特表2020-520297(P2020-520297A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-520297三尖弁又は僧帽弁のための関節式プロテーゼ及び関連する捕捉装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-520297(P2020-520297A)
(43)【公表日】2020年7月9日
(54)【発明の名称】三尖弁又は僧帽弁のための関節式プロテーゼ及び関連する捕捉装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/122 20060101AFI20200612BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20200612BHJP
【FI】
   A61B17/122
   A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-514783(P2020-514783)
(86)(22)【出願日】2018年5月3日
(85)【翻訳文提出日】2019年12月24日
(86)【国際出願番号】IB2018053074
(87)【国際公開番号】WO2018211346
(87)【国際公開日】20181122
(31)【優先権主張番号】102017000052909
(32)【優先日】2017年5月16日
(33)【優先権主張国】IT
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519408272
【氏名又は名称】スター トリック エッセ.エッレ.エッレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ ボニス、ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ラペンナー、エリザベッタ
(72)【発明者】
【氏名】アルフィエーリ、オッタービオ
(72)【発明者】
【氏名】パッパラルド、フェデリーコ
(72)【発明者】
【氏名】パッサナンテ、アンジェロ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC05
4C097SB10
4C160CC03
4C160CC07
4C160CC18
4C160DD03
4C160DD09
4C160DD16
4C160DD26
(57)【要約】
三尖弁又は僧帽弁を修復するために患者の心臓に置かれた関節式プロテーゼは、三尖弁の3つの弁尖の全て、又は僧帽弁の2つを同時に把持して、それらを弁の平面において完全に膨張した状態にさせ、一般的な外科手術のように最終的な構成を呈するように理解される。関連する捕捉装置及び三尖弁又は僧帽弁を修復するための装置がまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三尖弁又は僧帽弁のための関節式プロテーゼであって、
遠位環状部分、中央環状部分、及び近位環状部分と、
前記遠位環状部分の外側表面にヒンジ結合された複数の第1の剛性アームと、
前記近位環状部分の外側表面にヒンジ結合された複数の第2の剛性アームと、
複数の第3の剛性アームであって、各第3の剛性アームは、一方の端部から前記中央環状部分の外側表面に、及び反対の端部から前記複数の第1の剛性アームのうちの対応する第1の剛性アームの端部にヒンジ結合されている、複数の第3の剛性アームと、
複数の第4の剛性アームであって、各第4の剛性アームは、一方の端部から前記中央環状部分の外側表面に、及び反対の端部から前記複数の第2の剛性アームのうちの対応する第2の剛性アームの端部にヒンジ結合されている、複数の第4の剛性アームと
を備え、
前記複数の第3の剛性アーム及び/又は前記複数の第4の剛性アームは、対向する捕捉表面において画定されたローレットをそれぞれ有し、前記複数の第3の剛性アームの前記捕捉表面はまた、三尖弁又は僧帽弁の弁尖にスパイクを打つように構成された尖った突起を画定し、
前記遠位環状部分は雌ねじを有し、前記近位環状部分は、
前記複数の第2の剛性アームがヒンジ結合されている側面において円筒状のカラーと、
前記カラーに係合されたねじであって、前記ねじは、それによって前記ねじの長手方向軸線に沿って自由に回転するように支持され、前記雌ねじと係合するように構成されたねじと
を有し、前記中央環状部分は、前記近位環状部分を通過させるための貫通孔を画定し、
前記関節式プロテーゼは、端部に対応してヒンジ接続された全ての剛性アームが膨張されている膨張構成から、前記近位環状部分が前記中央環状部分を通ってねじ込まれ、前記遠位環状部分と係合されている拡張構成に移動可能であって、前記複数の第3の剛性アーム及び前記複数の第4の剛性アームは、それらの間に三尖弁又は僧帽弁の弁尖を保持するように構成され、前記関節式プロテーゼが前記拡張構成にある場合に、前記尖った突起は前記弁尖にスパイクを打つ、関節式プロテーゼ。
【請求項2】
前記複数の第3の剛性アーム及び前記複数の第4の剛性アームは、前記関節式プロテーゼが拡張構成にある場合に前記近位環状部分に向かって配向された凹面を画定するために長手方向に凹状である、請求項1に記載の関節式プロテーゼ。
【請求項3】
前記複数の第2の剛性アーム及び前記複数の第3の剛性アームの数は、前記複数の第1の剛性アーム及び前記複数の第4の剛性アームの数の2倍であり、
前記複数の第4の剛性アームの各々は、前記反対の端部において前記複数の第2の剛性アームの2つと共にヒンジ結合され、
前記複数の第3の剛性アームの各々は、前記反対の端部において前記複数の第1の剛性アームの2つと共にヒンジ結合されている、請求項2に記載の関節式プロテーゼ。
【請求項4】
前記複数の剛性アームの各々は、3つの剛性アーム又は3つの剛性アームの整数倍を備える、三尖弁のための請求項1〜3の何れか一項に記載の関節式プロテーゼ。
【請求項5】
前記複数の剛性アームの各々は、偶数の数の剛性アームを備える、僧帽弁のための請求項1〜3の何れか一項に記載の関節式プロテーゼ。
【請求項6】
三尖弁又は僧帽弁の弁尖のための捕捉装置であって、
請求項1〜5の何れか一項に記載の三尖弁又は僧帽弁のための関節式プロテーゼと、
前記関節式プロテーゼの前記遠位環状部分、前記中央環状部分、及び前記近位環状部分を通ってねじ込まれた膨張チューブに機能的に接続された膨張可能なバルーンと、
前記膨張チューブの周りに同軸に配置され、前記関節式プロテーゼの前記近位環状部分の前記ねじを押圧して回転させるように構成されたねじ込み手段と
を備える捕捉装置。
【請求項7】
三尖弁又は僧帽弁を修復するための装置であって、
血管系から又は患者の胸部の切開から三尖弁又は僧帽弁内の位置まで通過するように構成された介入カテーテルと、
請求項6に記載の三尖弁又は僧帽弁の弁尖のための捕捉装置と
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、弁逆流を示す心臓弁の修復に関する。より詳細には、本発明は、三尖弁又は僧帽弁の弁尖のために、カテーテルを介して送達可能な捕捉装置の関節式プロテーゼを使用する心臓弁の低侵襲性修復に適する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三尖弁疾患の最も一般的なタイプは、機能的な三尖弁逆流(TR)であり、これは主に右心室の拡大に対する続発性の三尖弁輪の拡張に起因する。疾患の経過の後期には、右心室内の乳頭筋の変位のために、三尖弁の係留がまた発生する場合がある。機能的なTRが重度の弁輪拡張と脈管係留との両方に起因する場合には、弁輪形成だけでは成功する可能性が低い。同様に、外傷性の重度の変性TRで一般的に見られるように、複数の弁尖の脱出又は虚脱によって引き起こされるTRは、単純な弁輪形成によって矯正されることができない。
【0003】
効果的で耐久性のある修復を達成するために、いわゆる「クローバー技術」が提案されている。この技術は、「クローバー」型の弁を作って、三尖弁の弁尖の自由端の中央部分と縫合することからなる。この技術に従って治療された三尖弁の図的表現が図1に描写される。この技術で得られた臨床結果は非特許文献1〜5において報告される。
【0004】
僧帽弁及び三尖弁の弁尖を捕捉するための装置は、商品名MITRA CLIP(登録商標)で販売されている。血管アプローチによってカテーテルを介して、又は胸部の小さい切開を通って心臓に導入されることができる、この従来の装置は、図2に示されるタイプのファスナーアプリケータを備える。MITRA CLIP(登録商標)のファスナーを埋め込むために行われる一連の操作が図3に示される。描写されるケースにおいては、心臓弁は僧帽弁であるが、同じ所見が三尖弁についても準用される。カテーテルを使用して、MITRA CLIP(登録商標)のファスナーが、折り畳まれた構成で心臓に挿入され、カテーテルが心臓に近接した場合に、ファスナーは、弁の弁尖を捕捉するために傘のように展開され、その後、弁尖を共に把持するために閉鎖される。最後に、MITRA CLIP(登録商標)のファスナーは、弁尖を共に保ち、この結果、弁逆流を減少させるために心臓において閉鎖された状態にされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】"The ‘clover technique’ as a novel approach for correction of post-traumatic tricuspid regurgitation", O. Alfieri, M. De Bonis et al., Journal of Thoracic and Cardiovascular Surgery, 2003; Vol. 126, No. 1, pages 75-79
【非特許文献2】"A novel technique for correction of severe tricuspid valve regurgitation due to complex lesions." De Bonis M, Lapenna E et al. Eur. J. Cardiothorac. Surg. 2004 May;25(5):760-5
【非特許文献3】"Four-leaflet clover repair of severe tricuspid valve regurgitation due to complex lesions", E. Lapenna, M. De Bonis et al., Journal of Cardiovascular Medicine, 2008, Vo. 9 No. 8, pages 847-849
【非特許文献4】"The clover technique for the treatment of complex tricuspid valve insufficiency: midterm clinical and echocardiographic results in 66 patients", E. Lapenna, M. De Bonis et al., European Journal of Cardio-thoracic Surgery, 37 (2010), 1297-1303
【特許文献5】"Long-term results (up to 14 years) of the clover technique for the treatment of complex tricuspid valve regurgitation", De Bonis M, Lapenna E, et al. Eur. J. Cardiothorac. Surg. 2017 Feb. 23. doi: 10.1093/ejcts/ezx027
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
残念ながら、出願人によって実行された試験は、2つのアームを有するこの従来のアプリケータは、三尖弁の3つの弁尖全てを同時に捕捉することができず、従って、三尖弁逆流の治療における有効性は非常に限定されることを示している。非常に拡張された三尖弁輪が存在する場合、MITRA CLIP(登録商標)のシステムでは、三尖弁の僅か2つの弁尖も捕捉することはかなり困難である。三尖弁の能力を向上させる目的でより多くのMITRA CLIP(登録商標)が埋め込まれる場合には、修復された三尖弁の窓を過度に減少させることによって、三尖弁狭窄のリスクが大幅に増加する。理論に縛られることなく、狭窄のリスクの増加は、心臓弁の弁尖の中央部分が、互いに対して共に把持されるために心臓弁の平面に対して直角に折り畳まれるという事実に起因する場合がある。弁尖は、弁の平面の中心に向かって過度に引き伸ばされた不自然な構成を呈し、この結果、それらの間の窓は減少し、狭窄のリスクは増加する。
【0007】
この問題を防止するために、本開示の装置は、三尖弁の3つの弁尖の全て、又は僧帽弁の2つを同時に把持して、それらを弁の平面において完全に膨張した状態にさせ、一般的な外科手術のように最終的な構成を呈するように理解される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この顕著な結果は、添付の請求項1において画定されるように関節式プロテーゼで達成される。関節式プロテーゼは、関連する捕捉装置の、患者の心臓に置かれる部分である。
【0009】
また、膨張構成で介入カテーテルの中に挿入された捕捉装置を備える、三尖弁又は僧帽弁を修復するための装置が開示される。
【0010】
更なる実施形態は、添付の特許請求の範囲において画定される。提出されたような特許請求の範囲は、本説明の不可欠な部分であり、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】いわゆる「クローバー技術」の外科的介入後の三尖弁の典型的な構成を概略的に描写する。
図2】僧帽弁又は三尖弁の弁尖のための従来のファスナーを描写する。
図3】いわゆるMITRA CLIP(登録商標)のファスナーを心臓弁の弁尖に埋め込むための様々なステップを示す。
図4】膨張構成であり、カテーテルに挿入された本開示の捕捉装置を備える、三尖弁又は僧帽弁を修復するための装置を描写する。
図5】膨張構成の図4の関節式プロテーゼを描写する。
図6A】半拡張構成の図5の関節式プロテーゼを描写する。
図6B】半拡張構成の図5の関節式プロテーゼを描写する。
図7A】近位部分のねじが遠位部分に堅くねじ込まれた拡張構成の図5の関節式プロテーゼを描写する。
図7B】近位部分のねじが遠位部分に堅くねじ込まれた拡張構成の図5の関節式プロテーゼを描写する。
図8】代替の実施形態による三尖弁又は僧帽弁を修復するための装置を描写する。
図9】膨張構成の図8の関節式プロテーゼを描写する。
図10A】半拡張構成の図9の関節式プロテーゼを描写する。
図10B】半拡張構成の図9の関節式プロテーゼを描写する。
図11A】近位部分のねじが遠位部分に堅くねじ込まれた拡張構成の図9の関節式プロテーゼを描写する。
図11B】近位部分のねじが遠位部分に堅くねじ込まれた拡張構成の図9の関節式プロテーゼを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
三尖弁又は僧帽弁を修復するための本開示の革新的な装置が、図4及び図8に概略的に描写される。それらは、介入カテーテル1と、それに膨張構成で挿入された、三尖弁又は僧帽弁の弁尖を把持するための捕捉装置2とを備える。
【0013】
以下の説明においては、三尖弁の修復に対して言及されるが、僧帽弁の修復についても同じ所見が準用される。このために、図に示される捕捉装置2は、三尖弁の3つの弁尖を把持するために、捕捉装置の円形側面の周りに規則的に配置された3列の剛性アームを有する。それにもかかわらず、描写される捕捉装置2は、僧帽弁の2つの弁尖を把持するための2列の剛性アームのみを有するように、又は任意の心臓弁の弁尖をより良好に捕捉するための4列以上の剛性アームさえも有するように作られることができる。
【0014】
図4に示される捕捉装置2は、主にバルーン3、膨張チューブ4、並びに図5図7B及び図9図11Bにより良好に示される、心臓弁の弁尖を捕捉し、且つそれらを過度に引き伸ばし、又は折り畳むことなく、それらを弁の平面において完全に膨張した状態に保つための関節式プロテーゼ5を備える。
【0015】
膨張構成の関節式プロテーゼ5が図5図9)に示される。それは、
− 遠位環状円筒部分6と、
− 中央環状円筒部分7と、
− 円筒状のカラー8、及びカラー8に係合し、長手方向軸線に沿って自由に回転するようにそれによって支持されたねじ9を有する近位環状円筒形部分と、
− 遠位環状円筒部分6の外側表面にヒンジ結合された第1の複数の剛性アーム10と、
− カラー8の外側表面にヒンジ結合された第2の複数の剛性アーム11と、
− 各々が、一方の端部から中央環状円筒部分7の外側表面に、及び反対の端部から剛性アーム10の対応する端部にヒンジ結合されている、第3の複数の剛性アーム12と、
− 各々が、一方の端部から中央環状円筒部分7の外側表面に、及び反対の端部から剛性アーム11の対応する端部にヒンジ結合されている、第4の複数の剛性アーム13と
を備える。
【0016】
遠位部分6は、関節式プロテーゼ5が図5の膨張構成から図7A及び図7B図11A及び図11B)の拡張構成に移る場合にねじ9と係合するように構成された雌ねじ14を有する。中央部分7は、ねじ9を通過させるための貫通孔を有する。ねじ9を遠位部分6にねじ込むことによって、剛性アーム10、11、12、13は拡張され、アーム12及び13がそれらの間に心臓弁の弁尖を把持する。ねじ9がねじ山14に締め付けられる場合には、関節式プロテーゼ5は、心臓弁の弁尖を堅固に保持し、プロテーゼとして置かれ、必要に応じて外科医によって容易に取り外されてもよい。
【0017】
弁尖の良好な把持を提供するために、対向するアーム12及び13の少なくとも一方は、ローレット15、及び対応する弁尖の組織にスパイクを打つように構成された尖った突起16を有する。描写された実施形態においては、剛体アーム13のみがローレット15及び突起16を備えるが、これらはまた、心臓弁の弁尖を更に良好に捕捉するために剛体アーム12の一部又は全てにおいて実現されてもよい。
【0018】
アームは、弁尖を堅固に捕捉し、それらが抜け出すことを防止するために、剛性の材料で作られる必要がある。
【0019】
剛性アーム13における尖った突起16の相対位置は、図1に示されるように、古典的な外科技術で行われるように、可能な限り先端に近接して心臓弁の弁尖にスパイクを打つように確立されてもよい。この結果は、例えば、剛性アーム13のほぼ中央に尖った突起16を配置することによって達成されてもよい。
【0020】
カテーテル1は、図3に示されるように従来のMITRA CLIP(登録商標)の装置で一般的に行われるように、又は患者の胸部の切開から、静脈を通過して患者の心臓の中に挿入されるように適合される。膨張可能なバルーン3に機能的に接続された、柔軟な材料で作られた膨張チューブ4は、修復される心臓弁に近接している場合にカテーテルから排出するために捕捉装置2全体を押圧し、且つ関節式プロテーゼの遠位部分6の中にねじ9をねじ込むためのねじ込み手段17(図8のみに示される)を装備する。これらのねじ込み手段は、膨張チューブ4の周りにねじ込まれ、ねじ9のスリットと係合するねじ回しの先端として成形された端部を有するねじ込みチューブ17の形態であってもよい。
【0021】
膨張構成においては、捕捉装置は修復される心臓弁に搬送され、カテーテルは引き戻され、及び/又はチューブ4は、弁尖を持ち上げるために遠位部分6及びアーム10、12を弁の平面の下に配置し、アーム13及び11、並びにカラー8及びねじ9を備える近位部分を弁の平面の上に配置するように前方に押圧される。バルーン3は、膨張チューブ4を介して膨張され、遠位部分6をねじ9に向かって引っ張るように後方に引きずられる。剛体アーム10、11、12、及び13は、遠位部分6はねじ9に近接するにつれて半径方向に突出し(図6A及び図6B)、示される構成においては、アーム12は、心臓弁の垂れ下がった弁尖と接触し始める。
【0022】
好ましい実施形態によれば、対向する剛性アーム12は、図6A及び図6Bに示されるように、それらの弁のオリフィスの周囲に近接する部分から始まって弁尖を持ち上げるために凹状である。
【0023】
バルーン3を更に引き戻すことによって、ねじ9は、遠位部分6の雌ねじ14と接触する。この結果、弁尖の厚さに応じて、ねじ9を遠位部分14の中に多少深く締め付けることによって、剛性アーム12と13との間の弁尖における圧搾力を調節することが可能である。
【0024】
関節式プロテーゼ5が拡張構成にある場合には、弁尖(示されない)は、対向する剛性アーム12と13との間に捕まえられる。図7A及び図7Bに示される実施形態によれば、各弁尖は、一対の平行な剛性アーム12と単一の剛性アーム13との間に捕捉される。平行な剛体アーム12は、弁尖を、それらを弁の平面において膨張させ、過度に引き伸ばさないように保つペーパークリップとして把持するために剛体アーム13に対して互い違いにされる。
【0025】
ローレット15の把持と尖った突起16によって、弁尖は、剛性アーム12、13によって堅固に保持され、抜け出すことができない。
【0026】
一般的な外科用の「クローバー技術」のように、弁尖間に充分な窓があるために、狭窄を引き起こすリスクが減少する。
【0027】
ねじ9が遠位部分6に堅固に係合している場合には、バルーン3は、収縮され、介入カテーテル1の中に引き戻されて、患者の心臓に置かれた関節式プロテーゼ5を通過する。
【0028】
図8図11Bに示される代替の実施形態によれば、三尖弁の各弁尖は、単一の剛性アーム12と対向する剛性アーム13との間に挟まれる。示される装置の機能は、図4図7Bに示される実施形態と実質的に同じである。
【0029】
好ましくは、図4図7Bの実施形態のように、剛性アーム12及び13は、それらがハサミとして機能することを防止するために、及び弁尖を、それを搾る/挟む代わりに切断するリスクを回避するために、中央部分7における同じ軸線の周りに共にヒンジ接続されない。
【0030】
本開示の捕捉機構の別の利点は、必要に応じて、上記の操作を逆の順序で実行することによって、患者の心臓に設置された関節式プロテーゼを置き換えることを可能にするという事実である。より詳細には、関節式プロテーゼは、
− 収縮されたバルーン3を、近位部分を通って遠位部分6から出るまで挿入する操作と、
− バルーン3を膨張させ、それを遠位部分6に当接させる操作と、
− ねじ込み手段17を使用して遠位部分6からねじ9を緩め、関節式プロテーゼ5が膨張構成を呈することを可能にする操作と、
− 最後に、膨張チューブ4を引っ張ることによって、膨張された関節式プロテーゼをカテーテルの中に挿入する操作と
を介して患者の心臓から取り外されてもよい。
【0031】
関節式プロテーゼ5は、患者の心臓に埋め込まれる心臓プロテーゼに適合された生体適合性材料で作られる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【国際調査報告】