特表2020-517596(P2020-517596A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-517596メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンを併産する流動床装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-517596(P2020-517596A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンを併産する流動床装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/86 20060101AFI20200522BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20200522BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20200522BHJP
   C07C 1/24 20060101ALI20200522BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20200522BHJP
   B01J 8/24 20060101ALI20200522BHJP
   B01J 8/26 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   C07C2/86
   C07C15/08
   C07C11/02
   C07C1/24
   C07B61/00 300
   B01J8/24 311
   B01J8/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2019-555657(P2019-555657)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月20日
(86)【国際出願番号】CN2017112813
(87)【国際公開番号】WO2018196363
(87)【国際公開日】20181101
(31)【優先権主張番号】201710287764.7
(32)【優先日】2017年4月27日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】チャン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】イエ,マオ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チョンミン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ジンリン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ハイロン
(72)【発明者】
【氏名】ジア,ジンミン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,チャンチン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シャンガオ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェン
(72)【発明者】
【氏名】リ,フア
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,インフェン
(72)【発明者】
【氏名】リ,チェンゴン
【テーマコード(参考)】
4G070
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G070AA01
4G070AB06
4G070BB32
4G070CA06
4G070CA13
4G070CA18
4G070CA19
4G070CA26
4G070CB17
4G070CC02
4G070CC05
4G070CC11
4G070CC20
4G070DA21
4H006AA02
4H006AA04
4H006AC29
4H006BA71
4H006BB61
4H006BB62
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC18
4H006BC37
4H006BD33
4H006BD36
4H006BD52
4H006BD80
4H006DA12
4H006DA55
4H039CA19
4H039CA29
4H039CD10
4H039CD30
4H039CD90
4H039CG10
(57)【要約】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器、装置及び方法であって、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンプを併産する過程には、MTO反応とアルキル化反応の競争問題を解決又は改善し、MTO反応とアルキル化反応の相乗作用を実現し、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を相乗的に向上させる。乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器と、を備え、第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器は、乱流流動床反応器の反応領域におけるガスの流れ方向に沿って順次配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器であって、第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器と、を備え、前記第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器は、前記乱流流動床反応器におけるガスの流れ方向に沿って順次配置されている、ことを特徴とする乱流流動床反応器。
【請求項2】
前記第2の反応器供給材料分配器は、2〜10個である、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項3】
前記乱流流動床反応器は、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている第1の反応器固気分離器と、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている第2の反応器固気分離器とを含み、
前記第1の反応器固気分離器には、再生触媒の入口が設けられ、前記第1の反応器固気分離器の触媒出口が反応領域の底部に設置され、前記第1の反応器固気分離器のガス出口が希薄相領域に設置され、
前記第2の反応器固気分離器の入口が前記希薄相領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器の触媒出口が前記反応領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器のガス出口が乱流流動床反応器の製品ガスの出口に接続され、
前記反応領域は、前記乱流流動床反応器の下部に位置し、前記希薄相領域は、前記乱流流動床反応器の上部に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項4】
前記第1の反応器固気分離器と第2の反応器固気分離器は、サイクロン分離器である、ことを特徴とする請求項3に記載の乱流流動床反応器。
【請求項5】
前記乱流流動床反応器は、前記乱流流動床反応器ハウジングの内部又は外部に設置されている反応器放熱器を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項6】
前記反応器放熱器は、前記複数の反応器供給材料分配器の間に設置されている、ことを特徴とする請求項5に記載の乱流流動床反応器。
【請求項7】
前記乱流流動床反応器は反応器ストリッパーを含み、該反応器ストリッパーは、乱流流動床反応器の底部において外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内で開口し、該反応器ストリッパーの底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項8】
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が50%以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項9】
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と第1の反応器供給材料分配器に最も近接する第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が5%〜50%である、ことを特徴とする請求項8に記載の乱流流動床反応器。
【請求項10】
前記反応器ストリッパーは、乱流流動床反応器の底部において外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内で開口し、前記反応器ストリッパーの底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられ、
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が50%以下であり、
反応器ハウジングの内部における前記反応器ストリッパーの開口の水平面からの高さは、第1の反応器供給材料分配器より高く、且つ前記多孔板より高い、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項11】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための装置であって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乱流流動床反応器のうちの少なくとも1つと、触媒を再生するための流動床再生器と、を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項12】
前記流動床再生器は、乱流流動床再生器であり、再生器ハウジング、再生器気固分離器、再生器放熱器及び再生器ストリッパーを含み、流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が再生器希薄相領域であり、再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、
前記再生器気固分離器の入口が再生器希薄相領域に設置され、前記再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口する、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記流動床再生器は、再生器ハウジング、再生器供給分配器、再生器気固分離器、再生器放熱器、排煙出口及び再生器ストリッパーを備え、
前記流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が希薄相領域であり、
再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、再生器気固分離器の入口が希薄相領域に設置され、再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器気固分離器のガス出口が排煙出口に接続され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口し、
前記反応器ストリッパーの再生対象触媒の出口が再生対象シュートの入口に接続され、再生対象シュートに再生対象スプール弁が設けられ、再生対象シュートの出口が再生対象ライザーの入口に接続され、再生対象ライザーの底部に再生対象上昇ガスの入口が設けられ、再生対象ライザーの出口が流動床再生器の希薄相領域に接続され、
前記再生器ストリッパーの底部には再生器のストリッピングガスの入口が設けられ、再生器ストリッパーの底部が再生シュートの入口に接続され、再生シュートには、再生スプール弁が設けられ、再生シュートの出口が再生ライザーの入口に接続され、再生ライザーの底部には、再生上昇ガスの入口が設けられ、再生ライザーの出口が第1の反応器固気分離器の再生触媒の入口に接続され、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている、ことを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項14】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産する方法であって、請求項1〜10のいずれか1項に記載の乱流流動床反応器のうちの少なくとも1つが用いられる、ことを特徴とする方法。
【請求項15】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンを含有する原料Aを第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送り、メタノール及び/又はジメヒルエーテルを含有する原料Bを複数の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成する、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記流れCを分離して、パラキシレン、低級オレフィン、C5+鎖式炭化水素、芳香族炭化水素副生成物、並びに未転化のメタノール、ジメヒルエーテル及びベンゼンを得て、
未転化のメタノールとジメヒルエーテルを、複数の第2の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送り、芳香族炭化水素副生成物と未転化のベンゼンを、第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って、触媒と接触させる、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記再生対象触媒は、流動床再生器で再生された後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に入る、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンを含有する流れAを乱流流動床反応器の下方の第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(1)と、
メタノール及び/又はジメヒルエーテルを含有する流れBを、第1の反応器供給材料分配器の上方に順次配置されている2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた流れCから、未転化のメタノール及びジメヒルエーテルの流れC−1と;未転化のベンゼン及びトルエン、並びにオルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン及びC9+芳香族炭化水素を含む芳香族炭化水素副生成物の流れC−2とを分離させ、流れC−1を2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、流れC−2を第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(3)と、
ステップ(2)で得られた再生対象触媒を流動床再生器で再生し、再生触媒を第1の反応器固気分離器で固気分離した後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に充填するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に送られる混合物において、芳香族炭化水素の分子モル数とメタノール及び/又はジメヒルエーテルのカーボンモル数との比が、0.5より大きい、ことを特徴とする請求項15又は18に記載の方法。
【請求項20】
複数の第2の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に入る混合物中の全ての含酸素化合物と第1の反応器供給材料分配器から入るメタノールとのモル比は、1より大きい、ことを特徴とする請求項15又は18に記載の方法。
【請求項21】
触媒再生には、請求項11に記載の装置のうちの少なくとも1つが用いられる、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
再生対象触媒は、反応器ストリッパー、再生対象シュート、再生対象スプール弁及び再生対象ライザーを通って流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生媒体は、流動床再生器の再生領域に導入されて、再生対象触媒と炭素燃焼反応を起こして、CO、COを含有する排煙及び再生触媒を生成し、排煙は再生器気固分離器で除塵されて排出され、
再生触媒は、再生器ストリッパー、再生シュート、再生スプール弁及び再生ライザーを通って第1の反応器固気分離器の入口に入り、固気分離された後、再生触媒が乱流流動床反応器における反応領域の底部に入り、
反応器ストリッピングガスは、反応器のストリッピングガスの入口から反応器ストリッパーに入って再生対象触媒と向流接触し、その後乱流流動床反応器に入り、再生対象上昇ガスは、再生対象上昇ガスの入口から再生対象ライザーに入って再生対象触媒と並流接触し、その後流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生器ストリッピングガスは、再生器のストリッピングガスの入口から再生器ストリッパーに入って再生触媒と向流接触し、その後流動床再生器に入り、再生上昇ガスは、再生上昇ガスの入口から再生ライザーに入って再生触媒と並流接触し、その後第1の反応器固気分離器の入口に入り、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている、ことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記再生触媒の炭素含有量が0.5wt%以下である、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記再生媒体は、空気、酸素欠乏空気又は水蒸気のうちの少なくとも1種であり、
及び/又は、前記反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス及び再生上昇ガスは、水蒸気及び/又は窒素ガスであるである、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記乱流流動床反応器の反応領域の反応条件は、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、反応温度が、350℃〜600℃、反応圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記流動床再生器の再生領域の反応条件は、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、再生温度が、500℃〜750℃、再生圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである、ことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はパラキシレン(PX)を生産し、低級オレフィンを併産する装置及び生産方法に関し、特に、メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化によりパラキシレンを生産し、低級オレフィンを併産する流動床装置及び生産方法に適用でき、化学及び化学工業分野に属する。
【背景技術】
【0002】
パラキシレン(PX)は、石油化学業界の基本的な有機原料の1つであり、化学繊維、合成樹脂、農薬、医薬品や高分子材料などの様々な分野に幅広く使用されている。現在、パラキシレンは、主にトルエン、C芳香族炭化水素及び混合キシレンを原料として、不均化、異性化、吸着分離又は深冷分離によって生産される。その生成物中のパラキシレンの含有量が熱力学により制御されるので、パラキシレンはC混合芳香族炭化水素のうちの24%だけを占め、プロセスにおいて材料の循環処理量が大きく、設備が巨大であり、そして運用コストが高い。特にキシレン中の3つの異性体は沸点の差が非常に小さく、従来の蒸留技術によって高純度のパラキシレンを得ることは困難であり、高価な吸着分離プロセスを使用しなければならない。近年、中国内外の多くの特許には、パラキシレンの新しい生産スキームが開示されており、その中でも、メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化技術は、パラキシレンを高い選択率で生産するための新しい方法であり、これは産業界において重視化されて多くの注目を集めている。
【0003】
低級オレフィンであるエチレン、プロピレン及びブテンは、2種の基本的な石油化学工業用の原料であり、それらの需要量が高まっている。エチレン及びプロピレンは、主にナフサを原料として生産され、石油由来である。近年、エチレン及びプロピレンを製造するための非石油経路、特にメタノール転化による低級オレフィン(MTO)の製造経路がますます注目されており、この経路は、中国の石油に対する需要や石油への依存を緩和させるための石油代替戦略を達成するための重要な方法である。
【0004】
ベンゼンのメタノールによるアルキル化によりパラキシレンを製造すること、及びベンゼンのメタノールによるアルキル化によりトルエンとキシレンを製造することは、いずれも芳香族炭化水素を増産するための新方法である。ベンゼン−メタノールの形状選択的アルキル化は高選択性のパラキシレン製品を製造できるものの、該過程に必要なトルエンは芳香族炭化水素複合施設(aromatics complex unit)でパラキシレンを生産する中間原料でもあり、市場で不足している。ベンゼンは芳香族炭化水素複合施設の副産物であり、概算で年産80万トンのPX芳香族炭化水素複合施設が約30万トンのベンゼンを副産し、従ってベンゼンを原料としてメタノールによりアルキル化させてトルエンとキシレンを生産することは、芳香族炭化水素を増産するための効果的な方法の1つである。
【0005】
従来のトルエンのアルキル化方法は、反応器の上流でメタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンを混合し、次に混合物を反応器に供給することを含む。反応器の種類は、固定床と流動床を含む。トルエンの転化率を向上させるために、反応物を段階的に注入することは、各種の固定床と流動床プロセスに用いられている。
【0006】
MTO反応とアルキル化反応との競争は、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性へ影響を与える主な要素である。同一反応器において2つの反応を同時に実行すると、プロセスが簡素化される反面、ベンゼンの転化率が低くなる。異なる反応器においてそれぞれ2つの反応を実行すると、プロセスが複雑であるが、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率が高い。従って、メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化によりパラキシレンを製造し低級オレフィンプを併産するプロセスは、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を向上させるために、プロセスの配置や反応器の設計において大きな進歩が必要とされる。
【0007】
前述したパラキシレンと低級オレフィンの新しい製造方法は、いずれも反応過程が酸触媒反応である。ZSM−5分子篩触媒に基づくベンゼン及び/又はトルエン−メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化によりパラキシレンを生産する反応過程には、メタノールからオレフィンを製造する反応が必然的に存在する。この反応プロセスには、主に以下の複数の反応が発生する。
−CH+CHOH→C−(CH+HO (1)
nCHOH→(CH+nHO n=2,3 (2)
+CHOH→C−CH+HO (3)
メタノールは、ベンゼン及び/又はトルエン、メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化反応の原料でありながら、MTO反応の原料であるが、MTO反応レートがベンゼン及び/又はトルエン−メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化反応レートより遥かに高い。
【0008】
MTO反応の特徴の1つは、反応レートがメタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化反応より遥かに高いことであり、他の重要な特徴は、触媒が炭化した後、メタノールの転化レートが下り、低級オレフィンの選択性が高くなることである。従って、触媒の炭化を制御することは、MTO反応過程中の低級オレフィンの選択性を向上させるための効果的な方法の1つである。
【0009】
以上の分析からわかるように、本技術分野では、触媒の設計及び反応器設計の2つの点から、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、ベンゼンの転化率、パラキシレンの収率及び低級オレフィンの収率を相乗的に向上させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の一形態によれば、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器を提供しており、該乱流流動床反応器は、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンプを併産する過程には、MTO反応とアルキル化反応の競争問題を解決又は改善し、MTO反応とアルキル化反応の相乗作用を実現し、物質移動、反応を制御することによって、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、相乗作用させ、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を向上させる。
【0011】
本発明者らの実験的研究から、ベンゼン及び/又はトルエン−メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンが同時に供給され、原料中のメタノールの含有量が低い場合、MTO反応により殆どのメタノール(アルキル化反応物)が急速に消費されて、ベンゼン及び/又はトルエン−メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンのアルキル化反応が抑制され、ベンゼン及び/又はトルエンの転化率が低くなることが明らかになった。原料中のメタノールの含有量が過度に過剰である場合、分子篩細孔内におけるメタノールとベンゼン及び/又はトルエンの拡散速度が異なるため、単位時間あたりのベンゼン及び/又はトルエンの吸着量が低くなり、メタノール及び/又はジメヒルエーテルによるベンゼンのアルキル化反応も損なう。従って、反応領域内のメタノールとベンゼン及び/又はトルエンの濃度を最適化させることは、ベンゼン及び/又はトルエンの転化率とパラキシレンの収率を向上させるための効果的な方法の1つである。
【0012】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器と、を含み、前記第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器は、前記乱流流動床反応器の反応領域におけるガスの流れ方向に沿って順次配置される。
【0013】
好ましくは、前記第2の反応器供給材料分配器は、2〜10個である。
【0014】
好ましくは、前記乱流流動床反応器は、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置される第1の反応器固気分離器と、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置される第2の反応器固気分離器とを含み、
前記第1の反応器固気分離器には、再生触媒の入口が設けられ、前記第1の反応器固気分離器の触媒出口が反応領域の底部に設置され、前記第1の反応器固気分離器のガス出口が希薄相領域に設置され、
前記第2の反応器固気分離器の入口が前記希薄相領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器の触媒出口が前記反応領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器のガス出口が乱流流動床反応器の製品ガスの出口に接続され、
前記反応領域は、前記乱流流動床反応器の下部に位置し、前記希薄相領域は、前記乱流流動床反応器の上部に位置する。
【0015】
好ましくは、前記第1の反応器固気分離器と第2の反応器固気分離器は、サイクロン分離器である。
【0016】
好ましくは、前記乱流流動床反応器は、前記乱流流動床反応器ハウジングの内部又は外部に設置される反応器放熱器を含む。
【0017】
さらに好ましくは、前記反応器放熱器は、前記複数の反応器供給材料分配器の間に設置される。
【0018】
好ましくは、前記乱流流動床反応器は反応器ストリッパーを含み、反応器ストリッパーは乱流流動床反応器の底部において外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内に開口され、反応器ストリッパーの底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられている。
【0019】
好ましくは、前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置し、開孔率が50%以下である多孔板を含む。
【0020】
好ましくは、前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と第1の反応器供給材料分配器に最も近接する第2の反応器供給材料分配器との間に位置し、開孔率が5%〜50%である多孔板を含む。
【0021】
好ましくは、前記反応器ストリッパーは乱流流動床反応器の底部においては外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内に開口され、底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられ、
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置し、開孔率が50%以下である多孔板を含み、
反応器ハウジングの内部における前記反応器ストリッパーの開口の水平面からの高さは、第1の反応器供給材料分配器より高く、且つ前記多孔板より高い。
【0022】
本願においては、低級オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテンのうちの少なくとも1種を含む。
【0023】
本願においては、供給材料中のメタノールが完全に又は一部的にジメヒルエーテルで代替することができ、たとえば供給材料にジメヒルエーテルが含まれ、ジメヒルエーテルを同じ炭素原子数のメタノールに換算して計算するようにしてもよい。
【0024】
本願においては、「メタノール及び/又はジメヒルエーテル」は、メタノールのみを含む、ジメヒルエーテルのみを含む、又はメタノールとジメヒルエーテルの両方を含むといった3種の状況を含む。
【0025】
本願においては、「メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼン」は、ベンゼンとメタノール、ベンゼンとジメヒルエーテル、又はベンゼン、メタノール及びジメヒルエーテルといった3種の状況を含む。
【0026】
特に断らない限り、本願におけるメタノールは、いずれも完全に又は一部的にジメチルエーテルで代替することができ、メタノールの量に関しては、ジメチルエーテルを同じ炭素原子数のメタノールに換算して計算するようにしてもよい。
【0027】
本願の他の形態によれば、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための装置を提供しており、該装置は、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンプを併産する過程には、MTO反応とアルキル化反応の競争問題を解決又は改善し、MTO反応とアルキル化反応の相乗作用を実現し、物質移動、反応を制御することによって、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、相乗作用させ、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を向上させる。
【0028】
前記装置は、以上のいずれか1項に記載の乱流流動床反応器のうちの少なくとも1つと、触媒を再生するための流動床再生器と、を備える。
【0029】
好ましくは、前記流動床再生器は、乱流流動床再生器であり、再生器ハウジング、再生器気固分離器、再生器放熱器及び再生器ストリッパーを含み、流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が再生器希薄相領域であり、再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、
前記再生器気固分離器の入口が再生器希薄相領域に設置され、前記再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口している。
好ましくは、前記流動床再生器は、再生器ハウジング、再生器供給分配器、再生器気固分離器、再生器放熱器、排煙出口及び再生器ストリッパーを含み、
前記流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が希薄相領域であり、
再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、再生器気固分離器の入口が希薄相領域に設置され、再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器気固分離器のガス出口が排煙出口に接続され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口し、
前記反応器ストリッパーの再生対象触媒の出口が再生対象シュートの入口に接続され、再生対象シュートに再生対象スプール弁が設けられ、再生対象シュートの出口が再生対象ライザーの入口に接続され、再生対象ライザーの底部に再生対象上昇ガスの入口が設けられ、再生対象ライザーの出口が流動床再生器の希薄相領域に接続され、
前記再生器ストリッパーの底部には再生器のストリッピングガスの入口が設けられ、再生器ストリッパーの底部が再生シュートの入口に接続され、再生シュートには、再生スプール弁が設けられ、再生シュートの出口が再生ライザーの入口に接続され、再生ライザーの底部には、再生上昇ガスの入口が設けられ、再生ライザーの出口が第1の反応器固気分離器の再生触媒の入口に接続され、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置される。
【0030】
本願の他の形態によれば、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法を提供しており、該方法は、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンプを併産する過程には、MTO反応とアルキル化反応の競争問題を解決又は改善し、MTO反応とアルキル化反応の相乗作用を実現し、物質移動、反応を制御することによって、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、相乗作用させ、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を向上させる。
【0031】
前記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産する方法は、以上のいずれか1項に記載の乱流流動床反応器のうちの少なくとも1つを用いる。
【0032】
好ましくは、メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンを含有する原料Aを第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送り、メタノール及び/又はジメヒルエーテルを含有する原料Bを複数の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成する。
【0033】
好ましくは、前記流れCを分離して、パラキシレン、低級オレフィン、C5+鎖式炭化水素、芳香族炭化水素副生成物及び未転化のメタノール、ジメヒルエーテルとベンゼンを得て、
未転化のメタノールとジメヒルエーテルは、複数の第2の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送られ、芳香族炭化水素副生成物と未転化のベンゼンは、第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送られて触媒と接触する。
【0034】
好ましくは、前記再生対象触媒は、流動床再生器で再生された後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に入る。
【0035】
好ましくは、前記方法は、
メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンを含有する流れAを乱流流動床反応器の下方の第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(1)と、
メタノールを含有する流れBを、第1の反応器供給材料分配器の上方に順次配置される2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた流れCから、未転化のメタノール及びジメヒルエーテルの流れC−1と;未転化のベンゼン及びトルエン、並びにオルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン及びC9+芳香族炭化水素を含む芳香族炭化水素副生成物の流れC−2とを分離させ、流れC−1を2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、流れC−2を第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(3)と、
ステップ(2)で得られた再生対象触媒を流動床再生器で再生し、再生触媒を第1の反応器固気分離器で固気分離した後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に導入するステップ(4)と、を含む。
【0036】
好ましくは、第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に送られた混合物において、芳香族炭化水素の分子モル数とメタノール及び/又はジメヒルエーテルのカーボンモル数との比が、0.5より大きい。
【0037】
さらに好ましくは、第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に送られた混合物において、芳香族炭化水素の分子モル数とメタノール及び/又はジメヒルエーテルのカーボンモル数との比が、0.5〜5である。
【0038】
本願においては、分子モル数は、前記物質中の分子数を示すモル数であり、カーボンモル数は、前記物質中の炭素原子数を示すモル数である。
【0039】
好ましくは、複数の第2の反応器供給材料分配器から入った全部の含酸素化合物と第1の反応器供給材料分配器から乱流流動床反応器に入った混合物におけるメタノールとのモル比は、1より大きい。
【0040】
さらに好ましくは、複数の第2の反応器供給材料分配器から入った全部の含酸素化合物と第1の反応器供給材料分配器から入ったメタノールとのモル比は、1〜20である。
【0041】
さらに好ましくは、再生対象触媒は、反応器ストリッパー、再生対象シュート、再生対象スプール弁及び再生対象ライザーにより流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生媒体は、流動床再生器の再生領域に導入されて、再生対象触媒と炭素燃焼反応を発生させて、CO、COを含有する排煙及び再生触媒を生成し、排煙について再生器気固分離器で除塵して排出し、
再生触媒は、再生器ストリッパー、再生シュート、再生スプール弁及び再生ライザーを通って第1の反応器固気分離器入口に入り、固気分離された後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に入り、
反応器ストリッピングガスは、反応器のストリッピングガスの入口により反応器ストリッパーに入って再生対象触媒と向流接触し、次に乱流流動床反応器に入り、再生対象上昇ガスは、再生対象上昇ガスの入口により再生対象ライザーに入って再生対象触媒と並流接触し、次に流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生器ストリッピングガスは、再生器のストリッピングガスの入口により再生器ストリッパーに入って再生触媒と向流接触し、次に流動床再生器に入り、再生上昇ガスは、再生上昇ガスの入口により再生ライザーに入って再生触媒と並流接触し、次に第1の反応器固気分離器の入口に入り、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置される。
【0042】
好ましくは、前記再生触媒の炭素含有量が0.5wt%以下である。
【0043】
さらに好ましくは、前記再生媒体は、空気、酸素欠乏空気又は水蒸気のうちの少なくとも1種であり、
及び/又は、前記反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス及び再生上昇ガスは、水蒸気及び/又は窒素ガスである。
【0044】
好ましくは、前記乱流流動床反応器の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、反応温度が、350℃〜600℃、反応圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである。
【0045】
好ましくは、前記流動床再生器の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2m/s、再生温度が、500℃〜750℃、再生圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである。
【0046】
本願においては、前記乱流流動床反応器においては、触媒は、流動化状態で下部の濃厚相領域と上端の希薄相領域が存在する。濃厚相領域は前記乱流流動床反応器の反応領域となる。
【0047】
本願は、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器を提供しており、前記乱流流動床反応器は、反応器ハウジング2、n個の反応器供給材料分配器(3−1〜3−n)、反応器固気分離器4、反応器固気分離器5、反応器放熱器(6)、製品ガスの出口7及び反応器ストリッパー8を含み、乱流流動床反応器1の下部が反応領域であり、乱流流動床反応器1の上部が希薄相領域であり、n個の反応器供給材料分配器(3−1〜3−n)は、下から上へ反応領域に配列設置され、反応器放熱器(6)が反応領域又は反応器ハウジング2の外部に設置され、反応器固気分離器4と反応器固気分離器5が希薄相領域又は反応器ハウジング2の外部に設置され、反応器固気分離器4には再生触媒の入口が設けられ、反応器固気分離器4の触媒出口が反応領域の底部に設置され、反応器固気分離器4のガス出口が希薄相領域に設置され、反応器固気分離器5の入口が希薄相領域に設置され、反応器固気分離器5の触媒出口が反応領域に設置され、反応器固気分離器5のガス出口が製品ガスの出口7に接続され、反応器ストリッパー8は、乱流流動床反応器の底部においては外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器1の反応領域内で開口し、反応器ストリッパー8の底部に反応器のストリッピングガスの入口9が設けられ、且つ反応器ストリッパーの底部に再生対象触媒の出口が設けられる。
【0048】
好適な一実施形態では、乱流流動床反応器1のn個の反応器供給材料分配器(3−1〜3−n)は下から上へ反応領域に設置され、3≦n≦11であり、前記nは反応器供給材料分配器のトータルである。
【0049】
好適な一実施形態では、新しい触媒が反応器ストリッパーに直接入ることを避けるように、反応器ハウジング2の内部における反応器ストリッパー8の開口の水平面からの高さは第1の反応器供給材料分配器より高い。
【0050】
好適な一実施形態では、反応器固気分離器4と反応器固気分離器5は、サイクロン分離器である。
【0051】
本願は、さらに、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための装置を提供しており、前記装置は、上記乱流流動床反応器1と、触媒を再生するための流動床再生器14と、を備える。
【0052】
好適な一実施形態では、流動床再生器14は、乱流流動床再生器である。
【0053】
好適な一実施形態では、流動床再生器14は、再生器ハウジング15、再生器供給分配器16、再生器気固分離器17、再生器放熱器18、排煙出口19及び再生器ストリッパー20を含み、流動床再生器14の下部が再生領域であり、流動床再生器14の上部が希薄相領域であり、再生器供給分配器16が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器18が再生領域に設置され、再生器気固分離器17が希薄相領域又は再生器ハウジング15の外部に設置され、再生器気固分離器17の入口が希薄相領域に設置され、再生器気固分離器17の触媒出口が再生領域に設置され、再生器気固分離器17のガス出口が排煙出口19に接続され、再生器ストリッパー20の入口が再生器ハウジング15の底部に接続され、
反応器ストリッパー8の再生対象触媒の出口が再生対象シュート10の入口に接続され、再生対象シュート10に再生対象スプール弁11が設けられ、再生対象シュート10の出口が再生対象ライザー12の入口に接続され、再生対象ライザー12の底部に再生対象上昇ガスの入口13が設けられ、再生対象ライザー12の出口が流動床再生器14の希薄相領域に接続され、且つ再生器ストリッパー20の底部に再生器のストリッピングガスの入口21が設けられ、再生器ストリッパー20の底部が再生シュート22の入口に接続され、再生シュート22に再生スプール弁23が設けられ、再生シュート22の出口が再生ライザー24の入口に接続され、再生ライザー24の底部に再生上昇ガスの入口25が設けられ、再生ライザー24の出口が反応器固気分離器4の入口に接続される。
【0054】
他の形態では、本願はメタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法を提供しており、
メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンを含有する原料を乱流流動床反応器1の最下方の反応器供給材料分配器3−1により乱流流動床反応器1の反応領域に送り、メタノールを乱流流動床反応器1における反応器供給材料分配器3−2〜3−nにより乱流流動床反応器1の反応領域に送り、触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れとカーボンを含有する再生対象触媒を生成するステップと、
乱流流動床反応器1から流れ出した、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れを製品分離システムに送り、分離してパラキシレン;エチレン;プロピレン、ブテン;C5+鎖式炭化水素;トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン及びC9+芳香族炭化水素を含む芳香族炭化水素副生成物;並びに未転化のメタノール、ジメヒルエーテル及びベンゼンを得て、未転化のメタノールとジメヒルエーテルを反応器供給材料分配器3−2〜3−nにより乱流流動床反応器1の反応領域に送り、芳香族炭化水素副生成物と未転化のベンゼンを反応器供給材料分配器3−1により乱流流動床反応器1の反応領域に送り、触媒と接触させ、生成物に転化するステップと、
再生対象触媒を流動床再生器14で再生し、再生触媒を反応器固気分離器4で固気分離した後、乱流流動床反応器1における反応領域の底部に投入するステップとを含む。
【0055】
好適な一実施形態では、本願の前記方法は、上記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための装置で行われる。
【0056】
好適な一実施形態では、再生対象触媒は、反応器ストリッパー8、再生対象シュート10、再生対象スプール弁11及び再生対象ライザー12により流動床再生器14の希薄相領域に入り、
再生媒体は、再生器供給分配器16から流動床再生器14の再生領域に入り、再生対象触媒と炭素燃焼反応を発生させて、CO、COを含有する排煙及び再生触媒を生成し、排煙について再生器気固分離器17で除塵して排出し、
再生触媒は、再生器ストリッパー20、再生シュート22、再生スプール弁23及び再生ライザー24を通って、反応器気固分離器4の入口に入り、固気分離された後、再生触媒乱流流動床反応器1における反応領域の底部に入り、
反応器ストリッピングガスは、反応器のストリッピングガスの入口9から反応器ストリッパー8に入って再生対象触媒と向流接触し、次に乱流流動床反応器1に入り、再生対象上昇ガスは、再生対象上昇ガスの入口13から再生対象ライザー12に入って再生対象触媒と並流接触し、次に流動床再生器14の希薄相領域に入り、
再生器ストリッピングガスは、再生器のストリッピングガスの入口21から再生器ストリッパー20に入って再生触媒と向流接触し、次に流動床再生器14に入り、再生上昇ガスは、再生上昇ガスの入口25から再生ライザー24に入って再生触媒と並流接触し、次に反応器固気分離器4の入口に入る。
【0057】
本願の前記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法においては、乱流流動床反応器の最下方の反応器供給材料分配器3−1から入った混合物において、芳香族炭化水素とメタノールとの物質量の比は、0.5より大きく、さらに好ましくは、1より大きい。
【0058】
本願の前記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法においては、反応器供給材料分配器3−2〜3−nから入った含酸素化合物と反応器供給材料分配器3−1から入ったメタノールとの物質量の比は、1より大きく、さらに好ましくは、5より大きい。
【0059】
好適な一実施形態では、前記触媒には、HZSM−5分子篩が含まれ、該触媒は、メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンのアルキル化、メタノールからのオレフィンの製造、及びメタノールの芳香族化の機能を両立させる。
【0060】
好適な一実施形態では、前記触媒には、HZSM−11分子篩が含まれ、該触媒は、メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンのアルキル化、メタノールからのオレフィンの製造、及びメタノールの芳香族化の機能を両立させる。
【0061】
好適な一実施形態では、前記再生触媒の炭素含有量が0.5wt.%未満であり、さらに好ましくは、再生触媒の炭素含有量が0.1wt.%未満である。
【0062】
好適な一実施形態では、前記乱流流動床反応器の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、反応温度が、350℃〜600℃、反応圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである。
【0063】
好適な一実施形態では、前記流動床再生器の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2m/s、再生温度が、500℃〜750℃、再生圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである。
【0064】
好適な一実施形態では、前記再生媒体は、空気、酸素欠乏空気又は水蒸気のうちの任意の1種又は任意の数種の混合物であり、前記反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス及び再生上昇ガスは水蒸気又は窒素である。
【0065】
本願の前記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法においては、ベンゼンの転化率は、40%より高く、メタノールの転化率は、70%より高く、パラキシレンの選択性は、90%より高く、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、32%より高く、鎖式炭化水素において低級オレフィン(エチレン+プロピレン+ブテン)の選択性は、70%より大きく、良好な技術的効果が得られた。
【0066】
本願の乱流流動床反応器の主な特徴は、芳香族炭化水素原料が最下方の反応器供給材料分配器から供給され、含酸素化合物がn個の反応器供給材料分配器により別々に供給され、高活性の再生触媒が直接反応領域の底部に供給されることである。芳香族炭化水素原料は、新しいベンゼン、未転化のベンゼン及び芳香族炭化水素副生成物を含み、含酸素化合物は、新しいメタノール、未転化のメタノール及びジメヒルエーテルを含む。第一に、反応領域の下部では、触媒活性が高く、ベンゼンのアルキル化反応と芳香族炭化水素副生成物の異性化反応、メチル転移反応などに有利であり、第二に、含酸素化合物の多段階供給方式を用いるため、含酸素化合物のごく一部のみが反応器の底部から供給され、底部領域では、含酸素化合物の濃度が低く、芳香族炭化水素の濃度が高く、分子篩細孔内において低拡散速度の芳香族炭化水素に対する高拡散速度の含酸素化合物の吸着競争の優位性を弱めて、芳香族炭化水素のほとんどが底部領域内で触媒に吸着されることを確保し、第三に、含酸素化合物のほとんどが中上部から供給され、含酸素化合物の転化反応が主に反応領域の中上部で起こり、それにより、底部領域における高活性の再生触媒がMTO反応中に炭素を堆積されることにより活性が急速に低下することを回避し、第四に、反応領域の中上部領域における触媒の堆積炭素含有量が高いので、MTO反応の低級オレフィンの選択性向上に寄与し、第五に、含酸素化合物の多段階供給方式を用いるので、反応領域内の含酸素化合物の濃度分布は比較的均一であり、十分なアルキル化反応物を提供し、触媒に吸着された芳香族炭化水素とアルキル化反応物が接触すると、アルキル化反応は迅速に起こり、それにより、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率を向上させる。
【0067】
前記のとおり、本出願の乱流流動床反応器は、メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンのアルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させることができ、ベンゼンの転化率、パラキシレンの収率及び低級オレフィンの収率を相乗的に向上させる。
【0068】
本願は、反応器設計及びプロセスの配置の観点から、ベンゼンに対するメタノール及び/又はジメヒルエーテルの濃度を制御することにより、アルキル化反応とMTO反応の競争を調整して最適化させ、パラキシレンの収率と低級オレフィンの選択性を向上させ、それにより、MTO反応がメタノール及び/又はジメチルエーテルのほとんどを急速に消費してアルキル化反応を抑制することも、メタノール及び/又はジメヒルエーテル含有量が過度に過剰であるため、MTO反応が大量に発生し、単位時間あたりに触媒に吸着されたベンゼンの量が少なく、その結果としてアルキル化反応を損なうこともない。
【0069】
本願による有益な効果は、以下を含む。
(1)本願に係る流動床反応器及び装置は、原料反応レートの差が大きな共同供給系において、異なる原料流れを異なる領域において分配させて供給することによって、物質移動制御を達成し、更に共同供給系を調整して最適化させ、反応収率を向上させる。
【0070】
(2)本願に係るメタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産する方法は、高いベンゼンの転化率と高いパラキシレンの選択性を両立させ、ベンゼンの転化率は、40%より大きく、パラキシレンの選択性は、90%より大きく、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、32%より大きく、良好な技術的効果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】本願の一実施形態によるメタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、実施例を参照しながら本願をについて更に説明するが、本願はこれらの実施例に制限されない。
【0073】
特に断らない限り、本願の実施例における原料と触媒は、いずれも市販品として購入するものである。
【0074】
本願の一実施形態としては、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための装置の模式図は図1に示され、該装置は、乱流流動床反応器1を備え、この乱流流動床反応器は、反応器ハウジング2、n個の反応器供給材料分配器3−1〜3−n(図1には、3−1〜3−nの間の分配器として、3−iを例示する)、反応器固気分離器4、反応器固気分離器5、反応器放熱器6、製品ガスの出口7、反応器ストリッパー8及び多孔板26を含み、乱流流動床反応器1の下部が反応領域であり、乱流流動床反応器1の上部が希薄相領域であり、n個の反応器供給材料分配器3−1〜3−nは、下から上へ反応領域に配列設置され、2≦n≦11であり、多孔板26は、反応器供給材料分配器3−1と反応器供給材料分配器3−2との間に位置し、反応器放熱器6が反応領域又は反応器ハウジング2の外部に設置され、反応器固気分離器4と反応器固気分離器5が希薄相領域又は反応器ハウジング2の外部に設置され、反応器固気分離器4の入口が再生ライザー24に接続され、反応器固気分離器4の触媒出口が反応領域の底部に設置され、反応器固気分離器4のガス出口が希薄相領域に設置され、反応器固気分離器5の入口が希薄相領域に設置され、反応器固気分離器5の触媒出口が反応領域に設置され、反応器固気分離器5のガス出口が製品ガスの出口7に接続され、反応器ストリッパー8の入口が乱流流動床反応器1の反応領域内にあり、その水平面からの高さが第1の反応器供給材料分配器より高く、且つ多孔板26より高い。
【0075】
図1に示されるように、該装置は、再生器ハウジング15、再生器供給分配器16、再生器気固分離器17、再生器放熱器18、排煙出口19及び再生器ストリッパー20を含む流動床再生器14を備え、流動床再生器14の下部が再生領域であり、流動床再生器14の上部が希薄相領域であり、再生器供給分配器16が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器18が再生領域に設置され、再生器気固分離器17が希薄相領域又は再生器ハウジング15の外部に設置され、再生器気固分離器17の入口が希薄相領域に設置され、再生器気固分離器17の触媒出口が再生領域に設置され、再生器気固分離器17のガス出口が排煙出口19に接続され、再生器ストリッパー20の入口が再生器ハウジング15の底部に接続される。
【0076】
図1に示されるように、反応器ストリッパー8の底部に反応器のストリッピングガスの入口9が設けられ、反応器ストリッパー8の底部が再生対象シュート10の入口に接続され、再生対象シュート10に再生対象スプール弁11が設けられ、再生対象シュート10の出口が再生対象ライザー12の入口に接続され、再生対象ライザー12の底部に再生対象上昇ガスの入口13が設けられ、再生対象ライザー12の出口が流動床再生器14の希薄相領域に接続され、
図1に示されるように、再生器ストリッパー20の底部に再生器のストリッピングガスの入口21が設けられ、再生器ストリッパー20の底部が再生シュート22の入口に接続され、再生シュート22に再生スプール弁23が設けられ、再生シュート22の出口が再生ライザー24の入口に接続され、再生ライザー24の底部に再生上昇ガスの入口25が設けられ、再生ライザー24の出口が反応器固気分離器4の入口に接続される。
【0077】
本願の上記実施態様においては、流動床再生器14は、乱流流動床再生器であってもよく、反応器固気分離器4、反応器固気分離器5及び再生器気固分離器17は、サイクロン分離器であってもよい。
【0078】
本願の一特定実施態様においては、本願の前記メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンからパラキシレンを生産して低級オレフィンを併産するための方法は、
メタノール及び/又はジメヒルエーテルとベンゼンを含有する原料を乱流流動床反応器1の最下方の反応器供給材料分配器3−1により乱流流動床反応器1の反応領域に送り、メタノールを乱流流動床反応器1における反応器供給材料分配器3−2〜3−nにより乱流流動床反応器1の反応領域に送り、触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れとカーボンを含有する再生対象触媒を生成するステップa)と、
乱流流動床反応器1から流れ出した、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れを製品分離システムに送り、分離してパラキシレン;エチレン;プロピレン;ブテン;C5+鎖式炭化水素;トルエン、オルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン及びC9+芳香族炭化水素を含む芳香族炭化水素副生成物;並びに未転化のメタノール、ジメヒルエーテル及びベンゼンを得て、未転化のメタノールとジメヒルエーテルを反応器供給材料分配器3−2〜3−nにより乱流流動床反応器1の反応領域に送り、芳香族炭化水素副生成物と未転化のベンゼンを反応器供給材料分配器3−1により乱流流動床反応器1の反応領域に送り、触媒と接触させ、生成物に転化するステップb)と、
再生対象触媒は、反応器ストリッパー8、再生対象シュート10、再生対象スプール弁11及び再生対象ライザー12により流動床再生器14の希薄相領域に入るステップc)と、
再生媒体を再生器供給分配器16から流動床再生器14の再生領域に導入し、再生媒体が再生対象触媒と炭素燃焼反応を発生させて、CO、COを含有する排煙及び再生触媒を生成し、排煙について再生器気固分離器17で除塵して排出するステップd)と、
再生触媒は再生器ストリッパー20、再生シュート22、再生スプール弁23及び再生ライザー24を通って、反応器気固分離器4の入口に入り、固気分離された後、再生触媒乱流流動床反応器1における反応領域の底部に入るステップe)と、
反応器ストリッピングガスは、反応器のストリッピングガスの入口9により反応器ストリッパー8に入って再生対象触媒と向流接触し、次に乱流流動床反応器1に入り、再生対象上昇ガスは、再生対象上昇ガスの入口13により再生対象ライザー12に入って再生対象触媒と並流接触し、次に流動床再生器14の希薄相領域に入るステップf)と、
再生器ストリッピングガスは、再生器のストリッピングガスの入口21から再生器ストリッパー20に入って再生触媒と向流接触し、次に流動床再生器14に入り、再生上昇ガスは、再生上昇ガスの入口25から再生ライザー24に入って再生触媒と並流接触し、次に反応器固気分離器4の入口に入るステップg)とを含む。
【0079】
本願をさらに説明し、本願の技術案を理解しやすくするために、本願の典型的且つ非限定的な実施例は、以下のとおりである。
【0080】
実施例1
図1に示した装置を用い、ただし、乱流流動床反応器1には、反応器固気分離器4と多孔板26が含まれず、再生ライザー24が乱流流動床反応器1の希薄相領域に直接接続された。乱流流動床反応器1は、1個の反応器供給材料分配器3−1を含んだ。
【0081】
乱流流動床反応器1の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約0.15MPa、ベッド密度が約350kg/mであった。
【0082】
流動床再生器14の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、再生温度が約650℃、再生圧力が約0.15MPa、ベッド密度が約350kg/mであった。
【0083】
触媒には、HZSM−5分子篩が含まれ、再生触媒の炭素含有量が約0.1wt.%であった。
【0084】
再生媒体は、空気であり、反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス、及び再生上昇ガスは、水蒸気であった。
【0085】
乱流流動床反応器の最下方の反応器供給材料分配器3−1から入った混合物において、芳香族炭化水素とメタノールとのモル比は、0.5であった。
【0086】
実験結果は、以下のとおりであった。ベンゼンの転化率は、20%、メタノールの転化率は、99%、パラキシレンの選択性は、98%、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、15%、鎖式炭化水素において低級オレフィン(エチレン+プロピレン+ブテン)の選択性は、66%であった。
【0087】
実施例2
図1に示した装置を用い、乱流流動床反応器1には、3個の反応器供給材料分配器3−1〜3−3が含まれ、多孔板26の開孔率が10%であり、反応器固気分離器4は、反応器ハウジング2の内部に設置された。
【0088】
乱流流動床反応器1の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、反応温度が約500℃、反応圧力が約0.15MPa、ベッド密度が約350kg/mであった。
【0089】
流動床再生器14の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.0m/s、再生温度が約650℃、再生圧力が約0.15MPa、ベッド密度が約350kg/mであった。
【0090】
触媒には、HZSM−5分子篩が含まれ、再生触媒の炭素含有量が約0.1wt.%であった。
【0091】
再生媒体は、空気であり、反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス、及び再生上昇ガスは、水蒸気であった。
【0092】
乱流流動床反応器の最下方の反応器供給材料分配器3−1から入った混合物において、芳香族炭化水素とメタノールとの物質量の比は、2であった。
【0093】
反応器供給材料分配器3−2〜3−3から入った含酸素化合物と反応器供給材料分配器3−1から入ったメタノールとのモル比は、3であった。
【0094】
実験結果は、以下のとおりであった。ベンゼンの転化率は、41%、メタノールの転化率は、97%、パラキシレンの選択性は、98%、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、32%、鎖式炭化水素において低級オレフィン(エチレン+プロピレン+ブテン)の選択性は、75%であった。
【0095】
本例が実施例1と異なる点は、以下のとおりである。
【0096】
(1)実施例1では、再生触媒が乱流流動床反応器の希薄相領域に入るが、本例では、再生触媒が乱流流動床反応器の底部に入る。
(2)実施例1では、メタノールが1個の反応器供給材料分配器3−1から供給されるが、本例では、メタノールは、3個の反応器供給材料分配器(3−1〜3−3)の各々から供給される。
(3)実施例1では、多孔板が含まれないが、本例では、多孔板が含まれる。
【0097】
本実施例と実施例1とを比較してわかるように、本実施例では、触媒がまず高濃度の芳香族炭化水素原料と接触するため、ベンゼンの転化率とパラキシレンの収率及び低級オレフィンの選択性を大幅に向上させる。
【0098】
実施例3
図1に示した装置を用い、乱流流動床反応器1には、6個の反応器供給材料分配器3−1〜3−6が含まれ、多孔板の開孔率が5%であり、反応器固気分離器4は、反応器ハウジング2の内部に設置された。
【0099】
乱流流動床反応器1の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約0.8m/s、反応温度が約560℃、反応圧力が約0.6MPa、ベッド密度が約460kg/mであった。
【0100】
流動床再生器14の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.7m/s、再生温度が約600℃、再生圧力が約0.6MPa、ベッド密度が約220kg/mであった。
【0101】
触媒には、HZSM−11分子篩が含まれ、再生触媒の炭素含有量が約0.15wt.%であった。
【0102】
再生媒体は、空気であり、反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス、及び再生上昇ガスは、水蒸気であった。
【0103】
乱流流動床反応器の最下方の反応器供給材料分配器3−1から入った混合物において、芳香族炭化水素とメタノールとの物質量の比は、4であった。
【0104】
反応器供給材料分配器3−2〜3−6から入った含酸素化合物と反応器供給材料分配器3−1から入ったメタノールとのモル比は、20であった。
【0105】
実験結果は、以下のとおりであった。ベンゼンの転化率は、45%、メタノールの転化率は、73%、パラキシレンの選択性は、94%、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、42%、鎖式炭化水素において低級オレフィン(エチレン+プロピレン+ブテン)の選択性は、73%であった。
【0106】
実施例4
図1に示した装置を用い、乱流流動床反応器1には、4個の反応器供給材料分配器3−1〜3−4が含まれ、多孔板26が含まれず、反応器固気分離器4は、反応器ハウジング2の外部に設置された。
【0107】
乱流流動床反応器1の反応領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.5m/s、反応温度が約440℃、反応圧力が約0.2MPa、ベッド密度が約280kg/mであった。
【0108】
流動床再生器14の再生領域の反応条件として、ガスの見かけ線速度が約1.2m/s、再生温度が約700℃、再生圧力が約0.2MPa、ベッド密度が約330kg/mであった。
【0109】
触媒には、HZSM−5分子篩が含まれ、再生触媒の炭素含有量が約0.15wt.%であった。
【0110】
再生媒体は、水蒸気であり、反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス及び再生上昇ガスは、窒素であった。
【0111】
乱流流動床反応器の最下方の反応器供給材料分配器3−1から入った混合物において、芳香族炭化水素とメタノールとの物質量の比は、3であった。
【0112】
反応器供給材料分配器3−1〜3−4から入った含酸素化合物と反応器供給材料分配器3−1から入ったメタノールとのモル比は、10であった。
【0113】
実験結果は、以下のとおりであった。ベンゼンの転化率は、42%、メタノールの転化率は、86%、パラキシレンの選択性は、91%、芳香族炭化水素に基づくパラキシレン質量の単通収率は、38%、鎖式炭化水素において低級オレフィン(エチレン+プロピレン+ブテン)の選択性は、71%であった。
【0114】
以上は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、本願を何ら制限するものではなく、本願は、好適実施例をもって以上のように開示したが、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願の技術案の範囲から逸脱することなく、上記で開示された技術内容に基づいて行われる変更又は修正は、いずれも均等の実施態様に相当し、すべて技術案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0115】
1−乱流流動床反応器、2−反応器ハウジング、3−反応器供給材料分配器(3−1〜3−n)、4−反応器固気分離器、5−反応器固気分離器、6−反応器放熱器、7−製品ガスの出口、8−反応器ストリッパー、9−反応器のストリッピングガスの入口、10−再生対象シュート、11−再生対象スプール弁、12−再生対象ライザー、13−再生対象上昇ガスの入口、14−流動床再生器、15−再生器ハウジング、16−再生器供給分配器、17−再生器気固分離器、18−再生器放熱器、19−排煙出口、20−再生器ストリッパー、21−再生器のストリッピングガスの入口、22−再生シュート、23−再生スプール弁、24−再生ライザー、25−再生上昇ガスの入口、26−多孔板。
図1
【手続補正書】
【提出日】2019年11月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための乱流流動床反応器であって、第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器と、を備え、前記第1の反応器供給材料分配器と複数の第2の反応器供給材料分配器は、前記乱流流動床反応器におけるガスの流れ方向に沿って順次配置されており、
好ましくは、前記第2の反応器供給材料分配器は、2〜10個である、ことを特徴とする乱流流動床反応器。
【請求項2】
前記乱流流動床反応器は、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている第1の反応器固気分離器と、希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている第2の反応器固気分離器とを含み、
前記第1の反応器固気分離器には、再生触媒の入口が設けられ、前記第1の反応器固気分離器の触媒出口が反応領域の底部に設置され、前記第1の反応器固気分離器のガス出口が希薄相領域に設置され、
前記第2の反応器固気分離器の入口が前記希薄相領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器の触媒出口が前記反応領域に設置され、前記第2の反応器固気分離器のガス出口が乱流流動床反応器の製品ガスの出口に接続され、
前記反応領域は、前記乱流流動床反応器の下部に位置し、前記希薄相領域は、前記乱流流動床反応器の上部に位置し、
好ましくは、前記第1の反応器固気分離器と第2の反応器固気分離器は、サイクロン分離器である、ことを特徴とする請求項に記載の乱流流動床反応器。
【請求項3】
前記乱流流動床反応器は、前記乱流流動床反応器ハウジングの内部又は外部に設置されている反応器放熱器を含み、
好ましくは、前記反応器放熱器は、前記複数の反応器供給材料分配器の間に設置されている、ことを特徴とする請求項に記載の乱流流動床反応器。
【請求項4】
前記乱流流動床反応器は反応器ストリッパーを含み、該反応器ストリッパーは、乱流流動床反応器の底部において外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内で開口し、該反応器ストリッパーの底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項5】
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が50%以下であ
好ましくは、前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と第1の反応器供給材料分配器に最も近接する第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が5%〜50%である、ことを特徴とする請求項に記載の乱流流動床反応器。
【請求項6】
前記反応器ストリッパーは、乱流流動床反応器の底部において外から内へ反応器ハウジングを貫通して、乱流流動床反応器の反応領域内で開口し、前記反応器ストリッパーの底部には反応器のストリッピングガスの入口と再生対象触媒の出口が設けられ、
前記乱流流動床反応器は、第1の反応器供給材料分配器と少なくとも1つの第2の反応器供給材料分配器との間に位置する多孔板を含み、該多孔板の開孔率が50%以下であり、
反応器ハウジングの内部における前記反応器ストリッパーの開口の水平面からの高さは、第1の反応器供給材料分配器より高く、且つ前記多孔板より高い、ことを特徴とする請求項1に記載の乱流流動床反応器。
【請求項7】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産するための装置であって、少なくとも1つの請求項1に記載の乱流流動床反応器と、触媒を再生するための流動床再生器と、を備える、ことを特徴とする装置。
【請求項8】
前記流動床再生器は、乱流流動床再生器であり、再生器ハウジング、再生器気固分離器、再生器放熱器及び再生器ストリッパーを含み、流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が再生器希薄相領域であり、再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、
前記再生器気固分離器の入口が再生器希薄相領域に設置され、前記再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口する、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記流動床再生器は、再生器ハウジング、再生器供給分配器、再生器気固分離器、再生器放熱器、排煙出口及び再生器ストリッパーを備え、
前記流動床再生器の下部が再生領域であり、流動床再生器の上部が希薄相領域であり、
再生器供給分配器が再生領域の底部に設置され、再生器放熱器が再生領域に設置され、再生器気固分離器が希薄相領域又は再生器ハウジングの外部に設置され、再生器気固分離器の入口が希薄相領域に設置され、再生器気固分離器の触媒出口が再生領域に設置され、再生器気固分離器のガス出口が排煙出口に接続され、再生器ストリッパーは、再生器ハウジングの底部で開口し、
前記反応器ストリッパーの再生対象触媒の出口が再生対象シュートの入口に接続され、再生対象シュートに再生対象スプール弁が設けられ、再生対象シュートの出口が再生対象ライザーの入口に接続され、再生対象ライザーの底部に再生対象上昇ガスの入口が設けられ、再生対象ライザーの出口が流動床再生器の希薄相領域に接続され、
前記再生器ストリッパーの底部には再生器のストリッピングガスの入口が設けられ、再生器ストリッパーの底部が再生シュートの入口に接続され、再生シュートには、再生スプール弁が設けられ、再生シュートの出口が再生ライザーの入口に接続され、再生ライザーの底部には、再生上昇ガスの入口が設けられ、再生ライザーの出口が第1の反応器固気分離器の再生触媒の入口に接続され、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されている、ことを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンから、パラキシレンを生産し低級オレフィンを併産する方法であって、少なくとも1つの請求項1に記載の乱流流動床反応器が用いられ、
好ましくは、メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンを含有する原料Aを第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送り、メタノール及び/又はジメヒルエーテルを含有する原料Bを複数の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成する、ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記流れCを分離して、パラキシレン、低級オレフィン、C5+鎖式炭化水素、芳香族炭化水素副生成物、並びに未転化のメタノール、ジメヒルエーテル及びベンゼンを得て、
未転化のメタノールとジメヒルエーテルを、複数の第2の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送り、芳香族炭化水素副生成物と未転化のベンゼンを、第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って、触媒と接触させる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記再生対象触媒は、流動床再生器で再生された後、乱流流動床反応器における反応領域の底部に入る、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
メタノール及び/又はジメヒルエーテル並びにベンゼンを含有する流れAを乱流流動床反応器の下方の第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(1)と、
メタノール及び/又はジメヒルエーテルを含有する流れBを、第1の反応器供給材料分配器の上方に順次配置されている2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、パラキシレンと低級オレフィン製品を含有する流れCと再生対象触媒を生成するステップ(2)と、
ステップ(2)で得られた流れCから、未転化のメタノール及びジメヒルエーテルの流れC−1と;未転化のベンゼン及びトルエン、並びにオルトキシレン、メタキシレン、エチルベンゼン及びC9+芳香族炭化水素を含む芳香族炭化水素副生成物の流れC−2とを分離させ、流れC−1を2〜10個の第2の反応器供給材料分配器の各々により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させ、流れC−2を第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器の反応領域に送って触媒と接触させるステップ(3)と、
ステップ(2)で得られた再生対象触媒を流動床再生器で再生し、再生触媒を第1の反応器固気分離器に充填してガスを除去した後、再生触媒を乱流流動床反応器における反応領域の底部に充填するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に送られる混合物において、芳香族炭化水素の分子モル数とメタノール及び/又はジメヒルエーテルのカーボンモル数との比が、0.5より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
複数の第2の反応器供給材料分配器により乱流流動床反応器に入る混合物中の全ての含酸素化合物と第1の反応器供給材料分配器から入るメタノールとのモル比は、1より大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
触媒再生には、少なくとも1つの請求項に記載の装置が用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
再生対象触媒は、反応器ストリッパー、再生対象シュート、再生対象スプール弁及び再生対象ライザーを通って流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生媒体は、流動床再生器の再生領域に導入されて、再生対象触媒と炭素燃焼反応を起こして、CO、COを含有する排煙及び再生触媒を生成し、排煙は再生器気固分離器で除塵されて排出され、
再生触媒は、再生器ストリッパー、再生シュート、再生スプール弁及び再生ライザーを通って第1の反応器固気分離器の入口に入り、固気分離された後、再生触媒が乱流流動床反応器における反応領域の底部に入り、
反応器ストリッピングガスは、反応器のストリッピングガスの入口から反応器ストリッパーに入って再生対象触媒と向流接触し、その後乱流流動床反応器に入り、再生対象上昇ガスは、再生対象上昇ガスの入口から再生対象ライザーに入って再生対象触媒と並流接触し、その後流動床再生器の希薄相領域に入り、
再生器ストリッピングガスは、再生器のストリッピングガスの入口から再生器ストリッパーに入って再生触媒と向流接触し、その後流動床再生器に入り、再生上昇ガスは、再生上昇ガスの入口から再生ライザーに入って再生触媒と並流接触し、その後第1の反応器固気分離器の入口に入り、前記第1の反応器固気分離器は、流動床反応器の希薄相領域又は反応器ハウジングの外部に設置されており、
好ましくは、前記再生触媒の炭素含有量が0.5wt%以下である、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記再生媒体は、空気、酸素欠乏空気又は水蒸気のうちの少なくとも1種であり、
及び/又は、前記反応器ストリッピングガス、再生器ストリッピングガス、再生対象上昇ガス及び再生上昇ガスは、水蒸気及び/又は窒素ガスであるである、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記乱流流動床反応器の反応領域の反応条件は、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、反応温度が、350℃〜600℃、反応圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記流動床再生器の再生領域の反応条件は、ガスの見かけ線速度が、0.1m/s〜2.0m/s、再生温度が、500℃〜750℃、再生圧力が、0.1Mpa〜1.0MPa、ベッド密度が、200kg/m〜1200kg/mである、ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【国際調査報告】