特表2020-518770(P2020-518770A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフトの特許一覧 ▶ ツェットエフ ウィンド パワー アントワープ エヌ ヴイの特許一覧

特表2020-518770ノイズに関して最適化された遊星歯車段I
<>
  • 特表2020518770-ノイズに関して最適化された遊星歯車段I 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-518770(P2020-518770A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(54)【発明の名称】ノイズに関して最適化された遊星歯車段I
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20200529BHJP
   F16H 57/08 20060101ALI20200529BHJP
【FI】
   F16H1/28
   F16H57/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-546904(P2019-546904)
(86)(22)【出願日】2018年1月29日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月21日
(86)【国際出願番号】EP2018052062
(87)【国際公開番号】WO2018158017
(87)【国際公開日】20180907
(31)【優先権主張番号】102017203214.6
(32)【優先日】2017年2月28日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(71)【出願人】
【識別番号】514011413
【氏名又は名称】ツェットエフ ウィンド パワー アントワープ エヌ ヴイ
【氏名又は名称原語表記】ZF WIND POWER ANTWERPEN N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】ディルク レイマン
【テーマコード(参考)】
3J027
3J063
【Fターム(参考)】
3J027FA04
3J027FA12
3J027FB40
3J027FC01
3J027GA01
3J027GA03
3J027GC13
3J063AA40
3J063AB12
3J063AC01
3J063BA09
3J063BB11
3J063CA01
3J063CB04
3J063XB06
3J063XB08
(57)【要約】
本発明は、内歯車(103)と、太陽歯車(111)と、第1遊星歯車(105)と、第2遊星歯車(107)と、を備えた遊星歯車段(101)に関する。第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)は、前記内歯車(103)及び前記太陽歯車(111)と噛み合う。第1遊星歯車(105)の歯先円直径は、第2遊星歯車(107)の歯先円直径よりも大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯車(103)と、太陽歯車(111)と、第1遊星歯車(105)と、第2遊星歯車(107)と、を備え、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)は、前記内歯車(103)及び前記太陽歯車(111)と噛み合う遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)の歯先円直径は、前記第2遊星歯車(107)の歯先円直径よりも大きいことを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)がインボリュート歯車であり、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)の基礎円直径は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)の歯数は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)のピッチ円直径は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)のプロファイル変位は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)が円筒歯車であることを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
遊星キャリアを備え、
前記太陽歯車(111)及び前記遊星キャリア、前記太陽歯車(111)及び前記内歯車(103)、又は前記遊星キャリア及び前記内歯車(103)は、共通の中心軸を中心に回転可能である、遊星歯車段(101)。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)は、前記遊星キャリアに対して固定された第1回転軸を中心に回転可能に前記遊星キャリア上に支承され、
前記第2遊星歯車(107)は、前記遊星キャリアに対して固定された第2回転軸を中心に回転可能に前記遊星キャリア上に支承され、
前記第1回転軸と前記第2回転軸の前記中心軸に対する間隔が一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
第3遊星歯車(109)を備え、
前記第3遊星歯車(109)は、前記内歯車(103)及び前記太陽歯車(111)と噛み合い、
前記第2遊星歯車(107)の歯先円直径は、前記第3遊星歯車(109)の歯先円直径よりも大きいことを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の遊星歯車段に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電設備の出力が高くなるにつれて、入力部に直列接続された2つの遊星歯車段と、伝動装置出力部に1つの平歯車段と、を備えた三段型伝動装置へと移行する傾向がある。特に、第2遊星歯車段は回転数がより高いために、ノイズ放出に関して重要な意味をもつ。
【0003】
遊星歯車段におけるノイズを低減するために、ドイツ特許出願公開DE102015009070A1号公報では、遊星歯車の特別な配置が推奨されている。遊星歯車は、太陽歯車の回転軸の周方向に、不規則に相互に間隔を空けて配置されている。この結果、遊星歯車の歯は、異なる時間で、単一噛合から二重噛合へと移行する。そのためにノイズ発生が低減する。
【0004】
しかしながら、不規則に相互に間隔を空けた遊星歯車には張力が伴う。摩耗が増加し、極端な場合には動かなくなる。バックラッシュを大きくすることによって、限定的にのみ、この問題に対処することができる。その場合でも、負荷の分散に悪影響があるために、性能低下が予想される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開DE102015009070A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、従来技術から既知の解決策に内在する欠点を除去することである。特に、遊星歯車段の耐久性と性能を損なうことなく、遊星歯車段のノイズ放出を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1に記載の遊星歯車段によって解決される。好適な発展実施形態は、従属請求項に含まれる。
【0008】
遊星歯車段は、太陽歯車と、遊星キャリアと、1つ又は複数の遊星歯車と、内歯車と、を備えた伝動装置に属するアセンブリ、と定義される。遊星歯車は、それぞれ、遊星キャリアに対して固定された回転軸を中心にして遊星キャリア上に支承されている。遊星歯車は、それぞれ、太陽歯車及び/又は内歯車と噛み合う。3つの構成要素である太陽歯車、遊星キャリア、及び内歯車のうちの2つの構成要素は、共通の中心軸を中心に回転可能に支承されている。第3構成要素は、回転不能に、好適には位置固定されて配置されている。
【0009】
本発明による遊星歯車段は、内歯車及び太陽歯車に加えて、第1遊星歯車及び第2遊星歯車を備える。第1遊星歯車及び第2遊星歯車は、それぞれ、内歯車及び太陽歯車と噛み合う。
【0010】
本発明によれば、第1遊星歯車の歯先円直径は、第2遊星歯車の歯先円直径よりも大きい。例えば、第1遊星歯車の歯先円直径は、第2遊星歯車の歯先円直径よりも、少なくとも0.2%大きくすることができる。好適には、第1遊星歯車の歯先円直径は、第2遊星歯車の歯先円直径よりも、少なくとも0.4%大きい。
【0011】
歯先円直径は、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯の側面の境界を、外側に向かって定義する。歯面の外側境界によって、第1遊星歯車と太陽歯車、第1遊星歯車と内歯車、第2遊星歯車と太陽歯車、及び第2遊星歯車と内歯車の、歯の噛み合いの噛合経路の長さが決定される。
【0012】
第1遊星歯車の歯先円直径がより大きいために、第1遊星歯車の噛合経路は、第2遊星歯車の対応する噛合経路よりも長くなる。これにより、プロファイルの噛み合い率が異なる。
【0013】
プロファイルの噛み合い率は、単一噛合及び二重噛合の比率に影響する。したがって、第1遊星歯車における単一噛合対二重噛合の比率が、第2遊星歯車における対応する単一噛合対二重噛合の比率と異なるように、本発明によって達成される。
【0014】
これは、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の噛合ショックの時間的相関が広がる、という結果をもたらす。これによって、調性、つまり伝動機のノイズ放出の周波数スペクトルにおける個々のピークが、低減される。結果として生じる周波数スペクトルは、ノイズに対応する。
【0015】
上述のノイズ挙動に起因して、本発明による遊星歯車段は、特に、風力伝動装置における使用に適している。特に本発明による遊星歯車段は、上述の従来技術から既知の三段型風力伝動装置の、第2遊星歯車段として適している。
【0016】
歯先円直径が異なることを除けば、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯の残余の歯形パラメータが一致することが好適である。そのため、好適な発展実施形態において、第1遊星歯車及び第2遊星歯車は、その基礎円直径が一致するインボリュート歯車である。
【0017】
更に好適な発展実施形態において、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯数、ピッチ円直径、及び/又はプロファイル変位若しくはプロファイル変位係数は、一致する。特に、第1遊星歯車及び第2遊星歯車のモジュールは一致することが好適である。一致することが好適な、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の更なるパラメータは、それらの基準円直径、歯底円直径、ピッチ円上の歯厚、ピッチ円上のピッチ、歯幅、ピッチ円上の歯溝幅である。これに対して、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯の歯先高さは、歯先円直径が異なるために、相互に異なる。
【0018】
更に好適な発展実施形態において、第1遊星歯車及び第2遊星歯車は円筒歯車である。これは、全ての歯先円、基礎円、及びピッチ円の全体が、それぞれ1つのシリンダを構成することを意味する。第1遊星歯車及び第2遊星歯車は、歯が直線又は斜めであってよい。
【0019】
さらに、遊星歯車段の太陽歯車及び遊星キャリア、太陽歯車及び内歯車、又は遊星キャリア及び内歯車は、好適には、中心軸とも称される共通の回転軸を中心に回転可能に構成されている。
【0020】
遊星キャリアに対して固定された第1回転軸、及び遊星キャリアに対して固定された第2回転軸は、更に好適な発展実施形態において、中心軸に対して等間隔で配置されている。第1遊星歯車は、第1回転軸を中心に回転可能に遊星キャリア上に支承されている。第2遊星歯車は、第2回転軸を中心に回転可能に遊星キャリア上に支承されている。特に、第1回転軸、第2回転軸、及び中心軸は、好適には、相互に平行して延在する。
【0021】
遊星歯車段は、2つを超える遊星歯車を備えてよい。特に、遊星歯車段は、内歯車及び太陽歯車と噛み合う第3遊星歯車を更に備えて構成されてよい。第3遊星歯車の歯先円直径は、第2遊星歯車の歯先円直径よりも小さく、したがって第1遊星歯車の歯先円直径よりも小さい。第3遊星歯車の残余の歯形パラメータは、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯形パラメータと一致することが好適である。これは特に、上述の歯形パラメータに適用されるものであり、上述の歯形パラメータにおいて、第1遊星歯車及び第2遊星歯車の歯が一致する。
【0022】
本発明の好適な実施形態を図1に示す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】遊星歯車段の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に示す遊星歯車段101は、内歯車103、第1遊星歯車105、第2遊星歯車107、第3遊星歯車109、及び太陽歯車111を備える。第1遊星歯車105、第2遊星歯車107、及び第3遊星歯車109は、それぞれ、内歯車103及び太陽歯車111と噛み合う。
【0025】
第1遊星歯車105の歯先円直径(da1)、第2遊星歯車107の歯先円直径(da2)、及び第3遊星歯車109の歯先円直径(da3)に対して、以下が成り立つ。
a1≠da2≠da3
【符号の説明】
【0026】
101 遊星歯車段
103 内歯車
105 第1遊星歯車
107 第2遊星歯車
109 第3遊星歯車
111 太陽歯車
図1
【手続補正書】
【提出日】2018年6月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内歯車(103)と、太陽歯車(111)と、第1遊星歯車(105)と、第2遊星歯車(107)と、を備え、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)は、それぞれ、前記内歯車(103)及び前記太陽歯車(111)と噛み合
前記第1遊星歯車(105)の歯先円直径は、前記第2遊星歯車(107)の歯先円直径よりも大きい遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)のプロファイル変位は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項2】
請求項1に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)がインボリュート歯車であり、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)の基礎円直径は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)の歯数は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)のピッチ円直径は一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)及び前記第2遊星歯車(107)が円筒歯車であることを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項6】
請求項1〜の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
遊星キャリアを備え、
前記太陽歯車(111)及び前記遊星キャリア、前記太陽歯車(111)及び前記内歯車(103)、又は前記遊星キャリア及び前記内歯車(103)は、共通の中心軸を中心に回転可能である、遊星歯車段(101)。
【請求項7】
請求項1〜の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
前記第1遊星歯車(105)は、前記遊星キャリアに対して固定された第1回転軸を中心に回転可能に前記遊星キャリア上に支承され、
前記第2遊星歯車(107)は、前記遊星キャリアに対して固定された第2回転軸を中心に回転可能に前記遊星キャリア上に支承され、
前記第1回転軸と前記第2回転軸の前記中心軸に対する間隔が一致することを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【請求項8】
請求項1〜の何れか一項に記載の遊星歯車段(101)であって、
第3遊星歯車(109)を備え、
前記第3遊星歯車(109)は、前記内歯車(103)及び前記太陽歯車(111)と噛み合い、
前記第2遊星歯車(107)の歯先円直径は、前記第3遊星歯車(109)の歯先円直径よりも大きいことを特徴とする、遊星歯車段(101)。
【国際調査報告】