(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、及び配列番号12からなる群から選択される配列を含む免疫調節ポリヌクレオチド。
対象における免疫応答を調節する方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫調節ポリヌクレオチドを、前記個体における免疫応答を調節するのに十分な量で、対象に投与するステップを含む方法。
対象におけるインターフェロン−アルファ(IFN−α)を増加させる方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫調節ポリヌクレオチドを、前記対象におけるIFN−αを増加させるのに十分な量で、対象に投与するステップを含む方法。
対象におけるインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)を増加させる方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫調節ポリヌクレオチドを、前記対象におけるIFN−γを増加させるのに十分な量で、対象に投与するステップを含む方法。
対象における感染症の症状を回復させる方法であって、対象に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫調節ポリヌクレオチドの有効量を投与するステップを含み、有効量が前記感染症の症状を回復させるのに十分な量である、方法。
対象におけるがん又は腫瘍の治療する方法であって、対象に、請求項1〜6のいずれか一項に記載の免疫調節ポリヌクレオチドの有効量を投与するステップを含み、有効量が前記がん又は腫瘍を治療するのに十分な量である、方法。
前記腫瘍抗原が、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137からなる群から選択される、請求項15に記載の治療的組合せ。
前記腫瘍抗原が、4−1BB、5T4,AGS−5,AGS−16、アンギオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、癌胎児抗原、CTLA4、Cripto、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、糖質コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαγ、インテグリンαγβ、KIR、LAG−3、ルイスY、メソテリン、c−MET、MNカルボニックアンヒドラーゼIX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH,OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、STING(IFN遺伝子刺激因子)、Syndecan−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、及びその変形からなる群から選択される、請求項15に記載の治療的組合せ。
前記抗体が、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix(パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、Tremelimumab、Opdivo(ニボルマブ)、Dacetuzumab、Urelumab、Tecentriq(アテゾリズマブ、MPDL3280A)、Lambrolizumab、Blinatumomab、CT−011、Keytruda(ペムブロリズマブ、MK−3475)、BMS−936559、MED14736、MSB0010718C、Imfinzi(デュルバルマブ)、Bavencio(アベルマブ)及びマルジェツキシマブ(MGAH22)からなる群から選択される、請求項19に記載の治療的組合せ。
前記標的治療は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds−scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc−ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD−Ig、SIP、SMIP、DART、又は1つ又は複数のCDRを含む抗体類似体を含む、請求項18に記載の治療的組合せ。
前記化学療法剤が、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、シタラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトセシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、又はイダルビシンからなる群から選択される、請求項22に記載の治療的組合せ。
治療を必要とする対象における疾患状態を治療するための方法であって、前記対象に、請求項12〜23のいずれか一項に記載の治療的組合せを投与するステップを含む方法。
前記がんが、乳がん、結腸直腸がん、びまん性大細胞性B細胞リンパ腫、子宮内膜がん、濾胞性リンパ腫、胃がん、グリア芽細胞腫、頭頸部がん、肝細胞がん、肺がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、及び腎細胞癌からなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0038]本発明の幾つかの態様は、例示のための例の適用を参照しながら以下に説明される。特定の多数の詳細、関係性及び方法が、本発明の完全な理解を実現するために記載されることが理解される。しかしながら、関連性のある分野の当業者は、本発明が、1つ又は複数の特定の詳細なしで又は他の方法で実施できることを容易に認識する。いくつかの作用は、他の作用又は事象と異なる順序で及び/又は併発的に生じ得るので、本発明は作用又は事象の例示される順序によって限定されない。
【0032】
[0039]さらに、全ての例示される作用又は事象が、本発明に従う方法を実行するのに必要とされるわけではない。
【0033】
[0040]本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのものにすぎず、本発明が限定されることを意図されていない。本明細書で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上明らかな別の指示がない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はその変形が、詳細な説明及び/又は特許請求の範囲に使用される限度まで、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と類似する様式の包含的なものであることが意図される。
【0034】
[0041]用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定されるような特定の値に対して許容可能な誤差範囲内であることを意味し、どのようにして、その値が、測定される又は決定されるか、すなわち、測定システムの制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、当分野における1実施当たり、1又は1超の標準偏差内であることを意味し得る。或いは、「約」は、所与の値の、20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、及びより好ましくはさらに1%までの範囲であることを意味し得る。或いは、特に生物学的なシステム又はプロセスに関して、用語は、値の桁内、好ましくは5倍内、及びより好ましくは2倍内であることを意味し得る。特定の値が出願及び特許請求の範囲に記載される場合、別記しない限り、特定の値に対して許容可能な誤差範囲内であることを意味する用語「約」が、仮定されるべきである。
【0035】
I.
定義及び略語
[0042]別途の規定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、通常、本発明が属する分野の当業者が一般的に理解している意味と同じ意味を有する。一般的に、本明細書に使用されている命名法及び細胞培養、分子遺伝学、有機化学及び核酸化学及びハイブリダイゼーションにおける研究手順は、周知されているものであり、当分野で共通して採用される。標準技術が、核酸及びペプチド合成に使用される。技術及び手順は、当分野の従来法及び様々な一般的な参照に従って一般に実施され、本文書全体を通して提供される。本明細書に使用されている命名法及び以下に記載される分析化学、及び有機合成における研究手順は、周知されているものであり、当分野で共通して採用される。標準技術又はその修飾は、化学合成及び化学分析に使用される。
【0036】
[0043]用語「アルキル」は、単独で又は別の置換基の一部として、別記しない限り、完全に飽和、単又は多価不飽和であってもよい及び二価及び多価ラジカルを含みうる、指定される炭素原子の数(すなわち、C
1〜C
10は、1から10の炭素を意味する)を有する、直鎖又は分枝鎖、又は環状炭化水素ラジカル、又はその組合せを意味する。飽和炭化水素ラジカルの例は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、その相同体及び異性体、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の基を含むが、限定されない。不飽和アルキル基は、1つ又は複数の二重結合又は三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例は、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−及び3−プロピニル、3−ブチニル、並びにより高級な相同体及び異性体を含むが、限定されない。用語「アルキル」は、別に注記しない限り、以下により詳細に規定されるアルキルの誘導体、例えば、「ヘテロアルキル」を含むことも意味する。炭化水素基に限定される、アルキル基は、「ホモアルキル」と称される。
【0037】
[0044]用語「アルキレン」は、単独で又は別の置換基の一部として、アルカンから誘導される二価ラジカルを意味し、−CH
2CH
2CH
2CH
2−によって例証されるが、限定されず、以下に「ヘテロアルキレン」として記載される基をさらに含む。典型的に、アルキル(又はアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有する基が本発明において好ましい。「低級アルキル」又は「低級アルキレン」は、短鎖アルキル又はアルキレン基であり、一般に8個以下の炭素原子を有する。
【0038】
[0045]用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」及び「アルキルチオ」(又はチオアルコキシ)は、それらの従来の意義で使用され、それぞれ酸素原子、アミノ基、又は硫黄原子を介して分子の残部に結合したアルキル基を指す。
【0039】
[0046]用語「ヘテロアルキル」、単独で又は別の用語との組合せとして、別記しない限り、指定数の炭素原子とO、N、Si及びSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子からなる、安定な直鎖又は分枝鎖、又は環状炭化水素ラジカル、又はその組合せを意味し、ここで、窒素及び硫黄原子は任意選択で酸化型であってもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択で四級化されてもよい。ヘテロ原子(複数可)O、N及びS及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に又はアルキル基が分子の残部に結合した位置に配置されてもよい。例は、−CH
2−CH
2−O−CH
3、−CH
2−CH
2−NH−CH
3、−CH
2−CH
2−N(CH
3)−CH
3、−CH
2−S−CH
2−CH
3、−CH
2−CH
2,−S(O)−CH
3、−CH
2−CH
2−S(O)
2−CH
3、−CH=CH−O−CH
3、−Si(CH
3)
3、−CH
2−CH=N−OCH
3、及び−CH=CH−N(CH
3)−CH
3を含むが、限定されない。2つのヘテロ原子までが連続してもよく、例えば、−CH
2−NH−OCH
3及び−CH
2−O−Si(CH
3)
3であってもよい。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、単独で又は別の置換基の一部として、ヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味し、−CH
2−CH
2−S−CH
2−CH
2−及び−CH
2−S−CH
2−CH
2−NH−CH
2−によって例証されるが、限定されない。ヘテロアルキレン基に関して、ヘテロ原子はまた、鎖の末端のいずれか又は両方を占有してもよい(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。なおさらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基に関して、連結基の配向は、連結基の式が記入される方向によって示唆されない。例えば、式−C(O)
2R’−は、−C(O)
2R’−及び−R’C(O)
2−の両方を表す。
【0040】
[0047]一般に、「アシル置換基」はまた、上記の群から選択される。本明細書で使用される用語「アシル置換基」は、本発明の化合物の多環式核に直接的又は間接的に結合する、カルボニル炭素に結合し、カルボニル炭素の価数を満たす基を指す。
【0041】
[0048]用語「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」は、それら自身で又は他の用語と組合せて、別記しない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状バージョンを表す。さらに、ヘテロシクロアルキルに関して、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部に結合した位置を占有し得る。シクロアルキルの例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル等を含むが、限定されない。ヘテロシクロアルキルの例は、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルフォリニル、3−モルフォリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等を含むが、限定されない。
【0042】
[0049]用語「ハロ」及び「ハロゲン」は、それら自身で又は別の置換基の一部として、別記しない限り、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素原子を意味する。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、用語「ハロ(C
1〜C
4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピル等を含むが、限定されないことを意味する。
【0043】
[0050]用語「アリール」は、別記しない限り、単環又は一緒に縮合若しくは共有結合で連結された多環(好ましくは1〜3環)とすることができる、多価不飽和の、芳香族の、炭化水素置換基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、N、O、及びSから選択される1〜4つのヘテロ原子を含有するアリール基(又は環)を指し、ここで、窒素及び硫黄原子は任意選択で酸化型であり、窒素原子(複数可)は任意選択で四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子によって分子の残部に結合し得る。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例は、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、及び6−キノリルを含む。上に注記したアリール及びヘテロアリール環系の各々に対する置換基は、以下に記載される許容可能な置換基の群から選択される。
【0044】
[0051]簡潔さのため、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)との組合せに使用される場合、用語「アリール」は、上記で規定されたアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。したがって、用語「アリールアルキル」は、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子によって置き換えられているアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピル等)を含む、アリール基が、アルキル基に結合されたラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)を含むことを意味する。
【0045】
[0052]上記用語の各々(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」及び「ヘテロアリール」)は、示されたラジカルの置換及び非置換形態の両方を含む。各タイプのラジカルに対する好ましい置換基は、以下に提供される。
【0046】
[0053]アルキル、及びヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと称されることが多い基を含む)に対する置換基は、それぞれ「アルキル置換基」及び「ヘテロアルキル置換基」と一般に称され、これらは、ゼロから(2m’+1)の範囲の数の−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO
2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)
2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R’’、−NRSO
2R’、−CN及び−NO
2(式中のm’は、そのようなラジカルにおける炭素原子の総数である)から選択される種々の基のうちの1つ又は複数であり得るが、限定されない。各々R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、独立して、水素、置換又は非置換ヘテロアルキル、置換又は非置換アリール、例えば、1〜3ハロゲン、置換又は非置換アルキル、アルコキシ又はチオアルコキシ基、又はアリールアルキル基で置換されたアリールを指す。本発明の化合物が、1つを超えるR基を含む場合、例えば、これらの基が1つを超えて存在する場合、各々のR基は、独立して、各R’、R’’、R’’’及びR’’’’基として選択される。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合する場合、これらを窒素原子と組合せて5−、6−、又は7−員環を形成させてもよい。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルフォリニルを含むことを意味するが、限定されない。置換基の上記考察から、当業者には、用語「アルキル」が、水素基以外の基、例えば、ハロアルキル(例えば、−CF
3及び−CH
2CF
3)及びアシル(例えば、−C(O)CH
3、−C(O)CF
3、−C(O)CH
2OCH
3等)に結合させた炭素原子を含む基を含むことを意味するということが理解されよう。
【0047】
[0054]アルキルラジカルに関して記載される置換基と類似して、アリール置換基及びヘテロアリール置換基は、それぞれ、「アリール置換基」及び「ヘテロアリール置換基」と一般に称され、変動し、例えば、芳香環系におけるゼロからオープン原子価の総数の範囲の数のハロゲン、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO
2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)
2R’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)
2R’、−S(O)
2NR’R’’、−NRSO
2R’、−CN及び−NO
2、−R’、−N3、−CH(Ph)
2、フルオロ(C
1〜C
4)アルコキシ、及びフルオロ(C
1〜C
4)アルキルから選択される;並びに式中R’、R’’、R’’’及びR’’’’は、好ましくは、独立して、水素、(C
1〜C
8)アルキル及びヘテロアルキル、非置換アリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)−(C
1〜C
4)アルキル、及び(非置換アリール)オキシ−(C
1〜C
4)アルキルから選択される。本発明の化合物が、1つを超えるR基を含む場合、例えば、これらの基が1つを超えて存在する場合、各々のR基は、独立して、各R’、R’’、R’’’及びR’’’’基として選択される。
【0048】
[0055]アリール又はヘテロアリール環に隣接する原子における2つのアリール置換基は、式−T−C(O)−(CRR’)
q−U−の置換基で任意選択で置き換えられていてもよく、式中、T及びUは、独立して−NR−、−O−、−CRR’−又は単結合であり、qは、0〜3の整数である。或いは、アリール又はヘテロアリール環に隣接する原子における2つのアリール置換基は、式−A−(CH
2)
r−B−の置換基で任意選択で置き換えられていてもよく、式中、A及びBは、独立して−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−S(O)
2NR’−又は単結合であり、rは、1〜4の整数である。そのように形成された新しい環の単結合の1つは、二重結合で任意選択で置き換えられていてもよい。或いは、アリール又はヘテロアリール環に隣接する原子における2つの置換基は、式−(CRR’)
s−X−(CR’’R’’’)
d−の置換基で任意選択で置き換えられていてもよい(式中s及びdは、独立して0〜3の整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、又は−S(O)
2NR’−である)。置換基R、R’、R’’及びR’’’は、好ましくは、独立して水素又は置換又は非置換(C
1〜C
6)アルキルから選択される。
【0049】
[0056]本明細書で使用される用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)及びケイ素(Si)を含む。
【0050】
II.
組成物
[0057]一般に、本発明は、免疫調節ポリヌクレオチド、CpGモチーフを含有する特異的に合成されたオリゴヌクレオチド(CpG ODN)、並びに免疫調節ポリヌクレオチドを含む医薬組成物及び組合せ、並びにそのような組成物を使用して疾患(例えば、がん)を予防又は治療する方法を提供する。
【0051】
A.TLR9アゴニスト
[0058]一般に、本発明の組成物は、TLR9アゴニストを含む。
【0052】
[0059]TLR9は、細菌DNA及び合成オリゴヌクレオチドにおける非メチル化CpGモチーフを認識することが知られている。CpG含有ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの他の修飾はまた、それらの能力に影響することができ、TLR9によって免疫応答の調節因子として作用する。
【0053】
[0060]本明細書で「調節」又は「調節性」は、TLR9−媒介性応答における応答又は定性的な差における増加などの変化を意味する。
【0054】
[0061]本明細書で「TLR9アゴニスト」は、TLR9によって媒介される免疫刺激を増強、誘導、又は調節できる、オリゴヌクレオチドに基づく化合物などの化合物を意味する。
【0055】
[0062]いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、免疫調節ポリヌクレオチド、例えば、免疫刺激ポリヌクレオチドを含む。
【0056】
[0063]本明細書で「免疫刺激ポリヌクレオチド」は、インビトロ、インビボ及び/又はエクスビボで測定される測定可能な免疫応答に影響及び/又は寄与する核酸分子(例えば、ポリヌクレオチド)を意味する。測定可能な免疫応答の例は、抗原特異的な抗体産生、サイトカインの分泌、リンパ球集団、例えば、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球、Bリンパ球等の活性化又は拡大(expansion)を含むが、限定されない。免疫刺激核酸(ISNA)配列は、先天性免疫応答、特に、細胞におけるTLR−9シグナル伝達によって生じる応答を刺激することが知られている。当技術分野において知られているように、免疫刺激核酸(ISNA)分子は、微生物供給源、例えば、細菌から単離することができる、遺伝子治療における使用のための核酸ベクターに存在させてもよい又は本明細書に記載される及び当技術分野において知られている技術及び機器を使用して合成することができる。一般に、免疫刺激核酸配列は、少なくとも1つのCGジヌクレオチドを含み、このジヌクレオチドのCは非メチル化である。したがって、微生物感染及び投与されたDNAは、一部の例では、先天性免疫応答の刺激を引き起こす。
【0057】
[0064]本明細書で「免疫刺激」又は「免疫応答を刺激」は、免疫反応に参加し、特異的な抗原性物質に対する免疫応答を増強する細胞型の刺激を意味する。免疫刺激核酸によって刺激される免疫応答は、一般に「Th1タイプ」免疫応答であり、「Th2タイプ」免疫応答とは対照的である。Th1タイプ免疫応答は、抗原に対する「遅延型過敏症」反応及び活性化マクロファージ機能によって通常特徴づけられており、Th1関連サイトカイン、例えばIFN−γ、1L−2、IL−12、及びTNF−βの増加レベルによる生化学的なレベルで検出することができる。Th2タイプ免疫応答は、高レベルの抗体産生、特にIgE抗体産生及び好酸球数及び活性化の増強、並びにTh2関連サイトカイン、例えばIL−4、lL−5及びIL−13の発現と一般に関連する。
【0058】
[0065]本明細書で「先天性免疫応答」又は「先天性免疫」は、細胞又は個体が、病原体の存在に対して認識及び応答する種々の先天性耐性機構を含むことを意味する。本明細書で使用される「先天性免疫応答」は、細胞が病原体関連分子パターン又はシグナルを認識するとき生じる細胞内及び細胞間事象及び反応を含む。本明細書に記載のように、先天性免疫応答において活性な細胞受容体はToll様受容体(TLR)のファミリーを含み、微生物リガンドが幾つかのTLRに関して同定されている。測定可能な先天性免疫応答の例は、サイトカインの分泌、リンパ球集団、例えば、NK細胞、CD4+Tリンパ球、CD8+Tリンパ球の活性化又は拡大を含むが、限定されない。
【0059】
[0066]TLR9アゴニストは、先天性及び適応免疫応答の両方を活性化する(Arthur M. Krieg. Nature Reviews Drug Discovery、Vol 5. June 2006、471〜484)。CpG含有オリゴヌクレオチド(CpG ODN)は、TLR9アゴニストである(D.M. Klinman、Nat. Rev.、Immunol. 4 (2004) 249− 258)。機能的な特徴に基づいて、CpG ODNは、3つのタイプに分けられる。Tomoki Ito、et al. Blood、2006、Vol 107、Num 6: 2423〜2431。AタイプCpG ODNは、ヒト形質細胞様樹状細胞(pDC)を活性化して、大量のタイプIインターフェロン(IFN−a/β)を産生させて、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)を強く活性化する。BタイプCpG ODNは、主にB細胞を活性化して、それらの増殖及び抗体分泌を引き起こす。CタイプCpG ODNは、A及びBタイプCpG ODNの両方の活性を共有する。TLR9アゴニストとして、CpG2216又はCpG2006又はCpG2395などのCpG ODNは、これらがTLR9に対して曝され、活性化される細胞区画にエンドサイトーシスされ得る。pDCでは、TLR9活性化は急速な先天性免疫応答を開始し、これは、炎症誘発性サイトカイン(IL−6、腫瘍ネクローシス因子α(TNFα))の分泌、タイプIインターフェロン(IFN)の分泌及びIFN誘導性ケモカインの分泌によって特徴づけられる。IFN依存性及びIFN非依存性経路の両方によって、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球及び好中球を含む先天性免疫細胞が、pDCによって二次的に活性化される。TLR9によって活性化されるB細胞は、抗原刺激に対する感受性が非常に増加し、抗体分泌細胞に効率的に分化し、したがって、適応免疫応答、特に体液性免疫応答に寄与する。TLR9によるpDC活性化はIFNαを分泌させ、これが遊走並びにpDCのリンパ節及び他の二次リンパ系組織へのクラスタリングを駆動し、ここで、pDCがナイーブ及びメモリーT細胞を活性化し、可溶性タンパク質抗原のCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)への交差提示を補助し、強いTH1に偏向した細胞性CD4及びCD8 T細胞応答を促進する。上記に言及された所見に基づいて、CpG ODNの活性に拮抗する薬剤が、先天性及び適応免疫応答の両方を阻害することによって免疫媒介性障害を治療又は予防するために使用することができることは自明である。
【0060】
[0067]一般に、本発明のTLR9アゴニストは、オリゴヌクレオチド(ODN)を含む。
【0061】
[0068]本明細書で「オリゴヌクレオチド」は、複数のヌクレオチド(すなわち、リン酸基及び交換可能な有機塩基に連結された糖(例えば、デオキシリボース)を含む分子であり、これは、置換されたピリミジン(Py)(例えば、シトシン(C)、チミン(T))又は置換されたプリン(Pu)(例えば、アデニン(A)又はグアニン(G)のいずれかである)を意味する。本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、オリゴデオキシリボヌクレオチド(ODN)を指す。オリゴヌクレオチドは、既存の核酸供給源(例えば、ゲノム又はcDNA)から得られうるが、合成が好ましい。本発明のオリゴヌクレオチドは、市販の種々の自動核酸シンセサイザーで合成することができる。これらのオリゴヌクレオチドは、合成オリゴヌクレオチドと称される。
【0062】
[0069]いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、非メチル化CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドを含む。
【0063】
[0070]いくつかの実施形態において、TLR9アゴニストは、表1から選択される配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。
【0065】
[0071]いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、表1の配列の1つを含み又は有し、1つ又は追加のヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、又は5)を5’又は3’端、又は両端で有する。
【0066】
[0072]いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、表1の配列の厳密に1つを有し、任意の追加のヌクレオチドを5’端又は3’端のいずれにも有さない。
【0067】
[0073]いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、表1の配列の1つからなる。
【0068】
[0074]いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、化学修飾を含まない。いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、化学修飾を含む。
【0069】
[0075]本発明に開示されるオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ、リボース単位及び/又は天然ヌクレオシド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、及びチミン)が関与する、天然DNAと比較して、様々な化学修飾を包含することができる。修飾は、オリゴヌクレオチドの合成の間又は後のいずれかで生じ得る。合成の間、修飾塩基は、内部又はその端に組み込まれ得る。合成の後、修飾は、活性基(アミノ修飾剤を介して、3’若しくは5’ヒドロキシル基を介して、又はリン酸基を介して)を使用して実施することができる。
【0070】
[0076]本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の修飾を有していてもよく、ここで、各修飾は、天然DNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルヌクレオシド間ブリッジ及び/又は特定のリボース単位及び/又は特定の天然ヌクレオシド塩基位置に位置する。化学修飾は、本発明のオリゴヌクレオチドの「骨格修飾」を含む。本明細書で使用される本発明のオリゴヌクレオチドの修飾骨格は、非ブリッジリン酸酸素(non−bridging phosphate oxygen)が、少なくとも1つのヌクレオチド間結合(linkage)で硫黄によって置き換えられる核酸分子の安定化糖リン酸骨格を指す「ホスホロチオエート骨格」を含むが、限定されない。
【0071】
[0077]いくつかの実施形態において、非ブリッジリン酸酸素は、ヌクレオチド間結合(linkage)の各々全てで硫黄によって置き換えられる。他の骨格修飾は、非イオン性DNA類似体、例えば、アルキル−及びアリール−ホスホネート(荷電ホスホネート酸素が、アルキル又はアリール基によって置き換えられる)、ホスホジエステル及びアルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分がアルキル化される)での修飾を示す。
【0072】
[0078]いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのリン酸骨格は、未修飾である。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドのリン酸骨格は、部分的又は完全にホスホロチオエートで修飾されている。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、ホスホロチオエート/ホスホジエステルキメラである。
【0073】
[0079]化学修飾は、本発明に開示されるオリゴヌクレオチドの塩基置換も含む。置換プリン及びピリミジンは、C−5プロピンピリミジン及び7−デアザ−7−置換プリンであってもよい。置換プリン及びピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、及びチミン、及び他の天然及び非天然の核酸塩基を含むが、限定されない。本発明のオリゴヌクレオチドの化学修飾は、オリゴヌクレオチドの塩基の修飾をさらに含む。修飾塩基は、T、C、G及びAなどのDNAにおいて典型的に見出される天然の塩基から化学的に区別されるが、これらの天然の塩基と基礎の化学的な構造を共有する、任意の塩基である。
【0074】
[0080]いくつかの実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、シチジン誘導体を使用して修飾される。用語「シチジン誘導体」はシチジン様ヌクレオチド(シチジンを除く)を指し、用語「チミジン誘導体」はチミジン様ヌクレオチド(チミジンを除く)を指す。加えて、本発明のオリゴヌクレオチドは、ジオール、例えばテトラエチレングリコール又はヘキサエチレングリコールを、オリゴヌクレオチドの末端のいずれか又は両方で連結することによって化学的に修飾することができる。
【0075】
[0081]オリゴヌクレオチドは、Py−Puジヌクレオチドでホスホノアセタート又はホスホノアセタート様結合(linkage)に加えて、さらなる骨格修飾を有してもよい。安定化ヌクレオチド間結合(linkage)は、ホスホジエステルヌクレオチド間結合(linkage)と比較して、インビボ分解(例えば、エキソ−又はエンド−ヌクレアーゼを介して)に対して相対的に耐性のヌクレオチド間結合(linkage)である。ホスホノアセタート及びホスホノアセタート様結合(linkage)に加えて、オリゴヌクレオチドは、限定されることなく、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、メチルホスホネート、及びメチルホスホロチオエートを含む、他の安定化ヌクレオチド間結合(linkage)を含有してもよい。他の安定化ヌクレオチド間結合(linkage)は、限定されることなく、ペプチド、アルキル、及びデホスホを含む。ホスホノアセタートヌクレオチド間結合(linkage)は、他の安定化結合(linkage)のように、ヌクレアーゼ消化に対して低下した感受性及びRNAse Hを活性化する増加した能力を有する。したがって、例えばホスホジエステル(しかし、ホスホノアセタートではない)オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ消化に対して感受性であるが、ホスホジエステル及びホスホノアセタートオリゴヌクレオチドの両方ともRNAse Hを活性化する。いくつかの実施形態において、Py−Puオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのホスホジエステルヌクレオチド間結合(linkage)を含む。オリゴヌクレオチドは、好ましい内部位置でのホスホノアセタート又はホスホノアセタート様ヌクレオチド間結合(linkage)に加えて、分解に対して耐性の5’及び3’端を含んでもよい。そのような分解耐性端は、対応する未修飾端へのエキソヌクレアーゼ消化に対して増加した耐性を引き起こす任意の適切な修飾を伴ってもよい。例えば、5’及び3’端は、そこに骨格の少なくとも1つのリン酸修飾を含ませることによって安定化することができる。一実施形態において、各端での骨格の少なくとも1つのリン酸修飾は、独立してホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホノアセタート、ホスホノアセタート様、メチルホスホネート、又はメチルホスホロチオエートヌクレオチド間結合(linkage)である。別の実施形態において、分解耐性端は、3’端でペプチド又はアミド結合(linkage)によって接続される1つ又は複数のヌクレオチド単位を含む。
【0076】
[0082]用語「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」は、例えば、塩基及び/又は糖において、置換又は修飾を有する核酸又はオリゴヌクレオチドも包含する。例えば、これらは、2’位でのヒドロキシル基以外及び5’位でのリン酸基又はヒドロキシ基以外の低分子有機基に共有結合で連結された骨格糖を有する核酸を含む。したがって、修飾核酸は、2’−O−アルキル化デオキシリボース基を含んでもよい。加えて、修飾核酸は、デオキシリボースの代わりに糖、例えばアラビノース又は2’−フルオロアラビノースを含んでもよい。したがって、核酸は、骨格組成において異種性であってもよく、それによってペプチド−核酸(これは、アミノ酸骨格を核酸塩基とともに有する)などの一緒に連結されるポリマー単位の任意の可能な組合せを含有させる。本件発明の文脈において、オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、又はアプタマーではない。
【0077】
[0083]核酸はまた、置換プリン及びピリミジンは、例えばC−5プロピンピリミジン及び7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基を含む(Wagner RW et al.、(1996) Nat Biotechnol 14:840〜4)。プリン及びピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシシトシン、5−フルオロシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、及び他の天然及び非天然の核酸塩基、置換及び非置換芳香族部分を含むが、限定されない。他のそのような修飾は、当業者に周知である。
【0078】
[0084]オリゴヌクレオチドは、DNA又はRNAであってもよい。一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、リボース及びデオキシリボースの混合性骨格を含むDNA/RNAハイブリッド分子である。DNA/RNAハイブリッドオリゴヌクレオチドは、増加した活性を実証することが多い。一実施形態において、これらのDNA/RNAハイブリッドオリゴヌクレオチドは、単一鎖である。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドの全て又は一部は、二重鎖である。一実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチドは、共有結合性に閉鎖された、一次及び二次構造の両方を有するダンベル状分子の形態にある。一実施形態において、そのような環状オリゴリボヌクレオチドは、介在する二重鎖セグメントによって接続される2つの単一鎖ループを含む。一実施形態において、少なくとも1つの単一鎖ループは、本発明の免疫刺激DNAモチーフを含む。本発明の他の共有結合性に閉鎖された、ダンベル状分子は、キメラDNA/RNA分子を含み、ここで、例えば、二重鎖セグメントは、少なくとも部分的にDNA(例えば、ホモ二量体dsDNA又はヘテロ二量体DNA:RNAのいずれか)であり、少なくとも1つの単一鎖ループは、本発明の免疫刺激DNAモチーフを含む。或いは、キメラ分子の二重鎖セグメントは、DNAである。
【0079】
[0085]本発明のオリゴヌクレオチドはまた、他の修飾を含み得る。これらは、非イオン性DNA類似体、例えば、アルキル−及びアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素が、アルキル又はアリール基によって置き換えられる)、ホスホジエステル及びアルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分がアルキル化される)を含む。ジオール、例えばテトラエチレングリコール又はヘキサエチレングリコールを、末端のいずれか又は両方で含有する核酸は、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることも示されている。
【0080】
[0086]本件発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルヌクレオチド間ブリッジ、β−D−リボース単位及び/又は天然ヌクレオチド塩基(アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル)が関与する、天然RNA及びDNAと比較して、様々な化学修飾及び置換を包含することができる。化学修飾の例は、当業者に知られており、例えば、Uhlmann、E. et al.、(1990) Chem Rev 90:543;“Protocols for Oligonucleotides and Analogs” Synthesis and Properties & Synthesis and Analytical Techniques、S. Agrawal、Ed、Humana Press、Totowa、USA 1993;Crooke、ST. et al.、(1996) Annu Rev Pharmacol Toxicol 36:107〜129 及びHunziker、J. et al.、(1995) Mod Synth Methods 7:331〜417に記載されている。本発明によるオリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の修飾を有していてもよく、ここで、各修飾は、天然DNA又はRNAから構成される同じ配列のオリゴヌクレオチドと比較して、特定のホスホジエステルヌクレオチド間ブリッジ及び/又は特定のβ−D−リボース単位及び/又は特定の天然ヌクレオチド塩基位置に位置する。
【0081】
[0087]例えば、本発明は、1つ又は複数の修飾を含みうる、オリゴヌクレオチドに関し、ここで、各修飾は、独立して、a)修飾ヌクレオチド間ブリッジによるヌクレオチドの3’及び/又は5’端に位置するホスホジエステルヌクレオチド間ブリッジの置き換え、b)デホスホブリッジによるヌクレオチドの3’及び/又は5’端に位置するホスホジエステルブリッジの置き換え、c)別の単位による糖リン酸骨格からの糖リン酸単位の置き換え、d)修飾糖単位によるβ−D−リボース単位の置き換え、及びe)修飾ヌクレオチド塩基による天然ヌクレオチド塩基の置き換えから選択される。
【0082】
[0088]ヌクレオチドの3’及び/又は5’端に位置するホスホジエステルヌクレオチド間ブリッジは、修飾ヌクレオチド間ブリッジによって置き換えることができ、ここで、修飾ヌクレオチド間ブリッジは、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、NR1R2−ホスホルアミデート、ボラノホスフェート、α−ヒドロキシベンジルホスホネート、リン酸−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、リン酸−[(C6〜C12)アリール−(C1〜C21)−O−アルキルエステル、d−アルキルホスホネート及び/又は
(C
6〜C
12)アリールホスホネート
ブリッジ、(C7〜C12)−α−ヒドロキシメチル−アリール(例えば、国際公開第95/01363号に開示される)から選択され、ここで、(C6〜C12)アリール、(C8〜C20)アリール及び(C6〜C14)アリールは、任意選択で、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ニトロ、シアノによって置換され、及び式中R1及びR2は、互いに独立して、水素、(C1〜C18)−アルキル、(C6〜C20)−アリール、(C6〜C14)−アリール−(C1〜C8)−アルキル、好ましくは水素、(C1〜C8)−アルキル、好ましくは(C1〜C4)−アルキル及び/又はメトキシエチルであり、又はR1及びR2は、それらを保持する窒素原子と一緒に、O、S及びN基からのさらなるヘテロ原子を追加的に含有し得る、5〜6員の複素環を形成する。
【0083】
[0089]デホスホブリッジによるヌクレオチドの3’及び/又は5’端に位置するホスホジエステルブリッジの置き換え(デホスホブリッジは、例えば、Uhlmann E and Peyman A in “Methods in Molecular Biology”、Vol. 20、“Protocols for Oligonucleotides and Analogs”、S. Agrawal、Ed.、Humana Press、Totowa 1993、Chapter 16、pp. 355 ffに記載されている)、 ここで、デホスホブリッジは、例えば、デホスホブリッジホルムアセタール、3’−チオホルムアセタール、メチルヒドロキシルアミン、オキシム、メチレンジメチル−ヒドラゾ、ジメチレンスルホン及び/又はシリル基から選択される。糖リン酸骨格(つまり、糖リン酸骨格は糖リン酸単位から構成される)からの糖リン酸単位(つまり、β−D−リボース及びホスホジエステルヌクレオチド間ブリッジが一緒に糖リン酸単位を形成する)は、別の単位によって置き換えることができ、ここで、他の単位は、例えば、「モルホリノ誘導体」オリゴマー(例えば、Stirchak EP et al.、(1989) Nucleic Acids Res 17:6129〜41に記載の通り)、すなわち、例えば、モルホリノ誘導体単位による置き換えである;又はポリアミド核酸(「PNA」;例えば、Nielsen PE et al.、(1994) Bioconjug Chem 5:3〜7に記載の通り)、すなわち、例えば、PNA骨格単位による、例えば、2−アミノエチルグリシンによる置き換えを構築するため適切である。
【0084】
[0090]β−D−リボース単位又はβ−D−2’−デオキシリボース単位は、修飾糖単位によって置き換えることができ、 ここで、修飾糖単位は、例えば、α−D−2’−デオキシリボース、α−L−2’−デオキシリボース、β−L−2’−デオキシリボース、β−L−リボース、2’−F−21−デオキシリボース、2’−F−2’−デオキシ−アラビノース、2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースから選択され、好ましくは2’−O−(C1〜C6)アルキル−リボースは、2’−O−メチルリボース、2I−O−(C2〜C6)アルケニル−リボース、21−[O−(C1〜C6)アルキル−O−(C1〜C6)アルキル]−リボース、21−NH2−21−デオキシリボース、β−D−キシロ−フラノース、α−アラビノフラノース、2,4−ジデオキシ−β−D−エリスロ−ヘキソ−ピラノース、及び炭素環式(例えば、Froehler、J. (1992) Am Chem Soc 114:8320 に記載の通り)及び/又は開鎖糖類似体(例えば、Vandendriessche et al.、(1993) Tetrahedron 49:7223に記載の通り)及び/又は二環式糖類似体(例えば、Tarkov、M. et al.、(1993) HeIv Chim Acta 76:481に記載の通り)である。
【0085】
[0091]いくつかの実施形態において、糖は、2’−O−メチルリボース、2’−デオキシリボース、2’−フルオロ−2’−デオキシリボース、2’−アミノ−2’デオキシリボース、2’−O−アルキル−リボース、又は3’−O−アルキル−リボース及び/又は2’−O−4’−C−アルキレンリボース、例えば、2’−O−4’−C−メチレンリボース(LNAとも呼ばれる)である。
【0086】
[0092]核酸はまた、置換プリン及びピリミジンは、例えばC−5プロピンピリミジン及び7−デアザ−7−置換プリン修飾塩基を含む(Wagner、R.W. et al.、(1996) Nat Biotechnol 14:840〜4)。プリン及びピリミジンは、アデニン、シトシン、グアニン、及びチミン、並びに他の天然及び非天然の核酸塩基、置換及び非置換芳香族部分を含むが、限定されない。
【0087】
[0093]修飾塩基は、T、C、G、A、及びUなどのDNA及びRNAにおいて典型的に見出される天然の塩基から化学的に区別されるが、これらの天然の塩基と基礎の化学的な構造を共有する、任意の塩基である。修飾ヌクレオチド塩基は、例えば、ヒポキサンチン、ウラシル、ジヒドロウラシル、偽ウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−アミノウラシル、5−(C1〜C6)−アルキルウラシル、5−(C2〜C8)−アルケニルウラシル、5−(C2〜C6)−アルキニルウラシル、5−(ヒドロキシメチル)ウラシル、5−クロロウラシル、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨード−ウラシル、2.4−ジフルオロ−トルエン、及び3−ニトロピロール、5−ヒドロキシシトシン、5−(C1〜C6)−アルキルシトシン、5−(C2〜C6)−アルケニルシトシン、5−(C2〜C6)−アルキニルシトシン、5−クロロシトシン、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、N2−ジメチルグアニン、2,4−ジアミノ−プリン、8−アザプリン、置換7−デアザプリン、好ましくは7−デアザ−7−置換及び/又は7−デアザ−8−置換プリン、5−ヒドロキシメチルシトシン、N4−アルキルシトシン、例えば、N4−エチルシトシン、5−ヒドロキシデオキシシチジン、5−ヒドロキシメチルデオキシシチジン、N4−アルキルデオキシシチジン、例えば、N4−エチルデオキシシチジン、6−チオデオキシグアノシン、及びニトロピロールのデオキシリボヌクレオチド、C5−プロピニルピリミジン、及びジアミノプリン、例えば、2,6−ジアミノプリン、イノシン、5−メチルシトシン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、ヒポキサンチン又は天然ヌクレオチド塩基の他の修飾から選択されてもよい。このリストが、例示的であること及び限定されると解釈されないことが意図されている。
【0088】
[0094]本明細書で「Py」を使用してピリミジンを指し及びいくつかの実施形態においては、シトシン又は修飾シトシンを含有するヌクレオチドを指すために使用される。本明細書で使用される修飾シトシンは、シトシンの天然又は非天然のピリミジン塩基類似体であり、これは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなく、この塩基を置き換えることができる。修飾シトシンは、5−置換シトシン(例えば、5−メチル−シトシン、5−フルオロ−シトシン、5−クロロ−シトシン、5−ブロモシトシン、5−ヨード−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、5−ジフルオロメチル−シトシン、及び非置換又は置換5−アルキニル−シトシン)、6−置換シトシン、N4−置換シトシン(例えば、N4−エチル−シトシン)、5−アザ−シトシン、2−メルカプト−シトシン、イソシトシン、偽イソシトシン、縮合環系を有するシトシン類似体(例えば、N.N’−プロピレンシトシン又はフェノキサジン)、及びウラシル及びその誘導体(例えば、5−フルオロ−ウラシル、5−ブロモ−ウラシル、5−ブロモビニル−ウラシル、4−チオ−ウラシル、5−ヒドロキシ−ウラシル、5−プロピニル−ウラシル)を含むが、限定されない。いくつかの好ましいシトシンは、5−メチルシトシン、5−フルオロ−シトシン、5−ヒドロキシ−シトシン、5−ヒドロキシメチル−シトシン、及びN4−エチル−シトシンを含む。本発明の別の実施形態において、シトシン塩基は、普遍的塩基(例えば、3−ニトロピロール、P−塩基)、芳香環系(例えば、フルオロベンゼン又はジフルオロベンゼン)又は水素原子(dSpacer)によって置換される。
【0089】
[0095]本明細書で「Pu」を使用してプリン又は修飾プリンを指す。いくつかの実施形態において、Puは、グアニン又は修飾グアニン塩基である。本明細書で使用される修飾グアニンは、グアニンの天然又は非天然のプリン塩基類似体であり、これは、オリゴヌクレオチドの免疫刺激活性を損なうことなく、この塩基を置き換えることができる。修飾グアニンは、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−置換グアニン(例えば、7−デアザ−7−(C2〜C6)アルキニルグアニン)、7−デアザ−8−置換グアニン、ヒポキサンチン、N2−置換グアニン(例えば、N2−メチル−グアニン)、5−アミノ−3−メチル−3H,6H−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2,7−ジオン、2,6−ジアミノプリン、2−アミノプリン、プリン、インドール、アデニン、置換アデニン(例えば、N6−メチル−アデニン、8−ヒドロキシアデニン)8−置換グアニン(例えば、8−ヒドロキシグアニン及び8−ブロモグアニン)、及び6−チオグアニンを含むが、限定されない。本発明の別の実施形態において、グアニン塩基は、普遍的塩基(例えば、4−メチル−インドール、5−ニトロ−インドール、及びK−塩基)、芳香環系(例えば、ベンズイミダゾール又はジクロロ−ベンズイミダゾール、1−メチル−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド)又は水素原子(dSpacer)によって置換される。
【0090】
[0096]本発明はまた、5’−5’、2’−2’、2’−3’、及び2’−5’ヌクレオチド間結合(linkage)を含む異例のヌクレオチド間結合(linkage)を有するオリゴヌクレオチドを包含する。本発明のいくつかの態様において、オリゴヌクレオチドについて1つ又は複数の接触可能な5’端を有することが有利である。2つのそのような5’端を有する修飾オリゴヌクレオチドを作り出すことは可能である。これは、例えば、1つ又は2つの接触可能な5’端を有するオリゴヌクレオチドを生じさせるのに3’−3’結合(linkage)によって2つのオリゴヌクレオチドを結合することによって達成されうる。3’−3’結合(linkage)は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホノアセタート又は任意の他の修飾ヌクレオチド間ブリッジであってもよい。そのような結合(linkage)を達成するための方法は、当技術分野において知られている。例えば、そのような結合(linkage)は、Seliger、H. et al. Oligonucleotide analogs with terminal 3’−3’− and 5’−5’−internucleotidic linkages as antisense inhibitors of viral gene expression、Nucleotides & Nucleotides (1991 )、10(1〜3)、469〜77及びJiang et al.、Pseudo−cyclic oligonucleotides: in vitro and in vivo properties、Bioorganic & Medicinal Chemistry (1999)、7(12)、2727〜2735に記載されている。一実施形態において、そのような異例の結合(linkage)は、免疫刺激DNAモチーフから除かれるが、1つ又は複数のそのような結合(linkage)は、ポリマー内の他の場所に生じてもよい。遊離末端を有するポリマーに関して、1つの3’−3’ヌクレオチド間結合(linkage)を含ませることによって、2つの遊離5’末端を有するポリマーがもたらされ得る。逆に、遊離末端を有するポリマーに関して、1つの5−5’ヌクレオチド間結合(linkage)を含ませることによって、2つの遊離3’末端を有するポリマーがもたらされ得る。さらに、結合(linkage)がホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホノアセタートではない3’3’−、5−5’−、2’−2’−、2’−3’−、及び2’−5’−結合核酸又は他の修飾ブリッジは、追加のスペーサー、例えば、トリ−又はテトラ−エチレングリコールリン酸部分(Durand、M. et al.、Triple−helix formation by an oligonucleotide containing one (dA)12 and two (dT)12 sequences bridged by two hexaethylene glycol chains、Biochemistry (1992)、31(38)、9197〜204、米国特許第5658738号、及び米国特許第5668265号)を使用して調製することができる。或いは、非ヌクレオチドリンカーは、標準ホスホラミダイト化学を使用して、エタンジオール、プロパンジオール、又は脱塩基デオキシリボース(dSpacer)単位(Fontanel、Marie Laurence et al.、Sterical recognition by T4 polynucleotide kinase of non−nucleosidic moieties 51− attached to oligonucleotides;Nucleic Acids Research (1994)、22(11)、2022〜7)から誘導されうる。非ヌクレオチドリンカーは、1回若しくは複数回組み込む、又は互いに組合せることができ、連結される2つのODNの3’端の間での任意の望ましい距離が可能とされる。
【0091】
[0097]オリゴヌクレオチドは、ダブラー(doubler)又はトレブラー(trebler)単位(Glen Research、Sterling、VA)、特に3’−3’結合(linkage)を有する修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体を含有していてもよい。一実施形態において、ダブラー単位は、1,3−ビス−[5−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)ペンチルアミド]プロピル−2−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイトに基づくことができる。一実施形態において、トレブラー単位は、トリス−2,2,2−[3−(4,4’−ジメトキシトリチルオキシ)プロピルオキシメチル]エチル−[(2−シアノエチル)−(N,N−ジイソプロピル)]−ホスホラミダイトの組み込みに基づくことができる。複数のダブラー、トレブラー、又は他のマルティプライアー単位による修飾オリゴリボヌクレオチド類似体の分枝により、本発明のさらなる実施形態であるデンドリマーが導かれる。分枝状修飾オリゴリボヌクレオチド類似体は、類似体の非分枝形態と比較して、特に、区別される免疫効果を有するTLR3、TLR7、TLR8、及びTLR9などの免疫刺激性RNA及びDNAの組合せのための受容体の架橋を導きうる。加えて、分枝状又は別の多量体の類似体の合成は、分解に対してDNAを安定化することができ、治療上の有用なレベルの免疫活性が発揮するための弱い又は部分的に有効なDNA配列を可能としうる。修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド修飾試薬又はオリゴヌクレオチド修飾試薬(Glen Research)からもたらされるリンカー単位も含有しうる。さらに、修飾オリゴデオキシリボヌクレオチド類似体は、ペプチド(アミド)結合(linkage)によってポリマーに接続される、1つ又は複数の天然又は不自然なアミノ酸残基を含有してもよい。
【0092】
[0098]3’−5’、5’−5’、3’−3\2’−2’、2’−3’、及び2’−5’ヌクレオチド間結合(linkage)は、直接的又は間接的であってもよい。この文脈において、直接的な結合(linkage)は、介在リンカー部なしの、本明細書で開示されるリン酸又は修飾リン酸結合(linkage)を指す。介在リンカー部は、本明細書で開示されるリン酸又は修飾リン酸結合(linkage)から区別される有機部分であり、これは、例えば、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、dSpacer(すなわち、脱塩基デオキシヌクレオチド)、ダブラー単位、又はトレブラー単位を含み得る。結合(linkage)は、好ましくは3〜300原子を含有する、C、H、N、O、S、B、P、及びハロゲンから構成される。3原子を有する例は、例えば、1つのヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基と第二のオリゴヌクレオチドの3’−ヒドロキシ基を接続するアセタール結合(linkage)(ODN1−3’−O−CH2−O−3’−ODN2)である。約300原子を有する例は、PEG−40(テトラコンタポリエチレングリコール)である。好ましい結合(linkage)は、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、ボラノホスホネート(boranophosphonate)、アミド、エーテル、チオエーテル、アセタール、チオアセタール、尿素、チオ尿素、スルホンアミド、シッフ塩基及びジスルフィド結合(linkage)である。Solulink BioConjugationシステムを使用することも可能である。
【0093】
[0099]オリゴヌクレオチドが2つ又はこれを超える配列部分から構成される場合、これらの部分は、同一であってもよい又は異なってもよい。したがって、3’3’−結合(linkage)を有するオリゴヌクレオチドにおいて、配列は、同一の5’−ODN1−3’3’−ODN1−5’であってもよい又は異なる5’−ODN1−3’3’−ODN2−5’であってもよい。さらに、様々なオリゴヌクレオチド部分並びにそれらを接続するリンカーの化学修飾は、異なってもよい。短いオリゴヌクレオチドの取り込みは長いオリゴヌクレオチドの取り込みよりも効率が低いと思われるため、2つ又はこれを超える短い配列の結合は免疫刺激の改善をもたらす。短いオリゴヌクレオチドの長さは、好ましくは、2〜20ヌクレオチド、より好ましくは3〜16ヌクレオチドであるが、最も好ましくは5〜10ヌクレオチドである。2つ又はこれを超える未結合5’端を有する結合オリゴヌクレオチドが好ましい。
【0094】
[0100]オリゴヌクレオチド部分配列はまた、非ヌクレオチドリンカーによって結合されてもよい。本明細書で使用される「非ヌクレオチドリンカー」は、ヌクレオチド又はそのポリマー(すなわち、ポリヌクレオチド)ではない、任意のリンカーエレメントを指し、ここで、ヌクレオチドは、プリン又はピリミジン核酸塩基及び糖リン酸、特に脱塩基リンカー(dSpacers)、トリエチレングリコール単位又はヘキサエチレングリコール単位を含む。さらに、好ましいリンカーは、アルキルアミノリンカー、例えば、C3、C6、C12アミノリンカーであり、またアルキルチオールリンカー、例えば、C3又はC6チオールリンカーである。オリゴヌクレオチドはまた、アルキル又は置換アルキル基によってさらに置換されてもよい芳香族残基によって結合され得る。
【0095】
[0101]他の安定化オリゴヌクレオチドは、非イオン性DNA類似体、例えば、アルキル−及びアリール−ホスフェート(荷電ホスホネート酸素が、アルキル又はアリール基によって置き換えられる)、ホスホジエステル及びアルキルホスホトリエステル(荷電酸素部分がアルキル化される)を含む。ジオール、例えばテトラエチレングリコール又はヘキサエチレングリコールを、末端のいずれか又は両方で含有する核酸は、ヌクレアーゼ分解に対して実質的に耐性であることも示されている。
【0096】
[0102]いくつかの実施形態において、活性化部分は、樹状細胞、及びB細胞、又はその組合せを含むが、限定されないヒト免疫細胞を活性化することが可能である。
【0097】
樹状細胞
[0103]いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるODNは、樹状細胞、特に形質球様樹状細胞を活性化することが可能である。
【0098】
[0104]樹状細胞は、最も強力な抗原提示細胞である。樹状細胞は、先天性及び適応免疫応答の両方の開始に関して必須の役割を果たしている。樹状細胞はまた、免疫寛容の誘導及び維持において重要な役割を果たしている。
【0099】
[0105]本明細書で「樹状細胞」(DC)により、2つの主なサブタイプ:すなわち、骨髄球性DC(mDC)及び形質細胞様DC(pDC)(Steinman et al.、1979、J. Exp. Med.、149、1〜16)を含む異種性の細胞集団を意味する。これら2つの血液DCサブセットは、CD11c(インテグリン補体受容体)及びCD123(IL−3Rα)の、それらの発現によって当初は分化させられた。pDC及びmDC集団の各々は、ヒトにおいてPBMC集団の約0.2から約0.6%の間で構成される。
【0100】
[0106]本明細書で「pDC」は、形質細胞様樹状細胞を意味し、それらは血液及び末梢性リンパ様器官に見出される樹状細胞のサブタイプを代表する。これらの細胞は、表面マーカーCD123、BDCA−2(CD303)及びBDCA−4(CD304)及びHLA−DRを発現するが、CD11c、CD14、CD3、CD20又はCD56を発現せず、これにより、それらは従来の樹状細胞、単球、T細胞、B細胞及びNK細胞から区別される。先天性免疫システムの構成要素として、これらの細胞は、細胞内Toll様受容体7及び9を発現し、これが、ウイルス性及び細菌性核酸、例えばssRNA又はCpG DNAモチーフの検出を可能にする。刺激及び続く活性化の際、これらの細胞は、広範囲の効果を媒介する重大で多面的な抗ウイルス性化合物である、大量のタイプIインターフェロン(主にIFN−α及びIFN−β)及びタイプIIIインターフェロン(例えば、IFN−λ)を産生する。多数のタイプIインターフェロンを生成することにより、サイトカイン及びケモカイン、形質細胞様樹状細胞は、体の先天性及び適応免疫応答に広く関与している。それらは、免疫応答強度、持続時間、及び応答モードに関与するNK細胞、T細胞、B細胞及び他の細胞を制御することができ、したがって、腫瘍、感染及び自己免疫疾患において非常に重要な機能を果たしている。(Liu YJ. IPC: professional type 1 interferon−producing cells and plasmacytoid dendritic cell precursors. Annu Rev Immunol. 2005;23:275−306.Gilliet M、Cao W、Liu YJ. Plasmacytoid dendritic cells: sensing nucleic acids in viral infection and autoimmune diseases.Nat Rev Immunol.2008 Aug;8(8):594〜606)。
【0101】
[0107]本明細書で「mDC」は、骨髄球性樹状細胞を意味し、それらは血液及び末梢性リンパ様器官に見出される循環樹状細胞のサブタイプを代表する。これらの細胞は、表面マーカーCD11c、CD1a、HLA−DR及びBDCA−1(CD1c)又はBDCA−3(CD141)のいずれかを発現する。それらはBDCA−2又はCD123を発現しなく、これにより、それらはpDCから区別される。mDCはまた、CD3、CD20又はCD56を発現しない。先天性免疫システムの構成要素として、mDCは、TLR2、3、4、5、6及び8を含む、Toll様受容体(TLR)を発現し、これが、細菌性及びウイルス性成分の検出を可能にする。刺激及び続く活性化の際、これらの細胞は、抗原特異的CD4並びにCD8 T細胞を活性化する最も強力な抗原提示細胞である。加えて、mDCは、大量のIL−12及びIL23を産生する能力を有しており、これはTh1媒介性又はTh17細胞性免疫の誘導に関して重大である。
【0102】
[0108]研究により、多くの固形腫瘍、例えば乳がん及び頭頸部がん、卵巣がんが、pDCの浸潤を有すること(Treilleux I、Blay JY、Bendriss−Vermare N et al. Dendritic cell infiltration and prognosis of early stage breast cancer. Clin Cancer Res 2004;10:7466〜7474.Hartmann E、Wollenberg B、Rothenfusser S et al. Identification and functional analysis of tumor−infiltrating plasmacytoid dendritic cells in head and neck cancer. Cancer Res 2003;63:6478〜6487.Zou WP、Machelon V、Coulomb−L’Hermin A、et al. Stromal−derived factor−1 in human tumors recruits and alters the function of plasmacytoid precursor dendritic cells. Nat Med 2001;7:1339〜1346)及び腫瘍細胞によって分泌される因子がDC成熟を阻害すること(Gabrilovich DI、Corak J、Ciernik IF et al. Decreased antigen presentation by dendritic cells in patients with breast cancer. Clin Cancer Res 1997;3:483〜490.Bell D、Chomarat P、Broyles D et al. In breast carcinoma tissue、immature dendritic cells reside within the tumor、whereas mature dendritic cells are located in peritumoral areas. J Exp Med 1999;190:1417〜1425.Menetrier−Caux C、Montmain G、Dieu MC et al. Inhibition of the differentiation of dendritic cells from CD34 (+) progenitors by tumor cells: role of interleukin−6 and macrophage colony−stimulating factor. Blood 1998;92:4778〜4791)が見出された。これらの未成熟DC細胞は、抗腫瘍免疫を促進することに役割を果たしていない。対照的に、腫瘍微小環境内でDCは、抗腫瘍免疫を阻害すること及び血管形成を促進することによって腫瘍成長を促進する。Toll様受容体9アゴニストCpG薬が、腫瘍微小環境内でpDCを刺激して腫瘍発生を阻害することができるとの証拠がある(Hofmann MA、Kors C、Audring H et al Phase 1 evaluation of intralesionally injected TLR9−agonist PF−3512676 in patients with basal cell carcinoma or metastatic melanoma. J Immunother 2008;31:520〜527)。
【0103】
[0109]いくつかの実施形態において、ヒト樹状細胞は、形質細胞様樹状細胞である。
【0104】
B.標的治療との組合せ
[0110]別の態様において、本発明は、(i)がんに対する有効量の標的治療;(ii)有効量の免疫調節ポリヌクレオチド(例えば、本明細書に提供されるCpG ODN)又はその組合せ;及び任意選択で(iii)1つ又は複数の薬学的に許容される担体を含む、治療的組合せ又は医薬組成物を提供する。
【0105】
[0111]治療的組合せは、標的治療及び免疫療法の両方を一緒に投与することができるように、単一の医薬組成物に供給されてもよい。代替的実施形態において、治療的組合せは、1つを超える医薬組成物を使用して提供されてもよい。そのような実施形態において、2つの化合物が、別々に、例えば、異なる時間で、異なる投与経路等によって、投与することができるように、標的治療が1つの医薬組成物に供給されてもよい及び免疫療法が第二の医薬組成物に供給されてもよい。したがって、異なる投薬計画に標的治療及び免疫療法を設けることも可能でありうる。
【0106】
[0112]別に記載しない限り、化合物に対する参照は、任意の異性体(例えば、ジアステレオマー又は鏡像異性体)、塩、溶媒和物、多形等を含む、任意の薬学的に許容される形態における化合物を含み得る。特に、化合物が光学活性である場合、化合物に対する参照は、化合物のエナンチオマー並びにエナンチオマーのラセミ混合物の各々が含まれ得る。
【0107】
[0113]一般に、標的治療及び免疫調節ポリヌクレオチドは、例えば、共有結合リンカーによって互いに結合されない。
【0108】
標的治療
[0114]一般に、本明細書に提供される組合せは、標的治療を含む。
【0109】
[0115]本明細書で「標的治療」は、標的分子、細胞、粒子、組織又は凝集物に特異的又は選択的に結合する治療剤を意味し、これは、一般に「標的」又は「マーカー」と称され、これらは本明細書においてさらなる詳細が論じられる。
【0110】
[0116]本明細書で「治療剤」は、例えば、がんを回復させる又は治療する治療効果を有する薬剤を意味する。
【0111】
[0117]いくつかの実施形態において、標的治療は、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、又は核酸を含む。
【0112】
[0118]いくつかの実施形態において、標的治療は、本明細書に提供される、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を含む。
【0113】
[0119]いくつかの実施形態において、標的治療は、免疫グロブリン、タンパク質、又はペプチドを含むが、小分子は含有しない。
【0114】
[0120]いくつかの実施形態において、標的治療は、ADCではない。
【0115】
[0121]抗体(例えば、キメラ、ヒト化及びヒト)などの例示的な標的治療は、当技術分野において認識されており、本発明の実施に限定されることなく有用である。
【0116】
[0122]いくつかの実施形態において、標的治療剤は、抗体、抗体断片、二重特異性抗体又は他の抗体に基づく分子若しくは化合物である。
【0117】
[0123]いくつかの実施形態において、標的治療剤は、アプタマー、アビマー(avimer)、受容体−結合リガンド、核酸、ビオチン−アビジン結合ペア、結合ペプチド又はタンパク質などから選択され、これは、両方が、標的分子に特異的又は好ましくは結合し、例えば、がん又は腫瘍に対して治療効果を有する。
【0118】
[0124]本明細書で「標的」又は「マーカー」は、特定の標的治療、例えば、Her2/Neuに特異的に結合することが可能である任意の実体を意味する。いくつかの実施形態において、標的は、1つ又は複数の特定の細胞又は組織型と特異的に相互作用する。いくつかの実施形態において、標的は、1つ又は複数の特定の病的状態と特異的に相互作用する。いくつかの実施形態において、標的は、1つ又は複数の特定の発生段階と特異的に相互作用する。例えば、細胞型特異的マーカーは、細胞の参照集団におけるよりもその細胞型において少なくとも2倍高いレベルで典型的に発現される。いくつかの実施形態において、細胞型特異的マーカーは、参照集団におけるその平均発現よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、又は少なくとも1,000倍高いレベルで存在する。細胞型特異的マーカーの検出又は測定は、多くの、ほとんどの、又は全ての他のタイプの細胞からの目的とする細胞タイプ又は複数の細胞タイプを区別することを可能としうる。いくつかの実施形態において、標的は、本明細書に記載のように、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/又は核酸を含み得る。
【0119】
[0125]本明細書で「特異的に結合」又は「好ましくは結合」は、2つの結合パートナーの間(例えば、標的化部分とその結合パートナーとの間)の結合が、2つの結合パートナーに対して選択的であり、望まれない又は非特異的な相互作用から区別できることを意味する。例えば、特異的な抗原決定基に結合する抗原結合部分の能力は、当業者が精通する酵素結合免疫吸着検査法(ELISA)又は表面プラズモン共鳴技術(BIAcore機器で分析)(Liljeblad et al.、Glyco J 17、323〜329 (2000))、及び伝統的な結合アッセイ(Heeley、Endocr Res 28、217〜229 (2002))などの他の技術のいずれかによって測定することができる。用語「抗[抗原]抗体」及び「[抗原]に結合する抗体」は、抗体が、抗原を標的化する診断及び/又は治療剤として有用であるように、十分な親和性を伴って、それぞれの抗原を結合することが可能である抗体を指す。いくつかの実施形態において、無関係のタンパク質に対する抗[抗原]抗体の結合の程度は、例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定されるような、抗原に対する抗体の結合の約10%未満である。いくつかの実施形態において、抗原に結合する抗体は、<1μΜ、<100nM、<10nM、<1nM、<0.1nM、<0.01nM、又は<0.001nM(例えば、10
−8M以下、例えば、10
−8M〜10
−13M、例えば、10
−9M〜10
−13M)の解離定数(KD)を有する。上記定義は、抗原に結合する抗原結合部分に対しても適用可能であることが理解される。
【0120】
[0126]ある特定の実施形態において、標的は、腫瘍マーカーである。いくつかの実施形態において、腫瘍マーカーは、正常な器官、組織、及び/又は細胞に存在しない腫瘍に存在する抗原である。いくつかの実施形態において、腫瘍マーカーは、正常な器官、組織、及び/又は細胞におけるよりも腫瘍においてより優勢な抗原である。いくつかの実施形態において、腫瘍マーカーは、正常細胞におけるよりも悪性がん細胞においてより優勢な抗原である。
【0121】
[0127]本明細書で「腫瘍抗原」は、腫瘍細胞において産生される抗原性物質を意味し、つまり、それにより宿主において免疫応答が誘発される。体内の正常なタンパク質は、自己反応性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)及び自己抗体産生性Bリンパ球が、一次リンパ組織(BM)において「中心性」に及び二次リンパ組織(たいていはT細胞に関して胸腺及びB細胞に関して脾臓/リンパ節)において「末梢性」に選抜プロセスである自己寛容のため、抗原性ではない。したがって、免疫システムに対して曝露されない任意のタンパク質が、免疫応答を誘発する。これには、免疫システムからうまく隔離される正常なタンパク質、極度に少量で通常産生されるタンパク質、発生のある段階でのみ通常産生されるタンパク質、又は、その構造が変異に起因して修飾されるタンパク質が含まれうる。
【0122】
[0128]いくつかの実施形態において、標的は、腫瘍組織及び/又は細胞対正常組織及び/又は細胞において優先的に発現される。
【0123】
[0129]本発明のいくつかの実施形態において、マーカーは、腫瘍マーカーである。マーカーは、非分裂細胞におけるよりも分裂細胞において高レベルで発現されるポリペプチドであってもよい。例えば、Her−2/neu(ErbB−2としても知られている)は、EGF受容体ファミリーのメンバーであり、乳がんに関連する腫瘍の細胞表面において発現される。別の例は、ナノ粒子をヌクレオリンに向けるための適切な標的化剤であるF3として知られるペプチドである(Porkka et al.、2002、Proc. Natl. Acad. Sci.、USA、99:7444;及びChristian et al.、2003、J. Cell Biol.、163:871)。ナノ粒子及びA10アプタマー(これは、PSMAに対して特異的に結合する)を含む標的粒子が、ドセタキセルを前立腺がん腫瘍に特異的及び効率よく送達できることが示されている。
【0124】
[0130]腫瘍細胞の生物学的行動のシグナル伝達経路に特異的に干渉する及び制御する、これらの腫瘍標的を特異的に標的とする抗体又は他の薬物は、シグナル伝達経路を直接的に制御又は遮断して、腫瘍細胞成長を阻害する又はアポトーシスを誘導する。現在まで、固形腫瘍又は血液学的な悪性腫瘍の臨床研究及び治療に関して承認されている数ダースの標的薬物が存在し、血液学的な悪性腫瘍に関するいくつかの標的薬物が存在する。
【0125】
[0131]いくつかの実施形態において、腫瘍抗原(又は腫瘍標的)は、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137からなる群から選択される。
【0126】
[0132]いくつかの実施形態において、腫瘍抗原(又は腫瘍標的)は、4−1BB、5T4、AGS−5、AGS−16、アンギオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、癌胎児抗原、CTLA4、Cripto、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、糖質コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαβ、インテグリンαγβ、KIR、LAG−3、ルイスY抗原、メソテリン、c−MET、MNカルボニックアンヒドラーゼIX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH,OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、STING、Syndecan−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3、及びその変形からなる群から選択される。腫瘍抗原の変形は、当技術分野において知られている及び/又は天然の様々な変異体若しくは多形を包含する。
【0127】
[0133]いくつかの実施形態において、標的治療は、抗体、又はその機能的な断片を含む。
【0128】
[0134]本明細書で「免疫グロブリン」又は「抗体」は、全長(つまり、天然の又は通常の免疫グロブリン遺伝子断片組換えプロセスによって形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)或いは抗体断片のような免疫グロブリン分子の免疫学的に活性(つまり、特異的に結合する)な部分を意味する。抗体又は抗体断片は、請求される主題の範囲内で、コンジュゲート又は別途誘導体化されてもよい。そのような抗体は、IgGl、lgG2a、IgG3、IgG4 (及びIgG4サブフォーム)、並びにIgAアイソタイプを含む。
【0129】
[0135]本明細書で用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、並びに所望の抗原結合活性を呈する限り、免疫グロブリンのFc領域又はFc領域と均等な領域を含む抗体断片を含むが、限定されない、様々な抗体構造を包含する。用語「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体(whole antibody)」は、本明細書に互換的に使用され、ネイティブ抗体構造に実質的に類似する構造を有する又は本明細書に規定されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0130】
[0136]本明細書で「ネイティブ抗体」は、変動する構造を有する天然の免疫グロブリン分子を意味する。例えば、ネイティブIgG抗体は、ジスルフィド結合された2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。NからC末端に、各重鎖は、可変性重ドメイン(variable heavy domain)又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる、可変領域(VH)に続いて、重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)を有する。同様に、NからC末端に、各軽鎖は、可変性軽ドメイン(variable light domain)又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる、可変領域(VL)に続いて、軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプのうち1つに割り当てられうる。
【0131】
[0137]本明細書で「抗体断片」は、インタクトな抗体以外の分子であって、インタクトな抗体が結合する抗原と結合するインタクトな抗体の一部を含むものを意味する。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、単一鎖抗体分子(例えば、scFv)、単一ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含むが、限定されない。ある抗体断片の総説に関して、Hudson et al.、Nat Med 9、129〜134 (2003)を参照されたい。scFv断片の総説に関して、Pliickthun、in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies、vol. 113、Rosenburg and Moore eds.、Springer−Verlag、New York、pp. 269〜315 (1994)を参照されたい;国際公開第93/16185号;及び米国特許第5,571,894号及び同5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含む及び増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の考察に関して、米国特許第5,869,046号を参照されたい。ダイアボディは、二価又は二重特異性であってもよい2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097;国際公開第1993/01161号;Hudson et al.、Nat Med 9、129−134 (2003);及びHollinger et al.、Proc Natl Acad Sci USA 90、6444〜6448 (1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.、Nat Med 9、129〜134 (2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全て若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全て若しくは一部を含む抗体断片である。ある実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis、Inc.、Waltham、MA;例えば、米国特許第6,248,516Blを参照されたい)。抗体断片は、本明細書に記載のように、インタクトな抗体のタンパク分解消化並びに組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による産生を含むが、限定されない様々な技術によって作ることができる。
【0132】
[0138]本明細書で「抗原結合ドメイン」は、抗原の一部又は全てに特異的に結合する及び相補的である領域を含む抗体の一部を意味する。抗原結合ドメインは、例えば、1つ又は複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)によって供給されうる。特に、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
【0133】
[0139]本明細書で「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗原に抗体を結合させることに関与する抗体重又は軽鎖のドメインを意味する。ネイティブ抗体の重鎖及び軽鎖(それぞれVH及びVL)の可変ドメインは、4つの保存されているフレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む各ドメインを有する類似する構造を一般に有する。例えば、Kindt et al.、Kuby Immunology、6th ed.、W.H. Freeman and Co.、page 91 (2007)を参照されたい。抗原−結合特異性を付与するのに、単一のVH又はVLドメインで十分なことがある。
【0134】
[0140]本明細書で「超可変領域」又は「HVR」は、配列において超可変である及び/又は構造的に規定されるループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を意味する。一般に、ネイティブ四鎖抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)、及びVLに3つ(L1、L2、L3)の6つのHVRを含む。一般に、HVRは、超可変ループ及び/又は相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は配列変動性が最大である及び/又は抗原認識に関与する。VHにおけるCDRlは例外として、CDRは、超可変ループを形成するアミノ酸残基を一般に含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも称され、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の一部を参照して本明細書に互換的に使用される。この特定の領域は、Kabat et al.、U.S. Dept. of Health and Human Services、Sequences of Proteins of Immunological Interest (1983)及びChothia et al.、J Mol Biol 196:901〜917 (1987)によって記載されており、ここで、定義には、互いに対して比較したときのアミノ酸残基のオーバーラップ又はサブセットが含まれる。それでも、抗体又はその変形のCDRを指すいずれかの定義の適用は、本明細書で規定及び使用される用語の範囲内であることが意図される。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列及びサイズに依存して変動する。当業者は、どの残基が、抗体の可変領域アミノ酸配列を与える特定のCDRを含むかをルーチン的に決定することができる。
【0135】
[0141]本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、又は抗体融合タンパク質であってもよい。
【0136】
[0142]本明細書で「キメラ抗体」は、1つの種に由来する抗体、好ましくはげっ歯類抗体、より好ましくはマウス抗体の相補性決定領域(CDR)を含むが、抗体分子の定常性ドメインがヒト抗体のものに由来するものを含む、重及び軽抗体鎖の両方の可変ドメインを含有する組換えタンパク質を意味する。獣医学的適用に関して、キメラ抗体の定常ドメインは、他の種、例えば、類人猿、ネコ又はイヌのものに由来してもよい。
【0137】
[0143]本明細書で「ヒト化抗体」は、1つの種からの抗体;例えば、げっ歯類抗体からのCDRが、げっ歯類抗体の重及び軽可変鎖からヒト重及び軽可変ドメインに移される組換えタンパク質を意味する。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものに由来する。いくつかの実施形態において、ヒト化抗体のフレームワーク領域の特異的な残基、(特にCDR配列に触れる又は近いもの)は、修飾されてもよく、例えば、当初のげっ歯類、類人猿、又は他の抗体からの対応する残基で置き換えられてもよい。
【0138】
[0144]本明細書で「ヒト抗体」は、例えば、抗原チャレンジに応答して特異的なヒト抗体を産生するよう操作されているトランスジェニックマウスから得られた抗体を意味する。この技術では、ヒト重及び軽鎖座位のエレメントは、内因性重鎖及び軽鎖座位の標的破壊を含有する胚性幹細胞株に由来するマウスの株に導入される。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、マウスを使用してヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得るための方法は、Green et al、Nature Genet. 7: 13 (1994)、Lonberg et al、Nature 368:856 (1994)、及びTaylor et al、Int. Immun. 6:579 (1994)によって記載されている。完全なヒト抗体は、遺伝的な又は染色体のトランスフェクション法、並びにファージディスプレイ技術によって構築することができ、これら全ては当技術分野において知られている。例えば、未免疫ドナーの免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからのインビトロでのヒト抗体及びその断片の産生に関してMcCafferty et al、Nature 348:552〜553 (1990)を参照されたい。この技術では、抗体可変ドメイン遺伝子は、糸状バクテリオファージのメジャー又はマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれにインフレームでクローン化され、ファージ粒子の表面で機能的な抗体断片として提示される。糸状粒子はファージゲノムの単一鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的な特性に基づく選択はまた、そのような特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択をもたらす。この手段では、ファージは、B細胞のいくつかの特性を模倣する。ファージディスプレイは、種々の形式で実施することができ、それらの総説に関しては例えば、Johnson and Chiswell、Current Opinion in Structural Biology 3:5564〜571 (1993)を参照されたい。ヒト抗体はまた、インビトロ活性化B細胞によって生じさせうる。米国特許第5,567,610号及び同5,229,275号を参照されたい、これらは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0139】
[0145]本明細書で「抗体融合タンパク質」は、同じ又は異なる特異性を有する、2つ又はこれを超える同じ又は異なる天然抗体、単一鎖抗体又は抗体断片セグメントが結合される、組換えで産生される抗原結合分子を意味する。融合タンパク質は、少なくとも1つの特異的な結合部位を含む。融合タンパク質の結合価は、融合タンパク質が有する抗原(複数可)又はエピトープ(複数可)に対する結合アーム又は部位の総数;すなわち、一価、二価、三価又は多価を示す。抗体融合タンパク質の多価性は、多価性が、抗原に対する結合における複数の相互作用の利点を取りうる、したがって、抗原又は異なる抗原に対する結合のアビディティを増加させることを意味する。特異性は、どの程度多くの異なるタイプの抗原又はエピトープと抗体融合タンパク質が、結合できるかを示す;すなわち、単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性。これらの定義を使用して、天然抗体、例えば、IgGは、二価であり、その理由は、それが2つの結合アームを有するからであるが、単一特異性であり、その理由は、それが1つのタイプの抗原又はエピトープに結合するからである。単一特異性で多価の融合タンパク質は、同じ抗原又はエピトープに対する1超の結合部位を有する。例えば、単一特異性ダイアボディは、同じ抗原と反応性の2つの結合部位を有する融合タンパク質である。融合タンパク質は、異なる抗体成分又は同じ抗体成分の複数のコピーの多価又は多重特異性組合せを含んでいてもよい。融合タンパク質は、治療剤を追加的に含んでいてもよい。
【0140】
[0146]いくつかの実施形態において、標的化部分は、プロボディ、例えば、米国特許第8,518,404号;同8,513,390号;及び米国特許出願公開第20120237977A1号、同20120149061A1号、同20130150558A1号に開示のものを含み、それらの開示は、参照によりその全体が組み込まれる。
【0141】
[0147]プロボディは、がん微小環境内で選択的に活性化されるモノクローナル抗体であり、治療抗体の活性を腫瘍に集束させて、健常組織を残す。
【0142】
[0148]一般に、プロボディは、標的を特異的に結合に結合することが可能である、少なくとも抗体又はその抗体断片(集合的に「AB」と称される)(ここで、ABは、マスキング部分(MM)によって修飾される)を含む。ABがMMで修飾され且つ標的の存在下にある場合、その標的に対するABの特異的な結合は、MMで修飾されないABの特異的な結合又は標的に対する親ABの特異的な結合と比較して、低下又は阻害される。ABに対するMMの解離定数(Kd)は、標的に対するABのKdよりも一般に高い。ABがMMで修飾され且つ標的の存在下にある場合、その標的に対するABの特異的な結合は、MMで修飾されないABの特異的な結合又は標的に対する親ABの特異的な結合と比較して、低下又は阻害され得る。ABがMMにカップリングされる又はMMによって修飾される場合、MMは、その標的に対するABの特異的な結合を、「マスク」又は低下又は阻害し得る。ABがMMにカップリングされる又はMMによって修飾される場合、そのようなカップリング又は修飾は、構造上の変化に影響することができ、これが、その標的に特異的に結合するABの能力を低下又は阻害する。
【0143】
[0149]いくつかの実施形態において、プロボディは、活性化可能な抗体(AA)であり、ここで、MMによって修飾されるABは、1つ又は複数の切断可能な部分(CM)をさらに含み得る。そのようなAAは、ABの標的に対する活性化可能な/切り替え可能な結合を呈する。AAは、マスキング部分(MM)及び修飾可能な又は切断可能な部分(CM)によって修飾又はカップリングされた抗体又は抗体断片(AB)を一般に含む。いくつかの実施形態において、CMは、目的とするプロテアーゼに対する基質として機能するアミノ酸配列を含有する。他の実施形態において、CMは、還元によって切断可能であるシステイン−システインジスルフィド結合を実現する。さらに他の実施形態において、CMは、光分解によって活性化可能である光分解性基質を提供する。
【0144】
[0150]AAのCM及びABは、ABが、目的とする標的に対する結合部分を表し、CMが、対象における治療部位で標的と共局在するプロテアーゼに対する基質を提示するように、選択されうる。或いは(又は加えて)、CMは、このジスルフィド結合の還元の結果として切断可能なシステイン−システインジスルフィド結合である。AAは、少なくとも1つのプロテアーゼ切断可能CM又はシステイン−システインジスルフィド結合、及びいくつかの実施形態において、両方の種類のCMを含む。AAは、光源によって活性化可能な感光性基質を、代替的に又はさらに含み得る。本明細書で開示されるAAは、例えば、CM中の部位を切断することが可能であるプロテアーゼが、非治療部位の組織中(例えば、健常組織中)よりも治療部位の標的含有組織中(例えば、罹患した組織;例えば、治療処置又は診断処置のために)で相対的に高レベルで存在する、特定の使用が見出されている。本明細書で開示されるAAは、例えば、CM中の部位を還元することが可能である還元剤が、非治療非診断部位の組織中よりも治療又は診断部位の標的含有組織中で相対的に高レベルで存在する、特定の使用も見出されている。本明細書で開示されるAAは、例えば、CM中の部位を光分解することが可能であるレーザーの手段によるなどの光源が、治療又は診断部位の標的含有組織に導入される、特定の使用も見出されている。
【0145】
[0151]いくつかの実施形態において、AAは、ABがマスクされない又は別途その標的との結合から阻害される場合、非治療部位でのABの結合から別途もたらされるであろう、毒性及び/又は有害な副作用の低下を実現することができる。AAが、ジスルフィド結合の還元を促進する還元剤によって切断可能であるCMを含有する場合、そのようなAAのABは、ABの活性化を活用するため選択されてもよく、ここで、目的とする標的は、環境が、例えば、非治療部位の環境よりも高い還元電位の環境であるように、還元剤の上昇レベルによって特徴づけられる所望の治療部位に存在する。
【0146】
[0152]一般に、AAは、立体構造上拘束される場合に、MMが、ABのマスキング又はその標的に対するABの結合の低下を実現するように、目的とするABを選択すること及びAAの残部を構築することによって設計することができる。この機能的な特徴を実現するために、構造上の設計判定基準が考慮に入れられる。
【0147】
[0153]いくつかの実施形態において、標的治療は、目的とする、標的細胞に又は標的部位で発現される抗原に対する、その特異性に基づいて選択される、抗体又は抗体断片である。多種多様な腫瘍特異的又は他の疾患特異的な抗原が同定されており、それらの抗原に対する抗体が、そのような腫瘍又は他の疾患の治療において使用され又は使用のために提案されている。当技術分野において知られている抗体は、本発明の組成物に、特に標的抗原が関連する疾患の治療のために、使用することができる。本発明の標的治療が標的とされ得る、標的抗原(及びそれらの関連する疾患)の例は、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4−1BB、5T4,AGS−5,AGS−16、アンギオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、癌胎児抗原、CTLA4、Cripto、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、糖質コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαγ、インテグリンαγβ、KIR、LAG−3、ルイスY、メソテリン、c−MET、MNカルボニックアンヒドラーゼIX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH,OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、STING、Syndecan−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2,VEGFR−1、VEGFR−2、VEGFR−3を含む。
【0148】
[0154]いくつかの実施形態において、抗体は、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)、Erbitux(セツキシマブ)、Vectibix (パニツムマブ)、Arzerra(オファツムマブ)、Benlysta(ベリムマブ)、Yervoy(イピリムマブ)、Perjeta(ペルツズマブ)、Tremelimumab、Opdivo(ニボルマブ)、Dacetuzumab、Urelumab、Tecentriq(アテゾリズマブ、MPDL3280A)、Lambrolizumab、Blinatumomab、CT−011、Keytruda (ペムブロリズマブ、MK−3475)、BMS−936559、MED14736、MSB0010718C、Imfinzi(デュルバルマブ)、Bavencio(アベルマブ)及びマルジェツキシマブ(MGAH22)からなる群から選択される。
【0149】
[0155]いくつかの実施形態において、抗HER2抗体は、トラスツズマブ(Herceptin)、ペルツズマブ(pertuzumab)又はマルジェツキシマブ(MGAH22)である。トラスツズマブ及びペルツズマブの両方は、HER2陽性腫瘍又はがん細胞に対して抗腫瘍活性を有するモノクローナル抗体である。マルジェツキシマブ(又はMGAH22)は、HER2を標的とする、次世代のFc最適化モノクローナル抗体(mAb)である。臨床試験は、マルジェツキシマブが、中等度レベルのHER2を発現する、腫瘍 又はがん細胞について有効であることを示している。
【0150】
[0156]Herceptin(トラスツズマブ)は、25%〜30%の乳がんに発現される、Her2のヒト上皮細胞成長因子受容体細胞外ドメインに作用するヒト化モノクローナル抗体である。トラスツズマブは、(1)Her2受容体のダウンレギュレーション、Her2細胞内シグナル伝達トランスダクション経路の阻害及びアポトーシスの誘導;(2)腫瘍細胞を殺傷する免疫機構関連の抗体依存性ADCC及びCDC;(3)化学療法の効果の増強によって抗腫瘍効果を有すると考えられる。
【0151】
[0157]いくつかの実施形態において、抗EGFR抗体は、セツキシマブ(cetuximab)、パニツムマブ(panitumumab)、ネシツムマブ、マツズマブ(matuzumab) ニモツズマブ(nimotuzumab)、ザルツムマブ(zalutumumab)、RO5083945、MDX447、又はMEHD7945である。これらの抗体は、EGFRに結合し、腫瘍細胞分裂、増殖及び成長を活性化する、シグナル伝達トランスダクション経路を阻害する。
【0152】
[0158]Erbitux(Cetuximab)は、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)に作用するキメラ抗体である。Erbituxは、EGFRに結合して、そのシグナル伝達経路を阻害し、細胞増殖、浸潤及び転移、及び血管形成に影響する。EGFRシグナル伝達経路の阻害により、化学療法薬物及び放射線療法の有効性を増強することができる。
【0153】
[0159]いくつかの実施形態において、抗CD20抗体は、リツキシマブ、オファツムマブ、ベルツズマブ(veltuzumab)、オクレリズマブ、AME−133v、PRO131921、GA101、Ibritumomab tiuxetan、トシツモマブ(tositumomab)、及びTRU−015からなる群から選択される。
【0154】
[0160]第一世代のCD20 mAbであるリツキシマブは、補体依存性細胞傷害(CDC)及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導することができ、リンパ腫細胞に対する、その臨床活性が導かれる。CDCは、リツキシマブによる細胞殺傷に関する一次機構を代表する。しかしながら、いくつかのリンパ様細胞(すなわち、CLL細胞の10%)は、低レベルの補体活性化又は活性化した補体の減少した細胞傷害性のため、CDCに耐性であった。加えて、リツキシマブは、CD20に対する結合の際に、B細胞のアポトーシスを導くことができ、したがって、細胞成長を直接的に阻害することができる。最近、mAbによる細胞殺傷の新規機構が、NADPHによって媒介される活性酸素種が関与することが報告された。
【0155】
[0161]「リツキシマブ」抗体は、ヒトCD20抗原を対象とする遺伝的に操作されたキメラヒトガンマ1マウス定常ドメイン含有モノクローナル抗体である。このキメラ抗体は、ヒトガンマ1定常ドメインを含有し、米国特許第5,736,137号中で「C2B8」という名称によって同定されている。
【0156】
[0162]Rituxan(リツキシマブ)は、B細胞非ホジキンリンパ腫の治療に使用されるキメラ抗体である。Rituxanは、90%のB細胞非ホジキンリンパ腫に発現されるCD20抗原を発現するB細胞の表面に作用する。Rituxanは、CD20に結合して、CDC及びADCCによってB細胞溶解を誘導し、いくつかの細胞傷害性の化学療法剤に対して薬物抵抗性であるヒトリンパ球を感作する。
【0157】
[0163]第二世代の抗CD20 mAbは、オファツムマブ、ベルツズマブ、及びオクレリズマブを含む。これらはヒト化され、免疫原性を低下させる。
【0158】
[0164]オファツムマブ(Genmab)は、完全ヒトタイプI抗CD20 IgG1kappa mAbである。オファツムマブは、CD20分子のスモール及びラージ細胞外ループ(ECL)の両方に結合し、標的細胞を殺傷させる際に、リツキシマブよりも効果的である。オファツムマブは、リツキシマブ感受性及び耐性細胞の両方に対して、リツキシマブよりも強力であることが示されている。そのリツキシマブ耐性細胞に対する活性及び強力なCDC効果は、CD20分子のスモールループの近位エピトープ及びC1q活性化に対する高い能力に起因すると考えられる。オファツムマブ(arzerra)は、フルダラビン及びアレムツズマブ(FA−ref)に失敗している再発性又は不応性CLLの治療に関して承認されている。オファツムマブは、固定用量(用量1に関して300mg)を毎週及び続く用量に2000mgを毎週x7でIVで与えられる。これに続いて、4回のさらなる用量を四週ごとに与えられる。
【0159】
[0165]オクレリズマブ(PRO70769)(Genentech/Roche/Biogen)は、別のタイプIの第二世代ヒト化mAbであり、軽鎖及び重鎖可変領域のCDR内の幾つかのアミノ酸位置でリツキシマブと異なっている。リンパ様悪性腫瘍に向けての有効性の増強及びFcγRIIIa受容体(CD16)の低親和性バリアントに対する結合親和性の増加に伴って、このmAbは、リツキシマブと比較して、増加したADCC及び低いCDC活性を有する。
【0160】
[0166]ベルツズマブ(IMMU−106、hA20)は、リツキシマブよりも、より強力な結合アビディティ及びより強いCDCにおける効果を有する。ベルツズマブは、ヒト化、タイプI抗CD20 IgG1 mAbであり、リツキシマブと同一の相補性決定領域(CDR)で組換えで操作されている、但し、可変性重鎖のCDR3における単一のアミノ酸変化(Asn101の代わりにAsp101)を除く。この修飾は、3種のヒトリンパ腫細胞株において、有意に遅いオフ率及び増加したCDC細胞傷害性をもたらす。
【0161】
[0167]第三世代のヒト化CD−20 mAbは、FcγRIIIa受容体に対して、それらの結合親和性を増加させる操作されたFc領域を有する。少なくとも3種の第三世代のmAbs、AME−133v、PRO131921及びGA101が存在する。
【0162】
[0168]AME−133v(LY2469298、オカラツズマブ(ocaratuzumab))(Applied Molecular Evolution/Eli Lilly)は、タイプI、ヒト化IgG1 mAbである。そのCD20に対する結合親和性は、13〜20倍の増加を有し、FcγRIIIa受容体の低親和性(F/F及びF/V)バリアントに対して5〜7倍高いアビディティを有する。これらは、リツキシマブに対する応答性に関して、より低い応答速度及びより短い持続時間を克服する機構でありうる。
【0163】
[0169]PRO131921(Genentech)は、ヒト化IgG1(オクレリズマブ)であり、リツキシマブに対するCDC及びADCC活性の増強に関して修飾されたFcを有する。
【0164】
[0170]GA101(RO5072759、オビヌツズマブ)(Glycart/Roche)は、親B−Ly1マウス抗体のヒト化及び続くFc領域の糖鎖工学に由来する、完全ヒト化、タイプII、IgG1 mAbである。GA101は、リツキシマブとは全く異なる配向で、より大きなエピトープに対して、CD20に結合する。GA101は、直接的な殺傷によるより強力な活性並びにNK細胞媒介性ADCC効果を有するように見える。GA101は、リツキシマブ耐性細胞株において活性を有することが示されていた。
【0165】
[0171]いくつかの実施形態において、抗PD−1抗体は、MK−3475(以前はlambrolizumab、Merck)、AMP−514、AMP−224(MedImmune/AstraZeneca)、BMS−936558(MDX−1106、Bristol−Myers Squibb)、又はCT−011(Curetech)である。
【0166】
[0172]ペムブロリズマブ(MK−3475)は、抗腫瘍免疫を再活性化するように設計された、ヒト化されたモノクローナル抗PD−1抗体である。ペムブロリズマブは、T細胞におけるPD−1と、そのリガンドPD−L1及びPD−L2との相互作用を阻害することによってPD−1経路の二重リガンド遮断を発揮する。
【0167】
[0173]いくつかの実施形態において、抗PD−1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,354,509号及び米国特許第8,168,757号に開示された抗体の1つである。
【0168】
[0174]ニボルマブ(BMS−936558又はMDX1106としても知られている)は、がんの治療に関してBristol−Myers Squibbによって開発された完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。
【0169】
[0175]いくつかの実施形態において、抗PD−1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2004/056875号、米国特許第7,488,802号及び米国特許第8,008,449号に開示された抗体の1つである。
【0170】
[0176]AMP−514及びAMP−224は、MedImmuneによって獲得された、Amplimmuneによって開発された抗プログラム細胞死1(PD−1)モノクローナル抗体(mAb)である。
【0171】
[0177]いくつかの実施形態において、抗PD−1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20140044738号に開示された抗体の1つである。
【0172】
[0178]いくつかの実施形態において、6つのCDRは、(A)抗PD−1抗体1E3の3つの軽鎖及び3つの重鎖CDR;(B)抗PD−1抗体1E8の3つの軽鎖及び3つの重鎖CDR;又は(C)抗PD−1抗体1H3の3つの軽鎖及び3つの重鎖CDRである。
【0173】
[0179]ピジリズマブ(CT−011)は、Israel−based Curetech Ltdによって開発された抗PD−1モノクローナル抗体である。
【0174】
[0180]いくつかの実施形態において、抗PD−1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20080025980号及び同20130022595号に開示された抗体の1つである。
【0175】
[0181]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、MPDL3280A及びYW243.55.S70、(Genentech/Roche)、MEDI−4736(MedImmune/AstraZeneca)、BMS−936559(MDX−1105、Bristol−Myers Squibb)、及びMSB0010718C(EMD Serono/Merck KGaA)である。
【0176】
[0182]MPDL3280A(Tecentriq、Genentech)は、腫瘍細胞及び腫瘍浸潤性免疫細胞に発現されるPD−L1を標的とするように設計された、操作された抗PD−L1抗体である。MPDL3280Aは、PD−L1を、PD−1及びB7.1に対する結合から防ぐように設計されている。このPD−L1の遮断は、T細胞の活性化を可能にし得、腫瘍細胞を検出及び攻撃する、それらの能力を元に戻す。MPDL3280Aは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を最小限にすることによって有効性及び安全性を最適化するように設計された、操作された結晶化可能断片(Fc)ドメインを含有する。
【0177】
[0183]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,943,743号に開示された抗体の1つである。
【0178】
[0184]BMS−936559(MDX−1105、Bristol−Myers Squibb)は、PD−1及びCD80の両方に対するPD−L1リガンドの結合を阻害する、完全ヒトIgG4抗−PD−L1 mAbである。
【0179】
[0185]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,943,743号に開示された抗体の1つである。
【0180】
[0186]MSB0010718C (EMD Serono of Merck KGaA)は、PD−L1に結合する完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である。
【0181】
[0187]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2013079174A1号に開示された抗体の1つである。
【0182】
[0188]MEDI4736(MedImmune/AstraZeneca)は、PD−L1に特異的に結合し、PD−1及びCD80に対する結合を防ぐ、ヒトIgG1抗体である。
【0183】
[0189]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第2011066389A1号及び米国特許第8,779,108号に開示された抗体の1つである。
【0184】
[0190]いくつかの実施形態において、抗PD−L1抗体は、その開示が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第8,552,154号に開示された抗体の1つである。
【0185】
[0191]Avastin(Bevacizumab)は、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とする、ヒト化モノクローナル抗体である。VEGFRへのAvastinの結合は、VEGF及びシグナル伝達を阻害し、腫瘍血管形成の阻害をもたらす。
【0186】
[0192]現在開発中の他の抗体も、標的治療として使用することができる。例えば、以下の標的に対する治療モノクローナル抗体は、腫瘍の治療に関して開発中である:CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、及びCD137並びに腫瘍の治療に関して以下の標的:4−1BB、5T4,AGS−5,AGS−16、アンギオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT−062、BTLA、CAIX、癌胎児抗原、CTLA4、Cripto、ED−B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、糖質コルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαγ、インテグリンαγβ、KIR、LAG−3、ルイス、メソテリン、c−MET、MNカルボニックアンヒドラーゼIX、MUC1、MUC16、Nectin−4、NKGD2、NOTCH,OX40、OX40L、PD−1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、STING、Syndecan−1、TACI、TAG−72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR−1、VEGFR−2、及びVEGFR−3並びにそれらの変形。(Scott AM、Wolchok JD、Old LJ. Antibody Therapy of Cancer. Nat Rev Cancer. 2012 Mar 22;12(4):278〜87)。
【0187】
[0193]いくつかの実施形態において、標的治療は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAbs二量体、Fv、scFv、dsFv、ds−scFv、Fd、直鎖状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc−ダイアボディ、カッパ(ラムダ)ボディ、BiTE、DVD−Ig、SIP、SMIP、DART、又は1つ又は複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0188】
III.
医薬製剤及び投与
[0194]本発明は、本発明の化合物又はその薬学的に許容される塩及び1つ又は複数の薬学的に許容される担体を含む医薬製剤にさらに関する。
【0189】
[0195]薬学的に許容される担体、例えば、その付加塩又は水和物を含む、本明細書に記載される化合物は、多種多様な投与の経路又は様式を使用して患者に送達することができる。投与の適切な経路には、吸入、経皮、経口、直腸、経粘膜、経腸並びに筋肉内、皮下及び静脈内注射を含む非経口投与が含まれるが、限定されない。標的化部分として抗体又は抗体断片を含む本発明の化合物は、非経口的に投与されることが好ましく、静脈内に投与されることがより好ましい。
【0190】
[0196]本明細書で使用される用語「投与すること」又は「投与」は、その意図される作用部位に化合物を直接的及び間接的に送達するための全ての手段を包含することが意図される。
【0191】
[0197]本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩及び/又は水和物は、単独で、本発明の他の化合物と組合せて、及び/又は他の治療剤と組合せたカクテルにおいて投与されてもよい。当然ながら、本発明の化合物と同時投与することができる治療剤の選択は、治療される状態に部分的に依存する。
【0192】
[0198]例えば、オートインデューサーに依存する生体によって引き起こされる病的状態を患う患者に投与される場合、本発明の化合物は、疾患に一般に関連する疼痛、感染及び他の症状及び副作用を治療するために使用されるカクテル含有剤において投与することができる。そのような薬剤には、例えば、鎮痛薬、抗生物質などが含まれる。
【0193】
[0199]がん治療を受けている患者に投与される場合、化合物はカクテル含有抗がん剤及び/又は補充的な増強剤において投与されうる。化合物はまた、例えば、抗催吐剤、放射線保護剤(radiation protectant)などの放射線療法の副作用を治療するカクテル含有剤において投与されてもよい。
【0194】
[0200]本発明の化合物と同時投与することができる補充的な増強剤は、例えば、三環系抗鬱薬(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン及びマプロチリン);非三環系及び抗鬱薬(例えば、セルトラリン、トラゾドン及びシタロプラム);Ca+2アンタゴニスト(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピン及びカロベリン);アンホテリシン;トリパラノール類似体(例えば、タモキシフェン);抗不整脈薬(例えば、キニジン);抗高血圧薬(例えば、レセルピン);チオール枯渇化剤(例えば、ブチオニン及びスルホキシイミン);及びロイコボリンカルシウムを含む。
【0195】
[0201]本発明の活性化合物(複数可)は、それ自体で又は活性化合物(複数可)が1つ又は複数の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤と混合されている医薬組成物の形態で投与される。本発明に従う使用のための医薬組成物は、薬学的に使用することができる調製物への活性化合物のプロセシングを促進する、賦形剤及び助剤を含む1つ又は複数の生理学的に許容される担体を使用して従来の様式に典型的に製剤化される。適切な製剤は、選択された投与の経路に依存する。
【0196】
[0202]経粘膜投与に関して、その製剤には、透過しようとするバリアに適切な浸透剤を使用する。そのような浸透剤は、一般に当技術分野において知られている。
【0197】
[0203]経口投与に関して、化合物は、活性化合物(複数可)を当技術分野において周知の薬学的に許容される担体と組合せることによって容易に製剤化されうる。そのような担体により、本発明の化合物が、治療される患者によって経口摂取されるための錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、及び懸濁剤として製剤化されることが可能とされる。経口使用のための医薬調製物は、錠剤又は糖衣錠剤コアを得ることが所望される場合に、固体賦形剤を使用して、任意選択で、生じた混合物を粉砕する及び適切な助剤を添加する後に、顆粒剤の混合物をプロセシングすることによって得ることができる。適切な賦形剤は、特に、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖;セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドン(PVP)である。所望される場合、崩壊剤は、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加されてもよい。
【0198】
[0204]糖衣錠剤コアは、適切にコーティングして供給される。この目的に関して、濃縮された糖溶液を使用してもよく、これは任意選択でアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液(lacquer solution)、並びに適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含んでもよい。染料又は色素を、活性化合物の用量を識別するため又は異なる組合せを特徴づけるため錠剤又は糖衣錠剤コーティングに添加してもよい。
【0199】
[0205]経口的に使用できる医薬調製物は、ゼラチンで作られているプッシュフィットカプセル、並びに、ゼラチンで作られている密閉軟カプセル及び可塑剤、例えば、グリセロール又はソルビトールを含む。プッシュフィットカプセルは、活性成分を充填剤(例えば、ラクトース)、結合剤(例えば、デンプン)、及び/又は滑沢剤(例えば、タルク又はステアリン酸マグネシウム)及び、任意選択で安定化剤との混合物に含有し得る。軟カプセル中で活性化合物は、適切な液剤、例えば、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールに溶解又は懸濁されてもよい。加えて、安定化剤を添加してもよい。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に適切な投与量であるべきである。
【0200】
[0206]口腔内投与に関して、組成物は、従来の様式で錠剤又はロゼンジの形態をとって製剤化されてもよい。
【0201】
[0207]吸入による投与に関して、本発明による使用のための化合物は、適切な噴霧剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスを使用することで、加圧パック又はネブライザーからのエアロゾルスプレー提示の形態で簡便に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位は、一定量を送達するためのバルブを設けることによって決定されてもよい。吸入器又は注入器に使用するためのゼラチンなどのカプセル及びカートリッジを、化合物の粉末混合物及び適切な粉末基剤、例えば、ラクトース又はデンプンを含有するよう製剤化してもよい。
【0202】
[0208]化合物は、ボーラス注射又は連続的な輸液などの注射による非経口投与のために製剤化されてもよい。注射は、本発明の組成物についての投与の好ましい方法である。注射のための製剤は、保存剤が添加されたアンプル又は複数用量容器などの単位剤形で存在させてもよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液剤又はエマルジョン剤のような形態をとってもよく及び製剤化剤を含有してもよく、例えば、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤は、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸又はその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを添加されてもよい。
【0203】
[0209]非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態における活性化合物の水溶液を含む。さらに、活性化合物の懸濁物は、適切な油性注射懸濁物として調製されてもよい。適切な親油性の溶媒又はビヒクルは、脂肪油、例えば、ゴマ油、又は合成の脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチル又はトリグリセリド、又はリポソームを含む。水性の注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの懸濁液の粘性を増加させる物質を含んでもよい。任意選択で、懸濁液はまた、適切な安定化剤又は化合物の溶解性を増加して高度に濃縮された溶液の調製を可能にする物質を含有してもよい。注射に関して、本発明の薬剤は、水性溶液、好ましくは生理学的に適合性の緩衝剤、例えば、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液に製剤化してもよい。
【0204】
[0210]或いは、活性成分は、使用前に、滅菌したパイロジェンが存在しない水などの適切なビヒクルで構成するための粉末形態であってもよい。
【0205】
[0211]化合物はまた、直腸組成物、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤の基剤を含有している坐剤又は保持性浣腸剤に製剤化されてもよい。
【0206】
[0212]前に記載した製剤に加えて、化合物はまた、デポー調製物として製剤化されてもよい。そのような長時間作用する製剤は、移植又は経皮送達(例えば、皮下又は筋肉内)、筋肉内注射又は経皮パッチによって投与されてもよい。したがって、例えば、化合物は、適切な重合性又は疎水性の材料(例えば、認容された油中のエマルジョン剤として)又はイオン交換レジンで、又は溶けにくい誘導体(例えば、溶けにくい塩)として製剤化されてもよい。
【0207】
[0213]医薬組成物はまた、適切な固体若しくはゲル相担体又は賦形剤を含んでもよい。そのような担体又は賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリマー、例えば、ポリエチレングリコールが含まれる。
【0208】
[0214]好ましい医薬組成物は、注射、例えば、静脈内注射のために製剤化された組成物であり、総医薬組成物の100重量%に基づいて、本発明の化合物の約0.01重量%〜約100重量%を含む。薬物−リガンドコンジュゲートは、抗体が、特定のがんを標的にするため選択されている、抗体−細胞傷害性コンジュゲートであってもよい。
【0209】
[0215]いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、第二の化学療法剤をさらに含む。
【0210】
[0216]本明細書で「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物を意味する。例は、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara−C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、Cytoxin、TAXOL、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン及びカルボプラチンであるが、限定されない。
【0211】
[0217]いくつかの実施形態において、第二の化学療法剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ(imatanib)、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、ゲムシタビン、シタラビン、5−フルオロウラシル、メトトレキセート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトセシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、又はイダルビシンからなる群から選択される。
【0212】
IV.
本発明のキット
[0218]別の態様において、本発明は、キットを提供する。特定の実施形態において、本発明のキットは、本明細書に提供される組成物又は化合物を含む1つ又は複数の容器を含む。キットは、意図される治療(例えば、免疫調節、感染症の症状を回復させること、腫瘍の治療、IFN−γレベルを増加させること、IFN−αレベルを増加させること、又はIgE関連障害を回復させること)のための組成物の使用に関連する、指示書の適切な組、一般に書面による指示書をさらに含んでもよい。
【0213】
[0219]キットは、任意の簡便な適切な包装に包装される本明細書に提供される組成物を含んでもよい。例えば、組成物が乾燥製剤(例えば、フリーズドライ又は乾燥粉末)である場合、弾力のある栓を有するバイアルが、弾力のある栓を通して流体を注射することによって組成物が容易に再懸濁されうるように、通常使用される。弾力のない取り外し可能な閉塞栓を有するアンプル(例えば、密封ガラス)又は弾力のある栓は、組成物の液体製剤に最も簡便に使用される。吸入器、経鼻投与装置(例えば、噴霧器)又は輸液装置、例えば、ミニポンプなどの特定の装置との組合せにおける使用のための包装も企図される。
【0214】
[0220]組成物の使用に関連する指示書は、意図される治療のための投与の投与量、投薬スケジュール、及び経路についての情報を一般に含む。組成物の容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数用量包装)又は小単位用量(sub−unit dose)であってもよい。本発明のキットに供給される指示書は、典型的には、ラベル又は添付文書(例えば、キットに含まれる紙シート)における書面による指示書であるが、機械読取り可能な指示書(例えば、磁気的又は光学的な貯蔵ディスクで実行される指示書)も許容される。
【0215】
V.
医学的使用
[0221]別の態様において、本発明は、対象に、治療有効量の、本発明の化合物、その薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を投与するステップを含む、治療を必要とする対象における疾患状態を治療するための方法を提供する。
【0216】
[0222]上に記載した組成物及び構築物に加えて、本発明は、本発明の化合物の幾つかの使用も提供する。本発明の化合物の使用は、腫瘍細胞又はがん細胞の成長又は複製を殺傷又は阻害すること、がんを治療すること、前癌性状態を治療すること、腫瘍細胞又はがん細胞の繁殖を防ぐこと、がんを防止すること、自己免疫抗体を発現する細胞の繁殖を防ぐことを含む。これらの使用は、必要とする動物、例えば、哺乳動物又はヒトに、有効量の本発明の化合物を、投与することを含む。
【0217】
[0223]本発明の化合物は、疾患、例えば、動物、例えば、ヒトにおけるがんを治療するために有用である。対象に、本発明の薬学的な有効量の組成物を有する、薬学的に許容される様式で組成物を供給することによって腫瘍を治療するための組成物及び使用が提供される。
【0218】
[0224]本明細書で「がん」は、未制御の細胞増殖によって特徴づけられるヒトにおける病態を意味する。例は、癌、リンパ腫、芽細胞腫、及び白血病を含むが、限定されない。がんのより詳細な例は、肺がん(小細胞がん及び非小細胞がん)、乳がん、前立腺がん、カルチノイド、膀胱がん、胃がん、膵臓がん、肝臓がん(肝細胞がん)、肝芽腫、結腸直腸がん、頭頚部扁平上皮癌、食道がん、卵巣がん、頚部がん、子宮内膜がん、中皮腫、メラノーマ、肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、甲状腺がん、デスモイド、慢性骨髄性白血病(AML)、及び慢性骨髄性白血病(CML)を含むが、限定されない。
【0219】
[0225]本明細書で「阻害すること」又は「治療すること」又は「治療」は、課題が、目標とする病的な障害又は状態を低下又は防止することである、低下、治療処置及び予防的又は防止的処置を意味する。一例において、本発明の化合物を投与後に、がん患者は、腫瘍サイズの低下を経験しうる。「治療」又は「治療すること」は、(1)疾患の病状又は症状を経験している又は呈している対象における疾患を阻害すること、(2)疾患の病状又は症状を経験している又は呈している対象における疾患を回復させること、及び/又は(3)疾患の病状又は症状を経験している又は呈している対象又は患者における疾患の任意の測定可能な減少に影響することを含む。本発明の化合物が、がん細胞の成長を防ぎ及び/又は殺傷させることができる限り、その化合物は細胞分裂抑制性(cytostatic)及び/又は細胞傷害性でありうる。
【0220】
[0226]本明細書で「治療有効量」は、対象又は哺乳動物における障害を「治療する」のに有効な本明細書に提供される化合物の量を意味する。がんの場合、薬物の治療有効量は、がん細胞の数を低下させうる、腫瘍サイズを低下させうる、末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害しうる、腫瘍転移を阻害しうる、ある程度まで腫瘍成長を阻害しうる、及び/又はがんに関連する1つ又は複数の症状をある程度軽減しうる。
【0221】
[0227]1つ又は複数のさらなる治療剤「と組合せた」投与は、同時(併発)及び任意の順序での連続的な投与を含む。本明細書で使用される用語「医薬組合せ」は、活性成分を混合すること又は組み合わせることから得られる産物を指し、活性成分の固定及び非固定の組み合わせの両方を含む。用語「固定の組合せ」は、活性成分、例えば、式(1)の化合物及び共薬剤(co−agent)が、単一の実体又は投与量の形態で同時に患者に両方が投与されることを意味する。用語「非固定の組合せ」は、活性成分、例えば、式(1)の化合物及び共薬剤が、特定の制限時間を伴わずに、同時に、併発的に、又は順次に、別個の実体として患者に両方が投与されることを意味し、そのような投与は、患者の身体に活性成分の治療有効レベルを供給する。後者は、例えば3つ又はそれ以上の活性成分の投与の、カクテル療法にも適用される。
【0222】
[0228]いくつかの実施形態において、疾患状態は、腫瘍である。いくつかの実施形態において、疾患状態は、異常な細胞増殖、例えば、前癌性病変を含む。
【0223】
[0229]本発明は、動物における、がんの治療のため及び腫瘍細胞又はがん細胞の繁殖の阻害のため特に有用である。がん又は前癌状態は、腫瘍、転移、又は制御されない細胞成長によって特徴づけられる任意の疾患若しくは障害を含み、本発明の薬物−リガンド複合体の投与によって、治療又は予防することができる。化合物は、腫瘍細胞又はがん細胞に活性化部分を送達する。いくつかの実施形態において、標的化部分は、がん細胞若しくは腫瘍細胞関連抗原に特異的に結合する又は相互作用する。そのリガンドへの近接性のため、内在化された後に、活性化部分は、例えば、受容体媒介性エンドサイトーシスを通して腫瘍細胞又はがん細胞の内側に取り入れられ得る。抗原は、腫瘍細胞若しくはがん細胞に付着することができる又は腫瘍細胞若しくはがん細胞に関連する細胞外マトリックスタンパク質であり得る。細胞の内側に取り入れられたら、リンカーは、腫瘍細胞又はがん細胞関連プロテアーゼによって加水分解又は酵素的に切断され、それによって活性化部分が放出される。放出された活性化部分は、次に、遊離して、拡散し、免疫細胞又は腫瘍細胞の免疫活性を誘導する又は増強させる。代替的な実施形態において、活性化部分は化合物腫瘍微小環境から切断され、薬物は続いて細胞を浸透する。
【0224】
[0230]本発明の化合物によって標的とされうる、前癌状態の代表的な例は、異形成、過形成、異形成、結腸直腸ポリープ、光線性角化症、日射性口唇炎、ヒトパピローマウイルス、白斑症、扁平苔癬及びボーエン病を含む。
【0225】
[0231]本発明の化合物によって標的とされうる、がん又は腫瘍の代表的な例は、肺がん、結腸がん、前立腺がん、リンパ腫、メラノーマ、乳がん、卵巣がん、精巣がん、CNSがん、腎臓がん、腎臓がん、膵臓がん、胃がん、口腔がん、鼻のがん、頚部がん及び白血病を含む。化合物に使用される特定の標的化部分が、それが薬物で治療される腫瘍組織に活性化部分を標的化するように、選択できること(すなわち、腫瘍特異的な抗原に特異的な標的化剤が、選択される)は、当業者には容易に明らかとなる。そのような標的化部分の例は、当技術分野において周知されており、その例には、乳がんの治療のための抗Her2、リンパ腫の治療のための抗CD20、前立腺がんの治療のための抗PSMA、及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫の治療のための抗CD30が含まれる。
【0226】
[0232]したがって、本発明は、以下を含む、限定されない、種々のがんを相乗的に治療するための方法を提供する:膀胱(加速性及び転移性膀胱がんを含む)、胸部、結腸(結腸直腸がんを含む)、腎臓、肝臓、肺(小細胞及び非小細胞肺癌及び肺腺癌を含む)、卵巣、前立腺、精巣、尿生殖路、リンパ系、直腸、喉頭、膵臓(外分泌腺性膵臓癌(exocrine pancreatic carcinoma)を含む)、食道、胃、胆嚢、頚部、甲状腺、及び皮膚(扁平上皮癌を含む)の癌を含む癌;白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、及びバーキットリンパ腫(Burketts lymphoma)を含むリンパ球系列の造血系腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄球性白血病、及び前骨髄球性白血病を含む骨髄球系列の造血系腫瘍;星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及びシュワン腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む間葉起源の腫瘍;メラノーマ、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、セミノーマ、甲状腺濾胞がん、及び奇形癌腫を含む他の腫瘍;メラノーマ、切除不能のステージIII又はIVの悪性黒色腫、扁平上皮癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、神経膠腫、胃腸がん、腎臓がん、卵巣がん、肝臓がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、腎臓がん、前立腺がん、甲状腺がん、神経芽細胞腫、膵臓がん、多形性膠芽腫、頚部がん、胃がん、膀胱がん、肝細胞腫、乳がん、結腸癌、及び頭頸部がん、胃がん、胚細胞腫瘍、骨がん、骨腫瘍、骨の成人性悪性線維性組織球腫;骨の小児性悪性線維性組織球腫、肉腫、小児性肉腫、副鼻腔性(sinonasal)ナチュラルキラー、新生物、プラズマ細胞新生物;骨髄異形成症候群;神経芽細胞腫;精巣胚細胞腫瘍、眼内メラノーマ、骨髄異形成症候群;脊髄形成異常/骨髄増殖性疾患、滑膜肉腫、慢性骨髄球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)、多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、肥満細胞症及び肥満細胞症に関連する任意の症状、並びに任意のその転移。加えて、障害は、ヒトにおける色素性じんま疹、肥満細胞症、例えば、びまん性皮膚肥満細胞症、孤立性肥満細胞腫並びにイヌの肥満細胞腫及び水胞性、紅皮症性及び末梢血管拡張性の肥満細胞症のようないくつかの稀なサブタイプ、関連する血液疾患、例えば、骨髄増殖性又は骨髄異形成性症候群、又は急性白血病を伴う肥満細胞症、肥満細胞症、肥満細胞白血病と関連する骨髄増殖性障害を、他のがんに加えて、含む。他のがんは、以下を含むが、限定されない障害の範囲内も含む:膀胱、尿路上皮性癌、胸部、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、膵臓、胃、頚部、甲状腺、精巣、特に精巣セミノーマ、及び皮膚(扁平上皮癌を含む)の癌を含む癌;消化管間質腫瘍(「GIST」);白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫,及びバーキットリンパ腫を含むリンパ球系列の造血系腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病及び前骨髄球性白血病を含む骨髄球系列の造血系腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉起源の腫瘍;メラノーマ、セミノーマ、奇形癌腫細胞、神経芽細胞腫及び神経膠腫を含む他の腫瘍;星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及びシュワン腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫、及び骨肉腫を含む間葉起源の腫瘍;及びメラノーマ、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、セミノーマ、甲状腺濾胞がん、奇形癌腫、化学療法不応性の非セミノーマ胚細胞腫瘍、及びカポジ肉腫、並びに任意のその転移を含む他の腫瘍。
【0227】
[0233]本発明は、膀胱の加速性又は転移性がん、膵臓がん、前立腺がん、非小細胞肺がん、結腸直腸がん、及び乳がんを治療するために使用されることが最も好ましい。
【0228】
[0234]本発明の好ましい実施形態において、方法は、癌性腫瘍を相乗的に治療するために提供される。本発明の相乗的な方法は、腫瘍の発生を低下させ、腫瘍負荷を低下させ、又は哺乳動物宿主において腫瘍退縮を起こすことが有利である。
【0229】
[0235]いくつかの実施形態において、異常な増殖は、がん細胞の増殖である。
【0230】
[0236]いくつかの実施形態において、がんは、乳がん、結腸直腸がん、びまん性大細胞性B細胞リンパ腫、子宮内膜がん、濾胞性リンパ腫、胃がん、グリア芽細胞腫、頭頸部がん、肝細胞がん、肺がん、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、及び腎細胞癌からなる群から選択される。
【0231】
[0237]いくつかの実施形態において、本発明は、細胞を殺傷することに使用するための化合物を提供する。化合物は、細胞に、前記細胞を殺傷させるのに十分な量で投与される。例示的な実施形態において、化合物は、細胞を担持する対象に投与される。さらなる例示的な実施形態において、投与は、細胞(例えば、細胞は、腫瘍細胞であってもよい)を含む腫瘍の成長を遅延させる又は中止するのに機能する。成長を遅延させるための投与に関して、細胞の成長の速度は、投与前の成長の速度の少なくとも10%未満であるべきである。成長の速度は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%遅延する又は完全に停止することが好ましい。
【0232】
[0238]別の態様において、本明細書に提供される本発明の組成物は、治療を必要とする対象又は個体における自己免疫疾患状態を治療するために使用される。
【0233】
[0239]ある実施形態において、個体は、望まれない免疫活性化、例えば、自己免疫疾患及び炎症性疾患と関連する障害を患う。自己免疫疾患又は炎症性疾患を有する個体は、現存する自己免疫疾患又は炎症性疾患の認識できる症状を有する個体である。
【0234】
[0240]自己免疫疾患は、臓器特異的及び全身性の2つの広いカテゴリーに分類することができる。自己免疫疾患は、限定されることなく、関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、タイプI真性糖尿病、タイプII真性糖尿病、多発性硬化症(MvS)、免疫媒介性不妊症、例えば、早発閉経、強皮症、シェーグレン病、白斑、脱毛症(脱毛)、多腺性不全(polyglandular failure)、グレーブス病、甲状腺機能低下症、多発性筋炎、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、B型肝炎ウイルス(HBV)及びC型肝炎ウイルス(HCV)に関連するものを含む自己免疫性肝炎、下垂体機能不全、移植片対宿主病(GvHD)、心筋炎、アジソン病、自己免疫性皮膚疾患、ブドウ膜炎、悪性貧血、並びに副甲状腺機能低下症を含む。
【0235】
[0241]自己免疫疾患は、限定されることなく、橋本甲状腺炎、タイプI及びタイプIl自己免疫性多腺性症候群、腫瘍随伴性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、疱疹状皮膚炎、線状IgA疾患、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、妊娠性天疱瘡、瘢痕性類天疱瘡、本態性混合性クリオグロブリン血症(mixed essential cryoglobulinemia)、幼児期の慢性水胞性疾患、溶血性貧血、血小板減少性紫斑病、グッドパスチャー症候群、自己免疫性の好中球減少症、重症筋無力症、イートンランバート筋無力症候群、スティッフマン症候群、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経根筋障害、伝導ブロックを伴う多巣性運動ニューロパシー、単クローン免疫グロブリン血症を伴う慢性神経障害、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、小脳変性症、脳脊髄炎、網膜症、原発性胆汁性硬化症、硬化性胆管炎、グルテン過敏性腸症、強直性脊椎炎、反応性関節炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、混合性結合組織疾患、ベーチェット症候群、乾癬、結節性多発性動脈炎、アレルギー性血管炎及び肉芽腫症(Churg−Strauss疾患)、多発性血管炎重複症候群、過敏性血管炎、ヴェーゲナー肉芽腫症、側頭動脈炎、高安動脈炎、川崎病、中枢神経系の孤立性血管炎、閉塞性血栓血管炎、サルコイドーシス、糸球体腎炎、及び寒冷症も含みうる。これらの状態は、医学分野において周知されており、例えば、Harrison’s Principles of Internal Medicine、14th ed.、Fauci A S e/ al.、eds.、New York: McGraw−Hill、1998に記載されている。
【0236】
[0242]全身性疾患SLEは、ほとんど全ての細胞中に大量にある抗原に対する抗体、例えば、抗クロマチン抗体、抗スプライセオソーム抗体、抗リボソーム抗体及び抗DNA抗体の存在によって特徴づけられる。結果的に、SLEの影響は、種々の組織、例えば、皮膚及び腎臓に見られる。自己反応性T細胞は、SLEにおいても役割を果たしている。例えば、マウスのエリテマトーデスのモデルでの研究は、非DNAヌクレオソーム抗原、例えば、ヒストンが、抗DNA産生性B細胞性を促進できる自己反応性T細胞を刺激することが示されている。IFN−αの増加した血清レベルが、SLE患者において観察されており、発熱及び皮膚発疹、並びに疾患プロセスに関連する必須マーカー(例えば、抗dsDNA抗体価)を含む、疾患活動性及び重症度の両方と相関することが示されている。循環中に存在する免疫複合体が、これらの患者においてIFN−αを誘発することができることも示されており、このようにして、この上昇したIFN−αの慢性的な存在が維持される。2つの異なるタイプの免疫複合体が、ヒトPDC:DNA/抗DNA抗体複合体及びRNA/抗リボ核タンパク質RNA抗体複合体からIFN−αを誘発させることが記載されている。DNAがTLR−9のリガンドである及びRNAがTLR−7/8のリガンドであるため、これら2つの経路が、慢性的にIFN−αを誘導し、したがって、SLEの疾病原因に参加するために、それぞれ、TLR−9及びTLR−7/8シグナル伝達を利用することが予想される。したがって、TLR−7/8及びTLR−9応答を阻害することに有効なIRP及び/又はIRC組成物は、SLEを治療することに特に有効でありうる。
【0237】
[0243]いくつかの実施形態において、自己免疫疾患は、エリテマトーデス、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、強皮症、及びシェーグレン症候群からなる群から選択される。
【0238】
有効投与量
[0244]本発明での使用に適切な医薬組成物は、活性成分が、治療有効量、すなわち、その意図される目的を達成するのに有効な量を含有する、組成物を含む。特定の適用に有効な実際の量は、とりわけ、治療される条件に依存する。有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。
【0239】
[0245]本明細書に記載される任意の化合物に関して、治療有効量は、最初に細胞培養アッセイから決定することができる。標的血漿濃度は、細胞成長又は分裂を阻害することが可能である、活性化合物(複数可)の濃度である。好ましい実施形態において、細胞活性は、少なくとも25%阻害される。細胞活性の少なくとも約30%、50%、75%、若しくはさらに90%又はそれ以上の阻害を誘導することが可能である、活性化合物(複数可)の標的血漿濃度が、現在では好ましい。患者における細胞活性の阻害のパーセンテージをモニターして、達成される血漿薬物濃度の適切性を評価することができ、投与量は、阻害の所望のパーセンテージを達成するために上向き又は下向きに調節することができる。
【0240】
[0246]当技術分野において周知されている通り、ヒトにおける使用に関する治療有効量はまた、動物モデルから決定することができる。例えば、ヒトに関する用量は、動物において有効であることが見出されている、循環濃度を達成するよう製剤化されてもよい。ヒトにおける投与量は、上に記載のように、細胞阻害をモニターすること及び投与量を上向き又は下向きに調節することによって調節することができる。
【0241】
[0247]治療有効量はまた、類似する薬理学的な活性を呈することが知られている化合物に関するヒトデータから決定することができる。適用される用量は、公知の化合物と比較して、投与された化合物の相対的バイオアベイラビリティー及び効力に基づいて調節することができる。
【0242】
[0248]上に記載した方法及び当技術分野において周知の他の方法に基づいてヒトにおいて最大の有効性を達成する用量を調節することは、当業者の能力の範囲内である。
【0243】
[0249]局所投与の場合、投与された化合物の全身循環濃度は、特に重要なものではない。そのような例において、化合物は、意図される結果を達成するのに有効な局所領域で、ある濃度を達成するように投与される。
【0244】
[0250]異常な細胞増殖に関連する疾患の予防及び/又は治療における使用に関して、約0.001μM〜20μMの投与された化合物の循環濃度が好ましく、約0.01μM〜5μMが好ましい。
【0245】
[0251]本明細書に記載される化合物の経口投与に関する患者用量は、典型的には、約1mg/日から約10,000mg/日、より典型的には約10mg/日から約1,000mg/日、及び最も典型的には約50mg/日から約500mg/日の範囲である。患者体重について記述すると、典型的には約0.01から約150mg/kg/日、より典型的には約0.1から約15mg/kg/日、及び最も典型的には約1から約10mg/kg/日、例えば、5mg/kg/日又は3mg/kg/日の投与量範囲である。
【0246】
[0252]少なくともいくつかの実施形態において、腫瘍成長を遅延させる又は阻害する患者用量は、1μmol/kg/日又はそれ以下であってもよい。例えば、患者用量は、(薬物のモルを参照して)0.9、0.6、0.5、0.45、0.3、0.2、0.15、又は0.1μmol/kg/日又はそれ以下であってもよい。少なくとも5日の期間にわたって1日投与量で投与される場合、薬物コンジュゲートを有する抗体は、腫瘍の成長を遅延させることが好ましい。
【0247】
[0253]投与の他の様式に関して、投与量及びインターバルを個々に調節して、治療される特定の臨床指標に有効な投与される化合物の血漿レベルを実現することができる。例えば、一実施形態において、本発明による化合物は、1日当たり複数回相対的に高い濃度で投与することができる。或いは、最小の有効な濃度で本発明の化合物を投与すること及び低頻度の投与レジメンを使用することがより望ましい可能性がある。これにより、個体の疾患の重症度と釣り合った治療レジメンが提供される。
【0248】
[0254]本明細書に提供される教示を活用することにより、実質的な毒性を引き起こさず、さらに特定の患者によって示された臨床症状を治療するのに完全に有効である、有効な治療処置レジメンを計画することができる。この設計は、化合物効力、相対的バイオアベイラビリティー、患者体重、有害な副作用の存在及び重症度、投与の好ましい様式及び選択される薬剤の毒性プロファイルなどの要素を考慮することによる活性化合物の慎重な選択を伴うべきである。
【0249】
[0255]本発明の好ましい実施形態が示され、本明細書に記載されているが、そのような実施形態が、例のみの手段によって提供されることが当業者には自明である。本発明を逸脱しない範囲において、当業者は、多数の変形、変化、及び置換を思いつく。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替が、本発明の実施において採用されうることを理解されるべきである。以下の請求項は本発明の範囲を規定するものであり、この方法及び構造がこれらの請求項の範囲内であるということが意図される。
【実施例】
【0250】
[0256]本発明は、本発明の化合物の調製物を例示する以下の実施例によってさらに例証されるが、限定されない。
【0251】
実施例1
[0257]
CpGオリゴヌクレオチド。CpG−ODNを、Suzhou Ruibo Biotech Ltdによって合成した。CpG1−12は、配列が修飾された。タイプCpG2216(5’−ggGGGACGATCGTCgggggG−3’配列番号13)、BタイプCpG2006(5’−TCGTCGTTTTGTCGTTTTGTCGTT−3、配列番号14)及びCpG684(5’−TCgACgTTCgTCgTTCgTCgTTC−3’、配列番号15)、及びCタイプCpG2395(5’tcgtcgttttcggcgcgcgccg−3’、配列番号1617)を、陽性対照として使用した。GC−ODN(5’−tggccaagcttgggccccttgcaagggcc−3’配列番号18)を、陰性対照として使用した。全てのCpG−ODNを、エンドトキシン(InvivoGen、アメリカ)なしの滅菌水に溶解し、使用するまで−40℃に維持した。
【0252】
[0258]
白血球を、ヒト末梢血及び実験動物から濃縮した。ヒト末梢血から濃縮した白血球は、Changchun Blood Bank Centreから得られた。
【0253】
[0259]
マウス及び細胞株。雌性BALB/cマウス(6〜8週齢)を、Changchun Biological Products Company(中国)から購入し、全ての動物実験を、Institutional Animal Care and Use Committee at The University of Jilinよって承認されたプロトコールに従って実施した。BALB/cマウスからの脾臓細胞を、10%ウシ胎児血清(Clark、中国)及び100IU/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone、USA)を補充したRPMI−1640培地(Corning、USA)で5%CO
2を有するインキュベーターで37℃で培養した。
【0254】
[0260]
hPBMCの単離。ヒト末梢血単核球(hPBMC)を、フィコール密度勾配遠心分離を使用してヒト末梢血から単離した。簡潔に述べると、血液を、2回のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈した。希釈した血液を、1:1でフィコール(Axis−Shield、ノルウェー)上に重層にし、続いて2,800rpm、20分間、室温で、8に加速し、0に減速して勾配遠心分離した。hPBMC界面を、ピペッティングすることによって慎重に収集し、PBSで洗浄し、1,500rpmで5分間遠心分離した。得られたhPBMCを、10%ヒト血清(Equitech−Bio、USA)及び100IU/mLペニシリン及び100μg/mLストレプトマイシン(Hyclone、USA)を補充したRPMI−1640培地(Corning、USA)で5%CO
2を有するインキュベーターで37℃で培養した。
【0255】
[0261]
増殖アッセイ。細胞増殖を、カルボキシフルオレセイン二酢酸スクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイによって決定した。約細胞10
7個/mlの濃度で細胞を、1ml PBSに懸濁した。hPBMCを9μM CFSE(Invitrogen、USA)で処理し、マウス脾臓細胞を6.3μM CFSEで処理した。一度により多くの細胞で実施する場合には、それに応じてスケールアップする。細胞を暗所で7分間静置し、続いて最終容量15mlまで10%ウシ胎児血清を補充した冷RPMI−1640培地を加えた。1,500rpmで5分間の遠心分離後に、上清を取り除いた。細胞を、10%FBS、100IU/mLペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシンを有するRPMI−1640培養培地に再懸濁し、細胞5×10
5個/ウェルで96ウェルプレートに入れた。1時間後、細胞を、1μM CpG ODNで刺激した。細胞をインキュベーターで37℃、5%CO
2で6(hPBMC)又は5(マウス脾臓細胞)日間インキュベートした後、細胞を収集し、染色し、次にフローサイトメーターで分析した。
【0256】
[0262]
フローサイトメトリー分析。hPBMC及びマウス脾臓細胞をCpG ODN(1μM)の存在下又は不在下で、24時間、48時間及び6又は5日間インキュベートし、細胞をPBSに懸濁した。活性化実験に関して、24時間及び48時間刺激した細胞を以下のmAbで染色した:抗CD3、抗CD4、抗CD19、抗CD69。増殖アッセイに関して、6又は5日間刺激した細胞を、以下のmAbで染色した:抗CD3、抗CD4及び抗CD19。それぞれのAbで30分間4℃でインキュベーション後、細胞を2回PBSで洗浄し、次にLSRFortessa(商標)フローサイトメーター(BD、USA)で分析した。
【0257】
[0263]
ELISA及びCBAアッセイ。hPBMC(細胞5×10
5個/ウェル)及びマウス脾臓細胞(細胞1×10
6個/ウェル)を、96ウェルプレートに入れ、滅菌/無エンドトキシン水(InvivoGen、USA)に溶解したCpG ODNを培養した細胞に添加した。培養物の上清を、24時間及び48時間後に収集した。ELISAキットの指示に従って、培養上清中のヒトIFN−α(Mabtech、スウェーデン)、マウスIFN−α(eBioscience、オーストラリア)、マウスIL−6(Mabtech、スウェーデン)及びマウスTNF−α(Mabtech、スウェーデン)の量を測定した。簡潔に述べると、50μlの試料又は組換え標準を、50μlの混合捕獲ビーズに添加し、1時間インキュベートした。次に、50μl PE検出試薬を、さらに2時間添加した。非結合性PE検出試薬を除去するために2回洗浄した後、試料をフローサイトメーターFACSアレイ(BD)で検出し、FCAPアレイソフトウェア(BD)を使用して分析した。
【0258】
【表2】
【0259】
[0264]
ELISA及びCBAアッセイ。hPBMC(細胞5×10
5個/ウェル)及びマウス脾臓細胞(1×10
6)。表3は、CpG2が、B細胞の活性化及び増殖を効率よく誘導したことを示す。ヒトPBMC(細胞5×10
5個/ウェル)及びマウス脾臓細胞(細胞1×10
6個/ウェル)を、様々なCpG(CpG1−12)1μM、培養対照(RPMI−1640培養培地)及び陽性対照としてCpG684を含有する96ウェルプレートに接種した。24及び48時間後、細胞を収集し、抗CD3、抗CD4、抗CD19及び抗CD69で染色した。次に、フローサイトメーターによって分析を実施した(平均±SEM、n=3)。
【0260】
【表3】
【0261】
[0265]
ELISA及びCBAアッセイ。hPBMC(細胞5×10
5個/ウェル)及びマウス脾臓細胞(1×10
6)。表4は、CpGが、CD8+T細胞及びCD4+T細胞の活性化を効率よく誘導したことを示す。ヒトPBMC(細胞5×10
5個/ウェル)及びマウス脾臓細胞(細胞1×10
6個/ウェル)を、様々なCpG(CpG1−12)1μM、培養対照(RPMI−1640培養培地)及び陽性対照としてCpG684を含有する96ウェルプレートに接種した。24及び48時間後、細胞を収集し、抗CD3、抗CD4、抗CD19 及び抗CD69で染色した。次に、フローサイトメーターによって分析を実施した(平均±SEM、n=3)。
【0262】
【表4】
【0263】
実施例2
[0266]
マウスCT26結腸直腸腫瘍モデルにおけるCpG−6の有効性
[0267]
材料及び方法:全てのインビボ実験は、Pharmaron、Inc.(Beijing、中国)によって、そのInstitutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコールに従って実施された。CT26マウス結腸癌モデルは、Hemmerle T and Neri D (Int. J. Cancer 2014、
134: 467〜477)によって前に記載された。簡潔に述べると、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.、Ltd.からの6〜8週齡BALB/c雌性マウスは、それぞれ、2部位の腫瘍発生について、研究の0日又は4日に右又は左脇腹に2×10
5個又は1×10
5個のCT26腫瘍細胞を皮下に移植された。右脇腹の腫瘍が8日に明らかに触知可能であったときに、マウスを無作為に群化(n=6)し、CpG−6、GC対照(非CpG ODN対照)又はビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水)を右腫瘍(平均=104mm
3)に注射した。1日当たり1回、3日目ごとに5用量の治療を与えた。全ての動物の体重を、研究を通して3日ごとに測定した。腫瘍サイズをキャリパーで3日ごとに測定し、腫瘍体積を体積=長さ×幅
2×0.5の式を使用して推定した。全てのデータは、mm
3+SEMの平均として表される。腫瘍体積が3,000mm
3を超えた又は重篤な苦痛及び/又は疼痛の明白な徴候が観察されていた場合に、動物を二酸化炭素窒息及び頸椎脱臼によって屠殺した。
【0264】
[0268]群間の腫瘍体積における差の統計分析を、一元配置ANOVAを使用して、治療開始後15日に得られたデータで実施した;比較する群に関する全生存時間の間の差を、GraphPad Prism6ソフトウェア中のログランク(マンテル−コックス)検定を使用して分析した;p<0.05を、統計学的に有意であると考えた。
【0265】
[0269]
結果:腫瘍内CpG−6によるCT26腫瘍成長の阻害は、
図4に示される。類似する腫瘍成長曲線が、PBS−ビヒクル群及びGC−対照(2.5mg/kg)群に関して提示され、これが非−CpG−ODNとして、その陰性対照特徴を確立する(
図4B)。対照的に、腫瘍内CpG−6は、同じ用量レベルで、腫瘍成長の高度に有意な阻害を生じさせた(p<0.001)。また、CpG−6媒介性抗腫瘍効果は、用量依存性を示し、5mg/kg群は0.3mg/kg治療マウスとは有意に異なっていた(p=0.009)。類似する体重増加が、42日の研究期間の過程にわたって各六群で観察され、腫瘍内CpG−6治療の良好な耐容性を示唆している(
図4A)。
【0266】
【表5】
【0267】
[0270]CpG−6の免疫媒介性全身効果は、注射していないCT26腫瘍においても観測された(
図4C)。左脇腹の類似する腫瘍成長曲線は、右脇腹におけるPBS又はGC−対照の腫瘍内注射の際、2つの陰性対照群に存在する。そのODN対照と比較して、右脇腹腫瘍へのCpG−6の投与は、マウスの左脇腹においてCT26腫瘍成長の有意な抑制をもたらした(2.5mg/kgについてp=0.017)。5又は1mg/kg(p=0.008又は0.037)で腫瘍内CpG−6も、左腫瘍において類似する有効性を呈し、用量依存的な全身効果を示している、しかし、0.3mg/kgは呈さなかった(p=0.123)。
【0268】
【表6】
【0269】
[0271]腫瘍内CpG−6の全体的な有効性が、CT26腫瘍担持マウスの生存において呈されている(
図4D)。陰性対照として、PBS又はGC−対照群における全ての動物を、それらの拡大した腫瘍が3000mm
3を超えるかしだいで、23日までに屠殺した。比較して、腫瘍内CpG−6治療は、CT26−腫瘍を担持するマウスの有意な延命をもたらした(2.5mg/kg、p=0.0009)。一方、全て4用量のCpG−6は、PBS群に対して高度に有意な保護を示した(p=0.0009);5mg/kgと0.3mg/kg群との間に有意差(p=0.005)が存在し、CT26腫瘍担持マウスの生存における用量応答性効果を示している。
【0270】
【表7】
【0271】
実施例3
[0272]
マウスB16F10メラノーマ腫瘍モデルにおけるCpG−6の有効性
[0273]
研究課題:研究の課題は、C57BL/6マウスにおける皮下B16F10マウスメラノーマがんモデルの治療におけるCpG−6の治療効果を評価することである。
【0272】
[0274]
材料及び方法:全てのインビボ実験は、Pharmaron、Inc.(Beijing、中国)によって、そのInstitutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコールに従って実施された。B16F10マウスメラノーマモデルは、Chen S. et.al. (Cancer Immunol Res. 2015、3: 149〜60)によって前に記載された。簡潔に述べると、Beijing HFK Bioscience Co.、Ltd.からの6〜8週齡C57BL/6雌性マウスは、それぞれ、2部位の腫瘍発生について、研究の0日又は4日に右又は左脇腹に1×10
5個又は0.5×10
5個のB16F10腫瘍細胞を皮下に移植された。右脇腹の腫瘍が9日に明らかに触知可能であったときに、マウスを無作為に群化(n=6)し、CpG−6(0.3〜10mg/kg)又はビヒクル(リン酸緩衝生理食塩水)を右腫瘍(平均約85mm
3)に注射した。1日当たり1回、1日おきに5用量の治療を与えた。腫瘍サイズをキャリパーで3日ごとに測定し、腫瘍体積を体積=長さ×幅
2×0.5の式を使用して推定した。各腫瘍体積が3,000mm
3を超えた又は重篤な苦痛及び/又は疼痛の明白な徴候が観察されていた場合に、動物を二酸化炭素窒息及び頸椎脱臼によって屠殺した。
【0273】
[0275]比較する群に関する全生存時間における差の統計分析を、GraphPad Prism6ソフトウェア中のログランクマンテル−コックス検定を使用して分析した;p<0.05を、統計学的に有意であると考えた。
【0274】
[0276]
結果:腫瘍内CpG−6の治療効果を、B16F10メラノーママウスモデルにおいて評価した。全てが20日内に右脇腹に大きい腫瘍を発生したPBS−ビヒクル群と比較して;CpG−6注射腫瘍は、成長遅延の用量依存的な傾向を呈した、すなわち、10、3、及び1mg/kg群でより多くの腫瘍が、0.3mg/kg治療群よりもゆっくりと拡大した(
図5A1−A4)。研究期間の間、PBS群中の2匹のマウス(33%)も、それらの左脇腹に大きい腫瘍を発生し;一方、全CpG−6治療群中で1匹の動物(4%)のみが、注射していない脇腹に拡大した腫瘍を有していた(
図5B1−B4)。CpG−6投与の全体的な有効性が、腫瘍担持マウスの生存において実証されている(
図5C)。類似する生存曲線がPBSビヒクルとCpG−6 0.3mg/kg治療群との間で観測され、B16F10細胞接種後の29日付近で大きい腫瘍で全てのマウスが死亡し;CpG−6腫瘍内注射は10mg/kg及び3mg/kgでメラノーマを担持するマウスの生存を有意に改善(p<0.05 対PBS)したが、1mg/kgではしなかった。
【0275】
【表8】
【0276】
実施例4
[0277]
マウスTUBO乳房腫瘍モデルにおけるCpG−6及び抗neu mAbの組合せの有効性
[0278]
材料及び方法:全てのインビボ実験は、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co、Ltd. (Beijing、中国)で、そのInstitutional Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコールに従って実施された。TUBOマウス乳房モデルは、Mortenson E D et.al. (Clin. Cancer Res. 2013、19: 1476〜1486)によって前に記載された。簡潔に述べると、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.、Ltd.からの8〜10週齡Balb/c雌性マウスは、第一ラウンドでの腫瘍発生について、0日に右脇腹上部に5×10
5個のTUBO腫瘍細胞を皮下に移植された。腫瘍が11日に明らかに触知可能であったときに、マウスは、無作為に群化(表9)され、4用量について3日目ごとに1日当たり1回、腫瘍(60〜120mm
3)にCpG−6(n=24)、GC−対照(n=6)又はPBS−ビヒクル(n=6)を注射された。組合せ治療群において、抗neu mAb(Institute of Biophysics、Beijing、中国からのクローン7.16.4)は、3用量について静脈内に10mg/kg/週を投与された。
【0277】
【表9】
【0278】
[0279]53日の研究後、抗neu及びCpG−6治療マウスにおいて右上部腫瘍が辛うじて触知可能なまで縮小したときに(
<30mm
3)、第二のs.c.接種を、二群(TUBO 5×10
5/0.1mL又は4T1 1×10
5/0.1mL)に対し、それらの左脇腹に与えた。追加ナイーブマウス(雌性3〜4月齢、20〜22g)を、TUBO又は4T1接種後の腫瘍発生に対する対照として採用した(表10)。
【0279】
【表10】
【0280】
[0280]研究112日に、全てのナイーブマウスが腫瘍成長で死亡したときに、第三の腫瘍細胞接種(同様に、TUBO 5×10
5/0.1mL又は4T1 1×10
5/0.1mL)を、前にCpG−6及び抗neuで治療された全ての生存マウスの右脇腹下部付近にs.c.で送達した。もう一度、新しい一組のナイーブBALB/cマウス(雌性、6〜7月齢、24〜35g)を、TUBO又は4T1接種後の腫瘍発生に対する対照として使用した(表11)。
【0281】
【表11】
【0282】
[0281]全ての動物の体重を、研究を通して3日ごとに測定した。体重変化(%)を、BW変化(%)=(BW X日/BW 0日)×100の式を使用して計算した。腫瘍サイズをキャリパーで3日ごとに測定し、腫瘍体積を体積=長さ×幅
2×0.5の式を使用して推定した。全てのデータは、mm
3+SEMの平均として表される。各腫瘍体積が3,000mm
3を超えた又は重篤な苦痛及び/又は疼痛の明白な徴候が観察されていた場合に、動物を二酸化炭素窒息及び頸椎脱臼によって屠殺した。
【0283】
[0282]示されるように二元配置分散分析(ANOVA)又は対応のないt検定によって統計分析を実施して群間の腫瘍成長を比較した。比較する群の全生存時間の間の差を、GraphPad Prism6ソフトウェア中のログランク(マンテル−コックス)検定及びゲーハン−ブレスロウ−ウィルコクソン検定を使用して分析した;p<0.05を、統計学的に有意であると考えた。
【0284】
[0283]
結果
[0284]
第1のTUBO腫瘍移植における治療効果
[0285]抗neu及びCpG−6の組合せ治療を、TUBO乳がんモデルにおいて評価した(
図6)。4つの治療群を、マウスの右脇腹におけるTUBO細胞のs.c.接種後11日に形成した(それらの腫瘍体積が60〜120mm
3に達したとき)。抗neuはi.v.で毎週x3週間投与されたが;CpG−6又はそのGC対照はi.t.で3日ごとにx4回与えられた。そのため、全治療は、第1の接種以後24日までに完了した。
【0285】
[0286]類似する体重が、48日の研究期間の過程にわたって各四群で観察され、治療の良好な耐容性を示唆している(
図6A)。ビヒクル群中のマウスは時間の経過に伴ってサイズが増加する固形腫瘍を発生したが、抗neuの静脈内注射は腫瘍成長の有意な抑制をもたらした(p<0.0001 対PBS)。腫瘍内GC対照で同時治療するとき追加の効果は示されなかったが(
図6B)、CpG−6との組合せ治療は腫瘍成長のさらに有意な阻害が導かれた(p=0.0009 対GC対照)。
【0286】
[0287]腫瘍担持マウスを、それらの腫瘍が3000mm
3のサイズを超えたときに、屠殺し、各治療群における生存率(%)を分析した(
図6C)。全て6匹のマウスは、TUBO細胞接種40日後までにビヒクル群中で大きい腫瘍で死亡し;一方、わずかに1/3の腫瘍担持マウスが、抗neu治療群中で屠殺された(p=0.006)。1匹が技術的な事故に起因して死亡したことを除き、CpG−6での組合せ治療は、腫瘍が引き起こす死から全てのマウスを保護したが、そのGC対照はしなかった(p=0.039 対 抗neu
+GC対照)。
【0287】
【表12】
【0288】
【表13】
【0289】
[0288]
第2のTUBO腫瘍移植における治療の持続効果
[0289]新しい腫瘍形成における継続的な治療効果を評価するため、50日まで抗neu+CpG−6治療群における全ての生存したマウスは、それらの左脇腹におけるTUBO又は4T1腫瘍細胞のいずれかでのリチャレンジs.c.に関して二群に群分けされた。ナイーブマウスの一組も、第1の接種の際のTUBO又は4T1腫瘍成長に対する対照として使用した。体重、腫瘍成長及び生存データを、
図7に示す。
【0290】
[0290]四群のマウスの間の体重変化に差が示されないが(
図7A);腫瘍サイズの有意な低下が、対応するTUBO(p<0.0001)又は4T1(p=0.005)腫瘍細胞のいずれでリチャレンジ/チャレンジ後のナイーブマウスよりも抗neu+CpG−6レシピエントにおいて示された(
図7B)。主要な差は、ナイーブマウスにおける2つのタイプの腫瘍成長に見出されなかったが;抗neu+CpG−6レシピエントは、第1の4T1腫瘍移植(6/11マウス、54.5%)よりも有意(p=0.021)に第2のTUBOチャレンジ(11/12マウス、91.7%)を拒絶した。さらに、65日内に腫瘍接種で全てが死亡したナイーブマウスと比較して(
図7C)、抗neu+HP07T06−レシピエントは、第2のTUBO接種(p<0.0001)でチャレンジした左脇腹からの有意な保護をもたらしたが、第1の4T1接種(p=0.056)ではもたらさなかった。後者の二群の間の生存の差も、統計的に有意である(p=0.009)。
【0291】
【表14】
【0292】
【表15】
【0293】
[0291]
第3のTUBO腫瘍接種における組合せ治療の長期記憶効果
[0292]免疫記憶形成における治療研究を拡大するため、第2のTUBO接種後70日(すなわち、第1のTUBO接種以後120日)までの抗neu+CpG−6治療下位群における全ての生存したマウスは、それらの左脇腹に第3のTUBO又は第2の4T1腫瘍細胞のいずれかで、もう一度チャレンジs.c.された。ナイーブマウスの一組も、それらの第1の接種の際のTUBO又は4T1腫瘍成長に対する対照として使用した。体重、腫瘍成長及び生存データを、
図8に全て示す。
【0294】
[0293]四群のマウスの間の体重変化に差が呈されないが(
図8A);両方の腫瘍サイズの有意な低下が、TUBO(p<0.0001)又は4T1(p=0.006)腫瘍細胞でチャレンジ後のナイーブマウスと比較して抗neu+CpG−6レシピエントにおいて示された(
図8B)。主要な差は、ナイーブマウスにおける2つのタイプの腫瘍成長に見出されなかったが;抗neu+CpG−6レシピエントは、第2の4T1移植よりも有意(p<0.0001)に第3のTUBO腫瘍を拒絶した。さらに、45日内にいずれかの腫瘍接種で全てが死亡したナイーブマウスと比較して(
図8C)、抗neu+CpG−6レシピエントは、接種60日内で、第2の4T1(0%)よりも、第3のTUBO(83%)でチャレンジした右脇腹下部からの有意(p=0.0003)な保護をもたらした。
【0295】
【表16】
【0296】
【表17】