【課題を解決するための手段】
【0007】
簡潔な要約
一形態において、本発明の開示は、
(i)腫瘍溶解性ウイルス;
(ii)免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;および
(iii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞
を対象に投与することを含む、がんを処置する方法を提供する。
【0008】
がんを処置する方法で使用するための、(i)腫瘍溶解性ウイルス、(ii)免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、および(iii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞の組合せも提供される。
【0009】
がんを処置する方法に使用するための医薬品の製造における、(i)腫瘍溶解性ウイルス、(ii)免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、および(iii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞の使用も提供される。
【0010】
(i)腫瘍溶解性ウイルス;および
(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞
を対象に投与することを含む、がんを処置する方法も提供される。
【0011】
がんを処置する方法で使用するための、(i)腫瘍溶解性ウイルス、および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞の組合せも提供される。
【0012】
がんを処置する方法に使用するための医薬品の製造における、(i)腫瘍溶解性ウイルス、および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞の使用も提供される。
【0013】
一部の実施態様において、CARを含む細胞は、腫瘍溶解性ウイルスに特異的である。
(i)腫瘍溶解性ウイルス;および
(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞
を対象に投与することを含む、がんを処置する方法も提供される。
【0014】
がんを処置する方法で使用するための、(i)腫瘍溶解性ウイルス、および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞の組合せも提供される。
がんを処置する方法に使用するための医薬品の製造における、(i)腫瘍溶解性ウイルス、および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞の使用も提供される。
【0015】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)である。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス5(Ad5)に由来する。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、Ad5によってコードされたE1Aタンパク質と比較して低下したRbタンパク質への結合を呈示するE1Aタンパク質をコードする。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、アミノ酸配列LTCHEACF(配列番号52)が欠失したE1Aタンパク質をコードする。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、アミノ酸配列の配列番号34を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるE1Aタンパク質をコードする。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、1つまたはそれより多くの転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位を有する核酸を含む。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、STAT1のための1つまたはそれより多くの結合部位を有する核酸を含む。
【0016】
一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)である。一部の実施態様において、免疫調節因子は、エフェクター免疫応答のアゴニストまたは免疫調節応答のアンタゴニストから選択される。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、IL−12および/またはアンタゴニスト抗PD−L1抗体をコードする核酸を含む。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、非毒性因子の細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素をコードする核酸を含む。一部の実施態様において、酵素は、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、シトクロムP450、カルボキシペプチダーゼG2、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよびカルボキシルエステラーゼから選択される。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、チミジンキナーゼをコードする核酸を含む。
【0017】
一部の実施態様において、がん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つの細胞は、T細胞である。一部の実施態様において、CARは、HER2への特異的な結合が可能な抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、
LC−CRD1:配列番号10;
LC−CRD2:配列番号11;
LC−CRD3:配列番号12を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号13;
HC−CRD2:配列番号14;
HC−CRD3:配列番号15を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号18;
LC−CRD2:配列番号19;
LC−CRD3:配列番号20を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号21;
HC−CRD2:配列番号22;
HC−CRD3:配列番号23を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号26;
LC−CRD2:配列番号27;
LC−CRD3:配列番号28を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号29;
HC−CRD2:配列番号30;
HC−CRD3:配列番号31を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号57;
LC−CRD2:配列番号58;
LC−CRD3:配列番号59を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号60;
HC−CRD2:配列番号61;
HC−CRD3:配列番号62を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0018】
一部の実施態様において、CARは、
配列番号16に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号17に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号24に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号25に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号32に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号33に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号63に少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるVL、および配列番号64に少なくとも75%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるVH
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0019】
一部の実施態様において、本方法は、加えて、
(a)対象から少なくとも1つの細胞を単離することであって、具体的な実施態様において、細胞は免疫細胞である、単離すること;
(b)がん細胞抗原に特異的なCAR、またはがん細胞抗原に特異的なCARをコードする核酸を発現するかまたは含むように、少なくとも1つの細胞を改変すること、
(c)任意選択で、改変された少なくとも1つの細胞を拡大すること、および;
(d)改変された少なくとも1つの細胞を対象に投与することであって、具体的な実施態様において、改変された細胞は、投与のとき、がん療法のための1つまたはそれより多くの他の薬剤と共に対象に提供される、投与すること
を含む。
【0020】
一部の実施態様において、がんを処置する方法は、
(a)対象から少なくとも1つの細胞を単離すること;
(b)がん細胞抗原に特異的なCAR、またはがん細胞抗原に特異的なCARをコードする核酸を発現するかまたは含むように、少なくとも1つの細胞を改変すること、
(c)任意選択で、改変された少なくとも1つの細胞を拡大すること、および;
(d)改変された少なくとも1つの細胞を対象に投与すること
を含む。
【0021】
一部の実施態様において、がんを処置する方法は、
(a)対象から免疫細胞を単離すること;
(b)腫瘍溶解性ウイルスのペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)の存在下での培養によって免疫細胞を刺激することを含む方法によって、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成または拡大すること、および;
(c)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を対象に投与すること
を含む。
【0022】
一部の実施態様において、がんは、頭頸部がん、上咽頭癌(NPC)、子宮頸癌(CC)、中咽頭癌(OPC)、胃癌(GC)、肝細胞癌(HCC)および肺がんから選択される。
【0023】
本発明の開示はまた、アミノ酸配列の配列番号34を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるE1Aタンパク質をコードする腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)も提供する。
【0024】
本発明の開示はまた、STAT1のための1つまたはそれより多くの結合部位を有する核酸を含む腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)も提供する。一部の実施態様において、OncAdは、配列番号51またはコドン縮重の結果としての等価な配列に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0025】
配列番号55またはコドン縮重の結果としての等価な配列に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有する核酸配列を含むOncAdも提供される。一部の実施態様において、OncAdは、アミノ酸配列の配列番号34を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるE1Aタンパク質をコードする。
【0026】
本発明の開示はまた、IL−12および/またはアンタゴニスト抗PD−L1抗体をコードする核酸を含むヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)も提供する。一部の実施態様において、HDAdは、加えて、非毒性因子の細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素をコードする核酸を含む。一部の実施態様において、酵素は、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、シトクロムP450、カルボキシペプチダーゼG2、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよびカルボキシルエステラーゼから選択される。
【0027】
一部の実施態様において、HDAdは、加えて、チミジンキナーゼをコードする核酸を含む。HDAd核酸がIL−12および抗PD−L1抗体をコードする場合において、それぞれの発現配列は、同じ調節配列によって調節されてもよいし、またはそうでなくてもよい。HDAd核酸がIL−12および抗PD−L1抗体の両方をコードする場合において、HDAd核酸上での位置は、あらゆる好適な立体配置の位置であってもよく、例えば5’から3’方向で、IL−12をコードする核酸領域は、抗PD−L1抗体をコードする核酸領域の上流または下流のいずれかにある。
【0028】
本発明の開示はまた、
LC−CRD1:配列番号10;
LC−CRD2:配列番号11;
LC−CRD3:配列番号12を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号13;
HC−CRD2:配列番号14;
HC−CRD3:配列番号15を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号18;
LC−CRD2:配列番号19;
LC−CRD3:配列番号20を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号21;
HC−CRD2:配列番号22;
HC−CRD3:配列番号23を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号26;
LC−CRD2:配列番号27;
LC−CRD3:配列番号28を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号29;
HC−CRD2:配列番号30;
HC−CRD3:配列番号31を含むVHドメイン;
または
LC−CRD1:配列番号57;
LC−CRD2:配列番号58;
LC−CRD3:配列番号59を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号60;
HC−CRD2:配列番号61;
HC−CRD3:配列番号62を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)も提供する。
【0029】
一部の実施態様において、CARは、
配列番号16に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号17に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号24に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるVL、および配列番号25に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号32に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるVL、および配列番号33少なくとも75%、80%、85%、90%、95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH;
または
配列番号63に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%またはそれより大きい配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるVL、および配列番号64に少なくとも75%、80%、85%、90%、95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVH
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0030】
本発明の開示はまた、本発明の開示に係る、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする、1つまたは複数の核酸、任意選択で単離された1つまたは複数の核酸も提供する。
【0031】
本発明の開示はまた、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、または本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸を含む細胞も提供する。
【0032】
本発明の開示はまた、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR);本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸または細胞を含む医薬組成物であって、医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントを伴っていてもよいし、またはそれに含まれていてもよい、上記医薬組成物も提供する。
【0033】
本発明の開示はまた、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸、細胞または医薬組成物を対象に投与することを含む、がんを処置する方法も提供する。
【0034】
本発明の開示はまた、がんを処置する方法で使用するための、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸、細胞または医薬組成物も提供する。
【0035】
本発明の開示はまた、がんを処置するための医薬品の製造における、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸、細胞または医薬組成物の使用も提供する。
【0036】
一部の実施態様において、本発明の開示の様々な形態によれば、がんは、頭頸部がん、上咽頭癌(NPC)、子宮頸癌(CC)、中咽頭癌(OPC)、胃癌(GC)、肝細胞癌(HCC)および肺がんから選択される。
【0037】
本発明の開示はまた、予め決定された量の、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸、細胞または医薬組成物を含むパーツのキットも提供する。
【0038】
〔詳細な説明〕
本発明の開示は、がんの処置のための複数の治療剤の併用に関する。特定には、(i)腫瘍溶解性ウイルス、(ii)免疫調節因子を提供するウイルス、および(iii)がん細胞抗原に特異的なCARを有する免疫細胞(例えばT細胞)が、がん療法として組み合わせて使用される。治療剤を組み合わせて、薬剤のいずれか1つが単独で使用される場合に見られる作用と比較して改善された処置作用を提供する。特定の実施態様において、3つの治療剤のうち少なくとも2つは、相加的に作用してがんを処置し、それに対して、他の実施態様において、3つの異なる治療剤のうち少なくとも2つは相乗的に作用して、がんを処置する。
【0039】
いかなる特定の理論にも縛られることは望まないが、改善された処置作用は、CAR−T細胞の増殖と活性に好都合な免疫環境を提供することと共に、腫瘍溶解性ウイルス療法(例えば固形腫瘍の有効な処置)およびCAR−T細胞療法(例えばびまん性/転移がんの有効な処置)の有利な特徴を組み合わせることによって達成されると考えられる。
【0040】
腫瘍溶解性ウイルス
本発明の開示は、腫瘍溶解性ウイルスを採用する。がんを処置するための腫瘍溶解性ウイルスおよびその使用は、例えば、その全体が参照により組み入れられるChioccaおよびRabkin Cancer Immunol Res(2014)2(4):295〜300で総論されている。
【0041】
腫瘍溶解性ウイルスは、がん細胞中で複製し、がん細胞の溶解を引き起こす。しばしば腫瘍溶解性ウイルスは、非がん性細胞に対してがん細胞に選択的であり、例えば、腫瘍溶解性ウイルスは一般的に、非分裂細胞より優先して分裂細胞中で複製する。したがって腫瘍溶解性ウイルスは、正常な非がん性細胞/組織に実質的なダメージを与えずに、選択的にがん細胞を致死させ腫瘍を破壊するのに有用である。
【0042】
腫瘍溶解性ウイルス療法は、数々の有利な特徴を伴う。腫瘍溶解性ウイルスはしばしば、数々の腫瘍形成性経路を標的化し、細胞傷害性に関する複数のメカニズムを使用し、耐性が生じる機会を最小化する。上述したように、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍中で選択的に複製し非病原性であるため、最小の毒性を呈示する。腫瘍におけるウイルス用量も、ウイルスの複製のために長期にわたり増加し、腫瘍溶解性ウイルスは、例えば薬物に対する感受性操作することによって、安全性が改善するように遺伝学的に操作することもできる。
【0043】
腫瘍溶解性ウイルスには、以下の2つの主要なクラスがある:
(i)天然にがん細胞で優先的に複製するウイルスであって、これは、自然の抗ウイルスシグナル伝達への感受性または腫瘍形成性のシグナル伝達経路への依存性が高いことにしばしば起因して、ヒトにおいて非病原性であるウイルスであり、例えば、自律性パルボウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV;ポックスウイルス)、ニューカッスル病ウイルス(NDV;パラミクソウイルス)、レオウイルス、およびセネカバレーウイルス(SVV;ピコルナウイルス)などが挙げられる;
(ii)がん細胞ではなく正常な細胞での複製に必要な、例えば遺伝子中の突然変異/欠失で遺伝子操作されたウイルスであって、例えば、アデノウイルス(Ad)、単純疱疹ウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、および水疱性口内炎ウイルス(VSV;ラブドウイルス)などが挙げられ;またはワクチンベクターとして使用するために遺伝子操作されたウイルスであって、例えば、麻疹ウイルス(MV;パラミクソウイルス)、ポリオウイルス(PV;ピコルナウイルス)、およびVV(ポックスウイルス)などが挙げられる。
【0044】
遺伝子操作としては、がん細胞に対する選択性の強化、安全性を提供したり、および/またはウイルス親和性を改変したりするための、機能的な配列の挿入/変更を挙げることができる。
【0045】
例えば、腫瘍溶解性ウイルスは、標的細胞においてウイルスの翻訳のみを許容する組織特異的な内部リボソーム進入部位(IRES)が導入されるように、および/またはmiRNAs/miRNA応答エレメント(MRE)が導入されるように遺伝子操作されていてもよく、そのようにすることで、健康な細胞または特定の組織と腫瘍細胞との間の差次的なmiRNA発現は、ウイルスが健康な細胞/組織を標的化しないようにすることができる。また腫瘍溶解性ウイルスは、細胞または組織特異的な調節領域、例えばプロモーター/エンハンサー(例えば腫瘍細胞特異的プロモーター)の制御下でウイルスゲノムの転写が起こるように操作されていてもよい。一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、このような目的のための1つまたはそれより多くの改変を含んでいてもよい。
【0046】
ウイルスはまた、例えば、腫瘍細胞を標的化するおよび/または健康な細胞/組織を脱標的化するように、ウイルス受容体/外殻タンパク質の改変を介して、形質導入の標的化のために改変されてもよい。
【0047】
腫瘍溶解性ウイルスは、上記のChioccaおよびRabkinで記載されたように、対象における抗腫瘍溶解性ウイルス応答(例えば抗ウイルス抗体による中和)および肝臓での捕捉を最小化し、腫瘍送達を最大化するような方法で投与されてもよい。例えば、腫瘍溶解性ウイルスは、例えば間葉系間質細胞、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、神経幹細胞、T細胞、サイトカイン誘導キラー細胞、または放射線照射された腫瘍細胞中の細胞担体に投与されてもよいし、またはナノ粒子でコーティングされてもよい。
【0048】
一部の実施態様において、本発明の開示の腫瘍溶解性ウイルスは、例として、アデノウイルス(Ad)、単純疱疹ウイルス(HSV)、ワクシニアウイルス(VV)、水疱性口内炎ウイルス(VSV);自律性パルボウイルス、粘液腫ウイルス(MYXV)、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、レオウイルス、セネカバレーウイルス(SVV)麻疹ウイルス、レトロウイルス、インフルエンザウイルス、シンドビスウイルス(SINV)またはポックスウイルスであるかもしくはそれに由来する。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、ワクシニアウイルスではない。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、ワクシニアウイルスJX−594ではない。
【0049】
本明細書で使用されるように、参照ウイルス「由来の」腫瘍溶解性ウイルスは、参照ウイルスが有する核酸配列またはアミノ酸配列を含む。一部の実施態様において、参照ウイルス「由来の」腫瘍溶解性ウイルスは、参照ウイルスが有する1つまたはそれより多くの遺伝子を含む。一部の実施態様において、「由来の」腫瘍溶解性ウイルスは、参照ウイルスによってコードされた1つまたはそれより多くのタンパク質をコードする。
【0050】
一部の実施態様において、参照ウイルスに由来する腫瘍溶解性ウイルスは、参照ウイルスの1つまたはそれより多くの機能的なエレメントをコードする核酸配列を含んでいてもよい。「機能的なエレメント」は、例えば、転写調節因子(例えばプロモーター/エンハンサー)、転写後プロセシングの調節因子、翻訳調節因子、転写後プロセシングの調節因子、応答エレメント、反復配列、またはウイルスタンパク質であってもよい。一部の実施態様において、参照ウイルスに由来する腫瘍溶解性ウイルスは、参照ウイルスの1つまたはそれより多くの遺伝子、またはそれによってコードされたタンパク質を含んでいてもよい。
【0051】
一部の実施態様において、本発明の開示の腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルス(OncAd)であるかまたはそれに由来する。OncAdは、例えば、その全体が参照により組み入れられるLarsonら、Oncotarget.(2015)6(24):19976〜19989で総論されている。
【0052】
一部の実施態様において、OncAdは、A、B、C、D、E、FまたはG種ヒトアデノウイルス(すなわちHAdV−A、HAdV−B、HAdV−C、HAdV−D、HAdV−E、HAdV−FまたはHAdV−G)であるかまたはそれに由来する。一部の実施態様において、OncAdは、C種ヒトアデノウイルスであるかまたはそれに由来する。一部の実施態様において、OncAdは、Ad5、Ad2、Ad1、Ad6またはAd57であるかまたはそれに由来する。
【0053】
一部の実施態様において、OncAdは、制限増殖型アデノウイルス(またはCRAd)である。
一部の実施態様において、OncAdは、例えばOncAdの元となるアデノウイルスの遺伝学的改変の結果として、非がん性細胞に感染する、その中で複製する、および/またはそれを溶解させる能力が低下している(同等のがん性細胞に感染する/その中で複製する、および/またはそれを溶解させる能力と比較して)。
【0054】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、1つまたはそれより多くのタンパク質をコードする配列に対する改変を含む。一部の実施態様において、改変は、コードされたタンパク質の生産または活性を変更する。一部の実施態様において、改変は、タンパク質の短縮化または欠失である。
【0055】
一部の実施態様において、OncAdは、アデノウイルス初期タンパク質への改変を含む。一部の実施態様において、改変は、E1Aタンパク質をコードする領域への改変である。一部の実施態様において、OncAdは、野生型E1Aタンパク質(例えばOncAdの元となるアデノウイルスによってコードされたE1A)と比較してRbタンパク質に結合する能力が低下したE1Aタンパク質をコードする。一部の実施態様において、OncAdは、アミノ酸配列LTCHEACF(配列番号52)が欠失したE1Aタンパク質をコードする。アミノ酸配列LTCHEACF(配列番号52)が欠失したE1Aタンパク質をコードするOncAdの例は、配列番号55に示されるOnc5/3Ad2E1Δ24である。
【0056】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号34に少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるE1Aタンパク質をコードする。
【0057】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、1つまたはそれより多くの転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位を提供する核酸配列を含む。一部の実施態様において、転写因子は、活性化転写因子(すなわち転写活性化因子)である。1つまたはそれより多くの転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位は、好ましくは、1つまたはそれより多くの機能的なエレメント(例えばウイルスタンパク質)をコードする核酸配列に対して上流に(すなわち5’側に)提供される。
【0058】
一部の実施態様において、転写因子は、同等の非がん性細胞(例えば同じ組織/細胞型由来の非がん性細胞)と比較して、がん性細胞において発現が増加した、または活性が増加した転写因子である。
【0059】
本明細書において、「発現」は、遺伝子発現を指す場合もあるし、またはタンパク質発現を指す場合もある。遺伝子発現は、当業者公知の様々な手段によって、例えば定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)によってmRNAのレベルを測定すること、またはレポーターベースの方法によって測定することができる。同様に、タンパク質発現は、様々な当業界において周知の方法によって、例えば抗体ベースの方法によって、例えばウェスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、ELISA、ELISPOT、またはレポーターベースの方法によって測定することができる。
【0060】
1つまたはそれより多くの転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位を含むOncAdの例は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるRojasら、2010 Mol Ther 18 1960-1971に記載のICOVIR15である。ICOVIR15は、転写因子E2Fのための8つの結合部位を含む。
【0061】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、その遺伝子もしくはタンパク質発現または細胞中での活性が、免疫細胞によって生産または発現される因子に応答して上方調節される転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位を含む。一部の実施態様において、免疫細胞によって生産または発現される因子は、エフェクター免疫細胞、例えばCD8+細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、CD4+Tヘルパー1(T
H1)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞またはナチュラルキラーT(NKT)細胞によって生産された少なくとも1つのサイトカイン/ケモカイン、またはその細胞表面で発現されるタンパク質であってもよい。
【0062】
一部の実施態様において、本発明の開示の腫瘍溶解性ウイルスは、STAT転写因子のための1つまたはそれより多くの結合部位を含む。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、STAT1のための1つまたはそれより多くの結合部位を含む。本明細書に記載されるICOSTAT OncAdは、STAT1のための8つの結合部位を有し、STAT1は、IFNγによって上方調節されることが公知である。特定の実施態様において、がん細胞に対する宿主の免疫応答がインサイチュで腫瘍溶解性ウイルスの複製を促進すると予想されるため、ICOSTATは、がんにとって特に有効な処置である。
【0063】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、STAT1のための1つより多くの結合部位、例えばSTAT1のための少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の結合部位を含む。一部の実施態様において、STAT1のための結合部位は、配列TTCCGGGAA(配列番号53)、またはTTCTCGGAA(配列番号54)を含んでいてもよいし、またはそれからなるもしくはそれから本質的になっていてもよい。一部の実施態様において、本発明の開示の腫瘍溶解性ウイルスは、配列TTCCGGGAA(配列番号53)またはTTCTCGGAA(配列番号54)の1つまたはそれより多くのコピーを含む。
【0064】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号51またはコドン縮重の結果としての等価な配列に少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0065】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号55またはコドン縮重の結果としての等価な配列に少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0066】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号55に示される核酸を含むか、それからなるまたはそれから本質的になる腫瘍溶解性ウイルスによってコードされたタンパク質と同じタンパク質をコードする。一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、配列番号51に示される核酸を含むか、それからなるまたはそれから本質的になる腫瘍溶解性ウイルスによってコードされたタンパク質と同じタンパク質をコードする。
【0067】
免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス
本発明の開示は、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスを採用する。ウイルスは、免疫調節因子を送達するためのベクターとして作用する。特定の実施態様において、ウイルスは、1つより多くの免疫調節因子をコードする核酸を含む。
【0068】
細胞(例えば初代ヒト免疫細胞)に免疫調節因子をコードする核酸を導入することが可能なあらゆるウイルスを使用することができる。好適なウイルスとしては、ガンマレトロウイルス(例えばマウス白血病ウイルス(MLV)由来ベクター)、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ワクシニアウイルスおよびヘルペスウイルス、例えば、両方ともその全体が参照により組み入れられるMausら、Annu Rev Immunol(2014)32:189〜225またはMorganおよびBoyerinas、Biomedicines 2016年4月9日に記載されたようなものが挙げられる。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、アデノウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、またはヘルペスウイルスであるかまたはそれに由来する。
【0069】
一部の実施態様において、少なくとも1つの免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、少なくとも1つの免疫調節因子をコードする核酸を含む腫瘍溶解性ウイルスである。
【0070】
本発明の開示に係る免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスによってコードされた免疫調節因子は、好ましくは、対象におけるがんに対する免疫応答、特定には細胞媒介免疫応答が容易になるように選択される。一実施態様において、免疫調節因子は、エフェクター免疫細胞(例えばCTL、T
H1細胞、NK細胞またはNKT細胞)の活性化、補充、増殖、活性および/または生存にとって好都合な条件を提供する。
【0071】
一部の実施態様において、免疫調節因子は、エフェクター免疫応答のアゴニスト、例えば、エフェクター免疫細胞の活性化、補充、増殖、活性および/または生存を促進するサイトカインもしくはケモカイン(例えばIL−2、IL−7、IL−17、IL−12、IL−21、IL−15、MIP−1αまたはRANTES)、共刺激受容体のためのアゴニスト抗体(例えば4−1BB、OX40、CD28、CD27、ICOS、CD30またはGITR)、または共刺激受容体のためのリガンド(例えば4−1BBL、OX40L、CD80、CD86、CD70、ICOSL、CD30LまたはGITRL)であってもよい。一部の実施態様において、エフェクター免疫応答のアゴニストは、免疫チェックポイント阻害剤のアンタゴニスト、または免疫チェックポイント阻害剤のアンタゴニストリガンド、例えばPD−L1、PD−L2、PD−1、CTLA−4、LAG−3、TIM−3、Gal−9、TIGIT、VISTAもしくはBTLAに対するアンタゴニスト抗体、またはエフェクター免疫応答のアンタゴニストであるサイトカイン/ケモカインのアンタゴニスト、例えばTGFβ(すなわちアンタゴニスト抗TGFβ抗体または可溶性/デコイTGFβ受容体)であってもよい。一部の実施態様において、エフェクター免疫応答のアゴニストは、T細胞およびNK細胞などのバイスタンダーエフェクター免疫細胞と結合してそれを利用する分子であってもよい。
【0072】
一部の実施態様において、免疫調節因子は、免疫調節応答のアンタゴニスト、例えば、免疫調節性細胞、例えば調節性T細胞(Treg)および/または骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)、例えばCCL9、CXCL10、CCL20、CCL22の活性化、補充、増殖、活性および/または生存を促進するサイトカイン/ケモカインのアンタゴニストであってもよい。
【0073】
一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、加えて、さらなる機能的な配列をコードする核酸を含んでいてもよい。例えば、ウイルスは、感染細胞の成長/増殖/生存を低下させるためのタンパク質、または感染細胞を所与の薬剤での処置に対して感受性にするためのタンパク質、または免疫細胞浸潤を容易にするために腫瘍構造を崩壊させるためのタンパク質(例えば腫瘍マトリックスを消化するための酵素)をコードする核酸を含んでいてもよい。
【0074】
一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、加えて、非毒性因子の細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素をコードする核酸を含む。酵素は、非毒性のプロドラッグの、その活性な細胞傷害性の形態への変換を触媒することができる。
【0075】
酵素/プロドラッグ系は当業界において周知であり、その例としては、その全体が参照により組み入れられるMalekshahら、Curr Pharmacol Rep.(2016)2(6):299〜308に記載されるものが挙げられる。非毒性のプロドラッグ、その活性な細胞傷害性の形態、および非毒性のプロドラッグのその活性な細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素の例は、Malekshahらの
図2に示される。
【0076】
一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、加えて、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ニトロレダクターゼ、シトクロムP450、カルボキシペプチダーゼG2、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼおよび/またはカルボキシルエステラーゼをコードする核酸を含む。
【0077】
例えば、ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をガンシクロビル(GCV)、アシクロビル(ACV)および/またはバラシクロビルでの処置に対して感受性にするために、チミジンキナーゼをコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞を、シトシンデアミナーゼによって5−フルオロウラシル(5−FU)に変換される5−フルオロシトシン(5−FC)での処置に対して感受性にするために、シトシンデアミナーゼをコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をCB1954、ニトロ−CBI−DEIおよび/またはPR−104Aでの処置に対して感受性にするために、ニトロレダクターゼをコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をオキサアザホスホリン(例えばシクロホスファミドまたはイフォスファミド)での処置に対して感受性にするために、シトクロムP450をコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をナイトロジェンマスタードベースの薬物(例えばCMDAまたはZD2767P)での処置に対して感受性にするために、カルボキシペプチダーゼG2をコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞を6−メチルプリン2−デオキシリボシドおよび/またはフルダラビン(例えば6−メチルプリン−2’−デオキシリボシド(MeP−dR)、2−F−2’−デオキシアデノシン(F−dAdo)またはアラビノフラノシル−2−F−アデニンモノホスフェート(F−araAMP)での処置に対して感受性にするために、プリンヌクレオシドホスホリラーゼをコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をインドール−3−酢酸(IAA)での処置に対して感受性にするために、ホースラディッシュペルオキシダーゼをコードする核酸を含んでいてもよい。ウイルスは、ウイルスを発現する細胞をイリノテカンでの処置に対して感受性にするために、カルボキシルエステラーゼをコードする核酸を含んでいてもよい。
【0078】
一部の実施態様において、ウイルスは、増殖因子のアンタゴニストをコードする核酸を含んでいてもよい。
一部の実施態様において、ウイルスは、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)であってもよい。HDAdは、例えば、その全体が参照により組み入れられるRosewellら、J Genet Syndr Gene Ther(2011)Suppl 5:001で総論されている。
【0079】
HDAdはウイルスタンパク質のコード配列を欠いているため、目的のコード配列を形質導入するための大きいキャパシティー(最大37Kb)を有する。HDAdは非統合型であり、細胞周期とは独立して多種多様の細胞型を効率的に形質導入することができ、慢性的な毒性を生じることなく長期の導入遺伝子発現を媒介する。
【0080】
HDAdは、ゲノム複製(逆方向末端反復(ITR))およびキャプシド化(ψ)に必要なシス作用性ウイルスエレメントのみを含み、したがって伝播に関してヘルパーウイルス依存性である。細胞がヘルパーウイルスとHDAdの両方に感染すると、ヘルパーウイルス複製機構がトランスで作用して、HDAdを複製してパッケージングする。
【0081】
本発明の開示の特定の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、OncAdであり、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、HDAdであり、OncAdおよびHDAdは、がんの細胞中で同時感染して複製することができる。
【0082】
HDAdのOncAdの補助への依存は、免疫調節因子の高度に局在化した発現を提供する。すなわち、HDAdは、OncAdで同時感染した細胞中でのみ増殖でき、これはOncAdががん細胞における複製に選択的であることを意味することから、HDAdによってコードされた因子の発現はがん細胞/組織に限定され、副作用が最小化される。
【0083】
さらに、OncAdおよびHDAdは腫瘍細胞を効率的に標的化し感染することから、それらの細胞における免疫調節因子の発現は、通常免疫抑制性の腫瘍微環境を変化させて、エフェクター免疫細胞の活性化、補充(すなわち腫瘍の浸入/浸潤)、増殖、活性および/または生存を促進する条件を提供することができる。
【0084】
特定には、処置の方法がCAR−T細胞の使用を採用する本発明の開示の状況で、HDAdによってコードされた免疫調節因子の発現は、CAR−T細胞の活性化、補充、増殖、活性および/または生存の強化をもたらす。
【0085】
本明細書に記載の特定の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、IL−12p70、HSV−1チミジンキナーゼおよびアンタゴニスト抗PD−L1ミニボディをコードする核酸を含むHDAdである。
【0086】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、IL−12をコードする。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、配列番号35に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸を含む。
【0087】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、PD−1/PD−L1シグナル伝達のアンタゴニストをコードする。一部の実施態様において、PD−1/PD−L1シグナル伝達のアンタゴニストは、抗PD−L1抗体である。
【0088】
一部の実施態様において、抗PD−L1抗体は、
LC−CRD1:配列番号39;
LC−CRD2:配列番号40;
LC−CRD3:配列番号41を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号42;
HC−CRD2:配列番号43;
HC−CRD3:配列番号44を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0089】
一部の実施態様において、抗PD−L1抗体は、配列番号45に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号46に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVHを含む。
【0090】
一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、配列番号38に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸を含む。
【0091】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、チミジンキナーゼをコードするアミノ酸配列を含む。一部の実施態様において、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、配列番号36に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする核酸を含む。
【0092】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、配列番号50またはコドン縮重の結果としての等価な配列に少なくとも60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0093】
キメラ抗原受容体(CAR)およびCAR発現細胞
本発明の開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を採用する。
キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原と結合する機能と免疫細胞を活性化する機能の両方を提供する組換え受容体である。CARの構造と操作は、例えば、その全体が参照により組み入れられるDottiら、Immunol Rev(2014)257(1)で総論されている。CARは、細胞膜アンカー領域に連結された抗原結合領域およびシグナル伝達領域を含む。任意選択のヒンジ領域によって抗原結合領域と細胞膜アンカー領域との間が分離されている場合もあり、このようなヒンジ領域はフレキシブルなリンカーとして作用し得る。
【0094】
CARの抗原結合領域は、CARが標的化される抗原、または標的に結合することが可能な他の薬剤に特異的な抗体の抗原結合領域をベースとしていてもよい。例えば、CARの抗原−結合ドメインは、相補性決定領域(CDR)に関するアミノ酸配列、または標的タンパク質に特異的に結合する抗体の全軽鎖および重鎖可変領域アミノ酸配列を含んでいてもよい。CARの抗原−結合ドメインは、他のタンパク質:タンパク質相互作用、例えばリガンド:受容体結合をベースとした標的抗原であってもよく、例えば、IL−13Rα2標的化CARが、IL−13をベースとした抗原−結合ドメインを使用して開発されている(例えばKahlonら、2004 Cancer Res 64(24):9160〜9166を参照)。
【0095】
本発明の開示のCARは、がん細胞抗原に特異的な抗原結合領域を含む。CARの抗原結合領域は、あらゆる好適な様式で、例えばscFv、Fabなどとして提供されてもよい。一部の実施態様において、CARの抗原結合領域は、がん細胞抗原結合scFvを含むかまたはそれからなる。
【0096】
がん細胞抗原は、がん細胞によって発現される抗原である。がん細胞抗原は、あらゆるペプチド/ポリペプチド、糖タンパク質、リポタンパク質、グリカン、グリコリピド、脂質、またはそれらのフラグメントであってもよい。がん細胞抗原の発現は、がんに関連する可能性がある。がん細胞抗原は、がん細胞によって異常に発現されることもあり(例えばがん細胞抗原は、異常な局在化を伴い発現されることがある)、またはがん細胞によって異常な構造で発現されることもある。がん細胞抗原は、免疫応答を惹起することが可能な場合もある。
【0097】
一部の実施態様において、抗原は、がん細胞の細胞表面で発現される(すなわちがん細胞抗原は、がん細胞表面抗原である)。一部の実施態様において、本発明の開示の二重特異性の抗原結合ポリペプチドと結合する抗原の一部は、がん細胞の外部表面上に提示される(すなわち細胞外である)。一部の実施態様において、抗原は、例えば膜貫通ドメインまたは他の膜アンカー(例えば脂質アンカー、例えばGPIアンカー)を介して細胞膜に固定される。一部の実施態様において、がん細胞抗原は、がん細胞の細胞表面で発現されるが(すなわち細胞膜中または細胞膜で発現される)、細胞の内部で発現される場合もある(すなわち同等の非がん性細胞の内部で発現される)。
【0098】
がん細胞抗原は、がん関連抗原であってもよい。一部の実施態様において、がん細胞抗原は、その発現が、がんの発症、進行および/または症状の重症度に関連する抗原である。がん関連抗原は、がんの原因または病理に関連する場合もあるし、またはがんの結果として異常に発現される場合もある。一部の実施態様において、抗原は、その発現が、例えば同等の非がん性細胞(例えば同じ組織/細胞型由来の非がん性細胞)による発現レベルと比較して、がんの細胞によって上方調節される(例えばRNAおよび/またはタンパク質レベルで)抗原である。
【0099】
一部の実施態様において、がん関連抗原は、がん細胞によって優先的に発現され、同等の非がん性細胞(例えば同じ組織/細胞型由来の非がん性細胞)によって発現されないものでもよい。一部の実施態様において、がん関連抗原は、突然変異した腫瘍遺伝子または突然変異した腫瘍抑制遺伝子の生成物であってもよい。一部の実施態様において、がん関連抗原は、過剰発現させた細胞タンパク質の生成物、腫瘍ウイルスによって生産されたがん抗原、腫瘍胎児性抗原、または細胞表面グリコリピドもしくは糖タンパク質であってもよい。
【0100】
がん細胞抗原は、Zarour HM、DeLeo A、Finn OJら、Categories of Tumor Antigens. In:Kufe DW、Pollock RE、Weichselbaum RRら編、Holland-Frei Cancer Medicine.第6版、Hamilton (ON):BC Decker; 2003によって総論されている。がん細胞抗原としては、腫瘍胎児性抗原:CEA、未成熟ラミニン受容体、TAG−72;腫瘍ウイルス抗原、例えばHPVE6およびE7;過剰発現したタンパク質:BING−4、カルシウム活性化塩素チャネル2、サイクリン−B1、9D7、Ep−CAM、EphA3、HER2/neu、テロメラーゼ、メソテリン、SAP−1、サバイビン(surviving);がん精巣抗原:BAGE、CAGE、GAGE、MAGE、SAGE、XAGE、CT9、CT10、NY−ESO−1、PRAME、SSX−2;系統制御抗原:MART1、Gp100、チロシナーゼ、TRP−1/2、MC1R、前立腺特異的抗原;突然変異した抗原:β−カテニン、BRCA1/2、CDK4、CML66、フィブロネクチン、MART−2、p53、Ras、TGF−βRII;翻訳後修飾によって変更された抗原:MUC1、イディオタイプ抗原:Ig、TCRが挙げられる。他のがん細胞抗原としては、熱ショックタンパク質70(HSP70)、熱ショックタンパク質90(HSP90)、グルコース制御タンパク質78(GRP78)、ビメンチン、ヌクレオリン、胎児関連膵臓タンパク質(FAPP)、アルカリホスファターゼ胎盤様2(ALPPL−2)、シグレック−5、ストレス誘導性リンタンパク質1(STIP1)、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、およびシクロフィリンBが挙げられる。
【0101】
一部の実施態様において、がん細胞抗原は、HER2である。一部の実施態様において、本発明の開示のCARは、HER2への特異的な結合が可能な抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、HER2への特異的な結合が可能な抗体のCDRを含む抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、HER2への特異的な結合が可能な抗体のVLおよびVH領域を含む抗原結合ドメインを含む。
【0102】
特定の実施態様において、CAR発現細胞は、それぞれ異なるがん細胞抗原を標的化する2つの別個のCARを含み、特定の形態において、CARの少なくとも一方が、HER2を標的とする。一部の場合において、CARは、2種の異なるがん細胞抗原に対して二重特異性であり、2種の異なるがん細胞抗原のうち1種はHER2であってもよい。
【0103】
一部の実施態様において、CARは、
LC−CRD1:配列番号10、配列番号18、配列番号26または配列番号57;
LC−CRD2:配列番号11、配列番号19、配列番号27または配列番号58;
LC−CRD3:配列番号12、配列番号20、配列番号28または配列番号59を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号13、配列番号21、配列番号29または配列番号60;
HC−CRD2:配列番号14、配列番号22、配列番号30または配列番号61;
HC−CRD3:配列番号15、配列番号23、配列番号31または配列番号62を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0104】
一部の実施態様において、CARは、
LC−CRD1:配列番号10;
LC−CRD2:配列番号11;
LC−CRD3:配列番号12を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号13;
HC−CRD2:配列番号14;
HC−CRD3:配列番号15を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0105】
一部の実施態様において、CARは、
LC−CRD1:配列番号18;
LC−CRD2:配列番号19;
LC−CRD3:配列番号20を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号21;
HC−CRD2:配列番号22;
HC−CRD3:配列番号23を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0106】
一部の実施態様において、CARは、
LC−CRD1:配列番号26;
LC−CRD2:配列番号27;
LC−CRD3:配列番号28を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号29;
HC−CRD2:配列番号30;
HC−CRD3:配列番号31を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0107】
一部の実施態様において、CARは、を含むVLドメイン:
LC−CRD1:配列番号57;
LC−CRD2:配列番号58;
LC−CRD3:配列番号59を含むVLドメイン;
および
HC−CRD1:配列番号60;
HC−CRD2:配列番号61;
HC−CRD3:配列番号62を含むVHドメイン
を含む抗原結合ドメインを含む。
【0108】
一部の実施態様において、CARは、配列番号16、24、32または63に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる軽鎖可変領域(VL)を含む抗原結合ドメインを含む。
【0109】
一部の実施態様において、CARは、配列番号17、25、33または64に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる重鎖可変領域(VH)を含む抗原結合ドメインを含む。
【0110】
一部の実施態様において、CARは、配列番号16に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号17に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVHを含む抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、配列番号24に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号25に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVHを含む抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、配列番号32に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVL、および配列番号33に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるVHを含む抗原結合ドメインを含む。一部の実施態様において、CARは、配列番号63に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それからなるまたはそれから本質的になるVL、および配列番号64に少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、それからなるまたはそれから本質的になるVHを含む抗原結合ドメインを含む。
【0111】
一部の実施態様において、本発明の開示のCARは、本発明の開示に係る抗体/抗原結合フラグメントを含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる抗原結合領域を含む。
【0112】
細胞膜アンカー領域は、CARの抗原結合領域とシグナル伝達領域との間に提供される。細胞膜アンカー領域は、CARを、細胞外空間中の抗原結合領域と細胞内部のシグナル伝達領域で、CAR発現細胞の細胞膜に固定するために提供される。好適な膜貫通ドメインとしては、CD28、CD3−ζ、CD4またはCD8由来の膜貫通領域が挙げられる。
【0113】
一部の実施態様において、細胞膜アンカー領域は、配列番号4に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0114】
CARのシグナル伝達領域は、T細胞の活性化を可能にする。CARシグナル伝達領域は、CD3−ζの細胞内ドメインのアミノ酸配列を含んでいてもよく、これは、CARを発現するT細胞のリン酸化および活性化のための免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を提供する。また他のITAM含有タンパク質の配列を含むシグナル伝達領域も、CAR、例えばFcγRIのITAM含有領域を含むドメインで採用されている(Haynesら、2001 J Immunol 166(1):182〜187)。CD3−ζの細胞内ドメイン由来のシグナル伝達領域を含むCARは、第1世代CARと称されることが多い。
【0115】
一部の実施態様において、細胞膜アンカー領域は、配列番号6に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0116】
またCARのシグナル伝達領域は、標的タンパク質に結合したときのCARを発現するT細胞の活性化を容易にするために、共刺激分子のシグナル伝達領域由来の共刺激配列を含んでいてもよい。好適な共刺激分子としては、少なくともCD28、OX40、4−1BB、ICOSおよびCD27が挙げられる。追加の共刺激配列を含むシグナル伝達領域を有するCARは、第2世代CARと称されることが多い。
【0117】
一部の場合において、CARは、異なる細胞内シグナル伝達経路の共刺激がもたらされるように操作される。例えば、CD28共刺激に関連するシグナル伝達は、優先的にホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(P13K)経路を活性化し、それに対して4−1BB媒介シグナル伝達は、TNF受容体関連因子(TRAF)アダプタータンパク質を介する。それゆえにCARのシグナル伝達領域は時に、1種より多くの共刺激分子のシグナル伝達領域由来の共刺激配列を含有する。複数の共刺激配列と共にシグナル伝達領域を含むCARは、第3世代CARと称されることが多い。
【0118】
一部の実施態様において、本発明の開示のCARは、CD28、OX40、4−1BB、ICOSおよびCD27のうち1つまたはそれより多くの細胞内ドメインのアミノ酸配列を含むか、それからなるもしくはそれから本質的になるか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる1つまたはそれより多くの共刺激配列を含む。
【0119】
一部の実施態様において、細胞膜アンカー領域は、配列番号5に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0120】
任意選択のヒンジ領域は、抗原−結合ドメインと膜貫通ドメインとの間に分離をもたらすことができ、フレキシブルなリンカーとして作用することができる。ヒンジ領域は、結合部分を異なる方向に向けることができるフレキシブルなドメインであってもよい。ヒンジ領域は、IgG1由来であってもよいし、または免疫グロブリンのCH
2CH
3領域由来であってもよい。一部の実施態様において、本発明の開示のCARは、IgG1のヒンジ領域または免疫グロブリンのCH
2CH
3領域のアミノ酸配列を含むか、それからなるもしくはそれから本質的になるか、またはそれに由来するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になるヒンジ領域を含む。
【0121】
一部の実施態様において、細胞膜アンカー領域は、配列番号9に少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0122】
一部の実施態様において、CARは、配列番号1、2、3または56に少なくとも70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなるもしくはそれから本質的になる。
【0123】
本発明の開示はまた、本発明の開示に係るCARを含むかまたはそれを発現する細胞も提供する。本開示に係るCARをコードする核酸を含むかまたはそれを発現する細胞も提供される。T細胞へのCARの操作は、培養中、インビトロで、形質導入および拡大のために実行することができ、例えば、養子T細胞療法のためのT細胞の拡大中に実行することができる。CARを発現するように免疫細胞を操作するための方法は当業者公知であり、例えば、その全体が参照により組み入れられるWangおよびRiviere Mol Ther Oncolytics(2016)3:16015に記載される。「少なくとも1つの細胞」は、複数の細胞を包含し、例えばこのような細胞の集団を包含することが理解されるものとする。
【0124】
本発明の開示に係るCARを含むかまたはそれを発現する細胞は、真核細胞、例えば哺乳類細胞であってもよい。哺乳動物は、ヒト、またはヒト以外の哺乳動物(例えばウサギ、モルモット、ラット、マウスまたは他のげっ歯類(げっ歯目のあらゆる動物を含む)、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ(畜牛、例えば乳牛、またはウシ属のあらゆる動物を含む)、ウマ(ウマ科のあらゆる動物を含む)、ロバ、および非ヒト霊長類)であってもよい。
【0125】
一部の実施態様において、細胞は、ヒト対象由来であってもよいし、またはヒト対象から得られたものでもよい。CAR発現細胞が対象の処置に使用される場合、細胞は、CAR発現細胞で処置しようとする対象由来であってもよいし(すなわち細胞は自己であってもよい)、または細胞は、異なる対象由来であってもよい(すなわち細胞は異種であってもよい)。
【0126】
細胞は、免疫細胞であってもよい。細胞は、造血細胞起源の細胞、例えば好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球、または単球であってもよい。リンパ球は、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞もしくは自然リンパ球系細胞(ILC)、またはそれらの前駆体であってもよい。細胞は、例えばCD3ポリペプチド(例えばCD3γ、CD3ε、CD3ζ、またはCD3δ)、TCRポリペプチド(TCRαまたはTCRβ)、CD27、CD28、CD4またはCD8を発現していてもよい。
【0127】
一部の実施態様において、細胞は、T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+、CD8+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、細胞傷害性T細胞(例えば細胞傷害性Tリンパ球(CTL))である。
【0128】
CAR T細胞の使用は、CAR T細胞は全身投与でき、原発主要と転移した腫瘍の両方に存在するようになるという利点に関連する(Manzoら、Human Molecular Genetics(2015)R67〜73)。
【0129】
一部の実施態様において、細胞は、抗原特異的T細胞である。本明細書に記載の実施態様において、「抗原特異的」T細胞は、T細胞が特異的な抗原、または前記抗原を発現する細胞に応答してT細胞の特定の機能特性を呈示する細胞である。一部の実施態様において、特性は、エフェクターT細胞、例えば細胞傷害性T細胞に関連する機能特性である。
【0130】
一部の実施態様において、抗原特異的T細胞は、以下の特性:細胞傷害性、例えばT細胞が特異的な抗原を含む/抗原を発現する細胞に対する細胞傷害性;例えばT細胞が特異的な抗原またはT細胞が特異的な抗原を含む/発現する細胞に応答する、増殖、IFNγ発現、CD107a発現、IL−2発現、TNFα発現、パーフォリン発現、グランザイム発現、グラニュライシン発現、および/またはFASリガンド(FASL)発現1つまたはそれより多くを示すものでもよい。抗原特異的T細胞は、適切なMHC分子によって提示されると、細胞が特異的な抗原のペプチドを認識することが可能なTCRを含む。抗原特異的T細胞は、CD4+T細胞および/またはCD8+T細胞であってもよい。
【0131】
一部の実施態様において、T細胞が特異的な抗原は、ウイルス、例えばアデノウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、B型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、または単純疱疹ウイルス(HSV)のペプチドまたはポリペプチドであってもよい。
【0132】
ウイルスの抗原に特異的なT細胞は、ウイルス特異的T細胞(VST)と本明細書で言及される場合がある。VSTは、CD4+T細胞(例えばT
H細胞)および/またはCD8+T細胞(例えばCTL)であってもよい。特定のウイルスの抗原に特異的なT細胞は、関連ウイルスに特異的であると記載される場合があり、例えば、アデノウイルスの抗原に特異的なT細胞は、アデノウイルス特異的T細胞、または「AdVST」と称する場合もある。CAR−T細胞生成のためのウイルス特異的T細胞の使用は、ナイーブT細胞は、輸注後に限定的な長期持久性しか有さない場合があるが、メモリー区画由来のウイルス特異的T細胞(VST)、および遺伝子操作されたVSTは、幹細胞移植受容者において、輸注後に10年にわたり持続することが示されたという利点に関連する(Cruzら、Cytotherapy(2010)12:743〜749)。例えば、GD2.CARを発現するVSTは、低い腫瘍負荷量の患者において、輸注後に長期間持続し、完全な腫瘍応答をもたらすことが示されている(Sunら、Journal for Immunotherapy of Cancer(2015)3:5およびPuleら、Nature Medicine(2008)14:1264〜1270)。
【0133】
一部の実施態様において、CARを含む/発現する細胞は、ウイルス特異的T細胞(VST、例えばウイルス特異的CD4+T細胞(例えばT
H細胞)および/またはウイルス特異的CD8+T細胞(例えばCTL)である。一部の実施態様において、CAR発現細胞は、アデノウイルス特異的T細胞(AdVST)、サイトメガロウイルス特異的T細胞(CMVST)、エプスタイン−バーウイルス特異的T細胞(EBVST)、インフルエンザウイルス特異的T細胞、麻疹ウイルス特異的T細胞、B型肝炎ウイルス特異的T細胞(HBVST)、C型肝炎ウイルス特異的T細胞(HCVST)、ヒト免疫不全ウイルス特異的T細胞(HIVST)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス特異的T細胞(LCMVST)、単純疱疹ウイルス特異的T細胞(HSVST)またはヒトパピローマウイルス(HPVST)である。
【0134】
一部の実施態様において、CARを含む/発現する細胞は、腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞(例えば腫瘍溶解性ウイルス特異的T細胞)であり、例えば本明細書に記載されるようなものである。
【0135】
本開示のあらゆる細胞は、細胞の単離された集団中に含まれていてもよく、この集団は、均一であってもよいし、またはそうでなくてもよい。具体的な実施態様において、細胞集団は、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞である細胞および/またはCAR発現細胞の大部分を有する。細胞集団中の細胞は、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、ならびに/またはOncAd、HDAd、および/もしくはCARの1つまたはそれより多くをコードする1つまたは複数の核酸を含んでいてもよい。特定の実施態様において、細胞集団は、少なくとも70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%の、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)、キメラ抗原受容体(CAR)、ならびに/またはOncAd、HDAd、および/もしくはCARの1つまたはそれより多くをコードする1つまたは複数の核酸を含む細胞を有する。
【0136】
腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞
本発明の開示の形態は、腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞(本明細書では、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞とも称される)を提供する。腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、腫瘍溶解性ウイルスの抗原のペプチドを認識することが可能な受容体を発現する/含む(例えばMHC分子によって提示される場合)。免疫細胞は、このような抗原受容体をコードする内因性の核酸の発現の結果として、またはこのような受容体を発現するように操作された結果として、このような受容体を発現する/含むことができる。
【0137】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、造血細胞起源の細胞、例えば好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球、または単球であってもよい。リンパ球は、例えば、T細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞または自然リンパ球系細胞(ILC)、またはそれらの前駆体であってもよい。細胞は、例えばCD3ポリペプチド(例えばCD3γ、CD3ε、CD3ζ、またはCD3δ)、TCRポリペプチド(TCRαまたはTCRβ)、CD27、CD28、CD4またはCD8を発現していてもよい。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、T細胞、例えばCD3+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+、CD4+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+、CD8+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、Tヘルパー細胞(T
H細胞)である。一部の実施態様において、T細胞は、細胞傷害性T細胞(例えば細胞傷害性Tリンパ球(CTL))である。
【0138】
腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞(例えば腫瘍溶解性ウイルス特異的T細胞)は、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスに特異的であってもよい。すなわち腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスの1つまたはそれより多くの抗原に特異的であってもよい。
【0139】
目的の抗原および/または目的のウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成/拡大するための方法は当業界において周知であり、例えば、その全体が参照により組み入れられるWangおよびRiviere Cancer Gene Ther.(2015)22(2):85〜94に記載されている。
【0140】
このような方法は、免疫細胞(例えば末梢血単核細胞(PBMC)、末梢血リンパ球(PBL)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL))のヘテロジニアスな集団を、目的の抗原の1つまたはそれより多くのペプチド、またはそのような抗原/ペプチドを含む/発現する細胞と接触させることを含んでいてもよい。抗原/ペプチドを含む/発現する細胞は、抗原を含む/コードするウイルスでの感染、細胞によるその抗原/ペプチドの取り込み、またはその抗原/ペプチドの発現の結果として上記接触を行ってもよい。提示は、抗原提示細胞の細胞表面におけるMHC分子の環境下にある。
【0141】
抗原/ペプチドを含む/を発現する細胞は、当業者に周知の方法に従って抗原のペプチドと接触させたものでもよい(抗原のペプチドで「パルス」したものでもよい)。抗原性ペプチドは、ペプチド混合物のライブラリー(1つまたはそれより多くの抗原に対応する)の形態で提供されてもよく、これは、ペプミックス(pepmix)と称することもできる。ペプミックスのペプチドは、長さが8〜20アミノ酸のオーバーラップするペプチドであってもよいし、関連抗原のアミノ酸配列の全てまたは一部をカバーしていてもよい。
【0142】
ペプチドに特異的な受容体を含む免疫細胞の集団中の細胞は、適切な共刺激シグナルの環境下で、抗原提示細胞(APC)によって提示された抗原のペプチドの認識後、活性化されてもよい(増殖するように刺激されてもよい)。「腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞」は、複数形の細胞を包含し、例えばこのような細胞の集団を包含することが理解されるものとする。このような集団は、インビトロおよび/またはエクスビボで生成/拡大させることができる。
【0143】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞は、腫瘍溶解性アデノウイルス(OncAd)、例えば本明細書に記載されるOncAdに特異的である。一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞は、OncAdの抗原に特異的である。一部の実施態様において、抗原は、OncAdタンパク質、例えば初期遺伝子(例えばE1(例えばE1A、E1B)、E2(例えばE2A、E2B)、E3またはE4)によってコードされたタンパク質、後期遺伝子(例えばL1、L2、L3、L4またはL5)によってコードされたタンパク質、IXによってコードされたタンパク質、またはIVa2によってコードされたタンパク質であるかまたはそれに由来する。一部の実施態様において、抗原は、OncAdのヘキソンおよび/またはペントンであるかまたはそれに由来する。
【0144】
本発明の開示の様々な形態に係る一部の実施態様において、ウイルスに特異的な免疫細胞は、ウイルスのペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)の存在下での培養によって、免疫細胞の集団を刺激することを含む方法によって生成/拡大することができる(またはそれにより生成/拡大されたものでもよい)。
【0145】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞は、ヒトアデノウイルス3ヘキソンに対応するオーバーラップするペプチドの混合物を含むペプミックス、および/またはヒトアデノウイルス5ペントンに対応するオーバーラップするペプチドの混合物を含むペプミックスを採用する方法によって調製される。
【0146】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、CAR、例えば本明細書に記載されるCARを発現する/含む。腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞は、例えば、CARをコードする核酸での腫瘍溶解性ウイルス特異的免疫細胞のトランスフェクション/形質導入によって、CARを発現するように操作されてもよい。
【0147】
本開示の組合せ
本発明の形態は、(i)腫瘍溶解性ウイルス;(ii)免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;および(iii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を含む/採用する組成物および方法を含む。
【0148】
(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を含む/採用する組成物および方法(すなわち必然的に免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスも採用しない)も提供される。
【0149】
(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を含む/採用する組成物および方法も提供される。
本明細書に記載される様々な形態に係る一部の実施態様において、CARを含む/発現する細胞は、採用される腫瘍溶解性ウイルスに特異的である(例えば、腫瘍溶解性ウイルスの抗原に特異的な抗原受容体(例えばTCR)を含む)。すなわち、一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスとCARを含む/発現する細胞の特異性は、適合している。一例として、一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスは、アデノウイルスであり、CARを含む/を発現するCAR発現細胞は、アデノウイルス特異的T細胞である。
【0150】
同様に、本明細書に記載される様々な形態において、腫瘍溶解性ウイルスは、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞(すなわち同じ腫瘍溶解性ウイルス)と組み合わせて採用される。
【0151】
本明細書で言及される「組合せ」は、組合せの成分を含む生成物および組成物(例えば医薬組成物)を包含する。「組合せ」はまた、組合せの成分を採用する治療レジメンも包含する。
【0152】
一部の実施態様において、組合せの成分は、別個の組成物で提供される。一部の実施態様において、1つより多くの組合せの成分は、1つの組成物で提供される。一部の実施態様において、組合せの成分は、1つの組成物で提供される。
【0153】
同様に、一部の実施態様において、組合せの成分は、別々に投与される。一部の実施態様において、組合せの成分は、組合せの別の成分と共に投与される。一部の実施態様において、組合せの成分は、一緒に投与される。
【0154】
例証として、腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスおよびがん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つの細胞を含む組合せの例において、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、一緒に投与されてもよく、がん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つの細胞は、別々に(例えばその後に)投与されてもよい。
【0155】
組合せの成分が一緒に投与される場合、投与は、本明細書の以下で記載されるような同時投与であってもよい。組合せの成分が別々に投与される場合、投与は、本明細書の以下で記載されるような同時投与または逐次投与であってもよい。組合せの成分が別々に投与される場合において、別個の成分の投与は、同じ投与経路を介して投与されてもよいし、またはそうでなくてもよい。
【0156】
機能特性
本発明の開示の薬剤は、1つまたはそれより多くの機能特性への参照によって定義することができる。薬剤は、例えば実験の実施例に記載されたような分析によって、機能特性に関して評価することができる。同様に、本発明の開示の組合せおよび方法は、1つまたはそれより多くの機能特性および/または作用への参照によって定義することができ、例えば実験の実施例に記載されたような分析によって、このような特性/作用に関して評価することができる。
【0157】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスは、以下の機能の1つまたはそれより多くを有していてもよい:
・がん細胞中で複製する、および/またはがん細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・がん細胞中で複製する、および/またはがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して低下した、非がん性細胞中で複製する、および/または非がん性細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・当業界において公知の1つまたはそれより多くの腫瘍溶解性ウイルスの能力と比較して、がん細胞の細胞致死を引き起こす同等のまたは改善された能力;
・ヘルパー依存性アデノウイルス(HDAd)の複製を助ける能力;
・当業界において公知の1つまたはそれより多くの腫瘍溶解性ウイルスの能力と比較して、がん細胞中で複製する同等のまたは改善された能力。
【0158】
一部の実施態様において、本発明の開示に係るがん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む細胞は、以下の機能の1つまたはそれより多くを有していてもよい:
・HER2に結合する能力;
・HER2発現細胞に結合する能力;
・HER2発現細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・HER2発現細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して低下した、HER2を発現しない細胞の細胞致死を引き起こす能力。
【0159】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節物質をコードする核酸を含むウイルスおよびがん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つの細胞の組合せは、以下の機能の1つまたはそれより多くを有していてもよい:
・成分のいずれか1つの単独での使用による、または成分のいずれか2つを組み合わせて使用することによるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して改善された、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・単独で使用される成分によるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して相乗的な(すなわち相加効果を超える)、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力。
【0160】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスとがん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つの細胞との組合せは、以下の機能の1つまたはそれより多くを有していてもよい:
・単独で使用されるいずれかの成分によるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して改善された、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・単独で使用される成分によるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して相乗的な(すなわち相加効果を超える)、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力。
【0161】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスおよび腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の組合せは、以下の機能の1つまたはそれより多くを有していてもよい:
・単独で使用されるいずれかの成分によるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して改善された、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力;
・単独で使用される成分によるがん細胞の細胞致死を引き起こす能力と比較して相乗的な(すなわち相加効果を超える)、がん細胞の細胞致死を引き起こす能力。
【0162】
がん細胞の細胞致死を引き起こす能力の分析は、例えばインビトロで、がん細胞の数/生存率の分析によって評価することができる。がん細胞の細胞致死を引き起こす能力の分析はまた、インビボにおいて、適切なモデルで、例えば、がん細胞の数、腫瘍のサイズ/体積および/またはその他いくつかのがん細胞数との相互関係(例えば疾患の進行、がんの症状の重症度など)の分析によって分析することもできる。
【0163】
治療用途
本発明の開示の形態は、特定には、対象におけるがんの処置における、腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、およびがん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つのT細胞の使用に関する。
【0164】
したがって、本発明の開示は、腫瘍溶解性ウイルス;免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;およびがん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つのT細胞を対象に投与することを含む、がんを処置する方法を提供する。
【0165】
本発明の開示はまた、がんを処置する方法で使用するための、腫瘍溶解性ウイルス;免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;およびがん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つのT細胞も提供する。がんを処置するための医薬品の製造における、腫瘍溶解性ウイルス;免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;およびがん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つのT細胞の使用も提供される。
【0166】
本発明の開示はまた、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を対象に投与することを含む、がんを処置する方法も提供する。がんを処置する方法で使用するための、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞も提供される。がんを処置する方法に使用するための医薬品の製造における、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞の使用も提供される。
【0167】
本発明の開示はまた、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を対象に投与することを含む、がんを処置する方法も提供する。がんを処置する方法で使用するための、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞も提供される。がんを処置する方法に使用するための医薬品の製造における、(i)腫瘍溶解性ウイルス;および(ii)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の使用も提供される。
【0168】
本発明の開示のOncAd、HDAd、CAR、1つまたは複数の核酸、細胞および医薬組成物を対象に投与することを含む、がんを処置するための方法も提供される。がんを処置するための方法で使用するための、本発明の開示のOncAd、HDAd、CAR、1つまたは複数の核酸、細胞および医薬組成物も提供される。がんを処置するための医薬品の製造における、本発明の開示のOncAd、HDAd、CAR、1つまたは複数の核酸、細胞および医薬組成物の使用も提供される。
【0169】
「処置」は、例えば、がんの発達もしくは進行の低減、がんの症状の軽減、またはがんの病理の低減であり得る。がんの処置または軽減は、がんの進行を予防する、例えば状態の悪化を予防する、またはより重度の病状の発達速度を遅くするのに有効な場合がある。一部の実施態様において、処置または軽減は、がんの改善、例えばがんの症状の低減、またはがんの重症度/活性のその他いくつかの相関の低減をもたらすことができる。がんの予防は、状態の悪化の予防またはがんの発達の予防、例えば、早期がんが後期段階に発達することを予防することを指す場合もある。
【0170】
一部の実施態様において、処置は、対象におけるがん細胞の数またはがん細胞を含む組織の量を低下させることを目的としていてもよい。一部の実施態様において、処置は、対象における少なくとも1つの腫瘍のサイズを低下させること、および/またはその成長を予防することを目的としていてもよい。
【0171】
一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスを対象に投与することを含む。一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスを含むかまたはそれをコードする細胞または細胞の集団を対象に投与することを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、腫瘍溶解性ウイルスおよび本発明の開示に係る免疫調節因子をコードするウイルスを対象に投与することを含む。一部の実施態様において、処置は、腫瘍溶解性ウイルスを含むかまたはそれをコードする細胞もしくは細胞の集団、および/または本発明の開示に係る免疫調節因子をコードするウイルスを対象に投与することを含んでいてもよい。
【0172】
一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係るCARを含む/発現するように細胞または細胞の集団を改変することを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、本発明の開示のCARを含む/発現するように改変された細胞または細胞の集団を対象に投与することを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、例えば本発明の開示に係るCAR発現細胞を投与すること、または本発明の開示に係るCAR発現細胞を生成することによって、がん細胞抗原に特異性を有する免疫細胞または免疫細胞の集団を対象に提供することを目的とする。
【0173】
一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞/免疫細胞の集団を対象に投与することを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、腫瘍溶解性ウイルスへの特異性を有する免疫細胞/免疫細胞の集団を対象に提供することを目的とする。一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成/拡大することを含んでいてもよい。
【0174】
一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係るCARを含む/発現するように改変された、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞/免疫細胞の集団を対象に投与することを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、腫瘍溶解性ウイルスへの特異性を有し、さらにがん細胞抗原への特異性も有する免疫細胞/免疫細胞の集団を対象に提供することを目的とする。一部の実施態様において、処置は、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成/拡大すること、および細胞または集団の細胞を、本発明の開示に係るCARを含む/発現するように改変することを含んでいてもよい。
【0175】
処置しようとする対象は、あらゆる動物またはヒトであってもよい。対象は、好ましくは哺乳類であり、より好ましくはヒトである。対象は、ヒト以外の哺乳動物であってもよいが、より好ましくはヒトである。対象は、男性または女性であってもよいし、またはあらゆる性別を有していてもよい。対象は、患者であってもよい。対象は、処置を必要とするがんと診断された対象でもよいし、このようながんを有する疑いがある対象でもよいし、またはこのようながんが発達するリスクがある対象でもよい。
【0176】
一部の実施態様において、処置しようとするがんは、がん細胞抗原、例えば本明細書に記載されるがん細胞抗原(例えばHER2)を発現する細胞を含む。一部の実施態様において、上記細胞は、がん細胞抗原(例えばHER2)を細胞表面で発現する。
【0177】
一部の実施態様において、処置しようとするがんは、CARが特異的ながん細胞抗原を発現する細胞を含む。一部の実施態様において、CARは、がん細胞抗原結合ドメインを含み、処置しようとするがんは、がん細胞抗原を発現する細胞、例えばがん細胞抗原を細胞表面で発現する細胞を含む。
【0178】
一部の実施態様において、がんは、がん細胞抗原を過剰発現する。がん細胞抗原の過剰発現は、等価な非がん性細胞/非腫瘍組織による発現レベルより大きいがん細胞抗原の発現レベルを検出することによって決定することができる。
【0179】
一部の実施態様において、がんは、HER2を発現するがん、例えばHER2を細胞表面で発現するがんである。一部の実施態様において、がんは、HER2を過剰発現する。HER2の過剰発現は、等価な非がん性細胞/非腫瘍組織によるHER2の発現レベルより大きいHER2の発現レベルを検出することによって決定することができる。
【0180】
一部の実施態様において、本発明の開示に係る処置しようとする対象は、対象から得られたがん細胞または腫瘍によるがん細胞抗原の発現/過剰発現の検出に基づく処置のために選択される。
【0181】
所与のがん細胞抗原の発現は、あらゆる好適な手段によって決定することができる。発現は、遺伝子発現であってもよいし、またはタンパク質発現であってもよい。遺伝子発現は、例えばがん細胞抗原をコードするmRNAの検出によって、例えば定量リアルタイムPCR(qRT−PCR)によって決定することができる。タンパク質発現は、例えばがん細胞抗原の検出によって、例えば抗体ベースの方法によって、例えばウェスタンブロット、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、またはELISAによって決定することができる。
【0182】
本発明の開示に従って処置/予防しようとするがんは、あらゆる不要な細胞増殖(または不要な細胞増殖が出現するあらゆる疾患)、新生物または腫瘍であってもよい。がんは、良性でも悪性でもよく、原発性でも続発性(転移性)でもよい。がんは、抵抗性であってもよいし(最初に、または処置後に)、および/または、がんは、再発性であってもよい。新生物または腫瘍は、細胞のあらゆる異常な成長または増殖であってもよく、あらゆる組織に存在する可能性がある。がんは、例えば副腎、副腎髄質、肛門、虫垂、膀胱、血液、骨、骨髄、脳、乳房、盲腸、中枢神経系(脳を含む場合もあれば、含まない場合もある)、小脳、子宮頸、結腸、十二指腸、子宮内膜、上皮細胞(例えば腎臓の上皮)、胆嚢、食道、グリア細胞、心臓、回腸、空腸、腎臓、涙腺、喉頭、肝臓、肺、リンパ液、リンパ節、リンパ芽球、上顎、縦隔、腸間膜、子宮筋層、上咽頭、網、口腔、卵巣、膵臓、耳下腺、末梢神経系、腹膜、胸膜、前立腺、唾液腺、S字結腸、皮膚、小腸、軟部組織、脾臓、胃、精巣、胸腺、甲状腺、舌、口蓋扁桃、気管、子宮、陰門、白血球由来の組織/細胞であってもよい。
【0183】
処置/予防しようとするがんは、あらゆる種類のがんであってもよく、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連のがん(例えばカポジ肉腫、AIDS関連リンパ腫、中枢神経系原発リンパ腫)、肛門がん、虫垂がん、星細胞腫、皮膚の基底細胞癌、胆管がん(例えば胆管細胞癌)、膀胱がん、骨がん(例えばユーイング肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫)、脳腫瘍、乳がん、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、心臓腫瘍、中枢神経系のがん(例えば非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、胚芽腫、胚細胞腫瘍、中枢神経系原発リンパ腫)、子宮頸がん、脊索腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性新生物、結腸直腸がん、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫(例えば菌状息肉腫、セザリー症候群)、非浸潤性乳管癌(DCIS)、子宮内膜がん(子宮がん)、上衣細胞腫、食道がん、鼻腔神経芽細胞腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、眼のがん(例えば眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、卵管がん、骨の悪性線維性組織球腫、胆嚢がん、胃(gastric、stomach)がん、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、卵巣胚細胞腫瘍、睾丸がん、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頸部がん、心腫瘍、肝細胞(肝臓)がん、組織球増殖症、ランゲルハンス細胞、ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、膵島細胞腫瘍(膵内分泌腫瘍)、腎臓(腎細胞)がん、喉頭がん、乳頭腫症、白血病、口唇口腔がん、肺がん(非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC))、リンパ腫、男性乳がん、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移がん、潜在性原発性の転移性頸部扁平上皮がん、NUT遺伝子関与の正中線癌、口のがん、多発性内分泌腺腫症候群、多発性骨髄腫/形質細胞腫、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性新生物、骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、鼻腔および副鼻腔がん、鼻咽頭がん、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔がん、口唇口腔がん、口腔咽頭がん、骨肉腫、卵巣がん、膵臓がん、乳頭腫症、パラガングリオーマ、副鼻腔がん、鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、咽頭がん、クロム親和性細胞腫、下垂体腫瘍、形質細胞腫/多発性骨髄腫、胸膜肺芽腫、妊娠および乳がん、原発性腹膜がん、前立腺がん、直腸がん、再発がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、血管性腫瘍、子宮肉腫、皮膚がん、小腸がん、皮膚の扁平上皮癌、T細胞リンパ腫、咽喉がん、胸腺腫、胸腺癌、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行上皮がん、尿道がん、膣がん、外陰がんまたはウィルムス腫瘍のいずれか1つが挙げられる。
【0184】
一部の実施態様において、処置しようとするがんは、上咽頭癌(NPC;例えばエプスタイン−バーウイルス(EBV)陽性NPC)、子宮頸癌(CC;例えばヒトパピローマウイルス(HPV)陽性CC)、中咽頭癌(OPC;例えばHPV陽性OPC)、胃癌(GC;例えばEBV陽性GC)、肝細胞癌(HCC;例えばB型肝炎ウイルス(HBV)陽性HCC)、肺がん(例えば非小細胞肺がん(NSCLC))、および頭頸部がん(例えば唇、口、鼻、副鼻腔、咽頭または喉頭の組織に由来するがん、例えば頭頸部扁平上皮癌(HNSCC))の1つまたはそれより多くである。
【0185】
一部の実施態様において、がんは、ウイルスと関連するかまたはウイルスによって引き起こされる。一部の実施態様において、がんは、EBV陽性がんである。一部の実施態様において、がんは、HPV陽性がんである。
【0186】
一部の実施態様において、がんは、頭頸部がん、上咽頭癌(NPC)、口腔咽頭がん(OPC)、子宮頸がん(CC)、胃(gastric/stomach)がん、胃癌または肺がんの1つである。
【0187】
薬物療法の方法はまた、自己および/または異種細胞または不死化細胞株を使用するものを含む、インビボの療法、エクスビボの療法、および養子免疫療法を含んでいてもよい。
【0188】
投与
投与は、好ましくは「治療有効量」でなされ、これは、個体にとって利益を示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、処置される疾患の性質および重症度によって決まると予想される。処置の処方、例えば投薬の決定などは一般開業医や他の医師の責務の範囲内であり、典型的には、処置しようとする状態、個々の患者の状態、送達の部位、投与方法および医師に公知の他の要因を考慮に入れる。上述の技術およびプロトコールの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、2000年公開、Lippincott, Williams & Wilkinsに見出すことができる。
【0189】
本発明の開示に係るウイルス、CAR、核酸、および細胞は、臨床用途のための医薬組成物または医薬として製剤化することができ、このような医薬組成物または医薬は、医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントを含んでいてもよい。組成物は、局所、非経口、全身性、腔内、静脈内、動脈内、筋肉内、髄腔内、眼球内、結膜内、腫瘍内、皮下、皮内、髄腔内、経口または経皮経路投与のために製剤化されてもよく、このような投与は、注射または輸注を含み得る。好適な製剤は、滅菌または等張媒体中にウイルス、CAR、核酸、または細胞を含んでいてもよい。医薬および医薬組成物は、流体、例えばゲル形態(フォーム)などに製剤化されてもよい。流体製剤は、ヒトまたは動物の体の選択される領域への注射または輸注(例えばカテーテルを介した)による投与のために製剤化されてもよい。
【0190】
腫瘍溶解性ウイルスおよび/または免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、腫瘍内投与のために製剤化されてもよい。一部の実施態様において、本方法は、腫瘍溶解性ウイルスおよび/または免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスの腫瘍内投与を含んでいてもよい。
【0191】
CARを含む細胞および/または腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞は、静脈内投与のために製剤化されてもよい。一部の実施態様において、本方法は、CARを含む細胞および/または腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の静脈内投与を含んでいてもよい。
【0192】
本発明の開示の組合せの成分(例えば腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス;がん細胞抗原に特異的なCARを含む少なくとも1つのT細胞;本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞)の投与は、同時であってもよいし、または逐次的であってもよい。本発明の開示はまた、本発明の開示のOncAd、HDAd、CAR、1つまたは複数の核酸、細胞および医薬組成物の同時または逐次投与も予期する。
【0193】
同時投与は、一緒に、例えば薬剤を含有する医薬組成物(すなわち複合製剤)として薬剤を投与すること、または互いの直後に、任意選択で同じ投与経路を介して、例えば同じ動脈、静脈または他の血管に投与することを指す。特定の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスおよび免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスは、複合製剤の形態で同時に投与してもよい。特定の実施態様において、同時投与のとき、2種またはそれより多くの薬剤を、異なる投与経路を介して投与してもよい。一部の実施態様において、同時投与は、同時に、または例えば1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間もしくは48時間以内に投与することを指す。
【0194】
逐次投与は、薬剤の1種またはそれより多くを投与し、それに続き、所与の時間間隔の後、他の薬剤を別々に投与することを指す。2つの薬剤は、必ずしも同じ経路で投与されなくてもよいが、一部の実施態様において、そのような場合もある。時間間隔は、数時間、数日、数週間、数ヶ月、または数年などあらゆる時間間隔であってもよい。一部の実施態様において、逐次投与は、少なくとも10分、30分、1時間、6時間、8時間、12時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、6週間、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月または6ヶ月のいずれかの時間間隔で隔てて投与することを指す。
【0195】
一部の実施態様において、処置は、他の治療または予防の介入、例えば化学療法、免疫療法、放射線療法、外科手術、ワクチン接種および/またはホルモン療法をさらに含んでいてもよい。このような他の治療または予防の介入は、本開示に包含される療法の前、その間および/またはその後に行ってもよく、他の治療または予防の介入の送達は、本開示の療法と異なる投与経路を介して行ってもよい。化学療法および放射線療法はそれぞれ、薬物での、または電離放射線(例えばX線またはγ線)を使用する放射線療法でのがんの処置を指す。薬物は、化学実体、例えば小分子の医薬、抗生物質、DNAインターカレーター、タンパク質阻害剤(例えばキナーゼ阻害剤)、または生物学的物質、例えば抗体、抗体フラグメント、核酸もしくはペプチドアプタマー、核酸(例えばDNA、RNA)、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質であってもよい。薬物は、医薬組成物または医薬として製剤化されてもよい。製剤は、1種またはそれより多くの薬物(例えば1種またはそれより多くの活性薬剤)を、1種またはそれより多くの医薬的に許容される希釈剤、賦形剤または担体と共に含んでいてもよい。
【0196】
化学療法剤は、1つまたはそれより多くの投与経路、例えば非経口、静脈注射、経口、皮下、皮内または腫瘍内経路によって投与されてもよい。
化学療法は、処置計画に従って施すことができる。処置計画は、化学療法投与の予め決定されたタイムテーブル、計画、スキームまたはスケジュールであってもよく、このような計画は、医師または医療技術者が準備してもよく、処置を必要とする患者に適合するように調整してもよい。
【0197】
処置計画は、患者に投与される化学療法のタイプ;各薬物または放射線の用量(線量);投与間の時間間隔;各処置の長さ;処置猶予日があれば、その数および性質などの1つまたはそれより多くを指示するものであり得る。併用療法の場合、どのように各薬物を投与すべきかを指示する単一の処置計画が提供されてもよい。
【0198】
化学療法薬および生物製剤は、アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、イフォスファミド;プリンまたはピリミジン代謝拮抗物質、例えばアザチオプリンまたはメルカプトプリン;アルカロイドおよびテルペノイド、例えばビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン)、ポドフィロトキシン、エトポシド、テニポシド、タキサン、例えばパクリタキセル(Taxol(商標))、ドセタキセル;トポイソメラーゼ阻害剤、例えばI型トポイソメラーゼ阻害剤であるカンプトテシン、イリノテカン、およびトポテカン、またはII型トポイソメラーゼ阻害剤であるアムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド;抗腫瘍抗生物質(例えばアントラサイクリン(anthracyline)抗生物質)、例えばダクチノマイシン、ドキソルビシン(Adriamycin(商標))、エピルビシン、ブレオマイシン、ラパマイシン;抗体ベースの薬剤、例えば抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗TIM−3抗体、抗CTLA−4、抗4−1BB、抗GITR、抗CD27、抗BLTA、抗OX43、抗VEGF、抗TNFα、抗IL−2、抗GpIIb/IIIa、抗CD−52、抗CD20、抗RSV、抗HER2/neu(erbB2)、抗TNF受容体、抗EGFR抗体、モノクローナル抗体または抗体フラグメント、例えば、セツキシマブ、パニツムマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アブシキシマブ、ダクリズマブ、ゲムツズマブ、アレムツズマブ、リツキシマブ(Mabthera(登録商標))、パリビズマブ、トラスツズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、ニモツズマブ;EGFR阻害剤、例えばエルロチニブ、セツキシマブおよびゲフィチニブ;抗血管形成剤、例えばベバシズマブ(Avastin(登録商標));がんワクチン、例えばシプリューセル−T(Provenge(登録商標))から選択することができる。
【0199】
さらなる化学療法薬は、13−cis−レチノイン酸、2−クロロデオキシアデノシン、5−アザシチジン5−フルオロウラシル、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アブラキサン、Accutane(登録商標)、Actinomycin−D Adriamycin(登録商標)、Adrucil(登録商標)、Afinitor(登録商標)、Agrylin(登録商標)、Ala−Cort(登録商標)、アルデスロイキン、アレムツズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、Alkaban−AQ(登録商標)、Alkeran(登録商標)、オールトランスレチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレライド、Anandron(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Aranesp(登録商標)、Aredia(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Aromasin(登録商標)、Arranon(登録商標)、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ATRA Avastin(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベンダムスチン、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、Blenoxane(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、Busulfex(登録商標)、ロイコボリンカルシウム、Campath(登録商標)、Camptosar(登録商標)、カンプトテシン−11、カペシタビン、Carac(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、Casodex(登録商標)、CC−5013、CCI−779、CCNU、CDDP、CeeNU、Cerubidine(登録商標)、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、Cosmegen(登録商標)、CPT−11、シクロホスファミド、Cytadren(登録商標)、Cytarabine Cytosar−U(登録商標)、シトキサン(登録商標)、Dacogen、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダサチニブ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome(登録商標)、デカドロン、デシタビン、Delta−Cortef(登録商標)、Deltasone(登録商標)、デニロイキン、ジフチトクス、DepoCyt(商標)、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、デキサゾン、デクスラゾキサン、DHAD、DIC、ジオデックス(Diodex)、ドセタキセル、Doxil(登録商標)、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、Droxia(商標)、DTIC、DTIC−Dome(登録商標)、Duralone(登録商標)、Eligard(商標)、Ellence(商標)、エロキサチン(商標)、Elspar(登録商標)、Emcyt(登録商標)、エピルビシン、エポエチンアルファ、アービタックス、エルロチニブ、エルウィニアL−アスパラギナーゼ、エストラムスチン、エチオール(Ethyol)、Etopophos(登録商標)、エトポシド、リン酸エトポシド、Eulexin(登録商標)、エベロリムス、Evista(登録商標)、エキセメスタン、Faslodex(登録商標)、Femara(登録商標)、フィルグラスチム、フロクシウリジン、Fludara(登録商標)、フルダラビン、Fluoroplex(登録商標)、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ホリニン酸、FUDR(登録商標)、フルベストラント、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、Gleevec(商標)、Gliadel(登録商標)ウェハー、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、Herceptin(登録商標)、ヘキサドロール、Hexalen(登録商標)、ヘキサメチルメラミン、HMM、Hycamtin(登録商標)、Hydrea(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、ヒドロコルチゾンリン酸エステル、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、Idamycin(登録商標)、イダルビシン、Ifex(登録商標)、IFN−アルファ、イフォスファミド、IL−11、IL−2、メシル酸イマチニブ、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ−2b(PEGコンジュゲート)、インターロイキン−2、インターロイキン−11、Intron A(登録商標)(インターフェロンアルファ−2b)、Iressa(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、イキサベピロン、Ixempra(商標)、キドロラーゼ(Kidrolase)、Lanacort(登録商標)、ラパチニブ、L−アスパラギナーゼ、LCR、レナリドマイド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン、Leukine(商標)、ロイプロリド、ロイロクリスチン、Leustatin(商標)、リポソームAra−C、Liquid Pred(登録商標)、ロムスチン、L−PAM、L−サルコリシン、Lupron(登録商標)、Lupron Depot(登録商標)、Matulane(登録商標)、マキシデックス、メクロレタミン、塩酸メクロレタミン、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、Megace(登録商標)、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、Mesnex(商標)、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メチルプレドニゾロン、Meticorten(登録商標)、マイトマイシン、マイトマイシン−C、ミトキサントロン、M−Prednisol(登録商標)、MTC、MTX、Mustargen(登録商標)、ムスチン、Mutamycin(登録商標)、Myleran(登録商標)、Mylocel(商標)、Mylotarg(登録商標)、Navelbine(登録商標)、ネララビン、Neosar(登録商標)、Neulasta(商標)、Neumega(登録商標)、Neupogen(登録商標)、Nexavar(登録商標)、Nilandron(登録商標)、ニルタミド、Nipent(登録商標)、ナイトロジェンマスタード、Novaldex(登録商標)、Novantrone(登録商標)、オクトレオチド、酢酸オクトレオチド、Oncospar(登録商標)、Oncovin(登録商標)、Ontak(登録商標)、Onxal(商標)、オプレルベキン、Orapred(登録商標)、Orasone(登録商標)、オキサリプラチン、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル、パミドロネート、パニツムマブ、Panretin(登録商標)、Paraplatin(登録商標)、Pediapred(登録商標)、PEGインターフェロン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG−INTRON(商標)、PEG−L−アスパラギナーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード、Platinol(登録商標)、Platinol−AQ(登録商標)、プレドニゾロン、プレドニゾン、Prelone(登録商標)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、Proleukin(登録商標)、Prolifeprospan 20 with Carmustine Implant Purinethol(登録商標)、ラロキシフェン、Revlimid(登録商標)、Rheumatrex(登録商標)、Rituxan(登録商標)、リツキシマブ、Roferon−A(登録商標)(インターフェロンアルファ−2a)、Rubex(登録商標)、塩酸ルビドマイシン、Sandostatin(登録商標)、Sandostatin LAR(登録商標)、サルグラモスチム、Solu−Cortef(登録商標)、Solu−Medrol(登録商標)、ソラフェニブ、SPRYCEL(商標)、STI−571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、Sutent(登録商標)、タモキシフェン、Tarceva(登録商標)、Targretin(登録商標)、Taxol(登録商標)、Taxotere(登録商標)、Temodar(登録商標)、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、TESPA、サリドマイド、Thalomid(登録商標)、TheraCys(登録商標)、チオグアニン、Thioguanine Tabloid(登録商標)、チオホスファミド、Thioplex(登録商標)、チオテパ、TICE(登録商標)、Toposar(登録商標)、トポテカン、トレミフェン、Torisel(登録商標)、トシツモマブ、トラスツズマブ、Treanda(登録商標)、トレチノイン、Trexall(商標)、Trisenox(登録商標)、TSPA、TYKERB(登録商標)、VCR、Vectibix(商標)、Velban(登録商標)、Velcade(登録商標)、Vepesid(登録商標)、Vesanoid(登録商標)、Viadur(商標)、Vidaza(登録商標)、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、Vincasar Pfs(登録商標)、ビンクリスチン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、VLB、VM−26、ボリノスタット、VP−16、Vumon(登録商標)、Xeloda(登録商標)、Zanosar(登録商標)、Zevalin(商標)、Zinecard(登録商標)、Zoladex(登録商標)、ゾレドロン酸、ゾリンザ、Zometa(登録商標)から選択され得る。
【0200】
本発明の開示の実施態様において、非毒性因子の細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素をコードする核酸/ウイルスが採用され、本方法は、酵素のためのプロドラッグ基質と共に投与することをさらに含んでいてもよい。プロドラッグは、非毒性因子の細胞傷害性の形態への変換を触媒することが可能な酵素をコードする核酸/ウイルスの投与と同時に投与してもよいし、または逐次的に投与してもよい。
【0201】
一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがチミジンキナーゼをコードする場合、プロドラッグは、ガンシクロビル(GCV)、アシクロビル(ACV)および/またはバラシクロビルから選択される。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがシトシンデアミナーゼをコードする場合、プロドラッグは、5−フルオロシトシン(5−FC)である。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがニトロレダクターゼをコードする場合、プロドラッグは、CB1954、ニトロ−CBI−DEIおよび/またはPR−104Aから選択される。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがシトクロムP450をコードする場合、プロドラッグは、オキサアザホスホリン(例えばシクロホスファミドまたはイフォスファミド)である。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがカルボキシペプチダーゼG2をコードする場合、プロドラッグは、ナイトロジェンマスタードベースの薬物(例えばCMDAまたはZD2767P)である。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがプリンヌクレオシドホスホリラーゼをコードする場合、プロドラッグは、6−メチルプリン2−デオキシリボシドおよび/またはフルダラビン(例えば6−メチルプリン−2’−デオキシリボシド(MeP−dR)、2−F−2’−デオキシアデノシン(F−dAdo)またはアラビノフラノシル−2−F−アデニンモノホスフェート(F−araAMP)である。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがホースラディッシュペルオキシダーゼをコードする場合、プロドラッグは、インドール−3−酢酸(IAA)である。一部の実施態様において、例えば核酸/ウイルスがカルボキシルエステラーゼをコードする場合、プロドラッグは、イリノテカンである。
【0202】
複数回の用量の本発明の開示の薬剤(例えばウイルス(OncAd、HdAd)、CAR、1つまたは複数の核酸、ベクター、細胞、組成物、組合せ、プロドラッグ)を提供することもできる。用量の1つまたはそれより多くまたは各々は、別の治療剤の同時または逐次投与を伴っていてもよい。
【0203】
複数回の用量は、予め決定された時間間隔で隔てられていてもよく、時間間隔は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくはそれより長い時間、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、もしくは31日、もしくは1、2、3、4、5、もしくは6ヶ月のいずれかであるように選択してもよい。一例として、用量は、7、14、21または28日(プラスまたはマイナス3、2、または1日)ごとに1回与えてもよい。
【0204】
養子移入
本発明の開示の実施態様において、処置の方法は、免疫細胞の養子移入を含む。養子細胞移入(ACT)は、一般的に、典型的には細胞が単離される血液サンプルの採取によって対象から細胞(例えば免疫細胞)を得ることによるプロセスを指す。次いで細胞を、典型的には何らかの方法で処置または改変し、次いで同じ対象(養子移入は、自己細胞移入である)または異なる対象(養子移入は、異種細胞移入である)のいずれかに投与する。この処置の目的は、典型的には、対象に、特定の望ましい特徴を有する細胞の集団を提供すること、またはその対象において、このような特徴を有する細胞の頻度を増加させることを目的とする。本発明の開示において、養子移入は、対象に細胞または細胞の集団を導入する、および/または対象における細胞または細胞の集団の頻度を増加させる目的で実行することができる。
【0205】
一部の実施態様において、細胞が単離される対象は、改変された細胞が投与される対象である(すなわち養子移入は、自己細胞移入である)。一部の実施態様において、細胞が単離される対象は、改変された細胞が投与される対象と異なる対象である(すなわち、養子移入は、異種細胞移入である)。
【0206】
T細胞の養子移入は、例えば、その全体が参照により組み入れられるKalosおよびJune 2013、Immunity 39(1):49〜60に記載されている。NK細胞の養子移入は、例えば、その全体が参照により組み入れられるDavisら、2015、Cancer J. 21(6):486〜491に記載されている。
【0207】
このような細胞は、例えば好中球、好酸球、好塩基球、樹状細胞、リンパ球、または単球であってもよい。リンパ球は、例えばT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞または自然リンパ球系細胞(ILC)、またはそれらの前駆体であってもよい。一部の実施態様において、細胞は、T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+、CD4+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、CD3+、CD8+T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、Tヘルパー細胞(T
H細胞)である。一部の実施態様において、T細胞は、細胞傷害性T細胞(例えば細胞傷害性Tリンパ球(CTL))である。一部の実施態様において、T細胞は、ウイルス特異的T細胞である。一部の実施態様において、T細胞は、EBV、HPV、HBV、HCVまたはsHIVに特異的である。
【0208】
一部の実施態様において、細胞は、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞である。したがって、一部の実施態様において、本方法は、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を対象に投与することを含む。一部の実施態様において、本開示の方法は、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成/拡大すること、および腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を対象に投与することを含む。
【0209】
一部の実施態様において、本方法は、
(a)対象から免疫細胞を単離すること;
(b)腫瘍溶解性ウイルスのペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)の存在下での培養によって免疫細胞を刺激することを含む方法によって、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成または拡大すること、および;
(c)腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を対象に投与すること
を含む。
【0210】
一部の実施態様において、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を生産するための本方法の工程は、対象から血液サンプルを採取すること;血液サンプルからPBMCを単離すること;腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成/拡大すること(例えば、腫瘍溶解性ウイルスの抗原/ペプチドを含む/発現する細胞(例えばAPC)の存在下でPBMCを培養することによって);インビトロまたはエクスビボの細胞培養で腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を培養すること;腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を収集すること;腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞をアジュバント、希釈剤または担体と混合すること;改変された細胞を対象に投与することの1つまたはそれより多くを含んでいてもよい。
【0211】
本発明の開示はまた、がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を投与することを含む、対象におけるがんを処置する方法も提供する。この本開示の特徴と関連して、一部の実施態様において、本方法は、加えて、がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を生産するための工程を含む。CARは、第1世代、第2世代または第3世代CARまたは後続の世代のCARであってもよい。CARは、例えば、1、2、3つ、またはそれより多くの共刺激ドメインを含んでいてもよい。
【0212】
一部の実施態様において、本方法は、本開示に係るCARを発現するかまたは含むように、対象から得られた少なくとも1つの細胞を改変すること、任意選択で、改変された少なくとも1つの細胞を拡大すること、および改変された少なくとも1つの細胞を対象に投与することを含む。
【0213】
一部の実施態様において、本方法は、
(a)対象から少なくとも1つの細胞を単離すること;
(b)本発明の開示に係るCARまたは本発明の開示に係るCARをコードする核酸を発現するかまたは含むように、少なくとも1つの細胞を改変すること、
(c)任意選択で、改変された少なくとも1つの細胞を拡大すること、および;
(d)改変された少なくとも1つの細胞を対象に投与すること
を含む。
【0214】
一部の実施態様において、がん細胞抗原に特異的なCARを含む/発現する細胞は、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞である。一部の実施態様において、本方法は、本開示に係るCARを発現するかまたは含むように、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を改変すること、任意選択で、改変された腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を拡大すること、および改変された腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を対象に投与することを含む。
【0215】
一部の実施態様において、本方法は、
(a)対象から免疫細胞を単離すること;
(b)腫瘍溶解性ウイルスのペプチドを提示する抗原提示細胞(APC)の存在下での培養によって免疫細胞を刺激することを含む方法によって、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞の集団を生成または拡大すること;
(c)本発明の開示に係るCARまたは本発明の開示に係るCARをコードする核酸を発現するかまたは含むように、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を改変すること、
(d)任意選択で、改変された腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を拡大すること、および;
(e)改変された腫瘍溶解性ウイルスに特異的な少なくとも1つの免疫細胞を対象に投与すること
を含む。
【0216】
本発明の開示に従って改変された少なくとも1つの細胞は、当業者に周知の方法に従ってCARを含む/発現するように改変してもよい。改変は、移入された核酸の永続的または一過性発現のための核酸移入を含んでいてもよい。本発明の開示に従って細胞を改変するために、あらゆる好適な遺伝子工学プラットフォームを使用することができる。細胞を改変するための好適な方法としては、例えばガンマレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、DNAトランスフェクション、トランスポゾンベースの遺伝子送達およびRNAトランスフェクションなどの遺伝子工学プラットフォームの使用、例えば上記での参照により本明細書に組み入れられるMausら、Annu Rev Immunol(2014)32:189〜225に記載されたようなものが挙げられる。
【0217】
一部の実施態様において、がん細胞抗原に特異的なキメラ抗原受容体(CAR)を含む少なくとも1つの細胞を生産するための本方法の工程は、対象から血液サンプルを採取すること;血液サンプルから、少なくとも1つの細胞を単離および/または拡大すること;インビトロまたはエクスビボの細胞培養で少なくとも1つの細胞を培養すること;少なくとも1つの細胞を、本明細書に記載されるCARまたは本明細書に記載されるCARをコードする核酸に導入することによって、少なくとも1つの細胞を改変すること;少なくとも1つの改変された細胞を拡大すること;少なくとも1つの改変された細胞を収集すること;改変された細胞をアジュバント、希釈剤または担体と混合すること;改変された細胞を対象に投与することの1つまたはそれより多くを含んでいてもよい。
【0218】
一部の実施態様において、本方法は、加えて、CARまたはCARをコードする核酸の発現を誘導/強化する細胞を処置することを含んでいてもよい。例えば、この核酸は、特定の薬剤での処置に応答して核酸からのCARの発現を誘導性上方調節するための制御エレメントを含んでいてもよい。一部の実施態様において、処置は、本開示に従って改変された細胞が投与された対象に薬剤を投与することによって、インビボでなされてもよい。一部の実施態様において、処置は、エクスビボまたはインビトロでの培養物中の細胞に薬剤を投与することによって、エクスビボまたはインビトロでなされてもよい。
【0219】
当業者は、例えば参照によりその全体が組み入れられるDaiら、2016 J Nat Cancer Inst 108(7):djv439への参照によって、本発明の開示に係る細胞の養子移入のための適切な試薬および手順を決定することができる。
【0220】
関連する形態において、本発明の開示は、改変された細胞を調製する方法であって、本発明の開示に係るCARまたは本発明の開示に係るCARをコードする核酸を、細胞に導入することによって、少なくとも1つの細胞を改変することを含む、上記方法を提供する。本方法は、好ましくはインビトロまたはエクスビボで実行される。
【0221】
組成物/生成物/キット
本発明の開示はまた、任意選択で単離された本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスも提供する。任意選択で単離された腫瘍溶解性ウイルスをコードする核酸も提供される。任意選択で単離された、腫瘍溶解性ウイルスを含む、または腫瘍溶解性ウイルスをコードする核酸を含む細胞も提供される。
【0222】
本発明の開示はまた、任意選択で単離された本明細書に記載される免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルスも提供する。任意選択で単離されたウイルスをコードする核酸も提供される。任意選択で単離された、ウイルスを含む、またはウイルスをコードする核酸を含む細胞も提供される。
【0223】
本発明の開示はまた、任意選択で単離された、本明細書に記載されるキメラ抗原受容体(CAR)も提供する。任意選択で単離されたCARをコードする核酸も提供される。任意選択で単離された、CARを含む、またはCARをコードする核酸を含む細胞も提供される。
【0224】
本発明の開示はまた、本開示に係る腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、1つまたは複数の核酸、または細胞を含む組成物も提供する。
【0225】
腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、本発明の開示に係る1つまたは複数の核酸または細胞は、臨床用途のための医薬組成物として製剤化されてもよく、医薬的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはアジュバントを含んでいてもよい。本発明の開示の組合せは、単一の組成物で提供されてもよいし、または組合せの成分を含む複数の組成物として提供されてもよい。
【0226】
本発明の開示に従って、医薬的に有用な組成物の生産のための方法も提供され、このような生産方法は、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、1つまたは複数の核酸または細胞を単離すること;および/または本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、1つまたは複数の核酸または細胞を、医薬的に許容される担体、アジュバント、賦形剤または希釈剤と混合することから選択される1つまたはそれより多くの工程を含んでいてもよい。
【0227】
例えば、本発明の開示のさらなる形態は、がんの処置で使用するための医薬または医薬組成物を製剤化または生産する方法であって、本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、1つまたは複数の核酸または細胞を、医薬的に許容される担体、アジュバント、賦形剤または希釈剤と混合することによって、医薬組成物または医薬を製剤化することを含む、上記方法に関する。
【0228】
本発明の開示はまた、本発明の開示に係る腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、核酸、細胞または組成物の1つまたはそれより多くを含むパーツのキットも提供する。
【0229】
一部の実施態様において、キットは、本開示に係る予め決定された量の腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、キメラ抗原受容体、1つまたは複数の核酸、または細胞または本発明の開示に係る組成物を有する少なくとも1つの容器を有していてもよい。キットは、本発明の開示の組合せの個々の成分を含有する容器を有していてもよいし、または本発明の開示の組合せの成分の組合せを含有する容器を有していてもよい。
【0230】
キットは、腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、CAR、核酸、細胞または組成物を、特定されたがんを処置するための患者の投与に関する説明書と共に提供することができる。腫瘍溶解性ウイルス、免疫調節因子をコードする核酸を含むウイルス、CAR、1つまたは複数の核酸、細胞または組成物は、腫瘍または血液への注射または輸注にとって好適になるように製剤化することができる。
【0231】
一部の実施態様において、キットは、本発明の開示に係る細胞を生産するための材料を含んでいてもよい。例えば、キットは、本発明の開示に係るウイルスまたはその抗原/ペプチド、CARまたは1つまたは複数の核酸を発現するかまたは含むように細胞を改変するための材料、または本発明の開示に係るウイルスまたはその抗原/ペプチドまたは1つまたは複数の核酸を細胞に導入するための材料を含んでいてもよい。キットは、腫瘍溶解性ウイルスに特異的な免疫細胞を生産するための材料を含んでいてもよく、例えば、キットは、1つまたはそれより多くの腫瘍溶解性ウイルスの抗原のペプミックスを含んでいてもよい。
【0232】
一部の実施態様において、キットは、予め決定された量の別の治療剤(例えば抗感染剤または化学療法剤)を有する少なくとも1つの容器をさらに含んでいてもよい。このような実施態様において、キットはまた、第2の医薬または医薬組成物を含んでいてもよく、その場合、がんのための組み合わされた処置が提供されるように、2種の医薬または医薬組成物は、同時に投与されてもよいし、または別々に投与されてもよい。また治療剤は、腫瘍または血液への注射または輸注にとって好適になるように製剤化することができる。
【0233】
配列同一性
2つまたはそれより多くのアミノ酸または核酸配列間のパーセント同一性を決定する目的のためのペアワイズおよび複数の配列アライメントは、当業者に公知の様々な方法で、例えば、公共的に利用可能なコンピューターソフトウェア、例えば、ClustalOmega(Soding, J. 2005、Bioinformatics 21、951〜960)、T−coffee(Notredameら、2000、J. Mol. Biol.(2000)302、205〜217)、Kalign(Lassmann and Sonnhammer 2005、BMC Bioinformatics、6(298))およびMAFFT(KatohおよびStandley 2013、Molecular Biology and Evolution、30(4)772〜780)ソフトウェアを使用して達成することができる。このようなソフトウェアを使用する場合、例えばギャップペナルティーおよび伸長ペナルティーに関して、デフォルトパラメーターを使用することが好ましい。
【0234】
【表1-1】
【0235】
【表1-2】
【0236】
【表1-3】
【0237】
【表1-4】
【0238】
【表1-5】
【0239】
【表1-6】
【0240】
【表1-7】
【0241】
【表1-8】
【0242】
【表1-9】
【0243】
【表1-10】
【0244】
【表1-11】
【0245】
【表1-12】
【0246】
【表1-13】
【0247】
【表1-14】
【0248】
【表1-15】
【0249】
【表1-16】
【0250】
【表1-17】
【0251】
【表1-18】
【0252】
【表1-19】
【0253】
【表1-20】
【0254】
【表1-21】
【0255】
【表1-22】
【0256】
【表1-23】
【0257】
【表1-24】
【0258】
【表1-25】
【0259】
【表1-26】
【0260】
【表1-27】
【0261】
【表1-28】
【0262】
【表1-29】
【0263】
【表1-30】
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【表1-31】
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【表1-34】
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【表1-35】
【0269】
【表1-36】
【0270】
【表1-37】
【0271】
【表1-38】
【0272】
【表1-39】
【0273】
【表1-40】
【0274】
【表1-41】
【0275】
【表1-42】
【0276】
【表1-43】
【0277】
本開示は、記載された形態および好ましい特徴の組合せを含み、ただしこのような組合せが明らかに容認できないかまたは明示的に回避される場合を除く。
本明細書で使用される章の見出しは、単に系統化する目的のためであり、記載された主題を制限するものとして解釈されないものとする。
【0278】
ここで本発明の開示の形態および実施態様を添付の図面を参照しながら一例として例示する。さらなる形態および実施態様は当業者には明らかであると予想される。本明細書で述べられた全ての文書は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0279】
本明細書にわたり、それに続く特許請求の範囲を含め、文脈上別の意味で解釈すべき場合を除き、言葉「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと」などの変化形は、他のあらゆる整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を除外するのではなく、述べられた整数もしくは工程または整数もしくは工程の群を包含することを示すと理解されるものとする。
【0280】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形の指示対象を包含することに留意しなければならない。範囲は、本明細書において、「約」の1つの特定の値から、および/または「約」の別の特定の値までと表される場合がある。このような範囲が表される場合、別の実施態様は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを包含する。同様に、先行する「約」の使用によって値が近似値として表される場合、特定の値が別の実施態様を形成することが理解されるものとする。
【0281】
核酸配列が開示される場合、それらの逆相補鎖も明示的に予期される。
図面の簡単な説明
ここで本開示の原理を例示する実施態様および研究を添付の図面を参照しながら論じる。