、約3:1から約300:1;約5:1から約100:1;又は約10:1から約50:1であり得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は銅を含む。いくつかの実施態様では、第2のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。
【0023】
本発明のいくつかの態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第2のゾーンは基材の出口側に位置する。いくつかの実施態様では、基材は、第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置する。
【0024】
本発明のいくつかの実施態様によれば、排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムは、(a)ターボチャージャ;(b)第3のSCR触媒;並びに(c)入口側及び出口側を有する基材、第1のゾーン並びに第2のゾーンを含む触媒物品を含み、第1のゾーンは、担体上の白金族金属及び第1のSCR触媒を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒を含み;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの下流に位置している。第3のSCR触媒は、例えば、V、Fe、Mn、Cu、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒及び触媒物品は、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒は、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品基材の上流の基材上に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品と近位連結している。
【0025】
いくつかの実施態様では、該システムは、フィルタ、触媒物品から下流に位置する下流SCR触媒、ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒、第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタ、及び/又はプレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含み得る。
【0026】
いくつかの実施態様では、第1のゾーンは、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒とのブレンドを含む最下層(a);及び第2のSCR触媒を含む、最下層より上に位置する最上層を含む。
【0027】
いくつかの実施態様では、担体は、例えば、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料などのケイ質材料を含む。
【0028】
いくつかの実施態様では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%;約0.5wt%から約10wt%;約1wt%から約6wt%、又は約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する。一実施態様では、白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金とパラジウムの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、白金族金属は白金を含む。
【0029】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比は、約3:1から約300:1;約5:1から約100:1;又は約10:1から約50:1であり得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は銅を含む。いくつかの実施態様では、第2のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。
【0030】
本発明のいくつかの態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第2のゾーンは基材の出口側に位置する。いくつかの実施態様では、基材は、第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置する。
【0031】
本発明のいくつかの実施態様によれば、排気流からの排出を減少させるための排気浄化システムは、(a)ターボチャージャ;(b)第3のSCR触媒;並びに(c)入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン、第2のゾーン、並びに第3のゾーンを含む触媒物品を含み、第1のゾーンは、第2のSCR触媒を含み;第2のゾーンは(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含むアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み;第3のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)及びディーゼル発熱触媒(DEC)からなる群より選択される触媒(「第3のゾーン触媒」)を含み;第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置し、第2のゾーンは第3のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、ターボチャージャの下流に位置している。第3のSCR触媒は、例えば、V、Fe、Mn、Cu、又はそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒及び触媒物品は、単一基材上に位置しており、第3のSCR触媒は、第1のゾーン及び第2のゾーンの上流に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品基材の上流の基材上に位置している。いくつかの実施態様では、第3のSCR触媒は、触媒物品と近位連結している。
【0032】
いくつかの実施態様では、該システムは、フィルタ、触媒物品から下流に位置する下流SCR触媒、ターボチャージャの上流に位置するプレターボSCR触媒、第3のSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタ、及び/又はプレターボSCR触媒の上流に位置する還元剤インジェクタをさらに含み得る。
【0033】
いくつかの実施態様では、ASCは第1の層に含まれ、第3のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満まで延びる第2のSCR触媒に含まれ、第2の層は第1の層の最上部に位置し、第1の層よりも長さが短く、第2のSCR触媒は、入口端から基材の全長未満まで延びる層に含まれ、第1の層と少なくとも部分的に重なる。いくつかの実施態様では、第1の層は、出口端から基材の全長未満まで延びる。いくつかの実施態様では、第1の層は、入口端から基材の全長未満まで延びる。
【0034】
いくつかの実施態様では、担体は、例えば、(1)シリカ;(2)200より高いシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープアルミナからなる群より選択される材料などのケイ質材料を含む。
【0035】
いくつかの実施態様では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%;約0.5wt%から約10wt%;約1wt%から約6wt%、又は約1.5wt%から約4wt%の量で担体上に存在する。一実施態様では、白金族金属は、白金、パラジウム、又は白金とパラジウムの組み合わせを含む。いくつかの実施態様では、白金族金属は白金を含む。
【0036】
ブレンド内で、第1のSCR触媒の、担体上の白金族金属に対する重量比は、約3:1から約300:1;約5:1から約100:1;又は約10:1から約50:1であり得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒は銅を含む。いくつかの実施態様では、第2のSCR触媒は、卑金属、卑金属の酸化物、モレキュラーシーブ、金属交換モレキュラーシーブ又はそれらの混合物を含む。
【0037】
いくつかの実施態様では、第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第3のゾーンは基材の出口側に位置する。いくつかの実施態様では、基材は、第1の基材及び第2の基材を含み、第1のゾーン及び第2のゾーンは第1の基材上に位置し、第3のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置する。いくつかの実施態様では、基材は、第1の基材、第2の基材及び第3の基材を含み、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第3のゾーンは第3の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置し、第2の基材は第3の基材の上流に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】プレターボ及びポストターボ近位連結触媒を含む、本発明の実施態様のシステム構成を図示する。
図2】ポストターボ近位連結SCR/ASC/DOC触媒を含む、本発明の実施態様のシステム構成を図示する。
図3】ポストターボ近位連結SCR触媒と、後に続くASC/DOC触媒とを含む、本発明の実施態様のシステム構成を図示する。
図4】プレターボ近位連結SCR触媒と、後に続くポストターボASC/DOC触媒とを含む、本発明の実施態様のシステム構成を図示する。
図5】体系的に多様な機能:(1)SCR単独、(2)SCR/DOC、(3)ASC/DOC及び(4)SCR/ASC/DOCを有する模擬エンジン出力条件下で試験した触媒構成を図示する。
図6】発明の触媒と参照触媒のNH変換を示す。
図7】発明の触媒と参照触媒のNHスリップを示す。
図8】発明の触媒と参照触媒のNO変換を示す。
図9】発明の触媒と参照触媒のCO変換を示す。
図10】発明の触媒と参照触媒のHC変換を示す。
図11】発明の触媒と参照触媒のNO形成を示す。
図12】発明の触媒と参照触媒のN収率を示す。
図13】発明の触媒と参照触媒の出口温度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の触媒は、SCR触媒、ASC、及びDOC又はDECの様々な構成を含む触媒物品に関する。触媒及び特定の構成は、以下でさらに詳述される。本発明のシステムは、ターボチャージャを有する様々なシステム構成におけるそのようなSCR/ASC/DOC又はDEC触媒に関する。システム及び特定の構成は、以下でさらに詳述される。
【0040】
2ゾーン構成
本発明の実施態様は、入口端及び出口端を有する基材、第1のゾーン及び第2のゾーンを含む触媒物品に関し、第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置する。第1のゾーンは、担体上の白金族金属を有するアンモニアスリップ触媒(ASC)最下層と;ASC最下層より上に位置する、SCR触媒を有するSCR層とを含み得る。第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)又はディーゼル発熱触媒(DEC)を含み得る。そのような触媒物品では、ASC最下層は第2のゾーンへ延びてもよい。いくつかの実施態様では、ASC最下層は、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒のブレンドを含む。
【0041】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、出口端から基材の全長未満にわたって延び;SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なり;第2のゾーン触媒(DOC又はDEC)は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は、ASC最下層の最上部に位置し、ASC最下層よりも長さが短い。
【0042】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延びる。いくつかの実施態様では、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置してもよく、ASC最下層より出口端へ向かってさらに延びない。第2のゾーン触媒(DOC又はDEC)は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれ、第2の層は少なくとも部分的にASC最下層に重なる。
【0043】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延びる。いくつかの実施態様では、SCR層は、ASC最下層の最上部に位置してもよく、ASC最下層より出口端へ向かってさらに延びる。第2のゾーン触媒(DOC又はDEC)は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる層に含まれ得る。
【0044】
いくつかの実施態様では、ASC最下層は、基材の全長を覆い、SCR層は、入口端から基材の全長未満にわたって延びる。SCR層は、ASC最下層の最上部に位置してもよく、第2のゾーン触媒(DOC又はDEC)は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に含まれてもよく、第2の層はASC最下層の最上部に位置する。
【0045】
いくつかの実施態様では、第2のゾーン触媒は、基材内に位置する。
【0046】
いくつかの実施態様では、第1及び第2のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第2のゾーンは基材の出口側に位置する。別の実施態様では、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材が第2の基材の上流に位置する。第1及び第2の基材は、近位連結されていてもよい。第1及び第2の基材が近位連結されているとき、第2の基材は、第1の基材の近くに、且つ/又はその下流に直接置かれてもよい。
【0047】
本発明の実施態様は、第1のゾーン及び第2のゾーンを有する触媒物品に関し、第1のゾーンは、担体上の白金族金属及び第1のSCR触媒を含むアンモニアスリップ触媒(ASC)を含み;第2のゾーンは、ディーゼル酸化触媒(DOC)又はディーゼル発熱触媒(DEC)を含む。第1のゾーンは、(1)担体上の白金族金属と(2)第1のSCR触媒とのブレンドを有する最下層、及び第2のSCR触媒を含む、最下層より上に位置する最上層を含みよう構成され得る。いくつかの実施態様では、第1及び第2のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第2のゾーンは基材の出口側に位置する。別の実施態様では、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材が第2の基材の上流に位置する。第1及び第2の基材は、近位連結されていてもよい。第1及び第2の基材が近位連結されているとき、第2の基材は、第1の基材の近くに、且つ/又はその下流に直接置かれてもよい。
【0048】
排気流からの排出を減少させる方法は、排気流を本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み得る。
【0049】
3ゾーン構成
本発明の実施態様は、第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンを有する触媒物品に関する。第1のゾーンは、SCR触媒を含み得る。第2のゾーンは、担体上の白金族金属と第1のSCR触媒とのブレンドを有するASCを含み得る。第3のゾーンは、DOC又はDECなどの触媒(「第3のゾーン触媒」)を含み得る。第1のゾーンは第2のゾーンの上流に位置し、第2のゾーンは第3のゾーンの上流に位置する。
【0050】
いくつかの実施態様では、ASCは第1のゾーンに含まれる。第3のゾーン触媒は、出口端から基材の全長未満にわたって延びる第2の層に位置してもよく、第2の層は第1の層の最上部に位置し、第1の層よりも長さが短い。第2のSCR触媒は、入口端から基材の全長未満にわたって延び、第1の層と少なくとも部分的に重なる層に含まれ得る。いくつかの実施態様では、第1の層は、出口端から基材の全長未満まで延びる。いくつかの実施態様では、第1の層は、入口端から基材の全長未満まで延びる。
【0051】
いくつかの実施態様では、第1のゾーン、第2のゾーン及び第3のゾーンは、単一基材上に位置し、第1のゾーンは基材の入口側に位置し、第3のゾーンは基材の出口側に位置する。いくつかの実施態様では、第1のゾーン及び第2のゾーンは第1の基材上に位置し、第3のゾーンは第2の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置する。第1及び第2の基材は、近位連結されていてもよい。第1及び第2の基材が近位連結されているとき、第2の基材は、第1の基材の近くに、且つ/又はその下流に直接置かれてもよい。
【0052】
いくつかの実施態様では、第1のゾーンは第1の基材上に位置し、第2のゾーンは第2の基材上に位置し、第3のゾーンは第3の基材上に位置し、第1の基材は第2の基材の上流に位置し、第2の基材は第3の基材の上流に位置する。第1、第2及び第3の基材は、近位連結されていてもよい。第1、第2及び/又は第3の基材は近位連結されているとき、第2の基材は、第1の基材の近くに、且つ/又はその下流に直接置かれてもよく、第3の基材は、第2の基材の近くに、且つ/又はその下流に直接置かれてもよい。
【0053】
排気流からの排出を減少させる方法は、排気流を本明細書に記載の触媒物品と接触させることを含み得る。
【0054】
システム構成
本発明のシステム構成は、ターボチャージャ、上流SCR触媒、及び前項に記載される2ゾーン又は3ゾーン構成を有する触媒物品を含み得る。上流SCR触媒は、前項に記載される2ゾーン又は3ゾーン構成を有する触媒物品の上流に位置してもよく、いくつかの実施態様では、上流SCR触媒及び触媒物品は近位連結されてもよい。いくつかの実施態様では、上流SCR触媒及び触媒物品は単一基材上に位置しており、上流SCR触媒は、触媒物品の第1及び第2(及び存在する場合は第3)のゾーンの上流に位置する。いくつかの実施態様では、上流SCR触媒は、ターボチャージャの上流に位置している。上流SCR触媒がターボチャージャの上流に位置するとき、上流SCR触媒はASCと組み合わされる。いくつかの実施態様では、上流SCR触媒は、ターボチャージャの下流に位置している。
【0055】
上記の2ゾーン又は3ゾーン構成を有する触媒物品は、ターボチャージャの下流に位置し得る。いくつかの実施態様では、システムは、上記の2ゾーン又は3ゾーン構成を有する触媒物品の下流に位置するSCR触媒を含む。いくつかの実施態様では、システムはフィルタも含み得る。
【0056】
システムは、一又は複数の還元剤インジェクタを、例えばシステム中の任意のSCR触媒の上流に含み得る。いくつかの実施態様では、システムは、SCR触媒及び/又は上記の2ゾーン若しくは3ゾーン構成を有する触媒物品の下流の還元剤インジェクタを含む。下流SCR触媒を有するシステムでは、還元剤インジェクタは、下流SCR触媒の上流に含まれ得る。
【0057】
図1を参照すると、本発明のシステムは、触媒成分の多くの組み合わせを含み得る。概して、システムは、プレターボ及びポストターボ近位連結触媒を含んでもよく、図1に図示される触媒の任意の組み合わせを含み得る。図1に示す通り、システムはプレターボ触媒を含んでもよく、それは、SCR触媒、ASC、又は様々な構成のSCR/ASCを含んでもよい。SCR/ASCプレターボ触媒構成は、ASCを含む最下層及びSCR触媒を含む最上層を含み得る。ASC最下層は、基材の全長にわたって延びてもよく、又は出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆ってもよい。最上層SCR触媒は、基材の入口端から出口端へ向かって延びてもよく、少なくとも部分的にASC最下層に重なってもよい。最上層SCR触媒は、基材の全長にわたって延びてもよく、又は入口端から延び、基材の全長未満を覆ってもよい。
【0058】
図1に図示する通り、システムは、プレターボ触媒の上流の尿素インジェクタを含み得る。ポストターボ触媒は、SCR触媒、ASC、及び/又は本明細書に記載され、且つ図1に図示されるようなDOCを含み得る。ポストターボ触媒は、1)DOCのみ、2)ASC及びDOC、又は3)SCR、ASC及びDOCの組み合わせを含むように構成され得る。ポストターボ触媒は、ASCを含む最下層及びSCR触媒を含む最上層を含み得る。ASC最下層は、基材の全長にわたって延びてもよく、又は出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆ってもよい。最上層SCR触媒は、基材の入口端から出口端へ向かって延びてもよく、少なくとも部分的にASC最下層に重なってもよい。最上層SCR触媒は、基材の全長にわたって延びてもよく、又は入口端から延び、基材の全長未満を覆ってもよい。DOCは、基材の出口端から入口端へ向かって延びる最上層に含まれてもよく、基材の全長未満を覆ってもよく、ASC最下層の最上部に位置してもよい。DOCには、硝酸白金又は硝酸パラジウム又は硝酸白金と硝酸パラジウムの混合物の溶液が含浸されていてもよい。
【0059】
図1に示されるASCセクションは、上記のブレンドを含み得る。下流触媒は、フィルタ及び/又はSCR/ASCを含んでもよく、別の尿素/NH注入がSCR/ASCの前に含まれる。
【0060】
図2を参照すると、本発明のシステムは、ターボチャージャ、及び尿素インジェクタ、近位連結SCR/ASC/DOC触媒、フィルタ、別の尿素インジェクタ、及びSCR/ASC触媒を含み得る。図2を参照すると、SCR/ASC/DOC触媒は、基材の出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆うASC最下層、基材の出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、ASC最下層の最上部に位置するDOC層、及び入口端から基材の出口端へ向かって延び、少なくとも部分的にASC最下層に重なるSCR触媒層を含み得る。図2に示されるASCセクションは、上記のブレンドを含み得る。
【0061】
図3を参照すると、本発明の実施態様のシステム構成は、ポストターボ近位連結SCR触媒と、後に続くASC/DOC触媒とを含み得る。システムは、ターボチャージャ、尿素インジェクタ、SCR触媒及びASC/DOC触媒、フィルタ、別の尿素インジェクタ、並びにSCR/ASC触媒を含み得る。ASC/DOC触媒はASC最下層を含んでもよく、それは、基材の入口端から出口端へ向かって延びる。一構成では、ASC最下層は、基材の全長にわたって延び、SCR最上層は、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、DOC最上層は、出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、SCR最上層及びDOC最上層は、ASC最下層の最上部に位置する。別の構成では、ASC最下層は、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、SCR最上層はASC最下層の最上部に位置しており、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、DOC層は、出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆う。DOC層は、部分的にASC最下層に重なってもよい。図3に示されるASCセクションは、上記のブレンドを含み得る。
【0062】
図4は、プレターボ近位連結SCR触媒と、後に続くポストターボASC/DOC触媒とを含む、本発明の実施態様のシステム構成を図示する。システムは、SCR触媒の上流の尿素インジェクタ、後に続くターボチャージャ、ASC/DOC触媒、フィルタ、別の尿素インジェクタ、及びSCR/ASC触媒を含み得る。ASC/DOC触媒はASC最下層を含んでもよく、それは、基材の入口端から出口端へ向かって延びる。一構成では、ASC最下層は、基材の全長にわたって延び、SCR最上層は、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、DOC最上層は、出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、SCR最上層及びDOC最上層は、ASC最下層の最上部に位置する。別の構成では、ASC最下層は、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、SCR最上層はASC最下層の最上部に位置しており、入口端から出口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆い、DOC層は、出口端から入口端へ向かって延び、基材の全長未満を覆う。DOC層は、部分的にASC最下層に重なってもよい。図4に示されるASCセクションは、上記のブレンドを含み得る。
【0063】
アンモニア酸化触媒
触媒物品は、一又は複数の、アンモニアスリップ触媒(「ASC」)とも呼ばれる、アンモニア酸化触媒を含み得る。一又は複数のASCは、SCR触媒に又はその下流に含まれて、余剰のアンモニアを酸化させ、且つそれが大気中へ放出されるのを妨げ得る。いくつかの実施態様では、ASCは、SCR触媒と同じ基材上に含まれ得るか、又はSCR触媒とブレンドされ得る。特定の実施態様では、アンモニア酸化触媒材料は、NO又はNOの形成の代わりにアンモニアの酸化を有利にするよう選択され得る。好ましい触媒材料には、白金、パラジウム、又はそれらの組み合わせが含まれる。アンモニア酸化触媒は、金属酸化物に担持された白金及び/又はパラジウムを含む。いくつかの実施態様では、触媒は、高表面積の担体上に配置され、アルミナを含むが、それらに限定されない。
【0064】
いくつかの実施態様では、アンモニア酸化触媒は、ケイ質担体上の白金族金属を含む。ケイ質材料材料は、(1)シリカ;(2)少なくとも200のシリカ対アルミナ比を有するゼオライト;及び(3)≧40%のSiO2含有量を有する非晶質のシリカドープしたアルミナ等の材料を含み得る。いくつかの実施態様では、ケイ質材料は、少なくとも200;少なくとも250;少なくとも300;少なくとも400;少なくとも500;少なくとも600;少なくとも750;少なくとも800;又は少なくとも1000のシリカ対アルミナ比を有するゼオライトなどの材料を含み得る。いくつかの実施態様では、白金族金属は、白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%から約10wt%;白金族金属及び担体の総重量の約0.5wt%から約10wt%;白金族金属及び担体の総重量の約1wt%から約6wt%;白金族金属及び担体の総重量の約1.5wt%から約4wt%;白金族金属及び担体の総重量の約10wt%;白金族金属及び担体の総重量の約0.1wt%;白金族金属及び担体の総重量の約0.5wt%;白金族金属及び担体の総重量の約1wt%;白金族金属及び担体の総重量の約2wt%;白金族金属及び担体の総重量の約3wt%;白金族金属及び担体の総重量の約4wt%;白金族金属及び担体の総重量の約5wt%;白金族金属及び担体の総重量の約6wt%;白金族金属及び担体の総重量の約7wt%;白金族金属及び担体の総重量の約8wt%;白金族金属及び担体の総重量の約9wt%;又は白金族金属及び担体の総重量の約10wt%の量で担体上に存在する。
【0065】
いくつかの実施態様では、ケイ質担体は、BEA、CDO、CON、FAU、MEL、MFI又はMWW骨格型を有するモレキュラーシーブを含み得る。
【0066】
SCR触媒
本発明のシステムは、一又は複数のSCR触媒を含み得る。いくつかの実施態様では、触媒物品は、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒を含み得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒は、互いに同一の配合物を含み得る。いくつかの実施態様では、第1のSCR触媒及び第2のSCR触媒は、互いに異なる配合物を含み得る。
【0067】
本発明の排気システムは、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を排気ガスに導入するためのインジェクタの下流に位置するSCR触媒を含み得る。SCR触媒は、アンモニア又はアンモニアに分解可能な化合物を注入するためのインジェクタのすぐ下流に位置し得る(例えば、インジェクタとSCR触媒との間に介在する触媒はない)。
【0068】
SCR触媒は、基材及び触媒組成物を含む。基材は、フロースルー基材又はフィルタリング基材であり得る。SCR触媒がフロースルー基材を有するとき、基材はSCR触媒組成物を含み得る(すなわち、SCR触媒は押出により得られる)か、又はSCR触媒は基材上に配置若しくは担持され得る(すなわち、SCR触媒組成物はウォッシュコート法により基材上に塗布される)。
【0069】
SCR触媒がフィルタリング基材を有するとき、該触媒は選択的触媒還元フィルタ触媒であり、これは本明細書中では略語「SCRF」で称される。SCRFは、フィルタリング基材及び選択的触媒還元(SCR)組成物を含む。本出願を通じたSCR触媒の使用についての言及は、必要に応じてSCRF触媒の使用も含むと理解される。
【0070】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物、又はそれらの混合物を含み得るか、又は本質的にそれからなる。そのようなSCR触媒配合物は、当該技術分野で知られている。
【0071】
選択的触媒還元組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物を含み得るか、又は本質的にそれからなる。金属酸化物系SCR触媒配合物は、耐火性酸化物に担持されたバナジウム又はタングステン又はそれらの混合物を含む。耐火性酸化物は、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリア及びそれらの組み合わせからなる群より選択され得る。
【0072】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)、セリア(例えばCeO)、及びセリウムとジルコニウムの混合又は複合酸化物(例えばCeZr(1-
x)、ここでx=0.1から0.9、好ましくはx=0.2から0.5)からなる群より選択される耐火性酸化物に担持されるバナジウムの酸化物(例えばV)及び/又はタングステンの酸化物(例えばWO)を含み得るか、又は本質的にそれらからなる。
【0073】
耐火性酸化物がチタニア(例えばTiO)であるとき、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.5から6wt%であり、且つ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は5から20wt%である。より好ましくは、バナジウムの酸化物(例えばV)及びタングステンの酸化物(例えばWO)は、チタニア(例えばTiO)に担持される。
【0074】
耐火性酸化物がセリア(例えばCeO)であるとき、好ましくは、バナジウムの酸化物の濃度は、(例えば金属酸化物系SCR配合物の)0.1から9wt%であり、且つ/又はタングステンの酸化物(例えばWO)の濃度は0.1から9wt%である。
【0075】
金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されるバナジウムの酸化物(例えばV)及び任意選択的にタングステンの酸化物(例えばWO)を含み得るか、又は本質的にそれらからなる。
【0076】
選択的触媒還元組成物は、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物を含み得るか、又は本質的にそれからなる。モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、モレキュラーシーブを含み、それは任意選択的には遷移金属交換モレキュラーシーブである。SCR触媒配合物は遷移金属交換モレキュラーシーブを含むことが好ましい。
【0077】
一般に、モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)、アルミノホスフェート骨格(例えばAlPO)、シリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)、又はヘテロ原子含有シリコアルミノホスフェート骨格(例えばMeが金属であるMeAPSO)を有するモレキュラーシーブを含み得る。ヘテロ原子(すなわちヘテロ原子含有骨格中のもの)は、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、バナジウム(V)及びそれら二つ以上の組み合わせからなる群より選択され得る。ヘテロ原子は金属であることが好ましい(例えば、上記のヘテロ原子含有骨格のそれぞれは、金属含有骨格であり得る)。
【0078】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、アルミノシリケート骨格(例えばゼオライト)又はシリコアルミノホスフェート骨格(例えばSAPO)を有するモレキュラーシーブを含むか、又は本質的にそれからなる。
【0079】
モレキュラーシーブがアルミノシリケート骨格を有する(例えば、モレキュラーシーブがゼオライトである)とき、典型的には、モレキュラーシーブは、5から200(例えば10から200)、好ましくは10から100(例えば10から30、又は20から80)、例えば12から40、又は15から30のシリカ対アルミナのモル比(SAR)を有する。いくつかの実施態様では、適切なモレキュラーシーブは、>200;>600;又は>1200のSARを有する。いくつかの実施態様では、モレキュラーシーブは、約1500から約2100のSARを有する。
【0080】
典型的には、モレキュラーシーブは微多孔質である。微多孔質モレキュラーシーブは、2nm未満の直径を有する細孔を有する(例えば、IUPACの「微多孔質(microporous)の定義による[Pure & Appl. Chem., 66(8), (1994), 1739-1758)を参照])。
【0081】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、小細孔モレキュラーシーブ(例えば8つの四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、中細孔モレキュラーシーブ(例えば10の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)、及び大細孔モレキュラーシーブ(すなわち12の四面体原子の最大環サイズを有するモレキュラーシーブ)を含み得る。
【0082】
モレキュラーシーブが、小細孔モレキュラーシーブであるとき、小細孔モレキュラーシーブは、ACO、AEI、AEN、AFN、AFT、AFX、ANA、APC、APD、ATT、CDO、CHA、DDR、DFT、EAB、EDI、EPI、ERI、GIS、GOO、IHW、ITE、ITW、LEV、LTA、KFI、MER、MON、NSI、OWE、PAU、PHI、RHO、RTH、SAT、SAV、SFW、SIV、THO、TSC、UEI、UFI、VNI、YUG及びZON、又はこれらのいずれか二つ以上の混合及び/又は連晶から成る群より選択される骨格型コード(FTC)により表される骨格構造を有し得る。好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA、LEV、AEI、AFX、ERI、LTA、SFW、KFI、DDR及びITEからなる群より選択されるFTCにより表される骨格構造を有する。より好ましくは、小細孔モレキュラーシーブは、CHA及びAEIからなる群より選択されるFTCにより表される骨格構造を有する。小細孔モレキュラーシーブは、FTC CHAにより表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブは、FTC AEIにより表される骨格構造を有し得る。小細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTC CHAにより表される骨格を有するとき、ゼオライトはチャバザイトであり得る。
【0083】
モレキュラーシーブが中細孔モレキュラーシーブであるとき、中細孔モレキュラーシーブは、AEL、AFO、AHT、BOF、BOZ、CGF、CGS、CHI、DAC、EUO、FER、HEU、IMF、ITH、ITR、JRY、JSR、JST、LAU、LOV、MEL、MFI、MFS、MRE、MTT、MVY、MWW、NAB、NAT、NES、OBW、−PAR、PCR、PON、PUN、RRO、RSN、SFF、SFG、STF、STI、STT、STW、−SVR、SZR、TER、TON、TUN、UOS、VSV、WEI及びWEN、又はそれら二つ以上の混合及び/又は連晶からなる群より選択される骨格型コード(FTC)により表される骨格構造を有し得る。好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER、MEL、MFI及びSTTからなる群より選択されるFTCにより表される骨格構造を有する。より好ましくは、中細孔モレキュラーシーブは、FER及びMFIからなる群より選択されるFTC、特にMFIにより表される骨格構造を有する。中細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTC FER又はMFIにより表される骨格を有するとき、ゼオライトは、フェリエライト、シリカライト又はZSM−5であり得る。
【0084】
モレキュラーシーブが大細孔モレキュラーシーブであるとき、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、AFR、AFS、AFY、ASV、ATO、ATS、BEA、BEC、BOG、BPH、BSV、CAN、CON、CZP、DFO、EMT、EON、EZT、FAU、GME、GON、IFR、ISV、ITG、IWR、IWS、IWV、IWW、JSR、LTF、LTL、MAZ、MEI、MOR、MOZ、MSE、MTW、NPO、OFF、OKO、OSI、−RON、RWY、SAF、SAO、SBE、SBS、SBT、SEW、SFE、SFO、SFS、SFV、SOF、SOS、STO、SSF、SSY、USI、UWY及びVET、又はこれら二つ以上の混合及び/又は連晶からなる群より選択される骨格型コード(FTC)により表される骨格構造を有し得る。好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、AFI、BEA、MAZ、MOR及びOFFからなる群より選択されるFTCにより表される骨格構造を有する。より好ましくは、大細孔モレキュラーシーブは、BEA、MOR及びMFIからなる群より選択されるFTCにより表される骨格構造を有する。大細孔モレキュラーシーブがゼオライトであり、FTC BEA、FAU又はMORにより表される骨格を有するとき、ゼオライトは、ベータゼオライト、フォージャサイト、ゼオライトY、ゼオライトX又はモルデナイトであり得る。
【0085】
一般に、モレキュラーシーブは小細孔モレキュラーシーブであることが好ましい。
【0086】
モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、好ましくは、遷移金属交換モレキュラーシーブを含む。遷移金属は、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム及びレニウムからなる群より選択され得る。
【0087】
遷移金属は銅であり得る。銅交換モレキュラーシーブを含有するSCR触媒配合物の利点は、そのような配合物が優れた低温NO還元活性(例えば、それは、鉄交換モレキュラーシーブの低温NO還元活性よりも良好であることがある)を有することである。本発明のシステム及び方法は、あらゆる種類のSCR触媒を含み得るが、銅を含有するSCR触媒(「Cu−SCR触媒」)は、それらが硫酸化の影響に対して特に脆弱であるため、本発明のシステムからより著しい利益を受けることができる。Cu−SCR触媒配合物は、例えば、Cu交換SAPO−34、Cu交換CHAゼオライト、Cu交換AEIゼオライト又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0088】
遷移金属は、モレキュラーシーブの外面上の骨格外部位、又はモレキュラーシーブのチャネル、空洞若しくはケージ内に存在し得る。
【0089】
典型的には、遷移金属交換モレキュラーシーブは、遷移金属交換モレキュラーシーブの0.10から10重量%の量、好ましくは0.2から5重量%の量を含む。
【0090】
一般に、選択的触媒還元触媒は、0.5から4.0gin-3、好ましくは1.0から3.0 4.0gin-3の総濃度で選択的触媒還元組成物を含む。
【0091】
SCR触媒組成物は、金属酸化物系SCR触媒配合物とモレキュラーシーブ系SCR触媒配合物との混合物を含み得る。(a)金属酸化物系SCR触媒配合物は、チタニア(例えばTiO)に担持されるバナジウムの酸化物(例えばV)及び任意選択的にタングステンの酸化物(例えばWO)を含み得るか、又は本質的にそれらからなり、且つ(b)モレキュラーシーブ系SCR触媒配合物は、遷移金属交換モレキュラーシーブを含み得る。
【0092】
SCR触媒がSCRFであるとき、フィルタリング基材は、好ましくは、ウォールフロー型フィルタ基材モノリスであり得る。ウォールフロー型フィルタ基材モノリス(例えばSCR−DPFのもの)は、典型的には、1平方インチ当たり(cpsi)60から400セルのセル密度を有する。ウォールフロー型フィルタ基材モノリスは、100から350cpsiのセル密度を有することが好ましく、より好ましくは200から300cpsiのセル密度を有することが好ましい。
【0093】
ウォールフロー型フィルタ基材モノリスは、0.20から0.50mm、好ましくは0.25から0.35mm(例えば約0.30mm)の壁厚(例えば平均内部壁厚)を有し得る。
【0094】
一般的に、コーティングされていないウォールフロー型フィルタ基材モノリスは、50から80%、好ましくは55から75%、より好ましくは60から70%の多孔率を有する。
【0095】
コーティングされていないウォールフロー型フィルタ基材モノリスは、典型的には少なくとも5μmの平均細孔サイズを有する。平均細孔サイズは、10から40μm、例えば15から35μm、より好ましくは20から30μmであることが好ましい。
【0096】
ウォールフロー型フィルタ基材モノリスは、対称的なセル設計又は非対称的なセル設計を有し得る。
【0097】
一般にSCRFに関しては、選択的触媒還元組成物は、ウォールフロー型フィルタ基材モノリスの壁内に配置される。加えて、選択的触媒還元組成物は、入口チャネルの壁上及び/又は出口チャネルの壁上に配置され得る。
【0098】
ブレンド
本発明の実施態様は、(1)担体上の白金族金属と(2)SCR触媒とのブレンドを含み得る。いくつかの実施態様では、ブレンド内で、SCR触媒の担体上の白金族金属に対する重量比は、約3:1から約300:1;約3:1から約250:1;約3:1から約200:1;約4:1から約150:1;約5:1から約100:1;約6:1から約90:1;約7:1から約80:1;約8:1から約70:1;約9:1から約60:1;約10:1から約50:1;約3:1;約4:1;約5:1;約6:1;約7:1;約8:1;約9:1;約10:1;約15:1;約20:1;約25:1;約30:1;約40:1;約50:1;約75:1;約100:1;約125:1;約150:1;約175:1;約200:1;約225:1;約250:1;約275:1;又は約300:1である。
【0099】
DOC
本発明の触媒物品及びシステムは、一又は複数のディーゼル酸化触媒を含み得る。酸化触媒、及び特にディーゼル酸化触媒(DOC)が、当該技術分野でよく知られている。酸化触媒は、COをCOに酸化し、気相炭化水素(HC)及びディーゼル微粒子の有機フラクション(可溶性有機成分)をCOとHOに酸化するように設計されている。典型的な酸化触媒は、アルミナ、シリカ−アルミナ、及びゼオライトなどの高表面積の無機酸化物担体上白金及び任意選択的にパラジウムも含む。
【0100】
基材
本発明の触媒はそれぞれ、フロースルー基材又はフィルタ基材をさらに含み得る。一実施態様では、触媒は、フロースルー又はフィルタ基材上にコーティングされてもよく、好ましくは、ウォッシュコート法を使用して、フロースルー又はフィルタ基材上に堆積される。
【0101】
SCR触媒とフィルタの組み合わせは、選択的触媒還元フィルタ(SCRF触媒)として知られている。SCRF触媒は、SCR及びパーティキュレートフィルタの機能性を組み合わせた単一基材装置であり、所望の本発明の実施態様に適している。本出願を通じたSCR触媒についての記載及び言及は、必要に応じて、SCRF触媒も含むと理解される。
【0102】
フロースルー又はフィルタ基材は、触媒/吸着体成分を含有することができる基材である。好ましくは、基材は、セラミック基材又は金属基材である。セラミック基材は、任意の好適な耐火材料、例えばアルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、マグネシア、ゼオライト、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸マグネシウム、アルミノケイ酸塩、及びメタロアルミノケイ酸塩(コーディエライト及びスポジュメンなど)又はそれらの任意の2種以上の混合物若しくは混合酸化物から作られていてもよい。コーディエライト、ケイ酸アルミン酸マグネシウム及び炭化ケイ素が特に好ましい。
【0103】
金属基材はいかなる好適な金属から作られてもよく、特に、チタンとステンレス鋼のような耐熱性の金属及び金属合金でも、他の微量金属に加えて、鉄、ニッケル、クロム、及び/又はアルミニウムを含むフェライト合金でもよい。
【0104】
フロースルー基材は、好ましくは基材を軸方向に通り、基材の入口又は出口から基材全体に延びる多くの小さな平行する薄壁で囲まれたチャネルのあるハニカム構造を有するフロースルーモノリスである。基材のチャンネル断面は、いかなる形状でもよいが、好ましくは正方形、シヌソイド形、三角形、長方形、六角形、台形、円形又は楕円形である。フロースルー基材は、多孔度が高い場合があり、これにより、触媒が基材壁内を貫通することが可能になる。
【0105】
好ましくは、フィルタ基材は、ウォールフロー型モノリスフィルタである。ウォールフロー型フィルタのチャネルは交互に閉塞しており、それによって、排気ガス流が、入口からチャネルに入り、その後チャネルを貫流して、出口につながる異なるチャネルからフィルタを出ることが可能になる。排気ガス流内の粒子は、ゆえに、フィルタに捕捉される。
【0106】
触媒/吸着体は、ウォッシュコート法等の任意の既知の手段によって、フロースルー又はフィルタ基材に添加され得る。
【0107】
還元剤/尿素インジェクタ
システムは、SCR及び/又はSCRF触媒の上流の排気システムに窒素還元剤を導入するための手段を備え得る。排気システム中へ窒素還元剤を導入するための手段はSCR又はSCRF触媒のすぐ上流にある(例えば、窒素還元剤を導入するための手段とSCR又はSCRF触媒との間に介在する触媒は存在しない)ことが好ましい場合がある。
【0108】
還元剤は、排気ガスの中へ還元剤を導入するための、いずれかの好適な手段によって、流れている排気ガスに加えられる。適切な手段には、インジェクタ、噴霧器、又は供給装置が含まれる。そのような手段は当該技術分野でよく知られている。
【0109】
システムにおける使用のための窒素還元剤は、尿素、炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、及びギ酸アンモニウムからなる群より選択されるアンモニア自体、ヒドラジン、又はアンモニア前駆体であり得る。尿素が特に好ましい。
【0110】
排気システムはまた、その中のNOxを還元するための、排気ガスの中への還元剤の導入を制御する手段も備えうる。好ましい制御手段は、電子制御装置、任意選択的にエンジン制御装置を含み、NO還元触媒の下流に位置するNOxセンサを更に備え得る。
【0111】
有益性
本発明の触媒物品は、より高い触媒活性及び選択性を提供し得る。さらに、いくつかの実施態様では、HC酸化及び発熱生成は、後部ゾーンに集中し得るため、熱水分解から前部のASCゾーンを保護し得る。
【0112】
いくつかの実施態様では、本発明の触媒物品は、最下層にSCRを含まないことを除いては同等の触媒物品と比較して、同等又は増強したNOx変換を有し得る。いくつかの実施態様では、本発明の触媒物品は、第1のSCR触媒を含まないことを除いては同等の触媒物品と比較して、増強したNOx変換を有することがあり、発明の触媒物品は、約40%から約50%のNOx変換の改善を示す。
【0113】
いくつかの実施態様では、本発明の触媒物品は、ASC最下層にSCRを含まないことを除いては同等の触媒物品と比較して、約350℃を下回る温度でNO形成についての減少した活性を有し得る。いくつかの実施態様では、本発明の触媒物品は、第1のSCR触媒を含まないことを除いては同等の触媒物品と比較して、約350℃を下回る温度でNO形成についての減少した活性を有してもよく、発明の触媒は、約60%超のNO形成の減少を示す。
【0114】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「ある(a)」、「ある(an)」及び「その(the)」は、文脈に相反することが明記されていない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば「触媒(a catalyst)」についての言及は、2つ以上の触媒の混合物などを含む。
【0115】
「アンモニアスリップ」という用語は、SCR触媒を通過する未反応アンモニアの量を意味する。
【0116】
用語「担体」とは、触媒が固定されている材料を意味する。
【0117】
用語「か焼する」又は「か焼」とは、空気中又は酸素中で材料を加熱することを意味する。この定義は、IUPACのか焼の定義と一致するものである(IUPAC. Compendium of Chemical Terminoology, 2nd ed. (the 「Gold Book」). Compiled by A. D. McNaught and A. Wilkinson. Blackwell Scientific Publications, Oxford (1997).XMLオンライン修正バージョン: http://goldbook.iupac. org(2006-)、創作者M. Nic、J. Jirat、B. Kosata;改訂者A. Jenkins. ISBN 0-9678550-9-8. doi:10.1351/ goldbook.)。金属塩を分解し、触媒内の金属イオンの交換を促進し、触媒を基材に接着させるために、焼成が行われる。焼成に用いられる温度は、焼成される材料中の成分に応じて決まり、一般に、約400℃から約900℃の間でおよそ1から8時間の間である。いくつかの場合、か焼は、約1200℃の温度まで実施されうる。本明細書に記載の方法を含む用途では、か焼は、一般に、約400℃から約700℃の温度でおよそ1から8時間の間、好ましくは約400℃から約650℃の温度でおよそ1から4時間の間、行われる。
【0118】
さまざまな数値要素の1つ又は複数の範囲が提供される場合、その一つ又は複数の範囲は、別記されない限り、その値を含めることができる。
【0119】
用語「N選択性」は、アンモニアの窒素への変換率を意味する。
【0120】
「ディーゼル酸化触媒」(DOC)、「ディーゼル発熱触媒」(DEC)、「NOx吸収体」、「SCR/PNA」(選択的触媒還元/受動的NOx吸着体)、コールドスタート触媒」(CSC)、及び「三元触媒」(TWC)という用語は、燃焼プロセスからの排気ガスを処理するために使用されるさまざまなタイプの触媒を記載するために使用される、当該技術分野において周知の用語である。
【0121】
用語「白金族金属」又は「PGM」は、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、及びイリジウムを指す。白金族金属は好ましくは、白金、パラジウム、ルテニウム 又はロジウムである。
【0122】
用語「下流」及び「上流」は、排気ガスの流れが基材又は物品の入口端から出口端に向かう触媒又は基材の配向を表す。
【0123】
以下の実施例は本発明の単なる例示であり、当業者は本発明の精神及び特許請求の範囲内にある多くのバリエーションを認識するであろう。
【実施例】
【0124】
この実施例では、体系的に多様な機能:(1)SCR単独、(2)SCR/DOC、(3)ASC/DOC及び(4)SCR/ASC/DOCを有する模擬エンジン出力条件下で、三つの近位連結触媒構成を試験した。さらに、システム全体のパフォーマンスにおけるNHスリップ及びASCの機能の影響を理解するために、ANR<1及びANR>1の両方で試験を実施した。
【0125】
試験した構成を図5に示す。試験条件:600/1200ppmのNH、1000ppmのNO、500ppmの(C1ベースの)C1022、200ppmのCO、10%のO、4.5%のCO、4.5%のHO、SCR/DOC、SCR/ASC/DOC及びSCR触媒それぞれについて、合計SV=30,000h−1、40,000h−1及び50,000h−1。結果を図6から図13に示す。
【0126】
SCR触媒のみを有する構成(1)では、システムは、最高のNOx変換及び最低のNO形成を有するが、特にANR>1のとき、非常に劣ったHC/CO変換を有し、NHスリップのコントロールを欠く。構成(2)に示すように、SCR触媒からスリップしたNHは、後部DOCゾーンで酸化し、低温(T≦350℃)で非常に高いNO選択性を有し;さらに、より高温(T≧350℃)では、DOCでのNH酸化は、NOxの形成に対して高い選択性を有し、これは、システムの総NOx変換を減少させる。
【0127】
下流のDOCへのNHスリップを最小限に抑えるために、ASC/DOC有する構成(3)を、ブレンドASC又は従来のPt/アルミナタイプASCの両方で3g/ftPtローディングで評価した。図11に示すように、構成(3)は前部ゾーンに従来のASCを有し、システムは、構成(2)よりもさらに多くのNOを生成するが、これは、SCR機能が不十分であり、ASCからのPtでの非選択的なNO+NH反応が原因である。反対に、構成(3)をブレンドASCで試験すると、NO形成は、350℃を下回る温度で>60%減少する。実際、250℃から350℃の最も関連性の高い温度では、このシステムからのNOは、構成(2)よりもさらに30−50%低い。同様に、ブレンドASCを有する構成(3)は、従来のASCと比較して、より高温度で高い選択性を示し、総NOx変換で40−50%の増加をもたらした。(図8参照)。それらの結果は、発明のASCが、Cu−SCR触媒により触媒化される選択的NO+NH反応を優先的に促進するが、Ptにより触媒化される非選択的NO+NH反応及びNH酸化を最小化し、近位連結の用途に非常に適するようにすることを示唆している。
【0128】
システムのパフォーマンスをさらに改善するために、追加の前部SCRゾーンを有する3ゾーン構成(構成(4))を評価した。図8及び12に示すように、中間ゾーンにブレンドASCを有する3ゾーン構成は、前部にブレンドASCを有する2ゾーン構成と比較して、さらに改善されたNO変換及びN選択性を示した。構成(4)の全体的なパフォーマンスは、構成(1)(つまりSCRのみ)と同様のNOx変換及びNO形成を有し、構成(2)及び(3)(つまりSCR/DOC及びASC/DOC)と同様のNH、HC及びCO変換を有する。(図8、11、6、10、及び9を参照)。
【0129】
上記の構成では、各ゾーン/機能は、単一基材又は別個の基材上にコーティングすることができ;ターボチャージャを搭載するエンジンシステムでは、それらの機能はプレターボ触媒とポストターボ触媒とに分けることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】