(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-516601(P2020-516601A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】固形腫瘍を治療するためのアレナウイルス粒子
(51)【国際特許分類】
A61K 35/76 20150101AFI20200515BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20200515BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20200515BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20200515BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20200515BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20200515BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20200515BHJP
A61K 31/664 20060101ALI20200515BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20200515BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20200515BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/86 20060101ALI20200515BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/54 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/61 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/60 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20200515BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20200515BHJP
C12N 15/37 20060101ALI20200515BHJP
C07K 14/025 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
A61K35/76
A61K39/00 H
A61K39/12
A61K48/00
A61K45/00
A61K45/06
A61K39/395 D
A61K31/664
A61P35/00
A61P17/00
A61P43/00 105
C12N15/12
C12N15/86
C12N7/01
C12N15/62
C12N15/55
C12N15/54
C12N15/61
C12N15/60
C12N15/33
C07K16/28
C12N15/37
C07K14/025
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】158
(21)【出願番号】特願2019-554737(P2019-554737)
(86)(22)【出願日】2018年4月6日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月22日
(86)【国際出願番号】EP2018058900
(87)【国際公開番号】WO2018185307
(87)【国際公開日】20181011
(31)【優先権主張番号】62/483,067
(32)【優先日】2017年4月7日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】518408774
【氏名又は名称】ホオキパ バイオテック ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】クラウス オルリンジャー
(72)【発明者】
【氏名】サラ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】アーメド エル‐ガズザル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス ローランド フラッツ
(72)【発明者】
【氏名】サンドラ ステファニー リング
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA01
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4B065CA23
4B065CA24
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4C084AA19
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4C085EE03
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4C087AA03
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4C087CA12
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA30
4H045CA01
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA86
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本出願は、全体として、固形腫瘍を、例えば、腫瘍内投与によって治療するのに好適である遺伝子改変アレナウイルスに関する。本明細書に記載されるアレナウイルスは、固形腫瘍のワクチン及び/もしくは治療に並びに/又は免疫療法における使用に好適であり得る。特に、本明細書に提供されるのは、第一のアレナウイルスを、単独で又は第二のアレナウイルスを含む、別の薬剤と組み合わせて投与することにより、固形腫瘍を治療する方法及び組成物であり、ここで、該第一及び/又は第二のアレナウイルスは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むように改変されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の固形腫瘍を治療する方法であって、アレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射することを含み、ここで、該アレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、前記方法。
【請求項2】
第一のアレナウイルス粒子が、前記注射の前に、前記対象に全身投与される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第二のアレナウイルス粒子が、前記注射の後に、前記対象に全身投与される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が、少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が複製可能である、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項1〜5のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ104PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項6又は7記載の方法。
【請求項10】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記腫瘍内に直接注射されるアレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項7記載の方法。
【請求項12】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)、フニンウイルス(「JUNV」)、又はピキンデウイルス(「PICV」)に由来する、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記LCMVがWE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項12記載の方法。
【請求項17】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記腫瘍内に直接注射されるアレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項1〜21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
化学療法剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記化学療法剤がシクロホスファミドである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子及び前記化学療法剤が前記対象に同時に共投与される、請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与前に、前記対象に投与される、請求項23又は24記載の方法。
【請求項27】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与後に、前記対象に投与される、請求項23又は24記載の方法。
【請求項28】
前記対象が、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている、請求項1〜27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
免疫チェックポイントインヒビターを前記対象に投与することをさらに含む、請求項1〜28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-1抗体である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-L1抗体である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイントインヒビターが同時に共投与される、請求項29〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される、請求項29〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
前記腫瘍内に直接注射される前記アレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される、請求項29〜31のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
前記腫瘍内に直接注射されるアレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項1〜34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項35又は36記載の方法。
【請求項38】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項35又は36記載の方法。
【請求項39】
前記注射する工程が同じアレナウイルス粒子を複数回注射することを含む、請求項1〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
前記注射する工程が、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む、請求項1〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
前記注射する工程が、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む、請求項1〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項42】
前記注射する工程が、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む、請求項1〜38のいずれか一項記載の方法。
【請求項43】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項2〜42のいずれか一項記載の方法。
【請求項44】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が複製欠損性である、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項43記載の方法。
【請求項46】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項43記載の方法。
【請求項47】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項46又は47記載の方法。
【請求項49】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ104PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項46又は47記載の方法。
【請求項50】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項47記載の方法。
【請求項51】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項47又は50記載の方法。
【請求項52】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する、請求項43〜51のいずれか一項記載の方法。
【請求項53】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記LCMVがWE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である、請求項53記載の方法。
【請求項56】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項52記載の方法。
【請求項57】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項52記載の方法。
【請求項59】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項43〜59のいずれか一項記載の方法。
【請求項61】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項43〜61のいずれか一項記載の方法。
【請求項63】
化学療法剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項43〜62のいずれか一項記載の方法。
【請求項64】
前記化学療法剤がシクロホスファミドである、請求項63記載の方法。
【請求項65】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに前記化学療法剤が前記対象に同時に共投与される、請求項63又は64記載の方法。
【請求項66】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与前に、前記対象に投与される、請求項63又は64記載の方法。
【請求項67】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与後に、前記対象に投与される、請求項63又は64記載の方法。
【請求項68】
前記対象が、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている、請求項43〜67のいずれか一項記載の方法。
【請求項69】
免疫チェックポイントインヒビターを前記対象に投与することをさらに含む、請求項43〜68のいずれか一項記載の方法。
【請求項70】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-1抗体である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-L1抗体である、請求項69記載の方法。
【請求項72】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに前記免疫チェックポイントインヒビターが同時に共投与される、請求項69〜71のいずれか一項記載の方法。
【請求項73】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される、請求項69〜71のいずれか一項記載の方法。
【請求項74】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される、請求項69〜71のいずれか一項記載の方法。
【請求項75】
前記全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項43〜74のいずれか一項記載の方法。
【請求項76】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項75又は76記載の方法。
【請求項78】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項75又は76記載の方法。
【請求項79】
容器及び使用説明書を含むキットであって、該容器が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にアレナウイルス粒子を含み、ここで、該キットが固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含み、ここで、該アレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、前記キット。
【請求項80】
前記アレナウイルス粒子が、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項79記載のキット。
【請求項81】
前記アレナウイルス粒子が複製可能である、請求項79又は80記載のキット。
【請求項82】
前記アレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項79〜81のいずれか一項記載のキット。
【請求項83】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項82記載のキット。
【請求項84】
前記アレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項82又は83記載のキット。
【請求項85】
前記アレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ104PFUの前記第一又は第二のアレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項82又は83記載のキット。
【請求項86】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項83記載のキット。
【請求項87】
前記アレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項83記載のキット。
【請求項88】
前記アレナウイルス粒子が、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する、請求項79〜87のいずれか一項記載のキット。
【請求項89】
前記アレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項88記載のキット。
【請求項90】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項89記載のキット。
【請求項91】
前記LCMVがWE株由来のGPを有するクローン13株である、請求項89記載のキット。
【請求項92】
前記アレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項88記載のキット。
【請求項93】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項92記載のキット。
【請求項94】
前記アレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項88記載のキット。
【請求項95】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項94記載のキット。
【請求項96】
前記アレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項79〜95のいずれか一項記載のキット。
【請求項97】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項96記載のキット。
【請求項98】
前記アレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項79〜97のいずれか一項記載のキット。
【請求項99】
化学療法剤を含む容器をさらに含む、請求項79〜98のいずれか一項記載のキット。
【請求項100】
前記化学療法剤がシクロホスファミドである、請求項99記載のキット。
【請求項101】
前記アレナウイルス粒子及び前記化学療法剤が対象への同時投与のために製剤化される、請求項99又は100記載のキット。
【請求項102】
前記アレナウイルス粒子が該化学療法剤の投与前の対象への投与のために製剤化される、請求項99又は100記載のキット。
【請求項103】
前記アレナウイルス粒子が該化学療法剤の投与後の対象への投与のために製剤化される、請求項99又は100記載のキット。
【請求項104】
免疫チェックポイントインヒビターを含む容器をさらに含む、請求項79〜103のいずれか一項記載のキット。
【請求項105】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-1抗体である、請求項104記載のキット。
【請求項106】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-L1抗体である、請求項104記載のキット。
【請求項107】
前記アレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイントインヒビターが対象への同時投与のために製剤化される、請求項104〜106のいずれか一項記載のキット。
【請求項108】
前記アレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与前の対象への投与のために製剤化される、請求項104〜106記載のキット。
【請求項109】
前記アレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与後の対象への投与のために製剤化される、請求項104〜106記載のキット。
【請求項110】
前記アレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項79〜109のいずれか一項記載のキット。
【請求項111】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項110記載のキット。
【請求項112】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項110又は111記載のキット。
【請求項113】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項110又は111記載のキット。
【請求項114】
同じアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項79〜113のいずれか一項記載のキット。
【請求項115】
同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項79〜113のいずれか一項記載のキット。
【請求項116】
異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項79〜113のいずれか一項記載のキット。
【請求項117】
異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項79〜113のいずれか一項記載のキット。
【請求項118】
静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子をさらに含む、請求項79〜117のいずれか一項記載のキット。
【請求項119】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項118記載のキット。
【請求項120】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が複製欠損性である、請求項118又は119記載のキット。
【請求項121】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項118又は119記載のキット。
【請求項122】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項118又は119記載のキット。
【請求項123】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項122記載のキット。
【請求項124】
前記静脈内投与に好適な1以上のアレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項122又は123記載のキット。
【請求項125】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ104PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項122又は123記載のキット。
【請求項126】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項123記載のキット。
【請求項127】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項123記載のキット。
【請求項128】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する、請求項118〜127のいずれか一項記載のキット。
【請求項129】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項128記載のキット。
【請求項130】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項129記載のキット。
【請求項131】
前記LCMVがWE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である、請求項129記載のキット。
【請求項132】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項128記載のキット。
【請求項133】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項132記載のキット。
【請求項134】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項128記載のキット。
【請求項135】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項134記載のキット。
【請求項136】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項118〜135のいずれか一項記載のキット。
【請求項137】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項136記載のキット。
【請求項138】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項118〜137のいずれか一項記載のキット。
【請求項139】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項118〜138のいずれか一項記載のキット。
【請求項140】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項139記載のキット。
【請求項141】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項139又は140記載のキット。
【請求項142】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項139又は140記載のキット。
【請求項143】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子の前の注射のために製剤化される、請求項118〜142のいずれか一項記載のキット。
【請求項144】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子の後の注射のために製剤化される、請求項118〜142のいずれか一項記載のキット。
【請求項145】
前記静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子と同時の注射のために製剤化される、請求項118〜142のいずれか一項記載のキット。
【請求項146】
前記キットが静脈内投与を実施するのに好適な装置をさらに含む、請求項118〜145のいずれか一項記載のキット。
【請求項147】
前記キットが固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含む、請求項118〜146のいずれか一項記載のキット。
【請求項148】
対象の固形腫瘍を治療する方法であって:
(a)第一のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び
(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)
を含む、前記方法。
【請求項149】
前記第一及び第二のアレナウイルス粒子が前記腫瘍内に直接注射される、請求項148記載の方法。
【請求項150】
前記第一のアレナウイルス粒子が静脈内投与され、前記第二のアレナウイルス粒子が前記腫瘍内に直接注射される、請求項148記載の方法。
【請求項151】
前記第一のアレナウイルス粒子が前記腫瘍内に直接注射され、前記第二のアレナウイルス粒子が静脈内に投与される、請求項148記載の方法。
【請求項152】
前記第一のアレナウイルス粒子が、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項148〜151のいずれか一項記載の方法。
【請求項153】
前記第一のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項148〜152のいずれか一項記載の方法。
【請求項154】
前記第一のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項148〜153のいずれか一項記載の方法。
【請求項155】
前記第二のアレナウイルス粒子が:
(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
(ii)野生型位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイルスORF
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項148〜154のいずれか一項記載の方法。
【請求項156】
前記第二のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項148〜155のいずれか一項記載の方法。
【請求項157】
前記第二のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項148〜156のいずれか一項記載の方法。
【請求項158】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項154又は157記載の方法。
【請求項159】
前記第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項154、157、及び158のいずれか一項記載の方法。
【請求項160】
前記第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠如し、かつ104PFUの該第一又は該第二のアレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項154、157、及び158のいずれか一項記載の方法。
【請求項161】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項158記載の方法。
【請求項162】
前記第二のアレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項158記載の方法。
【請求項163】
前記第一のアレナウイルス粒子及び前記第二のアレナウイルス粒子が異なるアレナウイルス種に由来する、請求項148〜162のいずれか一項記載の方法。
【請求項164】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する、請求項148〜163のいずれか一項記載の方法。
【請求項165】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項164記載の方法。
【請求項166】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項165記載の方法。
【請求項167】
前記LCMVがWE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である、請求項165記載の方法。
【請求項168】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項164記載の方法。
【請求項169】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項168記載の方法。
【請求項170】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項164記載の方法。
【請求項171】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項170記載の方法。
【請求項172】
前記第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項148〜171のいずれか一項記載の方法。
【請求項173】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項172記載の方法。
【請求項174】
前記第二のアレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項148〜173のいずれか一項記載の方法。
【請求項175】
化学療法剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項148〜174のいずれか一項記載の方法。
【請求項176】
前記化学療法剤がシクロホスファミドである、請求項175記載の方法。
【請求項177】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに前記化学療法剤が、前記対象に同時に共投与される、請求項175又は176記載の方法。
【請求項178】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与前に、前記対象に投与される、請求項175又は176記載の方法。
【請求項179】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、前記化学療法剤の投与後に、前記対象に投与される、請求項175又は176記載の方法。
【請求項180】
前記対象が、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている、請求項148〜179のいずれか一項記載の方法。
【請求項181】
免疫チェックポイントインヒビターを前記対象に投与することをさらに含む、請求項148〜180のいずれか一項記載の方法。
【請求項182】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-1抗体である、請求項181記載の方法。
【請求項183】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-L1抗体である、請求項181記載の方法。
【請求項184】
前記第一又は第二のアレナウイルス粒子及び前記免疫チェックポイントインヒビターが同時に共投与される、請求項181〜183のいずれか一項記載の方法。
【請求項185】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される、請求項181〜183のいずれか一項記載の方法。
【請求項186】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される、請求項181〜183のいずれか一項記載の方法。
【請求項187】
前記第二のアレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項148〜186のいずれか一項記載の方法。
【請求項188】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項187記載の方法。
【請求項189】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項187又は188記載の方法。
【請求項190】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項187又は188記載の方法。
【請求項191】
前記第一及び第二のアレナウイルス粒子が同時に注射される、請求項148〜190のいずれか一項記載の方法。
【請求項192】
前記第一及び第二のアレナウイルス粒子が同じ組成物又は製剤の部分である、請求項191記載の方法。
【請求項193】
前記第一のアレナウイルス粒子が前記第二のアレナウイルス粒子の前に注射される、請求項148〜190のいずれか一項記載の方法。
【請求項194】
前記第一のアレナウイルス粒子が前記第二のアレナウイルス粒子の後に注射される、請求項148〜190のいずれか一項記載の方法。
【請求項195】
前記第一のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が同じアレナウイルス粒子を複数回投与することを含む、請求項148〜194のいずれか一項記載の方法。
【請求項196】
前記第一のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が異なるアレナウイルスに由来する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む、請求項148〜194のいずれか一項記載の方法。
【請求項197】
前記第二のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が同じアレナウイルス粒子を複数回投与することを含む、請求項148〜196のいずれか一項記載の方法。
【請求項198】
前記第二のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む、請求項148〜196のいずれか一項記載の方法。
【請求項199】
前記第二のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む、請求項148〜196のいずれか一項記載の方法。
【請求項200】
前記第二のアレナウイルス粒子を投与する前記工程が、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む、請求項148〜196のいずれか一項記載の方法。
【請求項201】
2以上の容器と使用説明書とを含むキットであって、該容器のうちの1つが固形腫瘍内への直接注射に好適な又は静脈内投与に好適な医薬組成物中の第一のアレナウイルス粒子を含み、該容器のうちの別のものが固形腫瘍内への直接注射に好適な又は静脈内投与に好適な医薬組成物中の第二のアレナウイルス粒子を含み、ここで、該第一のアレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現せず、かつ該第二のアレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、前記キット。
【請求項202】
前記第一及び第二のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にある、請求項201記載のキット。
【請求項203】
前記第一のアレナウイルス粒子が静脈内投与に好適な医薬組成物中にあり、前記第二のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にある、請求項201記載のキット。
【請求項204】
前記第一のアレナウイルス粒子が固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にあり、前記第二のアレナウイルス粒子が静脈内投与に好適な医薬組成物中にある、請求項201記載のキット。
【請求項205】
前記第一のアレナウイルス粒子が、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項201〜204のいずれか一項記載のキット。
【請求項206】
前記第一のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項201〜205のいずれか一項記載のキット。
【請求項207】
前記第一のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項201〜206のいずれか一項記載のキット。
【請求項208】
前記第二のアレナウイルス粒子が:
(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び
(ii)野生型位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイルスORF
を含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている、請求項201〜207のいずれか一項記載のキット。
【請求項209】
前記第二のアレナウイルス粒子が複製可能である、請求項201〜208のいずれか一項記載のキット。
【請求項210】
前記第二のアレナウイルス粒子のゲノムが3セグメント型である、請求項201〜209のいずれか一項記載のキット。
【請求項211】
前記3セグメント型ゲノムが1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む、請求項207又は210記載のキット。
【請求項212】
前記第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項207、210、及び211のいずれか一項記載のキット。
【請求項213】
前記第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖が、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ104PFUの該第一又は第二のアレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない、請求項207、210、及び211のいずれか一項記載のキット。
【請求項214】
前記2つのSセグメントのうちの1つが、GPをコードするORFがアレナウイルス3’UTRの制御下にあるSセグメントである、請求項211記載のキット。
【請求項215】
前記第二のアレナウイルス粒子が:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む、請求項210記載のキット。
【請求項216】
前記第一のアレナウイルス粒子及び前記第二のアレナウイルス粒子が異なるアレナウイルス種に由来する、請求項201〜215のいずれか一項記載のキット。
【請求項217】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する、請求項201〜216のいずれか一項記載のキット。
【請求項218】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がLCMVに由来する、請求項217記載のキット。
【請求項219】
前記LCMVが、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である、請求項218記載のキット。
【請求項220】
前記LCMVがWE株由来のGPを有するクローン13株である、請求項218記載のキット。
【請求項221】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がJUNVに由来する、請求項217記載のキット。
【請求項222】
前記JUNVが、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である、請求項221記載のキット。
【請求項223】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子がPICVに由来する、請求項217記載のキット。
【請求項224】
前記PICVが、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である、請求項223記載のキット。
【請求項225】
前記第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される、請求項201〜224のいずれか一項記載のキット。
【請求項226】
前記腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原が、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される、請求項225記載のキット。
【請求項227】
前記第二のアレナウイルス粒子が、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、請求項201〜226のいずれか一項記載のキット。
【請求項228】
化学療法剤を含む容器をさらに含む、請求項201〜227のいずれか一項記載のキット。
【請求項229】
前記化学療法剤がシクロホスファミドである、請求項228記載のキット。
【請求項230】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに前記化学療法剤が対象への同時投与のために製剤化される、請求項228又は229記載のキット。
【請求項231】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記化学療法剤の投与前の対象への投与のために製剤化される、請求項228又は229記載のキット。
【請求項232】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記化学療法剤の投与後の対象への投与のために製剤化される、請求項228又は229記載のキット。
【請求項233】
免疫チェックポイントインヒビターを含む容器をさらに含む、請求項201〜232のいずれか一項記載のキット。
【請求項234】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-1抗体である、請求項233記載のキット。
【請求項235】
前記免疫チェックポイントインヒビターが抗PD-L1抗体である、請求項233記載のキット。
【請求項236】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに前記免疫チェックポイントインヒビターが対象への同時投与のために製剤化される、請求項233〜235記載のキット。
【請求項237】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与前の対象への投与のために製剤化される、請求項233〜235記載のキット。
【請求項238】
前記第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が前記免疫チェックポイントインヒビターの投与後の対象への投与のために製剤化される、請求項233〜235記載のキット。
【請求項239】
前記第二のアレナウイルス粒子が第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む、請求項201〜238のいずれか一項記載のキット。
【請求項240】
前記第一のヌクレオチド配列が第二のHPV抗原をさらにコードする、請求項239記載のキット。
【請求項241】
前記第一のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される、請求項239又は240記載のキット。
【請求項242】
前記第一及び前記第二のHPV抗原が:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片,
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原が同じではない、請求項239又は240記載のキット。
【請求項243】
前記第一及び第二のアレナウイルス粒子が前記固形腫瘍内への直接的な同時注射のために製剤化される、請求項201〜242のいずれか一項記載のキット。
【請求項244】
前記第一のアレナウイルス粒子が前記第二のアレナウイルス粒子の前の注射のために製剤化される、請求項201〜242のいずれか一項記載のキット。
【請求項245】
前記第一のアレナウイルス粒子が前記第二のアレナウイルス粒子の後の注射のために製剤化される、請求項201〜242のいずれか一項記載のキット。
【請求項246】
前記キットが静脈内投与を実施するのに好適な装置をさらに含む、請求項201〜245のいずれか一項記載のキット。
【請求項247】
前記キットが固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含む、請求項201〜246のいずれか一項記載のキット。
【請求項248】
同じ第一のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜247のいずれか一項記載のキット。
【請求項249】
異なるアレナウイルスに由来する複数の第一のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜247のいずれか一項記載のキット。
【請求項250】
同じ第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜249のいずれか一項記載のキット。
【請求項251】
同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜249のいずれか一項記載のキット。
【請求項252】
異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜249のいずれか一項記載のキット。
【請求項253】
異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む、請求項201〜249のいずれか一項記載のキット。
【請求項254】
前記LCMVがHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なLCMVベクターである、請求項1〜78又は148〜200のいずれか一項記載の方法。
【請求項255】
前記LCMVが
図7に示されるゲノム構造を有する、請求項1〜78、148〜200、又は254のいずれか一項記載の方法。
【請求項256】
前記PICVがHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なPICVベクターである、請求項1〜78又は148〜200のいずれか一項記載の方法。
【請求項257】
前記PICVが
図7に示されるゲノム構造を有する、請求項1〜78、148〜200、又は256のいずれか一項記載の方法。
【請求項258】
前記アレナウイルスが(WO/2016/075250号に記載されている)r3LCMVartificial(art)コンストラクトである、請求項1〜78又は148〜200のいずれか一項記載の方法。
【請求項259】
前記アレナウイルスが(WO/2017/0198726号に記載されている)r3PICVartificial(art)コンストラクトである、請求項1〜78又は148〜200のいずれか一項記載の方法。
【請求項260】
前記LCMVがHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なLCMVベクターである、請求項79〜147又は201〜253のいずれか一項記載のキット。
【請求項261】
前記LCMVが
図7に示されるゲノム構造を有する、請求項79〜147、201〜253、又は260のいずれか一項記載のキット。
【請求項262】
前記PICVがHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なPICVベクターである、請求項79〜147又は201〜253のいずれか一項記載のキット。
【請求項263】
前記PICVが
図7に示されるゲノム構造を有する、請求項79〜147、201〜253、又は262のいずれか一項記載のキット。
【請求項264】
前記アレナウイルス粒子が(WO/2016/075250号に記載されている)r3LCMVartificial(art)コンストラクトである、請求項79〜147、201〜253、又は260〜261のいずれか一項記載のキット。
【請求項265】
前記アレナウイルス粒子が(WO/2017/0198726号に記載されている)r3PICVartificial(art)コンストラクトである、請求項79〜147、201〜253、又は262〜263のいずれか一項記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、引用により完全に本明細書中に組み込まれる、2017年4月7日に出願された米国仮出願第62/483,067号の優先権の恩典を主張する。
【0002】
(1.序論)
本出願は、全体として、固形腫瘍を、例えば、腫瘍内投与によって治療するのに好適である遺伝子改変アレナウイルスに関する。本明細書に記載されるアレナウイルスは、固形腫瘍のワクチン及び/もしくは治療に並びに/又は免疫療法での使用に好適であり得る。特に、本明細書に提供されるのは、第一のアレナウイルスを、単独で又は第二のアレナウイルスを含む、別の薬剤と組み合わせて投与することにより、固形腫瘍を治療する方法及び組成物であり、ここで、該第一及び/又は第二のアレナウイルスは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むように改変されている。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
対象となる外来遺伝子を発現する組換えマイナス鎖RNAウイルスの作製が長い間追求されている。最近、感染性アレナウイルス粒子は、感染細胞でその遺伝物質を増幅し、それを発現する能力を有するが、遺伝子改変されていない正常細胞ではさらなる子孫を産生することができないゲノムを含有するように改変することができることが示された(すなわち、感染性複製欠損性アレナウイルス粒子)(国際公開:WO 2009/083210 A1号及び国際公開:WO 2014/140301 A1号)。
【0004】
最近公開された国際公開:WO 2016/075250 A1号は、アレナウイルスゲノムセグメントを改変して、そのオープンリーディングフレーム(「ORF」)の再配列を有する3セグメント型アレナウイルス粒子であって、該アレナウイルスゲノムセグメントがウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持し、複製可能な2セグメント型アレナウイルス粒子へと組み換わらない1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む、3セグメント型アレナウイルス粒子を形成するように改変することができることを示している。
【0005】
固形腫瘍の治療選択肢は、外科手術及び化学療法という従来の選択肢の域を超えて増加し続けているが、副作用を最小限に抑えながら、固形腫瘍をより効果的に治療するために、より優れた治療選択肢が必要とされている。ウイルスの抗癌剤としての潜在能力は、数十年前に分かった。とりわけ、腫瘍溶解性ウイルスは、最近、治療アプローチとして再考されている。
【0006】
細胞培養物では通常、非細胞溶解性であるが、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、フニンウイルス(一次分離株及び弱毒化ワクチン株)、アマパリウイルス、タカリベウイルス、並びにタミアミウイルスなどのアレナウイルスもまた、様々なモデルで抗腫瘍効果を示すことが昔から示されている(Kellyらの文献、Mol Ther. 2007 Apr;15(4):651-9; Molomutらの文献、Nature. 1965 Dec 4;208(5014):948-50; Molomutらの文献、Cancer Immunol Immunother. 1984;17(1):56-61; Rankinらの文献、Cancer Biol Ther. 2003 Nov-Dec;2(6):687-93; Schadlerらの文献、Cancer Res. 2014 Apr 15;74(8):2171-81; Mettlerらの文献、Infect Immun. 1982 Jul;37(1):23-7)。さらに、最近の報告により、治療的に投与されたアレナウイルスが癌細胞で複製することができ、局所免疫応答を増強することにより、腫瘍退縮を誘導することが強調されている(Kalkavanらの文献、Nat. Commun. 2017 Mar 1;8:14447)。
【0007】
しかしながら、有望なデータにも関わらず、既存のアプローチは、とりわけ、進行癌の治療において、有効性に関して明白な限界を示す。さらに、ある種のウイルスは、腫瘍溶解剤として使用した場合にリスクを必然的に伴う。具体的には、免疫不全患者において、無制御なウイルス複製は、生命を脅かす疾患を潜在的に含む、重大な副作用の可能性を有する。それゆえ、副作用のリスクを最小限に抑えながら、理想的には、特異的免疫に基づいて、より効果的かつ持続的な腫瘍制御を達成するために、新しくかつより優れた治療選択肢が緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
(3.発明の概要)
本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するための方法及び組成物である。また本明細書に提供されるのは、第一のアレナウイルス粒子及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む第二のアレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するための方法及び組成物である。
【0009】
本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子及び注射装置を含むキットである。また、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、第一及び第二のアレナウイルス粒子を含むキットであって、該第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、キットである。
【0010】
(3.1 アレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療する方法)
本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、アレナウイルス粒子を腫瘍内に直接(すなわち、腫瘍内)注射することを含み、ここで、該アレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、方法である。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は3セグメント型である。具体的な実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ10
4PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。
【0011】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。より具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。具体的な実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。より具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、PICVに由来する。より具体的な実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0012】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0013】
ある実施態様において、本明細書における方法は、化学療法剤を該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子及び該化学療法剤は、該対象に同時に共投与される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前に、該対象に投与される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後に、該対象に投与される。
【0014】
ある実施態様において、該対象は、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、該対象の固形腫瘍を治癒させ、それを予防し、その発生を遅延させ、又はその発生を予防する方法である。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、該対象の黒色腫を治癒させ、それを予防し、その発生を遅延させ、又はその発生を予防する方法である。
【0015】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法は、免疫チェックポイントインヒビターを該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子及び該免疫チェックポイントインヒビターは、同時に共投与される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される。
【0016】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。具体的な実施態様において、該第一のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該第一及び該第二のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0017】
ある実施態様において、該方法は、第一のアレナウイルス粒子を注射すること、及び一定期間後、第二のアレナウイルス粒子を注射することを含む。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は同一である。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は同一ではない。ある実施態様において、該方法は、該アレナウイルス粒子を、2、3、4、又は5回注射することを含む。
【0018】
ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子の注射と第二のアレナウイルス粒子の注射の間の期間は、限定されないが、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、又は20日を含む、21日未満である。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子の注射と第二のアレナウイルス粒子の注射の間の期間は、限定されないが、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、60日、70日、80日、90日、又は100日を含む、21日超である。
【0019】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該注射する工程は、同じアレナウイルス粒子を複数回注射することを含む。本明細書に提供される方法のある実施態様において、該注射する工程は、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む。本明細書に提供される方法のある実施態様において、該注射する工程は、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む。本明細書に提供される方法のある実施態様において、該注射する工程は、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子を注射することを含む。本明細書に提供される方法のある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子は、該注射する工程の前に、対象に全身投与される。本明細書に提供される方法のある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子は、該注射する工程の後に、対象に全身投与される。
【0020】
ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は複製欠損性である。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。具体的な実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。具体的な実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じない。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ10
4PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。
【0021】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。具体的な実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、PICVに由来する。具体的な実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0022】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0023】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該方法は、化学療法剤を該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子及び該化学療法剤は、該対象に同時に共投与される。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前に、該対象に投与される。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後に、該対象に投与される。ある実施態様において、該対象は、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0024】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該方法は、免疫チェックポイントインヒビターを該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子及び該免疫チェックポイントインヒビターは、同時に共投与される。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される。ある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される。
【0025】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該全身投与される第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。具体的な実施態様において、該第一のHPV抗原は:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該全身投与される第一及び第二のHPV抗原は:
(v)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(vi)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(vii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(viii)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0026】
(3.2 アレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するためのキット)
本明細書に提供されるのは、容器及び使用説明書を含むキットであり、ここで、該容器は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中のアレナウイルス粒子を含み、ここで、該キットは、固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含み、ここで、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は3セグメント型である。具体的な実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ10
4PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。
【0027】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。より具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。具体的な実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。より具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、PICVに由来する。より具体的な実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0028】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0029】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、化学療法剤を含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子及び該化学療法剤は、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0030】
ある実施態様において、該対象は、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0031】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、免疫チェックポイントインヒビターを含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子及び該免疫チェックポイントインヒビターは、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0032】
本明細書に提供されるキットのある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。具体的な実施態様において、該第一及び該第二のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0033】
ある実施態様において、該キットは、第一のアレナウイルス粒子を注射すること、及び一定期間後、第二のアレナウイルス粒子を注射することを含む。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は同一である。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は同一ではない。ある実施態様において、該方法は、該アレナウイルス粒子を、2、3、4、又は5回注射することを含む。
【0034】
ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子の注射と第二のアレナウイルス粒子の注射の間の期間は、限定されないが、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、又は20日を含む、21日未満である。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子の注射と第二のアレナウイルス粒子の注射の間の期間は、限定されないが、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、32日、33日、34日、35日、36日、37日、38日、39日、40日、41日、42日、43日、44日、45日、46日、47日、48日、49日、50日、60日、70日、80日、90日、又は100日を含む、21日超である。
【0035】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、化学療法剤を含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに該化学療法剤は、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0036】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、免疫チェックポイントインヒビターを含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに該免疫チェックポイントインヒビターは、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0037】
本明細書に提供されるキットのある実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。具体的な実施態様において、該第一のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該第一及び該第二のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv) HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0038】
本明細書に提供されるキットのある実施態様において、該キットは、同じアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、該キットは、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、該キットは、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、該キットは、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。
【0039】
本明細書に提供されるキットのある実施態様において、該キットは、静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子をさらに含む。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスORFを該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は複製欠損性である。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、複製可能である。
【0040】
ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。ある実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。ある実施態様において、静脈内投与に好適な該1以上のアレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ10
4PFUの該アレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。ある実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。
【0041】
ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、LCMV、JUNV、又はPICVに由来する。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。ある実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。ある実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。ある実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、PICVに由来する。ある実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0042】
ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、HPV E6、HPV E7、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0043】
ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。ある実施態様において、該第一のHPV抗原は:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択される。
【0044】
ある実施態様において、該第一及び該第二のHPV抗原は:
(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;
(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;
(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び
(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片
からなる群から選択され、ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0045】
ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子の前の注射のために製剤化される。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子の後の注射のために製剤化される。ある実施態様において、該静脈内投与に好適な医薬組成物中の1以上のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中の該アレナウイルス粒子と同時の注射のために製剤化される。ある実施態様において、該キットは、静脈内投与を実施するのに好適な装置をさらに含む。ある実施態様において、該キットは、固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含む。
【0046】
(3.3 第一及び第二のアレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するための方法)
本明細書に提供されるのは、(a)第一のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む固形腫瘍を治療する方法である。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、該腫瘍内に直接注射される。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は静脈内投与され、該第二のアレナウイルス粒子は該腫瘍内に直接注射される。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は該腫瘍内に直接注射され、該第二のアレナウイルス粒子は静脈内に投与される。
【0047】
ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)野生型位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイルスORFを含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。具体的な実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠如し、かつ10
4PFUの該第一又は第二のアレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子及び該第二のアレナウイルス粒子は、異なるアレナウイルス種に由来する。
【0048】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法の第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)、フニンウイルス(「JUNV」)、又はピキンデウイルス(「PICV」)に由来する。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。より具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。より具体的な実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。より具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、PICVに由来する。より具体的な実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0049】
ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0050】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、化学療法剤を該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子及び該化学療法剤は、該対象に同時に共投与される。具体的な実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前に、該対象に投与される。具体的な実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後に、該対象に投与される。
【0051】
ある実施態様において、該対象は、黒色腫を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0052】
ある実施態様において、本明細書に提供される方法は、免疫チェックポイントインヒビターを該対象に投与することをさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子及び該免疫チェックポイントインヒビターは、同時に共投与される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前に投与される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後に投与される。
【0053】
ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。ある実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。ある実施態様において、該第一のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択される。ある実施態様において、該第一及び第二のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択され;ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0054】
ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、同時に注射される。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、同じ組成物の部分である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、該第二のアレナウイルス粒子の前に注射される。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、該第二のアレナウイルス粒子の後に注射される。
【0055】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、同じアレナウイルス粒子を複数回投与することを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、異なるアレナウイルスに由来する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む。
【0056】
本明細書に提供される方法のある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、同じアレナウイルス粒子を複数回投与することを含む。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子を投与する該工程は、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子を投与することを含む。
【0057】
(3.4 第一及び第二のアレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するためのキット)
本明細書に提供されるのは、2以上の容器と使用説明書とを含むキットであって、該容器のうちの1つが固形腫瘍内への直接注射に好適な又は静脈内投与に好適な医薬組成物中の第一のアレナウイルス粒子を含み、該容器のうちの別のものが固形腫瘍内への直接注射に好適な又は静脈内投与に好適な医薬組成物中の第二のアレナウイルス粒子を含み、ここで、該第一のアレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現せず、かつ該第二のアレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、キットである。ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にある。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、静脈内投与に好適な医薬組成物中にあり、該第二のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にある。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接注射に好適な医薬組成物中にあり、該第二のアレナウイルス粒子は、静脈内投与に好適な医薬組成物中にある。
【0058】
ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)を該ORFの野生型位置以外の位置に含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;及び(ii)野生型位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイルスORFを含むアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は複製可能である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子のゲノムは3セグメント型である。具体的な実施態様において、該3セグメント型ゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及びRAG1を欠如し、かつ10
4PFUの該第一又は第二のアレナウイルス粒子に感染しているマウスにおける持続性感染の70日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、該2つのSセグメントのうちの1つは、GPをコードするORFがアレナウイルス3'UTRの制御下にあるSセグメントである。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は:(i)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を各々コードする1つもしくは2つのヌクレオチド配列;又は(ii)1つもしくは2つの重複したアレナウイルスORF;又は(iii)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする1つのヌクレオチド配列及び1つの重複したアレナウイルスORFを含む、2つのSセグメントを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子及び該第二のアレナウイルス粒子は、異なるアレナウイルス種に由来する。
【0059】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法の該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(「LCMV」)、フニンウイルス(「JUNV」)、又はピキンデウイルス(「PICV」)に由来する。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、LCMVに由来する。より具体的な実施態様において、該LCMVは、MP株、WE株、アームストロング株、又はアームストロングクローン13株である。より具体的な実施態様において、該LCMVは、WE株由来の糖タンパク質(GP)を有するクローン13株である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、JUNVに由来する。より具体的な実施態様において、該JUNVは、JUNVワクチンCandid #1株、又はJUNVワクチンXJクローン3株である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、PICVに由来する。より具体的な実施態様において、該PICVは、Munchique CoAn4763分離株P18という株、又はP2株である。
【0060】
ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、HPV16 E7タンパク質とHPV16 E6タンパク質の人工的融合タンパク質、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1からなる群から選択される。具体的な実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、GP100、TRP1、及びTRP2からなる群から選択される。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、又はそれより多くの腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0061】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、化学療法剤を含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドである。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに該化学療法剤は、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該化学療法剤の投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0062】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、免疫チェックポイントインヒビターを含む容器をさらに含む。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。具体的な実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-L1抗体である。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子並びに該免疫チェックポイントインヒビターは、対象への同時投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与前の対象への投与のために製剤化される。具体的な実施態様において、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子は、該免疫チェックポイントインヒビターの投与後の対象への投与のために製剤化される。
【0063】
ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、第一のヒトパピローマウイルス(HPV)抗原をコードする第一のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。ある実施態様において、該第一のヌクレオチド配列は、第二のHPV抗原をさらにコードする。ある実施態様において、該第一のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択される。ある実施態様において、該第一及び該第二のHPV抗原は:(i)HPV16タンパク質E6又はその抗原性断片;(ii)HPV16タンパク質E7又はその抗原性断片;(iii)HPV18タンパク質E6又はその抗原性断片;及び(iv)HPV18タンパク質E7又はその抗原性断片からなる群から選択され;ここで、該第一及び該第二の抗原は同じではない。
【0064】
ある実施態様において、該第一及び第二のアレナウイルス粒子は、固形腫瘍内への直接的な同時注射のために製剤化される。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、該第二のアレナウイルス粒子の前の注射のために製剤化される。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、該第二のアレナウイルス粒子の後の注射のために製剤化される。
【0065】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、静脈内投与を実施するのに好適な装置をさらに含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、固形腫瘍内への直接注射を実施するのに好適な注射装置をさらに含む。
【0066】
ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、同じ第一のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、異なるアレナウイルスに由来する複数の第一のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、同じ第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、同じアレナウイルスに由来するが、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、異なるアレナウイルスに由来するが、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。ある実施態様において、本明細書に記載されるキットは、異なるアレナウイルスに由来し、かつ異なる同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する複数の第二のアレナウイルス粒子を含む複数の容器を含む。
(3.5 慣例及び略語)
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0067】
(4.図面の簡単な説明)
【
図1】2セグメント型及び3セグメント型LCMVのゲノム編成の模式図。野生型LCMVの2セグメント型ゲノムは、GP及びNPをコードする1つのSセグメント並びにZタンパク質及びLタンパク質をコードする1つのLセグメントからなる(i)。両方のセグメントは、それぞれの5'及び3'UTRに隣接している。組換え3セグメント型LCMV(r3LCMV)のゲノムは、1つのLセグメントと、対象となる遺伝子(ここでは、GFP、これは、代わりに、本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片であることができる)をSセグメントの1つ1つに挿入すべき1つの位置を有する2つのSセグメントとからなる。r3LCMV-GFP
natural(nat)が、その天然の位置に全てのウイルス遺伝子を有するのに対し(ii)、r3LCMV-GFP
artificial(art)中のGP ORFは、人為的に3'UTRに並置され、かつその制御下で発現される(iii)。
【0068】
【
図2】腫瘍内又は全身投与後の、それぞれ、r3LCMV-E7E6及びr3LCMV-GFPの抗腫瘍効果の比較。(A)実施例2に記載されている実験デザインの模式図。(B)腫瘍移植後の腫瘍増殖。(C)表示された群の全生存を示すログ-ランク・カプラン-マイヤープロット。
****統計的に有意(P<0.0001)。腫瘍体積を式V=0.5L×W
2(式中、L(長さ)及びW(幅)は、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である)に従って計算した。各々の群の測定値は、1群当たり>50%のマウスが屠殺されたところまでプロットに含まれる。統計的有意差(
*P<0.05、
**P<0.005)を、二元配置ANOVAにより32日目まで、対照群(バッファー又はr3LCMV-GFP)の腫瘍体積をr3LCMV-E7E6処置群と比較することにより決定した。有意差を、二元配置ANOVAにより、r3LCMV-E7E6の静脈内(i.v.)投与と腫瘍内(i.t.)投与の間で、40、42、44、46、及び48日の時点でも観察した。
【
図3】(i)腫瘍内又は全身投与後の、それぞれ、r3PICV-E7E6及びr3PICV-GFP、(ii)r3LCMV-E7E6及びr3PICV-E7E6並びにそのそれぞれの野生型ウイルス対応物、並びに(iii)r3LCMV-E7E6及びr3PICV-E7E6を用いた初回免疫-追加免疫の組合せの抗腫瘍効果の比較。(A)実施例4に記載されている実験デザインの模式図。(B)腫瘍移植後の腫瘍増殖。皮下腫瘍増殖を、腫瘍接種後4日目に始めて2日毎にモニタリングした。直径〜20mmの最終的な腫瘍サイズに達したときに、動物を屠殺した。腫瘍体積を式V=0.5L×W
2(式中、L(長さ)及びW(幅)は、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である)に従って計算した(規定の臨床徴候(例えば、腫瘍の潰瘍形成又は重度の体重減少)を有する一部の腫瘍担持マウスは、動物福祉規則に準拠して、最終的な腫瘍サイズに達する前に屠殺されなければならなかった)。各々の群の測定値は、1群当たり>50%のマウスが屠殺されたところまでプロットに含まれる。(C)ログ-ランク・カプラン-マイヤープロットによって示される表示された群の全生存。
【0069】
【
図4】腫瘍担持マウスにおける黒色腫抗原Trp2を発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、すなわち、r3LCMV-Trp2の全身投与と比較した腫瘍内投与の抗腫瘍効果を、実施例6に記載されているように、B16F10マウス黒色腫モデルで評価した。(A)腫瘍移植後の腫瘍増殖及び(B)動物生存を経時的にモニタリングした。r3LCMV-Trp2で腫瘍内免疫した生存マウスは、注射部位で自己免疫関連色素脱失を発症し(
図4(C)、赤色の矢印)、抗メラニン細胞指向性CD8+ T細胞応答の強い誘導を示した。
【0070】
【
図5】実施例6の長期生存マウス、すなわち、B16F10腫瘍が治癒したマウスは、腫瘍特異的免疫防御を獲得し、B16F10黒色腫細胞の再移植から防御された。
【0071】
【
図6】無関係なレポーター抗原発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター(すなわち、r3LCMV-GFP)又は黒色腫抗原Trp2発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター(すなわち、r3LCMV-Trp2)のいずれかの腫瘍内投与後の抗腫瘍効果を、実施例7に記載されているように、B16F10マウス黒色腫モデルの腫瘍担持マウスで比較した。r3LCMV-GFP及びr3LCMV-Trp2の腫瘍内投与は、未処置の対象動物と比較して腫瘍増殖を遅延させた。しかしながら、初期の遅延増殖の後、r3LCMV-GFPで処置されたマウスの腫瘍は、再度、対照群で観察された増殖速度と同程度の増殖速度で増大した。対照的に、r3LCMV-Trp2で処置されたマウスは、r3LCMV-GFP又は対照群と比較して、明瞭かつ持続的な腫瘍進行の低下を示した。
【0072】
【
図7】2セグメント型及び3セグメント型リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)及びピキンデウイルス(PICV)のゲノム編成の模式図。野生型LCMV及びPICVの2セグメント型ゲノムは、GP及びNPをコードする1つのSセグメント並びにZタンパク質及びLタンパク質をコードする1つのLセグメントからなる。両方のセグメントは、それぞれの5'及び3'UTRに隣接している。組換え3セグメント型LCMV(r3LCMV)及び組換え3セグメント型PICV(r3PICV)のゲノムは、1つのLセグメントと、対象となる遺伝子(ここでは、GFP、HPV16 E7E6、Trp2、又はその代わりに、本明細書に記載される任意の他の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片であることができる)をSセグメントの1つ1つに挿入すべき1つの位置を有する2つのSセグメントとからなる。全ての場合において、GP ORFは、人為的に3'UTRに並置され、かつその制御下で発現される。
【発明を実施するための形態】
【0073】
(5.発明の詳細な説明)
本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子を腫瘍内に直接(すなわち、腫瘍内)注射することにより、該アレナウイルス粒子を用いて固形腫瘍を治療するための方法及び組成物である。そのような方法は、同じ又は異なるアレナウイルス粒子を、全身に、例えば、静脈内に投与することをさらに含み得る。また本明細書に提供されるのは、第一のアレナウイルス粒子及び第二のアレナウイルス粒子を用いて、固形腫瘍を治療するための方法及び組成物であって、該第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含み、ここで、該第一及び/又は第二のアレナウイルス粒子が腫瘍内に直接注射される、方法及び組成物である。
【0074】
本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子及び注射装置を含むキットである。また、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、第一及び第二のアレナウイルス粒子を含むキットであって、該第二のアレナウイルス粒子が、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、キットである。
【0075】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子は、固形腫瘍を治療するための免疫療法として使用することができる。そのような固形腫瘍は、新生物性疾患、例えば、癌の結果であり得る。「新生物性」又は「新生物」という用語は、細胞又は組織の異常な新しい増殖を指す。この異常な新しい増殖は、腫瘍又は新生物形成としても知られる塊を形成することができる。新生物には、良性新生物、上皮内新生物、悪性新生物、及び挙動が不確定又は不明の新生物が含まれる。
【0076】
本明細書に提供されるのは、固形腫瘍の治療のための組合せ治療である。具体的には、そのような組合せ治療は、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベクターを、任意に、外来抗原をコードするヌクレオチド配列を含まないアレナウイルス粒子又はウイルスベクターと組み合わせて投与することを含む。ある実施態様において、該外来抗原をコードするヌクレオチド配列を含まないアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該外来抗原をコードするヌクレオチド配列を含まないアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、UTRがIGRに直接融合されているヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該外来抗原をコードするヌクレオチド配列を含まないアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、GFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該外来抗原をコードするヌクレオチド配列を含まないアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、非相同な非コード配列を含むヌクレオチドを含む。腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に提供されるアレナウイルスの詳細な説明は、第5.1節、第5.2節、及び第5.3節に見出すことができる。非天然位置にオープンリーディングフレームを含むアレナウイルスは、第5.1節に記載されている。3セグメント型アレナウイルスは、第5.2節に記載されている。本方法及び組成物とともに使用することができる腫瘍抗原は、第5.3節に見出すことができる。さらに、本明細書に記載される方法及び組成物において使用するためのアレナウイルス粒子又はウイルスベクターの作製方法は、第5.4節に詳細に記載されている。
【0077】
アレナウイルス粒子又はウイルスベクターを対象に投与することに加えて、本明細書に提供される固形腫瘍を治療するための免疫療法は、化学療法剤を含むことができる。「化学療法剤」は細胞傷害性抗癌剤であり、細胞内でのその活性様式によって、例えば、それらがどの段階で細胞周期に影響を及ぼすかということによって分類することができる(例えば、有糸分裂阻害剤)。或いは、化学療法剤は、DNAを架橋する能力、DNAにインターカレートする能力、又は核酸合成に影響を及ぼすことにより染色体異常を誘発する能力(例えば、アルキル化剤)、とりわけ、作用機序に基づいて分類することができる。化学療法剤は、化学的な成分又は構造に基づいて分類することもできる(例えば、白金系治療剤)。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベクター及び化学療法剤を用いて、固形腫瘍を治療するための方法及び組成物である。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベクター及び化学療法剤を用いて、固形腫瘍を治療するための方法である。また、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子又はウイルスベクター及び化学療法剤を含む組成物である。ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とORFの野生型位置以外の位置にある少なくとも1つのアレナウイルスオープンリーディングフレーム(「ORF」)とを有するアレナウイルスゲノムセグメントを含有するように改変されている。ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、複製可能である3セグメント型アレナウイルス粒子又はウイルスベクターである。さらに他の実施態様において、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子又はウイルスベクターは、増幅したときに、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じない。本明細書に提供されるアレナウイルス粒子又はウイルスベクター及び化学療法剤を使用するための方法及び組成物は、第5.6節及び第5.7節でより詳細に記載されている。
【0078】
アレナウイルス粒子又はウイルスベクターを、対象に、化学療法剤とともに又は化学療法剤なしで投与することに加えて、本明細書に提供される固形腫瘍を治療するための免疫療法は、免疫チェックポイントモジュレーターも含むことができる。「免疫チェックポイントモジュレーター」(「チェックポイントモジュレーター」又は「チェックポイントレギュレーター」とも呼ばれる)という用語は、1以上のチェックポイント分子の機能を調節する(例えば、全体的に又は部分的に低下させるか、阻害するか、妨害するか、活性化するか、刺激するか、増大させるか、補強するか、又は支持する)分子又は化合物を指す。したがって、免疫チェックポイントモジュレーターは、免疫チェックポイントインヒビター又は免疫チェックポイントアクチベーターであり得る。
【0079】
「免疫チェックポイントインヒビター」は、負のチェックポイントレギュレーターの活性を阻害するか、減少させるか、又は妨害する分子を指す。ある実施態様において、本明細書に開示される方法及び組成物とともに使用するための免疫チェックポイントインヒビターは、負のチェックポイントレギュレーターの活性を直接阻害するか、又は負のチェックポイントレギュレーターの発現を減少させるか、又は負のチェックポイントレギュレーターと結合パートナー(例えば、リガンド)の相互作用を妨害することができる。本明細書に開示される方法及び組成物とともに使用するための免疫チェックポイントインヒビターには、負のチェックポイントレギュレーターの発現を標的とするタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗体、抗体断片、又は抑制性RNA分子が含まれる。
【0080】
「負のチェックポイントレギュレーター」は、リガンド又はカウンター受容体によるそのエンゲージメントの後のT細胞への負のシグナルの送達によって、免疫応答(例えば、T細胞活性化)を下方調節する分子を指す。負のチェックポイントレギュレーターの例示的な機能は、不釣り合いな免疫活性化を妨げること、付随的な傷害を最小限に抑えること、及び/又は末梢自己寛容を維持することである。ある実施態様において、負のチェックポイントレギュレーターは、抗原提示細胞によって発現されるリガンド又は受容体である。ある実施態様において、負のチェックポイントレギュレーターは、T細胞によって発現されるリガンド又は受容体である。ある実施態様において、負のチェックポイントレギュレーターは、抗原提示細胞とT細胞の両方によって発現されるリガンド又は受容体である。
【0081】
(5.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有するアレナウイルス)
ある実施態様において、そのORFの再配列及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルスは、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。ある実施態様において、そのようなアレナウイルスは複製可能であり、かつ感染性である。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスゲノムセグメントであって、それぞれの遺伝子が、ORFのLCMV-MPなどの野外から単離されたウイルスに見られる位置(本明細書においては「野生型位置」と呼ばれる)以外の位置(すなわち、非天然位置)にあるアレナウイルスORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されている、アレナウイルスゲノムセグメントである。
【0082】
ある実施態様において、そのORFの再配列及び外来抗原をコードしないヌクレオチド配列は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。ある実施態様において、そのようなアレナウイルスは複製可能であり、かつ感染性である。したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、アレナウイルスゲノムセグメントであって、それぞれの遺伝子が、ORFのLCMV-MPなどの野外から単離されたウイルスに見られる位置(本明細書においては「野生型位置」と呼ばれる)以外の位置(すなわち、非天然位置)にあるアレナウイルスORFを担持するように改変されている、アレナウイルスゲノムセグメントである。ある実施態様において、そのORFの再配列及び外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を有する該アレナウイルス粒子は、欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチドを含む。具体的な実施態様において、そのORFの再配列及び外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を有する該アレナウイルス粒子は、非翻訳領域(UTR)が遺伝子間領域(IGR)に直接融合しているヌクレオチドを含む。ある実施態様において、そのORFの再配列及び外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を有する該アレナウイルス粒子は、GFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、そのORFの再配列及び外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を有する該アレナウイルス粒子は、非相同な非コード配列を含むヌクレオチドを含む。
【0083】
ある実施態様において、本明細書に提供されるコンストラクトは、人為的に3'UTRに並置され、かつその制御下で発現されるGP ORFを有することができる。ある実施態様において、WO/2016/075250号に記載されているアレナウイルスを使用することができ、これは、本明細書において、r3LCMV-GFP
artificial(art)と呼ばれる。ある実施態様において、WO/2017/0198726号に記載されているアレナウイルスを使用することができ、これは、本明細書において、r3PICV-GFP
artificial(art)と呼ばれる。
【0084】
野生型アレナウイルスゲノムセグメント及びORFは、当技術分野で公知である。特に、該アレナウイルスゲノムは、Sセグメント及びLセグメントからなる。該Sセグメントは、GP及びNPをコードするORFを担持する。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。両方のセグメントは、それぞれの5'UTR及び3'UTRに隣接している。
【0085】
ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型位置以外の位置に2以上のアレナウイルスORFを担持するように改変することができる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、野生型位置以外の位置に2つのアレナウイルスORF、又は3つのアレナウイルスORF、又は4つのアレナウイルスORFを担持するように改変することができる。
【0086】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルスゲノムセグメントは:
(i)NPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(ii)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(vii)GPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(viii)NPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(ix)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(x)GPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;
(xi)NPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント;及び
(xii)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスLセグメント
であることができる。
【0087】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレナウイルスの5'UTRの制御下にあることができる。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、Lセグメントの5'UTRである。
【0088】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメント(5'-及び3'-末端の19〜20-nt領域)の制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、2003, J Virol. 77(2): 1184-1194を参照)。
【0089】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、5'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。別の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、3'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該5'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、該3'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである。
【0090】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの非天然位置にあるORFは、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイルスの5'UTRの制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、2003, J Virol. 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの5'UTRである。
【0091】
また本明細書に提供されるのは、アレナウイルス粒子がSセグメント及びLセグメントを含むように、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されている第一のゲノムセグメントと第二のアレナウイルスゲノムセグメントとを含むアレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFは、アレナウイルスORFのうちの1つである。
【0092】
ある具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFの完全な相補体を含むことができる。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルスゲノムセグメントは、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されている。別の具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルスゲノムセグメントは、野生型ゲノムセグメントであることができる(すなわち、野生型位置に該セグメント上のORFを含む)。
【0093】
ある実施態様において、該第一のアレナウイルスゲノムセグメントはLセグメントであり、該第二のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントである。他の実施態様において、該第一のアレナウイルスゲノムセグメントはSセグメントであり、該第二のアレナウイルスゲノムセグメントはLセグメントである。
【0094】
ORFの野生型位置以外の位置にORFを有するゲノムセグメントと第二のゲノムセグメントとを含むアレナウイルス粒子の非限定的な例を表1に示す。
(表1)
アレナウイルス粒子
*位置1は、アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置2は、アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置3は、アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置4は、アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
【表2】
【0095】
また本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載されているアレナウイルスゲノムのcDNA又はcDNAのセットである。
【0096】
ある実施態様において、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されているアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントの産生を促進するDNA発現ベクターの一部であるか、又は該DNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA又は核酸及び発現系のより詳細な説明は、第5.5節に提供されている。cDNAの産生のための技法は、分子生物学並びにDNAの操作及び産生の日常的かつ従来的な技法である。当業者に公知の任意のクローニング技法を使用することができる。そのような技法は周知であり、Sambrook及びRussellの文献、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y.(2001)などの実験室マニュアルで当業者に利用可能である。
【0097】
ある実施態様において、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されているアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAは、宿主細胞に導入(例えば、トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置(すなわち、該ゲノムセグメントのcDNA)以外の位置にあるORFを担持するように改変されているアレナウイルスゲノムセグメントのcDNA及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれる本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントは、宿主細胞に導入される。
【0098】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントを産生する方法であって、該アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを転写することを含む、方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボでのアレナウイルスゲノムセグメントの転写中に存在することができる。
【0099】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを用いて行われる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを用いて行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献、2013, J Gen Virol., 94(Pt 6): 1175-1188を参照)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ、挿入されたアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2つの末端へと読み取るポリメラーゼIプロモーターとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。さらにより具体的な実施態様において、pol-I及びpol-IIプロモーターを有する二方向性発現カセットは、両側からLセグメント及びSセグメントへと読み取る。
【0100】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写は、プロモーターを含む。プロモーターの具体的な例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
【0101】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを産生する方法は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを宿主細胞に導入することをさらに含むことができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントを産生する方法は、宿主細胞に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを導入すること(ここで、該宿主細胞は、該アレナウイルスゲノムセグメントの産生のための他の全ての構成要素を発現する);及び該宿主細胞の上清から該アレナウイルスゲノムセグメントを精製することをさらに含むことができる。そのような方法は、当業者に周知である。
【0102】
本明細書に提供されるのは、細胞株、培養物、並びに本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系、及び細胞株のより詳細な説明は、第5.5節に提供されている。
【0103】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能なアレナウイルス粒子を生じる。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は弱毒化されている。特定の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、ウイルスが、少なくとも部分的には、拡大することができる状態のままであり、インビボで複製することができるが、非病原性である無症状レベルの感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化されている。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。本明細書に提供されるのは、第5.7節に記載される非天然位置にあるORFを有するアレナウイルスを含む免疫原性組成物である。
【0104】
(5.1.1 非天然位置にオープンリーディングフレームを有する複製欠陥性アレナウイルス粒子)
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有する複製欠陥性(例えば、複製欠損性)アレナウイルス粒子は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される複製欠陥性アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される複製欠陥性アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用され、ここで、該複製可能なアレナウイルス粒子は、対象の腫瘍内に直接注射される。
【0105】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFがORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができないように、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されているアレナウイルス粒子である。1以上のORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含むアレナウイルス粒子は、相補細胞(すなわち、欠失しているか又は機能的に不活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞)で産生されることができる。得られるアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に、遺伝物質を発現し、それを増幅することができる宿主細胞に移されることができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、アレナウイルス粒子以外の生物由来の非相同ORFをコードすることができる。
【0106】
ある実施態様において、該アレナウイルスのORFは欠失しているか又は機能的に不活化され、本明細書に記載される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。具体的な実施態様において、該アレナウイルスの糖タンパク質GPをコードするORFは欠失しているか又は機能的に不活化されている。ある実施態様において、遺伝子の機能的不活化は、任意の翻訳産物を消失させる。ある実施態様において、機能的不活化は、ある程度の翻訳を可能にする遺伝子変化を指すが、翻訳産物は、もはや機能的でなく、野生型タンパク質に取って代わることができない。
【0107】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又少なくとも4つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられることができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つだけが除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFが除去されている。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFが除去されている。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFが除去されている。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFが除去されている。
【0108】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、(i)非天然位置にORFを担持するように改変され;(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され;(iii)除去されるORFが、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられているゲノムセグメントを含む。
【0109】
ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ロバ、又はヒト)で抗体免疫応答を誘発することができる(ここで、得られる抗体は、新生物性細胞(例えば、癌細胞)の中もしくは表面で発現される免疫原性タンパク質に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的なT細胞免疫応答を誘発することができるとき、抗原性である。
【0110】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、8〜100ヌクレオチド長、15〜100ヌクレオチド長、25〜100ヌクレオチド長、50〜200ヌクレオチド長、50〜400ヌクレオチド長、200〜500ヌクレオチド長、又は400〜600ヌクレオチド長、500〜800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、750〜900ヌクレオチド長、800〜100ヌクレオチド長、850〜1000ヌクレオチド長、900〜1200ヌクレオチド長、1000〜1200ヌクレオチド長、1000〜1500ヌクレオチドもしくは10〜1500ヌクレオチド長、1500〜2000ヌクレオチド長、1700〜2000ヌクレオチド長、2000〜2300ヌクレオチド長、2200〜2500ヌクレオチド長、2500〜3000ヌクレオチド長、3000〜3200ヌクレオチド長、3000〜3500ヌクレオチド長、3200〜3600ヌクレオチド長、3300〜3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長〜4400ヌクレオチド長、4200〜4700ヌクレオチド長、4800〜5000ヌクレオチド長、5000〜5200ヌクレオチド長、5200〜5500ヌクレオチド長、5500〜5800ヌクレオチド長、5800〜6000ヌクレオチド長、6000〜6400ヌクレオチド長、6200〜6800ヌクレオチド長、6600〜7000ヌクレオチド長、7000〜7200ヌクレオチド長、7200〜7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、5〜10アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、25〜50アミノ酸長、50〜100アミノ酸長、100〜150アミノ酸長、150〜200アミノ酸長、200〜250アミノ酸長、250〜300アミノ酸長、300〜400アミノ酸長、400〜500アミノ酸長、500〜750アミノ酸長、750〜1000アミノ酸長、1000〜1250アミノ酸長、1250〜1500アミノ酸長、1500〜1750アミノ酸長、1750〜2000アミノ酸長、2000〜2500アミノ酸長、又は2500アミノ酸長以上であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含有しない。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成、又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技法は当技術分野で公知であり、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を最適化するために適用することができる。
【0111】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖及び感染力は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に影響されない。
【0112】
当業者に公知の技法を用いて、野生型位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子を産生することができる。例えば、リバースジェネティクスの技法を用いて、そのようなアレナウイルス粒子を作製することができる。他の実施態様において、複製欠陥性アレナウイルス粒子(すなわち、アレナウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントであって、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失している、アレナウイルスゲノムセグメント)は、相補細胞で産生することができる。
【0113】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子又はアレナウイルスゲノムセグメントは、少なくとも1つの免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含む。ある実施態様において、該免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)もしくはその断片;ユビキチンもしくはその断片;顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もしくはその断片;インバリアント鎖(CD74)もしくはその抗原性断片;結核菌熱ショックタンパク質70もしくはその抗原性断片;単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22もしくはその抗原性断片;CD40リガンドもしくはその抗原性断片;又はFms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドもしくはその抗原性断片である。
【0114】
ある実施態様において、本出願に従って使用されるアレナウイルスゲノムセグメント又はアレナウイルス粒子は、旧世界ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、もしくはイッピーウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパリウイルス、フレクサルウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキャニオンウイルス、もしくはホワイトウォーターアロヨウイルスであることができる。
【0115】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、ワクチンとしての使用に好適であり、そのようなアレナウイルス粒子を、新生物性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療において使用する方法が提供される。本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.6節に提供されている。
【0116】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は、医薬組成物としての使用に好適であり、そのようなアレナウイルス粒子を、新生物性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療において使用する方法が提供される。本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。
【0117】
(5.2 3セグメント型アレナウイルス粒子)
例示的な3セグメント型アレナウイルス粒子は、例えば、引用により完全に本明細書中に組み込まれる国際特許出願公開WO 2016/075250号に記載されている。
【0118】
ある実施態様において、そのORFの再配列及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有する3セグメント型アレナウイルス粒子は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、複製可能な2セグメント型アレナウイルス粒子に組み換わらない。より具体的には、ある実施態様において、該ゲノムセグメントのうちの2つ(例えば、それぞれ、2つのSセグメント又は2つのLセグメント)は、2つの親セグメントに取って代わり得る単一のウイルスセグメントを生じるように組み換わることができない。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるORF及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを含む。さらに別の具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFを含む。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は複製可能であり、かつ感染性である。他の実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つのアレナウイルスORFのうちの1つを欠いている。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を産生することができない。
【0119】
ある実施態様において、外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を含むそのORFの再配列を有する3セグメント型アレナウイルス粒子は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるORF及び欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるORF及び非翻訳領域(UTR)が遺伝子間領域(IGR)に直接融合しているヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるORF及びGFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるORF及び非相同な非コード配列を含むヌクレオチド配列を含む。さらに別の具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFを含む。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は複製可能であり、かつ感染性である。他の実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つのアレナウイルスORFのうちの1つを欠いている。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は感染性であるが、非相補細胞ではさらなる感染性子孫を産生することができない。
【0120】
ある実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの3'UTR又はアレナウイルスの5'UTRの制御下にあることができる。より具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルスの3'UTRは、アレナウイルスSセグメントの3'UTRである。別の具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルスの3'UTRは、3セグメント型アレナウイルスLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルスの5'UTRは、アレナウイルスSセグメントの5'UTRである。他の具体的な実施態様において、該5'UTRは、該Lセグメントの5'UTRである。
【0121】
他の実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFは、アレナウイルスの保存された末端配列エレメント(5'-及び3'-末端の19〜20-nt領域)の制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献, 2003, J Virol. 77(2): 1184-1194を参照)。
【0122】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、5'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。別の実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFは、3'UTRのプロモーターエレメントの制御下にあることができる(例えば、Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該5'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの5'UTRプロモーターエレメントである。別の具体的な実施態様において、該3'UTRのプロモーターエレメントは、Sセグメント又はLセグメントの3'UTRプロモーターエレメントである。
【0123】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子のGP、NP、Zタンパク質又はLタンパク質をコードするORFは、切断型アレナウイルスの3'UTR又は切断型アレナウイルスの5'UTRの制御下にあることができる(例えば、Perez及びde la Torreの文献、2003, J Virol. 77(2): 1184-1194; Albarinoらの文献、2011, J Virol., 85(8):4020-4を参照)。より具体的な実施態様において、該切断型3'UTRは、該アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの3'UTRである。より具体的な実施態様において、該切断型5'UTRは、該アレナウイルスSセグメント又はLセグメントの5'UTRである。
【0124】
また本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAである。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表2又は表3に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子をコードするDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。
【0125】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルスゲノムをコードする核酸は、1以上のDNA発現ベクターの一部であるか、又は1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムをコードする核酸は、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子の産生を促進する1以上のDNA発現ベクターの一部であるか、又は該1以上のDNA発現ベクターに組み込まれている。別の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、プラスミドに組み込むことができる。cDNA及び発現系のより詳細な説明は、第5.5節に提供されている。cDNAの産生のための技法、並びに当業者に公知の任意のクローニング技法を含む分子生物学並びにDNA操作及び産生の日常的かつ従来的な技法を使用することができる。そのような技法は周知であり、Sambrook及びRussellの文献、「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A laboratory Manual)」、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory N.Y.(2001)などの実験室マニュアルで当業者に利用可能である。
【0126】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルスのcDNAは、宿主細胞に導入(例えば、トランスフェクト)される。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、該3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNA(すなわち、該3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノムセグメントのcDNA)及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載されるcDNAは、DNA発現ベクターの一部であるか、又はDNA発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入することができる。したがって、いくつかの実施態様において、本明細書に提供されるのは、ベクターに組み込まれる本明細書に記載されるcDNAを含む宿主細胞である。他の実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルスゲノムセグメント(すなわち、単数もしくは複数のLセグメント及び/又は単数もしくは複数のSセグメント)は、宿主細胞に導入される。
【0127】
ある実施態様において、本明細書に記載されるのは、該3セグメント型アレナウイルス粒子を産生する方法であって、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAを転写することを含む、方法である。ある実施態様において、ウイルスポリメラーゼタンパク質は、インビトロ又はインビボでの該3セグメント型アレナウイルス粒子の転写中に存在することができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性プロモーターを用いて行われる。
【0128】
他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントの転写は、二方向性発現カセットを用いて行われる(例えば、Ortiz-Rianoらの文献、2013, J Gen Virol., 94(Pt 6): 1175-1188を参照)。より具体的な実施態様において、該二方向性発現カセットは、それぞれ、挿入されたアレナウイルスゲノムセグメントの両側から2つの末端へと読み取るポリメラーゼIプロモーターとポリメラーゼIIプロモーターの両方を含む。
【0129】
他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAの転写は、プロモーターを含む。プロモーターの具体的な例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
【0130】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子を産生する方法は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAを宿主細胞に導入することをさらに含むことができる。ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子を産生する方法は、宿主細胞に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAを導入すること(ここで、該宿主細胞は、3セグメント型アレナウイルス粒子の産生のための他の全ての構成要素を発現する);及び該宿主細胞の上清から該3セグメント型アレナウイルス粒子を精製することをさらに含むことができる。そのような方法は、当業者に周知である。
【0131】
本明細書に提供されるのは、細胞株、培養物、並びに本明細書に提供される核酸、ベクター、及び組成物に感染した細胞を培養する方法である。本明細書に記載される核酸、ベクター系、及び細胞株のより詳細な説明は、第5.5節に提供されている。
【0132】
ある実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子は、感染性複製可能アレナウイルス粒子を生じる。具体的な実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子は弱毒化されている。特定の実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、ウイルスが、少なくとも部分的には、複製可能な状態のままであり、インビボで複製することができるが、非病原性である無症状レベルの感染をもたらす低いウイルス負荷しか発生させることができないように弱毒化されている。そのような弱毒化ウイルスは、免疫原性組成物として使用することができる。
【0133】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、該2セグメント型アレナウイルス粒子と同じ向性を有する。
【0134】
また本明細書に提供されるのは、第5.6節及び第5.7節に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子を含む組成物である。
【0135】
(5.2.1 1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子)
一態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子(RAG1)を欠如し、かつ10
4PFUの3セグメント型アレナウイルス粒子に感染しているマウス(第5.8.14節を参照)における持続性感染の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、又は少なくとも100日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、少なくとも10継代、少なくとも20継代、少なくとも30継代、少なくとも40継代、又は少なくとも50継代後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。
【0136】
全てのウイルス遺伝子をそれぞれの野生型位置に有する3セグメント型アレナウイルス粒子は、当技術分野で公知である(例えば、Emonetらの文献、2011 J. Virol., 85(4):1473; Popkinらの文献、2011, J. Virol, 85(15):7928)。特に、該3セグメント型アレナウイルスゲノムは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントからなり、ここで、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、各々のSセグメント上の1つの位置に挿入されている。より具体的には、1つのSセグメントは、それぞれ、GP及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする。他のSセグメントは、それぞれ、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片及びNPをコードする。該Lセグメントは、Lタンパク質及びZタンパク質をコードする。全てのセグメントは、それぞれ、5'UTR及び3'UTRに隣接している。
【0137】
ある実施態様において、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントのセグメント間組換えであって、2つのアレナウイルスORFを、2つの別々のセグメント上にではなく、1つのセグメント上にまとめる、セグメント間組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造: 5'UTR-----------5'UTR又は3'UTR------------3'UTRのゲノムセグメント)を生じさせ、ここで、該ゲノムの一方の末端を形成する各々のUTRは、同じゲノムのもう一方の末端の逆方向反復配列である。
【0138】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されている。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、2つのアレナウイルスORF又は3つのアレナウイルスORF又は4つのアレナウイルスORF又は5つのアレナウイルスORF又は6つのアレナウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように改変されている。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFの完全な相補体を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能な3セグメント型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのSセグメントは、そのORFのうちの1つを野生型位置以外の位置に担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのSセグメントは、SセグメントのORFの完全な相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Lセグメントは、ORFを野生型位置以外の位置に担持するように改変されているか、又は該Lセグメントは、野生型ゲノムセグメントであることができる。
【0139】
ある実施態様において、2つのSセグメントのうちの1つは:
(i)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iii)NPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(iv)GPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
(v)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;及び
(vi)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるアレナウイルスSセグメント;
であることができる。
【0140】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型SセグメントのORF、例えば、GP又はNP)を含むことができる。具体的な実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、1つの重複ORF(例えば、(GP、GP))又は2つの重複ORF(例えば、(GP、GP)及び(NP、NP))を含むことができる。
【0141】
下の表2Aは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノム編成を示したものであり、ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
(表2A)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子
位置1はアレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表3】
【0142】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。例えば、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子(ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている))。
【0143】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子中のSセグメントとLセグメントのセグメント間組換えは、2つのウイルス遺伝子を、2つの別々のセグメント上にではなく、ただ1つのセグメント上に有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子中のSセグメントとLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。
【0144】
下の表2Bは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノム編成を示したものであり、ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中の1つのSセグメントと1つのLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
(表2B)
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子
位置1はアレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表4】
【0145】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。例えば、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子(ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中の2つのSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組換えSセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRで構成されている))。
【0146】
ある実施態様において、当業者であれば、表2A又は2Bに示され、かつ本明細書に記載される編成を有するアレナウイルスゲノムを構築し、その後、第5.8節に記載されるアッセイを用いて、該3セグメント型アレナウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせないかどうかを決定することができるであろう。
【0147】
(5.2.2 2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子)
一態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)を欠如し、かつ10
4PFUの3セグメント型アレナウイルス粒子に感染しているマウス(第5.8.14節を参照)における持続性の少なくとも10日、少なくとも20日、少なくとも30日、少なくとも40日、又は少なくとも50日、少なくとも60日、少なくとも70日、少なくとも80日、少なくとも90日、少なくとも100日後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子の増殖は、少なくとも10継代、20継代、30継代、40継代、又は50継代後に、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。
【0148】
ある実施態様において、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのLセグメントのセグメント間組換えであって、2つのアレナウイルスORFを、2つの別々のセグメント上にではなく、1つのセグメント上にまとめるセグメント間組換えは、非機能的なプロモーター(すなわち、構造: 5'UTR------------5'UTR又は3'UTR------------3'UTRのゲノムセグメント)を生じさせ、ここで、該ゲノムの一方の末端を形成する各々のUTRは、同じゲノムのもう一方の末端の逆方向反復配列である。
【0149】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、ORFの野生型位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されている。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、2つのアレナウイルスORF又は3つのアレナウイルスORF又は4つのアレナウイルスORF又は5つのアレナウイルスORF又は6つのアレナウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように改変されている。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、4つ全てのアレナウイルスORFの完全な相補体を含む。したがって、いくつかの実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、感染性かつ複製可能な3セグメント型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子の2つのLセグメントは、そのORFのうちの1つを野生型位置以外の位置に担持するように改変されている。より具体的な実施態様において、2つのLセグメントは、LセグメントのORFの完全な相補体を含む。ある具体的な実施態様において、該Sセグメントは、そのORFのうちの1つを野生型位置以外の位置に担持するように改変されているか、又は該Sセグメントは、野生型ゲノムセグメントであることができる。
【0150】
ある実施態様において、2つのLセグメントのうちの1つは:
(i)GPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(i)NPをコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(ii)Lタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの5'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iii)GPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;
(iv)NPをコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント;及び
(v)Zタンパク質をコードするORFがアレナウイルスの3'UTRの制御下にあるLセグメント
であることができる。
【0151】
ある実施態様において、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、重複ORF(すなわち、2つの野生型LセグメントのORF、例えば、Zタンパク質又はLタンパク質)を含むことができる。具体的な実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、1つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質))又は2つの重複ORF(例えば、(Zタンパク質、Zタンパク質)及び(Lタンパク質、Lタンパク質))を含むことができる。
【0152】
下の表3は、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノム編成を示したものであり、ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中の2つのLセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、該Sセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。表3に基づいて、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの5'UTRから構成されたアレナウイルス粒子を作製するために、同様の組合せを予測することができるであろう。
(表3)
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子
*位置1アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置2アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置3アレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置4アレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置5アレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置6アレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表5】
【0153】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。
【0154】
ある実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子由来のLセグメントとSセグメントのセグメント間組換えは、2つのウイルス遺伝子を、2つの別々のセグメント上にではなく、ただ1つのセグメントの上に有する機能的セグメントを復元する。他の実施態様において、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子中のLセグメントとSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせない。
【0155】
下の表3Bは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子のゲノム編成を示したものであり、ここで、該3セグメント型アレナウイルスゲノム中のLセグメントとSセグメントのセグメント間組換えは、複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせず、アレナウイルスプロモーター活性を無効にする(すなわち、得られる組換えセグメントは、3'UTR及び5'UTRの代わりに、2つの3'UTRから構成されている)。
(表3B)
2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子
*位置1はアレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置2はアレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置3はアレナウイルスLセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置4はアレナウイルスLセグメントの3'UTRの制御下にあり;位置5はアレナウイルスSセグメントの5'UTRの制御下にあり;位置6はアレナウイルスSセグメントの3'UTRの制御下にある。
*ORFは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列が挿入されていることを示す。
【表6】
【0156】
ある実施態様において、位置1と位置2と間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスSセグメント又はLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができる。具体的な実施態様において、位置1と位置2の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができ;位置2と位置3の間のIGRは、アレナウイルスLセグメントのIGRであることができ;位置5及び位置6の間のIGRは、アレナウイルスSセグメントのIGRであることができる。ある実施態様において、他の組合せも可能である。
【0157】
ある実施態様において、当業者であれば、表3A又は3Bに示され、かつ本明細書に記載される編成を有するアレナウイルスゲノムを構築し、その後、第5.8節に記載されるアッセイを用いて、該3セグメント型アレナウイルス粒子が遺伝的に安定であるかどうか、すなわち、本明細書で論じられる複製可能な2セグメント型ウイルス粒子を生じさせないかどうかを決定することができるであろう。
【0158】
(5.2.3 複製欠陥性3セグメント型アレナウイルス粒子)
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有する3セグメント型複製欠陥性(例えば、複製欠損性)アレナウイルス粒子は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型複製欠陥性アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用される。より具体的な実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型複製欠陥性アレナウイルス粒子は、本明細書に記載される複製可能なアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用され、ここで、該複製可能なアレナウイルス粒子は、対象の腫瘍内に直接注射される。
【0159】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスがさらなる感染性子孫ウイルス粒子を産生することができない(すなわち、複製欠陥性である)ように、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されている3セグメント型アレナウイルス粒子である。ある実施態様において、該第三のアレナウイルスセグメントはSセグメントであることができる。他の実施態様において、該第三のアレナウイルスセグメントはLセグメントであることができる。より具体的な実施態様において、該第三のアレナウイルスセグメントは、ORFを該ORFの野生型位置以外の位置に担持するように改変することができるか、又は該第三のアレナウイルスセグメントは、野生型アレナウイルスゲノムセグメントであることができる。さらにより具体的な実施態様において、該第三のアレナウイルスセグメントは、GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするアレナウイルスORFを欠いている。
【0160】
ある実施態様において、3セグメント型ゲノムセグメントは、S又はLセグメントハイブリッド(すなわち、SセグメントとLセグメントの組合せであり得るゲノムセグメント)であり得る。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを含むSセグメントである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを含むLセグメントである。他の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントのUTRである。別の実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントのUTRである。具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、LセグメントのIGRを有するSセグメントの5'UTR又はLセグメントのIGRを有するSセグメントの3'UTRである。他の具体的な実施態様において、該ハイブリッドセグメントは、SセグメントのIGRを有するLセグメントの5'UTR又はSセグメントのIGRを有するLセグメントの3'UTRである。
【0161】
1以上のORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている遺伝子改変ゲノムを含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、相補細胞(すなわち、欠失しているか又は機能的に不活化されているアレナウイルスORFを発現する細胞)で産生されることができる。得られるアレナウイルス粒子の遺伝物質は、宿主細胞の感染時に、遺伝物質を発現し、それを増幅することができる宿主細胞に移されることができる。さらに、本明細書に記載される遺伝子改変アレナウイルス粒子のゲノムは、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。
【0162】
ある実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの少なくとも1つは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。別の実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする少なくとも1つのORF、少なくとも2つのORF、少なくとも3つのORF、又は少なくとも4つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられることができる。具体的な実施態様において、GP、NP、Zタンパク質、及びLタンパク質をコードする4つのORFのうちの1つだけが除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのGPをコードするORFが除去されている。別の具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのNPをコードするORFが除去されている。より具体的な実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントのZタンパク質をコードするORFが除去されている。さらに別の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFが除去されている。
【0163】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子であって、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠陥性であり、かつ感染性ではないように、GP又はNPをコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されている、3セグメント型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。別の具体的な実施態様において、2つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。他の具体的な実施態様において、3つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。具体的な実施態様において、GPをコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。他の具体的な実施態様において、NPをコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。さらにより具体的な実施態様において、NPをコードするORF及びGPをコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする1つ又は2つのヌクレオチド配列と置き換えられている。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、(i)1つのLセグメント及び2つのSセグメント;(ii)ORFの野生型位置以外の位置にあるORF;(iii)本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む。
【0164】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルス粒子であって、(i)ORFが該ORFの野生型位置以外の位置にあり;かつ(ii)得られるウイルスが複製欠陥性であり、かつ感染性ではないように、Zタンパク質及び/又はLタンパク質をコードするORFが除去されているか又は機能的に不活化されている、3セグメント型アレナウイルス粒子である。具体的な実施態様において、1つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。別の具体的な実施態様において、2つのORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。他の具体的な実施態様において、Lタンパク質をコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。さらにより具体的な実施態様において、Zタンパク質をコードするORF及びLタンパク質をコードするORFは除去され、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている。したがって、ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、(i)2つのLセグメント及び1つのSセグメント;(ii)ORFの野生型位置以外の位置にあるORF;(iii)本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0165】
したがって、ある実施態様において、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子は、i)非天然位置にORFを担持するように改変され; ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され; iii)除去されるORFが本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列と置き換えられている、3セグメント型アレナウイルス粒子(すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメント)を含む。
【0166】
ある実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、8〜100ヌクレオチド長、15〜100ヌクレオチド長、25〜100ヌクレオチド長、50〜200ヌクレオチド長、50〜400ヌクレオチド長、200〜500ヌクレオチド長、又は400〜600ヌクレオチド長、500〜800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、本明細書に提供される抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、750〜900ヌクレオチド長、800〜100ヌクレオチド長、850〜1000ヌクレオチド長、900〜1200ヌクレオチド長、1000〜1200ヌクレオチド長、1000〜1500ヌクレオチドもしくは10〜1500ヌクレオチド長、1500〜2000ヌクレオチド長、1700〜2000ヌクレオチド長、2000〜2300ヌクレオチド長、2200〜2500ヌクレオチド長、2500〜3000ヌクレオチド長、3000〜3200ヌクレオチド長、3000〜3500ヌクレオチド長、3200〜3600ヌクレオチド長、3300〜3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長〜4400ヌクレオチド長、4200〜4700ヌクレオチド長、4800〜5000ヌクレオチド長、5000〜5200ヌクレオチド長、5200〜5500ヌクレオチド長、5500〜5800ヌクレオチド長、5800〜6000ヌクレオチド長、6000〜6400ヌクレオチド長、6200〜6800ヌクレオチド長、6600〜7000ヌクレオチド長、7000〜7200ヌクレオチド長、7200〜7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、5〜10アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、25〜50アミノ酸長、50〜100アミノ酸長、100〜150アミノ酸長、150〜200アミノ酸長、200〜250アミノ酸長、250〜300アミノ酸長、300〜400アミノ酸長、400〜500アミノ酸長、500〜750アミノ酸長、750〜1000アミノ酸長、1000〜1250アミノ酸長、1250〜1500アミノ酸長、1500〜1750アミノ酸長、1750〜2000アミノ酸長、2000〜2500アミノ酸長、又は2500アミノ酸長以上であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含有しない。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成、又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技法は当技術分野で公知であり、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を最適化するために適用することができる。
【0167】
本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする任意のヌクレオチド配列を3セグメント型アレナウイルス粒子に含めることができる。一実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、免疫応答を誘発することができる。
【0168】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子の増殖及び感染力は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列に影響されない。
【0169】
当業者に公知の技法を用いて、野生型位置以外の位置にあるアレナウイルスORFと本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子を産生することができる。例えば、リバースジェネティクスの技法を用いて、そのようなアレナウイルス粒子を作製することができる。他の実施態様において、複製欠陥性アレナウイルス粒子(すなわち、アレナウイルスORFを野生型位置以外の位置に担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントであって、GP、NP、Zタンパク質、Lタンパク質をコードするORFが欠失している、アレナウイルスゲノムセグメント)は、相補細胞で産生することができる。
【0170】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子は、少なくとも1つの免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含む。ある実施態様において、該免疫調節性ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)もしくはその断片;ユビキチンもしくはその断片;顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もしくはその断片;インバリアント鎖(CD74)もしくはその抗原性断片;結核菌熱ショックタンパク質70もしくはその抗原性断片;単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22もしくはその抗原性断片; CD40リガンドもしくはその抗原性断片;又はFms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドもしくはその抗原性断片である。
【0171】
本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用するためのアレナウイルスは、旧世界ウイルス、例えば、ラッサウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、もしくはイッピーウイルス、又は新世界ウイルス、例えば、アマパリウイルス、フレクサルウイルス、グアナリトウイルス、フニンウイルス、ラチノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ベアキャニオンウイルス、もしくはホワイトウォーターアロヨウイルスであることができる。
【0172】
ある実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子は、ワクチンとしての使用に好適であり、そのようなアレナウイルス粒子を、新生物性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療において使用する方法が提供される。本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.6節に提供されている。
【0173】
ある実施態様において、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子は、医薬組成物としての使用に好適であり、そのようなアレナウイルス粒子を、新生物性疾患、例えば、癌のためのワクチン接種及び治療において使用する方法が提供される。本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を使用する方法のより詳細な説明は、第5.7節に提供されている。
【0174】
(5.3 腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、及び抗原性断片)
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子は、外来抗原をコードしないヌクレオチド配列を有するアレナウイルス粒子と組み合わせて、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、新生物性細胞又は腫瘍、例えば、癌細胞又は悪性腫瘍の中又は表面で発現される免疫原性タンパク質である。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、新生物性細胞又は腫瘍と正常細胞又は組織の両方に存在することができる、非特異的タンパク質、突然変異体タンパク質、過剰発現タンパク質、又は異常発現タンパク質である。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、腫瘍細胞に限定される腫瘍特異的抗原である。ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原は、癌細胞に限定される癌特異的抗原である。
【0175】
ある実施態様において、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、以下の特徴のうちの全てを含む、1つ、2つ、3つ、又はそれより多くを示すことができる:過剰発現される/蓄積される(すなわち、正常組織と新生物性組織の両方によって発現されるが、新生物形成で高度に発現される)、癌胎児性(すなわち、通常、胎児組織及び癌性体細胞でのみ発現される)、腫瘍ウイルス又は腫瘍原性ウイルス(すなわち、腫瘍原性形質転換ウイルスによってコードされる)、癌-精巣性(すなわち、癌細胞及び成体生殖組織、例えば、精巣によってのみ発現される)、系譜制限的(すなわち、主に、単一の癌組織型によって発現される)、突然変異する(すなわち、転写における遺伝子突然変異もしくは変化の結果として新生物性組織でのみ発現される)、翻訳後変化する(例えば、腫瘍と関連するグリコシル化の変化)、又はイディオタイプ性(すなわち、BもしくはTリンパ球の悪性クローン性増殖から発生する)。
【0176】
ある実施態様において、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原としては、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病(成人/小児);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/小児);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視経路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(oral cavity cancer);中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍; T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍を含む新生物性疾患由来の抗原が挙げられる。
【0177】
ある実施態様において、本明細書に開示される方法及び組成物とともに使用するための腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原としては、発癌ウイルス抗原、癌精巣抗原、癌胎児性抗原、組織分化抗原、突然変異体タンパク質抗原、アディポフィリン、AIM-2、ALDH1AI、BCLX(L)、BING-4、CALCA、CD45、CPSF、サイクリンD1、DKKI、ENAH(hMcna)、Ga733(EpCAM)、EphA3、EZH2、FGF5、グリピカン-3、G250/MN/CAIX、HER-2/neu、IDO1、IGF2B3、IL13Rα2、腸カルボキシルエステラーゼ、α-フェトプロテイン、カリクレイン4、KIF20A、レングシン、M-CSF、MCSP、mdm-2、Meloe、MMP-2、MMP-7、MUC1、MUC5AC、p53(非突然変異体)、PAX5、PBF、PRAME、PSMA、RAGE、RAGE-1、RGS5、RhoC、RNF43、RU2AS、セセルニン1、SOX1O、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、テロメラーゼ、VEGF、WT1、EGF-R、CEA、CD20、CD33、CD52、MELANA/MART1、MART2、NY-ESO-1、p53、MAGE A1、MAGE A3、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、CDK4、α-アクチニン-4、ARTC1、BCR-ABL、BCR-ABL融合タンパク質(b3a2)、B-RAF、CASP-5、CASP-8、β-カテニン、Cdc27、CDK4、CDKN2A、CLPP、COA-1、dek-can融合タンパク質、EFTUD2、伸長因子2、ETV6-AML、ETV6-AML1融合タンパク質、FLT3-ITD、FN1、GPNMB、LDLR-フコシルトランスフェラーゼAS融合タンパク質、NFYC、OGT、OS-9、pml-RARα融合タンパク質、PRDX5、PTPRK、H-ras、K-ras(V-Ki-ras2 カーステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、N-ras、RBAF600、SIRT2、SNRPDl、SSX、SSX2、SYT-SSX1又はSYT-SSX2融合タンパク質、TGF-βRII、トリオースリン酸イソメラーゼ、ormdm-2、LMP2、HPV E6、HPV E7、EGFRvIII(上皮増殖因子変異体III)、イディオタイプ、GD2、ガングリオシドG2)、Ras-突然変異体、p53(突然変異体)、プロテイナーゼ3(PR1)、チロシナーゼ、PSA、hTERT、肉腫転座切断点、EphA2、前立腺酸性ホスファターゼPAP、ネオ-PAP、ML-IAP、AFP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP2、TRP2-Int2、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、sLe(a)、cyp1B1、PLAC1、GM3、BORIS、Tn、グロボH、NY-BR-1、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、高分子量黒色腫関連抗原(HMWMAA)、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1、FAP、PDGFR-β、MAD-CT-2、For関連抗原1、TRP-1、GP100、CA-125、CA19-9、カルレチニン、上皮膜抗原(EMA)、上皮腫瘍抗原(ETA)、CD19、CD34、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、Myo-D1、筋肉特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトフィシス、サイログロブリン、甲状腺転写因子1、ピルビン酸キナーゼアイソザイムタイプM2の二量体形態(腫瘍M2-PK)、BAGE BAGE-1、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE-7、HCA661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-SAR-35、SPANXB1、SPA17、SSX、SYCP1、TPTE、炭水化物/ガングリオシドGM2(癌胎児性抗原-免疫原性-1 OFA-I-1)、GM3、CA 15-3(CA 27.29/BCAA)、CA 195、CA 242、CA 50、CAM 43、CEA、EBNA、EF2、エプスタイン-バーウイルス抗原、HLA-A2、HLA-A11、HSP70-2、KIAAO205、MUM-1、MUM-2、MUM-3、ミオシンクラスI、GnTV、Herv-K-mel、LAGE-1、LAGE-2、(精子タンパク質)SP17、SCP-1、P15(58)、Hom/Mel-40、E2A-PRL、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、TSP-180、P185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、TAG-72、TAG-72-4、CA-72-4、CAM 17.1、NuMa、13-カテニン、P16、TAGE、CT7、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68/KP1、CO-029、HTgp-175、M344、MG7-Ag、MOV18、NB/70K、NY-CO-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TLP、TPS、CD22、CD27、CD30、CD70、プロステイン、TARP(T細胞受容体γ選択的リーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-B、CD123、CLL-1、CD38、CS-1、CD138、及びROR1が挙げられる。
【0178】
ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は新生抗原である。本明細書で使用される「新生抗原」は、腫瘍細胞における突然変異によって生じる抗原を意味し、そのような抗原は、通常は、正常細胞でも正常組織でも発現されない。理論に束縛されるものではないが、健康な組織は、通常、これらの抗原を保有しないので、新生抗原は、好ましい標的となる。さらに、理論に束縛されるものではないが、本発明との関連において、新生抗原を認識するT細胞は負の胸腺選択を受けていない可能性があるので、そのような細胞は、抗原に対する高い結合力を有し、腫瘍に対する強い免疫応答を開始することができる一方で、正常組織の破壊及び自己免疫損傷を誘発するリスクを欠如している。ある実施態様において、新生抗原は、MHCクラスI拘束性新生抗原である。ある実施態様において、新生抗原は、MHCクラスII拘束性新生抗原である。ある実施態様において、患者の腫瘍細胞における突然変異は、新生抗原を生じる新規タンパク質を生じさせる。
【0179】
ある実施態様において、該腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原は、抗原オルソログ、例えば、哺乳動物(すなわち、非霊長類、ブタ、イヌ、ネコ、又はウマ)からヒトまでの腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原であることができる。
【0180】
ある実施態様において、本明細書に記載される腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の抗原性断片は、該アレナウイルスに含まれるヌクレオチド配列によってコードされる。ある実施態様において、断片は、それが、(i)宿主(例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、ロバ、もしくはヒト)で抗体免疫応答を誘発することができる(ここで、得られる抗体は、新生物性細胞(例えば、癌細胞)の中もしくは表面で発現される免疫原性タンパク質に特異的に結合する);及び/又は(ii)特異的なT細胞免疫応答を誘発することができるとき、抗原性である。
【0181】
ある実施態様において、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原の抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、8〜100ヌクレオチド長、15〜100ヌクレオチド長、25〜100ヌクレオチド長、50〜200ヌクレオチド長、50〜400ヌクレオチド長、200〜500ヌクレオチド長、又は400〜600ヌクレオチド長、500〜800ヌクレオチド長である。他の実施態様において、該非相同ORFは、750〜900ヌクレオチド長、800〜100ヌクレオチド長、850〜1000ヌクレオチド長、900〜1200ヌクレオチド長、1000〜1200ヌクレオチド長、1000〜1500ヌクレオチドもしくは10〜1500ヌクレオチド長、1500〜2000ヌクレオチド長、1700〜2000ヌクレオチド長、2000〜2300ヌクレオチド長、2200〜2500ヌクレオチド長、2500〜3000ヌクレオチド長、3000〜3200ヌクレオチド長、3000〜3500ヌクレオチド長、3200〜3600ヌクレオチド長、3300〜3800ヌクレオチド長、4000ヌクレオチド長〜4400ヌクレオチド長、4200〜4700ヌクレオチド長、4800〜5000ヌクレオチド長、5000〜5200ヌクレオチド長、5200〜5500ヌクレオチド長、5500〜5800ヌクレオチド長、5800〜6000ヌクレオチド長、6000〜6400ヌクレオチド長、6200〜6800ヌクレオチド長、6600〜7000ヌクレオチド長、7000〜7200ヌクレオチド長、7200〜7500ヌクレオチド長、又は7500ヌクレオチド長である。いくつかの実施態様において、該非相同ORFは、5〜10アミノ酸長、10〜25アミノ酸長、25〜50アミノ酸長、50〜100アミノ酸長、100〜150アミノ酸長、150〜200アミノ酸長、200〜250アミノ酸長、250〜300アミノ酸長、300〜400アミノ酸長、400〜500アミノ酸長、500〜750アミノ酸長、750〜1000アミノ酸長、1000〜1250アミノ酸長、1250〜1500アミノ酸長、1500〜1750アミノ酸長、1750〜2000アミノ酸長、2000〜2500アミノ酸長、又は2500アミノ酸長以上であるペプチド又はポリペプチドをコードする。いくつかの実施態様において、該ヌクレオチド配列は、2500アミノ酸長を超えないポリペプチドをコードする。具体的な実施態様において、該ヌクレオチド配列は終止コドンを含有しない。ある実施態様において、該ヌクレオチド配列はコドン最適化されている。ある実施態様において、ヌクレオチド組成、ヌクレオチド対組成、又はその両方を最適化することができる。そのような最適化のための技法は当技術分野で公知であり、腫瘍抗原又は腫瘍関連抗原のヌクレオチド配列を最適化するために適用することができる。
【0182】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメント、該アレナウイルス粒子、又は該3セグメント型アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列を含むことができる。他の実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメント、該アレナウイルス粒子、又は該3セグメント型アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも2つのヌクレオチド配列、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードする少なくとも3つのヌクレオチド配列、又は腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片をコードするそれより多くのヌクレオチド配列を含むことができる。
【0183】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含むアレナウイルス粒子は、少なくとも1つの免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列をさらに含む。ある実施態様において、該免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、カルレティキュリン(CRT)もしくはその断片;ユビキチンもしくはその断片;顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)もしくはその断片;インバリアント鎖(CD74)もしくはその抗原性断片;結核菌熱ショックタンパク質70もしくはその抗原性断片;単純ヘルペスウイルス1タンパク質VP22もしくはその抗原性断片;CD40リガンドもしくはその抗原性断片;又はFms関連チロシンキナーゼ3(Flt3)リガンドもしくはその抗原性断片である。
【0184】
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子は、a)野生型形態のゲノムセグメントに存在するORFが除去されているか又は機能的不活化されており;かつb)(センス又はアンチセンスのいずれかで):(i)本明細書に提供される1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片、及び(ii)本明細書に提供される1以上の免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするゲノムセグメントを含む。
【0185】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの同じ位置にある。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、ウイルスゲノムの異なる位置にある。
【0186】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、スペーサー配列によって隔てられている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする配列と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、内部リボソーム進入部位、又はプロテアーゼ切断部位をコードする配列によって隔てられている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、リンカー又は自己切断ペプチドをコードするヌクレオチド配列によって隔てられている。当業者に公知の任意のリンカーペプチド又は自己切断ペプチドは、本明細書に提供される組成物及び方法とともに使用することができる。ペプチドリンカーの非限定的な例はGSGである。自己切断ペプチドの非限定的な例は、ブタテシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドである。
【0187】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、直接的に融合されている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、ペプチドリンカーを介して融合されている。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、自己切断ペプチドを介して互いに隔てられている。ペプチドリンカーの非限定的な例はGSGである。自己切断ペプチドの非限定的な例は、ブタテシオウイルス-1 2Aペプチド、トセアアシグナウイルス2Aペプチド、又は口蹄疫ウイルス2Aペプチドである。
【0188】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、同じアレナウイルス粒子上に発現される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、異なるアレナウイルス(areanavirus)粒子上に発現される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、同じ株の異なるウイルス上に発現される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片と本明細書に提供される免疫調節性ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質は、異なる株の異なるウイルス上に発現される。
【0189】
ある実施態様において、1以上の腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするように作製されたアレナウイルス粒子は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードする1以上のヌクレオチド配列を含む。具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片は、本明細書に記載される様々な1以上のリンカー、スペーサー、又は切断部位によって隔てられている。
【0190】
(5.4 アレナウイルス粒子及び3セグメント型アレナウイルス粒子の作製)
通常、本明細書に提供される方法及び組成物において使用するためのアレナウイルス粒子は、LCMVについて記載されている標準的なリバースジェネティクスの技法によって組換え産生することができる(引用により本明細書中に組み込まれる、Flatzらの文献、2006, Proc Natl Acad Sci USA 103:4663-4668; Sanchezらの文献、2006, Virology 350:370; Ortiz-Rianoらの文献、2013, J Gen Virol. 94:1175-88を参照)。本明細書に提供されるアレナウイルス粒子を作製するために、これらの技法を下記の通りに適用することができる。該ウイルスのゲノムは、本明細書に記載される通りに改変することができる。
【0191】
(5.4.1 非天然位置のオープンリーディングフレーム)
ORFの野生型位置以外の位置にあるウイルスORFと腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されているゲノムセグメントを含むアレナウイルス粒子の作製は、当業者に公知の任意のリバースジェネティクスの技法によって組換え産生することができる。
【0192】
(i)感染性かつ複製可能なアレナウイルス粒子
ある実施態様において、アレナウイルス粒子を作製する方法は、(i)宿主細胞に、第一のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAをトランスフェクトすること;(ii)宿主細胞に、第二のアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAをトランスフェクトすること;(iii)宿主細胞に、アレナウイルスの最小限のトランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドをトランスフェクトすること;(iv)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;及び(v)アレナウイルス粒子を回収することを含む。あるより具体的な実施態様において、該cDNAはプラスミド中に含まれる。
【0193】
一旦cDNAから生成されると、アレナウイルス粒子(例えば、感染性かつ複製可能なもの)は増殖することができる。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価までウイルスが増殖するのを可能にする任意の宿主細胞で増殖することができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価までアレナウイルス粒子が増殖するのを可能にする。
【0194】
ある実施態様において、該アレナウイルス粒子は、宿主細胞で増殖することができる。使用することができる宿主細胞の具体的な例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他が挙げられる。具体的な実施態様において、該アレナウイルス粒子は、細胞株で増殖することができる。
【0195】
ある実施態様において、該宿主細胞は培養下で維持され、1以上のプラスミドでトランスフェクトされる。該プラスミドは、作製されることになるアレナウイルスゲノムセグメントを、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる、1以上の発現カセットの制御下で発現する。
【0196】
アレナウイルス粒子の作製に使用することができるプラスミドは: i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを含むことができる。ある実施態様において、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及び/又はNPをコードするプラスミド(それぞれ、pC-L及びpC-NP)が存在することができる。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへと読み取るpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを用いて行うことができる。
【0197】
ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントは、プロモーターの制御下にある。通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性カセット、又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性カセットを使用することができる。ある実施態様において、該アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のプロモーターによって転写されることができる。プロモーターの具体的な例としては、RNAポリメラーゼIプロモーター、RNAポリメラーゼIIプロモーター、RNAポリメラーゼIIIプロモーター、T7プロモーター、SP6プロモーター、又はT3プロモーターが挙げられる。
【0198】
さらに、該プラスミドは、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とすることができるか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの、内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの、細菌選択マーカーを特徴とする。
【0199】
プラスミドによる宿主細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般的に使用される戦略のいずれかを用いて行うことができる。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて、高発現するクローンを同定する。
【0200】
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の回収のために、以下の手順が想定される。1日目: M6-ウェルプレート中の通常80%コンフルエントな細胞に、プラスミドの混合物を、上記のようにトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの任意の一般に使用される戦略を利用することができる。
【0201】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターをどのくらい長く保存するべきかに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイによって評価する。或いは、トランスフェクトされた細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目により大きい容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代することができ、培養上清を継代後5日までに回収する。
【0202】
本出願はさらに、非相同ORFの発現に関するものであり、ここで、ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、非相同ORFを組み込むように改変されている。該非相同ORFは、制限酵素を用いてプラスミドに組み込むことができる。
【0203】
(ii)感染性複製欠陥性アレナウイルス粒子
感染性複製欠陥性アレナウイルス粒子は、上記のようにレスキューすることができる。しかしながら、一旦cDNAから生成されると、本明細書に提供される感染性複製欠損性アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変によって、複製欠損性アレナウイルスから除去されている機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0204】
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1つ又は複数の除去又は機能的不活化(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)のため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で生成させ、それを増殖させることができる。以後、C-細胞と呼ばれる、そのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他などの細胞株に、対象となるウイルス遺伝子の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミドは、作製されることになるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子を、哺乳動物細胞における発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するEF1αプロモーターなどの哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの、内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの、細菌選択マーカーを特徴とする。
【0205】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G、又はその他を培養下で維持し、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを用いて、相補性プラスミドでトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて、高発現するC-細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC-細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、以下でC-細胞が使用されることになる段階の各々において、失われたウイルス遺伝子を相補することができる。さらに、ヘルパーウイルスを用いて、失われた機能性をトランスに提供することができる。
【0206】
プラスミドは、2種類のものであることができる: i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に由来するアレナウイルスの最小トランス作用因子をC-細胞で細胞内発現させるための、TF-プラスミドと呼ばれる、2つのプラスミド;並びにii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC-細胞で細胞内発現させるための、GS-プラスミドと呼ばれるプラスミド。TF-プラスミドは、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーター、例えば、そのうちのどちらか一方がポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わさったCMV又はEF1αプロモーターの制御下で、それぞれのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'-末端リボソームを一次転写物のプロセシングに優先的に用いて、正確な末端を生じさせる。T7に基づく系を使用する場合、C-細胞におけるT7の発現は、TF-プラスミドと同様に構築されてT7を提供する追加の発現プラスミドをリカバリープロセスで含めるか、又は安定な形でT7をさらに発現するようにC-細胞を構築するかのいずれかによって提供しなければならない。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のT7、polI、及びpolIIプロモーターによって転写されることができる。
【0207】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。1日目: M6-ウェルプレート中の通常80%コンフルエントなC-細胞に、2つのTF-プラスミド+2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のT7、polI、及びpolIIプロモーターによって転写されることができる。このために、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用することができる。
【0208】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターをどのくらい長く保存するべきかに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC-細胞に対するイムノフォーカスアッセイによって評価する。或いは、トランスフェクトされた細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目により大きい容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代することができ、培養上清を継代後5日までに回収する。
【0209】
本発明はさらに、細胞培養物における抗原の発現に関するものであり、ここで、該細胞培養物は、抗原を発現する感染性複製欠損性アレナウイルスに感染している。培養細胞における抗原の発現のために使用される場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物に感染させ、感染直後に既に、全ての細胞で抗原の産生をもたらす。
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンを、そのウイルス駆動性抗原発現のレベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターが非細胞溶解性であるため、個々のクローンを無限に増殖させることができる。本手法とは無関係に、抗原は、その後、産生される抗原の性質に応じて、培養上清又は細胞それ自体のいずれかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に限定されず、感染性複製欠損性アレナウイルスをベクターとして用いて、抗原の発現を駆動する他の方法を検討してもよい。
【0210】
(5.4.2 3セグメント型アレナウイルス粒子の作製)
腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子は、例えば、引用により本明細書中に組み込まれる、Emonetらの文献、2008, PNAS, 106(9):3473-3478; Popkinらの文献、2011, J. Virol., 85(15):7928-7932によって記載されているような、当技術分野で公知の任意のリバースジェネティクスの技法によって組換え産生することができる。本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子の作製は、第5.2節に記載されている通りに改変することができる。
【0211】
(i)感染性かつ複製可能な3セグメント型アレナウイルス粒子
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子を作製する方法は、(i)宿主細胞に、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントcDNAをトランスフェクトすること;(ii)宿主細胞に、アレナウイルスの最小トランス作用因子NP及びLを発現するプラスミドをトランスフェクトすること;(iii)該宿主細胞をウイルス形成に好適な条件下で維持すること;並びに(iv)該アレナウイルス粒子を回収することを含む。
【0212】
一旦cDNAから生成されると、該3セグメント型アレナウイルス粒子(すなわち、感染性かつ複製可能なもの)は増殖することができる。ある実施態様において、3セグメント型アレナウイルス粒子は、本明細書に記載されるウイルスの使用を可能にする力価までウイルスが増殖するのを可能にする任意の宿主細胞で増殖することができる。一実施態様において、該宿主細胞は、対応する野生型について決定される力価に匹敵する力価まで該3セグメント型アレナウイルス粒子が増殖するのを可能にする。
【0213】
ある実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、宿主細胞で増殖することができる。使用することができる宿主細胞の具体的な例としては、BHK-21、HEK 293、VERO又はその他が挙げられる。具体的な実施態様において、該3セグメント型アレナウイルス粒子は、細胞株で増殖することができる。
【0214】
ある実施態様において、該宿主細胞は培養下で維持され、1以上のプラスミドでトランスフェクトされる。該プラスミドは、作製されることになるアレナウイルスゲノムセグメントを、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる、1以上の発現カセットの制御下で発現する。
【0215】
具体的な実施態様において、該宿主細胞は培養下で維持され、1以上のプラスミドでトランスフェクトされる。該プラスミドは、作製されることになるウイルス遺伝子を、哺乳動物細胞における発現に好適な、例えば、ポリメラーゼIのプロモーター及びターミネーターからなる、1以上の発現カセットの制御下で発現する。
【0216】
1つのLセグメント及び2つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルスを作製するために使用することができるプラスミドは: i)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sを各々コードする2つのプラスミド、ii)Lゲノムセグメント、例えば、pol-I Lをコードするプラスミドを含むことができる。2つのLセグメント及び1つのSセグメントを含む3セグメント型アレナウイルスに必要なプラスミドは、i)Lゲノムセグメント、例えば、pol-Lを各々コードする2つのプラスミド、ii)Sゲノムセグメント、例えば、pol-I Sをコードするプラスミドである。
【0217】
ある実施態様において、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成を導くアレナウイルスポリメラーゼをコードするプラスミドは、トランスフェクション混合物に組み込むことができる。例えば、Lタンパク質をコードするプラスミド及び/又はNPをコードするプラスミド(それぞれ、pC-L及びpC-NP)。Lタンパク質及びNPは、ウイルスRNAの転写及び複製に必要な最小限のトランス作用因子である。或いは、NP及びLタンパク質と一緒の、ウイルスのL及びSセグメントの細胞内合成は、それぞれ、両側から2つの別々のプラスミドのL及びSセグメントのcDNAへと読み取るpol-I及びpol-IIプロモーターを有する発現カセットを用いて行うことができる。
【0218】
さらに、該プラスミドは、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの、内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの、細菌選択マーカーを特徴とする。
【0219】
プラスミドによるBHK-21細胞のトランスフェクションは、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを用いて行うことができる。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて高発現するクローンを同定する。
【0220】
通常、RNAポリメラーゼI駆動性発現カセット、RNAポリメラーゼII駆動性発現カセット、又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'-末端リボソームを一次転写物のプロセシングに優先的に用いて、正確な末端を生じさせる。ある実施態様において、アレナウイルスゲノムセグメントをコードするプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のT7、polI、及びpolIIプロモーターによって転写されることができる。
【0221】
アレナウイルスの3セグメント型アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順が想定される。1日目: M6-ウェルプレート中の通常80%コンフルエントな細胞に、プラスミドの混合物を、上記のようにトランスフェクトする。このために、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの任意の一般に使用される戦略を利用することができる。
【0222】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターをどのくらい長く保存するべきかに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をイムノフォーカスアッセイによって評価する。或いは、トランスフェクトされた細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目により大きい容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代することができ、培養上清を継代後5日までに回収する。
【0223】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列の発現が提供され、ここで、該ゲノムセグメントをコードするプラスミドは、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を組み込むように改変されている。該腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列は、制限酵素を用いてプラスミドに組み込むことができる。
【0224】
(ii)感染性複製欠陥性3セグメント型アレナウイルス粒子
感染性複製欠陥性3セグメント型アレナウイルス粒子は、上記のようにレスキューすることができる。しかしながら、一旦cDNAから生成されると、本明細書に提供される感染性複製欠損性アレナウイルスは、相補細胞で増殖することができる。相補細胞は、そのゲノムの改変によって、複製欠損性アレナウイルスから除去されている機能性を提供する細胞である(例えば、GPタンパク質をコードするORFが欠失しているか又は機能的に不活化されている場合、相補細胞がGPタンパク質を提供する)。
【0225】
アレナウイルスベクター中のORFのうちの1つ又は複数の除去又は機能的不活化(ここでは、糖タンパク質GPの欠失を例に取る)のため、アレナウイルスベクターを、欠失したウイルス遺伝子、例えば、本例では、GPをトランスに提供する細胞で生成させ、それを増殖させることができる。以後、C-細胞と呼ばれる、そのような相補細胞株は、BHK-21、HEK 293、VERO、又はその他(ここではBHK-21を例として挙げる)などの哺乳動物細胞株に、対象となるウイルス遺伝子の発現のための1以上のプラスミド遺伝子(C-プラスミドと呼ばれる相補性プラスミド)をトランスフェクトすることにより作製される。C-プラスミドは、作製されることになるアレナウイルスベクターで欠失しているウイルス遺伝子を、哺乳動物細胞における発現に好適な1以上の発現カセット、例えば、ポリアデニル化シグナルを有するCMV又はEF1αプロモーターなどの、哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーターの制御下で発現する。さらに、相補性プラスミドは、哺乳動物細胞における遺伝子発現に好適な発現カセット、例えば、上記のようなポリメラーゼII発現カセットの制御下にある、哺乳動物選択マーカー、例えば、ピューロマイシン耐性を特徴とするか、又はウイルス遺伝子転写物の後ろに、脳心筋炎ウイルスの内部リボソーム進入部位などの、内部リボソーム進入部位があり、その後ろに、哺乳動物耐性マーカーがある。大腸菌内での産生のために、該プラスミドはさらに、アンピシリン耐性カセットなどの、細菌選択マーカーを特徴とする。
【0226】
使用することができる細胞、例えば、BHK-21、HEK 293、MC57G、又はその他を培養下で維持し、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを用いて、相補性プラスミドでトランスフェクトする。数日後、好適な選択薬剤、例えば、ピューロマイシンを漸増濃度で添加する。生存しているクローンを単離し、標準的な手順に従ってサブクローニングし、対象となるウイルスタンパク質に対する抗体とともにウェスタンブロット法又はフローサイトメトリー法を用いて、高発現するC-細胞クローンを同定する。安定にトランスフェクトされたC-細胞の使用の代替法として、正常細胞の一過性トランスフェクションは、以下でC-細胞が使用されることになる段階の各々において、失われたウイルス遺伝子を相補することができる。さらに、ヘルパーウイルスを用いて、失われた機能性をトランスに提供することができる。
【0227】
2種類のプラスミドを使用することができる: i)本例では、例えば、LCMVのNP及びLタンパク質に由来するアレナウイルスの最小トランス作用因子をC-細胞で細胞内発現させるための、TF-プラスミドと呼ばれる、2つのプラスミド;並びにii)アレナウイルスベクターゲノムセグメント、例えば、設計された改変を有するセグメントをC-細胞で細胞内発現させるための、GS-プラスミドと呼ばれるプラスミド。TF-プラスミドは、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現に好適な発現カセット、通常、例えば、哺乳動物ポリメラーゼIIプロモーター、例えば、そのうちのどちらか一方がポリアデニル化シグナルと優先的に組み合わさったCMV又はEF1αプロモーターの制御下で、それぞれのアレナウイルスベクターのNP及びLタンパク質を発現する。GS-プラスミドは、該ベクターの小さい(S)ゲノムセグメント及び大きい(L)ゲノムセグメントを発現する。通常、ポリメラーゼI駆動性発現カセット又はT7バクテリオファージRNAポリメラーゼ(T7-)駆動性発現カセットを使用することができ、後者は、3'-末端リボソームを一次転写物のプロセシングに優先的に用いて、正確な末端を生じさせる。T7に基づく系を使用する場合、C-細胞におけるT7の発現は、TF-プラスミドと同様に構築されてT7を提供する追加の発現プラスミドをリカバリープロセスで含めるか、又は安定な形でT7をさらに発現するようにC-細胞を構築するかのいずれかによって提供しなければならない。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のT7、polI、及びpolIIプロモーターによって転写されることができる。
【0228】
該アレナウイルスベクターの回収のために、以下の手順を使用することができる。1日目: M6-ウェルプレート中の通常80%コンフルエントなC-細胞に、2つのTF-プラスミド+2つのGS-プラスミドの混合物をトランスフェクトする。ある実施態様において、TFプラスミドとGSプラスミドは同じであることができる、すなわち、ゲノム配列及びトランス作用因子は、1つのプラスミド由来のT7、polI、及びpolIIプロモーターによって転写されることができる。このために、リン酸カルシウム、リポソームに基づくプロトコル、又はエレクトロポレーションなどの一般に使用される戦略のいずれかを使用することができる。
【0229】
3〜5日後:培養上清(アレナウイルスベクター調製物)を回収し、分注し、使用前にアレナウイルスベクターをどのくらい長く保存するべきかに応じて、4℃、-20℃、又は-80℃で保存する。その後、該アレナウイルスベクター調製物の感染力価をC-細胞に対するイムノフォーカスアッセイによって評価する。或いは、トランスフェクトされた細胞及び上清を、トランスフェクション後3〜5日目により大きい容器(例えば、T75組織培養フラスコ)に継代することができ、培養上清を継代後5日までに回収する。
【0230】
本発明はさらに、細胞培養物における抗原の発現に関するものであり、ここで、該細胞培養物は、抗原を発現する感染性複製欠損性アレナウイルスに感染している。培養細胞におけるCMV抗原の発現のために使用される場合、以下の2つの手順を使用することができる:
i)対象となる細胞型を、1以上、例えば、2、3、又は4の感染多重度(MOI)で、本明細書に記載されるアレナウイルスベクター調製物に感染させ、感染直後に既に、全ての細胞で腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片の産生をもたらす。
【0231】
ii)或いは、より低いMOIを使用することができ、個々の細胞クローンを、その腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片のそのウイルス駆動性発現のレベルについて選択することができる。その後、アレナウイルスベクターが非細胞溶解性であるため、個々のクローンを無限に増殖させることができる。本手法とは無関係に、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片は、その後、産生される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片の性質に応じて、培養上清又は細胞それ自体のいずれかから回収(及び精製)することができる。しかしながら、本発明は、これら2つの戦略に限定されず、感染性複製欠損性アレナウイルスをベクターとして用いて、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片の発現を駆動する他の方法を検討してもよい。
【0232】
(5.5 核酸、ベクター系、及び細胞株)
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメントを含むかもしくはそれからなるcDNA又は3セグメント型アレナウイルス粒子である。
【0233】
(5.5.1 非天然位置のオープンリーディングフレーム)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第5.1節に記載されているアレナウイルスゲノムセグメントをコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、表1に記載されているDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も第5.1節に提供されている。
【0234】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFと腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAであり、ここで、該アレナウイルスゲノムセグメントは、第5.1節に記載される非相同ORFをコードする。
【0235】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFと腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されたアレナウイルスゲノムセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。具体的に、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の2つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、Lセグメント及びSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列をコードすることができる。
【0236】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型位置以外の位置にあるORFとDNA発現系の一部であるか又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されているアレナウイルスSセグメントのcDNAである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型位置以外の位置にあるORFとDNA発現系の一部であるか又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されているアレナウイルスLセグメントのcDNAである。ある実施態様において、(i)ORFの野生型位置以外の位置にあるORFを担持するように改変されており;かつ(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され、かつ腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている、アレナウイルスゲノムセグメントのcDNAである。
【0237】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
【0238】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定株に基づくことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子は、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。
【0239】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節で上に記載されているcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置以外の位置にあるORFと腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列とを担持するように改変されているアレナウイルスゲノムセグメントのcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
【0240】
(5.5.2 3セグメント型アレナウイルス粒子)
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、第5.2節に記載されている3セグメント型アレナウイルス粒子をコードする核酸である。より具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、例えば、表2又は表3に記載されているDNAヌクレオチド配列又はDNAヌクレオチド配列のセットである。そのような核酸を含む宿主細胞も、第5.2節に提供されている。
【0241】
具体的な実施態様において、本明細書に提供されるのは、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されている3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAからなるcDNAである。他の実施態様において、(i)ORFの野生型位置以外の位置にアレナウイルスORFを担持するように改変されている3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAであり;かつ(ii)該3セグメント型アレナウイルス粒子は、第5.2節に記載されている非相同ORFをコードする。
【0242】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を含む3セグメント型アレナウイルス粒子をまとめてコードするDNA発現ベクター系である。具体的に、本明細書に提供されるのは、1以上のベクターが、本明細書に記載される3セグメント型アレナウイルス粒子の3つのアレナウイルスゲノムセグメント、すなわち、1つのLセグメント及び2つのSセグメント又は2つのLセグメント及び1つのSセグメントをコードするDNA発現ベクター系である。そのようなベクター系は、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードすることができる。
【0243】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型位置以外の位置にあるORF及びDNA発現系の一部であるか又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を担持するように改変されているアレナウイルスSセグメントのcDNAである。他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、野生型位置以外の位置にあるORF及びDNA発現系の一部であるか又はDNA発現系に組み込まれている腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列を担持するように改変されているアレナウイルスLセグメントのcDNAである。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、(i)ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されており;かつ(ii)GP、NP、Zタンパク質、又はLタンパク質をコードするORFが除去され、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列と置き換えられている、3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAである。
【0244】
ある実施態様において、本明細書に提供されるcDNAは、LCMVの特定の株に由来することができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMVクローン13に由来する。他の具体的な実施態様において、該cDNAは、LCMV MP株に由来する。
【0245】
ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMVの特定株に基づくことができる。LCMVの株としては、クローン13、MP株、Arm CA 1371、Arm E-250、WE、UBC、Traub、Pasteur、810885、CH-5692、Marseille #12、HP65-2009、200501927、810362、811316、810316、810366、20112714、Douglas、GR01、SN05、CABN、及びこれらの派生物が挙げられる。ある実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子は、LCMVクローン13に基づくことができる。他の実施態様において、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子をコードするように作製されたベクターは、LCMV MP株に基づくことができる。
【0246】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、この節で上に記載されているcDNA又はベクター系を含む細胞である。そのような細胞に由来する細胞株、そのような細胞を含む培養物、及び感染したそのような細胞を培養する方法も本明細書に提供される。ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、3セグメント型アレナウイルス粒子のcDNAを含む細胞である。いくつかの実施態様において、該細胞は、Sセグメント及び/又はLセグメントを含む。
【0247】
(5.6 使用方法)
ワクチン、例えば、ポリオウイルス及び麻疹用のワクチンは、感染性疾患の予防及び/又は治療に成功している。しかしながら、癌を含む、確立した慢性疾患の状態における治療的免疫はあまり成功していない。固形腫瘍内に直接注射されるべき1以上のアレナウイルス粒子を作製する能力は、新規の戦略を表す。
【0248】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法である。そのような方法は、それを必要としている対象に、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子を投与することを含むことができる。ある実施態様において、本方法において使用されるアレナウイルス粒子は、複製可能な3セグメント型アレナウイルス粒子を含む、本明細書に提供される3セグメント型アレナウイルス粒子である。したがって、ある実施態様において、本方法において使用される3セグメント型アレナウイルス粒子は複製可能であり、ここで、該アレナウイルス粒子は:(1)腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片をコードするヌクレオチド配列;(2)感染細胞でその遺伝情報を増幅し、それを発現する能力;及び(3)遺伝子改変されていない正常細胞でさらなる感染性子孫粒子を産生する能力を含むゲノムを含有するように改変されている。
【0249】
本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、アレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射することを含み、ここで、該アレナウイルス粒子が腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する、方法である。ある実施態様において、注射することは、同じアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、注射することは、同じアレナウイルスに由来する(すなわち、同じ骨格を有する)が、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、注射することは、異なるアレナウイルスに由来する(すなわち、異なる骨格を有する)が、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、注射することは、異なるアレナウイルスに由来し(すなわち、異なる骨格を有し)、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。
【0250】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、アレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含み、該注射することの前に、第一のアレナウイルス粒子を全身投与することをさらに含む、方法である。ある実施態様において、全身投与することは、同じアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子を全身投与することは、同じアレナウイルスに由来する(すなわち、同じ骨格を有する)が、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子を全身投与することは、異なるアレナウイルスに由来する(すなわち、異なる骨格を有する)が、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子を全身投与することは、異なるアレナウイルスに由来し(すなわち、異なる骨格を有し)、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。
【0251】
他の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、アレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該アレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含み、該注射することの後に、第二のアレナウイルス粒子を全身投与することをさらに含む、方法である。ある実施態様において、全身投与することは、同じアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を全身投与することは、同じアレナウイルスに由来する(すなわち、同じ骨格を有する)が、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を全身投与することは、異なるアレナウイルスに由来する(すなわち、異なる骨格を有する)が、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を全身投与することは、異なるアレナウイルスに由来し(すなわち、異なる骨格を有し)、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。
【0252】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を対象に投与すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。ある実施態様において、投与することは、同じアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第一のアレナウイルス粒子を投与することは、異なるアレナウイルスに由来する(すなわち、異なる骨格を有する)アレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を投与することは、同じアレナウイルスに由来する(すなわち、同じ骨格を有する)が、異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を投与することは、異なるアレナウイルスに由来する(すなわち、異なる骨格を有する)が、同じ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。ある実施態様において、第二のアレナウイルス粒子を投与することは、異なるアレナウイルスに由来し(すなわち、異なる骨格を有し)、かつ異なる腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子の複数回の投与を含む。
【0253】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。
【0254】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該対象に静脈内投与すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。
【0255】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に静脈内投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。
【0256】
ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、UTRがIGRに直接融合されているヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、GFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、非相同な非コード配列を含むヌクレオチドを含む。
【0257】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、UTRがIGRに直接融合されているヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、GFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、非相同な非コード配列を含むヌクレオチドを含む。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、複製可能である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、複製欠陥性である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型であり、かつ複製可能である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型であり、かつ複製欠陥性である。
【0258】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は複製可能であり、かつ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現しない);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、欠失した又は不活化されたウイルスORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、UTRがIGRに直接融合されているヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、GFPなどのマーカーのORFを含むヌクレオチドを含む。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、非相同な非コード配列を含むヌクレオチドを含む。
【0259】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、(a)第一のアレナウイルス粒子を該腫瘍内に直接注射すること(ここで、該第一のアレナウイルス粒子は複製可能であり、かつ腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する);及び(b)第二のアレナウイルス粒子を該対象に投与すること(ここで、該第二のアレナウイルス粒子は、腫瘍抗原もしくは腫瘍関連抗原又はその抗原性断片を発現する)を含む、方法である。ある実施態様において、該第一のアレナウイルス粒子は、3セグメント型である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、複製可能である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、複製欠陥性である。ある実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型であり、かつ複製可能である。具体的な実施態様において、該第二のアレナウイルス粒子は、3セグメント型であり、かつ複製欠陥性である。
【0260】
一実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍を治療する方法であって、該対象に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与することを含む、方法である。具体的な実施態様において、本明細書に記載される固形腫瘍を治療する方法は、それを必要としている対象に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物の治療有効量を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与することを含む。該対象は、哺乳動物、例えば、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、家畜、例えば、限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ネコ、イヌ、ハムスター、ロバであることができる。具体的な実施態様において、該対象はヒトである。
【0261】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、対象の固形腫瘍細胞に対する免疫応答を誘導する方法であって、該対象に、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与することを含む、方法である。
【0262】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物が、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与される固形腫瘍を有する対象は、新生物性疾患を有するか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0263】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物が、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与される固形腫瘍を有する対象は、癌などの新生物性疾患を有するか、それを起こしやすいか、もしくはそれを発症するリスクに曝されているか、又は前癌組織病変を示す。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物が、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与される対象は、癌などの新生物性疾患と診断されているか、又は前癌組織病変を示す。
【0264】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物が、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与される固形腫瘍を有する対象は、限定されないが、急性リンパ芽球性白血病;急性リンパ芽球性リンパ腫;急性リンパ性白血病;急性骨髄性白血病;急性骨髄性白血病(成人/小児);副腎皮質癌;エイズ関連癌;エイズ関連リンパ腫;肛門癌;虫垂癌;星状細胞腫;非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;基底細胞癌;胆管癌、肝外(胆管細胞癌);膀胱癌;骨肉腫/悪性線維性組織球腫;脳腫瘍(成人/小児);脳腫瘍、小脳星状細胞腫(成人/小児);脳腫瘍、脳星状細胞腫/悪性神経膠腫脳腫瘍;脳腫瘍、上衣腫;脳腫瘍、髄芽腫;脳腫瘍、テント上原始神経外胚葉性腫瘍;脳腫瘍、視経路及び視床下部神経膠腫;脳幹神経膠腫;乳癌;気管支腺腫/カルチノイド;気管支腫瘍;バーキットリンパ腫;小児癌;カルチノイド胃腸腫瘍;カルチノイド腫瘍;成人の癌、原発部位不明;原発不明癌;中枢神経系胎児性腫瘍;中枢神経系リンパ腫、原発性;子宮頸癌;小児副腎皮質癌;小児癌;小児大脳星状細胞腫;脊索腫、小児;慢性リンパ性白血病;慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia);慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia);慢性骨髄増殖性障害;結腸癌;結腸直腸癌;頭蓋咽頭腫;皮膚T細胞リンパ腫;線維形成性小円形細胞腫瘍;肺気腫;子宮内膜癌;上衣芽腫;上衣腫;食道癌;ユーイングファミリー腫瘍におけるユーイング肉腫;頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;肝外胆管癌;胆嚢癌;胃(gastric)(胃(stomach))癌;胃カルチノイド;消化管カルチノイド腫瘍;消化管間質腫瘍;胚細胞腫瘍:頭蓋外、性腺外、又は卵巣妊娠性絨毛腫瘍;妊娠性絨毛腫瘍、原発部位不明;神経膠腫;脳幹の神経膠腫;神経膠腫、小児視経路及び視床下部;有毛細胞白血病;頭頸部癌;心臓癌;肝細胞(肝臓)癌;ホジキンリンパ腫;下咽頭癌;視床下部及び視経路神経膠腫;眼内黒色腫;膵島細胞癌(内分泌膵臓);カポジ肉腫;腎臓癌(腎細胞癌);ランゲルハンス細胞組織球症;喉頭癌;口唇及び口腔癌;脂肪肉腫;肝臓癌(原発性);肺癌、非小細胞;肺癌、小細胞;リンパ腫、原発中枢神経系;マクログロブリン血症、ワルデンストレーム;男性の乳癌;骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫;髄芽腫;髄上皮腫;黒色腫;黒色腫、眼内(眼);メルケル細胞癌;メルケル細胞皮膚癌;中皮腫;中皮腫、成人悪性;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;口腔癌;多発性内分泌腫瘍症候群;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;菌状息肉症、骨髄異形成症候群;骨髄異形成/骨髄増殖性疾患;骨髄性白血病、慢性;骨髄性白血病、成人急性;骨髄性白血病、小児急性;骨髄腫、多発性(骨髄の癌);骨髄増殖性障害、慢性;鼻腔及び副鼻腔癌;鼻咽頭癌;神経芽腫、非小細胞肺癌;非ホジキンリンパ腫;乏突起神経膠腫;口腔癌(oral cancer);口腔癌(oral cavity cancer);中咽頭癌;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;卵巣癌;卵巣上皮癌(表面上皮-間質腫瘍);卵巣胚細胞腫瘍;卵巣低悪性度腫瘍;膵臓癌;膵臓癌、膵島細胞;乳頭腫症;副鼻腔及び鼻腔の癌;副甲状腺癌;陰茎癌;咽頭癌;褐色細胞腫;松果体星状細胞腫;松果体胚細胞腫;中間分化の松果体実質腫瘍;松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍;下垂体腫瘍;下垂体腺腫;形質細胞腫瘍/多発性骨髄腫;胸膜肺芽腫;原発性中枢神経系リンパ腫;前立腺癌;直腸癌;腎細胞癌(腎臓癌);腎盂及び尿管、移行上皮癌;第15番染色体上のNUT遺伝子が関与する気道癌;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫、小児;唾液腺癌;肉腫、ユーイングファミリー腫瘍;セザリー症候群;皮膚癌(黒色腫);皮膚癌(非黒色腫);小細胞肺癌;小腸癌軟部組織肉腫;軟部組織肉腫;脊髄腫瘍;扁平上皮癌;原発不明転移性扁平上皮頸部癌;胃(stomach)(胃(gastric))癌;テント上原始神経外胚葉性腫瘍; T細胞リンパ腫、皮膚(菌状息肉腫及びセザリー症候群);精巣癌;咽喉癌;胸腺腫;胸腺腫及び胸腺癌;甲状腺癌;甲状腺癌、小児;腎盂及び尿管の移行上皮癌;尿道癌;子宮癌、子宮内膜;子宮肉腫;膣癌;外陰癌;及びウィルムス腫瘍から選択される新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている。
【0265】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、固形腫瘍を有し、かつ新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている任意の年齢層の対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、固形腫瘍を有する免疫系不全の対象、妊娠している対象、臓器もしくは骨髄移植を受けている対象、免疫抑制薬を服用している対象、血液透析を受けている対象、癌を有する対象、又は新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、もしくはそのリスクに曝されている対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又は本明細書に提供されるその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、又は17歳の小児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている幼児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12カ月齢の幼児である対象に投与される。さらに別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、新生物性疾患を患っているか、それを起こしやすいか、又はそのリスクに曝されている高齢対象に投与される。より具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、又は90歳の高齢者対象である対象に投与される。本明細書に提供されるのは、新生物性疾患を起こしやすいか又はそのリスクに曝されている対象の癌を予防する方法である。
【0266】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又は本明細書に提供されるその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、癌転移のリスクが高まっている対象に投与される。具体的な実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、新生児の、それゆえ、未成熟な免疫系を有する、新生児期の対象に投与される。
【0267】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又は本明細書に提供されるその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、悪性度0(すなわち、上皮内新生物)、悪性度1、悪性度2、悪性度3、もしくは悪性度4の癌、又はこれらの下位カテゴリー、例えば、悪性度3A、3B、もしくは3C、又はその相当物を有する対象に投与される。
【0268】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、腫瘍T1、T2、T3、及びT4、並びに結節N0、N1、N2、又はN3、並びに転移M0及びM1から選択される任意の組合せの腫瘍、結節、転移(TNM)ステージの癌を有する対象に投与される。
【0269】
癌患者の治療の成功は、予想生存率の延長、抗腫瘍免疫応答の誘導、又は癌の特定の特徴の改善として評価することができる。改善され得る癌の特徴の例としては、腫瘍径(例えば、T0、T is、又はT1〜4)、転移の状態(例えば、M0、M1)、観測可能な腫瘍の数、結節病変(例えば、N0、N1〜4、Nx)、悪性度(すなわち、悪性度1、2、3、又は4)、ステージ(例えば、0、I、II、III、又はIV)、細胞表面又は体液中の特定のマーカー(例えば、AFP、B2M、β-HCG、BTA、CA 15-3、CA 27.29、CA 125、CA 72.4、CA 19-9、カルシトニン、CEA、クロモグラニンA、EGFR、ホルモン受容体、HER2、HCG、免疫グロブリン、NSE、NMP22、PSA、PAP、PSMA、S-100、TA-90、及びサイログロブリン)の存在又は濃度、及び/或いは関連する病的状態(例えば、腹水もしくは浮腫)又は症状(例えば、悪液質、発熱、食欲不振、もしくは疼痛)が挙げられる。この改善は、百分率で測定可能な場合、少なくとも5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、又は90%であることができる(例えば、生存、又は腫瘍の容積もしくは線寸法)。
【0270】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、休止状態の癌を有する対象(例えば、対象は寛解期にある)に投与される。したがって、本明細書に提供されるのは、癌の再活性化を予防する方法である。また本明細書に提供されるのは、癌の再発の頻度を低下させる方法である。
【0271】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、再発癌を有する対象に投与される。
【0272】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、癌の遺伝的素質を有する対象に投与される。別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、リスク因子を有する対象に投与される。例示的なリスク因子としては、加齢、タバコ、日光曝露、放射線曝露、化学物質曝露、家族歴、アルコール、貧しい食生活、身体活動の欠如、又は肥満が挙げられる。
【0273】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1種類以上の癌を患っている対象に投与される。他の実施態様において、本明細書に記載される組成物による治療の影響を受けやすい、任意のタイプの新生物性疾患、例えば、癌を標的とし得る。
【0274】
別の実施態様において、提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片又はその組合せを発現するアレナウイルス粒子を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、対象に投与することにより、新生物性細胞又は腫瘍、例えば、癌細胞又は腫瘍に対する細胞性免疫(CMI)が付与される。理論に束縛されるものではないが、別の実施態様において、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせた、提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片又はその組合せを発現するアレナウイルス粒子は、主要組織適合複合体(MHC)クラスI及びIIに対する抗原の直接提示のために、宿主の抗原提示細胞(APC)(例えば、マクロファージ)に感染し、対象となる抗原を発現する。別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、対象に投与することにより、複数機能性のIFN-γ及びTNF-αを同時に産生する規模の大きい癌特異的CD4+及びCD8+ T細胞応答が誘導され、新生物性疾患が治療される(IFN-γは、CD4+及びCD8+ T細胞によって産生され、TNF-αはCD4+ T細胞によって産生される)。
【0275】
別の実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物を、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与することにより、癌治療の1以上の臨床転帰が増大し又は改善される。そのような転帰の非限定的な例は、全生存率、無増悪生存率、無増悪期間、治療成功期間、無事象生存率、次の治療までの期間、全奏効率、及び奏効期間である。臨床転帰のうちの1つ又は複数の増大又は改善は、そのような治療の非存在下の同じ新生物性疾患を有する患者又は患者群と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%であるか、又はそれを上回るものであることができる。
【0276】
対象において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物を投与することにより誘導される、癌細胞又は腫瘍を含む、新生物性細胞又は腫瘍に対する細胞性免疫(CMI)応答機能の変化は、限定されないが、フローサイトメトリー(例えば、Perfetto S.P.らの文献、Nat Rev Immun. 2004; 4(8):648-55を参照)、白血球増殖アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、Ann Allergy Asthma Immunol. 2008; 101:101-4;及びHicks M.J.らの文献、Am J Clin Pathol. 1983; 80:159-63を参照)、活性化後の表面マーカー発現の変化の決定又はTリンパ球のサイトカインの測定を含むリンパ球活性化を測定するアッセイ(例えば、Caruso A.らの文献、Cytometry. 1997;27:71-6を参照)、ELISPOTアッセイ(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、J Immunol Methods. 1989; 120:1-8を参照)、又はナチュラルキラー細胞細胞傷害性アッセイ(例えば、Bonilla F.A.らの文献、Ann Allergy Asthma Immunol. 2005 May; 94(5 Suppl 1):S1-63を参照)を含む、当業者に公知の任意のアッセイによって測定することができる。
【0277】
任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせた、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物と組み合わせて投与される本明細書に記載される化学療法剤は、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド)、白金系治療剤、代謝拮抗物質、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、インターカレート剤、有糸分裂阻害剤、タキサン、又はこれらのうちの2つ以上の組合せであることができる。ある実施態様において、該アルキル化剤は、窒素マスタード、ニトロソウレア、アルキルスルホネート、非古典的アルキル化剤、又はトリアゼンである。ある実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミド、チオテパ、メクロレタミン(クロルメチン/ムスチン)、ウラムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、クロロナファジン、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード、ベンダムスチン、ブスルファン、インプロスルファン、ピポスルファン、カルムスチン、ロムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ニムスチン、ラニムスチン、ストレプトズシン(streptozucin)、シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、四硝酸トリプラチン、プロカルバジン、アルトレタミン、ダカルバジン、ミトゾロミド、テモゾロミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、カバジタキセル、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、カリケアマイシン、ダインマイシン、アムサクリン、ドキサルビシン(doxarubicin)、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、イダルビシン、ピラルビシン、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ、ウレドーパ、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホラミド(triethiylenethiophosphoramide)、トリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)、ブラタシン、ブラタシノン、カンプトテシン、トポテカン、ブリオスタチン、カリスタチン、CC-1065、アドゼレシン、カルゼレシン、ビゼレシン、クリプトフィシン、ドラスタチン、デュオカルマイシン、KW-2189、CB1-TM1、エレウテロビン、パンクラチスタチン、サルコジクチイン、スポンギスタチン、クロドロネート、エスペラマイシン、ネオカルジノスタチン発色団、アクラシノマイシン(aclacinomysin)、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシニス(chromomycinis)、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル(5-FU)、デノプテリン、プテロプテリン、トリメトレキセート、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン、ミトタン、トリロスタン、フロリン酸(frolinic acid)、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、エニルウラシル、ベストラブシル、ビサントレン、エダトラキセート、デホファミン、デメコルシン、ジアジコン、エルフォルミチン(elformithine)、酢酸エリプチニウム、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、レンチナン、ロニダイニン、メイタンシン、アンサミトシン、ミトグアゾン、モピダンモール(mopidanmol)、ニトラエリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジド、PSK多糖複合体、ラゾキサン、リゾキシン、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジコン、2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン; T-2トキシン、ベラクリンA、ロリジンA、及びアングイジン、ウレタン、ビンデシン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド(「Ara-C」)、エトポシド(VP-16)、ビノレルビン、ノバントロン、テニポシド、エダトレキセート、アミノプテリン、ゼローダ、イバンドロネート、イリノテカン(例えば、CPT-11)、トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000、ジフルオロメチルオルニチン(difluorometlhylornithine)(DMFO)、レチノイン酸、カペシタビン、プリコマイシン(plicomycin)、ゲムシタビン、ナベルビン、トランスプラチナ、並びに上記のもののいずれかの医薬として許容し得る塩、酸、又は誘導体のうちの1つ又は複数を含む。具体的な実施態様において、該化学療法剤は、シクロホスファミドを含む。
【0278】
任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせた、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現するアレナウイルス粒子又はその組成物と組み合わせて投与される本明細書に記載される免疫チェックポイントモジュレーターは、負のチェックポイントレギュレーターの活性を阻害するか、減少させるか、又は妨害する免疫チェックポイントインヒビターであることができる。ある実施態様において、該負のチェックポイントレギュレーターは、細胞傷害性T-リンパ球抗原-4(CTLA-4)、CD80、CD86、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3;別名、CD223)、ガレクチン-3、B及びTリンパ球アテニュエーター(BTLA)、T細胞膜タンパク質3(TIM3)、ガレクチン-9(GAL9)、B7-H1、B7-H3、B7-H4、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT/Vstm3/WUCAM/VSIG9)、T細胞活性化のV-ドメインIgサプレッサー(VISTA)、グルココルチコイド誘導性腫瘍壊死因子受容体関連(GITR)タンパク質、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、OX40、CD27、CD28、CD137、CGEN-15001T、CGEN-15022、CGEN-15027、CGEN-15049、CGEN-15052、並びにCGEN-15092からなる群から選択される。ある実施態様において、該免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD-1抗体である。
【0279】
ある実施態様において、本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、好ましくは、腫瘍内注射によって、すなわち、腫瘍内に直接投与される。ある実施態様において、そのような腫瘍内注射は、複数回の注射(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、25、30、40、45、又は50回の注射)によって投与される。ある実施態様において、該複数回の注射は、異なるアレナウイルス粒子、例えば、外来抗原を発現しない第一のアレナウイルス粒子及び本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第二のアレナウイルス粒子を投与する。
【0280】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、2回以上の別々の注射で、1時間の期間、2時間の期間、3時間の期間、6時間の期間、12時間の期間、24時間の期間、又は48時間の期間をかけて投与される。
【0281】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、2回以上の別々の注射で、3日間の期間、5日間の期間、1週間の期間、2週間の期間、3週間の期間、4週間の期間、又は12週間の期間をかけて投与される。
【0282】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、2回以上の別々の注射で、6カ月の期間、12カ月の期間、24カ月の期間、又は48カ月の期間をかけて投与される。
【0283】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた時間に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2時間後にして投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2時間後に、3回目の投与を1回目の投与から6時間後にして投与される。
【0284】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2日後にして投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2日後に、3回目の投与を1回目の投与から6日後にして投与される。
【0285】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2週間後にして投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2週間後に、3回目の投与を1回目の投与から6週間後にして投与される。
【0286】
ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2カ月後にして投与される。ある実施態様において、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、1回目の投与を決められた日に、2回目の投与を1回目の投与から少なくとも2カ月後に、3回目の投与を1回目の投与から6カ月後にして投与される。
【0287】
ある実施態様において、本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、腫瘍周辺への注射によって投与される。
【0288】
ある実施態様において、本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子又はその組成物は、任意に、外来抗原を発現しない1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、別の方法によって投与される第二のセットの本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、腫瘍内注射によって投与される。ある実施態様において、該第二のセットの本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子は、全身に、例えば、静脈内に投与される。ある実施態様において、外来抗原を発現しない本明細書に提供される1以上のアレナウイルス粒子は、全身に、例えば、静脈内に投与される本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する1以上のアレナウイルス粒子と組み合わせて、腫瘍内に投与される。
【0289】
ある実施態様において、本方法は、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子と化学療法剤又は免疫チェックポイントモジュレーターなどの別の薬剤の共投与をさらに含む。ある実施態様において、該共投与は同時的である。別の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該他の薬剤の投与前に投与される。他の実施態様において、該アレナウイルス粒子は、該他の薬剤の投与後に投与される。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子と該他の薬剤の投与間隔は、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、又は約12時間である。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子と該他の薬剤の投与間隔は、約1日、約2日、約3日、約4日、約5日、約6日、約1週間、約8日、約9日、約10日、約11日、約12日、約13日、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間である。ある実施態様において、該アレナウイルス粒子と該他の薬剤の投与間隔は、約1カ月、約2カ月、約3カ月、約4カ月、約5カ月、又は約6カ月である。いくつかの実施態様において、本方法は、少なくとも1つの追加の療法を投与することをさらに含む。
【0290】
2つのアレナウイルス粒子が治療レジメンで投与される実施態様において、投与は、特に、1:1の比、1:2の比、1:5の比、1:10の比、1:20の比、1:50の比、1:100の比、1:200の比、1:300の比、1:400の比、1:500の比、1:600の比、1:700の比、1:800の比、1:900の比、1:1000の比:を含む、約1:1〜1:1000の範囲に及ぶモル比のものであり得る。ある実施態様において、外来抗原を発現しない1つのアレナウイルス粒子は、本明細書に提供される腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第二のアレナウイルス粒子と組み合わせて投与される。
【0291】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、固形腫瘍を治療する方法であって、第一のアレナウイルス粒子が「初回免疫」としてまず投与され、第二のアレナウイルス粒子が「追加免疫」として投与される、方法である。第一及び第二のアレナウイルス粒子は、同じもしくは異なる腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、もしくはその抗原性断片を発現することができるか、又は第一もしくは第二のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。その代わりに、又はさらに、いくつかのある実施態様において、「初回免疫」及び「追加免疫」投与は、異なる種に由来するアレナウイルス粒子を用いて行われる。ある具体的な実施態様において、「初回免疫」投与は、LCMVに由来するアレナウイルス粒子を用いて行われ、「追加免疫」は、フニンウイルスに由来するアレナウイルス粒子を用いて行われる。ある具体的な実施態様において、「初回免疫」投与は、フニンウイルスに由来するアレナウイルス粒子を用いて行われ、「追加免疫」は、LCMVに由来するアレナウイルス粒子を用いて行われる。
【0292】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第一のアレナウイルス粒子を投与し、その後、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第二のアレナウイルス粒子を投与することにより、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する単一のアレナウイルス粒子を投与するよりも大きい抗原特異的CD8+ T細胞応答がもたらされる。ある実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。ある実施態様において、該抗原特異的CD8+ T細胞数は、1回目の投与と比較して、2回目の投与の後、50%、100%、150%、又は200%増加する。ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第三のアレナウイルス粒子を投与することにより、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する2つの連続したアレナウイルス粒子を投与するよりも大きい抗原特異的CD8+ T細胞応答がもたらされる。ある実施態様において、該抗原特異的CD8+ T細胞数は、1回目の投与と比較して、3回目の投与の後、約50%、約100%、約150%、約200%、又は約250%増加する。
【0293】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、固形腫瘍を治療する方法であって、2以上のアレナウイルス粒子を投与することを含み、ここで、該2以上のアレナウイルス粒子が相同であり、かつ各投与間の時間間隔が、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約3カ月、約4カ月、約5カ月、約6カ月、約7カ月、約8カ月、約9カ月、約10カ月、約11カ月、約12カ月、約18カ月、又は約24カ月である、方法である。
【0294】
ある実施態様において、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第一のアレナウイルス粒子及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第二の非相同なアレナウイルス粒子を投与することにより、腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第一のアレナウイルス粒子及び腫瘍抗原、腫瘍関連抗原、又はその抗原性断片を発現する第二の相同なアレナウイルス粒子を投与するよりも大きいCD8+ T細胞応答が誘発される。ある実施態様において、該第一又は第二のアレナウイルス粒子は、外来抗原を発現しない。
【0295】
(5.7 組成物、投与、及び投薬量)
ある実施態様において、本明細書に提供されるアレナウイルス粒子を含む免疫原性組成物(例えば、ワクチン製剤)及び医薬組成物は、本明細書に提供される方法及び組成物とともに使用することができる。そのようなワクチン、免疫原性組成物、及び医薬組成物は、当技術分野の標準的な手順に従って製剤化することができる。
【0296】
別の実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を含む組成物である。そのような組成物は、固形腫瘍を治療する方法において使用することができる。別の具体的な実施態様において、本明細書に提供される免疫原性組成物を用いて、該組成物が投与される宿主で免疫応答を誘導することができる。本明細書に記載される免疫原性組成物は、ワクチンとして使用することができ、それに応じて、医薬組成物として製剤化することができる。具体的な実施態様において、本明細書に記載される免疫原性組成物は、対象(例えば、ヒト対象)の新生物性疾患の治療において使用される。他の実施態様において、該ワクチン、免疫原性組成物、又は医薬組成物は、動物及び/又はヒトへの投与に好適である。
【0297】
ある実施態様において、本明細書に提供されるのは、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子(又は異なるアレナウイルス粒子の組合せ)を含む免疫原性組成物である。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物は、医薬として許容し得る賦形剤をさらに含む。ある実施態様において、そのような免疫原性組成物はアジュバントをさらに含む。本明細書に記載される組成物と組み合わせて投与するためのアジュバントは、該組成物の投与前、該投与と同時、又は該投与後に投与することができる。いくつかの実施態様において、「アジュバント」という用語は、本明細書に記載される組成物と併せて又はその一部として投与された場合、アレナウイルス粒子に対する免疫応答を強化し、増強し、及び/又は亢進するが、該化合物が単独で投与された場合には、アレナウイルス粒子に対する免疫応答を発生させない化合物を指す。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、アレナウイルス粒子に対する免疫応答を発生させ、アレルギー又は他の有害反応を生じさせない。アジュバントは、例えば、リンパ球動員、B及び/又はT細胞の刺激、並びにマクロファージの刺激を含む、いくつかのメカニズムによって免疫応答を増強することができる。本発明のワクチン又は免疫原性組成物がアジュバントを含むか又は1以上のアジュバントと一緒に投与される場合、使用することができるアジュバントとしては、無機塩アジュバント又は無機塩ゲルアジュバント、粒子状アジュバント、微粒子状アジュバント、粘膜アジュバント、及び免疫刺激アジュバントを挙げることができるが、これらに限定されない。アジュバントの例としては、アルミニウム塩(ミョウバン)(例えば、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、及び硫酸アルミニウム)、3 De-O-アシル化モノホスホリルリピドA(MPL)(GB 2220211号を参照)、MF59(Novartis)、AS03(GlaxoSmithKline)、AS04(GlaxoSmithKline)、ポリソルベート80(Tween 80; ICL Americas社)、イミダゾピリジン化合物(国際公開WO2007/109812として公開された国際出願PCT/US2007/064857号を参照)、イミダゾキノキサリン化合物(国際公開WO2007/109813として公開された国際出願PCT/US2007/064858号を参照)、及びQS21などのサポニン(Kensilらの文献、ワクチン設計:サブユニット及びアジュバントアプローチ(Vaccine Design: The Subunit and Adjuvant Approach)(Powell及びNewman編、Plenum Press, NY, 1995);米国特許第5,057,540号を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施態様において、該アジュバントは、フロイントアジュバント(完全又は不完全)である。他のアジュバントは、モノホスホリルリピドAなどの免疫刺激剤と任意に組み合わせた水中油型エマルジョン(例えば、スクアレン又はピーナッツ油)である(Stouteらの文献、N. Engl. J. Med. 336, 86-91(1997)を参照)。
【0298】
該組成物は、単独で又は医薬として許容し得る担体と一緒に、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子を含む。遺伝子改変アレナウイルス粒子の懸濁液又は分散液、とりわけ、等張水性懸濁液又は分散液を使用することができる。該医薬組成物は滅菌することができ、かつ/或いは賦形剤、例えば、防腐剤、安定剤、湿潤剤、並びに/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩、及び/もしくは緩衝剤を含むことができ、それ自体公知の様式で、例えば、従来の分散及び懸濁プロセスによって調製される。ある実施態様において、そのような分散液又は懸濁液は、粘度調節剤を含むことができる。該懸濁液又は分散液は、約2〜8℃の温度で保持されるか、又は長期保存については優先的に、凍結し、その後、使用直前に解凍することができる。注射については、ワクチン又は免疫原性調製物は、水性溶液中で、好ましくは、ハンクス溶液、リンガー溶液、又は生理食塩水緩衝液などの生理的に適合性のある緩衝液中で製剤化することができる。該溶液は、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤などの製剤化剤を含有することができる。
【0299】
ある実施態様において、本明細書に記載される組成物は、防腐剤、例えば、水銀誘導体のチメロサールをさらに含む。具体的な実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、0.001%〜0.01%のチメロサールを含む。他の実施態様において、本明細書に記載される医薬組成物は、防腐剤を含まない。
【0300】
該医薬組成物は、約10
3〜約10
11フォーカス形成単位の遺伝子改変アレナウイルスを含む。非経口投与のための単位用量形態は、例えば、アンプル又はバイアル、例えば、約10
3〜10
10フォーカス形成単位又は10
5〜10
15個の物理的粒子の遺伝子改変アレナウイルス粒子を含有するバイアルである。
【0301】
別の実施態様において、本明細書に提供されるワクチン又は免疫原性組成物は、限定されないが、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、局所、皮下、経皮、鼻腔内、及び吸入経路を含む経路によって、並びにスカリフィケーション(例えば、二股針を用いて、皮膚の最上層から傷を付けること)によって、対象に投与される。具体的には、皮下、筋肉内、又は静脈内経路を使用することができる。
【0302】
鼻腔内への又は吸入による投与のために、本発明による使用のための調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスを用いて、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー提示の形態で好都合に送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬量単位は、定量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。吸入器又は送気器において使用するための、例えば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物とラクトース又はデンプンなどの好適な粉末基剤の粉末混合物を含めて製剤化することができる。
【0303】
活性成分の投薬量は、ワクチン接種の種類によって、並びに対象並びにその年齢、体重、個々の状態、個々の薬物動態データ、及び投与様式によって決まる。
【0304】
ある実施態様において、該組成物は、治療有効量のアレナウイルス粒子及び任意に、治療有効量の別の薬剤を含む、単一投薬量で患者に投与することができる。いくつかの実施態様において、該アレナウイルス粒子は、アレナウイルス粒子を、任意に別の薬剤と組み合わせて、治療有効量で含む、単一用量で患者に投与することができる。
【0305】
ある実施態様において、該組成物は、単一用量として患者に投与され、続いて、3〜6週間後に第二の用量で投与される。これらの実施態様によれば、追加免疫接種は、第二の接種後6〜12カ月の間隔で対象に投与することができる。ある実施態様において、追加免疫接種は、異なるアレナウイルス粒子又はその組成物を利用することができる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載される同じ組成物の投与を繰り返し、少なくとも1日、2日、3日、4日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3カ月、又は少なくとも6カ月間隔を空けることができる。
【0306】
ある実施態様において、アレナウイルス粒子を含むワクチン、免疫原性組成物、又は医薬組成物は、生ワクチンとして使用することができる。生アレナウイルス粒子の例示的な用量は、用量当たり10〜100PFU、又はそれより多くの生ウイルスと様々であり得る。いくつかの実施態様において、アレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子の好適な投薬量は、10
2、5×10
2、10
3、5×10
3、10
4、5×10
4、10
5、5×10
5、10
6、5×10
6、10
7、5×10
7、10
8、5×10
8、1×10
9、5×10
9、1×10
10、5×10
10、1×10
11、5×10
11、又は10
12pfuであり、対象に、必要なだけ間隔を空けて1回、2回、3回、又はそれより多くの回数投与することができる。別の実施態様において、生アレナウイルスは、0.2mLの用量が10
6.5〜10
7.5蛍光フォーカス単位の生アレナウイルス粒子を含有するように製剤化される。別の実施態様において、不活化ワクチンは、それが約15μg〜約100μg、約15μg〜約75μg、約15μg〜約50μg、又は約15μg〜約30μgのアレナウイルスを含有するように製剤化される。
【0307】
また提供されるのは、アレナウイルス粒子を活性成分として含む医薬調製物の形態のワクチンの製造のためのプロセス並びにアレナウイルス粒子の使用である。またさらに提供されるのは、本明細書に記載される新生物性疾患の治療において使用するための本明細書に提供されるアレナウイルス粒子と第二の薬剤の組合せである。ある実施態様において、該組合せは、同じ医薬組成物中にある。ある実施態様において、該組合せは、例えば、アレナウイルス粒子及び第二の薬剤が別々に投与されることになっている場合、同じ医薬組成物中にない。本出願の医薬組成物は、それ自体公知の様式で、例えば、従来の混合及び/又は分散プロセスによって調製される。
【0308】
また本明細書に提供されるのは、本明細書に記載される方法を実施するために使用することができる キットである。ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、1以上の容器を含むことができる。これらの容器は、保存のために、本明細書に提供される組成物(例えば、医薬組成物、免疫原性組成物、又はワクチン組成物)を入れることができる。またキットに含まれるのは、使用説明書である。これらの説明書は、その中に含まれる組成物を使用するための治療プロトコルを十分に詳しく記載している。例えば、該説明書は、新生物性疾患を治療する方法についての、本明細書に提供される投与(dosing)及び投与(administration)説明書を含むことができる。
【0309】
ある実施態様において、本明細書に提供されるキットは、各々が本明細書に記載される方法を実施するための活性成分を含有する容器を含む。
【0310】
(5.8 アッセイ)
(5.8.1 アレナウイルス検出アッセイ)
当業者であれば、当技術分野で公知の技法を用いて、本明細書に記載されるアレナウイルスゲノムセグメント又は3セグメント型アレナウイルス粒子を検出することができるであろう。例えば、RT-PCRをアレナウイルスに特異的なプライマーとともに用いて、ORFの野生型位置以外の位置にORFを担持するように改変されているアレナウイルスゲノムセグメント、又は3セグメント型アレナウイルス粒子を検出及び定量することができる。ウェスタンブロット、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫沈降、免疫細胞化学、又はFACSと組み合わせた免疫細胞化学を用いて、該アレナウイルスゲノムセグメント又は3セグメント型アレナウイルス粒子の遺伝子産物を定量することができる。
【0311】
(5.8.2 感染力を測定するためのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを、アレナウイルスベクター調製物の感染力を測定するために使用することができる。例えば、ウイルス/ベクター力価の決定は、「フォーカス形成単位アッセイ」(FFUアッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、相補細胞、例えば、MC57細胞をプレーティングし、ウイルス/ベクター試料の様々な希釈物を接種する。インキュベーション期間の後、細胞に単層を形成させ、ウイルスを細胞に付着させるために、単層をメチルセルロースで覆う。プレートをさらにインキュベートすると、もとの感染した細胞はウイルス子孫を放出する。メチルセルロースが重層されるため、新しいウイルスの拡散は、隣接する細胞に制限される。結果として、各々の感染性粒子は、フォーカスと呼ばれる感染した細胞の円形のゾーンを生じさせる。そのようなフォーカスを、LCMV-NP又はアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子によって発現される別のタンパク質に対する抗体及びHRPベースの呈色反応を用いて可視化し、それにより、計数可能にすることができる。ウイルス/ベクターの力価は、1ミリリットル当たりのフォーカス形成単位(FFU/mL)で計算することができる。
【0312】
(5.8.3 アレナウイルス粒子の増殖)
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の増殖は、当技術分野で公知の又は本明細書に記載される任意の方法(例えば、細胞培養)によって評価することができる。ウイルス増殖は、本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の連続希釈物を細胞培養物(例えば、Vero細胞又はBHK-21細胞)に接種することにより決定することができる。ウイルスを規定の時間インキュベーションした後、ウイルスを標準的な方法を用いて単離する。
【0313】
(5.8.4 血清ELISA)
動物(例えば、マウス、モルモット)のワクチン接種時の液性免疫応答の決定は、抗原特異的血清ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)によって行うことができる。簡潔に述べると、プレートを抗原(例えば、組換えタンパク質)でコーティングし、抗体の非特異的結合を回避するためにブロッキングし、血清の連続希釈物とともにインキュベートする。インキュベーション後、結合した血清抗体を、例えば、(全IgG又はIgGサブクラスを検出する)酵素結合抗種(例えば、マウス、モルモット)特異的抗体及びその後の呈色反応を用いて検出することができる。抗体力価は、例えば、終点幾何平均力価として決定することができる。
捕捉剤がビーズに架橋される免疫捕捉ELISA(IC-ELISA)を実施することもできる(Shanmughamらの文献、2010, Clin. Vaccine Immunol. 17(8):1252-1260を参照)。
【0314】
(5.8.5 誘導抗体の中和活性を測定するためのアッセイ)
血清中の中和抗体の決定は、ATCCから得たARPE-19細胞とGFPタグ化ウイルスとを用いる以下の細胞アッセイを用いて行う。さらに、外因性補体の源としての補助モルモット血清を使用する。このアッセイは、中和に使用する1日又は2日前に、384ウェルプレートに6.5×10
3細胞/ウェル(50μl/ウェル)を播種することにより開始する。中和は、細胞を含まない96ウェル滅菌組織培養プレート中、37℃で1時間行う。中和インキュベーション工程の後、混合物を細胞に添加し、プレートリーダーによるGFP検出のために、さらに4日間インキュベートする。陽性の中和ヒト血清を各々のプレートでアッセイ陽性対照として用いて、全ての結果の信頼性を確認する。力価(EC50)を4パラメータロジスティック曲線フィッティングを用いて決定する。追加の検査として、ウェルを蛍光顕微鏡で確認する。
【0315】
(5.8.6 プラーク減少アッセイ)
簡潔に述べると、LCMVについてのプラーク減少(中和)アッセイを、緑色蛍光タンパク質がタグ付けされている複製可能又は複製欠損性LCMVを用いて行い、5%ウサギ血清を外因性補体の源として使用することができ、プラークを蛍光顕微鏡観察によって数え上げることができる。中和力価を、対照(免疫前)血清試料における希釈と比較して、プラークの50%、75%、90%、又は95%減少をもたらす血清の最大希釈と定義することができる。qPCR LCMV RNAゲノムを、製造元によって提供されるプロトコルに従って、QIAamp Viral RNAミニキット(QIAGEN)を用いて単離する。LCMV RNAゲノム相当物を、SuperScript(登録商標)III Platinum(登録商標)One-Step qRT-PCRキット(Invitrogen)並びにLCMV NPコード領域又はアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチの一部に特異的なプライマー及びプローブ(FAMレポーター及びNFQ-MGBクエンチャー)を用いるStepOnePlusリアルタイムPCRシステム(Applied Biosystems)で実施される定量的PCRによって検出する。反応の温度プロファイルは: 60℃で30分、95℃で2分の後、95℃で15秒、56℃で30秒を45サイクルである。RNAを、試料の結果と、プライマー及びプローブ結合部位を含むLCMV NPコード配列又はアレナウイルス粒子もしくは3セグメント型アレナウイルス粒子の別のゲノムストレッチの断片に対応する、分光光学的に定量されたインビトロ転写RNA断片のlog10希釈系列から作成された標準曲線との比較によって定量する。
【0316】
(5.8.7 モルモット肺線維芽細胞(GPL)細胞における中和アッセイ)
簡潔に述べると、試験血清及び対照(ワクチン接種前)血清の連続希釈物を、補助ウサギ血清(1%)を外因性補体の源として含むGPL完全培地中で調製した。希釈系列は、1:40から1:5120に及んだ。血清希釈物をeGFPタグ化ウイルス(1ウェル当たり100〜200pfu)とともに37℃で30分間インキュベートし、その後、コンフルエントなGPL細胞を含む12ウェルプレートに移した。試料を3連で処理した。37℃で2時間のインキュベーションの後、細胞をPBSで洗浄し、GPL完全培地を再供給し、37℃/5%CO
2で5日間インキュベートした。プラークを蛍光顕微鏡観察により可視化し、計数し、対照ウェルと比較した。対照と比較してプラーク数の50%減少をもたらすその血清希釈を中和力価と表した。
【0317】
(5.8.8 ウェスタンブロッティング)
組織培養フラスコ中又は懸濁下で増殖させた感染細胞を、表示された感染後の時点でRIPA緩衝液(Thermo Scientific)を用いて溶解させるか、又は細胞溶解なしでそのまま使用する。試料を還元剤及びNuPage LDS試料緩衝液(NOVEX)とともに99℃に10分間加熱し、室温に冷却した後、電気泳動のために4-12%SDS-ゲルに充填する。タンパク質を、InvitrogenのiBlot Gel転写装置を用いて膜上にブロッティングし、ポンソー染色によって可視化する。最後に、調製物を対象となるタンパク質に対する一次抗体及びアルカリホスファターゼコンジュゲート二次抗体でプロービングし、その後、1-Step NBT/BCIP溶液(INVITROGEN)で染色する。
【0318】
(5.8.9 抗原特異的CD8+ T細胞増殖の検出のためのMHC-ペプチド多量体染色アッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、抗原特異的CD8+ T細胞応答を試験することができる。例えば、MHC-ペプチド四量体染色アッセイを使用することができる(例えば、Altman J.D.らの文献、Science. 1996; 274:94-96;及びMurali-Krishna K.らの文献、Immunity. 1998; 8:177-187を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含み、四量体アッセイを用いて、抗原特異的T細胞の存在を検出する。T細胞がそれに対して特異的なペプチドを検出するために、T細胞は、ペプチドと(通常、蛍光標識されている)抗原特異的T細胞用の特別仕様のMHC分子の四量体の両方を認識しなければならない。その後、四量体を、蛍光標識を介するフローサイトメトリーによって検出する。
【0319】
(5.8.10 抗原特異的CD4+ T細胞増殖の検出のためのELISPOTアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、抗原特異的CD4+ T細胞応答を試験することができる。例えば、ELISPOTアッセイを使用することができる(例えば、Czerkinsky C.C.らの文献、J Immunol Methods. 1983; 65:109-121;及びHutchings P.R.らの文献、J Immunol Methods. 1989; 120:1-8を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:免疫スポットプレートを抗サイトカイン抗体でコーティングする。細胞を免疫スポットプレート中でインキュベートする。細胞はサイトカインを分泌し、その後、洗い落とされる。その後、プレートを第二のビオチン化抗サイトカイン抗体でコーティングし、アビジン-HRPシステムで可視化する。
【0320】
(5.8.11 CD8+及びCD4+ T細胞応答の機能性の検出のための細胞内サイトカインアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを用いて、CD8 +及びCD4+ T細胞応答の機能性を試験することができる。例えば、フローサイトメトリーと組み合わせた細胞内サイトカインアッセイを使用することができる(例えば、Suni M.A.らの文献、J Immunol Methods. 1998; 212:89-98; Nomura L.E.らの文献、Cytometry. 2000; 40:60-68;及びGhanekar S.A.らの文献、Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology. 2001; 8:628-63を参照)。簡潔に述べると、このアッセイは、以下の工程を含む:特異的ペプチド又はタンパク質による細胞の活性化、タンパク質輸送のインヒビター(例えば、ブレフェルジンA)を添加して、サイトカインを細胞内に保持する。定義された時間、典型的には5時間のインキュベーションの後洗浄を行い、他の細胞マーカーに対する抗体を細胞に添加することができる。その後、細胞を固定し、透過処理する。蛍光団がコンジュゲートされた抗サイトカイン抗体を添加し、細胞をフローサイトメトリーによって解析することができる。
【0321】
(5.8.12 ウイルスベクターの複製欠損を確認するためのアッセイ)
感染性かつ複製可能なウイルス粒子の濃度を決定する当業者に公知の任意のアッセイを用いて、試料中の複製欠損性ウイルス粒子を測定することもできる。例えば、非相補細胞を用いるFFUアッセイをこの目的で使用することができる。
【0322】
さらに、プラークベースのアッセイは、ウイルス濃度をウイルス試料中のプラーク形成単位(PFU)に換算して決定するために使用される標準的な方法である。具体的には、非相補宿主細胞のコンフルエントな単層に様々な希釈のウイルスを感染させ、寒天などの半固形培地で覆って、ウイルス感染が無制限に拡大するのを防ぐ。ウイルスが感染し、固定された細胞単層内の細胞でそれ自体を複製するのに成功すると、ウイルスプラークが形成される(例えば、Kaufmann, S.H.; Kabelitz, D.の文献(2002)、微生物学の方法(Methods in Microbiology)、第32巻:感染の免疫学(Immunology of Infection)、Academic Press. ISBN 0-12-521532-0を参照)。プラーク形成は、解析されているウイルスによって、2〜14日間かかることがある。プラークを大まかに手作業で計数し、その結果を、プレートを調製するために使用した希釈係数と組み合わせて用いて、試料単位容量当たりのプラーク形成単位の数(PFU/mL)を計算する。PFU/mLの結果は、試料中の感染性複製可能粒子の数を表す。C-細胞を使用する場合、同じアッセイを用いて、複製欠損性アレナウイルス粒子又は3セグメント型アレナウイルス粒子の力価を測定することができる。
【0323】
(5.8.13 ウイルス抗原の発現についてのアッセイ)
当業者に公知の任意のアッセイを、ウイルス抗原の発現を測定するために使用することができる。例えば、FFUアッセイを実施することができる。検出のために、それぞれのウイルス抗原に対するモノクローナル又はポリクローナル抗体調製物を使用する(導入遺伝子特異的FFU)。
【0324】
(5.8.14 動物モデル)
本明細書に記載されるアレナウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために、インビボ動物モデルを使用することができる。ある実施態様において、3セグメント型アレナウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルとしては、マウス、モルモット、ウサギ、及びサルが挙げられる。好ましい実施態様において、アレナウイルスの組換え及び感染力を調べるために使用することができる動物モデルとしては、マウスが挙げられる。より具体的な実施態様において、アレナウイルス粒子の組換え及び感染力を調べるために使用することができるマウスは、I型インターフェロン受容体、II型インターフェロン受容体、及び組換え活性化遺伝子1(RAG1)の3つを欠損している。
【0325】
ある実施態様において、動物モデルを用いて、アレナウイルスの感染力及び導入遺伝子の安定性を決定することができる。いくつかの実施態様において、ウイルスRNAは、動物モデルの血清から単離することができる。技法は、当業者によって容易に理解される。ウイルスRNAを逆転写することができ、アレナウイルスORFを担持するcDNAを、遺伝子特異的プライマーを用いてPCR増幅することができる。フローサイトメトリーを用いて、アレナウイルスの感染力及び導入遺伝子の安定性を調べることもできる。
【0326】
(6.等価物)
本明細書に開示されるウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び組成物は、本明細書に記載される具体的な実施態様によって範囲を限定されるべきではない。実際、記載されているものに加えた、ウイルス、核酸、方法、宿主細胞、及び組成物の様々な改変が、前述の説明及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【0327】
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書に引用されており、これらの開示は、その全体が引用により組み込まれる。
【0328】
(7.配列)
表4の配列は、本明細書に記載される方法及び組成物とともに使用することができる例示的なアミノ酸配列及びヌクレオチド配列である。ある場合には、DNA配列を用いて、ウイルスゲノムセグメントのRNA配列を説明する。RNA配列は、DNA配列から容易に推定することができる。
(表4)
【表7】
【実施例】
【0329】
(8.実施例)
以下の実施例で使用されるコンストラクトは全て、人為的に3'UTRに並置され、かつその制御下で発現されるGP ORFを有する。
【0330】
(8.1 TC-1モデルにおける複製可能なアレナウイルスベクターの腫瘍内投与の有効性)
(8.1.1 実施例1:)
3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMVの抗腫瘍効果を、末梢投与と比較した腫瘍内投与後の腫瘍担持マウスで解析する。
【0331】
(研究デザイン)
C57BL/6マウスの右脇腹に、腫瘍発生のために1日目に、0.1mlのPBS中の1×10
5個のTC-1細胞を皮下接種するか(第1群〜第8群)、又は処置しないで放置する(第9群)。
【0332】
腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき(〜4日目)、マウスを、バッファー(第1群)、E6及びE7の発癌能力を無効にする5つの突然変異を保有するHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする高用量の複製可能なアレナウイルスベクター(「r3LCMV-E7E6」)(第2群)、低用量のr3LCMV-E7E6(第3群)、ベクター対照としてのレポーター遺伝子GFPを発現する高用量の複製可能なアレナウイルスベクター(「r3LCMV-GFP」)(もしくは類似物)(第4群)、低用量のr3LCMV-GFP(もしくは類似物)(第5群)で腫瘍内処置するか、又はバッファー(第6群)、r3LCMV-E7E6(第7群)、もしくはr3LCMV-GFP(もしくは類似物)(第8群)を静脈内注射する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。
【0333】
(8.1.2 実施例2(a):)
E6及びE7の発癌能力を無効にする5つの突然変異を保有するHPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(r3LCMV)ベクター、すなわち、r3LCMV-E7E6の抗腫瘍効果を、静脈内投与と比較した腫瘍内投与後のTC-1腫瘍モデルの腫瘍担持マウスで解析した。
【0334】
(研究デザイン:)
TC-1腫瘍担持マウスを、1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-E7E6(第1群及び第4群)、1×10
5 RCV FFUのレポーター遺伝子GFPを発現するr3LCMV、すなわち、r3LCMV-GFP(第2群及び第5群)、又はバッファー(対照の第3群及び第6群)で、静脈内(第1群〜第3群)又は腫瘍内(第4群〜第6群)処置した。腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングした。
【0335】
0日目に、8週齢の雌C57BL/6マウスの右脇腹に、1×10
5個の細胞のTC-1腫瘍細胞の単一細胞懸濁液を皮下接種した。腫瘍が触知可能となった(腫瘍内適用に好適なサイズ、すなわち、約100mm
3を有した)とき、マウスを無作為に割り付け、1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-E7E6(第1群)、1×10
5 RCV FFUのレポーター遺伝子GFPを発現するr3LCMV、すなわち、r3LCMV-GFP(第2群)、バッファー(第3群)で静脈内注射するか、又は1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-E7E6(第4群)、1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-GFP(第5群)、もしくはバッファー(第6群)で腫瘍内処置した。各々の群について、10匹のマウスを検討した。腫瘍サイズを2日毎に測定した。腫瘍が直径20mmのサイズに達したとき、マウスを屠殺した。規定の臨床徴候(例えば、腫瘍の潰瘍形成又は重度の体重減少)を有する動物は、腫瘍サイズにかかわらず、動物福祉規則に準拠して安楽死させた。
【0336】
図2は、(A)実験デザインの模式図、及び(B)腫瘍移植後の腫瘍増殖を提供している。腫瘍体積を式V=0.5L×W
2(式中、L(長さ)及びW(幅)は、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である)に従って計算した。各々の群の測定値は、1群当たり>50%のマウスが屠殺されたところまでプロットに含まれる。統計的有意差(
*P<0.05、
**P<0.005)を、二元配置ANOVAにより32日目まで、対照群(バッファー又はr3LCMV-GFP)の腫瘍体積をr3LCMV-E7E6処置群と比較することにより決定した。有意差を、二元配置ANOVAにより、r3LCMV-E7E6のi.v.投与とi.t.投与の間で、40、42、44、46、及び48日の時点でも観察した。(C)全生存。表示された群の全生存を示すログ-ランク・カプラン-マイヤープロット。
****統計的に有意(P<0.0001)。
【0337】
それぞれの結果は、r3LCMV-E7E6又はr3LCMV-GFPベクターによる腫瘍内処置及び静脈内処置が、存在するTC-1腫瘍の縮小をもたらすが、バッファー対照による処置はそれをもたらさないことを示している。しかしながら、i.v.投与又はi.t.投与のいずれかによってr3LCMV-GFPで処置されたマウスにおける腫瘍は、この場合もやはり、バッファー対照群で観察されたのと同様の増殖速度で増大し、同様の生存及び腫瘍増殖パターンを生じた。対照的に、r3LCMV-E7E6で静脈内又は腫瘍内処置されたマウスは、r3LCMV-GFP又はバッファー対照群と比較して腫瘍進行の明白な低下を示した。治療後の早い時点(〜10日)では、i.t.とi.v.が同程度の抗腫瘍効果を誘導したのに対し、より後の時点では、i.t.投与の効果がより強かった。重要なことに、r3LCMV-E7E6のi.v.処置ではなく、i.t.処置により、免疫適格C57BL/6マウスの皮下TC-1腫瘍が最終的に消失した。10匹の腫瘍担持マウスのうちの3匹が、r3LCMV-E7E6治療の開始から約19日以内に治癒し、r3LCMV-E7E6のi.t.投与が、TC-1モデルにおいて、10
5 RCV FFUの用量の単回投与後に、30%のマウスで腫瘍を根絶することが示された。
【0338】
(8.1.3 実施例2(b))
実施例2(a)の無腫瘍マウスに、反対側の脇腹への1×10
5個のTC-1腫瘍細胞の注射により再移植して、TC-1腫瘍から治癒したマウスが腫瘍特異的免疫防御を獲得したかどうかを決定する。対照として、同様の年齢の未処置のマウスに、TC-1腫瘍細胞を並行して移植する(1回目の移植)。腫瘍の形成及び増殖をモニタリングする。
【0339】
(8.1.4 実施例3:)
(i)異なるアレナウイルス由来の複製可能なHPV抗原発現ベクターを用いる非相同な初回免疫-追加免疫の組合せ及び/又は(ii)同じもしくは異なるアレナウイルスに由来する複製可能なHPV抗原発現ベクターを用いる異なる注射経路、すなわち、腫瘍内及び静脈内投与の組合せの抗腫瘍効果をTC-1腫瘍モデルの腫瘍担持マウスで解析する。
【0340】
(研究デザイン:)
1日目に、C57BL/6マウスの右脇腹に、1×10
5個のTC-1細胞を皮下接種する(第1群〜第15群)。
【0341】
腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき、マウスを、バッファー(第1群、第2群、第3群)、HPV16 E6とHPV16 E7の人工融合タンパク質をコードする複製可能なLCMVベクター(「r3LCMV-E7E6」)(第4群、第5群、第6群、第10群、第11群、第12群)、又はHPV16 E6とHPV16 E7の人工融合タンパク質をコードする複製可能なピキンデウイルスベクター(「r3PICV-E7E6」)(第7群、第8群、第9群、第13群、第14群、第15群)で、腫瘍内(第1群、第2群、第4群、第5群、第7群、第8群、第10群、第11群、第13群、第14群)又は静脈内(第3群、第6群、第9群、第12群、第15群)のいずれかで処置する。1回目の注射から10〜15日後、マウスを、バッファー(第1群、第2群、第3群)、r3LCMV-E7E6(第4群、第5群、第6群、第7群、第8群、第9群)、又はr3PICV-E7E6(第10群、第11群、第12群、第13群、第14群、第15群)で、腫瘍内(第1群、第3群、第4群、第6群、第7群、第9群、第10群、第12群、第13群、第15群)又は静脈内(第2群、第5群、第8群、第11群、第14群)のいずれかで処置する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。15の処置群を表5にまとめる。
表5.実施例3で言及された15の処置群のまとめ
【表8】
【0342】
(8.1.5 実施例4:)
HPV16 E6タンパク質とHPV16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする3セグメント型の複製可能なピキンデウイルス(PICV)ベクター、すなわち、r3PICV-E7E6、又はレポーター遺伝子GFPをコードする3セグメント型の複製可能なピキンデウイルス(PICV)ベクター、すなわち、r3PICV-GFPのいずれかの抗腫瘍効果を、全身投与と比較して、腫瘍内投与後に、TC-1腫瘍モデルの腫瘍担持マウスで解析した。さらに、該TC-1腫瘍モデルを用いて、HPV16 E7E6融合タンパク質をコードする異なる3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクターの抗腫瘍効果を、そのそれぞれの野生型ウイルス対応物の抗腫瘍効果と比較した。さらに、異なるアレナウイルス由来の複製可能なHPV抗原発現ベクターを用いた相同及び非相同な初回免疫-追加免疫の組合せの抗腫瘍効果も、TC-1腫瘍モデルの腫瘍担持マウスで解析した。
【0343】
(研究デザイン:)
0日目に、C57BL/6マウスの右脇腹に、1×10
5個のTC-1細胞を皮下接種した(第1群〜第10群)。腫瘍が約100mm
3のサイズに達したとき、マウスを無作為に割り付け、1×10
5 RCV FFUのr3PICV-E7E6(第1群、第3群、第9群、第10群)、1×10
5 RCV FFUのr3PICV-GFP(第2群及び第4群)、1×10
5 RCV FFUの組換え野生型LCMV(株WE由来の糖タンパク質を発現するLCMVクローン13)(第5群)、1×10
5 RCV FFUの組換え野生型ピキンデウイルス(第6群)、バッファー(対照の第7群)、又は1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-E7E6(第8群)のいずれかをi.v.(第1群及び第2群)又はi.t.(第3群〜第10群)注射した。第8群、第9群、及び第10群のマウスに追加免疫した、すなわち、1×10
5 RCV FFUのr3LCMV-E7E6(第8群及び第10群)又は1×10
5 RCV FFUのr3PICV-E7E6(第9群)の腫瘍内/皮下投与による初回免疫から21日後に、2回目の免疫を行った(すなわち、初回免疫後に腫瘍が触知可能とならなかった動物で、皮下注射を用いた)。各々の群について、8匹のマウスを検討した。
図3は、(A)実験デザインの模式図、(B)腫瘍移植後の腫瘍増殖、及び(C)ログ-ランク・カプラン-マイヤープロットによって示される表示された群の全生存を提供している。皮下腫瘍増殖を、腫瘍接種後4日目に始めて2日毎にモニタリングした。直径〜20mmの腫瘍サイズに達したとき、動物を屠殺した。腫瘍体積を式V=0.5L×W
2(式中、L(長さ)及びW(幅)は、それぞれ、腫瘍の長径及び短径である)に従って計算した。規定の臨床徴候(例えば、腫瘍の潰瘍形成又は重度の体重減少)を示す一部のマウスは、動物福祉規則に準拠して、最終的な腫瘍サイズに達する前に屠殺されなければならなかった。各々の群の測定値は、1群当たり>50%のマウスが屠殺されたところまでプロットに含まれる。
【0344】
図3に示されているように、それぞれの結果は、r3PICV-GFPによる腫瘍内処置及び静脈内処置(第2群及び第4群)又はピキンデ野生型ウイルスによる腫瘍内処置(第6群)が、バッファー対照群の動物(第7群)と比較して、TC-1腫瘍担持マウスで腫瘍増殖を阻害することも、全生存を増大させることもなかったことを示している。Kalkavanらの文献、Nat. Commun. 2017 Mar 1;8:14447(引用により完全に本明細書中に組み込まれる)によって以前に発表された報告と一致して、LCMV野生型ウイルス(第5群)による腫瘍内処置は、存在するTC-1腫瘍の(一時的な)縮小をもたらしたが;腫瘍サイズは再び増大し、バッファー対照群の場合と同様の腫瘍増殖速度が観察され、同様の全生存がもたらされた。著しく対照的に、腫瘍進行の明白な低下が、r3PICV-E7E6(第1群、第3群、第9群、第10群)で腫瘍内もしくは静脈内処置された動物又はr3LCMV-E7E6(第8群)で腫瘍内処置された動物で観察された。
図2に示されている結果と一致して、r3LCMV-E7E6による腫瘍内処置は、腫瘍を担持する8匹の免疫適格C57BL/6マウスのうちの2匹で皮下TC-1腫瘍の消失をもたらした。驚くことに、この実験において、最も強い抗腫瘍効果は、r3PICV-E7E6で静脈内処置された第1群のマウスで観察された。この実験群において、腫瘍は、r3PICV-E7E6の投与から約21日以内に、8匹のマウスのうちの4匹で消失した。
【0345】
これらの結果は、投与の経路がr3LCMV-E7E6又はr3PICV-E7E6で処置されたマウスにおける腫瘍進行の低下の要因であることを示している。特に、r3LCMV-E7E6によるマウスの腫瘍内処置は、r3LCMV-E7E6によるマウスの静脈内処置と比較して優れた結果(すなわち、r3LCMV-E7E6で腫瘍内処置された腫瘍を担持する8匹の免疫適格C57BL/6マウスのうちの2匹における皮下TC-1腫瘍の消失)をもたらした。対照的に、r3PICV-E7E6によるマウスの静脈内処置は、r3PICV-E7E6によるマウスの腫瘍内処置と比較して優れた結果(すなわち、r3PICV-E7E6の静脈内処置から約21日以内の8匹のマウスのうちの4匹における皮下TC-1腫瘍の消失)をもたらした。驚くことに、実施例2及び4のデータは、それぞれ、r3PICV-E7E6及びr3LCMV-E7E6によって媒介される顕著でかつ持続的な抗腫瘍制御が、少なくとも部分的には、これらのベクターによる腫瘍特異的抗原の発現によるものであることを示唆している。したがって、それぞれ、r3PICV-E7E6及びr3LCMV-E7E6の観察された治療効力は、i)腫瘍に対するウイルス複製の直接的な効果、又はii)腫瘍の内部及び周辺でのウイルス複製に起因する炎症、又はiii)腫瘍細胞内部で複製するウイルスに対する免疫の攻撃のいずれによっても完全に(又は大部分でさえも)説明することができない。これらのメカニズムのうちのいずれかが主な原因であれば、無関係なr3PICV-GFP及びr3LCMV-GFPベクター、並びにこれらの野生型ウイルス対応物は、同等の効果を有していたはずである。
【0346】
(8.2 B16F10及び/又はHCmel3マウス黒色腫モデルにおける複製可能なアレナウイルスベクターの腫瘍内投与の有効性)
(8.2.1 実施例5:)
腫瘍担持マウスにおける3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMVの全身投与と比較した腫瘍内投与の抗腫瘍効果をB16F10及び/又はHCmel3マウス黒色腫モデルで評価する。
【0347】
(研究デザイン:)
0日目に、B16F10/HCmel3腫瘍細胞をC57BL/6マウスに皮下移植する。腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき、マウスを、処置しないで放置するか(第1群)、バッファーで腫瘍内処置するか(第2群)、高用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、1以上の黒色腫抗原をコードするベクター混合物(例えば、r3LCMV-GP100とr3LCMV-Trp1とr3LCMV-Trp2)(第3群)、低用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、ベクター混合物(第4群)、高用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、対照、例えば、r3LCMV-GFPベクター(第5群)、低用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、対照、例えば、r3LCMV-GFPベクター(第6群)で処置するか、又はバッファー(第7群)、高用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、ベクター混合物(第8群)、もしくは高用量の3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、例えば、r3LCMV、対照、例えば、r3LCMV-GFPベクター(第9群)を静脈内注射する。1回目の投与から5〜15日後、1回目の投与の場合と同じ実験的処置(すなわち、ベクター又はバッファー)及び同じ投与経路を用いて、動物に追加免疫する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。
【0348】
(8.2.2 実施例6(a):)
腫瘍担持マウスにおける黒色腫抗原Trp2を発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、すなわち、r3LCMV-Trp2の全身投与と比較した腫瘍内投与の抗腫瘍効果をB16F10マウス黒色腫モデルで評価した。
【0349】
(研究デザイン:)
0日目に、2×10
5個のB16F10腫瘍細胞を、C57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達した7日目に、マウスを、処置しないで放置するか(第1群)、黒色腫抗原Trp2を発現する7×10
4Pfuの3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、r3LCMV-Trp2で腫瘍内処置するか(第2群)、又は7×10
4Pfuのr3LCMV-Trp2(第3群)を静脈内注射した。(A)腫瘍移植後の腫瘍増殖、及び(B)動物生存を経時的にモニタリングした(
図4)。
【0350】
r3LCMV-Trp2の腫瘍内投与と静脈内投与はどちらも、被験動物で腫瘍増殖に対する強い阻害効果を有し、生存を増大させた。しかしながら、最良の腫瘍制御(A)及び最高の生存率(B)(
図4)は、r3LCMV-Trp2の腫瘍内注射後に達成された。重要なことに、静脈内ベクター処置ではなく、腫瘍内ベクター処置だけが、被験動物の40%で皮下B16F101腫瘍を消失させた。r3LCMV-Trp2で腫瘍内免疫された生存マウスは、抗メラニン細胞指向性CD8+ T細胞応答の強い誘導を示す、注射部位での自己免疫関連色素脱失を発症した(
図4(C)、赤色の矢印)。
【0351】
(8.2.3 実施例6(b):)
実施例6(a)の無腫瘍マウスに、反対側の脇腹への2×10
5個のB16F10腫瘍細胞の注射により、〜120日後に再移植して、B16F10腫瘍から治癒したマウスが腫瘍特異的免疫防御を獲得するかどうかを決定した。対照として、同様の年齢の未処置のマウスに、2×10
5個のB16F10腫瘍細胞を移植した(1回目の移植)。腫瘍の形成及び増殖(A)並びに動物生存(B)をモニタリングした(
図5)。対照動物が急速な腫瘍発生を示したのに対し、実施例6(a)の生存マウス(すなわち、腫瘍内r3LCMV-Trp2処置後に皮下B16F101腫瘍を完全に消失させていたマウス)への腫瘍再移植後、腫瘍形成は観察されなかった。一貫して、これらの事前処置された動物では100%の生存率が観察されたのに対し、対照群のマウスは、腫瘍接種後30日よりも長い間、生存しなかった。
【0352】
(8.2.4 実施例7:)
無関係な対照抗原、すなわち、緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクターであるr3LCMV-GFP、又は黒色腫抗原Trp2を発現する3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、すなわち、r3LCMV-Trp2のいずれかの腫瘍内投与の抗腫瘍効果をB16F10マウス黒色腫モデルの腫瘍担持マウスで評価し、比較した。
【0353】
(研究デザイン:)
0日目に、2×10
5個のB16F10腫瘍細胞をC57BL/6マウスの脇腹に皮下移植した。腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達した7日目に、マウスを、処置しないで放置するか(第1群)、緑色蛍光タンパク質を発現する7×10
4Pfuの3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、r3LCMV-GFP(第2群)で腫瘍内処置するか、又は黒色腫抗原Trp2を発現する7×10
4Pfuの3セグメント型の複製可能なアレナウイルスベクター、r3LCMV-Trp2(第3群)を腫瘍内注射するかのいずれかにした。腫瘍移植後の腫瘍増殖を経時的にモニタリングした。
【0354】
r3LCMV-GFPとr3LCMV-Trp2の腫瘍内投与はどちらも、未処置の対照動物と比較して腫瘍増殖を遅延させた(
図6)。しかしながら、最初の遅延増殖の後、r3LCMV-GFPで処置されたマウスの腫瘍は、再びかつ対照群で観察されたものと同程度の増殖速度で増大した。対照的に、r3LCMV-Trp2で処置されたマウスは、r3LCMV-GFP又は対照群と比較して、明白でかつ持続的な腫瘍進行の低下を示した。
【0355】
(8.2.5 実施例8:)
(i)異なるアレナウイルスに由来する複製可能な黒色腫抗原発現ベクターを用いる非相同な初回免疫-追加免疫の組合せ及び/又は(ii)同じもしくは異なるアレナウイルスに由来する複製可能な黒色腫抗原発現ベクターを用いる代替の注射経路、すなわち、腫瘍内及び静脈内投与の組合せの抗腫瘍効果をB16F10及び/又はHCmel3マウス黒色腫モデルの腫瘍担持マウスで解析する。
【0356】
(研究デザイン:)
0日目に、B16F10/HCmel3腫瘍細胞をC57BL/6マウスに皮下移植する(第1群〜第15群)。
【0357】
腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき、マウスを、バッファー(第1群、第2群、第3群)、1以上の黒色腫抗原をコードする複製可能なLCMVベクター混合物(「r3LCMV-MEL」)(第4群、第5群、第6群、第10群、第11群、第12群)、又は1以上の黒色腫抗原をコードする複製可能なピキンデウイルスベクター混合物(「r3PICV-MEL」)(第7群、第8群、第9群、第13群、第14群、第15群)で、腫瘍内(第1群、第2群、第4群、第5群、第7群、第8群、第10群、第11群、第13群、第14群)又は静脈内(第3群、第6群、第9群、第12群、第15群)のいずれかで処置する。1回目の注射から10〜15日後、マウスを、バッファー(第1群、第2群、第3群)、r3LCMV-MEL(第4群、第5群、第6群、第7群、第8群、第9群)、又はr3PICV-MEL(第10群、第11群、第12群、第13群、第14群、第15群)で、腫瘍内(第1群、第3群、第4群、第6群、第7群、第9群、第10群、第12群、第13群、第15群)又は静脈内(第2群、第5群、第8群、第11群、第14群)のいずれかで処置する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。15の処置群を表6にまとめる。
表6.実施例8で言及された15の処置群のまとめ
【表9】
【0358】
(8.3 実施例9: TC-1モデルにおける組合せ処置の有効性)
「空の」複製可能なアレナウイルスベクターの腫瘍内投与と、その後の、HPV抗原を発現する複製可能なアレナウイルスベクターの腫瘍内投与を用いる組合せ処置の抗腫瘍効果をTC-1腫瘍モデルの腫瘍担持マウスで解析する。
【0359】
(研究デザイン:)
1日目に、C57BL/6マウスの右脇腹に、1×10
5個のTC-1細胞を皮下移植する(第1群〜第10群)。
【0360】
腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき(〜4日目)、マウスを、バッファー(第1群、第2群、又は第3群)、外来抗原を発現しない高用量の複製可能なアレナウイルスベクター(「r3LCMV-empty」)(第4群、第5群、及び第6群)、低用量のr3LCMV-empty(第7群及び第8群)、E6及びE7の発癌能力を無効化する5つの突然変異を保有するHPV-16 E6タンパク質とHPV-16 E7タンパク質の人工融合タンパク質をコードする高用量の複製可能なアレナウイルスベクター(「r3LCMV-E7E6」)(第9群)で腫瘍内処置するか、又は高用量のr3LCMV-E7E6(第10群)を静脈内注射するかのいずれかにする。1回目の注射から10〜15日後、マウスを、バッファー(第1群)、高用量のr3LCMV-E7E6(第2群、第5群、及び第9群)、低用量のr3LCMV-E7E6(第7群)、高用量のr3LCMV-empty(第3群及び第6群)、低用量のr3LCMV-empty(第8群)で腫瘍内処置するか、又は高用量のr3LCMV-E7E6(第10群)を静脈内注射する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。10の処置群を表7にまとめる。
【0361】
表7.実施例9で言及された10の処置群のまとめ
【表10】
【0362】
(8.4 実施例10: B16F10及び/又はHCmel3マウス黒色腫モデルにおける組合せ処置の有効性)
「空の」複製可能なアレナウイルスベクターの腫瘍内投与と、その後の、黒色腫抗原を発現する複製可能なアレナウイルスベクターの混合物の腫瘍内投与を用いる組合せ処置の抗腫瘍効果をB16F10及び/又はHCmel3マウス黒色腫モデルの腫瘍担持マウスで解析する。
【0363】
(研究デザイン:)
0日目に、B16F10/HCmel3腫瘍細胞をC57BL/6マウスに皮下移植する(第1群〜第10群)。
【0364】
腫瘍が触知可能となり、腫瘍内適用に好適なサイズに達したとき)、マウスを、バッファー(第1群、第2群、又は第3)、外来抗原を発現しない高用量の複製可能なアレナウイルスベクター(第4群、第5群、及び第6群)、外来抗原を発現しない低用量の複製可能なアレナウイルスベクター(第7群及び第8群)、1以上の黒色腫抗原をコードする高用量の複製可能なアレナウイルスベクター混合物(「r3LCMV-MEL」)(r3LCMV-GP100とr3LCMV-Trp1とr3LCMV-Trp2のベクター混合物)、もしくはTrp2をコードする複製可能なアレナウイルスベクター(「r3LCMV-Trp2」)(第9群)のいずれかで腫瘍内処置するか、又は高用量のr3LCMV-MELもしくはr3LCMV-Trp2(第10群)で静脈内注射する。1回目の注射から10〜15日後に、マウスを、バッファー(第1群)、高用量のr3LCMV-MELもしくはr3LCMV-Trp2(第2群又は第5群)、低用量のr3LCMV-MELもしくはr3LCMV-Trp2(第7群)、高用量のr3LCMV-empty(第3群及び第6群)、低用量のr3LCMV-empty(第8群)で腫瘍内処置するか、又は高用量のr3LCMV-MELもしくはr3LCMV-Trp2(第10群)を静脈内注射する。腫瘍移植後の腫瘍増殖及び動物生存をモニタリングする。
【手続補正書】
【提出日】2020年2月3日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]
【国際調査報告】