特表2020-519937(P2020-519937A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-519937(P2020-519937A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20200605BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20200605BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
   G02B27/01
   B60R11/02 C
   B60K35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-559699(P2019-559699)
(86)(22)【出願日】2018年6月6日
(85)【翻訳文提出日】2019年10月31日
(86)【国際出願番号】EP2018064865
(87)【国際公開番号】WO2018224533
(87)【国際公開日】20181213
(31)【優先権主張番号】102017209787.6
(32)【優先日】2017年6月9日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ニコ プラーゲンス
(72)【発明者】
【氏名】ディアク ブレメ−ヤールティモヴァー
(72)【発明者】
【氏名】ベアトラム エシェンバッハ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クリューガー
【テーマコード(参考)】
2H199
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA28
2H199DA29
2H199DA41
3D020BA04
3D020BC03
3D020BD05
3D344AA11
3D344AA19
3D344AA27
3D344AC25
(57)【要約】
本発明は、光源(3)と、表示素子(5)と、少なくとも1つのミラー(4)と、フォトダイオード(23)と、ミラー要素(11,21)とを備えたヘッドアップディスプレイに関する。本発明によれば、少なくとも1つのミラー(4)は、少なくとも一箇所にホール(42)を有する鏡面(43)を有しており、フォトダイオード(23)は、ホール(42)を通過する光のビームパス内に配置されていることを想定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(3)と、表示素子(5)と、少なくとも1つのミラー(4)と、フォトダイオード(23)と、ミラー要素(11,21)とを備えたヘッドアップディスプレイにおいて、
前記ヘッドアップディスプレイが、さらに照明均質化要素(34)を備えており、
前記少なくとも1つのミラー(4)は、少なくとも一箇所にホール(42)を有する鏡面(43)を有しており、
前記照明均質化要素(34)は、前記光源(3)と前記ミラー(4)との間に配置されており、
前記フォトダイオード(23)は、前記光源(3)から到来して前記ホール(42)を通過する光のビームパス内に配置されていることを特徴とする、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項2】
前記ホール(42)は、前記鏡面(43)を支持する基板(44)内のボア(41)である、請求項1記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項3】
前記ボア(41)は、当該ボア(41)の方向に変化する断面を有する、請求項2記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項4】
前記ボア(41)は、少なくとも前記鏡面(43)に隣接する自身の領域(45)において鏡面化されている、請求項1から3までのいずれか1項記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項5】
前記ホール(42)は、前記鏡面(43)内の鏡面化されていない箇所によって形成されている、請求項1記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項6】
前記ホール(42)は、前記鏡面(43)の外部に存在する反射要素(431〜433)によって形成されている、請求項1記載のヘッドアップディスプレイ。
【請求項7】
前記ミラー(4)は、前記光源(3)から到来する光のビームパス内で照明均質化要素(34)の後方に配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーを有するヘッドアップディスプレイに関する。ヘッドアップディスプレイは、例えば自動車などの車両において、例えば車両状態に関する情報などの情報を、運転者の視界に投影し、周辺環境と重畳させるために使用される。
【0002】
米国特許出願公開第2016/0335959号明細書は、光源と、表示素子と、少なくとも1つのミラーと、フォトダイオードと、ミラー要素とを備えたヘッドアップディスプレイを示す。この場合、ミラーは部分透過性であり、自身に入射する光の一部を、光源の光束を制御する制御回路の一部であるフォトダイオードに反射する。部分透過ミラーを通過する光、つまり透過光のみが、仮想画像の生成に使用される。この仮想画像は、ミラー要素(ここでは車両のフロントガラス)を用いて周辺環境と重畳される。この公知のヘッドアップディスプレイにおける欠点としては、ミラーが専らフォトダイオードへの光の配向にのみ用いられていることが挙げられる。このミラーにはコストがかかり、取り付けスペースが必要で、自身への入射光の一部しか通過させない。このことは、画像生成に使用できる光束を低減させる。
【0003】
欧州特許出願公開第3163873号明細書からは、光を光束制御回路のフォトダイオードに分離するための波長依存性の強い部分透過ミラーを有するレーザー投影表示部が公知である。ここでは、それがダイクロイックミラー、いわゆる干渉ミラーまたは干渉フィルタであるため、強い波長依存性が生じる。そのような特別な部品は、製造に手間がかかり、したがって比較的高価である。ここでも、鏡面全体が分離に使用され、したがって部分透過ミラーを通過する光の光束は大幅に低減する。この透過光束の低減は、可及的に明るい仮想画像を生成するためには不都合である。
【0004】
それに対して改善されたヘッドアップディスプレイが望まれる。
【0005】
本発明によるヘッドアップディスプレイは、光源と、表示素子と、少なくとも1つのミラーと、フォトダイオードと、ミラー要素とを備える。少なくとも1つのミラーは、少なくとも一箇所にホールを有する鏡面を有している。フォトダイオードは、ホールを通過する光のビームパス内でビーム方向で見てホールの後方に配置されている。このことは、フォトダイオードに入射する光を分離するための別個の部品が不要であるという利点を有する。なぜなら、ミラーが、いずれにせよヘッドアップディスプレイの結像ユニットのビームパス内に存在する、フォトダイオード用の光を分離する付加的機能を保持する部品だからである。ミラー内のホールは安価に製造可能であり、そのため、取り付けスペースだけでなく製造コストも節約される。このホールが鏡面の僅かな割合しか占めないならば、光束の損失も僅かしか発生しない。これによりこのシステムは、高い光学効率を有する。入射光が付加的な光学素子を透過する必要がないため、光学的部分透過層の損失を伴う通過による光束損失は発生せず、したがって、吸収に起因する光束損失は生じない。
【0006】
光源は、表示素子によって変調される光を発生する。表示素子は、信号発生器によって駆動制御され、表示すべき画像に対応する実像を生成する。この実像は、ビームパスのさらなる経過において仮想画像に変換され、この仮想画像は、ミラー要素によって表示用環境の画像に重畳される。少なくとも1つのミラーは、ビームパス内の光を、例えばミラー要素、さらなるミラー、または表示素子などのさらなる光学素子に向けている。フォトダイオードは、入射するビーム出力を、照射強度に比例した光電流に変換する。この光電流は、間接的な光束測定に対する測定量として使用される。光束は画像輝度に相関する。フォトダイオードの出力信号は、制御ループにおいて、光源から出力された光束を所望の値に保持するために使用される。カラー表示部の場合、フォトダイオードは、場合によってはホワイトバランスまたは色分布の他の適合化を実施するために、好適には光源(このケースでは多くの場合、異なる波長用の複数の個別発光体からなる光源)から出力される光の色成分の光束を測定するために用いられる。その際、時間的に順次連続する色信号の場合、色信号の各期間で測定されたフォトダイオードの対応する信号が使用される。すべての色信号が同時に存在する場合、異なる波長に応答する複数のフォトダイオードが設けられている。他の実施形態では、ただ1つのフォトダイオードと、使用される波長に応じて構成されたカラーフィルタを備えたフィルタホイールとが設けられる。
【0007】
ミラー要素は、表示素子から到来する光を観察者の目に配向するために用いられる。ミラー要素として、例えば車両のフロントガラスやいわゆるコンバイナーが用いられる。どちらも、表示素子から到来する光を、場合によっては例えば凹面鏡などのさらなる光学素子の通過後に、周辺環境から到来する光に重畳させ、ひいては観察者に対して表示部の仮想画像を周辺環境の画像に重畳させるために用いられる。そのような凹面鏡は、表示素子の実像を拡大された仮想画像に変換する機能を有する。
【0008】
少なくとも1つのミラーの鏡面は、平坦であってもよいし、湾曲していてもよい。鏡面は、少なくとも一箇所にホールを有しており、このホールは、鏡面全体の僅かな割合しか占めていない。複数の箇所に複数のホールが存在するならば、それらはそれぞれ相応にさらに小さくなり、反射光束にもたらされる障害もさらにごく僅かとなり、したがって、観察者にとって、ただ1つのホールよりもさらに目立たなくなる。ホールの数の増加は、ヘッドアップディスプレイの仮想画像において、ミラー内のホールにより生じるアーチファクトの低減のために用いられる。ホールでは、鏡面に当たる光が、当該鏡面によって予め与えられた角度に応じて偏向されることはなく、むしろ、鏡面に入射する主光束から分離される。分離された光成分は、鏡面によって予め与えられた角度に応じて反射されることはなく、むしろ、当該ホールを通ってミラーを通過する。フォトダイオードは、ホールの後方に配置されており、すなわち、ホールを通過する光のビームパス内に配置されている。フォトダイオードは、好適にはホールに直接配置されてもよい。
【0009】
本発明によれば、ホールは、鏡面を支持する基板内のボアであることが想定されている。このことは、当該ボアを鏡面の被着前に基板内に導入できるという利点を有しており、そのため、鏡面を、当該ボアの形成によって損なわせることなく被着させることができる。このことは、低コストの製造を可能にさせ、ホールの存在を超えるような、ホールによる鏡面の光学特性の損失が防止される。このボアは、例えばフォトダイオードが直接当該ボア内に配置される場合、鏡面に対して垂直に配置されてもよいし、好適には、鏡面に当たる光束の入射角に応じて鏡面に対して90°変位した角度で配置されてもよい。このボアは、穿孔によって基板に導入することも、他の方法で導入することも可能である。例えば、プラスチック基板の場合、ボアは既に基板の製造の際に空けることができる。
【0010】
好適には、ボアは、当該ボアの方向に変化する直径を有し、したがって相応に変化する断面を有する。このことは、基板の機械的安定性が可及的に僅かしか影響を受けないという利点を有する。したがって、基板に機械的、熱的、または他の負荷がかかった場合でも、鏡面は自身の目標形状が可及的に保持されること、つまり自身の光学特性が可及的に損なわれないことが保証される。発散的かまたは平行ビームで鏡面に当たる光束の場合、断面は、鏡面において最小断面を有するために、基板の鏡面とは反対側から来て先細になっている。鏡面に当たる光束が収束する場合は、それに応じて断面変化は反転的に経過する。この断面は、例えば鏡面に隣接する鋭利な縁部を有さないように階段状であってもよい。
【0011】
本発明によれば、ボアは、少なくとも鏡面に隣接する自身の領域において自身の内面が鏡面化されていることが想定される。このことは、ボアの壁部、つまりボアの内面に到達する光の吸収が防止されるという利点を有しており、そのため、ホールを通って入射する可及的にすべての光がフォトダイオードに到達する。好適には、鏡面の被着の際に、ボアまたは少なくともその上部も鏡面化される。鏡面が蒸着される場合には、ボアに到達する粒子が再度ボアの壁部に当たり、その際当該壁部が鏡面化される。その際、少なくともボアの上方領域では、この鏡面化はほぼ鏡面上のように良好である。このことは、特に、ボアの上方領域が階段状である場合に有意義である。
【0012】
本発明の応用形態によれば、ホールは、鏡面内の鏡面化されていない箇所によって形成されることが想定されている。このことは、鏡面化されていない面が、例えば基板の鏡面化の際のマスクを用いて、例えばレーザーパルス、集束されたインコヒーレントな光、または類似の光による鏡面へのホールの焼き付けによって、または基板においてミラー材料が接着不能な材料の被着によって、あるいは類似の手段によって、容易に製造可能であるという利点を有する。その際、基板は、少なくともホールの領域とその近傍の周辺領域とにおいて透光性であり、さらにフォトダイオードは、基板の透光性部分の後方に配置されている。この基板は、当該応用形態では、自身の機械的特性および熱的特性が損なわれることはない。基板全体が統一的に透光性に構成されているならば、その拡がり全体に関しても統一的にもしくは少なくとも定常的にのみ変化する特性を有し、材料の境界において生じ得る突発的な特性変化は発生しない。
【0013】
本発明のさらなる応用形態によれば、ホールは、鏡面の外部に存在する反射要素によって形成されていることが想定されている。このことは、製造の際にボアを導入することも鏡面化においてホールを配置することもしないという利点を有する。このことは、製造プロセスを容易にさせる。反射要素として、鏡面に被着されるミラー要素、例えば接着されるミラー要素を設けてもよい。同様に、鏡面の被着の際に共に鏡面化される突起を、基板上に設けることも可能である。また、基板の凹部を相応に鏡面の被着の際に共に鏡面化することも可能である。
【0014】
好適には、ミラーは、ビームパス内で照明均質化要素に後続させて配置されている。このことは、照明均質化要素を離れた光がビーム断面にわたって非常に均質な強度分布を持つようになるという利点を有する。そのため、ホールを用いて分離され、フォトダイオードによって検出される光は、正確に定められた位置に存在する必要性なしで、代表的な光束測定を可能にする。したがって、製造時の(特に個々の要素の組み立て時の)時間とコストのかかる調整過程は回避される。
【0015】
ミラーは、ここでは、特に折り畳み式ミラーである。この折り畳み式ミラーは、例えば光源や表示素子などの光学素子を可及的に省スペース的に配置するために、ビームパスを折り畳むために設けられている。照明均質化要素として、例えば結像系のマイクロレンズアレイが、ビーム方向で見てマイクロレンズアレイの後方に存在するレンズと共に設けられている。
【0016】
本発明のさらなる詳細および利点は、図面に基づく実施例の以下の説明からも引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明によるヘッドアップディスプレイを備えた車両を示した図
図2】本発明によるヘッドアップディスプレイを示した図
図3】ホールを用いた光出力の原理図
図4】ホールを有するミラーの応用形態を示した図
図5】ホールを有するミラーの応用形態を示した図
図6】ホールを有するミラーの応用形態を示した図
図7】ヘッドアップディスプレイの光源を示した図
【0018】
図1は、本発明によるヘッドアップディスプレイ2を備えた車両1を示し、このヘッドアップディスプレイ2は、透光性開口部22を有している。この透光性開口部22を通って、ヘッドアップディスプレイ2から到来した光束LBが出射して車両のフロントガラス11に当たり、そこから観察者の目12の方向に反射される。観察者にとって、仮想画像13は、車両のボンネット14上のフロントガラス11の前に現れる。フロントガラス11は、ここではヘッドアップディスプレイのミラー要素21として用いられる。ヘッドアップディスプレイ2の内部についての詳細は、以下で図面に基づいて説明する。この場合、同一の要素もしくは機能の同じ要素には、同じ参照符号が付されており、それが理解に役立つと思われる場合にのみ、後続の図面でより詳細に説明する。
【0019】
図2は、本発明によるヘッドアップディスプレイ2を示す。ここでは、光源3が認識され、該光源3から光束LB1がミラー4に当たる。そこからは光束LB2として表示素子5に案内される。表示素子5は、ここには示されていない制御ユニットによって駆動制御され、観察者に対して仮想画像13として見せるべき画像を光束LB2に印加する。表示素子5は、ここでは反射型表示素子、例えば反射型液晶表示としてのLCoSディスプレイ、制御可能な複数の小型のマイクロミラーのアレイ、いわゆるDMDとも称される「デジタルマイクロミラーデバイス」またはXおよびY方向に傾斜可能なマイクロミラーのアレイとして示されている。後者は、例えば、X方向にもY方向にも移動可能な2D−MEMSスキャンミラーとして、またはこれらの方向のうちのそれぞれ一方向に移動可能な2つの1D−MEMSスキャンミラーとして実現されている。これらを用いて、表示すべき画像が行ごとに走査されて示される。この場合、マイクロシステムに対するMEMSとは、英語表記の「Micro Electro Mechanical System」を表し、1Dは1次元、2Dは2次元を表す。それに対して代替的に、反射型表示素子5の代わりに、半透明の表示素子51が設けられてもよい。当該ケースでは、反射型表示素子5の代わりに、その箇所にミラーが設けられている。半透明の表示素子51としては、例えば、液晶ディスプレイとしてTFTディスプレイが設けられている。光束LB3は、さらなるミラー6に当たり、そこから凹面鏡7に当たる。この凹面鏡7は、光束LB3を光束LBとしてヘッドアップディスプレイ2の開口部22を通ってフロントガラス11の方向に案内する。簡単化のために、ここでは光束LB,LB4は、中央ビームのみによって示されている。凹面鏡7の曲率は、フロントガラス11の曲率を補償し、そのため、観察者は歪みのない仮想画像13を見せられる。この曲率は、さらに、表示素子5の実像を拡大し、それを仮想画像に変換する機能を有している。凹面鏡7の機能は、ここに示されていない応用形態においてレンズまたはホログラムによっても満たすことが可能である。そのようなしばしば「ミラーレス」とも称されるヘッドアップディスプレイの場合でも、本発明により鏡面にホールを備えることができるミラーが存在する。
【0020】
ミラー4では、フォトダイオード23がボア41に配置されている。このボア41は、ミラー4の鏡面43のホール42に接続している。ボア41は、ミラー4の基板44内に存在している。フォトダイオード23の出力信号は、ここには示されていない制御器に供給され、この制御器は、光源3の出力電力を制御している。
【0021】
ミラー4にホール42を配置することに対して代替的に、光学的ビームパス内で表示素子5に後続して配置されたミラー6にホール42’を配置することが想定されている。ここでもフォトダイオード23’は、ボア41’に配置されている。この配置構成は、表示素子5の輝度または反射率の影響も光強度の制御に介入されるという利点を有する。このようにして、温度、湿度、濁度などのような経年劣化に起因するもしくは環境に起因する、表示素子5の特性への影響を補償することができる。いずれにせよ、ここではいつでも同じ光強度がホール42’の領域に存在するわけではない。なぜなら、この光強度は場合によっては表示素子5を介して変調されているからである。このケースでは、ホール42’の領域に対する表示の強度値を、強度制御のための実際値として使用することは合目的的である。代替的な解決手段は、ホール42’の箇所で定められた強度が推定される場合にのみ強度制御を実施することである。例えばこのことは、例えばスイッチを入れた直後にヘッドアップディスプレイのテストサイクルが実施される場合、または表示素子5の対応する箇所が表示のために明るい表示素子をもたらす場合に該当する。ユーザーが苛立ちを感じる可能性を低減するために、ホール42’が、通常は光が当たらないミラー6の領域に存在することが想定されている。このことは、そこにすぐに表示すべき情報が存在しない場合に、つまり、表示素子の対応する領域がアクティブにならないことから、当該領域が、表示素子5から到来する光を反射させるのに不要である場合に該当する。このことは、表示すべき情報の選択の際に考慮される。テストサイクルの期間中にのみ、ミラー6の当該領域に対応する、表示素子の領域によって光スポットが生成される。
【0022】
さらなる代替的実施形態は、凹面鏡7にホール42’’が配置されていることにある。これは、ここでは破線で示されている。ホール42’’の後方に存在するフォトダイオードはこの図では示されていない。信号評価については、この実施形態の場合、上述した代替案に類似したものが当てはまる。凹面鏡7にホールを設ける利点は、それがいずれにせよ特定の車両に適合化されて製造されること、あるいは車両用に設けられた複数の異なるフロントガラスの形状のうちの特定の1つにさえも適合化されて製造されることにある。ホール42’’を設けることは、このケースでは、僅かな付加的費用のみを意味する。したがって、他のミラーに対しては、大量の生産個数に基づき安価である標準部品が使用される。
【0023】
図3は、本発明によるヘッドアップディスプレイのミラー、特にPGUとも称されるその結像ユニットのミラーにおけるホールを用いた光分離の原理図を示し、ここでは本発明を理解する上で重要な部品のみが示されている。光源3は、ここでは発光ダイオードとして記号化されているが、他の光源もここでは合理的に使用可能である。光源は、光束LB1を生成し、この光束LB1は、ミラー4に当たる。そこから、この光束LB1は、光束LB2として表示素子5の方向に反射される。ミラー4の鏡面43にはホール42が存在しており、鏡面43に当たる光束LB1の一部は、このホール42を通ってフォトダイオード23に入射する。ミラー4の鏡面43が被着されている基板44は、ここではガラスからなり、そのため、ホール42を通って入射する光は基板44を通過することができる。ガラスからなる代わりに、基板は透光性プラスチックからなることも可能である。
【0024】
図4は、本発明によるヘッドアップディスプレイの結像ユニットのミラー4の応用形態を示す。ここでも基板44はガラスからなり、鏡面43にはホール42が存在する。光束LB1は、鏡面43により光束LB2として反射される。ホール42に入射する光束LB1成分のみが、基板44を通過してフォトダイオード23に入射する。このフォトダイオード23は、プリント基板24に配置されている。このプリント基板24は、このフォトダイオード23の他にここには示されていないさらなる構成素子を支持する。
【0025】
図5は、本発明によるヘッドアップディスプレイの結像ユニットのミラー4のさらなる応用形態を示す。基板44は、ここでは非透光性材料からなり、ボア41を有する。このボア41は、必ずしも回転対称または円筒形ではないが、むしろ(ここに示されているように)、鏡面43の垂線に対して角度をなして延びる軸線と共に円錐状の貫通孔部として構成されている。このボア41により、鏡面43に当たる光束LB1の一部は、プリント基板24上に存在するセンサ23に当たる。ボア41は、ミラー4のフォトダイオード23に面する側から来て当該ミラー4の鏡面43を備えた側へ先細になる断面を有する。この側では、ボア41は、一定の断面の領域45を有し、この一定の断面の領域45は、先細の断面の領域46と共に段を形成している。この場合、一定の断面の領域45は、基板44が自身の最も薄い箇所においても十分な機械的安定性を有するように寸法決めされている。基板の熱的安定性も、この箇所では、動作中および製造中に発生する要求に対して十分である。例えば、鏡面43の被着中に、ホール42の領域内の基板の変形は発生せず、そのような変形が当該領域内のミラー4の光学特性を許容でいないほどに悪化させることはあり得ないであろう。ボア41は、ここでは、変化する断面の領域46において、鏡面43に対して垂直ではない、むしろ入射する光束LB2の方向に配向されている対称軸を有している。一定の断面の領域45も同様に鏡面化されており、ここでは鏡面43に対して垂直に形成された対称軸を有する。
【0026】
図6は、本発明によるヘッドアップディスプレイの結像ユニットのミラー4のさらなる応用形態を示す。これらは必ずしも同時に存在する必要はない。通常のケースにおいて、本発明によるミラーは、これらの応用形態のうちの1つのみを有する。図中上方のミラー4の領域には、鏡面43に対して垂直に配置されたボア41が示されている。このボア41内には、フォトダイオード231が配置されている。それにより、ホール42を通って入射する光は、直接フォトダイオード231に到達する。そのため、ボア41の軸線と入射する光束LB1の方向との間の相対的な配向は重要ではない。
【0027】
ボア41の下方の図には反射要素431が示されており、この反射要素431は、基板44の表面から突出し、入射する光束LB1の一部を、鏡面43の最大部分とは異なる方向に反射する。ここに示されているケースでは、この反射要素431は、基板44の一部である。それに対して代替的に、反射要素432が示されており、この反射要素432は、別個に、例えば接着剤によって鏡面43に被着されている。この接着接合は、さらなる作業過程を表すが、状況によっては、基板44に関連付けられる反射要素431の製造よりも有利な場合がある。また、後者は、基板44への接着接合により、鏡面43の被着前に設けることもできる。代替的に、例えばこれが射出成形部品として構成されている場合、それは基板44の統合された構成部品である。したがって、反射要素431のための突起が射出成形金型において対応して設けられる。さらなる応用形態は、別個の反射要素が基板44に差し込まれ、摩擦結合を介してそこに固定されることからなる。反射要素および基板44は、このケースでは、適切に相互に調整された材料特性を有する。
【0028】
それに対して代替的に、反射要素433は、基板44の凹部として設けられている。ここでも、入射する光束LB1の一部が、反射要素433の表面での反射によって主ビームパスから分離され、ここには示されていないフォトダイオードに向けられる。一応用形態によれば、反射要素431,432,433のうちの1つの代わりに、複数のそのような反射要素431,432,433が設けられ、これらの反射要素431,432,433がそれぞれ鏡面43に当たる光の小部分をフォトダイオード23に向ける。このことは、これらの反射要素431,432,433がそれぞれより小さくなり、より広い面にわたって分布しているという利点を有する。したがって、それらはほぼ平均値を表し、ただ1つのホール42の箇所におけるランダムで非代表的な強度分布に依存していない。このことは、複数のボア41,41’の配置構成に対しても同様に当てはまる。フォトダイオードの代わりに、それぞれ他の適切なタイプのフォトセンサも使用できる。
【0029】
さらなる代替的な応用形態では、ミラー4の鏡面43を備えた側から来て先細になるボア41’が設けられている。入射する光束LB2’は、ここでは収束しており、そのためホール42を通ってボア41’内に入射する光は、ボア41’が光束LB2’の主方向に応じて配向されている場合でも壁部には到達しない。したがって、光はフォトダイオード23に当たる。ここでも、鏡面43の製造の際には、ボア41’の少なくとも一部が鏡面化可能であり、このことは、場合によって壁部に光が当たることで生じる光の損失を低減させる。なぜなら光は反射され、それによってフォトダイオード23に到達するからである。
【0030】
本発明は、一般に、DMDプロジェクタかまたは他のプロジェクタの内部の照度測定および白色点制御のための装置および配置構成に関する。そのようなプロジェクタは、例えば、反射型表示素子を備えたヘッドアップディスプレイにおいて、あるいは一般に、反射型表示素子を備えた結像ユニットにおいて使用される。
【0031】
略してDMDプロジェクタとも称されるデジタルマイクロミラーデバイスを備えたプロジェクタは、実像を生成するための複数の異なる用途において実際に使用されている。そのようなDMDプロジェクタは、とりわけ、空間光変調器としてのDMDチップ、表示素子5、および照明システムを有する。照明システムは、実質的に1つ以上の発光体、1つ以上のコリメート光学系、ビーム折り畳み要素、ビーム整形要素、照明均質化要素、およびビームガイドからなっている。この照明システムは、とりわけ、DMDチップのチップ面、表示素子5を均質に照明する課題を有している。この場合、均質な照射強度とテレセントリック照明とがDMDチップ上で実現される。表示素子5に照射される光出力は、生成された仮想画像13の輝度と相関している。DMDカラープロジェクタは、それぞれ異なる光スペクトルを発する複数の発光体からなるか、またはカラーホイールに配置されてもよい様々なカラーフィルタと組み合わされた1つ以上の白色光源からなっている。DMDカラープロジェクタのRGB色空間は、様々な光源3から発光される光出力の加色混合かまたは時系列色混合によって実現される。
【0032】
実際には、例えば画像輝度や画像の例えば白色点などの色度座標を制御できるようにするためには、光源3の光束または様々なカラーチャネル(例えば赤、緑、青)の光束を測定技術的に検出する必要がある。この目的のために、表示素子5に照射される光束の一部は、照明システムの内部で分離素子を用いて光学的に分離され、フォトダイオード23,231に向けられる。フォトダイオード23,231は、自身に入射する光出力を吸収し、それらを照度に比例する電気的な光電流に変換する。この光電流は、制御回路の制御量として用いられる。
【0033】
分離機構および分離箇所の評価の場合、とりわけ以下の観点は、重要な役割を果たす。すなわち、許容誤差に起因する分離箇所の変化に対する測定された光電流の堅牢性、製造の際の調整コスト、分離効率、分離箇所における分離素子による例えばシェーディング、散乱光の発生などによる画質の低下、所要の取り付けスペース、分離の実現に必要な部品に対するコストである。分離素子として、本発明の好適な応用形態によれば、照明均質化要素の後方に存在する折り畳み式ミラー、ミラー4内のボア41が用いられる。この分離箇所の選択は、当該分離箇所が位置許容誤差に対して良好な堅牢性を有するという利点を有している。ボアの位置許容誤差に対する良好な堅牢性は、折り畳み式ミラーに入射する光が、横方向において、例えばレンズと共にマイクロレンズアレイによって行われる照明均質化に基づき、ほぼ一定の横方向強度分布を有するという事実から生じる。さらに、この分離箇所の選択は、不所望なシェーディングが表示素子上に生じることがなく、したがって仮想画像にも生じないという利点を有する。その他に、ホールにより最良の分離効率が達成可能である。このことは、小さなホール直径を可能にさせ、したがってシステム全体の光学効率の非常に僅かな損失しか引き起こさなくなる。この箇所では、ボア41の他にも、ホールを実現するための、つまり、折り畳み式ミラーの分離機構を実現するための多くの他の手段が存在することに留意されたい。一応用形態によれば、これは、そのミラーコーティングが、例えばガラスまたは透明プラスチックなどの透明基板44上に存在しているミラー4である。分離箇所の領域には、鏡面上にミラーコーティングは存在せず、そのため、この箇所に当たる光は、ミラー基板を通って透過し、ミラー4の後方でフォトダイオード23,231によって検出され得る。一応用形態によれば、これは、その表面において、分離すべき光をプロジェクタの光路外に存在し得るフォトダイオード23に向ける、1つ以上の小さな反射要素431,432,433が分離箇所に局所的に存在している、ミラー4である。
【0034】
空間光変調器として、表示素子5に対して、LCoSとも称される液晶素子が設けられてもよいし、あるいはDMDとも称されるデジタルマイクロミラーデバイスが設けられてもよい。
【0035】
1つの実施例は、DMDカラープロジェクタからなり、ヘッドアップディスプレイにおいて画像形成のために使用される結像ユニットである。そのようなDMDカラープロジェクタは、図7に示されている光源3を備えており、該光源3は、発光体として赤色発光ダイオード311、緑色発光ダイオード312、および青色発光ダイオード313を有する。ここでは収束レンズ321〜323によって示されている3つのコリメート光学系は、発光ダイオード311〜313によって発光された光を収集して平行化する課題を有する。3つのカラーチャネルの平行化された光は、ダイクロイックミラー331〜333を用いて1つのビームに組み合わされ、折り畳まれて照明均質化要素34に案内される。折り畳みの際には、3つのカラーチャネルのビームボリュームは同心円状に重畳される。照明均質化要素34から到来する光は、図示されていない収束レンズと、この図には同様に示されていないミラー4とを介してDMDチップ、表示素子5に向けられ、当該表示素子55を均質に照明する。ミラー4内には、小さなボア41が存在し、ミラー4に入射する光の一部を分離する。ミラー4の後方では、ボア41の直後に、または図面のいくつかに示されているように当該ボア41内に、光束を測定するためのフォトダイオード23が存在する。
【0036】
本明細書には、本発明によるヘッドアップディスプレイの可能なすべての応用形態および変更形態が記載されているわけではないことを理解されたい。上述した手段を変更すること、あるいは記載の方法とは別のやり方でそれらを組み合わせることは、当業者の裁量にゆだねられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】