特表2020-516812(P2020-516812A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-516812調整可能なかつ/または制御可能な温度監視装置を備えるコンプレッサシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-516812(P2020-516812A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(54)【発明の名称】調整可能なかつ/または制御可能な温度監視装置を備えるコンプレッサシステム
(51)【国際特許分類】
   F04C 29/02 20060101AFI20200515BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20200515BHJP
   F04C 18/344 20060101ALI20200515BHJP
   F04C 29/04 20060101ALI20200515BHJP
【FI】
   F04C29/02 331Z
   F04C18/16 A
   F04C18/344 351U
   F04C29/04 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2019-555908(P2019-555908)
(86)(22)【出願日】2017年9月19日
(85)【翻訳文提出日】2019年12月2日
(86)【国際出願番号】EP2017073590
(87)【国際公開番号】WO2018188768
(87)【国際公開日】20181018
(31)【優先権主張番号】102017107933.5
(32)【優先日】2017年4月12日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジル エブラール
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−バプティスト マールスコ
(72)【発明者】
【氏名】イェアク メラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァインホルト
【テーマコード(参考)】
3H040
3H129
【Fターム(参考)】
3H040AA08
3H040BB01
3H040BB11
3H040CC06
3H040CC09
3H040CC13
3H040CC21
3H040DD25
3H040DD37
3H129AA03
3H129AA05
3H129AB02
3H129BB01
3H129BB11
3H129BB43
3H129BB51
3H129CC12
3H129CC33
3H129CC48
3H129CC49
3H129CC57
(57)【要約】
本発明は、車両、特に商用車のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)に関し、少なくとも1つの油溜まり(22a,22a’)と少なくとも1つの温度監視装置(66;166,266;166’,266’)とを有する少なくとも1つのコンプレッサ(10,10’)と、少なくとも1つの熱交換器(74,74’)とを備え、コンプレッサ(10,10’)と、油溜まり(22a,22a’)と、熱交換器(74,74’)と、温度監視装置(66;166,266;166’,266’)とは、相互作用関係にあり、さらに温度監視装置(66;166,266;166’,266’)は、少なくとも1つのコンプレッサ始動切替状態と少なくとも1つのコンプレッサ低温切替状態とを有し、コンプレッサ始動切替状態は、油(22,22’)の少なくとも1つの第1の温度範囲に対応付けられており、コンプレッサ低温切替状態は、油(22,22’)の少なくとも1つの第2の温度範囲に対応付けられており、コンプレッサ始動切替状態では、コンプレッサ(10,10’)から流出する油(22,22’)は、油(22,22’)を加温するために少なくとも熱交換器(74,74’)を介してコンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であり、コンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサ(10,10’)から流出する油(22,22’)は、熱交換器(74,74’)を介さずにコンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に商用車のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)であって、少なくとも1つの油溜まり(22a,22a’)と少なくとも1つの温度監視装置(66;166,266;166’,266’)とを有する少なくとも1つのコンプレッサ(10,10’)と、少なくとも1つの熱交換器(74,74’)とを備え、前記コンプレッサ(10,10’)と、前記油溜まり(22a,22a’)と、前記熱交換器(74,74’)と、前記温度監視装置(66;166,266;166’,266’)とは、相互作用関係にあり、さらに前記温度監視装置(66;166,266;166’,266’)は、少なくとも1つのコンプレッサ始動切替状態と少なくとも1つのコンプレッサ低温切替状態とを有し、前記コンプレッサ始動切替状態は、油(22,22’)の少なくとも1つの第1の温度範囲に対応付けられており、前記コンプレッサ低温切替状態は、前記油(22,22’)の少なくとも1つの第2の温度範囲に対応付けられており、前記コンプレッサ始動切替状態では、前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、該油(22,22’)を加温するために少なくとも前記熱交換器(74,74’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であり、前記コンプレッサ低温切替状態では、前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、前記熱交換器(74,74’)を介さずに前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能である、コンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項2】
前記コンプレッサ(10,10’)は、オイルフィルタ(62,62’)をさらに有し、前記温度監視装置(66;166,266;166’,266’)の前記コンプレッサ低温切替状態では、前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、少なくとも前記オイルフィルタ(62,62’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であることを特徴とする、請求項1記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項3】
前記温度監視装置(66;166,266;166’,266’)は、少なくとも1つのコンプレッサ通常温度切替状態を有し、前記コンプレッサ通常温度切替状態では、前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、前記油(22,22’)を冷却するために少なくとも前記熱交換器(74,74’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であることを特徴とする、請求項1または2記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項4】
前記温度監視装置(166;166’)は、温度に依存して作動可能な少なくとも1つの制御(および/または調整)弁(166b;166b’)を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項5】
温度に依存して作動可能な前記制御(および/または調整)弁(166b,166b’)は、4ポート2位置方向制御(および/または調整)弁(166b,166b’)、特に4ポート2位置方向電磁制御(および/または調整)弁(166b,166b’)であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項6】
油温が、前記熱交換器(74,74’)内にある別の媒体の温度以下であるとき、温度に依存して作動可能な前記制御(および/または調整)弁(166b,166b’)は、前記コンプレッサ始動切替状態にあることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項7】
約50℃より低い、特に約40℃より低い油温では、温度に依存して作動可能な前記制御(および/または調整)弁(166b,166b’)は、前記コンプレッサ始動切替状態にあることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項8】
約50℃より高い、特に約40℃より高い油温で、かつ約90℃より低い、特に約80℃より低い油温では、温度に依存して作動可能な前記制御(および/または調整)弁(166b,166b’)は、前記コンプレッサ低温切替状態にあることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項9】
約90℃より高い、特に約80℃より高い油温では、温度に依存して作動可能な前記制御(および/または調整)弁(166b,166b’)は、前記コンプレッサ通常温度切替状態にあることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,100’)。
【請求項10】
前記温度監視装置(266,266’)は、少なくとも1つの第1のワックスサーモスタット弁(266c,266c’)と少なくとも1つの第2のワックスサーモスタット弁(266d,266d’)とを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(200,200’)。
【請求項11】
約−50℃より高い、特に約−40℃より高い油温で、かつ約50℃より低い、特に約40℃より低い油温では、前記第1のワックスサーモスタット弁(266c,266c’)は、第1の切替状態にあり、前記第2のワックスサーモスタット弁(266d,266d’)は、第1の切替状態にあり、これにより前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、該油(22,22’)を加温するために少なくとも前記熱交換器(74,74’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であることを特徴とする、請求項10記載のコンプレッサシステム(200,200’)。
【請求項12】
約50℃より高い、特に約40℃より高い油温で、かつ約90℃より低い、特に約80℃より低い油温では、前記第1のワックスサーモスタット弁(266c,266c’)は、第2の切替状態にあり、前記第2のワックスサーモスタット弁(266d,266d’)は、第1の切替状態にあり、これにより前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、少なくとも前記オイルフィルタ(62,62’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であることを特徴とする、請求項10または11記載のコンプレッサシステム(200,200’)。
【請求項13】
約90℃より高い、特に約80℃より高い油温で、かつ約120℃より低い、特に約110℃より低い油温では、前記第1のワックスサーモスタット弁(266c,266c’)は、第2の切替状態にあり、前記第2のワックスサーモスタット弁(266d,266d’)は、第2の切替状態にあり、これにより前記コンプレッサ(10,10’)から流出する前記油(22,22’)は、該油(22,22’)を冷却するために少なくとも前記熱交換器(74,74’)を介して前記コンプレッサ(10,10’)に戻るように案内可能であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(200,200’)。
【請求項14】
前記コンプレッサ(10,10’)の動作は、約120℃より高い、特に約110℃より高い油温で、スイッチオフ可能であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項15】
車両、特に商用車は、ハイブリッド駆動装置、特にハイブリッド主駆動装置、または電気的な駆動装置、特に電気的な主駆動装置を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項16】
前記熱交換器(74,74’)は、液体/液体熱交換器(74,74’)であることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項17】
前記熱交換器(74,74’)は、少なくとも、車両、特に商用車の、冷却されるべき電気的な構成要素と流体連通されていることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【請求項18】
前記コンプレッサ(10,10’)は、容積形コンプレッサ、特にスクリュコンプレッサ(10)および/またはロータリベーンコンプレッサ(10’)であることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載のコンプレッサシステム(100,200;100’,200’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの油溜まりと少なくとも1つの温度監視装置とを有する少なくとも1つのコンプレッサを備える、車両、特に商用車のコンプレッサシステムに関する。
【0002】
従来技術において、油温を監視する装置を有する、そのような油潤滑式のコンプレッサが既知である。
【0003】
そこで独国特許出願公開第3422398号明細書は、スクリュコンプレッサシステムを動作させる方法および装置を開示している。付加的な安全装置が、圧縮空気から分離された油の温度に依存して作用し、事前に決定された油温未満では、スクリュコンプレッサの空運転から停止状態への移行を阻止する。
【0004】
さらに独国特許出願公開第102004060417号明細書は、車両におけるモバイルユース用のコンパクトなスクリュコンプレッサを開示している。この発明を改善する構成手段によれば、スクリュコンプレッサユニットを冷却するのに必要である油回路は、熱交換器を介して、サーモスタット制御された、車両の冷却回路と連結可能である。
【0005】
その他に、独国特許出願公開第102010015150号明細書において、スクリュコンプレッサの様々な動作状態において変化する、スクリュコンプレッサの油溜まりにおけるオイルレベルを監視するかつ/または表示する装置が公知である。
【0006】
独国特許出願公開第102010035559号明細書において、ハイブリッド車両に使用される、同期切替装置を有する所定の補機駆動システムに用いられる方法がさらに開示されている。
【0007】
さらに欧州特許出願公開第1156213号明細書は、コンプレッサユニット内でファンを調整する方法を開示しており、そこでは、コンプレッサユニットは、少なくとも1つのコンプレッサ要素と、モータと、冷却装置とを含む。
【0008】
さらにDE60304555T2は、油噴射式のスクリュコンプレッサにおける油戻し案内を制御する方法を開示している。
【0009】
たとえばハイブリッド車両に使用される、従来技術において公知の油潤滑式のコンプレッサシステムは、通常は、コンプレッサシステム内に存在する油を冷却するために、水冷式の熱交換器を有する。
【0010】
この場合、油の冷却は、通常は、ワックスサーモスタットによって制御され、ワックスサーモスタットは、油を、ある程度の温度閾値から冷却のために熱交換器に供給する。より低い周囲温度の場合には、ワックスサーモスタットのいわゆる切替点に達することはない。というのも、コンプレッサが、通常は、連続的に動作させられるのではなく、部分負荷サイクルで作動するからである。したがって、油温およびコンプレッサの構成要素温度は、より低い周囲温度の場合には、通例では、比較的低いままである。その関連において、約90℃の範囲にある一般的な動作温度には到達しにくい。ここでは、コンプレッサのケーシングおよび弁において所望されない水または湿気の凝縮が生じてしまうおそれがある。
【0011】
したがって本発明の課題は、冒頭で述べたタイプの車両、特に商用車のコンプレッサシステムを、有利に発展させ、特に、コンプレッサをその温度管理に関して改善することができ、これによって、一般的な動作温度に達し、総じてコンプレッサをより効率的に動作可能にし、かつ起こり得る凝縮を阻止することが容易になるようにすることである。
【0012】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を有するコンプレッサシステムによって解決される。それによれば、車両、特に商用車のコンプレッサシステムであって、少なくとも1つの油溜まりと少なくとも1つの温度監視装置とを有する少なくとも1つのコンプレッサと、少なくとも1つの熱交換器とを備え、コンプレッサと、油溜まりと、熱交換器と、温度監視装置とは、相互作用関係にあり、さらに温度監視装置は、少なくとも1つのコンプレッサ始動切替状態と少なくとも1つのコンプレッサ低温切替状態とを有し、コンプレッサ始動切替状態は、油の少なくとも1つの第1の温度範囲に対応付けられており、コンプレッサ低温切替状態は、油の少なくとも1つの第2の温度範囲に対応付けられており、コンプレッサ始動切替状態では、コンプレッサから流出する油は、油を加温するために少なくとも熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内可能であり、コンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサから流出する油は、熱交換器を介さずにコンプレッサに戻るように案内可能である、ことが想定される。
【0013】
本発明は、たとえば低い外部温度に基づいた、かつ/またはたとえばより長い停止状態の後の必要に応じた始動動作中における、コンプレッサの構成要素の低い温度のときに、コンプレッサの油を加温するという基本思想によるものである。油の加温は、商用車の熱源と接続されたコンプレッサシステムの熱交換器を介して行われる。油の加温を調整するために、コンプレッサシステムは、付加的に、温度監視装置を有し、この温度監視装置は、コンプレッサのその都度の動作温度に依存して調整可能である。たとえば始動動作中のコンプレッサおよびコンプレッサの油の温度が、第1の低い温度範囲(たとえば0℃未満)にあるとき、温度監視装置は、コンプレッサの油が熱交換器を介して付加的に加温されるように調整されている。温度監視装置は、この第1の低い温度範囲では、コンプレッサ始動切替状態にある。コンプレッサ動作に基づいて、かつ事前に加温された油の供給によって、油が継続的にさらに加温されるので、温度監視装置は、第1の低い温度範囲から第2の温度範囲への移行後に、コンプレッサ低温切替状態に切り替わる。コンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサから流出する油は、もはや熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内されず、そこで加温される。
【0014】
その他には、コンプレッサが、オイルフィルタをさらに有し、温度監視装置のコンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサから流出する油が、少なくともオイルフィルタを介してコンプレッサに戻るように案内可能であることが想定されてよい。オイルフィルタを設けることは、コンプレッサの摩耗を低減するのに有利である。というのも、オイルフィルタは、動作に起因して生じる、摩耗をもたらす粒子を油から濾過し、これにより油を浄化するからである。加えて、温度監視装置のコンプレッサ低温切替状態の間に、コンプレッサから流出する油は、オイルフィルタを介してコンプレッサに再び戻るように案内されることが特に有利である。というのも、ここでは油が、すでに熱交換器のほぼ平均的な温度に達し、引き続きコンプレッサ動作を介して加温することができ、さらにこれにより熱交換器に付加的に負荷がかけられることがないからである。
【0015】
温度監視装置が、少なくとも1つのコンプレッサ通常温度切替状態を有し、コンプレッサ通常温度切替状態では、コンプレッサから流出する油が、油を冷却するために少なくとも熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内可能であることがさらに考えられる。コンプレッサの通常動作状態では、油が引き続きオイルフィルタだけを介して戻るように案内される場合には、油が加温されて、ある程度の動作期間の後で、結果として法的に許容される最高温度を超えるまたは温度に起因するコンプレッサの損傷が生じるようになる。したがって、温度監視装置は、第2の温度範囲(たとえば約80℃〜約90℃)を超える油温度では、コンプレッサ通常温度切替状態に切り替わるので、油は、ただしこの場合には油を冷却するために再び熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内される。
【0016】
温度監視装置が、温度に依存して作動可能な少なくとも1つの制御(および/または調整)弁を有することがさらに考えられる。制御(および/または調整)弁を設けることによって、温度監視装置の様々な切替状態においてオイルフィルタまたは熱交換器への油流れの極めて精密で、確実でかつ損失のない供給が可能となる。
【0017】
温度に依存して作動可能な制御(および/または調整)弁が、4ポート2位置方向制御(および/または調整)弁、特に4ポート2位置方向電磁制御(および/または調整)弁であることがさらに想定されてよい。4ポート2位置方向電磁制御(および/または調整)弁としての構成は、特に好適である。というのも、たとえば電子的な制御(または調整)装置の電気的な制御信号に対する応答が極めて迅速であると共に機能的に大きな可変性をもって制御可能であるまたは調整可能であるからである。さらに4ポート2位置方向制御(および/または調整)弁は、空圧式にまたは電気・空圧式に作動可能な4ポート2位置方向制御(および/または調整)弁として構成されてもよい。
【0018】
その他に、油温が、熱交換器内にある別の媒体の温度以下であるとき、温度に依存して作動可能な制御(および/または調整)弁が、コンプレッサ始動切替状態にあることが考えられる。これは、制御(および/または調整)弁を、制御(または調整)装置を用いて制御するまたは調整する極めて簡単で効率的な手段である。というのも、実質的に油温度が別の媒体の温度と比較されるからである。これは、たとえば、商用車の空気処理装置の制御(または調整)装置が油温および別の媒体の温度の温度信号を、まずはCANバスを介して受信して比較するように行うことができる。続いてこれに応じて、制御(および/または調整)弁は、相応に構成された信号によって制御または調整可能である。空圧式または電気・空圧式に作動可能な4ポート2位置方向制御(および/または調整)弁の場合には、油温または熱交換器内の別の媒体の温度の相応の信号を、前述のように、電子的な制御(または調整)装置を用いて比較して、これに応じて空圧的な切替信号が生成されることが考えられる。
【0019】
約50℃より低い、特に約40℃より低い油温では、温度に依存して作動可能な制御(および/または調整)弁が、コンプレッサ始動切替状態にあることがさらに考えられる。特に、約50℃より低い温度範囲では、熱交換器を介する油の加温が特に効率的である。というのも、熱交換器は、一般的に、約40℃〜約50℃の平均的な公称温度範囲で動作させられるからである。
【0020】
約50℃より高い、特に約40℃より高い油温で、かつ約90℃より低い、特に約80℃より低い油温では、温度に依存して作動可能な制御(および/または調整)弁が、コンプレッサ低温切替状態にあることも同様に考えられる。約40℃からの温度範囲で、コンプレッサは、すでに十分に事前に加温されているので、コンプレッサは、その後続の動作自体によって、熱交換器による付加的な支援なしに油の引き続きの加温を保証することができる。
【0021】
約90℃より高い、特に約80℃より高い油温では、温度に依存して作動可能な制御(および/または調整)弁が、コンプレッサ通常温度切替状態にあることがさらに想定されてよい。コンプレッサの負荷状態に応じて、コンプレッサの油温は、約80℃〜約90℃の温度範囲を超え得るので、これによって、安全な動作のために、油の新たな冷却が必要となり、したがって、制御(および/または調整)弁は、コンプレッサ通常温度切替状態に切り替わる。
【0022】
温度監視装置が、少なくとも1つの第1のワックスサーモスタット弁と少なくとも1つの第2のワックスサーモスタット弁とを有することが付加的に考えられる。ワックスサーモスタット弁は、比較的安価で多様に実証された、確実な、温度に依存する切替弁であるので、温度監視装置におけるその使用が特に有利である。
【0023】
これに関して、約−50℃より高い、特に約−40℃より高い油温で、かつ約50℃より低い、特に約40℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁が、第1の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁が、第1の切替状態にあり、これによりコンプレッサから流出する油は、油を加温するために少なくとも熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内可能であることが想定されてよい。特に、−約50℃〜約50℃にある温度範囲では、熱交換器を介する油の加温が特に効率的である。というのも、熱交換器は、一般的に、約40℃〜約50℃の温度範囲で動作させられるからである。約40℃〜約50℃のこの温度範囲の終端は、第1のワックスサーモスタット弁の開閉特性によるものである。
【0024】
約50℃より高い、特に約40℃より高い油温で、かつ約90℃より低い、特に約80℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁が、第2の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁が、第1の切替状態にあり、これによりコンプレッサから流出する油は、少なくともオイルフィルタを介してコンプレッサに戻るように案内可能であることも考えられる。約40℃からの温度範囲で、コンプレッサの油は、すでに十分に事前に加温されており、その動作によって、コンプレッサ自体が、油の引き続きの加温を保証することができる。約80℃〜約90℃のこの温度範囲の終端は、第2のワックスサーモスタット弁の開閉特性によるものである。
【0025】
約90℃より高い、特に約80℃より高い油温で、かつ約120℃より低い、特に約110℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁が、第2の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁が、第2の切替状態にあり、これによりコンプレッサから流出する油は、油を冷却するために少なくとも熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内可能であることがさらに考えられる。コンプレッサの負荷状態に応じて、コンプレッサの油温は、約80℃〜約90℃の温度範囲を越え得る。安全な動作のために、油の冷却が新たに必要となり、その結果、第1のワックスサーモスタット弁および第2のワックスサーモスタット弁の各々の第2の切替状態が生じるので、コンプレッサから流出する油は、再度熱交換器を介してコンプレッサに戻るように案内される。
【0026】
コンプレッサの動作が、約120℃より高い、特に約110℃より高い油温で、スイッチオフ可能であることがさらに考えられる。安全な動作の理由から、コンプレッサの動作を、約120℃より高い油温からスイッチオフし、その結果、第1に、熱交換器に過負荷がかけられず、またはより高い温度に対応して設計し、ひいてはコスト増となるようにしなくてよく、第2に、停止状態によりコンプレッサを冷却することができる。
【0027】
車両、特に商用車が、ハイブリッド駆動装置、特にハイブリッド主駆動装置、または電気的な駆動装置、特に電気的な主駆動装置を有することが想定されてよい。特に、車両のハイブリッド主駆動装置または電気的な主駆動装置との関連において、電気的な構成要素(たとえば電動モータまたはパワーエレクトロニクス)の排熱を好適にはコンプレッサの油を加温するための熱源として利用する可能性を提供する。
【0028】
熱交換器が、液体/液体熱交換器であることがさらに想定されてよい。液体/液体熱交換器は、利用可能な液体に基づいて、極め高い熱効率において優れており、これによって、油の加温または冷却をより効率的にかつより好適に行うことができる。
【0029】
熱交換器が、少なくとも、車両、特に商用車の、冷却されるべき電気的な構成要素と流体連通されていることがさらに考えられる。特に、商用車のハイブリッド主駆動装置または電気的な主駆動装置のパワーエレクトロニクスまたは電動モータは、言及された熱交換器を介してコンプレッサの油を加温するために用いることができる付加的な冷却回路を必要とする。この電気的な構成要素の比較的迅速な加温に基づいて、特にコンプレッサの油の加温を、さらに迅速に、かつこれによりさらに効率的に行うことができる。
【0030】
コンプレッサが、容積形コンプレッサ、特にスクリュコンプレッサおよび/またはロータリベーンコンプレッサであることがさらに想定されてよい。容積形ポンプは、比較的小さい質量流量または体積流量から平均的な質量流量または体積流量まで、極めて良好な作用効率を有し、比較的簡単に、したがって最適な重量で構成することができる。たとえば往復式コンプレッサ、スクロール式コンプレッサ、液封コンプレッサ、フリーピストン式コンプレッサまたはルーツ式コンプレッサなどの他の構成の容積形コンプレッサも同様に用いることができる。コンプレッサが、ターボ式コンプレッサであることがさらに考えられる。
【0031】
そこで、本発明のさらなる詳細および利点を、図示された2つの実施の形態に基づいて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】スクリュコンプレッサの形態のコンプレッサを有する、本発明に係るコンプレッサシステムの第1のまたは第2の実施の形態の部分概略断面図を示す。
図2図1によるコンプレッサシステムの第1の実施の形態の、本発明による温度監視装置の第1の実施の形態の第1の概略図を示す。
図3図2による温度監視装置の第1の実施の形態の第2の概略図を示す。
図4図1によるコンプレッサシステムの第2の実施の形態の、本発明による温度監視装置の第2の実施の形態の第1の概略図を示す。
図5図4による温度監視装置の第2の実施の形態の第2の概略図を示す。
図6図4による温度監視装置の第2の実施の形態の第3の概略図を示す。
図7】本発明に係るコンプレッサシステムの第3のまたは第4の実施の形態のロータリベーンコンプレッサ10’の形態のコンプレッサの概略断面図を示す。
図8図7によるコンプレッサシステムの第3のまたは第4の実施の形態の概略斜視図を示す。
図9図8によるコンプレッサシステムの第3の実施の形態の、本発明による温度監視装置の第3の実施の形態の第1の概略図を示す。
図10図9による温度監視装置の第3の実施の形態の第2の概略図を示す。
図11図8によるコンプレッサシステムの第4の実施の形態の、本発明による温度監視装置の第4の実施の形態の第1の概略図を示す。
図12図11による温度監視装置の第4の実施の形態の第2の概略図を示す。
図13図11による温度監視装置の第4の実施の形態の第3の概略図を示す。
図14】従来技術のコンプレッサシステムを有する車両のコンプレッサの油の加温および冷却回路の加温の温度・時間線図を示す。
図15図1図13による本発明に係るコンプレッサシステムを有する車両のコンプレッサの油の加温および冷却回路の加温の温度・時間線図を示す。
図16図14および図15による線図の対比を示す。
【0033】
図1は、本発明の第1のまたは第2の実施の形態によるコンプレッサシステム100,200のコンプレッサ10を概略断面図で示す。
【0034】
図1によるコンプレッサ10は、スクリュコンプレッサ10である。
【0035】
スクリュコンプレッサ10は、このスクリュコンプレッサ10を電動モータの形態のここでは図示されていない駆動装置に機械的に取り付けるための取付けフランジ12を有する。
【0036】
ただし入力軸14は、図示されており、入力軸14を介して、トルクが電動モータから両スクリュ16および18のうちの一方へ、つまりスクリュ16へ伝達される。
【0037】
スクリュ18は、スクリュ16と噛み合っていて、このスクリュ16を介して駆動される。
【0038】
スクリュコンプレッサ10は、ケーシング20を有し、ケーシング20内にスクリュコンプレッサ10の主要なコンポーネントが格納されている。
【0039】
ケーシング20には、油22が充填されている。
【0040】
油22は、スクリュコンプレッサ10の組み付けられた、動作準備が完了した状態で、その下側のケーシング領域に、油溜まり22aを形成する。
【0041】
空気入口側で、スクリュコンプレッサ10のケーシング20に、入口管片24が設けられている。この場合、入口管片24は、この入口管片24にエアフィルタ26が配置されるように構成されている。さらに、入口管片24には、半径方向に空気入口28が設けられている。
【0042】
入口管片24と、この入口管片24がケーシング20に装着された箇所との間の領域には、ばね付勢された弁インサート30が設けられており、ここでは弁インサート30は、軸方向シールとして構成されている。
【0043】
この弁インサート30は、逆止弁として用いられる。
【0044】
弁インサート30の下流側に、空気を両スクリュ16,18に供給する空気供給チャネル32が設けられている。
【0045】
両スクリュ16,18の出口側に、上昇管路36を有する空気出口管34が設けられている。
【0046】
上昇管路36の端部の領域には、温度センサ38が設けられており、温度センサ38を用いて、油温を監視することができる。
【0047】
空気出口領域には、空気/油分離要素42のためのホルダ40がさらに設けられている。
【0048】
空気/油分離要素のためのホルダ40は、組付け状態で、底部寄りの領域に(図1にも示されたように)空気/油分離要素42を有する。
【0049】
空気/油分離要素42の内側には、相応のフィルタスクリーンまたは公知の濾過・油分離装置44が設けられているが、これについてより詳細に特記することはしない。
【0050】
組み付けられた、動作準備が完了した状態(つまり図1に示された状態)に関して、中央上側の領域で、空気/油分離要素のためのホルダ40は、空気出口ポート46を有し、空気出口ポート46は、逆止弁48および最低圧力弁50に通じる。逆止弁48および最低圧力弁50は、組み合わされた共通の1つの弁として構成されてもよい。
【0051】
逆止弁48に続いて、空気出口51が設けられている。
【0052】
空気出口51は、通常は、相応に公知の圧縮空気消費器と接続されている。
【0053】
空気/油分離要素42内に存在する分離された油22を再びケーシング20に戻すように案内するために、上昇管路52が設けられており、上昇管路52は、空気/油分離要素42のためのホルダ40から出発して、ケーシング20への移行部に、濾過・逆止弁54を有する。
【0054】
濾過・逆止弁54の下流側には、ケーシング孔にノズル56が設けられている。油戻しガイド管路58が、スクリュ16またはスクリュ18のほぼ中央の領域へと戻るように通じ、これによりスクリュ16,18に再び油22が供給される。
【0055】
組付け状態にある、ケーシング20の底領域内に、油排出ねじ59が設けられている。油排出ねじ59を介して、相応の油排出開口を開いて、この油排出開口を介して、油22を排出させることができる。
【0056】
ケーシング20の下側領域には、オイルフィルタ62が取り付けられる付設部60も設けられている。ケーシング20内に配置されたオイルフィルタ入口チャネル64を介して、油22は、まずはサーモスタット弁66aとして構成された温度監視装置66へ導かれる。
【0057】
サーモスタット弁66aの代わりに、制御(および/または調整)装置が設けられてよく、制御(および/または調整)装置を用いて、ケーシング20内にある油22の油温が監視可能であり、この油温は、目標値に合わせて調整可能である。
【0058】
サーモスタット弁66aの下流側に、これに続いてオイルフィルタ62の油入口が位置し、オイルフィルタ62は、中央の戻しガイド管路68を介して、油22を、再びスクリュ18またはスクリュ16へ戻るように案内するが、軸14の油潤滑式の軸受70へも油22を案内する。軸受70の領域には、ノズル72がさらに設けられており、ノズル72は、ケーシング20内に、戻しガイド管路68に連通して設けられている。
【0059】
冷却器74が付設部60に配置されている。
【0060】
ケーシング20の(組付け状態に関して)上側の領域には、安全弁76が位置し、安全弁76を介して、ケーシング20内の高すぎる圧力を低下させることができる。
【0061】
最低圧力弁50の手前に、放圧弁80に通じるバイパス管路78が位置する。空気供給路32との接続によって駆動されるこの放圧弁80を介して、空気を、空気入口28の領域に戻すように案内することができる。この領域には、図示されていない空気抜き弁が、またノズル(供給管路の減径部)も設けられてよい。
【0062】
ケーシング20の外壁のほぼ管路34の高さに、オイルレベルセンサ82がさらに設けられてよい。このオイルレベルセンサ82は、たとえば光学センサであってよく、センサ信号に基づいて、作動時に油面がオイルレベルセンサ82よりも上方にあるかどうか、またはオイルレベルセンサ82が露出していて、これによって油面が相応に低下しているかどうかを検知できるように構成されかつ調整されている。
【0063】
このような監視との関連において、相応のエラー報知または警告報知をシステムのユーザに送信するまたは伝達するアラームユニットが設けられてもよい。
【0064】
図1に示されたスクリュコンプレッサ10の機能は、以下の通りである。
【0065】
空気は、空気入口28を介して供給され、逆止弁30を介してスクリュ16,18に到り、そこで空気が圧縮される。5倍〜16倍に圧縮された空気油混合物は、スクリュ16,18の後方で、出口管路34を通って上昇管36を介して上昇する。空気混合物は、温度センサ38へ直接に吹き付けられる。
【0066】
依然として部分的に油粒子を含む空気は、これに続いて、ホルダ40を介して空気/油分離要素42に導入されて、相応の最低圧に達する場合には、空気出口管路51に到る。
【0067】
ケーシング20内にある油22は、オイルフィルタ62を介して、かつ場合によっては熱交換器74を介して動作温度に保持される。
【0068】
冷却が不要な場合には、熱交換器74は使用されず、スイッチオンもされない。
【0069】
相応のスイッチオンは、サーモスタット弁66aを介して行われる。オイルフィルタ62における浄化後に、油は、管路68を介してスクリュ18またはスクリュ16に供給されるが、軸受70にも供給される。またスクリュ16またはスクリュ18には、戻しガイド管路52,58を介して油22が供給され、ここでは、油22の浄化は、空気/油分離要素42において行われる。
【0070】
トルクを、軸14を介してスクリュ16(スクリュ16はスクリュ18と噛み合う)へ伝達する、詳細には図示されていない電動モータを介して、スクリュコンプレッサ10のスクリュ16および18が駆動される。
【0071】
詳細には図示されていない放圧弁80に基づいて、供給路32の領域に、動作状態でたとえばスクリュ16,18の出口側に生成される高い圧力が閉じ込められることがなくなり、特にコンプレッサの始動時に、供給路32の領域に、常に低い入口圧が、特に大気圧が存在することが保証される。もしそうでない場合には、コンプレッサの始動とともに、最初に、駆動モータに過負荷をかけてしまう極めて高い圧力が、スクリュ16および18の出口側に生じることになる。
【0072】
図2は、本発明による温度監視装置166の第1の実施の形態の第1の概略図を示す。
【0073】
図2には、本発明に係る、商用車のコンプレッサシステム100の第1の実施の形態がさらに示されている。
【0074】
コンプレッサシステム100は、コンプレッサ10を有する。
【0075】
コンプレッサ10は、図2によれば、また後続の図3図6の詳細な説明に関連して、スクリュコンプレッサ10として構成されている。
【0076】
コンプレッサ10は、油22を含む油溜まり22aと、オイルフィルタ62と、温度監視装置166と、熱交換器74とをさらに含む。
【0077】
温度監視装置166は、温度に依存して作動可能な制御(または調整)弁166bとして構成されている。
【0078】
図2によれば、温度に依存して作動可能な制御(または調整)弁166bは、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bである。
【0079】
さらに、温度に依存して作動可能な制御(または調整)弁166bは、空圧式に作動可能な制御(または調整)弁166bであってもよい。
【0080】
コンプレッサ10の油溜まり22aと、オイルフィルタ62と、温度監視装置166と、熱交換器74とは、相互作用関係にある。
【0081】
したがって、コンプレッサ10は、コンプレッサ出口管路102を介して4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bと接続されている。
【0082】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、コンプレッサ10の下流側に配置されている。
【0083】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、弁出口管路104を介して熱交換器74とさらに接続されている。
【0084】
さらに熱交換器74は、熱交換器入口管路106と熱交換器出口管路108とを有する。
【0085】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、付加的に弁入口管路110を介して熱交換器74と接続されている。
【0086】
付加的に、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、オイルフィルタ入口管路112を介してオイルフィルタ62と接続されている。
【0087】
オイルフィルタ62は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bの下流側に配置されている。
【0088】
さらにオイルフィルタ62は、コンプレッサ入口管路114を介してコンプレッサ10と接続されている。
【0089】
さらにオイルフィルタ62は、コンプレッサ10の上流側に配置されている。
【0090】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、さらに信号線路116を介して、電子式のまたは空圧式の制御(または調整)装置(図2には示されていない)と電気的にまたは空圧的に接続されている。
【0091】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bの形態の温度監視装置166を有するコンプレッサシステム100の第1の実施の形態の機能を、以下に説明する。
【0092】
油溜まり22a内の油22には、コンプレッサ10の動作中に継続的にコンプレッサ10の作動圧が加えられるので、コンプレッサ10がその動作を開始すると直ちに、油溜まり22aの油22は、コンプレッサ出口管路102の付近から、コンプレッサ出口管路102を通ってコンプレッサ10から流出する。
【0093】
油22は、これに続いて、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bに進入するまで、コンプレッサ出口管路102を通流する。
【0094】
油温に依存して、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、相応に3つの温度範囲に対応付けられた切替状態を有する。
【0095】
したがって、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、コンプレッサ始動切替状態と、コンプレッサ低温切替状態と、コンプレッサ通常温度切替状態とを有する。
【0096】
油溜まり22a内、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166b内または接続管路102内の油22の温度を検出する温度センサによって、油温を、信号として、温度センサと電気的に接続された制御(または調整)装置へ伝達する。
【0097】
温度センサの信号に応答して、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを、制御(または調整)装置によって作動させることができる。
【0098】
約40℃より低い油温では、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、コンプレッサ始動切替状態にある(図2参照)。
【0099】
したがって、コンプレッサ始動切替状態は、油22の第1の温度範囲に対応付けられている。
【0100】
コンプレッサ10がより長い期間にわたって、たとえば一晩にわたる商用車の停止状態において動作しなかったとき、約40℃より低い第1の温度範囲が存在する。
【0101】
これに対して代替的に、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、油温が熱交換器74内にある別の媒体の温度以下であるとき、コンプレッサ始動切替状態にあってよい。
【0102】
この媒体は、水または水グリコール混合物または同等の冷媒であってよい。
【0103】
熱交換器74内、熱交換器入口管路106内または熱交換器出口管路108内の媒体の温度を検出する別の温度センサによって、媒体の温度を、同様に相応する信号として、温度センサと電気的に接続された制御(または調整)装置へ伝達することができる。
【0104】
制御(または調整)装置は、別の媒体の温度値を、商用車のデータバスを介して、車両冷却回路に対応付けられた測定部から受け取ることも可能である。
【0105】
両温度センサの各々の信号の比較に応答して、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを、制御(または調整)装置によって作動させることができる。
【0106】
コンプレッサ始動切替状態では、コンプレッサ10から流出する油22は、少なくとも、油22を加温するために熱交換器74を介して、コンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0107】
したがって、コンプレッサ始動切替状態では、コンプレッサ出口管路102は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを介して弁出口管路104と接続されており、これによって、油22は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bからまずは熱交換器74に流入し、その結果、加温される。
【0108】
熱交換器74の通流後に、油22は、弁入口管路110を通って再び4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bに戻るように流入し、再度この4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを通流する。
【0109】
これに続いて、油22は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bから離反し、オイルフィルタ入口管路112を介してオイルフィルタ62に流入し、そこで浄化される。
【0110】
続いて、加温された油22は、オイルフィルタ62から流出し、コンプレッサ入口管路114を介して再びコンプレッサ10に流入する。
【0111】
ゆえに、熱交換器74によって事前に加温された油22の流入によって、コンプレッサ10の加温が総じて促進される。
【0112】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、約40℃より低い温度まではコンプレッサ始動切替状態を維持する。
【0113】
約40℃より高い油温で、かつ約80℃より低い油温では、温度に依存して作動する4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、コンプレッサ低温切替状態にある。
【0114】
したがって、コンプレッサ低温切替状態は、油22の第2の温度範囲に対応付けられている。
【0115】
図3は、これに関して、コンプレッサ低温切替状態で、図2による4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bの第2の概略図を示す。
【0116】
コンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサ10から流出する油22は、熱交換器74を介さずにコンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0117】
したがって、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bのコンプレッサ低温切替状態では、コンプレッサ10から流出する油22は、少なくともオイルフィルタ62を介してコンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0118】
その際、コンプレッサ出口管路102は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを介して直接にオイルフィルタ入口管路112と接続されており、これによって、熱交換器74が迂回される。
【0119】
したがって、油22は、コンプレッサ出口管路102を介して、まずは4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bに流入する。
【0120】
これに続いて、油22は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bから流出し、オイルフィルタ入口管路112を介してオイルフィルタ62に流入し、そこで浄化される。
【0121】
続いて、油22は、オイルフィルタ62から流出し、コンプレッサ入口管路114を介して再びコンプレッサ10に流入する。
【0122】
4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、約80℃より低い油温までは、コンプレッサ低温切替状態を維持する。
【0123】
約80℃より高い油温では、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bは、コンプレッサ通常温度切替状態にある。
【0124】
したがって、コンプレッサ通常温度切替状態は、油22の第3の温度範囲に対応付けられている。
【0125】
油22が、コンプレッサ通常温度切替状態では新たに熱交換器74を(この場合にはもちろんその冷却のために)通流するので、すでにコンプレッサ始動切替状態(図2参照)のときと同一の、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bの切替位置が得られる。
【0126】
したがって、コンプレッサ通常温度切替状態では、コンプレッサ10から流出する油22は、新たに少なくとも、油22を冷却するために熱交換器74を介してコンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0127】
したがって、コンプレッサ通常温度切替状態では、コンプレッサ出口管路102は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを介して弁出口管路104と接続されており、これによって、油22は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bから熱交換器74に流入し、その結果、冷却される。
【0128】
最終的に、熱交換器74は、通常は、約40℃〜50℃の平均温度で動作させられる。
【0129】
熱交換器74の通流後に、油22は、弁入口管路110を通って再び4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bに戻るように流入し、再度この4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bを通流する。
【0130】
したがって、油22は、4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bから流出し、オイルフィルタ入口管路112を介してオイルフィルタ62に流入し、そこで浄化される。
【0131】
続いて、冷却された油22は、オイルフィルタ62から流出し、コンプレッサ入口管路114を介して再びコンプレッサ10に流入する。
【0132】
ゆえに、熱交換器74によって冷却された油22の流入によって、コンプレッサ10のさらなる加温が、コンプレッサ10の後続の動作中に抑止される。
【0133】
熱交換器74は、液体/液体熱交換器74として構成されている。
【0134】
コンプレッサ10の油22を4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁166bの切替状態に応じて冷却するまたは加温する媒体は、水または水グリコール混合物または同等の冷媒である。
【0135】
媒体(冷媒)は、商用車の冷却回路の形態の別の流体回路によって、熱交換器入口管路106を介して熱交換器74に供給され、熱交換器出口管路108を介して熱交換器74から再び排出される。
【0136】
さらに、熱交換器74は、商用車の冷却されるべき電気的な構成要素(図3には示されていない)と流体連通されている。
【0137】
図4は、さらに本発明による温度監視装置266の第2の実施の形態の第1の概略図を示す。
【0138】
図4には、商用車の、図1による本発明に係るコンプレッサシステム200の第2の実施の形態がさらに示されている。
【0139】
コンプレッサシステム200は、ケーシング20を有するコンプレッサ10を備える。
【0140】
コンプレッサ10は、油22を含む油溜まり22aと、オイルフィルタ62と、温度監視装置266と、熱交換器74とをさらに有する。
【0141】
本発明による温度監視装置266は、第1のワックスサーモスタット弁266cと第2のワックスサーモスタット弁266dとを有する。
【0142】
油溜まり22aは、コンプレッサ出口管路202を介して第1のワックスサーモスタット弁266cと接続されている。
【0143】
第1のワックスサーモスタット弁266cは、油溜まり22aの下流側に配置されている。
【0144】
第1のワックスサーモスタット弁266cは、さらに第1のサーモスタット弁管路204を介して、第2のワックスサーモスタット弁266dと接続されている。
【0145】
付加的に、第1のサーモスタット弁管路204から、第2のサーモスタット弁管路206が分岐しており、第2のサーモスタット弁管路206は、付加的に第2のワックスサーモスタット弁266dと接続されている。
【0146】
第2のワックスサーモスタット弁266dは、第1のワックスサーモスタット弁266cの下流側に配置されている。
【0147】
第2のワックスサーモスタット弁266dは、さらにオイルフィルタ入口管路208を介して、オイルフィルタ62と接続されている。
【0148】
オイルフィルタ62は、第2のワックスサーモスタット弁266dの下流側に配置されている。
【0149】
付加的に、第2のワックスサーモスタット弁266dは、サーモスタット弁出口管路210を介して熱交換器74と接続されている。
【0150】
熱交換器74は、第2のワックスサーモスタット弁266dの下流側に配置されている。
【0151】
その他に、第1のワックスサーモスタット弁266cは、サーモスタット弁バイパス管路212を介してサーモスタット弁出口管路210と接続されている。
【0152】
熱交換器74は、さらに第2のオイルフィルタ入口管路214を介して、オイルフィルタ62と接続されている。
【0153】
オイルフィルタ62は、さらにコンプレッサ入口管路216を介して、コンプレッサ10と接続されている。
【0154】
コンプレッサ出口管路202、第1のサーモスタット弁管路204、第2のサーモスタット弁管路206、第1のオイルフィルタ入口管路208、サーモスタット弁バイパス管路212およびコンプレッサ入口管路216は、コンプレッサ10のケーシング20のケーシング付設部218内に配置されている。
【0155】
サーモスタット弁出口管路210および第2のオイルフィルタ入口管路214は、少なくとも部分的にケーシング付設部218内に配置されている。
【0156】
ケーシング付設部218の外側において、サーモスタット弁出口管路210および第2のオイルフィルタ入口管路214は、露出した管路として構成されていて、相応の接続部を介してケーシング付設部218と接続されている。
【0157】
ケーシング付設部218の、ケーシング20とは反対側に、オイルフィルタ62がさらに配置されている。
【0158】
第1のワックスサーモスタット弁266cおよび第2のワックスサーモスタット弁266dの形態の温度監視装置266を有するコンプレッサシステム200の第2の実施の形態の機能を、以下に説明する。
【0159】
約−40℃より高い油温で、かつ約40℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁266cは、第1の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁266dも同様に第1の切替状態にある。
【0160】
これによって、コンプレッサ10から流出する油22は、少なくとも、油22を加温するために熱交換器74を介してコンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0161】
油溜まり22aにコンプレッサ10の作動圧が加えられるので、油22は、総じてまずは油溜まり22aから流出可能である。
【0162】
第1のワックスサーモスタット弁266cの第1の切替状態では、コンプレッサ出口管路202とサーモスタット弁バイパス管路212とが、第1のワックスサーモスタット弁266cを介して相互に流体連通されている。
【0163】
つまり、第2のワックスサーモスタット弁266dは、迂回されている。
【0164】
したがって、油22は、油溜まり22aから、コンプレッサ出口管路202と、第1のワックスサーモスタット弁266cと、サーモスタット弁バイパス管路212と、サーモスタット弁出口管路210とを介して、熱交換器74に流入し、そこで加温される。
【0165】
加温された油22は、続いて熱交換器74から流出し、第2のオイルフィルタ入口管路214を介してオイルフィルタ62に供給され、そこで浄化される。
【0166】
浄化後に、事前に加温された油22は、オイルフィルタ62から流出し、コンプレッサ入口管路216を介して再びコンプレッサ10に流入し、そこで油22は、コンプレッサ10の付加的な加温に寄与する。
【0167】
したがって、第1のワックスサーモスタット弁266cの第1の切替状態および第2のワックスサーモスタット弁266dの第1の切替状態は、コンプレッサ始動切替状態に対応付けられている。
【0168】
コンプレッサ10は、その動作に基づき、かつ事前に加温された油22の継続的な供給によって、約40℃の油温に至るまで漸次加温される。
【0169】
この温度から、第1のワックスサーモスタット弁266cのいわゆる切替点が得られる。
【0170】
これに続いて、第1のワックスサーモスタット弁266cは、第1の切替状態から第2の切替状態へと切り替わる。
【0171】
その目標は、ワックスサーモスタット弁266cが約40℃で完全に開放していることである。
【0172】
これは、図示の実施の形態の、図5に示された切替状態によっても得られる。
【0173】
図5は、これに関して、図4による第1のワックスサーモスタット弁266cおよび第2のワックスサーモスタット弁266dの形態の温度監視装置266の第2の実施の形態の第2の概略図を示す。
【0174】
約40℃より高い油温で、かつ約80℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁266cは、第2の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁266dは、第1の切替状態にある。
【0175】
これによって、コンプレッサ10から流出する油22は、少なくともオイルフィルタ62を介してコンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0176】
第1のワックスサーモスタット弁266cの第2の切替状態で、かつ第2のワックスサーモスタット弁266dの第1の切替状態では、第1のオイルフィルタ入口管路208は、第2のワックスサーモスタット弁266dを介して第1のサーモスタット弁管路204と流体連通されており、さらに第1のサーモスタット弁管路204は、第1のワックスサーモスタット弁266cを介してコンプレッサ出口管路202と流体連通されている。
【0177】
したがって、油22は、油溜まり22aから、コンプレッサ出口管路202を通って、第1のワックスサーモスタット弁266cを通流して、第1のサーモスタット弁管路204を通り、第2のワックスサーモスタット弁266dを通流して、第1のオイルフィルタ入口管路208を通って、オイルフィルタ62に流入し、そこで浄化される。
【0178】
浄化後に、油22は、オイルフィルタ62から流出し、コンプレッサ入口管路216を介して再びコンプレッサ10に流入し、そこで油22は、コンプレッサ10に再び供給される。
【0179】
したがって、第1のワックスサーモスタット弁266cの第2の切替状態および第2のワックスサーモスタット弁266dの第1の切替状態は、コンプレッサ低温切替状態に対応付けられている。
【0180】
コンプレッサ10は、その動作に基づいて、約80℃の油温までは継続的に引き続き加温される。
【0181】
約80℃の温度から、第2のワックスサーモスタット弁266dのいわゆる切替点が得られる。
【0182】
これに続いて、第2のワックスサーモスタット弁266dは、第1の切替状態から第2の切替状態へと切り替わる。
【0183】
図6は、これに関して、図4による第1のワックスサーモスタット弁266cおよび第2のワックスサーモスタット弁266dの形態の温度監視装置266の第2の実施の形態の第3の概略図を示す。
【0184】
約80℃より高い油温で、かつ約110℃より低い油温では、第1のワックスサーモスタット弁266cは、第2の切替状態にあり、第2のワックスサーモスタット弁266dは、第2の切替状態にある。
【0185】
したがって、コンプレッサ10から流出する油22は、少なくとも、油22を冷却するために熱交換器74を介して、コンプレッサ10に戻るように案内可能である。
【0186】
第1のワックスサーモスタット弁266cの第2の切替状態で、かつ第2のワックスサーモスタット弁266dの第2の切替状態では、サーモスタット弁出口管路210は、第2のワックスサーモスタット弁266dを介して、第1のサーモスタット弁管路204および第2のサーモスタット弁管路206と流体連通されており、さらに第1のサーモスタット弁管路204は、第1のワックスサーモスタット弁266cを介してコンプレッサ出口管路202と流体連通されている。
【0187】
したがって、油22は、油溜まり22aから、コンプレッサ出口管路202を通って、第1のワックスサーモスタット弁266cを介して、第1のサーモスタット弁管路204および第2のサーモスタット弁管路206に流入し、続いて第2のワックスサーモスタット弁266dおよびサーモスタット弁出口管路210を介して熱交換器74に流入し、そこで冷却される。
【0188】
冷却された油22は、熱交換器74から流出し、第2のオイルフィルタ入口管路214を介してオイルフィルタ62に供給され、そこで浄化される。
【0189】
浄化後に、冷却された油22は、オイルフィルタ62から流出し、続いてコンプレッサ入口管路216を介して再びコンプレッサ10に流入し、そこで油22は、コンプレッサ10の冷却に寄与する。
【0190】
したがって、第1のワックスサーモスタット弁266cの第2の切替状態および第2のワックスサーモスタット弁266dの第2の切替状態は、コンプレッサ通常温度切替状態に対応付けられている。
【0191】
コンプレッサ10は、その動作に基づいて、約110℃の油温を超えてさらに加温されることはない。というのも、熱交換器74が、さらなる加温を回避するのに十分に設計されているからである。
【0192】
さらにコンプレッサ10の動作は、約110℃より高い油温でスイッチオフ可能である。
【0193】
熱交換器74は、液体/液体熱交換器74として構成されている。
【0194】
コンプレッサ10の油22を第1のワックスサーモスタット弁266cおよび第2のワックスサーモスタット弁266dの切替状態に応じて冷却するまたは加温する媒体は、水または水グリコール混合物または同等の冷媒である。
【0195】
媒体(冷媒)は、商用車の冷却回路(図2図6には示されていない)としての別の流体回路によって、熱交換器入口管路106を介して熱交換器74に供給され、熱交換器出口管路108を介して熱交換器74から再び排出される。
【0196】
つまり、別の流体回路は、コンプレッサ10の油温に応じて、熱源またはヒートシンクとして用いられる。
【0197】
したがって、熱交換器74は、商用車の、冷却されるべき電気的な構成要素(図3には示されていない)と流体連通されている。
【0198】
付加的にまたは代替的に、熱交換器74は、商用車の、冷却されるべき電気モジュールおよび/または電子モジュールと流体連通されてよい。
【0199】
商用車は、そのためにハイブリッド主駆動装置または電気的な主駆動装置を有する。
【0200】
図7は、本発明に係るコンプレッサシステム100’,200’の第3のまたは第4の実施の形態によるロータリベーンコンプレッサ10’の形態のコンプレッサ10’の概略断面図を示す。
【0201】
図7によるコンプレッサ10’は、ロータリベーンコンプレッサ10’(英語:rotary vane compressor)である。
【0202】
コンプレッサ10は、図7によれば、また後続の図8図13の詳細な説明に関連して、ロータリベーンコンプレッサ10’として構成されている。
【0203】
ロータリベーンコンプレッサ10’は、偏心的に支持されたロータリピストン16’を有し、ロータリピストン16’は、その中に、半径方向に摺動可能にガイドされるとともにばね付勢された7つの分離ベーン17’を有する。
【0204】
ロータリピストン16’は、中空円筒形のケーシング20’により包囲されていて、ケーシング20’のケーシング内壁に、分離ベーン17’が密に摺接している。
【0205】
ケーシング内壁とロータリピストン16’との間に三日月形のチャンバが形成されており、このチャンバは、入口チャンバ21’と圧縮チャンバ23’とに分けられている。
【0206】
三日月形のチャンバは、通常は、分離ベーン17’によって、個々の三日月チャンバ領域に分けられる。
【0207】
入口チャンバ21’は、さらにケーシング20’内で空気入口開口32’と流体連通されている。
【0208】
圧縮チャンバ23’は、さらにケーシング20’内で空気出口開口34’と流体連通されている。
【0209】
ここでロータリベーンコンプレッサ10’の機能を以下に説明する。
【0210】
ロータリピストン16’および分離ベーン17’の回動に基づいて、空気が、空気入口開口32’から入口チャンバ21’に流入し、そこでは、空気は、三日月形のチャンバ領域で、隣り合う2つの分離ベーン17’の間に包囲されている。
【0211】
ロータリピストン16’のさらなる回動によって、包囲された空気が、先ずは入口チャンバ21’と、これに続く圧縮チャンバ23’とを通り抜け、これに続いて、そこで空気は、圧縮チャンバ23’の横断面の先細りに基づいて圧縮される。
【0212】
この圧縮された状態で、圧縮空気は、圧縮チャンバ23’と流体連通された空気出口開口34’に供給され、これに続いて、圧縮空気を、そこから商用車の別の圧縮空気装置または圧縮空気消費器に供給することができる。
【0213】
図8は、図7によるロータリベーンコンプレッサ10’を有するコンプレッサシステム100’,200’の第3のまたは第4の実施の形態を概略的に斜視図で示す。
【0214】
ロータリベーンコンプレッサ10’は、取付けフランジ12’によって、電動モータ13’にフランジ固定されており、電動モータ13’は、この電動モータ13’の制御のために、電動モータ13’と相互作用関係にある制御装置13a’を有する。
【0215】
さらにロータリベーンコンプレッサ10’のケーシング20’には、油22’が充填されている。
【0216】
油22’は、ロータリベーンコンプレッサ10’の組付けられた、動作準備が完了した状態で、その下側のケーシング領域に、油溜まり22a’を形成する。
【0217】
ロータリベーンコンプレッサ10’は、付加的に、エアフィルタ26’と空気/油分離要素42’とを有する。
【0218】
エアフィルタ26’を介して、空気入口28’が、ロータリベーンコンプレッサ10’のケーシング20’内で空気入口開口32’(図8には示されていない)と流体連通されている。
【0219】
さらに、空気/油分離要素42’を介して、空気出口開口34’(図8には示されていない)は、ロータリベーンコンプレッサ10’のケーシング20’内で空気出口51’と流体連通されている。
【0220】
電動モータ13’とロータリベーンコンプレッサ10’との間には、さらに熱交換器74’が配置されている。
【0221】
図9は、図8によるコンプレッサシステム100’の第3の実施の形態の、本発明による温度監視装置166’の第3の実施の形態の第1の概略図を示す。
【0222】
図9に示された、本発明による温度監視装置166’の第3の実施の形態は、図2に示された、本発明による温度監視装置166の第1の実施の形態と実質的に同一の構造的なかつ機能的な特徴を有する。
【0223】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0224】
以下に構造的な特徴の相違点だけが列挙される。
【0225】
コンプレッサシステム100’の第3の実施の形態は、ロータリベーンコンプレッサ10’を有する。
【0226】
図10は、図9による温度監視装置166’の第3の実施の形態の第2の概略図を示す。
【0227】
さらに図10に示された、本発明による温度監視装置166’の第3の実施の形態は、図3に示された、本発明による温度監視装置166の第1の実施の形態と実質的に同一の構造的なかつ機能的な特徴を有する。
【0228】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0229】
図11は、図8によるコンプレッサシステム200’の第4の実施の形態の、本発明による温度監視装置266’の第4の実施の形態の第1の概略図を示す。
【0230】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0231】
図11に示された、本発明による温度監視装置266’の第4の実施の形態は、図4に示された、本発明による温度監視装置266の第2の実施の形態と実質的に同一の構造的なかつ機能的な特徴を有する。
【0232】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0233】
以下に構造的な特徴の相違点だけが列挙される。
【0234】
コンプレッサシステム200’の第4の実施の形態は、ロータリベーンコンプレッサ10’を有する。
【0235】
図12は、図11による温度監視装置266’の第4の実施の形態の第2の概略図を示す。
【0236】
さらに図12に示された、本発明による温度監視装置266’の第4の実施の形態は、図5に示された、本発明による温度監視装置266の第2の実施の形態と実質的に同一の構造的なかつ機能的な特徴を有する。
【0237】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0238】
図13は、図11による温度監視装置266’の第4の実施の形態の第3の概略図を示す。
【0239】
さらに図13に示された、本発明による温度監視装置266’の第4の実施の形態は、図6に示された、本発明による温度監視装置266の第2の実施の形態と実質的に同一の構造的なかつ機能的な特徴を有する。
【0240】
同一のまたは同等の特徴または要素には、同一の、ただし付加的にダッシュを付けた符号を付してある。
【0241】
図14は、従来技術のコンプレッサシステムを有する商用車におけるコンプレッサの油の加温および冷却回路の加温の温度・時間線図を示す。
【0242】
図15は、図1図13による本発明によるコンプレッサシステム100,200;100’;200’による商用車におけるコンプレッサ10,10’の油の加温および冷却回路の加温の温度・時間線図を示す。
【0243】
図16は、図14および図15による温度・時間線図の対比を示す。
【符号の説明】
【0244】
10 スクリュコンプレッサ
12 取付けフランジ
14 入力軸
16 スクリュ
18 スクリュ
20 ケーシング
22 油
22a 油溜まり
24 入口管片
26 エアフィルタ
28 空気入口
30 弁インサート
32 空気供給チャネル
34 空気出口管
36 上昇管
38 温度センサ
40 空気/油分離要素のためのホルダ
42 空気/油分離要素
44 濾過スクリーンまたは公知の濾過・油分離装置
46 空気出口ポート
48 逆止弁
50 最低圧力弁
51 空気出口
52 上昇管
54 濾過・逆止弁
56 ノズル
58 油戻しガイド管路
59 油排出ねじ
60 付設部
62 オイルフィルタ
64 オイルフィルタ入口チャネル
66 温度監視装置
66a サーモスタット弁
68 戻しガイド管路
70 軸受
72 ノズル
74 熱交換器
76 安全弁
78 バイパス管路
80 放圧弁
82 オイルレベルセンサ
100 コンプレッサシステム
102 コンプレッサ出口管路
104 弁出口管路
106 熱交換器入口管路
108 熱交換器出口管路
110 弁入口管路
112 オイルフィルタ入口管路
114 コンプレッサ入口管路
116 信号線路
166 温度監視装置
166b 4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁
200 コンプレッサシステム
202 コンプレッサ出口管路
204 第1のサーモスタット弁管路
206 第2のサーモスタット弁管路
208 第1のオイルフィルタ入口管路
210 サーモスタット弁出口管路
212 サーモスタット弁バイパス管路
214 第2のオイルフィルタ入口管路
216 コンプレッサ入口管路
218 ケーシング付設部
266 温度監視装置
266c 第1のサーモスタット弁
266d 第2のサーモスタット弁
10’ ロータリベーンコンプレッサ
12’ 取付けフランジ
13’ 電動モータ
13a’ 電動モータの制御装置
16’ ロータリピストン
17’ 分離ベーン
20’ ケーシング
21’ 入口チャンバ
22’ 油
22a’ 油溜まり
23’ 圧縮チャンバ
26’ エアフィルタ
28’ 空気入口
32’ 空気入口開口
34’ 空気出口開口
42’ 空気/油分離要素
51’ 空気出口
62’ オイルフィルタ
74’ 熱交換器
100’ コンプレッサシステム
102’ コンプレッサ出口管路
104’ 弁出口管路
106’ 熱交換器入口管路
108’ 熱交換器出口管路
110’ 弁入口管路
112’ オイルフィルタ入口管路
114’ コンプレッサ入口管路
116’ 信号線路
166’ 温度監視装置
166b’ 4ポート2位置方向電磁制御(または調整)弁
200’ コンプレッサシステム
202’ コンプレッサ出口管路
204’ 第1のサーモスタット弁管路
206’ 第2のサーモスタット弁管路
208’ 第1のオイルフィルタ入口管路
210’ サーモスタット弁出口管路
212’ サーモスタット弁バイパス管路
214’ 第2のオイルフィルタ入口管路
216’ コンプレッサ入口管路
218’ ケーシング付設部
266’ 温度監視装置
266c’ 第1のサーモスタット弁
266d’ 第2のサーモスタット弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図16
【国際調査報告】