特表2020-516043(P2020-516043A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミコ リミテッドの特許一覧

特表2020-516043耐久性が改善されたセラミックヒータ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-516043(P2020-516043A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(54)【発明の名称】耐久性が改善されたセラミックヒータ
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/74 20060101AFI20200501BHJP
   H05B 3/02 20060101ALI20200501BHJP
   C04B 35/00 20060101ALI20200501BHJP
   C04B 41/80 20060101ALI20200501BHJP
   H01R 4/02 20060101ALN20200501BHJP
【FI】
   H05B3/74
   H05B3/02 Z
   C04B35/00
   C04B41/80 Z
   H01R4/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-554917(P2019-554917)
(86)(22)【出願日】2018年2月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月4日
(86)【国際出願番号】KR2018002245
(87)【国際公開番号】WO2018194254
(87)【国際公開日】20181025
(31)【優先権主張番号】10-2017-0050552
(32)【優先日】2017年4月19日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】518051628
【氏名又は名称】ミコ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】パク ミョン ハ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン チュル ホ
【テーマコード(参考)】
3K092
5E085
【Fターム(参考)】
3K092PP20
3K092QA05
3K092QC42
3K092QC43
3K092RF03
3K092RF11
3K092RF27
3K092VV31
5E085BB17
5E085BB26
5E085DD01
5E085EE05
5E085EE15
5E085EE22
5E085FF16
5E085HH01
5E085JJ06
5E085JJ25
5E085JJ36
(57)【要約】
本発明は、電極部からセラミック面に加えられる力やストレスなどによるクラック(crack)の発生を防止して耐久性を向上させたセラミックヒータおよびセラミックヒータ用セラミックプレートに関する。
【解決手段】 本発明は、電極部周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させるために、電極ロッドの支持部の端が対向するセラミック面から離隔するようにし、電極ロッドの支持部の端の周辺にフィラー塊が位置を占める空間を用意して、支持部の膨張やフィラー塊によってセラミック面に加えられる力やストレスなどが除去されるようにした、セラミックヒータおよびセラミックヒータ用セラミックプレートに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込まれている発熱体、開口部の内周面の一部に形成されたネジ山、および前記発熱体と電気的に連結され、前記開口部の底面に部分的に露出されるように埋め込まれているコネクタを含むセラミックプレート、および
前記ネジ山を介して締結される、電極ロッドと結合された支持アイレットを含み、
前記開口部の内周面の前記底面側の端に内側に窪んだ凹部が形成されることを特徴とする、セラミックヒータ。
【請求項2】
前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から所定の距離離隔するように前記ネジ山を介して締結されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
開口部の内周面の一部に形成され、電極ロッドと結合された支持アイレットを締結するためのネジ山、
埋め込まれた発熱体と電気的に連結され、前記開口部の底面に部分的に露出されるように埋め込まれているコネクタ、および
前記底面側の端に内側に窪んだ凹部
を含むことを特徴とする、セラミックプレート。
【請求項4】
前記凹部は、前記支持アイレットの締結後、前記電極ロッドの端部面と前記コネクタとの間のろう付け接合時に発生するフィラー塊を収容するためのものであることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックプレート。
【請求項5】
前記フィラー塊が周囲のセラミック面に加えるストレスを除去するためであることを特徴とする、請求項4に記載のセラミックプレート。
【請求項6】
前記ネジ山を介して前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から所定の距離離隔するように締結するためであることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックプレート。
【請求項7】
熱的膨張や変形によって前記支持アイレットの端部が周囲のセラミック面に加えるストレスを除去するためであることを特徴とする、請求項6に記載のセラミックプレート。
【請求項8】
前記開口部の全体深さに対して前記開口部の入口から前記ネジ山が形成された部分の端部までの深さが10%〜90%であることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックプレート。
【請求項9】
前記ネジ山を介して締結された前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から1mm〜5mm離隔するようにするためであることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックプレート。
【請求項10】
前記凹部は、最大に窪んだ部分が加工前の前記内周面の延長線から0.1mm〜3mm内側に窪むように丸い形状に加工されることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックプレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒータに関し、特に、電極部からセラミック面に加えられる力やストレスなどによるクラック(crack)の発生を防止して耐久性を向上させたセラミックヒータおよびセラミックヒータ用セラミックプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックヒータは、半導体ウェハ、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の熱処理対象体を所定の加熱温度で熱処理するために用いられる。半導体ウェハの処理のために、セラミックヒータは静電チャックの機能と結合して用いられたりもする。
【0003】
図1は、従来のセラミックヒータを説明するための図である。図1を参照すれば、従来のセラミックヒータは、セラミックプレート10の中心部に外部の電極ロッド30と結合するための電極部を有する。セラミックプレート10には、発熱体11がリング形態などで埋め込まれており、その中心部の電極部周囲の所定の発熱体11に電気的に連結されたコネクタ12が埋め込まれている。電極部において、電極ロッド30と結合された支持体20が開口部に形成されたネジ山を介してネジ結合され、電極ロッド30の端はろう付け(brazing)接合されてコネクタ12と電気的に連結される。
【0004】
このような従来のセラミックヒータにおいては、電極部のネジ山が開口部の底面まで形成されており、該ネジ山を介した支持体20の結合によって支持体20の端が開口部のセラミック面と接触するかまたは近接するようになる。
【0005】
そのため、ヒータの長時間の使用やろう付け(brazing)の時に、支持体20の膨張と変形が起こってセラミック面に力またはストレスが加えられることによって、図1のように周囲のセラミックにクラックを誘発するという問題がある。
【0006】
また、電極ロッド30の端とコネクタ12との間のろう付け(brazing)の時に、導電性フィラー(filler)がメルトし固体化する時に生じるフィラー塊が周囲空間に位置を占めなければならないが、支持体20の端部周辺に空間が無いかまたは狭くてフィラー塊が周囲のセラミック面に力またはストレスを加えることによって、図1のように周囲のセラミックにクラックを誘発するという問題がある。
【0007】
関連の先行文献として、大韓民国公開特許第10−2008−0046797号(2008年05月28日)などを参照することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するために導き出されたものであり、本発明の目的は、電極部の開口部周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させるために、電極ロッドの支持部の端が対向するセラミック面から離隔するようにし、電極ロッドの支持部の端の周辺にフィラー塊が位置を占める空間を用意して、支持部の膨張やフィラー塊によってセラミック面に加えられる力やストレスなどが除去されるようにした、セラミックヒータおよびセラミックヒータ用セラミックプレートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先ず、本発明の特徴を要約すれば、前記目的を達成するための本発明の一態様に係るセラミックヒータは、埋め込まれている発熱体、開口部の内周面の一部に形成されたネジ山、および前記発熱体と電気的に連結され、前記開口部の底面に部分的に露出されるように埋め込まれているコネクタを含むセラミックプレート、および前記ネジ山を介して締結される、電極ロッドと結合された支持アイレットを含み、前記開口部の内周面の前記底面側の端に内側に窪んだ凹部が形成されることを特徴とする。前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から所定の距離離隔するように前記ネジ山を介して締結される。
【0010】
そして、本発明の他の一態様に係るセラミックプレートは、開口部の内周面の一部に形成され、電極ロッドと結合された支持アイレットを締結するためのネジ山、埋め込まれた発熱体と電気的に連結され、前記開口部の底面に部分的に露出されるように埋め込まれているコネクタ、および前記底面側の端に内側に窪んだ凹部を含む。
【0011】
前記凹部は、前記支持アイレットの締結後、前記電極ロッドの端部面と前記コネクタとの間のろう付け接合時に発生するフィラー塊を収容するためのものである。それにより、前記フィラー塊が周囲のセラミック面に加えるストレスを除去することができる。
【0012】
前記ネジ山を介して前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から所定の距離離隔するように締結してもよい。それにより、熱的膨張や変形によって前記支持アイレットの端部が周囲のセラミック面に加えるストレスを除去することができる。
【0013】
前記開口部の全体深さに対して前記開口部の入口から前記ネジ山が形成された部分の端部までの深さが10%〜90%であってもよい。
【0014】
前記ネジ山を介して締結された前記支持アイレットの端部が前記開口部の底面から1mm〜5mm離隔するようにしてもよい。
【0015】
前記凹部は、最大に窪んだ部分が加工前の前記内周面の延長線から0.1mm〜3mm内側に窪むように丸い形状に加工されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るセラミックヒータによれば、電極ロッドの支持部の端が対向するセラミック面から離隔するようにし、電極ロッドの支持部の端の周辺にフィラー塊が位置を占める空間を用意して、支持部の膨張やフィラー塊によってセラミック面に加えられる力やストレスなどが除去されるようにすることによって、電極部周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】従来のセラミックヒータを説明するための図である。
図2a】本発明の一実施形態によるセラミックヒータを説明するための図である。
図2b】本発明の一実施形態によるセラミックヒータを説明するための図である。
図3図2のセラミックヒータの電極部周囲を拡大した図である。
図4図2の支持アイレットの端部が対向するセラミック面との離隔程度を具体的に説明するための図である。
図5】本発明の一実施形態によるセラミックヒータの凹部の加工程度に応じた実験結果を説明するための4タイプの凹部に関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、添付図面を参照して本発明について詳しく説明する。この時、図面上、同一の構成要素には可能な限り同一の符号を付することにする。また、既に公知された機能および/または構成に関する詳しい説明は省略する。以下にて開示された内容は、様々な実施形態に応じた動作を理解するのに必要な部分を重点的に説明し、その説明の要旨を不要に濁す恐れがある要素に関する説明は省略する。また、図面の一部の構成要素は、誇張、省略または概略的に図示されることがある。各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するのではなく、よって、それぞれの図面に示された構成要素の相対的な大きさや間隔によってこれに記載される内容が制限されるものではない。
【0019】
図2aおよび図2bは、本発明の一実施形態によるセラミックヒータを説明するための図である。図2aは本発明の一実施形態によるセラミックヒータの電極部150を具体的に示す図であり、図2bは図2aの電極部150の開口部140に締結された電極125をさらに示す図である。
【0020】
図2aおよび図2bを参照すれば、本発明の一実施形態によるセラミックヒータは、発熱体111と電極部150とを含むセラミックプレート110、および電極部150の開口部140に締結される電極125、すなわち、電極ロッド130と電極ロッド130に結合された支持アイレット(eyelet)120とを含む。セラミックプレート110は、セラミック焼結体に埋め込まれた発熱体111を含む。電極125は、発熱体111に電力(例えば、RF(Radio Frequency)電力)を供給するための構成要素であって、電極ロッド130と電極ロッド130に結合された支持アイレット120とを含む。
【0021】
セラミックプレート110の電極部150は、電極125の連結のための開口部140にコネクタ112と凹部142とを含み、また、開口部140の内周面の一部に形成されたネジ山141を含む。電極ロッド130と結合された支持アイレット120は、ネジ山141(例えば、雌ネジ山)を介して締結するために外周面にネジ山121(例えば、雄ネジ山)を有する。
【0022】
ここで、セラミックはAl、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、BxCy、BN、SiO、SiC、YAG、Mullite、AlFなどのような様々な素材であってもよい。
【0023】
発熱体111にRF(Radio Frequency)電力などを供給するために、コネクタ112、電極ロッド130、支持アイレット120は導電性素材からなることができ、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)またはこれらの合金からなることができる。また、発熱体111もこのような導電性素材からなることができる。
【0024】
電極ロッド130は、支持アイレット120に結合されて末端部がコネクタ112とろう付け(brazing)接合されるように、支持アイレット120の端部より所定の長さだけさらに延びた形態になるように支持アイレット120と結合されることができる。電極ロッド130は支持アイレット120と様々な方法で電気的に連結されるように結合されることができ、例えば、その界面に導電性物質を含む接着剤を用いて結合されることができる。例えば、接着剤として、銀(Ag)、白金(Pt)、金(Au)、ニッケル(Ni)または銅(Cu)などの金属物質と有機物エポキシが混合された形態が利用できる。
【0025】
発熱体111と電気的に連結され、開口部140の底面に部分的に露出されるように、コネクタ112がセラミックプレート110に埋め込まれている。電極ロッド130の端部面とコネクタ112との間にはろう付け接合によって電気的に連結される。ろう付け(brazing)接合のために、導電性フィラー(filler)を開口部140の底面、またはコネクタ112の露出部分に、予め注入し、電極ロッド130の端部面とコネクタ112を密着させた後に高温加熱し冷却させる方法によってなされる。
【0026】
セラミックプレート110の電極部150は、開口部140に電極ロッド130が結合された支持アイレット120のネジ山121(例えば、雄ネジ山)と締結するためのネジ山141(例えば、雌ネジ山)および開口部140の底面に部分的に露出されるようにセラミックプレート110に埋め込まれているコネクタ112の他にも、開口部140内周面の底面114側の端に内側に窪むように丸い形状(R)に加工された凹部142をさらに含む。
【0027】
電極ロッド130と接合されたコネクタ112を介して発熱体111にRF電力などを供給して、発熱体111から発生する熱を用いて熱処理対象体を加熱し、所定の加熱温度で熱処理をすることができる。但し、図2のセラミックプレート110をひっくり返して、その上面に半導体ウェハ、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の熱処理対象体を加熱して熱処理することができ、場合によっては、図2のセラミックプレート110の下面にそのまま様々な目的の熱処理対象体を加熱して熱処理することもできる。本発明のセラミックヒータは、静電チャックの機能と結合して用いられてもよい。
【0028】
図3は、図2のセラミックヒータの電極部150周囲を拡大した図である。
【0029】
図3を参照すれば、凹部142は、支持アイレット120の締結後、電極ロッド130の端部面とコネクタ露出部分との間のフィラー113を介したろう付け接合時に発生する残留フィラー塊115を収容する。このような残留フィラー塊115を収容するための空間を確保するために、凹部142は、図3のd2のように最大に窪んだ部分が加工前の開口部140内周面の延長線から0.1mm〜3mm内側に窪むように丸い形状に加工されることができる。凹部142のこのような加工範囲から脱すれば、加工が難しいかまたはクラック発生の防止効果が落ちる。
【0030】
下記の表1には、凹部142の様々なタイプ(図5参照)に対して実験した結果を示す。すなわち、開口部140の全体深さDが10mmであり、開口部140内周面の直径が6mmである場合に対して、凹部142の加工がない場合(Type1)、開口部140内周面の延長線から丸い形状に加工されて、凹部142の最大に窪んだ部分の直径が、6.5mmの場合(Type2)、7.5mmの場合(Type3)を例に挙げて示した。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示すように、Type1の場合は、残留フィラー塊115を収容する空間がなくてクラックが発生し、ろう付け接合も不良であった。Type2、Type3の場合は、適切な凹部142の形成によりクラックの発生がなくて良好であり、ろう付け接合も優秀または良好な状態を示した。
【0033】
図5において、凹部142の最大に窪んだ部分の直径が8.58mmの場合(Type4)のように凹部142の直径が大きい場合は加工に困難があって実験することはできなかったが、適切な切削方法により、Type3より大きい凹部142の直径に対して適切な範囲までクラックの発生がなくて良好であり、ろう付け接合も良好な状態を示すであろう。よって、凹部142は、図3のd2のように最大に窪んだ部分が加工前の開口部140内周面の延長線から0.1mm〜3mm内側に窪むように丸い形状に加工されることが好ましい。但し、これに限定されず、場合によっては、凹部142の直径d2をそれ以上に大きくしてもよい。
【0034】
従来のようにアイレット端部周辺に空間がないかまたは狭くて、ろう付け接合時に導電性フィラーがメルトし固体化するする時に生じるフィラー塊が位置を占める周囲空間の不足により、フィラー塊が周囲のセラミック面にストレスを加えてクラックを誘発するようになる。
【0035】
本発明においては、このように支持アイレット120の端部周辺にフィラー塊115が位置を占める空間を用意することによって、フィラー塊115によって底などの周囲のセラミック面114に加えられるストレス(または力)などが除去されるようにすることによって、従来のような(図1参照)電極部開口部140周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させることができる。
【0036】
また、従来のように開口部内周面のネジ山とアイレット外周面のネジ山、特に、開口部内周面のネジ山が底面まで形成されている場合、アイレット端部が底のセラミック面と接触するかまたは近接するようになって、ヒータの長時間の使用やろう付けの時にアイレットの膨張と変形が起こってセラミック面にストレスを加え、周囲のセラミックにクラックを誘発するようになる。
【0037】
本発明においては、図3のように、タブ(tab)加工によるネジ山141を介して支持アイレット120の端部が開口部140の底面114から所定の距離d3離隔するように支持アイレット120の締結を制限することができる。例えば、開口部140の全体深さDに対して開口部140の入口からネジ山141が形成された部分の端部までの深さd1が10%〜90%になるようにすることができ、支持アイレット120の端部122がネジ山141が形成された部分の端部123から所定の長さだけ離れて位置するように製作することによって、安定的に支持アイレット120の端部122が開口部140の底面114から所定の距離d3離隔するようにすることができる。例えば、ネジ山141を介して締結された支持アイレット120の端部122は、開口部140の底面114から離隔距離d3が1mm〜5mmになるようにすることができる。
【0038】
支持アイレット120の端部122がネジ山141が形成された部分の端部123まで降りてくるように締結され、この時、開口部140の全体深さDが10mmの場合に対して、ネジタブ(tab)による加工深さd1、すなわち、開口部140の入口からネジ山141が形成された部分の端部までの深さd1が、1、3、6、8、10mmの場合に対して、実験した結果が表2のとおりである。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示すように、ネジタブ(tab)による加工深さd1が1mmの場合は、クラックの発生がなくて良好であるが、ネジ山(121/141)の数が少なくて支持アイレット120の締結が不可であり、d1が3mmの場合は、クラックの発生がなくて良好であるが、ネジ結合が弱くてろう付け接合が不良であった。また、d1が10mmとして開口部140の全体深さDと等しくなった場合には、クラックの発生とろう付け接合と関連していずれも不良であった。但し、d1が6mm/8mmの場合は、クラックの発生とろう付け接合と関連していずれも良好であった。よって、ネジ山141を介して締結された支持アイレット120の端部122は、開口部140の底面114から離隔距離d3が1mm〜5mmになるようにすることが好ましい。但し、これに限定されず、場合によっては、離隔距離d3をさらに小さくするかまたはさらに大きくしてもよい。
【0041】
図4は、図2の支持アイレット120の端部122が対向するセラミック面との離隔程度を具体的に説明するための図である。
【0042】
図4(a)に示すように、設計によってはネジ山141を介して締結された支持アイレット120の端部122が上記のような凹部142開始境界線以前まで延びる場合があり、また、設計によってはネジ山141を介して締結された支持アイレット120の端部122が上記のような凹部142開始境界線を越えて延びる場合がある。
【0043】
この時、全ての場合において、ネジ山141を介して締結された支持アイレット120の端部122が開口部140の底面114から離隔距離d3が1mm〜5mmになるようにすることができ、このような範囲から脱すれば、クラック発生の防止効果が落ちる。
【0044】
本発明において、このように支持アイレット120の端部122が開口部140の底面114から所定の離隔距離d3を保持するようにすることによって、ヒータの長時間の使用やろう付けの時に支持アイレット120の熱的膨張と変形があるとしても、支持アイレット120の端部122によって底などの周囲のセラミック面114に加えられるストレス(または力)などが除去されるようにし、従来のような(図1参照)電極部開口部140周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させることができる。
【0045】
上述したように、本発明のセラミックヒータによれば、電極ロッド130の支持アイレット120の端が対向するセラミック面から離隔するようにし、電極ロッド130の支持アイレット120の端の周辺にフィラー塊115が位置を占める空間を用意して、支持アイレット120の膨張やフィラー塊によってセラミック面に加えられる力やストレスなどが除去されるようにすることによって、電極部150周囲のセラミック面でのクラックの発生を防止して耐久性を向上させることができる。
【0046】
以上、本発明を具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施形態および図面によって説明したが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内で様々な修正および変形が可能である。したがって、本発明の思想は説明された実施形態に限定して定められてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、該特許請求の範囲と均等または等価的な変形がある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれると解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0047】
110 ・・・セラミックプレート
120 ・・・支持アイレット
130 ・・・電極ロッド
140 ・・・開口部
150 ・・・電極部
図1
図2a
図2b
図3
図4(a)】
図4(b)】
図5
【国際調査報告】