特表2020-519784(P2020-519784A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-519784前方ドアおよび後方ドアを備えた自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-519784(P2020-519784A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】前方ドアおよび後方ドアを備えた自動車
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/689 20150101AFI20200605BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20200605BHJP
   B60J 1/17 20060101ALI20200605BHJP
   H02P 29/00 20160101ALI20200605BHJP
【FI】
   E05F15/689
   E05B81/06
   B60J1/17 A
   H02P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-559702(P2019-559702)
(86)(22)【出願日】2018年5月23日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2018063561
(87)【国際公開番号】WO2018219752
(87)【国際公開日】20181206
(31)【優先権主張番号】102017208983.0
(32)【優先日】2017年5月29日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス エッガー
(72)【発明者】
【氏名】マルク デジェアン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン エーアリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン マイアー
【テーマコード(参考)】
2E052
2E250
3D127
5H501
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052BA01
2E052CA06
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA08
2E052GA10
2E052GB12
2E052KA13
2E052LA02
2E250AA21
2E250BB08
2E250HH02
2E250JJ03
2E250KK03
2E250LL02
2E250LL04
3D127AA19
3D127BB01
3D127CB05
3D127CC05
3D127CC06
3D127DF04
3D127DF15
3D127DF33
3D127DF35
3D127FF03
3D127FF23
5H501AA20
5H501DD01
5H501HA07
5H501HB16
5H501JJ03
5H501LL14
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL35
5H501MM09
(57)【要約】
それぞれ1つの前方ドアおよび後方ドアが設けられている少なくとも1つの車両側面を備えた自動車と、少なくとも1つの車両側面のそれぞれの後方ドアにおける電動モータを動作させる方法とに関する。開示されているのは、それぞれ1つの前方ドア(12)および後方ドア(13)が設けられている少なくとも1つの車両側面(11)を備えた自動車(10)であり、後方ドア(13)には、モータ駆動のドア機能(16)用の電動モータ(17)が設けられており、モータ(17)を動作させるために、モータ電流(I0)を伝送する電気線路要素(33)を介してモータ(17)に接続されている制御装置(32)が設けられている。ここで規定されるのは、制御装置(32)が、前方ドア(12)に配置されており、かつ前方ドア(12)の少なくとも1つのドア機能(25、30)も制御するように構成されていることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ1つの前方ドア(12)および後方ドア(13)が設けられている少なくとも1つの車両側面(11)を備えた自動車(10)であって、
前記後方ドア(13)には、モータ駆動のドア機能(16)用の電動モータ(17)が設けられており、
前記モータ(17)を動作させるために、モータ電流(I0)を伝送する電気線路要素(33)を介して前記モータ(17)に接続されている制御装置(32)が設けられており、
前記制御装置(32)は、前記前方ドア(12)に配置されており、かつ前記前方ドア(12)の少なくとも1つのドア機能(25、30)も制御するように構成されている、自動車(10)。
【請求項2】
前記制御装置(32)が前記モータ電流(I0)をオンオフするスイッチングレートが、前記自動車(10)の無線受信器(45)の実際に設定される受信周波数(f)に依存して設定されるように前記制御装置(32)が構成されている、請求項1記載の自動車(10)。
【請求項3】
前記制御装置(32)は、前記モータ(17)の前記モータ電流(I0)をオンオフするパワー電子装置を有し、
前記モータ電流(I0)の時間経過に基づき、前記モータ(17)の回転位置および/または回転速度および/または移動量を求めるように、前記制御装置(32)の評価装置(43)が構成されている、請求項1または2記載の自動車(10)。
【請求項4】
前記評価装置(43)は、前記回転位置および/または前記回転速度および/または前記移動量を求めるために、前記時間経過において波を識別しかつカウントするように構成されている、請求項3記載の自動車(10)。
【請求項5】
前記前方ドアの少なくとも1つの前記ドア機能(25)にも同様に電動モータ(26)が設けられ、前記評価装置(43)は、前記前方ドア(12)の前記モータ(26)のモータ電流(I1)の時間経過に基づき、前記モータ(26)の回転位置および/または回転速度および/または移動量を求めるように構成されている、請求項3または4記載の自動車(10)。
【請求項6】
前記後方ドア(13)のモータ駆動の前記ドア機能(16)は、電動式ウィンドウリフト機能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の自動車(10)。
【請求項7】
前記モータ(17)をオンオフする少なくとも1つのスイッチ(19)が前記後方ドア(13)に設けられており、少なくとも1つの前記スイッチ(19)は、前記スイッチ(19)において行われる操作行動を検出するために、少なくとも1つのワイヤ(39)を介して前記制御装置(32)に電気的に接続されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の自動車(10)。
【請求項8】
前記制御装置(32)は、前記前方ドア(12)において、前記後方ドア(13)よりも多くのドア機能(25、30)を制御するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の自動車(10)。
【請求項9】
それぞれの前記車両側面(11)の前記前方ドア(12)および前記後方ドア(13)外に、それぞれの前記前方ドア(12)およびそれぞれの前記後方ドア(13)のロックモータ(21)のロック駆動制御用に中央制御装置(34)が設けられている、請求項1から8までのいずれか1項記載の自動車(10)。
【請求項10】
第1ドア(12)および第2ドア(13)を有する少なくとも1つの車両側面(11)を備えた自動車(10)用のドア制御装置であって、
前記ドア制御装置は、以下の特徴、すなわち
モータ駆動のドア機能(16)用に、前記第2ドア(13)に設けられる電動モータ(17)と、
前記モータ(17)を動作させる制御装置(32)とを有しており、
前記制御装置(32)は、モータ電流(I0)を伝送する電気線路要素(33)を介して前記モータ(17)に接続されており、
前記制御装置(32)は、前記第1ドア(12)に設けるために構成されており、
前記制御装置(32)は、前記第1ドア(12)の少なくとも1つのドア機能(25、30)も制御するように構成されている、自動車(10)用のドア制御装置。
【請求項11】
前記第1ドアは、前記自動車(10)の前方ドア(12)であり、前記第2ドアは、後方ドア(13)である、請求項10記載のドア制御装置。
【請求項12】
前記第2ドアは、前記自動車(10)の前方ドア(12)であり、前記第1ドアは、後方ドア(13)である、請求項10記載のドア制御装置。
【請求項13】
自動車(10)の少なくとも1つの車両側面(11)のそれぞれの後方ドア(13)における電動モータ(17)を動作させる方法であって、
少なくとも1つの前記車両側面(11)において、前記車両側面(11)の前方ドア(12)に、前記前方ドア(12)の少なくとも1つのドア機能(25、30)を制御するそれぞれ1つの制御装置(32)が設けられており、
前記制御装置(32)により、電気線路要素(33)を介して、前記後方ドア(13)における前記モータ(17)のモータ電流(I0)を制御する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれ1つの前方ドアおよび後方ドアが設けられている少なくとも1つの車両側面を有する車両に関する。少なくとも後方ドアは、モータ駆動のドア機能用の電動モータを有する。本発明には、電動モータの動作方法も含まれる。
【0002】
自動車には、4つの車両ドア、すなわち、車両側面(右および左)毎にそれぞれ1つの前方ドアおよび後方ドアを設けることができる。車両ドアには、例えば電動ウィンドウリフト機能を提供するために電動モータを設けることが可能である。このようなモータは、ウィンドウフレームにおいて、車両ドアのウィンドウガラスを移動またはスライドさせることができる。電動モータを制御するためには、すなわちそのモータ電流をオンオフするためには、制御装置が必要である。
【0003】
すなわち、このような制御装置は、一般に、例えば上記のウィンドウリフト機能、サイドミラー、照明のような少なくとも1つのドア機能を制御することが可能である。これに対応して、制御装置と、それぞれのドア機能(ウィンドウリフタ、サイドミラー、照明)とを接続するために、電気線路の個数が多くなる。車両ドア毎に制御装置が設けられる場合、特に、それぞれの制御装置と、車両ドア外に配置されている中央制御装置とを個別に接続する必要もある。すなわち、このためには、それぞれの制御装置に至る、例えばCANバス(CAN−Controller Area Network)のような通信バスの線路を敷設しなければならない。
【0004】
したがって車両側面毎に2つの(前方ドアおよび後方ドア用にそれぞれ1つの)制御装置を設けること、およびそれぞれの制御装置を自動車の通信バスに接続することは、技術的に煩雑である。これにより、車両の製造コストが高くなる。
【0005】
本発明の根底にある課題は、自動車の車両ドアにおけるドア機能を制御するための技術的なコストを少なくすることである。
【0006】
この課題は、独立請求項の対象によって解決される。本発明の有利な発展形態は、従属請求項、以下の説明および図面によって説明される。
【0007】
本発明により、提供されるのは、少なくとも1つの車両側面にそれぞれ1つの前方ドアと後方ドアとが設けられている自動車である。後方ドアには、モータ駆動のドア機能用の電動モータが設けられている。このモータを動作させるために、モータ電流を伝送する電気線路要素を介してモータに接続されている制御装置が設けられている。本発明において規定されるのは、後方ドアのこのモータ用の制御装置が、同様に後方ドアに配置されているのではなく、前方ドアに配置されており、かつ前方ドアの少なくとも1つのドア機能も制御するように構成されていることである。言い換えると、後方ドアのモータ駆動のドア機能も、前方ドアの少なくとも1つのドア機能も共に制御するただ1つの制御装置が、車両側面毎に設けられている。
【0008】
本発明によって得られる利点は、車両側面毎にただ1つの制御装置を設ければよく、したがって通信バスも、車両側面毎のただ1つの制御装置に導けばよいことである。
【0009】
前方ドアにおいて、制御装置は、例えば、上記のドア機能のウィンドウリフタ、サイドミラー調整、照明制御のうちの少なくとも1つを制御可能である。後方ドアには、専用の制御装置、すなわち、特に、電動モータを制御するマイクロコントローラおよび半導体スイッチは不要である。半導体スイッチは、例えば、1つのトランジスタ、または複数のトランジスタから成る回路によって形成可能である。前方ドアの制御装置と、後方ドアにおける電動モータと接続する線路要素は、例えば、それぞれ1つのケーブルまたはワイヤであってよい。これらの線路要素のうちの1つは、少なくとも部分的に、自動車の車両フレームによって形成されることも可能であり、この場合にこの車両フレームは、電流回路を閉成するアース電位として利用することが可能である。
【0010】
本発明には、複数の発展形態も含まれており、それらの特徴により、付加的な複数の利点が得られる。
【0011】
一発展形態において規定されるのは、制御装置がモータ電流をオンオフするスイッチングレートまたはスイッチング周波数が、自動車の無線受信器の実際に設定される受信周波数に依存して設定されるように制御装置が構成されていることである。このスイッチングレートは、例えば、パルス幅変調では、モータ電流の平均的な電流の強さを設定するために得ることができる。スイッチングレート(秒当たりのオンオフ過程)は、次のように受信周波数に適合される。すなわち、オンオフされるモータ電流は、その基本周波数およびそれぞれの調波周波数または高調波周波数が、無線受信器の受信周波数とは異なる時間経過または時間信号を有するように適合される。これにより、無線受信器の無線受信が妨害されることが回避される。無線受信器は、例えば、自動車のラジオであってよい。無線受信器は、例えば、上記の通信バスを介して制御装置に直接、または上記の中央制御装置を介して間接的に、実際に設定される受信周波数をシグナリングすることが可能である。したがってこの発展形態では、線路要素の長さに起因して生じ得る、線路要素の放射電波の放射出力が補償される。
【0012】
モータ電流を制御または設定するために、制御装置は、モータ電流をオンオフするパワー電子装置を有していてよい。このようなパワー電子装置は、例えば、1つまたは複数のトランジスタを含んでいてよい。調整または制御されたモータ電流が必要でなく、単に0%と100%とを切り換えたいのであれば、リレーを設けることも可能である。後方ドアのモータが直流モータである場合、この直流モータを制御するために、例えばいわゆるHブリッジを設けることが可能である。すなわちこの場合には、複数の線路要素のうちの1つは、それぞれ1つの半導体スイッチを介して、自動車の車載電源網のプラス電位に接続され、またマイナス電位またはアース電位にも接続される。
【0013】
モータを所望の回転位置または所望の速度で制御するために、センサをモータに設けることができる。これを節約するため、一発展形態によって規定されるのは、モータ電流の時間経過に基づき、モータの回転位置および/または回転速度および/または移動量を求めるように、制御装置の評価装置を構成することである。すなわちモータの運動を推定するために、モータ電流が、その時間経過またはその時間変化について評価される。この場合には後方ドアにおけるセンサと、前方ドアにおける制御装置とを接続する付加的なセンサ線路も不要である。上記の評価装置は、制御装置のマイクロコントローラのプログラムモジュールとして設けることが可能である。しかしながら評価装置は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)および/またはディスクリートの電子構成素子を備えた回路に基づいて実現することも可能である。評価装置は、モータ電流の時間経過を検出するために、制御装置の電流測定部および/または電圧測定部を利用することができる。
【0014】
評価装置は、回転位置および/または回転速度および/または移動量を求めるために、時間経過において波を識別しかつカウントするように構成可能である。このような波は、局所的な最大値もしくは局所的な最小値、または局所的な最大値および局所的な最小値から成るシーケンスであってよい。このような波は、公知のように、最大値および/または最小値を求めるための複数の測定値の比較によって識別することができる。波は、ロータの運動時に発生しかつ変化する、モータのリラクタンスに起因して生じる、モータのロータの回転位置の変化に対応する。波をカウントすることにより、ロータの運動幅または回転位置変化を求めることができる。ここではさらに持続時間を考慮すれば、回転速度を推定することができる。モータの幾何学形状を考慮すれば、それぞれの波によってモータがどの程度回転するかを求めることができ、これによって移動量が得られる。
【0015】
後方ドア用の評価装置が設けられおり、かつ前方ドアの少なくとも1つのドア機能にも同様に電動モータを設けられる場合、一発展形態によれば、評価装置は、前方ドアのモータのモータ電流の時間経過に基づき、その回転位置および/または回転速度および/または移動量も同様に求めるように構成可能である。これにより、前方ドアの電動モータに対しても、回転位置および/または回転速度および/または移動量を検出するセンサを設ける必要がない。すなわち、説明したこの発展形態により、後方ドアのモータおよび選択的には前方ドアのモータをセンサレスに動作させることが可能である。
【0016】
後方ドアのモータ駆動のドア機能は、特に、電動式ウィンドウリフト機能である。したがって後方ドアのモータは、電動式ウィンドウリフタの構成部分である。すなわち、このウィンドウリフタのウィンドウの位置は、モータのモータ電流をオンオフすることよって制御装置により、設定可能である。
【0017】
ここで後方ドアのモータ駆動のドア機能を操作できるようにするため、一発展形態では、モータを制御する少なくとも1つのスイッチが後方ドアに設けられており、この少なくとも1つのスイッチは、スイッチにおいて行われる操作行動を検出するために、少なくとも1つのワイヤを介して前方ドアの制御装置に電気的に接続されている。少なくとも1つのスイッチは、例えば、シーソスイッチの構成部分であってよく、ユーザは、ウィンドウを開けるまたは閉じるために、この構成部分を介し、電動式ウィンドウリフト機能を用いて、後方ドアのウィンドウガラスを動かすことができる。
【0018】
制御装置と、後方ドアのそれぞれのドア機能との間の配線には、制御装置に至る、前方ドアのドア機能の配線よりも長いケーブルが必要である。これに対応して、このドアにおける制御装置には、より多くのドア機能が設けられている。言い換えると、制御装置は、前方ドアにおいて、後方ドアよりも多くのドア機能を制御するように構成されている。
【0019】
自動車は、説明したように、それぞれの車両側面の前方ドアおよび後方ドア外に設けられた中央制御装置を有していてよい。この中央制御装置は、説明したように、通信バスを介してそれぞれの車両側面の前方ドアのそれぞれの制御装置に接続可能である。後方ドアに至る通信バスは不要である。中央制御装置によって後方ドアのドア機能を制御したい場合には、これは、すなわち、前方ドアの制御装置を介して間接的に行われることになる。しかしながら時間的にクリティカルなドア機能では、これは不利になり得る。この時間的にクリティカルなドア機能は、特に、キーレスエントリ技術、すなわち無線キーに基づくセンタロックシステムである。この無線キーは、ユーザによって操作される必要はない。その代わりにユーザは、前方ドアまたは後方ドアのドアグリップを操作し、これに続いてセンタロックシステムは、自動車の外部領域において認証された無線キーを無線で識別できるか否かを求める。識別できる場合、センタロックシステムは、それぞれのロックモータを駆動制御することによって車両ドアを解錠する。これは、ドアグリップの最終位置に到達した際に、ユーザが、実際にも車両ドアを開けることができるようにするために、まだドアグリップを操作している間に行わなければならない。すなわちロックモータは、車両ドアのドアロックを適時に解錠しておかなければならない。すなわち、権限を有する人のドアグリップの操作が、ドアの開放の成功に結び付くようにするために、極めて短い時間にドアロックのドア施錠を開放しなければならない。ここで極めて短い時間とは、500msよりも短い、特に200msよりも短い時間のことである。
【0020】
一発展形態において規定されるのは、自動車のそれぞれの前方ドアおよびそれぞれの後方ドアのロックモータのロック駆動制御部用に中央制御装置が直接設けられていることである。すなわち中央制御装置は、それぞれの前方ドアおよびそれぞれの後方ドアのロックモータを直接制御するために設けられている。すなわちロックモータは、それぞれの前方ドアの制御装置を迂回して、中央制御装置によって制御される。これにより、複数の車両ドア(前方ドアまたは後方ドア)のうちの1つのドアグリップが操作された際、かつ無線キーの確認に成功した際には、500ms未満で、特に200ms未満で、それぞれの前方ドアおよびそれぞれの後方ドアのロックモータを駆動制御することができる。
【0021】
本発明には、自動車の少なくとも1つの車両側面のそれぞれの後方ドアにおける電動モータを動作する方法も含まれる。説明したように、少なくとも1つの車両側面において、この車両側面の前方ドアには、それぞれ1つの制御装置が設けられており、この制御装置は、前方ドアの少なくとも1つのドア機能を制御するが、電気線路要素を介して、後方ドアにおけるモータのモータ電流も制御する。これは、モータ電流としてこれらの線路要素においてオンオフされる。
【0022】
本発明には、第1ドアおよび第2ドアを有する少なくとも1つの車両側面を備えた自動車用のドア制御装置も含まれる。このドア制御装置は、以下の特徴を有する。このドア制御装置は、第2ドアにおいてモータ駆動のドア機能を実現するために、第2ドアに設けられる電動モータを有する。さらにこのドア制御装置は、第1ドアに設けるための、かつモータを動作させる制御装置を有しており、この制御装置は、モータ電流を伝送する電気線路要素を介してモータに接続されている。さらにこの制御装置は、第1ドアの少なくとも1つのドア機能も制御するように構成されている。第1ドアは、自動車の前方ドアであってよく、かつ第2ドアは、後方ドアであってよく、またはこの逆であってもよい。
【0023】
本発明には、本発明による方法およびドア制御装置の発展形態も含まれ、これらの発展形態は、本発明による自動車の発展形態に関連してすでに説明した特徴を有する。このような理由から、本発明による方法およびドア制御装置の対応する発展形態については、ここでは再度説明しない。
【0024】
以下では、本発明の実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明による自動車の一実施形態の概略図である。
図2図1の自動車の概略回路図である。
【0026】
以下で説明する実施例は、本発明の好ましい実施形態についてのものである。この実施例において、この実施形態の説明するコンポーネントは、互いに独立して考察することが可能なそれぞれ個別の、本発明の特徴を表しており、これらはまた本発明をそれぞれ互いに独立して発展させ、したがってまた個別にも、またはここで示した組み合わせとは異なる組み合わせにおいても、本発明の構成部分と見なすことができる。さらに、説明する実施形態は、すでに説明した本発明の特徴とは別の特徴によって補足することも可能である。
【0027】
図面において、機能が同じ要素にはそれぞれ同じ参照符号が付されている。
【0028】
図1には、自動車(Kraftfahrzeug)10が示されており、これは、普通自動車(Kraftwagen)、特に乗用車(Personenkraftwagen)であってよい。自動車10は、それ自体公知のように、車両側面11に前方ドア12および後方ドア13を有していてよい。後方ドア13は、スライド可能または走行可能にウィンドウフレーム15に配置可能なウィンドウガラス14を有していてよい。後方ドア13には、モータ駆動のドア機能16として、電動式ウィンドウリフト機能を設けることが可能である。このために、電動モータ17(M)、例えば直流モータを設けることが可能である。モータ17をオンオフするため、後方ドア13には、少なくとも1つのスイッチ19を備えた操作要素18を設けることできる。後方ドア13のドアロック20は、ドアロック20を電気的に解錠または施錠できるようにするために、少なくとも1つのロックモータ21を有していてよい。したがってドアロック20は、自動車10のセンタロックシステムの構成部分であってよい。ドアロック20のチャイルドセーフティ機能22用にスイッチを設けることができる。
【0029】
前方ドア12は、移動可能または走行可能またはスライド可能にウィンドウフレーム24に配置可能なウィンドウガラス23を有していてよい。モータ駆動のドア機能25として、ウィンドウガラス23用の電動式ウィンドウリフト機能を設けることが可能である。前方ドア12は、このために電動モータ26と、モータ26をオンオフする少なくとも1つのスイッチ28を備えた操作要素27とを有していてよい。モータ26の実際の回転位置および/または回転速度は、センサ29よって検出可能である。前方ドア12のエクステリアミラー30は、エクステリアミラー30のミラーの向きを変えるための電動モータ31を有してよい。2つのミラーの間の折り曲がり角度を設定することも可能である。電気的に調節可能なエクステリアミラー30は、制御装置32によって制御される、前方ドア12の別の1つのドア機能である。
【0030】
モータ駆動の車両機能29およびエクステリアミラー30のモータ31ならびにセンサ29の信号の評価を制御するために、前方ドア12は、制御装置32を有することができ、制御装置32は、モータ26のモータ電流I1をオンオフするために、例えばマイクロコントローラおよび半導体スイッチ(例えばトランジスタ)を有することが可能である。
【0031】
自動車10では、後方ドア13のモータ17のモータ電流I0も、前方ドアの制御装置32によって制御されるように規定することが可能である。このために、制御装置32から後方ドア13およびモータ17に至る、例えばケーブルのような線路要素33を敷設可能である。
【0032】
しかしながら制御装置32を介する、モータ17のこの間接的な接続により、後方ドア13のドアロック20のロックモータ21の駆動制御の遅延は配慮されない。その代わりに、線路要素35を介してドアロック20に直接接続することが可能な中央制御装置34が設けられている。モータ26、17に給電するプラス線路36およびマイナス線路37は、前方ドア12に敷設することが可能である。同様に通信バス38は、前方ドア12だけに敷設すればよく、すなわち後方ドア13には敷設しなくてよい。
【0033】
制御装置32は、それぞれの電気線路要素39を介して、操作要素18に、すなわちスイッチ19にケーブル接続することが可能である。チャイルドセーフティ機能22用のスイッチも、線路要素39’を介して制御装置34に直接、ケーブル接続することが可能である。線路要素39、39’は、それぞれワイヤによって形成することが可能である。
【0034】
いくつかの要素の接続を再度、図2で説明する。中央制御装置34は、それぞれの車両ドア外で、車両ボディ40に設けるまたは配置することが可能である。さらに後方ドア13および前方ドア12が図示されている。前方ドア12に設けられているもののうちでは、制御装置32が図示されている。
【0035】
後方ドア13に設けられているもののうちでは、モータ17と、操作要素18と、チャイルドセーフティ機能22用のスイッチと、操作要素18のスイッチ19用のスイッチ照明41とが図示されている。モータ17を動作させるための電力は、少なくとも1つの電気線路要素33を介して、制御装置32からモータ17に伝送可能である。制御装置32は、それ自体公知のように、例えばパルス幅変調を用いてモータ電流I0をオンオフすることが可能である。
【0036】
操作要素18のスイッチ19、スイッチ照明41、およびチャイルドセーフティ機能22用の電流回路は、自動車10のフレームによって形成可能な、例えばアース電位42を介して閉成可能である。
【0037】
例えば、線路要素33におけるモータ電流I0および/または電圧を測定することにより、制御装置32が、モータ電流I0からその時間的な経過を求めることにより、制御装置32における評価装置43により、モータ17のロータ44の回転を識別または追跡することができる。これにより、ロータ44の回転位置および/または回転速度、および/またはモータ17の、ひいてはウィンドウガラス14の走行位置を求めることができ、その際にはこのために、モータ17から制御装置32に至る別のセンサ線路を介する、センサからの応答が必要になることはない。
【0038】
少なくとも1つの線路要素は、1つのワイヤまたはケーブルを含むかまたは複数のワイヤまたは複数のケーブルを含んでいてよい。
【0039】
したがって前方ドア12のドア制御装置または制御装置32は、後方ドア13の機能を、すなわちモータ駆動のドア機能16を一緒に制御する。評価装置43を用いてセンサレスでモータ17を同時に監視すると有利である。これにより、モータ17から制御装置32へと戻るセンサ線路が取り除かれる。選択的には前方ドアのセンサ29も取り除くかまたは省略することができ、前方ドアにおけるモータ26も、評価装置43によって評価または監視することができる。
【0040】
これにより、(右および/または左の)車両側面11毎に、前方ドア12用にもまた後方ドア13用にもそれぞれ1つだけの制御装置32が設けられる。
【0041】
これにより、使用される線路の個数が少なくなるのと同時に、2つの制御装置が1つの制御装置32に削減される。このことが意味するのは、重量の減少および後方ドア13における必要な設置スペースの節約であり、この設置スペースは、別の用途に使用可能である。
【0042】
制御装置32は、付加的に、パルス幅変調およびそのスイッチングレートについて、自動車40の無線受信器45の受信周波数fと一致しないように電流I0のオンオフを行うことができ、無線受信器45は、受信周波数fを制御装置32に通知することができる。これにより、前方ドア12と後方ドア13との間の線路または線路要素33には、妨害放射46が、受信周波数fとは異なる周波数においてのみ放射される。したがってパルス幅変調周波数は、無線受信器45において設定されている受信周波数fにおいて障害が発生しないように適合される。これにより、高価なフィルタが節約される。無線受信器45は、例えば、自動車10のラジオであってよい。
【0043】
前方ドア12も同様に、(Mで示した)ロックモータを備え、後方ドア13の場合と同様に構成可能なドアロック20’を有していてよい。前方ドア12は、さらに、内側から施錠を制御するスイッチ要素22’を有していてよい。これにより、外部からの立ち入りをブロック可能であり、内側からの出入りもブロック可能である。したがってウィンドウガラスが打ち破られた場合であってもこの自動車を「ふつうに」開けることはできない。この機能は、例えばセーフロック、デッドロックと称され、またはダブルロックとも称される。
【0044】
まとめると、この実施例が示しているのは、本発明により、線路について最適化されたドアアーキテクチャをどのように提供することができるかであり、このドアアーキテクチャでは、セントラルロックが、専用/中央制御装置を介して制御される。
【符号の説明】
【0045】
10 自動車
11 車両側面
12 前方ドア
13 後方ドア
14 ウィンドウガラス
15 ドアフレーム
16 モータ駆動のドア機能
17 モータ
18 操作要素
19 スイッチ
20 ドアロック
20’ ドアロック
21 ロックモータ
22 チャイルドセーフティ機能
22’ スイッチ要素
23 ウィンドウガラス
24 ドアフレーム
25 ドア機能
26 モータ
27 操作要素
28 スイッチ
29 センサ
30 エクステリアミラー
31 モータ
32 制御装置
33 線路要素
34 中央制御装置
35 線路要素
36 プラス線路
37 マイナス線路
38 通信バス
39’ 線路要素
40 車両ボディ
41 スイッチ照明
42 アース電位
43 評価装置
44 ロータ
45 無線受信器
46 妨害放射
I0 モータ電流
I1 モータ電流
図1
図2
【国際調査報告】