特表2020-520465(P2020-520465A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2020-520465再帰反射体を備える車両車体構成部品及びそれらの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-520465(P2020-520465A)
(43)【公表日】2020年7月9日
(54)【発明の名称】再帰反射体を備える車両車体構成部品及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/03 20060101AFI20200612BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20200612BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20200612BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20200612BHJP
   B32B 3/30 20060101ALI20200612BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20200612BHJP
   B62D 25/18 20060101ALI20200612BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20200612BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20200612BHJP
【FI】
   G01S7/03 200
   B32B7/023
   B32B7/025
   B32B15/08 E
   B32B15/08 D
   B32B3/30
   B60R13/04
   B62D25/18 G
   B62D25/12 L
   G01S7/03 246
   G01S13/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-514784(P2020-514784)
(86)(22)【出願日】2018年5月4日
(85)【翻訳文提出日】2019年11月29日
(86)【国際出願番号】IB2018053119
(87)【国際公開番号】WO2018211348
(87)【国際公開日】20181122
(31)【優先権主張番号】15/598,830
(32)【優先日】2017年5月18日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/899,745
(32)【優先日】2018年2月20日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519411331
【氏名又は名称】エスアールジー グローバル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】キンズラー ジョハンナ
【テーマコード(参考)】
3D004
3D023
3D203
4F100
5J070
【Fターム(参考)】
3D004BA03
3D004DA08
3D023AA01
3D023AB01
3D023AB05
3D023AB08
3D023AC01
3D023AC11
3D023AC15
3D023AD06
3D023AD17
3D023AD22
3D203AA01
3D203BC22
3D203DB02
4F100AB01A
4F100AB01B
4F100AB01D
4F100AD00A
4F100AD00B
4F100AD11A
4F100AD11B
4F100AG00A
4F100AG00B
4F100AK01D
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK45A
4F100AK45B
4F100AK74A
4F100AK74B
4F100AL09A
4F100AL09B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100CB00C
4F100DD04B
4F100DD05B
4F100DD18B
4F100EC032
4F100EC07C
4F100EC18C
4F100EH46D
4F100EH66D
4F100GB31
4F100JB16A
4F100JB16B
4F100JD08A
4F100JD08D
4F100JG05A
4F100JN06B
5J070AB24
5J070AE01
5J070AF03
5J070AK14
(57)【要約】
車両の車体構成部品は、少なくとも1つの非導電性材料から形成されており、かつ再帰反射体形状を画定する裏面と再帰反射体形状とは異なる形状を画定する前面とを画定する第1の基板であって、第1の基板の前面が車体構成部品の露出したA面である、第1の基板を備え得る。車体構成部品は、導電性材料から形成されており、かつ第1の層の裏面に隣接して配設された導電層であって、(i)再帰反射体形状も画定し、(ii)別の車両のレーダデバイスから送信されたレーダ波を反射する、導電層を更に備え得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体構成部品であって、
可視A側及び対向するB側を画定するレーダ透過性誘電体層と、
1つ以上の再帰反射体と、
前記1つ以上の再帰反射体を前記レーダ透過性誘電体層の前記B側に取り付けるための1つ以上の取り付けデバイスと、を備える、車体構成部品。
【請求項2】
前記1つ以上の再帰反射体が、複数のコーナー再帰反射体のアレイを備える、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項3】
前記複数のコーナー再帰反射体は、それらが前記車体構成部品の前記B側に個別に取り付けられるように自由である、請求項2に記載の車体構成部品。
【請求項4】
前記複数のコーナー再帰反射体は、それらが前記車体構成部品の前記B側に集合的に取り付けられるように、取り付けストリップ又は単一裏打ちピースを介して互いに接続されている、請求項2に記載の車体構成部品。
【請求項5】
前記1つ以上の取り付けデバイスが、(i)クリップ、(ii)ドッグハウスと備品、(iii)接着テープ、(iv)非テープ接着剤、及び(v)音波溶接のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項6】
前記レーダ透過性誘電体層が、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、PC−ABS、熱可塑性オレフィン(TPO)、セラミック、炭素複合体、及びガラスのうちの1つである、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項7】
前記再帰反射体が、(i)金属、又は(ii)PC、ABS、PC−ABS、TPO、セラミック、炭素複合体、及びガラスのうちの1つ、並びにレーダ反射コーティング又は一体化導電性鉱物から形成されている、請求項6に記載の車体構成部品。
【請求項8】
前記車体構成部品の前記A側に配置されたレーダ透過性コーティングを更に備える、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項9】
前記レーダ透過性コーティングが、(i)塗料及び(ii)物理蒸着(PVD)によって塗布される遷移後金属若しくは半金属又はフィルムのうちの1つである、請求項8に記載の車体構成部品。
【請求項10】
前記車体構成部品が、塗装された車体サイドモールディングである、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項11】
前記車体構成部品が、塗装されたホイールトリムである、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項12】
前記車体構成部品が、モールドインカラー(MiC)テールランプアクセントである、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項13】
前記車体構成部品が、クロム様トランクリッドフィニッシャである、請求項1に記載の車体構成部品。
【請求項14】
前記車両用の再帰反射体システムであって、他の車両レーダシステムのために前記車両の反射パターンを強化するように前記車両の四隅に配設された請求項1に記載の車体構成部品のうちの第1の4つを備える、再帰反射体システム。
【請求項15】
他の車両レーダシステムのために前記車両の前記反射パターンを更に強化するように前記車両の前部及び後部並びに対向する側部に配設された請求項1に記載の車体構成部品のうちの第2の4つを更に備える、請求項14に記載の再帰反射体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年5月18日に出願された米国特許出願第15/598,830号の一部継続出願である、2018年2月20日に出願された米国非仮出願第15/899,745号に対する優先権を主張する。上記の出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、概して、車両物体検出システムに関し、より具体的には、再帰反射体を備える車両車体構成部品及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、反射レーダ波に基づいて物体を検出するように構成されたレーダに基づく物体検出システムを含み得る。これらのシステムの1つの主な課題は、関連物体又は重要な物体(例えば、他の車両)を検出する一方で、非関連物体又は重要でない物体(例えば、雑音)を無視することである。したがって、かかるシステムがそれらの意図される目的に役立つ一方で、関連技術の改善が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様によれば、車両の車体構成部品が提示される。例示的な一実施態様では、車体構成部品は、少なくとも1つの非導電性材料から形成されており、かつ再帰反射体形状を画定する裏面と再帰反射体形状とは異なる形状を画定する前面とを画定する第1の基板であって、第1の基板の前面が車体構成部品の露出したA面である、第1の基板と、導電性材料から形成されており、かつ第1の層の裏面に隣接して配設された導電層であって、(i)再帰反射体形状も画定し、(ii)別の車両のレーダデバイスから送信されたレーダ波を反射する、導電層と、を備える。
【0005】
いくつかの実施態様では、導電層の露出した面は、車体構成部品の露出したB面である。いくつかの実施態様では、第1の基板及び導電層は、固体本体を集合的に形成する。いくつかの実施態様では、第1の基板は、各々少なくとも1つの非導電性材料のうちの1つから形成される、基板層及びトップコート層の両方を備える。いくつかの実施態様では、基板層及びトップコート層のうちの少なくとも一方が不透明である。
【0006】
いくつかの実施態様では、車体構成部品は、導電層に隣接して配設されており、かつ車体構成部品の露出したB面である露出した裏面を画定する第2の基板を更に備える。いくつかの実施態様では、第1及び第2の基板並びに導電層は、固体本体を集合的に形成する。いくつかの実施態様では、第1の基板は、各々少なくとも1つの非導電性材料のうちの1つから形成される基板層及びトップコート層の両方を備える。いくつかの実施態様では、基板層及びトップコート層のうちの少なくとも一方が不透明である。
【0007】
いくつかの実施態様では、再帰反射体形状は、複数の再帰反射体ユニットを備える。いくつかの実施態様では、各再帰反射体ユニットは、約90度のコーナー角を画定するコーナー再帰反射体である。いくつかの実施態様では、各再帰反射体ユニットの縁は、(i)レーダ信号散乱を防止すること、及び(ii)信号干渉における強いピークを防止することのうちの少なくとも一方を行うように丸みが付けられている。いくつかの実施態様では、導電層は、車体構成部品の湾曲に対応する湾曲を画定する。
【0008】
本開示の別の態様によれば、車両の別の車体構成部品が提示される。例示的な一実施態様では、車体構成部品は、第1の非導電性材料から形成された第1の基板と、各々導電性材料から形成された複数の再帰反射体ユニットを備える導電層であって、複数の再帰反射体ユニットが別の車両のレーダデバイスから送信されたレーダ波を反射するように構成された再帰反射体アレイを集合的に形成する、導電層と、少なくとも1つの第2の非導電性材料から形成されており、かつ導電層の前面上に配置された少なくとも1つのカバー層と、を備える。
【0009】
いくつかの実施態様では、車体構成部品は、各再帰反射体ユニットを別の再帰反射体ユニットに接続する導電性トレースを更に備える。いくつかの実施態様では、再帰反射体アレイは、導電性トレースのうちの1つ以上に沿って配置されており、かつ反射レーダ波を変調するように構成された1つ以上の変調デバイスを更に備える。いくつかの実施態様では、再帰反射体アレイ及び1つ以上の変調デバイスは、反射レーダ波を変調して、他の車両に認識可能な一意の識別子を作成するように構成されている。
【0010】
いくつかの実施態様では、導電性材料は、(i)クロムめっき、金属塗料、及び金属溶射のうちの1つを含む金属湿式化学によって堆積した金属、(ii)金属箔、又は(iii)物理蒸着(physical vapor deposition、PVD)によって塗布された金属である。いくつかの実施態様では、各再帰反射体ユニットは、第1の基板の前面に取り付けられるか、又はその中に埋め込まれる。いくつかの実施態様では、再帰反射体アレイは、再帰反射体ユニットの少なくとも2つの行及び少なくとも2つの列を備える。いくつかの実施態様では、導電層は、車体構成部品の湾曲に対応する湾曲を画定する。いくつかの実施態様では、再帰反射体アレイは、Van Attaアレイとして構成されている。
【0011】
本開示の教示の更なる適用範囲は、以下に提供される発明を実施するための形態、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。ここで、同様の参照番号は、図面のいくつかの図を通して同様の特徴を指す。開示される実施形態を含む発明を実施するための形態及びそこで参照される図面が、例証目的のみのために意図された本質的に例示するものにすぎず、本開示の範囲、その用途、又はその使用を限定するようには意図されていないことを理解されたい。したがって、本開示の要旨から逸脱しない変形例が、本開示の範囲内に含まれるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示のいくつかの実施態様による、車両及び再帰反射体を組み込む車体構成部品の例の俯瞰図を示す。
図2A】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図2B】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図2C】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図2D】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図2E】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図2F】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図3A】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われている、受動的再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図3B】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われている、受動的再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図3C】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われている、受動的再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図3D】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状が覆われている、受動的再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面断面図を示す。
図4A】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図4B】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図4C】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図4D】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図4E】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図4F】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体形状の構成の例を示す。
図5A】本開示のいくつかの実施態様による、アンテナ再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面及び俯瞰断面図を示す。
図5B】本開示のいくつかの実施態様による、アンテナ再帰反射体を備える車両車体構成部品の構成の例の側面及び俯瞰断面図を示す。
図6】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体を備える車両車体構成部品の製造方法の例の流れ図を示す。
図7】本開示のいくつかの実施態様による、車両のマルチピース再帰反射体システムの例を示す。
図8A】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体ピースの構成の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図8B】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体ピースの構成の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図8C】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体ピースの構成の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図8D】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体ピースの構成の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図9A】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体システムを実装するための車両上の位置の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図9B】本開示のいくつかの実施態様による、再帰反射体システムを実装するための車両上の位置の例及び再帰反射体性能の例のプロットを示す。
図10】本開示のいくつかの実施態様による、車両上の再帰反射体システムの実装の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
上述のように、従来の車両のレーダに基づく物体検出システムは、関連物体又は重要な物体(例えば、他の車両)と非関連物体又は重要でない物体(例えば、雑音)との間の識別が困難であり得る。したがって、再帰反射体を備える車両車体構成部品及びそれらの製造方法が提示される。本明細書で使用される「再帰反射体」という用語は、低下した又は最小限の散乱でレーダ波を反射するように設計されたデバイス又は表面を指す。再帰反射体は、一般に、リトロフレクタ及びカタフォーテとも称される。再帰反射体は、それらが他の反射物体と比較してより多くの信号をその発信地に反射するため(反射レーダ波)、別の車両のレーダに基づく物体検出システムによる車両の検出能を改善又は強化するように設計されている。いくつかの実施形態では、再帰反射体は、それらが視界から隠されるように、既存の車両車体構成部品(グリル、サイドモールディングパネル、バンパ、トランクリッドフィニッシャ等)に組み込まれ、それにより、視覚的審美性を改善することができる。以下により詳細に論じられる、これらの再帰反射体を備える車両車体構成部品を製造する様々な方法が利用され得る。
【0014】
ここで図1を参照すると、車両100の例の俯瞰図は、再帰反射体が実装され得る車体構成部品の例を例証する。本明細書で使用される「車両」という用語は、自家用及び商業用乗用車、例えば、自動車(セダン、クーペ、ハッチバック、コンバーチブル等)、スポーツ・ユーティリティ車両(sport utility vehicle、SUV)、トラック、貨物/輸送/運搬車両、例えば、連結式トレーラー、バス、並びにオートバイ、オールテライン車両(all-terrain vehicle、ATV)等を含むが、これらに限定されない任意の人力駆動又は自律(自走式)車両を指す。本開示の再帰反射体アセンブリが実装され得る車体構成部品の一例は、フロントグリル104である。本開示の再帰反射体アセンブリが実装され得る車体構成部品の別の例は、サイドモールディングパネル108である。本開示の再帰反射体アセンブリが実装され得る車体構成部品の更に他の例は、リアバンパ112及び/又はトランクリッドフィニッシャ116(例えば、後方ナンバープレートの周囲のトランクの底部分又はトランクの中間部分又は上部分の近くに位置する装飾トリムピース)である。しかしながら、本開示の再帰反射体アセンブリが任意の好適な車体構成部品(例えば、フロントバンパ)に実装され得ることが理解されるであろう。
【0015】
本明細書で使用される「レーダ」という用語は、乗用車に割り当てられた特定の帯域幅における任意の好適な測量方法を含む。乗用車レーダ及びライダーシステムは、例えば、他のシステムと比較して非常に高い76〜81ギガヘルツ(gigahertz、GHz)周波数帯域を利用する。送信及び反射される高周波信号は、本明細書でより詳細に論じられるように、固有の設計解(例えば、非常に小さい再帰反射体ユニット)も必要とする。
【0016】
ここで図2A〜2F及び3A〜3Dを参照すると、車両車体構成部品の例の様々な側面断面図が例証される。「前」及び「裏」という表記は、それぞれ、車両車体構成部品の「A」面及び「B」面を指す。例証される層は全て、それらが固体(非中空)本体を集合的に形成するように、組み立てられる(配置される、接着される、化学的に結合される等)。図2A〜2Fは、例えば、再帰反射体形状が覆われていない、信号反射再帰反射体を備える車両車体構成部品の様々な構成の側面断面図を例証する。再帰反射体の導電層は、1つ以上のカバー層が透明であるか否かに応じて可視であってもなくてもよい。
【0017】
ここで図2A〜2Bを参照すると、車両車体構成部品200の例の側面断面図が例証される。図2A〜2Bのこれらの構成は、コーナー再帰反射体として動作するように設計されており、各々が前側導電面を有する。例えば、再帰反射体形状は、既存の車両設計要素に組み込まれ得る。図2Aでは、車体構成部品200は、基板204及び再帰反射体アセンブリを形成する最上導電層208を含み得る。導電層208は、クロムめっき、フィルム、又は塗料等の任意の好適な導電体(例えば、金属)から形成され得る。基板204は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(acrylonitrile butadiene styrene、ABS)、ポリカーボネート(polycarbonate、PC)、及びPC−ABS等の任意の好適なプラスチック又は他の誘電性材料から形成され得る。ABS及びABS−PCがめっき可能な樹脂である一方で、PCはめっき可能な樹脂ではなく、それ故に、クロムめっきが適用される場合、ABS又はABS−PCが利用され得る。
【0018】
基板204は、射出成形によって形成され得るが、付加製造、ブロー成形、金属形成/加工、ガラス又は金属鋳造、及び織物複合体等であるが、これらに限定されない他の製造方法が使用され得る。導電層208は、クロムめっきによって形成され得るが、真空フィルム、接着フィルム、金属箔(例えば、熱間打刻)、塗料、スプレー、物理蒸着(PVD)、浸漬コーティング、及び付加的層化等であるが、これらに限定されない他の製造方法が使用され得る。基板204及び導電層208は、示されるように、様々な深さ/形状を集合的に画定し得る。この形状は、例えば、導電層208が特定の方向に最大(例えば、集束)レーダ波反射(例えば、リターン信号電力)を提供するように特別に設計され得る。この形状は、加えて又は代わりに、信号が受信車両に反射して発信レーダに戻し反射することができる角度範囲を増加させるように設計され得る。
【0019】
以下で論じられる基板204、導電層208、及び他の任意の層の集合的厚さは、比較的厚くあり得、それ故に、隠された実装にとってより大きい車両車体構成部品が理想的である。しかしながら、特定の厚さ及びコーナー角は、特定の設計考慮事項(材料誘電率、構成部品/層湾曲等)に応じて変化し得る。これらの厚さ及び他の設計考慮事項は、以下でより詳細に論じられる。図2Bでは、車体構成部品200は、導電層208上に塗布される(例えば、外観/審美及び/又は保護のために)任意のトップコート212を更に備える。トップコート212を塗布するための方法の非限定的な例としては、塗料、スプレー、及びPVDによって塗布される非金属層(例えば、半金属)、接着フィルム、浸漬コーティング、及び付加的層化が挙げられる。
【0020】
ここで図2C〜2Dを参照すると、車体構成部品220の別の例の側面断面図が例証される。これらの構成も、コーナー再帰反射体として動作するように設計されているが、各々が前側導電面を有する。基板224は、裏側導電層228の前面上に位置付けられており、任意のトップコート232が基板に塗布され得る(図2Dを参照のこと)。構成部品200及び図2A〜2Bに関して上で論じられる同じ又は同様の種類の材料及び/又は製造方法が、基板224、導電層228、及び任意のトップコート232に利用され得る。図2A〜2Dの構成の各々について、基板204、224の目的の1つは、再帰反射体(すなわち、上に配置される導電層208、228)の形又は構造を保持することである。前述のように、基板204は、レーダ透過性であってもなくてもよい(例えば、基板204は、車体板金であり得る)。ABS、PC、及びABS−PCに加えて、基板204、224は、他の好適な誘電体、例えば、アクリルスチレンアクリロニトリル(acrylic-styrene-acrylonitrile、ASA)、アクリロニトリルエチレンスチレン(acrylonitrile ethylene styrene、AES)、及びナイロン、並びに非誘電体、例えば、ガラス、炭素繊維、及び金属から形成され得る。
【0021】
ここで図2E〜2Fを参照すると、車体構成部品240の別の例の側面断面図が例証される。これらの構成も、コーナー再帰反射体として動作するように設計されているが、各々が基板である導電層244を有する(すなわち、追加の基板層が存在しない)。したがって、導電層244は、図2A〜2Dの構成よりも厚くなくてはならない場合がある。導電層244は、任意に、その前面上に塗布されたトップコート248を有し得る(図2Fを参照のこと)。構成部品200、220、及び図2A〜2Dに関して上で論じられる同じ又は同様の種類の材料及び/又は製造方法が、導電層244及び任意のトップコート248に利用され得る。例えば、トップコート248は、再帰反射体形状を維持するための追加の基板が存在しないため、構成部品240の導電層244の保護により重要であり得る。
【0022】
図3A〜3Dは、再帰反射体形状が覆われている、受動的再帰反射体を備える車両車体構成部品の様々な構成の側面断面図を例証する。再帰反射体形状が覆われている(すなわち、滑らかな外面)が、再帰反射体形状は、1つ以上のカバー層が透明であるか否かに応じて依然として可視であり得る。
【0023】
ここで図3A〜3Bを参照すると、車両車体構成部品300の例の側面断面図が例証される。これらの構成は、コーナー再帰反射体として動作するように設計されており、各々が裏側導電面を有する。図3Aでは、基板304は、滑らかな前面を画定し、再帰反射体形状は、その裏面によって画定される。次いで、導電層308が基板304の裏面上に配置される。滑らかであると説明されているが、基板304の前面は、平らであっても湾曲していてもよい(例えば、図5Aを参照のこと)。例えば、各層(例えば、導電層308)の湾曲は、全体として車体構成部品300の湾曲(例えば、同じ湾曲又は同様の湾曲のいずれか)に対応し得る。また、基板304は、不透明であっても透明であってもよい。図3Bでは、構成部品300は、基板304の前面に塗布された任意のトップコート312を有する。構成部品200、220、及び240、並びに図2A〜2Fに関して上で論じられる同じ又は同様の種類の材料及び/又は製造方法が、基板304、導電層308、及び任意のトップコート312に利用され得る。
【0024】
ここで図3C〜3Dを参照すると、車両車体構成部品320の例の側面断面図が例証される。これらの構成は、コーナー再帰反射体として動作するように設計されており、各々が裏側導電面を有する。図3Cでは、第1の基板324は、滑らかな前面を画定し、再帰反射体形状は、その裏面によって画定される。導電層328は、第1の基板324の裏面上に配置されるか、それに取り付けられるか、又はそれに隣接している。滑らかであると説明されているが、第1の基板324の前面は平らであっても湾曲していてもよい。また、第1の基板324は、不透明であっても透明であってもよい。図3Dでは、構成部品320は、第1の基板324の前面に塗布された任意のトップコート332を有する。構成部品200、220、240、及び300、並びに図2A〜2F及び3A〜3Bに関して上で論じられる同じ又は同様の種類の材料及び/又は製造方法が、第1の基板324、導電層328、及び任意のトップコート332に利用され得る。
【0025】
しかしながら、図3C〜3Dの構成は、導電層328の裏側に配置された第2の基板336を更に備え得る。第2の基板336は、本明細書で論じられる他の基板(例えば、プラスチック又は車体板金)と同じ材料及び/又は同じ製造方法から形成され得る。第2の基板336の前面は、導電層328及び第1の基板324の裏側に沿って再帰反射体形状を画定する。第2の基板336の裏面は、第1の基板324の前面(平ら、湾曲等)のように滑らかであり得る。第2の基板336は、他の構成と比較して改善された構造的剛性を提供し得る。第1及び第2の基板324、336は、マルチショット射出成形プロセスの一部として形成され得る。しかしながら、これらの構成部品が別々に形成され、その後、一緒に組み立てられ得ることが理解されるであろう。第2の基板及び/又はトップコートは、集合的にカバー層と称され、これは、第2の基板若しくはトップコートのいずれか又はそれらの両方を備える。
【0026】
ここで図4A〜4Fを参照すると、再帰反射体形状の構成の例が例証される。図4Aに示されるコーナー再帰反射体400について、以下のパラメータが特定の車両適用のために最適化され得る:再帰反射体形状404(例えば、コーナーの角度/勾配)、フロントフェーシング厚さ408、フロントコーティング厚さ412、及びユニット間の距離(1つより多くの再帰反射体が存在する場合、例えば、図2A〜2F及び3A〜3Dにおける再帰反射体ユニット間の垂直距離)。これらのパラメータを最適化することにより、信号反射が強化される。図4B〜4Cは、コーナー再帰反射体の一種である三面再帰反射体420上面図及び側面図を例証する。辺長424は、レーダ波の波長よりも大きくなるように設計されていてもよい。面428a、428b、428cは、約90度の角度で互いに交差し得る。しかしながら、この角度は、それが、例えば、1を超える屈折率を有する材料を用いて再帰反射特性を維持するように最適化されるように、90度とは異なり得る。図4D〜4Eは、別の種類のもの又はコーナー再帰反射体である正方形の再帰反射体440の上面図及び側面図を例証する。いくつかの実施態様では、各再帰反射体ユニット460の縁464(図4Fを参照のこと)は、(i)レーダ信号散乱を防止すること、及び(ii)信号干渉における強いピークを防止することのうちの少なくとも一方を行うように丸みが付けられていてもよい。
【0027】
単一ユニット再帰反射体の例が図4A〜4Fに例証され、かつ上述されているが、本明細書の上で論じられる構成部品がそれらの再帰反射体のアレイ形状を画定し得ることが理解されるであろう。アレイ形状再帰反射体とは、少なくとも1つであるが、所望の数までの再帰反射体ユニットを備えるアレイを指す。前述のように、各再帰反射体ユニット間の間隔又は距離は、例えば、角度範囲を増加させるか、又は位相一致(例えば、正の干渉)をもたらすように最適化され得る設計考慮事項の1つである。例えば、図2A〜2F及び3A〜3Dの構成部品の例は各々、各々2つの再帰反射体ユニットのアレイを備える再帰反射体形状を例証する。加えて、ある特定の層構成のみがこれらの図に示され、かつ本明細書で論じられているが、例えば、装飾目的のために、例証されていない追加の層が存在し得ることが理解されるであろう。
【0028】
ここで図5A〜5Bを参照すると、車両車体構成部品500の別の例の側面及び俯瞰断面図が例証される。この構成は、アンテナ再帰反射体として動作するように設計されている。車体構成部品500は、基板504、任意のトップコート508、及びそれらの間に配置された複数の再帰反射体ユニット516を備える再帰反射体アセンブリ512を含み得る。示されるように、再帰反射アセンブリ512は、基板504の前/上面上又は前/上面内に配置された別個のアレイ(図5Bの俯瞰図を参照のこと)である。再帰反射ユニット516の各部分は、基板504上に塗布(例えば、プリント)される反射性材料(例えば、金属)から形成される。プリントが本明細書で説明されるが、再帰反射アセンブリ512が上に配置又はプリントされたフィルムの塗布等の他の技法が利用され得ることが理解されるであろう。他の車体構成部品(例えば、図2A〜2F及び3A〜3D)に関して上述される同じ種類(複数可)の材料及び/又は製造方法を利用して、基板504及びトップコート508を形成することができる。
【0029】
図5Bに示されるように、再帰反射ユニット516は、様々な機能性を実現するための様々な様式で相互接続され得る(例えば、ワイヤトレース524を介して)。例証される接続構成は、パッチ又はパッチワーク構成としても知られている。この種の構成は、典型的には、再帰反射性材料の少なくとも4つの再帰反射ユニット516又は「パッチ」を有し、追加のものが偶数対で追加されてもよい。示されるように、再帰反射ユニット516の列/行520a及び520cは、直列に相互接続されており、再帰反射ユニット516の列/行520b及び520dは、直列に相互接続されている。これらの群520a/520c及び520b/520cが同等の長さを有する(例えば、各々8つの再帰反射ユニット516を備える)ことに留意されたい。あるいは、他の長さが実装されて、受信レーダ波の位相シフト(例えば、その波長の整数倍数)を引き起こすことができる。アンテナアレイは、例えば、空間内の反射信号分布を変化させるために、より長く又はより短く作製され得る。同様に、例えば、アンテナアレイは、反射信号分布を変化させるために、垂直に又は水平に配向され得る。例示的な一実施態様では、再帰反射体アレイは、Van Attaアレイとして構成されている。
【0030】
上記の例は信号反射アンテナ再帰反射体構成であるが、アンテナ再帰反射体構成は、それが信号変調を引き起こすようにも構成され得る。実現され得る機能性の例のうちのいくつかとしては、位相シフト、偏光シフト、並びに反射信号の位相、偏光、周波数、及び振幅のうちの1つ以上の変調による一意の識別子の生成が挙げられる。信号変調アンテナ再帰反射体のためのこの様々な機能性を実現するための非限定的な技法には、パッチ及びアンテナワイヤ長さ、パッチ及びアンテナ設計(パッチの数、アレイの数等)、ワイヤトレース設計、ワイヤトレース524に沿った発振器、ワイヤトレース524に沿ったフィルタ、ワイヤトレース524に沿った増幅器、ワイヤトレース524のパターンが含まれる。これらは各々、変調デバイス528と称され得る。いくつかの実施態様では、変調デバイス528を実装する際に、小型回路が追加(例えば、プリント)され得る。これらの構成部品の製造方法の非限定的な例としては、プリント電子機器、フィルム、及びインモールド電子機器が挙げられる。
【0031】
ここで図6を参照すると、再帰反射体を備える車両車体構成部品製造する方法600の例の流れ図が例証される。本明細書の上で論じられる製造方法の任意の好適な組み合わせが方法600の様々な工程に利用され得ることが理解されるであろう。604では、第1の非導電層が、例えば、射出成形によって形成される(第1の基板、トップコート等)。608では、導電層が、例えば、クロムめっきによって形成されて、再帰反射体形状を画定する。いくつかの実施態様では、再帰反射体形状は、非導電層によって既に画定されている場合がある。任意の612では、1つ以上の第2の非導電層が、例えば、射出成形によって形成される(第2の基板、トップコート等)。いくつかの実施態様では、1つ以上の射出成形工程又はショットが行われるときに、マルチショット射出成形プロセスが利用され得る。616では、再帰反射体を備える車体構成部品が組み立てられる。ある場合には、複数のピースが組み合わせられるか、又は一緒に接合される。他の場合には、工程604〜608(及び任意の612)後に、車体構成部品が既に完全に形成されており、金型から取り外されて、最終車体構成部品を得ることができる。次いで、方法600が終了するか、又は1つ以上の追加のサイクルのために604に戻り得る。
【0032】
本明細書に記載の再帰反射体を備える車両車体構成部品が車両のレーダに基づく物体検出システムによって利用され得ることが理解されるであろう。例えば、別の車両は、物体検出又は適応走行制御等の別の他の関連技法を集合的に行う、コントローラ(例えば、エンジン制御ユニット(engine control unit)、又はECU)及びレーダデバイス(例えば、レーダ送受信機)(本明細書では示されていない)を有し得る。この例では、レーダデバイスは、レーダ波を特定の方向に発し(例えば、コントローラからの信号に応じて)、その後、再帰反射体を備える車両車体構成部品によって反射される反射レーダ波を捕捉する。次いで、コントローラは、物体検出又は他の関連技法の一部として捕捉された反射レーダ波に対応するデータを処理する。車両車体構成部品内の再帰反射体は、レーダ波のより良好な反射を提供し、次いで、物体検出システムの性能を強化する。加えて、これらの再帰反射体は、コントローラが車両と他の物体との区別を助けるための車両識別タグとしての役割を果たし得る特定のシグネチャ又は一意の識別子を反射レーダ波に生成し得る。なお更に、信号変調再帰反射アレイが、車両間で他の情報を伝達するために利用され得る。
【0033】
様々な例間の特徴、要素、方法論、及び/又は機能の組み合わせが本明細書で明確に企図され得ることを理解されたく、当業者であれば、別途上述されない限り、1つの例の特徴、要素、及び/又は機能が必要に応じて別の例に組み込まれ得ることを本教示から理解するであろう。
【0034】
本開示の他の態様によれば、様々なマルチピース再帰反射体システムが提示される。これらのシステムは、それらが別個の再帰反射体ピースを車両車体構成部品のB側に取り付けることによって形成されるため、「マルチピース」システムと称される。クリップ、ドッグハウスと備品、接着テープ、他の接着剤、及び音波溶接を含むが、これらに限定されない任意の好適な取り付け手段が利用され得る。マルチピース再帰反射体システムの再帰反射体部分は、複数の別個の又は自由な再帰反射体、複数の再帰反射体ストリップ、又は複数の再帰反射体を備える固体ピースを備え得る。この種のマルチピース設計を利用することにより、再帰反射体システムが、湾曲面、並びに平面上に形成されることも可能になる。これは、例えば、車両のコーナー車体構成部品上への実装に特に有用である。
【0035】
ここで図7を参照すると、マルチピース再帰反射体システム700の例が例証される。このシステムは、任意のレーダ透過性コーティング708が構成部品704のA側712に存在する、車両車体構成部品704を備える。1つ以上の別個の再帰反射体ピース716が構成部品704のB側720に取り付けられる。この取り付けは、1つ以上の取り付けデバイス724を介する。取り付けデバイス(複数可)724の非限定的な例としては、(i)クリップ、(ii)ドッグハウスと備品、(iii)接着テープ、(iv)非テープ接着剤、(v)音波溶接、及びそれらの組み合わせが挙げられる。示されるように、再帰反射体ピース716は、コーナー再帰反射体であるが、他の再帰反射体構成が利用され得ることが理解されるであろう。構成部品704は、誘電性材料から形成される。構成部品704の構築のための可能な材料には、自動車外装プラスチック、例えば、PC、PC−ABS、ABS、及び熱可塑性オレフィン(thermoplastic olefin、TPO)、セラミック又は複合体(例えば、炭素)、並びにガラスが含まれるが、これらに限定されない。これらの材料は各々、例証される任意のレーダ透過性コーティング708も有し得る。再帰反射体の構築のための可能な材料としては、成形金属(例えば、打刻金属)、誘電性材料、例えば、レーダ反射コーティング(例えば、クロムめっき)を伴うPC、PC−ABS、ABS、及びTPO、並びにレーダ反射コーティングを伴うセラミック又は複合体(例えば、炭素)が含まれるが、これらに限定されない。再帰反射体(複数可)が、プラスチックを導電性にするために一体化導電性鉱物を有するプラスチック等のレーダ反射コーティングを有しないプラスチック材料からも形成され得ることが理解されるであろう。各再帰反射体ピース716は、中空又は充填のいずれかでもあり得る。充填の場合、内部材料又は充填材料は、低い誘電値を有するレーダ透過性材料であるべきである。
【0036】
ここで図8A〜8Dを参照すると、再帰反射体ピース(複数可)716の構成の例が例証される。図8Aは、25個の個別のコーナー再帰反射体ピース804を備えるコーナー再帰反射体アレイ800の例を例証する。この構成の例では、各再帰反射体ピースの中心間の距離808は、約47ミリメートル(mm)であり、アレイ800の幅/高さ812は、約270mmである。図8Bは、平板等の再帰反射体システムを有しない車両車体構成部品(線828)と比較した、アレイ800(線824)の性能の例のプロット820を例証する。理解され得るように、アレイ800は、最大45度の観測角でより大きい性能改善を提供する。図8C及び8Dは、代替の構成を例証する。図8Cでは、コーナー再帰反射体アレイ840の別の例は、9個の個別のコーナー再帰反射体ピース844を備える。この構成の例では、各コーナー再帰反射体ピース844の縁長さ848は、約58mmであり、各コーナー再帰反射体ピース844の中心間の距離852は、約69mmであり、アレイ840の幅/高さ856は、約196mmである。図8Dでは、単一ユニット構成880は、約100mmの辺長を有する単一コーナー再帰反射体884を備える。
【0037】
本開示の他の態様によれば、反射管理及びパターン化のための車両上の再帰反射体システムの様々な構成が提示される。図9Aは、他の車両レーダシステムによる車両900の検出能を強化するための位置の例を例証する。図9Bのプロット940で見ることができるように、コーナー車体構成部品904a、904b、904c、904d(例えば、フロント/リアバンパのコーナー)内に再帰反射体システムを実装する。フィールド944は、少なくとも4つのコーナー車体構成部品を実装した再帰反射体システムを有する車両の反射率性能(例えば、dB単位)を例証するフィールド948と比較した、再帰反射体システムを有しない車両の反射率を例証する。前部908の中心部分(例えば、フロントバンパ又はグリルアセンブリの中心部分)、後部912(例えば、リアバンパ、テールライト、又はトランクフィニッシャの中心部分)、及び側方部分916a、916b(例えば、サイドモールディング)等の他の車体構成部品内に再帰反射体システムの実装により、他の車両レーダシステムによる車両900の検出能が更に強化され得る。
【0038】
本開示の他の態様によれば、再帰反射体を車両上に隠すための製造技法が提示される。上で論じられるように、再帰反射体は、車両の車体構成部品のB側に取り付けられ、それにより、再帰反射体を視界から隠すことができる。図10は、再帰反射体システムが車両1000上に隠され得るいくつかの位置の例を例証する。これらには、塗装された車体サイドモールディング(1004)、塗装されたホイールトリム(1008)、モールドインカラー(mold-in-color、MiC)テールランプアクセント(1012)、及びクロム様トランクリッドフィニッシャ(1016)が含まれるが、これらに限定されない。これらの実装の例が例にすぎず、再帰反射体システムが任意の好適な構成部品内に実装され得ることが理解されるであろう。あるいは、平らな又は平面の再帰反射体(すなわち、コーナー再帰反射体ではない)が車体構成部品のA側に隠され、次いで、塗料又は物理蒸着(PVD)によって塗布される遷移後金属若しくは半金属又はフィルム等のレーダ透過性コーティングの後ろに隠され得る。これらの平らな/平面の再帰反射体の非限定的な例としては、Van Attaアレイ及び周波数選択面(frequency selected surface、FSS)が挙げられる。使用中、反射信号強度を利用して、物体の存在を決定することができ、反射信号を受信するまでの時間を利用して、物体がどの程度離れているかを決定することができ、反射信号のパターンを利用して、物体の種類を決定することができる。したがって、特定の反射パターンを生成するように再帰反射体システムを設計することにより、物体の種類が送信車両によって決定され得る。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】