特表2020-516517(P2020-516517A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-516517自動車、特に自律的自動車の座席システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-516517(P2020-516517A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】自動車、特に自律的自動車の座席システム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/42 20060101AFI20200515BHJP
   B60N 2/14 20060101ALI20200515BHJP
   B60N 2/22 20060101ALI20200515BHJP
   B60N 2/02 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   B60N2/42
   B60N2/14
   B60N2/22
   B60N2/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-554591(P2019-554591)
(86)(22)【出願日】2018年4月5日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月26日
(86)【国際出願番号】EP2018058697
(87)【国際公開番号】WO2018185207
(87)【国際公開日】20181011
(31)【優先権主張番号】102017000038081
(32)【優先日】2017年4月6日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】505252296
【氏名又は名称】イタルデザイン−ジュジアーロ・ソシエタ・ペル・アチオニ
【氏名又は名称原語表記】ITALDESIGN−GIUGIARO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】バルトロメーオ・ボッキーノ
(72)【発明者】
【氏名】ダリオ・カイエロ
(72)【発明者】
【氏名】アルフレード・カスティリオーネ・モレッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンナーロ・フェッラーラ
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA07
3B087BD03
3B087BD06
3B087BD16
3B087CD04
3B087DE06
3B087DE08
(57)【要約】
座席システムは、座席が正面に面し、座席背もたれが従来の運転モードのための直立位置にある標準座席位置と、座席が標準座席位置に対して垂直軸の周りを回転され、及び/または背もたれが、標準座席位置から第1の横の水平軸の周りを回転することによって後方へリクライニングされた、少なくとも1つの非標準座席位置の間を動作可能である座席を備える。座席は、装置が自動車の衝突の場合に座席の占有者を保護することができる、操作または活動状態と、非操作または非活動状態の間を切り替えできる少なくとも1つの受動的安全装置が装備される。システムは、さらに座席の位置を検知するように配置された位置センサ手段と、標準座席位置と少なくとも1つの非標準座席位置の間の座席の位置を調整するように配置された調整手段と、操作及び非操作状態の間で少なくとも受動的安全装置を切り替えることを引き起こすように配置された活性化手段と、標準座席位置と少なくとも1つの非標準座席位置の間で座席の位置を調整するための調整手段を制御し、位置センサ手段によって検知された座席の位置に依存して、座席が標準座席位置にあるとき、少なくとも1つの受動的安全装置は、非操作状態にあり、座席が少なくとも1つの非標準座席位置にあるとき、少なくとも1つの受動的安全装置が操作状態にあるように、活性化手段を制御する電子制御ユニットと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席(10)が正面に面し、背もたれ(14)が従来の運転モードにおける直立位置にある、標準座席位置と、前記座席(10)が前記標準座席位置に対して垂直軸(z)の周りを回転され、及び/または前記背もたれ(14)が、前記標準座席位置から第1の横の水平軸(y)の周りを回転することによって、後方へリクライニングされる、少なくとも1つの非標準座席位置の間を前記座席(10)が動作可能である、前記垂直軸(z)の周りを回転可能な座席ベース(12)を備える座席(10)と、前記第1の横の水平軸(y)の周りを回転するために前記座席ベース(12)に回転可能に接続された背もたれ(14)と、を備える自動車、特に自律的自動車の座席システムであって、
前記座席(10)は、少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)が自動車の衝突の場合に、前記座席(10)の占有者を保護できる、操作または活動状態と非操作または非活動状態の間を切り替えできる、少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)が装備され、
前記システムは、さらに前記座席(10)の位置を検知するように配置された位置センサ手段と、前記標準座席位置と前記少なくとも1つの非標準座席位置の間の前記座席(10)の位置を調整するように配置された調整手段と、前記操作及び非操作状態の間の前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)の切り替えを引き起こすように配置された活性化手段と、前記標準座席位置と前記少なくとも1つの非標準座席位置の間の前記座席(10)の位置を調整するための調整手段を制御し、前記位置センサ手段によって検知された前記座席(10)の位置に依存して、前記座席(10)が前記標準座席位置にあるとき、前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は非操作状態にあり、前記座席(10)が前記少なくとも1つの非標準座席位置にあるとき、前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は、操作状態にあるように、前記活性化手段を制御するように配置された電子制御ユニットを備える、座席システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は、前記座席ベース(12)に取り付けられた第1の調整可能なサイドレスト(18)の少なくとも1組を備え、前記第1の調整可能なサイドレスト(18)は、操作状態にあるとき、衝突の場合に占有者の脚のための側面拘束を提供するように配置される、請求項1に記載の座席システム。
【請求項3】
前記第1の調整可能なサイドレスト(18)は、前記操作状態と前記非操作状態の間で、前記座席ベース(12)に対して、回転可能である請求項2に記載の座席システム。
【請求項4】
前記第1の調整可能なサイドレスト(18)は、前記操作状態と前記非操作状態の間で、前記座席ベース(12)に対して滑り可能である、請求項2に記載の座席システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は、前記背もたれ(12)に取り付けられた第2の調整可能なサイドレスト(20,20’)の少なくとも1組を備え、前記第2の調整可能なサイドレスト(20,20’)は、前記操作状態にあるとき、衝突の場合、前記占有者の胴体のための側面拘束を提供するように配置される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の座席システム。
【請求項6】
前記第2の調整可能なサイドレスト(20,20’)は、前記操作状態と前記非操作状態の間で、前記背もたれ(14)に対して回転可能である、請求項5に記載の座席システム。
【請求項7】
前記第2の調整可能なサイドレスト(20,20’)は、前記操作状態と前記非操作状態の間で、前記背もたれ(14)に対して滑り可能である、請求項5に記載の座席システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は、前記第1の横の水平軸(y)に平行な第2の横の水平軸(y’)の周りを回転可能に前記座席ベース(12)に接続されたフットレスト(22)を備え、前記フットレスト(22)は、前記操作状態にあるとき、前記占有者の足のための支持表面を提供するために、前記座席ベース(12)から前へ突き出ている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の座席システム。
【請求項9】
前記座席(10)は、第1の斜めのベルトストラップ(24)と水平ベルトストラップ(26)を有する主シートベルト拘束システム(24,26,28,30)が装備され、
前記少なくとも1つの受動的安全装置(18,20,22,32,34,36)は、前記操作状態にあるとき、前記第1の斜めのベルトストラップ(24)と交差する占有者の胴体を越えて延在する、第2の斜めのベルトストラップ(32)を有する補助シートベルト拘束システム(32,34,36)を備える、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の座席システム。
【請求項10】
前記座席(10)は、前記占有者の頭及び/または前記占有者の胸部のための一体化したエアバッグが装備され、前記エアバッグは、前記位置センサ手段によって検知された、前記座席の位置に依存して選択的に活性化されるように配置される、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の座席システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、自動車、特に必ずしもではないが、自律的自動車の座席システムに関し、座席システムは、座席が正面に面し、座席の背もたれが従来の運転モードにおける直立位置にある標準座席位置と、座席が標準座席位置に対して0から180°の角度によって垂直軸の周りを回転される、または背もたれが標準座席位置から横の水平軸の周りを回転することによって後方へリクライニングされる、少なくとも1つの非標準座席位置の間を動作可能な自動車の占有者の少なくとも1つの座席を備える。
【0002】
そのような座席システムにより、したがって、占有者が自動車を能動的に運転しなければならい場合に必要とされる位置である、標準座席位置または自動車が自律的運転モードで走行するとき許容される、非標準座席位置において、占有者は、自動車に乗ることができる。少なくとも2つの非標準座席位置が利用可能であり、1つは、垂直軸の周りの全座席の回転によって得られる(以後、「回転された非標準座席位置」という)一方、他の1つは、横の水平軸の周りの背もたれの回転によって得られる(以後、「リクライニングされた非標準座席位置」という)。もちろん、例えば1つのリクライニングされた非標準座席位置と2つの回転された(例えば、標準座席位置に対して、それぞれ、90°及び180°回転された)非標準座席位置の2つ以上の非標準座席位置があってもよい。
【0003】
既知の座席システムにおいて、座席は、例えば、座席が標準座席位置にあるときのみ、座席の占有者を適切に保護することができる3点安全ベルトなど、標準受動的安全装置が設けられる。
【発明の概要】
【0004】
座席が標準座席位置にあるときだけでなく、座席が利用可能な非標準座席位置のいずれか1つにあるときも、座席の占有者を効果的に保護することができる、上記タイプの座席システムを提供することが本発明の目的である。
【0005】
この及び他の目的は、独立請求項1に規定された座席システムの利点による本発明によって完全に達成される。
【0006】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題を形成し、その内容は、次の記載の不可欠な部分を形成することを意図されるべきである。
【0007】
要するに、本発明は、上記タイプの座席システムを提供するアイディアに基づき、座席は、座席が少なくとも1つの非標準座席位置にあるとき、座席の占有者を保護するように配置された少なくとも1つの受動的安全装置が装備され、少なくとも1つの受動的安全装置は、装置が自動車の衝突の場合に座席の占有者を保護することができる、操作または活動状態と、非操作または非活動状態の間を切り替えができ、システムは、さらに座席の現在の位置を検知するために配置されたセンサ手段と、標準座席位置と少なくとも1つの非標準座席位置の間の座席の位置を調整するように配置された調整手段と、前記操作及び非操作状態の間で、少なくとも1つの受動的安全装置の切り替えを引き起こすように配置された活性化手段と、標準座席位置と少なくとも1つの非標準座席位置の間で座席の位置を調整するための調整手段を制御し、センサ手段によって検知された座席の位置に依存して、座席が標準座席位置にあるとき、少なくとも1つの受動的安全装置は非操作状態にあり、座席が少なくとも1つの非標準座席位置にあるとき、少なくとも1つの受動的安全装置は、操作状態にあるように、活性化手段を制御するように配置された電子制御ユニットを備える。換言すると、座席が、標準座席位置から利用可能な非標準座席位置のいずれか1つに動くとき(座席の占有者が、例えば座席自身または自動車のダッシュボードに取り付けられた制御ボタンを押すことによって、電子制御ユニットに適切なコマンドを送るとき、動作は、電子制御ユニットの制御下の調整手段によって実行される)、少なくとも1つの受動的安全装置は、自動的に電子制御ユニットの制御下の活性化手段によって操作状態に切り替えられる。
【0008】
本発明による座席システムによって、したがって、座席の占有者は、座席が標準位置にあるときだけでなく、座席が標準座席位置から開始して動かされた非標準座席位置の何れか1つに、座席があるときも、自動車の衝突の場合に保護される。自動車の衝突イベントにおいて占有者の安全を大幅に改善することは、そのため現在入手可能な座席システムよりも優れて得られる。
【0009】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付された図面を参照して制限のない実施例によって純粋に得られる、次の詳細な説明から明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】標準座席位置における本発明による座席システムの一部を形成する自動車座席を概略的に示す斜視図であり、座席は、第1の受動的安全装置が設けられている。
図2】垂直軸の周りに全座席を180°回転することによって得られる回転された非標準座席位置における本発明による座席システムの一部を形成する自動車座席を概略的に示す斜視図であり、座席は、第1の受動的安全装置が設けられている。
図3】標準座席位置の図1及び2の自動車座席を概略的に示す斜視図であり、座席は、さらに第2の受動的安全装置と第3の受動的安全装置が設けられる。
図4】横の水平軸の周りの背もたれの後方への回転によって得られるリクライニングされた非標準座席位置の図1及び2の自動車座席を概略的に示す斜視図であり、座席は、さらに第2の受動的安全装置と第3の受動的安全装置が設けられる。
図5】非操作状態の第3の受動的安全装置を備える、本発明による座席システムの座席を概略的に示す、正面図である。
図6】操作状態の第3の受動的安全装置を備える、本発明による座席システムの座席を概略的に示す、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
はじめに図1及び2を参照しながら、本発明の実施形態による自動車、特に自律的自動車の座席システムは、自動車の占有者、特に運転者のための座席10を備える。
【0012】
座席10は、基本的に、座席ベース12、背もたれ14及びヘッドレスト16を備える。
【0013】
座席ベース12は、全座席10が垂直軸zの周りを回転できるように、垂直軸(zで示される)の周りを回転可能に自動車のフロアに取り付けられる。背もたれ14は、座席ベース12に対して固定される横の水平軸(yで示される)の周りを回転するために座席ベース12のその底部側において回転可能に接続される。ヘッドレスト16は、背もたれ14の上部に取り付けられ、背もたれ14に対して高さにおいて調節可能である。
【0014】
座席10は、座席10が正面に面し、背もたれ14が従来の運転モードにおける直立位置にある標準座席位置(図1)に配置される。この位置における座席10によって、座席の占有者は、ステアリングホイール、ペダル、ギアシフトレバなどを用いて自動車を運転できる。
【0015】
垂直軸zの周り及び/または水平軸yの周りの回転によって、座席10は、自動車が自律的運転モードで動作するとき、少なくとも1つの非標準位置に動かされることができる。図2において、例えば、座席10は、座席の占有者が後方に面するように、座席が標準座席位置に対して垂直軸zの周りを180°回転することによって第1の回転された非標準位置にある。第2の回転された非標準位置(図示せず)は、座席の占有者が自動車の側面(左側または右側)に向かって面するように、座席10が標準座席位置に対して90°回転して、設けられる。さらに回転した非標準座席位置は、0°から180°の角度で垂直軸zの周りに全座席10を回転することによって得られる。
【0016】
さらに座席10の非標準座席位置は、図4で示され、背もたれ14が後方へリクライニングされるように、水平軸yの周りに背もたれ14を回転することによって得られる。
【0017】
2つの上記回転動作、すなわち垂直軸zの周りの全座席10の回転動作及び水平軸yの周りの背もたれ14の回転動作、は、お互いに代わりに実行されることが好ましい。換言すると、標準位置から開始して、座席10が上で定義された第1または第2の回転された非標準座席位置に達するために垂直軸zの周りを回転するか、背もたれ14が前記リクライニングされた非標準座席位置に座席を配置するために、水平軸yの周りを回転する。これにより、座席が非標準座席位置にあるとき、標準座席位置に座席を戻すために1つの動作のみを実行すればよいので、標準座席位置に座席10を素早く戻すことを確実にする。
【0018】
とにかく、代替の実施形態において、2つの回転動作は、座席が標準座席位置に対して垂直軸zの周りに得られる角度(例えば90または180°)で回転される及び背もたれが、標準座席位置に対して水平軸yの周りに得られる角度で回転される、さらなる非標準座席位置で、座席に配置するために同時にまたは次々に実行される。
【0019】
座席10の上記回転動作は、座席システムの操作を管理する電子制御ユニット(図示せず)の制御下で、例えば、電動式調整手段など、調整手段(図で示されないが、既知のタイプである)によって実行される。使用者が、例えば、座席または自動車のダッシュボードの対応する制御ボタンを押すことによって、利用可能な非標準位置の1つを選択したとき、電子制御ユニットは、座席10が所望の非標準座席位置に到達するまで、標準座席位置から開始して、垂直軸zの周りに座席10を回転するまたは水平軸yの周りに背もたれ14を回転するために、調整手段を駆動する。
【0020】
座席10は、いつでも電子制御ユニットが座席の現在の位置について知らされるように、座席の位置を検知するように及び電子制御ユニットに対応する位置情報を送るように配置された座席位置センサ(図では図示しないが、既知のタイプである)が設けられる。
【0021】
自動車の衝突の場合に占有者を適切に保護するために、座席10は、上で描かれた非標準座席位置のいずれか1つであるとき、座席10は、以下で説明されるように、第1の受動的安全装置及び/または第2の受動的安全装置及び/または第3の受動的安全装置が設けられる。
【0022】
これらの受動的安全装置のそれぞれは、装置が自動車の衝突イベントで座席の占有者を保護する操作または活動状態と、装置が衝突の場合に座席の占有者の保護を提供しない、非操作または非活動状態の間を切り替え可能である。
【0023】
以下で詳細に説明されるように、電子制御ユニットによって制御される活性化手段は、座席が標準座席位置から非標準座席位置またはその逆に動かされるとき、自動的に非操作状態から操作状態またはその逆に受動的安全装置を切り替えるために、それぞれの受動的安全装置に関連する。
【0024】
図1及び2に示されるように、第1の受動的安全装置は、衝突の場合に占有者の脚のための側面拘束を提供する座席ベース12の2つの対向する側面(左側及び右側)に配置された第1の調整可能なサイドレスト18の少なくとも1組及び衝突の場合に占有者の胴体のための側面拘束を提供する背もたれ14の2つの対向する側面(左側及び右側)に配置された第2の調整可能なサイドレスト20の少なくとも1組(描かれた実施形態において、2組)を備える。第1のサイドレスト18及び第2のサイドレスト20の両方は、非操作状態(図1)と操作状態(図2)の間を動作可能である。
【0025】
第1及び第2のサイドレスト18及び20は、それぞれ座席ベース12及び背もたれ14と回転可能に接続されることができる。この場合において、第1の受動的安全装置の非操作状態において、第1及び第2のサイドレスト18及び20は、外側へ(図1の矢印F1によって示されるように)、すなわち座席の占有者から離れて回転される一方、第1の受動的安全装置の操作状態において、それらは、占有者がそれぞれサイドレスト18及び20の間で脚及び胴体の両方で拘束されるように、内側へ(図2の矢印F2で示されるように)、すなわち座席の占有者に向かって回転される。
【0026】
さらに、第2のサイドレスト20の外側表面を覆うカバーパネル20’は、第1の受動的安全装置が、非操作状態にあるときの後退位置(図1)と、第1の受動的安全装置が、操作状態にあるときの伸長位置(図2)の間でそれぞれの第2のサイドレスト20に対してそれぞれ滑ることができる。第1のサイドレスト18の外側表面を覆うカバーパネル(図示せず)は、また、第2のサイドレスト20に関連するカバーパネル20’のように、後退位置と伸長位置の間でそれぞれの第1のサイドレスト18に対して滑り可能である。第1及び第2のサイドレスト18及び20のカバーパネルが伸長位置にあるとき、それらは、占有者の身体、特に占有者の脚及び胴体を側面に沿って囲う外郭のようなものを形成し、それにより占有者の側面の拘束力を増す。
【0027】
第1及び第2のサイドレストは、内側及び外側に回転可能であり、第1及び第2のサイドレストのカバーパネルが後退位置と伸長位置に間を滑り可能である、配置が好ましいが、第1及び第2のサイドレスト18及び20が固定され、それらのカバーパネルのみが後退位置(非操作状態)及び伸長位置(操作状態)の間で動作可能に滑ることができることも予測される。
【0028】
第1及び第2のサイドレスト18及び20及び/または非操作状態と操作状態のそれぞれのカバーパネルの動作は、第1の受動的安全装置は、座席10が標準座席位置にあるときの非操作状態にあり、座席10が、前記された第1か第2の回転された非標準座席位置いずれかに達するように垂直軸zの周りを回転したとき操作状態に切り替えられるように、電子制御ユニットの制御下で、例えば、電動式機構など、第1の活性化手段(図示せず)によって自動的に実行される。
【0029】
これから図3及び4を参照しながら、第2の受動的安全装置は、軸yに平行な横の水平軸y’の周りに回転可能に座席ベース12に接続されたフットレスト22を備える。水平軸yの周りの回転によって、フットレスト22は、フットレスト22が後退し、それゆえ占有者の足にいかなる支持表面を提供しない非操作状態(図3)と、フットレスト22が、座席ベース12から前へ突き出て、占有者の足に支持表面を提供する操作状態(図4)の間を動作可能であり、それによりいわゆる潜り込み現象を防ぎ、または少なくとも制限する。
【0030】
非操作状態及び操作状態の間のフットレスト22の動作は、フットレスト22は、座席10が標準座席位置にあるときの非操作状態にあり、背もたれ14が、水平軸yの周りを回転したとき、すなわち、座席10がリクライニングされた非標準座席位置にあるとき、操作状態に動かされるように、電子制御ユニットの制御下で、例えば、電動式機構など、第2の活性化手段(図示せず)によって自動的に実行される。
【0031】
図面の図5及び6は、それぞれ非操作状態と操作状態にある第3の受動的安全装置を示す。第3の受動的安全装置は、従来の3点シートベルト拘束システムとして作られた主シートベルト拘束システムに加えて、補助シートベルト拘束システムを備え、第1の斜めベルトストラップ24と、水平ベルトストラップ26と、第1の斜めベルトストラップ24及び水平ベルトストラップ26の自由端に接続された第1の舌状要素28と、第1の舌状要素28が解放可能に連結できる第1のバックル30と、を含む。
【0032】
補助シートベルト拘束システムは、第2の斜めベルトストラップ32と、第2の斜めベルトストラップ32の自由端に接続された第2の舌状要素34と、第2の舌状要素34が解放可能に連結できる、第2のバックル36と、を備える。図6で見られるように、主シートベルト拘束システムが固定されるとすぐに、補助シートベルト拘束システムは、また第2のバックル36に第2の舌状要素34を連結することによって、固定され、この状態において、第2の斜めベルトストラップ32は、第1の斜めベルトストラップ24と交差する占有者の胴体を越えて延在し、それゆえ自動車の衝突の場合に、占有者の拘束、特に側面の占有者の拘束を増す。
【0033】
補助シートベルト拘束システムは、座席10が前記非標準座席位置のいずれか1つにあるとき、固定される。補助シートベルト拘束システムの固定は、自動的な手段で実行されず、占有者自身でなされなければならない。しかしながら、座席10が非標準座席位置にあるとき補助シートベルト拘束システムを固定することを占有者に促すために、(図示しないが既知のタイプの)シートベルトリマインダは、補助シートベルト拘束システムに関連し、座席10が非標準座席位置にあるとき、補助シートベルト拘束システムが固定されるまで、例えば音信号など、警告信号を出すように構成される。シートベルトリマインダの動作は、座席位置センサによって提供される位置信号によって、電子制御ユニットによって制御される。当然に、シートベルトリマインダによって、警告信号を単に作り出す代わりに、電子制御ユニットは、座席10が非標準座席位置にあるとき、補助シートベルト拘束システムが固定されるまで、例えば自動車の運転を防ぐように調整されるともできる。シートベルトリマインダは、それゆえ第3の受動的安全装置が、非操作状態(補助シートベルト拘束システムが固定されない状態に対応する)から操作状態(補助シートベルト拘束システムが適切に固定された状態に対応する)に切り替えることを引き起こす第3の受動的安全装置と関連する活性化手段として機能する。
【0034】
すでに説明されたように、座席10は、上記全ての3つの受動的安全装置が装備されることが好ましいが、それらの1つまたは2つのみを備えてもよい。
【0035】
最後に、座席10は、また座席の位置によって選択的に活性化される、一体化したエアバッグ(図示せず)、特に占有者の頭部のエアバッグ及び占有者の胸部のエアバッグが設けられることが好ましい。座席10が標準座席位置にあるとき、全ての上記エアバッグは、活性化され、それゆえ衝突の場合に、それらは占有者を保護するためにすべて膨張される。他方で、座席10が非標準座席位置の何れかにあるときのみ、頭部エアバッグは、活性化され、占有者の頭部を保護するために衝突の場合に膨張されてもよい。
【0036】
当然に、変更されないままの本発明の原理、実施形態及び構造上の詳細は、添付された請求項で定義される本発明の範囲から逸脱せずに、非限定の実施例によって純粋に説明され描かれたそれらから広く変えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】