特表2020-522717(P2020-522717A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2020-522717(P2020-522717A)
(43)【公表日】2020年7月30日
(54)【発明の名称】マルチラインレーダー
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20200703BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20200703BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20200703BHJP
【FI】
   G01S7/481 Z
   G01S17/931
   G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2019-568157(P2019-568157)
(86)(22)【出願日】2018年5月16日
(85)【翻訳文提出日】2020年2月4日
(86)【国際出願番号】CN2018087045
(87)【国際公開番号】WO2018223821
(87)【国際公開日】20181213
(31)【優先権主張番号】201720713800.7
(32)【優先日】2017年6月19日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201711312298.X
(32)【優先日】2017年12月8日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201720656433.1
(32)【優先日】2017年6月7日
(33)【優先権主張国】CN
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DJ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JO,JP,KE,KG,KH,KN,KP,KR,KW,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HESAI PHOTONICS TECHNOLOGY CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王瑞
(72)【発明者】
【氏名】李娜
(72)【発明者】
【氏名】向少卿
(72)【発明者】
【氏名】李一帆
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA09
2F112CA05
2F112DA15
2F112DA25
2F112DA28
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AC02
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA06
5J084BA38
5J084BA49
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084CA03
5J084EA22
(57)【要約】
本発明はマルチラインレーダー(1)に関するものである。前記マルチラインレーダー(1)は、一個または複数個のレーザ装置(112)を含むマルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と、一個または複数個の光電検出装置を含みかつ前記レーザ発信モジュールが出射する測定レーザが障害物によって拡散反射されて戻るレーザ反射波を検出するように設けられマルチライン測距レーザ受信モジュール(120)と、マルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールに電気接続されかつ測定レーザを送信する時間とレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出することにより各方向の前記障害物の距離を算出するように設けられ測距情報分析モジュールと、マルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールに対応するように配置される制御回路および光学システムとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチラインレーダー(1)であって、前記マルチラインレーダー(1)は、マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)、マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)、測距情報分析モジュール、制御回路および光学システムを含み、
前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは一個または複数個のレーザ装置(112)を含み、
前記マルチライン測距レーザ受信モジュールは、一個または複数個の光電検出装置を含み、かつ前記レーザ発信モジュールが出射する測定レーザが障害物(Z)によって拡散反射されて戻るレーザ反射波を検出するように設けられ、
前記測距情報分析モジュールは、マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)とマルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に電気接続され、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出することにより各方向の前記障害物(Z)の距離を算出するように設けられ、
制御回路および光学システムは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に対応するように配置されることを特徴とするマルチラインレーダー。
【請求項2】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は垂直方向の解像度が非均等に配置される複数の測距レーザを出射することを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項3】
前記制御回路はタイムデータ変換装置を含み、前記測距情報分析モジュールは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が各測距レーザを出射するときタイムデータ変換装置に送信する信号と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を検出して前記タイムデータ変換装置に送信する時間の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出し、各方向の前記障害物(Z)の距離を算出するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項4】
前記制御回路はアナログデジタルコンバーターを含み、前記アナログデジタルコンバーターは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)の電流の波形を随時に検出するとともにデジタル化を実施し、
前記測距情報分析モジュールは、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)の電流の波形と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)の電流の波形の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出し、前記方向の前記障害物(Z)の距離を算出するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項5】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は垂直の画角の範囲内の上下区域の垂直方向の解像度が中央区域の垂直方向の解像度より小さくなるように前記マルチライン測距レーザを出射することを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項6】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が出射する前記マルチライン測距レーザは一本または複数本の垂直方向の角度が時間によって変換する測距レーザで形成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項7】
前記マルチラインレーダー(1)は走査モジュールを更に含み、前記走査モジュールは時間により前記測距レーザの垂直方向の角度を変化させることを特徴とする請求項6に記載のマルチラインレーダー。
【請求項8】
前記マルチラインレーダー(1)は分光モジュール(140)を更に含み、前記分光モジュール(140)と前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)および前記走査モジュールは1つの軸線上に配置され、前記分光モジュール(140)は前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が出射する測距レーザを前記走査モジュールに投射させかつ前記走査モジュールの障害物(Z)に反射されるレーザを前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に反射させることを特徴とする請求項7に記載のマルチラインレーダー。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のマルチラインレーダー(1)であって、
前記マルチラインレーダー(1)は回転部、固定部、回転構造、通信システムおよび電力伝送システムを更に含み、
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)は前記回転部上に固定配置され、
前記固定部上には前記マルチラインレーダー(1)の外部通信インターフェースと外部電源インターフェースが設けられ、電力伝送システムは前記外部電源インターフェースから入力される外部電力を前記回転部に提供し、
前記回転構造は前記回転部が前記固定部に相対して回転するように駆動し、前記回転構造上には回転角度フィードバック装置が設けられ、前記回転角度フィードバック装置は前記回転構造の回転角度をフィードバックすることにより各測定レーザの水平方向の角度を獲得するように設けられ、
前記通信システムと前記電力伝送システムは固定部と回転部との間に設けられることを特徴とするマルチラインレーダー。
【請求項10】
前記固定部上にはトランスミットコイルと所定の変調回路が設けられ、前記回転部上にはレシーバーコイルと所定の変調回路が設けられ、前記トランスミットコイルとレシーバーコイルは電磁誘導方法により電力をトランスミットコイルからレシーバーコイルに伝送するように設けられることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項11】
前記固定部と前記回転部はスリップリングにより連結され、前記スリップリングは相対して回転しかつ前記固定部と前記回転部に連結される2つの部分を含み、前記スリップリングの前記2つの部分の間には導電チャンネルが形成され、前記導電チャンネルは前記固定部と前記回転部との間の電力伝送システムになることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項12】
前記固定部と前記回転部との間の通信システムは前記スリップリングの前記2つの部分の間の信号チャンネルを含むことを特徴とする請求項11に記載のマルチラインレーダー。
【請求項13】
前記固定部と前記回転部との間の通信システムは前記固定部上に取り付けられる発光ダイオード、前記回転部上に取り付けられるフォトダイオード、前記回転部上に取り付けられる発光ダイオードおよび前記固定部上に取り付けられるフォトダイオードを含み、
前記固定部上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記回転部上のフォトダイオードにより検出されるとともに電気信号に変換され、前記回転部上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記固定部上のフォトダイオードにより検出されるとともに電気信号に変換されることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項14】
前記固定部と回転部との間の通信システムは前記固定部と回転部上にそれぞれ取り付けられる無線送信装置と受信装置、例えば無線装置、WiFiまたはブルートゥース等を含むことを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項15】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は回転部内に固定配置される複数個のレーザ装置(112)を含み、前記複数個のレーザ装置(112)は複数組に分類されることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項16】
前記レーザ装置(112)は回転部内の複数の載置体(119)上にそれぞれ固定配置されることを特徴とする請求項15に記載のマルチラインレーダー。
【請求項17】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が出射する測距レーザが位置する垂直平面と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)が受信する測距レーザが位置する垂直平面は前記回転部の回転軸の垂直平面を通過する平面により対称状態になっていることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチラインレーダー(multi−line Lidar)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パルスのタイムオブフライトを用いるレーザ測距方法はいろいろな分野に幅広く応用されている。
【0003】
シングルラインレーダーは縦方向の1つの走査レーザのみを含み、その1つの走査レーザの水平面内の角度を変化させることにより2D模様を検出することができる。シングルラインレーダーは1つの走査レーザにより走査される平面または曲面内の模様を検出することができる。実際の応用において、シングルラインレーダーにより3D模様を検出するとき、シングルラインレーダーを移動して獲得した各フレームの2D模様を接続させることにより3D模様を検出する必要がある。
【0004】
走査区域の3D模様をより多く獲得するため、より多いマルチラインレーダーを採用することにより、より多い垂直の画角の区域を走査することができる。現在、マルチラインレーダーのレーザの分布角度はいずれも一定の角度内に均等に配置される方法を採用する(垂直角度の解像度は確定される値である)。例えば、Velodyneの16本、32本および64本のレーザレーダーを採用し、その垂直角度の解像度は2度、1.33度および0.43度であり、Ibeoの4本、8本のレーザレーダーの垂直角度の解像度は0.8度である。
【0005】
車用レーザレーダーの具体的の応用において、車用レーザレーダーは路面上の通行人、車両等を検出する。垂直方向の画角が上下に均等に配置される場合、上に出射するレーザは無駄になるおそれがある。
【0006】
現在の製品の角度配置方法において、全画角を均等に分割する場合、より高い垂直の解像度を用意し、より多いお金を使う必要がある。それにより多いコストがかかり、より大きい体積と低い安定性を招来するおそれがある。イーサネット(登録商標)のデータの容量と車用CPUの処理速度には制限があるので、本数が多いレーザレーダーを用いる場合、高い水平の解像度と高い走査の周波数を同時に確保することができない。
【0007】
コストを低減するため本数を減少させると、角度の間隔が大きくなるので、遠くない距離(例えば40メートル)において目標を識別することができない。例えば、垂直の全画角が32°であり、2°の間隔(垂直の解像度)がある場合、16本のレーザを用いる必要があり、40メートルのレーザの間の距離は1.4メートルになるので、一人の通行人を漏らすおそれがある。
【0008】
出射光路と受信光路が重畳するか否かすることにより、レーザレーダーは同軸システムと非同軸システムに分類される。いずれかのレーザレーダーにおいて、出射するレーザパルスがレーザレーダーのサーチライト、過渡区域を通過した後、すべてのレーザパルスがレーザレーダーの受信の画角内に入ることを確保するため、出射されるレーザパルスと受信の望遠鏡の光軸を平行にする必要がある。出射されるレーザの方向が変化するとき、レーザレーダーの重畳因子の修正曲線を確定することができず、重畳区域により正確な修正の結果を獲得することができない。方向がずいぶん外れるとき受信の画角から外れるおそれがあるので、レーザレーダーは障害部を検出することができない。
【0009】
従来のレーザレーダーシステムにおいて、反射鏡の移動、半導体レーザ装置の作動環境の温度の変化、ベースの振動、波長の交替、半導体レーザ装置の使用の寿命等により非同軸のレーザレーダーシステムは出射の光線と受信の望遠鏡の光軸が同軸または平行になることを確保することができない。また、従来のレーザレーダーシステムは1Dバイブレーションミラーの回転により空間を走査するが、レーザレーダーが走査の画角に対する需要を満たすことができない。また、機械的構造によりバイブレーションミラーの回転を制御することにより、修理の難易度が増加し、測定の精度が低下するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする技術的問題はマルチラインレーダーを提供することにある。それにより異なる方向の障害物の距離を検出し、3Dポイントクラウドを形成し、3D模様を直接に検出し、かつレーザレーダーの本数とコストを低減するとともに所定の区域をより正確に検出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のマルチラインレーダーにより前記技術問題を解決することができる。前記マルチラインレーダーは、マルチライン測距レーザ発信モジュール、マルチライン測距レーザ受信モジュール、測距情報分析モジュール、制御回路および光学システムを含む。前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは一個または複数個のレーザ装置を含む。前記マルチライン測距レーザ受信モジュールは、一個または複数個の光電検出装置を含み、かつ前記レーザ発信モジュールが出射する測定レーザが障害物によって拡散反射されて戻るレーザ反射波を検出するように設けられる。前記測距情報分析モジュールは、マルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールに電気接続され、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュールがレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出することにより各方向の前記障害物の距離を算出するように設けられる。前記制御回路および光学システムは前記マルチライン測距レーザ発信モジュールと前記マルチライン測距レーザ受信モジュールに対応するように配置される。
【0012】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは垂直方向の解像度が非均等に配置される複数の測距レーザを出射する。具体的に、垂直方向において隣接する測距レーザの間の角度は不均等に形成される。非均等に配置される垂直方向の解像度は周囲の高さが異なることによりマルチライン測距レーザが異なる密度に分布され、均等に配置される測距レーザの場合、より多い測距レーザを重要の区域に提供する。好ましくは、レーザ装置、光電検出装置の数量はマルチラインレーダーの本数に対応する。
【0013】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、制御回路はタイムデータ変換装置を含み、測距情報分析モジュールは前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが各測距レーザを出射するときタイムデータ変換装置に送信する信号と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュールがレーザの反射波を検出して前記タイムデータ変換装置に送信する時間の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュールがレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出し、前記方向の前記障害物の距離を算出するように設けられる。
【0014】
本発明の変形例において、電流の波形を比較することにより時間差を間接的に獲得することができる。前記制御回路はアナログデジタルコンバーターを含み、前記アナログデジタルコンバーターは前記マルチライン測距レーザ発信モジュールと前記マルチライン測距レーザ受信モジュールの電流の波形を随時に検出するとともにデジタル化を実施する。前記測距情報分析モジュールは、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールの電流の波形と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュールの電流の波形の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュールがレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出し、前記方向の前記障害物の距離を算出するように設けられる。
【0015】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは垂直の画角の範囲内の上下区域の垂直方向の解像度が中央区域の垂直方向の解像度より小さくなるように前記マルチライン測距レーザを出射する。それにより出射されるマルチライン測距レーザは水平線とその付近において稠密になり、他の方向においてまばらになる。
【0016】
出射されるマルチライン測距レーザの垂直角度の解像度が非均等になることによりマルチライン測距レーザの本数が少ないときも高い垂直角度の解像度を獲得することができ、それによりコストを節約し、装置の体積を低減することができる。特に、車が走るとき認識しなければならない障害物(例えば通行人、車両等)は通常、水平線と地面の付近にいるので、中央のレーザ(水平線と水平線の付近)の分布密度を増加させ、レーザの本数を非均等に分布させることにより現実の交通環境に適当に適用させることができる。また、重要の区域のレーザの本数を増加させることにより非重要な区域のレーザの本数を低減することができる。それによりレーザの総本数を低減し、高い走査の周波数を確保し、高い水平の解像度と高い走査の周波数を確保し、より正確である走査の結果を獲得することができる。
【0017】
他の実施例において、時間により変化されるレーザを垂直方向の各角度に走査する技術的方法を採用することもできる。例えば、本発明の変形例において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが出射する前記マルチライン測距レーザは垂直方向の角度が時間によって変換する一本の測距レーザで形成されることができる。本発明の変形例において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが出射する前記マルチライン測距レーザは垂直方向の角度が時間によって変換する複数本の測距レーザで形成されることもできる。
【0018】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチラインレーダーは時間により前記測距レーザの垂直方向の角度を変化させる走査モジュールを更に含む。垂直方向の角度が時間により変化する測定レーザは1Dまたは2Dバイブレーションミラーにより垂直方向の所定の角度に回転され、バイブレーションミラーは時間の変化により垂直方向の所定の角度を変化させる。
【0019】
好ましくは、前記マルチラインレーダーの出射と受信の光路には分光モジュールが設けられ、前記分光モジュールとマルチライン測距レーザ発信モジュールおよび走査モジュールは1つの軸線上に配置される。前記分光モジュールは前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが出射する測距レーザを前記走査モジュールに投射させかつ前記走査モジュールの障害物に反射されるレーザを前記マルチライン測距レーザ受信モジュールに反射させる。
【0020】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチラインレーダーは、回転部、固定部、回転構造、通信システムおよび電力伝送システムを更に含む。前記マルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールは前記回転部上に固定配置される。前記固定部上には前記マルチラインレーダーの外部通信インターフェースと外部電源インターフェースが設けられ、電力伝送システムは前記外部電源インターフェースから入力される外部電力を前記回転部に提供する。前記回転構造は前記回転部が前記固定部に相対して回転するように駆動し、前記回転構造上には回転角度フィードバック装置が設けられ、前記回転角度フィードバック装置は前記回転構造の回転角度をフィードバックすることにより各測定レーザの水平方向の角度を獲得するように設けられる。前記通信システムと前記電力伝送システムは固定部と回転部との間に設けられる。各測定レーザが障害物に反射される空間角度位置を確定し、前記空間角度位置と時間差により獲得した障害物の距離により障害物の位置と形状を確定することができる。
【0021】
固定部によりマルチラインレーダーと外部の連結構造を固定させ、固定部に設けられる外部通信インターフェースにより外部からの指令を受信しかつマルチラインレーダーが走査によってえたポイントクラウド情報等を外部に送信し、固定部に設けられる外部電源インターフェースにより外部電力の入力を受信する。
【0022】
回転部は固定される垂直の方向の回転軸である。前記回転軸は固定部または回転部上に取り付けられることができる。回転部の回転によりマルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールは水平方向の異なる角度の測定をすることができる。
【0023】
前記固定部と前記回転部との間の電力伝送をするため、本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、電磁誘導方法により電力をトランスミットコイルからレシーバーコイルに伝送する。前記固定部上にはトランスミットコイルと所定の変調回路が設けられ、前記回転部上にはレシーバーコイルと所定の変調回路が設けられる。
【0024】
本発明の変形例において、前記固定部と前記回転部はスリップリングにより連結され、前記スリップリングは相対して回転しかつ前記固定部と前記回転部に連結される2つの部分を含み、前記スリップリングの前記2つの部分の間には導電チャンネルが形成され、前記導電チャンネルは前記固定部と前記回転部との間の電力伝送システムになる。
【0025】
固定部と回転部との間の通信をするため、本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記固定部と回転部との間の通信システムは前記スリップリングの前記2つの部分の間の通信チャンネルを含む。
【0026】
本発明の変形例において、光電変換方法により固定部と回転部との間の通信をすることができる。前記固定部と前記回転部との間の通信システムは前記固定部上に取り付けられる発光ダイオード、前記回転部上に取り付けられるフォトダイオード、前記回転部上に取り付けられる発光ダイオードおよび前記固定部上に取り付けられるフォトダイオードを含む。前記固定部上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記回転部上のフォトダイオードにより検出されるとともに電気信号に変換され、前記回転部上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記固定部上のフォトダイオードにより検出されるとともに電気信号に変換される。
【0027】
本発明は従来の無線送信装置と受信装置を用いることができる。例えば、本発明の変形例において、前記固定部と回転部との間の通信システムは前記固定部と回転部上にそれぞれ取り付けられる無線送信装置と受信装置、例えば無線装置、WiFi(登録商標)またはブルートゥース(登録商標)を含む。
【0028】
出射されるマルチライン測距レーザの垂直角度の解像度を非均等にするため、本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは回転部内に固定配置される複数個のレーザ装置を含み、前記複数個のレーザ装置は複数組に分類される。各組のレーザ装置は垂直方向において同じ間隔に配置されることができるが、各組のレーザ装置の間の間隔は同様または非同様に配置されることができる。各組のレーザ装置の配置により出射されるマルチライン測距レーザの垂直角度の解像度を重要の区域に位置させるものであればいずれでもよい。
【0029】
好ましくは、前記重要の区域は前記マルチライン測距レーザ発信モジュールの垂直の画角の範囲内の中央区域である。前記マルチライン測距レーザ発信モジュールの垂直の画角の範囲内の上下区域と比較してみると、前記レーザ装置が出射するより多い測距レーザは垂直の画角の範囲内の中央区域に位置する。
【0030】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記レーザ装置は回転部内の複数の載置体上にそれぞれ固定配置される。前記載置体は、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールの垂直の画角の範囲内の上下区域と比較する場合、前記レーザ装置が出射するより多い測距レーザが垂直の画角の範囲内の中央区域に位置するように配置される。レーザ装置は前記載置体上に均等の間隔を有するように分布されるか或いは非均等の間隔を有するように分布されることもできる。各載置体において、レーザ装置の間の間隔は同一になるか或いは各載置体上のレーザ装置は異なる間隔を有することもできる。
【0031】
本発明のマルチラインレーダーの好適な実施形態において、前記マルチライン測距レーザ発信モジュールが出射する測距レーザが位置する垂直平面と前記マルチライン測距レーザ受信モジュールが受信する測距レーザが位置する垂直平面は前記回転部の回転軸の垂直平面を通過する平面により対称状態になっている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
下記実施例の例示を説明するにより本発明の前記属性、特徴、発明の効果および実施方法をより詳細に理解してもらうため、以下、図面により本発明の実施例をより詳細に説明する。
図1】本発明のマルチラインレーダーの構造を示す図である。
図2】回転部内に固定配置されるマルチライン測距レーザ発信モジュールの複数個のレーザ装置を含み、上下区域と比較してみると、より多いレーザ装置が出射する測距レーザが中央区域に入射されることを示す図である。
図3】レーザ装置が複数個の載置体に配置され、レーザ装置が載置体の中央区域に多く配置されることにより一層多い測距レーザが中央区域に出射されることを示す図である。
図4】レーザ装置が複数個の載置体に配置される実施例において、各レーザ装置上により多い載置体が配置されることにより一層多いレーザ装置が中央区域に重畳することを示す図である。
図5】マルチライン測距レーザ発信モジュール、分光モジュール、走査モジュールが1つの軸線上に配置される本発明のマルチラインレーダーの実施例を示す図である。
図6】マルチライン測距レーザ発信モジュールとマルチライン測距レーザ受信モジュールが回転部の回転軸の垂直平面を通過する平面に対称に配置されることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は本発明の第一実施例に係るマルチラインレーダー1を示す図である。前記マルチラインレーダー(multi−line Lidar)1は、固定部210、回転部240および回転部240が固定部210に相対して回転するように駆動する回転構造250を含む。固定部210と回転部240との間には通信システムと電力伝送システムが設けられる。
【0034】
固定部210の本体は機械加工によって形成される金属ケースである。固定部210の中心にはマルチラインレーダー1を垂直の方向に貫通する回転軸が形成されている。マルチラインレーダーシステムの内部の回転部分(回転部240、固定部210と回転部との間の通信システム/電力伝送システム等)はいずれも前記回転軸上に取り付けられる。固定部の内部に回路基板が更に取り付けられることにより、外部から入力されるユニバーサルインプットボルテージ(Universal input voltage、例えば7V〜32V)をマルチラインレーダーシステムに適用する電圧(例えば12V、5V、3.3V等)に変化させ、外部から入力される指令、GPS時間連動信号等をマルチラインレーダーの内部の回路システムに適用するフォームに変換させ、ラインレーダーが走査によってえたポイントクラウド(Point cloud)情報を外部に適用するフォームに変換させて出力する。外部に向かうラインレーダーのデータインターフェースはイーサネット(Ethernet)、CANバス、USB等であることができる。
【0035】
回転部240の本体は機械加工によって形成される金属ケースである。回転部240は1個または複数個のベアリングにより前記固定部の回転軸に相対して回転するようにその回転軸上に取り付けられる。
【0036】
固定部210によりマルチラインレーダー1と外部の連結構造を固定させ、固定部210に設けられる外部通信インターフェース220により外部からの指令を受信しかつマルチラインレーダー1が走査によってえたポイントクラウド情報等を外部に送信し、固定部210に設けられる外部電源インターフェース230により外部電力の入力を受信する。外部電力は外部電源インターフェース230によって固定部に伝送され、かつ固定部210と回転部240との間の電力伝送システムにより回転部240に伝送される。固定部210と回転部240との間の通信と電力の伝送は固定部と回転部との間の通信システムと電力伝送システムにより実施される。固定部210と回転部240との間の通信システムと電力伝送システムにより解決しようとする主な目的は回転可能に連結されるこの2つの構造の間においてデータの伝送と電力の伝送を安定に実施することにある。この実施例において、通信と電力の伝送はスリップリング(slip ring)により実施されることができる。スリップリングのステーター(stator)はラインレーダーの固定部210に連結され、スリップリングのローター(rotor)はラインレーダーの回転部240に連結される。回転をするとき、信号はスリップリング上の信号チャンネルにより伝送され、電力はスリップリング上の導電チャンネルにより伝送される。
【0037】
回転部240上には複数個のマルチライン測距レーザ発信モジュール(multi-line ranging laser emission module)110とマルチライン測距レーザ受信モジュール(multi-line ranging laser reception module)120が固定配置されている。マルチライン測距レーザ発信モジュール110は垂直方向の角度が異なっているが各角度が変化しない複数の測定レーザを発信し、マルチライン測距レーザ受信モジュール120は前記測定レーザが障害物によって拡散反射(diffuse reflection)されて戻るレーザ反射波を検出する。この実施例において、マルチライン測距レーザ発信モジュール110の実施方法として複数個のレーザ装置112を用いることができる。例えばTO実装またはパッチ実装型半導体レーザ装置を用いる。複数個のレーザ装置112は1つの回路基板上の異なる位置に設けられる。レーザ装置112は回路基板がパルス電流(puls current)を間欠的に送信するように制御し、それによりレーザ装置112がレーザパルスを形成するように駆動する。
【0038】
1つのレーザ装置112が出射した光線はマルチライン測距レーザ発信モジュール110の光学システムにコリメーション(collimation)されることにより略平行の光線が形成される。各レーザ装置112は焦点の付近に設けられているので、垂直方向の位置が異なるレーザ装置112が出射した光線は発信モジュールの光学システムを通過した後、垂直方向の角度が異なる光線が形成される。
【0039】
この実施例において、マルチライン測距レーザ受信モジュール120の実施方法として複数個の光電検出装置例えばフォトダイオード(photo-diode)、特にアバランシェフォトダイオード(avalanche photo-diode)等を用いることができる。複数個の光電検出装置は1つの回路基板上の異なる位置に設けられる。
【0040】
光電検出装置はマルチライン測距レーザ受信モジュール120の光学システムの焦点の付近に設けられ、各光電検出装置が受信する光線の方向はレーザ送信モジュールに対応する1つの測距レーザの方向と一致するように設けられる。各光電検出装置の受信画角(field angle)は光電検出装置の感光面(photosensitive)のサイズとマルチライン測距レーザ受信モジュールの光学システムの焦点の距離により決められる。光電検出装置の受信画角をできるだけ小さくすることにより環境に対する影響を減少させる。光電検出装置は光信号を受信した後、他の回路はその光信号を電気信号に変換させることによりレーザパルスのタイムオブフライト(time-of-flight)を算出する。
【0041】
マルチライン測距レーザ発信モジュール110は測距レーザを送信するたびに1つの信号をタイムデータ変換装置を送信し、マルチライン測距レーザ受信モジュール120は反射されてくるレーザを受信するとき1つの信号を前記タイムデータ変換装置に再び送信する。測距情報分析モジュールは、マルチライン測距レーザ発信モジュール110とマルチライン測距レーザ受信モジュール120に電気接続され、2つの信号の時間差を比較することにより、測定レーザを送信する時間とレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を獲得する。すなわちレーザのタイムオブフライトを算出し、各方向の前記障害物Zの距離を算出する。測距情報分析モジュールは回転部上に配置され、垂直方向の各測距レーザに対応する障害物の距離を獲得すると、測距情報分析モジュールは固定部と回転部との間の通信システムにより前記測距情報を1つずつまたは一緒に固定部上の回路に送信する。前記測距情報によりレーザレーダーの周囲の3D模様を形成することができる。他の実施形態において、測距情報分析モジュールを固定部上に配置させるか或いは一部分を回転部上に配置させかつ他の一部分を固定部上に配置させることができる。
【0042】
前記実施例において、回転構造250は中空直流ブラシレス・モーター(brushless motor)を含み、回転軸はモーターの中空部に挿入され、モーターのステーター(stator)はネジ連結構造によりマルチラインレーダー1の固定部210上に連結され、モーターのローター(rotor)はカップリング(coupling)によりマルチラインレーダー1の回転部240上に連結される。モーターの駆動によりレーザレーダーのローターは回転する。回転構造250は回転角度をフィードバックするフィードバック装置である光学式エンコーダー(Optical Encoder)を含む。光学式エンコーダーのコードホイール(code wheel)はレーザレーダーの回転部240上に取り付けられ、光学式エンコーダーの光電検出装置はレーザレーダーの固定部上に取り付けられかつコードホイールのグリッド(grid)と対向する。モーターの駆動によりレーザレーダーの回転部240が回転するとき、モーター制御回路は光学式エンコーダーがフィードバックする信号を受信することにより回転部240の回転角度、回転速度等を獲得し、それにより各測定レーザの水平方向の角度を獲得する。
【0043】
直流ブラシレス・モーターは専用の駆動回路により駆動される。モーターの回転速度はクローズドループ(closed loop)制御システムにより所定の回転速度を維持し、モーターの回転速度は光学式エンコーダーによりフィードバックされるか或いはモーター駆動回路が検出したモーターの逆流の電流力(electrodynamic force)と電流によりフィードバックされる。クローズドループ制御方法は専用のモーター駆動チップ(例えばTI DRV10983)により実施されるか或いはワンチップコンピューター(one-chip computer)またはFPGAにより実施されることができる。モーター制御回路は独立の回路基板であることができる。モーターをレーザレーダーの固定部に取り付けるとき、モーター駆動回路を回転部の回路基板に集積させることができる。
【0044】
本発明の第二実施例においてマルチラインレーダー1を提供する。第二実施例と前記第一実施例の相違点は、マルチライン測距レーザ発信モジュール110が垂直方向の角度が変化する1つまたは複数の測定レーザを送信することにある。前記測定レーザが障害物によって拡散反射されて戻るレーザ反射波はマルチライン測距レーザ受信モジュール120により検出される。また、マルチライン測距レーザ発信モジュール110は空間内のいろいろな位置に配置されかつレーザ装置112が取り付けられている複数の回路基板を含む。マルチライン測距レーザ受信モジュール120は空間内のいろいろな位置に配置されかつ光電検出装置が取り付けられている複数の回路基板を含む。
【0045】
前記測距情報分析モジュール上のアナログデジタルコンバーター(analog digital converter)はレーザ発信モジュールが送信する電流の波形とレーザ受信モジュールが受信するレーザの波形を随時に検出し、かつ電流の波形のデジタル化を実施した後、それを時間算出機能を有しているワンチップコンピューターまたはFPGAに入力する。ワンチップコンピューターまたはFPGAは波形を送信する時間と波形を受信する時間の時間差を比較することにより、レーザのタイムオブフライトを算出し、前記方向の前記障害物Zの距離を算出する。
【0046】
この実施例において、固定部210と回転部240との間は光伝送により通信をすることができる。固定部210と回転部240との間の通信システムは、前記固定部210上に取り付けられる発光ダイオード、前記回転部上に取り付けられるフォトダイオード、前記回転部240上に取り付けられる発光ダイオードおよび前記固定部上に取り付けられるフォトダイオードを含む。前記固定部210上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記回転部240上のフォトダイオードにより検出されるとともに電気信号に変換され、前記回転部240上に取り付けられる発光ダイオードは入力される電気信号を光信号に変換させ、前記光信号は前記固定部210上のフォトダイオードにより検出される。
【0047】
この実施例において、固定部210と回転部240との間の電気伝送は電磁誘導方法により実施されることができる。マルチラインレーダー1の固定部上にはトランスミットコイル(transmit coil)が設けられ、マルチラインレーダー1の回転部上にはレシーバーコイル(receiver coil)が設けられ、トランスミットコイルとレシーバーコイルはいずれもレーザレーダーの回転軸上に取り付けられる。回転部が回転するとき、トランスミットコイルとレシーバーコイルとの間の距離は非常に小さい間隔を維持する。変調回路は外部から入力される電力を交流電気に変換させ、トランスミットコイルは交流形態の電磁を形成し、レシーバーコイルは誘導により電流力が形成される。変調回路はトランスミットコイル上の交流の電流を回転部上の回路システムに適用する直流電気に変換させる。
【0048】
本発明の第三実施例においてマルチラインレーダー1を提供する。第三実施例と前記実施例の相違点は、固定部210と回転部240との間の通信はスリップリング連結方法または光電方法により実施されるものでなく、固定部210と回転部240上にそれぞれ取り付けられる無線送信装置と受信装置により実施されることにある。前記通信はWiFiまたはブルートゥース(Bluetooth)等により実施されることもできる。
【0049】
本発明の第四実施例においてマルチラインレーダー1を提供する。レーザ装置112を適当に配置させるか或いはレーザユニットを陳列させることにより、形成されるレーザは垂直の画角の範囲−16°〜+7°(上下が均等に配置されていない画角)内に非均等に配置される。+2°〜+7°範囲の垂直方向の解像は1°(第1〜第6のレーザに対応する)であり、−6°〜+2°範囲は稠密の区域であり、垂直方向の解像は1/3°(第6〜第30のレーザに対応する)であり、−16°〜−6°範囲の垂直方向の解像は1°(第30〜第40のレーザに対応する)である。レーザ装置112を交差に配列させるか或いはレーザ装置112で構成される複数のユニットマトリックスにより非均等に配置されるレーザを獲得することができる。この実施例の変形例において、1つのマトリックスにレーザ装置112または検出装置を不均等に配置させることにより非均等に配置されるレーザを獲得することもできる。
【0050】
マルチレーザを製造する本発明の第五実施例は、前記第四実施例と異なっており、時間によって変化する1つの測定レーザにより形成されるマルチ測距レーザを用いる。その実施例のマルチ測距レーザは複数個のレーザ装置112が出射するマルチレーザでなく、1つのレーザ装置112とバイブレーションミラー(vibration mirror)またはそれと類似する部品との組合せが出射し、時間によって角度が変化し、マルチ走査を実施する1つのレーザであることができる。レーザ発信モジュールが出射するレーザは分光モジュール140を通過した後、1Dバイブレーションミラーまたは2Dバイブレーションミラーにより目標物体(または障害部Z)に反射される。レーザは、目標物(または障害部Z)に反射された後バイブレーションミラーに入射し、分光モジュール140を通過した後光線受信フォーカシング部品(例えばレンズまたはレンズ組)に入射し、レンズ組を通過した後検出装置を含むモジュールに入射する。検出装置はレーザを送信する時間とレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を記録することにより現時点の目標物までの距離に関する情報を獲得する。次の時間において、バイブレーションミラーはレーザを空間中の次の点に反射させ、検出装置はその点の目標物に関する距離を獲得する。レンズを回転させるとき、前記測定を繰り返すことにより、所定の時間内に1つのレーザにより空間の走査を実施し、全測定範囲内のポイントクラウド(Point cloud)に対するマルチ走査を実施することができる。
【0051】
前記第五実施例は変形例を含むことができる。例えばバイブレーションミラーと固定配置される複数個のレーザ装置112との組合せにより、垂直方向の角度が変化する複数の測定レーザを獲得することができる。例えば、レーザ40個を獲得するため、5個のレーザ装置112を用い、各レーザ装置112が出射する1つのレーザは1Dバイブレーションミラーまたは2Dバイブレーションミラーにより、時間によって角度が変化し、マルチ走査を実施することができる。それにより所定の範囲内の走査を実施し、40個のレーザで走査をする効果を獲得することができる。
【0052】
本発明の第六実施例において、出射光路Iと受信光路Rが同軸に配置される効果を獲得するため、図5に示すとおり、マルチライン測距レーザ発信モジュール110(レーザ装置112とコリメーションモジュール114を含む)、分光モジュール140、走査モジュール130を1つの軸線上に配置させる。分光モジュール140を通過する測距レーザは水平と/或いは垂直空間内で自由にスイング(swing)するバイブレーションミラーにより周囲の空間内の障害物Zに反射され、走査モジュールに反射されてくる障害物Zのレーザ反射波をマルチライン測距レーザ受信モジュール120に反射させる。
【0053】
マルチライン測距レーザ発信モジュール110のレーザ装置112は半導体レーザ装置、光ファイバレーザ装置等であることができる。タイプが異なるレーザ装置は波長が異なるレーザパルスを出射する。例えば、半導体レーザ装置は赤外線付近のパルスを形成して出射することができる。具体的な実施例において、異なるレーザレーダーシステムの間の干渉を避けるため、マルチライン測距レーザ発信モジュール110が所定の波長を有するレーザパルスを出射するようにすることができる。
【0054】
マルチライン測距レーザ受信モジュールはフォーカシングモジュール116と検出モジュール118を含む。検出モジュール118は例えば光電検出装置であることができる。フォーカシングモジュール116とマルチライン測距レーザ発信モジュール110のコリメーションモジュール114はレンズであることができる。
【0055】
分光モジュール140は貫通孔式反射鏡、半透明半反射鏡、バイブレーションミラースペクトロスコープ(spectroscope)または鍍金スペクトロスコープ等であることができる。その役割はコリメーションモジュール114に調節される平行レーザパルスを透過させることと、反射走査モジュール17に反射される反射レーザパルスを反射させることにある。
【0056】
走査モジュール130は1Dまたは2Dバイブレーションミラー、例えば静電式バイブレーションミラー、電池式バイブレーションミラー、圧電式バイブレーションミラーまたは電熱式バイブレーションミラー等であることができる。
【0057】
本発明の第七実施例において、図2に示すとおり、垂直の画角の範囲内の上下区域Sの垂直方向の解像度は中央区域Mの垂直方向の解像度より小さく、複数個のレーザ装置112は垂直方向の上下方向に向かってまばら、稠密再びまばらに配置される。すなわち不均等に配置される。具体的に、レーザ装置112が不均等に配置されることにより回転部の内部に設けられる複数個のレーザ装置112をレーザ装置112の間の距離により複数組に分類することができる。前記角度範囲中において重点である中央区域はより稠密である測距レーザの分布を有している。
【0058】
この実施例の変形例において、回転部の内部には複数の載置体119が設けられ、レーザ装置112は載置体119上にそれぞれ固定配置される。したがって、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール110が出射する測距レーザの角度範囲内の上下区域Sと比較してみると、より多いマルチライン測距レーザ受信モジュール120が出射する測距レーザは前記角度範囲内の中央区域Mに入射される。
【0059】
図3はレーザ装置が複数個の載置体に配置される実施例を示す図である。載置体119上のレーザ装置112の光線通路は中央区域において交差に配置されるとともに重畳し、載置体119が重畳することにより一層多い測距レーザを中央区域に出射することができる。
【0060】
図4にはレーザ装置が載置体に配置される他の実施例が示されている。図4には8個の載置体119が設けられ、各載置体119上には5個のレーザ装置112が配置され、レーザ装置112の間の距離は一致している。5個の固定板は送信空間内に垂直に配置され、それらは水平方向に沿って間隔を空いて配置されている。前記載置体119は固定板の側部に固定され、各固定板上に固定される載置体の数量は異なっている。左から右に向かって、各固定板上には2、1、2、2、1個の載置体119がそれぞれ固定されている。光学式コリメーター(optical collimator)が含まれる垂直平面上のレーザ装置112の投影点は上下方向において不均等に配置されている。例えば、中央は稠密に配置され、上部分と下部分はまばらに配置されることができる。それによりレーザ装置112が発信する複数の検出光線において、水平線とその付近の光線は稠密になり、他の方向の光線はまばらになる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施例を説明してきたが、本発明の精神と範囲は前記具体的な実施例にのみ限定されるものでない。この技術分野の技術者はこの発明の要旨を逸脱しない範囲において他の実施形態と実施例を想到することができ、それらがあっても本発明に含まれることは勿論である。本発明の精神と範囲は前記具体的な実施例の構成によって限定されるものではなく、特許請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0062】
1 マルチラインレーダー
110 マルチライン測距レーザ発信モジュール
120 マルチライン測距レーザ受信モジュール
210 固定部
220 外部通信インターフェース
230 外部電源インターフェース
240 回転部
250 回転構造
130 走査モジュール
140 分光モジュール
112 レーザ装置
114 コリメーションモジュール
116 フォーカシングモジュール
118 検出モジュール
119 載置体
I 出射光路
R 受信光路
Z 障害物
S 上下区域
M 中央区域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2020年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチラインレーダー(1)であって、前記マルチラインレーダー(1)は、マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)、マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)、測距情報分析モジュール、制御回路および光学システムを含み、
前記マルチライン測距レーザ発信モジュールは一個または複数個のレーザ装置(112)を含み、
前記マルチライン測距レーザ受信モジュールは、一個または複数個の光電検出装置を含み、かつ前記レーザ発信モジュールが出射する測定レーザが障害物(Z)によって拡散反射されて戻るレーザ反射波を検出するように設けられ、
前記測距情報分析モジュールは、マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)とマルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に電気接続され、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出することにより各方向の前記障害物(Z)の距離を算出するように設けられ、
制御回路および光学システムは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に対応するように配置されることを特徴とするマルチラインレーダー。
【請求項2】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は垂直方向の解像度が非均等に配置される複数の測距レーザを出射することを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項3】
前記制御回路はタイムデータ変換装置を含み、前記測距情報分析モジュールは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が各測距レーザを出射するときタイムデータ変換装置に送信する信号と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を検出して前記タイムデータ変換装置に送信する時間の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項4】
前記制御回路はアナログデジタルコンバーターを含み、前記アナログデジタルコンバーターは前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)の電流の波形を随時に検出するとともにデジタル化を実施し、
前記測距情報分析モジュールは、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)の電流の波形と、前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)の電流の波形の時間差を比較することにより、前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が測定レーザを送信する時間と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)がレーザの反射波を受信する時間との間の時間差を算出するように設けられることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項5】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は垂直の画角の範囲内の上下区域の垂直方向の解像度が中央区域の垂直方向の解像度より小さくなるように前記マルチライン測距レーザを出射することを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項6】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が出射する前記マルチライン測距レーザは一本または複数本の垂直方向の角度が時間によって変換する測距レーザで形成されることを特徴とする請求項1に記載のマルチラインレーダー。
【請求項7】
前記マルチラインレーダー(1)は走査モジュールを更に含み、前記走査モジュールは時間により前記測距レーザの垂直方向の角度を変化させることを特徴とする請求項6に記載のマルチラインレーダー。
【請求項8】
前記マルチラインレーダー(1)は分光モジュール(140)を更に含み、前記分光モジュール(140)と前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)および前記走査モジュールは1つの軸線上に配置され、前記分光モジュール(140)は前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)が出射する測距レーザを前記走査モジュールに投射させかつ帰還したレーザを前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)に反射させることを特徴とする請求項7に記載のマルチラインレーダー。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれか一項に記載のマルチラインレーダー(1)であって、
前記マルチラインレーダー(1)は回転部、固定部、回転構造、通信システムおよび電力伝送システムを更に含み、
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)は前記回転部上に固定配置され、
前記固定部上には前記マルチラインレーダー(1)の外部通信インターフェースと外部電源インターフェースが設けられ、電力伝送システムは前記外部電源インターフェースから入力される外部電力を前記回転部に提供し、
前記回転構造は前記回転部が前記固定部に相対して回転するように駆動し、前記回転構造上には回転角度フィードバック装置が設けられ、前記回転角度フィードバック装置は前記回転構造の回転角度をフィードバックすることにより各測定レーザの水平方向の角度を獲得するように設けられ、
前記通信システムと前記電力伝送システムは固定部と回転部との間に設けられることを特徴とするマルチラインレーダー。
【請求項10】
前記固定部上にはトランスミットコイルと所定の第一変調回路が設けられ、前記回転部上にはレシーバーコイルと所定の第二変調回路が設けられ、前記トランスミットコイルとレシーバーコイルは電磁誘導方法により電力をトランスミットコイルからレシーバーコイルに伝送するように設けられることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項11】
前記固定部と前記回転部はスリップリングにより連結され、前記スリップリングは2つの部分を含み、前記スリップリングの前記2つの部分の間には導電チャンネルが形成され、前記導電チャンネルは前記固定部と前記回転部との間の電力伝送システムになることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項12】
前記固定部と前記回転部との間の通信システムは前記スリップリングの前記2つの部分の間の信号チャンネルを含むことを特徴とする請求項11に記載のマルチラインレーダー。
【請求項13】
前記固定部と前記回転部との間の通信システムは前記固定部上に取り付けられる発光ダイオード、前記回転部上に取り付けられるフォトダイオード、前記回転部上に取り付けられる発光ダイオードおよび前記固定部上に取り付けられるフォトダイオードを含ことを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項14】
前記固定部と回転部との間の通信システムは前記固定部と回転部上にそれぞれ取り付けられる無線送信装置と受信装置を含み前記無線送信装置と受信装置は、WiFiまたはブルートゥースを含むことを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項15】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)は回転部内に固定配置される複数個のレーザ装置(112)を含み、前記複数個のレーザ装置(112)は複数組に分類されることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【請求項16】
前記レーザ装置(112)は回転部内の複数の載置体(119)上にそれぞれ固定配置されることを特徴とする請求項15に記載のマルチラインレーダー。
【請求項17】
前記マルチライン測距レーザ発信モジュール(110)垂直平面と前記マルチライン測距レーザ受信モジュール(120)垂直平面は前記回転部の回転軸の垂直平面を通過する平面により対称状態になっていることを特徴とする請求項9に記載のマルチラインレーダー。
【国際調査報告】