(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-518811(P2020-518811A)
(43)【公表日】2020年6月25日
(54)【発明の名称】方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20200529BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20200529BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G09B29/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-559848(P2019-559848)
(86)(22)【出願日】2018年9月26日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2018076151
(87)【国際公開番号】WO2019063630
(87)【国際公開日】20190404
(31)【優先権主張番号】102017217299.1
(32)【優先日】2017年9月28日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オスヴァルド ゴンサ
(72)【発明者】
【氏名】ルネ アレクサンダー ケアナー
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
【Fターム(参考)】
2C032HB11
2C032HC08
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC31
2F129CC33
2F129FF02
2F129FF36
2F129FF37
2F129FF39
2F129FF62
2F129GG17
2F129GG18
(57)【要約】
本発明は、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成かつ/または更新するシステムに関しており、このシステムは、車両側に、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す車両側の地図データを備えた車両側データベースと、車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成し、かつ地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、デジタル地図の部分領域の更新データをこのスニペットから求めるように構成されている1つまたは複数のプロセッサと、イベントの空間位置を特定する手段と、乱数についてのシードを有するメッセージをバックエンド装置から受信するように構成された送信/受信装置とを有しており、1つまたは複数のプロセッサは、さらに、シードに基づいて乱数を生成するように構成されており、送信/受信装置は、車両側データベースが、イベントの空間位置に関して、標準モードにある場合、または乱数が所定の値を上回る場合にイベントおよび対応する空間位置と共に更新データをバックエンド装置に伝送するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成かつ/または更新するシステムであって、
前記システムは、車両側に、
前記デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す車両側の地図データを備えた車両側データベースと、
車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、
前記車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成し、かつ前記地図データにおける対象物と、前記スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、前記デジタル地図の前記部分領域の更新データを前記スニペットから求めるように構成されている1つまたは複数のプロセッサと、
前記イベントの空間位置を特定する手段と、
乱数についてのシードを有するメッセージをバックエンド装置から受信するように構成された送信/受信装置と、
を有しており、
1つまたは複数の前記プロセッサは、さらに、前記シードに基づいて乱数を生成するように構成されており、
前記送信/受信装置は、前記車両側データベースが、前記イベントの前記空間位置に関して、標準モードにある場合、または前記乱数が所定の値を上回る場合に前記イベントおよび対応する空間位置と共に前記更新データを前記バックエンド装置に伝送するように構成されており、
前記システムは、バックエンド側に、
バックエンド側の、前記デジタルモデルの地図データを備えたサーバ側データベースと、
1つまたは複数の車両から前記更新データを受信するように構成された送信/受信装置と、
前記更新データを統計的に評価し、前記統計的な評価に依存して前記シードを生成し、バックエンド側の前記地図データを更新するように構成された1つまたは複数のプロセッサと、
を有するバックエンド装置を有しており、
前記送信/受信装置は、さらに、1つまたは複数の車両に前記シードを伝送するように構成されている、
システム。
【請求項2】
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データを伝送した前記車両の個数を用いて、かつ/または伝送の回数を用いて、前記更新データを統計的に評価し、前記車両の前記個数および/または前記伝送の前記回数に基づき、前記更新データに信頼値を対応付けるように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
1つまたは複数のバックエンド側の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る信頼値を有する場合、前記デジタルモデルのバックエンド側の地図データを有する前記サーバ側データベースを前記更新データによって更新するように構成されており、
バックエンド側の前記送信/受信装置は、少なくとも、ブロードキャストを用いて、前記更新されたデータベースの、前記イベントに関連するデータと、前記シードとを車両に伝送するように構成されている、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
車両側の前記送信/受信装置は、対応するタイムスタンプを有するイベントと共に前記更新データを伝送するように構成されており、
バックエンド側の前記送信/受信装置は、前記更新されたデータベースの、前記イベントに関連する前記データを、前記イベントの前記タイプスタンプと共に伝送するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
車両側の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記地図データにおける対象物と、前記スニペットにおける対象物との間の負の差分がある場合に、特定の空間位置と、対応するイベントIDとを有する前記イベントの削除を検出するように構成されており、
車両側の前記送信/受信装置は、前記乱数が、所定の値を上回り、かつ前記イベントの発生以来、あらかじめ設定した時間をまだ超過していない場合に、更新データの形態で、前記イベントの前記削除を前記バックエンド装置に通知するように構成されており、
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る信頼値を有する場合に、削除された前記イベントの前記空間位置および前記イベントIDに関し、前記車両側データベースを前記標準モードに移行させるメッセージを生成するように構成されており、
前記バックエンド装置の前記送信/受信装置は、ブロードキャストを用いて1つまたは複数の車両に前記メッセージを通知するように構成されている、請求項4記載のシステム。
【請求項6】
車両側の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記イベントの発生以来、あらかじめ定めた時間を超過した場合に、前記イベントの前記空間位置に関し、前記車両側データベースを前記標準モードに戻すように構成されている、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
車両側の前記送信/受信装置は、対応するタイムスタンプを有するイベントと共に前記更新データを伝送するように構成されており、
バックエンド側の前記送信/受信装置は、前記更新されたデータベースの、前記イベントに関連する前記データを、満了時間と共に伝送するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項8】
車両側の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記地図データにおける対象物と、前記スニペットにおける対象物との間の負の差分がある場合に、特定の空間位置と、対応するイベントIDとを有する前記イベントの削除を検出するように構成されており、
車両側の前記送信/受信装置は、前記乱数が、特定の値を上回り、かつ前記満了時間をまだ超過していない場合に、更新データの形態で前記イベントの前記削除を前記バックエンド装置に通知するように構成されており、
前記バックエンド装置の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記更新データが、最小閾値を上回る信頼値を有する場合に、削除された前記イベントの前記空間位置および前記イベントIDに関し、前記車両側データベースを前記標準モードに移行させるメッセージを生成するように構成されており、
前記バックエンド装置の前記送信/受信装置は、ブロードキャストを用いて1つまたは複数の車両に前記メッセージを通知するように構成されている、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
車両側の1つまたは複数の前記プロセッサは、前記満了時間を超過した場合に、前記イベントの前記空間位置に関し、前記車両側データベースを前記標準モードに戻すように構成されている、請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記ブロードキャストは、TMCまたはLTEを介して行われる、請求項3から9までのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援システムの分野に関する。本発明は、特に、車両のセンサによって車道データを検出することと、検出した車道データを車両外部のデータベースに伝送することとに関する。
【0002】
技術背景
例えば自動運転または部分的な自動運転用に、バックエンド装置のデータベースにおける車道特性についてのデータを最新に維持するためには、データを定期的に最新状態にしなければならない。車道特性の検出は、それぞれ適切なセンサと、ジオポジションを検出する装置とを備えた、道路を走行する車両によって行うことが可能である。次に、検出されたデータは、VtoX通信または移動無線通信を介してバックエンド装置のデータベースに送信することができ、ここでは、検出されたデータがデータセットに整理統合され、このデータセットは、次に、例えばルート計算などのために別の複数の車両に送信することが可能である。更新データが多くの車両からバックエンド装置に伝送される場合、検出されたデータは、これらの車両からバックエンド装置への多大なデータトラヒックを生じさせ得る。統計的に有意であり、更新されかつ整理統合されたデータセットがすでにバックエンド装置に存在する場合、このことは、通信資源の無駄遣いになる。というのは、車両によって検出されたデータをさらに伝送することにより、整理統合されたデータセットの良度をさらに高めることはできないからである。
【0003】
発明の開示
したがって本発明の課題は、信頼性が高くかつより確実に動作する、デジタル地図のデジタルモデルを作成もしくは更新するシステムを提供することである。
【0004】
この課題は、システムについての独立請求項に記載したシステムによって解決される。従属請求項は、特別な実施形態に関する。
【0005】
一態様は、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域のデジタルモデルを作成および/または更新するシステムに関しており、ここでは2つの側でのデータ処理が行われる。データ処理の一部は、1つまたは複数の車両において行われる。データ処理の別の一部は、バックエンド装置において行われる。このシステムは、車両側の地図データを備えた車両側データベースを車両側に有しており、車両側の地図データは、バックエンド装置のサーバ側データベースにも記憶されているデジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す。さらに、このシステムは、車両周囲データを検出する1つまたは複数のセンサと、車両周囲データから少なくとも1つのスニペットを作成するように構成された1つまたは複数のプロセッサとを車両側に有する。スニペットとは、車両周囲対象物の対象物データを含む、デジタル地図の部分モデルのことである。これは、例えば100m×100mの大きさの、地図部分のCAD(computer aided design)モデルであってよく、このCADモデルは、例えば一連のカメラ画像から計算される。1つまたは複数のプロセッサは、さらに、地図データにおける対象物(Objekten)と、スニペットにおける対象物との間の差分の形態でイベントが存在する場合に、デジタル地図の部分領域の更新データをスニペットから求めるように構成されている。イベントとは、例えば、車道の通行止めまたは一時的に設置された道路標識のような新たに加えられた車両周囲対象物であってよい。車両側には、さらに、例えば車両位置を特定するGPS受信機、または車両に対してイベントの空間位置を付加的に特定するレーダセンサのような、イベントの空間位置を特定する手段が設けられている。車両側には、さらに、乱数を生成するためのシードをバックエンド装置から受信するように構成された送信/受信装置が設けられている。1つまたは複数のプロセッサは、さらに、シードに基づいて乱数を生成するように構成されている。送信/受信装置は、さらに、車両側データベースが、イベントの空間位置に関して、標準モードにある場合、または乱数が所定の値を上回る場合に、イベントおよび対応する空間位置と共に更新データをバックエンド装置に伝送するように構成されている。標準モードは、車両側データベースの一状態に関係し、この状態では、車両の所定の空間位置に関し、イベントの最初の検出時に、車両によってこの更新データが車両側データベースに伝送される。したがって車両側データベースの標準モードでは、イベントはまだバックエンドには存在しない。
【0006】
このシステムは、バックエンド側にバックエンド装置を有する。このバックエンド装置には、バックエンド側の、デジタルモデルの地図データを備えたサーバ側データベースと、1つまたは複数の車両から更新データを受信するように構成された送信/受信装置とが含まれている。さらに、バックエンド装置には、更新データを統計的に評価し、統計的な評価に依存してバックエンド側の地図データを更新し、かつ統計的な評価に依存して、特定の個数の正のトークンおよび負のトークンを生成するように構成された1つまたは複数のプロセッサが設けられている。ここでは、正のトークンの個数は、イベントが、別の複数の車両による十分に大きな回数の確認によって証明され、これにより、対応して高い信頼値を有するデータだけがサーバ側データベースに生成されるかもしくは更新されるように選択可能である。バックエンド装置の送信/受信装置は、さらに、1つまたは複数の車両に正または負のトークンを伝送するように構成されている。
【0007】
サーバ側データベースに格納されるデジタルモデルは、特に、別の周囲要素を備えた高解像度のデジタル地図で有していてよい。このデジタル地図は、少なくとも1つの道路モデルによって形成され、この道路モデルは、区間およびレーンのコース(Verlauf)を表し、かつレーンマークの個数およびコース、カーブ半径、傾斜、交差点および類似の特徴についての情報を含む。
【0008】
デジタルモデルは、特に、別の静的または動的な周囲要素を含んでいてよい。静的な周囲要素は、車線マークや、例えば停止線、ゼブラゾーン、中央分離帯、車線縁部マークなどのような線マークの位置および種類についての情報、また周囲の建造物の有無、ならびにそのクラスおよび相対的または絶対的な位置についての情報、交通標識の位置および種類についての情報、または灯火信号装置または道路情報板の種類および状態についての情報に関係する。動的な周囲要素は、特に、車両の位置および速度に関係する。周囲要素のそれぞれのパラメータ、特に位置および属性、例えば交通標識の位置および交通標識の種類に対し、トレーニングフェーズの間に、統計的に有意な測定回数から統計が特定される。この統計は、中央値の周りの測定値の分布であってよい。
【0009】
更新データには、測定回数、すなわち車両による伝送の回数だけに関して、バックエンド装置におけるp値を対応付けるのではなく、この更新データには、車両側においてすでに、例えば車両周囲データの品質から得ることができる信頼値または統計的なパラメータを、その良度に依存して対応付けることができる。したがって、特に車両周囲データが一連のカメラ画像である場合には、車両周囲データの品質は、霧および強い降水のような悪い天候条件では、良好な天候条件よりも低くなることがある。それぞれの車両の送信/受信装置は、更新データに加えて、車両側で特定した信頼値または統計的なパラメータを付加データとしてバックエンド装置に伝送するように構成することが可能である。
【0010】
バックエンド装置は、更新データをもっぱら統計的に評価することも可能である。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データを伝送した車両の個数を用いて、かつ/または伝送の回数を用いて、更新データを統計的に評価し、車両の個数および/または伝送の回数に基づき、更新データに信頼値を対応付けるように構成可能である。
【0011】
バックエンド装置は、信頼値を特定する際に、車両側で特定した付加データを一緒に取り入れることが可能である。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データを伝送した車両の個数に基づき、かつ/または伝送の回数に基づき、また付加データに基づき、更新データを評価することができる。
【0012】
システムの一態様は、バックエンド装置において正のトークンおよび負のトークンを生成することに関する。バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意性を有する場合、正のトークンおよび負のトークンを生成するように構成することが可能であり、正のトークンおよび負のトークンには、少なくとも、関連するイベントの空間位置および関連するイベントのイベントIDが対応付けられる。バックエンド装置の送信/受信装置は、1つまたは複数の車両に、特にブロードキャストを介して正のトークンおよび負のトークンを伝送するように構成することが可能である。
【0013】
システムの一態様は、イベントの削除の検出の処理に関する。イベントの削除は、これが統計的に有意であると評価されている限りでは、このイベントに関し、すべての正のトークンおよび負のトークンが、すべての車両において消去され、かつ車両側データベースが、このイベントに関し、すなわち特にその空間位置に関し、標準モードに戻されるようにすべきである。
【0014】
1つまたは複数の車両側プロセッサは、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間に負の差分がある場合に、特定の空間位置と、対応するイベントIDとを有するイベントの削除を検出するように構成されている。車両側の送信/受信装置は、車両側の記憶装置に負のトークンが存在する場合に、更新データの形態でバックエンド装置にイベントの削除を通知するように構成可能である。したがって、車両側データベースが、このイベントに関して、負のトークンを有する車両だけが、イベントの削除を通知する。
【0015】
バックエンド装置の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る統計的な有意性を有する場合に、削除されたイベントの空間位置およびイベントIDに関し、車両側データベースを標準モードに移行させるメッセージを生成するように構成可能である。バックエンド装置の送信/受信装置は、1つまたは複数の車両にメッセージを通知するように構成可能である。これにしたがい、1つまたは複数の車両側プロセッサは、空間位置および/またはイベントIDに関する正または負のトークンを車両側の記憶装置から除去し、かつ車両側データベースを、削除したイベントに関し、標準モードに戻すことが可能である。
【0016】
一態様は、車両への正のトークンおよび負のトークンの空間的な分配に関する。バックエンド装置の送信/受信装置は、イベントの空間的な近傍だけに存在する1つまたは複数の車両に正または負のトークンを伝送するように構成可能である。
【0017】
一態様は、更新されたバックエンド側の地図データを車両に分配することに関する。このためにバックエンド側の1つまたは複数のプロセッサは、更新データが、最小閾値を上回る信頼値を有する場合、デジタルモデルのバックエンド側の地図データを有するサーバ側データベースを、更新データによって更新するように構成可能である。バックエンド側の送信/受信装置は、少なくとも、イベントに関連する、更新されたデータベースのデータを、イベントの空間的な近傍に存在する車両に伝送するように構成可能である。
【0018】
図の要約
以下では、図に関連し、複数の実施例に基づいて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】デジタルモデルを作成するシステムのブロック図である。
【
図2】イベントの発生についてのこの方法の流れ図である。
【
図3】イベントの発生についての択一的な方法の流れ図である。
【0020】
詳細な説明
図1は、デジタル地図のデジタルモデルを作成かつ/または更新するシステム100を示しており、このシステムは、バックエンド装置102と、センサ106を備えた車両104とから成り、車両104は、2つのレーンマーク110、112によって画定されておりかつ中央分離帯114を有するレーンを移動している。車両104は、バックエンド装置102に、もしくはバックエンド装置102からデータを伝送する送信/受信装置116を有する。バックエンド装置102も同様に車両104に、もしくは車両104からデータを伝送する送信/受信装置126を有する。車両104に取り付けられている周囲センサ106は、カメラとして構成可能であり、また交通標識108を含む車両周囲の一連の撮影の形態で、車両周囲データを検出するように構成可能である。周囲センサは、付加的に、レーダセンサとして構成可能であり、また周囲をレーダによって走査するように構成可能である。これにより、レーダセンサ106は、付加的に車両の空間位置に対し、周囲要素、例えば交通標識108の位置を特定することができる。GPSモジュール(図示せず)と関連させることにより、さらに、絶対的な空間位置を求めることができる。車両は、さらに、車両周囲データからスニペットを作成するように構成されたプロセッサ120を有する。スニペットは、約100×100mの大きさの、デジタルモデルの部分であり、実質的に対象物モデルを表す。車両104は、さらに、車両側の地図データを備えた車両側データベース118を有しており、この地図データは、デジタル地図の少なくとも1つの部分領域を表す。プロセッサ120は、地図データにおける対象物と、スニペットにおける対象物との間に差分の形態のイベントが存在するか否かを確認するために、スニペットと、車両側データベース118から得られる、対応する車両側の地図データとを比較するように構成されている。ここでは、交通標識108は、地図データにはまだ存在しないものとする。例えば、この交通標識108は、最近設置されたからである。したがってこの比較により、新たに設置された交通標識108がイベントとして発生する。このイベントは、バックエンド装置には、今のところは既知ではない。というのはこのイベントはまだ、通信ネットワークを介してこのバックエンド装置に伝達されていないからである。
【0021】
車両104は、更新データの形態でこのイベントをバックエンド装置102に伝送し、このバックエンド装置102は、これにより、デジタルモデルのサーバ側の地図データを備えたそのサーバ側データベース122を更新することができる。このデジタルモデルは、複数の車両から到来し得る複数のスニペットから合成することができる。このデジタルモデルは、パラメタライズ可能な周囲モデルであってもよい。このパラメタライズは、統計的に有意な車両の個数により、学習プロセスの間に行うことが可能である。したがってパラメタライズされた周囲モデルは、バックエンド側の整理統合された車両周囲情報を表す。周囲要素のそれぞれの周囲要素は、位置、属性および検出確率について固有の統計を有し得る。バックエンド装置は、プロセッサ124を有しており、プロセッサ124は、更新データを統計的に評価しかつこの統計的な評価に依存して、サーバ側データベース122におけるバックエンド側の地図データを更新するように構成されている。
【0022】
多数の車両が交通標識108を通過すると仮定する。これらの車両のそれぞれは、新たに設置された交通標識108をイベントとして検出するため、このイベントが、それぞれの車両により、更新データの形態でバックエンド装置102に伝達されることになれば、極めて大きなデータ量が、バックエンド装置102に向かってアップリンクで発生することになる。したがって、以下では、
図2、3および4に関連して、更新データを伝達するトークンベースのプロトコルを説明する。
【0023】
図2には、イベントの発生についてのプロトコルの流れ
図200が示されている。デフォルトモードでは、デジタル地図の特定の空間領域に対し、まだイベントは生じていない。車両側データベース202には、サーバ側データベース200の全体デジタル地図の一部が含まれている。サーバ側データベース200には、周囲モデルが含まれており、特に別の周囲要素を有する高解像度のデジタル地図が含まれている。デジタル地図は、少なくとも1つの道路モデルによって形成され、この道路モデルは、区間およびレーンのコースを表し、かつレーンマークの個数およびコース、カーブ半径、傾斜、交差点および類似の特徴についての情報を含む。周囲モデルは、特に、別の静的な周囲要素を含んでいてよい。静的な周囲要素は、車線マークや、例えば停止線、ゼブラゾーン、中央分離帯、車線縁部マークなどのような線マークの位置および種類についての情報、また周囲の建造物の有無、ならびにそのクラスおよび相対的または絶対的な位置についての情報、交通標識の位置および種類についての情報、または灯火信号装置または道路情報板の種類および状態についての情報に関係する。
【0024】
車両側のセンサにより、車両周囲データが検出される。ステップ204を参照されたい。車両周囲データから、1つまたは複数の車両側プロセッサにより、スニペット206が計算される。スニペットには、つい先頃設置された交通標識108(
図1を参照されたい)が含まれている。比較により、すなわち車両側データベース202における対象物と、スニペット206における対象物との間で差分形成することにより、交通標識108がイベントとして識別される。ステップ210では、このイベントに対し、すなわちこのイベントが発生した空間領域に対し、乱数を生成するためのシードが受信されたか否かが求められる。車両側データベース202が、対応する空間領域についてデフォルトモードにある空間領域に対し、これは該当しない。というのはこのイベントはまだバックエンドに伝送されていないからである。この場合、イベント208は、バックエンド装置に伝送され、受信後にはそこにイベント216として存在する。バックエンド側では、場合によっては異なる車両からの特定数のイベントの伝送に基づき、このイベントに対する統計的な評価がステップ218で行われる。この統計的な評価に基づき、乱数を生成するためのシードを有するメッセージが、ステップ222において形成される。シードを有するこのメッセージは、車両に伝送され、この車両では、ステップ224において、このために構成されたプロセッサで乱数が生成される。さらにステップ218では、統計的な評価の枠内において、このイベントがどの程度、信頼に値するかを示す信頼値が求められ、ステップ220において閾値と比較される。信頼値が閾値を上回ることがこの比較によって判明した場合、サーバ側データベース200の更新が行われる。シードを有するメッセージを伝送することにより、車両側データベースは、デフォルトモードからイベントモードに再び移行し、このイベントモードでは、シードを用いて生成した乱数に依存してイベントが伝送される。メッセージを受信した後、あらかじめ設定した時間内にイベントがもはや発生しない場合、対応する通知がバックエンドになされる。したがって車両側データベースは、あらかじめ設定した時間が経過することにより、イベントモードからデフォルトモードに移行する。
【0025】
択一的な実施形態のプロトコルの流れ図は、
図3に示されている。車両側のセンサにより、車両周囲データが検出される。ステップ304を参照されたい。車両周囲データから、1つまたは複数の車両側プロセッサにより、スニペット306が計算される。スニペット306には、つい先頃設置された交通標識108(
図1を参照されたい)が含まれている。比較により、すなわち車両側データベース302における対象物と、スニペット306における対象物との間で差分形成することにより、交通標識108がイベントとして識別される。ステップ310では、このイベントに対し、すなわちこのイベントが発生した空間領域に対し、乱数を生成するためのシードが受信されたか否かが求められる。車両側データベース302が、対応する空間領域についてデフォルトモードにある空間領域に対し、これは該当しない。というのはこのイベントはまだバックエンドに伝送されていないからである。この場合、イベント308は、バックエンド装置に伝送され、受信後にはそこにイベント316として存在する。バックエンド側では、場合によっては異なる車両からの特定数のイベントの伝送に基づき、このイベントに対する統計的な評価がステップ318で行われる。この統計的な評価に基づき、満了時間を有する乱数を生成するためのシードを有するメッセージが、ステップ322において形成される。シードおよび満了時間を有するこのメッセージは、車両に伝送され、この車両では、ステップ324において、このために構成されたプロセッサにおいて乱数が生成される。この伝送は、ブロードキャストを用いて行うことが可能である。このためにイベントの空間位置が、無線セルにマッピングされ、メッセージが、対応する無線セルに伝送される。
【0026】
さらにステップ318では、統計的な評価の枠内において、このイベントがどの程度、信頼に値するかを示す信頼値が求められ、ステップ320において閾値と比較される。信頼値が閾値を上回ることがこの比較によって判明した場合、サーバ側データベース300の更新が行われる。シードを有するメッセージを伝送することにより、車両側データベースは、デフォルトモードからイベントモードに再び移行し、このイベントモードでは、シードを用いて生成した乱数に依存してイベントが伝送される。満了時間が経過した後、イベントがなお発生する場合、これは、デフォルトモードにおいて新たなイベントのように扱われる。したがってすべての車両から、これがバックエンドに伝送される。このためにステップ326では、満了時間を超過したか否かがチェックされる。満了時間を超過している場合、乱数が閾値を上回っているか否かに依存せずに、イベントがバックエンドに伝送される。その他の場合、車両側データベース302だけが更新される。
【国際調査報告】