【実施例】
【0149】
実施例は本発明を説明するものである。
実施例1:4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(Caf)の合成
4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(Caf; 7)(4′−カルボキシフェニルアゾフェニルアラニンとも称する)の調製は以前に報告されている(Nakayama他、2005 Bioconjug. Chem. 16:1360-1366)。しかしながら、
図2Aに示されるより便利なCafの合成プロトコルを以下に提供する。市販のFmocまたはBoc保護4−アミノ−L−フェニルアラニン(3および4)を4−ニトロソ安息香酸(2)と反応させた。4−ニトロソ安息香酸(2)はオキソンでの酸化により4−アミノ安息香酸(1)から調製した(2 KHSO
5+KHSO
4+K
2SO
4)。生成したジアゾ中間体5をピペリジンで脱保護し、一方でもう1つの中間体6はジオキサン中HClで脱保護した。どちらの場合も所望のアミノ酸7を与えた。
【0150】
工程1:4−ニトロソ安息香酸(2)の合成
化合物2は公表された手順に従って調製した(Priewisch&Ruck-Braun 2005 J. Org. Chem. 70:2350-2352)。4−アミノ安息香酸(15 g、109ミリモル)を180 mLのジクロロメタンに懸濁した。675 mL H
2O中のオキソン(134.5 g、219ミリモル)の溶液を添加し、混合物を室温で1.5時間攪拌した。沈澱を濾別し、H
2Oで徹底的に洗浄し、風乾し、次いでP
2O
5上で乾燥した。4−ニトロソ安息香酸(2)が黄色固体(16 g、106ミリモル)として得られ、それは少量の4−ニトロ安息香酸を含んでいたが、精製せずにそのまま使用した。
【0151】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ = 13.50 (s, 1H, COOH), 8.29 - 8.22 (m, 2H, 芳香族), 8.05 - 8.00 (m, 2H, 芳香族)。
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ = 166.19 (CO), 165.00 (C 芳香族), 136.53 (C 芳香族), 131.02 (2×C 芳香族), 120.62 (2×C 芳香族)。
分析用HPLC: カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm (Merck KgaA, Darmstadt, ドイツ), 勾配:30分間で10−100% ACN/水+0.1%TFA;流速:0.6 mL/分;t
R =14.43分。
【0152】
工程2a:N−Fmoc−4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(5)の合成
化合物5は公表された手順と同様に調製した(Priewisch&Ruck-Braun 2005 J. Org. Chem. 70:2350-2352)。4−ニトロソ安息香酸(2)(3 g、19.9ミリモル)を超音波処理しながら320 mL DMSO/AcOH 1:1(v/v)に懸濁した後、Fmoc-Phe(4-NH
2)-OH(3)(4 g、9.94ミリモル;Iris Biotech、Marktredwitz、ドイツ)を加えた。その混合物を室温で2日間撹拌した。次に、700mLのH
2Oを添加し、生じた沈殿物を濾過し、H
2Oで洗浄し、風乾し、次いでP
2O
5上で乾燥した。所望の生成物(5)が褐色固体として得られ、それを精製することなくそのまま使用した。
【0153】
1H NMR(400 MHz、DMSO-d6)δ=13.16 (s, 2H, 2×COOH), 8.17-8.13 (m, 2H, 芳香族), 7.97-7.90 (m, 2H, 芳香族), 7.88-7.81 (m, 5H, 芳香族, NH), 7.68-7.58 (m, 2H, 芳香族), 7.56-7.48 (m, 2H, 芳香族), 7.42-7.33 (m, 2H, 芳香族), 7.33-7.23 (m, 2H, 芳香族), 4.30(ddd, J = 10.6, 8.5, 4.5 Hz, 1H、CαH), 4.25-4.19 (m, 2H, Fmoc-CH
2), 4.19-4.12 (m, 1H, Fmoc-CH), 3.23 (dd, J = 13.9, 4.4 Hz, 1H, CβH), 3.01(dd, J = 13.8, 10.7 Hz, 1H, CβH)。
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ=173.14 (CO), 166.75 (CO), 155.99 (CO), 154.37 (C 芳香族), 150.69 (C 芳香族), 143.78 (C 芳香族), 143.73(C 芳香族), 142.83 (C 芳香族), 140.71 (C 芳香族), 140.69 (C 芳香族), 132.71 (C 芳香族), 131.03 (2×C 芳香族), 130.66 (2×C 芳香族), 130.35 (2×C 芳香族), 127.61 (2×C 芳香族), 127.05 (2×C 芳香族), 122.79 (2×C 芳香族), 122.47 (2×C 芳香族)、120.09 (2×C 芳香族), 65.64 (Fmoc-CH
2), 55.19 (Cα), 46.61 (Fmoc-CH), 36.42(Cβ)。
MS分析:計算値 [M-H
+]
-=534.16706;実測値 [M-H
+]
-=534.15320。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm(Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ)、勾配:30分間に渡り10−100%ACN+0.1%TFA、流速:0.6 mL/分;t
R =21.16分。
【0154】
工程2b:N−Boc−4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(6)の合成
化合物6は、公表された手順に従って調製した(Bose他 2006 J. Am. Chem. Soc. 128:388-389)。Boc-Phe(4-NH
2)-OH(4)(1 g、3.6ミリモル; Bachem、ブベンドルフ、スイス)を50 mL AcOHに溶解した。4−ニトロソ安息香酸(2)(0.8 g、5.4ミリモル)の添加後、混合物を24時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、残留物質を各100 mLの1 M HCl(水性)と酢酸エチルに溶解した。水相を50 mLの酢酸エチルで4回抽出した。合わせた有機相をブラインで1回洗浄し、MgSO
4上で乾燥した。溶媒の蒸発後、褐色固体として化合物6が得られ(638 mg、1.54ミリモル、43%)、これを精製せずに更に使用した。
【0155】
1H NMR (500 MHz、DMSO-d6) δ=8.14 (d, J = 8.3 Hz, 2H, 芳香族), 7.94 (d, J = 8.4 Hz, 2H, 芳香族), 7.85 (d, J = 7.9 Hz, 2H, 芳香族), 7.49 (d, J = 8.1 Hz, 2H, 芳香族), 7.11 (d, J = 8.4 Hz, 1H, NH), 4.22 - 4.13 (m, 1H, CαH), 3.15 (dd, J = 13.9, 4.6 Hz, 1H, CβH), 2.95 (dd, J = 13.8, 10.2 Hz, 1H, CβH), 1.31 (s, 9H, C(CCH
3)
3)。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm(Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ)、勾配:30分間に渡り10−100%ACN+0.1%TFA、流速:0.6 mL/分;t
R=18.33分。
【0156】
工程3a:4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(7)の合成(Fmoc開裂)
化合物 5(5 g、9.34ミリモル)を40 mLのDMFに溶解し、次いで10 mLのピペリジンを滴下添加し、その混合物を室温で30分間撹拌した。450 mLの0.5 M NaHCO
3(水性)を添加して無色沈殿物を形成させ、それをろ過により除去した。ろ液を6 M HCl(水性)の添加によりpH 1〜2に酸性化した。沈殿物を濾別し、風乾した後、P
2O
5上で乾燥させた。化合物 7が褐色固体として得られ(2.42 g、7.72 ミリモル、二段階で98%)、これを更に精製することなく実施例3と6に記載の生物物理学的および生化学的実験に使用した。
【0157】
1H NMR (400 MHz、D
2O) δ=7.86 - 7.80 (m, 2H, 芳香族), 7.59 - 7.53 (m, 2H, 芳香族), 7.53 - 7.47 (m, 2H, 芳香族), 7.24 - 7.18 (m, 2H, 芳香族), 3.42 (dd, J = 7.5, 5.6 Hz, 1H, CαH), 2.90 (dd, J = 13.5, 5.6 Hz, 1H, CβH), 2.73 (dd, J = 13.4, 7.6 Hz, 1H, CβH)。
13C NMR (101 MHz、D
2O)δ= 181.94 (CO), 174.43 (CO), 153.16 (C 芳香族), 150.42 (C芳香族), 142.79 (C 芳香族), 138.45 (C 芳香族), 130.23 (2×C 芳香族), 129.81 (2×C 芳香族), 122.55 (2×C 芳香族), 121.93 (2×C 芳香族), 57.28 (Cα), 40.80 (Cβ)。
MS分析:計算値[M-H
+]
-=312.09898;実測値[M-H
+]
-=312.09380。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm(Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ);勾配:30分間に渡り10−100%ACN+0.1%TFA;流速0.6 mL/分;t
R=10.7分。
【0158】
工程3b:4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(7)の合成(Boc開裂)
化合物 6(638 mg、1.5ミリモル)を20 mLの約2M HCl/ジオキサン中に溶解し、次いで室温で一晩攪拌した。沈澱をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、真空乾燥した。化合物7が褐色固体として得られ(236 mg、0.67 ミリモル、44%)、これを更に精製することなく実施例3と6に記載の生物物理学的および生化学的実験に使用した。分析データは、工程3aに記載のものと一致した。
【0159】
実施例2:4−〔(3−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(11)の合成
4−〔(3−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(11)(本明細書中3′−カルボキシフェニルアゾフェニルアラニンとも称する)は、
図3Aに示される3工程において合成した。Fmocで保護した4−アミノフェニルアラニン(3)を、オキソンでの酸化により3−アミノ安息香酸(8)から調製した3−ニトロソ安息香酸(9)と反応させた。中間体(10)をピペリジンで脱保護し、4−〔(3−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(11)を得た。
【0160】
工程1:3−ニトロソ安息香酸(9)の合成
化合物9は公表された手順に従って調製した(Priewisch & Ruck-Braun 2005 J. Org. Chem. 70:2350-2352)。3−アミノ安息香酸(8)(5 g、36.5ミリモル)を100 mLのDCM中に懸濁した。400 mL H
2O中のオキソン(44.9 g、73ミリモル)の溶液を添加した後、混合物を室温で1時間攪拌した。沈澱を濾別し、H
2Oで徹底的に洗浄し、P
2O
5上で乾燥した。褐色固体として3−ニトロソ安息香酸(9)(4.1 g、27ミリモル、76%)が得られ、それは少量の3−ニトロ安息香酸を含んでいたが、精製せずに次の工程に使用した。
【0161】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ=13.52 (s, 1H, COOH), 8.41 - 8.35 (m, 1H, 芳香族), 8.35 - 8.33 (m, 1H, 芳香族), 8.19 - 8.11 (m, 1H, 芳香族), 7.91 - 7.84 (m, 1H, 芳香族)。
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ=166.08, 165.19, 136.26, 132.45, 130.47, 124.25, 120.98。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm (Merck KgaA, ダルムシュタット, ドイツ), 勾配:30分間で10−100%ACN/水+0.1%TFA;流速:0.6 mL/分;t
R =14.05分。
【0162】
工程2:N−Fmoc−4−〔(3−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(10)の合成
化合物10は公表された手順と同様に調製した(Priewisch&Ruck-Braun 2005 J. Org. Chem. 70:2350-2352)。3−ニトロソ安息香酸(9)(378 mg、2.5ミリモル)を超音波処理しながら40 mL DMSO/AcOH 1:1(v/v)に懸濁した後、Fmoc-Phe(4-NH
2)-OH(3)(500 mg、1.24ミリモル)を加えた。その混合物を室温で2日間撹拌し、次いで200 mLのH
2Oを添加した。生じた沈殿物を濾過し、H
2Oで洗浄し、P
2O
5上で乾燥した。褐色固体としてFmoc-保護アミノ酸(10)が得られ、それを精製することなく更に使用した。
【0163】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ=13.15 (s, 2H, 2×COOH), 8.38 - 8.33 (m, 1H, 芳香族), 8.11 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 2H, 芳香族), 7.93 - 7.79 (m, 5H, 芳香族, NH), 7.77 - 7.69 (m, 1H, 芳香族), 7.63 (t, 2H, 芳香族), 7.54 - 7.48 (m, 2H, 芳香族), 7.43 - 7.33 (m, 2H, 芳香族), 7.33 - 7.22 (m, 2H, 芳香族), 4.28 (ddd, J = 10.8, 8.5, 4.5 Hz, 1H, CαH), 4.24 - 4.10 (m, 3H, Fmoc-CH, CH
2), 3.26 - 3.17 (m, 1H, CβH), 3.00 (dd, J = 13.8, 10.7 Hz, 1H, CβH)。
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ = 173.11 (CO), 166.72 (CO), 155.96 (C 芳香族), 151.94 (CO), 150.55 (C 芳香族), 143.77 (2×C 芳香族), 143.71 (2x C 芳香族), 142.51 (C 芳香族), 140.67 (C 芳香族.), 136.26 (C 芳香族), 132.15 (C 芳香族), 130.48 (C 芳香族), 130.30 (2×C 芳香族), 129.95 (C 芳香族), 127.59 (C 芳香族), 127.04 (2×C 芳香族), 125.23 (C 芳香族), 125.18 (C 芳香族), 122.67 (2x C 芳香族), 122.22 (C 芳香族), 120.08 (2×C 芳香族), 65.62 (Fmoc-CH
2), 55.18 (Fmoc-CH), 46.57 (Cα), 36.36 (Cβ)。
MS分析:計算値[M-H
+]
-=534.16706;実測値[M-H
+]
- =534.15493。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm (Merck KgaA、ダルムシュタット、ドイツ)、勾配:30分間に渡り10−100%ACN/水+0.1%TFA;流速 0.6 mL/分;t
R=21.6分。
【0164】
工程3:4−〔(3−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(11)の合成
Fmoc保護アミノ酸(10)(650 mg、1.21ミリモル)を12 mLのDMFに溶かした。3 mLのピペリジンを滴下添加した後、混合物を室温で30分間攪拌した。35 mLの0.5 M NaOHの添加により無色沈澱が形成し、それをろ過により除去した。ろ液を6 M HCl(水性)を使ってpH 1-2に酸性化した。生じた沈澱を濾別し、風乾し、次いでP
2O
5上で乾燥した。褐色固体としてアミノ酸(11)(361 mg、1.15ミリモル、2ステップで83%)が得られ、それを更に精製することなく実施例3に記載の生物物理学的実験に使用した。
【0165】
1H NMR (400 MHz, D
2O) δ=8.14 - 8.08 (m, 1H, 芳香族), 7.94 - 7.89 (m, 1H, 芳香族), 7.76 - 7.70 (m, 1H, 芳香族), 7.67 - 7.60 (m, 2H, 芳香族), 7.55 - 7.47 (m, 1H, 芳香族), 7.34 - 7.27 (m, 2H, 芳香族), 3.48 (dd, J = 7.4, 5.6 Hz, 1H, CαH), 2.97 (dd, J = 13.5, 5.6 Hz, 1H, CβH
2), 2.81 (dd, J = 13.5, 7.5 Hz, 1H, CβH
2)。
13C NMR (101 MHz, D
2O) δ=182.01 (CO), 174.34 (CO), 151.76 (C 芳香族), 150.50 (C 芳香族), 142.60 (C 芳香族), 137.59 (C 芳香族), 131.49 (C 芳香族), 130.28 (2×C 芳香族), 129.26 (C 芳香族), 123.84 (C 芳香族), 123.29 (C 芳香族), 122.52 (2×C 芳香族), 57.32 (Cα), 40.78 (Cβ)。
MS分析:計算値[M-H
+]
-=312.09898;実測値[M-H
+]
-=312.09760。
分析用HPLC:カラム:Purospher RP-8e 250×3 mm (Merck、ダルムシュタット、ドイツ), 勾配:30分間に渡り10〜100%ACN/水+0.1%TFA;流速0.6 mL/分;t
R=11.3分。
【0166】
実施例3:4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(Caf)の光誘起異性化
分光法による分析
アゾベンゼンのUV-VIS吸収スペクトルは、トランス配置とシス配置についてのπ−π
*とn−π
*電子遷移(それらは最大吸収(λ)の振幅と正確な位置が異なる)に相当する特徴的な吸収帯を示す。電子遷移π−π
*は通常340 nm付近の近紫外領域にあり(Sension他、1993 J. Chem. Phys. 98: 6291-6315)、一方電子遷移n−π
*は通常420 nm付近の可視(VIS)領域にあり、窒素原子の非共有電子対の存在によるものである(Naegele他、1997 Chem. Phys. Lett. 272: 489-495)。合成した非天然アミノ酸Caf(7)がUV光により誘導される光切り替えに反応するかどうかを調べるために、該化合物を交互の照射サイクルに供した。典型的な実験では、0.5 mLの30μM水溶液を、1cmの光路長を有する石英キュベット中に入れた。次いで353 nmの波長を有するUV LED(NS355L-5RLO;Nitride Semiconductors、徳島県、日本)を使ってまたは520 nmの波長を有する緑色LED(LL-504PGC2E-G5-2CC; Lucky Light Electronics, 香港, 中国)を使って上方から30分間サンプルを照射した。トランス/シス異性化に相当する340 nm付近のπ−π
*帯の強度の変化(
図4A)を、コンピュータ制御光度計(Ultrospec 2100 pro, Amersham Biosciences)を用いてモニタリングした。鋭意研究により、3サイクルに渡る約340 nmでの吸光度の変化が明らかになり、それはアゾ化合物のトランス配置(高い340 nm吸光度)とシス配置(低い340 nm吸光度)間の可逆的光切り替えと一致する(
図4B)。
【0167】
HPLCによる分析
水中のCaf(7)の60μM溶液500μLを、1.5 mLのHPLCバイアル(スクリューネックバイアルN9、褐色ガラス製、11.6×32 mm;Macherey Nagel, デューレン、ドイツ)中に入れ、それにUV LED(λ=353 nm、NS355L-5RLO;Nitride Semiconductors, 徳島県、日本)を上方から30分間直接照射した。照射の前後に、該溶液の20μLサンプルを取り出し、Purospher RP-8e 250×3 mmカラム(Merck)上でのHPLCにより分析し、50 mM NH
4OAc緩衝液 pH 8中の10−12%アセトニトリル(ACN)の濃度勾配を10分間に渡り適用した(流速0.6 mL/分)。緑色LED光(λ=520 nm、LL-504PGC2E-G5-2CC、Lucky Light Electronics、香港、中国)での照射後に同様な方法で別のサンプルを分析した。
図4は、λ=286 nm(trans-(7)とcis-(7)が同じモル吸光係数を示す波長、ピーク積分の直接比較が可能である)に吸収を有する対応するクロマトグラムを示す。このクロマトグラムは、化合物(7)のシス異性体とトランス異性体がHPLCにより分離できることを示す(cis-(7) t
R=3.6分、trans-(7) t
R=4.6分)。照射前の基底状態では、エネルギー的に優先されるtrans-(7)のみが生じる(
図4C)。UV光(365 nm)での照射は、cis-(7)の比率を増大させ、ここでは86%まで増加させ(
図4D)、これは緑色光(λ=520 nm)での照射により逆転させて、光化学的再異性化により基底状態を回復することができる(
図4E)。しかしながら、HPLC分析中にもcis-(7)からtrans-(7)への再異性化が起こるので、UV光の照射後のcis-(7)の比率がHPLCクロマトグラムにより示されるものよりも事実上高いかもしれない。よって、本発明の光切替可能ポリペプチドをアフィニティークロマトグラフィー手順に適用すると、トランス配置が高親和性状態に相当しそして一方でシス配置が低親和性状態に相当する場合には、目的の分子の最大結合および最大溶出がそれぞれ430 nmおよび330 nmで起こる。しかしながら、従来の光源は一般に530 nm付近(可視光)および365 nm付近(UV光)にある波長の光を提供する。従って、それらの波長を提供する光(すなわち530 nm付近および/または365 nm付近)も本発明に従って使用することが可能である。
【0168】
実施例4:4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(Caf)に特異的なPylRS変異体の選択
4−〔(4−カルボキシフェニル)アゾ〕−L−フェニルアラニン(Caf)のような光切替可能な非天然アミノ酸を含むタンパク質の生合成は、生物物理学、構造学または生化学的研究並びに生物工学(バイオテクノロジー)および生物医薬品用途のための新規の光制御可能な生体分子試薬への道を切り開いた。大腸菌E. coli中で生産される組換えタンパク質中へのCafの共翻訳部位特異的組み込みのためのサプレッサーtRNAおよびアミノ−アシルtRNAシンテターゼ(aaRS)の直交ペア(orthogonal pair)を開発するために、メタン生成古細菌Methanosarcina barkeri(Mb)からのピロリジル−tRNAシンテターゼ(James他、2001 J. Biol. Chem. 276: 34252-34258)およびアンバー終止コドンを特異的に認識して抑制するそれの同族体tRNA
Pyl(Fekner & Chan 2011 Curr. Opin. Chem. Biol. 15:387-91)を使用した。
【0169】
非天然アミノ酸基質Cafに特異的な変異体aaRSを選択するために、aaRSと同族tRNAの両方をコードする以前に記載された1プラスミド系(Kuhn et al. 2010 J. Mol. Biol. 404: 70-87) をPylRSに適用した。改変プラスミドpSBX8.101d58(配列番号23)は、Mb由来のPylRSおよび同族体のサプレッサーtRNA
Pylをコードする(
図5A)。同一プラスミド上でクローニングすると、アンバー終止コドンを備えたクロラムフェニコール耐性レポーター遺伝子(catUAG
112;配列番号24)は高度に活性なaaRS変異体(Cam耐性を付与する)を選択する機能を果たし、そして別のアンバー終止コドンを備えた蛍光レポーター遺伝子(eGFP
UAG39;配列番号25)を蛍光活性化細胞選別(FACS)と組み合わせて、所望のアミノ酸特異性を示す変異体についてスクリーニングするのに使用した。外来アミノ酸の存在下または非存在下でCamが補足されたLB寒天プレート上での生死判別と組み合わせた、陽性と陰性FACSの交互のサイクルを適用することにより、Caf取り込みについて高特異性を有する変異型aaRS(吹き替え型CafRS)が選択された。
【0170】
突然変異Tyr349Fは、非天然アミノ酸に対するMb PylRSの生体内抑制活性を増加させると記載されており(Yanagisawa他、2008 Chem. Biol. 15: 1187-1197)、従ってこの位置を全てのライブラリーにおいてPheに固定した。突然変異はQuikChange部位特異的変異誘発キット(Agilent, Waldbronn, ドイツ)を使って一対の適当なPCRプライマー(配列番号27と28)を用いてPylRS野生型遺伝子(配列番号26)中に導入し、変異型PylRS#1(配列番号29)を生成した。
【0171】
非天然アミノ酸Cafに特異的な変異型シンテターゼを創製するため、2段階構築PCRアプローチにおいて、NNS縮重プライマーを使って活性部位中に5箇所の位置(M309、Asn311、Cys313、Met315およびTrp382)を完全にランダム化することにより、PylRS#1に基づいた第一のシンテターゼライブラリー(CafRS#0-R5)を作製した。鋳型としてPylRS#1遺伝子(配列番号29)を用いてQ5 DNAポリメラーゼPCRキット(New England Biolabs, Ipswich, MA, USA)を使って部位特異的飽和変異誘発を実施した。第一に、各々一対のフォワード(正方向)・リバース(逆方向)プライマー(フォワードプライマー1:配列番号30;フォワードプライマー2:配列番号31;リバースプライマー1:配列番号32;リバースプライマー2:配列番号33)を用いて2つの重複するPCR断片を調製した。全てのプライマーはMWG Eurofins (Ebersberg、ドイツ)により供給された。
【0172】
2種のランダム化反応を、1×Q5緩衝液、200μMの各dNTPおよび0.5 UのQ5 DNAポリメラーゼを含む50μL反応混合物中で同一条件下で実施した。その混合物を98℃で10秒間変性させ、64℃で30秒間アニールし、そして72℃で30秒間ポリメラーゼ連鎖反応を実施した。35サイクル後、DpnIでの酵素消化を37℃で2時間実施して細菌鋳型を除去した。2つの増幅されたDNA断片をGel Extraction Kit(Qiagen, Hilden, ドイツ)を用いるアガロースゲル精製によって精製し、そして第二のPCR反応において集成した。このために、各200 ngの両断片を、1×Q5緩衝液、200μMの各dNTPおよび0.5 UのQ5 DNAポリメラーゼを含む50μLのQ5 DNAポリメラーゼ反応混合物中で混合した。混合物を98℃で10秒間変性し、64℃で30秒間アニールし、そして72℃で30秒間PCR反応を実施した。10サイクル後、隣接プライマー(配列番号30と34)を添加し、次いで98℃で10秒、64℃で30秒、および72℃で30秒の30回の熱循環、最後に72℃で5分間のインキュベーションを行った。
【0173】
Qiagenゲル抽出キットを使ったPCR生成物のアガロースゲル精製の後、配列番号30と34のプライマーを用いて上述の熱循環工程を適用することにより、100μLのQ5 DNAポリメラーゼ反応混合物中で再増幅反応を実施した。前の集成工程において使用した隣接プライマー(配列番号30と34)中の一対の相互に非互換型のIIS制限部位(BsaI)は、pSBX8.101d58(配列番号23)中に中心のコード領域の一方向挿入を可能にした。Qiagen PCR精製キットの適用後、標的領域中にランダム突然変異を担持している生成DNA断片をBsaIで2回切断し、再びQiagen PCR精製キットを使って精製し、そしてプラスミドpSBX8.101d58上でクローニングした。電子受容能のある(electrocompetent)大腸菌NEB10beta細胞(New England Biolabs)の形質転換(Dower他、1988 Nucleic Acids Res. 16: 6127-6145) は、3×10
9個の形質転換体(サンプル画分のコロニー計数による)を産生した。それを100 mg/Lのアンピシリンが補足された10枚の正方形LB寒天プレート(114 cm
2)上で平板培養した。
【0174】
コロニーをプレートから掻き取り、各々5 mLのLB培地中に再懸濁し(Sambrook & Russell 2001 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第三版. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, NY)、次いで新鮮な培地で1 Lの容量になるよう調整した。30℃で振盪しながら30分間インキュベートした後、このプールした培養物から、Qiagen Plasmid Midi キットを使ってプラスミドDNAを調製し、その後電子受容能のある大腸菌BL21(Studier & Moffatt 1986 J. Mol. Biol. 189: 113-130)の形質転換に使用した。pSBX8.101d58上にクローニングしたPylRS#1遺伝子中の標的位置のランダム化を、DNAシーケンシングによって確認した。
【0175】
上記で調製したCafRS#0-R5ライブラリーによる、電気受容能のある大腸菌BL21の形質転換直後(Dower他、1988 Nucleic Acids Res. 16: 6127-6145)、リン酸緩衝液(17 mM KH
2PO
4, 72 mM K
2HPO
4)と1 mM Caf(300 mM NaOH中の100 mM原液)が補足された4 mLのトランスフェクト細胞懸濁液を、50 mLのLB培地中に希釈した。37℃で2時間インキュベーション後、細胞を遠心分離により沈降させ、10 mLの添加剤不含有の新鮮なLB培地で洗浄した。別の遠心分離工程の後、細胞を2 mLのLB培地中に再懸濁し、そして100 mg/Lのアンピシリン、60 mg/Lのクロラムフェニコールおよび1 mM Cafが補足された4枚の平板LB寒天プレート(114 cm
2)上に塗布した。37℃で48時間インキュベーション後に得られたコロニーをプレートから掻き取り、各々5 mLのLB培地中に再懸濁し、次いで100 mg/Lアンピシリンを含む1 LのLB培地中に混合し希釈し、そして3 Lの振盪フラスコ中でOD
550=0.4にまで37℃で増殖させた。この培養から、3通りの2 mL培養物をプラスチックチューブに移し、並行して1 mM Cafを含むものと含まないものに補足し、新しく300 mM NaOH中の100 mM溶液として溶解した。細菌を37℃で30分間振盪培養し、次いでDMF中2 mg/mL濃度に溶解させた200 ng/mLのアンヒドロテトラサイクリン(aTc;Acros Organics, Geel, ベルギー)の添加によりeGFPの発現を誘導し、次いで37℃で更に9〜12時間振盪した。各培養物1 mLを1.5 mLのエッペンドルフチューブ中で3分間遠心分離し、細菌ペレットを注意深く1 mLのろ過滅菌済みのPBS(4 mM KH
2PO
4, 16 mM Na
2HPO
4, 115 mM NaCl)で繰り返しピペッティングすることにより再懸濁した。この手順に従って2回洗浄した後、細菌を最終的に同容量のPBS中に再懸濁した。
【0176】
フローサイトメトリー分析並びに細菌細胞選別を、ろ過滅菌済のPBSをシース液としてFACSAria装置(BD Biosciences, Heidelberg, ドイツ)上で、励起に488 nmのレーザー光を使用しそしてeGFP蛍光の特異的検出のために530/30帯域通過フィルターを有する502 nmのロングパスフィルターを使って実施した。適当なFSC/SSCゲートを介した完全な細菌細胞の選択後、Cafの存在下での「ポジティブ選択(正の選択)」サイクルには、各集団の最終選別ゲートを、最高のeGFPシグナル強度を有する全細胞の1〜5%の画分に属するそれらの細胞を選択するように動的に設定した。「ネガティブ選択(負の選択)」には、未誘導の細菌のものに匹敵する低eGFPシグナルを有する細胞を選別した。100 mg/mLのアンピシリンが補足されたLB培地中に直接細胞を収集した。再増幅には、選別した細胞を100 mg/Lアンピシリン含有のLB寒天上に塗布し、37℃で一晩インキュベートした。コロニーの芝をまとめて上述した通りにLB培地中に再懸濁した。この濃厚な細菌細胞懸濁液の2 mLアリコートを、100 mg/mLアンピシリンが補足された100 mLの調製した直後の新鮮なLB培地に接種し、それを次の選択サイクルにそのまま使用した。
【0177】
高忠実度を有するCafRSを濃縮するため、および任意の天然アミノ酸を受け入れているものを除去するため、2回の連続したネガティブFACS選択工程を最初に実施した。ポジティブ(すなわち、1 mM Cafの添加を伴う)選択とネガティブ(すなわちCafの欠損下での)選択のFACSラウンドを交互に5回行った後、レポータータンパク質eGFP中へのCafの特異的取り込みを示す蛍光応答が明らかに発生した。最終ポジティブ選択サイクル後、細菌をLB寒天上に塗布し、そしてQiagen Plasmid Midiキットを使って回収された細胞からプラスミドDNAを調製した。カルシウム受容能のある大腸菌BL21細胞の形質転換後、長方形のプラスチック皿(Nunc, Langenselbold, ドイツ)中100 mg/Lアンピシリンが補足されたLB寒天上にそれを塗布し、そして以前に詳細に記載されたようなロボットプラットフォームを使って(Reichert他 2015 Protein Eng. Des. Sel. 28: 553-565)、生成した細菌集団を96ウェルのミクロ培養中での単一クローン分析にかけた。このアッセイでは、190個のランダムに選択されたコロニーを増殖させ、eGFP蛍光について個別に分析した。
【0178】
37℃で一晩インキュベーション後、コロニーを自動選別し、96ウェルの丸底マイクロタイタープレート(Sarstedt, Nurnbrecht, ドイツ)中で100 mg/mLのアンピシリンが補足された100μLのTB培地(Sambrook & Russell 2001 Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, NY)に接種するのに用いた。そのマイクロタイタープレートをガス透過性のBreathseal 80/140 mm膜(Greiner Bio-One, Frickenhausen, ドイツ)で密封し、37℃で一晩インキュベートし、25 mmの振幅で軌道振盪型Minitronインキュベーター(Infors, Eisenbach, ドイツ)を使って300 rpmの攪拌速度で静止期まで培養した。次いで、100 mg/Lアンピシリンを含むTB培地中の新鮮1 mL培養物を、各々20μLの前培養物を含むMasterblock 2 mL V形深型ウェルマイクロタイタープレート(Greiner Bio-One)中に接種し、そしてSynergy 2 SLFA マイクロプレートリーダー(BioTek Instruments, Bad Friedrichshall, ドイツ)でモニタリングしながらOD
550≒0.5に達するまで37℃で約2時間インキュベートした。この接種工程は、2枚の同等の96深型ウェルプレート、すなわち1枚は1 mM Cafが補足されそしてもう1枚は非天然アミノ酸を含まないプレート、を使って正副二通りに実施した。更に30分間振盪した後、細胞を200 ng/mLのaTcで誘導した(LB培地中の10μg/mL原液から20μLを添加することにより)。細菌増殖を37℃で12時間続け;次いで培養物を遠心分離し(3857×g;15分間)そしてロボットプラットフォーム上での繰り返しピペッティングにより、1 mL PBS中に再懸濁した。PBS中での洗浄をもう1度繰り返した。最後に、100μLアリコートのeGFP
Caf39 蛍光を、Maxisorb 黒色96-ウェルアッセイプレート(Nunc)を使って395 nmでの励起の下で測定し、495 nmカットオフで510 nmでの発光を検出した。各ウェルの蛍光の読みを、96ウェルのミクロテストプレートF(Mikrotest plate F;Sarstedt)中で1:5希釈(20μLアリコート+80μL PBS)した同細胞懸濁液のOD
550 に対して正規化した。空のpSBX8.100d骨格のみを収容する(eGFPをコードしない)細胞を含む、2つのウェルの正規化されたバックグラウンド蛍光を平均化し、そして全ての他の蛍光読み値より差し引いた。各クローンについての最終値は蛍光比aaRS
+Caf/aaRS
-Caf として決定された。
【0179】
効率と忠実度の点から最良のクローン、dubbed CafRS#7(配列番号35)は、既に平均eGFP蛍光にいくらかの増加を示し、これは更なる位置のランダム化の必要性を指摘する。CafRS#7の配列分析は、PylRS#1に比較して3アミノ酸置換(Met309Gln, Asn311Ser および Cys313Gly)を示した。
【0180】
CafRS#7 (配列番号35)を、6つの完全にランダム化された位置(Ala267, Leu270, Tyr271, Leu274, Ile285 および Ile287)を有する第二の集中ssRSライブラリー(CafRS#7-R6; 配列番号36)のための出発点として使用した。2セットの縮重NNSプライマーを使って2つのPCR断片を作製し、会合させた。第一のPCR断片は、フォワードプライマー(配列番号30)とNNSリバースプライマー(配列番号37)を使って作製し、目的の残基に突然変異を導入して該遺伝子の上流部分を作製した。第二のPCR断片は、第一のPCR生成物の3'末端に対しフォワードプライマーの重複を有する、別のNNS縮重フォワードプライマー(配列番号38)とリバースプライマー(配列番号34)を使って作製し、該遺伝子の下流部分を提供した。それらの2つのPCR断片は、上記の実験手順に従って、鋳型としてCafRS#7遺伝子を用いて作製した。アガロースゲル精製後、200 ngの各断片を、BsaI制限部位を更に含む該遺伝子の5′末端(配列番号30)と3′末端(配列番号34)のためのプライマーとの集成PCR反応に使用した。該ライブラリーをpSBX8.101.d58上でクローニングし、1×10
10 個の形質転換体を得、それを100 mg/mLアンピシリン並びに30 mg/mLクロラムフェニコールと1 mM Cafが補足されたLB寒天プレート上で、生存能のあるコロニーについての最初の生死判別試験にかけ、次いでFACSを使って2回のネガティブ選別を実施した。5回の交互のFACS選別(3回のポジティブ選択と2回のネガティブ選択)の後、細菌細胞を100 mg/Lのアンピシリンが補足されたLB寒天上で回収し、続いて96ウェルの上記のマイクロカルチャー形式での189コロニーの単クローン分析を実施した。変異型aaRS遺伝子カセットの配列分析は、最高の特異性の蛍光比を有するクローン、dubbed CafRS#29 (配列番号39)が、CafRS#7に比較して4つの追加のアミノ酸置換(Ala267Thr, Leu274Ala, Ile285Asn, Ile287Ser)を担持していることを示した。
【0181】
メタン生成古細菌Methanosarcina mazei (Mz) PylRS (PBDエントリ 2ZCE) からの結晶構造からおよび2回の事前ライブラリースクリーニングの結果から判断すると、第一のライブラリーにおいて既に標的とされた、入り口部分に位置する2残基(Gln309およびSer311)と、第二のライブラリーにおいて標的とされた、活性部位の背面部分に位置する3残基(Ala274、Asn285 および Ser287)が、第三のCafRSライブラリーを構成するための有力な候補であるように思われた。CafRS#29に基づくライブラリー CafRS#29-R5(配列番号40)は、同じく縮重NNSプライマーを使った集成PCRによって作製した。
【0182】
1セットのフォワード(正方向)とリバース(逆方向)プライマーを使って3つのPCR断片を作製し、集成した。遺伝子のランダム化上流部分を提供する第一のPCR断片は、フォワードプライマー(配列番号30)とNNS縮重リバースプライマー(配列番号41)を使って作製した。第一のPCR断片の3'末端と第三のPCR断片の5'末端との重複を有する、遺伝子の中央部分を提供する第二のPCR断片は、2つのNNSプライマー(配列番号38と配列番号42)のセットを使って作製した。該遺伝子の下流部分を提供する第三のPCR断片は、NNS フォワードプライマー(配列番号31)とリバースプライマー(配列番号34)を使って作製した。それらのPCR断片は、鋳型としてCafRS#29遺伝子を使って、上記実験手順に従って作製し集成した。遺伝子ライブラリーを制限酵素BsaIで消化し、ゲル精製し、そしてBsaIで消化後のpSBX8.101d58ベクターと連結せしめ、CafRS#29-R5ライブラリー(配列番号40)を得た。10μgの連結生成物を大腸菌NEB10beta細胞中にエレクトロポレーションした。エレクトロポレーションした細胞を回収し、100 mg/mLアンピシリンを含むLB寒天プレート上に塗布し、1×10
10 個の独立形質転換体を得た。CafRS#20-R5 ライブラリーからの選択は、第一および第二のCafRSライブラリーからの選択について上述した手順に従った。最終的に選択された変異体シンターゼ CafRS#30(配列番号43)は、野生型Mb PylRSと比較して合計7つのアミノ酸置換(Ala276Thr, Leu274Ser, Ile285Ser, Ille287Val, Asn311Val, Met315GlyおよびTyr349Phe)を担持している。
【0183】
実施例5:SAm1
Caf 変異体の作製
概念実証のため、ストレプトアビジン変異体1のSAm1 (“Strep-Tactin”とも称される) (Voss & Skerra 1997 Protein Eng. 10:975-82) (配列番号7および8)を、位置V44、W108またはW120のところでCafにより修飾した。このために、それらの配列位置の各々の所に、Quik Change部位特異的変異誘発キットと、下記の適当な正および逆PCRプライマーを使用し、鋳型としてプラスミドpSAm1(配列番号44)を使った部位特異的変異誘発により、アンバー終止コドン(TAG)を導入した:プライマーとして配列番号45と46を使用してSAm1
UAG44 (配列番号47)を生成し、配列番号48と49を使用してSAm1
UAG108 (配列番号1と2)を生成し、そして配列番号50と51を使用してSAm1
UAG120 (配列番号52)を生成した(Fig 5B)。カルシウム受容能のある(コンピテント)大腸菌XL1-blue細胞の形質転換、プラスミド調製(Plasmid Miniprep Kit, Qiagen)およびシーケンシング(Mix2Seq, MWG Eurofins, Ebersberg, ドイツ)の後、SAm1変異体をベクター pSBX8.CafRS#30d58(配列番号53)上のXbaIとHindIII 部位を介してサブクローニングし、pSBX8.CafRS#30d47(V44TAG; 配列番号54)、pSBX8.CafRS#30d53(W108TAG; 配列番号55)およびpSBX8.CafRS#30d51(W120TAG; 配列番号56)をそれぞれ得た。
【0184】
Cafで置換される全ての位置は、側鎖がシス配置を取ると(すなわち、340または365 nmでの照射後)Strep-tagの結合を阻害するが、トランス配置では結合活性を保持するように企図された(
図5A)。位置Val44は、位置44〜53を含むフレキシブルループ領域のN末端側に位置する。Caf異性化は、そのループ構造を変化させると推定された。位置Trp108はビオチンのための結合ポケットの底に位置し、従ってcis-Cafは、隣接の側鎖とぶつかり合うと推定された。位置Trp120は、隣接の四量体サブユニットから伸びている結合部位の頂部に位置し、よってCafがシス状態に異性化すると全体的な幾何学を変更する位置である。
【0185】
実施例6:SAm1変異体の発現と精製
SAm1(配列番号7と8)およびSAm1
Caf変異体を大腸菌中の細胞質内封入体として作製し、可溶化し、リフォールディングし、アニオン交換クロマトグラフィー(AEX)により精製し、そしてSDS-PAGEにより分析した。
【0186】
SAm1
Caf108をコードするプラスミドpSBX8.CafRS#30d53(配列番号1と2)を用いて形質転換された大腸菌BL21の単一コロニー(
図6A)を用いて、100 mg/Lアンピシリンが補足された50 mLのLB培地に接種した。30℃で一晩インキュベーション後、20 mLの培養物を、バッフル付き振盪フラスコに入った2 LのLB培地に移し、再び100 mg/Lのアンピシリンとリン酸塩緩衝液(17 mM KH
2PO
4, 72 mM K
2HPO
4)および1 mM Caf(300 mM NaOH中の100 mM原液から)を補足した。培養物を37℃でOD
550=0.5にまでインキュベートした。次いで、SAm1
Caf108遺伝子発現(tet
p/o の調節下;Skerra 1994 Gene 151: 131-135)を200 ng/mL aTc で誘導し、37℃で12時間増殖を続けた。CafRS 遺伝子は大腸菌proSプロモーターとproMターミネーターの調節下に置かれた。遠心分離(10,000×g、20分、4℃)により細胞を収得し、100 mLの100 mM ホウ酸Na pH 9.0, 150 mM NaCl で2回洗浄し、沈澱したCafを取り除いた。得られた細菌を3 mL/mg湿重量の冷100 mM Tris-HCl pH 8.0, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA 中に懸濁し、そしてFrench Pressureホモジナイザー(SLM Aminco, Urbana, IL, USA)を使って3回細胞を破壊させた。ホモジネートを遠心分離し(20,000×g, 30分, 4℃)、ストレプトアビジン封入体を沈降させた。タンパク質ペレットを50 mM Tris-HCl pH 8.0, 2 M 尿素, 2% v/v Triton X-100 (3 mL/g 細胞の湿重量)で2回洗浄して不純物を取り除き、次いで50 mM Tris-HClを用いた洗浄工程を行い、残留のTriton X-100を枯渇させた。封入体を8 M 尿素 pH 2.5 (3 mL/g 細胞の湿重量)に再懸濁した。遠心分離(20,000×g, 30分, 4℃)後、清澄な上清をリフォールディング過程に供した。これは急速な希釈により達成された。フォールディングしなかったタンパク質は、パスツールピペットを使って、4℃にて25倍容の50 mM Tris-HCl中にピペットで滴下添加した。その混合物を4℃で一晩インキュベートし、遠心分離により清澄化し(10,000×g, 20分, 4℃)そして20mM Tris-HCl pH 8.0で平衡化した6 mL Resource Qカラム(GE Healthcare, Freiburg, ドイツ)上でのAEXにより精製した。タンパク質画分は、クマシーブリリアントブルーR-250での染色を用いるSDS-PAGE(Fling & Gregerson 1986 Anal. Biochem. 155: 83-88)により分析すると、0〜500 mM NaClの直線塩濃度勾配において、約80 mM NaClのところで純粋状態で溶出した(
図6B)。
【0187】
実施例7:アルカリホスファターゼ/Strep-tag II融合タンパク質の調製
プラスミドpASK75-PhoA-strepII(配列番号57)で形質転換された大腸菌JM83を用いたPhoA/Strep-tag II融合タンパク質の予備タンパク質発現は、100 mg/mLのアンピシリンを添加した2 L 必須LB培地中で達成された。Voss&Skerra 1997 Protein Eng. 10:975-982。培養物を22℃でOD
550=0.5まで増殖させた後、200 ng/mLのaTcの添加によりphoA遺伝子発現を誘導した。インキュベーションを22℃で4時間続けた。遠心分離により細胞を回収し、100μg/mLのリゾチームを含む20 mLの氷冷ペリプラズム分画緩衝液(0.5 Mショ糖、2 mg/mL硫酸ポリミキシンBおよび100 mM Tris-HCl、pH 8.0)中に再懸濁し、30分間インキュベートした。酵素の活性部位に金属イオンが存在するため、ペリプラズムタンパク質の調製は、EDTAの代わりに2 mg/mLの硫酸ポリミキシンBの存在下で実施した。遠心分離を繰り返してスフェロプラストを除去し(Skerra&Schmidt 2000 Methods Enzymol. 326:271-304)、上清をペリプラズム細胞画分として回収した。PhoA/Strep-tag II融合タンパク質は、公表された手順(Schmidt&Skerra 2007 Nat. Protoc. 2:1528-1535)により調製した。PhoAの活性部位にある金属イオンの損失を避けるため、クロマトグラフィー緩衝液(150 mM NaCl、100 mM Tris-HCl pH 8.0)からEDTAを削除した。最後に、PhoA/Strep-tag II融合タンパク質を2 Lの緩衝液(1 mM ZnSO
4、5 mM MgCl
2、100 mM Tris-HCl、pH 8.0)に対して2回透析し、ELISA測定または結合実験の前に、クロマトグラフィーマトリックスに固定化されたCaf修飾ストレプトアビジン変異体を用いてD−デスチオビオチンを除去した。
【0188】
実施例8:ELISAにおけるPhoA/Strep-tag II融合タンパク質の可逆的結合の検出
特定の位置に光切替可能アミノ酸Cafを担持しているストレプトアビジン変異体の光誘起可逆的結合は、モデルリガンドとして精製済PhoA/Strep-tag II融合酵素を使用して、ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)で最初に試験した(
図7)。
【0189】
ELISAは96ウェルマイクロタイタープレート(Nunc、Langenselbold、ドイツ)上で周囲温度にて実施した。各ウェルを、1 mg/mLの濃度のPBS(4 mM KH
2PO
4、16 mM Na
2HPO
4、115 mM NaCl)中のビオチン化ウシ血清アルブミン(BSA)100μLで一晩コーティングした(
図7A)。 2 mL BSA(PBS中10 mg/mL)のビオチン化は、20倍モル過剰のビオチンNHSエステルを使用して実施した。室温で2時間インキュベートした後、2 mLの100 mM NaCl、100 mM Tris-HCl pH 8.0を加えて反応を停止させ、同じ緩衝液で平衡化したPD-10脱塩カラム(GE Healthcare)を使用して精製した。ウェルを、PBS中の3%w/v BSA、0.5%v/v Tweenで2.5時間ブロックし、PBS-Tweenで3回洗浄した。100μLのSAm1またはそのCaf変異体をPBS中100μg/mLで適用し、予め吸着されたビオチン−BSA複合体の形成を介して固定化した。1時間インキュベートした後、ウェルをPBS-Tweenで3回洗浄した。次に、1 mM ZnSO
4、5 mM MgCl
2、100 mM Tris-HCl pH 8.0中のPhoA/Strep-tag II 100μLを各ウェルに加えた。1時間のインキュベーション後、液体を除去し、ウェルをPBS-Tweenで2回、PBSで2回洗浄した。これらの各洗浄工程の間に、マイクロタイタープレートに波長365 nmのUV光(UVハンドランプ、NU-6 KL、Benda Laborgerate、Wiesloch、ドイツ;
図7A、下のパネル)を2 mmの距離から照射し、または、可視光(日光;
図7A、上のパネル)で5分間照射し、バッファー交換は遮光下で行った。最後に、1 mM ZnSO
4、5 mM MgCl
2、1 M Tris-HCl、pH 8.0中の100μLの0.5 mg/mL p−ニトロフェニルリン酸を各ウェルに添加し、Synergy 2 SLFAマイクロプレートリーダーを使用して、410 nmでの吸光度の変化として残存酵素PhoA活性を測定した。
【0190】
その結果として、試験したすべてのストレプトアビジン変異体が、PhoA/Strep-tag II融合タンパク質に対して良好な親和性を示し、可視光で照射されたサンプルについてSAm1で得られたものに匹敵するシグナルを生じるように見えた(
図7B)。対照的に、ストレプトアビジン変異体SAm1
Caf108では、365 nmのUV光を照射した後、残存酵素活性の明らかな減少が観察された。SAm1並びに変異体SAm1
Caf44およびSAm1
Caf120は、これらの状況下で、それぞれシグナルの減少を全く示さないかまたははるかに少なく示した。従って、ストレプトアビジン変異体SAm1
Caf108は、親和性タグを備えた標的タンパク質の光誘起(光切替可能な)可逆的結合を示す。
【0191】
実施例9:光制御可能な親和性マトリックスの試験
ベクターpSBX8CAFRS#30の対応する誘導体上にコードされた精製SAm1またはそのCaf変異体(実施例4および5を参照)を、記載されている通りに(Schmidt&Skerra 1994 J. Chromatogr. A 676:337-345)、膨潤ゲル1 mLあたり5 mgのタンパク質でNHS活性化セファロース4B(Pharmacia、スウェーデン、ストックホルム)に結合させた。このために、NHS活性化CH-セファロース4Bを膨潤させ、製造業者の推奨に従って氷冷1 mM HCl中で洗浄した。上清を流出させ、ゲルを100 mM NaHCO
3 pH 8.0、500 mM NaClに対して透析したストレプトアビジン変異体の2.5 mg/mL溶液の2倍量と混合した。室温で2時間穏やかに振盪した後、上清をデカントし、ゲルを5容の100 mM Tris-HCl pH 8.0と混合して残存活性化基のブロッキングを行い、その後4℃で一晩振盪した。
【0192】
UV透過性カラムは、それぞれSam1
Caf44、SAm1
Caf108、SAm1
Caf120、SAm1用のクロマトグラフィーマトリックス20μLを、ガラス毛細管(内径0.7 mm)中に充填した。最初に、シリンジポンプ(kdScientific、Holliston、MA、USA)を使用して、12 mL/hの一定流量で2 mLのランニングバッファー(100 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM NaCl)によりカラムを2回平衡化した。365 nmのUV照射1回(UVハンドランプ、NU-6 KL、BendaLaborgerate、Wiesloch、ドイツ)および>530 nmの放射波長を有するLEDライトテーブルを使って1回(FG-08、Nippon Genetics、Duren、ドイツ)照射した(
図8A)。次に、100 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM NaCl中の0.1 mg/mLの濃度の精製済PhoA/Strep-tag II融合タンパク質25μLをカラムに適用し、未結合タンパク質を2 mLのランニングバッファーで洗浄した。ここで未結合タンパク質は素通り画分に収集される。サンプルの注入と洗浄の工程は、LEDライトテーブルを使用した可視光の照射下で行われた。続いて、UVハンドランプを使用して365 nmのUV光を照射することにより、結合タンパク質の溶出を引き起こした。最初に、UV光を当てながら緩衝液の流れを10分間停止させた。その後、流量を再び12 mL/hに設定し、3つの溶出画分(各25μL)を収集した。SAm1
Caf108に基づいたクロマトグラフィーマトリックスの溶出画分におけるPhoA/Strep-tag II融合タンパク質に対応するクマシー染色ゲル上に見えるタンパク質バンドは、該タンパク質が365 nmの照射によって特異的に溶出されたことを示している(
図8B)。ストレプトアビジン(
図8C)またはその変異体SAm1
Caf44およびSAm1
Caf120の場合、バンドは全く観察されなかった(データは示していない)。
【0193】
溶出画分のアフィニティ精製タンパク質の検出限界を高めるために、PhoA酵素活性を測定した。そのため、各画分10μL(サンプル注入画分、素通り画分、洗浄画分、溶出画分1〜3)を96ウェルプレート(Nunc)の単一ウェルに適用した。1 mM ZnSO
4、5 mM MgCl
2、1 M Tris-HCl、pH 8.0中の90μLの0.5 mg/mL p−ニトロフェニルリン酸を添加した。室温(RT)で30分間インキュベートした後、Synergy 2 SLFAマイクロプレートリーダーを使用して、410 nmでの時間依存性吸光度を測定することにより、酵素活性を決定した。SDS-PAGE分析と一致して、SAm1
Caf108に基づくクロマトグラフィーマトリックスの溶出画分は、UV照射下で溶出される最高のタンパク質濃度(酵素活性)を示した(
図8D)。
【0194】
実施例10:ProtLCaf-ABD変異体の作製
プロテインLは、元々フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)(以前はペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)として知られていた)の細胞壁に発見された表面タンパク質で、多くの哺乳動物種由来の免疫グロブリン、特にIgGに対し高い親和性と特異性を持つため、抗体精製に使用されている(Rodrigo他、2015 Antibodies 4:259-277)。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)およびグループG連鎖球菌属(Group G Streotococci)由来のプロテインAやプロテインGなどの他のIgG結合タンパク質は、IgのFc領域に結合するが、プロテインLは抗原結合部位に干渉することなくκ軽鎖可変領域に結合する。天然プロテインL(UniProt 受入番号Q51918)は本質的に次のドメインを含む(Kaster他 1992 J. Biol. Chem. 267:12820-12825と同様):シグナルペプチド(1-26);3つのプロテインG関連アルブミン結合ドメイン(77-116;129-177;190-238);4つの相同B1ドメイン(254-317;326-389;399-436;474-538);2つのCリピート(610-660;668-722)および膜貫通領域(969-991)。
【0195】
抗体並びにフラグメントまたは関連形態(抗体融合タンパク質、二重特異性抗体など)の精製のために光切替可能アフィニティーマトリックスを設計するために、非必須ドメインを持たない単一ドメインを含む組換えプロテインLを設計した。コドン最適化プロテインLドメインB1(本明細書ではProtLと称する;配列番号20)は、短いリンカー配列を介してプロテインG由来のヒトアルブミン結合ドメイン(ABD;配列番号59)に融合された。プロテインL−ABD融合タンパク質(ProtL-ABD;配列番号61)は、337、347、360、364、368または369のいずれかの位置(UniProtアクセション番号Q51918の番号付け方法に関連して)においてCafで修飾された。位置337、347、360、364、368および369は、配列番号61の位置13、23、36、40、44、および45にそれぞれ対応する。
【0196】
このために、プラスミドpASK75-ProtL-ABD(配列番号62)を鋳型として使用し、QuikChange部位特異的変異誘発キットの助けを借りて、そして以下のフォワードプライマーとリバースプライマーの適切なペア:ProtL
UAG337-ABD(配列番号67)の場合には配列番号63と66、ProtL
UAG347-ABD(配列番号72)の場合には配列番号68と69、ProtL
UAG360-ABD(配列番号75)の場合は配列番号73と74、ProtL
UAG364-ABD(配列番号78)の場合には配列番号76と77、ProtL
UAG368-ABD(配列番号81)の場合には配列番号79と80、ProtL
UAG369-ABD(配列番号84)の場合には配列番号82と83を使用して、部位特異的変異誘発により、それらの配置の各々においてコード領域中にアンバー終止コドン(TAG)を導入した(元のアミノ酸コドンの置換によって)(
図9)。
【0197】
カルシウム受容能のある大腸菌XL1-blue(Bullock他、1987 Biotechniques 5:376-378)細胞の形質転換、プラスミドの調製および配列決定の後、未修飾のProtL-ABDおよびProtL
UAG-ABD変異体をベクターpSBX8.CafRS#30d58(配列番号53)上の制限部位XbaIとHindIIIを介してサブクローニングし、プラスミドpSBX8.CafRS#30d70(アンバー終止コドンなし)、pSBX8.CafRS#30d71(337TAG)、pSBX8.CafRS#30d72(347TAG)、pSBX8.CafRS#30d73(360TAG)、pSBX8.CafRS#30d74(364TAG)、pSBX8.CafRS#30d75(368TAG)およびpSBX8.CafRS#30d76(369TAG)をそれぞれ得た。
【0198】
Cafで置換された位置337と347は、側鎖がシス配置をとる場合(すなわち約340または約365 nmでの照射後)にはIgの結合を妨害するが、トランス配置では結合活性を保持するように企図された。Cafで置換された位置360、364、368および369は、側鎖がトランス配置をとる場合(すなわち>420 nmの照射後)にはIg結合を妨害するが、シス配置では結合活性を保持するように企図された。異性化後、Caf側鎖はプロテインL内の隣接する側鎖(よってその結合部位のコンフォメーションを変更する)および/またはIgリガンド(よってタンパク質/タンパク質界面の幾何学を変更する)と衝突し合うので、結合を妨害すると推定される。
【0199】
プロテインLの結合界面内で立体的に重複することなく(特に伸長されたトランス配置で)大きなCaf側鎖に十分なスペースを提供し、かつIgG結合活性を維持するために、必要に応じて追加のアミノ酸置換を変異ProtL-ABDに導入した。例えば、QuikChange部位特異的変異誘発キットと配列番号70および73のフォワードとリバースプライマーを使用して、Tyr361Ala変異をProtL
Caf347-ABDのコード領域中に導入した。2つの追加の変異Tyr361AsnおよびLeu365Serを、配列番号65と68のプライマーを使ってProtL
Caf337-ABD中に同時に導入した。これらの位置361と365は、配列番号61と86中の位置37と41にそれぞれ対応する。
【0200】
実施例11:ProtL
Caf-ABD変異体の発現および精製
ProtL(配列番号60)およびProtL
Caf変異体(配列番号69、74、77、80、83および86)を、大腸菌の細胞質中ABD融合タンパク質として産生させ、ヒト血清アルブミン(HSA)アフィニティークロマトグラフィーおよびアニオン交換クロマトグラフィー(AEX)により精製した。
【0201】
例えば、ProtL
Caf337-ABD(配列番号85)をコードするプラスミドpSBX8.CafRS#30d71で形質転換された大腸菌MG1655(Guyer他、1981 Cold Spring Harb Symp Quant Biol 45:135-40)の単一コロニーを、100 mg/Lのアンピシリンが補足された50 mL LB培地への接種に使用した。30℃で一晩インキュベートした後、20 mLの培養物をバッフル付振盪フラスコ中で100 mg/Lアンピシリン並びにリン酸緩衝液(17 mM KH
2PO
4、72 mM K
2HPO
4)および1 mM Caf(300 mM NaOH中の100 mM原液から)が補足された2 LのLB培地に移した。培養物を37℃で攪拌しながらOD
550=0.5になるまでインキュベートした。次に、ProtL
Caf337-ABD遺伝子発現(tet
P/Oの制御下)を200 ng/mLのaTcで誘導し、37℃で12〜16時間増殖を続けた。CafRS遺伝子は、proMターミネーターと組み合わせた大腸菌proSプロモーターの構成的制御下にあった。細胞を遠心分離(10,000×g、20分、4℃)により回収し、湿重量1 gあたり3 mLの冷50 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM NaCl、5 mM EDTAに再懸濁し、フレンチプレス用ホモジナイザーを使用して細胞を破壊した。ホモジネートを遠心分離(20,000 g、30分、4℃)して細胞片を沈降させ、透明な上清をHSAアフィニティーカラムを使用したアフィニティークロマトグラフィーにかけた。
【0202】
HSAアフィニティーマトリックスは、公表されているプロトコル(Schmidt & Skerra 1994 J. Chromatogr. A 676: 337-345)に従って、NHS活性化セファロース4B(GE Healthcare, Freiburg, ドイツ)を使って調製した。このために、まず最初にNHS活性化CH-セファロース4Bを膨潤させ、メーカーの推奨に従って氷冷1 mM HClで洗浄した。上清を排出し、ゲルを100 mM NaHCO
3 pH 8.0、500 mM NaCl中のイネ(米)から生産された組換えHSA(Sigma-Aldrich、セントルイス、ミズーリ州、米国)の2倍容の5 mg/mL溶液と混合した。室温で2時間穏やかに振盪した後、上清をデカントし、ゲルを5容の100 mM Tris-HCl pH 8.0と混合し、4℃で一晩振盪して残存活性化基をブロックした。HSAアフィニティーマトリックスは、AKTA Purifierクロマトグラフィーシステムに接続された2 mlのカラムハウジングに充填された。
【0203】
HSAカラムをランニングバッファー(50 mM Tris-HCl pH 8.0、100 mM NaCl)で平衡化した後、ProtL
Caf337-ABDを含む大腸菌の透明上清をカラムにロードした。次に、カラムを5容(10 mL)のランニングバッファーで洗浄し、結合したタンパク質を150 mMグリシン-HCl pH 2.8、100 mM NaClで溶出させた。ピーク画分を中和バッファー(1 mL画分あたり100μLの1 M Tris-HCl pH 9.0)中に収集し、画分の最終pHがほぼ中性になるようにした。プールした画分を、20 mM Tris-HCl pH 8.0に対して4℃にて一晩透析した。 ProtL
Caf337-ABDは、20 mM Tris-HCl pH 8.0で平衡化した1 mL Resource Qカラム(GE Healthcare)上でのAEXにより更に精製した。SDS-PAGE(Fling&Gregerson 1986 Anal. Biochem. 155:83-88)で分析し、クマシーブリリアントブルーR250で染色することにより可視化すると、タンパク質画分は0〜200 mM NaClの直線塩濃度勾配において約100 mM NaClの所で純粋状態で溶出した(
図10)。他のCaf変異体および未修飾のProtL-ABD融合タンパク質も同じ方法で調製した。
【0204】
実施例12:ELISAにおけるProtL
Caf-ABD融合タンパク質の可逆的結合の検出
特定の位置に光切替可能アミノ酸Cafを担持しているProtL
Caf-ABD突然変異体の光誘起可逆的結合を、マウス抗6xHis抗体−アルカリホスファターゼ(AP)複合体(Arigo Biolaboratories、Hsinchu City、台湾)をモデルIgリガンドとして使用してELISAにより試験した(
図11A)。ELISAは96ウェルMaxisorbマイクロタイタープレート(Nunc、Langenselbold、ドイツ)中で周囲温度にて実施した。
【0205】
このために、各ウェルをまず、PBS(4 mM KH
2PO
4、16 mM Na
2HPO
4、115 mM NaCl)中10μg/mL濃度でイネから生産された50μLの組換えHSA(Sigma-Aldrich)により室温で1時間コーティングした。次に、ddH
2Oで1:10希釈した200 mLのRoti-Block(Carl Roth, Karlsruhe, ドイツ)でウェルを1時間ブロックし、0.1%(v/v) Tween 20を含むPBS(PBS/T)で3回洗浄した。その後、実施例11からの精製済ProtL
Caf-ABD融合タンパク質をPBS/T中の系列希釈において適用し、1時間インキュベートして、ABD部分と事前吸着させたHSAとの間の複合体形成を確立した。次に、ウェルをPBS/Tで3回洗浄し、PBS/Tで1:1000希釈した前記マウス抗-6xHis Ig-AP複合体50μLと共にインキュベートした。
【0206】
1時間後、マイクロタイタープレートを日光から保護し、波長365 nmのUV光(UVハンドランプNU-6 KL)を2 mmの距離から5分間照射した。その後の全ての洗浄工程は、遮光下で実施した。マイクロタイタープレートをPBS/Tで2回、PBSで2回洗浄した後、発色基質としてp−ニトロフェニルリン酸(5 mM MgCl
2中0.5 mg/mL、1 M Tris-HCl pH 8.0)を使用して酵素活性を検出し、残存している結合したレポーター酵素を定量した。25℃で5分後、SpectraMax
TM 250マイクロタイタープレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)を使用して405 nmでの吸光度を測定した。
【0207】
その結果、可視光を照射したProtL
Caf337変異体(配列番号86)は、Cafを持たないProtLで観察されるよりも低いシグナルであったが、IgGに対する親和性を示した(
図11B)。対照的に、ProtL
Caf337変異体の場合には365 nmの紫外線照射後に酵素活性の明らかな減少が観察され、一方で未修飾のProtL-ABD融合タンパク質は異なる照明条件下で結合活性の変化を全く示さなかった。変異体ProtL
Caf347、ProtL
Caf360、ProtL
Caf364、ProtL
Caf368、およびProtL
Caf369は、これらの状況下でシグナルの減少がかなり低かった。このように、ProtL
Caf337は、IgGの光切替可能な可逆的結合を示す。
【0208】
これらの実験は、ポリペプチド配列の適切な位置に組み込まれた非天然アミノ酸Cafを含む固定化された結合タンパク質(改変ストレプトアビジンまたはプロテインL)を担持しているクロマトグラフィーマトリックスが、アフィニティークロマトグラフィーの典型的な条件下であるが競合するリガンドの適用やバッファー置換の必要なく、標的タンパク質(本開示では親和性タグが取り付けられているかまたは含まない)の可逆的結合および光誘起溶出に利用できることを証明した。
本発明は、以下のヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関する:
【0209】
配列番号1:Cafを含むStrep-Tactinの核酸配列。Cafのコドンは太字であり下線が付けられている。
【0210】
【化1】
【0211】
配列番号2:Cafを含むStrep-Tactinのアミノ酸配列。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。
【0212】
【化2】
【0213】
下記において、例示目的で、Cafを含むStrep-Tactinのアミノ酸配列(配列番号2)が対応する核酸配列(配列番号1)の下に示される。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。
【0214】
【化3】
【0215】
配列番号3:Cafを含むコアストレプトアビジンの核酸配列。Cafのコドンは太字であり下線が付けられている。
【0216】
【化4】
【0217】
配列番号4:Cafを含むコアストレプトアビジンのアミノ酸配列。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。
【0218】
【化5】
【0219】
下記において、例示目的で、Cafを含むコアストレプトアビジンのアミノ酸配列(配列番号4)が対応する核酸配列(配列番号3)の下に示される。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。
【0220】
【化6】
【0221】
配列番号5:Cafを含む未プロセシング形のストレプトアビジン(すなわちプレ−ストレプトアビジン)の核酸配列。Cafのコドンは太字であり下線が付けられている。
【0222】
【化7】
【0223】
配列番号6:Cafを含む未プロセシング形のストレプトアビジン(すなわちプレ−ストレプトアビジン)のアミノ酸配列。ストレプトアビジンの分泌を指令するシグナル配列に下線が付けられている。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。
【0224】
【化8】
【0225】
下記において、例示目的で、Cafを含む未プロセシング形のストレプトアビジン(すなわちプレ−ストレプトアビジン)のアミノ酸配列(配列番号6)が対応する核酸配列(配列番号5)の下に示される。ストレプトアビジンの分泌を指令するシグナル配列に下線が付けられている。Cafの位置は太字であり下線が付けられている。コアストレプトアビジンの配列はGlu
25 で始まりSer
163で終わる。
【0226】
【化9】
【0227】
【化10】
【0228】
配列番号7:Strep-Tactinの核酸配列。
【0229】
【化11】
【0230】
配列番号8:Strep-Tactinのアミノ酸配列。Trp96は太字であり下線が引かれている。
【0231】
【化12】
【0232】
下記において、例示目的で、ストレプタクチン(streptactin)のアミノ酸配列(配列番号8)が対応する核酸配列(配列番号7)の下に示される。Trpの位置は太字であり下線が引かれている。
【0233】
【化13】
【0234】
配列番号9:コアストレプトアビジンの核酸配列
【0235】
【化14】
【0236】
配列番号10:コアストレプトアビジンのアミノ酸配列(残基2〜127はUniProtデータベースエントリP22629中の残基38〜163に該当する;残基1は開始メチオニンである)。Trp96は太字で示され下線が付けられている。
【0237】
【化15】
【0238】
下記において、例示目的で、コアストレプトアビジンのアミノ酸配列(配列番号10)が対応する核酸配列(配列番号9)の下に示される。Trp96の位置が太字で示され下線が付けられている。
【0239】
【化16】
【0240】
配列番号11:未プロセシング形のストレプトアビジン(プレ−ストレプトアビジン)の核酸配列。
【0241】
【化17】
【0242】
配列番号12:プレ−ストレプトアビジンのアミノ酸配列。Trp132が太字で示され下線が付けられている。
【0243】
【化18】
【0244】
下記において、例示目的で、プレ−ストレプトアビジンのアミノ酸配列(配列番号12)が対応する核酸配列(配列番号11)の下に示される。Trp132の位置が太字で示され下線が付けられている。
【0245】
【化19】
【0246】
【化20】
【0247】
配列番号13:Strep-tagのアミノ酸配列
AWRHPQFGG
【0248】
配列番号14:Strep-tag IIのアミノ酸配列
WSHPQFEK
【0249】
配列番号15:myc-tagのアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリP01106中の残基410〜419に該当する)。
EQKLISEEDL
【0250】
配列番号16:プロテインAのドメインZのアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリP38507中の残基212〜269に該当する)。Caf取り込みに適当な位置は、太字で示され下線が付けられた、Phe5, Gln9, Phe13, Tyr14, Glu25, Gln26, Arg27, Asn28 Ala29, Phe30, Ile31, Gln32, Lys35, Asp36, Asp37, Gln40, Asn43, Leu45, Glu47, Leu51, Asn52である。
【0251】
【化21】
【0252】
配列番号17:プロテインGのC1ドメインのアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリP19909中の残基303〜357に該当する)。Caf組み込みに適当な位置は、太字で示され下線が付けられた、Lys3, Ile5, Thr10, Thr16, Val28, Tyr32, Asp35である。
【0253】
【化22】
【0254】
配列番号18:プロテインGのC2ドメインのアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリP19909中の残基373〜427に該当する)。Caf組み込みに適当な位置は、太字で示され下線が付けられた、Lys3, Val5, Thr10, Thr16, Val28, Tyr32, Asp35 である。
【0255】
【化23】
【0256】
配列番号19:プロテインGのC3ドメインのアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリP19909中の残基443〜497に該当する)。Caf取り込みに適当な位置は、太字で示され下線が付けられた、Lys3, Val5, Thr10, Thr16, Ala28, Tyr32, Asp35 である。
【0257】
【化24】
【0258】
配列番号20:プロテインLのドメインB1のアミノ酸配列(UniProtデータベースエントリQ51918中の残基326〜389に該当する)。Caf組み込みに適当な位置は、太字で示され下線が付けられている、Thr5 (330), Asn9 (334), Ile11 (336), Phe12 (337), Lys16 (341), Phe 22 (347) Phe26 (351), Lys32 (357), Ala35 (360), Leu39 (364), Glu43 (368), Asn44 (369) Tyr47 (372)である。
【0259】
【化25】
【0260】
配列番号21:anti-myc-tagモノクローナル抗体クローン9E10の重鎖のアミノ酸配列(GenBankエントリCAN87018中の残基20〜470に該当する)。Caf組み込みに適当な位置は、GenBankデータベースエントリCAN87018のTyr76, Phe121, Tyr122, Tyr123, Tyr124, Tyr128, Tyr129およびTyr130に該当する残基であり、太字で示され下線が付けられている。より詳しくは、該配列はGenBankデータベースエントリCAN87018の残基20で始まり、Tyr76, Phe121, Tyr122, Tyr123, Tyr124, Tyr128, Tyr129およびTyr130に該当する位置は、下記に示す配列中の位置Tyr76, Phe121, Tyr122, Tyr123, Tyr124, Tyr128, Tyr129およびTyr130に該当する。
【0261】
【化26】
【0262】
配列番号22:anti-myc-tagモノクローナル抗体クローン9E10の軽鎖のアミノ酸配列(GenBankエントリCAN87019中の残基21〜238に該当する)。
【0263】
【化27】
【0264】
配列番号23:pSBX8.101d58の核酸配列。
【0265】
【化28】
【0266】
【化29】
【0267】
【化30】
【0268】
【化31】
【0269】
配列番号24:cat
UAG119の核酸配列。
【0270】
【化32】
【0271】
配列番号25:GFP
UAG39の核酸配列。
【0272】
【化33】
【0273】
配列番号26:wt PylRSの核酸配列
【0274】
【化34】
【0275】
配列番号27:
TAGCTGCATGGTTTTTGGTGATACCCTGG
【0276】
配列番号28:
CCAGGGTATCACCAAAAACCATGCAGCTA
【0277】
配列番号29:PylRS#1の核酸配列(Y349F)
【0278】
【化35】
【0279】
配列番号30:
GAGCTTAACCCGGTCTCAGTTAGATCG
【0280】
配列番号31:
GGTAGCGGTTGTACCCGTG
【0281】
配列番号32:
【0282】
【化36】
【0283】
配列番号33:
【0284】
【化37】
【0285】
配列番号34:
CTTTCAGCAGACGTTCGAGAC
【0286】
配列番号35:CafRS#7の核酸配列
【0287】
【化38】
【0288】
配列番号36:CafRS#7-R6の核酸配列
【0289】
【化39】
【0290】
配列番号37:
【0291】
【化40】
【0292】
配列番号38:
【0293】
【化41】
【0294】
配列番号39:Caf39RS#29の核酸配列
【0295】
【化42】
【0296】
配列番号40:CafRS#29-R5の核酸配列
【0297】
【化43】
【0298】
配列番号41:
【0299】
【化44】
【0300】
配列番号42:
【0301】
【化45】
【0302】
配列番号43:CafRS#30の核酸配列
【0303】
【化46】
【0304】
配列番号44:pSAm1の核酸配列
【0305】
【化47】
【0306】
【化48】
【0307】
【化49】
【0308】
配列番号45:
【0309】
【化50】
【0310】
配列番号46:
【0311】
【化51】
【0312】
配列番号47:核酸配列SAm1
UAG44
【0313】
【化52】
【0314】
配列番号48:
GATCAACACCCAGTAGCTGCTGACCTCC
【0315】
配列番号49:
GGAGGTCAGCAGCTACTGGGTGTTGATC
【0316】
配列番号50:
GAGGCCAACGCCTAGAAGTCCACGCTGG
【0317】
配列番号51:
CCAGCGTGGACTTCTAGGCGTTGGCCTC
【0318】
配列番号52:核酸配列SAm1
UAG120
【0319】
【化53】
【0320】
配列番号53:pSBX8.CafRS#30.d58の核酸配列
【0321】
【化54】
【0322】
【化55】
【0323】
【化56】
【0324】
配列番号54:pSBX8.CafRS#30.d47の核酸配列
【0325】
【化57】
【0326】
【化58】
【0327】
【化59】
【0328】
【化60】
【0329】
配列番号55:pSBX8.CafRS#30.d53の核酸配列
【0330】
【化61】
【0331】
【化62】
【0332】
【化63】
【0333】
配列番号56:pSBX8.CafRS#30.d51の核酸配列
【0334】
【化64】
【0335】
【化65】
【0336】
【化66】
【0337】
【化67】
【0338】
配列番号57:pAKS75-PhoA-strepIIの核酸配列
【0339】
【化68】
【0340】
【化69】
【0341】
【化70】
【0342】
配列番号58:ヒトアルブミン結合ドメイン(ABD)の核酸配列
CTGGCAGAAGCAAAAGTTCTGGCAAATCGTGAACTGGATAAATATGGTGTGAGCGACTATTACAAGAACCTGATTAATAACGCGAAAACCGTGGAAGGTGTTAAAGCACTGATTGATGAAATTCTGGCAGCACTGCCG
【0343】
配列番号59:ヒトアルブミン結合ドメイン(ABD)のアミノ酸配列
LAEAKVLANRELDKYGVSDYYKNLINNAKTVEGVKALIDEILAALP
【0344】
配列番号60:ProtL-ABD融合タンパク質の核酸配列
【0345】
【化71】
【0346】
配列番号61:ProtL-ABD融合タンパク質のアミノ酸配列。メチオニン(下線付き)を出発コドンとして追加した。
【0347】
【化72】
【0348】
下記において、例示目的で、ProtL-ABDのアミノ酸配列(配列番号61)が対応する核酸配列(配列番号60)の下に示される。プロテインLドメインB1の配列はLys326で始まりそGly389で終わる(UniProt Q51918)。337,347,360,364,368および369の位置が太字で示され下線が付けられている。
【0349】
【化73】
【0350】
配列番号62:pASK75-ProtL-ABDの核酸配列
【0351】
【化74】
【0352】
【化75】
【0353】
【化76】
【0354】
【化77】
【0355】
【化78】
【0356】
【化79】
【0357】
【化80】
【0358】
配列番号85:pSBX8.CafRS#30d71の核酸配列
【0359】
【化81】
【0360】
【化82】
【0361】
【化83】
【0362】
【化84】
【0363】
配列番号86:ProtL
UAG337-ABDのアミノ酸配列。Cafの位置が太字で示され下線が付けられている。
【0364】
【化85】