(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
第1の材料から形成される半導体基板であって、第1のn型ドープ領域を備える、半導体基板と、半導体基板によって支持されるフォトダイオードであって、フォトダイオードは光子を吸収し、吸収された光子から光キャリアを発生するように構成された吸収領域を含み、吸収領域は第1の材料と異なる第2の材料から形成され、第1のp型ドープ領域と、第1のn型ドープ領域に結合されている第2のn型ドープ領域とを含み、第2のn型ドープ領域の第2のドーピング濃度は第1のn型ドープ領域の第1のドーピング濃度未満であるか、または実質的に等しい、フォトダイオードとを備える光学装置が提供される。
前記第1のドーピング濃度および前記第2のドーピング濃度が、前記第1のn型ドープ領域の第1のフェルミ準位および前記第2のn型ドープ領域の第2のフェルミ準位が実質的に等しくなるように設定されている、請求項1に記載の光学装置。
前記第1のp型ドープ領域が前記吸収領域の第1の表面上に配置され、前記第2のn型ドープ領域が前記第1の表面に対向する第2の表面上に配置されている、請求項1に記載の光学装置。
1つまたは複数の読み出し回路に結合されている1つまたは複数の読み出し領域であって、前記フォトダイオードによって生成された光キャリアを前記1つまたは複数の読み出し回路に供給するように構成されている1つまたは複数の読み出し領域と、
前記フォトダイオードと前記1つまたは複数の読み出し領域との間のキャリア輸送を制御する1つまたは複数の制御信号に結合されている1つまたは複数のゲートとをさらに備える請求項1に記載の光学装置。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧が、閾値下領域または飽和領域内で前記第1のMOSFETトランジスタを動作させるように構成されている、請求項23に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧源が、前記第1のキャパシタによって積分される第1の暗電流と、前記第2のキャパシタによって積分される第2の暗電流とを、前記第1のMOSFETトランジスタを有しない相当する回路と比較して減少させる、請求項23に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧が、閾値下領域または飽和領域内で前記第1のMOSFETトランジスタおよび前記第2のMOSFETトランジスタを動作させるように構成されている、請求項29に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧源が、前記第1のキャパシタによって積分される第1の暗電流と、前記第2のキャパシタによって積分される第2の暗電流とを、前記第1のMOSFETトランジスタおよび前記第2のMOSFETトランジスタを有しない相当する回路と比較して減少させる、請求項29に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧が、閾値下領域または飽和領域内で前記第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタを動作させるように構成され、前記第2の制御電圧が、前記閾値下領域または前記飽和領域内で前記第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタを動作させるように構成されている、請求項35に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧源および前記第2の制御電圧源が、第1の期間に前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路に導き、第2の期間に前記光キャリアをステアリングして前記第2の読み出し回路に導くことによって前記回路を飛行時間型イメージングモードで動作させるように制御される、請求項35に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧源および前記第2の制御電圧源が、前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路および前記第2の読み出し回路に同期方式で導くことによって前記回路を強度イメージングモードで動作させるように制御される、請求項35に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第1の制御電圧源および前記第2の制御電圧源が、前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路および前記第2の読み出し回路のうちの一方に強度イメージングモードで動作している間に導くことによって前記回路を前記強度イメージングモードで動作させるように制御される、請求項35に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第2の制御電圧源および前記第3の制御電圧源が、第1の期間に前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路に導き、第2の期間に前記光キャリアをステアリングして前記第2の読み出し回路に導くことによって前記回路を飛行時間型イメージングモードで動作させるように制御される、請求項23または29に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第2の制御電圧源および前記第3の制御電圧源が、前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路および前記第2の読み出し回路に同期方式で導くことによって前記回路を強度イメージングモードで動作させるように制御される、請求項23または29に記載の回路。
前記回路の動作時に、前記第2の制御電圧源および前記第3の制御電圧源が、前記光キャリアをステアリングして前記第1の読み出し回路および前記第2の読み出し回路のうちの一方に強度イメージングモードで動作している間に導くことによって前記回路を前記強度イメージングモードで動作させるように制御される、請求項23または29に記載の回路。
【発明を実施するための形態】
【0054】
様々な図面中の同様の参照番号および名称は同様の要素を示す。図中に示されている様々な例示的な実施形態は単に例示するだけの図であり、必ずしも縮尺通りでないことも理解されるであろう。
【0055】
フォトダイオードは、光信号を検出し、この光信号を別の回路によってさらに処理され得る電気信号に変換するために使用されるものとしてよい。一般に、材料は様々な波長の光を吸収し、材料に関連受けられているエネルギーバンドギャップに応じて自由キャリアを生成する。たとえば、室温では、シリコンは1.12eVのエネルギーバンドギャップを有するものとしてよく、ゲルマニウムは0.66eVのエネルギーバンドギャップを有するものとしてよく、ゲルマニウム‐シリコン合金は、組成に応じて0.66eVから1.12eVの間のエネルギーバンドギャップを有するものとしてよい。一般に、より低いエネルギーバンドギャップを有する材料は、特定の波長でより高い吸収係数を有する。材料の吸収係数が低すぎる場合、光信号は、電気信号に効率よく変換できない。
【0056】
しかしながら、材料の吸収係数が高すぎる場合、自由キャリアは材料の表面の近くで生成され、再結合して効率を低下させ得る。シリコンは、そのバンドギャップが大きいのでNIR波長に対しては効率的なセンサ材料でない。他方で、ゲルマニウムは、より短い波長(たとえば、青色)に対しては高すぎることがある吸収係数を有し、自由キャリアは表面で再結合し得る。シリコンおよびゲルマニウム/ゲルマニウム‐シリコンを共通基板上に集積化するフォトダイオードアレイは、フォトダイオードアレイがシリコンを使用して可視光線を検出し、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンを使用してNIR光を検出する場合、フォトダイオードアレイが広い検出スペクトルを有することを可能にする。本出願では、「フォトダイオード」という用語は、「フォトディテクタ」という用語または「光センサ」という用語と交換可能に使用され得る。本出願では、「ゲルマニウム‐シリコン(GeSi)」、「シリコン‐ゲルマニウム(SiGe)」という用語は交換可能に使用されてよく、両方とも90%を超えるゲルマニウム(Ge)から90%を超えるシリコン(Si)へのすべての好適なSiGe組成組合せを含む。本出願において、GeSi層は、ブランケットエピタキシー、選択的エピタキシー、または他の該当する技術を使用して形成され得る。さらに、異なる組成を有する交互SiGe層などの複数の層を含むひずみ超格子構造が吸収または量子井戸構造を形成するために使用されてよい。
【0057】
図1は、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードがシリコンフォトダイオードと一体化されているフォトダイオードアレイ100の一例を示す図である。光イメージセンサアレイは、フォトダイオードアレイの一例である。フォトダイオードアレイ100は、基板102と、集積回路層104と、相互接続層106と、センサ層108と、フィルタ層110と、レンズ層112とを備える。一般に、単一波長または複数波長の光がレンズ層112に入るが、そこでは、光は、レンズ設計に従って、集束されるか、コリメートされるか、拡大されるか、または処理され得る。次いで、光はフィルタ層110に入るが、そこでは、フィルタ層110は特定の波長帯を有する光を通るように構成されているものとしてよい。センサ層108内のフォトダイオードは、入射光を自由キャリアに変換する。集積回路層104は、相互接続層106を通して自由キャリアを収集し、特定のアプリケーションに応じて自由キャリアを処理する。
【0058】
一般に、基板102は、シリコン基板、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板、または他の任意の好適なキャリア基板材料であってよい。集積回路層104の集積回路および相互接続層106の相互接続部は、CMOS加工技術を使用して加工され得る。たとえば、相互接続部は、誘電体層を通してコンタクトホールを乾式エッチングし、化学気相成長(CVD)を使用して銅をコンタクトホールに充填することによって形成され得る。さらに、レンズの形状は、凹状、凸状、表面構造を有する平面状、または他の形状とすることも可能であり、その形状は本明細書の例示的な図面の制限を受けるべきでない。
【0059】
センサ層108は、異なる波長帯の光を検出するためのフォトダイオードの複数のグループを備える。たとえば、フォトダイオード122a、122b、およびこの図に示されていない他のものを含むフォトダイオードのグループは、青色波長帯(たとえば、460nm±40nm)の光を検出するように構成され得る。別の例として、フォトダイオード124a、124b、およびこの図に示されていない他のものを含むフォトダイオードのグループは、緑色波長帯(たとえば、540nm±40nm)の光を検出するように構成され得る。別の例として、フォトダイオード126a、126b、およびこの図に示されていない他のものを含むフォトダイオードのグループは、赤色波長帯(たとえば、620nm±40nm)の光を検出するように構成され得る。別の例として、フォトダイオード128aおよびこの図に示されていない他のものを含むフォトダイオードのグループは、NIR波長帯(たとえば、850nm±40nm、940nm±40nm、または>1μm)の光を検出するように構成され得る。各フォトダイオードは、側壁スペーサ、トレンチ、または他の好適な分離構造を絶縁することによって分離され得る。
【0060】
いくつかの実装形態において、フォトダイオードが検出するように構成されている波長帯は、フィルタ層110内の光学フィルタによって制御され得る。たとえば、フォトダイオード126aは赤色波長帯を受け取るように構成され、中心波長、および波長帯の限界は、フォトダイオード126aより上のフィルタの特性によって制御される。フィルタは、誘電体材料の層を堆積することによって形成されるものとしてよく、特定の波長帯内の波長を有する光であればこのフィルタを通過し、その特定の波長帯を外れる波長を有する光であればフィルタによって反射される。フィルタは、フォトダイオード上に材料の層を形成することによっても形成されるものとしてよく、これにより特定の波長帯内の波長を有する光であればこのフィルタを通過し、その特定の波長帯を外れる波長を有する光であればフィルタによって吸収される。たとえば、シリコン層はゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード上に形成されるものとしてよく、シリコン層は可視光線を吸収するが、NIR光を透過する。
【0061】
いくつかの実装形態において、フォトダイオードが検出するように構成されている波長帯は、フォトダイオードの材料組成によって制御され得る。たとえば、ゲルマニウム‐シリコン合金中のゲルマニウム組成が増大すると、より長い波長においてフォトダイオードの感度が増大し得る。いくつかの実装形態において、フォトダイオードが検出するように構成されている波長帯は、光学フィルタとフォトダイオードの材料組成との組合せによって制御され得る。
【0062】
いくつかの実装形態において、可視光(たとえば、赤色、緑色、および青色)を検出するように構成されているフォトダイオードのグループはシリコンフォトダイオードであってよいが、NIR光を検出するように構成されているフォトダイオードのグループはゲルマニウムフォトダイオードまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。
【0063】
いくつかの他の実装形態において、可視光(たとえば、緑色および青色)を検出するように構成されているフォトダイオードの1つまたは複数のグループはシリコンフォトダイオードであってよいが、可視光(たとえば、赤色)を検出するように構成されているフォトダイオードの1つまたは複数の他のグループおよびNIR光を検出するように構成されているフォトダイオードのグループはゲルマニウムフォトダイオードまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。たとえば、赤色光を検出するフォトダイオードのグループは、NIR光を検出するフォトダイオードのグループ内のゲルマニウム−シリコンフォトダイオードに比べて低いゲルマニウム濃度を有するゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。いくつかの実装形態において、ゲルマニウム濃度は10%から100%の範囲内であってよい。別の例として、赤色光を検出するフォトダイオードのグループは、NIR光を検出するフォトダイオードのグループ内のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードと異なる厚さを有するゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。
【0064】
図2は、例示的なフォトダイオードアレイ200の図であり、2次元フォトダイオードアレイの上面図となっており、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードがシリコンフォトダイオードと一体化されている。フォトダイオードアレイ200内のフォトダイオードは、フォトダイオードアレイ100において説明されているフォトダイオードに類似している。フォトダイオードアレイ200のフォトダイオードがピクセルとして配置構成される。いくつかの実装形態において、シリコンフォトダイオードは可視光を検出するためにピクセルとして形成され、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードはNIR光を検出するためにピクセルとしてシリコン内に埋め込まれる。いくつかの他の実装形態において、シリコンフォトダイオードは青色および緑色光を検出するためにピクセルとして形成され、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードは赤色およびNIR光を検出するためにピクセルとしてシリコン内に埋め込まれる。
【0065】
図3は、ゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードがシリコンフォトダイオードと一体化されているフォトダイオードアレイ300の一例を示す図である。フォトダイオードアレイ300内のフォトダイオードは、フォトダイオードアレイ100において説明されているフォトダイオードに類似している。それに加えて、フォトダイオードアレイ300は、白色波長帯(たとえば、420nm±660nm)の光を検出するように構成されているフォトダイオード302a、302b、およびこの図に示されていない他のものを含む。いくつかの実装形態において、フォトダイオード302aおよび302bは、シリコンフォトダイオードであってもよい。いくつかの他の実装形態において、フォトダイオード302aおよび302bは、ダイオードの全体的な光吸収を改善するためにゲルマニウムまたはゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。たとえば、白色光を検出するフォトダイオードのグループは、NIR光を検出するフォトダイオードのグループ内のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードに比べて低いゲルマニウム濃度を有するゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。別の例として、白色光を検出するフォトダイオードのグループは、NIR光を検出するフォトダイオードのグループ内のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードと異なる厚さを有するゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードであってよい。
【0066】
図4Aは、可視光線および赤外線の光信号を検出するための例示的なフォトダイオード400を示している。例示的なフォトダイオード400は、共通基板上に形成されるNIRピクセル402と可視光ピクセル404を備える。NIRピクセル402および可視光ピクセル404は、分離構造406によって分離される。NIRピクセル402は、NIR波長帯内の波長を有する光信号を検出するように構成される。可視光ピクセル404は、可視光波長帯内の波長(たとえば、青色および/または緑色および/または赤色)を有する光信号を検出するように構成される。NIRピクセル402および可視光ピクセル404は、たとえば、
図1を参照して説明されているようにセンサ層108内のフォトダイオードであってよい。
【0067】
可視光ピクセル404は、n−Si領域412、p+Si領域413、p−Si領域414、n+Si領域415、第1のゲート416、第1のゲート416に結合された第1の制御信号417、およびn+Si領域415に結合された読み出し回路418を含む。n−Si領域412は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
16cm
−3にドープされ得る。p+Si領域413は、p+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、ホウ素で約5×10
20cm
−3である。p−Si領域414は、p型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、ホウ素で約10
15cm
−3にドープされ得る。n+Si領域415は、n+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、リンで約5×10
20cm
−3である。
【0068】
一般に、n−Si層412は光信号408を受け取り、光信号408を電気信号に変換する。光信号408はn−Si領域412に入り、n−Si領域412は光信号408を吸収し、吸収された光を自由キャリアに変換する。いくつかの実装形態において、光信号408は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号408のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0069】
一般に、p+Si領域413のフェルミ準位とn−Si領域412のフェルミ準位との間の差は、2つの領域の間に電界を発生し、n−Si領域412によって生成される自由電子は、電界によってp+Si領域413の下の領域にドリフトする。第1のゲート416は、第1の制御信号417に結合され得る。たとえば、第1のゲート416は電圧源に結合されてよく、第1の制御信号417は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第1の制御信号417はp+Si領域413の下の領域からn+Si領域415への自由電子の流れを制御する。たとえば、制御信号417の電圧が閾値電圧を超える場合、p+Si領域413の下の領域内に蓄積した自由電子はn+Si領域415へドリフトする。
【0070】
n+Si領域415は、第1の読み出し回路418に結合され得る。第1の読み出し回路418は、リセットゲート、ソースフォロワ、および選択ゲート、または自由キャリアを処理するのに適している任意の回路からなる3トランジスタ構成であってよい。いくつかの実装形態において、第1の読み出し回路418は、可視光ピクセル404に共通の基板上に加工され得る。たとえば、第1の読み出し回路418は、
図1を参照しつつ説明されているように集積回路層104上に加工され得る。他のいくつかの実装形態において、第1の読み出し回路418は、別の基板上に加工され、ダイ/ウェハボンディングまたはスタッキングを介して可視光ピクセル404と同一のパッケージに収められ得る。
【0071】
NIRピクセル402は、n−Si領域422、p+Si領域423、p−Si領域424、n+Si領域425、第2のゲート426、第2のゲート426に結合された第2の制御信号427、n+Si領域425に結合された第2の読み出し回路428、p+GeSi領域431、および真性GeSi領域433を含む。n−Si領域422は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
16cm
−3にドープされ得る。p+Si領域423は、p+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、ホウ素で約5×10
20cm
−3である。p−Si領域424は、p型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、ホウ素で約10
15cm
−3にドープされ得る。n+Si領域425は、n+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、リンで約5×10
20cm
−3である。
【0072】
一般に、真性GeSi層433は光信号408を受け取り、光信号408を電気信号に変換する。いくつかの実装形態において、光信号408は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のNIRフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号408のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0073】
いくつかの実装形態において、真性GeSi領域433の厚さは、0.05μmから2μmまでの範囲内であってよい。いくつかの実装形態において、真性GeSi領域433は、p+GeSi領域431を含み得る。p+GeSi領域431は、真性GeSi領域433から遠ざかるように光電子を反発させて表面再結合を回避し、それによってキャリア収集効率を増大させ得る。たとえば、p+GeSi領域431はp+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、真性GeSi領域433がゲルマニウムであり、ホウ素をドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。
【0074】
真性GeSi領域433内の生成された自由キャリアは、n−Si領域422内にドリフトまたは拡散し得る。一般に、p+Si領域423のフェルミ準位とn−Si領域422のフェルミ準位との間の差は、2つの領域の間に電界を発生し、n−Si領域422によって真性GeSi領域433から収集された自由電子は、電界によってp+Si領域423の下の領域にドリフトする。第2のゲート426は、第2の制御信号427に結合され得る。たとえば、第2のゲート426は電圧源に結合されてよく、第2の制御信号427は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第2の制御信号427はp+Si領域423の下の領域からn+Si領域425への自由電子の流れを制御する。たとえば、第2の制御信号427の電圧が閾値電圧を超える場合、p+Si領域423の下の領域内に蓄積した自由電子はn+Si領域425へドリフトする。n+Si領域425は、第2の読み出し回路428に結合され得る。第2の読み出し回路428は、第1の読み出し回路418に類似しているものとしてよい。
【0075】
図4Aに示されていないけれども、いくつかの他の実装形態において、可視光ピクセル404およびNIRピクセル402は、代替的に、電子の代わりに正孔を収集するように加工され得る。この場合、p+Si領域413および423は、n+Si領域によって置き換えられ、n−Si領域412および422は、p−Si領域によって置き換えられ、p−Si領域414および424は、n−Si領域によって置き換えられ、n+Si領域415および425は、p+Si領域によって置き換えられる。ここで示されている図面は例示し、動作原理を説明することを目的としていることに留意されたい。
【0076】
図4Bは、可視光線および赤外線の光信号を検出するための例示的なフォトダイオード450を示している。フォトダイオード450は、可視光ピクセル454およびNIRピクセル452を含む。可視光ピクセル454は、
図4Aを参照しつつ説明されているように、可視光ピクセル404に類似している。NIRピクセル452は、
図4Aを参照しつつ説明されているように、NIRピクセル402に類似している。ここで、光信号458および460を受け取る可視光ピクセル454およびNIRピクセル452の表面は平坦化された表面であり、真性GeSi領域462およびp+GeSi領域464は、酸化物層456内に埋め込まれる。たとえば、酸化物層456はp−Si領域466上に形成され得る。酸化物層456の厚さは、真性GeSi領域462の厚さとなるように選択され得る。センサ領域は、エッチングまたは他の任意の好適な技術によって酸化物層456内に形成され得る。ゲルマニウム‐シリコンはセンサ領域内に選択的に成長させられ真性GeSi領域462を形成し得る。可視光ピクセル454とNIRピクセル452との間の平坦化された表面は、フォトダイオード表面上の追加の処理および/または別個の基板上に形成されたデバイスとの接合を可能にする。
【0077】
図5は、可視光線および赤外線の光信号を検出するための例示的なフォトダイオード500を示している。例示的なフォトダイオード500は、共通基板上に形成されるNIRピクセル502と可視光ピクセル504を備える。NIRピクセル502および可視光ピクセル504は、分離構造506によって分離される。NIRピクセル502は、NIR波長帯内の波長を有する光信号を検出するように構成される。可視光ピクセル504は、可視光波長帯内の波長(たとえば、青色および/または緑色および/または赤色)を有する光信号を検出するように構成される。NIRピクセル502および可視光ピクセル504は、たとえば、
図1を参照して説明されているようにセンサ層108内のフォトダイオードであってよい。
【0078】
可視光ピクセル504は、n−Si領域512、p+Si領域513、p−Si領域514、n+Si領域515、第1のゲート516、第1のゲート516に結合された第1の制御信号517、およびn+Si領域515に結合された読み出し回路518を含む。n−Si領域512は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
16cm
−3にドープされ得る。p+Si領域513は、p+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、ホウ素で約5×10
20cm
−3である。p−Si領域514は、p型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、ホウ素で約10
15cm
−3にドープされ得る。n+Si領域515は、n+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、リンで約5×10
20cm
−3である。
【0079】
一般に、p+Si層513は光信号508を受け取る。p+Si層513の厚さは、一般的に、薄い(たとえば、100nm)ので、光信号508はn−Si領域512内に伝搬する。n−Si領域512は光信号508を吸収し、光信号508を自由キャリアに変換する。いくつかの実装形態において、光信号508は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号508のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0080】
一般に、p+Si領域513のフェルミ準位とn−Si領域512のフェルミ準位との間の差は、2つの領域の間に電界を発生し、n−Si領域512によって生成される自由電子は、電界によってp+Si領域513の下の領域にドリフトする。第1のゲート516は、第1の制御信号517に結合され得る。たとえば、第1のゲート516は電圧源に結合されてよく、第1の制御信号517は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第1の制御信号517はp+Si領域513の下の領域からn+Si領域515への自由電子の流れを制御する。たとえば、制御信号517の電圧が閾値電圧を超える場合、p+Si領域513の下の領域内に蓄積した自由電子はn+Si領域515へドリフトし収集される。n+Si領域515は、収集された電気信号を処理する第1の読み出し回路518に結合され得る。第1の読み出し回路518は、
図4Aを参照しつつ説明されているように第1の読み出し回路418に類似するものとしてよい。
【0081】
NIRピクセル502は、n−Si領域522、p−Si領域524、n+Si領域525、第2のゲート526、第2のゲート526に結合された第2の制御信号527、n+Si領域525に結合された第2の読み出し回路528、p+GeSi領域531、および真性GeSi領域533を含む。n−Si領域522は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
16cm
−3にドープされ得る。p−Si領域524は、p型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、ホウ素で約10
15cm
−3にドープされ得る。n+Si領域525は、n+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、リンで約5×10
20cm
−3である。
【0082】
p+GeSi層531は光信号535を受け取り、光信号535を電気信号に変換する。p+GeSi層531の厚さは、一般的に、薄い(たとえば、100nm)ので、光信号535は真性GeSi領域533内に伝搬し、真性GeSi領域533は光信号535を吸収し、光信号535を自由キャリアに変換する。いくつかの実装形態において、光信号535は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のNIRフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号535のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0083】
いくつかの実装形態において、真性GeSi領域533の厚さは、0.05μmから2μmまでの範囲内であってよい。いくつかの実装形態において、p+GeSi領域531は、真性GeSi領域533から遠ざかるように光電子を反発させて表面再結合を回避し、それによってキャリア収集効率を増大させ得る。たとえば、p+GeSi領域531はp+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、真性GeSi領域533がゲルマニウムであり、ホウ素をドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。
【0084】
真性GeSi領域533内の生成された自由キャリアは、n−Si領域522内にドリフトまたは拡散し得る。いくつかの実装形態において、ソース電源電圧VssがNIRピクセル502に印加されて、p+GeSi領域531とn−Si領域522との間に電界を発生し、それにより、自由電子はn−Si領域522の方へドリフトし、自由正孔はp+GeSi領域531の方へドリフトし得る。
【0085】
第2のゲート526は、第2の制御信号527に結合され得る。たとえば、第2のゲート526は電圧源に結合されてよく、第2の制御信号527は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第2の制御信号527はn−Si領域522からn+Si領域525への自由電子の流れを制御する。たとえば、第2の制御信号527の電圧が閾値電圧を超える場合、n−Si領域522内に蓄積した自由電子はn+Si領域525の方へドリフトする。n+Si領域525は、収集された電気信号のさらなる処理のために第2の読み出し回路528に結合され得る。第2の読み出し回路528は、
図4Aを参照しつつ説明されているように第1の読み出し回路418に類似するものとしてよい。
【0086】
図5に示されていないけれども、いくつかの他の実装形態において、可視光ピクセル504およびNIRピクセル502は、代替的に、電子の代わりに正孔を収集するように加工され得る。この場合、p+Si領域513は、n+Si領域によって置き換えられ、n−Si領域512および522は、p−Si領域によって置き換えられ、p−Si領域514および524は、n−Si領域によって置き換えられ、n+Si領域515および525は、p+Si領域によって置き換えられる。
【0087】
図6は、可視光線および赤外線の光信号を検出するための例示的なフォトダイオード600を示している。フォトダイオード600は、可視光ピクセル654およびNIRピクセル652を含む。可視光ピクセル654は、
図5を参照しつつ説明されているように、可視光ピクセル504に類似している。NIRピクセル652は、
図5を参照しつつ説明されているように、NIRピクセル502に類似している。ここで、光信号660および658を受け取る可視光ピクセル654およびNIRピクセル652の表面は平坦化された表面であり、真性GeSi領域662およびp+GeSi領域664は、酸化物層656内に埋め込まれる。可視光ピクセル654とNIRピクセル652との間の平坦化された表面は、フォトダイオード表面上の追加の処理および/または別個の基板上に形成されたデバイスとの接合を可能にする。
【0088】
飛行時間型(TOF)アプリケーションでは、3次元物体の深度情報は、透過した光パルスと検出された光パルスとの間の位相差を使用して決定され得る。たとえば、3次元物体の3次元画像を再構成するためにピクセルの2次元配列が使用されるものとしてよく、各ピクセルは、3次元物体の位相情報を導出するための1つまたは複数のフォトダイオードを含み得る。いくつかの実装形態において、飛行時間型アプリケーションは、近赤外線(NIR)範囲内の波長を有する光源を使用する。たとえば、発光ダイオード(LED)は、850nm、940nm、1050nm、または1310nmの波長を有し得る。いくつかのフォトダイオードはシリコンを吸収材料として使用し得るが、シリコンはNIR波長に対して非効率な吸収材料である。特に、光キャリアは、シリコン基板内で深く(たとえば、深さ10μmを超える)生成されるものとしてよく、それらの光キャリアは、フォトダイオード接合点にゆっくりとドリフトおよび/または拡散するものとしてよく、その結果、デバイス帯域幅が下がる。さらに、小さな電圧振幅は、典型的には、消費電力を最小にするようにフォトダイオードの動作を制御するために使用される。大きな吸収領域(たとえば、直径10μm)では、小さな電圧振幅は、大きな吸収領域を横切る小さい横/縦場のみを形成することができ、これは吸収領域を横切って掃引される光キャリアのドリフト速度に影響を及ぼす。したがって、デバイス帯域幅はさらに制限される。NIR波長を使用するTOFアプリケーションについては、ゲルマニウム‐シリコン(GeSi)を吸収材料として使用するマルチゲートフォトダイオードが、上で説明されている技術的問題を解決する。
【0089】
図7は、光信号を電気信号に変換するための例示的なマルチゲートフォトダイオード700の図である。マルチゲートフォトダイオード700は、基板702上に加工された吸収層706を備える。基板702は、その上に半導体デバイスが加工され得る任意の好適な基板であるものとしてよい。たとえば、基板702は、シリコン基板であってもよい。吸収層706と第1のn+Si領域712との間の結合は、第1のゲート708によって制御される。吸収層706と第2のn+Si領域714との間の結合は、第2のゲート710によって制御される。
【0090】
一般に、吸収層706は光信号712を受け取り、光信号712を電気信号に変換する。吸収層706は、所望の波長範囲において高い吸収係数を有するように選択される。NIR波長については、吸収層706はGeSiメサであってよく、GeSiは光信号712の中の光子を吸収し、電子正孔対を生成する。GeSiメサ中のゲルマニウムとシリコンの材料組成は、特定のプロセスまたはアプリケーションに関して選択されるものとしてよい。いくつかの実装形態において、吸収層706は、厚さtを有するように設計される。たとえば、850nmの波長について、GeSiメサの厚さは、実質的な量子効率を有するように約1μmであってよい。いくつかの実装形態において、吸収層706の表面は、特定の形状を有するように設計される。たとえば、GeSiメサは、GeSiメサの表面上の光信号712の空間プロファイルに応じて円形、正方形、または矩形であるものとしてよい。いくつかの実装形態において、吸収層706は、光信号712を受け取るために横方向寸法dを有するように設計される。たとえば、GeSiメサは、円形の形状を有するものとしてよく、dは1μmから50μmの範囲内であってよい。
【0091】
いくつかの実装形態において、吸収層706は、p+GeSi領域731を含み得る。p+GeSi領域731は、吸収層706の表面から光電子を反発させ、それによってデバイス帯域幅を増大させ得る。たとえば、p+GeSi領域731はp+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、吸収領域706がゲルマニウムであり、ホウ素をドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。
【0092】
マルチゲートフォトダイオード700は、基板702内に注入されたn型井戸領域704を備える。たとえば、n型井戸領域704のドーピングレベルは、10
15cm
−3から10
20cm
−3の範囲内であってよい。一般に、n型井戸領域704は、吸収領域706によって生成される電子を収集するために使用される。
【0093】
第1のゲート708は、第1の制御信号722および第1の読み出し回路724に結合される。たとえば、第1のゲート708は電圧源に結合されてよく、第1の制御信号722は電圧源からの時間変動マルチレベル電圧信号であってよい。第1の読み出し回路724は、リセットゲート、ソースフォロワ、および選択ゲート、または自由キャリアを処理するのに適している任意の回路からなる3トランジスタ構成であってよい。いくつかの実装形態において、第1の読み出し回路724は基板702上に加工され得る。他のいくつかの実装形態において、第1の読み出し回路724は、別の基板上に加工され、ダイ/ウェハボンディングまたはスタッキングを介してマルチゲートフォトダイオード700と同一のパッケージに収められ得る。第2のゲート710は、第2の制御信号732および第2の読み出し回路734に結合される。第2の制御信号732は、第1の制御信号722に類似しており、第2の読み出し回路734は、第1の読み出し回路724に類似している。
【0094】
第1の制御信号722および第2の制御信号732は、吸収された光子によって発生する電子の収集を制御するために使用される。たとえば、第1のゲート708が「オン」にされ、第2のゲートが「オフ」にされたときに、電子はn型井戸領域704からn+Si領域712にドリフトする。逆に、第1のゲート708が「オフ」にされ、第2のゲートが「オン」にされたときに、電子はn型井戸領域704からn+Si領域714にドリフトする。いくつかの実装形態において、電圧がp+GeSi領域731とn型井戸領域704との間に印加され、吸収層706の内側の電界を高め、電子をn型井戸領域704の方へドリフトし得る。
【0095】
図8は、光信号を電気信号に変換するための例示的なマルチゲートフォトダイオード800の図である。マルチゲートフォトダイオード800は、基板802上に加工された吸収層806を備える。基板802は、その上に半導体デバイスが加工され得る任意の好適な基板であるものとしてよい。たとえば、基板802は、シリコン基板であってもよい。吸収層806と第1のp+Si領域812との間の結合は、第1のゲート808によって制御される。吸収層806と第2のp+Si領域814との間の結合は、第2のゲート810によって制御される。
【0096】
一般に、吸収層806は光信号812を受け取り、光信号812を電気信号に変換する。吸収層806は、
図7を参照しつつ説明されているように吸収層706に類似している。いくつかの実装形態において、吸収層806は、n+GeSi領域831を含み得る。n+GeSi領域831は、吸収領域806の表面から正孔を反発させ、それによってデバイス帯域幅を増大させ得る。たとえば、n+GeSi領域831はn+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、吸収領域806がゲルマニウムであり、リンをドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。
【0097】
マルチゲートフォトダイオード800は、基板802内に注入されたp型井戸領域804を備える。たとえば、p型井戸領域804のドーピングレベルは、10
15cm
−3から10
20cm
−3の範囲内であってよい。一般に、p型井戸領域804は、吸収領域806によって生成される正孔を収集するために使用される。
【0098】
第1のゲート808は、第1の制御信号822および第1の読み出し回路824に結合される。第1のゲート808、第1の制御信号822、および第1の読み出し回路824は、
図7を参照しつつ説明されているように第1のゲート708、第1の制御信号722、および第1の読み出し回路724に類似している。第2のゲート810は、第2の制御信号832および第2の読み出し回路834に結合される。第2のゲート810、第2の制御信号832、および第2の読み出し回路834は、
図7を参照しつつ説明されているように第2のゲート710、第2の制御信号732、および第2の読み出し回路734に類似している。
【0099】
第1の制御信号822および第2の制御信号832は、吸収された光子によって発生する正孔の収集を制御するために使用される。たとえば、第1のゲート808が「オン」にされ、第2のゲート810が「オフ」にされたときに、正孔はp型井戸領域804からp+Si領域812にドリフトする。逆に、第1のゲート808が「オフ」にされ、第2のゲート810が「オン」にされたときに、正孔はp型井戸領域804からp+Si領域814にドリフトする。いくつかの実装形態において、電圧がn+GeSi領域831とp型井戸804との間に印加され、吸収層806の内側の電界を高め、正孔をp型井戸領域804の方へドリフトし得る。
【0100】
図9Aは、光信号を電気信号に変換するための例示的なフォトディテクタ900を示している。フォトディテクタ900は、基板902上に加工された吸収層906と、吸収層906および基板902の上に形成された第1の層908とを備える。基板902は、前に説明されている基板702に類似しているものとしてよく、吸収層906は、前に説明されている吸収層706に類似しているものとしてよく、たとえば、GeまたはGe濃度が1〜99%の範囲内であるGeSiから形成され得る。GeまたはGeSi吸収層906のバックグラウンドドーピング極性およびドーピングレベルは、P型であり、10
14cm
−3から10
16cm
−3の範囲内であり得る。バックグラウンドドーピングレベルは、たとえば、ドーピングの明示的な組み込みによる、または吸収層906の形成時に持ち込まれる材料欠陥によるものとしてよい。フォトディテクタ900の吸収層906は、メサ構造を有し、基板902によって支持され、縦側壁が図示されているが、メサ構造の形状および側壁プロファイルは、吸収層906の成長および加工プロセスの詳細に依存し得る。
【0101】
第1の層908は、吸収層906の上側表面および側部表面を覆い、吸収層906が形成される基板902の上側表面の一部を覆う。第1の層908は、非晶質シリコン、ポリシリコン、エピタキシャルシリコン、酸化アルミニウム族(たとえば、Al
2O
3)、酸化ケイ素族(たとえば、SiO
2)、酸化ゲルマニウム族(たとえば、GeO
2)、ゲルマニウム‐シリコン族(たとえば、Ge
0.4Si
0.6)、窒化ケイ素族(たとえば、Si
3N
4)、高k材料(たとえば、HfOx、ZnOx、LaOx、LaSiOx)、およびこれらの任意の組合せなどの、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)プロセス適合材料(CPCM)から形成され得る。吸収層906の表面に第1の層908が存在すると、様々な効果が生じ得る。たとえば、第1の層908は吸収層906への表面保護層として働くものとしてよく、これは吸収層906の表面に存在する欠陥によって発生する暗電流またはリーク電流を低減し得る。ゲルマニウム(Ge)またはゲルマニウム‐シリコン(GeSi)吸収層906の場合、表面欠陥は、暗電流またはリーク電流の著しい発生源であり得、これはフォトディテクタ900によって生成される光電流のノイズレベルの増大に寄与する。第1の層908を吸収層906の表面の上に形成することによって、暗電流またはリーク電流は低減され、それによって、フォトディテクタ900のノイズレベルを低減し得る。別の例として、第1の層908は、フォトディテクタ900上に形成されている接点と吸収層906および/または基板902との間でショットキー障壁レベルを変調し得る。障壁変調効果は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許出願第15/908328号、名称「HIGH‐SPEED LIGHT SENSING APPARATUS II」(特許文献1)においてさらに説明されている。
【0102】
図9Bは、光信号を電気信号に変換するための例示的なフォトディテクタ910を示している。フォトディテクタ910は、
図9Aのフォトディテクタ900に類似しているが、吸収層906が基板902上に形成された陥凹部内に部分的に埋め込まれ、フォトディテクタ910はスペーサ912をさらに含む点が異なる。スペーサ912は、基板902からの吸収層906の側壁を分ける様々な酸化物および窒化物などの誘電体材料であってよい。いくつかの実装形態において、スペーサ912は省かれてもよく、吸収層906の埋め込み部分は、シリコン基板の[110]側壁などの、基板902内に形成される陥凹部の表面と直接接触するものとしてよい。
【0103】
図9Cは、光信号を電気信号に変換するための例示的なフォトディテクタ920を示している。フォトディテクタ920は、
図9Bのフォトディテクタ910に類似しているが、吸収層906が基板902上に形成された陥凹部内に完全に埋め込まれる点が異なる。
【0104】
図4A、
図4B、
図5、
図6、
図7、および
図8に関して例示され、説明されているフォトダイオードは、
図9Aに示されているフォトダイオード900に類似する仕方で基板の表面から突き出ているゲルマニウム領域または吸収層を有するが、一般に、以前に説明されているフォトダイオードは、
図9Bおよび
図9Cに示されているように部分的に埋め込まれた、または完全に埋め込まれたゲルマニウム領域もしくは吸収層を有するように形成され得る。
【0105】
図10Aは、シリコン基板およびゲルマニウムメサを横切る例示的なバンド
図1000である。バンド
図1000は、電子および正孔などの電荷キャリアがシリコン‐ゲルマニウムヘテロ接合の様々な配置で受ける様々なエネルギー準位を例示している。縦軸はエネルギー準位Eに対応し、横軸はシリコン基板とゲルマニウムメサとの間に形成されるヘテロ接合を横切る位置xに対応する。シリコン基板およびゲルマニウムメサは、エネルギー準位がEv,siおよびEv,geであるそれぞれの価電子帯と、エネルギー準位がEc,siおよびEc,geであるそれぞれの伝導帯を有する。シリコンおよびゲルマニウムに対する真性フェルミ準位Ei,siおよびEi,geは、それぞれ、参照のためマークを付けられている。
【0106】
一般に、異なる半導体材料は、異なる伝導帯および価電子帯エネルギー準位を有する。たとえば、シリコンの伝導帯のエネルギー準位(Ec,si)は、ゲルマニウムの伝導帯のエネルギー準位(Ec,ge)より約0.05eV低く、シリコンの価電子帯のエネルギー準位(Ev,si)は、ゲルマニウムの価電子帯エネルギー準位(Ev,ge)より約0.4eV低い。さらに、真性半導体については、半導体のフェルミ準位は、伝導帯と価電子帯との間の中間点にある。そのようなものとして、シリコンの真性フェルミ準位(Ei,si)は、ゲルマニウムの真性フェルミ準位(Ei,ge)より約0.27eV低い。Si‐Geヘテロ接合を横切るフェルミ準位におけるそのような不整合は、ビルトイン電位および空乏領域を生じ、これはヘテロ接合を横切る電流の流れを妨げる。ヘテロ接合を横切る外部バイアス電圧を印加することでビルトイン電位に打ち勝ち得る。しかしながら、外部バイアス電圧を高くすることは、場合によっては望ましくないことがある。たとえば、外部バイアス電圧が高くなると、Si‐Geヘテロ接合を実装するフォトダイオードによって生成される暗電流が増加する、Si‐Geヘテロ接合を実装するフォトダイオードによって消費される電力が増大する、またはこれらの組合せが生じ得る。そのようなものとして、ヘテロ接合を横切るビルトイン電位を低減するか、または排除してヘテロ接合を横切る電流の流れを増大させるための技術が次に説明される。
【0107】
シリコンおよびゲルマニウムのフェルミ準位は様々な方法で整列され、それによりビルトイン電位を低減するか、または排除し得る。これらの技術は、1)P型ドーパントでGeをドープすることと、2)N型ドーパントでSiをドープすることと、3)N型ドーパントでSiをドープすることと組み合わせてP型ドーパントでGeをドープすることと、4)N型ドーパントでGeおよびSiの両方をドープすることと、5)これらの組合せとを含む。様々なシナリオに対するドーパントの濃度は、材料の真性ドーピングの極性および濃度、ならびに/または材料の真性キャリア濃度を考慮して、標準バンド図計算を通じて決定され得る。一例として、この計算は、シリコンに対する10
10cm
−3の真性キャリア濃度n
i,siおよびゲルマニウムに対する2*10
13cm
−3の真性キャリア濃度n
i,geを仮定して上で説明されている技術1)から4)に対して実行されている。それぞれ濃度N
DまたはN
AのN型またはP型ドーパントでドープされた半導体のフェルミエネルギー準位は、それぞれ、半導体のミッドギャップエネルギー準位より高いか、または低い。ドーピングによるフェルミエネルギー準位の変化は、それぞれ式k
BT*ln(N
D/n
i,Si)およびk
BT*ln(N
A/n
i,Si)によって計算することができ、k
Bはボルツマン定数であり、Tは温度である。第1の技術では、ゲルマニウムは、約4*10
17cm
−3(たとえば、6.47*10
17cm
−3)の濃度でホウ素をドープされ得る。第2の技術では、シリコンは、約3*10
14cm
−3(たとえば、3.24*10
14cm
−3)の濃度でリンをドープされ得る。第3の技術では、ゲルマニウムは、3.24*10
14cm
−3未満(たとえば、3*10
14cm
−3以下)の濃度でリンをシリコンにドープすることと組み合わせて6.47*10
17cm
−3未満(たとえば、4*10
17cm
−3以下)の濃度でホウ素をドープされ得る。第4の技術では、ゲルマニウムは、16*G*10^Pcm
−3に実質的に等しい濃度でリンをシリコンにドープすることと組み合わせてG*10^Pcm
−3に実質的に等しい濃度でリンをドープされ得る。
【0108】
第4の技術は、様々な理由から第1、第2、および第3の技術に勝る利点を有し得ることが理解される。たとえば、パラメータGおよびPは、Si‐Geヘテロ接合の周りに形成される空乏領域の幅を制御するように調節され得る調節可能パラメータである。別の例として、パラメータGおよびPは、その結果得られるドーピングレベルが標準的な集積回路加工技術を使用して信頼可能に達成され得るレベルの範囲内に収まるように調節され得る。たとえば、1*10
16cm
−3より高いドーピングレベルは、標準的なドーパント注入技術を使用して容易に達成され得る。そのようなものとして、いくつかの実装形態において、ゲルマニウムは、5*10
17cm
−3に実質的に等しい濃度でリンをドープされ、シリコンは、8*10
18cm
−3に実質的に等しい濃度でリンをドープされ得る。
【0109】
「約X」である、または「実質的にXに等しい」ドーパント濃度は、濃度数値Xに機能的に等価である値の範囲、および/または提供される値の加工変動の範囲内にある濃度に対応し得る。たとえば、Xの1%以内、5%以内、25%以内、または50%以内に収まるドーピング濃度は、「約」XであるかまたはXに「実質的に等しい」とみなされ得る。別の例として、ビルトイン電位をXに類似する程度まで低減するか、または排除することなどの、濃度数値Xと同じ機能を効果的に果たすドーピング濃度は、「約」Xであるか、またはXに「実質的に等しい」とみなされてよい。
【0110】
例示的なバンド図および例示的な計算は、真性ドーピングなしで純シリコンと純ゲルマニウムとの間のヘテロ接合に対して実行されているが、一般に、説明されている技術は、シリコンとシリコン‐ゲルマニウム合金との間などの他の材料のヘテロ接合に、および真性ドーピングあり、またはなしの材料に適用され得る。様々な組成のシリコン‐ゲルマニウム合金は、対応する伝導帯エネルギー準位、価電子帯エネルギー準位、および真性フェルミ準位を有してよく、これは説明されている様々な技術に対する適切なドーピング濃度を計算する際に決定され使用され得る。
【0111】
Si‐Geヘテロ接合を横切るビルトイン電位を低減するか、または排除するための技術が今まで説明されてきた。次に、ビルトイン電位低減技術を実装するフォトダイオードの様々な例について説明することにする。
図10Bを参照すると、ビルトイン電位が低減されている例示的なフォトダイオード1010が図示されている。フォトダイオード1010は、基板902、吸収層906、第1の層908、n型ドープ領域1030、p型ドープ領域1031、n型井戸1032、ゲート710、およびn+Si領域714を備える。フォトダイオード1010の動作は、一般的に、説明されている場合を除きフォトダイオード700の動作に類似している。
【0112】
p型ドープ領域1031は、基板902の表面から離れる方向に面している吸収領域906の第1の表面上に配置構成される。p型ドープ領域1031は、吸収層906の表面から光−電子を反発させ、それによってデバイス帯域幅を増大させ得る。たとえば、p型ドープ領域1031はp+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、吸収領域906がゲルマニウムであり、ホウ素をドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。p型ドープ領域1031は、吸収領域906がGeSi吸収領域であるp+GeSi領域731に類似しているものとしてよい。
【0113】
n型ドープ領域1030は、基板902の表面に面している吸収領域906の第2の表面上に配置構成される。第2の表面は、吸収領域906の第1の表面に対向しているものとしてよい。n型ドープ領域1030は、吸収領域906内にドーパントを注入することによって形成され得るか、またはn型井戸1032からドーパントを拡散させることによって形成され得る。p型ドープ領域1031およびn型ドープ領域1030が吸収領域906内で縦に分離されているフォトダイオード1010の構成は、縦型PINフォトダイオードと称され得る。
【0114】
n型井戸1032は、基板902内に形成されたn型ドープ領域である。n型井戸1032は、基板902内にドーパントを注入することによって形成され得る。一般に、n型井戸1032は、吸収領域906によって生成される光生成キャリアを収集するために使用される。いくつかの実装形態において、電圧がp型ドープ領域1031とn型井戸1032との間に印加され、吸収領域906の内側の電界を高め、電子をn型井戸1032の方へドリフトし得る。
【0115】
吸収領域906によって生成される電子などの光生成キャリアは、p型ドープ領域1031によって吸収領域906とシリコン基板902との間のヘテロ接合界面の方へ反発され得る。n型ドープ領域1030およびn型井戸1032は、吸収領域906およびシリコン基板902のフェルミ準位を整列させ光生成キャリアがヘテロ接合を横切って流れ得るように構成される。一般に、n型ドープ領域1030の第1のドーピング濃度はn型井戸1032の第2のドーピング濃度未満であるか、または実質的に等しくてよい。そのようなドーピング濃度を取ることで、ヘテロ接合を横切るフェルミ準位の間の不整列が低減され得る。吸収領域906が真性ゲルマニウム層である場合、n型ドープ領域1030は、G*10^Pcm
−3に実質的に等しい濃度でリンをドープされてよく、n型井戸1032は、16*G*10^Pcm
−3に実質的に等しい濃度でリンをドープされ、それによりヘテロ接合を横切ってフェルミ準位を実質的に整列させるものとしてよい。
【0116】
いくつかの実装形態において、n型ドープ領域1030およびn型井戸1032は互いに隣接する(たとえば、介在する層なしで直接接触する)。いくつかの他の実装形態において、介在する層(たとえば、シリコン‐ゲルマニウム層)は、n型ドープ領域1030とn型井戸1032との間に存在し得る。
【0117】
吸収領域906によって生成された光生成キャリアがヘテロ接合を横切り、n型井戸1032によって収集された後、次いで、光生成キャリアは、ゲート710の制御の下でn+Si領域714などのフォトダイオード1010の読み出し領域に輸送され得る。読み出し領域は、一般的に、フォトダイオードによって生成される光生成キャリアが、読み出し回路734などの回路によって、収集される、すなわち読み出され得るフォトダイオードの一領域を指す。読み出し領域の例は、n+Si領域415、425、515、525、712、および714、ならびにp+Si領域812、および814を含む。読み出し回路734は読み出し領域に結合されており、フォトダイオード1010によって生成された光生成キャリアを読み出す。
【0118】
ゲート710は、基板902の表面の上に形成される。たとえば、誘電体層は、基板902とゲート710との間に存在し、ゲート710を支持するものとしてよい。そのようなものとして、ゲート710は、基板902によって支持される。読み出し領域(たとえば、n+Si領域714)は基板902の表面上に形成され、それにより、基板902によって支持される。
【0119】
いくつか実装形態では、キャパシタは、フォトダイオード1010の読み出し領域に結合され得る。キャパシタの例は、フローティング拡散キャパシタ、金属‐酸化物‐金属(MOM)キャパシタ、金属‐絶縁体‐金属(MIM)キャパシタ、および金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタを含む。いくつかの実装形態において、フローティング拡散キャパシタは、読み出し領域内に一体形成され得る。たとえば、n+Si領域714はフローティング拡散キャパシタを実装するものとしてよく、これはMOSFET1040に対するチャネル端子として、光生成キャリアを蓄積するためのキャパシタとして、および読み出し領域として同時に機能し得る。読み出し領域に結合されているキャパシタは、吸収領域906によって生成された光生成キャリアを積分するものとしてよく、これは読み出し回路734によって読み出され得る。
【0120】
n型井戸1032、ゲート710、およびn+Si領域714は、n型井戸1032とn+Si領域714との間の電流の流れを制御する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)1040を形成し得る。基板902はP型シリコン基板であってよく、ゲート710の下に配置されている基板902の一部はMOSFET1040のチャネルとして働き得る。ゲート710の近く、または下にあるn型井戸1032の一部、またはn型井戸1032全体は、MOSFET1040のチャネル端子(たとえば、第1のチャネル端子)と称され得る。ゲート710の近く、または下にあるn+Si領域714の一部、またはn+Si領域714全体は、MOSFET1040のチャネル端子(たとえば、第2のチャネル端子)と称され得る。第1および第2のチャネル端子は、MOSFET1040のソースおよびドレイン端子とも称され得る。MOSFETの動作に関連する追加の説明は、
図24Aに関してなされる。
【0121】
説明されているフォトダイオード1010は単一のゲート710を有するが、追加のゲートも提供され得る。たとえば、
図7のゲート708、制御信号722、n+Si領域712、および読み出し回路724は
図7のマルチゲートフォトダイオード700に類似する方式で動作するマルチゲートフォトダイオード1010を実装するようにフォトダイオード1010で実装され得る。
【0122】
図10Cを参照すると、ビルトイン電位が低減されている例示的なフォトダイオード1012が図示されている。フォトダイオード1012は、
図10Bのフォトダイオード1010に類似しているが、吸収領域906がここでは基板902上に形成された陥凹部内に部分的に埋め込まれ、フォトダイオード1020はスペーサ912をさらに含む点が異なる。n型井戸1032は陥凹部の少なくとも一部を囲み、それによって吸収領域906の少なくとも一部を囲む。いくつかの実装形態において、n型井戸1032は吸収領域906の埋め込まれた部分を完全に囲む。
【0123】
光生成キャリアは、吸収領域906とシリコン基板902との間に形成されたヘテロ接合を通して下方に移動し得る。次いで、光生成キャリアは、n型井戸1032とn型ドープ領域714との間の光生成キャリアの輸送がゲート710によって制御されるようにn型井戸1032によってゲート710の方へ誘導され得る。
【0124】
スペーサ912は、電気的絶縁体(たとえば、SiO
2)、半導体(たとえば、非ドープ非晶質、ポリ、または結晶シリコン)、または導体(たとえば、ドープ非晶質、ポリ、または結晶シリコン)であってよい。説明されているフォトダイオード1012はスペーサ912を含むが、いくつかの実装形態では、スペーサ912は省かれてもよい。
【0125】
説明されているフォトダイオード1012は単一のゲート710を有するが、追加のゲートも提供され得る。たとえば、
図7のゲート708、制御信号722、n+Si領域712、および読み出し回路724は
図7のマルチゲートフォトダイオード700に類似する方式で動作するマルチゲートフォトダイオード1012を実装するようにフォトダイオード1012で実装され得る。
【0126】
図10Dを参照すると、ビルトイン電位が低減されている例示的なフォトダイオード1014が図示されている。フォトダイオード1014は、
図10Cのフォトダイオード1012に類似しているが、吸収領域906がここでは基板902上に形成された陥凹部内に完全に埋め込まれる点が異なる。n型井戸1032は陥凹部の少なくとも一部を囲み、それによって吸収領域906の少なくとも一部を囲む。いくつかの実装形態において、n型井戸1032は吸収領域906の埋め込まれた部分を完全に囲む。
【0127】
p型ドープ領域1031は、n型ドープ領域1030と接触している(たとえば、隣接している)。光生成キャリアは、吸収領域906とシリコン基板902との間に形成されたヘテロ接合を通して横方向に移動しn型井戸1032によって収集され得る。n型井戸1032とn型ドープ領域714との間でn型井戸1032によって収集されるキャリアの輸送は、ゲート710によって制御され得る。
【0128】
スペーサ912は、半導体(たとえば、非ドープ非晶質、ポリ、または結晶シリコン)、または導体(たとえば、ドープ非晶質、ポリ、または結晶シリコン)であってよい。説明されているフォトダイオード1014はスペーサ912を含むが、いくつかの実装形態では、スペーサ912は省かれてもよい。
【0129】
p型ドープ領域1031およびn型ドープ領域1030は、互いに隣接するように図示されているが、いくつかの実装形態において、p型ドープ領域1031およびn型ドープ領域1030は縦に分離され得る。
【0130】
さらに、n型ドープ領域1030は吸収領域906の横方向広がりを横切るように図示されていないが、いくつかの実装形態において、n型ドープ領域1030は吸収領域906の横方向広がりを完全に横切ってもよい。
【0131】
説明されているフォトダイオード1014は単一のゲート710を有するが、追加のゲートも提供され得る。たとえば、
図7のゲート708、制御信号722、n+Si領域712、および読み出し回路724は
図7のマルチゲートフォトダイオード700に類似する方式で動作するマルチゲートフォトダイオード1014を実装するようにフォトダイオード1014で実装され得る。
【0132】
p型ドープ領域1031、ならびにn型ドープ領域1030、1032、1034、およびn+Si領域714を有するフォトダイオードが
図10Bから
図10Dに関して説明されているが、ドーピング極性はいくつかの実装形態において反転され、類似の方式で動作し得る。
【0133】
吸収領域906と読み出し領域714との間のキャリアの輸送を制御するためのゲート710は
図10Bから
図10Dに関して説明されているが、他の制御メカニズムも企図されている。たとえば、ゲート710はp型ドープベース端子で置き換えられ、MOSFET1040の代わりにNPNバイポーラ接合トランジスタを形成し、読み出し領域へのキャリアの流れを制御し得る。別の例として、ゲート710はp型ドープゲート端子およびn型ドープチャネルで置き換えられ、MOSFET1040の代わりにNチャネル接合電界効果トランジスタ(JFET)を形成し得る。
【0134】
吸収領域906とシリコン基板902との間のフェルミ準位整列は、フォトダイオードの吸収領域から読み出し領域への光生成キャリアの移動を改善する際の考慮事項の1つである。次に、吸収領域からフォトダイオードに関連するキャパシタへの光生成キャリアの移動を改善するための追加の考慮事項および技術が説明される。
【0135】
図11Aを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1100が図示されている。フォトダイオード1100は
図10Dのフォトダイオード1014に類似しているが、n型井戸1032が第2のn型ドープ領域1132で置き換えられており、第1のn型ドープ領域1030および第2のn型ドープ領域1132は、相互接続部1150と結合される点が異なる。それに加えて、p型ドープ領域1031および第1のn型ドープ領域1030の両方が基板902から遠ざかる方向で吸収領域906の第1の表面上に配置構成され、これは横型PINフォトダイオードと称され得る。さらに、n+Si領域714は、ここで、フローティング拡散キャパシタ1140と称される。フローティング拡散キャパシタ1140は、シリコン基板902内に形成されたn型ドープ領域である。フローティング拡散キャパシタ1140のn型ドープ領域とP型シリコン基板902との間に形成されるPN接合は、キャリアをフローティング拡散キャパシタ1140のn型ドープ領域にさらに制限し、シリコン基板902がP型ドーパントをドープされていない場合と比べて、フローティング拡散キャパシタ1140によるキャリアの蓄積を改善する。
【0136】
第1のn型ドープ領域1030は第1のドーピング濃度n1を有する。第2のn型ドープ領域1132は第2のドーピング濃度n2を有する。n型井戸1032と異なり、第2のn型ドープ領域1132は第1のn型ドープ領域1030に隣接していない。たとえば、第2のn型ドープ領域は、第1のn型ドープ領域1030と物理的に接触しない。フローティング拡散キャパシタ1140は第3のドーピング濃度n3を有する。
【0137】
相互接続部1150は、第1のn型ドープ領域1030と第2のn型ドープ領域1132との間に電気的結合をもたらす。相互接続部1150によってもたらされる電気的結合は、吸収領域内に生成され、第1のn型ドープ領域1030によって受け取られる光生成キャリアが2つのn型ドープ領域の間で物理的に接触または隣接することなく第2のn型ドープ領域1132に輸送されることを可能にする。相互接続部1150は、アルミニウム、銅、およびタングステンなどの、様々な金属を使用して形成されるものとしてよく、第1のn型ドープ領域1030および第2のn型ドープ領域1132の界面のところに接触金属を含み得る。
【0138】
フォトダイオード1100の一般的な動作は、次のとおりである。吸収領域906によって生成される電子などの光生成キャリアは、p型ドープ領域1031によって第1のn型ドープ領域1030の方へ反発され得る。光生成キャリアが第1のn型ドープ領域1030に到達した後、キャリアに追加の力が加えられ、それにより、MOSFET1040がオンにされたときに、第1のn型ドープ領域1030からフローティング拡散キャパシタ1140へのキャリアの流れを誘発し得る。そのような力は、第1のn型ドープ領域1030のドーピング濃度n1、第2のn型ドープ領域1132のドーピング濃度n2、およびフローティング拡散キャパシタ1140のドーピング濃度n3のエンジニアリングによって生成され得る。一般に、電荷キャリアは低ドーピング濃度の領域から高ドーピング濃度の領域に駆動されるが、それは、ドーピング濃度が低くなっている領域に関連するポテンシャルエネルギーが、ドーピング濃度が高くなっている領域に関連するポテンシャルエネルギーより高いからである。そのようなものとして、不等式n3>n2>n1に従ってドーピング濃度を設定することによって、第1のn型ドープ領域1030内に蓄積されるキャリアは、第1のドーピング濃度n1より高い第2のドーピング濃度n2を有する第2のn型ドープ領域1132の方へ最初に駆動され得る。次いで、MOSFET1040がオンにされると、第2のn型ドープ領域1132のドーピング濃度n2とフローティング拡散キャパシタ1140のドーピング濃度n3の差は、キャリアをフローティング拡散キャパシタ1140の方へさらに駆動する。その結果、吸収領域906からフローティング拡散キャパシタ1140へのキャリア移動効率は改善され得る。
【0139】
図11Bを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1102が図示されている。フォトダイオード1102は
図11Aのフォトダイオード1100に類似しているが、第1のn型ドープ領域1030が吸収領域906の右横縁まで伸長され、第2のn型ドープ領域1132が吸収領域906の右横縁まで伸長されており、それにより、n型ドープ領域1030および1132が吸収領域906と基板902との間のヘテロ接合界面で交わるという点が異なる。n型ドープ領域1030と1132とが隣接していることで、光生成キャリアが
図11Aの相互接続部1150なしで2つの領域の間を流れることを可能にし得る。
【0140】
図11Cを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1104が図示されている。フォトダイオード1104は、
図11Bのフォトダイオード1102に類似しているが、第2のn型ドープ領域1132がここでは吸収領域906を囲む第2のn型ドープ領域1133であり、分離構造1150が追加されている点が異なる。第2のn型ドープ領域1133は第2のn型ドープ領域1132に類似しているが、第2のn型ドープ領域1133が吸収領域906の埋め込まれた部分を囲む点が異なる。第2のn型ドープ領域1133は、基板902内に陥凹部をエッチングし、陥凹部を囲む領域を開く注入マスクを画成し、N型ドーパントを陥凹部内に注入し、陥凹部を囲む第2のn型ドープ領域を形成することによって形成され得る。
図11Cの第2のn型ドープ領域1133は、
図11Bの第2のn型ドープ領域1132と比べて緩和された整列許容範囲を有し得るが、それは、
図11Cの構成が、吸収領域906と基板902との間の界面への第2のn型ドープ領域1133の正確な横方向整列に頼ることなく第1のn型ドープ領域1030と接触するシリコン基板902の任意の部分が第2のn型ドープ領域1133としてドープされることを確実にするからである。
【0141】
分離構造1150は、フォトダイオード1104と、他のフォトダイオード1104などの基板902上に存在し得る他の電気的コンポーネントとの間の電気的遮蔽を高め得る。分離構造1150は、基板902の上側表面から上側表面からの所定の深さまで貫入する。いくつかの実装形態において、分離構造1150は、P型ドーパントまたはN型ドーパントでドープされているドープ領域である。分離構造1150のドーピングは、分離構造1150を横切って流れる電流を妨げるバンドギャップオフセットによって引き起こされるポテンシャルエネルギー障壁を形成し、フォトダイオード1104と周囲のコンポーネントとの間の電気的遮蔽を改善し得る。いくつかの実装形態において、分離構造1150は、基板902と異なる半導体材料を充填されたトレンチである。基板902と分離構造1150との間に形成される2つの異なる半導体の間の界面は、分離構造1150を横切って流れる電流を妨げるバンドギャップオフセットによって引き起こされるエネルギー障壁を形成し、フォトダイオード1104と周囲のコンポーネントとの間の電気的遮蔽を改善し得る。いくつかの実装形態において、分離構造1150は、誘電体または絶縁体を充填されたトレンチである。低伝導率の誘電体または絶縁体を充填された分離構造1150は、高電気抵抗の領域をもたらし、分離構造1150を横切って流れる電流を妨げ、フォトダイオード1104と周囲のコンポーネントとの間の電気的遮蔽を改善し得る。
【0142】
図11Dを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1106が図示されている。フォトダイオード1106は
図11Cのフォトダイオード1104に類似しているが、
図9Bのスペーサ912が追加されており、第1のn型ドープ領域1030が基板902と界面で接する吸収領域906の底部表面に移動されている点が異なる。p型ドープ領域1031および第1のn型ドープ領域1030は縦型PINダイオードを形成する。スペーサ912は、シリコン基板902から吸収領域906の縦側壁に沿って電気的遮蔽を設けることができ、光生成キャリアの流れを吸収領域906に沿って縦方向に制限する。光生成キャリアは、吸収領域906と基板902との間の底部界面のところで第2のn型ドープ領域1133によって収集され、これは次いでMOSFET1040がオンにされたときにフローティング拡散キャパシタ1140の方へ駆動される。いくつかの実装形態において、第1のドーピング領域1030は、第2のドーピング領域1333のドーパントを吸収領域906内に(たとえば、熱加工を通じて)拡散することによって形成され得る。領域1030の拡散ベースの形成はドーパント注入ステップを取り除くので、フォトダイオード1106は、
図11Cのフォトダイオード1104に比較して加工がより簡素化され得る。
【0143】
フォトダイオード1100、1102、1104、および1106は、第1のn型ドープ領域1030、第2のn型ドープ領域1132または1133、およびフローティング拡散キャパシタ1140を横切るドーピング濃度の差を利用して、MOSFET1040がオンにされたときに吸収領域からフローティング拡散キャパシタ1140への光生成キャリアの移動を駆動する。キャリア移動を改善するための別の技術は、異なるドープ領域に関連する静電容量にまたがる電荷共有効果を利用することによるものである。
図11Eを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1108が図示されている。フォトダイオード1108は、
図11Aのフォトダイオード1100に類似しているが、第1のn型ドープ領域1030がここでは第1のn型ドープ領域1130であり、第2のn型ドープ領域1132がここでは第2のn型ドープ領域1134であり、フローティング拡散キャパシタ1140がここではフローティング拡散キャパシタ1142である点が異なる。フローティング拡散キャパシタ1142は、第1のn型ドープ領域1130および第2のn型ドープ領域1134に関連するそれぞれの静電容量より実質的に大きい静電容量を有する。
【0144】
この構成では、第1のn型ドープ領域1130の第4のドーピング濃度n4、第2のn型ドープ領域1134の第5のドーピング濃度n5、およびフローティング拡散キャパシタ1142の第6のドーピング濃度n6は高く(たとえば、5*10
19cm
−3より高い)、実質的に類似している(たとえば、値Xの1%以内、5%以内、10%以内、または20%以内)ものとしてよい。たとえば、n4、n5、およびn6は、実質的に1*10
20cm
−3に等しいものとしてよい。ドーピング濃度が高いと金属‐半導体接触抵抗が低くなり、次いで、電荷共有の関連するRC時定数が減少し、その結果、キャリア移動が速くなる。
【0145】
n型ドープ領域1130および1134のサイズに関してフローティング拡散キャパシタ1142のn型ドープ領域のサイズを大きくすることによって、フローティング拡散キャパシタ1142の静電容量は、n型ドープ領域1130および1134の静電容量に比べて実質的に大きくされ得る。さらに、第1のn型ドープ領域1130、第2のn型ドープ領域1134、およびフローティング拡散キャパシタ1142を形成するn型ドープ領域などの、ドープ領域は、吸収領域906または基板902などの、周囲材料とともにPN接合を形成し得る。そのようなPN接合は接合静電容量をもたらし、これは第1のn型ドープ領域1130、第2のn型ドープ領域1134、およびフローティング拡散キャパシタ1142を形成するn型ドープ領域に関連する静電容量をさらに高める。接合静電容量は、ドープ領域の物理的サイズおよびドーピング濃度を含む様々な要因に依存し得る。
【0146】
第1のn型ドープ領域1130、第2のn型ドープ領域1134、およびフローティング拡散キャパシタ1142の静電容量は、MOSFET1040がオンにされたときに並列に電気的に結合される。キャパシタが並列に結合されたときに、キャパシタは、電荷共有と称されるプロセスを通じてその端子間の共通電圧を共有する。キャパシタの両端の電圧Vは、式V=Q/Cでキャパシタによって蓄積される電荷の量によって定義され、Qはキャパシタによって蓄積される電荷の量であり、Cはキャパシタの静電容量である。そのようなものとして、並列キャパシタが同じ電圧V
1を共有するときに、個別のキャパシタによって蓄積される電荷Qは、関係式Q=V
1*Cによって与えられる。したがって、フローティング拡散キャパシタ1142の静電容量がn型ドープ領域1130および1134の静電容量より実質的に大きくなるように第1および第2のn型ドープ領域1130および1134ならびにフローティング拡散キャパシタ1142を設計することによって、フローティング拡散キャパシタ1142に蓄積される電荷Qは、n型ドープ領域1130および1134によって蓄積される電荷より実質的に大きくされ、それよって、吸収領域906からフローティング拡散キャパシタ1142へのキャリア移動効率を改善することができる。たとえば、フローティング拡散キャパシタ1142の静電容量は、第1のn型ドープ領域1130および第2のn型ドープ領域1134の組み合わされた静電容量より少なくとも10倍大きい(たとえば、20倍大きい、40倍大きい、または50倍大きい)ものとしてよい。
【0147】
いくつかの実装形態において、
図11A〜
図11Dに関して説明されているドーピングエンジニアリングは、
図11Eの電荷共有技術と組み合わせて実装され得る。たとえば、フローティング拡散キャパシタ1142の静電容量がn型ドープ領域1130および1134の組み合わされた静電容量より実質的に大きいことを同時に確実にしながらドーピング濃度は不等式n4<n5<n6を満たすように設定されてよい。
【0148】
いくつかの実装形態において、フォトダイオード1108の読み出し領域に関連する静電容量を大きくするためにフローティング拡散キャパシタ1140に関してフローティング拡散キャパシタ1142のサイズを増大させる代わりに、読み出し領域に関連する静電容量は、金属‐酸化物‐金属(MOM)キャパシタ、金属‐絶縁体‐金属(MIM)キャパシタ、または金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタなどの別個のキャパシタを結合することによって増大させられ得る。別個のキャパシタによって加えられる静電容量は、フローティング拡散キャパシタ1142の静電容量を増大させることに類似する利益をもたらし得る。いくつかの実装形態において、別個のキャパシタは、フローティング拡散キャパシタ1142と並列に読み出し領域に結合され、読み出し領域の静電容量をさらに増大させ得る。
【0149】
図11Fを参照すると、キャリア移動が改善されている例示的なフォトダイオード1109が図示されている。フォトダイオード1109は、
図11Aのフォトダイオード1100に類似しているが、MOSFET1040がここでは吸収領域906によって支持される点が異なる。吸収領域906全体の中で支持されるべきMOSFET1040の再配置は、シリコン基板902上に形成された第2のn型ドープ領域1132、および第2のn型ドープ領域1132を第1のn型ドープ領域1030に結合した相互接続部1150の必要性をなくす。この構成では、吸収領域906内に生成される光生成キャリアは、吸収領域906から基板902には流れない。その代わりに、光生成キャリアは、ゲート710の制御の下で吸収領域906から読み出し回路734に直接流れる。そのようなものとして、光生成キャリアは、吸収領域906とシリコン基板902とを横切るビルトイン電位の作用を受けない。それに加えて、第1のn型ドープ領域1030の第1のドーピング濃度n1とフローティング拡散キャパシタ1140の第3のドーピング濃度n3との間の差は、第1のn型ドープ領域1030とフローティング拡散キャパシタ1140との間のキャリア移動を改善し得る。
【0150】
いくつか実装形態では、キャパシタは、フローティング拡散キャパシタ1140などの、フォトダイオード1109の読み出し領域に結合され得る。キャパシタの例は、MOM、MIM、およびMOSキャパシタを含む。
【0151】
p型ドープ領域1031、n型ドープ領域1030、1130、1132、1133、1134、ならびにN型フローティング拡散キャパシタ1140および1142を有するフォトダイオードが
図11Aから
図11Fに関して説明されているが、ドーピング極性はいくつかの実装形態において反転され、類似の方式で動作し得る。
【0152】
吸収領域906と読み出し領域1140および1142との間のキャリアの輸送を制御するためのゲート710は
図11Aから
図11Fに関して説明されているが、他の制御メカニズムも企図されている。たとえば、ゲート710はp型ドープベース端子で置き換えられ、MOSFET1040の代わりにNPNバイポーラ接合トランジスタを形成し、読み出し領域へのキャリアの流れを制御し得る。別の例として、ゲート710はp型ドープゲート端子およびn型ドープチャネルで置き換えられ、MOSFET1040の代わりにNチャネル接合電界効果トランジスタ(JFET)を形成し得る。
【0153】
図11Aから
図11Fに関して説明されているフォトダイオード1100、1102、1104、1106、1108、および1109は、基板902上に加工され、したがって基板902によって支持される。一般に、フォトダイオードの様々なコンポーネントは、異なる半導体ウェハ上に別々に加工され、様々なウェハボンディング技術を使用して互いに接合されフォトダイオードを形成し得る。
図11Gを参照すると、ウェハ接合されたフォトダイオード1160が示されている。ウェハ接合されたフォトダイオード1160は、
図11Aのフォトダイオード1100に類似しているが、吸収領域906、p型ドープ領域1031、および第1のn型ドープ領域1030がここでは第1の半導体層1170によって支持され、第2のn型ドープ領域1132、ゲート710、およびフローティング拡散キャパシタ1140がここでは第2の半導体層1172によって支持される点が異なる。第1の半導体層1170および第2の半導体層1172は、標準的な集積回路加工プロセスで使用されるシリコンウェハなどの、半導体ウェハであってよい。フォトダイオード1160の動作は、フォトダイオード1100の動作に類似している。
【0154】
第1の半導体層1170は、第2の半導体層1172から切り離して処理され得る。たとえば、第1の半導体層1170は、吸収領域906を形成する作業専用の第1の加工プロセスを使用して処理され、第2の半導体層1172は、ゲート710を形成する作業専用の第2の加工プロセスを使用して処理され得る。第2の加工プロセスは、たとえば、高密度デジタル回路を形成するためのサブ100nm CMOS加工プロセスであってよい。相互接続部1150の第1の部分は第1の半導体層1170の処理中に加工され、相互接続部1150の第2の部分は第2の半導体層1172の処理中に加工され得る。次いで、処理された第1の半導体層1170および第2の半導体層1172は、接合界面1174のところで接合され、第1の半導体層1170と第2の半導体層1172とを機械的に結合し、吸収領域906を第2のn型ドープ領域1132に電気的に結合するものとしてよい。第1の層1170と第2の層1172との接合の結果生じる実体は基板と称され得る。ウェハボンディングに関する追加の詳細は、
図17A〜
図17Dおよび
図19Aから
図20Fに関して後で説明される。
【0155】
第1の半導体層1170および第2の半導体層1172の接合は、第2の半導体層1172に面する吸収領域906の第1の表面を光学的に見えなくし得る。そのようなものとして、光信号1180は、吸収領域906が形成されている表面に対向する第1の半導体層1170の第2の表面から吸収領域906に入り得る。この照射構成は、背面照射と称され得る。
【0156】
図11Hを参照すると、ウェハ接合されたフォトダイオード1162が図示されている。ウェハ接合されたフォトダイオード1162は、
図11Eのフォトダイオード1108に類似しているが、吸収領域906、p型ドープ領域1031、および第1のn型ドープ領域1130がここでは第1の半導体層1170によって支持され、第2のn型ドープ領域1134、ゲート710、およびフローティング拡散キャパシタ1142がここでは第2の半導体層1172によって支持される点が異なる。フォトダイオード1162の加工プロセスは、フォトダイオード1160の加工プロセスに類似しており、フォトダイオード1162の動作は、フォトダイオード1108の動作に例示している。
【0157】
図12は、可視光線および赤外線の光信号を検出するための例示的なフォトダイオード1200を示している。例示的なフォトダイオード1200は、正孔を収集するためのNIRピクセル1202と、電子を収集するための可視光(VIS)ピクセル1204とを備え、NIRピクセル1202および可視光ピクセル1204は、共通基板上に形成される。NIRピクセル1202および可視光ピクセル1204は、分離構造によって分離されない。NIRピクセル1202は、NIR波長帯内の波長を有する光信号を検出するように構成される。可視光ピクセル1204は、可視光波長帯内の波長(たとえば、青色および/または緑色および/または赤色)を有する光信号を検出するように構成される。NIRピクセル1202および可視光ピクセル1204は、たとえば、
図1を参照して説明されているようにセンサ層108内のフォトダイオードであってよい。
【0158】
可視光ピクセル1204は、光生成キャリアから生成された自由電子を収集するように構成され、n−Si領域1212、n+Si領域1214、p−Si領域1220、第1のゲート1216、第1のゲート1216に結合された第1の制御信号1217、およびn+Si領域1214に結合された第1の読み出し回路1218を含む。n−Si領域1212は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
16cm
−3にドープされ得る。n+Si領域1214は、n+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、リンで約5×10
20cm
−3である。p−Si領域1220は、p型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、ホウ素で約10
16cm
−3にドープされ得る。
【0159】
一般に、p−Si層1220は光信号1222を受け取る。p−Si層1220の厚さは、一般的に、薄い(たとえば、50〜100nm)ので、光信号1222はn−Si領域1212内に伝搬し、n−Si領域1212は光信号1222を吸収し、光信号1222を自由キャリアに変換する。いくつかの実装形態において、光信号1222は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号1222のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0160】
一般に、p−Si領域1220のフェルミ準位とn−Si領域1212のフェルミ準位との間の差は、2つの領域の間に電界を発生し、n−Si領域1212によって生成される自由電子は、電界によってp−Si領域1220の下の領域の方へドリフトされる。第1のゲート1216は、第1の制御信号1217に結合され得る。たとえば、第1のゲート1216は電圧源に結合されてよく、第1の制御信号1217は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第1の制御信号1217はp−Si領域1220の下の領域からn+−Si領域1214への自由電子の流れを制御する。たとえば、制御信号1217の電圧が閾値電圧を超える場合、p−Si領域1220の下の領域内に蓄積した自由電子はn+Si領域1214へドリフトし収集される。n+Si領域1214は、収集された電気信号を処理する第1の読み出し回路1218に結合され得る。第1の読み出し回路1218は、
図4Aを参照しつつ説明されているように第1の読み出し回路418に類似するものとしてよい。
【0161】
NIRピクセル1202は、光生成キャリアから生成された自由正孔を収集するように構成され、n−Si領域1242、p+Si領域1244、第2のゲート1246、第2のゲート1246に結合された第2の制御信号1247、p+Si領域1244に結合された第2の読み出し回路1248、n+GeSi領域1250、真性GeSi領域1252、p−GeSi領域1254、および酸化物領域1256を含む。それに加えて、NIRピクセル1202は、VISピクセル1204とp−Si領域1220を共有する。
【0162】
n−Si領域1242は、n型ドーパントで低濃度ドープされ得る、たとえば、リンで約10
15cm
−3にドープされ得る。p+Si領域1244は、p+型ドーピングを有していてよく、活性ドーパント濃度は、加工プロセスが達成できるくらいに高い、たとえば、ホウ素で約5×10
20cm
−3である。n+GeSi層1250は光信号1260を受け取り、光信号1260を電気信号に変換する。n+GeSi層1250の厚さは、一般的に、薄い(たとえば、50〜100nm)ので、光信号1260は真性GeSi領域1252内に伝搬し、真性GeSi領域1252は光信号1260を吸収し、光信号1260を自由キャリアに変換する。いくつかの実装形態において、光信号1260は、
図1を参照しつつ説明されているようなフィルタ層110内のNIRフィルタなどの、この図に示されていない波長フィルタによってフィルタ処理され得る。いくつかの実装形態において、光信号1260のビームプロファイルは、
図1を参照しつつ説明されているようなレンズ層112内のレンズなどの、この図に示されていないレンズによって整形され得る。
【0163】
いくつかの実装形態において、真性GeSi領域1252の厚さは、0.05μmから2μmまでの範囲内であってよい。いくつかの実装形態において、n+GeSi領域1250は、真性GeSi領域1252から遠ざかるように生成された正孔を反発させて表面再結合を回避し、それによってキャリア収集効率を増大させ得る。たとえば、n+GeSi領域1250はn+型ドーピングを有していてもよく、ドーパント濃度は、加工プロセスが達成し得るような高さであり、たとえば、真性GeSi領域1250がゲルマニウムであり、リンをドープしたときに約5×10
20cm
−3であり得る。
【0164】
真性GeSi領域1252内の光生成自由正孔は、p−Si領域1220内にドリフトまたは拡散し得る。真性GeSi領域1252内の光生成自由電子は、p−GeSi領域1254によって反発されるものとしてよく、これは自由電子がp−Si領域1220に進入するのを防ぐ。いくつかの実装形態において、ドレイン電源電圧V
DDがNIRピクセル1202に印加されて、n+GeSi領域1250とp−Si領域1220との間に電界を発生し、それにより、自由正孔はp−Si領域1220の方へドリフトし、自由電子はn+GeSi領域1250の方へドリフトし得る。
【0165】
第2のゲート1246は、第2の制御信号1247に結合され得る。たとえば、第2のゲート1246は電圧源に結合されてよく、第2の制御信号1247は電圧源からのDC電圧信号であってよい。第2の制御信号1247はp−Si領域1220からp+Si領域1244への自由正孔の流れを制御する。たとえば、第2の制御信号1247の電圧が閾値電圧を超える場合、p−Si領域1220内に蓄積した自由正孔はp+Si領域1244の方へドリフトする。p+Si領域1244は、収集された電気信号のさらなる処理のために第2の読み出し回路1248に結合され得る。
【0166】
図12に示されていないけれども、いくつかの他の実装形態において、可視光ピクセル1204は、代替的に、電子の代わりに正孔を収集するように加工されてよく、NIRピクセル1202は、代替的に、正孔の代わりに電子を収集するように加工され得る。この場合、p−Si領域1220は、n−Si領域によって置き換えられ、n−Si領域1242および1212は、p−Si領域によって置き換えられ、p+Si領域1244は、n+Si領域によって置き換えられ、n+Si領域1214は、p+Si領域によって置き換えられ、n+GeSi領域1250は、p+GeSi領域によって置き換えられ、p−GeSi領域1254は、n−GeSi領域によって置き換えられる。
【0167】
いくつかの実装形態において、
図4A、
図4B、
図5、
図6、
図7、
図8、および
図9に示されている光信号の方向は、設計、パッケージング、およびアプリケーションに応じて反転されてよい。たとえば、
図4Aを参照すると、光信号406はp+Si領域423を通してNIRピクセル402に入り、n−Si領域422を通って伝搬し、次いで、真性GeSi領域433によって吸収され得る。
【0168】
図13は、可視光およびNIR光を検出するためさらにはTOFアプリケーションのための例示的な集積化フォトダイオードアレイ1300の上面図を示している。フォトダイオード1300は、NIR/TOFピクセル1302およびVISピクセル1304を備える。NIR/TOFピクセル1302は、NIRゲート1306と、第1のTOFゲート1312と、第2のTOFゲート1314とを備える。VISピクセル1304はVISゲート1308を備える。NIR/TOFピクセル1302およびVISピクセル1304は、分離構造によって分離されない。NIRゲート1306およびVISゲート1308を使用する電荷読み出しの制御部は、
図12を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード1200に類似している。TOFゲート1312および1314を使用する電荷読み出しの制御部は、
図7を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード700、
図8を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照して説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、および1162に類似している。NIRゲート1306ならびにTOFゲート1312および1314に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集し、VISゲート1008に結合されている読み出し回路は、反対の種類のキャリアを収集する。たとえば、NIRゲート1306ならびにTOFゲート1312および1314の読み出し回路が電子を収集するように構成されている場合、VISゲート1308に結合されている読み出し回路は正孔を収集するように構成される。逆に、NIRゲート1306ならびにTOFゲート1312および1314の読み出し回路が正孔を収集するように構成されている場合、VISゲート1308に結合されている読み出し回路は電子を収集するように構成される。
【0169】
図14は、可視光を検出するため、およびTOFアプリケーションのための例示的な集積化フォトダイオードアレイ1400の上面図を示している。フォトダイオード1400は、NIR/TOFピクセル1402およびVISピクセル1404を備える。NIR/TOFピクセル1402は、第1のTOFゲート1412と、第2のTOFゲート1414とを備える。VISピクセル1404はVISゲート1408を備える。NIR/TOFピクセル1402およびVISピクセル1404は、分離構造によって分離されない。VISゲート1408およびTOFゲート1412または1414を使用する電荷読み出しの制御部は、
図12を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード1200に類似している。TOFゲート1412および1414を使用する電荷読み出しの制御部は、
図7を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード700、
図8を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照して説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、および1162に類似している。TOFゲート1412および1414に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集し、VISゲート1408に結合されている読み出し回路は、反対の種類のキャリアを収集する。たとえば、TOFゲート1412および1414の読み出し回路が電子を収集するように構成されている場合、VISゲート1408に結合されている読み出し回路は正孔を収集するように構成される。逆に、TOFゲート1412および1414の読み出し回路が正孔を収集するように構成されている場合、VISゲート1408に結合されている読み出し回路は電子を収集するように構成される。
【0170】
図15は、可視光およびNIR光を検出するためさらにはTOFアプリケーションのための例示的な集積化フォトダイオードアレイ1500の上面図を示している。フォトダイオード1500は、NIR/TOFピクセル1502およびVISピクセル1504を備える。NIR/TOFピクセル1502は、NIRゲート1506と、第1のTOFゲート1512と、第2のTOFゲート1514とを備える。VISピクセル1504はVISゲート1508を備える。NIR/TOFピクセル1502およびVISピクセル1504は、分離構造によって分離される。NIRゲート1506およびVISゲート1508を使用する電荷読み出しの制御部は、
図4Aを参照して説明されているようなフォトダイオード400、または
図4Bを参照して説明されているようなフォトダイオード450、または
図5を参照して説明されているようなフォトダイオード500、または
図6を参照して説明されているようなフォトダイオード600に類似している。NIRゲート1506を使用する電荷読み出しの制御部は、
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照して説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、または1162に類似している。TOFゲート1506および1508を使用する電荷読み出しの制御部は、
図7を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード700、
図8を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照して説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、および1162のマルチゲートバージョンに類似している。NIRゲート1506ならびにTOFゲート1512および1514に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集し、VISゲート1508に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集してもしなくてもよい。たとえば、NIRゲート1506ならびにTOFゲート1512および1514の読み出し回路が電子を収集するように構成されている場合、VISゲート1508に結合されている読み出し回路は、NIR/TOFピクセル1502およびVISピクセル1504が分離されているので設計に応じて正孔または電子を収集するように構成され得る。同様に、NIRゲート1506ならびにTOFゲート1512および1514の読み出し回路が正孔を収集するように構成されている場合、VISゲート1508に結合されている読み出し回路は正孔または電子を収集するように構成されてよい。
【0171】
図16は、可視光を検出するためさらにはTOFアプリケーションのための例示的な集積化フォトダイオードアレイ1600の上面図を示している。フォトダイオードアレイ1600は、NIR/TOFピクセル1602およびVISピクセル1604を備える。NIR/TOFピクセル1602は、第1のTOFゲート1606と、第2のTOFゲート1612と、第3のTOFゲート1614と、第4のTOFゲート1616とを備える。第4のTOFゲートは、収集された信号に関する追加の位相情報を抽出するために使用され得る。VISピクセル1604はVISゲート1608を備える。NIR/TOFピクセル1602およびVISピクセル1604は、分離構造によって分離される。VISゲート1608ならびにTOFゲート1606、1612、1614、および1616を使用する電荷読み出しの制御部は、
図4Aを参照して説明されているようなフォトダイオード400、または
図4Bを参照して説明されているようなフォトダイオード450、または
図5を参照して説明されているようなフォトダイオード500、または
図6を参照して説明されているようなフォトダイオード600に類似している。TOFゲート1606、1612、1614、および1616を使用する電荷読み出しの制御部は、
図7を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード700、
図8を参照して説明されているようなマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照して説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、および1162のマルチゲートバージョンに類似している。TOFゲート1606、1612、1614、および1616に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集し、VISゲート1608に結合されている読み出し回路は、同じ種類のキャリアを収集してもしなくてもよい。たとえば、TOFゲート1606、1612、1614、および1616の読み出し回路が電子を収集するように構成されている場合、VISゲート1608に結合されている読み出し回路は、NIR/TOFピクセル1602およびVISピクセル1604が分離されているので設計に応じて正孔または電子を収集するように構成され得る。同様に、TOFゲート1606、1612、1614、および1616の読み出し回路が正孔を収集するように構成されている場合、VISゲート1608に結合されている読み出し回路は正孔または電子を収集するように構成されてよい。
【0172】
図17A〜
図17Dは、フォトダイオードアレイを加工するための例示的な設計1700を示す。
図17Aを参照すると、ゲルマニウム‐シリコン層1702がドナーウェハ1704上に形成された。ドナーウェハ1704はシリコンウェハであってよい。ゲルマニウム‐シリコン層1702は、化学気相成長(CVD)システムを通じてエピタキシャル成長を使用して形成され得る。
【0173】
図17Bを参照すると、分離構造1708はゲルマニウム‐シリコン層1702内に形成され、フォトダイオード領域を画成する。分離構造1708は、分離構造パターンの乾式エッチングの後の酸化物などの絶縁材料の堆積、またはドーピング接合を形成する注入、または他の任意の好適な技術を通じて形成され得る。図には示されていないけれども、フォトダイオードをさらに処理する1つまたは複数の処理ステップがあり得る。たとえば、真性GeSi領域の表面上にp+GeSi領域を画成するドーピングステップがあり得る。次いで、相互接続層1706がゲルマニウム‐シリコン層1702上に形成され、複数の相互接続部が誘電体層内に形成され、これによりゲルマニウム‐シリコン層1702との電気的接続を確立し、接合整列のための整列マークが形成される。
【0174】
図17Cを参照すると、キャリア基板1714の相互接続層1716は、ドナーウェハ1704の相互接続層1706と接合されることがわかる。本明細書で参照されている相互接続層は、導電性経路(たとえば、金属層)と、個別の導電性経路を絶縁するための誘電体層とを含み得る。キャリア基板1714はシリコン基板であってよく、回路の1つまたは複数の層1718はシリコン基板上に形成されてよい。回路は、制御回路、読み出し回路、および/またはフォトダイオードアレイ用の任意の他の好適な回路であってよい。整列マークは、任意の好適な技術によって層1706および1716の両方に形成され得る。層1706と1716との間の接合は、熱接合または金属間接合および酸化物間接合を含むハイブリッド接合などの任意の好適な技術によって行われ得る。
【0175】
図17Dを参照すると、フィルタ層1720およびレンズ層1722はゲルマニウム‐シリコン層1702上に形成され、フォトダイオードアレイを形成することがわかる。図示されていないけれども、ドナーウェハ1704は、接合後およびフィルタ層1720を形成する前に研磨または他の好適な技術によって取り除かれ得る。いくつかの他の実装形態において、これらの図には示されていないけれども、ゲルマニウムは、
図17A〜
図17Dに関係する説明におけるセンサ材料としてゲルマニウム‐シリコンを置き換え得る。
【0176】
図18A〜
図18Dは、基板上にゲルマニウム‐シリコンを選択的形成するための例示的な設計1800を示している。設計1800は、たとえば、フォトダイオードアレイ100、200、または300を加工するために使用され得る。
図18Aを参照すると、基板1802上に陥凹部1804が形成されることがわかる。陥凹部1804は、NIRピクセルに対するフォトダイオード領域を画成し得る。陥凹部は、リソグラフィを使用し、その後、基板1802の乾式エッチングを使用することで形成され得る。陥凹部の形状は、正方形、円形、または他の好適な形状などの、ピクセルの形状に対応し得る。
【0177】
図18Bを参照すると、基板の上に誘電体層が堆積され、方向性エッチが実行されて側壁スペーサ1806を形成し得ることがわかる。方向性エッチは、異方性乾式エッチであってよい。
図18Cを参照すると、ゲルマニウム‐シリコン領域1808が基板1802から選択的に成長させられることがわかる。たとえば、ゲルマニウム‐シリコン領域1808は、化学気相成長(CVD)システムを通じてエピタキシャル成長を使用して形成され得る。
【0178】
図18Dを参照すると、ゲルマニウム‐シリコン領域1808が基板1802とともに平坦化されることがわかる。ゲルマニウム‐シリコン領域1808は、化学機械研磨(CMP)または他の任意の好適な技術を使用して平坦化され得る。いくつかの他の実装形態において、これらの図には示されていないけれども、ゲルマニウムは、
図18A〜
図18Dに関係する説明におけるセンサ材料としてゲルマニウム‐シリコンを置き換え得る。いくつかの実装形態において、側壁スペーサ1806は、省かれてもよい。
【0179】
図19A〜
図19Dは、フォトダイオードアレイを加工するための例示的な設計1900を示している。設計1900は、たとえば、
図4A、
図4B、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10B〜
図10D、
図11A〜
図11H、および
図12を参照しつつそれぞれ説明されているようなフォトダイオード400、450、500、600、700、800、900、910、920、1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、1162、および1200を加工するために使用され得る。
図19Aを参照すると、シリコンフォトダイオード1902がドナーウェハ1904上に形成され、ゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード1906がドナーウェハ1904上に選択的に成長させられたことがわかる。可視光ピクセル454はシリコンフォトダイオード1902のダイオードの一例であり、NIRピクセル452はGeSiフォトダイオード1906のダイオードの一例であるものとしてよい。ゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードの選択的成長は、
図18A〜
図18Dを参照しつつ説明されているような設計1800、または任意の他の好適な設計もしくはプロセスを使用して行われ得る。
【0180】
図19Bを参照すると、相互接続層1910がゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード1906上に形成されており、複数の相互接続部が誘電体層内に形成され、これによりゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード1906およびシリコンフォトダイオード1902との電気的接続を確立し、接合整列のための整列マークが形成されることがわかる。
【0181】
図19Cを参照すると、キャリア基板1914の相互接続層1916は、ドナーウェハ1904の相互接続層1910と接合されることがわかる。キャリア基板1914はシリコン基板であってよく、回路の1つまたは複数の層1918はシリコン基板上に形成されてよい。回路は、制御回路、読み出し回路、および/またはフォトダイオードアレイ用の任意の他の好適な回路であってよい。整列マークは、任意の好適な技術によって層1910および1916の両方に形成され得る。層1910と1916との間の接合は、熱接合または金属間接合および酸化物間接合を含むハイブリッド接合などの任意の好適な技術によって行われ得る。
【0182】
図19Dを参照すると、フィルタ層1920およびレンズ層1922はシリコンフォトダイオード1902上に形成され、フォトダイオードアレイを形成することがわかる。図示されていないけれども、ドナーウェハ1904は、接合後およびフィルタ層1920を形成する前に研磨または他の好適な技術によって取り除かれ得る。いくつかの他の実装形態において、これらの図には示されていないけれども、ゲルマニウムは、
図19A〜
図19Dに関係する説明におけるセンサ材料としてゲルマニウム‐シリコンを置き換え得る。
【0183】
図20A〜
図20Eは、フォトダイオードアレイを加工するための例示的な設計2000を示している。設計2000は、たとえば、
図4A、
図4B、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10B〜
図10D、
図11A〜
図11H、および
図12を参照しつつそれぞれ説明されているようなフォトダイオード400、450、500、600、700、800、900、910、920、1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、1162、および1200を加工するために使用され得る。
図20Aを参照すると、ゲルマニウム‐シリコン層2002が第1のドナーウェハ2004上に形成されたことがわかる。第1の相互接続層2006が、複数の相互接続部および整列マークとともにゲルマニウム‐シリコン層2002上に形成される。
【0184】
図20Bを参照すると、キャリア基板2014の相互接続層2016は、第1のドナーウェハ2004の相互接続層2006と接合されることがわかる。キャリア基板2014はシリコン基板であってよく、回路の1つまたは複数の層2018はシリコン基板上に形成されてよい。回路は、制御回路、読み出し回路、および/またはフォトダイオードアレイ用の任意の他の好適な回路であってよい。層2006と2016との間の接合は、熱接合または金属間接合および酸化物間接合を含むハイブリッド接合などの任意の好適な技術によって行われ得る。
【0185】
図20Cを参照すると、第1のドナーウェハ2004は、接合後に研磨または他の好適な技術によって取り除かれることがわかる。
図20Dを参照すると、第1のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード2020が形成されることがわかる。第1のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード2020は、ゲルマニウム‐シリコン層2002のパターンおよびエッチを使用して形成され、その後、誘電体層などの保護層が堆積されるものとしてよい。誘電体層は、CMPまたは他の好適な技術を通じて平坦化され得る。異方性エッチを行い、その後銅などの導電性材料を堆積することによってビア2022が形成され得る。
【0186】
図20Eを参照すると、キャリア基板2014の誘電体層2044は、第2のドナーウェハ2034の相互接続層2032と接合されることがわかる。ゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードアレイ2036が第2のドナーウェハ2034上に形成される。ビア2038はビア2022を介して接合され、第1のゲルマニウム‐シリコンフォトダイオード2020と、ゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードアレイ2036と、集積回路2018との間に電気的接続を確立する。
【0187】
図20Fを参照すると、フィルタ層2040およびレンズ層2042はゲルマニウム‐シリコンフォトダイオードアレイ2036上に形成され、フォトダイオードアレイを形成することがわかる。図示されていないけれども、第2のドナーウェハ2034は、接合後およびフィルタ層2040を形成する前に研磨または他の好適な技術によって取り除かれ得る。いくつかの他の実装形態において、これらの図には示されていないけれども、ゲルマニウムは、
図20A〜
図20Fに関係する説明におけるセンサ材料としてゲルマニウム‐シリコンを置き換え得る。
【0188】
フォトディテクタの動作速度または帯域幅は、TOF検出などの、光の高速な検出の恩恵を受けるアプリケーションに対する重要な性能パラメータであり得る。フォトディテクタの帯域幅に影響を及ぼし得る特性は、とりわけ、受光される光が通るフォトディテクタの面積などの、フォトディテクタの物理的サイズである。たとえば、フォトディテクタの面積を縮小することで、デバイスの静電容量、キャリア通過時間、またはこの両方の組合せを低減させることができ、その結果、典型的には、フォトディテクタの帯域幅が増大する。しかしながら、フォトディテクタの検出面積が縮小されると、フォトディテクタによって検出される光の量(すなわち、光子の数)が減ることになり得る。たとえば、単位面積当たりの光の所与の強度について、検出器の面積の縮小は検出される光の減少を引き起こす。
【0189】
TOF検出などの、高い帯域幅と高い検出効率の両方の恩恵を受けるアプリケーションに対しては、フォトディテクタの前にマイクロレンズを追加すると有益な場合がある。マイクロレンズは入射光をフォトディテクタ上に集束させることができ、これにより、小面積のフォトディテクタがそれ自体より広い面積にわたって入射する光を検出することを可能にする。たとえば、マイクロレンズレンズと、マイクロレンズの有効焦点距離だけマイクロレンズをフォトディテクタから隔てるスペーサ層(SL)との適切に設計された組合せは、入射光を入射光の光波長の2乗のオーダーである回折限界スポットに集束させることを可能にし得る。そのようなスキームは、フォトディテクタの面積縮小の潜在的なマイナス面を軽減しながらフォトディテクタの面積を縮小することを可能にし得る。
【0190】
図21Aは、フォトディテクタと一体化されているシリコンレンズの例示的な構成2100の断面図を示している。構成2100は、ドナーウェハ2110とキャリアウェハ2130とを備える。ドナーウェハ2110は、複数のピクセル2120aから2120c(ピクセル2120と総称される)と、ビア2114と、金属パッド2116と、第1の接合層2112とを備える。キャリアウェハ2130は、第2の接合層2132を備える。ドナーウェハ2110およびキャリアウェハ2130は、第1の接合層2112および第2の接合層2132を通じて互いに接合される。基板2110は、
図1の基板102に類似しているものとしてよい。吸収領域2106は、吸収領域706、806、および906に類似しているものとしてよい。
【0191】
ピクセル2120aから2120cは、それぞれ吸収領域2106aから2106cと、それぞれマイクロレンズ2122aから2122c(まとめてマイクロレンズ2122と称する)とを含む。マイクロレンズ2122は、ドナーウェハ2110内にまたはドナーウェハ2110上に一体化される凸レンズである。TOF検出などの、高い光収集効率の恩恵を受けるアプリケーションにおいて、マイクロレンズ2122を追加すると有益な場合がある。マイクロレンズ2122が凸形状の構成をとることで、マイクロレンズ2122上に入射する光を吸収領域2106の方へ集束させることができ、これはピクセル2120の光収集効率を改善し、その結果ピクセル性能の改善をもたらし得る。マイクロレンズ2120をドナーウェハ2110の背面に置くピクセル2122の配置構成は、裏面照射と称され得る。
【0192】
マイクロレンズ2122は、それが形成される幾何学的パラメータおよび材料を含む、その性能に影響を及ぼす様々な特性を有する。マイクロレンズ2122は、典型的には、平凸構成で実装され、一方の表面は入射光に面し、曲率半径を持つ凸状であり、他方の表面はマイクロレンズ2122が中にまたは上に形成されるドナーウェハ2110と接する平面状表面である。マイクロレンズ2122の平凸構成は、標準的な半導体処理技術を通じて加工するのに適しているものとしてよい。マイクロレンズ2122は高さH
Lおよび直径D
Lを有するものとしてよく、高さH
Oだけ吸収領域2106のレンズが面する表面から隔てられ得る。いくつかの実装形態において、H
Lは1から4μmであってよく、H
Oは8から12μmであってよく、H
Aは1から1.5μmであってよく、D
Lは5から15μmであってよい。いくつかの実装形態において、球面型マイクロレンズ2122については、その曲率半径は、吸収領域2106上への光の最適な集束が行われるようにマイクロレンズ2122の焦点距離がH
Oにほぼ等しくなるように設定され得る。焦点距離および曲率半径の決定は、ビーム伝搬法(BPM)および時間領域差分(FDTD)技術などの様々なシミュレーション技術を使用して実行され得る。いくつかの実装形態において、マイクロレンズ2122は非球面レンズである。
【0193】
マイクロレンズ2122は、様々な材料から形成され、様々な方法で加工され得る。一般に、波長がピクセル2120によって検出されるように透過的である様々な材料が使用され得る。たとえば、マイクロレンズ2122は、結晶シリコン、ポリシリコン、非晶質シリコン、シリコン窒化物、ポリマー、またはこれらの組合せなどの、中から高の屈折率(たとえば、>1.5)を有する材料から加工され得る。可視光波長に対しては、ポリマー材料が使用され得る。NIR波長に対しては、シリコンがNIRにおいて比較的透過的であり、比較的高い屈折率(1000nmで約3.5)を有しており、NIRにおいてレンズ材料として適しているので、シリコンが使用されてよい。さらに、シリコンは可視光波長(たとえば、<800nm)を強く吸収するので、シリコンマイクロレンズは、可視光の実質的部分が吸収領域2106に到達するのを阻止し、これはNIR波長の選択的検出が望ましいアプリケーション(たとえば、ToF検出)に対して有益であり得る。結晶シリコンのマイクロレンズ2122は、典型的には結晶シリコンウェハである、ドナーウェハ2110の表面にパターンを形成しエッチングすることによって加工されるものとしてよい。別の例として、ポリシリコンまたは非晶質シリコンがドナーウェハ2110の表面上に堆積されるものとしてよく、次いでこれも同様の仕方でパターン形成されエッチングされ得る。結晶シリコンのドナーウェハ2110のエッチングを通じて、またはドナーウェハ2110上に堆積されたポリシリコンまたは非晶質シリコンのエッチングによってマイクロレンズ2122を形成することは、ドナーウェハ2110上にマイクロレンズ2122を一体形成する例示的な方法である。
【0194】
マイクロレンズ2122のパターン形成は、たとえば、グレースケールリソグラフィ技術を使用して実行され得る。グレースケールリソグラフィでは、マイクロレンズなどの、パターン形成されるべき特徴は、現像された結果として得られるフォトレジストマスクの厚さの漸次的変化に変換される、照射線量における局所的な階調を使用して露光される。たとえば、フォトレジストマスクは、マイクロレンズ2122などの類似の形状を有するようにパターン形成されるものとしてよい。次いで、フォトレジストマスクは、プラズマベースの方向性エッチング技術などの半導体エッチング技術によって、結晶シリコンドナーウェハ2110などの、下にある材料上に転写され、マイクロレンズ2122の加工を完了する。いくつかの実装形態において、照射線量における局所的な階調は、たとえば、フォトマスク上のサブ波長特徴のフィルファクタを変化させることによって達成され得る。
【0195】
吸収領域2106は、吸収領域706、806、および906に類似しているものとしてよい。キャリアウェハ2130は、ピクセル2120に結合されている様々な電子回路を含み得る。たとえば、電子回路は、ビア2114などの構造を通じて結合されてよい。ビア2114は金属パッド2116に結合され、たとえば、ワイヤボンドを通じて外部電子部品と界面で接合するものとしてよい。
【0196】
キャリアウェハ2130およびドナーウェハ2110は、様々な技術を通じて互いに接合されるか、または機械的に取り付けられ得る。たとえば、第1および第2の接合層2112および2132は酸化物(たとえば、二酸化ケイ素)であってよく、接合は酸化物‐酸化物接合であってよい。別の例として、第1および第2の接合層2112および2132は金属(たとえば、銅)であってよく、接合は金属‐金属接合であってよい。さらに別の例として、第1および第2の接合層2112および2132は酸化物と金属との組合せ(たとえば、酸化ケイ素と銅)であってよく、接合はハイブリッド接合であってよい。
【0197】
図21Bは、フォトディテクタと一体化されているマイクロレンズの例示的な構成2140の断面図を示している。構成2140は、マイクロレンズ2142、反射防止コーティング(ARC)層2144、スペーサ層2146、第1の層2148、第2の層2150、シリコン層2152、およびフォトディテクタ2154を含む。ARC層2144は、マイクロレンズ2142によって支持される。マイクロレンズ2142は、スペーサ層2146によって支持される。フォトディテクタ2154は、シリコン層2152によって支持されるか、またはシリコン層2152内に形成され得る。第1の層2148および第2の層2150は、シリコン層2152とスペーサ層2146との間の中間層であってよい。
【0198】
ARC層2144が設けられ、これによりマイクロレンズ2142上に入射する光の反射を低減する。ARC層2144は、たとえば、マイクロレンズ2142の屈折率の平方根である屈折率を有し、入射波長の1/4に対応する厚さを有するように設計され得る。いくつかの実装形態において、ARC層2144は、二酸化ケイ素から形成され得る。いくつかの実装形態において、ARC層2144は複数の層を含み、多層ARCを形成し得る。
【0199】
構成2140は、裏面照射(BSI)型イメージセンサ構成のマイクロレンズ2142の一体化に対応し得る。たとえば、シリコン層2152は
図19Cのドナーウェハ1904または
図20Eの第2のドナーウェハ2034などのシリコン基板とすることができ、フォトディテクタ2154は、たとえば、
図19A〜
図19Dのフォトディテクタ1902もしくは1906であってよい。シリコン層2152と第2の層2150との間の界面は、
図19A〜
図19Dのフォトディテクタ1906に対向するドナーウェハ1904の底部表面に対応し得る。そのようなBSI構成において、シリコン層2152上に形成される第2の層2150、たとえば、ドナーウェハ1904の裏面は、BSI照射センサウェハの加工時に典型的である様々な構造および層を含むことができる。そのような構造および層の例は、シリコン層2152の界面のところの光反射を低減するためのARC層、およびマイクロレンズ2142の下の領域など、受光するための領域以外のシリコン層2152内への光を阻止するための、タングステングリッドなどの、金属グリッドを含む。第1の層2148は、他にもあるがとりわけ、構成2140の製造性および信頼性を改善するために第2の層2150へのスペーサ層2146の接着を促進する材料の薄い層であってよい。第1の層2148に対する材料は、たとえば、様々な誘電体材料(たとえば、SiO
2、SiON、およびSiN)またはポリマーであってよい。いくつかの実装形態において、第1の層2148は、第2の層2150とスペーサ層2146との間の相互作用に応じて省くことができる(たとえば、スペーサ層2146が第2の層2150との間で良好な接着性を有している場合)。
【0200】
構成2140は、シリコン層2152、フォトディテクタ2154、および第2の層2150を含むセンサウェハを提供し、第1の層2148、スペーサ層2146、マイクロレンズ2142、およびARC層2144を所与の順序で堆積し、次いで、パターン形成し、エッチングして
図21Aに示されている金属パッド2116に類似する金属パッドを露出させることによって加工され得る。マイクロレンズ2142は、
図21Aのマイクロレンズ2122の加工に関して説明されている技術を使用してパターン形成され、エッチングされ得る。ARC層2144は、マイクロレンズ2142の表面に限定されているように図示されているが、一般には、ARC層2144は、マイクロレンズ2142の側部表面およびスペーサ層2146の上側表面などの、他の表面に及ぶものとしてよい。
【0201】
940nmの動作波長に合わせて構成されている構成2140の特定の実装形態のコンポーネントの様々な特性は一例として挙げられている。マイクロレンズ2142は、1.53の屈折率、6μmの曲率半径、4μmの高さ、および10μmの直径D
Lを有する。ARC層2144は、SiO
2から形成され、これは940nmで1.46の屈折率、および161nmの厚さを有する。スペーサ層2146は、1.56の屈折率および2μmの厚さを有する。第1の層2148は、1.54の屈折率および8μmの厚さを有する。第2の層2150は、シリコン層2152およびタングステングリッドに対してARC層を含む。特定の特性が提示されているが、特性は、たとえば、フォトディテクタ2154の異なる動作波長、材料、およびサイズについて構成2140を適応させるように改質され得る。
【0202】
いくつかの実装形態において、BSIイメージセンサのシリコン基板の裏面の上に形成される「トップ層」と称され得る、第2の層2150は、構成2140の全体的な光学的性能を改善するために改質され得る。第2の層2150は、すでに説明されているように、典型的には、SiO
2の層内に埋め込まれたタングステングリッドなどの、誘電体層内に埋め込まれた金属グリッドを含む。SiO
2のこの層は、光が空気から直接シリコン層2152に入射していた場合にARC層として働き得る。しかしながら、すべて空気の屈折率(約1.0)より著しく高い屈折率を有するマイクロレンズ2142、スペーサ層2146、および第1の層2148を追加したことで、SiO
2層は、シリコン層2152と第1の層2148およびスペーサ層2146の積み重ねとの間の界面のところの光の反射を低減する機能を効果的に果たし得ない。
【0203】
表1は、構成2140の一実装形態のシミュレーションパラメータおよび計算された透過度を示している。層および厚さは、構成2140の異なる実装形態の予想される透過率を近似するシミュレーションを実行することを目的として適応および/または近似されている。
【0205】
表1を参照すると、事例1はSiO
2の標準的な単一層を含む第2の層2150に対応しており、その結果約79%のシミュレートされた透過率が得られることがわかる。可能な限り多くの入射光を検出することが重要であるアプリケーションについては、入射光のそのような21%の損失は許容できない場合がある。透過率のそのような低下は、SiO
2層とシリコン層2150との間の中間層としてSiO
2層の下の第2の層2150にSi
3N
4層を入れることによって軽減され得る。約120nmのSi
3N
4を入れることによって、透過率は約98%まで改善できる。そのようなものとして、中間層は、反射防止層と称され得る。一般に、屈折率がSiO
2の屈折率より高い様々な光学的に透明な材料がSi
3N
4の代わりに使用されてよい。例示的な材料は、SiON、SiN、Al
2O
3、HfO
2、ZrO
2、およびLa
2O
3、ならびにCMOS製造プロセスと親和性の高い高k材料(たとえば、高い誘電定数を有する材料)を含む。好適な材料は、たとえば、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0より高い屈折率を有し得る。材料の厚さは、材料内の光の波長の1/4の奇数倍となるように適合されるべきである。
【0206】
Si
3N
4または高k材料層をシリコン層2152の上に直接追加することで、結果として、たとえば、シリコン‐SiO
2界面と比べてシリコン‐Si
3N
4またはシリコン高k材料界面における表面欠陥が増大するのでフォトディテクタ2154の暗電流が増大し得る。暗電流のそのような増大を軽減するために、いくつかの実装形態において、SiO
2の第2の層がSi
3N
4とシリコン層2152との間に挿入することができる。厚さが10nmから50nmの範囲内のSiO
2の第2の層を挿入した結果、透過率はそれぞれ約97.1%から85%の範囲となる。そのようなものとして、10nmなどのSiO
2の薄い層を挿入することは、高い光学的透過率を維持しながら暗電流の増大を軽減するのに有益であり得る。
【0207】
図22Aは、ターゲット物体2210の特性を決定するための例示的な撮像システム2200を示している。ターゲット物体2210は、3次元物体であってよい。撮像システム2200は、トランスミッタユニット2202、レシーバユニット2204、および処理ユニット2206を備え得る。一般に、トランスミッタユニット2202は、光2212をターゲット物体2210に向けて放出する。トランスミッタユニット2202は、1つまたは複数の光源、制御回路、および/または光学素子を備え得る。たとえば、トランスミッタユニット2202は、1つまたは複数のNIRもしくは可視光LEDを備えるものとしてよく、放出された光2212は、自由空間内で伝搬するようにコリメーティングレンズによってコリメートされ得る。
【0208】
一般に、レシーバユニット2204は、ターゲット物体2210から反射された反射光2214を受光する。レシーバユニット2204は、1つまたは複数のフォトダイオード、制御回路、および/または光学素子を備え得る。たとえば、レシーバユニット2204はイメージセンサを備えるものとしてよく、イメージセンサは半導体基板上に加工された複数のピクセルを備える。各ピクセルは反射された光2214を検出するための1つまたは複数のマルチゲートフォトダイオードを備えるものとしてよく、反射された光2214はフォトダイオードに集束され得る。各フォトダイオードは、本特許出願において開示されているマルチゲートフォトダイオードであってよい。
【0209】
一般に、処理ユニット2206は、レシーバユニット2204によって生成される光キャリアを処理し、ターゲット物体2210の特性を決定する。たとえば、処理ユニット2206は、制御回路、1つもしくは複数のプロセッサ、および/またはターゲット物体2210の特性を決定するための命令を記憶し得るコンピュータ記憶媒体を備え得る。たとえば、処理ユニット2206は、ターゲット物体2210の特性を決定するために収集された光キャリアに関連する情報を処理することができる読み出し回路およびプロセッサを備え得る。いくつかの実装形態において、ターゲット物体2210の特性は、ターゲット物体2210の深さ情報であってよい。いくつかの実装形態において、ターゲット物体2210の特性は、ターゲット物体2210の材料組成であってよい。
【0210】
図22Bは、ターゲット物体2210の特性を決定するための例示的な一技術を示している。トランスミッタユニット2202は、一例としてデューティサイクル50%により周波数f
mで変調された光パルス2212を放出し得る。レシーバユニット2204は位相シフトΦを有する反射された光パルス2214を受光し得る。マルチゲートフォトダイオードは、読み出し回路1が放出された光パルスと同期された位相で収集された電荷Q
1を読み取り、読み出し回路2が放出された光パルスと逆の位相で収集された電荷Q
2を読み取るように制御される。いくつかの実装形態において、撮像システム2200とターゲット物体2210との間の距離Dは、式
【0212】
を使用して導出され得て、ここで、cは光速である。
【0213】
図22Cは、ターゲット物体2210の特性を決定するための別の例示的な技術を示している。トランスミッタユニット2202は、50%未満のデューティサイクルにより周波数f
mで変調された光パルス2212を放出し得る。光パルスのデューティサイクルを1/Nにし、光パルスの強度をN倍にすることを同時に行うことによって、受光した反射光パルス2214の信号対雑音比は、撮像システム2200に対して消費電力を実質的に同じに維持しながら改善され得る。これは、パルス形状を歪ませることなく光位相のデューティサイクルが下げられるようにデバイス帯域幅が増大されるときに可能にされる。レシーバユニット2204は位相シフトΦを有する反射された光パルス2214を受光し得る。マルチゲートフォトダイオードは、読み出し回路1が放出された光パルスと同期された位相で収集された電荷Q
1’を読み取り、読み出し回路2が放出された光パルスと遅延位相で収集された電荷Q
2’を読み取るように制御される。いくつかの実装形態において、撮像システム2200とターゲット物体2210との間の距離Dは、式
【0215】
を使用して導出されるものとしてよい。
【0216】
図23は、撮像システムを使用して物体の特性を決定するための流れ
図2300の例を示す図である。プロセス2300は、撮像システム2200などのシステムによって実行され得る。
【0217】
システムは、反射された光を受光する(2302)。たとえば、トランスミッタユニット2202は、NIR光パルス2212をターゲット物体2210に向けて放出し得る。レシーバユニット2204は、ターゲット物体2210から反射された反射NIR光パルス2214を受光し得る。
【0218】
システムは、位相情報を決定する(2304)。たとえば、レシーバユニット2204はイメージセンサを備えるものとしてよく、イメージセンサは半導体基板上に加工された複数のピクセルを備える。各ピクセルは反射された光パルス2214を検出するための1つまたは複数のフォトダイオードを備えるものとしてよい。フォトダイオードの種類は、本特許出願において開示されているマルチゲートフォトダイオードであってよく、位相情報は、
図22Bまたは
図22Cを参照して説明されている技術を使用して決定され得る。
【0219】
システムは、物体の特性を決定する(2306)。たとえば、処理ユニット2206は、
図22Bまたは
図22Cを参照して説明されている技術を使用して位相情報に基づき物体2210の深さ情報を決定し得る。
【0220】
フォトダイオードの重要な性能測定基準はその暗電流であり、これは光信号と周辺光とが存在しない場合に流れる電流である。一般に、マルチゲートフォトダイオードを通じて行われるTOF測定などの、フォトダイオードを通じて行われる光学的測定の信号対雑音比(SNR)は、暗電流の存在による負の影響を受ける。たとえば、フォトダイオードを通しての光学的測定のSNRは、測定の積分時間に比例する(たとえば、積分時間の平方根に比例する)。フォトダイオードの暗電流は、典型的には、フォトダイオードのカソードおよびアノード間に確立される逆バイアス電圧の指数関数となる。そのようなものとして、測定の積分時間などの、フォトダイオードの全体的動作を保持しながら逆バイアス電圧を制御しつつ低減すると、結果として、フォトダイオードのSNR性能が改善され得る。
【0221】
図24Aは、マルチゲートフォトダイオードを操作するための回路2400の概略図を示している。回路2400は、第1の読み出し回路2410と、第2の読み出し回路2430と、第1のMOSFETトランジスタ2412と、第2のMOSFETトランジスタ2432と、電流ステアリング回路2450と、フォトダイオード2480とを備える。第1のMOSFETトランジスタ2412は、第1の読み出し回路2410および電流ステアリング回路2450に結合される。第2のMOSFETトランジスタ2432は、第2の読み出し回路2430および電流ステアリング回路2450に結合される。
【0222】
第1の読み出し回路2410は、第1のリセットMOSFETトランジスタ2420と、第1のリセットMOSFETトランジスタ2420に結合されている第1のキャパシタ2422と、第1のソースフォロワ回路2460とを含む。第1のソースフォロワ回路の入力端子は、第1のキャパシタ2422に結合される。第2の読み出し回路2430は、第2のリセットMOSFETトランジスタ2440と、第2のリセットMOSFETトランジスタ2440に結合されている第2のキャパシタ2442と、第2のソースフォロワ回路2470とを含む。第2のソースフォロワ回路の入力端子は、第2のキャパシタ2442に結合される。第1のソースフォロワ回路2460および第2のソースフォロワ回路2470は、ソースフォロワ回路2460および2470の入力端子に供給される電圧に対応する電圧を出力するように構成される。
【0223】
電流ステアリング回路2450は、第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452と、第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454とを備える。第3の制御電圧源2456は、第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452のゲート端子に結合され、第4の制御電圧源2458は、第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454のゲート端子に結合される。電流ステアリング回路2450は、第3の制御電圧源2456および第4の制御電圧源2458によって生成される制御電圧に基づきフォトダイオード2480によって生成される光生成キャリアを第1の電流ステアリングMOSFET2452、第2の電流ステアリングMOSFET2454、またはこれらの組合せに通して導くことによって動作する。たとえば、0Vの第4の制御電圧2457(V
c4)を印加するように第4の電圧源2458を制御しながらMOSFET2452の閾値電圧より高い第3の制御電圧2455(V
c3)を印加するように第3の電圧源2456を制御することによって、フォトダイオード2480によって生成される光生成キャリアは、第1の電流ステアリングMOSFET2452を通って流れるように導かれ、またその逆も行われ得る。第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452および第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454の動作は、ゲート416、426、516、526、708、710、808、および810などの、前に説明されている様々なゲートの動作に類似しているものとしてよい。
【0224】
この例では、電流ステアリング回路2450およびフォトダイオード2480は組み合わさってマルチゲートフォトダイオード2482を形成する。マルチゲートフォトダイオード2482は、
図7のマルチゲートフォトダイオード700、
図8のマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照しつつ説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、および1162のマルチゲートバージョンに類似しているものとしてよい。たとえば、p+GeSi領域731、吸収層706、およびn型井戸領域704によって形成される縦型PINダイオードは、フォトダイオード2480を形成し得る。第1のゲート708、第1のn+Si領域712、およびn型井戸領域704の一部は、第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452を形成するものとしてよく、第2のゲート710、第2のn+Si領域714、およびn型井戸領域704の一部は、第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454を形成するものとしてよい。いくつかの実装形態において、マルチゲートフォトダイオード2482は、米国特許出願第15/908328号、名称「HIGH−SPEED LIGHT SENSING APPARATUS II」(特許文献1)において説明されているスイッチトフォトディテクタによって置き換えられ得る。
【0225】
MOSFETトランジスタ2412、2420、2432、2440、2452、および2454の各々は、ソース端子、ドレイン端子、およびゲート端子を備える。ソース端子およびドレイン端子は、下にある構造内で同一であってよいが、トランジスタを通る電流の流れの方向に基づき区別され得る。たとえば、P型チャネル領域を有するN型MOSFET(「NMOSトランジスタ」)では、電流は、ドレイン端子からソース端子へチャネル領域を通って流れ得るが、N型チャネル領域を有するP型MOSFET(「PMOSトランジスタ」)では、電流は、ソース端子からドレイン端子へチャネル領域を通って流れ得る。ソースおよびドレインという用語の指定は慣習に基づくものであり、また下にある構造は類似しているか、または同一であってよいので、ソースおよびドレイン端子は、MOSFETと他の回路素子との間の接続性を説明する際に第1のチャネル端子および第2のチャネル端子と称され得る。
【0226】
ゲート端子は、ソースおよびドレイン端子を通る電流の流れを制御する。たとえば、閾値電圧V
thより高い制御電圧は、電流がソースおよびドレイン端子を通って流れることを可能にし得る。MOSFETトランジスタのそのような動作モードは、ゲート端子に関するソースおよびドレイン端子の電圧に応じて、飽和領域またはトライオード動作領域での動作と称され得る。飽和領域では、ソースおよびドレイン端子を通って流れる電流は、ソース電圧とドレイン電圧との差の変化の影響をあまり強く受けない(すなわち、トランジスタの出力インピーダンスが高い)。トライオード領域では、ソースおよびドレイン端子を通って流れる電流は、ソース電圧とドレイン電圧との差にほぼ直線的に比例する(すなわち、トランジスタは抵抗に似た動作をする)。閾値電圧より低い制御電圧は、ソースおよびドレイン端子を通る電流の流れを減少させ得る。たとえば、電流の流れは、制御電圧が閾値電圧より低くなるときに指数関数的に減少し得る。MOSFETトランジスタのそのような動作モードは、閾値下動作領域での動作と称され得る。
【0227】
例示することを目的として、回路2400は、N型MOSFETトランジスタを使用して実装される。第1の読み出し回路2410に関して、第1のリセットMOSFET2420のドレイン端子は、第1の電源ノード2408に結合され、第1のリセットMOSFET2420のソース端子は、第1のキャパシタ2422に結合される。第1のキャパシタ2422は、第1のソースフォロワ回路2460の入力端子に結合される。第1のリセットMOSFET2420のソース端子は、第1のMOSFET2412のドレイン端子に結合され、第1のリセットMOSFET2412のソース端子は、第1の電流ステアリングMOSFET2452のドレイン端子に結合される。そのようなものとして、第1のキャパシタ2422内に入る、および第1のキャパシタ2422から出る電流の流れは、第1のキャパシタ2422に結合されている様々なMOSFETの動作を通じて制御され得る。同様に、第2の読み出し回路2430に関して、第2のリセットMOSFET2440のドレイン端子は、第1の電源ノード2408に結合され、第2のリセットMOSFET2440のソース端子は、第2のキャパシタ2442に結合される。第2のキャパシタ2442は、第2のソースフォロワ回路2470の入力端子に結合される。第2のリセットMOSFET2440のソース端子は、第2のMOSFET2432のドレイン端子に結合され、第2のMOSFET2432のソース端子は、第2の電流ステアリングMOSFET2454のドレイン端子に結合される。そのようなものとして、第2のキャパシタ2442内に入る、および第2のキャパシタ2442から出る電流の流れは、第2のキャパシタ2442に結合されている様々なMOSFETの動作を通じて制御され得る。
【0228】
第1の電源ノード2408は、第1の電源電圧を第1のリセットMOSFETトランジスタ2420および第2のリセットMOSFETトランジスタ2440に供給する。第2の電源ノード2402は、第2の電源電圧を第1のソースフォロワ回路2460および第2のソースフォロワ回路2470に供給する。1つまたは複数の電源電圧源は好適な第1および第2の電源電圧を第1の電源ノード2408および第2の電源ノード2402に供給するものとしてよく、これは特定のプロセスノード、回路設計、フォトダイオード2480の特性、第1のキャパシタ2422および第2のキャパシタ2442のリセット電圧、ならびに電荷−電圧変換利得を含む様々な要因に依存し得る。第1の電源ノード2408は、V
Uノードと称されてよく、V
Uノードの第1の電源電圧は、たとえば、オンチップ集積回路ブロックが発生するユーザ定義電圧であってよい。第2の電源ノード2402は、V
Eノードと称されてよく、V
Eノードの第2の電源電圧は、たとえば、オフチップ電源が発生する外部定義電圧であってよい。
【0229】
回路2400の動作中、第1のキャパシタ2422および第2のキャパシタ2442は、第1のリセットMOSFETトランジスタ2420および第2のリセットMOSFETトランジスタ2440を通してプリセット電圧に充電される。たとえば、第1のリセットMOSFETトランジスタ2420および第2のリセットMOSFETトランジスタ2440を飽和またはトライオード領域において動作させる第2の制御電圧2406(V
C2)を印加することによって、電流が第1の電源ノード2408からそれぞれのキャパシタ2422および2442に流れ、キャパシタ2422および2442をプリセット電圧に充電するものとしてよい。第1のリセットMOSFETトランジスタ2420および第2のリセットMOSFETトランジスタ2440のゲート端子に結合されている第2の制御電圧源2407は、第2の制御電圧2406を印加するために使用できる。第2の制御電圧2406は、キャパシタ2422および2442が充電されるプリセット電圧を変化させる(たとえば、電源電圧または電源電圧の数分の1に設定する)ように制御され得る。キャパシタ2422および2442の充電が完了した後、第2の制御電圧2406は、第1のリセットMOSFETトランジスタ2420および第2のリセットMOSFETトランジスタ2440をオフにするように(たとえば、0Vに)設定されるものとしてよく、これはキャパシタ24222および2442を第1の電源ノード2408から減結合する。この充電動作は、回路2400のリセット動作と称され得る。リセット動作は、マルチゲートフォトダイオード2482の読み出しステップ内の1ステップであってよい。
【0230】
充電が完了した後、フォトダイオード2480によって生成される電気信号の積分が開始し得る。第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432は、MOSFET2412および2432のゲート端子に結合されている第1の制御電圧源2405を通して、第1の制御電圧2404(V
c1)を生成することによって積分を開始し、終了するように制御され得る。たとえば、第1の制御電圧2404は、トライオード領域内で第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432を動作させるように制御電圧源2405を通じて設定され得る。トライオード領域動作では、マルチゲートフォトダイオード2482によって生成される光電流は、MOSFET2412および2432のドレインおよびソース端子を通り、マルチゲートフォトダイオード2482の電流ステアリング回路2450を通って流れるものとしてよい。電流ステアリング回路2450を通る光電流のそのような流れは、リセット動作時にプリセット電圧まで充電されたキャパシタ2422および2442を放電することによってキャパシタ2422および2442のところで積分され得る。
【0231】
トライオード領域における第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の動作は、第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の代わりに置かれているそれぞれの抵抗器(「実効抵抗器」)を通して第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452および第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454のそれぞれのドレイン端子に第1のキャパシタ2422と第2のキャパシタ2442とを結合することに類似している。そのような実効抵抗器の抵抗は、典型的に、電流がフォトダイオード2480を通って流れたことに応答して著しい電圧降下をもたらさない適度の値(たとえば、10オームから10,000オームまで)である。たとえば、光電流と暗電流との組合せであり得る、フォトダイオード電流は、典型的には、小電流(たとえば、pAからμAの範囲の)であり、その結果得られる、抵抗端子間の電圧降下は、同様に比較的小さい(たとえば、nVからmVの範囲内)。そのようなものとして、電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452および2454のドレイン端子のところの電圧は、小電圧降下の範囲内のキャパシタ2422および2442の電圧に類似している。キャパシタ2422および2442は、第1の電源ノード2408の第1の電源電圧に近づき得るプリセット電圧まで充電されているので、電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452および2454は、電流ステアリングMOSFETトランジスタの一方または両方がオンにされたときにそのドレイン端子のところの電圧をソース端子に結合されているフォトダイオード2480に通すものとしてよい。そのようなものとして、フォトダイオード2480には、キャパシタ2422および2442を充電したプリセット電圧に類似する電圧がかかり、その結果、フォトダイオード2480の接合部の両端に逆バイアスがかかり、これはフォトダイオード2480の適切な動作に必要な最小逆バイアスより大きくてもよい。そのような過剰な逆バイアスがかかると結果として暗電流が増大し、回路2400によって生成される出力のSNRが減少し得る。
【0232】
様々な設計および材料組成のフォトダイオードは、逆バイアス電圧の制御の恩恵を受け得る。フォトダイオードの吸収領域を形成するための材料のうち、ゲルマニウムは、たぶん、シリコン基板上に成長させられるゲルマニウム吸収領域に典型的には関連付けられるより高い材料欠陥密度のせいでシリコンに比べて暗電流発生の影響を受けやすい。そのようなものとして、ゲルマニウムベースのマルチゲートフォトダイオード2482は、第1の制御電圧2404およびその結果得られる暗電流の減少を通じて逆バイアス電圧の制御の恩恵を受けるのに適しているものとしてよい。
【0233】
フォトダイオード2480の接合点間に確立される逆バイアスは、積分時間において電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452および2454のドレイン端子をそれぞれのキャパシタ2422および2442から減結合することによって低減され得る。そのような減結合は、飽和領域または閾値下領域内で第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432を動作させることによって達成され得る。飽和領域または閾値下領域における動作は、フォトダイオード2480によって生成される光電流が、電流ステアリング回路2450ならびにMOSFET2412および2432のドレイン端末およびソース端子を通って流れることを可能にする。しかしながら、第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の動作原理により、飽和領域または閾値下領域内で動作している第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の実効抵抗、すなわち、出力インピーダンスは、トライオード領域内で動作している第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の出力インピーダンスより著しく高い。高い出力インピーダンスは、キャパシタ2422および2442を電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子から減結合し、これは電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子の電圧がキャパシタ2422および2442の電圧と異なる(たとえば、著しく低い)ことを可能にする。電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子のところの電圧は、少なくとも一部は、第1の制御電圧2404ならびに飽和領域または閾値下領域内で動作している第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432の閾値電圧によって決定される。閾値電圧は、チャネルドーピング濃度およびゲート酸化物厚さなどのMOSFETの設計および構造パラメータによって決定されるものとしてよく、たとえば、0.1Vから1Vの範囲内であってよい。第1の制御電圧2404を下げることで、電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子のところの電圧を低下させ、次いで、フォトダイオード2480の接合点間の逆バイアスを低減する。結果として、マルチゲートフォトダイオード2482の暗電流は低減され、回路2400によって生成される出力のSNRは改善され得る。
【0234】
第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432は、第1の制御電圧源2405を通じて、第1の制御電圧2404を制御することによって飽和領域または閾値下領域内で動作するように制御され得る。たとえば、MOSFETは、ゲート端子とソース端子(V
GS)との間の電圧差を閾値電圧(V
TH)より大きい値に設定することをドレイン端子とソース端子(V
DS)との間の電圧差をV
GS−V
THより大きくなるように維持しながら行うことによって飽和領域内で動作させることができる。別の例として、MOSFETは、ゲート端子とソース端子(V
GS)との間の電圧差を閾値電圧V
THより小さい値に設定することによって閾値下領域で動作させることができる。一般に、第1の制御電圧2404は、キャパシタ2422および2442とそれぞれの電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子との間の電圧差を制御するように変化させられるものとしてよい。いくつかの実装形態において、第1の制御電圧2404は、電圧差を低減するように高められ、またその逆も可能である。いくつかの実装形態において、第1の制御電圧2404は、キャパシタ2422および2442と電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子との間の電圧差を、第1の電源ノード2408の第1の電源電圧の10%、30%、または50%以上となるように制御し得る。いくつかの実装形態において、第1の制御電圧2404は、電流ステアリングMOSFET2452および2454のドレイン端子の電圧を、キャパシタ2422および2442の電圧より少なくとも100mVだけ小さくなるように制御し得る。
【0235】
第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432が飽和領域または閾値下領域のいずれかで動作させられるときに、MOSFET2412および2432は、ソース電圧をドレイン電圧から減結合するカレントバッファとして動作しているものとしてよい。
【0236】
プリセットされた積分時間の経過後に、第1の制御電圧2404は第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432をオフにするように(たとえば、0Vに)設定されるものとしてよく、これは光電流がそれぞれのMOSFET2412および2432を通って流れるのを停止し、積分を停止する。プリセットされている積分時間は、可変積分時間であってよい。積分の開始および終了は、シャッター動作と称され、第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432はシャッターMOSFETと称されてよい。
【0237】
積分が完了した後、キャパシタ2422および2442は、積分期間にわたってそれぞれの電流ステアリングMOSFET2452および2454を通って流れた光電流に反比例する出力電圧を保持する。出力電圧は、ソースフォロワ回路2460および2470によってさらなる処理のためにバッファリングされ得る。
【0238】
電流ステアリング回路2450は、回路2400の様々な動作モードを実装する様々な方式で動作させられ得る。回路2400の動作モードは、飛行時間型(TOF)イメージングモード、第1の強度イメージングモード、および第2の強度イメージングモードを含む。回路2400の動作モードは、たとえば、処理ユニット2206、または撮像システム2200の制御ユニットによって制御され得る。
【0239】
回路2400は、第1の期間にフォトダイオード2480によって生成される光生成キャリアをステアリングして第1の読み出し回路2410に導き、第2の期間に光生成キャリアをステアリングして第2の読み出し回路2430に導くことによってTOFイメージングモードで動作させられ得る。このステアリングして導く操作は、第1の時間期間に0Vの第4の制御電圧2457を印加するように第4の電圧源2458を同時に制御しながらMOSFET2452の閾値電圧より高い第3の制御電圧2455を印加するように第3の電圧源2456を制御し、次いで、第2の時間期間に0Vの第3の制御電圧2455を印加するように第3の電圧源2456を同時に制御しながらMOSFET2454の閾値電圧より高い第4の制御電圧2455を印加するように第4の電圧源2458を制御することによって実行され得る。飛行時間型イメージングモードの例示的の動作が、
図22A〜
図22Cおよび
図23に関して説明されており、電荷Q
1およびQ
2は、それぞれ、第1のキャパシタ2422および第2のキャパシタ2442に蓄積され、第1および第2の期間は、発光パルス2212のデューティサイクルおよび周波数に基づき決定される。
【0240】
回路2400は、同期方式で第3の電圧源2456および第4の電圧源2458を制御することによって第1の強度イメージングモードで動作させられるものとしてよく、それにより第3の制御電圧2455および第4の制御電圧2457は所与の時間に互いに実質的に等しい。第3の電圧源2456および第4の電圧源2458のそのような同期制御により、第1の電流ステアリングMOSFET2452および第2の電流ステアリングMOSFET2454は同時にオンまたはオフされる。そのようなものとして、光生成キャリアは両方のキャパシタ2422および2442に流れるものとしてよく、両方のキャパシタの電圧が読み出されて処理され、積分時間期間にフォトダイオード2480が受光した光の量を決定するものとしてよく、これは積分時間期間に受光された光の強度に対応する。光生成キャリアを両方のキャパシタ2422および2442に導くことによって、単一のキャパシタの使用に比べて2倍多い光生成キャリアがキャパシタ2422および2442によって積分され得る。いくつかの実装形態において、第1の強度イメージングモードは、トランスミッタユニット2202の変調および
図22Aに示されているレシーバユニット2206の復調を必要としなくてよい。
【0241】
回路2400は、0Vの固定された制御電圧を生成するように第3の電圧源2456および第4の電圧源2458のうちの他方を維持しながら光生成キャリアの積分を開始し、終了するように第3の電圧源2456および第4の電圧源2458のうちの一方を制御することによって第2の強度イメージングモードで動作させられ得る。たとえば、0Vの固定された制御電圧を出力するように第4の電圧源2458を制御することによって、第2の電流ステアリングMOSFET2454はオフにされ、光生成キャリアは第2のキャパシタ2442に流れない。そのようなものとして、第2の読み出し回路2430の出力は使用されず、光生成キャリアは、第3の電圧源2456の制御を通じて第1のキャパシタ2422でのみ積分される。第1のキャパシタ2422の電圧は、読み出されて処理され、積分時間期間にフォトダイオード2480が受光した光の量を決定するものとしてよく、これは積分時間期間に受光された光の強度に対応する。キャパシタの両方でなく、一方での光生成キャリアの積分は、受光された光の量の決定を簡素化し得る。さらに、第2の読み出し回路2430などの、未使用の読み出し回路は節電のためシャットダウンされ得る。いくつかの実装形態において、第2の強度イメージングモードは、トランスミッタユニット2202の変調および
図22Aに示されているレシーバユニット2206の復調を必要としなくてよい。
【0242】
回路2400の動作は、制御電圧源2456、2458、2405、および2407によって制御され得る。いくつかの実装形態において、制御電圧2455および2457は、フォトダイオード2480によって受信された光信号を復調するための一対の相補クロック信号であってよく、制御電圧源2456および2458は、
図22Aのレシーバユニット2204または処理ユニット2206などにおいて、撮像システム2200に備えられているクロック源の出力端子であってよい。電荷注入またはクロックフィードスルーを緩和するために、MOSFET2452および2454により電荷注入キャンセリングおよびクロックフィードスルーキャンセリング技術が実装されるものとしてよく、MOSFET2452および2454はN型MOSFET、P型MOSFET、またはMOSFET2452および2454のドレイン端子のところにダミートランジスタを追加したこれらの組合せによって実現される。いくつかの実装形態において、制御電圧2404は、たとえば、制御電圧源2405としての調節可能LDO(低ドロップアウト)レギュレータ、抵抗分割回路、またはダイオード接続N型MOSFETによって生成されるプログラム可能基準電圧であってよい。制御電圧2404は、飽和領域または閾値下領域内でMOSFET2412および2432の動作を確実にするように設定され得る。
【0243】
いくつかの実装形態において、回路2400を高速動作させるために、MOSFET2412および2432は、それぞれ、MOSFET2412および2432のゲート端子に結合された別々の制御電圧源、たとえば、V
c1aおよびV
c1bを有するものとしてよい。この高速の場合、制御電圧源V
c1aおよびV
c1bは、それぞれ、MOSFET2412および2432のドレイン電圧および/またはソース電圧を感知し、対応する制御電圧を発生するものとしてよい。いくつかの実装形態において、制御電圧源V
c1aおよびV
c1bは負の利得を有する増幅器であってよい。
【0244】
いくつかの実装形態では、制御電圧2406は、ノード2415および2435において電圧を定期的にリセットするように構成されているリセット信号であってよい。
【0245】
回路2400のN型の実装形態が説明されているが、一般に、回路2400はP型回路として実装されてよい。たとえば、MOSFET2412、2420、2432、2440、2452、および2454はP型MOSFETであってよく、ソースフォロワ回路2460および2470はP型ソースフォロワであってよく、フォトダイオード2480の極性は反転され得る。いくつかの実装形態において、MOSFET2412、2420、2432、2440、2452、および2454は異なる極性を有していてもよい。たとえば、MOSFET2420および2440はP型であってよく、残りのMOSFETはN型であってよい。またすでに説明されているように、MOSFET2452および2454は、N型MOSFET、P型MOSFET、またはこれらの組合せによって実現され得る。
【0246】
回路2400は、回路2400の様々なコンポーネントを有する第1の半導体層と第2の半導体層を接合するウェハを通して加工され得る。たとえば、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480は第1の半導体層上に加工され、第1のMOSFETトランジスタ2412、第2のMOSFETトランジスタ2432、第1の読み出し回路2410、第2の読み出し回路2430、および電流ステアリング回路2450は第2の半導体層上に加工され得る。別の例として、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480および電流ステアリング回路2450は第1の半導体層上に加工され、第1のMOSFETトランジスタ2412、第2のMOSFETトランジスタ2432、第1の読み出し回路2410、および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。さらに別の例として、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480、電流ステアリング回路2450、第1のMOSFETトランジスタ2412、および第2のMOSFETトランジスタ2432は第1の半導体層上に加工され、第1の読み出し回路2410および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。
【0247】
図24Bは、マルチゲートフォトダイオードを操作するための回路2402の概略図を示している。回路2402は
図23Aの回路2400に類似しているが、回路2400の第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432はフォトダイオード2480と電流ステアリング回路2450との間に配置構成されるMOSFET2413と置き換えられている点が異なる。MOSFET2413は、
図24Aの第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432に類似していてもよく、類似の機能を実行するものとしてよい。たとえば、MOSFET2413は、ソース電圧をドレイン電圧から減結合するカレントバッファとして動作し得る。そのようなものとして、フォトダイオード2480に印加される逆バイアスは、MOSFET2413を通して低減され得る。フォトダイオード2480、電流ステアリング回路2450、およびMOSFET2413はマルチゲートフォトダイオード2484を形成する。いくつかの実装形態において、マルチゲートフォトダイオード2484のフォトダイオード2480およびMOSFET2413は、
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照しつつ説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、または1162に類似しているものとしてよい。
【0248】
回路2402は、回路2402の様々なコンポーネントを有する第1の半導体層と第2の半導体層を接合するウェハを通して加工され得る。たとえば、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480は第1の半導体層上に加工され、MOSFETトランジスタ2413、第1の読み出し回路2410、第2の読み出し回路2430、および電流ステアリング回路2450は第2の半導体層上に加工され得る。別の例として、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480およびMOSFETトランジスタ2413は第1の半導体層上に加工され、電流ステアリング回路2450、第1の読み出し回路2410、および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。別の例として、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480、MOSFETトランジスタ2413、および電流ステアリング回路2450は第1の半導体層上に加工され、第1の読み出し回路2410および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。
【0249】
図24Cは、マルチゲートフォトダイオードを操作するための回路2404の概略図を示している。回路2404は
図23Aの回路2400に類似しているが、回路2400の第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432は省かれており、第1の電流ステアリングMOSFET2452および第2の電流ステアリングMOSFET2454は第1のMOSFET2412および第2のMOSFET2432に類似する方式で動作するように制御され、それにより、電流ステアリング回路2450は電流ステアリング機能をもたらしながらフォトダイオード2480の接合点からのキャパシタ2422および2442の電圧の減結合をもたらし得る点が異なる。
【0250】
フォトダイオード2480の逆バイアスを低減するための電流ステアリング回路2450の例示的な動作が説明されている。
図24Aの回路2400において、第3の制御電圧2455および第4の制御電圧2457は、電流ステアリングを達成するためにデジタル方式で、すなわち、電源レール電圧(たとえば、V
DD)から0Vにスイッチングされ得る。しかしながら、電源電圧、およびより一般的にそれぞれの線形領域においてMOSFET2452および2454を動作させるのに十分な電圧を印加することで、MOSFETのドレイン端子のところ電圧は最小の電圧低下でソース端子上に伝達される。しかしながら、それぞれの制御電圧2455および2457を印加して、電流ステアリングMOSFET2452および2454が電流をそれらの方向にステアリングしている間にそれぞれの飽和領域または閾値下領域で、電流をそれらの方向にステアリングしていない間にカットオフ領域で、動作するように第3の制御電圧源2456および第4の制御電圧源2458を制御することによって、キャパシタ2422および2442の電圧をフォトダイオード2480の接合点から減結合しながら電流ステアリング機能が果たされ得る。たとえば、光生成キャリアが操られて第1の電流ステアリングMOSFET2452に通されるべきであるときに、第3の制御電圧2455は、閾値下領域内でMOSFET2452を動作させるように電流ステアリングMOSFET2452の閾値電圧より低い電圧に設定されるものとしてよく、第4の制御電圧2457はMOSFET2454をカットオフ領域内で動作させるように0Vまたは実質的に0Vに等しい電圧に設定され得る。たとえば、光生成キャリアが操られて第1の電流ステアリングMOSFET2452に通されるべきであるときに、第3の制御電圧2455は、MOSFET2452を飽和領域内で動作させるように電流ステアリングMOSFET2452の閾値電圧より高いレベルに電流ステアリングMOSFET2452のドレイン端子とゲート端子との間の電圧差を維持しながら電流ステアリングMOSFET2452の閾値電圧より高い電圧に設定されるものとしてよく、第4の制御電圧2457はMOSFET2454をカットオフ領域内で動作させるように0Vまたは実質的に0Vに等しい電圧に設定され得る。
【0251】
いくつかの実装形態において、第3の制御電圧源2456および第4の制御電圧源2458は、閾値下領域または飽和領域内で電流ステアリングMOSFET2452および2454を動作させるように構成されている制御電圧2455および2457を発生するための調整可能なボルテージバッファを備え得る。たとえば、調整可能なボルテージバッファは、電流ステアリング方向を調整するためのデジタル電圧を受けるものとしてよい。次いで、バッファは、たとえば、出力制御電圧2455および2457が電流ステアリングMOSFET2452および2454の動作領域を飽和領域または閾値下領域とカットオフ領域との間で切り替える構成となるように入力デジタル電圧をスケーリングし、バイアス点(たとえば、DC成分)を調整するものとしてよい。
【0252】
いくつかの実装形態において、回路2404を高速動作させるために、制御電圧源2456および2458は、それぞれ、MOSFET2452および2454のドレイン電圧および/またはソース電圧を感知し、それぞれ、対応する制御電圧2455および2457を発生するものとしてよい。いくつかの実装形態において、制御電圧源2456および2458は負の利得を有する増幅器であってよい。
【0253】
この例では、電流ステアリング回路2450およびフォトダイオード2480は組み合わさってマルチゲートフォトダイオード2482を形成する。マルチゲートフォトダイオード2482は、
図7のマルチゲートフォトダイオード700、または
図8のマルチゲートフォトダイオード800、または
図10B〜
図10Dおよび
図11A〜
図11Hを参照しつつ説明されているようなフォトダイオード1010、1012、1014、1100、1102、1104、1106、1108、1109、1160、もしくは1162のマルチゲートバージョンに類似しているものとしてよい。たとえば、p+GeSi領域731、吸収層706、およびn型井戸領域704によって形成される縦型PINダイオードは、フォトダイオード2480を形成し得る。第1のゲート708、第1のn+Si領域712、およびn型井戸領域704の一部は、第1の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2452を形成するものとしてよく、第2のゲート710、第2のn+Si領域714、およびn型井戸領域704の一部は、第2の電流ステアリングMOSFETトランジスタ2454を形成するものとしてよい。いくつかの実装形態において、マルチゲートフォトダイオードは、米国特許出願第15/908328号、名称「HIGH−SPEED LIGHT SENSING APPARATUS II」(特許文献1)において説明されているスイッチトフォトディテクタによって置き換えられ得る。
【0254】
回路2404は、回路2404の様々なコンポーネントを有する第1の半導体層と第2の半導体層を接合するウェハを通して加工され得る。たとえば、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480は第1の半導体層上に加工され、電流ステアリング回路2450、第1の読み出し回路2410、および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。別の例として、いくつかの実装形態において、フォトダイオード2480および電流ステアリング回路2450は第1の半導体層上に加工され、第1の読み出し回路2410および第2の読み出し回路2430は第2の半導体層上に加工され得る。
【0255】
「フォトダイオード」という用語は、「フォトダイオード」2480、マルチゲート「フォトダイオード」2482、およびマルチゲート「フォトダイオード」2484などにおける様々な文脈で使用され、典型的には、2端子デバイスを指すが、一般には、光電流を発生する2つまたはそれ以上の端子を有する光子‐キャリア変換デバイスが、「フォトダイオード」2480、マルチゲート「フォトダイオード」2482、またはマルチゲート「フォトダイオード」2484などの、フォトダイオードの代わりに使用され得ることは理解されるべきである。たとえば、フォトトランジスタは、光生成キャリアが内部利得により増幅される3端子デバイスである(たとえば、電子デバイスN
+PN、N
+PNN
+、N
+PIN、およびN
+PINN
+、正孔デバイスP
+NP、P
+NPP
+、P
+NIP、およびP
+NIPP
+)。フォトトランジスタは、「フォトダイオード」2480、マルチゲート「フォトダイオード」2482、またはマルチゲート「フォトダイオード」2484の代わりに使用され得る。別の例として、2端子構成のフローティングベースフォトトランジスタ(floating‐base phototransistor)も、「フォトダイオード」2480、マルチゲート「フォトダイオード」2482、またはマルチゲート「フォトダイオード」2484の代わりに使用され得る。
【0256】
これで多数の実装形態が説明された。しかしながら、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な修正が加えられ得ることは理解されるであろう。たとえば、上に示されている流れの様々な形態が、ステップの順序が変更されるか、ステップが加えられるか、または取り除かれるかして、使用され得る。
【0257】
説明が簡単になるように、また例示することを目的として、様々な実装形態が2次元断面図を使用して説明されている場合がある。それでも、3次元の変更形態および派生形態は、3次元構造内に対応する2次元断面がある限り本開示の範囲内に含まれるべきである。
【0258】
本明細書は、多くの詳細事項を含んでいるが、これらは、制限として解釈されるべきではなく、むしろ特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。別の実施形態の文脈において本明細書で説明されているいくつかの特徴も、単一の実施形態において組合せで実装され得る。逆に、単一の実施形態の文脈において説明されている様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、または好適な部分的組合せで、実装され得る。さらに、特徴は、いくつかの組合せで働くものとして上記で説明され、初めにそのように請求されることさえあるが、請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によってはその組合せから削除され、請求される組合せは、部分組合せ、または部分組合せの変形形態を対象としてもよい。
【0259】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、そのような動作は、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序でもしくは順番に実行される必要がないことを、またはすべての図示の動作が実行される必要があるとは限らないことを、理解されたい。ある状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利である場合がある。さらに、上で説明されている実施形態における様々なシステムコンポーネントの分離は、すべての実施形態においてそのような分離が必要とされるものと理解されるべきではなく、前述のプログラム構成要素およびシステムが概して単一のソフトウェアプロダクトとして一体化されるかまたは複数のソフトウェアプロダクトとしてパッケージ化されることが可能であることを理解されたい。
【0260】
こうして、特定の実施形態が説明された。他の実施形態は、次の請求項の範囲内に収まる。たとえば、請求項に記載のアクションは、異なる順序で実行され、それでも所望の結果を達成し得る。