(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-519680(P2020-519680A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】4−メトキシピロール誘導体の中間体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 207/36 20060101AFI20200605BHJP
A61K 31/40 20060101ALN20200605BHJP
A61P 1/04 20060101ALN20200605BHJP
A61P 31/04 20060101ALN20200605BHJP
【FI】
C07D207/36
A61K31/40
A61P1/04
A61P31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-563427(P2019-563427)
(86)(22)【出願日】2018年6月21日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月15日
(86)【国際出願番号】KR2018006989
(87)【国際公開番号】WO2018236153
(87)【国際公開日】20181227
(31)【優先権主張番号】10-2017-0078745
(32)【優先日】2017年6月21日
(33)【優先権主張国】KR
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ
(71)【出願人】
【識別番号】508131716
【氏名又は名称】デウン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジョンテク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンチョル
【テーマコード(参考)】
4C069
4C086
【Fターム(参考)】
4C069AC08
4C069BB08
4C069BB12
4C069BC05
4C069BD03
4C069CC02
4C086AA01
4C086BC05
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA68
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の中間体の製造方法に関し、本発明に係る製造方法は、低価の出発物質を使用して製造コストを下げることができ、全体的に高温反応を必要とせず、(トリメチルシリル)ジアゾメタンの代わりに低コストで爆発性がない試薬を使用し、また、全体的に高い収率で4−メトキシピロール誘導体の中間体を製造できるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)下記化学式1−1で表される化合物を、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−2で表される化合物を製造する段階と、
2)下記化学式1−2で表される化合物をアミン保護基(P)で保護して、下記化学式1−3で表される化合物を製造する段階と、
3)下記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−4で表される化合物を製造する段階と、
4)下記化学式1−4で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、下記化学式1−5で表される化合物を製造する段階と、
5)下記化学式1−5で表される化合物を、硫酸ジメチルと反応させて、下記化学式1−6で表される化合物を製造する段階と、
6)下記化学式1−6で表される化合物を、酸と反応させて、下記化学式1で表される化合物を製造する段階とを含む、下記化学式1で表される、化合物の製造方法:
[化学式1]
[化学式1−1]
[化学式1−2]
[化学式1−3]
[化学式1−4]
[化学式1−5]
[化学式1−6]
【請求項2】
前記段階1で、上記化学式1−1で表される化合物とアンモニウムクロリドのモル比は10:1〜1:10であり、
上記化学式1−1で表される化合物とシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムのモル比は10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記段階1で、上記化学式1−1で表される化合物、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応は0〜40℃で行い、酸と反応は80〜120℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記段階1の酸は酢酸、または塩酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記段階2で、前記アミン保護基(P)は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル(Tosy)、またはアシル(Acyl)である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記段階2の反応は10〜40℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記段階3で、前記ハロゲン化マグネシウムは、塩化マグネシウムまたは臭化マグネシウムである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
前記段階3で、上記化学式1−3で表される化合物とマロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウムのモル比は10:1〜1:10であり、
上記化学式1−3で表される化合物とカルボニルジイミダゾールのモル比は10:1〜1:10であり、
上記化学式1−3で表される化合物とハロゲン化マグネシウムのモル比は10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
前記段階3の酸は、塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
前記段階3で、上記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応は50〜100℃で行い、酸と反応は0〜40℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記段階4で、上記化学式1−4で表される化合物とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのモル比は1:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記段階4の反応は20〜70℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
前記段階5で、上記化学式1−5で表される化合物と硫酸ジメチルのモル比は10:1〜1:10である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
前記段階5の反応は20〜60℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
前記段階6で、上記化学式1−6で表される化合物とトリフルオロ酢酸のモル比は1:1〜1:30である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
前記段階6の反応は10〜40℃で行う、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
前記段階6の酸は、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸である、請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の製造に使用される中間体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
胃腸管の潰瘍、胃炎、逆流性食道炎は、攻撃因子(例えば、胃酸、ヘリコバクター菌ペプシン、ストレス、酒とタバコなど)と防御因子(例えば、胃粘膜、重炭酸塩、プロスタグランジン、血液供給程度など)の均衡が崩れて発生する。したがって、胃腸管の潰瘍、胃炎、逆流性食道炎などの胃腸管損傷に対する治療剤は、攻撃因子を抑制するか、防御因子を強化する薬物に分けられる。
【0003】
一方、胃腸管の潰瘍、胃炎、逆流性食道炎は、胃酸分泌が増加しなくても潰瘍が発生することが報告されていて、攻撃因子の増加に劣らず、胃腸粘膜の病的な変化による防御因子の減少が胃潰瘍の発生に重要な役割を果たすと受け止められている。したがって、攻撃因子を抑制する薬物以外にも、防御因子を強化する薬物が胃腸管の潰瘍、胃炎の治療に使用されている。防御因子を強化する薬物としては、潰瘍部位に結合して物理化学的膜を形成する粘膜保護剤および粘液合成と分泌を促進する薬物などが知られている。
【0004】
一方、ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)は、胃腸に存在する細菌であって、慢性胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こすことが知られており、多数の胃腸管損傷患者はヘリコバクターピロリ(H.pylori)に感染している。したがって、このような患者は、プロトンポンプ阻害剤、胃酸ポンプ拮抗剤などの抗潰瘍剤と共に、クラリスロマイシン(clarithromycin)、アモキシシリン(amoxicillin)、メトロニダゾール(metronidazole)、テトラサイクリン(tetracycline)などの抗生剤を服用しなければならず、これによって多様な副作用が報告されている。
【0005】
したがって、胃酸分泌抑制(例えば、プロトンポンプ抑制活性)および防御因子強化(例えば、粘液分泌増加)、そしてヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性を同時に有する抗−潰瘍薬物の開発が当業界に要求されている。
【0006】
これと関連した韓国特許登録第10−1613245号においては、4−メトキシピロール誘導体またはその薬学的に許容可能な塩は、優れた抗−潰瘍活性(つまり、プロトンポンプ抑制活性など)およびヘリコバクターピロリ(H.pylori)除菌活性を有することによって、胃腸管の潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、またはヘリコバクターピロリによる胃腸管損傷の予防および治療に有用であることが報告されている。
【0007】
上記特許の記載された4−メトキシピロール誘導体の製造において、下記化合物が中間体として製造される。
【0008】
上記特許の記載によれば、前記中間体は、2,4−ジフルオロフェニルグリシンから製造されるが、全体的に4つの段階で構成されている(韓国特許登録第10−1613245号においての実施例8の段階8−1〜8−3)。しかし、上記特許の製造方法によれば、総収率が9.0%と低く、全体的に高温反応が必要で高価な設備が必要であり、特に反応物質として(トリメチルシリル)ジアゾメタンを使用するが、これは高価な試薬であるだけでなく、爆発性があり、産業上の大量生産に適していない。
【0009】
そこで本発明者らは、前記中間体を製造することができる新たな製造方法を鋭意研究した結果、後述する製造方法のように全体的に高温反応が必要でなく、また(トリメチルシリル)ジアゾメタンの代わりに安価で爆発性がない試薬を使用し、さらに全体的に収率を向上させる製造方法を確認して本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、4−メトキシピロール誘導体の製造に有用に使用され得る中間体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、下記反応式1のような製造方法を提供し、より具体的には下記の段階を含む製造方法を提供する:
1)下記化学式1−1で表される化合物を、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−2で表される化合物を製造する段階、
2)下記化学式1−2で表される化合物をアミン保護基(P)で保護して下記化学式1−3で表される化合物を製造する段階、
3)下記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応させた後、酸と反応させて、下記化学式1−4で表される化合物を製造する段階、
4)下記化学式1−4で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、下記化学式1−5で表される化合物を製造する段階、
5)下記化学式1−5で表される化合物を、硫酸ジメチルと反応させて、下記化学式1−6で表される化合物を製造する段階、および
6)下記化学式1−6で表される化合物を、酸と反応させて脱保護化して、下記化学式1で表される化合物を製造する段階。
[反応式1]
以下、各段階別に本発明を詳しく説明する。
【0012】
(段階1)
前記段階1は、Strecker amino acid synthesisに関し、上記化学式1−1から上記化学式1−2で表される化合物のようにアミノ酸を製造する段階である。
【0013】
前記反応は実質的に二つの反応からなる。まず、一番目の反応は、上記化学式1−1で表される化合物を、アンモニウムクロリド、およびシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムと反応させることである。
【0014】
好ましくは、上記化学式1−1で表される化合物とアンモニウムクロリドのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−1で表される化合物とシアン化ナトリウム、またはシアン化カリウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0015】
好ましくは、前記一番目の反応溶媒は、炭素数1〜4のアルコール、および水酸化アンモニウムまたは炭酸アンモニウムを使用する。より好ましくは、前記炭素数1〜4のアルコールはメタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、またはtert−ブタノールを使用する。
【0016】
好ましくは、前記一番目の反応は0℃〜40℃で行う。前記反応温度が0℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0017】
好ましくは、前記一番目の反応は1時間〜48時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が48時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0018】
一方、前記一番目の反応が終了した以降には、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。好ましくは、前記精製は、前記反応の生成物からシアナミド化合物を結晶化して行う。前記結晶化溶媒としては水、および炭素数1〜4のアルコールを使用することができる。好ましくは、前記炭素数1〜4のアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、またはtert−ブタノールである。好ましくは、前記反応の生成物に水を投入し、10〜15℃に冷却した後、炭素数1〜4のアルコールを投入して10分〜2時間攪拌して行うことができる。
【0019】
前記一番目の反応が終了した後、前記一番目の反応生成物を酸と反応させる二番目の反応を行う。
【0020】
前記使用可能な酸として、酢酸、または塩酸が挙げられる。好ましくは、酢酸と塩酸を共に使用する。前記酸は、二番目の反応の反応物質であるだけでなく、溶媒としての役割も有する。したがって、前記一番目の生成物を十分に溶解可能な量で使用することが好ましい。
【0021】
好ましくは、前記二番目の反応は80〜120℃で行う。前記反応温度が80℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が120℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0022】
好ましくは、前記二番目の反応は1時間〜10時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が10時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0023】
一方、前記二番目の反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0024】
(段階2)
前記段階2は、上記化学式1−2で表される化合物をアミン保護基(P)で保護する段階であって、上記化学式1−2で表される化合物を、アミン保護基(P)を導入することができる化合物と反応させて、下記化学式1−3で表される化合物を製造する段階である。
【0025】
好ましくは、前記アミン保護基(P)は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トシル(Tosy)、またはアシル(Acyl)である。また、前記アミン保護基(P)を導入することができる化合物とは、前記保護基を導入するために当業界で使用される多様な化合物を指し、例えば、前記アミン保護基(P)がtert−ブトキシカルボニル(Boc)の場合、前記アミン保護基を導入することができる化合物としては、ジ−tert−ブチルジカーボネートが挙げられる。
【0026】
好ましくは、上記化学式1−2で表される化合物とアミン保護基(P)を導入することができる化合物のモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは3:1〜1:5である。
【0027】
好ましくは、前記反応は塩基存在下で行うことが好ましい。前記塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、メチル酸ナトリウム、ブチル酸カリウム、または炭酸セシウムを使用することができ、好ましくは炭酸水素ナトリウムを使用する。好ましくは、上記化学式1−2で表される化合物と塩基のモル比は1:1〜1:10であり、より好ましくは1:1〜1:5である。
【0028】
好ましくは、前記反応の溶媒としては、水、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、ブチルアルコール、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物を使用する。好ましくは、水とテトラヒドロフランを共に使用する。
【0029】
好ましくは、前記反応は10〜40℃で行う。前記反応温度が10℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。より好ましくは、前記反応は20〜30℃で行う。
【0030】
好ましくは、前記反応は1時間〜48時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が48時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。より好ましくは、前記反応は6時間〜24時間行う。
【0031】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0032】
(段階3)
前記段階3は、上記化学式1−3で表される化合物のカルボキシ基を置換する反応であって、前記反応は実質的に二つの反応からなる。
【0033】
まず、一番目の反応は、製造しようとする上記化学式1−4で表される化合物のマグネシウム塩である化合物を製造する反応であり、二番目の反応は、製造された上記化学式1−4で表される化合物のマグネシウム塩を酸に解離して上記化学式1−4の化合物を製造する反応である。
【0034】
上記化学式1−4で表される化合物は結晶化しにくいため、本発明ではそのマグネシウム塩をまず製造した後、結晶化を通して精製することによってこれを製造する。
【0035】
まず、一番目の反応は、上記化学式1−3で表される化合物を、(i)マロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウム、(ii)カルボニルジイミダゾール、および(iii)ハロゲン化マグネシウムと反応させる反応である。好ましくは、前記ハロゲン化マグネシウムとしては、塩化マグネシウムまたは臭化マグネシウムを使用することができ、より好ましくは塩化マグネシウムを使用する。
【0036】
好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とマロン酸メチルカリウムまたはマロン酸メチルナトリウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とカルボニルジイミダゾールのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とハロゲン化マグネシウムのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0037】
好ましくは、前記一番目の反応は、トリエチルアミンの存在下で行うことが好ましい。好ましくは、上記化学式1−3で表される化合物とトリエチルアミンのモル比はそれぞれ10:1〜1:10であり、より好ましくはそれぞれ5:1〜1:5であり、最も好ましくはそれぞれ3:1〜1:3である。
【0038】
好ましくは、前記一番目の反応溶媒としてはアセトニトリル、またはテトラヒドロフランを使用し、より好ましくはアセトニトリルを使用する。
【0039】
好ましくは、前記一番目の反応は50〜100℃で行う。前記反応温度が50℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が100℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0040】
好ましくは、前記一番目の反応は10分〜10時間行う。前記反応時間が10分未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が10時間を超える場合には副反応が起こり、好ましくない。より好ましくは、前記反応は10分〜5時間行う。
【0041】
前記一番目の反応が終了した後、前記一番目の反応生成物を酸と反応させる二番目の反応を行う。
【0042】
前記使用可能な酸として塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸があり、好ましくは塩酸を使用する。
【0043】
前記二番目の反応の溶媒としては、酢酸エチル、水、塩化メチレン、またはこれらの混合物を使用することができ、好ましくは酢酸エチルと水を共に使用する。
【0044】
前記二番目の反応は0〜40℃、酸でpH4〜8に調節する。前記反応温度が0℃未満、または40℃超過の場合には、製造収率が低くなる問題がある。好ましくはpH6〜8に調節する。pH8以上ではマグネシウム塩は完全に解離せず、製造収率が低くなる。
【0045】
一方、前記二番目の反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0046】
(段階4)
前記段階4は、上記化学式1−4で表される化合物からピロール誘導体を製造する段階であって、上記化学式1−4で表される化合物を、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールと反応させて、下記化学式1−5で表される化合物を製造する段階である。
【0047】
好ましくは、上記化学式1−4で表される化合物とN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのモル比は1:1〜1:10であり、より好ましくは1:1〜1:5である。
【0048】
好ましくは、前記反応溶媒としてはトルエン、またはキシレンを使用することができ、より好ましくはトルエンを使用する。
【0049】
好ましくは、前記反応は20〜70℃で行う。前記反応温度が20℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が70℃超過の場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0050】
好ましくは、前記反応は30分〜12時間行う。前記反応時間が30分未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が12時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0051】
一方、前記反応の生成物である上記化学式1−5で表される化合物は化学的に不安定であるので、別途の精製段階なしに次の段階5を連続的に行うことが好ましい。
【0052】
(段階5)
前記段階5は、上記化学式1−5で表される化合物のヒドロキシ基をメトキシに置換する反応であって、上記化学式1−5で表される化合物を、硫酸ジメチルと反応させて、上記化学式1−6で表される化合物を製造する段階である。
【0053】
好ましくは、上記化学式1−5で表される化合物と硫酸ジメチルのモル比は10:1〜1:10であり、より好ましくは5:1〜1:5であり、最も好ましくは3:1〜1:3である。
【0054】
また、前記反応は塩基の存在下で行うことが好ましい。前記塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、メチル酸ナトリウム、ブチル酸カリウム、または炭酸セシウムを使用することができ、好ましくは炭酸カリウムを使用する。また、前記反応は、塩基存在下でヨウ化メチルを使用して行うことができる。好ましくは、上記化学式1−5で表される化合物と塩基のモル比は1:1〜1:5であり、より好ましくは1:1〜1:3である。
【0055】
好ましくは、前記反応溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール、または炭素数3〜6のケトンを使用する。より好ましくは、前記反応溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、またはイソブチルケトンを使用する。
【0056】
好ましくは、前記反応は20〜60℃で行う。前記反応温度が20℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が60℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0057】
好ましくは、前記反応は1時間〜24時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が24時間を超える場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0058】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【0059】
(段階6)
前記段階6は、上記化学式1−6で表される化合物の保護基を除去する段階であって、上記化学式1−6で表される化合物を、酸と反応させて、上記化学式1で表される化合物を製造する段階である。
【0060】
前記使用可能な酸としては、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、または燐酸があり、好ましくはトリフルオロ酢酸を使用する。
【0061】
好ましくは、上記化学式1−6で表される化合物と前記酸のモル比は1:1〜1:30であり、より好ましくは1:5〜1:20である。
【0062】
好ましくは、前記反応溶媒としては、塩化メチレン、酢酸エチル、メタノール、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、または水を使用することができ、好ましくは塩化メチレンを使用する。
【0063】
好ましくは、前記反応は10〜40℃で行う。前記反応温度が10℃未満の場合には製造収率が低くなる問題があり、前記反応温度が40℃超過の場合には副反応が起こり、好ましくない。
【0064】
好ましくは、前記反応は1時間〜24時間行う。前記反応時間が1時間未満の場合には反応が十分に進まず、製造収率が低くなる問題があり、前記反応時間が24時間を超える場合には製造収率が実質的に増加しない。
【0065】
一方、前記反応が終了した後、必要に応じて生成物を精製する段階を含むことができる。
【発明の効果】
【0066】
上述のように、本発明に係る製造方法は、低価の出発物質を使用して製造コストを下げることができ、全体的に高温反応を必要とせず、(トリメチルシリル)ジアゾメタンの代わりに安価で爆発性がない試薬を使用し、また、全体的に高い収率で4−メトキシピロール誘導体の中間体を製造できる利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下、下記の実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するものであり、本発明の範囲はこれら実施例のみに限定されるものではない。一方、前記実施例および比較例で各段階で製造された化合物は次の段階で使用され、各段階は次の段階のために下記に記載されているものより、もっと多くの生成物を製造することができる。
【0069】
(段階1)
フラスコに、アンモニウムクロリド35.8g、シアン化ナトリウム26.9gを入れて、水酸化アンモニウム(25〜28%)716.0mLを投入し10分間攪拌した。0〜5℃に冷却して10分間攪拌した後、室温で昇温して15分間攪拌した。0〜5℃に冷却した後、他のフラスコに準備された2,4−ジフルオロベンズアルデヒド(化学式1−1)100.0g、およびメタノール770.0mLを含む溶液を15〜20分間徐々に投入した。室温で昇温して22時間攪拌して一番目の反応を終了した。50℃で減圧濃縮し、次いで酢酸983.0mL、およびconc.HCl 983.0mLを投入して内部温度100〜105℃で5時間還流して二番目の反応を終了した。75℃で減圧濃縮して固体が析出されるまで溶媒を除去した。精製水を投入した後、攪拌して結晶を析出させた。5M−NaOH溶液を使用して内部温度25℃以下でpH6.5に調節した。エタノールを投入し10〜15℃で1時間攪拌した。減圧ろ過した後、ろ過物をエタノールで洗浄した。得られた固体を減圧乾燥して、化学式1−2で表される化合物78.4gを得た(収率:59.5%)。
【0070】
(段階2)
フラスコに、前記段階1で製造した化学式1−2で表される化合物100.0g、THF 1.5L、および精製水1.5Lを投入し、室温で10分間攪拌した。内部温度を0〜5℃に冷却して炭酸水素ナトリウム134.6g、ジ−tert−ブチルジカーボネート139.5gを投入した。内部温度20〜30℃で12時間攪拌して反応を終了し、45℃で減圧濃縮した。酢酸エチルを投入した後、内部温度を10℃以下に冷却した。6N−HClを使用してpHを2.5に調節した。有機層を分離した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、45℃で減圧濃縮して、上記化学式1−3で表される化合物151.2gを得た(収率:98.5%)。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):8.13−8.14(d、1H)、7.37−7.42(m、1H)、6.82−6.89(m、2H)、5.46−5.47(d、1H)、1.23(s、9H)
【0071】
(段階3)
フラスコに、前記段階2で製造した化学式1−3で表される化合物100.0g、カルボニルジイミダゾール61.9g、およびアセトニトリル1.0Lを投入し、室温で1時間攪拌した。他のフラスコに、マロン酸メチルカリウム59.8g、無水マグネシウムクロリド36.4g、アセトニトリル1.0L、およびトリエチルアミン38.8gを投入し、20〜30℃で1時間攪拌した。前記二つのフラスコの反応物質を混合し外部温度80℃で1時間還流して反応を終了した。室温に冷却した後、精製水を投入した。内部温度5〜10℃に冷却した後、1時間攪拌した。得られた固体を減圧ろ過した後、精製水で洗浄した。得られた結晶はマグネシウム塩であるため、以下、塩の解離工程を行った。
【0072】
フラスコに、前記製造したマグネシウム塩、酢酸エチル1.5L、および精製水1.0Lを投入し10分間攪拌した。6N−HClを使用してpHを7.0に調節した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、45℃で減圧濃縮して、上記化学式1−4で表される化合物97.3gを製造した(収率:81.4%)。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):7.26−7.30(m、1H)、6.85−6.92(m、2H)、5.83(s、1H)、5.64−5.65(d、1H)、3.67(s、3H)、3.38−3.52(dd、2H)、1.41(s、9H)
【0073】
(段階4)
フラスコに、前記段階3で製造した化学式1−4で表される化合物100.0g、およびトルエン2.0Lを投入し、室温で10分間攪拌した。N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール104.1gを投入し、40℃で4時間攪拌して反応を終了した。45℃で減圧濃縮した後、濃縮残渣に酢酸エチル、および精製水を投入し、10分間攪拌した。1N−HClを使用してpHを7.0に調節した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、45℃で減圧濃縮して、化学式1−5で表される化合物79.2gを製造した(収率:77.0%)。一方、上記化学式1−5で表される化合物は不安定(aerial oxidation発生)であり、in−situ工程で以下の段階5を連続的に行った。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):7.73(s、1H)、7.48(s、1H)、7.38−7.43(q、1H)、6.83−6.95(tt、2H)、3.90(s、3H)、1.39(s、9H)
【0074】
(段階5)
フラスコに、前記段階4で製造した化学式1−5で表される化合物100.0g、およびアセトン1.5Lを投入した後、室温で10分間攪拌した。炭酸カリウム78.2g、および硫酸ジメチル42.9gを投入し、40℃で6時間攪拌して反応を終了した。室温に冷却し、精製水、および酢酸エチルを投入して10分間攪拌した。6N−HClを使用してpHを7.0に調節した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、45℃で減圧濃縮して、化学式1−6で表される化合物90.6gを製造した(収率:87.1%)。次いで、別途の精製工程なしにin−situ工程で以下の段階6を行った。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):7.87(s、1H)、7.31−7.36(q、1H)、6.84−6.95(tt、2H)、3.86(s、3H)、3.68(s、3H)、1.38(s、9H)
【0075】
(段階6)
フラスコに、前記段階5で化学式1−6で表される化合物100.0g、および塩化メチレン500.0mLを投入し、室温で10分間攪拌した。トリフルオロ酢酸310.4gを投入し、室温で6時間攪拌して反応を終了した。次いで、0〜5℃に冷却した後、精製水を15℃以下で徐々に投入した。50.0% NaOH溶液を使用して15℃以下でpHを7.0に調節した。酢酸エチルを投入して10分間攪拌した。有機層を抽出した後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。酢酸エチルで洗浄したceliteを濾過器に置き、有機層を減圧ろ過した後、45℃で減圧濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチルを投入し攪拌して懸濁させた。n−ヘキサンを投入し内部温度を0〜5℃に冷却して1時間攪拌した。得られた固体を減圧ろ過した後、ろ過物をn−ヘキサンで洗浄した。減圧乾燥して、化学式1で表される化合物65.5gを得た(収率:90.0%)。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):8.78(s、1H)、8.12(m、1H)、7.30(d、1H)、6.95(t、1H)、6.88(t、1H)、3.87(s、3H)、3.85(s、3H)
【0076】
比較例
韓国特許登録第10−1613245号においての実施例8の段階8−1〜8−3と同様の方法で、以下のように行った。
【0077】
(段階1)
2,4−ジフルオロフェニルグリシン(化学式2−1、150.0g、801.5mmol)、ジメチル2−(メトキシメチレン)マロン酸(化学式2−2、126.9g、728.6mmol)、および酢酸ナトリウム(65.8g、801.5mmol)をメタノール(800.0mL)に加えた後、60℃で4時間還流させた。反応混合物を室温に冷却した後、減圧濃縮してメタノールを約70%除去した後、ろ過した。得られた固体を減圧乾燥して、上記化学式2−3で表される化合物190.0gを製造した(収率:79.2%)。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):8.02−7.99(m、1H)、7.45−7.40(m、1H)、7.00−6.95(m、2H)、5.16(s、1H)、3.74(s、3H)、3.76(s、3H)
【0078】
(段階2)
前記段階1で製造した化学式2−3で表される化合物(190.0g、577.1mmol)に酢酸無水物(1731.2mL)およびトリエチルアミン(577.1mL)を加えた。反応混合物を140℃で30分間還流させた後、0℃に冷却した。反応混合物に0℃で氷水(577.1mL)を加えた後、室温で1時間攪拌した後、酢酸エチルで抽出した。得られた抽出液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた化合物をシリカゲルを使用してろ過して固体を除去した後、減圧濃縮して、上記化学式2−4で表される化合物を製造し、次いで下記の段階3で使用した。
【0079】
(段階3)
得られた残渣にテトラヒドロフラン(140.0mL)および水(120.0mL)を加えて、0℃に冷却した後、水酸化ナトリウム(46.17g、1154.2mmol)を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した後、1N塩酸水溶液を使用して中和させた後、酢酸エチルで抽出した。得られた抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4(v/v))で精製して、化学式2−5で表される化合物22.0gを製造した(収率:15.1%(段階2および3含み))。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):8.80(s、1H)、8.17−8.12(m、2H)、7.13(d、1H)、6.95(t、1H)、6.86−6.83(m、1H)、3.88(s、3H)
【0080】
(段階4)
前記段階3で製造した化学式2−5で表される化合物(22.0g、86.9mmol)をテトラヒドロフラン(434.5mL)およびメタノール(173.9mL)に溶解した。反応混合物に(トリメチルシリル)ジアゾメタン(2.0M ジエチルエーテル溶液、173.8mL)を加えて、室温で48時間攪拌した。反応混合物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。得られた抽出液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:n−ヘキサン=1:4(v/v))で精製して、化学式1で表される化合物18.1gを製造した(収率:75.3%)。
1H−NMR(500MHz、CDCl
3):8.78(s、1H)、8.12(m、1H)、7.30(d、1H)、6.95(t、1H)、6.88(t、1H)、3.87(s、3H)、3.85(s、3H)
【0081】
実施例および比較例の比較
前記実施例および比較例の製造方法の収率を下記表1に示す。
【表1】
【0082】
上記表1に示すように、本発明に係る実施例では、低価のアルデヒドを出発物質として使用することによって製造コストを下げることができるだけでなく、比較例に比べて収率が約5.4倍向上することが確認できた。
【0083】
特に、本発明に係る実施例の段階2と比較例の段階1では、いずれも2,4−ジフルオロフェニルグリシンを出発物質として使用しているが、前記段階から化学式1で表される化合物を製造する方法を比較すると、本発明に係る実施例では約50%の収率を示す反面、比較例では9%の収率を示して、本発明に係る実施例の収率が顕著に改善されていることが確認できた。
【0084】
また、本発明に係る実施例では全段階で比較的低い温度を適用した反面、比較例の段階2では約140℃の反応温度を適用して、本発明に係る製造方法が、相対的に低い反応温度を適用できるという利点がある。さらに、比較例の段階4では爆発性がある反応物質である(トリメチルシリル)ジアゾメタンを使用した反面、本発明に係る実施例ではこのような反応物質を使用しないという利点もある。
【国際調査報告】