特表2020-517833(P2020-517833A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-517833着色グレージングを得るためのターゲット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-517833(P2020-517833A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(54)【発明の名称】着色グレージングを得るためのターゲット
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/34 20060101AFI20200522BHJP
   C03C 17/245 20060101ALI20200522BHJP
【FI】
   C23C14/34 A
   C03C17/245 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-558543(P2019-558543)
(86)(22)【出願日】2018年4月27日
(85)【翻訳文提出日】2019年12月23日
(86)【国際出願番号】FR2018051077
(87)【国際公開番号】WO2018197823
(87)【国際公開日】20181101
(31)【優先権主張番号】1753800
(32)【優先日】2017年4月28日
(33)【優先権主張国】FR
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】511244919
【氏名又は名称】サン−ゴバン コーティング ソルスィヨン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【弁理士】
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】リュボブ マグデンコ−サブーレー
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ビリエール
(72)【発明者】
【氏名】クリサリア マトゥ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル マルラン
【テーマコード(参考)】
4G059
4K029
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC08
4G059EA01
4G059EA16
4G059EB04
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA64
4K029BD07
4K029CA06
4K029DC02
4K029DC07
4K029DC13
4K029DC22
4K029DC34
4K029DC35
4K029DC39
(57)【要約】
一方で、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物、及び他方で、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子から形成された、カソードスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットにおけるM/Me原子比は1.5未満であり、Mは前記層中に存在するチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、Meは前記層中に存在する銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す、カソードスパッタリングターゲット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方で、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物、及び他方で、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子から形成された、カソードスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットにおけるM/Me原子比は1.5未満であり、Mはチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、Meは銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す、カソードスパッタリングターゲット。
【請求項2】
M/Me原子比は1.2未満である、請求項1記載のターゲット。
【請求項3】
M/Me原子比は1.0未満である、請求項1又は2記載のターゲット。
【請求項4】
M/Me原子比は0.8未満である、請求項1〜3のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項5】
Mは単一の元素を表す、請求項1〜4のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項6】
前記酸化物は、x≦2である式TiOの酸化チタンである、請求項1〜5のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項7】
前記酸化物は、x<2、好ましくは1.70<x<2.0である式TiOの酸化チタンである、請求項6記載のターゲット。
【請求項8】
前記金属は、銀、金、白金、銅又はニッケルである、請求項1〜7のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項9】
前記金属は、銀、金又は白金である、請求項1〜8のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項10】
前記金属は銀である、請求項1〜9のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項11】
酸化チタンと銀粒子との混合物から作られ、前記ターゲットにおけるTi/Ag原子比は1.5未満、好ましくは1.4未満、より好ましくは1.0未満、非常に好ましくは0.8未満、又はさらには0.6未満である、請求項1〜10のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項12】
規格ASTM F76に従って測定される電気抵抗率は、5Ω・cm未満である、請求項1〜11のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項13】
多孔度は10%未満である、請求項1〜12のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項14】
Mに対するMeの分布は、70×70μmの同じ面積の複数の分析領域について、前記ターゲットにおいて測定されたMe相の最大含有量と前記ターゲットにおいて測定されたMe相の最小含有量との差Dが、前記ターゲットにおいて測定されたMe相の平均含有量の50%未満、好ましくは40%未満である、請求項1〜13のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項15】
測定の総数に対して計算される全体の標準偏差は、前記ターゲットにおいて測定されたMe相の平均含有量の25%未満である、請求項1〜14のいずれか一項記載のターゲット。
【請求項16】
チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物と、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子との混合物を、支持体上に溶射する工程、特にプラズマ溶射する工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載のターゲットを製造するための方法。
【請求項17】
チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物を、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の溶融浴中において混合する工程、及び前記ターゲットを形成する工程を含む、請求項1〜15のいずれか一項記載のターゲットを製造するための方法。
【請求項18】
前記混合工程は、前記溶融金属浴中において、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物の粒子を、スパッタリング又は重力堆積することを含む、請求項17記載のターゲットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期ガラス組成物に追加の金属酸化物を加える必要なしに、特にガラス基材に適切な着色を与えるコーティングを堆積するためのターゲットに関する。概して、この処理は、グレージングの、特にフロートガラスタイプの工業プロセスから得られる無色の平面ガラスの表面外観を変更することを対象とし、グレージングを形成した後に、このターゲットからの薄い層としてのコーティングの単純な堆積によってグレージングを着色し、このコーティングは、可視範囲にプラズモン吸収ピークを有する材料から形成されるものである。
【背景技術】
【0002】
建物のグレージングの分野において、太陽光制御グレージング、自浄式グレージングなどの様々な特性を持つ新規のグレージングの開発に向けて、かなりの研究が行われてきた。また、幾つかの特性を組み合わせたグレージング、特に太陽光制御、断熱(低放射率グレージング)、電磁線スクリーニング、加熱、親水性又は疎水性機能、光触媒(自浄式グレージング)、可視範囲での反射レベルの変更(反射防止グレージング又はミラー)などの1つ又はこれを超える機能を備えた着色グレージングを見出すことも益々求められている。
【0003】
特定の機能を有することができる着色グレージングを得ることが望ましい場合、現在の工業プロセスは、フロートガラスの溶融浴に顔料(通常は金属酸化物)を添加することからなる。したがって、ガラスの製造時に、グレージングの所望の最終色に応じて、様々な金属酸化物を使用できる。すなわち、赤色の場合はCuO、紫色の場合はMnO、又は青色の場合はCoOを注ぎ込む。このようにして、バルクで着色されたガラスが得られる。
【0004】
この方法は比較的簡単に実行できるが、大きな欠点がある。ガラス製造時の顔料の使用は溶融浴を汚染し、かつ適切な色を特定の浴で製造しなければならないということを必然的に伴う。
【0005】
特に、色の変更は常に過渡期のガラスの製造を必要とし、したがって、所望の色が得られるまで大量のガラスが失われる。これは、生産の実質的な損失及び装置の生産性の実質的な損失を意味し、その色を変更したい場合に、グレージングのコストの実質的な増加をもたらす。したがって、この方法には、絶えず変化する顧客の要求に適応できる融通性がない。
【0006】
このような着色ガラスの製造における融通性を高めるための1つの有利な解決策は、着色層からなる又は着色層を含むコーティングをガラスの上に堆積することからなり、この場合に、このコーティングの比色特性は、容易に調整可能でありかつ変更可能である必要がある。
【0007】
このようなコーティングを得るための第一の既知の方法によれば、銀金属粒子又は別の貴金属の存在下で金属アルコキシドを重合するゾルゲル法が使用される。しかしながら、この方法は高価であり、また、PLFなど、すなわち、典型的に「ジャンボ」サイズ(6000 mm×3210 mm)の大型ガラス基材上に、数ナノメートル又は数十ナノメートルの均一な層を堆積することは不可能である。
【0008】
以下のような既知の方法において、所与の材料の1つ又はそれを超える薄層による基材のコーティングは、幾つかの異なる技術に従って気相で実施することもできる:
【0009】
熱分解として知られる第一の方法によれば、気体、液体又は固体の形で提供される堆積される生成物の前駆体は、高温基材上で分解される(T>500℃)。気体前駆体の場合に、この方法はAP−CVD(大気圧化学蒸着)又はより一般的には熱CVDという用語で呼ばれる。本発明は、そのような方法に関するものではない。
【0010】
本発明が適用される第二の方法によれば、カソードスパッタリング又はマグネトロンスパッタリング法が使用され、これは、スパッタリングにより、二次真空下で、そして磁場において、堆積される材料又は堆積される材料の前駆体のターゲットを堆積することからなる。そのようなデバイスの実施例は、例えば米国特許第6,214,183号明細書に記載されている。
【0011】
ターゲットのマグネトロンスパッタリング法は、所定の組成を有するターゲットを備えた真空下の装置で実施する必要があり、その結果、個別にみると、融通性が非常に限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
第一の態様によれば、本発明によるターゲットを使用することにより、比色が容易に調整可能であるコーティングを堆積するための簡単な方法を提案することが可能になる。
【0013】
より具体的には、本発明の1つの目的は、調整可能な製造法の実施を可能にし、かつグレージングに望まれる比色の融通性及び迅速な適応を可能にするターゲットを提案することによって、上述の問題を克服することであり、この方法は、さらに、経済的でありかつフロートガラス製造の実質的な損失を伴わない。
【0014】
本発明によるターゲットの使用には幾つかの利点がある。第一に、特に無色のガラスについて、ガラスの製造とは完全に独立して着色を行うグレージングの調製を可能にする。したがって、ガラスは、その色を事前に予測する必要なく製造することができる。この薄層は、また、少量の着色ガラスを得ることも可能にする。したがって、本発明のターゲットによって可能になる方法は、一層要求に適合することが可能でありかつ融通性がある。
【0015】
したがって、本発明によるターゲットによって、異なる色の層を製造し、かつ異なる比率で製造することが可能になり、それによって、大量のガラスの中間損失なしに製造することが可能になる。
【0016】
堆積法は、ターゲットの真空マグネトロンスパッタリングとして知られる技術を介して、主に金属ナノ粒子及び誘電体層から形成される層の積層体を製造することが知られている。例えば、出版物「多層構造のAu/SiO複合膜の調製及び光学特性評価」、H.B.Liao, Weijia Wen、G. K. L. Wong、Journal of Applied Physics、2003、Vol. No. 93、4485は、約530nmの波長で吸収し、かつ透過において赤色を有するSiO/Au積層体の製造を記載している。
【0017】
特許出願である国際公開第2010/106370号は、基材上にコーティングを堆積する方法を記載しており。ここでは、330〜370℃に維持した基材上に、CVD、AP−CVD又は熱分解によって前駆体の溶液を堆積し、金ナノ粒子が組み込まれた、アルミニウムドープされたスズ、チタン又は酸化亜鉛のマトリックスフィルムを生成する。そのような方法は、特にフロート法から得られる平らなガラス基材上の大きな寸法のガラスであって、その幅がしばしば上述のように数メートルの大きさであるガラスの着色のために、工業規模の用途に十分に融通性があり又は適切であるとは思われない。
【0018】
欧州特許出願公開第2 221 394 A1号公報は、成分としてのTi、Ag及びOを、(TiO2−m1−nAgの組成で含み、ここで、mが0〜0.5及びnが0.01〜0.2である、カソードスパッタリングターゲットを記載している。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、特に着色層を得るのに有用であり、かつプラズモン吸収ピークを有するスパッタリングターゲットに関する。
【0020】
より正確には、本発明は、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物、及び銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子から製造される、カソードスパッタリングターゲットであって、前記ターゲットにおけるM/Me原子比は1.5未満であり、Mはチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、そしてMeは銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す、カソードスパッタリングターゲットに関する。
【0021】
本発明によるターゲットの特定の好ましい態様によれば、適切な場合には、以下の事項を一緒に組み合わせることができる:
− M/Me原子比は1.4未満である。
− M/Me原子比は1.3未満である。
− M/Me原子比は1.2未満である。
− M/Me原子比は1.0未満である。
− M/Me原子比は0.9未満であり、より好ましくは0.8未満であり、又はさらには0.7未満であり、又はさらには0.6未満である。
− 前記酸化物は一つだけである。
− 金属は銀である。
− 前記酸化物は、x≦2である式TiOの酸化チタンであり、特にx<2、より好ましくは1.7<x<2.0である式TiOxの酸化チタンである。
− 特に有利な態様によれば、本発明によるターゲットは、酸化チタンと銀粒子の混合物から作られており、前記ターゲットにおけるTi/Ag原子比は1.5未満であり、好ましくは1.2未満であり、より好ましくは1.0未満であり、非常に好ましくは0.8未満であり、又はさらには0.6未満である。
− 金属は銀、金、白金、銅又はニッケルであり、より好ましくは、金属は銀、金又は白金であり、非常に好ましくは銀である。
− ターゲットは、酸化チタンと銀粒子の混合物から作られており、前記ターゲットにおけるTi/Ag原子比は1.5未満であり、好ましくは1.4未満であり、より好ましくは1.0未満であり、又はさらには0.9未満であり、非常に好ましくは0.8未満であり、又はさらには0.6未満である。
− 規格ASTM F76に従って測定された電気抵抗率は、5Ω・cm未満である。
− 多孔率は10%未満である。
− Mに対するMeの分布は、同じ面積70×70μmの複数の分析領域で、ターゲットにおいて測定されたMe相の最大含有量とターゲットにおいて測定されたMe相の最小含有量との間の差Dが、ターゲットで測定されたMe相の平均含有量の50%未満であり、好ましくは40%未満である。
− 測定の総数で計算される全体の標準偏差は、このターゲットにおいて測定されたMe相の平均含有量の25%未満である。
【0022】
金属Mの上記酸化物は、有利には、元素Mについて、酸素が化学量論比未満である酸化物とすることができ、化学量論比未満の酸化物の電気抵抗率は、化学量論的な酸化物の電気抵抗率よりも小さい。Mの化学量論比未満の程度は、最大15%、好ましくは最大10%の割合の範囲内とすることができ、それによって、ターゲットの使用中に、続くマグネトロンで必要とされる酸素導入を制限するようになっている。
【0023】
本発明によるターゲットの使用は、特に、例えば以下に記載する方法、すなわち、このターゲットからのコーティングの堆積が可能であり、その比色が容易に調整可能である方法の実施によって、グレージングを得ることを可能にするものである。主な態様によれば、本発明の主題は、グレージングの表面上に色を変更する層を含むグレージングを得ることを可能にし、この層の特性は、このグレージングに最終的に所望の比色を与えるように容易に調整可能である。
【0024】
より具体的には、本発明の目的の1つは、グレージングに望まれる比色の迅速かつ融通性のある適応を可能にする、本発明によるターゲットを使用する調整可能な製造法を提案することによって、上述の問題を克服することであり、この方法は、さらに、経済的でありかつフロートガラス製造の実質的な損失を引き起こさない。
【0025】
以下において、原則として当初は着色されていないガラス基材(当該技術分野ではしばしば透明ガラスと呼ばれる)上に、調整可能な色を付与するコーティングを堆積することを含む、本発明によるターゲットを使用する方法によって得られるグレージングを記載する。しかしながら、本発明の状況から逸脱することなく、基材は既に着色されていてもよく、本発明によるコーティングの堆積は、その比色を変更する役割を果たす。
【0026】
そのようなグレージングを得るために本発明によるターゲットを使用すると、幾つかの利点が得られる。第一に、着色は、特に無色のガラスの場合に、ガラスの製造とは完全に独立して行われる。したがって、ガラスは、その着色を事前に構想する必要なく製造することができる。薄い層はまた、少量の着色ガラスを得ることを可能にする。したがって、本発明の方法は、一層、要求に適合可能であり、融通性がある。本発明により、異なる色及び異なる比率の層を製造することが可能になり、かつ大量のガラスの中間損失なしに製造することが可能になる。
【0027】
そのようなグレージングは、以下に記載されるターゲットをスパッタリングする方法を介して、本発明によるターゲットを使用することによって得ることができる。グレージングはガラス基材を含み、その上に層が存在し、この層は唯一の層であるか、あるいは、複数の層の積層体であり、この層は酸化物の無機マトリックス中に分散した金属ナノ粒子を含む材料から形成され、この金属ナノ粒子は銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属から作られ、又はこの金属粒子はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金から作られ、このマトリックスはチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、又はこれらの元素のうちの少なくとも2つの混合物の酸化物を含み、この材料は可視領域にプラズモン吸収ピークを有する。好ましくは、上記マトリックスは、上記の酸化物から本質的に形成されるか、又は、上記の酸化物から形成される。
【0028】
前記層における原子比M/Meは1.5未満であり、ここで、Mは、上記層中に存在するチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、Meは、上記層中に存在する銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す。
【0029】
好ましくは、前記原子比は1.4未満であり、又はさらに1.3未満である。より好ましくは、前記比は1.2未満であり、又はさらに1.0未満であり、又はさらには0.9未満であり、又はさらには0.8未満であり、又は非常に好ましくは0.7未満である。
【0030】
特に、そのようなグレージングにおいて、
− 金属原子Meは、層を構成する材料中に存在する原子の20%〜50%を占め、好ましくは、層を構成する材料中に存在する原子の25%〜45%を占め、非常に好ましくは、層を構成する材料中に存在する原子の30%〜40%を占める。
− 一つ又は複数の元素Mの原子は、層を構成する材料中に存在する原子の10%〜40%を占め、好ましくは、層を構成する材料中に存在する原子の15%〜30%を占め、そして非常に好ましくは、層を構成する材料中に存在する原子の20%〜30%を占める。
− 層の厚さは5〜100nmであり、又はさらに4〜70nmであり、特に5〜50nmであり、非常に好ましくは6〜20nmである。
− 無機マトリックスは、1≦x≦2である酸化チタンTiOから形成され、又はこれから本質的に形成されている。
− 金属Meは一つだけであり、及び/又は銀Agである。
− 金属ナノ粒子は、特に実質的に円形又は楕円形の球状の形状を有し、前記粒子の最長寸法は、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定したときに、(算術)平均が2〜20nmであり、好ましくは4〜15nmであり、より好ましくは4〜10nmである。
− 金属ナノ粒子は、層の各表面から上記層の中心に向かって増加する濃度勾配で層内に分布し、銀粒子の濃度は、実質的に層の中心で最大である。
− グレージングは、ガラス基材に対して上記層上に堆積された少なくとも1つの上部層も含み、この上部層は誘電体材料から作られている。本明細書の目的のために、用語「誘電体材料」は、特に、抵抗率が初期に1010オームメートル(Ω・m)より大きい任意の材料を意味する。しかしながら、そのような材料は、それらの導電性を改善するためにドープされてもよく、それによって、それらのカソードスパッタリング収率を増加させることができる。例えば、本発明による積層体において使用されるSi層はアルミニウムを含むことができる。本発明のこの好ましい実施形態によれば、本発明による着色層への、誘電体材料から作られた保護層の堆積は、このコーティングの機械的及び/又は化学的耐久性を高めることを可能にする。この保護層の厚さは、例えば、約5〜50nmであることができる。
− この上部層を構成する誘電体材料は、本質的に窒化ケイ素及び/又は窒化アルミニウムから形成され、特に窒化ケイ素から本質的に形成され、より好ましくは5〜50nm、さらには10〜30nmの厚さを有する。
− この上部層を構成する誘電体材料は、本質的に、ケイ素、チタン、亜鉛及びスズから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物から作られている。
− グレージングはまた、ガラス基材に対して上記層の下に堆積された少なくとも1つの下部層を含み、この下部層は誘電体材料から作られている。
− この下部層を構成する誘電体材料は、窒化ケイ素及び/又は窒化アルミニウムから本質的に形成され、特に本質的に窒化ケイ素から形成されている。
− この下部層を構成する誘電体材料は、ケイ素、チタン、亜鉛及びスズから選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物から本質的に形成されている。
【0031】
本発明によるターゲットは、特に、酸化物誘電体マトリックスで囲まれた金属ナノ粒子から形成された、容易に調整可能な波長の入射可視光線を吸収する着色層のコーティングを簡単かつ経済的に得るための方法において、その用途を見出すものである。
【0032】
第一の実施形態によれば、特に上述のグレージングを得ることを可能にする、ガラス基材上に層を堆積するためのそのような方法は、2つのターゲットが真空蒸着デバイスの同一のチャンバ内で、プラズマにより同時に共スパッタされる工程を含み、ここで、2つのターゲットは好ましくは同一の酸化物を含むが、その組成は、本発明による第二のターゲットへの金属の添加により変化する。このようにして得られた薄層は、この2つのターゲットの構成酸化物の無機マトリックス中に分散された上記金属又は上記合金のナノ粒子を含み、こうして作られた材料は、特にこのようにして得られたグレージングに色を与える可視範囲に、プラズモン吸収ピークを有し、この色は、必要に応じて、追加の熱処理工程によっても得ることができる。
【0033】
より詳細には、第一の実施形態によれば、本発明のターゲットは、特に上記のとおりのグレージングの製造のために、最大値が350〜800nmであるプラズモン吸収ピークを有する材料の層をガラス基材上に堆積する方法で使用され、この方法は少なくとも以下の工程を含む:
(a)上記基材をカソードスパッタリング真空蒸着デバイスに通すこと、
(b)プラズマ生成ガスを上記真空蒸着デバイスに導入し、このガスからプラズマを生成させること、
(c)以下のものを真空蒸着デバイスの同じチャンバ内で同時にスパッタリングすること、ここで、このスパッタリングは、上記プラズマによって得られる:
− チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物を含む、好ましくはそのような酸化物から本質的に形成された第一のターゲット、
− チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物、及び、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子から作られた、本発明による第二のターゲット、ここで、このターゲットはM/Me原子比が1.5未満であり、Mはチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、Meは銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す、
(d)上記層で覆われた上記基材を含むグレージングを回収すること、ここで、上記層は、上記酸化物の無機マトリックスに分散された上記金属又は上記合金の金属ナノ粒子から形成されており、かつ可視領域にプラズモン吸収ピークを有する、
又は
(d’)上記層で覆われた上記基材を含むグレージングを回収し、かつ特に特許出願である国際公開第08/096089号に記載の処理により、上記酸化物の無機マトリックス中に分散された上記金属又は上記合金の金属ナノ粒子から形成されかつ可視範囲にプラズモン吸収ピークを有する層を得るのに適した条件下で、上記層を熱処理すること。
【0034】
そのような方法の特定の好ましい実施形態によれば、もちろん、以下の事項を一緒に組み合わせることができる:
− 第一のターゲットの酸化物と本発明による第二のターゲットの酸化物のために選ばれる元素は同一であり;
− 第一のターゲットの酸化物及び本発明による第二のターゲットの酸化物は、酸化チタンから本質的に形成されるか、又は酸化チタンから形成される。
【0035】
本発明によるターゲットは、特に上記のとおりのグレージングの製造のために、ガラス基材上に、最大値が350〜800nmであるプラズモン吸収ピークを有する材料の層を堆積させる方法の第二の実施形態に従って使用することもできる。この方法は少なくとも以下の工程を含む。
(a)上記基材をカソードスパッタリング真空蒸着デバイスに通すこと、
(b)プラズマ生成ガスを上記真空蒸着デバイスに導入し、酸素の存在下で、このガスからプラズマを生成させること
(c)本発明によるターゲットを上記デバイスのチャンバ内でスパッタリングすること、ここで、上記ターゲットは、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物を含み、好ましくはそのような酸化物から本質的に形成されており、かつ銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子を含み、上記ターゲットはM/Me原子比が1.5未満であり、Mはチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、かつMeは銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表し、このスパッタリングは上記プラズマによって得られる、
(d)上記層で覆われた上記基材を含むグレージングを回収すること、ここで、上記層は、上記酸化物の無機マトリックスに分散された前記金属又は前記合金の金属ナノ粒子から形成されており、かつ可視領域にプラズモン吸収ピークを有する、
又は
(d’)上記層で覆われた前記基材を含むグレージングを回収し、かつ上記酸化物の無機マトリックス中に分散された上記金属又は上記合金の金属ナノ粒子から形成されかつ可視範囲にプラズモン吸収ピークを有する層を得るのに適した条件下で、上記層を熱処理すること。
【0036】
このような第二の方法の特定の好ましい実施形態によれば、もちろん、以下の事項を一緒に組み合わせることができる:
− ターゲットの酸化物は酸化チタンから本質的に形成され、
− 上記金属は銀、金又は白金であり、より好ましくは銀である。
【0037】
好ましくは、これらの2つの実施形態について、
− プラズマ生成ガスは、アルゴン、クリプトン又はヘリウムを単独で又は混合物として本質的に含む中性ガスである。
− 上記方法は、工程(d’)中に、400℃を超えかつガラス基材の軟化点未満の温度まで上記基材を加熱することを含む。
【0038】
工程(d’)による加熱工程は、当業者に周知の技術に従って、プラズモン吸収ピークを得るための、すなわち所望の色の層を得るための温度条件下で必要な時間実施される。言うまでもなく、このような加熱は、この目的に適した任意の雰囲気、特に空気などの酸化性雰囲気、あるいは中性ガスの雰囲気、又はさらには還元性雰囲気下で行うことができる。
特に上記スパッタリングの条件を変更することにより、かつ特に2つのターゲットに印加される電力を調整することにより、上記色は、第一の実施形態によって容易に調整可能である。
【0039】
上述の方法のいずれかによる方法の特定の好ましい実施形態によれば、もちろん、以下の事項を一緒に組み合わせることができる:
− ターゲットにおける原子比M/Meは1.5未満であり、好ましくは1.2未満であり、より好ましくは1.0未満であり、又はさらには0.9未満であり、又はさらには0.8未満であり、非常に好ましくは0.7未満であり、Mは上記層中に存在するチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、かつMeは上記層中に存在する銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す。
− 堆積した上記層の厚さは、5〜100nmであり、好ましくは6〜50nmであり、非常に好ましくは7〜20nmである。
【0040】
また、本発明は、上述の第一の実施形態による方法を実施するための装置に関し、この装置は、以下のものを組み合わせて含む:
− 少なくとも1つの真空チャンバを備えたカソードスパッタリングデバイス、
− チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物から作られた、上述のとおりの第一のターゲット、
− チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物、及び銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子でできた、上述のとおりの第二のターゲット、
− プラズマ生成ガスを導入する手段と、このガスからプラズマを生成する手段とを含む、2つのターゲットを同時に共スパッタリングする手段、ここで、このプラズマは上記ターゲットのスパッタリングのために作用する、
− 上記酸化物の無機マトリックス中に分散された金属ナノ粒子から形成された層を、基材の表面へ堆積するのに適した速度で、上記基材を上記デバイスに通すための手段、
− 上記コーティングで覆われた上記基材をデバイスの出口で回収する手段。
【0041】
第一の実施形態によれば、プラズマを生成するために、2つの回転ターゲット又は2つの平面ターゲットを備えていることができるカソードには、RF(無線周波)電源又はDC(直流)電源によって電力供給することができ、電源はパルス、あるいはAC(交流)電源とすることができる。既知のように、RF電源は、通常、13.56MHzの交流電流を提供する。この電源を使用するには、生成された信号をターゲットに接続するための接続ボックスが必要である。
【0042】
実際には、わずかに導電性又は非導電性のターゲットをスパッタしようとする場合に、RF電源は好ましくは使用される。
本発明による堆積法によれば、DC電源を使用することも可能であり、又はさらに好ましい。これにより、より高いレベルのスパッタリングを得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
(原文に記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明、その様々な態様及びその利点は、純粋に例示の目的で提供される以下の非限定的な実施例を読むときにより明確に理解されるであろう。
【0045】
第一の一連の例において、上述の本発明の第二の方法によれば、無色ガラス基材上に、銀金属粒子が分散した、元素Tiの酸化物マトリックスから形成された着色層を堆積することが求められる。使用する透明ガラスは、出願人の会社によってPlaniclear(登録商標)の下で販売されている。
【0046】
本発明による着色層を、二次真空が印加され得るチャンバを画定するマグネトロン型カソードスパッタリングハウジング内で、ガラス基材上に堆積する。このハウジング(アノードを構成する)において、ターゲット(カソードを構成する)はチャンバに設置されており、このため、堆積中に、RF又はDC電源によりアルゴンのプラズマ生成ガスのプラズマを、このターゲットの前で発火させることができ、ここで、基材はこのターゲットに平行に通過する。この装置により、基材の通過速度、したがって堆積時間及び層の厚さを選択することが可能である。
【0047】
本発明による平坦なターゲットは、ターゲットにおけるTi/Ag原子比が約0.5となるように、以下に記載される技術に従って酸化チタンと銀粒子との混合物から製造される。
【0048】
デバイス内でガスのプラズマを生成するために必要な電力をカソードに印加する。堆積は、本質的にアルゴン(中性プラズマ生成ガス)の雰囲気下で、ハウジングチャンバ内に少量の二原子酸素の存在下で行われる。より正確には、以下のすべての例において、チャンバに注入されるアルゴンの流速は、初期には約30sccm(標準立方センチメートル/分)である。堆積時間は、例によって60秒又は100秒である。このようにして得られた層の厚さは約6〜9nmである。
【0049】
このようにして、様々な層を、これらの同じ原理により幾つかの透明ガラス基材上に堆積し、様々な試料を得るためにガス混合物の酸素濃度を変化させる。これらの試料はA〜Dで示され、銀ナノ粒子を含む酸化チタンから形成された層を含む。以下の表1は、本発明の方法に従ってコーティング層を堆積する工程の、主なパラメータをまとめている。
【0050】
【表1】
【0051】
この最初の堆積の後に、この分野で知られている標準的な技術に従って、装置の別の区画において、前記TiO−Ag層上に30nmの窒化ケイ素の上部層を堆積する。誘電体材料から作られた保護層の、本発明による着色層上への堆積は、このコーティングの機械的及び/又は化学的及び/又は熱的耐久性を高めることを可能にする。
【0052】
用語「機械的耐久性」は耐引掻き性又は耐摩耗性を意味し、用語「化学的耐久性」は、特に、以下で引用する規格EN1096の意味の範囲内の耐食性を意味する。用語「熱的耐久性」は、1つ又はそれを超える熱サイクル、例えば強靭化、曲げ又はアニーリングに対する安定性を意味する。
堆積後に、様々なコーティングを備えた基材を、空気中で、650℃で8分間、大気圧(1バール)でアニールした。
各例について、こうして堆積したコーティングの特性を、次いで、以下の手順に従って測定する;
【0053】
試料の光学スペクトルを、250nm〜2500nmの波長範囲でLambda 900分光光度計を使用して作成した。ガラス側及び層側の透過率及び反射率測定を行う。可視範囲内の吸収スペクトル及びプラズモン吸収ピークの任意の存在を、測定から以下の関係式によって決定する: A=100−T−R(ガラス側)、ここでAは吸収率、Tは透過率、Rは反射率である。
【0054】
光の透過率及び反射率を規格ISO 9050(2003)に従って測定する。
【0055】
添付の図1は、上述の例に従って得られるグレージングの可視範囲の吸収スペクトルを報告するものである(波長はx軸にナノメートルで示されている)。
【0056】
得られたスペクトルから、光源D65(2°)を使用して、透過における色収率(色彩値)を特徴付ける値L、a及びb(国際システム)を決定する。
【0057】
各例について、得られた結果を以下の表2にまとめる。
【表2】
【0058】
上記の表2に報告されている結果は本発明に関連する利点を示している。特に、驚くべきことでありかつこれまでに記載されていない様式で、本発明の方法によれば、層の堆積が行われる操作条件の、特にターゲットスパッタリングプラズマ中の酸素濃度及び/又はチャンバ内での堆積時間の簡単な調整によって、プラズモンピークを選択した波長にシフトさせ、最終的にグレージングに望まれる色を得ることが本発明により可能である。
【0059】
上述の例の着色層の化学組成を分析した。
【0060】
第一の一連の分析によれば、例A(紫色)及びD(青色)による層の組成を、キャステイングマイクロプローブ(電子プローブマイクロアナライザ又はEPMA)で決定した。
【0061】
この2つの試料から得られた結果を以下の表3にまとめている。
【表3】
【0062】
本発明による着色層の酸化チタンマトリックス内の銀ナノ粒子の形態及び分布を視覚化するために、透過型電子顕微鏡(TEM)分析も実施する。上述の例A(紫色層)及びD(青色層)の試料について明視野モードで得られた画像を図2〜5に報告する。
【0063】
より正確には、調製工程において、4つの試料の表面上に厚さ約50nmの炭素堆積物を生成させた。次に、薄いスライスのFIBによる調製中に、IBIDによってサンプリングゾーンにタングステン堆積物を生成させた。ChemiSTEM(商標) X-EDS検出器を備えたFEI Tecnai Osiris顕微鏡(200keV- SERMA Technologies, Grenoble)を使用して、TEM(透過型電子顕微鏡)観察を行った。「明視野」モードで得られた画像上に金属粒子を「分散」させ、その寸法をより正確に評価できるようにするために、TEMの取得を、グレージングエッジウェイをオンにした第一の段階で行ない(図2及び4)、次いで、ガラス表面の平面に対して15°の角度でグレージングを傾斜させて行った(図3及び5を参照されたい)。
【0064】
より正確には、以下のとおりである:
図2は傾斜なしで得られた試料A(紫色シェード)の明視野TEM画像に対応する。
図3はガラス表面の平面に対して観察軸を15°傾けることによって得られた試料Aの明視野TEM画像に対応する。
図4は傾斜なしで得られた試料D(青色シェード)の明視野TEM画像に対応する。
図5はガラス表面の平面に対して観察軸を15°傾けることによる試料Dの明視野TEM画像に対応する。
図6は例Aによる試料のエネルギー分散型X線(X−EDS)分析の結果を示す。
図7及び8は、それぞれ、グレージングを得ることができる、本発明による平坦なターゲット及び管状ターゲットの画像である。
【0065】
実質的に球状形態の銀ナノ粒子が(マトリックスの)層において集中していることが観察される。図2及び3に示すように、このナノ粒子の寸法を測定することができる。これらのナノ粒子は、最長寸法に沿って、平均して、試料によって約3〜12nmの大きさを有している。
【0066】
以下の表4は、TEM技術に従って試料A〜Dについて測定した、TiO層に含まれる銀ナノ粒子の主な特性を示す。
【表4】
【0067】
本発明による着色層中のナノ粒子の分布をより正確に特徴付けるために、例Aによる試料(紫色シェード)のエネルギー分散型X線(X−EDS)分析も実施する。添付の図6に報告されているように、元素の分布は、TiO/Ag着色層で、その層の中心で銀ナノ粒子のより高い濃度を示している。この同じ特性分布は、本発明による方法により得られたすべての層A〜Dで観察された。
【0068】
第二の一連の例において、上述の本発明による第一の方法によって、無色ガラス基材上に銀金属粒子が分散した元素Tiの酸化物マトリックスから形成された着色層を堆積することが求められる。使用する透明ガラスは、出願人の会社によってPlaniclear(登録商標)の下で販売されている。
【0069】
本発明による着色層を、二次真空が適用されうるチャンバを画定するマグネトロン型カソードスパッタリングハウジング内で、ガラス基材上に堆積する。このハウジング(アノードを構成する)において、ターゲット(カソードを構成する)はチャンバ内に設置されており、このため、堆積中にRF又はDC電源により、プラズマ生成ガス、通常は、本質的にアルゴン、クリプトン又はヘリウムのプラズマを、このターゲットの前で点火させることができ、ここで、基材はこのターゲットに平行に通過する。この装置によれば、基材の通過速度、したがって堆積時間及び層の厚さを選択することが可能である。
【0070】
本発明による第一のターゲットを作るために、市販の酸化チタン(TiO)ターゲットを使用する。
【0071】
本発明に従う組成を有する第二のターゲットを、以下に記載する技術に従って、酸化チタンと銀粒子との混合物から製造される。
【0072】
本発明による第二のターゲットを、以下に説明する技術に従って、ターゲットにおけるTi/Ag原子比が約0.5になるように製造する。
【0073】
デバイス内でガスのプラズマを生成するために必要な電力を、2つのカソードに印加する。堆積は、ハウジングチャンバ内のプラズマ生成中性ガスとしてのアルゴンのみの雰囲気下で行われる。より正確には、以下のすべての例について、チャンバに注入したアルゴンの流速は、30sccm(標準立方センチメートル/分)である。堆積時間はすべての試料で200秒である。このようにして得られた層の厚さは約10〜15nmである。
【0074】
これらの同じ原理に従って幾つかの層を堆積し、ここで、2つのカソードに印加する電力を変化させ、それにより、異なる濃度で存在する銀ナノ粒子を含む酸化チタンから形成された様々な誘電体マトリックスを得る。以下の表1は、本発明の方法によりコーティング層を堆積する工程の、主なパラメータをまとめている。
【0075】
【表5】
【0076】
試料の光学スペクトルは、上述と同じ条件下で分光光度計を使用して取得した。吸収スペクトルを再プロットできるように、ガラス側及び層側の透過率及び反射率測定を行なう。吸収ピークの中心位置は以下の表6に報告されている。
【0077】
【表6】
【0078】
例E〜Gによる着色層の化学組成は、上述と同じ方法に従って分析した。層におけるTi/Agモル比は0.7〜1.0の範囲である。
【0079】
本発明による着色層内におけるナノ粒子分布をより正確に特徴付けるために、試料E〜Gのエネルギー分散型X線(X−EDS)分析も実施する。例A〜Cと同様に、元素の分布は、TiO/Ag着色層において、試料E〜Gについてのこの層の中央で銀ナノ粒子のより高い濃度を示す。
印加電力を変化させることができる2つのターゲットを同時スパッタリングする工程を含むこのような方法によれば、層の光学特性を困難なく変化させることが可能になる。特に、第一のTiOターゲットに対する電力を上げることにより、堆積する層の比色を、そしてそれによってグレージングの比色を変更することが即座に可能になる。特に、層及びグレージングの所望の色の関数として、層中のAgナノ粒子の濃度を調整することが可能になる。
【0080】
したがって、本発明による方法によれば、最終的に、生産性を失うことなく、グレージングの色を非常に簡単かつ経済的に、完全に制御しかつ広範囲に変化させることが可能になる。
【0081】
特に、コーティング層の単純な堆積により、本発明によるデバイスにおいて2つのカソードに印加される電力の単純な調整により、本発明によるそのような方法を介して、迅速にかつ困難なく、かつ広い範囲にわたって最終グレージング(層で覆われた基材)の色を変更することが可能である。
【0082】
本発明によるターゲットの実施のある特定の特徴を以下に説明する。このターゲットは、上記のように、金属Mの酸化物(Mは、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表す)及び金属Me(Meは、銀、金、プラチナ、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す)の組み合わせから形成される。本発明によるターゲットはまた、好ましくは以下の基準を満たす:
− 一方で元素M、他方でMeの均一な分布であって、それにより、ターゲットから得られる薄層におけるMの酸化物のマトリックス中のMeのナノ粒子の分散の不均一性は観察されない。この均一性は、ターゲットの長さ及び幅の寸法、並びに厚さの両方で必要である。分布の均一性を特徴付ける方法及び基準を以下に規定する。
− AC、RF及びDCマグネトロンスパッタリングでの使用に適合する電気抵抗率。これに関して、目安として、ターゲットの抵抗率は5Ω・cm未満でなければならない。このしきい値よりも高い値を考えることもできるが、この場合、DCモードでの適合性は保証されない。
− 10%未満、好ましくは5%未満の多孔度。これにより、ターゲットの金属Meを局所的に溶融させうる電気アーク(アーキング)の形成のリスクを低減する。
【0083】
可能な限り低い最適な電気抵抗率を達成するために、金属Mの酸化物の酸素が、化学量論よりやや低い配合物を使用することが有利であり、このときに、この形態は対応する酸化物よりも低い電気抵抗率を有する。例えば、化合物TiO(xは厳密に2未満である)を挙げることができる。しかしながら、この化学量論比未満の程度は通常、最大で15%、好ましくは最大で10%に制限され、それにより、続くマグネトロンで必要な酸素の供給を制限するようにする。例として、TiO(xの値は2×0.85、すなわち1.7であるか又はこれを超え、好ましくは2×0.9、すなわち1.8を超える)を挙げることができる。
【0084】
本発明によるターゲットの様々な実施形態を以下に示す:
本発明によるターゲットを製造するための第一の可能な実施形態によれば、溶射、特にプラズマ溶射の技術が使用され、この方法は空気又は中性ガスの雰囲気下で実施することができる。使用するプラズマトーチ(推進剤)はDC又はRFタイプとすることができ、プラズマ生成ガスは(A−B)タイプの二元混合物(A=Ar又はN、及びB=H、He又はN(純粋なNの使用は可能な組み合わせに含まれる))、又は(A−B−C)タイプの三元混合物(A=Ar、B=N又はH、C=He)であることができる。カスケード技術によるプラズマの安定化(ニュートロードで)を伴う高温カソードDCトーチ、3カソードDCトーチ、ノズルに収束する3つのプラズマを組み合わせたDCトーチ、及び水安定化プラズマトーチの様々な変形形態はターゲットを構築するための手段として使用することができる。
熱プラズマ発生器タイプの低温カソードトーチも本発明の意味するところの範囲内に入る。これらの発生器は、一般にプラズマ生成ガスとして空気を使用するが、上述の二元又は三元混合物でも機能することができる。
【0085】
HVOF(高速酸素燃料)法又は動的低温スプレイ法などの他の熱発射法も、本発明によるターゲットを製造するために使用することができる。
【0086】
溶射デバイスに供給するための混合物は、特に、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群より選ばれる金属、好ましくは銀の、99重量%を超える、好ましくは99.9重量%を超える、好ましくは99.95重量%を超える純度の粒子と、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、好ましくは元素Tiの酸化物の粒子との混合物とすることができ、前記酸化物はモル割合を基準に、酸素が化学量論比未満であり、その不足の程度は、最大15%、好ましくは最大10%であることができ、それにより、ターゲットの使用中に、続くマグネトロンで要求される酸素の供給を制限するようになっている。
【0087】
別の代替形態によれば、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素、又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成される合金の酸化物の粒子、好ましくは二酸化チタン(TiO)粒子を、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群より選ばれる金属Meの溶融浴、好ましくは、溶融状態に維持した銀の浴と混合することができる。
【0088】
特定の形態によれば、溶融銀の浴との接触時に、TiO粒子はTiOに還元される。好ましくは、ターゲットにおけるTi/Ag原子比は、0.5未満、又はさらには0.4未満、又はさらには0.3未満である。このような代替形態は、例えば銀である金属の量がより多いにもかかわらず、金属Mの酸化物の粒子と金属Me、例えば銀の粒子とをスパッタリングする方法と比較した場合に、この金属の損失を制限することができる。例えば、必要に応じて事前に乾燥又はさらには予熱した、メジアン直径が典型的には75マイクロメーターである二酸化チタン(TiO)粒子の粉末を、ベクターガスを介してスパッタするか、又は典型的には1000℃で溶融銀のインゴット型に重力で堆積することができる。
【0089】
均一な混合物を得るためにろう付けを行うことができる。混合物を維持し、その後、例えば誘導デバイスを介して冷却する。
【0090】
管状形態のターゲットは、コアを備えたモールドを使用して作成できる。
【0091】
例えば、特に管状の形態を含む複雑な形態のターゲットの場合に、例えば、ビームの波長及びパラメータが使用する金属に適合しうるレーザデバイスを介して、溶融金属を局所的に溶融形態に維持することができる。その一方で、同時に、スパッタリングによって、ベクターガスを介して、又は重力堆積によって、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の酸化物の粉末、好ましくは二酸化チタンの粉末を、溶融金属の領域に供給し、それによって、均質な混合物を得て、その結果として、溶融金属浴との反応後に、部分的に還元された金属M、好ましくはTiOの含有物の、均一又は制御された分布を得ることができる。
【実施例】
【0092】
本発明によるターゲットを製造するためのこの一群の方法の使用を例示するために、2つの実施例を以下に説明する。
【0093】
実施例1:Me=Ag及びM=Tiを含む平坦なターゲット
本発明によるこの実施例は、化学量論比未満の酸化チタンTiO(x=1.95)及び銀粒子の組み合わせから形成した平坦なターゲットの調製に関し、この2つの成分は微細構造内に均一に分布しており、このターゲットはAC、DC又はRFモードでのマグネトロンスパッタリングでの使用が意図される。
【0094】
この平坦なTiO−Agターゲットを、プラズマジェット内の様々な材料の分布を最適化した後に、上述のプラズマ溶射法によって製造した。この方法の主な工程は以下のとおりである:
− ターゲット支持体上で続いてろう付けすることが意図される中間支持体プレート(タイル)を機械加工により製造する。
− 研磨スプレイ(アルミナ−ジルコニアAZグリット24)により、この支持体プレートの表面を調製する。
− 厚さ約150μmのCuAl合金(90質量%のCu)をプラズマ溶射することにより結合性下部層を堆積する。
− 示差収率(57.3質量%のTiO及び42.7質量%のAg)の関数として計算された割合でTiOとAg粉末を予備混合する。混合物を(Turbulaミキサーで)体系的に1時間撹拌する。ターゲットを調製するために使用した粉末は、それぞれ以下の特性を有する粉末である:
・ TiO粉末:粉砕溶融TiOタイプ(x=1.98)の粉末、粒径(d50)75μm、純度99.7%
・ 液体金属の霧化により生成した銀粉、粒子径(d50)45μm、純度99.95%
− 以下の条件下でプラズマ溶射によりターゲット上にTiO−Ag活性層を構築する:
・ 空気下のチャンバ中に最大電力60kWのDCタイプのプラズマトーチを配置する。
・ 銅支持体プレートの下であって、プラズマトーチの片側に配置され、そしてプラズマ溶射中に誘導される温度及び応力を制御するようにターゲットの方に向けられた冷却ジェットを使用する。
・ 以下のパラメータでプラズマ溶射を実施する:
【0095】
【表7】
【0096】
・ Ra<5μmの粗さを得るために研磨及び/又は機械加工することにより表面仕上げする。
【0097】
粉末混合物を注入するための最適化されたデバイスにより、飛行中の粉末を分離することなくプラズマに適切に注入でき、MeとMOの均一な分布を確保することができる。
【0098】
このようにして製造されたターゲットの主な特徴を以下に示す:
a.化学組成:
こうして製造されたターゲットの化学分析は、約0.6のM/Me比に対応する。
【0099】
【表8】
【0100】
【表9】
【0101】
d.微細構造及び多孔度
以下に記載の方法による画像分析による多孔度の評価は1%である。
【0102】
得られたターゲットの微細構造は、その断面が図7で報告されているSEM画像により示されており、これは、酸化チタン中の銀粒子の分布の優れた均一性を反映している。
【0103】
例示的な実施形態の実施例2:Me=Ag及びM=Tiを含む回転管状ターゲット
この実施例は、化学量論比未満の酸化チタンTiO(x=1.95)と銀粒子との組み合わせから形成した、回転管状ターゲットに関し、2つの成分は微細構造内に均一に分布しており、このターゲットはAC、DC又はRFモードでのマグネトロンスパッタリングで使用することが意図される。
【0104】
この管状TiO−Agターゲットを、プラズマジェット内の様々な材料の分布を最適化した後に、プラズマ溶射法によって製造する。この方法の主な工程は以下のとおりである:
− 例えばX2CrNi18−9などのオーステナイト系ステンレス鋼製の支持体チューブを使用する。
− 研磨スプレイ(アルミナ−ジルコニアAZグリット24)により、この支持体チューブの表面を調製する。
− 空気中で行われる電気アーク法(ツインワイヤアーク溶射)による結合性下部層を調製し、この結合性層はNiAl組成(95%ニッケル)であり、厚さ約150〜200μmである。あるいは、ワイヤフレーム溶射又は発射プラズマ(空気プラズマ溶射)法を使用して、この結合性下部層を生成してもよい。
− 示差収率(62質量%のTiO及び38質量%のAg)の関数として計算された割合でTiO及びAg粉末を予備混合する。混合物を(Turbulaミキサーで)体系的に1時間撹拌する。
− ターゲットの調製に使用される粉末は、それぞれ以下の特性を有する粉末である:
・ TiO粉末:粉砕溶融TiOタイプ(x=1.98)の粉末、粒径(d50)75μm、純度99.7%
・ 液体金属の霧化により生成された銀粉、粒子径(d50)45μm、純度99.95%
− 以下の条件下でプラズマ溶射によりターゲット上にTiO−Ag活性層を構築する:
・ 空気下のチャンバ中に最大電力60kWのDCタイプのプラズマトーチを配置する。
・ 銅支持体プレートの下であって、プラズマトーチの片側に配置され、そしてプラズマ溶射中に誘導される温度及び応力を制御するようにターゲットの方に向けられた冷却ジェットを使用する。
・ 以下のパラメータでプラズマ溶射を実施する:
【0105】
【表10】
【0106】
・ Ra<5μmの粗さを得るために研磨及び/又は機械加工することにより表面仕上げする。
粉末混合物を注入するための最適化されたデバイスにより、飛行中の粉末を分離することなくプラズマに適切に注入でき、Me(Ag)とMO(TiO)の均一な分布を確保することができる。
【0107】
このようにして製造されたターゲットの本質的な特徴
a.化学組成:
こうして製造されたターゲットの化学分析は、M/Me比=0.92に対応する。
【0108】
【表11】
【0109】
【表12】
【0110】
d.微細構造及び多孔度
以下に記載の方法による画像分析による多孔度の評価は1%である。
得られたターゲットの微細構造は、その断面が以下の図8で報告されている画像により示されており、これは、銀の分布の優れた均一性を反映している。
【0111】
実施例3:TiOプリフォームから形成されたターゲット
溶射を使用しない本発明によるターゲットの製造方法の第三の実施形態によれば、本発明によるターゲットは、M=Ti及びMe=Ag及びx=1.8〜2.0を有するターゲットを製造することに向けた主な工程を介して、以下の方法により調製される:
【0112】
1.多孔質TiOターゲットの「プリフォーム」の調製
プリフォームの幾何形状は、支持体プレート(バッキングプレート)、すなわちプレート、又は支持体チューブ(バッキングチューブ)、すなわちスリーブ(中空シリンダ)に結合することが意図された部分の幾何形状に対応する。
プリフォームの望ましい多孔度は、TiOの最終目標体積含有量に依存する。A%がターゲット中の銀の目標体積含有量である場合には、プリフォームTiOの多孔度はP%=A%である。
高い多孔度値の場合に、プリフォームは、例えば、当該技術分野の技術に従って製造されたセラミックフォームであることができる。あるいは、所望の多孔度レベルを達成するために、熱焼結サイクル中に細孔発生剤として作用することが意図された隠れた材料の追加を場合により行うことができ、この隠れた材料は、例えばポリマーとすることができる。より低いが、標準の焼結によって到達できる多孔性レベルの場合には、圧縮粉末のブロックの不完全な焼結によってプリフォームを作ることができる。
【0113】
2.上記プリフォームの含浸
多孔質プリフォーム又はセラミックフォームに、以下のいずれか一つの方法によって、液体Agを含浸させる:
− プリフォームを1000℃に予熱した後に、ケース(モールド)に入れたプリフォームに液体Agを注ぎ、完全に含浸させる。
− プリフォーム(それ自体は1000℃に予熱されている)を液体Ag浴に浸し、その後、プリフォームを取り出す。
− プリフォームを液体Agの浴の上に配置し、かつ接触させて毛細管現象により浸漬し、それにより、Agは毛細管現象によってプリフォームに含浸する。
【0114】
3.支持体への固定:
セグメントを目標の完全な幾何形状にするために軽く機械加工した後に、調製したセグメントを、マグネトロンターゲットを固定するために通常に使用されるソフトろう付け方法、例えばインジウムろう付け技術により支持体(チューブ又はプレート)に固定する。
【0115】
ここで記載したように行うこの第三の実施形態は、上述の基準(抵抗率、Meの分布の均一性、多孔度)に対応する特性を備えた本発明によるターゲットを製造することも可能にする。
【0116】
上述のターゲットの本質的な特性を測定するための測定手法を以下に示す:
A− ターゲットの構造におけるM酸化物相及び金属Me相の分布の均一性を特徴付ける方法:
【0117】
一方でM酸化物相としての、他方で金属Me相としての、分布の均一性を特徴付ける方法を説明するには、M=Ti及びMe=Agのターゲットの特定の場合が良い例となる。元素Mは化学量論比未満の酸化チタンTiO(x=1.95)の形で導入され、元素Meは金属銀粒子の形で導入される。
【0118】
したがって、存在するこれら2つの相の分布の均一性を特徴付けることが必要である。
【0119】
存在するこれらの2つの相の分布の均一性を確保するために、試料の微細構造内のMeの存在をマッピングできる画像解析プロトコルを介して、ターゲットの微細構造全体を代表する試料を分析する。代表的な試料は、ターゲットの代表的な領域でサンプリングされ、ターゲットの厚さ全体を包含し、数mmの側面寸法を有していなければならない。分析プロトコルは断面のターゲットの微細構造の画像に対して行われ、代表試料で撮影された画像は200倍、又はさらに、好ましくは、より広い領域を網羅するために100倍の倍率である。
【0120】
同じ面積(例えば100x100μm)、理想的には70x70μmを有し、分析スクリーンに均一に分布している分析ゾーン(又はROI(Region Of Interest)、関心領域)を定める(画像1とする)。このように作成されたROIの範囲規定を備えたこのスクリーンは、この格子に面して撮影されかつ表示される微細構造画像の分析格子として機能する。したがって、ターゲット全体を代表する微細構造試料のすべてを網羅するために、一連の平行移動を、分析格子に面する十分な数の画像に連続した位置で適用する。次に、グレースケールのしきい値処理を適用して、金属相Me(光学顕微鏡でより明るい)を検出し、かつその単位面積あたりの含有量を測定する。操作は、断面でターゲットから取得された少なくとも10の異なる画像で繰り返す。したがって、各ROIについて、最小で10の画像を分析する。これにより、ROIごとのMe層の面積割合の平均及び関連する標準偏差を得ることができる。
【0121】
このようにして得られたターゲットは、以下の条件が満たされる場合に、本発明による十分に均質な構造であると考えられる:
・ Me相の測定された最大含有量と、Me相の測定された最小含有量(ランダムに選択されたすべてのROIでカウント)の差Δが、Me相の公称含有量T(すなわち、すべてのROIで観測されたMeの平均含有量)の50%未満、理想的には40%未満である。
・ 好ましくは、測定の総数(=ROIの数×画像の数)で計算される全体の標準偏差が、含有量Tの25%未満である。
得られた画像はROIの配置を示しており、Me相の検出はグレースケールしきい値処理によって行われる。
【0122】
不均一な分布を持つターゲットの場合:
この手順の妥当性を評価するために、MOx内のMeの分布の非常に異なる均一性を有するMOx−Meタイプのターゲットの調製の様々なテストに、この均一性特性化手順を適用することにより分析を行った。
【0123】
以下の表7は、ROIごとのMe(銀)の面積含有量と関連する標準偏差、すなわち、そのようなターゲットの上記で特定した基準(Δ及び標準偏差)を報告しており、これにより、分布の均一性を反映できる。
【0124】
【表13】
【0125】
B− 多孔度の測定
多孔度の評価は、電子顕微鏡によって得られた画像を使用して、標準的な画像解析技術により行う。
より正確には、ターゲットに含まれる細孔の体積含有量は、J.C. Russ、R.T Dehoff、「Practical Stereology」、2nd edition、Plenum Press、New York、1986によって開発された立体分析学的関係によって、これらの細孔の面積含有量の測定値から決定する。したがって、このセクションでは、断面(金属組織断面)の微細構造の画像(倍率×100〜×500)で決定した細孔の表面含有量を測定するための手順について記載する。
【0126】
この含有量の評価は画像分析によって行われ、その主な目的は、細孔を微細構造の残りの部分から分離することであり、それにより、選択された部分の特性を続いて測定できる。
より正確には、分析は、事前に研磨されたターゲットの各代表試料に適用される幾つかの連続した工程を含む:
− 光学顕微鏡及び高解像度カメラアセンブリと結合した取得ソフトウェアを使用して、分析する画像を取得する。画像は好ましくはスケールで撮影される。
− 測定が行われる試料の領域を画定する作業ゾーンを選択する。
− しきい値により画像を二値化する。これは、初期画像から、2つの所定のしきい値の間にグレースケールがあるピクセルのみを保存することからなる。細孔を代表するピクセルが非常に暗い場合、0に等しい下位レベルを選択することができる。その後、グレースケール値(0の黒から255の白まで)に従ってピクセルの分布の代表的なヒストグラムを使用して、概してインタラクティブに上限しきい値を設定する。細孔を代表する保存されたピクセルは、黒(0)としてコード化され、他のピクセルは白(1)としてコード化され、バイナリ画像を提供する。
− 作業ゾーンの面積に対する、細孔を代表する黒(0)としてコード化されたピクセルの面積の割合である細孔の面積含有量を決定する。この値は画像解析ソフトウェアによって自動的に計算できる。
【0127】
本発明により最終的に保持される平均細孔率は、上述の方法によりランダムに撮影された十分な数の微細構造画像(5〜10画像)で得られた細孔含有量の平均値である。
【0128】
本発明を実施するためのカソードスパッタリングターゲットは、一方で、チタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素の酸化物から形成され、かつ他方で、銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群に含まれる金属の粒子又はこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成された合金の粒子から形成され、このターゲットにおけるM/Me原子比は1.5未満であり、Mは上記層中に存在するチタン、ケイ素及びジルコニウムからなる群の元素のすべての原子を表し、Meは上記層中に存在する銀、金、白金、銅及びニッケルからなる群の金属のすべての原子を表す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】