特表2020-520224(P2020-520224A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-520224電気モータ用カーボンホルダプレート、風防ガラスワイパー用モータ、及び風防ガラスワイパー用モータを組み立てるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-520224(P2020-520224A)
(43)【公表日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】電気モータ用カーボンホルダプレート、風防ガラスワイパー用モータ、及び風防ガラスワイパー用モータを組み立てるための方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20200605BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20200605BHJP
   B60S 1/08 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
   H02K13/00 U
   H02K15/02 P
   B60S1/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-563184(P2019-563184)
(86)(22)【出願日】2018年5月15日
(85)【翻訳文提出日】2020年1月9日
(86)【国際出願番号】EP2018062624
(87)【国際公開番号】WO2018210883
(87)【国際公開日】20181122
(31)【優先権主張番号】102017110470.4
(32)【優先日】2017年5月15日
(33)【優先権主張国】DE
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】ジークフリート、シュテファニ
【テーマコード(参考)】
3D025
5H613
5H615
【Fターム(参考)】
3D025AA01
3D025AC01
3D025AE02
5H613AA01
5H613BB27
5H613GA13
5H613GA14
5H613GA15
5H613GA16
5H613GB16
5H615AA01
5H615BB04
5H615PP26
5H615TT25
(57)【要約】
本発明は、電気モータ(10)用のカーボンホルダプレート(50)であって、カーボンブラシ(52、53)のためのガイド要素(55)であって、カーボンブラシ(52、53)は、ガイド要素(55)内にカーボンブラシ(52、53)の長手軸(57)の方向において長手方向に変位可能に配置されるガイド要素(55)と、電気モータ(10)のコレクタ(21)に当接するように設計されたカーボンブラシ(52、53)の第1端面(54)と、第1端面(54)の反対側に配置された第2端面(59)であって、カーボンブラシ(52、53)をコレクタ(21)の方向に押すように、第2端面に対してばね要素(62)がばね張力下で動作状態において配置される、第2端面(59)と、カーボンブラシ(52、53)の第1端面(54)を、コレクタ(21)から距離を置いたカーボンホルダプレート(50)の取付位置に位置決めするための装置と、を備えるカーボンホルダプレート(50)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(10)用のカーボンホルダプレート(50)であって、
カーボンブラシ(52、53)のためのガイド要素(55)であって、前記カーボンブラシ(52、53)は前記ガイド要素(55)内で前記カーボンブラシ(52、53)の長手軸(57)の方向において長手方向に変位可能に配置される、ガイド要素(55)と、
前記カーボンブラシ(52、53)の第1端面(54)であって、前記電気モータ(10)のコレクタ(21)上に位置するように設計された第1端面(54)と、
前記第1端面(54)の反対側に位置する第2端面(59)であって、作動位置においてばねの力が加えられる態様でばね要素(62)が第2端面(59)上に位置して、前記カーボンブラシ(52、53)を前記コレクタ(21)の方向に押すようになる、第2端面(59)と、
前記カーボンブラシ(52、53)の前記第1端面(54)を、前記コレクタ(21)から距離を置いた前記カーボンホルダプレート(50)の組付位置に位置決めするための装置と、
を有する電気モータ(10)用のカーボンホルダプレート(50)において、
前記装置は、前記ばね要素(62)により形成され、
前記ばね要素(62)は、前記組付位置において、ばねの力が加えられる態様で前記カーボンブラシ(52、53)の側面(60)上に位置して、前記カーボンブラシ(52、53)を前記ガイド要素(55)に対して押し、これにより摩擦係止接続(78)を形成する、
ことを特徴とするカーボンホルダプレート(50)。
【請求項2】
トリガ装置(70)が設けられ、
接触要素(71)を有する前記トリガ装置(70)は、移動可能な態様で、前記カーボンブラシ(52、53)の前記第2端面(59)に接触し、
前記トリガ装置(70)は、前記第2端面(59)と接触して前記接触要素(71)が更に移動する時に、前記カーボンブラシ(52、53)を前記ガイド要素(55)内で前記長手軸(57)の方向に変位させるように設計され、これにより、前記ばね要素(62)が前記カーボンブラシ(52、53)の前記第2端面(59)に作用可能に接続する、
ことを特徴とする請求項1に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項3】
前記第2端面(59)及び/又は前記接触要素(71)は、前記カーボンブラシ(52、53)と前記接触要素(71)との間の接触領域において、前記長手軸(57)に対して斜角(α、β)をなして配置される、又は傾斜(79)を有している、
ことを特徴とする請求項2に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項4】
前記トリガ装置(70)の前記接触要素(71)は、ばね部(72)により弾性的に構成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項5】
前記カーボンホルダプレート(50)は、プラスチックから構成され、
前記接触要素(71)は、前記ばね部(72)を介して前記カーボンホルダプレート(50)と一体的に形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項6】
前記トリガ装置(70)は、前記接触要素(71)と作用可能に接続するように構成されたエントレインメント要素(73)を備える、
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項7】
前記ばね要素(62)は、湾曲した接触部(69)を備え、
前記接触部(69)は、前記カーボンブラシ(52、53)の前記側面(61)並びに前記第2端面(59)の両方上に配置され得る、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のカーボンホルダプレート。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に従って構成されたカーボンホルダプレート(50)と、コレクタ(21)を備える電機子(20)とを有した電気モータ(10)。
【請求項9】
ギアハウジング(12)に接続可能であるモータハウジング(28)を備え、
作動部(75)が設けられ、前記作動部(75)は、移動可能に構成されたトリガ装置(70)のエントレインメント要素(73)上に配置され得る、
ことを特徴とする請求項8に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記作動部(75)は、前記モータハウジング(28)の一部により形成される、
ことを特徴とする請求項9に記載の電気モータ。
【請求項11】
請求項9又は10に従って構成された電気モータ(10)を有する風防ガラスワイパー用モータ(100)。
【請求項12】
請求項11に記載の風防ガラスワイパー用モータ(100)を組み立てるための方法において、
前記組立は、少なくとも、
‐前記カーボンホルダプレート(50)を前記ギアハウジング(12)に事前に組み付けるステップであって、前記カーボンブラシ(52、53)が前記組付位置に配置されているステップと、
‐前記電機子(20)と前記モータハウジング(28)とを前記ギアハウジング(12)に向かう方向において軸方向に接続するステップであって、前記電機子(20)が前記カーボンブラシ(52、53)に対して間隔を置いて移動させられるステップと、
‐前記作動部(75)を前記トリガ装置(70)の前記エントレインメント要素(73)に接触させて相対移動させるステップであって、前記カーボンブラシ(52、53)が前記ガイド要素(55)内で前記コレクタ(21)の方向に移動させられ、前記ばね要素(62)が前記カーボンブラシ(52、53)の前記第2端面(59)に接触しこれを前記コレクタ(21)に対して押すステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の電気モータ用カーボンホルダプレートに関する。更に、本発明は、電気モータ、本発明によるカーボンホルダプレートを有する風防ガラスワイパー用モータ、並びに風防ガラスワイパー用モータを組み立てるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
請求項1のプリアンブルの特徴を有する電気モータ用のブラシホルダプレートは、実際に既に良く知られている。このタイプのブラシホルダプレートを有する電気モータの場合、電気モータの動作中にカーボンホルダプレートの領域において長手方向に変位可能に配置されたカーボンブラシは、電気モータの電機子のコレクタのセグメントに当接する。電気モータを風防ガラスワイパー用モータの部品として組み立てる場合、カーボンホルダプレートは、途中の組立ステップにおいて風防ガラスワイパー用モータのギアハウジングに固定される。次いで、電機子を、ギアハウジングに対面する側に駆動ピニオンを有する電機子シャフトによって、カーボンホルダプレートの貫通孔を介して、カーボンブラシと同じ高さになるようにコレクタのセグメントが電機子シャフトに配置されるまで案内する必要がある。この予備組立において、カーボンブラシが軸方向に電機子シャフトに接続される際に、電機子シャフトやコレクタに接触することでカーボンブラシがプロセス中に損傷することがないように、カーボンブラシは動作位置と比較して後退した位置に配置されてコレクタから離間していることが重要である。この目的のために、典型的には、電機子シャフトを軸方向に接続する際に、カーボンブラシを後退した位置においてコレクタの方向に押圧するバネ要素のバネ力に抗してカーボンブラシを保持する補助設備が使用される。別部品となるこの補助設備は、その後、追加の組立ステップにおいてカーボンブラシと接触しない状態になるように移動され、これにより、カーボンブラシはコレクタに当たるようにして接触するようになる。
【0003】
更に、電機子シャフトの接続方向においてコレクタの端部側において電機子コイルの反対側に配置され、組立後に電気モータ、すなわち風防ガラスワイパー用モータに残され得る円錐形の追加要素が先行技術において知られている。電機子シャフトを接続する時に、電機子シャフトに対面するカーボンブラシの端面が、追加要素に接触するとともに、追加要素によって軸方向外方に押される。追加要素に対する角度の大きさにもよるが、本例において、特に、組立時に追加要素がカーボンブラシの端面に高速で又は大きな衝撃を以て衝突する場合、不所望に高い負荷がカーボンブラシの端面に生じ得る。
【発明の概要】
【0004】
請求項1の特徴を有する電気モータ用の本発明によるカーボンホルダプレートは、追加の別個部品を必要とすることなく、電気モータを組み立てる間、又は電機子シャフトをカーボンホルダプレートに軸方向に接続する間、カーボンブラシを軸方向に後退させておくことができるという利点を有する。
【0005】
本発明は、カーボンブラシの必要な接触圧力をコレクタに加えるように存在するばね要素を利用するという概念に基づいている。このために、前記ばね要素を、カーボンブラシの側面に作用可能に接続させるようにして組付位置に配置する。これにより、ガイド要素内のカーボンブラシは、ばね要素のばね予変形を理由として、ばね要素の反対側のガイド要素の側壁の方向に押される。ばね要素による接触圧力が高いため、摩擦係止接続が、カーボンブラシとガイド要素との間に構成される。前記摩擦係止接続により、コレクタに対面するカーボンブラシの端面が電機子シャフト又はコレクタから離間するように配置される所定位置に、カーボンブラシは保持される。
【0006】
電気モータ用の本発明によるカーボンホルダプレートの有利な改良点が、従属請求項に記載される。請求項、詳細な説明、及び/又は図面に開示された少なくとも2つの特徴からなる全ての組合せが、本発明の範囲に含まれる。
【0007】
トリガ装置が設けられることにより、カーボンブラシは、電気モータの組立において、コレクタから離間した位置から、コレクタに当接(当たるようにして接触)するように移動される。トリガ装置は、コレクタとは反対側となるカーボンブラシの第2端面に当たるようにして接触するように移動可能である接触要素を有する。この接触要素は、第2端面に接触して当該接触要素が更に移動する時に、カーボンブラシをガイド要素内で長手軸の方向にコレクタに向かって変位させ、これにより、ばね要素がカーボンブラシの第2端面に作用可能に接続することができる。
【0008】
最後の提案の改良点において、カーボンブラシの第2端面及び/又はトリガ装置の接触要素は、カーボンブラシと接触要素との間の接触領域において、長手軸に対して斜角をなして配置される、又は傾斜を有することが提案される。このタイプの設計実施形態は、ガイド要素内でのカーボンブラシの長手方向変位において、ばね要素からのカーボンブラシの第2端面の方向における連続的な移行、すなわちがたつきのない移行を可能にし、更に、ばね要素がカーボンブラシに沿って動く又は移動する際に、ばね要素がカーボンブラシの幾何学的形状に特に単純な態様で追従することができるため、カーボンブラシから破片等が生じることが回避され得るという効果を有する。
【0009】
トリガ装置の接触要素のカーボンブラシに沿った所望の移動動作を可能とするように、接触要素は、ばね部により弾性的(弾性変形可能)にトリガ装置に配置されることが提案される。このタイプの構成により、トリガ装置をプラスチック射出成形部品の形態において特に簡単な方法で一体的に構成することが更に可能となる。
【0010】
最後の提案の更に好適な改良点において、カーボンホルダプレートはプラスチックから構成され、接触要素はばね部を介してカーボンホルダプレートに一体的に形成(継ぎ目無しで形成、一体的に成形)されることが提案され、この改良により、カーボンホルダプレート並びにトリガ装置の特に単純で、費用効果が高く且つ正確な製造が可能となる。
【0011】
カーボンブラシに接する接触要素の目標となる移動動作は、電気モータの部品の組立によって異なるが、このような移動動作を可能とするように、トリガ装置は、接触要素と作用可能に接続するように配置されたエントレインメント要素(誘導要素、引き込み要素)を備えることが提案される。前記エントレインメント要素は、典型的には、電気モータの個々の部品の組立において、例えばモータハウジングの組立において、モータハウジングである対応要素に当たるようにして接触(当接)し、モータハウジングの移動に対応する態様において共に移動する。これにより、接触要素は、所望の態様において、ガイド要素内でのカーボンブラシの移動を同時に達成する。
【0012】
特にカーボンブラシの表面に沿ったばね要素の移動において発生する、破片等を生じ得るカーボンブラシの損傷を回避するために、ばね要素は湾曲した接触部を備え、この接触部は、カーボンブラシの側面、並びに電機子のコレクタの反対側の第2端面の両方に接触して配置され得ることを提案することが更に好適である。ガイド要素内でのカーボンブラシの移動において、湾曲して構成された前記接触部は、カーボンブラシの側面に沿って摺動し、その後カーボンブラシの第2端面の領域に進む。
【0013】
また、本発明は、整流子と本発明に従って構成されたカーボンホルダプレートとを備える、電機子を有した電気モータに関する。
【0014】
電気モータの部品の組立において、トリガ装置、又はコレクタに接触するカーボンブラシの強制作動を可能にするように、電気モータの好適な設計実施形態において、電気モータは、ギアハウジングに接続可能であるモータハウジングを備え、移動可能に配置されたトリガ要素のエントレインメント要素に接触して配置され得る作動部が、モータハウジングに設けられることが提案される。
【0015】
更に、本発明は、上述の電気モータを有する風防ガラスワイパー用モータを備える。
【0016】
本発明による風防ガラスワイパー用モータを組み立てる方法は、少なくとも以下の組立ステップを有する。すなわち、最初に、カーボンホルダプレートを風防ガラスワイパー用モータのギアハウジングに事前に組み付けるステップが実施され、ここで、カーボンブラシを電気モータのコレクタから離間した組付位置に配置する。次に、電機子とモータハウジングとをギアハウジングに向かう方向において軸方向に接続するステップが実施され、ここで、電機子をカーボンブラシに対して間隔を置いて移動させる。最後に、モータハウジングの作動部をトリガ装置のエントレインメント要素に接触させてこれを相対的に移動させるステップが実施され、ここで、カーボンブラシをガイド要素内でコレクタの方向に移動させ、ばね要素がコレクタの反対側のカーボンブラシの第2端面に接触して、カーボンブラシをコレクタに対して押す。
【0017】
本発明の更なる利点、特徴及び詳細が、好適な例示としての実施形態についての以下の説明及び図面から導かれる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】風防ガラスワイパー用モータの基本部品の分解図。
図2】本発明によるカーボンホルダプレートの基本部品の斜視図。
図3】事前組付位置にある図2のカーボンホルダプレートの平面図であって、カーボンブラシが電気モータのコレクタから離間するように係止位置にある平面図。
図4図3の平面IV−IVにおける断面図。
図5図3に示すカーボンホルダプレートの平面図であって、カーボンブラシの係止解除が行われている平面図。
図6図5の平面VI−VIにおける断面図。
図7】電気モータの組立中の特定のフェーズにおける、図2のカーボンホルダプレートの斜視図。
図8】電気モータの組立中の別のフェーズにおける、図2のカーボンホルダプレートの斜視図。
図9】電気モータの組立中の別のフェーズにおける、図2のカーボンホルダプレートの斜視図。
図10図1の風防ワイパー用モータの一部分の側面図。
図11】風防ガラスワイパー用モータの最終組立状態における図10の詳細部分の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面において、同一の要素、又は同等の機能を有する要素には、それぞれ同一の参照符号が付される。
【0020】
図1に、車両のガラスを払拭するための風防ガラスワイパー用モータ100の基本部品を示す。風防ガラスワイパー用モータ100は、ギアハウジング12にフランジ嵌合可能な電気モータ10を備えている。風防ガラスワイパーに少なくとも間接的に接続可能である出力シャフト13が、ギアハウジング12から突出している。ギアハウジング12は、出力シャフト13の反対側において、ギアカバー14により閉鎖され得る。風防ガラスワイパー用モータ100は、ギアカバー14に配置されたコネクタ領域15を介して、車両の本体に同時に接続され得る。ギアホイール17を備えるギア16が、ギアハウジング12の内部空間内に配置されている。ギアホイール17は、ギアホイール17の外周に配置された歯を介して、電気モータ10により駆動され得る。
【0021】
電気モータ10は電機子(アーマチャ)20を有しており、その電機子コイル(アーマチャコイル)(図示せず)はコレクタ21のセグメント19に接続されている。コレクタ21は、整流子の構成部品である。電機子20は、更に電機子シャフト24を備えている。電機子シャフト24は、ギアハウジング12に面する側にウォームスプライン26を有する部分を備えている。風防ガラスワイパー用モータ100の組み立てられた状態において、ウォームスプライン26は、ギアホイール17の歯と噛み合う、又は相互作用するように機能する。この目的のために、電機子シャフト24は、少なくともウォームスプライン26の領域を介して、ギアハウジング12の内部空間において、ギアホイール17の歯の領域に突出している。
【0022】
電気モータ10は、ポールポットハウジングと称されるモータハウジング28を更に備える。通常、モータハウジング28は、金属薄板から構成されるとともに深絞り法により製造される。また、モータハウジング28は、締結ねじ29によって、ギアハウジング12に設けられたねじ穴30を介してギアハウジング12に接続可能である。
【0023】
電気モータ10は、図2の詳細図に示すカーボンホルダプレート50を備えている。図1を参照して、上述の電気モータ10の組立を説明する。組立は、カーボンホルダプレート50をギアハウジング12に予め組み付けた状態において、電機子20をモータハウジング28ととともにウォームスプライン26を備えた電機子シャフト24の前記部分を介して、ギアハウジング12に矢印31の方向において軸方向に接続することで実質的に実施される。本例の電機子シャフト24は、電機子20のコレクタ21がカーボンホルダプレート50と同じ高さになる軸方向位置に電機子20が到達するまで、カーボンホルダプレート50に構成された貫通孔51を通過して案内される。最終的に、モータハウジング28がギアハウジング12にねじ嵌めされ、ギアカバー14がギアハウジング12に締結される。
【0024】
電気モータ10又は電機子20のギアハウジング12への組付において、整流子の構成部品として、カーボンホルダプレート50の領域に、コレクタ21に対面する前記カーボンブラシ52、53の第1端面54を含むカーボンブラシ52、53を、組付位置に配置して電機子20のコレクタ21から離間させることが必須である。この組付位置において、第1端面54は、電機子シャフト24及びコレクタ21のセグメント19に当たるようにして接触し得ない(当接し得ない)。このため、カーボンブラシ52、53と電機子20の構成部品との衝突や、これによりカーボンブラシ52、53が損傷する又は事前損傷することが回避される。
【0025】
電機子20のギアハウジング12への導入中に、この組付位置から、電気モータ10、又は風防ガラスワイパー用モータ100を作動させるためのカーボンブラシ52、53を、カーボンブラシ52、53の第1端面54がコレクタ21のセグメント19に当たるように接触するように配置される作動位置に移動させなければならない。この目的のために、カーボンホルダプレート50は、以下で詳細に説明するように特定の設計を有している。
【0026】
図2に示すカーボンホルダプレート50はプラスチック製であり、射出成形部品として構成されている。各カーボンブラシ52、53のカーボンホルダプレート50は、カーボンホルダプレート50と一体成形された1つのガイド要素55を備えている。ガイド要素55は、カーボンブラシ52、53の外側断面に適合する、特に長方形状又は正方形状に構成された開口断面56を備えている。
【0027】
ガイド要素55内において、カーボンブラシ52、53は、ガイド要素55又はカーボンブラシ52、53の長手軸57の方向に変位可能であるように配置される。図2に示すように、ガイド要素55は、例示的に、貫通孔51の領域において開口している。これにより、コレクタ21がカーボンブラシ52、53の第1端面54と軸方向に一致するように配置されると、開口断面56から貫通孔51に向かう方向に突出するカーボンブラシ52、53の第1端面54が電機子20のコレクタ21のセグメント19に当たるようにして接触するように配置され得る。ここで、軸方向の一致とは、図1に示すように、電機子シャフト24の長手軸32の軸方向位置を指す。
【0028】
コレクタ21に対面する第1端面54の他に、各カーボンブラシ52、53は、第1端面54の反対側の第2端面59、並びに4つの側面を更に備えている。ばね要素62の反対側に位置する1つの側面61が、本発明の理解に特に関わるものである。
【0029】
更に、図2にカーボンブラシ52、53のコネクタ編組(コネクタ配線)63を示す。このコネクタ編組63は、例示的に、抑制チョークコイル64を介してコネクタポート65に接続される。コネクタポート65を介した、電気モータ10の電気的作動が、ギアハウジング12に配置されたコネクタプラグ33を介して実現される。
【0030】
ばね要素62は、複数のらせん形状を備えた部分66を有する。この部分66を介して、ばね要素62は、カーボンホルダプレート50に配置されたピン形状の付属物67により位置決めされる。ばね要素62は脚ばねとして構成され、少なくとも1つのばね部68を備えている。ばね部68は、前記部分66から離間するように突出し、弧状(環状)に湾曲した端部69を接触部分として備えている。端部69は、カーボンブラシ52、53の側面61の反対側の側面60及び第2端面59と相互作用するように構成される。
【0031】
更に、トリガ装置70が、カーボンホルダプレート50に一体成形されている。このトリガ装置70は、各カーボンブラシ52、53に対して、1つの基本的に非弾性的な(剛性の)接触要素71を備えている。接触要素71は、弾性的に構成されたばね部72(図7乃至9)を介して、カーボンホルダプレート50の外周に接続されている。接触要素71の領域において、トリガ装置70は、カーボンホルダプレート50に対して径方向外方に突出するエントレインメント要素(誘導要素、引き込み要素)73を更に備えている。
【0032】
特に図4及び6に示すように、接触要素71は、カーボンブラシ52、53に対面する側に、長手軸57に対して垂直に延びる平面に対して例えば10°乃至45°の斜角αで配置された接触面74を備えている。同様に、第2端面59は、接触要素71に対面する側に、接触面74に対して略相補関係(略対称な関係)にある傾斜79を備えている。
【0033】
図10、11に示すように、モータハウジング28は、ギアハウジング12に対面する側に、フランジ状に取り囲む部分75を作動部として有している。この部分75は、以下のような態様で配置される。モータハウジング28をギアハウジング12の方向に軸方向において接続する際に、前記部分75は、矢印76(図10)の方向にエントレインメント要素73に当たるようにして接触(当接して)して、当該エントレインメント要素73がギアハウジング12の領域に構成された凹部77に配置されるまで、トリガ装置70の接触要素71とともにエントレインメント要素73を移動させる。これと同時に、部分75は、カーボンホルダプレート50及びギアハウジング12に当たるようにして接触して(当接して)、これによりモータハウジング28はギアハウジング12に接する最終位置に到達する。
【0034】
図3、4及び7に、カーボンブラシ52、53の第1端面54が、コレクタ21のセグメント19から離間した位置にある、上述のカーボンホルダプレート50の組付位置を示す。この位置において、ばね要素62の端部69は、カーボンブラシ52、53の側面60に当たるようにして接触(当接)している。このことは、カーボンブラシ52、53が、ガイド要素55内のばね要素62のばね力によって、側面60と反対側のガイド要素55の壁に対して押圧され、これにより、ガイド要素55とカーボンブラシ52、53との間に摩擦係止接続78が構成される、という効果をもたらす。前記摩擦係止接続78は、カーボンブラシ52、53が電機子シャフト24の長手軸32に向かう方向に、すなわちコレクタ21に向かう方向に意図に反して移動できないような大きさの摩擦抵抗を有さなければならない。
【0035】
更に、組付位置において、接触要素71の接触面74は、カーボンブラシ52、53の第2端面59から間隔を置いている、或いはこれらに当たるように接触せず(当接せず)に配置されていることが、図4から理解される。電機子シャフト24又は電機子20が、コレクタ21のセグメント19がガイド要素55又はカーボンブラシ52、53の第1端面54と同じ高さに配置される軸方向端位置に到達すると、直ちに、モータハウジング28の前記部分75のエントレインメント要素73に対する当接によって、モータハウジング28の組付中に、トリガ装置70がトリガされる、すなわち作動される。この結果、図5、6、8及び9によれば、接触要素71の接触面74は、カーボンブラシ52及び53の第2端面59に接触し、接触要素71の更なる移動において、前記第2端面59をガイド要素55の長手軸57の方向に、コレクタ21に向かう方向に移動させる。このことは、当初は側面60の領域に位置していたばね要素62の端部69が、図8及び9によれば、カーボンブラシ52、53の第2端面59の領域に進む効果をもたらす。この場合直ちに、ばね要素62によって端部69に生じたばね力が、カーボンブラシ52、53をそれらの第1端面54を介してコレクタ21のセグメント19に当たるように接触(当接)させるように利用される。これにより、整流子又はカーボンブラシ52、53の電気的接触を構成するための組立手順が完了する。
【0036】
上述のカーボンホルダプレート50、又は電気モータ10は、本発明の概念から逸脱することなく、種々の態様で変更又は修正可能である。
【符号の説明】
【0037】
10 電気モータ
12 ギアハウジング
13 出力シャフト
14 ギアカバー
15 接続領域
16 ギア
17 ギアホイール
19 セグメント
20 電機子
21 コレクタ
24 電機子シャフト
26 ウォームスプライン
28 モータハウジング
29 締結ねじ
30 ねじ穴
31 矢印
32 長手軸
33 コネクタプラグ
50 カーボンホルダプレート
51 貫通孔
52、53 カーボンブラシ
54 第1端面
55 ガイド要素
56 開口断面
57 長手軸
59 第2端面
60 側面
61 側面
62 ばね要素
63 コネクタ編組(コネクタ配線)
64 抑制チョークコイル(抑制チョーク)
65 コネクタポート
66 部分
67 付属物
68 ばね部
69 端部
70 トリガ装置
71 接触要素
72 ばね部
73 エントレインメント要素
74 接触面
75 部分
76 矢印
77 凹部
78 摩擦係止接続
79 傾斜
100 風防ガラスワイパー用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】